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金田(誠)
委員 この件については
質問をこれでとどめさせていただいて、次に、三点目に移らせていただきたいと思います。
医療保険制度抜本改革についてでございます。
大臣は、先般
介護保険の集中審議の際に、
医療保険制度の年度内の
抜本改革といいますか、来年度からの実施でしたでしょうか、これは不可能であるというふうにお答えをされたわけでございます。よくそこまで言い切られたなと思って、ちょっとびっくりしながら実は聞いたのですが、それも無理のないことかなという気もいたします。
老人保健制度をどうするか。薬価の問題についても参照価格でああいう形になっておりましたし、
医療提供体制では急性期と慢性期の分離、程度、診療報酬改定についてもほとんど財源の見通しも立ってこないという八方ふさがりの
状態で、問題の先送り
状態がずっと続いているわけでございますけれ
ども、旧来型の発想ではこの問題を打破することはおよそ不可能ではないかという気がいたすわけでございます。
その背景は、
一つは経済のゼロ成長。昔は何だかんだ言っても多少保険料収入は伸びてきた。いろいろ不満はありながらも、各方面、それぞれ何とかおさまるような手だてができたということがあったと思うのですが、ゼロ成長と高齢化の進展、黙っていても老人
医療費はどんどん伸びていくという
状況の中で、もう旧来型の微調整といいますか、これは自民党の
専門家の皆さんの本当に得意とするところだったと思うのですが、その手腕が発揮しようがなくなったというところまで行き着いたというのが現状ではないかと私は思うわけでございます。
そして、それではどうするかということでは、もう発想の転換を図るしかない。
厚生省なりがすべて引き受けて、医師会の言い分、支払い側の言い分、全部まとめて痛み分けにさせるような、何か三方一両損のような芸当ができなくなったわけですから、ここに来て必要なことは、当事者間の契約といいますか話し合いといいますか、契約自由の原則に基づいて、お
役所はもう権限を放棄する。うまいぐあいに、時の氏神になるか憎まれ役になるかして物事をまとめることが不可能になった。それぞれ言い分をぶつけ合いながら
当事者同士の妥協を探る。それが不可能なときに初めてアンパイアが登場するという形しかもうないのではないかというふうに思えてならないわけでございます。
これを具体的に言うと、保険者が当事者としての機能を回復するということが
一つだと思います。前は、高齢者
医療の薬代一部負担を、全く当事者抜きで、支払い側抜きで決定してしまった自民党さんの大変な腕力もございましたけれ
ども、もうこういうやり方は通らない。支払う方と受け取る方、どのようなサービスを幾らで買うかは当事者間の契約が原則であるという
立場に立ち返る。これが自由主義経済の本来の姿だと私は思うのですけれ
ども、そのためには保険者機能をどうするか。保険者にそれにたえ得るような保険者機能を備えさせなければならないと思うわけでございます。
具体的に言うと、例えば、この制度の中でも一番保険者機能を発揮しているのは組合健保でございます。機能を発揮し得ないでいるのが政府管掌であり、国保も頑張っているところは頑張っているのですが、総じて言うと、組合健保並みに機能を発揮しているかというと、そうではない。規模も、国保などは余りにも脆弱過ぎるところもございます。政府管掌なんというのは余りにも巨大過ぎるものがある。国が保険を管掌するとか自治体が管掌するとかという時代はもう終わったのではないか。
これは今すぐとは言わなくても、本来、民営化、組合健保化ということを見据えながら、差し当たって規模の適正化。政府管掌であれば各県ごとに保険者を分割をしていくとか、国保であれば県レベルに統合をしていくとか、規模の適正化。そして、
医療団体の指定解除とか、診療報酬に対してもっと発言する権利とか、そういうものを徐々にふやしていって、行き着く先は、組合健保化という方向を一方では目指す。
そして、もう
一つは、保険者機能の強化ということからいいますと、保険者間のリスク構造調整。これは、ドイツではもう完全にリスク構造調整はほぼ完全に近い形で行われていると思うわけですし、日本でも、例えば老人保健拠出金制度というのもある意味でリスク構造調整の変則の形ということになると思うのです。
特に、我が国においては、これは
厚生省の機関だと思いますが、人口問題
研究所でしょうか、塩野谷祐一
先生などが保険者間のリスク構造調整ということを盛んに唱えておられる。保険者間のリスクを均等化して保険者機能を高めて、支払い側と協議し決定し得るような、そういう主体を一方では形成する。支払い側団体も、今の形が本当にいいのか。診療側も、当事者として支払い側と本当に協議決定できるような仕組みを
考えていく。
厚生省は、自分のところで全部引き受けて、うまい方法をたまたまこういうふうに出すというのはもう不可能ですから、アンパイアに徹するという形に構造転換をしていかないと、これはもう何も決まらないということになるのではないか。
高齢化社会の中でこれに対応をするのは、私は、こういう方向にかじを切る、
大綱こういう方向で転換をしていくしかないと思っているのですけれ
ども、
大臣、
大綱的に
大臣の
考えておられる
医療保険制度抜本改革というものについての御
見解を、この私の
考えにかみ合う形でお示しいただければありがたいと思います。