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1999-11-09 第146回国会 衆議院 厚生委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年十一月九日(火曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 江口 一雄君    理事 安倍 晋三君 理事 衛藤 晟一君    理事 木村 義雄君 理事 田中眞紀子君    理事 金田 誠一君 理事 山本 孝史君    理事 福島  豊君 理事 岡島 正之君       伊吹 文明君    飯島 忠義君       石崎  岳君    岩永 峯一君       遠藤 利明君    大村 秀章君       鴨下 一郎君    鈴木 俊一君       田中 和徳君    戸井田 徹君       根本  匠君    林田  彪君       桧田  仁君    堀之内久男君       松本  純君    宮島 大典君       家西  悟君    石毛えい子君       桑原  豊君    土肥 隆一君       古川 元久君    青山 二三君       大野由利子君    久保 哲司君       武山百合子君    吉田 幸弘君       児玉 健次君    瀬古由起子君       中川 智子君     …………………………………    厚生大臣          丹羽 雄哉君    厚生政務次官        大野由利子君    厚生委員会専門員      杉谷 正秀君     ————————————— 委員の異動 十一月九日  辞任         補欠選任   砂田 圭佑君     岩永 峯一君   田村 憲久君     林田  彪君   中桐 伸五君     桑原  豊君 同日  辞任         補欠選任   岩永 峯一君     飯島 忠義君   林田  彪君     田村 憲久君   桑原  豊君     中桐 伸五君 同日  辞任         補欠選任   飯島 忠義君     砂田 圭佑君     ————————————— 本日の会議に付した案件  厚生関係基本施策に関する件     午前十時一分開議      ————◇—————
  2. 江口一雄

    江口委員長 これより会議を開きます。  厚生関係基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、丹羽厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。丹羽厚生大臣
  3. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 介護保険法の円滑な実施のための特別対策につきましては、与党三党による申し入れを重く受けとめ、政府部内で鋭意検討してまいりましたが、去る十一月五日に政府方針を決定いたしました。その概要を報告させていただきます。  まず、政府といたしましては、平成十二年四月一日から介護保険法実施すること、及び高齢者保険料特別措置及び医療保険者対策に要する財源は国が負担することという基本原則のもとに、新制度の円滑な実施のための特別対策を講ずることといたしました。  まず、高齢者保険料特別措置についてでありますが、平成十二年九月までの半年間は、国民制度になれるまでの期間として、高齢者保険料徴収しないことができるようにするとともに、その後の一年間につきましても、経過的に激変緩和措置として二分の一に軽減するようにいたしました。  次に、四十歳から六十四歳までの方々の負担につきましては、介護保険法の施行に伴う医療保険者負担のうち、既に老人医療負担している分を除いた負担増の一年分、おおむね一千二百六十億円について、おのおのの保険者財政状況等を酌み取りつつ、国が医療保険者財政支援を行い、全体として新たな負担増を抑えることとしております。  次に、低所得者利用者負担の軽減についてでありますが、利用者負担法律上一〇%とされておりますが、低所得世帯で現にホームヘルプサービスを利用している高齢者については、当面三年間は利用者負担が三%となるよう助成することとしました。その後段階的に引き上げ、平成十七年度から法律どおりとすることとしております。  次に、家族介護支援については、介護保険法とは別に、市町村がみずからの選択により、家族介護慰労金支給介護用品支給家族介護者交流事業などの家族介護支援特別事業を行った場合に、国も助成することにいたしております。  次に、介護予防生活支援対策については、要介護認定対象外となる自立の高齢者などに対して、要介護状態にならないように支援するなど、施策の拡充を図ることとしております。  最後に、介護基盤整備であります。これについては、介護が必要な高齢者支援する介護サービス基盤の一層の整備を進めるため、各自治体の状況を踏まえながら、新ゴールドプランの後の新しいプランを策定することといたしています。  今回の特別対策は、介護保険制度理念基本的枠組みをいささかも揺るがすものではなく、私としては、来年四月から介護保険法の円滑な実施に向けて現場において大変御努力をなされていらっしゃる市町村を初めとする関係者皆様方と手を携えて、厚生大臣として先頭に立って円滑な実施に向けて全力で取り組んでいく所存であります。  何とぞ、格別の御理解を賜りますようお願い申し上げます。  以上でございます。     —————————————
  4. 江口一雄

    江口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。桧田仁君。
  5. 桧田仁

    桧田委員 自由民主党桧田仁です。  いよいよ今国会から、厚生委員会大臣政務次官に御答弁いただくということで、大変期待もいたしておりますし、また、トップバッターとして大臣政務次官のみに御質問いたしますから、何とぞよろしくお願いします。意地悪な質問や細かいことは言いません。ずばっと、みずからのお立場政治理念できっちりお答えいただきたい、こういうふうに思います。  まず、丹羽厚生大臣にお伺いいたします。大臣には、財源問題と介護保険問題、医療制度改革に絞ってお願いしたいと思います。  まず第一に、何といいましても、これからの少子高齢化財源が厳しいことはよくわかっているんですが、医療福祉介護年金に対する財源をどうするか、まず大臣のお考えをお聞かせください。
  6. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 医療年金介護社会保障に関するいわゆる社会保障給付費、これは、桧田先生案内のように、年間六十八兆円に達しておるわけでございます。これらの費用は、御案内のように、国民がお互いに保険料というものを出し合って、そしてまた公費によって賄われておる、こういうような仕組みになっていることは御承知のことと存じます。  今後のいわゆる少子高齢化社会に伴いまして、社会保障費用はさらなる増大が避けられない、こういうような状況にあるわけでございますが、その財源を安定的に賄う仕組みとして、いろいろな意見がございますけれども、まず、私といたしましては、要するに給付負担との関係が明確でなければならない、こういう中で、国民皆さん方理解を得やすい社会保険方式を今後とも我が国の社会保障の基本的な考え方と位置づけまして考えていくことが現実的ではないか、こう考えております。  ただ、いろいろな御意見がございまして、これにつきまして税方式という御意見、御主張をなさる方もいらっしゃるわけでございますし、いずれにいたしましても、この問題につきましては、今後与党三党間で十分に検討する、こういうことになっておりますので、私ども、その推移というものを十分に見守っていきたい、こう考えているような次第でございます。
  7. 桧田仁

    桧田委員 ただいま、税も保険も両方と、しかも、与党協議をということでございますが、あえて、消費税目的化ということも議論されておりますが、この点に関して大臣はどのようにお考えでしょうか。
  8. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 要するに、消費税目的化ということでございます。この問題も大変難しい問題でございます。  現実的に申し上げますならば、要するに、消費税目的税に限定したらどうか、こういう御意見大変今出てきておるわけでございますが、例えば、平成十一年度におきまして、基礎年金高齢者医療介護、この三分野費用は合わせまして八・八兆円に達しております。一方で、消費税一%分は御案内のように現在一兆八千億円でございますので、地方交付税であるとかそういうものを除きますと、国分が現在七・三兆円でございまして、既に現段階で一兆五千億円も不足している。これをどういうふうに考えていくかということでございます。  現在の経済情勢考えますと、消費税の引き上げは現実問題としては大変難しいのではないかな、こう思っておるわけでございますし、社会保障財源をすべて消費税で賄うということは現実的でなく困難である、私自身はこういう認識をいたしておるわけでございます。  しかし、予算総則の中でこういうものに充てます、こういうことになりまして、これも私自身予算委員会で質問したわけでございますけれども、これは一つの訓示規定的な意味合いがなきにしもあらずでございますけれども、私は、要するに消費税というものは社会保障の主力である、こういうように位置づけるのが適当である、こう考えているような次第であります。
  9. 桧田仁

    桧田委員 ただいまのことは非常に今後も議論を呼ぶと思います。しっかりこの厚生委員会でも議論させていただきたいというふうに思います。  次に、後で述べるのですが、介護保険で約一兆円余りも赤字国債という話が出ております。となりますと、どうも大蔵省はこのたびの第二次補正予算を少し厳しくしようといううわさがあるのです。こんなことをさせてはいけませんが、厚生大臣のこのたびの第二次補正予算概算要求に対する満額回答の御決意はどんなでしょうか。
  10. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 ただいま桧田委員から御指摘ございましたように、今回の第二次補正予算におきまして、厚生省介護関係で実に一兆円を超える予算措置をとることが既に合意されておりますが、このほか、私どもといたしましては、二十一世紀型社会インフラ整備といたしまして、子育てや障害者に対する支援先生御関心の医療提供体制整備保健衛生対策、いわゆるごみ問題で大変注目を浴びております循環型社会の構築に向けた対策、それから二十一世紀を見据えて忘れることができない科学技術の振興や原子力の安全対策、こういったような事項を中心にして要望を行っているところでございます。  この二十一世紀型社会インフラにつきましては、政府全体で三・五兆円が予定されておりますが、とりあえずという言葉が適当かどうかわかりませんが、その一・五倍の要望枠が設けられておるわけでございます。  厚生省といたしましては、公共と非公共を合わせまして四千億円が充てられておるわけでございますけれども厚生省の問題というのは、委員会先生方理解いただけますように、国民生活に直結する問題でございますので、これはできるだけ満額回答を目指して頑張っていく次第でございますので、先生方の御支援を心からお願いを申し上げる次第でございます。
  11. 桧田仁

    桧田委員 介護保険議論をされておりますけれども、基本的な医療その他の福祉、さらにごみ問題、非常に大事な予算がこの概算要求の中に入っておりますので、何とぞひとつ御努力いただきたい、私たちも頑張りたい、こういうように思います。  次に、ただいま大臣公共、非公共とおっしゃいましたけれども、私は、公共事業ということはもう一回しっかりこの厚生委員会でも議論していかなきゃいかぬと思うのです。  特に、平成十一年度の公共事業予算、御承知のように約九兆五千二百億円もあるのですが、そのうち厚生省関係、つまり医療福祉衛生方面に使われておるのはわずか三千五百九十三億円の三・八四%なんです。私は、公共事業といえども国民生活基盤、さらには医療福祉、そしてごみ問題に公共事業のシェアをもっとふやして頑張るべきと思いますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
  12. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 ただいまも御答弁を申し上げましたけれども厚生省公共事業関係といたしましては、まず、水道施設整備であるとか、あるいは大変深刻な問題となっております廃棄物処理施設整備、これは一刻も早く解決しなければならない、こういうような問題があるわけであります。  私といたしましては、今先生から御指摘がありましたような、国民生活に直結し、そして真の豊かさを享受できるような生活基盤整備、これはこれとして力を入れていかなければならないわけでございますが、さらに、いわゆる公共というと従来型の公共事業というものをどうしても連想しがちでございますが、そういう面だけではなくて、私どもとしては、さらに国民皆さん方医療福祉、こういったソフト面というものも同時にあわせて十分に考慮しながら進めていかなければならない、こういうような認識に立つような次第でございます。
  13. 桧田仁

    桧田委員 大臣大変ありがたい御答弁をいただいて、私は、公共事業というものも、もう少しあらゆる面で私たち委員会でも見直しをしながら、国民が本当に納得できる公共事業にしていきたい、こういうような思いでございます。  もう一方、私ども議論が大事だと思いますのは、どうも医療福祉年金介護というような問題は、年金はともかくとしまして、浪費だとかあるいはばらまき福祉というようなことで、どちらかというと、厚生省予算やここの議論が必ずしも経済的にプラスでないという議論があります。私は、これは間違っていると思います。  すなわち、日本開発銀行が先般シミュレーションしたものを見ましても、新産業分野市場規模予測でも、二〇一〇年には医療福祉介護関係が九十一兆円もの非常な市場規模を持っている。雇用を見ましても、約四百八十万人も雇用を生んでいる。経済効果、また波及効果、さらには雇用に、医療福祉介護にお金を投入するというのは決して浪費ばらまきでなく、必ず日本のこれからに、基盤整備の話もありましたけれども、非常にいい形になると私は確信いたしております。  この点は大臣に、これからの厚生省予算というのは国の経済効果雇用効果も十分生むんだと、積極的に閣議やあるいは外にも発言していただいて、これからの予算をしっかりとる、これはぜひお願いしたいのです。  また一方、この四日に政府が発表しました経済新生対策の中でも、例えば痴呆など高齢者主要疾患に対するオーダーメードの医療ということを実現することが次世代の社会資本整備に非常に価値がある、こういう私たちにとって大変ありがたい内容でございます。  私は、こういう厚生省のいろいろな施策予算というのは、経済効果国民生活をきっちりさせて、しかも雇用も生むということをぜひ積極的に大臣に言っていただきたいと思うのですが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
  14. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、社会保障給付費というのが六十八兆円に上りまして、今や国民所得の一七・二%を占める規模に達しておりまして、国民経済大変大きな役割を果たしていることは紛れもない事実でございます。  雇用面でございますけれども、今や全就業者の十五人に一人は何らかの形で社会保障関係の仕事についておるわけでございまして、今やサービス業の伸びを大きく上回っているのが現実でございます。  ただ、この後、私と先生方向は同じなんですが、ニュアンスがちょっと違うなと思いますのは、医療福祉というものを単に景気や雇用面からという視点だけでとらえるのではなくて、私どもが忘れてはならないことは、そう違いはないんですが、真の豊かさとは国民にとってどういうものかという観点から政治はどうあるべきか、こういう観点からむしろ財源の再配分という問題を私どもは大いに議論するべきではないか、私はこういう考え方に立っております。  大筋においては同じでございますが、若干ニュアンスが違うことをあえて言わせていただきます。
  15. 桧田仁

    桧田委員 ただいま大臣の、ニュアンスは私は違っていないと思います。私どもも、少なくとも厚生委員会に属している者たちは、本来理念的に、基本的に国民にとってどんないい医療福祉年金介護にするかということに非常に真剣になっています。もちろん、ごみも。  ですから、これは財源として当たり前なんですが、どうも外の風が何か厚生省予算やそういうものがむだだという意見がちらちら吹いていますから、やはり大臣がリーダーシップを発揮していただいて堂々と国民に言っていただくことが、必ず国民もそうだということになると私は確信いたしておりますので、ぜひよろしくお願いしますし、私たちもその支援はやぶさかでございません。どうぞよろしくお願いします。  それでは次に、あす集中討議が行われるわけではございますけれども、あえて介護保険のことを少し、大臣のお気持ち、お考えを聞かせていただきたい、後に大野総括政務次官にもこの介護保険のことを少しお聞かせいただきたいと思います。  まず大臣に、ただいま大臣施政方針にもございましたけれども、一号被保険者保険料徴収を少し猶予するということになりそうです。確定と見ていいんでしょうか。やはりこの財源ということ、数字は見せていただいているんですが、国民にはいろいろ御意見がございます。大臣としては国民財源はこうするということを、どうやら赤字国債ということでございますが、大臣のお気持ちをしっかり聞かせていただきたいと思うんですが、いかがでしょう。
  16. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 この問題につきましては、私の方から冒頭、三党間の合意を受けまして、政府のいわゆる特別対策ということで御報告をさせていただきましたところでございます。したがいまして、高齢者保険料につきましてはおおむね半年間は徴収しないということにされておるわけでございます。  これはどういうような見方があるかということでございますが、私が皆様方にぜひとも御理解をいただきたいと考えておりますことは、国民皆さん方が、要介護認定手続、今やっております、私の地元でも、恐らく先生方地元でもやっておりますけれども大変手間暇がかかって、先生なんかもメンバーかどうか知りませんけれども大変時間がかかるということを聞いておりますし、こういう手続面大変な作業であるということ。それから、これまでは特別養護老人ホームなどは市町村によって措置制度でやられていた。今度は要介護者あるいは御家族皆さん方が自分で判断をして契約による利用型に変わっていくんだということで、率直に申し上げて、まだまだ私どものPRが足りない面もあります。市町村皆さん方大変一生懸命、もう何十回となく、何百回となくいろいろ御説明をしておりますけれども、率直に申し上げて、私が地元に帰ったりあるいは現場皆さん方にお聞きしますと、まだまだその辺が十分に御理解をいただいていない点があるわけでございます。  ですから、私どもといたしましては、この凍結というのは制度の本格的なスタートに向けての助走期間である、大変な混乱が起きる可能性がある、こういうことで助走期間と位置づけまして、平成十二年四月から半年間は高齢者保険料徴収しないことができるよう、その分を国の方で負担をしましょう、こういうことを決めたわけでございます。  それで、その後の財源はどうするのかということでございますが、いろいろな御意見はありますが、これは私は世紀の大事業である、こう考えておるわけでございますので、現実的には赤字国債に大部分を頼らざるを得ないというのが私の現実的な認識であります。
  17. 桧田仁

    桧田委員 今のは第一号被保険者のことについてですが、第二号被保険者も、ただいま大臣からお話がありましたように千二百六十億円、これは法的な問題がございますので、いわば保険者にお出しになると聞いております。となりますと、保険組合のどこに属しているかによって、あるいはその財政事情によって、個々の個人にとっては有利不利あるいは格差があるという認識でございますが、その認識とすれば、その点についてはいたし方ないというのか、これは保険者に任せるというのか、大臣はどんなお考えでしょうか。
  18. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 これは率直に申し上げて、高齢者保険料と、四十歳から六十四歳までのサラリーマンを中心とする皆さん方に対する支援というものが異なっていることは紛れもない事実でございます。  これは、まず最初に三党合意政府の中で取り決めましたことは、ここに来て法改正は行わないんだ、こういうことがございます。そういう中で、私どもは、窮迫した保険組合に対して救済をしようではないか、こういうような認識に立つわけでございまして、介護保険法実施に伴います医療保険負担増は、要するに一千二百億円を医療保険全体として手当てする、こういうことでございます。  その際に、介護保険料徴収する医療保険者財政などの状況にはそれぞれ保険者によってかなりのばらつきがあるわけでございます。こういうことから、私といたしましては、個々保険者の実情というものを酌み取りつつ財政支援を行っていこうじゃないか、こういう考え方に立つものでございます。  具体的にはこれから早急に検討していかなければならないわけでございますが、介護保険料を上乗せすることによってさらに財政が悪化するだろうと予想されます健保組合であるとか、この介護保険料を上乗せすることによって徴収率の低下が生じる可能性がある国保国保の場合は私は幅広く考えなければならないと思っておりますけれども、こういうところに重点的に配分をして、これによって介護保険法の円滑な実施医療保険の安定を確保して全体として負担増を抑えたい、こういうような考え方に立つものでございます。
  19. 桧田仁

    桧田委員 まだまだ介護保険のことで聞きたいことがたくさんあるんですが、あと同僚議員もされますので後にお任せして、次に医療制度改革についてお伺いしたいと思います。  時間の関係でどんどん行きますが、厚生大臣自由民主党医療基本問題調査会長として非常に腕を振るわれたわけでございます。少し立場が違って厚生大臣におなりになりましたので、これからの医療保険制度改革をどのようにお考えか。  特に待ったなしなのは、何といっても診療報酬改定が迫っております。ほかの改革も大事なんですが、これも迫っておりますので、どんなお考えか。特に今までと最大の違いは、薬価差をなくして技術料に振りかえようということでございます。  医療制度改革薬価差をなくすという問題との考えをあわせてお聞かせいただければありがたいと思います。
  20. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 桧田先生ともども、この問題については長期間にわたって議論をしてきたところでございます。  医療改革といたしましては、一つ医療提供体制の問題、もう一つ医療報酬、今ございました診療報酬体系見直しの問題、それから薬価制度見直し、さらに高齢者医療制度見直し、これは四本柱でございますが、特に薬価の問題と診療報酬の問題というのは切り離すことはできないのだ、こういう認識に立っておるわけでございますし、医療機関の経営の収益の一部とされておりますのが薬価差益でありますが、この解消を図っていこうではないか、こういうことでございまして、技術料を適正に評価しなければならない。と同時に、いわゆる出来高払い定額払いの最善の組み合わせによって診療報酬体系を構築する、こういうような方向性が示されているわけであります。  特に、薬価差解消を図ることは薬価制度見直しの中で重要な課題の一つでございまして、これから厳しい財政状況の中でこれをどうやっていくかということでございますが、私よりも桧田先生の方がはるかにその道の先輩でございますので、あえて私からお聞きしたいのは、医療費が前年に比べて三%伸びている、それから老人医療費が六%伸びている、これをどういうふうに考えているのか。それから、保険料が物すごくふえてきている。そういう中で、先生ならばどういうようなお考えでこれから臨んでいくかということを、もし委員長がお許しいただけるならば、私もこれは年末の予算編成までに決めなくちゃならぬのですが、一番頭の痛い問題でございますので、学識経験者として先生の御意見を聞かせていただければ大変幸いかな、こう思っておるような次第であります。
  21. 桧田仁

    桧田委員 一委員として反論できるかどうかわかりませんが、医療制度というのは長い歴史があります。何よりも国民保険制度を守っていくという大きな理念をきっちりやるということを前提のもとに、まずはむだを省いていかなければいかぬことも当然です。ただ、高齢者医療だけに限って、高い、ふえるということでなく、自然にふえた社会構造の変化ですから、国民全体がしっかり議論しなければいけないと思います。  それから二番目には、保険が非常に多岐にわたっていることを何とか早く一本化して、保険のむだによる、あるいは多岐にわたるものを早く一本化して制度をきっちりしたい。  それから三番目は、薬をやりかえるとなると、今まで世界で一番低いと言われる医療関係者技術料もしっかりやっていただきたい。こういうことは頑張っていかなければいけないと思います。  もちろん、余り議論は長くできませんけれども、やはり民間病院と公的病院のこと、一兆六千億円の補助金を出しているんです、この辺もしっかり議論していかなければいけない。  いろいろな問題点はぜひ大臣と今後とも議論させていただきたいと思います。
  22. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 大変貴重な御意見を賜りましてありがとうございます。  いずれにいたしましても、この年末に向けてまたさらにさらに、一歩一歩医療改革を進めて、国民皆さん方、今桧田先生からお話がございました、良質な医療を守って、そして皆保険制度を堅持する、こういうような立場医療改革を進めていく決意でございますので、よろしく御指導のほどをお願い申し上げる次第であります。
  23. 桧田仁

    桧田委員 大臣、よろしくお願いします。  大野総括政務次官に私どうしても質問したいので、最後にお願いします。  大臣もすばらしいのですが、総括政務次官を楽しみにしておりましたので、最後に二つほど手短に。  一つは、就任会見で、介護保険で、施設は税で、在宅は保険でとおっしゃいましたが、その後どんなお考えか。  それからもう一点、家族給付という問題が出ておりますので、女性のお立場でこの家族給付というのはどんなお考えか、ぜひ初答弁を聞かせていただきたいと思います。
  24. 大野由利子

    ○大野(由)政務次官 介護保険制度財源につきましては、与党各党の間でもさまざまな御意見がございます。来年四月から介護保険制度実施することにつきましては合意をしておりますし、今後とも三党間の協議を踏まえつつ、政府として適切に取りまとめた案に従ってまいりたい、このように思っております。  それから、家族給付の問題についてのお尋ねだったと思いますが、介護保険は在宅サービスを中心に提供することによって高齢者介護している家族支援するものであり、主に女性によって担われている家族介護負担を軽減しよう、こういうものでございますが、何分初めて施行される制度でございます。地方などでは、当初は、他人が家庭に入ってもらっては困るだとか、あのヘルパーさんは気に入らないだとか、大家族介護の手があるというような、こういうさまざまな何らかの事情で介護保険のサービスを受けられない方が出ていらっしゃることも想定されるわけでございます。  そういうわけで、家族介護への給付のあり方については今後十分なさらなる議論を積み重ねていかなければならない、こう思っておりますが、高齢者介護保険法のサービスを受けなかった場合に支給する家族介護慰労金は、当面の措置として、市町村の選択によって、家庭で介護を行う家族を慰労するために、重度で低所得世帯といった一定の要件のもとに一定額の金品をお渡しするものであり、慰労金の支給介護保険のサービス利用を妨げるものにはならない、このように思っております。
  25. 桧田仁

    桧田委員 以上で質問を終わります。大臣政務次官、まことにありがとうございました。
  26. 江口一雄

    江口委員長 松本純君。
  27. 松本純

    ○松本(純)委員 自由民主党の松本純でございます。  桧田議員に引き続きまして、丹羽厚生大臣に御質問をいたしますが、一歩踏み込んで、介護保険についてお尋ねをしたいと思います。  いよいよ来年四月から介護保険がスタートいたしますが、保険者として責任を果たすべく各市町村はこの十月より介護認定を開始するなど最後の準備段階に入ってきました。そして、準備が進むほどに具体的不合理や矛盾点が明らかになってきております。この時期に、政府の責任において介護保険法の円滑な実施のための特別対策を講ずるとして、当初の考えと角度を変えた政府方針が示されたところでありますが、保険者である市町村の戸惑いは隠せません。  私の生まれ育ち、暮らしております横浜は全国一の最大保険者となる市でありますが、過日、高秀秀信市長に激励にお伺いをしたところ、さまざまな疑問点を投げかけられると同時に、制度定着には、法律の矛盾点を早期に改正してでも国が責任を持って進めるべきと強く訴えられたところであります。これから特別対策が打たれるとすれば、懸命に準備を進めている市町村への真の応援になるように、また国民制度の本質を理解してもらうよう工夫すべきと考えます。  そこで、数点について丹羽厚生大臣にお尋ねをさせていただきます。  まず初めに、調整交付金についてお伺いします。  全国市長会からも緊急要望されていると伺っていますが、介護保険給付に要する費用に充てるための財源として国は二五%を負担するとしながら、そのうち五%は調整交付金として全国の市町村財源調整に充てることとしています。そのため、都市部の自治体では調整交付金が五%満額交付を受けられず、その未交付分は六十五歳以上の第一号被保険者保険料に転嫁されることになります。保険料の水準が高齢者の心配事になっているにもかかわらず、国庫負担金の未交付分のため保険料が上がるということに関しては高齢者理解を得ることは難しいと現場市町村から大きな声が上がっており、国として、二五%全額、全市町村に交付できるように工夫すべきではないかと考えておりますが、大臣の見解をお伺いいたします。
  28. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 松本委員指摘のような、国が二五%を持ちます、そのうちの五%は要するに調整交付金です、こういうことでございますので、まずその趣旨について御理解をいただきたい、こう思っておるような次第であります。  それで、この五%でございますが、八十歳であるとか九十歳のお年寄りが大変多いような市町村であるとか、それから所得が比較的低い市町村、こういうところに重点的にそういうようなことを十分に勘案してやっていこうじゃないか、こういうことであります。  どうしても都市部の方はどちらかというと、今申し上げたことから、ややもすると、すべてがすべてでございませんけれども、地方に比べると若干お年寄りの中でも後期高齢者の割合が少ないとか、それから低所得者の割合が少ないとか、こういうことから、今松本委員が御指摘のあったような、自分の地元の横浜市では全額行かないんじゃないか、こういうような御指摘でございますが、趣旨そのものが、要するに二五%の中で特に苦しいところにそういうものを重点的に配分しよう、こういうことでございますので、ぜひともその点は御理解をいただきたい、こう思っておるような次第でございます。  いずれにいたしましても、この調整交付金の問題についても当初いろいろな議論がありました。これは、市町村の方では外枠で要求してほしいとか、こんな意見がありました。  しかし、五%分は、これは二千七十億円でありますが、そのうちいろいろな議論の中において、それよりももっともっと高齢者特別措置の枠を、要するに保険料の枠を思い切ってふやしてほしい。それから先ほどもちょっと申し上げましたけれども、今回の特別対策法改正を伴わない、こういう大前提がついております。そういう中で、この五%については、従来どおり今申し上げたような趣旨で配付させていただくということでございますので、ぜひとも御理解のほどをお願いを申し上げる次第であります。
  29. 松本純

    ○松本(純)委員 直ちに法改正をと申し上げるところではないのでありますが、この五%の調整交付金があることによって、今まで一号被保険者保険料を決定することができずにいるというような状況市町村が自立をしてみずからの町に最も合った形の介護保険制度を組み立てようと努力をするのに、国がそこに関与しないとみずからの保険料も決定できないという状況が問題があるのではないかと私は感じているところであります。例えば今回の特別対策を打った中でありますが、いずれその考えを生かしていくということにつながるような第一ステップが今回の中にうたわれることができればと期待をしているところでありまして、市町村が自立をして介護保険が立ち上げることができるよう、また今後運営ができるような手だてをぜひ今後とも工夫をしていただくよう御努力をお願いをしたいと思います。  次に、在宅サービスの激変緩和措置についてお尋ねをしたいと思います。  ホームヘルプサービスについて、現サービス利用者だけ利用料を三%にする経過措置を設けるということでありますが、ホームヘルプは在宅サービスの基礎であり、最も利用希望が高いものであります。現サービス利用者という特定の利用者に限定せず、新規の利用者を含め公平に経過措置を設けるべきと思うのでありますが、いかがでしょうか。
  30. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 まず、松本委員に御理解をいただきたいのは、今回のホームヘルプサービスというのは、あくまでも市町村実施することに対する助成である、いわゆる地方分権に立っておるわけでございますけれども、これまではそれぞれの市町村がやっていた、こういうことでまず御理解をいただきたいと思います。  それで、いわゆる激変緩和の観点から、法施行時にサービスを利用していらっしゃる低所得者については経過的に、本来ならば一〇%でありますけれども三年間に限って三%にします、こういうような軽減措置を講じたところでございます。ただいまも申し上げましたように、介護保険法では一割の利用者負担というのが基本でございます。新規の利用者につきましては応分の御負担をいただかなければなりませんけれども、いわゆる所得の低い方につきましては、負担の上限を低くするなどの特例が設けられていることは御承知のことと存じます。  いずれにいたしましても、これによって無理のない範囲で利用者の皆さん方にも御負担をお願いをいただきたい、このように考えているような次第でございます。  このほか、今松本委員から御指摘がございましたような、新規の利用者の中でも真に利用者負担が困難な方に対しましては、これは今回の特別措置の中に盛り込んだ、いわゆる社会福祉法人による利用負担の軽減、つまり、社会福祉法人が例えば仮に一割のところを三%にします、こういうことに対しましては国の方も助成をする、市町村も助成をする、こういうようなことであるとか、それから生活福祉資金貸付制度の拡充がございます。これはこれまで基本的にはいわゆる低所得者に対してお金を貸していた制度でございますが、これに介護に係る費用も追加をする、こういうような措置を講ずることによりまして、いずれにいたしましても、私どもは、低所得者の方々にも安心してサービスを受けることができるようにしたい、このように考えているような次第でございます。
  31. 松本純

    ○松本(純)委員 低所得者対策につきましては、今回の与党三党協議において、市町村負担を負わせることなく国の責任において円滑実施のための対策を講ずるとしているところであり、しかし、この低所得者対策では、新たに市町村負担も出てきているということも事実であります。市町村としては、引き続き基盤整備実施するほか、介護保険給付以外の一般行政サービスの拡充も行っていかなければならないと聞いているところでありまして、制度の円滑実施に向けた対策はさらに国として責任を持って行っていっていただきたいと考えます。  次に、介護報酬についてお尋ねをしたいと思います。  八月二十三日、介護報酬の仮単価が出されたことは評価をするところですが、それによりますと、介護保険のかなめと言える居宅介護支援事業者の介護サービス計画費用に係る介護報酬が低過ぎるのではないかと思うのであります。居宅介護支援事業者の指定基準を規定した厚生省令では、介護支援専門員、ケアマネジャーの業務の公正中立をうたいながら、実際は独立して業務を行える報酬となっておらず、所属する法人の他の在宅あるいは施設サービスと兼務しなければ人件費を賄えないような単価となっております。それではサービス事業者に対して中立的な立場介護サービス計画を作成することは難しいのではないかと思います。ぜひ利用者本位に適正な業務が保証されるような適正な単価に引き上げをしてほしいと考えておりますが、大臣の御見解をお伺いをしたいと思います。
  32. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 まず、この八月に介護報酬の仮単価が明らかになりました。ここで私どもが一番配慮しましたことは、やはり現実問題として現行制度からの円滑な移行ということを十分に酌み取っていかなければならない、そういう中で、現行のいわゆる診療報酬措置制度を参考にしながら、前提にしながら設定したものだということをまず御理解をいただきたいと思っております。  その中で、委員指摘介護サービス計画費につきましては、現に居宅介護支援事業に最も類似した業務を行っていると考えられる在宅介護支援センターの費用を参考にして、仮単価では、例えば要介護3から5の場合には毎月八千四百円、こうなっておるわけであります。これは率直に申し上げて、ケアマネジャーの方々は、現実問題として、プランをつくるだけではなくて訪問介護などほかのサービス提供も行っていただくということが一般的である、私は、こういうことを念頭に入れながら設定をさせていただいたのだということをぜひとも御理解をいただきたいと思っています。  それから、介護サービス計画の作成につきましては、運営基準の中で、利用者に対して特定のサービス事業者のサービスの利用を指示してはならない、こういうくだりがございます。いずれにいたしましても、都道府県を通じまして十分に適切な指導をとっていきたい、こう考えているような次第であります。
  33. 松本純

    ○松本(純)委員 ありがとうございました。  特別養護老人ホームの入所について最後にお伺いしたいと思っておりましたが、質疑時間が終了いたしましたので、あす以降にお任せをするといたしまして、だれがどのように入所順位を決めてこの特別養護老人ホームの入所を決定するかなど、まだまだ山積をしております。  この問題を一つ一つ丁寧にぜひ解決をしていっていただきますよう御期待を申し上げるとともに、JNNの定期電話調査、十一月六日と七日の二日間にわたるアンケート調査の結果が出ました。介護保険制度では四十歳以上の国民は毎月千五百円から三千円程度の保険料を支払うことになります、これをどう思いますかの質問でありますが、当然と思う方が一二・四%、支払うことはやむを得ないという方が六二・六%、払いたくない方が二二・八%、答えたくない、わからないが二・二%というようなアンケートをいただいたところでありますが、どうぞ自信を持って運営をしていただきますよう心からお祈りを申し上げ、質問を終わります。
  34. 江口一雄

    江口委員長 青山二三さん。
  35. 青山二三

    ○青山(二)委員 公明党・改革クラブの青山二三でございます。  このたびは、丹羽厚生大臣におかれましては、大臣御就任、まことにおめでとうございます。  第二次小渕内閣が発足いたしましてもう一カ月がたちました。私ども公明党も、小渕総理の強い要請をいただきまして政権に参画することになりました。したがいまして、今回からこちらの席で質問をさせていただくということになりましたので、どうかよろしくお願いを申し上げます。  この十月五日でございますが、三党連立政権が誕生したわけでございますけれども大臣、まず初めに、この三党連立政権に対する御意見、御感想、そして内閣の一員となりました御決意をお伺いしたいと思います。
  36. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 まず、連立政権に対する評価といいますか考え方でございますが、私は、実は、厚生大臣に就任する前は、党の方の政調会長代理としてこの問題で私なりに努力をさせていただきました。三党間でございますので、もともとそれぞれの考え方に違いがございます。そういう中で調整をするということは、率直に申し上げて大変な努力の積み重ねでございましたけれども、要は、国家国民のために政治はどうあるべきか、こういう中において、私は調整作業と申しますか、三党連立のあり方というものを考えながらこの作業を進めさせていただいたような次第であります。  私どもはとにかく、率直に申し上げて、今参議院段階において、これまでは自民党が過半数を大幅に下回っていた、そういう中において共通の認識を持つ政党が連立政権を組んで、そしていかにして国民皆さん方の御期待にこたえるか、必ずしもどの政党にとってもすべてが満足ではないのですが、やはりお互いに譲り合うところは譲り合いながら、例えば社会保障の問題については国家国民のためにどうあるべきか、こういう観点に立って進むべきだ、こう認識をいたしておるような次第でございます。  それから、小渕内閣としての決意をということでございますが、御案内のように、小渕内閣が発足いたしましたのは経済が大変などん底のところでございまして、あの当時は、特に昨年の夏から秋にかけましては金融不安という問題が大変大きな問題になりました。そういう中で、とにかく金融を安定化させて、経済成長を二年連続のマイナス経済成長からプラス経済成長に持っていくべきだ、持っていくんだ、これが小渕内閣の最大の命題でございました。  私も閣僚の一員として、経済再生への道筋を国民皆さん方に明らかにして、そしてプラス経済成長にした上で、少子高齢化社会を迎えて医療年金、さらに来年の四月からスタートいたします介護保険の円滑な実施など、山積している問題に取り組んでいきたい、このように考えているような次第であります。
  37. 青山二三

    ○青山(二)委員 ただいま大臣から御答弁いただきましたとおり、三党連立ということはいろいろと御苦労も多いかと思いますが、ひとえに私ども国民のためにどのような政治をすれば一番いいのか、このようなことを考えながら頑張ってまいりたいと思っております。  今、我が国は、御承知のとおり経済再生、雇用の拡大など、取り組むべき問題が山積をいたしております。一日の猶予も許されないのが現状でございまして、いずれも早急な対応が求められております。その中でも、特に少子・高齢社会における社会保障システムの将来がどうなるのか、国民の最大の関心事でございます。  先日の大臣のごあいさつの中にも、年金医療介護及び福祉全般にわたる社会保障改革に取り組むという決意が述べられましたけれども、厚生行政に精通された丹羽大臣でございますので、大いに力を発揮していただけるものと期待をしているところでございます。  この社会保障につきましては、三党の連立政権発足に当たりまして政策課題についての協議を行った際に、まず一点目といたしまして、高齢社会での生活の安心を実現するため、年金介護、後期高齢者医療を包括した総合的な枠組みを二〇〇五年を目途に構築する。二点目といたしまして、必要な財源のおおむね二分の一を公費負担とする。基礎的社会保障財源基盤を強化するとともに、負担の公平化を図るため、消費税福祉目的税に改め、基礎年金高齢者医療介護等の経費の財源に充てるということを合意いたしております。  この合意は、これまで個別に議論され、大変あいまいだった将来の社会保障負担につきまして、国としての負担の範囲が明確になりまして、国民の将来への不安を解消する第一歩となり得ると思いますけれども大臣はどのように評価をされておりますのか、御所見を伺います。
  38. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 ただいま青山委員から御指摘がございましたように、三党合意では、「二〇〇五年を目途に、年金介護、後期高齢者医療を包括した総合的な枠組みを構築する。それに必要な財源の概ね二分の一を公費負担とする。」こうされておるわけでございます。  それで、この年金介護、後期高齢者医療の中では、既に介護については二分の一、こういうことが決定しております。  それから、年金についてはこれから御審議をいただかなければならないわけでございますが、附則の中で二〇〇四年から安定した財源を確保した上で実施する、こういうことが決まっています。  これは全く私的な考え方で恐縮でございますが、私は、年金というのは高齢者の不安を取り除くために一番大事なものであって、かねてから、五年前から、年金の国庫負担を二分の一にすべきだということを申し上げておりました。その当時は賛同者は少なかったんですが、おかげさまで、皆様方大変な御理解によりまして、今回は、附則という形でございますが、二〇〇四年に二分の一にするということになりました。  あと問題は、後期高齢者の問題でございますが、これにつきましては、先ほど申し上げました医療の抜本改革の中で高齢者医療改革という問題が取り上げられております。そういう中でどういうふうに位置づけていくかという大変大きな問題ではないかと思っております。  私は、基本的に、こういったお年寄りの老後の不安をなくすためにも、国民皆さん方が真の豊かさを求めるためにも、やはりこのような三党合意に対しましては高く評価をするものでございます。  ただ、率直に申し上げて、財源もあるものですから、これから国民皆さん方との間でこれをどうしていくかということを十分に議論しながら進めていかなければならない問題だ、こう考えているような次第でございます。
  39. 青山二三

    ○青山(二)委員 これからしっかりと議論していかなければならないと思いますけれども大臣に大いに頑張っていただきたいと思います。  それでは次に、少子対策について伺ってまいります。  我が国の少子高齢化は、諸外国に例を見ないほどの速さで進んでおります。二十一世紀の日本を見据えましたときに、とりわけ少子対策国民的緊急課題でございます。この少子対策の課題として、例えば労働時間の短縮や弾力化、そして育児休業制度の充実、育児サービスの拡充など、仕事と育児を両立できる環境づくりや、子育て家庭に対する経済的な支援の取り組みが重要であると私は考えております。  この仕事と育児を両立できる環境づくりでございますけれども、保育所の待機児童の解消を目的にいたしまして、市町村が幅広い少子対策事業実施するために創設されました総額二千億円の少子対策臨時特例交付金でございますけれども市町村の意欲的な取り組みに対しまして国が特例交付金を支給することで地域の実情に合った事業を創出することができたのではないかと思います。  厚生省は、先月、事業内容の中間まとめをしておりますけれども、今回の交付金の活用で二万九千人の待機児童の解消が図られ、入所定員の弾力化などとあわせまして、平成十三年度末までにほぼ待機児童の解消が達成できるとの見通しを出しております。そこで、現在までの交付金の効果等について伺っておきたいと思います。
  40. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 この少子対策臨時特例交付金というのは、与党三党が中心となって、二千億円でございますが、まとめさせていただきました。  ただいま委員指摘の保育所待機児童の解消を初めとする、地域の実情に応じ、それぞれの市町村がそれぞれの判断でやるということが大変画期的なことではないかと私は思っております。  少子対策の中で私どもが一番力を入れておりますのは、要するに、働く女性の皆さん方が子供を育てながらも働きやすい環境をつくるということが一番大きな問題ではないか、こういう認識に立ちまして、この特例交付金というものを、それぞれの市町村にお任せはしておるわけでございますが、第一回目の当初交付申請を見ますと、事業費一千六百二億円のうち、保育所の施設設備の整備を初めとする施設の整備関係、つまり受け皿の問題が大変多くを占めておるわけでございます。  現在、待機児童というのが、いろいろな見方もございますが、三万人強おります。先ほど先生から御指摘がございましたように、今回このような交付決定を行った市町村については、こうした事業の効果によって、三年間かけてでございますが、二万九千人の保育所入所待機児童の解消というものが見込まれる、こういうことでございます。  その後、率直に申し上げて、待機児童もこれからまたふえてくるわけでございますから、それぞれの市町村が、保育所の定員なんかの弾力化、こういうものをふやす、こういうことを考えまして、遅くとも平成十五年までにいわゆる待機児童の解消がおおむね図られる、こういうことを私どもは見込んでおるような次第でございます。
  41. 青山二三

    ○青山(二)委員 特例交付金が一定の効果を出したということの認識でよろしいのかと思います。  それでは次に、子育て世帯への経済的支援の一環といたしまして、我が党が従来から主張いたしております児童手当の拡充についてお伺いをいたします。  児童手当の拡充は長い目で見た政策でございまして、もちろんこれだけが子育て支援対策ではございませんけれども、限られた予算の中でそれをどう使うかはプライオリティーの問題でございまして、緊急性の高いものには現金給付も選択肢の一つであると考えております。  子育て支援を実効あるものにしていくために、児童手当の支給要件である所得制限の撤廃、そして支給額や支給年齢の大幅な改善が不可欠でございまして、結果としてこれが有効な手だてとなるのであれば決断すべきであると思っております。児童手当の拡充につきましては、大臣、どのようにお考えでございましょうか。
  42. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 児童手当につきましては、与党三党間で、所得課税の諸控除などをあわせて検討する、こういうような方針を確認いたしております。厚生省といたしましても、年末の予算編成に向けて、総合的な少子対策の中で与党間の協議を踏まえながら適切に対処していく、こう考えているような次第でございます。  それで、現在の児童手当制度というのは、全体の給付費が千七百八十億円、これは平成十一年度でございますが、このうち事業主の拠出金が三分の二を占めており、私といたしましては、少子対策の重要な柱として位置づけるならば、国、地方というものがもっと責任を負うべきではないかな、こういう感じもしますが、具体的には膨大なお金がかかるということが一つの問題でございます。  それから、少子対策の中で、これは正直に申し上げて私にとっても非常に悩ましいところでございますが、一部に、この間もある新聞の論説を読んでいたら、要するにこれはばらまき福祉だと。児童手当をふやすことによって効果があるかどうかというと非常に疑問がありますものですから、もし先生の御意見があるならば聞かせていただければ大変ありがたいと思います。
  43. 青山二三

    ○青山(二)委員 ある新聞ではばらまきに当たるというお言葉を使って、大臣がそのようなお考えがあるかに受け取られましたけれども、私は、決してこれはばらまき福祉ではないと思っております。  と申しますのは、情けないことに、我が国の児童手当は、前回も質問いたしましたけれども、三歳未満ということで、まるで乳幼児手当、こう書いてほしいほどのささやかな手当でございます。  そして、諸外国における児童手当がどのようなものかと調べてみましたところ、イギリスやドイツ、フランス、スウェーデンなど、支給対象年齢は十六歳から十八歳未満となっております。支給月額は八千円から二万五千円。そして、イギリスやスウェーデンでは所得制限はございません。  こうした先進国が大変少子化に悩んで、その一つの手だてとして現金を支給して、そして安心して子供を育てていただこうということで成功した例がヨーロッパ各国で見られますので、私は、日本もこれを見習うことによって実効が上がるものと確信をいたしております。ですから、決してばらまきなどというのは当たっていないと考えております。
  44. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 私自身、児童手当を拡充しなければならないという基本的な考え方を持っております。ただ、一部にそういうような声がある。これに対して私ども政治家としてどうこたえていくかということで、あえて先生の識見を、お話をお聞きしたのだということをまず御理解いただきたいと思います。  それで、児童手当を含めました少子対策でございますけれども、閣僚会議におきます少子対策基本方針の策定作業や、それから連立与党間の協議を見守りながら、十一年度で終了いたします緊急保育対策等五か年事業の後を受けた新たな総合的な少子化プラン、私どもは十二年度から十六年度までの五カ年間を想定いたしておりますけれども、こういうような検討作業とあわせて、いずれにいたしましても児童手当の問題について結論を出していきたい、こう考えているような次第でございます。
  45. 青山二三

    ○青山(二)委員 大臣ばらまき福祉だとは思っていないというお答えで、私は安心いたしました。  ともかく、このようにヨーロッパが大変少子化に苦しんで、そして成功した例を我が国も見習ったらどうか、こういうことで御要望申し上げる次第でございます。  それでは次に、子育て家庭の経済的な負担を軽減するためにぜひ取り上げていただきたいのが、乳幼児の医療費の無料化でございます。私は、大臣がかわりますごとに、この問題はなかなか厳しいとは思いますけれども、毎回取り上げさせていただいておりますので、今回も厚生大臣にお伺いをしていきたいと思います。  平成九年の健康保険法の改正の際に、「就学前児童の一部負担について、少子対策観点及び地方公共団体における単独事業の実情も踏まえ、その軽減を検討すること。」という附帯決議が実はなされているわけでございますけれども、今日まで何の前進もございません。原則として受診者に一定の負担をしていただくのが医療保険制度の基本である、国としては難病、障害、未熟児などの必要な児童に重点的に公費負担をしている、こういうことで何度も御答弁をいただいておりまして、それは十分承知をいたしております。  しかし、子育て家庭の現状を考えましたときに、極めて過重な経済負担を強いられておりまして、重点的な公費負担というだけでは不十分であると思っております。財政的な制約がある中での厳しさは本当にわかりますけれども、ぜひとも乳幼児の医療費の無料化について具体的に検討していただきたいと思うわけでございますが、大臣、御所見はいかがでしょうか。
  46. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 もう五、六年ぐらい前ですか、私、前も厚生大臣をさせていただいておりましたときにこの問題で御質問を受けたことを鮮明に記憶いたしております。  私は、率直に申し上げて、医療費というものは、当然のことながら、医療を受ける者と受けない者との均衡、こういう中で医療のサービスを受ける方に一定の御負担をいただくというのが大原則である、こういうことでございます。  それで、今委員からも御指摘がございましたように、そういう中で、難病の子供であるとか未熟児であるとかあるいは障害児といった特に手厚い援護が必要な児童の疾病につきましては、いわゆる公費の負担実施している、こういうことなんです。先生指摘のとおり、それぞれの市町村で上乗せでやっていることも私も十分承知しておりますけれども、私は、この問題については率直に申し上げて先生考え方が異なります。  やはり医療制度全体ということを考えますと、先ほどから話も出ておりますように、各保険者大変厳しい状況下にあるわけでございます。私は、医療保険制度全体の中で国として新たな特別対策はむしろ考えるべきではない、こう考えております。こういうことによって家計が大変影響があるとか低所得者負担が重いということであるならば、医療制度とは別な観点から考えるべきであって、この基本的な原則を崩せば、医療保険制度そのもの、私どもが世界に冠たる皆保険制度が崩れるのではないか、私は個人的にもそういう考え方を持っております。  大変申しわけなく思っておりますが、この点につきましては先生意見が異なるものでございます。
  47. 青山二三

    ○青山(二)委員 今まで野党でございましたときにはいろいろと意見が異なっていましたので、今すぐ同じ意見だという御答弁大変難しいと思いますけれども、地方が一生懸命取り組んでおりますので、何らかの形で実現をさせていきたいという私の強い気持ちがあることを御承知いただければ幸いでございます。  それでは、政務次官に御質問してみたいと思います。  先日のこの委員会におきまして、ごあいさつの中で、仕事と子育てを両立されたということで大変御苦労されたという言葉が一言出てまいりましたけれども、本当に、その当時と比べますと、子育て支援対策も随分進んではまいりました。しかしながら、まだまだ不十分なものもあります。また、より一層の支援が必要であるものもございますけれども政務次官自身の体験を踏まえまして、今、少子対策、子育て支援にどういうことが本当に大切なのか、御意見を伺いたいと思います。
  48. 大野由利子

    ○大野(由)政務次官 近年の少子化の進行にはさまざまな要因がある、このように思っております。いずれにいたしましても、女性の子育てに対する負担感を減らしていかなければいけない、また、仕事と育児の両立に大変負担感があるわけでございますが、これを減らしていかなければいけない、そして、家庭や子育てに希望が持てる、そういう環境をつくっていかなければいけないのではないか、このように思っております。  そのための具体策として、まずやはり保育所でございますが、多様な保育サービスの充実、今いろいろこの努力がなされているわけでございます。私も二人の子供を一歳のときから保育所に預けて、六時までに迎えに行くために大変な苦労をしたのを覚えておりますが、延長保育を初めとした多様な保育サービスだとか、また雇用環境の整備が必要だと思います。  それからまた、子育て支援のための経済的な支援も必要であろう。貧乏人の子だくさんという言葉がございますが、二人、三人、子供を育てたらすっかり貧乏になってしまうというようなことがあれば、今の若い人は子供をたくさん産もうなどという気にならないわけでございますので、経済的な支援も必要だろう、こう思います。  それから、子供を取り巻く環境、子供の人権を守る、こういった意味で、児童虐待の防止等々、子供を取り巻く環境というものを整備していく必要がある、こう思っております。  そしてまた、官民挙げての取り組みの基本を整備するために、与党三党における議論を踏まえながら、少子対策推進関係閣僚会議において政府一体となった少子対策推進のための基本方針を年末までに策定をする、こういう予定であります。
  49. 青山二三

    ○青山(二)委員 大変ありがとうございました。  それでは、時間が来てしまいましたので、最後に、どうしても残しておけない質問がございますので、手短に質問させていただきまして終わらせていただきたいと思います。  これは公的臍帯血バンクの支援についてでございますけれども、日本臍帯血バンクネットワークが八月十一日に設立されまして、多くの国民の協力を得た善意の結晶であると思っております。  それで、臍帯血移植の費用を見てみますと、一個の臍帯血の保存、そして維持費を含めますと、百二十万もかかるということも聞いております。しかしながら、公的臍帯血バンクに対する国庫補助は年間四億円しかございません。今後の臍帯血バンクの運営にも大きな支障が生ずるのではないかと心配をしているところでございます。そして、患者に負担をかけないために、移植される臍帯血を利用される方に利用料への医療保険の適用が不可欠であるとも考えております。何とか医療保険の適用をしていただきたい。過日も、ボランティアの会長さんと大臣のところに申し入れをいたしまして、本当に切なる願いでございます。  保険の適用と、それから五年間で二万個という目標でございましたけれども、これは四年間で二万個、このように短縮していただいております。何とかもう少し縮めていただいて三年にならないか、そういう申し入れでございましたので、この二点についてお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  50. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 まず、公明党の女性議員の皆様方中心にいたしまして、この臍帯血移植の問題に大変御熱心に取り組んでいらっしゃいますことに対しまして、心から敬意を表する次第であります。  この移植の問題でございますが、平成十年の四月の診療報酬改定におきまして保険適用になりました。また、平成十一年度の予算におきまして、臍帯血バンクに対する補助を計上させていただいているところでございます。  この臍帯血バンクの運営費用は、問題は、今御指摘保険適用しろということでございますが、医療保険としての支払いになじむものかどうかという視点から検討しなければならない、私はこう考えております。大勢の皆さん方がこのバンクに御協力をいただいておりますけれども、実際問題としてまだまだ利用されるのはごくわずかということは、先生もう御承知のことと思います。  先般、私の地元茨城県で、東海村で放射能による事故がございました。そのときも臍帯血移植というのが初めて行われまして、極めて重要な役割を果たしてきたな、こういうことで私も大変高く評価をいたしておるわけでございます。  こうしたことを踏まえまして、厚生省といたしましては、いずれにいたしましても、これを直ちに保険というわけにはいかないと思いますけれども、育成する方向で前向きに検討していきたい、こう考えております。  それからもう一点でございますが、臍帯血の収集の目標を四年から三年に短縮すべきだ、こういうことでございますが、早ければ早いにこしたことはないわけでございますけれども、安全で質の高い臍帯血を早急に確保するということから、医療機関に十分に御協力いただかなければならないわけでございますし、また国民立場に立って安全ということも十分に配慮しなければならない、こういうことでございます。  いずれにいたしましても、これを実際問題として処理する能力に限界があるということも紛れもない事実でございます。現時点では、いろいろ現場の方々に聞いてみますと、実際問題として五年でやるのも大変なんだから、これを一年短縮するのは大変なことだということもお聞きしておりますけれども、十分に先生の今の御質問の趣旨を踏まえまして、さらに短縮できるような方向で最善の努力をしていきたい、このように考えているような次第であります。
  51. 青山二三

    ○青山(二)委員 大変ありがとうございました。  これで終わらせていただきます。
  52. 江口一雄

    江口委員長 吉田幸弘君。
  53. 吉田幸弘

    ○吉田(幸)委員 自由党の吉田幸弘でございます。  本日は、私、社会保障制度、そして医療保険に関して丹羽厚生大臣にお伺いをしたいと思っております。  最近、少子高齢化が急速に進んでいることから、二十一世紀は人口構造が極めて大きく変化をするわけであります。同時に、社会保障に要する費用も極めて増大を続けているわけでありますが、御承知のように、近年、経済はいささか元気がございません。社会保障をめぐる改革の必要性が強くなっている中で、基本的な考えはいかがなものか。これは医療年金福祉介護、すべての社会保障に共通した太い概念というか、基本的な考えをまず大臣にお伺いをしたいと思います。
  54. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 医療年金福祉介護、こういったような我が国の社会保障制度につきまして、まず基本的には個人の自立を原則にしながら、同時に、個人だけではどうしても対応しがたい不測の事態が起こる可能性もあるわけでございますので、お互いに助け合うんだ、つまり社会的な連帯ということが必要ではないか、そういうような基本的な考え方に立ちまして、真に必要な給付サービスというものをきちんとしなければならない。それと同時に、給付負担のバランス、あるいは、先ほども申し上げましたけれども少子高齢化社会を迎えて世代間の公平も配慮しなければならない。最近は若い人たち負担が過重になっているのではないか、こういうような御指摘もあるわけでございます。  こういう中でこういう問題を十分に考慮しながら、私どもといたしましては、基本的には自己負担、それから保険料、当然のことながらこれだけでは過重な負担になりますので、先ほどから話が出ておりますけれども、公費の負担、こういうふうな投入をすることによって、基本的な考え方に基づいて、いわゆる社会保険方式と呼んでおりますけれども、そういう中によって運営をしていくべきだ、こう考えているような次第であります。  吉田委員、まだまだお若い年代でございます。要するに、これからどんどん少子高齢化社会ということで、今は六人で一人を支え合っている、こういう図式でございますが、これが二〇二五年には国民四人で一人を支え合っていくんだ、こういうような世界にも例を見ない超高齢化社会というものが、今そういう高齢化の波が足音を立ててやってきておるわけでございます。そういう中において、先ほどから私お話を申し上げておりますように、国民保険制度、皆年金制度、そしてこれからは寝たきりのお年寄りの皆さん方を、本当に家族介護では過重な負担になってきて、いわゆる介護地獄という言葉もあるぐらいだから、みんなで支え合っていこうじゃないか、こういうことで来年の四月からスタートするわけでございますので、こういうものをきちんと私ども国民皆さん方理解をいただきながら定着をさせていく。そして、私が先ほどから申し上げておりますような、真の意味で豊かさを求めて社会保障の充実を進めていくことが大変重要な課題である、このように考えているような次第であります。
  55. 吉田幸弘

    ○吉田(幸)委員 今の大臣の御答弁の中で、個人の自立という言葉がございました。個人の自立というのが今回初めて出るようであれば、今までは個人は自立していなかったのか。自己負担あるいは保険料、このバランスということで、個人の自立というのが私にとっては非常に気になる言葉なわけです。  ちょうど私が生まれた三十六年、国民保険制度が広く普及したということで承知しておるんですが、財源ありき——今財源が非常に厳しい中で個人の自立を求めるのか、新しい世紀に向かって人間本来が個人の自立をしていかなきゃならないのか、このことで私も少し考えるところがあるわけであります。  このことについての質問は差し控えますが、とにかく個人の自立というのは極めて私にとっては重要なことだ。若い世代ということもおっしゃっていただいたわけですから、このことについては十分理解を示しつつ、疑問を持ったまま今後の検討課題にさせていただきたいと思います。  次に……(発言する者あり)今先輩議員の方からも極めて大事なことという御意見をいただいたわけですが、さらに細かな部分に進めさせていただきます。  疾病構造も大きく変化をしているということに注目しなければなりません。人口構造が大きく変わり、また疾病構造も大きな変化がある。そして、急性疾患よりも慢性疾患が質も量も極めて多くなっているような気がいたします。  医療保険で現在給付されているサービスを見ると、例えば東洋医学の範囲、これらは十分な配慮がなされていない、このように考えるわけでありますが、実際、この保険適用に際してどのようなお考え大臣は今後検討を進めていかれるのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  56. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 まず、個人の自立の問題について私なりの考え方を申し上げさせていただきますならば、これは要するに、それぞれ国民皆さん方がやはり自分の健康は自分で管理をする、こういうことが大事であって、そして、基本的には社会保障というのは国民生活の安定を図って安心をもたらすセーフティーネットだ、こういうような役割を果たすべきだ。  そういう中で、厚生省としても、健康日本21というのを今度始めます。そういう中で具体的メニューを示して、とにかく国民皆さん方が本当に元気で生き生きとした生活を送ることができるようなものを目指すことが私どもの目的である。そういう中で今申し上げたようなセーフティーネットとして社会保障というものを考えていくべきだということで申し上げたわけでございますので、十分に御理解をいただきたいと思っております。  それから、第二点の国民のニーズの問題でございます。  これは実際問題として、時代とともに年々多様化してまいりますし、こういう中において、私どもとしては、真に国民皆さん方が求めるものにこたえていくべきではないか、こう考えております。  ただ、率直に申し上げまして、例えば医療資源の場合には、先ほどからお話がございましたように、医療資源そのものに非常に限りがあるということで、国民皆さん方に御理解をいただきながら、これからどうやって医療改革を進めて将来に向けて安心して健康な生活を送ることができるのか、あるいは病気になった方に対してきちんとした皆保険制度を堅持していくかということが大変重要なことだということを申し上げたわけでございます。  いずれにいたしましても、そういう中で限りある医療資源を重点的に、効率的に活用するということが私は一番大切なことではないか、こう考えております。
  57. 吉田幸弘

    ○吉田(幸)委員 健康日本21ということを大臣触れられたわけですが、私は、この健康日本21という政策は、治療よりも予防に重点を置いた政策ではないかというふうに認識をしているわけであります。すると、我が国の医療制度考え方は、予防行為も含めて面倒を見るというようなことで、私は今の御答弁から期待を持って多くの国民の皆さんに御報告をさせていただけるわけであります。予防に関して話をいろいろ、予防というかいわゆる未病状態、病気の一歩手前のときに対処をしなければならない、こういうふうに私は医療界にいた一人として強く考えるわけであります。大臣にもそのことをお願いさせていただきたいと思います。  またさらに質問を進めさせていただきますが、医療技術というのはいろいろな研究機関で本当に極めて急速なスピードで進められているわけであります。新しい治療法が医科においても歯科においてもこのところ発表をされているわけであります。また、それに伴って研究結果も国民が先行して知るまでになっていることは少なくありません。  例えばかみ合わせとか、よくかむことによって全身に及ぼす影響——この間私も日本歯科医師会のテレビを見ておりましたら、北海道の平井教授がお話をされていた中で、お年寄りがしっかりとした入れ歯を入れて、かみ合わせをしっかりと維持していたのであれば例えば反射神経がよくなる、このことは交通事故に遭わなくなる可能性がある。遭わないということはやはり研究者として述べられませんでしたけれども、しっかりとかみ合わせを維持することによって意識障害というのも少なくなってくるし、運動神経も向上する、神経の伝達速度も上がるのだ、要は運動神経がアップするというような報告もあるわけであります。このようないろいろな新しい発見がある。  特に今申し上げた二点、かみ合わせとかいい入れ歯をつくったりするというようなことは、お年寄りにとってはQOLを高める極めて有効な手段ではないかというふうに私自身考えるわけであります。  来年の四月に行われます今回の診療報酬の改定について、今私が申し上げたお年寄りに対しての歯科領域、歯科医療の重要性を十分考慮した歯科への配分についてのお考え大臣に伺いたいと思います。
  58. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 まず御理解をいただきたいのは、私は、予防、生活改善、こういうものは大変重要なことだ、こう考えております。しかし、それと、これを医療保険の中でやるというのは別な次元の話である。先ほどから申し上げましたように、要するに医療保険なり社会保障制度というのはセーフティーネットとしてあるのだ、しかし、私どもは、これからはもっともっと予防であるとか今申し上げたような問題について日ごろから力を入れていかなければならない、こういう認識で申し上げたわけでございます。  それから、私がちょっと不勉強で、歯のかみ合わせの問題ですか、こういう問題についてまだまだ十分に、専門的な分野でございますので、正直申し上げてよく理解していない面もあるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、お年寄りの皆さん方が安心して健康な状態で過ごせるような措置というものは十分に配慮しなければならないわけでございますが、先ほどから申し上げておりますような保険の中の問題ではないのだということをまず御理解いただきたい。  それから、今お話がございましたような診療報酬の問題につきましては、現在中医協で審議が行われている問題でございまして、私から個々の問題について申し上げることは適当でないということで差し控えさせていただきます。
  59. 吉田幸弘

    ○吉田(幸)委員 次に、今少し触れさせていただいた義歯、入れ歯、歯科技工物の問題について触れさせていただきたいと思います。  歯科の技工物が今海外でつくられている。中国であったりフィリピンであったり、そういうところでつくられているというような報告がございます。聞くところによると、歯科技工のシェアの五%にも達するのではないか。正確なデータがなかなかとれないのですが、そのことが今極めて問題である。これは、私自身、特に専門の分野でしたので気にかけている点でございます。  これは、歯科技工士がそれなりの資格と技術を持って、また、材料に対してもきちっと国内で管理がなされて初めて患者さんの口腔内へ装着をして機能を果たすものである、このように私は考えるわけですが、これが海外へ流出をして、そしてそれをだれがつくっているのか不明確な状態、また材料においても国内での基準を満たしているのかどうかわからない状態でその技工物をつくるというのは極めて問題であるというふうに私自身考えております。  どうかこの点について厚生省の方もしっかりと注意を払って、また、それが果たして合法なのか違法なのか、このことを明確に、しかも早急に対応していただかないと、たかが銀歯じゃないかとか金歯じゃないか、このような考えは極めて間違っておりまして、その材料においては金属アレルギーを引き起こしたり、またかみ合わせが十分なされていなければ、最近若い人たちに多く見られます顎関節症というあごの病気を引き起こしたり、こういうことが多く発生するというふうに私自身考えております。この点について御見解をお知らせいただきたいと思います。
  60. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 まず、義歯などの歯科補綴物につきましては、一般的には歯科医師の指示を受けて歯科技工士が製作したものが歯科治療に使用されておる、先生御専門でありますが。歯科医師が直接海外から歯科補綴物を輸入し、これを歯科治療に使用することは認められている、こういうことであります。  歯科医師が海外から輸入した歯科補綴物につきましては、歯科医師の責任において歯科治療に使用されているものでありまして、品質並びに安全性については問題はない、こう認識しておりますけれども、今先生が御懸念のような話もございますので、その実態について十分に把握し、検討していく必要がある、こう考えております。
  61. 吉田幸弘

    ○吉田(幸)委員 歯科医師の裁量権というものについて、今極めて大きいというか、歯科医師がそれを行うのであれば問題はない、これは私自身承知はしております。  ただ、歯科医師が技工所もしくは技工士に発注をした際に、その技工所があるいは技工士が海外に出していることを歯科医師に伝えていなかった場合、これは明らかに違法であり、要は歯科医師がそのことを承知しないまま、国内でつくっているものだと思ったまま口腔内に入れるというのは、私自身は、違法であり、取り締まらなければならないというふうに考えております。  このことについては、歯科医師会及び歯科技工士会、両団体の先生方とも私も調整をさせていただきます。大臣の方もしっかりとその点については、先ほど申し述べましたアレルギーの問題とか顎関節症の問題がございますので、早急な対応をしていただくことをお願いしたいと思います。  そろそろ時間も迫ってきましたので、次の質問に入らせていただきます。  先ほど大臣消費税は主力であるというふうにお述べになったと思います、これは介護の問題に対してなんですが。もう一度、最初の問題と類似をするかもしれませんが、財源の問題についてお伺いをしたい。  最近、高齢化社会少子高齢化社会という言葉は国民の間に広く伝わっていると私自身は思っております。ただ、この言葉によって、お年を召した方、お年寄りの方々は、大変な時代がやってきたんだなというふうに理解はしているとは思うのですが、若い人たち、若い世代に何となく大変さが伝わってきていないような気がいたします。いわゆる若年者高負担時代、そうならないように願うわけですけれども、この若い人たちに対して説明がまだ不十分ではないか、このように考えるわけです。この点について大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  62. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先ほどもちょっと触れましたことにつきまして、重複することをお許しいただきたいと思いますが、要するに、これから少子高齢化社会がどんどん進んでいく、今六人で一人を支えておりますけれども、これが四人に一人になるんだ。こういう中で、現役世代の負担大変増大するんだ、こういうことでありまして、私どもは、医療改革にしても、これからお願いを申し上げる年金改革にしても、できるだけ後代の若い人たちのことを十分に配慮しながら改革というものを進めていかなければならない、こう考えております。  特に、これまでお年寄りというのは、どちらかというと、戦前、戦中、戦後、我が国のために大変汗を流してくださった功労者である。お年寄りは社会的弱者であり、また、ある種社会保障の面において一律的に経済的な弱者だ。こういうようなとらえ方をして、例えば医療負担でございますが、国民年金を二万円、三万円しかもらっていらっしゃらない方も、あるいは自営業者であるとか会社の役員であるとか、七十歳を過ぎても一千万円も二千万円ももらっていらっしゃる方も、一回五百三十円で、二回目も五百三十円、三回目も五百三十円、四回目も五百三十円、五回からはただだ、こういうことでございまして、果たしてこれから少子高齢化社会の中でこういう措置をとり続けることが適切なのかどうか、こういうこともぜひとも御議論をいただきたい、このように考えているような次第であります。  要するに、なかなか難しい問題でございますし、この介護保険の問題でも、お年寄りの皆さん方から十分な御理解をいただけるよう我々は努力しなければならないと思いますけれども、こういった若年世代の負担の問題、あるいは高齢者負担の問題、こういう問題を考え直す時期に来ているのではないか、こう考えているような次第であります。
  63. 吉田幸弘

    ○吉田(幸)委員 若年者の負担ということを今大臣おっしゃっていただいたわけであります。  私、自由党の議員でありまして、質問に立てば当然のことながら消費税財源にというふうに言うわけでございますが、私が思うのは、ともかく、若い世代に極めて大きな負担が今後かかってくるんですよというような説明がまだ十分ではない、このことを強く申し上げ、そのことに対する政府としてのPR活動、また私も地元において若い人たちにこのことを申し上げ、お年寄りは先ほど言われた功労者である、この方々に対しての社会保障というのは堅持していかなきゃならない、したがって、若い人たち負担というのが高くなるんですよ、もう少しそのことに対して真剣に考えていただきたい、このように地元では、また広くいろいろな会合ではお話をさせていただいているわけであります。  まずは若い人たちに対しての理解、また、この国の現状をとにかくしっかりと広めていただくことをお願いを申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  64. 江口一雄

    江口委員長 次回は、明十日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五十六分散会