○小野
委員 この点は、類似の問題として
考えますと、自動車を
運転する人が、決してレースをやるわけじゃないから非常に高度の
運転テクニックだとかメカニックな知識を持たなくても、最低限自動車を
運転するに必要な
技術的な知識ないしは交通法規等のソフト的な面における知識、こういうものを習得しないと路上に出ていけない。これと同じように、やはり他人に危害を及ぼす可能性のあるものを扱う部署については、この人が扱うのだから一定の基礎知識を持っていて基本的な安全が確保されていますよということを示しておくというのは、ある
意味で当然のことだろうと思うのですね。
ですから、今までの
原子力行政の中で
放射性物質という危険なものを扱うということに対する認識が少し甘い
部分があったということは厳しく御指摘をさせていただいて、先ほど吉川先生のところでの検討会でもこの提言が出ているということでございますから、ぜひこの御検討を進めていただきますように要望をさせていただきたいと思います。
それから、第二原則に移らせていただきたいと思うのでございます。
この第二原則で提起をさせていただきました基本的な
考え方は、
原子力というものが非常に巨大で複雑なシステムであるということを前提に、どのような管理システムを構築することが最も安全を担保できるものになり得るのかという観点に立ちましたときに、その全プロセス、つまり計画
段階から建設、運用、廃棄、また枝葉がいろいろとその周りにくっついてくるわけでありますが、その全プロセスに一貫する基本思想というのがやはり必要だろう。そしてまたその基本的なルールというものも必要なのだと。
だから、他の分野にいた人が
事故が起こったからといってそこに駆けつけた場合でも、ある一定の理解というものは十分得た上で対応ができる。全く全部システムが違って、保安基準も違って、何もかもばらばらだということになると、その部署にいる人しか、一たん事があった場合に対応ができない。こういうシステムではこれだけの巨大システムを維持管理する上に問題があるのではないか、こんな
考え方のもとに提起をさせていただいたものでございます。
しかしながら、現実の姿をこれまで拝見をさせていただいてまいりますと、やはり
事故が起こるたび、
トラブルが起こるたびにやってきたのは、枝葉における
トラブル解決を図ろうというような姿勢でありまして、これを積み上げていったがゆえに、進めば進むほど、その内容は精緻複雑なものになっていって、緊急時にはなかなか役に立ちがたいものになってしまった、こういう印象があるのでございます。枝葉の
部分というのは目に見える
部分でございますから、対応も非常にしやすいでしょう。しかしながら、それらを統合するしっかりした幹を太らせるということの方が実は大事であり、より大きなエネルギーを要する
部分であるということを改めて我々は認識しなければいけないのではないでしょうか。
振り返りますと、
日本の
原子力というものはおおむね外国から基本的なものを導入して始まった
作業であります。ですから、細かな
技術面については、例えばどういう材料を使うだとかシステムを少し改良するとか、こういうふうな
技術は随分この
日本の国の中で生み出されたものがございましょうし、蓄積も見ているのでありますが、
原子力システムというものの管理をどのように行っていくかというような根幹
部分については輸入したものをそのまま入れて使ってきたというようなところが、この管理問題に対する皆さんの関心の薄さであり、またその
部分における蓄積の少なさというものにつながってきているような気持ちがしてならないのであります。
先ほど
斉藤政務次官の方から、
現場の人も、マニュアルというようなものだけでなくて、もっといろいろなものを感じ取るような
従業員にならなければいけないというような指摘をいただきました。細かなマニュアルを積み上げるということも、これは
現場の
作業上は必要でありますが、安全管理という
意味では、それに加えてやはり一貫した基本思想とルールというものが確立をされ、それが広く皆さんに周知徹底しているという状況が必要だと
考えているわけでありますが、細田次官、この点についてはどのような対応をお
考えでございましょうか。