○
寺前委員 山陽新幹線コンクリート問題についてお聞きをしたいと
思います。
運輸行政の中で最大の使命は、安全をしっかり確保することだ、これは
運輸大臣からの
お話にもありました。交通
機関の中で最も近代的で、
事故は絶対に起こらないだろう、そういう安全神話ともいうべき事態にあった一つに
新幹線が昔からありました。ところが、
事故が相次いで起こるどころか、安全だと宣言をしてまた
事故が起こる、いよいよ不信の念は広がっております。とりわけ
山陽新幹線の
コンクリート落下
事故は、
国民、
利用者に大きな不安を抱かせています。
こうした事態に対し、いち早く私も現地に出向いて、満身創痍の
山陽新幹線コンクリート対策について、
政府、
運輸省にも申し入れをやりましたし、いろいろな指摘をやってきました。
特に、六月の
福岡トンネル事故後に、JRが
点検結果に基づいて
安全宣言を出す。しかし、私みたいな素人でも、待てよという感じを受けました。
コールドジョイント周辺だけに目を向けておっていいんだろうか、いや、もう
コンクリートの事態はただごとでない、
トンネル、
高架橋の打
音検査を含めた全面的
点検に入らなかったら、寿命の問題もこれは重大だぞ、とすると、列車をとめてまで考えるという
対策をしなければいかぬのじゃないだろうか、これは新しい
運輸大臣にも
お話をしたところです。
ところが、指摘は、ますます実感を伴うような形でだんだん広がってきていると言わなければならないと思うんです。
そこで、きょうは、私は今三つの不安を持っていますので、三つの不安について聞きたいと思うんです。
一つの不安というのは、今の総
点検をおやりになっているこのやり方、果たして安全を確保するような
点検のやり方と言えるんだろうか、
点検あって
点検なしということにならないだろうか、この不安が一つの問題です。
もう一つは、その
点検に総動員をかけておられる。いろいろな分野の人たちが大量に
点検の仕事にお入りいただいて御苦労をかけていますけれ
ども、さて、その人たちは安全な姿で仕事をおやりになっているだろうか、急ぐ余りに結果として大変なことがまた次に起こってくるんじゃないかという不安を感じます。
三つ目に、五回も警告を出しているのに
安全宣言でどうなんだとこの前の
委員会で問題になりました。
大臣は、どっちもどっちだ、こうおっしゃった。どっちもというのは、会社のこともそうだし、何回も警告書を出すという
運輸省の行政の側も問題やないかと。そうです。私は、監督をして、そして運輸行政を進めておられる
政府の側に対する不安をやはり持たざるを得ない。
この三つの問題を、監督責任を含めて、感ずるものです。
そこで、第一番目の不安の問題は、現地で大量の人が
作業をしておられますが、その大量の人というのは、この間現地へ行きましたときに資料をいただきました。
施設関係で千百六十九名。当社社員三百七十九人、JR東日本、東海、四国、九州それぞれのところから応援も出していただき、グループ会社など六百人、コンサル六十人。電気関係を入れると千九百十五人になる。延べ人員は四万九千人だ。こうやって資料をいただきました。それから、必要な保守用
車両、一日当たり何ぼ動くんだ、二百四十一台だ。モーターカーが六十七台、トロが百三十九台、諸車が三十五台。だから、そういう総
点検をやろうとすると、それにふさわしい施設が関係してくる。電気関係のモーターカー二十八台を入れると二百六十九台。延べ台数にして一万二千六百四十台だ。これだけのものを動かしていこうと思ったら、よほど管理をよくしないと大変なことになるなという感じを持たざるを得ないわけです。
そこで、この仕事をやっている人たちの問題、どうなっているだろうか。私は、地方にあるところの労働組合の
新聞で何か書いておられることはないだろうかと見ておると、こういう
新聞記事がありました。
たった三十分の
説明で、全員が未経験者、私たちが
トンネルたたいてわかるものだろうかという不安を抱きながら当日を迎えた、
作業開始
現場で、実際の
点検の見本や打音の違いなどの一切の手本も示されずにすぐ
作業を開始した、ここに書いてあるのです。
また、私のところに次のような内容の手紙が来ました。
私たち
在来線保線屋には
コンクリート打
音検査というものはありません、
新幹線保線での指示も、たたいて異音を感じたらマークして、記録係に知らせるという簡単なもので、その
作業法、打音の感覚や判断も個人によって違うと思う、それで
検査済みにするという事態に私は疑問を感ずるという
作業をやっている人の手紙です。いやいや、これはえらいことだ。
始業開始は細かな打
音検査が時間がたつに従って手抜き打
音検査になっていく、鉛筆しか持ったことのない人が長時間もハンマーを持って、しかも立ちっ放しの姿勢での業務では、今日ではもういいかげんにしてほしいと言わざるを得ない、そんな手紙も来ました。
ずぶの素人さんが多く参加して
コンクリートをたたいているその実態。浮きがあるのか、その判断をこの素人の人に任せて
点検をしていくというようなことで、チョークでそこの場所をマークしていく、記録係がそれを記録していくだけで、さて、これでわかるのだろうか。この人たちはどのくらいの強さでたたいておられるのだろう。どんな音がしたら異常なのかということがわからない素人の判断でいいものなんだろうか。私、本当に、この総
点検でいろいろな専門家も入れておられるか知らぬけれ
ども、焦るが余りにこんなやり方でいいのだろうかということを、やっている人の手紙などを通じて感ずるのです。
きょうは
JR西日本の社長さんもお見えですから、社長さん、こんな実態、絶対ないとおっしゃられますか。いかがでしょうか。