運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1999-03-23 第145回国会 参議院 労働・社会政策委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年三月二十三日(火曜日)    午後二時開会     ─────────────    委員異動  三月十七日     辞任         補欠選任      山崎  力君     高橋紀世子君  三月十九日     辞任         補欠選任      大島 慶久君     片山虎之助君      高橋紀世子君     山崎  力君  三月二十三日     辞任         補欠選任      片山虎之助君     大島 慶久君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         吉岡 吉典君     理 事                 田浦  直君                 溝手 顕正君                 川橋 幸子君                 笹野 貞子君                 山崎  力君     委 員                 大島 慶久君                 斉藤 滋宣君                 鈴木 政二君                 中島 眞人君                 山崎 正昭君                 今泉  昭君                 小宮山洋子君                 谷林 正昭君                 但馬 久美君                 山本  保君                 市田 忠義君                 大脇 雅子君                 鶴保 庸介君    国務大臣        労働大臣     甘利  明君    政府委員        労働大臣官房長  野寺 康幸君        労働省労働基準        局長       伊藤 庄平君        労働省職業安定        局長       渡邊  信君        労働省職業能力        開発局長     日比  徹君    事務局側        常任委員会専門        員        山岸 完治君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○雇用能力開発機構法案内閣提出、衆議院送  付)     ─────────────
  2. 吉岡吉典

    委員長吉岡吉典君) ただいまから労働社会政策委員会を開会いたします。  理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 吉岡吉典

    委員長吉岡吉典君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事山崎力君を指名いたします。     ─────────────
  4. 吉岡吉典

    委員長吉岡吉典君) 雇用能力開発機構法案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 谷林正昭

    谷林正昭君 民主党・新緑風会の谷林正昭でございます。先週に続きまして二週連続登板ということになりますので、ぜひよろしくお願いします。  田舎の方では私の質問したことが新聞に取り上げられまして、大臣の答弁が大変真摯であるというような話も出ておりました。また、私の方はちょっと正直過ぎるのではないかというような、そうマスコミにも出ました。しかし、支持者の方からは正直はいいよというまた電話もありましたので、ちょっと青臭いかもわかりませんが、きょう四十五分間、一生懸命やらせていただきますので、よろしくお願いいたします。  まず、この法案につきましては、まさに行政改革の中での閣議決定に基づく内容だというふうに理解をしておりますので、そういう観点で少し、なおかつ、新しい機構ができる、それに対する国民の期待や、あるいはそれに携わる人たち要望あるいはニーズというものが非常に大きなものがあるのではないかな、こういう時代に合ったものにしていかなければならないのではないかなという観点で少し御質問させていただきますので、若干細かくなったり大ざっぱになったりするかもわかりませんが、よろしくお願いいたします。  まず最初に、私の友達がもう二十数年前に結婚したり、あるいは私の後輩が結婚したときに、雇用促進住宅というところへ入りまして、新婚生活や、あるいは子供を育て、そして学校に通わせ、そして頑張って頑張って土地を買って家を建て、こういう方々がたくさん実は周りにおりました。  そういう方々に会ってみたり電話なりしまして、この雇用促進住宅にいたころの感想を聞かせてもらえないかと、こういう話をいたしました。そうしたら、ほとんどの方があのころはよかったと言います。どこがよかったか、こういうふうに聞きましたところ、一つは規律があったと。そしてそこに住んでおいでになる方は大体同じ環境で、そして全員が働いていたと。そして子供ができ、その子供中心にして、公園が必ずありますから、そういうところで少しコミュニケーションができて、そういう雰囲気的といいますか人間成長の上において非常によかったと。あるいは、自治会で掃除をしたり、草むしりをしたり、ごみの出し方を話し合ったり、そういうことがあって非常に規律ある生活ができたと。こういうふうにだれもが言いましたし、非常に懐かしがっておりました。  また、私も子供が小さいときにいこいの村だとかそういう福祉施設の方へ、今までと違った、遊園地の感覚ではなくて、健康的に子供を遊ばせる、こういう感じで利用させていただいたこともありましたし、非常によかったのではないかなというふうに思っております。  そういうこともありまして、昭和三十六年に設立されまして、そして今の事業団があるわけでありますけれども、それをまた新たな時代に合ったものに変えていく、こういうことであると私は思いますので、大臣の方から、この雇用促進事業団の果たしてきた役割、そしてその歴史的な意義、こういうものについて感慨深いものがあろうかと思いますので、ぜひひとつ再編に当たっての所信をもう一度、ここには心を込めて書いてあるんですけれども、読ませていただきましたが、もう一度ちょっと大臣言葉で語っていただけないかなというふうに思います。
  6. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 雇用促進事業団は御指摘のとおり昭和三十六年の七月に設立をされました。約四十年、三十八年前であります。  今回の組織改編と申しますのは、おっしゃいますように、行革の方針に従ってもう一度現在持っている機能を見直して、時代的な役割を果たし終わったものについては民間なり地方行政に任せて、これから担っていく部分をより精査して強化していこうという趣旨であります。  スタートは、御案内のとおり炭鉱離職者の援護でありますとか、労働者技能の習得、それから労働円滑移動ということを中心に立ち上がったと。その後、炭鉱離職者だけではなくて、いわゆる不況産業から生み出される労働者、吐き出されるといいますか、不況産業が支えきれなくなって手放す労働者方々が新しい分野移動をしていく、この支援を行ったと。  まず第一に、地域間移動とか業種間移動をするときの住居の心配をしなくちゃいけないということで、これは新しい居住地居住場所がちゃんと見つかるまで、基本的には暫定的な措置なんですけれども、移動してすぐ住むところが見つからないとこれは大変な生活の拠点でありますから、そのために雇用促進住宅というものを各所に設置してきたということでありますし、それから中小企業というのはどうしても大企業に比べて福祉面で立ちおくれがございますから、中小企業が廉価で利用できるような施設整備ということで、各種福祉施設スポーツ施設を含めてこの充実に努めてきたということであります。  そうした住宅分野とそれから福祉施設分野につきましては、各地方自治体整備をしてきているということ、それからそういった分野地方自治体民間とを含めて対応できる時代になってきたということで、もうこれ以上新設整備をしていく必要は、時代的要請はなくなってきたのではないかと。これも行革観点から指摘されてきたところでありますが、そういうところは地方自治体であるとか民間であるとかにお願いをしまして、これからはそれ以外の分野職業能力開発、それから最近では先般成立をしていただきました中小労働力確保法に見られますように、雇用開発分野まで中小企業支援をしていくということになっておりますので、そういう充実すべき分野、新しい分野特化をしていくということで業務分野の見直しをさせていただきまして、新法のもとに新しくスタートをするということになったという次第でございます。
  7. 谷林正昭

    谷林正昭君 そうなりますと、新組織運営というのがこれから大きな課題になってくるというふうに思うのでありますけれども、今ある雇用促進事業団運営につきましても、運営組織というものをつくって、民間も入っていただいたり、いろんな方に入っていただいてやっておるわけでありますけれども、ぜひ私の願いといたしましては、今度の新しい機構につきましてもそういう運営組織お願いできないかな、やるべきではないかなというふうに思っております。ここらあたりどういうお考えなのか、聞かせていただきたいというふうに思います。
  8. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) 現在、雇用促進事業団におきまして、今お話しのように、学識経験者とかあるいは労使の代表の方といった方にお集まりを願いまして運営協議会設置しております。  二十三人今参集をお願いしているようですけれども、平成十年には三回開催をされまして、例えば、新しい事業年度が始まります前に事業計画の御審議をお願いするとか、あるいは新しい予算について御説明をするとか、そういったことで雇用促進事業団事業運営にこういった方の意見を反映するというシステムになっておりまして、今後とも事業透明性確保あるいは効率性確保といったような観点から、新機構におきましてもこういった民間の方の意見を反映するような場をつくるように私どもとしても指導していきたいというふうに思います。
  9. 谷林正昭

    谷林正昭君 よくわかりました。  続きまして具体的に進めさせていただきますが、住宅及び福祉施設の今後の譲渡計画がされておるわけでございますが、今こういう地方財政が逼迫しているときになかなか議論が煮詰まらないと難しいとは思いますけれども、そのプロセスというものは恐らくあると思いますので、譲渡に向けてのプロセスがあればお聞かせいただきたいと思います。
  10. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) 現在、雇用促進住宅は約十四万戸、それから体育館、研修施設等福祉施設は約二千カ所設置をしておるわけでありますけれども、既にこれらにつきましては、平成十年度、今年度から新設はストップしておりますが、新機構におきましてはこれらの新設は行わないこととしております上に、法案におきまして、これらを譲渡する、譲渡事務を行いその間は新機構においてこれを管理するというふうに規定をしているわけであります。  なかなかこの譲渡というのはそうすぐ簡単にいくものとは私ども考えていないわけでありますが、現在、住宅につきましては移転就職者のほかに地域勤労者の方も入居しておられるというような状況、あるいは土地整備等自治体お願いをして提供を受けているというような実情、あるいは福祉施設のほとんどは地方公共団体の有している土地をお借りしてつくっているというようなことから、こういったことを考えますと、地方自治体中心にしてこの譲渡事務を進めるべきであろうというふうに考えております。  法案が成立しました暁には、設置のしてある全自治体に対しまして引き受け等についての意向調査を行いまして、その調査結果に基づいて具体的な譲渡の話を進めるということになると思いますが、その際には複数の鑑定を入れまして有償譲渡になろうかというふうに思います。  なかなか自治体財政が厳しいことも承知をしておりますし、先ほど申しましたように、そうすぐ右から左というわけにはいかないと思いますけれども、自治体におかれて財政状況等も十分考慮された上でこういった話し合いに臨まれるものではないかというふうに考えております。
  11. 谷林正昭

    谷林正昭君 譲渡になったときに、やっぱり将来にわたっては行政改革意義、あるいは本来の意義をぜひ踏まえながらお願いしたいなというふうに思います。  そこで、全部が全部譲渡というのはなかなか時間がかかろうとは思います。一部でありますけれども、ちょっと私の調査したところ、住宅関係でありますけれども、なかなか一〇〇%にはなっていないというふうに見ております。しかし、人気のある場所、あるいは地域によってあいている場所、いろいろあるわけでありますけれども、三DKが一番人気があるというふうに大体聞いております。  ちょっと私の提案でありますけれども、先ほど大臣がおっしゃいましたように、新しい時代に向かって再編だということで、過去の歴史歴史として意義があったということになりますと、今度迎える二十一世紀あるいはその初めあたりはまさに労働移動、あるいは新しい産業への移動、こういうものが、また炭鉱時代とは違った意味での移動があろうかというふうに私は思います。例えば派遣労働で、その地域だけの派遣労働ではないと私は思いますし、県をまたいで派遣されたり、こういう事態も出てくるんではないかなというふうに思います。  そういったときに、一定の枠をそういう人たちのために確保しておくべきではないかなというふうに私は思いますし、全部が全部自治体に渡してしまうと、いざというときにはなかなかそういう活用ができないのではないかなと思いますので、そこらあたり考えがおありになるのかどうか、端的にお聞かせいただきたいと思います。
  12. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) 雇用促進住宅につきましては、移転就職者が入居しておられる割合は約二五%ということになっておりますけれども、この新設をやめるべきではないかといろいろ御指摘を受けたその背景は、先ほど大臣御答弁申し上げましたが、現在におきましては公共団体設置する住宅等も大変ふえてきている、こういったものを背景にしまして、こういった住宅を直接国が設置運営する必要はなくなったのではないか、こういったことで今般住宅新設はもう行わないということにしたわけでございますし、これからは地方自治体等にこれを譲渡していくというふうにしているわけであります。  もちろん譲渡ができますまでは新機構においてこれを管理運営するということですから、その間の新しい入居者というものはあり得るというふうに思いますけれども、将来的に一定の枠を確保してこの設置をする、あるいは存続するということは、先ほど申しましたような理由によりまして今は考えておらないところでございます。  なお、公共住宅等設置も、事業団住宅をつくり始めました昭和三十年代には全国で約九十万ぐらいという状況でございましたが、平成五年には公営や公団の住宅が約三百万戸近く既に現在は設置をされているというような状況でありますから、今後はこういった住居を利用していただくということになるのではないかというふうに考えております。
  13. 谷林正昭

    谷林正昭君 私の考えは、先ほど言いましたように、短期間、例えば半年間の労働移動だとか、こういうものがこれから恐らく出てくるんではないかというふうに思いますので、例えば自治体に全部譲渡してでも、その一部を借り上げるとか、その会社に任せるのではなくて、もちろん料金はもらいますから、そういう枠の確保というものが必要ではないかなというふうに実は思っております。これは将来にわたっての話でありますから、まだまだ議論する余地はあろうかと思いますけれども、一つ提案とさせていただきたいというふうに思います。  次に、私はきょう少し議論を深めたいと思っておりますのは、これからの時代に合った能力開発、こういうものについて、まさに働く人たちをどういうふうに能力を活性化させるか。あるいは一方では、そういう人たちをぜひ欲しいという中小企業皆さん方やあるいはそういう企業皆さん方産業皆さん方、そういう人とマッチングしなかったら余り意味がないんではないかなというふうに思いますので、そこらあたりを少し議論を深めさせていただき、あるいは御質問させていただきたいなというふうに思っております。  まず、新しく計画をされております職業能力開発学校、今二十六ある短期大学再編成しながら、四年制、あるいは二年二年という計画なのか、そこらあたりも含めまして何点かお聞きしたいわけであります。  やはりより高度な技術や能力を身につけていただくということになれば、一つ応募資格というものが非常にポイントになってくるんではないか。単なる高校卒業生を受け入れるということも大事かと思いますけれども、一方では社会に出た人を一定年齢、これは枠をはめればいいのか悪いのかわかりませんけれども、そういう一回社会に出た人ももう一遍そこで能力開発をさせていただきたい、二年間みっちり、四年間みっちり勉強したいと、こういう方々のために応募資格考えがあれば聞かせていただきたいと思います。  訓練内容、こういうものもこれからの非常に重要なポイントになってくるのではないかなというふうに思いますので、抽象的かもわかりませんけれども、それなりの予算を使って新しい訓練機器を取りつけたり、あるいはその地域に合った訓練機器を取りつけたり、そういうものも大事になってくるのではないかなと思いますし、一方では、応募資格関係もあるのですが、夜間大学、夜学といいますか、こういうものも考えられるのではないかなと私は思います。  それともう一つ、四年制と、二年制もそのまま残るとすれば、その四年制と二年制の違い、こういうものも明確に逆に打ち出して、そして地域方々国民皆さんに示していったらよりわかりやすく応募の選定もできるのではないかなというふうに思いますので、その具体的な相違点などもお聞かせいただきたいなというふうに思います。
  14. 日比徹

    政府委員日比徹君) まず最初応募資格関係でございますが、大学校専門課程応用課程がございまして、それぞれ入学試験といいますか、それを行います。  それで、専門課程につきましては従前の短期大学校と同様でございまして、高校を卒業した方、卒業見込みの方、それから高校を出ていない場合でも実務経験等によりまして必要な知識技能を有する人たちということでございます。また応用課程につきましては、専門課程修了者またはこれと同等以上ということで、工科系短期大学などを出た場合、それからさらにそういう学校に行っていない場合でも実務経験等により必要な知識技能を有する方を含めております。なお、年齢制限は設けておりません。  それから、社会人の方との関係でございますが、当然社会人の方も入校可能でございますが、現在のところ在職者に関しましては事業主からの推薦による入学というものも設けておりまして、人数的には少のうございますが、この四月にも在職者推薦入学で入られる方が何人かおられます。  それから訓練内容でございますが、これも専門課程応用課程で異なっておりますが、専門課程につきましては、いろんな訓練科目のことはさておきますと、全体として申し上げられますのは、生産工程管理等を行うことができる程度に高度な内容ということを念頭に置いておりまして、高度で実践的な知識技能を付与するという観点でのカリキュラム等を編成するようにいたしております。また応用課程につきましては、ただいまの専門課程よりさらに高度ということで、念頭にあります技能労働者の像といたしましては、製品等生産工程の構築、合理化などを行うことができる、そういうレベル技能労働者を養成しようということで考えております。  専門課程応用課程の際立った差といいますか、具体的な差ということで申し上げますと、今のようにレベルも違いますのでいろんな点が違いますが、特徴的に申し上げますと、応用課程の場合には企画開発能力あるいは応用能力等を付与するということを念頭に置いておりますので、生産管理あるいは経営管理企画開発などの科目訓練内容といたしております。具体的な差はそういうことになろうかと思います。  なお、社会人方々に向けての夜間訓練等でございますが、確かに在職者方々等念頭に置きますと通える時間帯ということで夜間ということも十分考えられるところでございますが、現在在職者訓練でこれらの短期大学校あるいは大学校におきまして行っておりますのは、比較的短いものを昼間、あるいは場合によるとやや夜にかかることもございますが、主として昼に短い期間で実施しているのが実態でございます。この点につきましては、いろいろ関係事業主団体なりとも意見を交換した上でそういうことをやっておりますが、今時点、長期の夜間課程ということについてどの程度需要があるのか、今先生からの御指摘でございますので、今後そういう需要等についても十分留意してまいりたいと思います。
  15. 谷林正昭

    谷林正昭君 どうも済みません。夜間大学の話は通告していなかったものですから、失礼なことを申し上げましたが、きのう寝ないで考えておったらこれが出てきたものですから。またぜひ検討をお願いしたいなというふうに思います。  次に、職業能力開発総合大学についてお尋ねいたしますけれども、今後こういう施設を充実していくということになれば当然そこに指導する皆さんの数も必要ですし、あるいは質というものも重要になってくると思いますが、募集人員あるいは将来にわたっての指導人員といいますか、こういう見通しがあればお聞かせいただきたいというふうに思います。
  16. 日比徹

    政府委員日比徹君) 総合学校におきます指導員訓練ですが、課程幾つかございますが、普通職業訓練指導員につきましては一学年二百二十人、それから専門課程、先ほど申し上げました短期大学校等に置かれる専門課程でございますが、の指導員を養成する研究課程につきましては一学年三十人、それから、応用課程指導員を養成する応用研究課程につきましては一学年二十人で、総合学校で養成していくことといたしております。  なお、従来、第一期生が卒業しましたのが昭和三十九年度でございますが、以後累積で約五千人ほどが修了者となっております。  今後におきましても、世の中のニーズ変化等に即応できる能力を持った指導員の養成を図るという考えでおります。
  17. 谷林正昭

    谷林正昭君 これからの人材育成やあるいは能力開発というのが非常に基本になってくるというふうに思いますので、指導員方々、とりわけ私が思うのは、普通の大学で文法を習ったり、あるいは、大学で単語を習うということはないと思いますが、黒板に書いたやつを暗記して覚えたりということではなくて、職業能力を開発するということは、指導者とそれを受ける側は心の通い合いだとかスキンシップ的な、手とり足とりという言葉大変失礼かもわかりませんけれども、そういうものが一番身につくし、将来にわたっても物づくりをしたりあるいは企画をしたりというのは役に立つというふうに思いますので、ぜひそういうスキンシップのできるぐらいの数が要るのではないかというふうに私は思います。  次に、時間がございませんので、議論というよりも質問だけにさせていただきますが、応用課程専門課程、二年、二年というふうに理解をするわけでございますけれども、そのことについて幾つか、要望も含めましてぜひお願いしたいものがあります。  それは、まず何よりも、それがある学校についてその地域に合っていなかったら私はだめだというふうに思います。その地域に合った特色的なもの、こういうものが必要になってくるのではないかなというふうに思いますし、もし全国でそういう特色的なものがあれば簡単にお聞かせいただきたいと思います。  もう一つは、地域ということになれば当然そこには産業企業がありますから、その産業企業と一緒に研究開発や研修といいますか、技能を磨くといいますか、こういうものができないのかな、そういう訓練の仕方というものは考えられないのかというふうに私は思います。私はあってもいいのではないかなというふうに思います。  それからもう一つ、こういう時代になればなかなかそういうことをやってみようかなという人は少ないかもわかりませんけれども、逆に今度は、自分の能力はこういうものにあるということで、職人的なかかわりといいますか、今でも、どういう情報が発達していてもあるいはコンピューターが発達していても、例えば金型をつくったり鋳型をつくったりということになれば、これはやっぱり職人の技だというふうに私は思います。そういうことになってくれば、そういう職人課程のようなものもなくしてはならないのではないかな。産業の基礎だというふうに思いますので、そういうものが今後計画されているのかどうか。特徴的なものがあれば聞かせていただきたいと思います。  もう一つ、二十一世紀に向けていろいろ議論をされておりますけれども、いわゆる起業というのが盛んに言われております。せっかくのこういう機構でありますから、逆に言えばそこからそういう人たちがどんどん育っていくというような環境づくりも必要ではないかなというふうに思いますので、そういう起こす業、いわゆる独立心あるいは起業マインド、こういうものを喚起するようなあるいは助成するようなカリキュラムを組まれてもいいんではないかなというふうに私は思いますので、そういう計画があるのかどうかということ。  それからもう一つは、新産業という言葉がよく使われますけれども、そういう新産業にマッチしたカリキュラムあるいは課程、こういうものも必要だし、人材育成というのは二十一世紀に向けて必要になってくるというふうに思いますので、あるのかどうか。あるいは、そうなってきますと、多くの人たちがそこに応募してくると思いますし、県外だとか、あるいは特殊な課程があればそこへ行きたいという方々もおいでになると思いますので、学生寮というものの充実というのが言われるのではないかなというふうに思います。  そこらあたりの充実とあわせまして、これはこれからのことと過去のことと区分けしなきゃならぬと思いますけれども、文部省管轄の大学を出た人と、労働省管轄のこれまでにこういう専門的な技能を身につけて、そして社会に出てそこで頑張るという人たちのその違いといいますか、企業の評判といいますか、そういうアンケートをとったものがあるとしたらどういう評判かなというふうに思っています。  ちなみに、私的なことで恐縮ですが、私の息子は富山のこの大学を出ました。二年間頑張って、そして今一生懸命働いております。非常に小さい企業でありますけれども、十何人ぐらいの企業でありますが、社長にかわいがっていただいて、一生懸命やる気を起こして日曜出勤でも土曜出勤でもして今行っております。そういうように非常に頑張ることもその二年の間に身につけたのではないかなと私自身は思っております。  そういう企業の評判、あるいはもっと極端に言いますと文部省との違い、うちの学校は文部省の管轄ではない、この学校はこういう人間を、立派な能力を身につけるところだというような広報あるいは運営、こういうものを行うべきではないかな。そして、より明確にそこを目指す人たちの意識や能力を引き出すような、こんな言い方をしちゃ失礼かもわかりませんが、とにかく大学へ入って終わりという感覚ではなくて、いざそこへ入ってからおれは一生懸命勉強して技術を身につける、こういう気持ちになれるような、せっかくでありますからそういう機構にしていっていただけないかなというふうに、これは要望になろうかとは思いますけれども、お願いしたいなと思います。  それから、現在、先ほど評価の話をいたしましたが、どれくらい卒業生がおいでになるものか、ちょっとお聞かせいただきたいなと思いますし、将来の見込み数といいますか、年間どれぐらいずつ卒業されていくものか、こういうこともお聞きしたいなというふうに思います。  大変恐縮でございますが、たくさん言いましたけれども、時間の都合がありますので、せっかく私の考えた質問、もう四つほどありますので、全部やりたいと思いますのでひとつよろしくお願いします。
  18. 日比徹

    政府委員日比徹君) まず最初の、地域的特色の問題でございますが、千葉短期大学校におきましては、周辺に空港があるということで、航空機整備科というものが設けられております。また、ことし四月から沖縄の短期大学校が大学校となりますが、沖縄におきましてはホテルビジネス科を、これはこの四月から始めます。  それから、地元民間企業等との連携の問題でございますが、現在、能力開発短期大学校におきましては、地域事業主団体と共同して、その団体の傘下の企業の従業員に対する能力開発計画をこれは共同して作成しまして、これに基づいて訓練を実施いたしております。能力開発学校、新たに発足しました後も、そのようなやり方を念頭に置きつつ、在職者訓練等をやっていくという予定にいたしております。  また、いわゆる職人的な課程ということでございますが、手づくりで行うという形のものを職人芸だということになりますと、大学校あるいは短期大学校においては直接そういう課程は設けておりません。ただ、物づくりということのための訓練施設でございますので、職人というときに、職業なのか生き方、働き方なのかというようなこともよく言われることでございまして、物づくりを通してやはりそういう心構えといいますか、そういうものは訓練していくことになろうかと思います。また、専門課程応用課程、ともに実習時間を非常に多くとっておりますので、その課程の中で直接手づくりというようなことについていろんな体験をしていくということはあろうかと思いますが、今後十分検討させていただきたいと思います。  それから、起業家マインドという点でございますが、これはどのような訓練能力開発を行っている場合も共通するかと思いますが、大学校におきましては、応用課程では、先ほども若干申し上げましたが、経営管理あるいは企画開発といった科目を設けるということをいたしておりまして、そういう科目履修を通じて、業を起こすということ、事業経営についてもいろいろとそういう面の能力が開発されればというふうに考えております。  また、新産業分野という点でございますが、新産業分野はいろんな類型があろうかと思います。決まった形ばかりではなくて、いろんな形で新しい事業起こし、産業起こしがあろうかと思います。そのための人材という面からいきますと、今般念頭に置きます応用課程というものの訓練内容訓練科目というのは企画開発力なり応用力というものを身につけるということを主眼にいたしておりますので、非常に役立つ人材育成になろうかと思いますが、なおこれにつきましても応用課程のみならず、各分野につきまして産業状況というものは十分念頭に置くべきものと思っております。  学生寮のお尋ねでございますが、現在、短期大学校におきましては、これは地域の通学事情等によりましてばらつきがございますが、おおむね訓練定員の四割を目途に学生寮を整備いたしております。大学校化に伴います訓練定員の増に対応するため、今後とも入寮定員の拡大を図るという方向で考えております。  それから、卒業生に対する評価の問題がございました。  これにつきましては、平成六年に短期大学校の卒業生を採用した事業所に対してアンケート調査を行ったことがございます。アンケートの内容は、高校を出た後に二年の課程を持つ通常の短期大学、その他そういう高校卒業後二年の教育訓練機関との比較のアンケートでございますが、詳細は省かせていただきますが、全体的に申し上げますと、仕事に対する理解力、あるいは責任感を持ってできる等々で、良好な評価を得ております。  今後におきましては、ただいま御指摘のように、いわゆる学校教育との違い、技術、技能、実践的なそういうものを身につけるというようなことを十分念頭に置いて広報等にも当たりたいと思っております。  それから、短期大学校の現在までの卒業生の数でございますが、本年三月の卒業生までで累計約三万人となっております。今後でございますが、大学校につきましては今年度から三カ年かけまして整備いたしますので、最終的な数字については現在まだ持っておりませんが、この四月からという平成十一年度におきましては、大学校短期大学校合わせまして一学年約三千人の定員ということになっております。
  19. 谷林正昭

    谷林正昭君 済みません。盛りだくさん質問しまして時間がなくなりました。二点お願いします。  一つは、新機構に移行すると同時に本拠地を横浜へ移すということで、一極集中からそれを外れて協力するというような格好になるわけでありますが、それに伴う職員の皆さんの不利益といいますか、そういうことのないようにお願いしたいと思います。新しい組織に当たって労働条件のダウンだとかあるいは首切りだとか、こういうことのないように、まずは将来的な行政改革の中でのいろんな意味での節約だとかあるいは合理化はしなきゃならないと思いますが、ぜひ急激なことのないように、雇用確保等、労働条件のダウンにならないような手当てをひとつぜひお願いしたいなというふうに思います。  この一点についてまずお聞きして、最後の質問に入らせていただきます。
  20. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) 平成九年五月二十七日の与党特殊法人改革協議会におきまして、今御質問の点につきましては、特殊法人等の整理合理化に当たっていささかも雇用不安を招来することがないよう雇用問題に万全を期するというふうに了解をされているところでありまして、この基本線にのっとってこの改革を進めていきたいと思います。  それから宿舎の点につきましても、十一年度予算では、本部が移転するわけですから宿舎の確保が必要になりますが、世帯用四十戸の借り上げをするということで予算に計上しているところでございます。
  21. 谷林正昭

    谷林正昭君 それでは最後になりますが、私は、せっかくのこういう新しい機構ができるのでありますから、いわゆる高度な職業能力を持った人たちを二十一世紀のそういう労働現場に送り出すという役割は非常に大きいのではないかなというふうに思いますし、生涯にわたってそういうところで身につけたものを働く喜びとして、物をつくる喜びとして頑張られる人たちが育っていくのではないかなというふうに思いますし、そういう人を育てるための労働省としての役割があるのではないかなというふうに思います。  それから、ちょっと質問ができなかったわけでありますけれども、促進センターが、困ったときあるいは順調なときでもそういう中小企業皆さんのよき相談相手、こういう場所にぜひなっていただきたいなというふうに思います。  一点だけちょっと。これは私の調査ではわからなかったんですけれども、実はつい最近富山県の小さな三万何千の市で七十八名の雇用をしている木工所が倒産をいたしました。そこに当たってすぐ職安の所長さんや市に対して、働く人たちの条件を何とかよくするために事務所を通じましていろいろ追跡調査もさせていただいておりますが、幸いにして非常に紳士的に職安の方でも頑張っていただいております。感謝したいというふうに思っておりますが、そういうところで出てきたのは、雇用促進センターへ相談に行ったことがない。あるいは職安へ、いろんな手当あるいは助成金や補助金があるにもかかわらず行ったことがない。相談したことがない、相談した形跡がない、こういうことがわかってきましたので、ぜひそういうことのないようにできるだけ多くの広報をお願いしたいなというふうに最後にお願いいたします。  何といっても地域産業の下支えをする地味な役割だとは思いますけれども、この機構を発展させていただきたいというふうに最後に申し上げまして、大臣の方で御所見があれば、若干時間をオーバーしまして恐縮ですが、ひとつよろしくお願いいたします。
  22. 甘利明

    国務大臣甘利明君) この質疑を通じまして先生から種々前向きな御提言、御指摘をいただきました。先生の御指摘を踏まえて、より国民ニーズに合った組織として、効率的な組織として運営ができるように努力していきたいというふうに思っております。
  23. 谷林正昭

    谷林正昭君 ありがとうございました。
  24. 山本保

    ○山本保君 山本です。どうぞよろしくお願いします。  私どもはこの法律改正については基本的に賛成する予定でおりますけれども、しかしせっかく新しい法律ができるわけでございますので、何点かお聞きしまして、遺漏のないようにしていただきたいと思っております。  最初に、この新しい法律を見ますと、これまでの雇用促進事業団法と比べまして、さっとお聞きすると、その中からいわゆる福祉施設的な雇用促進住宅でありますとかそういうものの機能を削るというふうに読めるわけでありますが、そういうことであれば前法を改正すればよろしいというような気がするわけでございます。何か新しい法律にしなければならないという積極的な理由をお話しいただきたいと思います。
  25. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) 雇用促進事業団の改革は、これは単独で問題とされたわけではなくて、現在あります政府関係特殊法人の全体の見直しの一環として、幾つかの法人とともに、廃止、新設あるいは合併、こういった方向が打ち出されたわけでありまして、この事業団の改革はそういった大きな特殊法人改革の一環であるというふうに理解をしております。  雇用促進事業団につきましては従来から、先ほどから議論に上がっておりますような移転就職者住宅であります宿舎でありますとか、あるいは福祉施設等の設置を行ってまいりました。それぞれ、十四万戸とか二千カ所とか、そういったかなりたくさんのものをつくってまいりましたが、住宅につきましては、今や公設住宅も多くなってきているし、本来の入居目的者の入居割合も下がってきているのではないかというような指摘があり、また福祉施設につきましても、特に宿泊用の施設等につきましては、これが民業圧迫になっているのではないかというようないろんな御批判もある。  そういった事業と同時に、ナショナルミニマムとしての能力開発事業を行ってくるとか、あるいは事業主支援あるいは雇用開発支援、こういったものもやって、いろいろな分野雇用のための努力、その支援というものをやってきたわけでありますが、前二者につきましては、先ほど申し上げましたようなことから、もう新設はやめたらどうだろうか、既にあるものも譲渡したらどうかというふうな議論があって、今般の法律の改正というふうになったわけであります。  そういった意味では、これからますますその機能の充実が期待されます能力開発あるいは事業主支援あるいは労働者の失業なき労働移動支援といった業務に特化をしてこれからやっていくということでありまして、この事業団が単に前の見直しではなくて、これからの社会情勢に真に必要な事業に絞ってこれからやっていく、そういった姿勢を示す意味でも平成九年の閣議決定があったのではないかというふうに理解をしておりまして、そういった意味で、法形式としては一部改正でもできたかもしれませんが、私どもとしましては閣議決定趣旨も踏まえて、新しい法律として、新生事業団といいますか、新生機構、そういった趣旨をよく国民にわかりやすい形でお示しをするというふうな気持ちも込めて新法で提案をしているところでございます。
  26. 山本保

    ○山本保君 今のは非常に何というか事務屋的な説明だと思うんですね。大臣、こういう法律をつくるというわけですから、確かに現実には削る方だけで、それ以外に新しいことというのはほとんどまだないですから、だから今のように抑えた説明をされるのはわからないわけではない。しかし、やはり新しい法律をつくるということになればその目的等に変化があるのか、そしてその意義は何か、こういうふうに見なくちゃいかぬと思うんですよ。  それで、私は両方の法律を素直に読んでみますと、第一章第一条に目的がありまして、旧法の事業団法では「技能の習得及び向上」と、「技能の習得」、こういうのが基本タームになっているわけです。今度の法律では「職業能力の開発」と、ここに大きな違いがあるというふうに読めるわけです。私も一応教育学の勉強をしてきましたので、この二つの意味というもの、この二つの違い、局長、この辺についてもう少し説明してください。
  27. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) 従来から雇用促進事業団におきましては、離転職者のための訓練、あるいは在職者のための訓練というのを行っておりましたが、近年、技能の向上等に伴いまして、日本の産業の先端を担うような技能習得、これは技能習得といいますか能力開発といいますか、そういった訓練をするということで短期大学校の設立をする、あるいはさらに、先ほどからお話がありますが四年制の大学校設置をするということで、離転職者のための訓練、そういったものに加えまして、国の最先端を行くような技術、技能の習得を目的とした能力開発というものを行ってきているわけであります。  そういったことで、私どもとしましてはより積極的な意味合いを持たせるために、この目的の第一条におきまして、職業能力の開発、向上を促進する、こういったものを目的にして新しい機構を創設するということにしているところでございます。
  28. 山本保

    ○山本保君 時間が余り要るともったいないので。  大臣、ここを、今のお話、ちょうど平成九年一月にそちらの方の基本的な考え方という文書が出ておるわけです。それを見ますといろんな言葉が出てきます。「より広範な職業能力」であるとか「最新の知識技能・技術」であるとか、先ほどの谷林委員のお話にあったように応用であるとか研究であるとか、そしてこの考え方の中にははっきりしています今までのOJTとかオフJTではない、つまり企業内の能力付与ではない、技能付与ではない、個人の能力を高めるんだと、こういう意味がこの法律にはあるというふうに私は読むべきだと思っておるわけです。  それは結構だと押さえた上で、しかしさりながら、そうなれば先ほど谷林さんが言ったことと同じような問題を違う言い方でちょっとお聞きしたいんです。  大臣、ちょっとクイズじゃないですが、例えば、深く専門を教授研究し、職業または実際生活に必要な能力を育成するという、こういう施設は何だとお思いですか。ちょっと難しいんですが。
  29. 甘利明

    国務大臣甘利明君) もう一回言ってください。
  30. 山本保

    ○山本保君 深く専門を、何をというとちょっとあれですが、深く専門を教授研究し、職業または実際生活、まあ職業でいいですね、職業に必要な能力を育成する。──ちょっとこれは難しい。もう少し易しい方を聞けば、例えばこういうものもあります。深く専門の学芸を教授研究し、そして応用的能力を展開させる。これは割と簡単だと思います。
  31. 甘利明

    国務大臣甘利明君) ちょっと印象的に言うと、大学院か何かですかね。
  32. 山本保

    ○山本保君 大学院の場合は深奥という言葉が、昔のうんのうというのがありまして、今申し上げた後の方は大学なんです。大学にもう既に研究とか応用と出てまいります。最初に申し上げたのはいわゆる短期大学なんですよ。学校教育法に言う短期大学が職業に必要な能力を育成する、深く専門を教授研究すると。もちろん言い方とか細かい術語はちょっと違いますけれども。  しかし、こう考えてきますと、今度の目的というものが、一企業内における技能の付与というものから、広くその方の職業的な能力総合的な能力、先ほどいろいろお話がありましたように、一会社におけるラインの中の能力ではなくて、いろんなさまざまなところへ行くんだ、これから労働者というのはそういう状況になるんだと、こういう大きな流れの中でそれに役立つものをつくろう、こうおっしゃっている。  こうなりますと、実はそれは今の、実際がどうかということは別としまして、法律で言えばそれは公教育における大学とか短期大学とか、もっと大きいので高等専門学校とか、こういうものの目的とまさに重なるわけなんですよ。  私は、ここは質問というよりも、だからやめろと言っているんじゃないんです。だったら、今般の労働省がやっておられるものはたかだか数千人のレベルです。大学はその百倍です。こういうところでやっている今までの教育のあり方についてもっと労働省は発言すべきではないか。自分なりの箱物でやるんじゃなくて、もっと今ある学校教育全体を変えていけるように発言すべきではないかと、私はそういうことが言いたいわけです。  そこで、その中で一つだけ具体的に、そういうことを考えますと、例えば今回の総合学校でもいいですし、短期大学校、大学校でもいいんですが、そこの研究というかまたは教授と言われるその質が問題になってきます。そうしますと、今度はその中でやっておられる方、教えておられる方、研究にかかっている方、応用をやっている方、こういう方がいかにその能力を高めているかという客観的な指標というものを出さないといけないわけですよ。  それで、この事業団では今までまたは今後、何かそういう例えば研究紀要であるとかまたは研究の学会発表の水準を高めるとか、または授業内容についてシラバスというようなものをつくって公開するとか、こうやってここの中で働いておられる教官の方たちがもっともっと力をつけられるようなことはやられることがあるのかということをお聞きしたいんですが。
  33. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) 能力開発機関におきます指導員能力アップは大変大事なことでございまして、これにつきましては、現在ももちろんそうなんですが、一定の技術水準、教育水準等を備えた方について免許を与えるということで、そういったカリキュラムを組んで指導員の方の育成を行っているところであります。  ちょっと今担当局長がおりませんので、今後の明確な方針はよくわかりませんが、先生がおっしゃったような学界に対する寄与、あるいはそのことによります自分自身の知識技能の向上、そういったことは当然必要なことだとは考えております。
  34. 山本保

    ○山本保君 ぜひこれは労働省という役所がもっともっと気張って出ていってほしいと。私は縁あってこういう委員会に入れさせていただきましたので、ぜひやっていただきたいなと思っております。  ちょっと今度は細かい話になりますが、先ほども話のありました今度の移転用の宿舎でございます。十二万戸近く、三十八万人というふうに聞いておりますが、私の出身の愛知県が見ますと全国で一番数が多い。そして、その中でも特に見ますと、暫定的にこれは利用するんだと、こういうふうにありますのに、愛知県では、七年以上使っているという方の割合もこれは全国一ですし、総戸数の中で一〇%以上なんですね。戸数が、愛知県内にあるのが一割以上を占めているというようなことです。このような現状。  そしてもう一つ具体的に言いますと、例えば名古屋市の港区というところに、港湾労働者用のものだと思うんですが、実はたくさんございます。周りの市営住宅はどんどん今高層化して、非常にきれいな公園の中にという形になっておりますその一角にまさに取り残された感じであるのが、行ってみるとこれがこの住宅であると。これまで国が割と法律に基づいてやっているということから、でも難しかったんじゃないかと思うのが、何か残務整理のような形になって、そしていろんな土地であるとか貸借関係が非常に複雑なんですよ、聞きますと、法律もいろいろあって。うまく本当にいくのだろうかという心配をしておるんですけれども、その辺についていかがでございますか。
  35. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) 譲渡につきましては、譲渡先は地方公共団体が主体というふうに考えておりますし、そのために財政上の問題とか、今お話のありましたいろいろな問題を含めて協議を進めていかなければならないというふうに思いますが、特に居住者との関係で言いますと、この住宅にも基本的に借地借家法の適用があるわけですから、所有者が変更になったというだけで居住者の権利義務に直接的な影響があるわけではございません。  確かにまだ具体化しているわけではありませんので、そう詰めているわけではないんですけれども、いろいろな問題が生じてくると思いますが、自治体あるいは居住者の方々等と話し合いをしながらその辺を進めていくことになるのではないかというふうに思っております。
  36. 山本保

    ○山本保君 何かもう法律にないものだからというわけでどうぞ地域でやってください、こういうような形ではなくて、積極的によりよい手続といいますか譲渡が進むようにお願いしたいと思っております。  それから、今度ちょっと法律とは直接かかわらない、この中の仕事について、先回の委員会でもあったことをもう一度お聞きしたいんですが、事業団の中の仕事で中小企業雇用創出人材確保助成金というのが昨年の第三次補正で大分ふえたんだと思います。あのときにも質問したわけですが、現場に行って聞きますと、非常に使いにくいと。一たんこれをとろうと思いましたら、まず県庁へ行きましたら、県庁の方はまず雇用センターの方へ行ってとれるかどうかちょっと聞いてください、大体見せてやったらもう一回うちへ来てくださいと。行きますと、今度はここに書類を書いて計画をつくってくださいと。それを出して、そうするとそれが通ってからもう一回また雇用センターへ行って、通りましたよと、こういうふうにやっている。  何かこういう手続というのは、最初につくったときには、そんなもので出すんですからよほど厳密にしなくちゃいけないかもしれませんけれども、もうそろそろ、会社の創出計画ですか、こういうふうなものは全く形式に堕しているんじゃないかという気がするんですけれども、改善はお願いできませんか。
  37. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) この中小企業労働確保法は労働省と中小企業庁との共管法律でございまして、中小企業における労働力を確保するための改善事業は、雇用労働面だけではなくて、経営面につきましても中小企業庁の方でいろいろと支援をするということになっております。  例えば中小企業信用保険法の特例でありますとか、中小企業近代化資金等助成法の特例とか、こういったことも中小企業労働確保法の中に規定してあるわけでございまして、中小企業を経営面、労働面、雇用面といいますか、そうした両面から支援をするという法律になっているわけでありまして、この法律の四条にも、改善事業についての計画事業主がつくるわけでありますが、その一環としまして、改善事業内容等々とあわせまして、改善事業を実施するために必要な資金の額やその調達方法についても計画をお出しいただくというふうなことになっていまして、その中小企業がそういった事業を行うのに十分な資力、体力を備えているかどうかのチェックをするということになっているわけであります。  そういった建前と、実際の手続運用が大変面倒くさいではないか、行ったり来たりするのではないかという問題は、またおのずと別のことだろうと思いますが、雇用促進センターにおきましてはその計画の提出についても事業主の相談に応じるというふうにしております。  そういったことですから、今御指摘になったようなことも踏まえながら、これからも手続の簡略化といいますか、効率性については十分と指導していきたいと思います。
  38. 山本保

    ○山本保君 そのとおりで、つまりそういういろいろなものが要るんだ、それは認めるんですよ。だからなしにしろと言っているんじゃないんです。今、局長は自分でももう答えがおわかりだと思うように、つまりそのときに知事に出すということの仕事を雇用センターが委嘱されてやればそれで終わりですね。実際そのことを判断する能力はセンターにあるんですから、おっしゃったとおり。県の方にはないわけですよ。だったら、もうその仕事をおろしておけば、その場で相談を受け、そしてそこで書類を書き、それで終わるじゃないかということを言っているわけです。県の方に出せば、何カ月もまた待たされまして、二カ月、三カ月、そして出てくるそうですよ。ですから、ここはぜひお願いしたい。  そうなると、もう一つ今度は、大臣が頑張ってつくられた中高年労働移動奨励金、これはそれがない。そんなことなしで今度は企業主同士で相談しなさいということですから、この二つの落差がいかにも大きいですね。私は、この方式もいいと思うんですが、ちょっと心配なのは、先般の質問で谷林委員が言われたことと私も同じ観点なんですけれども、職業安定所を通らずにこんな企業主同士でやって本当に労働者の利益は守られるのかどうか、権利は守られるのか、非常に心配なんですが、この辺はどうですか。
  39. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) 失業なき労働移動の件についてですけれども、これは、失業を経ずに出向とか再就職あっせんで雇い入れる事業主一定の助成を行うというものでございます。  その支給事務雇用促進センターで行って、そこでもちろんチェックをしておるわけでありますけれども、ただその際の要件としては、受け入れる方の事業主が自分のところは事業主都合で解雇していて、それで助成金をもらって受け入れるというふうなことでは趣旨に合いませんから、そういったことは要件に該当しない、そういうものがある場合には除外をするということにしているわけであります。そういった点についてはやはり安定所がかみませんと、なかなか受け入れ先事業状況等がわかりませんから、その点については安定所も相談に応じろということにしておりまして、昨年の十二月にそういった趣旨の通牒を都道府県知事に発出しておりまして、安定所でも促進センターの疑義に応じるように指示をしているところであります。そういった意味では、安定所もこの仕組みの中に一部かんでおるところでございます。
  40. 山本保

    ○山本保君 ただ、それにしても、その前提に労使間の協定があればいいとかまたは本人の同意があればいい、こういうふうに決められているわけですから、当然そちらの方があれば問題ないよということになるような気がして、ちょっと私、老婆心ながら心配なところがあります。  片方では、先ほどのように全く意味のないようなことで書類を整えさせておきながら、もう片方では何か全くその辺は簡単にしてしまうということについて少し考えていただきたいと思うわけですが、時間のこともありますのでその次に移ります。  実は、今の中小企業雇用創出の方について、局長説明の中にも、実はこれは通産省との共管であって、そして企業経営自体について通産省の方が法律で絡んでいるのでという説明があったわけです。そうしますと、今度、ちょうどきょうですか、通産省の中小企業経営革新支援法という法律が、大臣よく御存じだと思うんです。この法律は、ここは委員会が違いますけれども、読みますと、また説明背景等を考えますと、中小企業のあり方について国の支援の仕方が大変換する。この法律について労働省はどういうふうに関与したんでしょうか。
  41. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) 法案についての協議を受けております。
  42. 山本保

    ○山本保君 私は、これはできるかどうかは別として、この前の実はいわゆるNPOについて、雇うときについても、労働大臣と通産大臣予算委員会でやりましたように、労働省はちょっといかにも向こうの、通産省のものについては共管だ共管だといって縛られて、さっきのような書類もつくらなくちゃいけない。今、労働者が一番関係ある中小企業の経営が変わっていく、大変な変化をする、言うならば今まで構造の弱いところを中心に応援しましょうといっていたのが、何か経営革新だといって言葉はいいですけれども、下手をすれば強いところはどんどん弱肉強食になる可能性もあるような大変換、大転換です。  こういうときに、労働省はただ協議を受けたというのではなくて、例えば共管の法律にできないかとか、中身についてもっとそれに口を挟むことができないものかというような気がするわけですけれども、大臣、この辺はいかがでございますか。
  43. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 私も長いこと産業政策をやってきて、そして今雇用政策といいますか、労働政策を担当しておりまして、労働省は二十一世紀には厚生省と一緒になるわけでありますが、行革の協議の中では産業政策と一緒にという意見も少数ながらあったわけでありまして、どう組んでいくかということは正直いろいろ考えていたところであります。  それぞれが本来業務の部分と省際業務といいますか、役所間ののりしろ部分といいますか、そこの部分、いろいろあると思うんですが、今回の労確法の改正についてはかなり産業政策に踏み込ませていただきましたので、これは言ってみれば、通産省とののりしろ部分を従来よりかなり幅広くとったと。そこで一緒に考えて組み立てる。  経営革新法は産業政策の、向こうの本来業務でありますから、こちらでそこまで我々が関与というのはなかなか言いづらいところでありますが、しかしただ、経営革新法に基づいていろんなことが行われるわけでありますけれども、その結果として新分野に進出したとか、あるいは事業部を独立して分社化したとか、そのときにはまさに我が方とかかわってくるわけでありますから、そこまでくるとのりしろ部分にかかわってくるわけでありまして、そこは一緒にやらせてもらうということでありますから、純粋に我々の分野の政策、純粋に産業分野の政策、それが交わってくるところは一緒にやりましょうという感覚でやらせていただいております。
  44. 山本保

    ○山本保君 もう時間がないので終わりますけれども、一つだけ。  余りいい話ではないんですが、今、事業団六人の理事ですか、見ますと、五人が各省のOBであると。今度また理事の数も減ってくると。なるべくこういうことはなくした方がいいんじゃないかなという気がするわけですが、じゃ一体どうするんだ、おれたちはと、こうなるわけで、大臣どうですか。せっかく能力を持った官僚のトップになったような人たちが、まさにさっきの起業で、新しく会社を起こすというようなことになったときにそれを応援するような法律をつくってですね。役所の天下りのいろんな事業団に、もうせっかくのことが、決められたことだけしかやらない。行ってごらんになればおわかりのように、上から下まで昔の役所の序列のとおりそのままずらっと並んでおる。何か非常に僕はかわいそうな気がしてしようがない。もっとそういう方たちが自分の力を出せるような道を考えたらいいんじゃないかなということを。
  45. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 私は官僚の方々は非常に優秀だと思っております。それは、リタイアされた方をいろんな分野で活用していくというのが日本の活力になると思います。先生のように政治の分野で頑張っておられる方も、これは政治にとっていいことだと思いますし、それから関係団体もさることながら、さらにおっしゃったように民間能力をうんと発揮できるようにどうしていくかと。  今まで官と産業界とか、産学官の連携というのは、私は昔からいい意味での癒着はどんどんしてもらいたいということを言っておったんですが、なかなか社会の雰囲気として連携と癒着というのがどうも一緒に論議されて、なるべく近づかない方がと。アメリカはこれをうまく使っているわけでありますから、公立大学の教授がいきなりあした社長になっていたり、そういうことはあっていいと思うんです。官僚の優秀な能力民間企業に、企業というのは従来ある企業と起こす起業と両方含めていかに活用していくか、これは大事なことだと私も正直思っております。
  46. 市田忠義

    ○市田忠義君 日本共産党の市田です。  今度の法案の一番大きな問題の一つは、雇用促進住宅の問題だと思います。  そこでまずお聞きしたいんですが、現在全国で雇用促進住宅というのは何戸保有して、そこに何人住んでいるか、御説明ください。
  47. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) 平成九年度末の現状でございますけれども、運営戸数は十四万四千三百二十三戸でございます。入居戸数で十一万七千七百九十二戸、入居率が八三・一%ということになります。入居者数は、これは推定ですけれども、約三十八万人だと思います。
  48. 市田忠義

    ○市田忠義君 移転就職者用の住宅需要というのは、以前と比べて確かに少なくなってきていることは事実ですが、それでも先ほど谷林委員の質問の中でも明らかにされたように、全体の二五%を今も占めている。かつての石炭産業のようなことはなくても、これからも産業構造の転換に伴う労働移動というのは十分考えられるわけですから、そういう意味では移転就職者用の住宅提供の意義というのは現段階でも小さくないというふうに思います。  それで、この業務から撤退するにしても何らかの代替措置を検討すべきではないかというふうに思いますが、いかがですか。
  49. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) この住宅は、現在十四万戸設置をいたしまして、不況産業からの産業間、地域間の移動について大変大きな貢献をしてきたと思いますし、また近年では自治体において工業団地を造成されて、そこへ企業誘致をする、その際の住宅というふうな事情で自治体からの設置要望も大変あって今まで設置してきたわけでありますが、ただ、この住宅について指摘をされてきましたことは、現在では既に往時とは比較にならないほど公営住宅等の件数もふえてきていて、国が直接住宅の提供を行わなくても住居というのは確保できるのではないだろうか、こういった議論もあるわけでございます。  先ほどもちょっと申し上げましたが、この事業団住宅建設に着手いたしました三十年代には公営住宅というものは九十四万戸ぐらいしかございませんでしたが、現在ではこれは三百万戸近く公営、公団住宅等設置をされているという状況でございますから、譲渡がうまくいきますまでの間は新機構においてこれを管理いたしますが、譲渡後におきましては、移転就職者用の宿舎という意味では、こういった公営等の住宅を活用していただきたいというふうに考えているところでございます。
  50. 市田忠義

    ○市田忠義君 何らかの代替措置を検討すべきだということを強く要望しておきたいと思いますが、今度の法律はこれまでの雇用促進住宅譲渡すると。どこに譲渡するんですか。
  51. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) 雇用促進住宅はもともと自治体土地の造成等まで完了していただいて、それを事業団で購入をいたしまして住宅をつくったと。二五%、これは平均の数字ですけれども、移転就職者二五%以外の方はその地域勤労者の方がいわば員外利用のような形で入居しておられるというふうなことを考えますと、やはり地元の自治体譲渡するということが中心になろうかと思っております。
  52. 市田忠義

    ○市田忠義君 中心だということは、自治体以外もあるということですか。
  53. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) 例えば工業団地でこれを共同で購入したいというふうなことはあり得るかもしれないとは思っております。
  54. 市田忠義

    ○市田忠義君 この雇用促進住宅というのは雇用保険財政で建てられて維持されてきたいわば国民の貴重な財産だと思うんです。もし仮にこれが民間不動産業者などの手に渡って、利権の対象にされるというふうなことになれば大変だと思うんです。  譲渡する場合に地方公共団体を原則とするということをどうして明記しなかったのか。明記しないでも心配ないということを約束できますか。
  55. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) 譲渡先にはいろいろなものがあると思いますし、また例えば大変古くなって利用率も低いというふうなものについては用途廃止ということもあり得るわけでございまして、具体的にどこに譲渡するというところまでは書き込めませんでしたが、住宅設置の経緯、趣旨からいいまして、当然自治体中心になるということで運営をしていきたいと思っております。
  56. 市田忠義

    ○市田忠義君 譲渡の手続はどうなっているか、説明していただけますか。
  57. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) この改正法が成立しました場合には、住宅設置してございます全自治体に対して意向調査を行いたいと思いますし、購入の意向があるという自治体につきましては具体的な協議を進めて、複数の鑑定も入れた上で譲渡手続を進めるということで考えています。
  58. 市田忠義

    ○市田忠義君 移譲手続についてフローチャートで示されているわけですが、これによりますと、そこに現に住んでいる住民の意思確認の手続について何も書かれていない。国の都合で大家さんがかわると。住民に何の説明もないというのは私は民主主義に反すると思うんですけれども、きちんと住民にこういう理由で大家がかわるということについて事前に説明すべきだと思うんですが、いかがですか。
  59. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) 今、委員指摘の点はもう当然のことだというふうに思っておりますので、譲渡に際しましては住民の方に十分な御説明を行いたいと思いますし、また借地借家法の適用があるわけでございますから、所有者がかわったというだけでは住民の方の権利義務に直接の影響はないというふうに考えております。
  60. 市田忠義

    ○市田忠義君 今の答弁どおりやっていただきたいと思うんですが、このフローチャートを見てみますと、どこにどんな形で譲渡されるのかについての住民の意思を聞くということにはなっていない。自治体意向調査はやると。これは退去促進業務の推進というところで住民の意見を聞くということになっているわけですが、自治体に対する意向調査と同時に住民に対する意向調査もやるべきだと思うんですが、それは確認していいですか、先ほどそうおっしゃったというふうに思うんですが。
  61. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) 譲渡に際しましては、地元自治体だけでなくて住民の方への、居住者の方への十分な説明会を行いたいと思います。ただ、どこに譲渡するかについて住民の方の意見を聞くというところまでは恐らくならないのではないかと思います。
  62. 市田忠義

    ○市田忠義君 しかし、どこにどう譲渡するか、だれが大家になるかということはやっぱり大変心配なわけですから、事前に自治体の意向だけではなくて実際にそこに住んでおられる方の意見をよく聞いた上でやるということについてはいいですね。
  63. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) 十分説明を行いたいと思います。
  64. 市田忠義

    ○市田忠義君 長い間雇用促進住宅に住んでいる人というのは、確かにこの住宅趣旨には必ずしも合わないけれども、それなりの事情があって長期間居住している人たちであるわけですから、これらの人たちにとってはふるさとを離れて既にそこが事実上第二のふるさとになっている。この住宅で子育てを終えて、老後を迎えて、ついの住みかとなっている人たちが多いと思うんです。  そういう人たちの事情を考慮して、むやみに追い出すということはあってはならないと思うんですが、その辺の考慮はいかがですか。
  65. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) これは私どもでどうこう考えるというよりは基本的に借地借家法の規定の適用でまいりますので、所有権者がかわったというだけで退去とかそういうことには当然ならないわけでございます。
  66. 市田忠義

    ○市田忠義君 古くなった住宅などでそのままでは譲渡できないところは、住居の移転などの問題も当然起こると思うんです。そこでお聞きしたいんですけれども、そういう場合には責任を持って代替住宅のあっせんをやるべきだと思うんですが、その辺はいかがですか。
  67. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) 近隣の公営住宅に関する情報提供とか、そういうことは当然行っていく考えでおります。
  68. 市田忠義

    ○市田忠義君 その際に、現在の家賃に比べて急激な負担増にならないように例えば家賃の補助を行うとか、何らかの措置を講ずるべきだと思うんですが、どういう措置を講じられるつもりか御説明ください。
  69. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) やむを得ない理由で移転する場合に移転費用をどうするとか家賃の差額をどうするとかいうことは、あくまで大家さんと居住者との特約事項になりますが、現在も雇用促進事業団入居者の間にはそういう特約はありませんし、そういったことをこれから何か補償するとかそういう考えはありません。
  70. 市田忠義

    ○市田忠義君 国の都合で大家さんがかわってそこを出なければならない、そういうときに、例えば家賃が上がる場合に負担増にならないような考慮もしないということになればそれは無責任だろうと思うんですが、いかがですか。
  71. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) この点は、先ほどから申し上げておりますように、借地借家法の適用を受けまして所有権者がかわったというだけで住んでいる方が出ていかなければならないということにはならないわけでありますから、譲渡即退去ということにはならないというふうに思っております。
  72. 市田忠義

    ○市田忠義君 移転する場合の移転費用ですが、これも当然本人の負担にならないようにすべきだと思いますが、いかがですか。
  73. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) これは委員もさっきちょっとおっしゃいましたけれども、この移転就職者用宿舎はもともと一年ないし二年間の短期の本来の住居を見つけるまでの住居ということで設定をされているわけでありまして、最初に入られた方がずっとおられるということでは次の移転就職者が入居できないということになるわけであります。  そうはいいましても、実態としてはかなり長期の方がおられるわけでありまして、そういった方については二年後あるいは四年後というふうに家賃を上げておりまして、そういったことで現在入居しておられるということでございまして、もともとこの住宅は本来短期の移転のための住居ということで設けられているわけでありまして、先ほど申し上げましたように、移転のときの移転費の補償とかそういったことももちろん事業団入居者の間には約束はないわけでありまして、今後ともそういった運用になろうかと思います。
  74. 市田忠義

    ○市田忠義君 長期に入っていると言うけれども、家賃も取って現にそこに入っていることを認めているわけですから、国の都合でそこを出なければならないという場合に、当然最初に約束がなかったとしても考慮を払うべきじゃないですか。
  75. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) この点は、借地借家法の適用で建物の引き渡しを受けている住人は所有者がかわりましてもそのことによって入居について何か不都合が生じるということはないわけでございますから、所有者がかわったので出ていかなきゃならない、直接的にそういうふうになるとは思っていないわけでございます。
  76. 市田忠義

    ○市田忠義君 では、別の問題に移ります。  今度の新しい機構一つの柱である能力開発に関連して、一点だけお聞きしたいと思います。  公的な職業能力開発のほかに、企業などでは独自の能力開発が行われています。ところが、最近、リストラ、人減らしのために能力開発の名前が使われている例がたくさんあります。  先日、私がこの委員会でも提起した東芝。人材開発センターという名前の場所労働者を配置がえして、東芝富士工場の間接員、管理職、これを対象にして人材開発センターへ配転する。このセンターで能力開発をやって、引き続き東芝で働くのかというとそうではなくて、一年以内に自分の就職先を探しなさい、それができなければ東芝関連派遣会社に転籍をさせて派遣労働者にするということで事実上会社から追い出す、そういうステップのために人材開発センターというのがつくられていると。  私がこの質問をしましたら、セガ・エンタープライゼスというテレビゲームで有名な会社の労働者から訴えがありました。  驚くべき話なんですが、それによりますと、リストラの対象者を、かつては新規事業開発室と呼ばれていた、今はパソナルームと言うそうですけれども、パソナルームという隔離部屋、独房のようなところです、四畳半ぐらいの部屋に配属する。部屋には窓はない。長机といすが置かれていて、机の上には内線電話一つ置かれているだけです。ここに一日じゅう何にもしないでじっとしていろと、こういう形でそこに配置がえになる。  私が会った人は、昨年十二月七日、いわゆる肩たたきをされた、それを拒否したら三日後の十二月十日に、配転先が見つからないので決まるまでここにいてほしいと独房のようなパソナルームへの異動を命じられたと。辞令書に何と書いてあるか。ここにそのコピーを持ってきましたけれども、朝八時半から五時十五分まで、次の配置先は決まっていない、連絡は人事部がやるけれども、何もしなくていい、その部屋でずっとおれという辞令であります。そのパソナルームには私物を持ち込んではならない、外出するときは人事部へ電話連絡することはもちろんのこと、みだりに職場を離れないことと。これが辞令書に書かれている内容なんです。その労働者が耐えられなくなって、みずから退職を申し出るというのを待つと。  この方は、こういう仕打ちはひどいというので会社に抗議をしながら耐えていたら、ことしの一月二十六日、このままではらちが明かないので三月三十一日付で解雇したいと退職勧告を突きつけられた。労働組合が、仕事の取り上げは精神的な打撃を与えるリンチのようなものだ、そう抗議したら、二月十八日、一方的に解雇を通知してきたと。解雇通知書をここに持ってきたんですが、何と書いてあるか。パソナルームの部屋に閉じ込めておいて一切仕事をやらせないでおいて、労働能率が劣り、向上の見込みがない、したがってあなたを解雇すると。仕事もさせずに独房に閉じ込めておいて、あなたは能力向上の見込みがないから解雇する。  実際に日本でこういうことが、今挙げた例だけではなくていろんなところでやられている。これはスパという雑誌の最新号、三月二十四日号なんですが、「リストラの嵐、バブリーマンを直撃」という特集記事が載っているんです。バブルのときに採用された二十八歳から三十四歳の大量採用組に「ついに魔の手が」、「退職に追い込む理不尽な人事が始まっている」という特集なんです。週刊朝日の最新号によりますと、「露骨セクハラ、シカト地獄、仕事干し」、要するに仕事を与えないで、いじめ解雇というのがいろんな企業でやられていると。能力開発という名前でこういうことが、先ほど東芝の例を出しました、あるいはセガ・エンタープライゼスでもそういうことがやられている。  私は、こういう人権侵害とも言うべきひどいやり方はやっぱり調査をして是正させるべきだと思うんです。監督機関の臨検監督の中でも特にこういうことがやられていないかしっかり監視させて改善させるべきだというふうに思いますが、大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  77. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 先生が御指摘の件が事実であるとするならばこれはゆゆしき事態だというふうに思います。配転とかあるいは出向あるいは退職に関して、これらをめぐる問題に関しましては、まず基本的にそれは労使できちんと話し合っていただくということで合意を形成してもらいたい。いろいろトラブる案件については、さきの基準法改正で基準局長が相談に乗るということになっておりますから、当事者から申し入れていただきたいというのが基本的な考え方でありまして、そうした場合には適切な助言を可能な限り行っていきますということであります。  ちょっと私が答弁していない部分について、何か気がついたことを言っていただきます。
  78. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) 御指摘のようないろいろ、例えば整理解雇等々が伴う事案につきましては、もし問題指摘があれば、私ども情報の収集に現地の労働基準監督署が努めておるところでございます。そういう過程から出る労働基準法上の問題等があれば適切に指導してまいりたいと思っております。  あわせまして、そうしたケースのみならず、一般的に私ども今までの解雇をめぐる判例法理あるいは整理解雇をめぐる判例法理等についてはパンフレット等も最近新たにいたしまして、各事業場等への周知に努めておるところでございます。そうしたパンフレットの中では、このたび改正労働基準法によって設けさせていただきました、個別の解雇等をめぐる紛争があった場合には当事者の求めに応じまして事実関係を整理し、今までの判例法理等に照らして助言あるいは指導を行って早期に解決を促していく、そういったシステムの活用も織り込んでおりますので、そういった体制をしいて個別の事案については対応をしていきたいと思っております。
  79. 市田忠義

    ○市田忠義君 私が紹介した例が事実だとすればゆゆしき事態だということを大臣もおっしゃったわけですから、積極的な監視と是正のための、そういう事実がある場合きちんと是正をさせるというために積極的な具体的な行動をとられることを望んでおきたいと思います。  最後にもう一問だけお聞きしたいと思います。先ほど雇用促進住宅の問題についてお聞きしたんですが、もう一つ、福祉事業についてお聞きしたいんですが、この事業はどういう目的でつくられ、続けられてきたのか、簡単に説明してください。
  80. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) 福祉施設につきましては、特に中小企業においてなかなか福祉施設を持つことは難しいというような実情を踏まえまして、中小企業勤労者中心として勤労者の体育、スポーツ、研修あるいは宿泊、こういった用に供するために設置をしてきたものでございます。
  81. 市田忠義

    ○市田忠義君 その目的はもう達成したというふうに判断をされているんですか。
  82. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) 企業がそれぞれみずから福祉施設を設けるということは実際にはなかなか難しい問題がございまして、大企業におきましてはこれはかなり普及しておりますが、中小企業では現在でも普及率は二、三割かというふうに思いますので、中小企業勤労者がこういった施設を利用する、そういったものが世の中にあるということは大事なことであろうというふうに思います。
  83. 市田忠義

    ○市田忠義君 先ほど説明がありましたように、大企業中小企業の間の福利厚生施設の格差、これは依然として開いたままだと思うんです。それで、福祉厚生施設労働省が雇用促進事業団運営させてきたというのは、中小企業労働力の確保という目的のために、大企業との待遇面での格差を埋めよう、そういう政策意図があったからだと思うんですが、企業規模別の保養所の設置状況、わかっていたら説明してください。
  84. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) 保養所を単独で設置運営をしております企業は、従業員一千人以上の大規模な企業で約六割でございますが、それより規模が小さくなりますと約二割から三割というふうな状況でございます。
  85. 市田忠義

    ○市田忠義君 労働省が一九九四年に調査された労働者福祉施設・制度等総合調査報告、これによると、一千人以上の規模の企業では九割、三百人から九百九十九人では七七・八%、百人から二百九十九人では五五・六%、三十人から九十九人では三二・八%というふうに聞いていますが、これは先ほどの数字とどういう関係になりますか。
  86. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) 単独で設置をしておるものは先ほど申し上げたような数字でございまして、そのほか共同で設置しているもの、あるいは民間のところと利用契約を結んでいるもの等ありますので、そういったものの計かと思います。
  87. 市田忠義

    ○市田忠義君 いずれにしても、大規模な企業ほど保養施設をたくさん保有している、これはもう明確だと思うんです。  それで、先ほど言ったように、中小企業と大企業の間の格差が依然として顕著なものがある。労働省がこの事業から撤退するということで、中小企業に勤める労働者の権利や厚生にマイナスがあってはならないと思うんですけれども、どういう措置を講じられるつもりか、最後にそれだけお聞きしておきたいと思います。
  88. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) この福祉施設につきましても、住宅と同じように地元の自治体への譲渡ということを中心考えていきたいと思いますし、譲渡を受けた自治体も同じく、ほかのものに転用するということではなくて、できれば従来どおりの使用目的で使用していただきたいというふうに思うわけでございます。ただ、公立のスポーツ施設等が現在では全国に六万カ所ぐらい設置を既にされておるということでありますから、自治体としてもいろんな施設を既に所有しているということになると思いますので、そういったものの一環として利用していただければありがたいというふうに思います。
  89. 市田忠義

    ○市田忠義君 時間が来たので終わります。
  90. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 今回、雇用促進事業団から雇用能力開発機構へと業務が承継されたわけですが、その際、業務の精査を行ったと言われるわけですが、住宅の建設、管理運営事業のほか、能力開発事業に関してはどのような業務の精査をなされたのか、お尋ねをいたします。
  91. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) 職業能力開発短期大学校職業能力開発学校再編するに当たりまして、今後三校の短期大学校を廃止いたしますとともに、職業能力開発促進センター、いわゆるポリテクセンターと称しているものでございますが、これにつきましては全国的なバランスも考慮しまして再配置を行うということで、六カ所のセンターを廃止することとしているところであります。
  92. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 大学を開発大学校へしていってさらに専門性を高めていくということですが、労働者職業能力の開発、向上を図るというためには、民間における取り組みとの関係をどのように考えられているのか。例えば、今までの職業能力の開発は主として企業のOJTによって、いわばその社内の教育訓練ということで労働者職業能力が開発されてきた、そのために今一番問題になっているのは、そうした企業内における職業能力訓練というものに対しては、非常に汎用性がない、あるいは一貫性がない、あるいは包括性がないという点で大きな問題を私は提起しているのではないかと思うわけです。とりわけ、資源のない日本では人的資源というものがまさにいわば経済の活力の基本的なところにあるわけですが、そういう民間に任せていては職業能力訓練の実施が期待できない分野というものもあるのではないか。したがって、国みずからが積極的に職業訓練の実施に取り組んでいくべきだということがいよいよこの新しい時代には重要ではないかというふうに考えるわけですけれども、こうした民間の職業訓練、そして国みずからが行う積極的な職業訓練の問題の関係をどのように労働大臣はお考えか、お尋ねいたします。
  93. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 職業能力開発における国と民間との役割分担、これをどうすみ分けあるいは連携を図っていくかということは、御指摘のようにとても大事な問題だと思います。  私もいろいろ頭を悩ましておるんですが、まず、国は職業紹介と失業給付、それから職業訓練、最低限のことはやってあげなくちゃならない。職業訓練も無料で失業者に最低限のことはやらなきゃならない責任が国にあると思うんです。  それが前提なんですが、どういうすみ分けを民間とするかということを考えますと、例えばいろんな多額の設備投資が必要なところというのはなかなか民間ですぐにいろいろ対応もできないでしょうし、特に大きな設備機械が必要であるというようなところ、その辺は国がそういう装置のもとに対応していかなければならないだろうなと。それから、先導的にいろいろやっていく分野もあると思うんです。  民間は、では何をするかといえば、今までもそうですし、これからもそうだと思うんですけれども、ホワイトカラー部分でそう過大な設備投資を要しないで取り組める分野について取り組んで今までもこられたし、これからもいくのでありましょうし、それから相互に協力をするという分野では、委託訓練というのがあると思います。民間能力を活用して委託費を払ってやってもらうと。  ですから、公がやる部分、民間がやる部分、両者が協力してやる部分、いろいろな組み合わせで遺漏なきを図っていくべきなんだろうなというふうに考えております。
  94. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 三月十一日の日経新聞の記事によりますと、首相直属で競争力会議というものをつくりたい、これはアメリカ大統領産業競争力委員会というようなものに似せて、これから製造業の体質改善と生産性向上を目指して、各閣僚や日経連のさまざまな会長や社長とともに供給サイドの改革の断行を要請すると。これは経済戦略会議の最終答申を引き継いでその実行機関と位置づけるというような非常な重大な問題が出ていると思いますが、この競争力会議というのは、今具体的には既に計画されているんでしょうか。その政府側委員の顔ぶれには労働大臣も入っておられるということが報道されておりますが、お尋ねをしたいと思います。
  95. 甘利明

    国務大臣甘利明君) まだ確定的な日程は私どもの方に来ておりませんけれども、恐らく月内に報道されているメンバーで開かれると思います。もちろん私もそのメンバーの一員でありますから、出席をし、思うところの発言をさせてもらいたいというふうに思っております。
  96. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 そうしますと、これは技術開発戦略というふうにも報道されているわけですけれども、この会議のいわば方向性というか、どこに焦点があるというふうに伺ったらよろしいんでしょうか。
  97. 甘利明

    国務大臣甘利明君) まだ中身について具体的にこういうことをやるという話はおりてきておりませんのでわからないんですが、要するに、供給サイドの競争力をつけていく、そのためにいろいろな構造改革を行っていくということに関して議論とか提言とかがあるんだというふうに思っております。
  98. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 私がこれを伺うのは、「雇用移動を円滑にするために民間の職業訓練制度を充実する財政措置などを政府としても急ぐ。」というふうに書かれているということになりますと、言ってみれば、雇用の流動化がリストラ支援策のように利用されていくということとともに、また職業訓練の軸足が民間移動していくということでは、公的な職業訓練を国としてきっちりと位置づけるということに対して危惧を念ずるからであります。  やはり職業訓練というものは、とりわけ大学校まで、中高学校も含めましてしっかりとした一貫性がないということが日本の特徴でもあるというふうに思いますので、この競争力会議では、国の職業訓練の言ってみれば一つの機能というものをしっかり持ちながらぜひ提言をしていっていただきたいというふうに思います。  もう一つ、次の質問は、産業構造の転換の進展とか厳しい雇用失業情勢に的確に対応していくためには、雇用開発というものが重要となっていると考えられますが、この雇用開発に関してはいかなる助成措置をこれから講じていかれるのか、お尋ねをいたします。
  99. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) 現在我が国では、起業、業を起こす方の割合が廃業率を下回って推移をしているという大変憂慮すべき状況にあろうかと思います。そういった意味では、雇用の場が今縮小しているというふうな状況かと思います。  先般、臨時国会で改正をいただきました中小企業労働確保法、これは通産省との共管法律でございますが、この法律によりまして、新しい事業を起こすあるいは中小企業が異業種へ進出をするといったときの助成をするということにしておりまして、労働省としましては、この法律を中心にして雇用の新しい開発に向けての取り組みを支援したいと思っております。
  100. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 最後に大臣にお尋ねをしたいのですが、今の失業率が非常に高くなって、そしてそれは、今までは中小企業雇用がそれを吸収してきたということにあるわけですが、その一つのそういう中小企業雇用創出あるいは雇用の受け皿という機能が非常に減退をしてきているということがあるのではないか。したがって、雇用能力開発機構というのは、業務の効率化を図りながら、中小企業雇用の創出あるいは高度な人材の育成など、そうした雇用の開発の課題に積極的にこたえていくことが求められていると思いますが、それに対する大臣の御決意を伺って、質問を終わりたいと思います。
  101. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 御指摘のとおり、雇用促進事業団が全面的に衣がえをいたしまして、雇用能力開発機構という形で新しくスタートする、それはこれからの時代により重要な点に絞り込んでその施策を充実させようという意味合いがあるわけでありまして、そういう新しい時代には、雇用能力を引き上げていくための、職業能力開発を幅広にそして部分的には非常に深く掘り進んでいくということは大事でありますし、一歩進んで雇用自体を開発していく、先般成立をしていただきました法律等を駆使いたしまして職場の創出をしていくということも大きな仕事になってくるわけでありまして、精力的に、精査をした事業分野について取り組んでいきたいというふうに思っております。
  102. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 終わります。
  103. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 さまざま質問が出ました。幾つかは重複する点もありますが、ポイントを絞って御質問させていただきたいと思います。  まず最初に、私の質問までにこういう質問がいずれどこかで出るかなと思っておったのでちょっとどうかなと思ったんですが、あえて初めに挑戦的な質問というか挑発的な質問をさせていただきたいと思います。  私が初めてこの法案を見たときに、これは何が変わったんだろうと正直思ったわけです。確かに業務内容等々変わったという部分があるんですが、なかなか私のような素人にはよくわからない。恐らく国民皆さんもわからないというような感じを持たれているんじゃないかというふうな気がします。  雇用能力開発機構、新しくつくられる機構も特殊法人でありますし、また雇用促進事業団も特殊法人でありました。役所の方にちょっと問い詰めて聞きますと、役員数が二人減りましたというお話でしたので、それじゃ困るよというような感じがしました。看板のかけかえではない、こんなところが変わったというようなところを、例えばこの機構改革によってどれだけ資金が削減されたか、本当に国民皆さんに納得というか宣言されるようなつもりでポイントをちょっとお話しいただけたらと思います。
  104. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) 今般の新機構は、従来雇用促進事業団が行っておりました住宅福祉施設設置という業務は取りやめることにいたしまして、これはできるだけ自治体中心譲渡するということにいたしまして、能力開発とそれから事業主への助成、援助、こういったこれからますます充実が期待される仕事に特化して今後仕事を行っていくということにしているところであります。  具体的に申しますと、住宅施設の建設のストップ以外に、先ほどから少し議論が出ておりますが、短期大学校の一部についてはこれをさらに高度な大学校にする、それにあわせまして短期大学校も三カ所廃止する、あるいは現在の職業能力開発促進センターにつきましては六カ所を廃止するというふうにいたしまして、全国に重点配置をするというふうなことにしているわけであります。  そのほか、今委員もおっしゃいました役員数の削減、あるいは職員も平成十一年度で百六名減にするということにしておりまして、十二年度以降もできるだけ計画的に削減をしていくというふうにしているわけであります。  また予算面におきましても、住宅福祉施設新設をやめることによりまして平年度におきましては約五百億の予算減ということになりますから、これは従来の事業団予算に比べると相当大きなウエートを占めているものでございますが、こういった予算につきましては、より積極的な雇用開発あるいは事業主への援助、能力開発、こういったものに予算を重点配分していくということになろうと思います。
  105. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 先ほど言われました教育プログラムなどに重点配分をすると、この不景気の中ですから当然のことだろうと思います。  その教育プログラムですが、先ほど山本委員もおっしゃっておられました。以前この委員会でも取り上げました各種の雇用助成金について、その周知徹底が本当にできておらぬ、そのおかげで、まだまだ手続も煩雑であるし、またそういう制度の存在そのもの、あること自体も周知をされておられない。同じ結果になるのではないかという危惧を私も抱くんです。新しく機構が改革され、また雇用開発職業能力の開発という新しい制度を設けるわけですから、この周知徹底というのは非常にまた重要になってくるのではないかというふうな気がいたします。  その点について、例えば、そういう制度があることと、それからまた教育訓練の間失業保険がどうなるんだろうかとか、それとの関係で本当に安心してこの給付、講習を受けられるんだろうかというようなところについての手当て、周知徹底、国民にその情報を提供するべきであろうと思いますが、その辺のところはいかがでしょうか。
  106. 日比徹

    政府委員日比徹君) 職業訓練あるいはその他の助成金、そうであると思いますが、雇用促進事業団関係では、職業訓練内容なり、どういう施設でどう受けられる、あるいはその間の給付金、失業保険の関係を含めてでございますが、これらにつきましては雇用促進事業団でもホームページの開設等によりましていろいろと情報提供を行っておりますし、また公共職業安定所におきましても同様、情報の提供を行っております。  ただ、情報の提供というのは、最近媒体もふえておりますし、今後におきましても十分情報提供に意を用いてまいりたいと存じます。
  107. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 具体的にはどんなことをされるというお考えでしょうか。以前私が助成金のときにお伺いをしたときには、パンフレットをつくるというようなことをおっしゃってくれました。そのパンフレットも、いろんな制度の助成金について一つのまとまったパンフレットにした方がわかりやすいんじゃないかというようなことも提言させていただきましたし、そのことのお答えをいただいたような記憶があるんですが、今回はこういうことについてはどういうふうにお考えでしょうか。まだこれから検討だということであるならばそれはそれで結構なんですが、お答えをいただけたらと思います。
  108. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) 雇用促進事業団の業務には、能力開発の業務あるいは助成金の支給等の業務がございますけれども、特に能力開発等各種施設の周知、広く利用者の方に利用してもらうための周知につきましては、現在でも新聞やテレビ等マスメディアを活用しますと同時に、インターネットのホームページを本部だけでなくて地域の各雇用促進センターにも開設をいたしまして利用していただいている、あるいはリーフレットやパンフレットはさらに積極的につくりたいと思います。
  109. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 ぜひお願いをいたします。  ちょっと苦言を申し上げますと、私の地元へ帰りましてハローワークへ行きますと、先ほど申しました助成金のパンフレットがあるかと聞きましたら、いやそれは実はまだないんだというようなところがありましたものですから、恐らく何かの手違いでなかったんだろうと好意的に解釈をしておりますが、ぜひお願いをいたします。  また、その能力開発の中で、先ほども谷林委員も言われておられましたけれども、ベンチャーについて、本当に起業家精神を喚起するようなものになればいいなというような話であります。  ただ、今、日本の国内でベンチャーといっても、企業内ベンチャーと、あとはベンチャーキャピタルなどでも金融、企業の系列から受けるキャピタル事業といったようなことがほとんどである状況だろうと思います。今ここで新しく能力開発プログラムの中で目途とされておられるのは、そういう企業内ベンチャーであるとか系列のベンチャーということではなくして、本当に一からの創業ということだろうと思うんです。なかなかそういう意味ではふえない、今のこの日本の現状では厳しい状況だろうと思いますが、このような本当に新規の、その目途とするフロンティアを開発するような、そういう事業活動を人材面で支援していくことについて、大臣、その御決意のほどをお伺いいたしたいと思います。
  110. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 私は、労働大臣になる前に産業政策を長いことやっていまして、何とかベンチャービジネスがどんどん起こってきて、それがあすの日本経済を支えていくようにならないものかということでいろいろ研究をさせていただきました。  なぜアメリカは多くて日本はそうはいかぬのだろうかと、いろんな理由があります。一番大きな理由は、要するにアメリカではベンチャーで成功している人が見渡すとすぐ身近にいるのでありまして、そういうところからアントレプレナーシップといいますか、自分も彼みたいにという思いはかなりみんな強いのと、そういう事例がうまくあるものでありますから、エンゼルという個人投資家が育っていて、しかもそういうことに投資、出資するのになれているわけですね。  それからあと、リスクを判断するような調査機関もちゃんとできているし、あるいは産学連携と申しますか、大学産業界が非常な連係プレーをとって、きのうまで大学の教授がきょうは会社の社長になるというのが当たり前にごろごろしているし、いろんな意味で成功事例が出てきているものですから、うまくみんなが回ってきているんですね。  それとあと、ベンチャーキャピタルも育っているんですけれども、覚悟の度合いが違うと思うんです。日本のベンチャーキャピタルというのは金融機関系が中心ですけれども、ほとんど一緒に苦労して問題を乗り越えようという意思がないんですね。いかに回収を担保するかということに走っちゃう。だから、金を貸すとまず土地を買えと言うし、自社ビルを建ててくれ、それを担保にくれという話になっちゃうと。  アメリカのベンチャーキャピタルに言わせますと、本物になっていく間に必ず二回は倒産の危機に瀕する、それを創業者と出資者が同じ気持ちになって歯を食いしばって乗り越えることができるか、その覚悟があるかどうかということが大きいということも聞きました。  それに、重要な要素というのは、ベンチャーというのは当面収入がありませんから、固定費がいろいろと圧迫をしていきます。その中で人件費というのは大きい要素だと思っております。先般、中小労確法を改正いただきまして、その固定費部分についての支援体制をとったわけであります。人材というのは重要な要素でありますし、今までの中小労確法で高度人材というのはありますけれども、高度人材といかないまでも、一緒に業を起こして頑張ってくれる人材の固定費をカバーするというシステムというのはベンチャーにとっては非常に大事だと思っておりますので、その部分で大きな助けになると思います。  ただ、これで全部が解決したということには正直言ってならないと思いますから、ベンチャーが立ち上がっていく要素のうちの大きな部分の一つはこういうのができたというふうに理解しておりますし、まだ、これは私の分野じゃないかもしれません、産業政策の分野でありましょうけれども、やっていくことはたくさんあるというふうに思っております。
  111. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 資金面、それから先般の大臣の言われた制度面からの援助ということだろうと思うんですが、ただ、先ほど谷林委員も言われましたとおり、この機構法案の中で、この新しい法律案をつくったことでベンチャーマインドが育つと言ったらちょっと大げさかもしれませんが、そういう人材というか、そういう一歩前に出るような制度ができないものかというふうに思うんです。  確かにこれは産業政策の中にちょっと一歩踏み込むような話になるかもしれませんので、ぜひ大臣も前向きにその連携をとっていただいてやっていただきたいなと。  時間がありませんものですから、最後の質問をさせていただきます。  前回のさまざまな助成金のときもそうでしたし、この労働委員会で審議をすると必ず、いや、ちょっと一応見直し規定を入れておこうというふうによく話をします。その見直しというのはどういうことかといいますと、やっぱり状況が新しく一歩進んだら、状況がどんなものなのかということをもう一度フィードバックして見直しをしなければいけないということだろうと思います。  今回そういったことについて、その実施状況を、先ほども言いました、助成金は、制度はつくったものの余り利用はされておらないという結果もあったようであります。その実績について、社会にどれだけ貢献をしておるかというようなこと、それから業務の実施結果、また就職の状況だとか、いろんなことを公開して、今国会で、前の質問でも言いましたけれども、情報公開法案も衆議院で通りまして、二年後にその見直し規定もあるようですけれども、特殊法人の情報公開といったことも議論に上るかと思いますので、その辺について、その見直しについてどのようなお考えでいらっしゃるか、取り組みをお伺いしたいと思います。
  112. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) まず、新機構の行います業務の状況あるいは決算の状況、こういったものは、現在の雇用促進事業団法にも、財務諸表等々あわせましてこれを五年間公開するという規定がありまして、今回の改正案にも同様の規定を盛り込んでおりますので、これから新機構が行います業務については五年間は閲覧し公開するということになろうかと思います。  また、おっしゃいましたように、いろいろと計画を立て、予算を組みましても、実際に効果が上がらなければ意味がないことですから、不断の事業の見直しと、もしうまくいかないときには原因の究明ということは不断にやっていかなければいけないと思っておりますので、そういった具体的なあり方については十分に検討したいと思います。
  113. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 ありがとうございました。
  114. 山崎力

    山崎力君 最後の質問になります。  今回の雇用促進事業団廃止、それに伴う雇用能力開発機構設立ということで、その意義についてそれぞれの委員から各方面において質問がございましたけれども、それをトータルした形で、今回の雇用能力開発機構、これは何をとにかく最終目標とするのか、同時に、今の政府のいろいろな関連法人の整理統合その他の問題からいくと、一番のポイントは、将来的にどれだけ国の予算をつぎ込むことにして、どういうことをしようとしているのか、スタートの時点でいろいろ経過その他あるかもしれませんが、その辺の将来像はどうなんだということをちょっとまず教えていただきたいと思います。
  115. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 今まで各先生から御指摘をいただいてきましたとおり、行革の方向を受けて雇用促進事業団が従来行ってきた業務を一度原点に立ち返って精査をしてみる。そうしたところが、もう雇用促進事業団の手を離れていいのではないか、あるいは歴史的な使命を果たし終わったのではないかという部分はこの際業務から切り離して、そしてこれからむしろ重点的にやっていくべき業務について精査をして、そこに特化をした政策を推進していくということで、雇用能力開発機構という新しい組織に模様がえをして、組織全体と業務全体を見直させていただいたわけであります。  予算とか職員の削減がどういう形になるかということにつきましては、予算でいいますと二百十億円縮減、節約ができるわけでありますし、職員でいいますと百六名の職員定数の削減をするということができるわけであります。  そして、新産業がこれからできてくるわけでありますけれども、そこに優秀な能力を備えた労働力をしっかりと適宜適切に供給していく。そのために公的な機関として果たすべき職業能力開発というのはさらに重要味を帯びてくるでありましょうし、あるいは現下の雇用情勢下で、ただ手をこまねいて橋渡しをやるということだけではなくて、積極的に雇用の開発をしていくというところまで今回踏み込ませていただきましたけれども、その部分について取り組んでいく使命が重点施策の中で中心的な役割を担って、これからも雇用能力開発機構が取り組んでいくべき施策ではないかということで、一遍業務を見直して精査し、パワーアップするところはパワーアップして新しくスタートをするということでございます。
  116. 山崎力

    山崎力君 そういったことなんだろうとはわかるんですけれども、まだスタートする前段階ですから無理はないんですけれども、なかなか具体像、将来像が見えてこない部分がある。これは御承知のとおり、今の社会全体の雇用情勢が将来像が見えないというのとオーバーラップをしている部分だろうとは思うんです。  それだけ難しい中で、できるだけ削って、国の予算をなるべく使わないで、それでいて効果を上げていただくという立場でいくわけですが、もう一点この問題であるのは、先ほどからも何回も出ていましたけれども、本来の労働省の仕事という範疇だけにとどまらない省際間というのでしょうか、先ほどどういう表現をされましたか、重なり合う部分、そういった部分での問題が出てこようかと思うんです。例えば、それでは学校教育との関連はどうするんだとか、あるいは雇用情勢からいくと通産省の産業育成とどう絡むんだとか、その辺のところで二重投資にならないようにというのは、これは釈迦に説法ですけれども、お願いしたいところでございます。  そういった中で、今までは大企業中心に中小でも、働いた労働者が素直に親方あるいは上司の言うことを聞いていればそこの業種の仕事を覚えて次に伝える、そこで給料をもらえるだけの能力を持つというのが半ば自然な形で行われてきた部分がございますが、この厳しい中で、自分たちが積極的にこういう能力があるから雇ってくれと、こういう自主的な能力開発というものが当然叫ばれてきている部分があるわけですけれども、そういった点についてこの機構あるいは労働省としてどう取り組むのかという点はどのようになっておりますでしょうか。
  117. 日比徹

    政府委員日比徹君) 御指摘のように、最近の急激な産業構造の変化の中で、高い成長が期待される分野において必要とされる人材の育成を図るというのは非常に重要でございますし、また、御指摘いただきましたように、労働者の自主的あるいは自発的な能力開発ということの支援というのは極めて重要となっております。労働省におきましては、こういう自己啓発に関する相談援助等の推進を図るということ、また労働者が主体的に教育訓練を受けた場合に負担した費用を直接助成する教育訓練給付制度の推進等を図っておりますが、今後とも、こういう施策によりまして自発的な職業能力の開発に対する支援の推進を図ってまいりたいと考えております。
  118. 山崎力

    山崎力君 そういった御答弁だろうと思うんですけれども、これは言うはやすく行うはかたしで、本当に必要とされる特殊な能力、国家資格を持つような能力をやりたいといったときにどこまで支援すべきなのか。  例えば、私は医者の大学を出たのだけれども国家試験が受からない、受かるまで何とか面倒を見てくれ、その勉強の面倒を見てくれといったところをやるなんということはだれが考えてもおかしいねという話になるし、あるいはもっと、非常に言葉は悪いんですけれども、時代おくれでニーズがなくなっているところの職業訓練あるいは能力を持ちたいといっても、これもまたむだな投資になる。将来を見据えて、あなたのこういった能力を身につけることは近い将来非常に需要が多くて就職しやすいでしょう、あるいは日本の産業の発展に貢献するでしょう、こういったものを見つけて、そこのところをやろうとする人に適当な援助をする、こういう二段階を踏まなければいけないわけです。  その辺のところがみんなわからずに困っているような、それぞれの立場で個人がこれがいいんじゃないかというところをやろうとしているところを、公の機関がこんなものでしょうと、業界その他産業界からの情報もあるんでしょうけれども、その辺のところをどう乗り越えていくのかなというのが、総論はいいんですけれども、各論になったときにちょっと見えてこない部分がある。そういうふうに感じるわけでございます。  そういった具体策として雇用対策をどうするんだということも当然出てくるわけですけれども、そこのところが一種の雇用対策になるわけですが、その辺のところを大臣、どのような考え方でやろうとなさっているわけでしょうか。
  119. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 能力開発と就業の関係、それから能力開発自身が時代を先取りする能力開発にどう設計をしていくか。あるいはその職業能力をつけてももう既に何の役にも立たないのをどう排除していくかというか、外していくか。これは従来、個人とそれから企業内あるいは失業者が職業能力をつけていく、いろいろな場面で職業能力開発ができるようにしておりますが、十二月から始まった個人の自分のオフタイムに職業能力をつけていくということに関しましては、ニーズの高いであろうというところを積極的に指定をしております。もう既に四千講座を超えていると思いますが、これは正直言いまして、それによって万能の職業能力をつけるというところまではいかないじゃないかと思います、持っていればよりプラスになるような部分だと思いますが。  それとあと、職業訓練施設やあるいは職業訓練学校等で、本格的な施設職業能力を身につけていくということに関しましては、常時、講義の内容の見直しをしてくれということを大臣に就任以来担当局長に指示いたしておりまして、つまりそこで行われている講義の内容が何ら魅力的でない時代に取り残されたような部分であってはならないと。何を先取りしていくかということに関しましては、大ざっぱに言いますと、これからを担う新産業十五分野の中に位置づけるような講義内容であるべきだというふうに思っておりますが、その中で具体的に何をどうしていくかというのは、これから日々いろいろ議論をしながら科目の設定、講座の設定をしていかなきゃならぬなというふうには思っております。
  120. 山崎力

    山崎力君 やはり大臣でもなかなか具体策になってくると本当に難しいことだろうと思うんですが、私はちょっと水を差すようなんであれなんですけれども、もう少し特化をもっと割り切った形の特化にした方がいいんじゃないかなという感じがしております。  特に今の離職者、転職者、そういった人たちが、先ほどもちょっと同僚議員から出ていましたけれども、なかなか職場をいづらくさせられるような人たちがふえてきている状態で、それから先ほどのベンチャーの問題もありましたけれども、すべてに絡むのは、余り使いたくはないんだけれども、社会全体のセーフティーネットをどうするのか。具体的に非常に思いつき的に言えば、失業保険の期間をもう少し長く持っていった方にお金を特化した方がむしろ今の御時世にはいいんじゃないかと。非常にみんな縮こまって今世の中が動かないというのは、離職したときの不安感というのが強いわけでございまして、そういった点からいくと、やはり最低限の人間らしい生活、これは労働省から離れちゃう可能性があるんですが、そこは保たれるんだと。  ただそこのところで、ただ怠惰な生活をして生きていればいいというのではこれは人間らしくないわけで、そういった人たちがいわば敗者復活といいますか、一たんはここで失敗して離職せざるを得なかった、あるいはセーフティーネットで助けられた、だけれどもそこのところにずっととどまっているのじゃなくて、もう一回何かいいチャンスがあればそこからまた新たな人生なり職業なりをやっていく。こういう体制を制度的につくる方が、悪いとは言いませんけれども、そういうふうな細かなことをやるよりも、そっちの方にどさっと予算をつけた方がむしろ今の世の中はいいんじゃないかなという感じを私自身この審議を通じて感じているわけです。  確かにきめ細かいのは必要かもしれないけれども、木を見て森を見ずというところがあるのかもしれませんけれども、そういうふうな感じもしまして、先ほども言いましたいわゆる敗者復活の道をどのように組み立てていくかというのがこれからの時代労働行政の根幹ではなかろうかというふうに感じているんですが、その辺の大臣のお考えを伺って、時間ですので私の質問を終わりたいと思います。
  121. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 敗者復活の道筋を立てる、これは非常に大事なことだと思います。その際、事業家としての敗者復活と雇用者としての敗者復活とあると思います。事業家としての敗者復活は、要するに失敗したときに身ぐるみはがれないという仕組み、まさに有限責任で次に臨めるという仕組みをちゃんとつくるということが大事だと思っています。それから雇用者については、再挑戦をするまでのリハビリ期間をきちんと設ける、これが大事だと思います。  ただ、先生御自身が今御指摘になったように、何もしないで漫然として待機しているというのじゃなくて、その間に力をつけていくということで、トレードを待っている選手がただ遊んで待っているのじゃなくてトレーニングしながら待っている、そうするといきなり一軍登録できるということになりますから、トレーニングをしながら待っている期間をちゃんと確保するということが大事だと思います。  私は、訓練延長給付という制度がありますが、これの指導を受けて、その後に再就職率がどのくらいかの追跡調査をやれということをやっておりまして、訓練期間が終わって直ちにという就職率が六十何%だと思いますが、その後何カ月以内にというのは相当高い就職率になっております。  ですから、これはただ漫然と待つよりもはるかに再就職率を上げていると思いますので、その教育訓練の給付についてしっかりとやっていくというのが再就職率を上げる、つまり雇用者のセーフティーネットをしっかりするということで非常に大事だと思っておりますので、そっちの面でしっかりやっていきたいというふうに思っております。
  122. 山崎力

    山崎力君 終わります。
  123. 吉岡吉典

    委員長吉岡吉典君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 吉岡吉典

    委員長吉岡吉典君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  雇用能力開発機構法案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  125. 吉岡吉典

    委員長吉岡吉典君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、笹野君から発言を求められておりますので、これを許します。笹野貞子君。
  126. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 私は、ただいま可決されました雇用能力開発機構法案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、社会民主党・護憲連合、自由党及び参議院の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     雇用能力開発機構法案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について適切な措置を講ずべきである。  一、雇用能力開発機構において、その業務運営の円滑適正化に資することを目的とする機関として、公労使を含む関係者で構成する運営協議会設置するとともに、同機構中小企業事業主労働者にとって利用しやすいものとなるよう各種の情報提供や相談援助の充実を図ること。  二、企業活動の高度化に対応しうる人材を育成するため、雇用能力開発機構における職業能力開発事業の一層の拡充・強化を図るとともに、自発的に職業能力開発を行おうとする離転職者を始め広く労働者個々人が、高度な知識技能を習得することができるよう、教育訓練給付制度の積極的活用並びに段階的かつ体系的な職業訓練体制の整備・充実を図ること。  三、ベンチャー企業等活力ある中小企業における新たな雇用機会の創出の促進及び中高年労働者の失業なき労働移動への支援に資するため、雇用関係助成金の積極的活用を含め雇用開発等に関する事業主支援事業の一層の拡充・強化を図ること。  四、移転就職者用宿舎及び福祉施設譲渡並びに譲渡までの間の管理運営に当たっては、利用者へのサービス低下を招かないよう十分配慮するとともに、当該施設地域振興に資するよう地方自治体等と十分に協議すること。  五、この法律の施行後三年を経過した場合において、雇用能力開発機構の業務運営状況を勘案しつつ、この法律の各規定について見直しを行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ御賛同いただきますようお願いいたします。
  127. 吉岡吉典

    委員長吉岡吉典君) ただいま笹野君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  128. 吉岡吉典

    委員長吉岡吉典君) 全会一致と認めます。よって、笹野君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、甘利労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。甘利労働大臣
  129. 甘利明

    国務大臣甘利明君) ただいま決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重し、努力してまいる所存であります。
  130. 吉岡吉典

    委員長吉岡吉典君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 吉岡吉典

    委員長吉岡吉典君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十九分散会