○松あきら君 松あきらでございます。
短い時間でたくさん伺いたいことがございますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
午前中の審議の中で経企
庁長官は、景気の回復の兆しが見えてきたということで、兆し兆しと何回もおっしゃったように思いますけれども、私は今景気の回復の兆しが見えてきたとはどうしても思えないわけでございます。
今なぜ景気が回復しないのか、個人消費が伸びないのかと思いますと、第一に老後の不安があるのではないかと思います。そして、不透明な先行きの不安、やはりこれが大きいというふうに思います。
年金、医療費そして介護など、社会保障への
国民の不安がやはり消費をひどく落ち込ませている、あるいは冷え込ませていると思わざるを得ないわけでございます。調査によりますと、
国民の約七割の方が老後の不安を感じておりまして、そして老後は公的な支え、つまり
年金で支えてほしいと
考えられているわけでございます。
そこで、私は本日、主婦でありまた母親であり働く者の立場から、
年金問題を中心といたしまして、
総理大臣並びに
厚生大臣に質問をさせていただきたいと思います。
私は長い間宝塚歌劇団におりまして、実は宝塚歌劇団に労働組合があったということを申しますと皆さんびっくりするわけでございます。ほとんど御存じないわけでございます。
宝塚はことしで八十五周年ですけれども、実は今までは普通の会社と同じように雇用制度だったわけです。二十数年前になりますけれども、御存じでしょうか、「ベルサイユのばら」というのが大ヒットいたしまして、それまで何十年と宝塚は実は赤字続きの大変な経営状態でございまして、それが初めてとても大きく黒字になったわけでございます。そこで、何を
考えたかと申しますと、つまり五百名近くいる生徒、いわゆる団員、のほとんど、初舞台から何年間かのほんの一部を除いて全員解雇をして、その黒字の分で退職金を払って自由契約制度にする、こういうことを
考えたわけです。
私はその当時すみれ組合の
委員でございまして、花組で二人だけ選ばれておりまして、当時は四組でございましたけれども、大変な騒ぎになって、五百名近くが全員集まりまして連日連夜いろいろな議論を闘わせました。
非常にびっくりいたしました。まず厚生
年金がなくなる、そして健康保険がなくなる、大問題だったわけですね。とても華やかに見えますけれども、舞台をやっていますと、空気が悪いところで公演するのでよく肺の病気とかになるわけです。それと、ライトがおっこちてくるとか大道具が倒れてくるとかせりがおっこちて、けがは本当にしょっちゅうあるわけなんです。
ですから、健康保険が使えない、あるいは厚生
年金ずっと掛けていたのにどうしようか。結果は、半年以上闘いましたけれども敗れまして契約制度になりました。二十年払わないと厚生
年金いただけないので、私もあと何年か残りの年数を自前で全部毎月大変な思いをして払ったという私
自身の経験からしまして、やはり公的な支えがないと非常に不安であるという、そういう体験をいたしました。
そこで、きょうは不況下における厚生
年金の事業者による保険料の未払いについてまずお伺いをしたいと思います。
大手の企業も今企業
年金が問題になっておりますけれども、不況で中小企業が倒産したりリストラが進みまして、保険料を支払うのも大変な企業がふえているわけでございます。例えば、せっかく買った機械設備を滞納の保険料を払うために売り払う、まだ足りなくて工場を
一つ閉鎖する、あげくの結果は業績が落ちて倒産したという事実も聞いているわけでございます。経営の悪化で保険料の支払いができなくなってしまってその結果会社が倒産してしまっては、従業員にその後の期間に相当する厚生
年金も当然のごとく支払えない、こういうことになるわけです。こんな事実を放置しておくわけにはいかないわけでございます。
年金のシステムを安定化させることは、
国民生活にとりまして先ほど来出ております
金融システムを安定させると同様、あるいはそれ以上に極めて重要であると私は思うわけでございます。
金融安定、そういうことで、先ほども同僚議員から出ましたけれども、多額の
公的資金が金融
機関に導入されまして、ひいては多額の借金を抱えるゼネコン等が救済されることになる。
国民生活に直接
関係する
年金システムの安定化には、例えば今例に挙げたような事態に対応するためには十分な
公的資金による措置がとられていないわけでございます。これが現状なわけでございます。
そこで私は、このような現状にかんがみまして次の
提案をいたしたいというふうに思います。
経営の悪化により保険料の支払いができなくなった事業者について、例えば時限立法で景気回復するまでの二、三年間は
公的資金による保険料の支払いを担保する保険制度を創設する。すなわち、未払いの保険料に相当する金額を事故発生のときから一定期間保険会社または公的
機関が会社または事業者にかわって支払ってくれるわけです。その保険料相当金額は
公的資金によって賄って中小企業の経営をバックアップするという、こういうシステムを構築したらどうかと。こうすることによりまして保険料の未納、不払いに起因した企業の倒産を防ぐことが可能になるわけでございます。これはひいては働く従業員のためにもなるというふうに思います。
また、保険料の支払い猶予については、行政の運用に任せるのではなくて、きちんと法律に裏づけられた保険料の支払い猶予制度、これを創設していただきたい。
この二点を
提案させていただきたいと存じますけれども、
厚生大臣並びに
総理大臣の御
意見を伺いたいと思います。