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国務大臣(
野呂田芳成君) 御質問はこの法案の生命となるところでございますから、多少詳しく
説明することをお許しいただきたいと思います。
法案では、自衛隊が行う新たな活動として、御
承知のように後方地域支援、それから後方地域捜索救助活動、船舶検査活動を規定しているわけですが、まずこの後方地域支援と後方地域捜索救助活動について申し上げますと、後方地域支援というのは、御
承知のとおり周辺事態に際しまして、日米安保条約の目的の達成に寄与する活動を行っている米軍に対する補給、輸送等の支援
措置を行うものであります。また、後方地域捜索救助活動は、周辺事態に際しまして、戦闘行為によって遭難した戦闘参加者の捜索救助を行うこととしております。
これらの活動は、それ自体として武力の行使に該当せず、また後方地域において行うこととされていることから、この法案に基づいて
実施することを想定しているこれらの活動が米軍の武力の行使との
一体の問題を生じさせることはないと想定されております。また、本法案におきましては、事前に予定されなかった攻撃が活動
実施中に発生したとしても、
実施区域の指定の変更とか、あるいは活動の中断等の
対応をとることによりまして、これらの活動が戦闘行為が行われている場所で
実施されないことが担保されているところであります。
次に、船舶検査活動についてでありますが、船舶検査活動は、
経済制裁
措置の実効性を確保することを要請する国連安保理決議に基づき、船舶の航行
状況の監視、呼びかけ、船籍、目的地等の照会、同意を得ての船舶検査、進路変更の要請を行い、これに応じない船舶に対しては説得を行うこととしている。この際には、説得に必要な限度において接近、追尾、伴走及び進路前方における待機といった
措置をとることとしてありますが、上述のような態様で行うこの船舶検査活動は、制裁対象国との
関係を含め、武力の行使または武力による威嚇に当たるものではなく、憲法上問題となることはないと確信しております。
さらに、船舶検査活動は、他国の検査活動と明確に区別された海域において、
我が国自身の主体的な判断に基づき、必要な一連の検査活動を行うものでありまして、仮にいずれかの国により検査活動に伴って武力の行使が行われた場合であっても、かかる他国の武力の行使と
一体化すると評価されるものではなく、憲法上問題が生ずることはないと思います。
さらに、法案の第十一条においては、後方地域捜索救助活動または船舶検査活動のうち、一定の職務を行うに際し、自己または自己とともに当該職務に従事する者の生命または身体を防護するための武器の使用を規定しているところでございますが、これはいわば自己保存のための自然的権利とも言うべきものでありますから、そのために必要な最小限度の武器の使用は憲法九条一項で禁止された武力の行使に当たるものではない。
こういうことで、この法案はあくまでも憲法の範囲を越えないという慎重な配慮をしたつもりでございます。