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佐藤道夫君 最後になりました。朝来さぞお疲れと思いますが、いましばらく御辛抱ください。
私は、午前中の質疑で出ました四
文字、
富国有徳、この
富国の方は切り捨てまして、
有徳の方につきましてちょっとお尋ねしてみたいと思います。
政治家の徳のあり方、
政治倫理、モラル、こう言ってもいいと思います。
そこで、野中
官房長官にまずお尋ねをいたしたいと思います。
野中
長官は、
平成八年に「私は闘う」という本を出されております。その第三章は「小沢一郎との闘い」、一章を割いて小沢氏に対して極めて厳しい非難を浴びせております。こんなことを言っていいのかと思うぐらいであります。
ちょっとサンプルを挙げてみますけれども、大恩人を売った男は人間として許せない。そのころは保保連合と言っておりました。保保連合の構想が実現したら私は体を張ってでも阻止する。それから小沢氏の行動、これは独断専行、秘密主義、唯我独尊、側近
政治、強権的、これはとてもまともな
政治家とは思えない。
日本にいる
政治家とは思えない。それぐらいです。その次が大事です。
政策が似通っていようが
政治の原点は信義である、信義をわきまえない人と手を組んでこの国の将来を一緒にやっていくようなことは
政策以前の問題であると言っております。
政策が合うから一緒にやっていこうとかそんな問題ではない。私もこのとおりだと思います。
それから、そのころ雑誌その他のマスコミのインタビューに応じましていろんな話をしております。これはインタビューですから、マスコミが勝手に推測をして書いたものではなくて、インタビューの記事というのは、記者が原稿にまとめまして、後で会った人のところに持ってまいりまして、これでよろしいか、いいですよということでそれが記事になるわけであります。
九七年五月号の宝石、私はどうしても小沢一郎とは組めない、彼が歩んできた道は我が国を危険にする道だという信念を持っている、彼がトップにいる新進党とは絶対に組めないと。彼は今自由党のトップだと思いますけれどもね。
それから、九七年五月の週刊朝日、これもかなり権威のある週刊誌であると思います。亡国の独裁者小沢一郎と組むやからは自民党を去れと言っております。しかも、これは私怨ではない、この国の将来を
考えるときに危険な
政治家の一人と思うからであると。
それから、ある自民党内の有力
政治家が小沢氏に接近した際に、その人に対して、悪魔と手を握るような悪魔はぶっ殺す、こう言っております。かなり物騒な言葉でございます。要するに悪魔と手を握れるのは悪魔しかいない、そういう趣旨であろうと思います。
それから、九六年七月の週刊宝石で、岩見隆夫というかなり高名なジャーナリストですけれども、彼との対談の際に、小沢さんと
連立をするようなことがあるのかと、そのとき私は党と決別します、こうはっきり申しております。
国民はこれを聞いておりまして、あるいは読んでおりまして、なるほど小沢氏とはそういう人なのか、私もそう思うなと、そう思った
国民も相当おるのだろうと思います。一方、野中氏というのは極めて筋目を通す
政治家であると、そう
考えた
国民が非常に多いと思います。
ところが、一夜明けてみましたら、みんなあっと驚きました。昨年の十一月、今度は自自
連立、こういう言葉が使われ出しまして、その仕掛け人は、どうもマスコミによると野中
官房長官だ、こう言われております、真偽はわかりませんが。その当時のマスコミで、野中氏は小沢氏にひれ伏してでも協力を願いたいという趣旨の話をしておったと、これはどの新聞も載せておることでありますから、間違いないことだろうと思います。
悪魔と手を握るのが悪魔ならば、悪魔の前にひれ伏すのは一体これは何だろうか。虫けらかというふうに
考えた人もおろうかと思う。失礼はお許しください。かつて、ヒトラーとスターリンが手を握ったんです、独ソ不可侵条約。あのとき西側の諸国は、悪魔と悪魔が手を結んだ、これは大変なことだ、戦乱のおそれありと言って皆驚き恐れたわけですが、現実はそうなりまして、人類史上初めてと言っていい大戦争が起きまして、結局命を失った人が何千万人という大災害にもなったわけであります。
さて、この国はどうなのか。
政治家である以上はやっぱりおのれの言動に責任を持つ、これは一番大切なことです。何か
連立をお組みの際はもう決別するんだというようなことも言っておられました。これもまた私大事なことだろうと思います。そういうことは一体どっちへ行ってしまったんだろうかと、こういう気がしてしようがないわけであります。
どうかひとつ存念を述べていただきたいと思います。
官房長官として、今の
政治を仕切っているのは、
日本の
政治を仕切っているのは野中
長官だというふうにも言われておるぐらいでありますから、
日本の
政治がいかなる人によって導かれているのか、
国民はやっぱり知る権利があると思います。これは、
経済不況を乗り切るために小沢氏の率いる自由党との協力がぜひとも必要だったというようなことをおっしゃることはできないと思います。
政策以前の問題だということをはっきりあなた述べておりますからね。
それから、何といっても、これは悪魔だと自分が言った人と手を結ぶのは、結ぶ人も悪魔だということも言っておりますから、
国民のサイドから見ましても、少しぐらい景気を回復する、悪魔の力をかりる、そんなことはやめてくれと
国民は言うと思いますよ。
あれこれ申し上げて大変申しわけないと思いますけれども、どうか野中
官房長官の存念を
国民の前にはっきりと聞かせていただければありがたいと思います。これは
国民が皆知りたがっていることだと思います。