○久保亘君
国民生活・
経済に関する
調査会の
中間報告について、御
報告いたします。
我が国経済社会においては、急速な少子高齢化、国際化、情報化、価値観の多様化などのさまざまな
変化が生じております。
このような
状況のもとで、二十一
世紀を
活力あるものとするためには、百年後に
我が国の人口を半減させるほど深刻な少子化そのものにメスを入れ、早急に対策を立てる必要があります。同時に、
経済社会の
変化に適切に対応し、次世代の健全
育成を図り、国民一人一人が能力を継続的に高め、これを発揮できる
社会システムを
構築することが重要であります。
かかる
認識に立ち、本
調査会は、
調査項目を「少子化への対応と生涯能力発揮
社会の形成」としたところであります。これまで、
政府からの説明聴取、
参考人からの
意見聴取、
委員派遣による実情
調査、さらに
委員間の
意見の交換等を行い、
調査項目全般について鋭意
調査を進めてまいりました。
これらの
調査を踏まえ、このたび各会派の
意見の一致を見て
中間報告がまとまり、これを
議長に
提出いたしました。
以下、その概要を申し上げます。
まず、少子化の
現状と対応についてであります。
少子化は、長期にわたり極めて深刻な
影響を
我が国社会に及ぼすものと危惧されております。このため、早急に対策を講ずることが求められております。
少子化対策を講ずるに当たっては、まず国民間において広範なコンセンサスが形成される必要があります。少子化は個人の価値観や意識とも深くかかわって生じており、対策が有効なものとなるためには国民の理解が不可欠であるからであります。この点で国民の代表から成る国会の役割は極めて大きなものがあります。
また、少子化の原因である非婚化や晩産化は必ずしも個人が望んだ結果ではなく、心理的、
社会的なさまざまな要因の結果であると考えられております。こうした要因を取り除き、結婚や子育てに喜びを感じることができる
社会を形成することは、
政治に課せられた大きな課題であります。
その際、総合的かつ長期的な取り組みを図るため、少子化に関する基本法制の検討を含め、
施策の
実施体制を整備する必要があります。
次いで、次世代の健全
育成について申し上げます。
現在深刻化している子供や青少年の病理的現象に対し、対症療法的な対策をとるだけでは問題の
解決にならないことは申すまでもありません。
今日の子供をめぐる問題は、自己の利害や物質的な価値を優先しがちな今日の
社会の
あり方や、少子化、核家族化を背景とした
社会の
変化と密接に関連して生じてきております。
こうした観点から、子供の成長に対して、家庭と学校が互いの責任を強調するのではなく、家庭、学校、
地域が手を携えて取り組むための方策について幅広い観点から議論し、
社会全体として対策を講じていくことが必要とされているのであります。
最後に、生涯能力発揮
社会の形成について申し上げます。
我が国が少子高齢化、国際化といった内外の大きな
変化に対応するとともに、来るべき
世紀を明るく豊かなものとするためには、国民一人一人がみずからの価値観や能力に従い多様なライフスタイルを実現でき、また、年齢や性別に制約されることなく、職場、
地域、家庭等においてみずからの能力を
最大限発揮できる
社会を形成することが必要であります。
このため、生涯にわたり学習や能力開発ができる
環境の整備、
女性、高齢者や障害者がその能力を発揮できる職場
環境の整備、ベンチャービジネス、NPO等新たな活躍の場の形成が課題とされております。
以上の諸課題について、二年目以降さらに精査し、二十一
世紀の
国民生活をより豊かで
活力あるものとするための方策を探っていくことといたしております。
以上、御
報告申し上げます。(
拍手)