○浜田卓二郎君 私は、公明党会派を代表して、
産業活力再生特別措置法案につき、
総理並びに
関係大臣に
質問をいたします。
私は、
日本の
経済はいまだに
活力を持った
経済であると確信しています。そして、今日の深刻な長期デフレ
状況をもたらしてしまった
原因は明らかであるとも考えています。
一つは、たび重なる
経済政策の
失敗の積み重ねです。
すなわち、
政策転換のおくれでバブルを大きくし過ぎたために、総量規制等の非常手段で急ブレーキをかけざるを得ず、バブルをつぶし過ぎることになってしまいました。しかも、この急ブレーキを外すタイミングの判断を誤り、深刻なバブル崩壊の後遺症を残してしまったのです。
その上、不良債権の累積を初めとする後遺症を早期に取り除くことなく、甘い自律回復の期待の
もとに長く放置してしまう結果になったのです。このことが
金融システムを機能不全に陥らせるとともに、今日の深刻なデフレ的
状況をもたらしてしまったと考えます。
もう一つは、このような時期に
我が国経済が、
世界経済の一層のボーダーレス化、大競争化、さらに
国際的産業再編の進展の中で
構造変革を迫られつつあることであります。
この
二つの
状況の同時進行の中で、
日本経済の本来持てる力が覆い隠され、
人々は将来に対する
展望を持てなくなり、家計や
企業の財布のひもは締まり、消費も
投資も落ち込んでしまったのです。
以上、述べてまいりましたとおり、私は、
日本経済が今日の
状況に陥った
原因は明らかであり、したがって、この
原因を一つ一つ取り除き、かつ
経済の構造
変化を推進するために必要な手だてをきちんと打っていきさえすれば、
日本経済は本来の持てる力を回復できると確信するものであります。
小渕
内閣は、それ以前の
政策失敗の
反省の上に立って、宮澤蔵相の
もとで思い切った
政策の転換を図り、なりふり構わず
拡大策を打ち出してこられました。そして、
金融の正常化にも大胆に取り組んできました。この一年間の
取り組みと
努力は私も
評価するものであります。
しかし、いまだ
経済が自律的回復の軌道に乗ったか否か判断は分かれています。
失業も深刻の度合いを高めています。
総理の
我が国経済の
現状認識と、追加的
補正予算の編成も含めた今後の
取り組みについての御
所見をお聞かせいただきたい。
私は、
政策の
失敗により持てる力を発揮できなくなった
我が国経済の再
活性化はまさに
政治の
責任であり、今回の
産業活力再生特別措置法案の提出は時宜を得たものであると考えております。まずその意図はよしと私は考えます。
しかしながら、内容について幾つかの点を
指摘しなければなりません。
まず、この
活性化法の
適用を受けるためには、
事業再
構築計画を作成し、
主務大臣の
認定を受けなければならないとされていることです。
主務大臣が
認定するということは、官僚が
認定作業をするということです。
しかし、
事業がうまくいくか、
生産性が相当程度
向上することが見込めるか、このような判断を直接
事業に携わっていない官僚が当の
事業者以上にできるはずがありません。官僚は万能ではありません。官僚が経営に介入してきた事例は、
金融業にしろ農業にしろことごとく
失敗をしてきているのです。
しかも、役所は時間がかかります。役所に身を置き、その後民間サイドで苦労してきた私の口癖は、役所で一月かかることでも民間でやれば三日でできるということであります。
この
法律案を読んで感ずることは、かなりの大
企業で、時間も人手もあり、煩瑣で気の遠くなるような役所の手続に耐えられる限られたところだけがこの
制度の
適用を受け、特別
措置の
恩恵に浴せるということであります。つまり、再
活性化の
対象となり得る
企業は限られたものにならざるを得ず、
日本経済の再
活性化も限られた範囲にとどまらざるを得ないだろうということです。
だからといって、私はこの
法律を否定し去るわけではありません。これはこれでやればよい。そのために、
計画の
認定の手続をできるだけ簡素化し、書類の数も少なくし、短期間で処理できるようにすること、
認定の
基準を極力客観化し、官僚の恣意ができるだけ入り込まないようにすることは最低限必要であると考えます。
そして同時に、この
法律による対応は、
日本経済を再
活性化するための方法の一つにすぎないという
認識を明確に持つことです。今後、より進んだ広範かつ有効な対応につき、引き続き検討していくことです。
これらの点についての
通産大臣の御決意を伺いたい。
私は、この
法律案は、過去の過大
投資の清算あるいは大きくなり過ぎた
企業の方向転換など、時代の激変に対応し切れなかった比較的
規模の大きな
企業にとってはそれなりに有効な手段を提供するものとして
評価いたします。
しかし、
我が国経済の持つ
活力を広範に引き出して、真に
経済を
活性化し、
産業構造の
変化を推し進め、新しい
雇用機会をつくり出すためには、雑草のようにたくましい民間の創意や工夫に、行政が選別、介入することなく、
創業と
事業拡大のチャンスを
制度として保障していくことがより大切だと思うのであります。
過去の清算、後追い的
施策も重要ではありますが、将来に向かってこれから育つ芽を大きく伸ばす意欲的・積極的対応がより重要であります。
そのためには、まず、現在進行中の
我が国金融システムの正常化と、いわゆる土地本位とも言われた担保依存一辺倒の
金融から
事業本位の
金融への移行など、時代の要請にこたえられるバンキングの確立を急ぐことです。二〇〇一年四月一日からのペイオフ移行の時期を文字どおりデッドラインとして、
金融当局は徹底した不良債権の処理、新しい
金融ルールの確立を急ぐべきであります。
金融再生委員長の
金融正常化への
展望と決意をお聞かせいただきたい。
次に、
政策金融を新しく
企業を起こそうという意欲を持つ
人々にもっと広範かつ容易に利用できるものとすることであります。
その
意味で、本
法律案が
信用保証制度の
拡充、
都道府県による無
利子融資制度の
拡充などの
金融支援措置を講じていることは一定の
評価ができると思います。しかし、私は、もっと踏み込んで、今国会の
法律改正で誕生した
日本政策投資銀行に、思い切った
創業者及び新
事業の
開拓を行う
企業向けの専門
金融をやらせることを提案したいと思います。
現在、同銀行の前身である
日本開発銀行にも
ベンチャー企業向けの融資
制度はありますが、実績はわずか五十億円程度、その
金融に携わっているスタッフも十数名という名目的なものにすぎない
現状です。スタッフの大幅増員、資金枠の大幅な拡大により、本格的な融資体制をつくるべきと思います。
さらに、リスクを伴う
創業者及び新
事業の
開拓を行う
企業への
投資を
税制上優遇し、
投資を
促進する工夫も必要であると考えます。いわゆる
エンゼル税制の
拡充です。
これらの点について、大蔵
大臣の
見解を伺いたい。
さらに、私は、
日本経済再
活性化の決め手は、やはり各種規制の緩和ないし撤廃であることを再確認すべきだと考えます。一時、熱心に取り組まれていた規制の緩和、撤廃への熱意がどうも弱まったような気がしてなりません。しかし、
我が国の
現状は、いまだにそこに
法律があり、官僚がいるから
事業ができない
分野を多く残しています。
例えば、都市
計画法による多くの規制であります。この規制の緩和、撤廃が行政の末端まで徹底されれば、どれだけの地域開発
投資が動き出すかはかり知れません。
新駅の前で市街化調整区域のまま放置されている土地がどれだけあるか、建設省は多分その実態を知らないでしょう。また、線引きの見直しが遅々として進まない中で苦肉の策で考え出された地区
計画制度も、昨年十一月に地方自治体に通達されて以来、いまだに一件の
適用事例もありません。これが規制最前線の実情であります。
本気で
日本経済を
活性化しようとするなら、その材料は規制
国家日本のどこにでもあるのです。
法律の改変を急ぐとともに、単に
法律を変え、通達を出すだけでなく、地方自治体の直接の窓口まで含めて、教育、啓蒙を徹底すべきであります。
総理大臣の御
所見と御決意をお伺いして、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣小渕恵三君
登壇、
拍手〕