○大渕絹子君 私は、社会
民主党・
護憲連合を代表し、
財政演説並びに
平成十一
年度補正予算について
総理並びに
大蔵大臣に
質問をいたします。
深刻な不況はいよいよ
国民の身近なところまで押し寄せています。働き盛りの男性
自殺者が
増加を続け、地方銀行や信用組合の倒産がそれに拍車をかけ、
国民は不安を募らせています。
確かに、先ごろ発表されました本年一月から三月までの
実質経済成長率は年率換算で七・九%という高い数値を示しました。しかし、
経済界も半信半疑で見ておりますし、四月、五月の
景気の現状を示す一致指数は三七・五%と、
景気判断の分岐点である五〇%を下回っております。所得面から見ても、春闘も、今夏のボーナスも大幅ダウンになり、家庭
消費を冷え込ませています。
このような
状況でGDP〇・五%のプラス成長が達成可能かどうか、そのための具体的な手だてについて
小渕総理に
伺います。
日本の
経済成長を支えてきた終身
雇用、年功序列、
企業内組合の三点セットの
雇用慣行が崩れつつあります。従業員構成の高齢化の進展、
経済成長率の鈍化、不況の長期化などが
雇用の流動化を
促進させています。また、このたびの職業紹介にかかわる職業安定法と労働者派遣法の
改正で
雇用のあり方は大きく変化するでしょう。
我が国の
雇用はどうなっていくのか、どうあるべきなのか、
総理にお
伺いします。
雇用情勢は最悪の状態が続き、ハローワークは仕事を求める人々であふれています。五月の
完全失業率は四・六%、有効求人倍率は〇・四六倍と深刻さを増しています。OECDの予測では、
我が国の
失業率はさらに五・三%まで上昇すると試算されています。
そこで、今回の
雇用対策について
お尋ねいたします。
補正予算は五千四百二十九億円。労働保険特別会計枠にとどまることなく、一般会計予備費千五百億円、決算剰余金三千七百三十七億円を活用し新規国債発行を見送ったことは評価しますが、現在の
雇用状況を打ち破るにはいまだ不十分と言わざるを得ません。
大蔵大臣はいかがお
考えでしょうか。
失業の発生を事前に防ぐために
雇用調整助成金の助成期間の延長が有効だと思います。また、
失業者に対する失業給付金の期間の延長や、技能・教育訓練期間についても所得を保障する
制度の拡充が必要です。倒産した
企業の未払い賃金の立てかえ払いの上限枠の引き上げや、立てかえ
制度の
対象にならない内職者等に対する見舞金
支給、日雇い労働者の失業手当、健康保険の受給要件の緩和など、解雇や倒産に追い込まれた人々の再出発を
支援するきめ細やかな
対策が求められます。
成長が期待できる十五分野で、非自発的
失業者を前倒しで雇う事業主に奨励金を
支給することで十五万人の
雇用創出を見込んでいます。しかし、これらの成長分野は専門的な知識や技能が必要であり、求職者との間にずれが生じています。これをどう
克服していくつもりですか。
政府は、産業構造の転換を
雇用面から促し、失業なき労働移動
支援であると意気込んでいますが、この間、成長産業では当然人材確保が進んでいるはずであり、
政府の
対策が
雇用拡大につながる保証はありません。
地方自治体と国との民間への事業委託により三十万人の
雇用を
創出するとしていますが、事業の期間を二年に限定した上、同じ人の
雇用期間は半年までとし、その上、学校などへの
雇用以外は直接
雇用しないということですが、これでは実効性の確保はまことに疑わしいと言わざるを得ません。
自治体による
雇用の
創出を、医療、介護、教育、環境など、
国民が求めている分野に長期的に、継続的に
予算をつぎ込むことが必要です。
以下、順次申し上げます。
医療の現場では過重労働が蔓延化し、思わぬ医療ミスが多発をしています。ゆとりある医療のために
雇用拡大を図るべきです。また、介護保険導入時期が迫り、自治体に動揺が広がっています。ホームヘルパーの確保や介護施設の充実など、介護のための
雇用拡大も必要です。
保育所に入れない子供たちが四万人もいる大都市と過疎に悩む地方の間では、保育
行政に大きな違いが生じています。双方とも保育施設の充実を図り、少子化に合わせて保育定数の削減を図ることで、保育
行政にも多くの
雇用を見つけ出すことができます。
学校教育にありましても、三十人以下学級の実現によって新卒者の
雇用をふやすことが可能です。私は、当院の派遣で一足先に少子化時代に入ったヨーロッパの学校視察に参りましたが、二十人の子供に先生が二名、体の不自由な子供がいればさらに一人の先生がついて触れ合いの教育が行われているのを目の当たりにし、衝撃を受けました。
日本では子供たちの数は減り続け、学校の統廃合が行われたり空き教室がふえています。
雇用対策と少子化
対策の両面から今こそ三十人以下学級に踏み込む絶好の機会だと思います。
環境保全も重要な
テーマです。二十一
世紀は水と食料の時代と言われます。自給率が著しく低下し、衰退を続ける農業を立て直す担い手育成事業にも新しい
雇用を多く
創出できます。荒れ放題になっている山や森林の手当てにもっと人材を登用してください。減少が続く野生動植物を保護するための人材確保と、ふえ続けているシカや猿などの野生動物の管理をする人たちもまた必要です。
人の健康や生殖機能に
被害を及ぼすダイオキシンや環境ホルモンに対する調査研究のための人材も多数必要です。今までの発想を転換し、必要なところに必要な人材が活用できる
雇用対策を打ち出し、
予算を計上すべきです。それぞれについて
総理に答弁を求めます。
次に、今後の
我が国経済社会のあり方についてであります。
新しい
経済十カ年計画では、競争社会への転換が強調されており、米国流のいわゆる弱肉強食社会に
我が国ももっと右へ倣えという危惧を感じます。米国でも所得格差の拡大が問題提起されておりますが、効率性や競争
政策を強化し、所得格差を当然視して、
国民の不安をかき立てるような
経済運営は決して
国民を幸福には導かないと思いますが、
総理の御
所見を
伺います。
最後に、
補正予算の編成のあり方について
政府の姿勢をただしておきたいと思います。
ここ数年、当初
予算成立後、時を経ずして
補正予算の編成が行われることが常態化しつつあります。このことは、当初
予算の内容に
欠陥があったことをみずから認めたことになります。今回の
雇用対策費についてもなぜ当初
予算に計上しなかったのでしょうか。
雇用情勢が悪化していることは明白な事実であったにもかかわらず、
補正回しにしてしまったことについては大きな疑問が残ります。
国民生活に重大な
影響を与える
予算の編成がいやしくも政局や国対の道具に使われることがあってはなりません。
総理に厳しく
追及いたしまして、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣小渕恵三君
登壇、
拍手〕