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寺崎昭久君 私は、ただいま
議題となりました
中央省庁等改革関連法案について、民主党・新緑風会を
代表して、
小渕総理並びに
関係大臣に
質問いたします。
行政改革は、これまでも
政府において幾たびか提唱され、また取り組まれてまいりました。しかし、その
取り組みの中で
国民が
評価したものはごくわずかであり、多くは確固とした
実績を残せないまま終息させ、また新たな
行政改革に取り組むということが繰り返されてまいりました。私たちは、この累次の
行革の反省に立って、今度こそ抜本的な
行政改革を着実かつ迅速に断行し、もって
国民の負託にこたえなければならないと
考えております。
改めて指摘するまでもなく、
我が国経済の最近の動向は、
政策不況のあおりで受けた
傷創いまだいえず、依然として
個人消費の低迷、
設備投資の大幅な減少が続いており、また
雇用情勢は、
雇用者数が減少し、勤め先や
事業の都合、つまり倒産や
リストラによる
失業者が増加し、この四月の
完全失業率は過去
最高水準であることが報じられております。この先、
情勢が好転するという確かな兆しも見えません。
そうした中では、仮に
中央省庁等改革関連法案が成立したとしても、
国民の目には、
民間の
リストラに比べ
中央省庁等の
改革はマンマンデーに映り、また、常に
雇用不安と背中合わせの
民間労働者から見れば、
身分の保障されている
公務員の
存在は
羨望怨嗟の的に違いありません。こうした
不公平感、不安、不満を放置して、果たして
国民の理解と協力のもと
行政改革ができるのでしょうか。
改革や
雇用にかかわる
官民格差や
不公平感の
存在について、
総理の認識と対策についてまず承っておきたいと思います。
また、巷間、これ以上
景気を悪化させないためには
大型補正予算によるてこ入れが必要だという声も決して少なくありませんが、この先の
景気の見通し、及び秋口までに
補正予算を組むことについての是非について、
総理の
見解を伺います。
我が国の
行政体制の基礎が明治維新によって形成されたことは皆様御案内のとおりでございます。このとき
行政は、外交、軍事、徴税など、
国民に対して権力を行使するための
組織として形づくられました。しかし、
我が国経済が飛躍的な成長を遂げ、社会
経済環境や
国民生活が
変化するに従って国家の役割も大きく
変化いたしました。それにもかかわらず明治時代の
基本形を現在まで継続していることが、現行
行政制度の疲弊の
基本的な要因なのでございます。
この
行政制度の疲弊、ミスマッチを修正するためには、国家が主体となる
行政を限定して
スリム化し、これを民主的に改めること、その他の分野については市場へ、市民へ、
地方へ振り分けることが必要なのです。この振り分けにより、
中央省庁は余りに過大な役割から解放され、現在の
機能不全からの脱却が可能となり、住民に身近な公的サービスは住民の参画を得てその
内容を
決定していく、あるいは多様なサービス提供主体の選択が可能になるといった形で、より住民ニーズに即したサービスの提供を受けることが可能となるはずでございます。これが私たち民主党・新緑風会が
考える
行政改革の
基本的な視点でございます。
以下、このような点を念頭に置いて、
政府提案の問題点をただしてまいりたいと思います。
まず第一に、
行政改革の
基本的な
理念について伺います。
先ほども言及されていましたように、
総理は就任以来、
富国有徳という言葉を重ねて使っておられます。恐らく、
総理は、今回の
行政改革を通じて
我が国が
富国有徳の国へと歩めるようにしたいとの
考えであろうと私は推測しておりますが、残念ながら、この
総理の
理念と今回の
改革との
関係が
国民には全く見えないのであります。
総理の
考える
富国有徳の国とはどのような国の形を言うのか、それをどう
実現していこうとされているのか、その中で今回の
行政改革はどのような位置づけにあるのか、
国民がより具体的にイメージできるように御説明願いたいと思います。
また、この際、
省庁再編による官僚の役割、
機能について、特にグローバル化した
経済の中でどのように
変化することを期待されておられるのかについても
総理に伺っておきたいと思います。
慶応義塾大学の加藤寛名誉教授は、官僚
主導体制は、右肩上がりの
経済の終えんで意味をなくしただけでなく、
経済がグローバル化したことによってほとんど
機能しなくなった、財政再建、
公務員数の
削減、
省庁再編だけでなく、
経済がグローバル化した中で、いかにして円の均衡点を得ることができるか、これが
行政改革の眼目である、それには
行政指導という
規制を撤廃、緩和し、官の財政、すなわち財政投融資資金を縮減する必要があると指摘されております。
総理は、官僚の
機能、役割はどうあってほしいとお
考えになっておられるのでしょうか。
次に、
行政改革の手順について伺います。
この点について、衆議院
行革特の総括質疑において太田
総務庁長官は、民主党の主張を
評価された上で、平時であればその順序が正しいと思うが、今は事実上臨時革命
政府みたいなことをやっている、どこから壊していくかに我々は頭を使ったという答弁をされております。
行政改革の手順について、
総理はどのような認識をお持ちなのでしょうか。また、
総理が
総務庁長官と同じような認識を仮にお持ちであるというのであれば、一種の革命状態にあるというのであればこそ、必要な革命は一気にやる必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。なぜ
改革を小出しにするのか、また、なぜ
規制緩和や特殊
法人などいわゆる
行政の外堀から着手されなかったのか、なぜ今すぐに一気に新たな
改革への道を歩もうとされないのか、
総理の御
所見を伺いたいと思います。
次は、今回の
行政改革の大きな眼目である
我が国財政との
関係であります。
現下の
我が国の財政が危機的な状態にあることは言うまでもございません。この
行革を機に少しでも改善の方向に向かわせたいと
考えるのは当然のことであります。しかし、これまでの
議論の中では、この
法案が
政府の財政状態の改善に資するのかどうかという点について、全くと言っていいほど明らかにされませんでした。
衆議院で、
地方財源の現状は不十分であり、可及的速やかに、この手当てをするという方向を
政府は示されました。しかし、大もとの国の財政は、
地方と同様あるいはそれ以上に危機的な状況にあります。
国の財政の健全化について、どのような見通しをお持ちなのでしょうか。また、今回の
法案による
行政改革で少しでも改善される見通しなのか、あるいは
地方財源同様、現在
国会にかかっている
法案では手当てできないので、今後新たな手法を
考えたいということなのでしょうか、この点について
総理の
見解を伺います。
次に、
総理の公約について
お尋ねいたします。
まず、
公務員の二五%
削減について伺います。
衆議院でも同僚議員が重ねて指摘しておりますが、この公約は一種のまやかしではないかと私は疑っております。その理由は、だれよりも
総理自身がおわかりだと思いますが、実質的な
公務員数の
削減は昨年成立した
基本法と何ら変わらないまま、
独立行政法人化される
機関の
職員を
削減の内数にすることによって、見かけ上の
削減割合を一〇%から二五%に引き上げたにすぎないからでございます。
かさ上げされた一五%分はすべて
独立行政法人化される
機関の
職員であり、そのほとんどが
公務員の
身分を持つ
職員でございます。確かに、総
定員法上の数は減るかもしれません。しかし、
法律によって
身分が保障される
職員を総
定員法から外したところで、
行政コストの軽減には何らつながらないのであります。これは明らかに詭弁です。憤りを禁じ得ません。この点について、
総理の釈明を求めたいと思います。
あわせて伺いますが、二五%
削減というのは
純減なのでしょうか、あるいは、一方で二五%
削減するけれども、他方ではこれとは
関係なく増員を図るという意図があるのかどうか。昨年の
基本法の際の
審議ではいま
一つあいまいな答弁で終わっていると思いますので、確認の意味で、
総理に再度答弁を求めたいと思います。
もう
一つの
総理の公約は、
行政コストの三〇%
削減でございます。
これについてもいま
一つはっきりしません。衆議院の
審議の中で、公共
事業のコスト
見直しや集中発注などという幾分具体的な例も挙げられましたが、それでもなお十分ではありません。数値
目標というのは、他者から見て、あるいは事後的に
評価が可能であるからこそやる気を高めるのであって、
評価が不十分であればこれは数値
目標の意味をなさないと思います。
総理の言う
行政の生産性向上とは何なのか、具体的にお示しいただきたいと思います。
また、
総理は、
平成十一年度を基準に十年間で三〇%コストを
削減するとおっしゃっています。それならば早急に、この
削減の基準となる数値、つまりスタート時点の数値を示す必要があると思いますが、いつまでに、どのような形で示されるのか、明快に御答弁を願います。
次に、
行政改革と密接不可分な問題について、
総務庁長官に伺います。その
代表的なものが特殊
法人でございます。
特殊
法人に種々の問題があることは、
政府もこれまでの
審議の中でお認めになっていると思います。特殊
法人に対して特別
会計や財政投融資という比較的
透明性の低いシステムを通じて多額の資金が流れ込んでおり、この実態がどうなっているのかはっきりしないところがあります。
また、先般の総務庁の調査で指摘された経営状態の極度に悪い特殊
法人、例えば本州四国連絡橋公団などは一刻も早く手当てをしなければ、多額の税金をまたつぎ込むことになりかねません。その他、問題点は枚挙にいとまがありません。特殊
法人の問題点の深淵はどこにあるのか、
改革について今後どのように解明、
改革を進めていくのか、お伺いしたいと思います。
次に、特殊
法人を支える財政投融資についても、
総理にお伺いいたします。
財政投融資については、今回の
改革で自主運用に転換されるとなっておりますけれども、
改革はそれっきりです。その他は何も盛り込まれておりません。今述べた経営状態の非常に悪い特殊
法人に投じられた財政投融資資金の健全性、ただでさえ不透明な財政投融資
制度の中でもさらに実態が見えない短期運用の問題、さらには巷間うわさされている郵貯資金の大量流出など、問題点は数え切れないほどあります。
一方で、
政府の一般
会計も自治体財政も財政投融資資金なしでは支えられないのが実態でございます。引くも地獄、進むも地獄、そういう状態にある財政投融資
制度の問題点についてどのように把握され、今後どのように
改革を進めていくつもりなのか、お伺いいたします。
これもまた、特殊
法人と密接に
関連する天下り問題について、
総務庁長官に伺います。
現在の
公務員制度のひずみである天下りが、さらに
行政制度全体をゆがめているようにも見えます。これに関する今後の
改革の指針をどのように定めていくつもりなのでしょうか。
最後に、再度
総理に伺います。
この
法案の
審議は、ある意味で二十一
世紀の
日本の
あり方、国の形を決める重要な
審議であり、また、精力的に
審議を進めるにしてもかなり時間を要する膨大な分量の
法案を対象としております。したがって、この
法案に含まれるいろいろな疑問点を明らかにし、
国民の理解と協力を得ていくためには、慎重の上にも慎重な
審議がぜひ必要であると思います。
政府として、このような立法府の意思に誠実にこたえる用意があるのかどうか、
総理の答弁を求めまして、私の
代表質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣小渕恵三君
登壇、
拍手〕