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1999-06-11 第145回国会 参議院 本会議 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年六月十一日(金曜日)    午前十時一分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第二十八号     ─────────────   平成十一年六月十一日    午前十時 本会議     ─────────────  第一 内閣法の一部を改正する法律案内閣府   設置法案国家行政組織法の一部を改正する   法律案総務省設置法案郵政事業庁設置法   案、法務省設置法案外務省設置法案、財務   省設置法案文部科学省設置法案厚生労働   省設置法案農林水産省設置法案経済産業   省設置法案国土交通省設置法案環境省設   置法案中央省庁等改革のための国の行政組   織関係法律整備等に関する法律案独立行   政法人通則法案及び独立行政法人通則法の施   行に伴う関係法律整備に関する法律案(趣   旨説明)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  議事日程のとおり      ─────・─────
  2. 斎藤十朗

  3. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) ただいま議題となりました内閣法の一部を改正する法律案外十六件の中央省庁等改革関連法律案について、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。  本法律案は、さきに国会で成立した中央省庁等改革基本法にのっとって立案したものであります。  提案理由の第一は、内閣機能強化とそれを通じた政治主導強化であります。主権者である国民信託に基づいて国会が指名する内閣総理大臣及び内閣総理大臣が任命する国務大臣が、それぞれ国政全体及び行政各部を実際にリードする環境整備するものであります。  提案理由の第二は、府省の再編成行政整合性確保であります。いわゆる縦割り行政弊害を排し、その時々の政策課題に柔軟かつ整合的に対応できるように、権限ではなく、行政の目的である任務基軸として府省を大くくりに再編成することといたしております。また、新たに編成された府省間で互いの政策を協議する政策調整制度を設けることといたしております。  提案理由の第三は、行政スリム化であります。府省の再編成にあわせて機能削減し、行政事務減量化を行うことといたしております。  提案理由の第四は、行政透明化自己責任化による効率化であります。国の機関独立行政法人化を行うこと等により、行政透明化及び効率化を図ることといたしております。  以上述べました提案理由に即して、順次法律案概要を御説明申し上げます。  提案理由の第一、内閣機能強化に関しましては、まず、内閣法の一部を改正する法律案により、主権者である国民信託に基づき国会内閣総理大臣を指名し、内閣総理大臣及び内閣総理大臣が任命する国務大臣をもって組織する内閣行政権が属するという国民主権理念にのっとった我が国行政あり方を明らかにするとともに、閣議における内閣総理大臣発議権を明記し、それを裏づけるため、内閣官房重要政策に関する企画立案機能明確化し、あわせて、内閣官房長官等に加えて新たに設置する内閣官房長官補内閣総理大臣の直接選任による特別職とすることといたしております。  さらに、内閣設置法案国家行政組織法の一部を改正する法律案及び中央省庁等改革のための国の行政組織関係法律整備等に関する法律案により、内閣官房を助ける内閣府にも重要政策に関する企画立案機能を与えることとするとともに、各府省政治任用となる副大臣及び政務官を設置して、大臣リーダーシップを補佐する体制整備し、各省等設置法案及び中央省庁等改革のための国の行政組織関係法律整備等に関する法律案により、政策審議機能を有する審議会及びその委員を約六分の一に整理し、政策決定内閣総理大臣国務大臣責任で行うことを明確にすることといたしております。  提案理由の第二、府省の再編成及び行政整合性確保に関しましては、内閣設置法案により、内閣府には政府全体の施策の統一を図る観点から、各省庁に対する総合調整を行う機能を与え、強力な調整権限を持つ特命担当大臣重要政策に関する会議等を置くことといたしております。あわせて、内閣府には国家行政組織法は適用しないことといたしております。  次に、国家行政組織法の一部改正法案により、内閣の統括のもとに行政事務をつかさどる行政機関は、任務基軸として、総務省法務省外務省財務省文部科学省厚生労働省農林水産省経済産業省国土交通省及び環境省の十省に再編成し、各省庁政策調整をしなければならないこととし、政策調整を円滑に進めるための手続を定めるとともに、各省庁政策評価機能強化することといたしております。また、実施庁組織編成弾力化を図るとともに、各省庁に局長に準ずる新たな職等を置くことができることとすることによって、機構を固定化することなく、内外の環境変化に対応できるようにすることといたしております。  次に、総務省設置法案外十件の各省庁設置法案により、各省庁任務及びそれを達成するために必要な所掌事務並びに各省庁に置かれる職、機関及び外局について定めております。また、広範な裁量権限の根拠となっているのではないかとの疑念を抱かれる権限規定については、これを廃止しております。  国家公安委員会、防衛庁、金融庁等の各府省外局に関する法律については、中央省庁等改革のための国の行政組織関係法律整備等に関する法律案によって、それぞれ任務及び所掌事務等を定めております。  このような府省の再編成を踏まえ、内閣法の一部改正法案によって、国務大臣の数を十四人以内とし、特別に必要がある場合においては、三人を限度にその数を増加し、十七人以内とすることができることといたしております。  提案理由の第三、行政スリム化に関しましては、内閣設置法案国家行政組織法の一部改正法案によって、府省の再編成にあわせて、内閣府本府及び大臣庁内部部局として置かれる官房及び局の数は、各省内部部局として置かれる官房及び局の数と合わせて九十六以内とすることといたしております。これに加えて、既に述べた審議会整理に伴って、審議会組織運営に関する事務削減されることとなります。  提案理由の第四、行政透明化自己責任化による効率化に関しましては、独立行政法人通則法案及び独立行政法人通則法施行に伴う関係法律整備に関する法律案により、国の立場から実施される必要がある事務事業であって、民間にゆだねた場合には実施されないおそれがあるもの等であるが、国がみずから主体となることを要しないものについて独立行政法人制度を創設し、その会計企業会計原則によることを原則とし、その役員業績によっては交代を行うことのできる特別職とし、その業務内容を積極的に開示するなど、民間公開会社に準ずるような運営とすることによって透明性確保し、適正さと効率性の双方の観点から、自主性を持った運営基本としつつ、目標の設定とそれを達成する計画の管理を主務大臣が行うことといたしております。  また、独立行政法人業務実績については、各府省に設けられる独立行政法人評価委員会評価及び勧告を受けることといたしております。  これに加え、独立行政法人通則法案及び総務省設置法案により、総務省に設置される第三者機関に、各府省による独立行政法人評価の仕方それ自体を評価する機能を付与し、国民の目に行政の実態がよく見えるように、一層の透明化を図ることといたしております。  中央省庁等改革関連法律案施行期日は、内閣法の一部を改正する法律案にあっては別に法律で定める日とし、その他にあっては、一部の事項を除き、内閣法の一部を改正する法律案施行の日としております。  以上が内閣法の一部を改正する法律案外十六件の中央省庁等改革関連法律案内容であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださるようお願いいたします。(拍手)     ─────────────
  4. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。鹿熊安正君。    〔鹿熊安正登壇拍手
  5. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 私は、自由民主党及び自由党代表して、ただいま提案のありました中央庁省等改革関連法案につきまして、総理並びに関係大臣質問いたします。  我が国構造改革が待ったなしとなっていることは申すまでもなく、その先導役を担うのが中央省庁再編地方分権等行政改革であり、いよいよ本院において関連法案審議を迎えたことに大変意を強くするものであります。  総理の発案、主導のもとに設置された経済戦略会議は、「日本経済再生への戦略」と題する答申を提出し、新たな社会実現に向けての課題一つとして、小さく効率的な政府実現地方主権確立など、行政改革についても提言がなされ、これを受けた政府の検討結果が公表されたところであります。  総理は、既に富国有徳という国家理念を掲げられ、そのもとに、五つの安心、五つかけ橋を提唱し、行政改革繁栄へのかけ橋として位置づけております。  総理のこのようなお考えと、経済戦略会議で提言する自己責任自助努力、選択の自由の保障、健全で創造的な競争社会などを目指す日本独自の第三の道との関係はいかようにあるのか、基本的に同じような方向を目指していると考えてよいのかどうか、改めて、総理御自身の言葉で、目指すべき我が国の姿についてどのようなビジョンを描いておられるのか、伺いたいのであります。  さて、中央省庁等改革の眼目の一つは、政治主導性発揮のため、総理基本方針発議権明確化内閣府の創設を初めとする一連の内閣機能強化策であり、機動的な政策決定の促進が図られ、総合的、戦略的な内閣機能確立に大きな期待を寄せるものであります。  新たな制度を真に生かし切れるかどうかは総理リーダーシップいかんにかかっているとの指摘もありますが、これも踏まえ、内閣機能強化方策により政と官のありようにどのような変化がもたらされるとお考えか、総理に御所見を伺います。  また、これと同様に、政治主導明確化のための柱として副大臣制が導入されれば、新体制において、政務官も含め多くの人材行政に配置されることとなります。  これは、行政に対する政治主導という趣旨はもとより、政府委員制度廃止とあわせて、議員同士による活発な討議を促す点で国会活性化にも大変効果的であります。  ただ、一方で、このように多くの政治家行政府に入ることに伴い、国会の各委員会運営に支障が出ないように、その調和が課題となってまいります。  また、副大臣がしっかりと機能するために、例えば副大臣会議十分権能を与えるなど、いろいろと工夫が必要でありますが、この点もあわせ、副大臣制についての政府基本的な御見解総理に伺います。  明治以来続いてきた中央集権的な省庁体制を今回抜本的に改編するに伴い、規制緩和地方分権と一体的に進め、官から民へ、国から地方へとその事務事業必要性に応じ移しかえつつ、国の組織定員減量効率化していくことにより、行革所期目標を達成するものと考えます。  しかしながら、再編に伴う大きな特徴として巨大官庁化があり、論議を呼んでおります。確かに、国土交通省総務省規模等を見れば、いろいろな見方が出るのもゆえなしとはいたしません。  ただ、新体制は、新たな国の行政が担うべき任務基軸とした編成の結果であり、所管大臣、副大臣等が新たな省内の縦割り弊害が生じないようしっかりと行政をコントロールしていき、新たに設けられる政策評価システムを十分機能させるなど、工夫していくことが肝要に存じますが、総務庁長官方針を伺います。  また、再編への改革過程である二〇〇〇年度予算編成がこの夏から始まりますが、これは、再編前の九カ月分予算再編後三カ月分予算という二段階分割編成で行われると伺っております。  ただ、九カ月分予算については、各省庁の熾烈な予算分捕り合戦により統合後の体制に影響を及ぼそうとする動きが懸念されますので、十二年度予算概算要求については、全体を通じて、中央省庁再編後の姿を目指した調整がぜひとも必要であります。新たな省庁においてしっかりと柱を立て、来年度の予算面からも姿、形が見えるようにしていただくことを望むものであります。  また、あわせて、再編による予算効率的執行、すなわち予算面からの再編による経費節減効果も期待いたしますが、大蔵大臣の御所見を伺います。  さて、種々の行革テーマの中で最も国民的関心が高いと思われる国家公務員定数削減については、基本法での十年間一〇%から、自民党と自由党との合意を受けて二五%と、さらに大きな目標が設定されております。  その削減目標純減として実効あらしめるために、経済構造改革のために強く要請されている規制廃止、撤廃による中央省庁業務縮小はもちろんのこと、民営化といったアウトソーシングを積極的に推進し、新規採用大幅抑制を初め、考えられる限りのあらゆるスリム化に向けた手だてを講じていかねばなりません。  そこで、この点どのように具体化していくのか、総務庁長官にお伺いいたします。  特に、行政スリム化の切り札としてその導入が期待されている独立行政法人については、各法人の自主的、自律的運用基本とし、評価委員会がその業績評価を行い、これを受け主務大臣業務組織見直しを行う仕組みが工夫されております。見直しは、各法人の存続、改廃、さらに民営化やその職員身分定員あり方も含め、総合的になされるべきと存じます。  また、独立行政法人運営について自主的に行うこととの関連で、その責任者選任の仕方、責任の所在を明らかにする必要がありますが、民間人の登用の可能性や成績不振の場合の対処方策について、総務庁長官のお考えを伺います。  さらに、行政改革というと霞が関改革に矮小化してとらえられがちでありますが、スリム化を実行する上で、行政機関職員の約六割を占める地方支分部局整理合理化も重要な課題であります。  今回の減量効率化計画において、地方建設局港湾建設局統合等が示されておりますものの、その大半は二〇〇一年以降の課題として先送りされております。これは、定数削減の正否のかぎを握ることはもとより、地方分権とも密接に絡んだ課題でもあることを考えますと、この改革を進めないことには行革実効性も期待できません。  そこで、地方支分部局整理合理化について、今後の取り組み方針総理に伺います。  以上、本法案につきまして伺ってまいりましたが、二十一世紀に向け、我が国経済社会繁栄へのかけ橋を築くための作業は、まだ緒についたばかりであります。この改革が、単なる組織統合、改編だけにとどまらず、我が国構造改革をリードし、簡素で効果的な行政推進の実を上げるためにも、総理がなお一層のリーダーシップ発揮されんことを願って、私の代表質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣小渕恵三登壇拍手
  6. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 鹿熊安正議員にお答え申し上げます。  冒頭、私の提唱いたします富国有徳理念経済戦略会議答申におきまして二十一世紀日本経済社会が目指すべきとされた第三の道との関係についてのお尋ねがありました。  両者は、日本が本来持つすぐれた点を生かしつつ、いわゆるアングロ・アメリカン・モデルでもまたヨーロピアン・モデルでもない日本独自の理念目標を目指すべきとしている点など、共通する面も多いと考えております。ただ、経済戦略会議答申では、専ら経済社会あり方について掘り下げた議論をいたしておりまして、他方、富国有徳理念は、経済の問題を含みつつ、より広範な分野で二十一世紀日本のあるべき理念を対象としている点で異なる面もございます。  なお、富国有徳理念を念頭に置きまして、二十一世紀日本構想懇談会を発足させまして、精力的な御議論をいただいておることを御紹介させていただきます。  内閣機能強化といわゆる政と官のあり方についてのお尋ねでありました。  発議権明確化等内閣機能強化のための措置実施することによりまして、国会が指名する内閣総理大臣及びその任命する国務大臣により組織される内閣が、国政運営上行政各部に対する指導性をより一層発揮できる体制整備されることとなるものと考えます。  副大臣制度についてお尋ねがありましたが、副大臣制度は、大くくり編成される各府省において政治主導政策判断が迅速に行われるようにするため導入するものであります。政府といたしましては、副大臣等を十分活用し、主権者たる国民の意思を的確に行政に反映させてまいりたいと考えております。  最後に、地方支分部局整理合理化についてのお尋ねであります。  中央省庁等改革推進に関する方針におきまして、当面実施すべき措置として、地方建設局港湾建設局統合等、十四事項実施決定したところであります。今後、さらに基本法を踏まえ、府省編成にあわせたブロック機関総合化などの地方支分部局整理合理化を引き続き検討してまいりたいと考えております。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)    〔国務大臣太田誠一登壇拍手
  7. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 鹿熊議員にお答えをいたします。  新たな省における大臣等リーダーシップについてのお尋ねでありますが、今回の省庁改革におきましては、副大臣及び政務官を設置して大臣政治的な政策判断を補佐する機能強化することにより、政治主導政策判断を迅速に行うことにいたしております。  また、新たに政策評価システムを導入することにより、常に政策効果を適切に把握することが可能となり、各省大臣リーダーシップ発揮に資するものと考えております。  これらにより、各省における政治リーダーシップ確立され、大くくり編成された各省がその機能を十分に発揮していくものと考えております。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一登壇拍手
  8. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 二〇〇〇年度の予算編成いたしますに当たりまして、最初の九カ月分の予算と後の三カ月分の予算を二段階編成しなければならないという、まさにそのとおりでございますが、その編成につきまして留意すべき事項幾つか御指摘いただきまして、感謝をいたします。  確かにかなり複雑な作業になると思われますが、ただいま、とりあえずその最後の三カ月につきまして、幾つかの官庁が一緒になりましたときに、新しい官庁代表してどの役所から予算要求をしてもらって、またその折衝をするかというそれを一応決めてございます。幹事と申しますか、代表と申しますか、それを決めていただきましたが、それでも一つ予算事項について十二カ月のうちで最初の九カ月と後の三カ月にどのように配分するかというようなことはおのおの役所によって考え方がございますので、そこらのこともあわせまして、現在、あり姿の各役所とそれから来年になりましてできます役所関係とを総合しながら編成をしてまいらなければならないと思います。  編成に当たりましては、中央官庁改革趣旨を体しまして、国の行政組織並びに事務事業運営を簡素効率的なものにすることを心がけてまいりたいと思います。そして、それによりまして行政スリム化をこの編成過程推進いたしたいと考えておりますが、またお気づきのことは御示唆をいただければ幸せでございます。(拍手
  9. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 答弁の補足があります。国務大臣太田総務庁長官。    〔国務大臣太田誠一登壇拍手
  10. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 大変失礼をいたしました。  定員削減についての鹿熊議員お尋ねでございますが、十年二五%削減方針につきましては、自民、自由両党の合意を受けて四月二十七日に閣議決定を行ったところであり、政府としては、自自連立の合意を尊重し、与党とも密接に連携しつつ、この方針に沿った定員削減実施してまいる所存でございます。  すなわち、閣議決定にもあるとおり、各府省定員の少なくとも十年一〇%の計画的削減を進めるとともに、独立行政法人化という行政組織改革による一層の定員削減を強力に進め、増員の徹底した抑制を図ること等により、二五%純減を目指した定員削減実現するため最大限努力してまいります。  独立行政法人見直し制度についてお尋ねがありました。  独立行政法人中期目標の期間の終了時の見直しは、民営化業務改廃やその職員身分を含め、当該独立行政法人業務継続必要性組織あり方など、法人組織及び業務全般について行い、その結果に基づき所要の措置を講ずることといたしております。  また、独立行政法人役員の任命に当たっては、独立行政法人運営責任を十分に果たせるよう、民間人を含め広く人材を集めて適材適所の活用を図ることが肝要と認識しております。役員職務執行が適当でないため業務実績が悪化した場合には、その役員の任期途中の解任もあり得る仕組みとなっております。(拍手)     ─────────────
  11. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 寺崎昭久君。    〔寺崎昭久登壇拍手
  12. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 私は、ただいま議題となりました中央省庁等改革関連法案について、民主党・新緑風会を代表して、小渕総理並びに関係大臣質問いたします。  行政改革は、これまでも政府において幾たびか提唱され、また取り組まれてまいりました。しかし、その取り組みの中で国民評価したものはごくわずかであり、多くは確固とした実績を残せないまま終息させ、また新たな行政改革に取り組むということが繰り返されてまいりました。私たちは、この累次の行革の反省に立って、今度こそ抜本的な行政改革を着実かつ迅速に断行し、もって国民の負託にこたえなければならないと考えております。  改めて指摘するまでもなく、我が国経済の最近の動向は、政策不況のあおりで受けた傷創いまだいえず、依然として個人消費の低迷、設備投資の大幅な減少が続いており、また雇用情勢は、雇用者数が減少し、勤め先や事業の都合、つまり倒産やリストラによる失業者が増加し、この四月の完全失業率は過去最高水準であることが報じられております。この先、情勢が好転するという確かな兆しも見えません。  そうした中では、仮に中央省庁等改革関連法案が成立したとしても、国民の目には、民間リストラに比べ中央省庁等改革はマンマンデーに映り、また、常に雇用不安と背中合わせの民間労働者から見れば、身分の保障されている公務員存在羨望怨嗟の的に違いありません。こうした不公平感、不安、不満を放置して、果たして国民の理解と協力のもと行政改革ができるのでしょうか。改革雇用にかかわる官民格差不公平感存在について、総理の認識と対策についてまず承っておきたいと思います。  また、巷間、これ以上景気を悪化させないためには大型補正予算によるてこ入れが必要だという声も決して少なくありませんが、この先の景気の見通し、及び秋口までに補正予算を組むことについての是非について、総理見解を伺います。  我が国行政体制の基礎が明治維新によって形成されたことは皆様御案内のとおりでございます。このとき行政は、外交、軍事、徴税など、国民に対して権力を行使するための組織として形づくられました。しかし、我が国経済が飛躍的な成長を遂げ、社会経済環境国民生活が変化するに従って国家の役割も大きく変化いたしました。それにもかかわらず明治時代の基本形を現在まで継続していることが、現行行政制度の疲弊の基本的な要因なのでございます。  この行政制度の疲弊、ミスマッチを修正するためには、国家が主体となる行政を限定してスリム化し、これを民主的に改めること、その他の分野については市場へ、市民へ、地方へ振り分けることが必要なのです。この振り分けにより、中央省庁は余りに過大な役割から解放され、現在の機能不全からの脱却が可能となり、住民に身近な公的サービスは住民の参画を得てその内容決定していく、あるいは多様なサービス提供主体の選択が可能になるといった形で、より住民ニーズに即したサービスの提供を受けることが可能となるはずでございます。これが私たち民主党・新緑風会が考え行政改革基本的な視点でございます。  以下、このような点を念頭に置いて、政府提案の問題点をただしてまいりたいと思います。  まず第一に、行政改革基本的な理念について伺います。  先ほども言及されていましたように、総理は就任以来、富国有徳という言葉を重ねて使っておられます。恐らく、総理は、今回の行政改革を通じて我が国富国有徳の国へと歩めるようにしたいとの考えであろうと私は推測しておりますが、残念ながら、この総理理念と今回の改革との関係国民には全く見えないのであります。  総理考え富国有徳の国とはどのような国の形を言うのか、それをどう実現していこうとされているのか、その中で今回の行政改革はどのような位置づけにあるのか、国民がより具体的にイメージできるように御説明願いたいと思います。  また、この際、省庁再編による官僚の役割、機能について、特にグローバル化した経済の中でどのように変化することを期待されておられるのかについても総理に伺っておきたいと思います。  慶応義塾大学の加藤寛名誉教授は、官僚主導体制は、右肩上がりの経済の終えんで意味をなくしただけでなく、経済がグローバル化したことによってほとんど機能しなくなった、財政再建、公務員数の削減省庁再編だけでなく、経済がグローバル化した中で、いかにして円の均衡点を得ることができるか、これが行政改革の眼目である、それには行政指導という規制を撤廃、緩和し、官の財政、すなわち財政投融資資金を縮減する必要があると指摘されております。総理は、官僚の機能、役割はどうあってほしいとお考えになっておられるのでしょうか。  次に、行政改革の手順について伺います。  この点について、衆議院行革特の総括質疑において太田総務庁長官は、民主党の主張を評価された上で、平時であればその順序が正しいと思うが、今は事実上臨時革命政府みたいなことをやっている、どこから壊していくかに我々は頭を使ったという答弁をされております。  行政改革の手順について、総理はどのような認識をお持ちなのでしょうか。また、総理総務庁長官と同じような認識を仮にお持ちであるというのであれば、一種の革命状態にあるというのであればこそ、必要な革命は一気にやる必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。なぜ改革を小出しにするのか、また、なぜ規制緩和や特殊法人などいわゆる行政の外堀から着手されなかったのか、なぜ今すぐに一気に新たな改革への道を歩もうとされないのか、総理の御所見を伺いたいと思います。  次は、今回の行政改革の大きな眼目である我が国財政との関係であります。  現下の我が国の財政が危機的な状態にあることは言うまでもございません。この行革を機に少しでも改善の方向に向かわせたいと考えるのは当然のことであります。しかし、これまでの議論の中では、この法案政府の財政状態の改善に資するのかどうかという点について、全くと言っていいほど明らかにされませんでした。  衆議院で、地方財源の現状は不十分であり、可及的速やかに、この手当てをするという方向を政府は示されました。しかし、大もとの国の財政は、地方と同様あるいはそれ以上に危機的な状況にあります。  国の財政の健全化について、どのような見通しをお持ちなのでしょうか。また、今回の法案による行政改革で少しでも改善される見通しなのか、あるいは地方財源同様、現在国会にかかっている法案では手当てできないので、今後新たな手法を考えたいということなのでしょうか、この点について総理見解を伺います。  次に、総理の公約についてお尋ねいたします。  まず、公務員の二五%削減について伺います。  衆議院でも同僚議員が重ねて指摘しておりますが、この公約は一種のまやかしではないかと私は疑っております。その理由は、だれよりも総理自身がおわかりだと思いますが、実質的な公務員数の削減は昨年成立した基本法と何ら変わらないまま、独立行政法人化される機関職員削減の内数にすることによって、見かけ上の削減割合を一〇%から二五%に引き上げたにすぎないからでございます。  かさ上げされた一五%分はすべて独立行政法人化される機関職員であり、そのほとんどが公務員身分を持つ職員でございます。確かに、総定員法上の数は減るかもしれません。しかし、法律によって身分が保障される職員を総定員法から外したところで、行政コストの軽減には何らつながらないのであります。これは明らかに詭弁です。憤りを禁じ得ません。この点について、総理の釈明を求めたいと思います。  あわせて伺いますが、二五%削減というのは純減なのでしょうか、あるいは、一方で二五%削減するけれども、他方ではこれとは関係なく増員を図るという意図があるのかどうか。昨年の基本法の際の審議ではいま一つあいまいな答弁で終わっていると思いますので、確認の意味で、総理に再度答弁を求めたいと思います。  もう一つ総理の公約は、行政コストの三〇%削減でございます。  これについてもいま一つはっきりしません。衆議院の審議の中で、公共事業のコスト見直しや集中発注などという幾分具体的な例も挙げられましたが、それでもなお十分ではありません。数値目標というのは、他者から見て、あるいは事後的に評価が可能であるからこそやる気を高めるのであって、評価が不十分であればこれは数値目標の意味をなさないと思います。総理の言う行政の生産性向上とは何なのか、具体的にお示しいただきたいと思います。  また、総理は、平成十一年度を基準に十年間で三〇%コストを削減するとおっしゃっています。それならば早急に、この削減の基準となる数値、つまりスタート時点の数値を示す必要があると思いますが、いつまでに、どのような形で示されるのか、明快に御答弁を願います。  次に、行政改革と密接不可分な問題について、総務庁長官に伺います。その代表的なものが特殊法人でございます。  特殊法人に種々の問題があることは、政府もこれまでの審議の中でお認めになっていると思います。特殊法人に対して特別会計や財政投融資という比較的透明性の低いシステムを通じて多額の資金が流れ込んでおり、この実態がどうなっているのかはっきりしないところがあります。  また、先般の総務庁の調査で指摘された経営状態の極度に悪い特殊法人、例えば本州四国連絡橋公団などは一刻も早く手当てをしなければ、多額の税金をまたつぎ込むことになりかねません。その他、問題点は枚挙にいとまがありません。特殊法人の問題点の深淵はどこにあるのか、改革について今後どのように解明、改革を進めていくのか、お伺いしたいと思います。  次に、特殊法人を支える財政投融資についても、総理にお伺いいたします。  財政投融資については、今回の改革で自主運用に転換されるとなっておりますけれども、改革はそれっきりです。その他は何も盛り込まれておりません。今述べた経営状態の非常に悪い特殊法人に投じられた財政投融資資金の健全性、ただでさえ不透明な財政投融資制度の中でもさらに実態が見えない短期運用の問題、さらには巷間うわさされている郵貯資金の大量流出など、問題点は数え切れないほどあります。  一方で、政府の一般会計も自治体財政も財政投融資資金なしでは支えられないのが実態でございます。引くも地獄、進むも地獄、そういう状態にある財政投融資制度の問題点についてどのように把握され、今後どのように改革を進めていくつもりなのか、お伺いいたします。  これもまた、特殊法人と密接に関連する天下り問題について、総務庁長官に伺います。  現在の公務員制度のひずみである天下りが、さらに行政制度全体をゆがめているようにも見えます。これに関する今後の改革の指針をどのように定めていくつもりなのでしょうか。  最後に、再度総理に伺います。  この法案審議は、ある意味で二十一世紀日本あり方、国の形を決める重要な審議であり、また、精力的に審議を進めるにしてもかなり時間を要する膨大な分量の法案を対象としております。したがって、この法案に含まれるいろいろな疑問点を明らかにし、国民の理解と協力を得ていくためには、慎重の上にも慎重な審議がぜひ必要であると思います。  政府として、このような立法府の意思に誠実にこたえる用意があるのかどうか、総理の答弁を求めまして、私の代表質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣小渕恵三登壇拍手
  13. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 寺崎昭久議員にお答え申し上げます。  民間リストラと比較しての御指摘がございました。  民間におきまして必死の努力が行われていることは承知をいたしております。国は必要とされる行政サービスを継続して提供していくことが求められるなど、必ずしも民間と同様に論ずることはできませんが、官民の役割の見直し地方分権推進等によりまして国の果たす役割を重点化し、簡素で効率的な行政実現するよう努めてまいります。  我が国の今後の景気及び補正予算についてのお尋ねがありました。  現下の我が国経済は、各種の政策効果に下支えされて下げどまり、おおむね横ばいで推移いたしております。昨日公表されました本年一—三月期の実質国内総生産、GDP速報値も前期比プラス一・九となったところであります。  政府といたしましては、十一年度予算の着実な執行に努めているところであり、今後はその効果も本格的にあらわれてくることが期待されます。さらに、本日、緊急雇用対策及び産業競争力強化対策を取りまとめました。現在の深刻な雇用情勢に対する対応を初め、できるものから速やかに実施していく考えであります。  補正予算につきましては、今後検討していく課題ではありますが、特に早急に手当てを要するものにつきましては、その中身等を鋭意詰めていかなければならないと考えておるところでございます。  次に、富国有徳と今回の改革関係についてお尋ねがありました。  私は、二十一世紀におきまして日本のあるべき姿として、経済的な富に加え、品格ある国家、徳のある国家となって、いわば物と心のバランスのとれた国、すなわち富国有徳の国家として世界のモデルになるように目指したいと考えております。  そうした意味合いにおきまして、今回の行政改革推進により目指そうとしている自由かつ公正な社会ということは、富国有徳の国家と同じ方向を目指しているものと考えております。  私といたしましては、国政の最重要課題として、また、二十一世紀に向けた我が国経済社会繁栄へのかけ橋として、行政改革に今後とも積極的に取り組み、その推進のため全力を尽くしてまいる所存でございます。  省庁再編と官僚機能変化についてお尋ねがありました。  今回の中央省庁等改革によりまして、国の行政組織は、本来果たすべき役割を重点的に担う簡素で効率的なものといたします。あわせて、内閣機能強化等、政治主導の迅速な政治判断を可能にし、政治家と官僚とがそれぞれあるべき役割を分担し合うことによって、国民の期待にこたえられる行政となるよう努力してまいります。  行政改革の手続についてお尋ねがありました。  中央省庁等改革関連法案に盛り込んだ事項だけでなく、規制緩和や特殊法人整理合理化といった課題への取り組みも重要な課題考えており、それらを総合的かつ計画的に推進しておるところであります。  規制緩和につきましては、去る三月に改定いたしました規制緩和推進三カ年計画を着実に実施に移していくとともに、本日の産業構造転換・雇用対策本部におきまして、新たな雇用の創出、産業競争力の強化観点から、具体的な措置方針決定いたしたところであります。  特殊法人につきましては、今国会に統廃合関連法案を提出するなど、その整理合理化、運用改善に取り組んでおるところでありまして、今後とも累次の閣議決定等を踏まえた整理合理化推進するとともに、特殊法人独立行政法人化等の可否を含め、ふさわしい組織形態及び業務内容となるよう検討を進めてまいる所存でございます。  国の財政の健全化の見通しについてお尋ねがありました。  私は、将来世代のことを考えますと、財政構造改革という大変重い課題を背負っておると痛感いたしております。今回の中央省庁等改革におきましても、国の事務及び事業減量効率化等のための措置を講ずることといたしておりますが、いずれにせよ、財政構造改革につきましては、経済が回復軌道に乗った段階におきまして、財政・税制上の諸課題につき中長期的視点から幅広くしっかりとした検討を行わなければならないと考えておるところであります。  公務員定員削減についてお尋ねがありましたが、十年二五%削減につきましては、自自連立の合意を尊重いたしまして、この方針に沿った定員削減実施してまいる所存であり、このため、各府省定員の少なくとも十年一〇%の計画的削減を進めるとともに、独立行政法人化による一層の定員削減を強力に進め、増員の徹底した抑制を図ること等により、二五%純減を目指した定員削減実現するため最大限努力してまいります。  なお、各府省から当該部門を切り離して自律的、自発的な業務運営等を図る独立行政法人への移行分は、行政機関定員削減となるものであります。  行政コスト削減についてお尋ねですが、これは、私が、行政の生産性向上に全省庁挙げて取り組むための政策イニシアチブとして掲げたものでありまして、中央省庁が所掌するあらゆる行政を効率的に執行することによりまして、行政の生産性を向上させることを目的とするものであります。  具体的には、去る四月二十七日に閣議決定されました「行政コスト削減に関する取組方針」におきまして、各省庁が所掌する行政分野ごとに、時間、人員、経費等のさまざまな指標により計測される行政コストを平成十一年度から十年間に三〇%削減することを目標といたしております。各省庁は、今後、この方針に従い、行政コスト削減に積極的かつ計画的に取り組むこととしており、その進捗状況を見きわめつつ、二〇〇一年の中央省庁再編による新たな体制の中で改めてどのように削減できるかを再点検するなど、行政コスト全体について見直しを常時図りながら、この目標を達成できるよう最大限努力してまいります。  次に、財政投融資制度の問題及びその改革の進め方についてお尋ねがありました。  財政投融資制度につきましては、特殊法人等の肥大化や非効率の原因となっている等の指摘があったところであり、昨年六月に成立をいたしました中央省庁等改革基本法におきまして、郵便貯金及び年金積立金の預託の廃止、市場原理にのっとった資金調達、新たな機能にふさわしい仕組みの構築等を内容とする抜本的改革実施することとされております。  財政投融資は、有償資金を用いて国の各般の施策を効率的、効果的に実現する仕組みであり、二十一世紀におきましても重要な役割を果たすシステムであると考えており、その機能を有効に発揮するために同法に規定された抜本的改革実施し、今後とも真に必要な施策に適切に活用してまいりたいと考えております。  最後に、法案審議に対する政府の対応についてお尋ねがありました。  中央省庁等改革関連法律案は、二十一世紀我が国に最もふさわしいと考えられる中央省庁の姿を示したものであり、この法案に基づく新たな体制への移行を実現することが極めて重要であると考えております。  何とぞ、御審議の上、速やかに成立させていただきたいと考えております。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)    〔国務大臣太田誠一登壇拍手
  14. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 寺崎議員にお答えをいたします。  特殊法人についてのお尋ねでありますが、特殊法人については、従来から、業務組織の肥大化を防止する事後評価の問題、業務運営の不透明性の問題、過度の関与など主務省庁との関係の問題などの指摘がなされてきておりました。このため、その整理合理化、運用改善に取り組んできているところでございます。  政府としては、今後とも累次の閣議決定等を踏まえた整理合理化推進するとともに、御提案している独立行政法人通則法案が特殊法人について指摘されてきた問題点を念頭に置いて立案されたものであることから、特殊法人独立行政法人化等の可否を含め、ふさわしい組織形態及び業務内容となるよう検討を進めてまいる所存でございます。  いわゆる天下りの問題についてのお尋ねでありますが、この問題は、行政に対する国民の信頼確保観点から、行政改革の一環として重要な課題と認識しております。  このため、本年四月の「中央省庁等改革推進に関する方針」において、公務における在職期間の長期化及び再就職の透明化に関する具体的方策を盛り込んでいるところであります。政府といたしましては、この方針に沿って必要な改革実施してまいります。(拍手)     ─────────────
  15. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 弘友和夫君。    〔弘友和夫君登壇拍手
  16. 弘友和夫

    ○弘友和夫君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました中央省庁等改革関連十七法案につきまして、総理並びに関係大臣質問させていただきます。  今、日本は、あの明治維新や第二次大戦の敗戦時に匹敵する時代の大きな転換期を迎えています。この大転換のときに当たり、行政改革、財政構造改革経済構造改革、金融システム改革、社会保障改革、教育改革等々とあらゆる分野にわたって改革をなし得なかったなら、また十分な政策を打ち出すことができなかったならば、日本は衰亡の一途をたどることは目に見えています。  こうした危機感に立った上で、行政あり方も変えていかなくてはならないのであります。中央省庁組織を変え、また、スリム化して中央集権から地方分権の方向へ向かわなくてはならないという意味で、それに基づいて今回の中央省庁等改革関連法案地方分権一括法案提出への運びとなったと思います。  私は、こうした制度改革はもちろん具体的な施策として当然必要なことでありますが、まず、その前提となる二十一世紀日本のあるべき姿、形、どういう国をつくるのか、またつくらなければならないかという確固たる理念、哲学があるのか、グランドデザインがあるのか、小渕総理はどういう日本をつくろうとするのかということが重要であると思います。  総理は、先ほど論議もございましたけれども、富国有徳五つかけ橋ということを述べていますが、いま一つイメージが明確でないのであります。  例えば、富国とは何か。戦前は富国強兵というスローガンがありましたが、それと同じ富国なのか。また、戦後復興のため経済第一主義で参りましたけれども、それと同じ富国なのでありましょうか。富国強兵の結果は敗戦であり、経済第一主義で国や企業が富んだ結果がバブル崩壊となったわけであります。私は、これらの功罪をしっかりと見据えた上で、富国の国とは国民が富むという富国でなければならないと考えます。また、有徳についても、小渕総理は他の国々から尊敬され得る国を目指すと答弁されましたけれども、それではどうすれば尊敬に値する国になるのかということが示されていません。  言葉だけの富国有徳ではなく、総理考える二十一世紀のあるべき日本の姿、形を明確に指し示し、それに向かって具体的な道筋を明らかにすべきと考えますが、いかがでしょうか。  また、総理のもとにこの三月、二十一世紀日本構想懇談会が設置されました。河合隼雄氏を初め日本代表する有識者の方々がメンバーになっていますけれども、この構想のまとめはことしの秋ごろだと伺っています。では、そのときに、行政あり方中央省庁地方分権についての考え方が示され、今回の法案と異なる考えが示された場合、いま一度中央省庁の再再編ができるのでしょうか。  私は、本来、先に二十一世紀日本構想懇談会があって、それを受けての改革があるべきであると考えます。今のままでいけば、せっかくの二十一世紀日本の構想にすばらしいグランドデザインが描かれたとしても、絵にかいたもちになるのではないでしょうか。あの大平総理のときにも、二百人もの方が長時間かけて大平総理政策研究会報告書をまとめていますけれども、それがどれほど実行されたのかということであります。  また一方、経済戦略会議答申について、各省の対応、方針の結果が報告されたばかりですけれども、その回答のうち、実行に前向きだったのは半数にとどまっているとお聞きします。これらについてどのように対応されるおつもりなのか、総理にお伺いいたします。  私ども公明党は、結党以来、中道政治を標榜してまいりました。中道とは右と左の真ん中という意味ではありません。中道政治とは道にあたる政治ということであり、生命の尊厳と人間性の尊重に立脚するヒューマニズムの政治であります。  これまで日本政治において権力奪取のパワーゲームが繰り返されてきましたけれども、権力奪取そのものが目的化された嫌いがあります。私ども公明党は、権力とは民衆の幸福と平和という理想社会実現のための手段であり道具であると考えます。政治あり方として、権力観の転換を図る時が来ているのではないでしょうか。大変僣越ではありますけれども、総理も、政権維持そのものが目的でなく、国家国民のために全力を尽くす、その結果に政権がついてくると考えるべきと思いますけれども、総理の権力観、政権観について御所見を伺います。  また、行政国民の福祉等に寄与するためにつくられ権限を与えられたものです。堺屋経企庁長官が著書の中で述べられているように、本来の目的が組織自体の目的のために変容し、組織をつくった目的が否定されることもしばしば見られるところであります。今回のこの中央省庁等改革関連法案の中身で、中央省庁が果たして本来の組織目的にかなうものになるのでありましょうか。堺屋長官はどう考えられるか、お伺いいたします。  今回、政策評価制度が初めて導入されたことは一歩前進であると思いますけれども、まだまだ内容的には不十分です。既に米国では政府実施結果法、GPRAを制定し一定の効果を上げております。よく紹介される沿岸警備隊の例を見ますと、事故発生の危険性を一二%下げるための目標を立てる。そのためのさまざまな行政課題を設定し、その結果、十万人当たりの死者の発生数が九十一人から二十七人に激減したといった具体的な改善成果を生んでいるとの報告もあります。行政機関は利益を追求しないので企業のような数値による目標管理は難しいとの声がありますけれども、この例でもわかるように、とらえどころのない行政の仕事こそ数値による目標管理が有効であるということであります。  そうした意味で、政策評価を充実強化する根拠法となる仮称行政評価法を早急に制定する必要があると考えますけれども、総理及び総務庁長官の御所見をお伺いいたします。  次に、省庁再編にあわせて、内閣機能強化措置が盛り込まれ、内閣府の中に経済財政諮問会議が設置されます。新設の趣旨を貫徹させるためには、各省庁会議の意見を最大限尊重するというような尊重義務規定を盛り込むことが必要であると考えますけれども、総理及び総務庁長官のお考えをお示し願います。  我が党は、環境省への林野庁統合を主張してまいりましたけれども、今後の環境行政において国立公園内における国有林野等の取り扱いや自然保護行政の一本化、体制強化をどのように進めていくのか、また、省へ移行しても定員は千五十人と全く変わらないわけでございます。これでは、総理環境行政に取り組む姿勢が問われると思いますけれども、総理定員の増員についての決意をお伺いいたします。とともに、環境庁長官のお考えも伺います。  二十一世紀まであと一年半となりました。二〇〇一年は単なる二十一世紀の始まりであるだけではなく、二〇〇一年から三〇〇〇年までの第三の千年の壮大なスタートとなる年であります。新世紀、第三の千年を迎えるまでわずかな期間ですが、その間にどれだけの改革ができるかが勝負であり、次の千年の日本を決すると言っても過言ではありません。最後に、総理改革にかける御決意をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣小渕恵三登壇拍手
  17. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 弘友和夫議員にお答え申し上げます。  まず、二十一世紀のあるべき日本の姿についてお尋ねがございました。  私は、就任以来、二十一世紀において日本のあるべき姿として、いわゆる経済的な富に加えまして、品格ある国家、徳のある国家を目指し、いわば物と心のバランスのとれた国、すなわち富国有徳の国家としての世界のモデルになるよう目指したいとの考えを折に触れて申し上げてまいりました。  そうした私の基本考え方に立ちまして、去る三月末、二十一世紀日本構想懇談会を設けまして、有識者の方々に二十一世紀日本のあるべき姿について検討を進めていただいておるところであります。さらに、先般、五つのテーマ別に分科会を設け、掘り下げて検討を進めていただいておるところでございます。  二十一世紀日本構想懇談会関連いたしまして、中央省庁の再再編についてお尋ねがございました。  今回の中央省庁等改革は、国際化や少子高齢化など、経済社会情勢が激変する中で、国民の期待にこたえるべく、戦後五十年を経て時代に合わなくなってきた行政システムを抜本的に改めるものであると考えております。行政あり方につきましては、今後とも、国際情勢国民のニーズ等を踏まえ、時代時代に応じて不断に見直していくべきものと考えております。  経済戦略会議答申に対する各省庁の検討についてお尋ねがありました。  今後検討するものにつきましては、関係審議会等において既に検討を始めているものも多く、実現が難しいとされるものにつきましても、一つの問題提起として受けとめ、より掘り下げた検討を続けることといたしておりますが、さらなる検討を先般各大臣にも指示いたしたところであります。  弘友議員から公明党の立場として、権力とは民衆の幸福と平和という理想社会実現のための手段であり道具であるとのお考えを御披露された上、私の権力観、政権観についてお尋ねがありました。  弘友議員が御指摘されますように、国政をお預かりする立場として、政権の維持自体が目的ではなく、国家国民のため何をなすべきかを常に原点に置き、国政に全力を尽くすことが私の責任、使命であると肝に銘じておるところであります。その意味におきまして、私は一日一生涯をモットーとしていることも申し添えさせていただきます。  行政評価法の制定についての御指摘でありますが、国家行政組織法改正法案等におきまして、各府省がみずから政策評価することを新たに規定いたしたところであります。まずはこのシステムの構築を進めまして、これを着実に実施していくことが重要であると認識いたしております。中央省庁再編後、各府省における実施状況を踏まえ、速やかに法制定の実現に向けて検討してまいりたいと考えております。  経済財政諮問会議に関するお尋ねでありましたが、同会議は、内閣総理大臣議長として、関係国務大臣、有識者等の合議によりまして、経済財政政策に関し調査、審議する機関であります。その答申や意見は、閣議決定を経まして内閣方針となるものでありまして、内閣において十分尊重されるものと考えております。  環境行政についてお尋ねがありました。  環境省設置法案では、森林及び緑地の保全に関する環境保全の観点からの基準、計画の策定等を所掌事務に位置づける等、適切な機能発揮できるよう所要の規定を設けております。現下の諸情勢を踏まえ、今後、林野行政環境行政、特に国立公園など自然保護行政との関係につきましては、特に機能分担ができるよう努めてまいる考えであります。  あわせて、環境省の増員についてのお尋ねがありました。内外の環境を守り二十一世紀に引き継ぐことは重要な政策課題と認識をいたしております。このため、環境省に新たに付与された事務事業を含め、さらにこれを担い得るものとなるよう、平成十三年一月の新省発足時に組織定員体制の充実強化を図ってまいります。  最後に、御指摘のとおり二〇〇一年は、第三の千年紀、二十一世紀の始まりばかりでなく、新たなミレニアムの出発点となる年でもあります。その意味で新体制への移行開始は二〇〇一年一月を予定いたしておりまして、中央省庁等改革関連法律案におきましても二十一世紀我が国にふさわしい中央省庁の姿をお示しいたしております。  今世紀課題は今世紀中に解決し、二十一世紀を新しい時代として迎えるためにも、本改革を初めとしてあらゆる分野において将来を見据えたビジョンを明確にしていくとともに、これまでの制度や慣行について思い切った見直し、大胆な構造改革を進めてまいる決意であります。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)    〔国務大臣太田誠一登壇拍手
  18. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 弘友議員にお答えをいたします。  行政評価法を早急に制定すべきではないかとの御指摘でありますが、これについては、まず、国家行政組織法改正法案等の法律中央省庁等改革推進に関する方針に基づきまして、全政府的に厳正で客観的な政策評価を行うためのシステムの構築を進め、これを着実に実施していくことが重要であると認識しております。中央省庁再編後、各府省政策評価実施状況を分析検討し、速やかに法制定の実現に向けた検討をしてまいる所存でございます。  経済財政諮問会議についてのお尋ねでありますが、この会議は、経済財政政策に関して内閣総理大臣リーダーシップを十分に発揮するとともに、有識者の意見を十分反映させることを目的として内閣府に設置される機関であります。内閣総理大臣議長とし、関係国務大臣民間有識者等の合議により調査、審議し、必要な意見を述べるための重要政策に関する会議一つであります。  この会議答申や意見は、内閣総理大臣重要政策に関する方針として閣議において発議することによりまして、閣議決定を経て内閣方針となるものであります。尊重されるべきことは当然のことであります。しかしながら、最終的な政策決定はあくまでも内閣責任閣議で行われるものでございます。したがって、法律上は尊重義務を規定しておりません。(拍手)    〔国務大臣堺屋太一君登壇拍手
  19. 堺屋太一

    国務大臣(堺屋太一君) 弘友議員から中央省庁等改革関連法律案組織論的な評価についてお尋ねがございました。  今回の行政改革の最大のねらいは、これまでの官僚主導の社会とは逆に、国民に選ばれた政治リーダーシップによって消費者主権の社会をつくることであります。  これまでの日本は、官僚が外国の先例を調べて最良と思われる基準、規格を定めまして、各業界が協調してこれを国民に提供するという仕組みになっておりました。この仕組みは、外国に進んだ先例がございまして、それに追いつくことが目的であった時代には大変有効に動いておりましたが、今やそうではございません。これからの日本に必要なのは、民間が多様な知恵を絞って自由に市場に参入し、競争をして、公開された情報によって消費者が選ぶような社会をつくることであります。こうした方向に沿って、中央省庁等改革関連法律案がつくられ、最も早い時期に今国会に上程されたことは、私の予想の中でも最善のコースであり、正直感心しているぐらいであります。  組織論的に申しますと、ここで省庁を再編成することは、新しい構成にすることは、いわば一種の組織に対する揺さぶりになりまして、官僚機構に新しい刺激を与える効果が生まれると思います。もちろん、でき上がった官僚機構がそれ自体の増殖と権限を広げる組織自体の目的に独走するおそれはありますが、今回の法律では、総理大臣の指導力、それを支える内閣府の機能を高めており、組織論的には十分な歯どめがあると考えております。こうした点でも現状よりは大きな前進と評価している次第であります。(拍手)    〔国務大臣真鍋賢二君登壇拍手
  20. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) 弘友和夫議員から力強い御質問をいただき、ありがとうございました。  いよいよ、環境庁は環境省に二〇〇一年から昇格いたすわけでありますけれども、環境省は、ダイオキシン・環境ホルモン問題を初め、廃棄物や地球環境の問題など重要な政策課題に早急に対応し、強力な取り組みを進め、国民の期待に十分こたえ得る能力を有した省とすることが必要でございます。  このため、政府全体の中で必要なところには適切な人員配置が行われるべきとの考えに立って、必要な組織定員体制の充実強化を求めてまいるつもりでございます。  また、御指摘の森林保全の取り扱いについては、環境省が共同で所管することとしており、自然環境の保全の観点からの機能を十分に発揮してまいりたいと思います。  よろしくお願いいたします。(拍手)     ─────────────
  21. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 吉川春子君。    〔吉川春子君登壇拍手
  22. 吉川春子

    ○吉川春子君 私は、日本共産党を代表して、中央省庁再編関連十七法案について、総理質問します。  本法案のもとになった行革会議の最終報告は、今回の改革行政改革であると同時に、この国を形づくっている国民自身のあり方にかかわるものであり、この国の形を再構築することこそ今回の行政改革の目的であるとしています。  二十一世紀に向けて、この国の形はいかにあるべきか。その姿は日本国憲法に示されているように、政府の行為によって再び戦争の惨禍をこうむることがないようにするための平和な国、健康で文化的な最低限度の生活を保障する国、そして何よりも国民が主人公の立場があらゆる分野で貫かれる国、これこそが国民の求めるこの国の形ではありませんか。  自由党の小沢党首は、最近の雑誌でまたもや、憲法があるから武力行使ができないし、集団的自衛権の行使もできないと政府は言っている、そう言いながら、艦船の海上封鎖に参加するとか、戦っている米軍を後方支援するのだと自衛隊の軍事行動範囲を拡大しようとしている、これは戦争そのものへの参加だと言い、現実に対応できない憲法を抱えているのは全くばかげていると述べておられます。総理も小沢氏と同じ国の形を目指しているのですか。答弁を求めます。  そもそも中央省庁再編は、橋本六大改革一つとして位置づけられ、行政改革によって国民が笑顔で生き生きと暮らせる社会を目指すと政府は宣伝してきました。しかし、実態はどうでしょう。国民はどう見ているでしょうか。  総理府が一九七一年以降毎年行っている「日本の向かっている方向」というアンケートの結果を見ますと、よい方向に向かっていると答える人はこの十年間減り続け、九七年十二月にはわずか一二・六%です。逆に、悪い方向に向かっていると答えた人が七二%に上っています。総理、あなたには現状を何とかしてほしいという国民の悲鳴が聞こえないのですか。  さきに述べた最終報告は、新たな中央省庁あり方として、行政スリム化、重点化のため民間でできるものは民間にゆだねることをうたっていますが、本法案に盛られたスリム化とは、国民生活関連分野のスリム化であり、重点化とは、大企業・ゼネコン本位の行政への重点化となっていると言わなければなりません。  新しく導入される独立行政法人制度は、国民の福祉や医療、教育など、国民生活部門を徹底的にスリム化する中心をなすものです。この制度のねらいは、衆議院の審議の中で明らかになったように、一定期間後法人組織の改編や廃止することにあるのではありませんか。つまり、独立行政法人は、民営化廃止かの第一歩であります。  その対象とされている国立病院・療養所についていえば、採算優先の運営が一層追求され、地方自治体や民間では担うことのできない医療は国として行うと言いながら、不採算医療、離島僻地医療を切り離していくことになるのではありませんか。  また、国立試験研究機関は、高い公共性、中立性、長期的かつ広域的な視点を保障する研究環境のもとで、科学技術の向上に大きな貢献をしているのです。農林水産省の農業研究センターは、二十年以上の研究で世界で初めてもち性小麦を開発しました。三年から五年という短期的評価、また、効率化と採算優先のもとではこうした研究は成り立たないのではありませんか。  厚生労働省の設置についていえば、これは歴史を五十年以上逆戻りさせるものです。一九四七年、敗戦直後、失業者が一千万、完全失業者百五十万人のもと、労働行政の一元化をうたって厚生省から労働省を分離いたしました。これは憲法の生存権、労働権の保障のための措置であります。    〔議長退席、副議長着席〕  今日もまさに三百四十二万人の完全失業者、男性の失業率五%という最悪の状況のもとで、労働省の雇用確保、職業安定の事務事業はますます重要性を増しています。一方、厚生省は介護保険、年金問題など、たくさんの緊急課題を抱えており、労働省と厚生省の重要性は増す一方ではありませんか。  このようなときに、なぜ労働省と厚生省を一つにしなくてはならないのですか。また、これまで労働省の中核的役割を果たしてきた労政局を廃止するのはなぜですか。  次に、公共事業の抜本的な見直し、むだな事業削減が重要な政治課題になっているときに、これにメスを入れるどころか、逆に公共事業の約八割を集中させる巨大官庁国土交通省の設置がなぜ必要なのですか。国民の生存の権利まで脅かす行政スリム化を行いながら、超大型プロジェクトの推進でゼネコン、大企業などに専ら奉仕する仕組みを一層強めようというのですか。  続いて、内閣機能強化について伺います。  第一は、危機管理を重要な柱にした内閣機能強化内閣総理大臣権限強化が明記されていることについてです。  もともとの省庁再編提案者である橋本前総理は、危機管理について、国防に関する事項や大規模災害を含むすべての事項が対象と言っていますが、この中には周辺事態法に基づく周辺事態への対応が含まれるのですか。  周辺事態法は、周辺事態の認定を初め、あらゆる問題を政府に白紙委任しています。内閣総理大臣のトップダウン政治によって周辺事態法の発動が政府の一部にゆだねられることは明白です。総理、そうでないと言えるのですか。アメリカの戦争に加担、協力する重大問題ですから、明確な答弁を求めます。  第二は、副大臣政務官が新設され、国会議員が合計七十人も政府のポストにつくことについてです。  副大臣政務官は、内閣総理大臣を補佐するため、議院の会議または委員会に出席し、答弁を行います。同時に、自自合意では、国会の所属委員会の委員とするとし、理事になることも排除していません。これでは、政府提出の法案政府側のメンバーが審議し成立させることになり、立法と行政の境目があいまいになってしまうのではありませんか。また、国会委員会で政府側で答弁する人がその委員会の委員や理事も務めるとすれば、どうして国会行政のチェック機能を果たすことができるでしょうか。国会行政を監督する力を弱めることになるのではありませんか。はっきり答弁してください。  第三は、内閣府に設置される経済財政諮問会議についてです。  内閣総理大臣会議議長となり、官房長官、経済財政政策担当大臣などに加え、四名の有識者を総理民間から任命することとしています。内容について閣議決定を経るとはいうものの、事実上この会議予算編成方針、財政計画などの国家の重要方針政策決定されてしまいます。このような諮問会議に重要な政策決定権を与えることは、内閣が連帯して国会責任を負うという原則をあいまいにし、ゆがめることにはなりませんか。  この経済財政諮問会議のモデルになったのは、ほかならぬこの省庁再編関連法案のもとになった最終報告をまとめた行革会議です。内閣総理大臣を会長に、総務庁長官民間から財界の代表、マスコミ、学者など十三人のメンバーで、今指摘したような国民犠牲、大企業・ゼネコン奉仕の行革方針をつくりました。この重要政策の作成に国民代表機関、国権の最高機関たる国会は事前の相談にあずかっていません。これは国民主権原則の著しい軽視です。本法案経済財政諮問会議はこの轍を踏むものではありませんか。しっかりお答えください。  憲法の基本理念である国民主権、平和、基本的人権、生存権の保障こそ中央省庁再編の目的であるべきことを強調して、質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣小渕恵三登壇拍手
  23. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 吉川春子議員にお答え申し上げます。  まず、この国の形についてのお尋ねでありました。  行政改革会議最終報告にありますように、日本の官僚制度、官民関係を含む国家・社会システムや国民の意識、精神のあり方を含めたこの国の形は、日本国憲法のよって立つ精神によって、洗練し、再構築すべきものと考えております。  私の考える二十一世紀のあるべきこの国の形は、富国有徳の国家、すなわち、経済的な富に加え、品格、徳のある国家、いわば物と心のバランスのとれた国であります。  小沢党首の発言についてお尋ねがありましたが、私は、我が国は、日本国憲法のもと、外交努力の推進及び内政の安定による安全保障基盤の確立を図りつつ、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とならないとの基本理念に従い、日米安全保障体制を堅持し、文民統制を確保し、非核三原則を守り、節度ある防衛力を自主的に整備することを防衛の基本方針といたしております。このような防衛に関する基本考え方は今後とも堅持していく考えであります。  また、周辺事態安全確保法は、周辺事態に対応するために必要な措置等を定め、日米安保条約の効果的運用に寄与し、我が国の平和と安全の確保に資することを目的といたしておりまして、我が国に対する武力攻撃の発生等を抑止することに資するものであり、我が国が戦争に参加するものでも戦争に巻き込まれるものでもないことは、政府側から繰り返し明確に御答弁申し上げておるところであります。  世論調査についてお尋ねがありましたが、総理府の世論調査を初め各般の調査で示された国民の関心、懸念については、国政を預かる立場にある者としてきちんと受けとめていくことは当然であります。  私は、総理就任以来、この内閣経済再生内閣と位置づけ、これまで金融システムの安定化、緊急経済対策等各般の施策等をスピーディーに実施してきたところであり、それら政策効果に下支えられ、景気は下げどまり、おおむね横ばいで推移いたしております。  本日、さらに緊急雇用対策と産業競争力強化対策を決定いたしたところであり、迅速に実施に移すことで、今後とも経済再生に向けて強力に諸施策を推進し、国民の方々の御心配の解消に全力を挙げて取り組む決意であります。  独立行政法人に関するお尋ねでありますが、独立行政法人制度は、ゆえなき民営化廃止または独立採算制を前提とするものではありません。医療や試験研究といった行政分野につきましても、独立行政法人制度の活用によりまして業務効率化国民への行政サービスの向上が図られるものと考えております。  厚生、労働両省の統合等についてお尋ねでありました。  行政目的、任務基軸とし中央省庁を大くくりに再編するとの考え方に基づきまして、中央省庁等改革基本法において両省の任務をあわせて担う新たな省の設置が定められておりまして、これに基づき厚生労働省を設置するものであります。  また、労政局の廃止につきましては、同法における労働関係調整に係る行政見直し、縮小の規定を受け、官房、局の総数の削減の中で労政局を廃止することといたしたものであります。  国土交通省の設置についてお尋ねがありましたが、今回の省庁再編は、総合的、効率的な行政実現するため、省庁を大くくり再編するものであり、その一環として同省を設置するものであります。  同省の公共事業につきましては、国と地方公共団体の役割分担の見直し統合補助金等の導入や民間委託の徹底、事業決定透明化評価の適正化等を行い、そのスリム化に努めてまいります。  周辺事態への対応についての御指摘がありましたが、周辺事態安全確保法におきまして、周辺事態に際し、本法に基づき対応措置実施する必要があると認められる場合には、政府基本計画の案を策定し、閣議決定を行うことといたしており、また、自衛隊の部隊等が後方地域支援及び後方地域捜索救助活動を行う場合には国会の承認を得ることといたしておりまして、対応措置実施の判断が政府の一部にゆだねられるとの御指摘は当たりません。  なお、行政改革会議の最終報告に基づき、国防に関係する事項や大規模な自然災害を含むすべての危機管理につき、周辺事態への対応を含めて、内閣総理大臣を適切かつ有効に補佐できる体制整備いたしておるところであります。  日本国憲法は、三権分立の原理に基づき行政権内閣に属することを定めつつ、これを前提に議院内閣制を採用いたしており、内閣は、国会の信任を前提として成立し、行政権の行使について国会による責任追及にこたえる立場にあります。  副大臣政務官を設置して、これが内閣のコントロールのもとに各府省において大臣を補佐することにより、国の行政機関における政治主導政策決定システムが確立し、内閣国会に対する責任を全うすることができるようになるものでありまして、必要な範囲で国会議員が副大臣等につくことは議院内閣制の運営にも資するものと考えております。  経済財政諮問会議に関するお尋ねでありましたが、同会議は、内閣総理大臣議長として、関係国務大臣、有識者等の合議により経済財政政策に関し調査、審議する機関であります。経済財政政策基本方針決定はあくまで内閣責任閣議において行われるものであり、御懸念には及ばないものと考えております。  以上、御答弁を申し上げました。(拍手)     ─────────────
  24. 菅野久光

    ○副議長(菅野久光君) 清水澄子君。    〔清水澄子君登壇拍手
  25. 清水澄子

    ○清水澄子君 私は、社会民主党・護憲連合を代表し、ただいま議題となりました内閣法の一部を改正する法律案外十六本の中央省庁等改革関連法案につきまして、総理並びに関係大臣質問いたします。  社会民主党は、分権、透明、公正の視点を基本に、憲法の理念を生かした市民のための行政改革必要性を強調してまいりました。明治以来の中央集権、官主導行政から、地方分権、情報公開を徹底的に進め、国民に開かれた主権在民にふさわしい行政に転換することが必要との立場から、橋本内閣当時には与党行政改革協議会における中央省庁等改革基本法案の準備作業に参画し、独立した環境省の創設や男女共同参画会議の設置等の成果を上げるなど、国民のための行政改革に力を尽くしてきたところであります。  しかしながら、十七本の膨大な法案には多くの問題点があります。衆議院の審議時間だけでは到底国民の疑問や期待にこたえ切れているとは言えません。本院における法案審議に当たり、十分な審議時間と実りある議論が必要と考えます。国民に身近でわかりやすい行政改革実現するため、本院の良識を発揮すべきときであります。  社会民主党は、本院における法案審議に当たっては、問題点を明らかにしつつ、国民の理解と納得に資する論議を展開していく所存であります。  今回の中央省庁等改革のベースとなっている中央省庁等改革基本法は、その目的において、内閣機能強化、国の行政組織及び事務事業減量効率化ばかりが語られ、本来的な理念は全く語られておりません。戦後の経済中心主義、生産中心主義のあり方見直し、人々の福祉、人権の擁護、社会的公平公正の確保が中心に据えられるべきではなかったのでしょうか。  行政縦割りを排し、無理、むら、むだを徹底的に省くことは当然のことでありますが、何でもスリムにすればいいというものではなく、二十一世紀の社会とそこにおける行政の役割を展望し、必要な部分はむしろ充実すべきであります。国民はめり張りのある行政改革を求めております。  少子社会、高齢社会を迎える中、従来のような一部の人に恩恵としての福祉を与えるような手法やすべてを市場にゆだねるような弱者切り捨て型の手法でもなく、だれもが、いつでも、どこでも必要なサービスを受けることができるような人間の権利性を明確にした創造的福祉社会の実現が図られるべきと考えます。  その場合、公的責任明確化はもちろんのこと、サービス提供は行政が一元的に行うのではなく、NPOなども役割を果たし、同時に地域において人々が支え合う参加・分権・連帯型の社会づくりが必要であります。このような分野こそ最優先で充実を図るべきです。  さらに、性別役割分業や大量生産、大量消費、大量廃棄に基づく経済社会構造を、男女平等社会、資源循環型社会に転換していくことが必要であります。  二十一世紀我が国にふさわしい中央省庁の具体的な姿は、このような理念に基づき、国民とのパートナーシップを基本としたものであるべきです。  総理、今般の中央省庁等改革は、参加・分権・連帯型の社会づくりに資するものでなければならないと考えますが、明確な御答弁をお聞かせいただきたいと思います。  さて、二十一世紀は人権の世紀としなければなりません。そのためには、理念だけではなく、あらゆる差別の撤廃を目指した人権行政の展開、とりわけ人権侵害の被害救済や人権教育・啓発、行政に対するチェック機能確立に向けた具体的な取り組みが必要であります。そのためには、高い独立性と第三者性を確保した新たな機関確立が不可欠であると考えますが、総理の御見解を伺います。  また、男女平等社会を実現するためには、政治経済、社会のあらゆる分野のあり方見直しが必要であり、すべての省庁にわたる取り組みが求められております。内閣設置法案では、内閣府に調査及び監視機能を持つ男女共同参画会議が設置され、また、閣議決定された中央省庁等改革推進に関する方針では、男女共同参画局の設置が示されています。これらについて大いに評価するものであります。しかし、推進体制には十分な人員と予算の裏づけが不可欠であり、この際、専任の担当大臣を置くべきであると考えます。総理の御決意と具体策を明確にお示しください。  環境省の創設についてお尋ねいたします。  わずか千人余で発足する環境省は、屹立する巨大省の谷間でひときわ小さいのであります。環境省がその本来の目的を的確に達成できるよう、環境省環境関係行政統合一元化を行い、体制強化を図るべきであります。具体的には、水道行政については一元化を図り、環境省の所管とすることも必要であると考えます。総理の御所見をお聞きいたします。  また、環境省国土交通省などの巨大省を初めとする各省庁をチェックし、環境保全のための主導権を発揮するためには、人的にも予算的にも強力な基盤を整えることが不可欠でありますが、総理の御決意をお聞かせください。  定員削減についてお尋ねいたします。  我が国の人口千人当たりの公務員数は、アメリカやイギリスの約半数、フランスの約四割であり、我が国公務員数は欧米諸国と比べ少ないのが実情であります。  今後十年間で四分の一の国家公務員削減するという方針では、行政サービスの低下が憂慮されます。無定見な大幅人員削減計画は撤回すべきです。国民向けのパフォーマンスとして、行政改革を単なる人減らしに矮小化することは断じて許されません。このことについて総務庁長官に説明を求めます。  さらに、行政改革は一方で公務員雇用・労働条件の向上を図るものでなければなりません。定員削減に当たってはいささかの雇用不安があってはなりませんし、労働条件の向上も重要であります。これらが保障されなければ、国家公務員全体の士気が低下することは必至であります。万全の配慮が必要であると考えますが、総務庁長官、いかがお考えでございましょうか。  次に、副大臣制度の導入に当たっては、族議員の量産、利権政治の拡大が懸念されております。政官業の癒着の土壌を今度こそ根絶しなければなりません。政治家みずからも高いモラルを示さなければ、信頼される行政改革にはなりません。国会議員等のあっせん利得行為の処罰の法制化等、政治倫理の確立政治腐敗防止の実現が緊急の課題であると考えますが、総理はどのように対処されるのでございましょうか。  行政改革には誠実かつ不断に取り組まなければなりません。行政機関の再編成の具体化に当たっては、我が国を取り巻く経済、社会、国民生活の変化に柔軟に対応することが求められます。また、国から地方への分権や、官から民への役割分担の見直し、情報公開の進展などによる情勢変化等を踏まえ、適宜見直しを行っていくべきであります。総理の御所見をお伺いいたします。  最後に、国民本位の行政改革に資する実りある論議が本院において行われることを期待し、社会民主党もそのために全力を尽くすことを申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣小渕恵三登壇拍手
  26. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 清水澄子議員にお答え申し上げます。  まず、中央省庁改革理念、目的に関するお尋ねでありましたが、今回の改革は、内外の主要課題や諸情勢に機敏に対応できますよう、行政システムを抜本的に改め、官民の役割分担の見直し規制緩和地方分権推進し、透明な政府実現行政スリム化効率化を図ることにより、戦後の社会経済構造の転換を促し、自由かつ公正な社会の形成を目指そうとするものであります。  人権行政についてお尋ねでありました。  人権擁護は政府内閣全体として取り組むべき課題でありまして、その充実強化につきましては中央省庁等改革基本法でも特に明記されているところであります。人権教育・啓発、人権救済制度あり方につきましては、現在、人権擁護推進審議会におきまして調査、審議がなされており、その結果も踏まえ慎重に検討してまいりたいと考えております。  男女共同参画についてのお尋ねでありました。  内閣府に男女共同参画会議を設置するとともに、私みずからの決断により新たな男女共同参画を担当する局を設けることとし、その任務を遂行するにふさわしい強力な推進体制とすべく検討いたしております。  なお、担当大臣につきましては、この問題が内閣として取り組むべき国政上の重要課題であることにかんがみ、現在、内閣のかなめであります内閣官房長官を指名しております。今後とも、同長官のもと、男女共同参画社会の実現を強力に推進してまいります。  環境省についてお尋ねがありました。  環境省設置法案におきましては、環境行政の全般にわたり適切な機能発揮することができるよう所要の規定を設けており、新たに付与される事務事業を含め、適切にこれを担い得るものとなるよう、組織定員等の充実強化を図ってまいります。  水道行政につきましては、改めて検討を行いました結果、基本法の規定に従い厚生労働省の所掌といたしたものであります。  国会議員によるあっせん利得行為の処罰等、政治倫理の確立政治腐敗防止の実現についてお尋ねでありましたが、政治倫理のための措置につきましては、かねて自由民主党等におきましても議論が行われてきたものと承知をいたしております。  政府としては、各党各会派で十分御議論いただくことが基本であると考えており、その結果をも踏まえ適切に対処してまいりたいと考えております。  最後に、情勢変化を踏まえた見直しについてのお尋ねがありました。  行政あり方につきましては、今後とも、国際情勢国民のニーズ等を踏まえ、時代時代に応じて不断に見直しをしていくべきものと考えております。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)    〔国務大臣太田誠一登壇拍手
  27. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 清水議員にお答えいたします。  定員削減についてのお尋ねでありますが、十年二五%削減方針については、自民、自由両党の合意を受けて閣議決定したところであり、政府としては、自自連立の合意を尊重し、さまざまな改革を行う中で、この方針に沿った定員削減実施してまいります。決して行政改革の単なる人減らしに矮小化することはありません。  このため、行政のあらゆる分野において見直しを求めなければなりませんが、御指摘の行政サービスの水準、さらには国家公務員雇用問題についても十分配慮しながら進めてまいる所存でございます。(拍手)     ─────────────
  28. 菅野久光

    ○副議長(菅野久光君) 水野誠一君。    〔水野誠一君登壇拍手
  29. 水野誠一

    ○水野誠一君 私は、参議院の会の同僚議員のお許しを得て、ただいま議題となっております中央省庁再編関連法案に関して、小渕総理並びに関係大臣質問をいたします。  そもそも行政改革の目的とは、戦後一貫して続いてきた行政あり方にメスを入れ、二十一世紀に通用する簡素で効率的、透明な政府実現することにありました。肥大化した政府の役割を根本から見直すことによって、機構と人員の両面から徹底的なスリム化を図り、より機動的な行政運営を目指したものであります。  また、行革は、拡大を続ける財政赤字構造の改革とも関係深く、省庁再編と同時に、地方分権規制緩和を進めることによって、役所が握る権限予算見直し、官から民へ、中央から地方へと役割をゆだねていくことによって、構造改革を目指し、行政コストの削減を図るものであると考えます。その意味からも、ここ数年間民間企業が身を削る苦しみの中で続けてきたリストラ考えれば、一日も早く実現しなければならない改革一つと申せましょう。  さて、今回の一連の中央省庁再編では、二十一省庁から十二省庁再編されることに伴い、閣僚の数は十四人へ削減各省の局や官房の数も百二十八から九十六に削減されることになると聞いております。  そこで、まず小渕総理に伺います。  確かに、スリム化であるかのように見える中央省庁再編ではありますが、単なる数合わせではないかという疑問の声や、また、その結果、十以上の局を持つ巨大な省庁が出現し、新たな権限の集中や、形を変えた縦割り行政弊害をもたらす危険性があるのではといった指摘もなされております。こうした疑問や懸念に対して何とお答えになるのか、総理の御所見を伺いたいと思います。  さて、行政改革には二つの側面があると考えます。  元経済企画庁長官の田中秀征氏の言葉をかりれば、その一つは身を削る行革であり、いま一つは身を正す行革であります。言いかえれば、前者は行政スリム化することによってコストを削減する、いわゆるリストラクチャリングであり、後者は行政あり方自体の抜本的な再構築を図る、いわゆるリエンジニアリングであると申せましょう。余りに前者だけに目を奪われておりますと、官から民へ行政のイニシアチブを移行させるという、いわゆる質の改革、すなわち真の構造改革がおろそかになりかねません。  そこで、このたびの一連の中央省庁改革、そして並行して審議が進められている地方分権への取り組みを経て、この行政の質の改革、つまり構造改革という視点においてどれだけの効果変化が期待できるのか。言いかえれば、この改革によって仕事のやり方がどう変わるのか、小渕総理にその御所見を伺いたいと思います。  次に、いわゆる権限規定について伺います。  今回の法案では、役所権限を包括的に定めた権限規定各省の設置法の中から削除し、所掌事務に仕事の分担を列挙したものとなっております。これ自体は評価されるべきことだと思いますが、このことによって、無制限な裁量行政省庁間の縄張り争いといった、これまでたびたび指摘をされてきた権限規定弊害が解消されるものと理解してよろしいのでしょうか。また、法律に基づかないあいまいな行政というものが払拭されると期待してよろしいものか、総務庁長官に伺いたいと思います。  次に、財政と金融の分離について伺います。  私は、かつての自民・社民・さきがけ連立政権において、大蔵省改革に最大の関心を払い、その実現に努め、長時間にわたる議論を重ね、一歩ずつではありますが着実に合意を進めてまいりました。しかし、それは、この財政、金融の分離が単なる省庁再編問題であること以上に、往々にして財政の都合によって金融政策がゆがめられてきた過去の経緯を見るにつけても、行革の中で特に象徴的な意味を持つ課題だと思ったからであります。その思いは与党を離れた今でも全く変わりありません。  さらに、昨年秋の臨時国会において、自民、民主、平和・改革の三会派で二〇〇〇年一月一日までに財政と金融の分離を行うことが合意されました。この合意については、私は、金融問題及び経済活性化に関する特別委員会において二度にわたり質問をさせていただき、金融再生法の施行後二カ月以内に金融再生委員会を立ち上げ、二〇〇〇年一月一日までに財政と金融の完全分離を行うことを重ねて確認させていただきました。  その際、自民党の発議者からは、私どもの政治のトップである総理が直接確認をしておられるので、私どもはその総理と各党の党首との間の確認の趣旨を誠実に守っていくことに尽きるとの答弁をいただきました。また、宮澤大蔵大臣からは合意の一語一語を大事にするとの御答弁をいただきました。  当時、私は、それまでの経験から若干の懸念を抱きつつも、改革の前進を素直に評価いたしました。しかし、残念ながら私の懸念は現実のものとなってしまったようであります。  昨年成立した中央省庁等改革基本法では、その時期は明確ではないものの、当分の間が経過すれば金融破綻処理制度ないし金融危機管理に関する企画立案も金融庁に移管される、すなわち財政と金融の完全分離が実現するとされていたにもかかわらず、このたびの一連の法案では金融破綻処理制度ないし金融危機管理に関する企画立案は金融庁と財務省との共管とされ、このままでは永遠に財務省から完全分離されないことになってしまいました。  これは、昨年の三会派の合意のみならず、第二次橋本内閣における中央省庁等改革基本法からも明らかに後退であると言わざるを得ません。一歩前進二歩後退とはまさにこのことであり、決して容認できるものではありません。  私は、究極的には財政と金融の完全分離を実現すべく、今後も引き続き大蔵省改革に取り組んでいくべきであると考えますが、これをもって大蔵省改革に終止符を打つおつもりなのか、もしくは引き続き取り組んでいかれるおつもりなのか、この問題を政治のトップとして直接確認をされた小渕総理並びに特別委員会に常時立ち会い経過をよく御存じでおられる宮澤大蔵大臣の御所見をお聞かせ願いたいと思います。  行政改革は、その質の転換という目的に照らし、規制緩和地方分権、中央省庁改革、さらに財政構造改革までがセットで行われて初めてなし遂げられる改革であります。  これから地方分権一括法の審議もこの参議院において始まります。機関委任事務廃止などによる成果を期待するところでありますが、最も重要なポイントである権限や財源の移譲については、なお多くの課題を残しているとも指摘されているところであります。  今回の改革は、枠組みの改革であり、十分とは言えないものの、内閣機能強化など、確実に行革への第一歩を踏み出したものとそれなりに評価したいと思います。しかし、これはいわば行政改革という階段の踊り場にようやくたどり着いたようなものであり、決して頂上をきわめたわけではありません。  量的な改革は言うに及ばず、大蔵省改革を初めとして、質的な改革の面でもさらに一段上に上がり続けなければならない、今後も絶えず改革は続けていくべきものと考えますが、最後総理の御見解を伺って、質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣小渕恵三登壇拍手
  30. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 水野誠一議員にお答え申し上げます。  まず、お尋ねの巨大官庁の出現への危惧、単なる数合わせではないかと御指摘でありました。  今回の省庁再編は、中央省庁等改革基本法の規定に基づき、内外の主要な行政課題に対し総合的に政策を展開できるよう行政目的別に大くくりするものでありまして、地方分権推進地方支分部局の長への権限の委任などによりまして、御懸念のようなことの事態は生じないものと考えております。  中央省庁等改革効果変化についてお尋ねでありましたが、行政における政治主導確立し、内外の主要課題や諸情勢に対応できるよう、行政システムを抜本的に改めるとともに、透明な政府実現行政スリム化効率化が図られるものと考えております。  また、地方分権におきまして、国と地方公共団体の役割を明確化し、国の関与を必要最小限にすることにより、国、地方を通じた行政の簡素効率化が図られるものと考えております。  財政と金融の分離等に関する問題についてお尋ねでありましたが、本件につきましては政党間協議の経緯等も踏まえながら法案化を行ったものであります。  いずれにしても、行政改革国政の最重要課題一つとして、また、二十一世紀に向けた我が国経済社会繁栄へのかけ橋として、今後とも積極的に取り組んでまいります。  行政改革のさらなる推進についてお尋ねがありましたが、今回の中央省庁等改革は、国際化や少子高齢化など経済社会情勢が激変する中で、国民の期待にこたえるべく、戦後五十年を経て時代に合わなくなってきた行政システムを抜本的に改めるものであります。  行政あり方につきましては、今後とも、国際情勢国民のニーズ等を踏まえ、時代時代に応じて不断に見直していくべきものと考えております。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)    〔国務大臣太田誠一登壇拍手
  31. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 水野議員にお答えいたします。  権限規定の削除に関するお尋ねでありますが、今回の中央省庁等改革においては、各省任務基軸として総合性、包括性を持った行政機能を担うように編成することといたしております。国家行政組織法改正法案においては、任務及び所掌事務各省組織構成原理とし、各省等設置法案には権限規定は置かないとしたところであります。  この結果、権限規定各省の広範な裁量権限の根拠となっているのではないかという疑念も払拭されるものと考えております。  また、新たな府省間で互いの政策を協議する政策調整制度を設けるなどとして、時々の政策課題に柔軟かつ整合的に対応していくことといたしております。御指摘のような省庁間の縄張り争いの懸念も解消されるものと考えております。  もとより、国民の権利を制限し、または義務を課す行政の活動は個別の法律に基づく必要があるということは当然のことでありまして、法律に基づかないあいまいな行政はあってはならないものであります。  いずれにしても、政府としては、裁量による恣意的行政行政指導の乱用が行われることのないようにしてまいる所存であります。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一登壇拍手
  32. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 財政と金融の分離につきましてお尋ねがございました。  この問題は、昨年の国会でも大変に御議論になったところでございますが、長年にわたる大蔵省の金融行政についての誤りについて非常に強い世論の批判がございまして、国会の御議論もその背景のもとに行われました。  私はそういう立場でございますから、反省をすべき立場であって、国会の御議論はできるだけそれを承るという気持ちで、余り表面に出ずにおりましたわけであります。したがいまして、このたび御提案いたしましたものも、国会の御議論をできるだけ反映したつもりで御提案をいたしておると考えております。  具体的に申し上げますと、御審議をいただいております財務省設置法第三条が「任務」でございますが、この中には金融ということは一切触れておりません。一言も「任務」の中に申しておりません。それに反しまして、金融庁設置法には、「金融庁は、我が国の金融の機能の安定を確保し、」「金融の円滑を図ることを任務とする。」と、専ら金融について書かれております。  なお、さらに、中央省庁等改革基本法、従来は別表第二の第十五条関係で、財務省の「主要な任務」の中に金融破綻処理制度ないし金融危機管理に関する企画立案等とございましたが、これを改めまして、全部削除いたしました。したがいまして、御提案いたしております法律の主たる部分からは、金融というものは金融庁に属するということがはっきりいたしておりまして、財務省任務からは全部それが削られております。  ただ、そのような金融の破綻あるいは金融危機がございまして、それがその流れの先において、財政、国庫、通貨あるいは外国為替等々に関連をいたす部分はございますので、その部分につきましては、それを第四条五十五として財務省所掌事務といたしておる、その部分についてのみタッチができる、こういたしておりまして、これは私は、国会の御議論基本的な部分については十分反映をして御提案いたしておるつもりでございます。(拍手
  33. 菅野久光

    ○副議長(菅野久光君) これにて質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十分散会      ─────・─────