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1999-05-26 第145回国会 参議院 本会議 第23号
公式Web版
会議録情報
0
平成
十一年五月二十六日(水曜日) 午後零時八分
開議
━━━━━━━━━━━━━
○
議事日程
第二十三号 ─────────────
平成
十一年五月二十六日 正午 本
会議
───────────── 第一
特定化学物質
の
環境
への
排出量
の
把握等
及び
管理
の
改善
の
促進
に関する
法律案
(
趣旨
説明
)
━━━━━━━━━━━━━
○本日の
会議
に付した案件
議事日程
のとおり ─────・─────
斎藤十朗
1
○
議長
(
斎藤十朗
君) これより
会議
を開きます。
日程
第一
特定化学物質
の
環境
への
排出量
の
把握等
及び
管理
の
改善
の
促進
に関する
法律案
(
趣旨説明
) 本案について
提出者
の
趣旨説明
を求めます。
国務大臣真鍋環境庁長官
。 〔
国務大臣真鍋賢二
君
登壇
、
拍手
〕
真鍋賢二
2
○
国務大臣
(
真鍋賢二
君)
特定化学物質
の
環境
への
排出量
の
把握等
及び
管理
の
改善
の
促進
に関する
法律案
について、その
趣旨
を御
説明
申し上げます。 現代では
日常生活
や
経済活動
に用いられている
化学物質
が数万
種類
に及ぶと言われており、近年では毎年約三百
種類
の新規の
化学物質
が開発、販売されております。一方、
化学物質
の中には、人の健康や動植物の生息などに有害な
性状
があるものもあり、特に近年、テトラクロロエチレン、
ダイオキシン類等
の
環境
への
排出
に関する社会的な関心が高まっており、
化学物質
への
対策
の
強化
が
政府
の急務となっております。 こうした現下の
状況
に
対応
するためには、
有害性
がある
化学物質
について、
環境
への
排出規制
や
製造
・
使用規制
を
中心
とする従来の
対策
に加え、
化学物質
の
管理
の
改善
を
促進
するとともに、
環境保全
の一層の推進を図るための新たな
制度
の
導入
が必要であります。このように、
化学物質
の
管理
の
改善
を
促進
し、
環境
の
保全
上の
支障
を
未然
に防止するという
考え方
は、
平成
八年の
OECD
による
勧告等
に見られますように国際的にも共通の
認識
となり、
主要先進国
で実施され始めていることから、
我が国
としても
国際的協調
の動向に配慮しつつ
施策
を進めることが必要となっております。 そのため、
特定化学物質
の
環境
への
排出量
の
把握等
及び
管理
の
改善
の
促進
を図ることを
内容
とするこの
法律案
を提案した次第であります。 次に、
法律案
の
主要事項
について、その概略を御
説明
申し上げます。 第一に、この
法律
は、
事業者
による
化学物質
の自主的な
管理
の
改善
を
促進
し、
環境
の
保全
上の
支障
の
未然防止
を図ることを
目的
とするとともに、国が定める
化学物質管理指針
に留意して
特定
の
化学物質
の
取り扱い等
に係る
管理
を行うこと等を
事業者
の責務とし、国及び
地方公共団体
は、
事業者
に対する
技術的助言
、必要な
人材
の
育成等
の
措置
を講ずることとしております。 第二に、
事業者
に、その
事業活動
に伴う
特定
の
化学物質
の
排出量
の
把握等
及び国への
届け出
を
義務
づけるとともに、国はその
届け出
られた
事項
について
集計
し、
集計
結果を
公表
することとしております。さらに、
個別事業所
の
排出量等
の
情報
につきましても、
営業秘密
を
確保
しつつ、
国民
の
請求
に応じて開示することとしております。また、
届け出義務
を課されない
中小
の
事業者
、
家庭等
からの
排出量
につきましては、国が
当該排出量
を算出、
集計
し、その
集計
結果を
事業者
から
届け出
られた
排出量等
とあわせて
公表
することといたしております。 第三に、
事業者
は、
特定
の
化学物質等
を譲渡し、または提供する場合、その相手方に対して
当該化学物質等
の
性状
及び
取り扱い
に関する
情報
の提供をしなければならないこととしております。 このほか、国による
調査
の実施、必要な
罰則等
に関し、所要の規定を設けることとしております。 以上が本
法律案
の
趣旨
であります。 なお、本
法律案
は
衆議院
において一部
修正
されておりますが、その概要は次のとおりであります。 第一に、
対象物質
を定める政令は、人の健康に係る
被害等
が
未然
に防止されるよう十分配慮して定めることを明示すること。 第二に、
事業者
は、
特定
の
化学物質
の
排出量等
の
情報
を、
営業秘密
に係るものを除き
都道府県知事経由
で国に
届け出
ることとし、この場合において
都道府県知事
は
当該届け出事項
に関し、
意見
を付すことができるものとすること。 また、
都道府県知事
は、必要があると認めるときは、国に対し、
営業秘密
に該当するものとして
届け出
られた
事項
のうち
当該地域
に係るものについて
説明
を求めることができるものとすること。 第三に、「
法律
の
施行
後十年を経過した場合」に
法律
の
施行状況
について検討を加えるとしていたものを「
法律
の
施行
後七年を経過した場合」と短縮すること。 以上でございます。(
拍手
) ─────────────
斎藤十朗
3
○
議長
(
斎藤十朗
君) ただいまの
趣旨説明
に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。
内藤正光
君。 〔
内藤正光
君
登壇
、
拍手
〕
内藤正光
4
○
内藤正光
君 私は、
民主党
・
新緑風会
を代表して、ただいま
議題
となりました
法律案
に対し、
総理
並びに
関係大臣
に
質問
いたします。 現在、
世界
では十万種もの
化学物質
が
製造
、
使用
され、それらを原材料として
プラスチック製品
や
医薬品
など私
たち
に身近な数多くの
化学製品
が
製造
されております。しかし一方で、
環境
中に
排出
された
化学物質
が
環境
を汚染し、
食物連鎖
を通じて人体に蓄積され、私
たち
の健康に著しく有害な
影響
を及ぼすことも最近の
ダイオキシン
問題を通じて改めて
認識
させられました。 ところが、十万種もの
化学物質
の中で、その
有害性
が判明し、
製造
や
使用
が
規制
されているものはほんの一握りにすぎません。
残り大半
のものについては、健康や
生態系
に有害な
影響
を及ぼす
可能性
を持ちながらも、その
リスク評価
が十分に行われていないがために
推定無罪
とされております。 もはや、
化学物質一つ一つ
に科学的な検証を行い、
有害性
が判明したものから順次
規制
をかけていくといった従来の
規制的手法
では、
対策
はいつも
後手後手
に回り、
国民
の健康を守ることはできません。 そこで考え出された新たな
手法
が
PRTR制度
です。この
制度
は、
企業
が有害な
化学物質
をどのくらい
環境
中に
排出
、廃棄したかを
行政
に正しく
報告
する、
行政
はその
データ
を広く
国民
に
公表
し、それをもとに
行政
、
企業
、
地域住民
の三者が対等に
議論
を行う、さらに
投資家
らは各
企業
の
環境
への
取り組み
を監視する、これによって
企業
は自主的に有害な
化学物質
の
排出削減
に努めるというものです。 しかしながら、
霞が関
というふるいにかけられた今回の
法案
は、
OECD
が各国に
導入
を勧告した
PRTR制度
とはおよそかけ離れたものとなってしまいました。この立場から、以下大きく三点にわたって
質問
をさせていただきます。 第一点目として、この
法案
は、相も変わらず
省益
を最優先させ、本来の
趣旨
を二の次、三の次とした
縦割り行政そのもの
であることを
指摘
しておきます。
環境保護
と
経済成長
との
調和
を図っていくために、
環境行政
はますます重要になってまいります。それに対する
政府
の
意思表示
が
環境省
の
設置
であったかと思います。にもかかわらず今回も、
省益むき出し
の調整の中で
PRTR制度
本来の
趣旨
は骨抜きにされ、その
事態
を
総理
はただ傍観されております。 そもそも
省庁再編
の
基本理念
とは何だったのか、また今後の
環境行政
はどうあるべきなのか、
総理
に改めてお伺いいたします。
修正案
により
排出量
の
報告
は各
都道府県
に
届け出
ることになったものの、最終的にそれぞれの
業所管官庁
へ行きます。 そこで、
環境庁長官
並びに
通産大臣
にお伺いをします。
都道府県
は
企業
からの
報告
をただ受け取り、仕分けをして、
業所管官庁
へ送り届けるだけなのか、あるいは
都道府県
が主体的かつ
責任
を持って
対応
することになるのか。また、受けた
報告
に対して
都道府県
がどこまで
情報
の
正確性
について
議論
でき、場合によってはその
権限
において再
提出
を命ずることができるのか。以上を含め、この
法案
に関して
都道府県
の
役割
と
責任
について
お尋ね
いたします。 また、
営業秘密
については、
企業
は直接その
業所管大臣
へ申請します。その
専門性ゆえ
にそれぞれの
業所管官庁
へ
届け出
るのが適当との
説明
もございました。しかし、多くの
企業
が多角化している今日、この
考え方
は大きな
矛盾
を抱えていると言わざるを得ません。 例えば、
日本たばこ
でございます。
日本たばこ
は、
たばこ
のほかに
医薬品
や花などを手がけております。
たばこ
は
大蔵省
、
医薬品
は厚生省、花は農水省の
所管
ですが、
たばこ
が主たる
業務
でありますから、この
法案
に関しては
日本たばこ
の
所管官庁
は
大蔵省
となるはずです。しかし、
大蔵省
が
医薬品
や花に関する
専門性
を持っているとでも言うのでしょうか。また、
日本たばこ
にとっては、
たばこ
という既に成熟した
分野
よりも、今は
規模
が小さくともこれから
業務拡大
を図っていこうとする
分野
にこそ
営業秘密
があると考えますが、いかがでしょうか。 さらに、そのような事例については他
省庁
と連携をとりながら
対応
するというのであれば、最初から
環境庁
が一元的な
窓口
を務めるのが適当と考えますが、いかがでしょうか。 以上の
矛盾
について、
環境庁長官
並びに
通産大臣
から明快な
答弁
を求めます。
アメリカ
を初め、オランダ、カナダ、イギリスなど
PRTR制度
を既に
導入
した国々は、その
理念
にのっとり、いずれの国も
環境省
あるいは
環境庁
が
管轄
をしております。
日本
でも新たに
環境省
を
設置
し、その
環境省
が
環境行政
を一体的に行うことを決定したはずではなかったでしょうか。
衆議院
の本
会議質問
において
総理
は、
政府
全体で取り組む
体制
とするために
業所管官庁ごと
の
対応
とするとの
答弁
をされました。では、諸
外国
では国全体での
取り組み
を行っていないのでしょうか。
専門性
は理由にならないことは、さきに申し上げたとおりです。なぜ
日本
だけが
業所管官庁ごと
の
対応
になったのか、納得のいく
説明
を
環境庁長官
に求めます。 また、さまざまな
霞が関
的な事情があったにせよ、最終的には
環境庁
も、
業所管官庁ごと
に
管轄
し、
環境庁
には二次的な
情報
だけが行くことになるこの
法案
に同意をされました。
環境省
となって
環境行政
を一元的に
責任
を持って担っていかなければならない
環境庁
に、その自覚と
責任
、
主体性
があるのでしょうか。
環境庁長官
にお伺いいたします。 第二点目、
情報
の
正確性
の
確保
について
お尋ね
いたします。
OECDマニュアル
にもあるとおり、
PRTR制度
の目指す目標を達成できるか否かは
情報
の
正確性いかん
です。
アメリカ
では、
報告
を怠ったり誤った
報告
をした際、一日当たり二万五千ドル、一カ月であれば七十五万ドル、実に一億円もの
過料
が科せられます。一方、本
法案
では、たかだか二十万円の
過料
であります。余りにも軽微で、その
実効性
を疑います。
衆議院
において、
企業
の自主的な
管理
の
改善
を促すのがこの
法案
の
趣旨
であり、高い
過料
はなじまないとの
答弁
がございました。しかし、
届け出自体
は
義務
なのですから、この
答弁
には
矛盾
があるのではないでしょうか。 さらに、
正確性
を
確保
するために、
民主党
が
衆議院
で主張いたしましたように、
企業
に帳簿の備えつけ
義務
を課し、また
環境庁長官
に
立入検査
の
権限
を与えるべきと考えますが、いかがでしょうか。
環境庁長官
に
お尋ね
いたします。 次に、いかに広範囲で正確な
情報収集
に努めるかという
質問
に対して、
衆議院
において、
業界団体
も使いながらとの
答弁
がございました。時代錯誤的であるのは言うまでもありませんが、ほかにも大きな
認識不足
が二点ございます。
一つ目
は、いわゆる
業界団体
に属するような
日本
の
大手企業
は、他の
先進諸国
に比べてISO14000の
取得率
も格段に高く、さらに自主的な
環境監査
結果を
公表
するなど、
環境
問題への
取り組み
もかなり進んでいると言えます。
二つ目
は、
日本
の
環境負荷
を減らしていくために、今、
日本
が取り組んでいくべきは、実は
公害
問題が叫ばれた七〇年代もその高い
すそ切りゆえ
に
規制
の
対象外
とされてきた
中小企業
です。そして、その多くが
業界団体
の力の及ばないところにおります。
中小企業
をも含めていかないことには
PRTR制度
の効果を期待することはできません。
すそ切り
の高さに関する合理的かつ具体的な
考え方
を
環境庁長官
にお伺いいたします。 また、
PRTR制度
を
中小企業
にも適用するに当たって、過大な負担を軽減し、かつ正確な
情報
を
確保
するためにも、
中小企業
への財政的かつ人的な
支援
を実施すべきと考えますが、
通産大臣
にお考えをお伺いいたします。 最後に、この
制度
において
企業
が受けるメリットについて御
指摘
をさせていただきます。 そもそも、なぜ
OECD
が
PRTR制度
の
導入
に向け努力しているのでしょうか。それは
市場競争
に
環境
という要素を新たに取り込むことで
市場原理
の欠点を補い、
環境保護
と
経済成長
との
調和
を図るのが
PRTR制度
であると考えるからでございます。 例えば、
アメリカ
では、本
制度
により一九八八年から九六年の間に実に四五・六%もの
排出量削減
を達成いたしました。そして、それを可能としたのはまさに積極的な
情報公開
だったのです。それを刺激として、
企業
も
排出量
の
削減
に向け自主的な努力を進めてきたのです。つまり、
企業サイド
に立って言えば、
情報公開
がみずからの
環境意識
を高め、最終的には
自分たち
の
効率性向上
にも資する。しかし、今回の
法案内容
では、
企業側
には
情報
の
収集
、
届け出コスト
を負担させるだけに終わってしまいます。なぜならば、積極的な
情報公開
という
PRTR制度
の核が抜け落ちてしまっているからです。 我々
民主党
・
新緑風会
としては、本来の
PRTR制度
は
環境保護
と
経済発展
との
調和
を図っていくためには必要不可欠なものであるとの
認識
に立ち、
霞が関
というふるいにかけられ抜け殻となってしまった今回の
法案
に再びその魂を吹き込むべく本院で真正面から
議論
をしていくことを申し上げ、私の
質問
を終えさせていただきます。(
拍手
) 〔
国務大臣小渕恵三
君
登壇
、
拍手
〕
小渕恵三
5
○
国務大臣
(
小渕恵三
君)
内藤正光議員
にお答え申し上げます。
省庁再編
の
基本理念
について
お尋ね
がございました。
中央省庁等改革
は、
行政
における
政治主導
を確立し、
内外
の
主要課題
や諸情勢に機敏に
対応
できるよう、
行政システム
を抜本的に改めますとともに、透明な
政府
の実現や
行政
の
スリム化
、
効率化
を目指していくものでございます。 今後の
環境行政
の
あり方
について
お尋ね
がありましたが、
内外
の
環境
を守り二十一
世紀
に引き継ぐことは重要な
政策課題
であり、
環境省設置法案
において、
化学物質対策
など
環境
を守るために必要な
事務事業
を
環境省
に付与いたしております。これによりまして、
環境行政
の
充実強化
を図り、
国民
一人一人の安全を
確保
し、私の旨とする安全へのかけ橋を築いてまいりたいと考えております。 残余の
質問
につきましては、
関係大臣
から
答弁
いたさせます。(
拍手
) 〔
国務大臣真鍋賢二
君
登壇
、
拍手
〕
真鍋賢二
6
○
国務大臣
(
真鍋賢二
君)
内藤正光先生
にお答えを申し上げます。
総理
から総括的な
答弁
がございましたので、箇条的な御
答弁
をさせていただきます。
都道府県
の
役割
と
責任
についてですが、
修正
により、
都道府県
がより主体的に
制度運営
に参画することになりました。 具体的には、
届け出
のない
事業者
への
指導
や
記載ミス
の書きかえの
指導
など、
届け出義務履行
の
確保
に
責任
を持っていただくことを期待しております。また、
個別事業所データ
の
地域
の
環境施策
への活用、
事業者
への
技術的助言
、
環境教育
、
人材育成等
にも
責任
を持って取り組んでいただきたいと考えております。 次に、
営業秘密
のある
分野
とその
届け出先
についてでございますが、
営業秘密
のある
分野
の想定はしておりません。
届け出先
は
当該営業秘密
に係る
事業
を
所管
する
大臣
となります。したがって、
複数省庁
が
所管
する
事業者
についても、
業種ごと
に、
事業規模
の
大小
を問わず、その
業種
に関する
専門的知見
がある
大臣
によって判断されるため、
環境庁
が一元的に
営業秘密
の
請求
の
窓口
を務める必要はないと考えております。
PRTR
の
管轄
でございますが、
政府
の組織や
政府
内の
役割分担
は国によりさまざまであり、
我が国
の
PRTR制度
は
我が国
の実情にふさわしいものとすべきであります。 本
法案
の
目的
を達成する上で最も適当な
体制
として、
環境庁
と通商産業省を
中心
に、
業所管省庁
を含め
政府
全体で取り組む
仕組み
としたものであります。 次に、
環境庁
の
主体性
についてでございますが、
環境庁
は
制度
の
中心
となって、
物質選定
、
PRTR
結果の
集計
、
公表
や必要な
調査
を行うことなど、
環境保全
の
観点
から主体的な
役割
を果たしております。したがって、
届け出先
が
業所管大臣
であっても、
環境庁
が
PRTR
において果たす主体的な
役割
は揺るがないと考えております。
情報
の
正確性
の
確保
でございますが、
届け出違反
の
過料
は、金額にかかわらず、
社会的信用
の失墜、それに伴う
経済的不利益
があり、十分な
抑止力
と考えております。 なお、本
法案
のように
届け出
を受理する
制度
の
正確性
の
確保
は
罰則
で担保することが一般的で、
立入検査等
を規定する例は承知いたしておりません。
PRTR
の
すそ切り基準
についてでございますが、
パイロット事業
の
経験
や
中小企業
も
対象
としている
欧米諸国
の
制度
の
運用実績
などを参考にして、
PRTR制度
の
実効
が上がるような
すそ切り基準
にしてまいります。 以上でございます。(
拍手
) 〔
国務大臣与謝野馨
君
登壇
、
拍手
〕
与謝野馨
7
○
国務大臣
(
与謝野馨
君) まず、
都道府県
の
役割
と
責任
についての
お尋ね
ですが、先ほど
環境庁長官
から既に
答弁
がありましたので省略をいたします。
営業秘密
に係る
制度
に
矛盾
があるとの御
指摘
ですが、
事業者
が
営業秘密
に係る
請求
を行う先は、その
事業規模
の
大小
にかかわらず、
当該営業秘密
に係る
事業
を
所管
する
大臣
としています。 このような
営業秘密
の判断は、
当該事業
を取り巻く
競争環境
、
技術環境等
を熟知している
事業所管大臣
が行うことが適当であり、
環境庁
が一元的な
窓口
を務める必要はないと考えております。
中小企業
への
支援
についての
お尋ね
ですが、
PRTR
の
対象
となる
中小企業等
に対しては、今後、
環境庁
及び
通産省
が一体となって、
排出量
の
推計方法
に関する
マニュアル
、
推計ソフト
や
届け出統一様式
を作成し、
中小企業
を含む
対象事業者
に対し、きめ細やかな
周知徹底
や
技術指導
を行う予定であります。 また、
金融的支援措置
として、
中小企業金融公庫
、
国民
金融公庫の新たな
政策的金融制度
を創設し融資を始めることといたしております。 以上です。(
拍手
) ─────────────
斎藤十朗
8
○
議長
(
斎藤十朗
君)
福本潤一
君。 〔
福本潤一
君
登壇
、
拍手
〕
福本潤一
9
○
福本潤一
君 私は、
公明党
を代表して、ただいま
議題
となりました
特定化学物質
の
環境
への
排出量
の
把握等
及び
管理
の
改善
の
促進
に関する
法律案
、いわゆる
PRTR法案
について、
小渕総理
並びに
関係大臣
に
質問
いたします。 今日、
化学物質
による
環境汚染
の問題は、二十一
世紀
の人類の生存を脅かし、その
対応策
として
環境
の面で命の
安全保障
が要求される
事態
と言えます。 それは、最近の
ダイオキシン
問題、
生殖機能
への
影響
も懸念される
環境
ホルモン問題、トリクロロエチレンなどの
有機塩素系化学物質
による
地下水
や土壌汚染問題、そして
廃棄PCB
の処理問題がいまだにそのままとなっているからであります。
我が国
は、
公害
や
環境被害
では幾多の悲惨な体験を経てまいりました。
有機水銀
による水俣病、カドミウムによるイタイイタイ病、
PCB
による
カネミ油症事件
、
森永砒素ミルク事件等
、
公害先進国
であったことは忘れ得ない事実であり、
公明党
は、
公害対策本部
、
ダイオキシン対策本部
を
設置
して、
生命
と
環境
を守る党として本格的に行動してまいりました。 そこで、
総理
に、まず、
環境
と
生命
、
環境
と健康の
関係
をいかに考えておられるか、
理念
、哲学をお伺いします。 さらに、
政府
がかねがね明言してきた
環境汚染
問題には
未然防止
の
観点
から取り組むとした
姿勢
と決意、そして
公害
問題の反省をどうとらえているのか、
総理
にお伺いいたします。 次に、
我が国
における
ダイオキシン対策
は諸
外国
に比べておくれ、一九八三年、
愛媛大学研究チーム
が
ごみ焼却施設
から
ダイオキシン
を初めて検出し、警鐘を鳴らし続けて十六年、
対策
は遅々として進まず、ついには
周辺住民
の健康や野菜などの
安全性
をめぐって社会問題化するまでに至りました。この
状況
は、繰り返してはならない
公害
や
環境被害
を再び現出しかねない
状況
と言えると思います。 我が党は、こうした
事態
を踏まえ、
ダイオキシン類対策特別措置法案
を本院に提案し、
耐容一日摂取量
、TDIを法定化し、
環境基準
を設定し、
総量規制等
の
措置
を講じようとしております。 そこで、
ダイオキシン
問題について、
法的枠組み
を
議員立法
で
対応
して進めていることに対する
総理
の御
認識
をお伺いします。 続いて、
PRTR制度
の諸問題について伺いたいと思います。
世界
で十万、
我が国
で五万とも言われるおびただしい
化学物質
が生み出されており、前述したような人への直接の
被害
の問題に加え、
化学物質
の
内分泌攪乱作用
、いわゆる
環境ホルモン作用
などが懸念される
グレーゾーン
の
化学物質
への
対応
が求められております。 私は、このような
グレーゾーン
の
化学物質
による
環境汚染
を防止するための
PRTR制度
の成否は、この
システム
に対する
信頼性
をどう
確保
するかにあると考えております。なぜなら、
化学物質
の
管理
については、
政府
及び
地方自治体
の
公共部門
、
企業
、
NGO
三者が共同して取り組んでいくことが重要であり、リオの
地球サミット
でもこの
基本姿勢
が確認されておるところです。この
基本的取り組み
の
枠組み
の上に立って運用していかなければ、
規制
でもなく
経済的手法
でもない
PRTR
のような
法制度
の
実効性
はおぼつかないと思っております。 ところが、今年、三月二十四日に開かれたシンポジウムに参加した
NGO
や
専門家
から、
欠陥法案
であるとか、今の
政府
案ならない方がましだという
意見
が相次いだと報道されております。このような問題が生じたのは、
法案
の
合意形成
の仕方にあったと考えます。 第一に、
通産省
の
化学品審議会安全対策部会
、
リスク管理部会
の
合同部会
でも
パブリックコメント
を求めてはおります。ただ、それは、
意見
を求めているだけで、
政府
などの
公共部門
、
企業
、
NGO
三者で
合意
を形成しつつ
制度
化していく
過程
とはほど遠いものでありました。 いま
一つ
は、
制度
の改変に対する
柔軟性
であります。この
法案
では、当初、十年後の
見直し
となっておりましたが、
OECD理事会勧告
で示された
柔軟性
を持った
制度
であるとは言えなかったように思われます。こうした
課題
につきましては、我が党などの
指摘
によりまして七年後
見直し
という適正な
修正
がなされました。この
修正
を高く評価しております。 しかし、これまでの
合意形成
の
あり方
については少なからず問題が残されております。
通産大臣
の御
認識
をお伺いします。 第二に、
届け出先
を
業所管官庁
としたことであります。これにより、いわば皮一枚を残して
通産省
の
制度
となってしまったことであります。 私は、この
制度
が
我が国
における二十一
世紀
の
化学物質
による
環境汚染防止
の柱であり、昨年九月には
政府
に
要望書
、
質問主意書
を
提出
し、
法案作成
の経過を注視してまいりました。
環境庁長官
は
集計
、
公表
を担当するとはいえ、
営業秘密
に関しては
業所管官庁
から通知される
化学品
の
分類名
について
説明
を求めるだけにとどまっております。
拒否権
もないありさまです。どこの国に
PRTR
の
届け出先
を
通産省
初め
業所管官庁
とした国があるでしょうか。
環境庁長官
の御見解をお聞きしたい。 第三に、
地方自治体
の位置づけであります。
平成
九年度から
環境庁
が実施してきた
パイロット事業
は、神奈川県、愛知県の一部
地域
で行われ、その
過程
は、
事業者
にとっても、そして両県にとっても貴重な
経験
であったはずであります。これを土台にして
制度
を構築していけば、自治体に
届け出
る
仕組み
に自然とつながっていったはずであります。それが、昨年夏ごろからの
通産省
の急激な動きにより、
事態
が急転直下変わってしまいました。これでは
NGO
、
地方自治体
が問題とするのは当然であります。特に、自治体の
役割
が限定的になっていったことは残念でなりません。 ただ、これについても、我が党等の
指摘
により、
衆議院
で、
都道府県知事
を経由することになりました。依然として不十分な印象は残りますが、一定の評価はできます。
法案
に示された
事項
に加え、政省令にゆだねられている
事項
が多く、特に、
届け出先
となる
業所管官庁
の範囲、
届け出先
事業者
の足切りの基準、足切りされた
事業者
や移動体など非点源からの
推計方法
、
化学物質
のリストアップの数など、運用いかんではこの
法案
の性格を左右しかねない重要な事柄であるにもかかわらず、骨子が明らかにされておりません。これらについても今後の審議において明確にしていただかねばなりません。現時点において予定されている
内容
を
環境庁長官
にお伺いいたします。 最後に、重ねて
総理
に
お尋ね
いたします。
環境
問題に対する
我が国
の
取り組み
は、これまで地方、現場が先進的に
取り組み
、国がそれを追認するという
状況
であったと思います。言いかえれば、地方、現場が
環境
問題に取り組む意欲に比べて、
総理
を初めとする内閣の意欲はまだまだ不十分なのではありませんか。それが今回の
法案
のような
環境庁
が弱々しい関与しかできない
法案
になっている原因ではないでしょうか。 これから
行政
改革において
環境省
構想をどのように
強化
していくおつもりか、現在示されている
環境省
の機能などを先進国の機能に比して恥じないものとなるよう、例えば林野
行政
、水道
行政
等とのなお一層の連携など
環境省
を一層
充実強化
すべきという我が党の主張にどうこたえていただけるのか、
総理
の所見を伺い、私の
質問
を終わります。(
拍手
) 〔
国務大臣小渕恵三
君
登壇
、
拍手
〕
小渕恵三
10
○
国務大臣
(
小渕恵三
君)
福本潤一
議員にお答え申し上げます。
環境
と
生命
、
環境
と健康に関する
理念
、哲学について
お尋ね
がありました。 私は、人類は地球
環境
の大きな恵みに支えられて初めて健康で文化的な生活を送ることができると
認識
いたしております。こうした
認識
に立ちまして、人類共有の生存基盤である有限な地球
環境
を健全な状態に
保全
して将来の世代に引き継いでいかなければならないと考えております。
環境汚染
問題への
取り組み
の
姿勢
、
公害
問題への反省について
お尋ね
がありました。
環境
政策の推進に当たりましては、これまでの
公害
に係る経緯を振り返りつつ、
環境汚染
の
未然防止
の
観点
から取り組む決意であることを申し上げます。
ダイオキシン
問題に係る
議員立法
について
お尋ね
でありました。 この重要な問題につきまして、現在、多くの政党が積極的に企画立案し、政党間で話し合いが進められていることは高く評価すべきものと考えております。
政府
では、
ダイオキシン対策
推進基本指針を策定いたし、
対策
を進めております。今後、国会と
政府
の共通の理解のもとに
対策
が充実されることを強く念願いたしております。 最後に、
環境省
についての
お尋ね
がありました。
内外
の
環境
を守り、二十一
世紀
に引き継ぐことは重要な
政策課題
であります。
環境省設置法案
におきまして、
化学物質対策
など
環境
を守るために必要な
事務事業
を
環境省
に付与するとともに、森林
行政
、水道
行政
等との一層の連携を図ることといたしております。これらを通じまして
環境行政
の
充実強化
を図ってまいりたいと考えております。 残余の
質問
につきましては、
関係大臣
から
答弁
させます。(
拍手
) 〔
国務大臣真鍋賢二
君
登壇
、
拍手
〕
真鍋賢二
11
○
国務大臣
(
真鍋賢二
君)
福本潤一
先生にお答えを申し上げます。
PRTR
の
届け出先
でございますけれども、
政府
の組織や
政府
内の
役割分担
は国によってさまざまであります。
我が国
の
PRTR制度
は
我が国
の実情にふさわしいものとすべきであると考えております。
環境庁
と通商産業省を
中心
に、
業所管省庁
を含めて
政府
全体で取り組む
仕組み
であり、法
目的
を達成する上で最も適当な
体制
であると考えております。 政省令にゆだねられている
事項
について申し上げます。
届け出先
となる
業所管省庁
は、通商産業省、農林水産省、厚生省などであります。
届け出
事業者
の
すそ切り基準
は、従業員数や
化学物質
の取扱量によって定めることといたしております。 非点源からの推計は、
届け出
られた同
業種
の
排出量
データ
、統計資料を用いて行うことといたしております。
対象物質
は、当面、二百ないし三百程度になることをそれぞれ想定しておるところでございます。 以上でございます。(
拍手
) 〔
国務大臣与謝野馨
君
登壇
、
拍手
〕
与謝野馨
12
○
国務大臣
(
与謝野馨
君)
法案作成
に当たっての
合意形成
の
あり方
についての
お尋ね
ですが、御審議いただく
法案
は幅広い
意見
を集約した上で
提出
されたものでございます。 また、
衆議院
における
法案
審議を踏まえ、公明・改革クラブからの御提案による
修正
を含むものであり、各方面のさまざまな御
意見
を踏まえたものとなっていると
認識
しております。(
拍手
)
斎藤十朗
13
○
議長
(
斎藤十朗
君) これにて質疑は終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時四十七分散会 ─────・─────