○
国務大臣(小渕恵三君)
本岡昭次議員にお答え申し上げます。
まず、
政権担当以来六カ月の自己評価についてお尋ねがございました。
私は、昨年七月に
総理大臣に就任いたしまして以来、
国会の御協力もいただきながら、最も喫緊の
課題でありました金融システムの再生に取り組んでまいりました。
また、昨年末に
成立いたしました第三次の補正
予算のもとで切れ目なく
景気回復策を
実施しておりまして、十一年度
予算におきましても、当面の
景気回復に全力を尽くすとの観点から編成をいたしたところでございます。
税制面でも、九兆円を超える
規模の思い切った
内容の
減税を
実施することといたしております。
こうした
基礎に立って、私はこの
平成十一年を
経済再生元年と位置づけ、
日本経済の再生に全力で取り組んでまいります。
小渕
内閣といたしましては、こうした施策を十分とることによりまして
国民の期待にこたえていく、こういうことでございますので、現段階におきまして自己評価をさせていただくことは差し控えさせていただくとして、
国民の皆さんの御批判、御判断を待ちたいと思っております。
私が施政方針で申し述べた二十一
世紀への
五つの
かけ橋と、橋本
内閣の六つの
改革の関連についてのお尋ねがございました。
私は、
施政方針演説におきまして、
世界への
かけ橋、繁栄への
かけ橋、
安心への
かけ橋、安全への
かけ橋、そして
未来への
かけ橋の
五つの
かけ橋を二十一
世紀に向けた
国政運営の
基本として考えてまいる旨申し述べたところでございます。これは、
国民の皆さんによりわかりやすい形で
国政運営の
基本を示すべく、
五つのグループに分けて説明させていただきました。
他方、
議員御指摘の橋本
内閣のいわゆる六つの
改革、すなわち
行政改革、
財政構造改革、
社会保障構造改革、
経済構造改革、金融システム
改革、そして
教育改革については、それぞれの
改革について現下の
環境変化などを踏まえ、真に国家と
国民のために役立つ
改革を行うよう真剣に取り組んできておるところでございまして、例えば
財政構造改革につきましては、
我が国の厳しい
経済情勢を踏まえ、
景気回復に全力を尽くすため、
財政構造改革を凍結させていただいておるところであります。
こうした点も含みつつ、いわゆる六つの
改革につきましては、その
基本は私の述べました
五つの
かけ橋の中にいわば包み込まれているものと、こう御理解を願いたいと思っております。
平成十一年度
予算は
ばらまき予算であり、将来の
我が国の姿が見えてこない、厳しい御指摘ではございますが、私は、
我が国のあり方として、他人に優しく、美しきものを美しいとごく自然に感じ取ることのできる
社会、隣人が優しく触れ合うことのできる
社会、そして何より住みやすい
地域社会を建設することが必要だと考えております。
このような考え方に基づきまして、二十一
世紀のあるべき国の姿について有識者から成る懇談会を設置し、次の
世代に引き継ぐべき指針をまとめたいと考えておりますが、新しい
世紀を希望と
活力のあるものにするためにも、今
世紀中の
課題はぜひ今
世紀中に
解決の道筋をつけたいと願っております。
このため、
経済を自律的な
回復軌道に乗せることにまず全力を尽くしておりまして、十一年度
予算におきまして、当面の
景気回復に全力を尽くすとの観点から、公共
事業や
中小企業対策、
雇用対策に
最大限配慮するとともに、科学
技術の振興など、将来の発展
基盤を確立する施策も十分取り入れさせていただいておりまして、ばらまきとの批判は当たらないものと考えております。
巨額の累積
財政赤字をどうするかということでありました。
我が国財政が、御指摘のように
平成十一年度末で国、
地方合わせまして
長期債務残高が約六百兆円に達する見込みであるなど、厳しい状況にあることは承知をいたしております。将来
世代のことを考えますと、私は
財政構造改革という大変大きな重い
課題を背負っておると常々痛感いたしております。
日本経済が
回復軌道に乗りました段階におきまして、
財政・
税制上の諸
課題につき、中長期的な視点から幅広くしっかりとした検討を行い、
国民の皆様にそのあるべき姿を示さなければならないと考えております。
次に、
所得税減税についてお尋ねがありました。
個人所得課税につきましては、将来の抜本的見直しを
展望しつつ、現下の厳しい
経済情勢にかんがみまして、早急に税
負担の軽減を図る観点から、
最高税率の
引き下げ、
定率減税等、一時的な
措置でなく期限を定めない、まさに恒久的な
減税を
実施することといたしたところであります。
最高税率の
引き下げは、
我が国の将来を見据え、
国民の意欲を引き出す観点から行うものであります。また、中堅
所得層に配慮し、
定率減税には頭打ちを設け控除率をある程度大きくするとともに、扶養控除額の加算等を行うことといたしておりまして、全体としては高額所得者に偏ったものとなっておりません。
定率減税は
納税者ごとの税
負担のバランスをゆがめないで
減税を行うことができるという長所があり、今回のように
景気の現状に配慮して、課税ベースや課税方式の抜本的見直しを伴わずに恒久的
減税を行う方式として
定率減税が適当と考えられます。
なお、
定率減税の
実施によりまして、単年度で比較してみますと、昨年より
減税額が減少する所得階層が生じることは事実でありますが、一年限りで打ち切られた文字どおり特別の
減税と、恒久的に
効果を持続する
減税を単純に比較することは適当でないと考えます。
このような大
規模な
減税を一時的でなく期限を定めずに継続して
実施することにより、消費者や
企業マインドを高め、
景気に
効果的に作用するものと考えております。
次に、
公的年金に対する
基本的視点についてお尋ねがありました。
公的年金は
高齢者にとって欠かせない存在となっており、将来とも
安心して
年金が受給できることが重要であります。今後の少子
高齢化の進展に
対応するため、給付と
負担の均衡を確保し、将来
世代の
負担を過重なものとしないよう、
制度改革に取り組み、
信頼のできる安定した
制度を確立してまいります。
次に、
基礎年金財源の
国庫負担割合を直ちに
引き上げるとの御
提案でありますが、
国庫負担割合の
引き上げは莫大な
財源を必要とすることから、現下の厳しい
財政状況等にかんがみ、今回の
年金改正で
実施することは困難であると考えております。
基礎年金の国庫
負担の問題につきましては、新たな
財源確保のための具体的な方法と一体として検討する必要がありまして、中期的な検討
課題として、国の
財政状況等を踏まえつつ、
国民負担全体のあり方、
社会保険料と税の役割のあり方等とあわせて議論すべきものと考えております。
次に、
消費税の
福祉目的税化についてのお尋ねがありました。
今般、
消費税に対する
国民の御理解を一層深めていただきますよう、
予算総則に
消費税収の使途を明記し、広く
国民の老後等を支える
基礎年金、老人
医療及び
介護のための
福祉予算に使う旨を明らかにしたところであります。
また、
消費税の
抜本的改革についてのお尋ねがありましたが、
逆進性の
緩和、いわゆる
インボイス方式、中小
事業者に対する特例などに関する御指摘につきましては、
我が国の
税制全体としての累進性、
事業者の実態などをも踏まえつつ、幅広い観点から論議されるべき問題と考えております。
消費税に関する
自民党と
自由党の
政策協議につきましてお尋ねがありました。
自民党と
自由党との協議によりまして、
消費税につきましては、その使途を
基礎年金、老人
医療及び
介護に限定することとされたことを受けまして、今般、
消費税に対する
国民の御理解を一層深めるように、申し上げましたように、
予算総則に
消費税収の使途を明記し、広く
国民の老後等を支える
基礎年金、老人
医療及び
介護のための
福祉予算に使う旨を明らかにしたところでございます。
また、
消費税の問題を含めまして、
自由党から
景気回復に資するための御
提案があったことも勘案をいたしまして、
平成十一年度
税制改正におきまして、
景気に
最大限配慮して、全体で平年度九兆円を超える
減税を行うことといたしたところでございます。
介護保険についてお尋ねがありました。
高齢者介護をめぐる現状の深刻さ等を考えますれば、
平成十二年四月から
実施することが重要と考えており、
制度の円滑な
実施に向けまして、痴呆性
高齢者向けのグループホームを含めたサービス供給体制の整備等にも、引き続き全力で取り組んでまいります。
また、
高齢者の
介護保険料は、市町村ごとのサービス水準に応じて異なるものがあります。いずれにいたしましても、それに応じた
保険料水準が適切なものになるよう、都道府県、市町村との連携を図りながら
準備を進めてまいりたいと考えております。
老人薬剤
負担軽減措置及び
医療保険制度の
抜本改革についてのお尋ねでありました。
今回の
措置は、現下の厳しい
経済情勢にかんがみ、
医療機関にかかる機会の多い
高齢者について、その薬剤
負担を軽減するために、
医療保険の
抜本改革までの応急的な
措置として臨時特例的に
実施するものであります。
薬価制度の見直しを初めとする
医療保険制度の
抜本改革の
必要性は、この
措置によっていささかも変わるものでなく、
平成十二年度からの
実施を目指し精力的に取り組んでまいります。
次に、
人権問題に対しましてお尋ねがありました。
その
基本姿勢についてでありますが、すべての人々の
人権が
最大限に尊重される
社会の
実現のため、
人権擁護の体制整備や関係諸施策の
充実強化を図ることは申すまでもないことと存じます。
同和問題につきましては、
平成八年の
地域改善対策協議会意見具申を
基本的指針といたしまして、関係諸施策の推進を図ります。
国際人権B規約の
選択議定書の締結につきましては、司法
制度等との関連も含めまして、種々の観点から今後とも慎重に検討する必要があると考えております。
次に、文教政策につきましてでありますが、三十人
学級実現についてであります。
現在、児童生徒一人一人の個に応じた多様な
教育を展開するための教職員配置の
改善を柱とする
改善計画を推進いたしておるところでありまして、この計画をぜひ十二年度完成に向けて着実に取り組んでまいりたいと思います。
次に、
奨学金制度についてお尋ねがありました。
学生が
安心して学べるようにするために
奨学金制度を
充実することは、御指摘のとおりまことに重要な
課題であります。このため、
平成十一年度
予算案におきましては、
日本育英会の無
利子奨学金について貸与月額の増額や貸与人員増を図るとともに、
有利子奨学金につきましても貸与人員九万四千七百人増といたしておりますが、その大幅な拡充や貸与基準の
緩和等を行うことといたしております。すべて無
利子にというお話ではございましたけれども、いろいろの形で学生のためにこうした
制度を拡充すること、これまた重要なことと考えております。
次に、
失業の
構造的解決につきましてお尋ねがありました。
雇用活性化総合プランに基づきまして、新規
雇用の創出、
職業能力開発等の労働者の就職
支援、
ミスマッチの
解消、
失業中の
セーフティーネットの確保に全力で取り組み、
雇用の安定を図り、再び希望と
活力にあふれた
経済社会をつくり出してまいります。
介護サービスの
分野におきましては、新
高齢者保健
福祉推進十カ年戦略を着実に推進することによりまして、訪問
介護員等の確保に引き続き取り組んでまいります。
教員の増員に関しましては、現在、児童生徒一人一人の個に応じた多様な
教育を展開するための第六次教職員配置
改善計画を推進しているところでありまして、この計画の完成に向けまず
最大限の
努力をしてまいります。
森林整備に関しましては、第二次森林整備計画及び治山
事業七カ年計画に基づき、計画的かつ着実な
事業の推進を図ることにより、山村
地域等の
雇用の創出に努めてまいります。
次に、金融問題でありますが、
金融機関破綻処理の失敗の
行政責任及び
破綻した
銀行の
責任についてお尋ねがありました。
金融行政におきましては、その時々における
制度の枠組みのもとで、金融システムの安定性確保のための最善と考えられる
対応がとられたものと考えますが、いずれにしても、
我が国金融システムの安定及び再生には、今後とも万全を期してまいらなければならないと考えております。
また、
破綻した
銀行につきましては、金融再生法等に基づきまして、
経営者等に対し民事、刑事上の厳格な
責任追及が行われることとなっております。
次に、
中小企業問題でありますが、
中小企業の
危機突破
対策及び
中小企業の貸し渋り
倒産についてお尋ねがございました。
景気低迷下におきまして、
中小企業を取り巻く金融
環境は依然として厳しい状況にあります。これに対しまして、
政府といたしましては、切れ目ない
景気回復策に加え、昨年十月以降、貸し渋り
対応特別保証
制度の創設等貸し渋り
対策の抜本的拡充を図ってまいりました。本保証
制度の承諾件数は、既に
中小企業の十社に一社に当たる五十七万件に上り、承諾金額も十一兆七千億に達しております。なお、
中小企業の貸し渋り
倒産を含めた
倒産件数は昨年十一、十二月と減少に転じておるところでございます。
次に、
ものづくり基盤技術振興基本法について御指摘がございました。
私は、これまで埼玉県の川口市など
中小企業の現場をお訪ねいたしまして、関係の方々と懇談をするとともに、そうした
地域の
中小企業の皆さんが真剣に
物づくりにいそしんでおられる姿を目の当たりに見させていただきました。
議員御指摘の
物づくりの
重要性については、御指摘のとおり私自身も全く同感とするところであります。
そこで、
中小企業の
物づくりに対する
支援についてでありますが、
政府におきましては、
物づくりを支える
基盤的
技術の維持・活性化が
我が国製造業の競争力
強化に不可欠との
認識のもと、各省連携をしつつ、人材育成
事業等を
実施してきたところでありますが、今後とも
物づくり技術のシステム化等、施策の
強化を図ってまいりたいと思います。
次に、
阪神・
淡路大震災についてお尋ねがありました。
政府といたしましては、
被災者に対する
支援策として、公営
住宅の大量供給や家賃の大幅な
引き下げなどを
実施してまいりました。また、二重ローン
対策として、
住宅金融公庫金利の
引き下げに加え、復興基金を活用した
利子補給などの
対応を行っております。
いずれにいたしましても、本岡
議員、地元
地域のこの問題につきまして大変御熱心に
対応されておりますが、私も、先般、震災以来四年を迎えました神戸市の慰霊祭に出席をさせていただきました。種々いろいろな問題がさらに残っておりますことにつきまして、十分
認識をいたしてまいりました。できる限りの
措置をとり、一日も早く被災を受けられた方々が気持ちを新たに新しい
生活に臨めますよう、最善の
努力をいたしてまいりたいと思っております。
災害対策についてお尋ねがありました。
本年四月適用の
被災者生活再建支援法につきまして、まずは円滑かつ適切な運用をし、実績を重ねることが重要と考えております。また、災害救助法につきましても、被災の実態に応じた的確な応急救助の
実施に努めてまいります。さらに、
住宅再建支援のあり方につきましては、
支援法を踏まえ、検討委員会を設置し、総合的な見地から検討を行うことといたしております。
なお、
議員立法でございました
被災者生活再建支援法につきましては、昨年北
日本を襲いました種々の水害等におきまして被災を受けられた方々におきましても、せっかくのこの法の適用につきましても、我々としてこれを
実施させていただく方向にさせていただきましたことは、この法律の制定そのものの役割のありましたこと、大変
効果のあったことと
認識をさせていただいております。
次に、外交問題についてでありますが、
共同宣言についてお尋ねがございました。
日韓、日中でございますが、
共同宣言とは、関係国の首脳等がその
認識、立場等を述べるというのが一般的でありまして、
国際法上のいわゆる権利義務関係を設定する条約とは異なることは御案内のとおりでございます。ただし、
共同宣言が外交上の重要な文書であることは申すまでもないことでございます。
次に、
歴史認識について御指摘がありました。
我が国としては、過去の一時期に多くの国々の人々に対し、多大な損害と苦痛を与えた事実を謙虚に受けとめ、
歴史を直視することが必要であると考えております。さきの大戦につきましては、これまでさまざまな角度から研究が行われ、
政府としても、過去の
歴史を踏まえ、近隣諸国との相互理解と相互
信頼を築くため、
歴史図書
資料の収集、研究者に対する
支援等を
内容とする平和友好交流計画の進展に努めていきたいと考えております。
情報公開法についてであります。
政府案は、
行政改革委員会におきまして関係諸方面の意見を聴取しつつ、熱心に御
審議をされまして作成された要綱案を
最大限に尊重して立案させていただいたものであり、これまでの
国会の御
審議に際しましても、
政府として誠意を持って
対応してまいったところであります。衆議院の
内閣委員会におきまして熱心な御議論がされ、与野党の合意で
継続審議になったものと承知をいたしております。
国民各界の期待にこたえて、
国会で十分御論議をいただき、速やかに
成立させていただくようお願いいたします。
朝鮮半島情勢についてお尋ねがありました。
事前協議との関連で仮定の問題にお答えすることは適当でないと考えます。ただし、一般論として言えば、事前協議の運用に際しての
政府の
基本的立場は、
我が国の国益確保の見地から、具体的事案に即して自主的に判断するということであります。
また、朝鮮半島の緊張
緩和の
重要性は論をまたないところでありまして、
我が国は、現在開催されております朝鮮半島の和平に関する四者会合におきましてその進展が見られるようにすること等、北朝鮮側に前向きの
対応を求めていく考えであります。さらに、将来的には、日ロが加わった北東アジア安全
保障及び
信頼醸成に関する話し合いの場を設けることも有益であると考えております。私自身も、ロシアに参りまして、あるいは
中国との話し合いの中で、こうした形で六者会談の開催ができてまいりますように、これからも
努力をいたしてまいりたいと思っております。
次に、周辺事態についてお尋ねがありました。
周辺事態は、その
規模、態様等を総合的に勘案して判断するものでありまして、その生起する
地域をあらかじめ地理的に特定あるいは一概に画定することはできないと考えます。
他方、周辺事態とは、
日本の平和と安全に重要な影響を及ぼす事態でありますので、かかる事態が現実の問題として、例えば地球の裏側において生起するようなことは想定されないことはもとよりであります。
次に、
基本計画の
国会承認についてお尋ねがありました。
周辺事態への
対応につきまして、極めて迅速な決定を要すること等を総合的に勘案いたしますれば、国際平和協力法におけるいわゆる凍結業務とは異なる性格のものであり、
基本計画を
国会に遅滞なく報告し、議論の対象としていただくことが妥当と考えております。何とぞ、
国会におきまして十分御
審議をいただきたいと存じます。
武器等防護のための武器使用についてでありますが、自衛隊法第九十五条、武器使用は、自衛隊の武器等を破壊、奪取しようとする行為からこれを防護するため、武器等の警護に当たる自衛官に認められた極めて受動的かつ限定的な必要最小限の行為でありまして、これが公海上で行われたとしても憲法の禁ずる武力の行使には当たらず、憲法上の問題が生ずることはありません。
国連の平和活動についてお尋ねがありました。
自民、自由両党の合意では、国連の平和活動への参加につき、国連総会あるいは安保理の決議があり、かつ要請がある場合は、武力行使と一体化するものでない限り、積極的に参加、協力することができるといたしております。また、今般の合意では、従来の
政府の憲法解釈を変更しない点でも一致をいたしております。
次に、法務大臣の発言についてお尋ねがありました。
一月五日の閣議後の閣僚懇談会におきまして、私から法務大臣に対して、その発言の真意をただしましたところ、司法
制度に関する
改革の
必要性を強調するため、
我が国が直面するさまざまな局面を説明し、複雑な
世界情勢に言及したかったというのが真意であるが、その
改革の
必要性を強調する余り表現に適切を欠いた点があったので、おわびして撤回するものであり、小渕
内閣の閣僚としては憲法を尊重、擁護することは当然のことである旨の発言がありましたので、私としてはこれを了承したものでございます。
最後に、この連立
内閣について御批判されました上に、解散についてのお尋ねもございました。
まず、今般の連立
内閣につきまして、改めて私の思いを申し述べさせていただきたいと思いますが、昨年七月に
内閣をお預かりいたしまして以来、
日本経済の再生に全力を尽くす立場から、あらゆる
分野で思い切った施策を実行してまいりました。しかしながら、内外の
環境は依然厳しく、
景気の
回復を初め緊急に
解決しなければならない
課題が山積いたしております。また、急速な少子
高齢化や
情報化、国際化など進展する中で、あらゆる
分野における
改革を断行し、二十一
世紀に向けてこの国のあるべき方針を明確にいたしていくことが強く求められております。
私は、これらの
課題に果断に取り組み、今日の国家的
危機を乗り越えていくために、時局
認識と
基本理念で一致を見た自由
民主党と
自由党と両党が
政権をともにし、
日本国と
国民のために
責任ある
政治を
実現していくことがぜひとも必要であると判断いたした次第でございます。
この連立
内閣の発足に当たりまして、自由
民主党と
自由党との間で、
政治・
行政改革、安全
保障等多くの政策
課題につきまして真剣な議論を積み重ね、合意をした上で連立に至った次第でございます。
私は、こうした確固とした
基盤に立った連立
政権であって初めて
責任ある
政治を
実現できるものと確信をし、また両党間で日々ともに協力し合い、そして切磋琢磨し、両党のそれぞれのよさを相乗的に
効果あらしめ、その結果、国家と
国民のために大きな役割を果たしていきたいと強く念じておるところであります。
したがいまして、
経済再生を初め内外の諸
課題に真正面から取り組み、迅速的確に政策を実行し、
責任ある
政治を
実現していくことがこの連立
内閣に与えられた使命であることに思いをいたしますときに、衆議院の解散は
内閣総理大臣たる私に与えられた権限であるとは申せ、以上申し上げた現状に立って、解散は全く念頭にありません。
残余の質問につきましては、関係大臣から
答弁いたさせます。(拍手)
〔
国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕