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政府委員(
細川清君) この点につきましては、確かに御
指摘のような問題があるわけでございます。
証券取引法に基づいて提出される財務諸表の書き方を定めた財務諸表規則というものがございますが、これが最近
改正されまして、従来
商法と同じ親
子会社の概念を使っていたんですが、ここでは従来のいわば持ち株
基準を改めまして、支配力
基準というものを取り入れているわけです。例えば、四〇%から五〇%未満の株を持っているという場合でも、
取締役その他の経営者の選任権について大きな影響力があるということで支配力があるというふうに認められる場合には、これは財務諸表規則上は親
子会社として扱われます。そしてそれは関連の連結財務諸表との
関係でそれを反映させるということになっているわけです。
ですから、その点では
商法は持ち株
基準、それから
証券取引法は支配力
基準ということになりまして、乖離が生じているわけですが、
商法でどうして持ち株
基準という形式的にとらえるかといいますのは、これは
商法上の親
子会社についてはそれなりの大きな
法律効果があるからでございます。
まず第一点は、
子会社は
親会社の
株式を
取得することができないという
規定がございます。これは
商法二百十一条ノ二ですが、これは大変大きな効果です。それからもう
一つは、
子会社が他の
会社の株を持っている、その他の
会社の株の四分の一以上の
株式を持っているという場合には、その他の
会社が有する
親会社の議決権は行使することができないということになっているわけでございまして、これは
商法二百四十一条の第三項でございます。
このようにはっきりした
法律的な効果がございますので、支配力
基準というようなやや不明確な
基準ではこれはちょっと適用できないということになりまして、
商法につきましてはそういった法的安定性の観点から明確な持ち株
基準を今のところ維持せざるを得ないというわけでございまして、これにつきましても今後の検討課題ということであろうと考えております。