○大森礼子君 アメリカで技術的に可能であれば、客観的に不可能ではないということになると思います。
それから、システムの開発については事業者に協力を要請することになる。その場合に、協力しない事業者が一社でもあれば
実効性がないのではないかという質問のやりとりもございました。それで、協力義務ですから、強制ということはできないのはもちろんであります。
ただ、やっぱり
通信というのは公共性もございます。それで、もし暴力団一〇〇%出資の事業者であればそういう協力は得られないかもしれませんけれども、もしそうなりますと、そういう
犯罪者は、例えばA社は協力する、B社は協力しないとなると、
犯罪者はみんなB社の携帯
電話に集中するわけでありまして、これがB社にとって果たしてよい結果を生むのかどうか。あそこは
犯罪者ばかりが専用で携帯を使っているとなりますと、
社会的信用を損なうのではないかという気もいたします。あるいは、我が社はあなたの
犯罪通信の秘密を徹底して守りますと、これを宣伝文句にするわけにもいかないわけでありまして、誠意を持って協力を求めれば妥当な結論が得られるのではないかと思いますし、そのように努力していただきたいというふうに思います。
それから、ずっとこの
通信傍受法案を含みます
組織犯罪対策三法を審議してまいりました。特に、
通信傍受法案については多くの議論がございました。それで、先ほど、もう一度練り直すべきではないかという意見もあったわけでございます。
確かに、政府原案につきましては我々公明党も反対しておりました。
傍受という
捜査手法を
一般法化するものであって、乱用の危険も非常に大きいということでございます。この原案提出につきましては、与党間で三十三回ですか何か協議されたと聞いております。そこまで協議したんだったら、今反対される党は提出自体を何とか阻止してほしかったなと。そこから混乱が生じてきたというふうに私は思います。
それで、私どもは独自に党で検討してきて修正案骨子のもとをつくり出したわけであります。ほかの党は知りませんけれども、我が党は原案を練り直して党独自の見解というのを出したわけでございます。もう一度練り直すべき必要性というのは今のところ感じておりません。
それから、もし練り直すというのであれば、参議院に送付されてこの
法案は六十日経過いたしました。憲法五十九条四項の
規定を見ましても、必要ならば送付のときから六十日以内に練り直すことが予定されているのではないか、要請されているのではないか、こういう気がいたします。
それから、報道の自由との関係ですけれども、午前中の
質疑で
内藤委員の質問に対して非常に積極的な答弁があったと思います。それで、報道機関というものはやっぱり十五条の中に入れるべきではないか、それ以外であっても明文化すべきではないかということについて、私どもも非常に報道の自由、取材の自由、正当な報道の自由と言った方がいいかもしれませんが、大事だと思いますので、何とかそういうことができないかなというふうに検討したんですが、先ほど刑事
局長がお答えになりました、それに加えまして、非常に定義づけといいますか、その
範囲を明確にすることが難しいということで、立法技術的に困難である、こういうふうな結論に至ったわけでございます。
それで、結局は
運用にゆだねるしかなくなるわけです。
一般に
運用にゆだねるといいますと、乱用の危険が定型的に大きくなると考えられておりますけれども、しかし正当な報道の自由、正当な取材の自由を尊重する、こういう
運用の仕方を
法務省当局がここで述べられたということは、これは積極的な
意味があると考えます。
この報道の自由との関係で、もう既にこれは質問されましたので重ねて聞きませんけれども、
一つだけちょっと触れておきたいのは、刑事
局長の最後のところで、例えば
傍受の
対象となっている
電話で
被疑者がみずからの
犯罪について告白する場合がある、その場合には
傍受の
対象となり得るとおっしゃいました。それはそれで仕方がないのかもしれませんけれども、この取材、報道の自由との関係で、自分がもし記者の立場であったならばどんな場合に困るかなとちょっと考えてみました。
それは、記者というのは、やっぱり取材源については秘匿するといいますかしゃべらないということが知られておりますから、あんただからしゃべるというケースが多くあるのではないかなという気がするわけです。それで、だれにも知られたくなかったら実際に対面して取材すればいいという言い方もできるかもしれませんが、対面しては嫌だという場合もあるかもしれません。
そこで、あんただから話す、信用ある報道関係者であるから話すといって告白した場合、そしてそれが証拠となるような場合ですと、多分その取材者側としては、自分がそういう供述を誘引した、引っ張ったのではないかという気持ちが残って非常に嫌な気持ちになるだろうというふうに思うんですね。それで、結局、そういうことは取材
対象者と取材者との間の信頼関係というものを少しずつじわじわと崩していく危険があるのではないかなという気がいたします。
それで、特にこういう点に、報道関係者側の立場といいますか、これも十分配慮していただいて、先ほど刑事
局長が述べたような
運用をしていただきたいと思うんですが、簡単に御意見をお伺いいたします。