○世
耕弘成君 わかりました。ですから、該当性は尊重されるという
理解をしたいと思います。
それでは、今度は資料六に移りまして、これは五月三十日付の朝日新聞の記事でございます。この間、福島
議員の方からもこの資料をもとに
質疑がなされたわけでありますけれども、この記事に関しては非常に大きな誤解があるということを御
指摘申し上げておきたいと思います。
この記事の趣旨は、要するにPTT端末というのがあって、それを使えば
NTTの外からでも、あるいは
警察の
ビルの中からでも
警察が
通信傍受をすることが可能であるという報道なわけですけれども、これはちょっと誤解がありますのでここで明確にしておきたいと思います。
そもそも、このPTT端末というのは何のためにあるかというと、別に
NTT社員が家に帰って
電話のチェックをするためのものじゃないんです。あるいは出張中にどこかのホテルからチェックをするためのものじゃないんです。
今
NTTは、交換の試験機能の合理化というのをどんどん進めています。今
NTTには約三千の
電話交換局がありますけれども、昔はそこにすべて試験ができる装置を置いて、装置が置いてあるということは人が行ってやっていたんです。あるいは人が常に勤務をしてやっていたんですが、それでは非常に非効率だということで
試験装置の集約というのを行いました。実は、三千近い交換局のうち先ほど私がお示しした
試験装置、試験制御装置というのがあるのは百局なんです。では残りの二千何百局はどうしているのかというと、基本的にはその百局にいる人が遠隔でそこの
交換機を見に行って
回線の状態をチェックするというのが今の
NTTの仕事のやり方なんです。
ところが、どうしても
試験装置のない二千何百局の方へ物理的に社員が出向いて配線をやらなきゃいけないこともあるわけです、時には。そのときに、配線をやった結果ちゃんと
電話回線がつながっているのかどうかをチェックしようと思っても、その二千何百局の交換局には
試験装置がないわけですから、試験のやりようがありません。そこでどうするのかということで、このPTT端末というポータブル型のノートパソコンで、
電話回線でこの百局あるTWS試験制御装置につないでチェック、そもそもそういう目的のものなんです。
ですから、もともとそういう目的以外に使われることはありませんし、
NTTも何回かハッカーに侵入をされていますので、セキュリティーも非常に気を使っております。
こういう
電話回線でもって会社のシステムに接続する場合のセキュリティーシステムというのは幾つかあるんですけれども、今回この
NTTのPTTの場合はコールバックシステムというのをとっておりまして、
電話番号を登録してあるところからかかってきたものしか受けないし、さらにそれが本当かどうかわからないので、一たん切ってセンターの方からかけ直すという二重のセキュリティーをとっているんです。ですから、
NTTがよほど
警察に全面的に
協力をして
自分のところのTWS試験制御装置に
警察の
番号を登録しない限り、これはあり得ないということをまず申し上げておきたいんです。
また、いろいろ今おっしゃっていますけれども、
技術的にもこの記事は致命的なんです。というのは、先ほど申し上げましたように、試験制御装置というのはアナログ
電話の場合は待ち受けて聞くことはできないんです。既にできている
通話を聞くことしかできないんです。ずっと待っていたら話し中になっちゃうんです。このPTTというのは、試験制御装置を延長して出ている無人交換局でチェックするための装置ですから、これを幾らつないだって
技術的にそもそも
傍受そのものができないということで、この記事は前提が大きく間違っているということを一つここで御
指摘させておいていただきたいと思います。
そして、
最後に二つほどお
伺いしたいと思います。
まず、今回の立会人の問題であります。
今回の
法律の中で立会人がうたわれている、そして立会人がいた方がいいということはよくわかりますけれども、この
通信傍受に当たって相当
通信事業者に対して金額的、人的な負担がかかるんじゃないかなということを私は懸念しております。
今、
通信事業者といいましても、新聞報道で
皆さん御存じのとおり、非常にグローバルな競争にさらされているわけです。どれぐらいの回数の
傍受が行われるか、あるいは一回の
傍受当たりどれぐらいの
通信事業者の社員が立ち会う必要があるか、あるいはもしかしてどんなソフトを開発する必要があるか、その辺は
現状では非常に不明確でまだ詰まっていないと思うんです。そもそも
通信事業者というのは
犯罪撲滅のための
通信傍受にできる限り
協力しようという
立場であります。しかも、今までも逆探知ですとかあるいは過去五件行われた麻薬関係の
傍受でも非常に
協力をしているはずなんです。
こういう
通信事業者にコスト負担を負わせるのはいかがなものか、適正なコスト負担をできる限り国として考えるべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。