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千葉景子君 民主党・新緑風会の
千葉景子でございます。
私は、この
法案についてきょうが
最初の
質問ということになりますので、冒頭、この三
法案を審議するに当たりまして三点、まず基本的な
問題点を申し上げておきたいというふうに思います。
まず第一点ですけれども、これは今、服部
議員からも御
質問がありまして、その中で私も感ずるところですが、この三
法案、
組織的犯罪対策法案という名のもとに、もうすべてのものがごった煮になっている、こういう非常に緻密さに欠けた
立法ではないかというふうに思います。
犯罪というのは、その現象、形態がどうであるか、あるいは
発生原因というのはどういうところにあるのか、こういうことをきちっとつぶさに検討し、そしてそれに対して合理的な対策を講じていくということが必要であろうというふうに思います。
今回も、
組織的犯罪対策ということで、例えば
暴力団、そして海外から蛇頭というような形でのグループの日本への侵入、こういうことも挙げられ、もう一方ではオウム対策というような
側面も加えられている。しかし、考えてみれば、それぞれ形態も、
発生原因も、それに対する適切な対応、対策というのも必ずしもすべて共通になろうとは私は思えない。
それぞれを緻密に検討した
立法と思えない。そういう結果、先ほどもありました、
実体法と
捜査手続、
捜査手法、それを組み合わせて実効を上げようということですけれども、それは、できるだけ
処罰規定が多い方が
捜査機関にとっては
捜査しやすい、あるいはできるだけ
捜査手法をたくさん持っている方が逮捕しやすい、こういうことはあるでしょう。
しかし、先ほど言ったような、そういう
犯罪の実態、そういうものもきちっと検証したかどうか疑問のままに
実体法、
捜査手法をさまざま取り入れてしまっている。結果的には、本当にそういう
組織犯罪に効果的な実が上がるのか否か、それが十分にわからない反面、たくさんの
処罰規定や
捜査手法を盛り込んだために、一人一人の人権とか市民
生活を抑圧したり
規制する、こういう法律に結果的にはなってしまった、これが一点、この
法案の非常に
問題点ではないかというふうに私は思います。
それから第二点、これは
組織犯罪対策ばかりではなくて、
捜査を国民の信頼を得てあるいは協力を得て本当にきちっと進めようとするのであれば、やはり
捜査機関
自体の、あるいはこれに対応していこうという政府
自体の信頼性、こういうものが不可欠であろうというふうに思います。
しかしながら、この
法案の審議の冒頭からも
指摘をされましたように、従前起こった神奈川県警による緒方邸の盗聴
事件、これに対する明確な
警察庁からのお答えもいただけていない、こういう
状況です。あるいは私は、
組織犯罪対策というふうに言われましたから、ひょっとしたら省庁ぐるみで行われているそれこそ
組織犯罪対策、こっちの方をまずきちっとすべきではないのか、こうも思ったりいたします。こういうことがきちっとされないままにこういう
法案が提起をされている。いろいろな疑問が呈せられているのは当然であろうというふうに思います。
それから三点目、これはこれまでの審議の中でも多少触れられてまいりましたけれども、今回、とりわけ
通信傍受という部門で、これからの高度情報化社会あるいは情報
通信が本当に日に日に発達をしていく、こういう
状況の中で、本当にこれらを見通して、あるいはそれをきちっと技術的にも検証し、そしてそれにも問題ない
法案として出されているのかどうか、こういうところもまだ非常に疑問が残るし、この
委員会でも十分に検証がなされていない部分であろうというふうに私は思います。
これについては、今後またそれぞれからいろいろな審議あるいは問題の
指摘などがなされていくだろうというふうに思いますけれども、まず私は、審議に当たりまして冒頭この三点をぜひ頭に置いていただきたいし、この審議に当たっても私どもの共通の
問題点として持っていきたいというふうに考えております。
そこで、とりあえず今申し上げました第二点目ですが、やはり
捜査機関の信頼性、こういう問題がございます。冒頭、私どもの角田
委員からも
警察庁の態度について、あるいは対応について大変厳しい
指摘がなされました。私もこれは、どこかできちっとした
警察庁としての御見解、そういうものを承らなければいけないというふうに思っております。これは
警察庁の方に私も厳しくお尋ねをしたところでもございます。しかしながら、私がこの間問いただしたところ、
前回の
質疑に際しての答弁と全く変わることはない、そういう姿勢でいらっしゃいました。
そういう
意味では、それをここで繰り返してお聞きしても余り
意味のないことですから、きょうは
質問はいたしませんけれども、きょう
警察庁には来ていただいております。この審議の間、みずからこの問題について姿勢を明らかにしようということがございましたら、いつでも結構です、
警察庁の方からこの
委員会に対してきちっとした意見を申し述べていただく、こういうことを私は要請しておきたいというふうに思います。きょうは答弁は要りません。よくその点を認識しておいていただきたいというふうに思います。
さて、こういう前提を置いた上でですが、三点目、私は情報化の進展という問題を
指摘させていただきました。
前回の
質疑などでも、インターネットなどにかかわる
問題点というのが多少出始めているところでもございます。これは、大変詳しい皆さんもおいででいらっしゃいましょうから、私の方から、きょうはたくさんのことを
質問はいたしませんけれども、
一つこの点をただしておきたいというふうに思います。
それは、
前回の
質疑で、インターネットの
通信傍受というのは、メールボックスの情報を
傍受するのだというお話でございました。私は素人のようなものですから素朴に感ずるところですが、メールボックスの情報というのは、この法律で言われるように、「現に行われている他人間の
通信」というふうに本当に言えるのかどうか。ここがやっぱり、これまでの
通信の
仕組みと、これからのインターネットなどを中心とした情報
通信の
仕組みと大きく違ってくるところではないかというふうに思うんです。これを
傍受するということは、平たく言いますと、郵便局に集まっているはがき、これをコピーする、これとほぼ似た形態になるのではないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
もし、これをコピーすることが
通信傍受であるということであれば、郵便局でせっせと手紙のコピーをとるということも
通信傍受だということにもなりかねませんが、これを比較いたしまして、
仕組み上、いわゆる電話などの
傍受、それから電子メールなどをメールボックスから
傍受するということの、どうもシステム上違いがあるのではないか。こういうことをきちっと区別し、検証してこの
法案というのはできているものかどうか、ちょっとそこを確認させていただきたいんですが、いかがですか。