○橋本敦君
外国人登録法改正案は、外国人登録証の常時携帯義務が存続する点で私も問題と考えております。しかし、長年の
課題であった指紋押捺
制度が全廃される、こういう点で私は賛成をいたします。
また、修正案については、その第一と第二について、永住者と特別永住者を区別せず、永住者全体について
刑事罰をなくすのが適当と考えるのでありますが、修正案は
現状の改善にもなっておりますので賛成したいと思っております。
以上の点を
指摘した上で、日本共産党を代表して、
出入国管理及び
難民認定法改正案に対して反対の討論を行います。
反対の第一の理由は、不法在留罪の新設であります。
第一に、
政府は、不法在留罪の新設について、不法在留している在日外国人に対して治安対策上の必要があるということを述べました。しかし、不法に入国、上陸している不法在留と言われる
人たちが起こす犯罪
件数は、二十七万と推定される
人たちのうち毎年ごくわずかで、著しく増加しているという事実がないことは
審議の中で明らかになりました。現行法の不法入国罪あるいは不法上陸罪と退去強制
制度の上に新たに不法在留罪を新設することに具体的合理性がないことはこの点でも明白であります。
第二に、不法在留罪は、どの時点から果たしてその罪が既遂となるのか、また不法入国罪等との
関係で罪数がどうなるのか、こういった点も含めて構成要件が不明確なままであります。
第三に、不法在留罪によって不法入国者はいつまでも
刑事訴追の対象となり、不法入国罪の公訴時効
制度を事実上否定する結果になります。公訴時効
制度は近代刑法が確立してきた
基本原則の
一つでありまして、これを事実上無効にしてしまう点で重大な
人権上の問題があると言わざるを得ません。
このような不法在留罪の新設は、
参考人も述べたように、不法入国などに事実上抑止効果がないばかりか、在日外国人に対する
人権侵害を起こしかねない、そういった問題を持っておるものであります。
反対理由の第二は、被退去強制者に対する上陸拒否期間の伸長であります。
現行法において、退去強制された者に対する再入国拒否期間は一年でありますが、
法務大臣の裁量により実際には二年あるいは三年かかるということもあるわけであります。ですから、仮に悪質なケースがある、こういった場合においては現行法のもとであっても入国を認めなければよいわけであり、このような
運用が裁量的に実際上できているのでありますから、拒否期間を
法律上五年に延長しなければならないという合理的
根拠はないと考えます。
問題となるのは、この期間の伸長によって
関係者の家族の長期にわたる離散、あるいは離れ離れになって生活の侵害を受けるなど、
人権侵害を助長するケースがふえるということであります。これは重大な問題であります。
この間の
審議で
法務大臣は、私の
質問に対しても、家族的
関係を結んだ在日外国人に対しては人道上から従来どおりの扱いをするという旨の答弁をされていますが、しかし、
法務大臣に広範な裁量権がゆだねられたままでその扱いを担保する法的
根拠がないという本改正案では、
関係者の不安を到底取り除くことはできません。
根本問題は、在日外国人の皆さんをいつまでも管理、取り締まりの対象と見る日本
政府の政策の問題でありまして、
政府に、国際
人権規約を尊重し、内外人平等の考え方、そしてまた在日外国人に対する一層の
人権保障など、外国人とともに生きる国際
社会に開かれた
我が国の入管行政の転換を強く求めて、反対討論を終わります。