○大森礼子君 わかりました。
こういうことで、もしこの
目的というものが正規の
在留者、特に不正規の方を摘発する
手段、こういう
考えであるならば既にその
目的は失われているわけなんです。だから、どうしてこういう
制度にそんなにこだわるのか。もちろん取り締まる側からしたら
手段はたくさんあった方がいい。組織
犯罪法とか通信傍受法とか、私が捜査官だったらそれは確かに
手段がもらえたらうれしいけれども、
人権との関係で果たしてどうかということで十分
審議をしなくちゃいけないわけです。
永住者の方、一般、特別合わせて大体六十万とわかりやすい数字で申しました。それから、規約
人権委員会での報告に過去三年間、年間二十人未満でその検挙数は推移しているということで、六十万割る二十、一人の検挙者のためどれだけ迷惑をこうむるか比率を出したら一対三万です。三万といったら、私は岡山、備前市の出身ですが、この人口は三万に満たないんですけれども、一人の変な人がいるために
市民全部に正当な備前
市民であることを立証せよと、何かこれを
義務づけているような気がしまして、本当にバランスを欠くと私は思います。
この
制度が何でおかしいかというと、例えば一人の違反者を見つけるということは、即時見つける、即時やりたいんです、即時するために三万人に
義務を課しているというこのアンバランスさなんです。一人の発見のために三万人のそうでない人を巻き込んでいいのか、こういう問題だと私は思うんです。
それから、この常時携帯
義務ということを
在日の方が嫌がるのはすごくわかるんです。面倒くさいという以外にも、やはりそこには
人権上問題がある。
特別永住者の方も若い世代の方が育っております。
日本人とどこが違うんですか。将来国へ帰ることもないでしょう。私も友人がおりますけれども、まず言葉がわからないからもう
日本にしか住めない、
日本が好きだから住む、こういう方が多いわけなんです。言語の問題も
生活本拠の問題もございます。なのに一生、これまでの統計でいうと年間二十人の迷惑をかける人間のために常時携帯
義務が課されるという、こんなばかげた話はないじゃないかということになります。
それから、この
制度が私は非常に嫌なのは、不法入国者等でない、つまり不正規の
在留者でないというこの立証責任を正規に
在留している人に転嫁しているような気がして仕方がないんです、見せろと。おまえ、正当な
在留者だったら証明書を出して立証してみせろ、こういうふうな
考え方が私はこの常時携帯
義務の中に感じられて仕方がないわけであります。ですから、私はこれにつきましてはやはり
廃止を含めてもう一度
考えるべきではないか、こういう
考え方を持っております。ほかにもさっきの
質疑でよくわからないことがいっぱいあったんです。
指紋押捺、円
委員が聞かれたことなのですが、再入国
許可との関係で、過去において
指紋押捺を拒否した方が再入国
許可が得られませんでした。そういう
時代がございました。それについて、やはりその人たちがこうむった不利益というものを回復すべきではないか、何か救済
措置を
考えるべきではないかということを円
委員が質問されたわけです。それで、崔さんのケースを円
委員が引かれまして、どう思われますかと。
大臣は、お気の毒だなと思います、ただ法治国家であるから
法律によって処罰しなくてはならない、こういう
趣旨のことをおっしゃいました。
これは順序が問題なんです。お気の毒だな、だけれども法治国家だから仕方がないんだといって済ますのか、あの当時は法治国家であったから仕方がなかった、しかし今となってはあの方たちが主張した
指紋押捺制度というものはこうして
時代の流れの中で
廃止されたではないか、そうすると、冷静に
考えると結局あの人たちの
人権感覚というのは正しかったんだということになると思うんです。
そうであるならば、あのときは
法律によってそういう不利益処分をしなければならなかったけれども、今この
時代となったら非常にお気の毒だから、これからどうするか、資格回復等をして何か
考えてみようとか、こういうお
考えは
法務大臣、ございませんか。