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1999-06-03 第145回国会 参議院 農林水産委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年六月三日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  五月二十六日     辞任         補欠選任         岸  宏一君     岩崎 純三君  五月二十七日     辞任         補欠選任         岩崎 純三君     岸  宏一君      小川 敏夫君     木俣 佳丈君  五月二十八日     辞任         補欠選任         木俣 佳丈君     小川 敏夫君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         野間  赳君     理 事                 岩永 浩美君                 三浦 一水君                 和田 洋子君                 須藤美也子君                 谷本  巍君     委 員                 岸  宏一君                 国井 正幸君                 佐藤 昭郎君                 中川 義雄君                 長峯  基君                 森下 博之君                 小川 敏夫君                 久保  亘君                 郡司  彰君                 風間  昶君                 木庭健太郎君                 大沢 辰美君                 阿曽田 清君                 石井 一二君    国務大臣        農林水産大臣   中川 昭一君    政府委員        農林水産大臣官        房長       高木  賢君        農林水産省経済        局長       竹中 美晴君        農林水産省構造        改善局長     渡辺 好明君        農林水産省農産        園芸局長     樋口 久俊君        農林水産技術会        議事務局長    三輪睿太郎君        林野庁長官    山本  徹君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木 威男君    参考人        森林開発公団理        事長       塚本 隆久君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○森林開発公団法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○農業災害補償法及び農林漁業信用基金法の一部  を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 野間赳

    委員長野間赳君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  森林開発公団法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会参考人として、森林開発公団理事長塚本隆久君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 野間赳

    委員長野間赳君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 野間赳

    委員長野間赳君) 森林開発公団法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 岩永浩美

    岩永浩美君 おはようございます。自民党の岩永浩美です。  森林開発公団法の一部を改正する法律案について伺いたいと思います。  今回の改正は、行政改革一環として、特殊法人整理統合に伴う観点から、農用地整備公団を廃止して森林開発公団に承継することが主な任務になっていることは御案内のとおりです。農用地整備公団は、今までの農用地基盤整備、日本の農業を発展させていく一つ過程の中で大変大きな役割を担ってきたと私は自負いたしております。しかし、時代要請とともに、今回この行政改革一環として森林開発公団統合することになりました。  農用地整備公団が廃止されることによって、今までの農用地開発そのものが停滞し後退してしまうのではないかという疑問を抱く方もおられます。そういうふうなことがあってはならないと思うし、側道用排水の諸問題が一緒になって農用地を取り囲んでいる実態を考えると、農用地整備公団役割もまだまだ残っている部分多分にあると私は思います。  そういうことで、今後、農業生産をしていく過程の中において、農用地整備公団が廃止されることで農用地基盤整備事業が後退するのではないかという危惧の念を抱かれる多くの国民もおられるので、そこら辺はどうなるのか、御説明を願いたいと思います。
  6. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 今御指摘がありましたように、農用地整備公団が大規模かつ広域的に短期集中農業生産性の向上に大変重要な役割を果たしてきたというのはそのとおりでございます。  ただ、こういう状況の中で、いわば時代リード役としての公団営事業一定成果を上げて、その成果も浸透、定着という状況が出てまいりましたので、簡素で効率的な行政の実現を目指すという行政改革観点から、閣議決定に基づいて、しかも農業基本法改正に伴う農政全体の見直しに合わせて公団を廃止するというふうにされたわけでございます。  私ども、国全体としての生産基盤整備状況を見ますと、例えば水田整備率で見ましても五六%という低い水準でございますので、これから先も生産基盤整備を進めるということは大変重要であるというふうに考えております。公団のこれまでの事業は廃止されますけれども、私ども国営事業あるいは都道府県営事業を通じまして生産基盤整備を進めたいと思っております。新しい時代の新しい要請にこたえた事業ということで、特に生産基盤整備がおくれております中山間地域において森林農地一体的に整備する、こういう事業緑資源公団実施することによって生産基盤整備を一層進めてまいりたいと考えております。
  7. 岩永浩美

    岩永浩美君 それで、統廃合の相手として森林開発公団が引き継ぐということに今回なっていますが、その森林開発公団業務を引き継ぐということになったその理由をまず伺いたい。  それと同時に、今まで農用地整備公団実施してきたもの、それから調査をし、かつまた今後何かをしようとする計画等々があったところについては、その事業の見通しはどういうふうにして展開をされるのか、そういう期限、何年度をめどにその事業をとり行おうとしているのか、それを伺いたいと思います。
  8. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 先ほど答弁申し上げましたように、農業基本法改正に伴う農政全体の見直しに合わせてこの公団を廃止するということでございまして、その後、基本問題調査会答申におきましても、私ども農政改革大綱におきましても、さらには現在、衆議院農林水産委員会を通りました基本法案の中におきましても、農地、林地を一体的に整備することの必要性、特に中山間地域における農業生産森林を取り巻く情勢を考えましたときに、一体的に整備をしていくということの重要性指摘されているところでございます。こういった仕事をする上では、森林公団の持っている技術体制、それから農用地整備公団が今まで抱えてまいりました技術と人と体制、こういうものを組み合わせましたときに一番効率的にできるのではないかということから、今回新しい緑資源公団においてその種の中山間地域整備事業を行うこととしたわけでございます。  それから、今御指摘がございました農用地整備等事業について実施中あるいは調査中の事業につきましては、三種の事業を今やっておりますけれども農用地等緊急保全整備事業、それから濃密生産団地建設事業、これらにつきましてはこの一、二年で事業完了させることにしております。農用地総合整備事業につきましては、まだ相当な残事業がございますが、総事業費およそ三千八百億ぐらいに上ると思っておりますけれども、これらにつきましては緑資源公団に承継いたしまして事業完了させるということにいたしております。  農用地総合整備事業につきましては、予算の確保の状況いかんによっていつまでにということが変わってまいりますけれども、仮に十一年度当初予算ベース予算額が確保されたという前提に立ちますと、完了までにおおむね十数年を要するのではないかなというふうに見込んでおります。
  9. 岩永浩美

    岩永浩美君 今、特殊法人整理統合については数合わせみたいなものではないかといういろいろな意見があります。そして、本当にそれだけ効果が明らかになるような形にはなっていない、ただ単なる数合わせ二つ一つにして整理統合したというようなニュアンスにとられていて、必ずしも国民皆さん方から整理統合効果があらわれているというふうな思いにはなっていないのではないかという気がします。  そこで、今回、整理統合していかれるそれぞれの組織内の業務効率化をどういう形で図っていくのか、それから組織合理化を円滑に進めていくために具体的にどういう形をとろうとしていくのか、組織的にも人の配置についてもどういうお考えか、お示しを願いたい。
  10. 山本徹

    政府委員山本徹君) 先生指摘のとおり、行政改革一環として、今回の特殊法人整理統合に伴いまして組織、要員の見直し、また事業効率化に一層の努力をしなければならないことは当然でございまして、私どもはこのための努力工夫をいたしてまいりました。  具体的に申し上げますと、まず役員数でございますけれども、現在、両公団で合計十二名おりますけれども緑資源公団の発足を契機に九人にいたします。七五%になりますが、具体的に削減される三人の役員は、農用地公団理事長と副理事長理事でございます。この三名を削減いたします。  しかしながら、農用地公団残事業また海外業務、それから農政見直し一環として中山間地域等振興のための農林一体事業が新しく実施される予定となっておりますので、これらを効率的に実施するために、農用地公団役員につきましては、先ほど申し上げましたように、三名は削減いたしますけれども、四名、このうち一名が非常勤の監事で、あと三名が業務執行理事でございますが、この三名の体制事業の再配分、見直しを行いながら推進してまいりたいと思っております。  この三名の中でも、細かく申し上げますと、一人は非常勤で、農業国際協力を担当いたします。これは、対外的に円滑な業務執行を図るという点もございまして理事に担当させますけれども非常勤理事を予定いたしております。残事業が十数年後に終了いたした時点では、さらに理事を一人削減いたしまして八人とすることを予定いたしております。また、管理部門の一本化が実現いたしますので、総務経理部門等見直しまして、二部二課二室を削減いたします。これに伴い、職員数平成十一年度は十人削減いたしまして八百五十人で行うことにいたしております。  これらによりまして、具体的には経費節減効果として、役職員人件費平成十一年度の平年度ベースでは二億円程度、また残事業は十数年間続きますけれども、これが終了いたしますと、現在の残事業の国費が年度当たりおおむね三百億程度でございますので、これが経費節減効果としてあらわれてまいることと思っております。また、業務効率化のための積極的なOA機器の導入あるいは業務外注等もさらに進めてまいりたいと考えております。
  11. 岩永浩美

    岩永浩美君 今、長官から、理事の数を十二名から九名に減らすこと、そのことによる経費削減が大変な効果が上がるような御説明をいただきましたが、決して私はそういうふうには理解いたしません。  今、農用地整備公団の方に職員として三百八十七名、森林開発公団に四百七十三名の職員の方がおられます。私は、決して職員の生首を切るということを主張しているものではない。役員の数が十二名から九名、八百六十人の職員人数が今回の統合によって十名の削減で果たして国民の側から見て行政改革一環として、整理統合した結果として効率化が図られたというふうに目に見えるのかどうか。  そういうふうなことについて、もう少し明確に国民にわかるように、統廃合した効果が姿としてあらわれるようなことを示すべきだと私は思いますが、その点についてはどうお考えなのか。
  12. 山本徹

    政府委員山本徹君) 御案内のとおり、森林公団につきましては水源林造成事業、また大規模林道事業を、これは地域の大変強い要望に沿って実施させていただいておりますし、農用地公団につきましては残事業の十数年間の実施、それから海外業務農林一体の中山間地域等における総合的な整備事業実施いたしてまいります。  したがいまして、私ども、これらの業務に必要な役職員は確保しなければならないわけでございまして、そういった必要な事業役職員を確保しながら、最大限効率的な業務体制整備を図ってきたところでございます。  これまでも、私ども、常時効率化のための努力はいたしておりまして、具体的に申し上げますと、職員数につきましても、平成十年が八百六十名でございますけれども、ピーク時五十四年に比べて、五十四年が千百七十五名おりましたので、これまで約三割の職員削減いたしておりまして、これは数ある特殊法人の中でも最も高い削減を達成している特殊法人一つと言えると思います。  また、本年度も十名の削減をいたしますが、さらに今後も先生の御指摘も踏まえまして、業務見直し効率化努力して、定員の合理化に取り組んでまいりたいと考えております。  先ほど申し上げましたように、役員もかつて十五名おりましたけれども現在十二名、これを九名体制、さらに残事業終了後は八名という削減を行うことにいたしておりますが、この八名のうち一人は非常勤でございますので、実質七・五人程度ということになるかと思います。  そのように私ども削減努力をしておりますので、これについては緑資源公団に対する事業の期待ということも考えますと、現段階では私ども、最大の組織効率化削減努力を図っていると考えております。また、今後とも努力をしてまいりたいと思います。
  13. 岩永浩美

    岩永浩美君 長官、大変親切な詳細な御答弁をいただき、五十四年に千百七十五名ほどいた人数を三割ほど削減した。しかし、行政改革に伴う森林開発公団法改正は、平成十一年二月九日に閣議決定されて、今回新たに統合しようとしているわけです。過去において三割の削減をした、それだから今回の十名の削減ですべてそのことが了解だというふうには理解できないんです。  現実的に二つ公団のお互いに仕事内容をよく精査し、そして効率的な運用を図っていく。そのためには、国民の目から見て、統廃合した一つの結果が明らかに合理化をされたという姿を見せるべきだと私たち考え行財政改革に取り組んでいるわけなんです。その一つ思いが形になってあらわれてきていないことに、皆さん方がいろいろな御意見、御批判をいただいていることにもっと耳を傾けなければいけないのではないか。  大臣はその点どうお考えでしょうか。
  14. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今の先生の御指摘は、まず業務につきましては、正確ではない表現でありますけれども、現時点では合併的な状況でございます。ただし、新規事業は行っていかないということでございますから、外向きの使命としては、二つが合併して片一方は廃止になって統合されるということで、一足す一ということになるわけでございます。したがって、技術部門関係のような必要なものについては残さざるを得ない。いわゆる管理部門とかを統合して、例えば理事の数を減らすとか、あるいは経理部門とか総務部門とかそういうものについてはできるだけ合理化の結果、今答弁があった数字になったわけでございます。  これが外から見て、十名あるいは役員の数三名の減というものが少ないという御指摘があるとするならば、我々もそれをしっかり受けとめていかなければならないというふうに考えておりますが、スタートするに当たりまして、行革あるいは特殊法人見直しという流れの中で議論をした結果がこういうことでございますが、引き続きこれからもさらにスリム化がどこまでできるか、そして本来業務に支障のない形でスリム化がどこまでできるかということについては、先生の御指摘をいただいて、今後さらにまた来年度に向けて考えていかなければいけないというふうに思っております。
  15. 岩永浩美

    岩永浩美君 事業推進一つ過程の中でリストラについては十分お考えをいただきたい。今の御答弁ですべて満足ではありませんが、このことだけで質問するわけにもいきませんので、次に進めさせていただきたいと思います。  次に、今回の緑資源公団新規事業である特定地域整備事業について伺いたいと思います。  まず、平成十年九月の食料・農業農村基本問題調査会答申で、中山間地域生産基盤整備について、低コスト整備を行うこと、隣接する農林地に対する保全、防災や農道、林道一体的な整備など、農地森林を総合的にとらえた整備推進する必要があると指摘されました。  そのことを踏まえて、私たちの住む中山間地域において農業生産平地に比べて大変不利な状況の中にあります。その不利な状況下にある中山間並びに過疎地域において国土保全水資源涵養など公的機能の維持が危ぶまれていることはもう申すまでもありません。その対策を十分に今後は考えていかなければいけないと私は思っています。  その中で、中山間地域における事業を行っていく場合、平地事業と違って農家負担が高くなるのではないかという心配をお持ちになる方が数多くおられます。それは、農地としての効果が非常にやっぱり少ない、平地に比べて。しかし、そのまま放置しておけばさらに耕作放棄地なり荒廃した土地になってしまう嫌いが多分にあるので、中山間地域における今後の農地保全、この特定地域整備事業という新しい事業の中でどういうふうな形でとり行おうとされるのか、もしやるとした場合には農家受益者負担率平地の人と同じような負担率になるのか、中山間地域においては特段厚い負担で対処しようとお考えになっているのか、そこをお聞きしたいと思います。
  16. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 今御指摘がございました特定地域整備事業につきましては、特に国の補助率をほかのものよりは高くすることを予定いたしております。  一般に国庫負担率は五〇%でございますけれども、この事業につきましては補助率五五%、それから一定規模以上の農林業用道路につきましては国の補助率を三分の二とすることで農家負担の軽減に配慮をしているところでございます。  また、この事業実施計画策定段階におきまして農家方々の意向を十分にお聞きして、無理でない計画、それから整備水準であるとか、総コスト削減、そういうことにも意を用いまして、全体として農家の御負担が過重にならないような、そんな工夫をいたしたいと考えております。
  17. 岩永浩美

    岩永浩美君 今までと同じような採択要件でやっていった場合には、やっぱり中山間地皆さん方はこの事業には乗っていけないと思うんですね。だから、もう少し補助率かさ上げとか、そういうふうなことは今後はお考えにならないのか。今までの踏襲だと決して中山間地域人たち事業に参加できなくなると思う。その採択要件とか、そういうふうなものも少し緩和していかないとうまくいかないのではないかという心配をしますが、それはいかがでしょうか。
  18. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 具体的なメニュー、あるいはどういうふうな組み合わせでやるかにつきましてはこれからさらにまた詰めるところが必要だろうと思いますけれども、その補助率等につきましては、通常の平場の補助事業よりも高い補助率で臨むことにしております。採択基準等につきましても、その中身につきまして具体的な検討をしたいと思います。  さらに、こういった地域地方公共団体方々が、例えば一定割合以上に農家負担を減らすような工夫をしているところも多いわけでございますので、そういう点につきましての地財をどうするかといったようなことについても各方面と連携をとりたいと考えております。
  19. 岩永浩美

    岩永浩美君 それぞれの地域の実情に応じたメニュー、それに従ってぜひ善処をお願いしておきたいと思います。  次に、林道事業について伺っておきたいと思います。  特に、森林開発公団大体大規模林道整備をしてまいりました。しかし、今回、大規模林道については環境保全の立場からいろいろな御意見が出たことは事実であります。今後、緑資源公団として、今までの大規模林道についての事業はすべて停止されるのか、あるいは今後なお引き続いて行おうとする地域がまだあるのか、あるいは大規模林道ではなく、地域林道整備については緑資源公団としてはどういう取り組み方を今後されようとするのか、それを伺っておきます。
  20. 山本徹

    政府委員山本徹君) 林道森林整備を進める上で大変重要な施設であるとともに、都市に比べて不利な生活条件あるいは環境条件にございます山村の人たち生活や、あるいは地場の産業活動のための交通手段としても重要な役割を果たしております。このために、林道につきましては、公共事業民有林林道事業や、また非公共林業構造改善事業等におきまして県、市町村、森林組合が主体となった整備が進められております。  森林開発公団がこれまで進めてまいりましたスーパー林道、これはもう事業完了しております。それから、現在進めております大規模林道、これは複数の県にまたがる基幹的な林道でございまして、国道等の主要な林道地域森林地域を結びつける骨格的、基幹的な林道でございますからこれまでこの特殊法人が行ってきたわけでございますけれども、大規模林道につきましては、まだ事業が、これまで区間数でいいますと百四十六区間、現在計画区間がございますけれども、十年度末の完了見込みが四十九区間と三分の一でございます。あと百近く残っておりまして、私ども地域要望に沿い、また環境保全にも留意しながらこれの着実な推進を新しい緑資源公団で進めてまいりたいと思っております。  また、中山間地域等振興のための新しい農林一体事業においては、農林道という形でも農地整備、また水源林造成等々、一体となって地域農林業活性化生活の利便のための道路整備することといたしております。
  21. 岩永浩美

    岩永浩美君 今、既に建設中の大規模林道の中で、地域一つのいろいろな御批判環境保全の面から、中止をされている区間というのはどれぐらいあるんですか。  中止をされている部分については凍結したままで今後は進めていかないのか、あるいは仕事内容を変えて少しそのことは推し進めていくのか、それはいかがでしょうか。
  22. 山本徹

    政府委員山本徹君) 大規模林道につきましては、現在五年ごとの再評価を行い、事業実施透明性効率性を高めるということにいたしておりまして、平成年度におきましては、これは再評価システムを導入して初めての再評価実施でございましたが、四地区につきまして大規模林道について休止あるいは中止等の措置を講じたところでございます。  今後もこれは事業実施後、五の倍数、五年ごとにこれを見直すことになっておりまして、平成十一年度以降もずっと見直してまいりまして、その段階で大規模林道についての取り扱いを、これは評価委員会という第三者の委員会を設置いたしまして、この委員会の御意見を聞きながら見直しし、推進すべきものは推進し、また見直すべきものは見直すことにいたしております。
  23. 岩永浩美

    岩永浩美君 大規模林道についてはそういう見直し等々も十分に考慮しながらやっていかなければいけないと思いますが、それにかかわるアクセスしている林道というものはその地域の林業振興にとって不可欠な問題ですから、このことをあわせて促進していただくことを要請して、与えられた時間の質問を終わりたいと思います。
  24. 久保亘

    ○久保亘君 最初に、大臣にお尋ねいたします。  今度の緑資源公団が発足になります前提として農用地整備公団が廃止されるのは、これは特殊法人としての設置目的を終えたことによって廃止されるのか、時代要請となってきた特殊法人の整理合理化のためにやむを得ざる手段として廃止し、実質的には森林開発公団との合併を図ろうとするものなのか、この本音のところをきちっと最初に言っておいてください。
  25. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 私は、率直に申し上げて、二つの理由、先生が今御指摘になった二つともその根拠だと考えております。  一つには、農用地整備公団の果たしてきた先導的な役割というものが一通りの使命、まだまだ新規調査も含めてこれから着工というものはございますけれども時代の変化とともにその果たしてきた役割というものがほかでも代替できるような全体的な状況になってきた。もちろん、海外事業等の問題は引き続き残るわけでございますが、そういうことで、新規にこれからやっていくということにはならないという農用地整備公団固有の存在の意味の変化というものが一つあると思います。  もう一つは、特殊法人の整理合理化という流れ、また政府の方針に基づきまして、平成九年六月六日付の閣議決定の「特殊法人等の整理合理化について」という中で、農用地整備公団については「農業基本法改正に伴う農政全体の見直しに合わせ、廃止する。」ということでございますので、一つの行革の流れ、そしてまた農用地整備公団の果たしてきた役割は非常に大きいものがございますし、現在も大きいわけでございますが、将来にわたっては新規を行わないということで存在としては廃止をし、その事業森林開発公団に移管し緑資源公団としてスタートさせるということでございますので、先生指摘の両面があると考えております。
  26. 久保亘

    ○久保亘君 それでは、農用地整備公団を廃止、つまり公団を解散するに当たっては、公団法四十四条に「公団の解散については、別に法律で定める。」ということが規定されておりますが、この「別に法律で定める。」というのが今回、森林開発公団法の一部改正として提案されている条項の中に含まれていることで四十四条の解散についての法律と理解をすればよろしいですか。
  27. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 今御審議をいただいております森林開発公団法の一部を改正する法律案の附則第八条におきまして「農用地整備公団法は、廃止する。」というふうに明確に規定をされております。これをもちまして、今御指摘がございました旧公団法といいますか、その規定に沿った手続がなされると考えております。
  28. 久保亘

    ○久保亘君 それでは、公団が法的に解散をされるという中でぜひ確認をしておきたいことがございますが、平成七年二月二十四日に閣議決定が行われました「特殊法人の整理合理化について」、その中に、職員の雇用の保障、労使間協議の尊重、身分並びに年金、労働条件等、権利の保障といったようなことが閣議決定の中で記述されておりますが、このことは、今回の公団の解散に当たっては十分にこの閣議決定が生かされていると理解してよろしゅうございますか。
  29. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 今回の改正案によりまして廃止をされる農用地整備公団の一切の権利及び義務につきましては緑資源公団が承継をすることとなっております。これは、今御審議をいただいております法律案の附則第三条に明定をされております。  一切の権利と義務のうちには農用地整備公団職員の雇用関係も含まれておりまして、この結果、農用地整備公団職員緑資源公団に引き継がれることとなっておりまして、職員の身分その他の権利に影響が及ぶことはないと考えております。
  30. 久保亘

    ○久保亘君 先ほどの御質問に対するあなたの答弁では、今後計画的に合理化が進められるようなお話であったんじゃないでしょうか。それは、職員がその意に反して雇用を失うことはないと、今の御答弁だとそのように理解をいたしますが、これは平成七年二月二十四日の閣議決定にも沿うものだと思いますが、そのような理解でよろしゅうございますね。
  31. 山本徹

    政府委員山本徹君) 新しい緑資源公団業務運営につきましても、これは常時、事業効率化を目指していかなければならないわけでございますけれども職員方々につきましては、今御答弁申し上げましたように、農用地整備公団の一切の権利義務については緑資源公団が承継すると。これによって職員の雇用の安定が図られることになるわけでございまして、職員の方が意に反して職を失われるということはないと考えております。
  32. 久保亘

    ○久保亘君 今度は、一方、この公団の実質的な合併によって資本金、つまり政府の出資金はそのまままた緑資源公団が継承することになるんだと思いますから、両方を合わせると法定のものが十二億になって、これに政府が必要と見て継ぎ足したものの累計が当面、資本金となるのですか。
  33. 山本徹

    政府委員山本徹君) 先生ただいま御指摘のとおりでございます。
  34. 久保亘

    ○久保亘君 それから、現在この森林開発公団農用地整備公団業務の遂行のためにそれぞれの業務に応じて予算が計上されておりますが、これが両者が合流することによって資本金も膨らむというようなことで、いわゆる計上されている予算が縮小されるというようなことはないと理解すればよいのか。  それからもう一つは、特に農用地整備公団を糾合する側の森林開発公団がその業務を縮小せざるを得ないというような事態はない、このように理解してよろしいですか。
  35. 山本徹

    政府委員山本徹君) ただいまの御質問でございますが、私どもは、この新しい緑資源公団地域要望に沿って業務実施いたすわけでございますが、この業務に必要な予算額は確保いたします。また、この統合に伴って、今の出資金等の影響でこれが結果として縮小するというようなことはないように措置いたしております。
  36. 久保亘

    ○久保亘君 それでは、短い時間でお尋ねしますので少し飛び飛びになりますが、この両公団は地方組織を含めて現在、職員平成年度末で八百六十人いるわけでありますが、この八百六十人は非常に多くの部分が地方の組織に勤務をいたしております。今後、この本部の組織並びに地方の組織を含めてどういう新しい体制が組まれるのか。特に、先ほどの御説明を聞いておりますと、本部組織でもって二部二課二室を削減するという話でございましたけれども、この廃止される、つまり削減される二部二課二室というのは具体的にどの部とどの課が削減されるのか。それをちょっと具体的に話してください。
  37. 山本徹

    政府委員山本徹君) 御指摘のとおり、新しい緑資源公団におきましては二部二課二室を削減いたします。  これは、新しい緑資源公団におきまして業務の円滑かつ効率的な実施を図る観点から、この課の所掌あるいは名称等も新しいものにいたしますが、基本的な考え方としては、部では農用地整備公団総務部と経理部の二部の削減を予定しております。それから、課では総務課と施設課、これは業務部に属しますが、この二課を予定いたしております。それから、二室につきましては環境対策室と企画調整室、これを削減対象として予定しております。  それから、地方についてお話ございましたけれども、現行六支所、四支社でございますけれども、五年の間にこれを七支所に新しい緑資源公団の支所として再編整備することを予定いたしております。
  38. 久保亘

    ○久保亘君 今のお話も、それから二部二課二室の削減ということにつきましても、これは明らかに法律に基づく農用地整備公団の解散の手続の上に新しい緑資源公団体制がつくられるのではなくて、両者の合併で重なり合って必要のなくなったところを削減するというだけの改革ではありませんか。
  39. 山本徹

    政府委員山本徹君) 農用地整備公団は廃止され、また残事業等につきまして森林開発公団が新しく緑資源公団という名称になりましてこれを承継いたすわけでございますが、既に御説明申し上げましたとおり、農用地整備等の事業については、十数年間これは残事業として引き続きこの新しい公団事業実施していく必要がございます。  また、海外の農業開発業務につきましては、海外の日本に対する要望に沿いまして積極的に実施していく必要がございます。  また、農政見直しに伴いまして、中山間地域等振興のために、水源林造成事業の対象地域を核にいたしまして、この公団農用地整備、また森林整備農林道の開発等々の中山間地域の総合的な開発のための事業地域また都道府県の要望に沿って、これは特殊法人実施してほしいという御要望があった場合にこの公団実施することにいたしまして、これらの事業緑資源公団が新しく農用地公団から引き継ぎ、実施することになりますので、これに必要な最小限の組織また要員は確保する必要がございます。  このために、本所、地方の組織見直し事業の効率的、効果的な実施を図るという観点から、必要な効率化合理化を図っているところでございますが、その結果、現在のような姿として御提案申し上げているところでございます。
  40. 久保亘

    ○久保亘君 そうすると、実際には緑資源公団の中で新しい組織の中の構成員として融合させられていくということになりますか。二つ公団を名称を一つの名称のもとにあわせて、しかしそれぞれ別々のことをやっているということになるんですか。それは実態論としてどうなるのか。
  41. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 現時点におきましては、久保先生が御指摘のように、見られても仕方がないといいましょうか、そういう状況にならざるを得ないわけでございます。  先ほどから申し上げておりますように、農用地公団が抱えております仕事新規はやりませんが、やり遂げなければいけないという責務があり、そのために必要な人員、技術が必要であるわけであります。そういう意味で、一足す一が一になるような形になって、一部重なる業務が消えていく、二部二課二室ですか、ということになるわけでございますが、しかし今後この中で、例えば新しい農林地一体となった整備事業等、両公団の別々のときになかった新しい業務もこれから出てくるわけでありますから、そのときの組織というものは今後それにふさわしいものに柔軟に対応していかなければこれはやっていけないわけでございますので、そういうことも踏まえながら、現時点では今、長官局長答弁をした状況でございますが、今後はその目的遂行のために柔軟な組織にしていかなければならないと考えております。
  42. 久保亘

    ○久保亘君 次に、役員のあり方についてでありますが、今度の森林開発公団法の一部改正の中で、十一条、すなわち役員の欠格条項に関するところを改正されておりますが、これは改正なのかどうかわかりませんが、特に十一条の第一項で、国務大臣や国会議員と政府職員とともに役員となることを禁じておりますが、今度の改正でこの国会議員や国務大臣に関するところを削除されたのはどういう理由でしょうか。  それから、欠格条項の第二項に「政党の役員」というのがございますが、この第二項を抹消されておりますが、これはどのような理由なのでしょうか。
  43. 山本徹

    政府委員山本徹君) これにつきましては、御指摘の国会議員、それから地方公共団体の議会の議員及び政党の役員は一律に役員の欠格条項とする特段の理由が存しないこと、それから国務大臣及び地方公共団体の長は政府及び地方公共団体職員に含まれるという、これは技術的な解釈の問題でございますが、含まれることから最近の特殊法人の立法例にも倣い整理したもので、政府としての統一的な方針に基づいてこのように条文を整理させていただいたところでございまして、特別に役員の取り扱いについて、任命等について変更を意図したものではございません。
  44. 久保亘

    ○久保亘君 今度の森林開発公団法の一部改正というのは、農用地整備公団の廃止に伴うものであります。そのときに、森林開発公団の法律に、十一条によって今日まで欠格条項として禁止を明文化しておりましたものをわざわざ取り払うということは、これはそれなりの意味がなければ理解しがたいことであります。  先ほどの説明を聞いておりますと、両公団合わせて役員は十二名である、そのうち四分の一、二五%を削減して九名にしたという何か大変な合理化役員についてはやったと言わんばかりのお話を聞かせていただいたのでありますが、今度の十月一日に、この法律が通りました場合には、農用地整備公団が廃止され緑資源公団がスタートするわけでありますが、廃止される公団は解散するのでありますから、解散した段階で廃止公団役員は存在しないものと私は思っておりますが、それはそのとおり理解してよろしゅうございますか。  職員に関しては、今日まで特殊法人の整理合理化に関する閣議決定が行われたりしてそのことについてはその扱いを決めておるわけです。それで、そのことを了承した上で整理合理化が行われておるわけでありますが、役員に関してはそのようなことを決めた経過はございません。当然、公団の廃止に伴って役員はその任務を終えるものと理解いたしますが、そうではありませんか。
  45. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) そういう御指摘もあろうかと思いますけれども、この農用地整備公団業務森林開発公団が承継するわけでございます。実際に農用地整備公団が行っております事業は、例えば残事業の分もありますけれども海外業務もございます。それから、今回の緑資源公団の創設に伴いまして中山間地域における特定の整備事業も行います。  そういったことも考えますと、新しい緑資源公団においていかなる役員体制が必要かということを考慮いたしまして今回の九人という数字を決めたわけでございます。
  46. 久保亘

    ○久保亘君 そのことは、この法改正の中にも残事業を担当する、残事業というのは今から十年かかるんです。その十年間はそのことのために理事を一名置くというのを今度の改正法の中にちゃんと入っているじゃないですか。それなのに、廃止される公団役員に配慮する形で、森林開発公団が今日まで五名の役員体制でやれたものを今度九名にしなければならないという理由はどこにあるんですか。その一名の暫定期間の理事の任命についてはわざわざ条文を起こして決まっておるんですよ。
  47. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 二点御説明申し上げます。  第一点は、残事業の扱いにつきましては、農用地整備公団事業は廃止されると書いてありますので、そしてその経過措置として、附則で残事業を承継して行うとなっておりますから、その残事業を行うに際してやはりその事業を総括する理事が必要だということでございます。  それ以外のものにつきましては、新しい緑資源公団が行うべき本則たる業務、例えば中山間地域において行う特定地域整備事業、これにはやはり役員が必要だろう、それから森林開発公団が従来行っておらず、今度、緑資源公団において行う海外業務、これにも役員が必要である。  そういった点を順次見直しをいたしまして、緑資源公団としていかなる役員体制役員数が必要であるかということを検討した上でこの数を決めさせていただきました。
  48. 久保亘

    ○久保亘君 それでは、新しい法律によって理事の数は五名以内ということになっておりますね。それで、この五名の理事については、今あなたは担当を言われたけれども、何と何をそれぞれ担当される御予定ですか。
  49. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 三人の理事について申し上げますと、まず残事業の関係で残事業担当、これは暫定的でございます。それから海外事業担当、そして新事業及び計画評価担当という三名の理事を予定いたしております。それと監事がございますので、計四人。当面、合計九人という役員体制でございます。
  50. 久保亘

    ○久保亘君 今まで森林開発公団理事三名は、総務担当、経理担当、業務担当ということで配置されておりましたね。この三部門の担当というのは必要なくなるわけですね。今のお話を聞いておりますと、まとめて一人おればいいというような感じですね。そして、農用地整備公団事業を引き継ぐ部門についてそれぞれ担当の理事を置く、こういうことでございますか。
  51. 山本徹

    政府委員山本徹君) 御指摘の、現在の森林公団総務、経理、業務の担当理事でございますが、総務と経理につきましては、農用地公団残事業、海外事業、また新しい中山間等の事業を総括することになります。業務は結果としては現在の森林公団の所掌より増大するということになりますが、これはそれぞれの理事に効率的な業務執行努力していただくということになります。  それから、業務につきましては、水源林整備及び大規模林道事業をこれからも着実に推進してまいりますので、これの担当の業務理事として引き続き配置させていただくことを予定いたしております。
  52. 久保亘

    ○久保亘君 今は両公団に監事が一人ずつおられて、そして監査室というのか、これが配置されている公団と、監事が一人おられるだけの公団とございますが、この新緑資源公団は監事役が二人必要になるのはどういう理由でありますか。これもやっぱり、両公団は形式的には一緒にするが実際は別よという話なんですか。
  53. 山本徹

    政府委員山本徹君) 業務の適正、効率的な実施のために監事の役割は大変重いものがございます。現在、森林公団に監事一人、それから農用地公団には非常勤の監事一名おりますけれども森林公団につきましては森林公団業務全般についてこの監事が見てまいりますし、また農用地公団の十数年間の残事業、海外事業及び中山間地域等事業につきましては緑資源公団が引き継ぐことになりますので、これについては森林公団業務が異なっている部分がございますので、農用地公団で従来実施しておりました非常勤の監事に引き続き、これらの業務についての監査をお願いすることを予定いたしております。
  54. 久保亘

    ○久保亘君 いろいろお聞きしたいことがございますけれども、この特殊法人の整理合理化ということについて十分に意を用いなければならないことは、この特殊法人の設置目的、つまり国民に対して担っているその使命というものは何であるかということ、その立場から整理合理化についても主管庁としては十分な意見を表明しなければならないことだと思っております。  また、特殊法人の整理合理化に関して、職員の身分や雇用、権利等に関することについては、既にこの特殊法人の整理合理化が具体的な政治の日程に上り始めたときに閣議決定をされているそのこと、並びに当時の与党間においても合意されている内容もございます。こういったようなことについては、十分にその約束が果たされなければならないということだと考えております。  こういったようなことについて、今回の農用地整備公団の廃止、解散に伴う森林開発公団のあり方について、緑資源公団に名称を変えるわけでありますけれども、その新しい公団が十分モデル的な役割を果たせるようにあなた方の方も十分意を用いてやってもらいたいと思います。  以上で私の質問を終わります。
  55. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 先ほども話題になっておりましたけれども、大規模林道の問題についてまずお尋ねをしておきたいと思います。  林野庁は昨年の十二月に、公団建設を手がけてきた大規模林道のうち真室川・小国線の朝日—小国区間事業中止を発表いたしました。計画策定から時間が経過した公共事業必要性を見直すという時のアセスメントで不要と判断されたんだろうと思いますし、大規模林道計画が着工を中止されるのはこれが初めてのケースでございます。もちろん、大規模林道必要性そのものは認めながらも、この決定というのはある意味ではいわゆる森林開発優先というものと森林保全というもの、この考え方の変化というものが一つ起こってきているのではなかろうか、このようにも考えます。  いずれにしても、先ほどもお話があったように、大規模林道事業というのは今後も行うというお話が林野庁長官からもございました。それも踏まえながら、まず第一点、ぜひお伺いしておきたいのは、今回は八区間見直し作業を行った結果と聞いております。その結果、工事中止が一カ所、また北海道の様似—えりも区間等二カ所が工事休止、一カ所が計画変更でございます。まず、なぜ見直しを八区間ということに限られたのか、また今回の決定に至る経過及び決定理由について、今後の大規模林道計画一つの大きな転換点だと思いますので、それぞれ御説明をいただきたいと思います。
  56. 山本徹

    政府委員山本徹君) 大規模林道事業のように長期間を要する事業につきましては、効率的、効果的な事業実施を図るという観点から事業見直しということも重要でございまして、そういった考え方から、平成十二年度から公共事業について五年ごとに再評価をするという制度を新しく導入させていただきました。五年ごとといいますと、今回初めて発足させたわけでございますので、工事着工年から五の倍数年目に当たる区間、五年目、十年目、十五年目、そういうものを今回対象にいたしました。  それとあわせまして、平成九年十二月二十六日の閣議決定区間を廃止・縮小するとされた三路線の中で事業を休止しておりました三区間を、これはこの五の倍数年に該当するわけではございませんけれども、特例的にこれも再評価を行う対象にいたしまして、あわせて八区間を再評価の対象といたしまして、再評価委員会を、専門の中立的な学識経験者を委員としてお願いいたしまして、秋から数カ月間かけて現地検討も含め御審議いただきました。その再評価委員会の方向に沿いまして、先生ただいま御指摘のように、四区間についてそれぞれの取り扱いを決定させていただいたわけでございます。  今年度以降につきましても、事業計画後五年到来したものについてはこれを再評価の対象として、この事業の有効性等あるいは事業効果等について検証してまいりたいと考えております。
  57. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今、林野庁長官からお話があったとおり、平成九年十二月二十六日に特殊法人等の整理合理化というのを閣議決定しております。そこでは、今お話のあったとおり、昨年十二月、中止・休止に決まった三区間について、その時点で廃止・縮小というふうになっていたわけですね。ですから、再評価の対象に挙げたというふうに今おっしゃったんですけれども、逆にそれを見ると、ある意味では既に閣議決定で決まったものをやっただけの問題であって、ではその再評価委員会というのはどういう意味があるのかということにも逆に不信を国民から招く形にも私はなると思うんです。最初から決まっていたものをただやっただけだというような結果になってしまえば、何のための再評価なのか、再評価委員会の存在意義自体が問われることにもなってしまうと思うんです。  本当に実質的な議論の経過として今回の結果が出されたのかどうか、きちんと説明をしていただきたいと思います。
  58. 山本徹

    政府委員山本徹君) 先生指摘平成九年十二月二十六日の閣議決定は、非常に一般的な表現で区間を廃止・縮小となっておりまして、廃止するのか縮小するのか、あるいはどの区間であるのかというのははっきりいたしておりませんでした。  そこで、私どもは、事業を休止しているこの三区間について再評価委員会にお諮りして具体的な取り扱いを個別地区ごとに検討していただくことが必要であると判断いたしまして、先生指摘の三つの地域について個別具体的に御検討いただき、また現地調査等も行っていただきました。  山形県の朝日—小国区間、これにつきましては、国有林の用途区域の変更等もございまして林業生産活動が今後見込めないこと等を総合的に勘案し、国としてこの委員会の御検討に沿って中止を決定いたしたわけでございます。  それから、様似—えりも区間でございますが、これにつきましては、公団実施いたしました環境アセスメント報告書におきまして、現行の路線はナキウサギ等の生息地に含まれておりますので、自然環境に与える影響が大きいと予測されましたので計画変更していただく。一方では、地元は地域活性化等のために大規模林道に対する要望も大変強いものがございますので、自然環境の保全地域要望等を調整するために変更計画等について検討をしていただきまして、この検討結果が出るまでの間は休止するという方針を出させていただいたところでございます。  それから、三番目の福島県の山都区間でございますけれども、これは現在もまだ用地の問題がございまして、これがきちんと解決するまでは休止する。これは用地問題という理由で休止ということにいたしたものでございます。  先ほども申し上げましたように、閣議決定では非常に一般的な形で廃止・縮小となっておりましたが、個別具体的にその地域に当たり、また地元の住民あるいは自治体の方々の御意見、あるいは自然保護関係の方々の御意見等も承りながらこういう方針を出させていただいたところでございまして、今後も五年ごとの再評価についてはこういった方向できちんと実施してまいりたいと考えております。
  59. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今おっしゃったように、地元で後に調査もなさったということですけれども、私がこういうことを申し上げるのは、再評価委員会自体が、私の認識ではたしか一回目は審議が非公開だったと思っております。これはいろいろな考え方がありますけれども、特に事業中止を求める住民を排除したということで批判されたことも聞いております。二回目の開会前には現地調査もきちんと行われた、公聴会も開いて、反対派の意見も聴取して、委員会が結論を出す直前でしたか、九八年十二月十五日だと記憶しておりますけれども、林野庁、それから反対する方たちのNGO、それから推進する側の自治体、三者による意見交換会を実施するようになられて徐々に透明化は図られてきていると私は思うんです。  ただ、いずれにしても、こういう意見聴取や三者対話のような問題が再評価委員会の議論に本当に何らかの影響を与えているのかどうか、マスコミ的な批判の中には単なるガス抜きという話も実際にあったわけでございまして、そこでの意見というのが今後の林道政策にどのように反映されていくのか、そこもお聞かせ願いたい。  さらに、推進もあれば反対もある、議論が平行線になるのはしようがないところがあるんでしょうけれども、林野庁としては、今後こういう問題があったとしても対話の機会をお続けになる気があるのかどうか、具体的に、もし予定があるならばそれも教えていただきたい、このように思っております。
  60. 山本徹

    政府委員山本徹君) 再評価委員会につきましては、委員会の中で非公開とさせていただいたところでございますけれども委員方々はそれぞれ中立的な専門の学識経験者を任命させていただいておりまして、この中には自然保護に大変お詳しい方も含まれております。これを非公開とさせていただきましたのは、委員会で御検討していただいた結果、非公開の方が率直で本音の議論ができるというお考えで非公開とされたところでございますが、議事録の要旨につきましては公開、公表いたしているところでございまして、この審議の模様はそれによって承知いただけるものと考えております。  また、評価委員会におきましては、大規模林道建設推進してほしいという方々地域に大変大勢いらっしゃいますし、また一方では、先生指摘のように自然保護の観点から慎重にすべきだ、あるいは反対だという方々もいらっしゃいますが、そういった方々の御意見につきましては文書をもってこの委員会に御提出いただいております。こういった御意見をこの委員会で各委員先生方が十分検討された上で、先ほど来申し上げておりますような朝日—小国区間等を含めた地域の取り扱いが決定されたところでございます。  私どもは、今後ともこういった大規模林道につきましてはこの十年度実施したような形で時のアセスを着実に実施してまいりたいと考えております。
  61. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 大臣にこの問題で最後にちょっとお伺いしておきます。  一つは、今、中央省庁、地方分権の委員会でも、いわゆる公共事業の再評価、それから評価委員会の問題、いろんなことが論議をされております。これはまさに、その必要性とともに、今やっている事業に対して国民の側に立ち、また利用する側、特に林道という問題は環境の問題も含めていろんなことで論議を重ねていかなくちゃいけない問題だと思うんです。非常に大切な問題だと思うし、ある意味では、この再評価委員会というのは、国がこれから公共事業の再評価をする中で先進的にやっていただいている問題でもあり、私は何が大事かというと、透明性の確保というか、どれだけそれを国民に知らしめてわかるようにするかという問題だと思うんです。  林野庁長官は、今後もこの時のアセスメントを五年ごとにきちんと実施するとおっしゃっているわけであって、その部分について、大臣としてこういう問題を国民にどうきちんと伝えるような形をとっていかれようとするのか、その点について御意見を伺っておきたいと思います。
  62. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) こういう大規模林道整備事業というのは、もちろん非常に効果のある大事な公共事業だと思っております。しかし、時代の変化の中で公共事業に対するいろいろな見方あるいはまた環境に関する見方等々が出てまいりまして、そういう中で事業の再評価あるいは費用対効果の問題、さらには事業を行うに当たってもコスト低減に一層努めるといったようなニーズが必要でございます。  そういう観点から、評価委員会での評価を聞くなどしながら事業効率性透明性、そしてまた関係者を初めとする国民に対しての御理解を求めていくという努力に一層努めていかなければならないというふうに考えております。
  63. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 これから新しくできる緑資源公団についての組織のあり方、それから業務内容については、先ほどからずっと議論になっているわけでございまして、御質問のあったところは避けながら一、二点だけ聞かせていただきたい。  一つは、地方機関の問題でございます。  森林開発公団には、今地方に六支所、三十三出張所、八地方建設部があります。農用地整備公団には、同じく四支社、十七事業所、一支所、二調査事務所があります。地域によってはダブっているところもあると私は思います。  緑資源公団となった後には、これらの機関の整理統合をどのようにされていくのか。特に、今後は水源林造林の重要性が一層高まるというふうに思いますし、地方の出先機関の統廃合を進める場合には、こういう造林という問題については特に支障のないような形でやらなければならないと思うんです。どんな方針でこれに臨まれるのか、お答えいただきたいと思います。
  64. 山本徹

    政府委員山本徹君) 先生指摘のとおり、水源林の造成、これは水源涵養や国土保全のために大変重要な事業でございまして、今後も着実に進めていく必要がございます。  今回の緑資源公団の発足を契機に、森林公団については、支所が六つ、それから農用地公団につきましては支社が四つございます。これを五年間のうちに全国で七ブロックに再編することを予定いたしておりまして、具体的には、現在予定しておりますのは北海道支所、東北支所、関東支所、中部支所、北陸・近畿支所、中国・四国支所、九州支所でございますが、新しい緑資源公団の支所としてこれらの支所を十分に活用しながら、水資源開発や新しい中山間地域等事業の着実な、また積極的な推進努力してまいりたいと考えております。
  65. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 先ほど久保先生が一生懸命統合に伴う職員の雇用の問題をおっしゃっておりました。大変大事な問題ですので、ぜひ大臣は責任を持ってこの問題については対処をしていただきたい。  その一方で、役員の問題も御指摘がありました。私は、この問題でひとつ大臣にぜひきちんとしてもらいたいなというのは、これは統合された場合、どうなるのかと。要するに、国家公務員出身の役員が常勤者の中に七割以上占めるような状況になるのではなかろうかと思うんです。  やはり、こういう公団特殊法人が高級官僚の受け皿とか農水省出身者の出先のためにまだそれを確保しているんだというようなことを言われてはならないんだろうと思います。その点、やはりいろんな関係の方もこの公団役員という意味では必要なんでしょうし、その辺の考え方、閣議決定では、役員の問題については全常勤役員の半数以内にとどめることを目標とする、これは全体の話だとよく言われます。特殊法人の全体の中での半数だと言われています。  ただ、やはり一つ一つ公団特殊法人、それぞれの中でそういった考え方を徹底する必要があると私は思うんですけれども大臣にこの点についてお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  66. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今度、両公団を廃止し、統合する緑資源公団、単純に立ち上げると、今御指摘のように多くなるわけでありますけれども先生指摘平成九年十二月の閣議決定を踏まえて、新しく発足する緑資源公団におきましては、もちろん適材適所ということも一方では重要でございますけれども、こういう閣議決定を踏まえて、省全体だけではなくて、この新しい公団におきましても閣議決定内容がしっかり守られるようにやっていかなければいけないと思っております。
  67. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 終わります。
  68. 須藤美也子

    須藤美也子君 私は、全国七カ所の大規模林業圏開発林道事業について質問いたします。    〔委員長退席、理事三浦一水君着席〕  まず、これまでも質問がありましたけれども、現在各地で巨額の浪費と自然環境破壊を持ち込んでいる、こういうことで大きな批判が広がっているわけですが、大規模林道事業は、そもそも一九六九年の新全総に基づいて国内木材供給を一九八五年まで九千万立方にする、これが計画だったんです。しかし、一九八五年現在でも木材の供給は三千二百万立方です。長期見通しでも三千六百万立方から四千万立方、こういう点では、大規模林道開発そのものの目的が計画も含めて現状にそぐわないものになっているのではないか、私はこういうふうに思うんですけれども、まず大臣、どのようにお考えでしょうか。
  69. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 大規模林道は、今、先生指摘のような、産業としての木材を生産するための林道の基幹的な位置づけという意味もございますが、やはり生活圏、特に過疎、山村といった地域における生活圏としての意味、あるいはまたその道路を利用することによって地域活性化あるいは振興、そしてまた、これは直接的には目的ではございませんけれども、観光等にも利用されておる道路もあるわけでございます。私自身のところにも何本か大規模林道が現在造成中でございますが、地元の要望は非常に高いものがあると認識しております。    〔理事三浦一水君退席、委員長着席〕  しかし一方、環境の問題あるいはまた先ほど御質問のございました再評価の問題、公共事業に対する評価の問題等々、新しい観点というものも極めて大事でございますので、そういうものも含めながら、見直しも含めて総合的にこの事業に取り組んでまいりたいと思っておるわけでございます。
  70. 須藤美也子

    須藤美也子君 大規模林道事業については見直しも含めて検討するということですけれども、具体的にもう少し突っ込んで申し上げますと、昨年の十二月、先ほど山本長官答弁の中にもありましたけれども、我が山形県の朝日—小国間は中止になりました。これは二十一年ぶりで中止になったわけです。しかし、その間、非常に重要なあそこのブナ林、これは全部伐採されました。針葉樹林が伐採されて、そこに植林したのが杉であります。しかし、豪雪のために杉は先が曲がっただけで生育がとまってしまっています。  そういう状況の中で、二十一年間、使った費用は七十五億円であります。しかも、関係市町村の維持管理の費用を考えると多大な負担をかけて中止になったわけですが、地域住民にとっては一体これだけの公共事業、七十五億円もかけた公共事業が何だったのか、この問題についてだれが責任を負うのか、こういうことが今問題になっております。  この点についていかがお考えでしょうか。
  71. 山本徹

    政府委員山本徹君) 先生指摘のとおり、朝日—小国区間の大規模林道につきましては、平成年度の再評価見直しによりまして国の判断において中止を決定させていただいたところでございます。  この区間、全体計画は六十四キロございますが、十四キロが完成いたしておりまして、既設の林道あるいは道路と連絡して利用可能となっているところでございます。周辺の造林地の整備森林整備育成、それから小国町が現在構想を進めております自然観察教育林、大変大規模なものでございますが、白い郷土の森という愛称がございますけれども、これも一部既に事業完了しておりまして、都市住民の方々等々あるいは青少年の方、こういったところにこの森林で散策し、学ばれるためのアクセス道路ともなります。また、現地での評価委員会等でのいろんなヒアリング等々の中でも、現地住民、大変雪の多いところでございますけれども、この現在の既に完成している道路を活用することによって、役場まで大変豪雪のときでも心配なく安心して行けるというような地域住民の声も承っておるところでございまして、この地域森林整備、また森林教育、自然教育、また地域生活用の利便のための交通路としてそれなりの事業効果が発揮されている、また今後もこれが期待できるものと考えております。
  72. 須藤美也子

    須藤美也子君 現地にいらしたことがあるんですか、その後。そんな格好いいものでないですよ。もう路肩は崩れ、あそこのつくった道路は使えないんですよ。そんな森林レクリエーションとかなんとかというような、そんな状況でないんです。そういうことをもっと具体的に知るためにぜひ現地調査は必要だと思いますね。  ところで、現地では住民監査請求や住民訴訟を今検討している、そういう状況にあります。これが中止されても依然として関係市町村の維持管理は負担はかかっているわけですから、そういう点でこれを二十何年間も続けてきた。しかも、標高一千メートル以上もある豪雪地帯に七メートル幅の大規模林道を何の目的のためにつくってきたのか、こういう点では私はこれを進めてきた責任は非常に重いと思います。  さらに、もう一つ申し上げたいと思います。  私は、昨年、岩手県の大規模林道調査に参加いたしました。岩手県の大規模林道の川井・住田線、ここには希少猛禽類のクマタカが営巣、生息している、こういうことはもう明らかですね。このモニタリングの環境調査、それから地元でも森林開発公団がやっておりますからわかっていると思います。  こういう状況の中で、地元ではぜひこの猛禽類が営巣、生息しているこの地域にこういう大規模林道をつくってほしくない、できるならば中止も含めた大幅な見直しをしていただきたい、こういう要望をいただいておりました。この調査を受けて、この報告書にもこのルートを含めて検討を考えているということを県議会の方にも報告されているようであります。  環境保全優先の立場から川井・住田線の抜本的な見直しが必要だと思いますが、この点についてはどのようにお考えですか。
  73. 山本徹

    政府委員山本徹君) 先生指摘の岩手県の川井・住田線でございますけれども先生のところに寄せられているそういう御意見もなるほどあるかもしれませんけれども、私どもには、森林整備、また林業活性化、さらに山村集落の生活の基盤としてこの路線は大変重要な役割を果たしているとして地元から整備促進に対する強い要望が寄せられているのも事実でございます。  ただ、この横沢—荒川区間の周辺でクマタカの営巣が確認されたことから、工事の実施に当たりましてモニタリング調査実施するとともに、環境庁がまとめられております猛禽類保護のためのガイドライン、これらに沿いまして専門家の意見を聞きながら営巣期間の工事は避けるなど適切な事業実施に努めているところでございますが、最近聞くところによりますと、公団においても、この地域の自然環境の変化を可能な限り小さくするためにトンネル化の可能性等も含めまして、さらにルートの変更等も含めて御検討しておられると承知いたしておりまして、私ども、そういった公団における御検討については十分に御相談してまいりたいと考えております。
  74. 須藤美也子

    須藤美也子君 政府自身が開発優先から森林の公益的機能、これを重視して環境保全やむだな公共事業見直し、これを指摘しているわけでしょう。  そういう立場からすれば、このような大規模林道計画は既にもう現状に見合っていない、合っていない。こういう立場で、地域住民、地元住民の意見も聞いているとおっしゃっておりますが、一方的な地元住民の声だけでなく、自然を守ってそこに住んでいる人たちの声、そういう声も聞く必要があると思うんです。そういう立場で、現状に見合った見直しも行うということですから、これはできれば抜本的な見直しを私は要求したいと思います。  さらに、先ほど質問がありましたけれども、林野庁が再評価委員会をつくっていろいろ中止とか継続とか休止とかという路線を出しておりますけれども、これは非公開ですね。そして、先ほど答弁の中で会議録は提示している、こういうことをおっしゃっておりますけれども、情報公開制度の立場からして会議録を後から公開するというのは、これは本質的に違うと思うんです。再評価委員会は公開制にすべきだと思うんです。そして、再評価委員会には市民団体やその地域の自然保護団体のメンバーも加えて、これをきちんと民主的に討議できるような委員会に変えるべきだと思うんですが、どうですか。
  75. 山本徹

    政府委員山本徹君) 再評価委員会につきましては、中立的な専門の先生方を委員にお願いいたしておりますけれども、この委員先生の中には自然保護に大変お詳しい専門家の方もいらっしゃいます。  再評価委員会の公開の問題につきましては、委員会で御検討になりまして、委員方々の自由かつ公平な立場からの議論を確保するという観点からは、会議自体は非公開が適当であると決定されたところでございまして、一方では透明性を確保するという要請から議事録を公開させていただくことにさせていただいたところでございます。  それから、自然保護団体等を委員に参加させるべきであるという御意見でございますが、こういった自然保護団体の方々はもちろんでございますが、また地元の住民の方、自治体の方々等々、これに関係されるさまざまな方々からの意見は広く資料等として委員会に御提出いただいているところでございまして、この資料は委員会において委員が十分に吟味、検討された上で、昨年の十二月に再評価の結論も出されているわけでございまして、今後ともそういった幅広い方々の御意見も十分承りながら、中立的な再評価委員会で五年ごと事業見直しを行ってまいりたいと考えております。
  76. 須藤美也子

    須藤美也子君 情報公開制ということが今非常に問題になっているわけです。それはあくまでも非公開ということでなくて、公開制という立場で林野庁あるいは農水省が再評価委員会を指導する、そういう立場で公開制を要求したいと思います。  この問題だけで、あともう何分しかありませんので、次の緑資源公団について質問したいと思うんです。  新規事業の特定中山間保全事業について質問したいと思うんですが、この特定中山間保全事業は、面積要件が一千ヘクタール、事業規模が一地区当たり百五十億円以上、工期は七、八年、さらに一定規模以上になると補助率を上げ規模拡大を誘導している。  特定中山間保全整備事業は、これまで農用地整備公団が行ってきた大規模事業を名前と内容を変えて中山間地域に引き継ぐものではありませんか。どうですか。
  77. 山本徹

    政府委員山本徹君) 今回の特定中山間事業でございますが、これは農政見直し一環として中山間対策は大変重要な課題となっております。これの効果的な実施のために新しい事業として創設いたしたものでございまして、水源林造成事業実施地区を中核に、今御指摘のような要件農用地整備また水源林造成さらに農林道の開発整備等の事業一体的、総合的に緑資源公団という一つ事業主体で実施するものでございます。  また、この事業につきましては、地元また地元の御意見をくみ上げられた都道府県からの要請があって公団事業として実施することといたしておりまして、新しい中山間地域において希望の持てる村づくり、また雇用の場の確保、さらに下流の住民の方々にとっては水源林の整備等々の大事な公益的機能を発揮する事業として大変大きな期待があると考えておりまして、都道府県等の要望に沿って私ども着実な推進を行ってまいりたいと考えております。
  78. 須藤美也子

    須藤美也子君 私は、この間二十八日に農用地整備公団が開発した北上山系に調査に行きました。ここで推進協議会の会長さんはこう言っております。約一千億円もの税金を使い、山手線内の二倍の面積の山々を草地にしてしまった北上山系開発。こういう中で、そこに入植した人たち意見も聞いてまいりました。しかし、農用地整備公団森林開発公団も熱心に仕事をやった。国がやったのは土をひっくり返し、道路と草地をどんどんつくっただけ。酪農で入植した人は乳価が低迷して倒れ、肉牛は自由化で苦労している。しかも、入植した人は多大な負債を抱えております。後継者も先行きを悲観して農業から離れていくと。  こういう状況のもとで、これからこれと同じような、あの北上山系は四百ヘクタール、ところが今度は一千ヘクタールを県をまたがってやるという大規模事業になるわけですね。  そういう状況の中で、このように中山間地農地あるいは林業、こういう衰退に、例えばそういう住んでいる人たちが借金を抱えてもう成り立たなくなってしまっている。こういうことがないような保証はあるんですか、この事業に。
  79. 山本徹

    政府委員山本徹君) 私どもが御提案申し上げております中山間の総合整備事業でございますが、これはあくまで地元の御要望また都道府県からの御要望に沿いまして公団事業として実施するものでございます。  また、事業実施に至る過程において基本調査や地区調査という調査実施いたしまして、地元の住民の御意向、またこの事業の採算性等について十分に吟味した上で、また関係の機関とも協議しながら数年間かかって計画を策定し、この計画に沿って事業実施することにいたしまして、地元の住民の御意向や事業の採算性についてはそういった過程で十分に検討、吟味しながら事業を進めてまいることにいたしております。
  80. 須藤美也子

    須藤美也子君 中山間地は北海道から九州まで全部違います。こういう異なっているところに市町村がそれぞれいろいろ田直し事業とか、例えば長野県の栄村では田直し事業、あるいは高知県では中山間地に対する育成事業に対する支援対策をやっている。こういう事業は一律に国がやるのでなくて、地方自治体が創意工夫でやる事業に国が支援すべきだ、このように私は考えます。そのことを申し上げて、私の質問を終わります。
  81. 谷本巍

    ○谷本巍君 法案の質問に入ります前に、内閣官房長官発言に端を発します林野庁の環境庁移管論、いまだにくすぶっておるようでありまして、初めに大臣の所見をお願いしたいのであります。  大臣も御存じのように、国有林問題は累積負債整理絡みで再建論議が進められてまいりました。長期にわたる議論を経て今日のような結論が得られておるわけでありますが、仮に環境庁移管ということを前提としているとするならば、あのときの論議はかなり変わったはずであります。農、林、水でいくものだという前提で皆さん御議論されてきておるわけであります。そういう重要な経過があります。  それからもう一つは、これまた大臣も御存じのように、省庁再編成問題でいろいろな議論がございました。このときの議論も、環境庁に移管しましょうということを前提としている議論というのは私は耳にしておりません。やはり、農、林、水でいくものだという前提でもっての議論が中心であったという経過でございました。  これらの話というのは、昔の話じゃなくてつい最近のことであります。そして、そこで官邸からああいう話が出てきますというと、それじゃ今までみんなが取り組んできたことは一体何なんだというような議論になってまいります。  大臣、こうした問題についてどう受けとめておられるか、それからまたどう対処されようとしておるか、初めにその見解を承りたい。
  82. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 結論から申し上げますならば、先生指摘のような経過、あるいはまた実質的な議論の結果におきまして、林野行政は引き続き農林水産省でやっていくという前提で今法案を国会で御審議いただいておる最中であり、我々はそれがベストだということでお願いをしておるところでございます。総理も、私も、委員会等公式の場ではっきりと申し上げているところでございます。  この官房長官の御発言に関しましては、公式の場で言ったわけではございませんで、記者会見の場で、政府としてはこの法案を原案どおりに成立をしていただきたい、ただし個人的にはというところからが今回のそのお話になったわけでございまして、そういう意味では、非公式の発言である以上、公式に私が官房長官に真意をただすとかあるいは訂正を求めるという性質のものではないというふうに思いますが、一回に限らず非公式に個人的にということでおっしゃっておられるやに聞いておりますので、こういうことは万々が一にもあっては、今までの議論あるいはまたこれからやろうとしておる、もちろん環境庁とも密接に連絡をとりながらの森林管理、あるいはまた林業行政について支障を来さないようにするためにも、我々としても注意深く見守っていかなければならないわけでございます。  政府として総理大臣以下、官房長官も含めまして、今御提出しておる案で何とぞ成立をしていただきたいということで、特に林野行政につきましては引き続き農林水産省所管でやらせていただくということで、政府としてやっておるということをぜひ御理解と御指導、御協力をお願いいたします。
  83. 谷本巍

    ○谷本巍君 明快な御回答で安心をいたしました。  さて、法案の方の論議に入りたいのでありますが、その前に一つ伺っておきたいのは、農林水産省の人減らしの状況であります。昭和四十三年以降、公務員減らしが開始されておるのでありますが、全省平均で何%減ったか。農林水産省は何%減っておるか。それからもう一つは、政府関係特殊法人の場合はどうなのか。結論だけで結構であります。簡潔にお答えいただきたいと思います。
  84. 高木賢

    政府委員(高木賢君) 定員の推移でございます。  全体をまず申し上げますと、昭和四十二年度で八十九万九千人が平成十一年度で八十四万六千人、減少率約六%でございます。農林水産省は、昭和四十二年度十万三千人、十一年度で四万三千人、したがいまして削減率は五八%でございます。それから、特殊法人は、農林水産省が四十二年度末十八法人、これが十年度末で八法人ということでございます。
  85. 谷本巍

    ○谷本巍君 公務員平均の減りぐあいに比較しますというと、農林水産省の減りぐあいは非常に高かった。そのスピードが依然として変わっていないということですね。そして、そういう行革といいましょうか、人減らしの優等生というのがやはり現場にさまざまなひずみを生み出し始めているというふうに私には受けとめられます。  例えば、この林野行政関連で申し上げますというと、最近非常に大きな問題になってきているのは産業廃棄物の不法投棄であります。この関係の仕事をなさっている皆さんに話を聞いてみていただきたい。国有林が一番いいと言うんです。監視体制がないからだと言うんですよ。それからもう一つは、県と県の県境が一番ねらいやすいという話を共通的におっしゃいます。現場の皆さんに伺いますと、それは監視活動ができるような状況じゃありません。昔の営林署と比較しますと物すごく人が減ってしまっている。こういうふうなひずみ等々が起こっております。時間がありませんから一つだけの例にとどめておきますけれども。  今度の本法案を見てみますというと、農用地整備公団は廃止の方向ということです。ところが、きのうの衆議院農林水産委員会での議論で基本法の修正があった。自給率を上げていく方向が出されてきたわけです。そうすると、農地面積をこれからどう拡大していくかということを考えなきゃならぬ。ところが、現状はそういう方向にない。そして、農用地整備公団も解体していくというようなことなんです。ここのところについてもいろいろ私は議論をしたかったのでありますが、残念ながら時間がございません。これは基本法の論議の方に譲りまして、次に条件不利地対策と農用地整備事業について伺いたいと存じます。  農用地整備公団が行ってきました事業のうち、私は余り現場を見ていないんですけれども、三カ所ほど偶然これまで拝見をしてきております。一カ所は北海道の石狩川の泥炭地帯における排水事業、これは米問題の調査に行ったときにたまたまそこを通りかかって拝見をしてきたものであります。それから、もう一カ所は沖縄であります。これはサトウキビの作柄調査に入ったときのことでありました。かんかん照りの状況で、それでどこを見回しても干ばつなんですよ。ところが、そういう干ばつの中で大豊作のところがあった。何だあれはと聞いたら、地下ダムができているところは豊作でありますという話を伺いました。関係農家の皆さんは何とそこで言ったか。私の生涯のこれがたった一つの善政でありますということを言っておりました。復帰後の話です。  そういうふうな事実の中からしますと、基本法論議の中でも中山間地域、それからまた条件不利地の農業をどうしていくかという議論、これが大きな焦点になっている。そういう時期にどうして農用地整備公団を廃止していくのか、このことがちょっと私には解せない。  この種の事業はこれからやるのかやらぬのか、そこはどうなんですか。
  86. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 今、先生、北海道石狩川下流の例と沖縄の例を挙げておっしゃられました。確かに、今まで農用地整備公団がやってまいりました事業は、時代の変遷の中で非常に大きな成果を上げてきたところであります。ただ、これまでの事業そのものは、言ってみれば時代リード役としての役割を、普及、浸透、定着という観点からそろそろ終えつつあるというふうに思っております。この際、簡素で効率的な行政の実現という観点も含めまして、今御指摘があった農政全体の見直しの中で廃止をするということになったわけであります。  したがいまして、基本問題調査会答申や新しい基本法の論議の中でもございましたように、中山間地域対策を一層充実するということで、この新しい緑資源公団森林農用地が混在する中山間地域において、公益的機能の維持増大の観点から、地域活性化も含めまして、森林農用地一体的に整備する事業を開始することとしたわけでございます。  私どもは、これまで公団がやってまいりました事業につきましては、先ほど定着、普及というふうに申し上げましたように、国営の事業あるいは県営の事業でこれと同等のものを確保するということにいたしておりますし、それに加えまして新しい農林地一体型の事業をさせていただきたい、こういうことでございます。
  87. 谷本巍

    ○谷本巍君 次に伺いたいのは、特定地域整備事業についてであります。  既に、これまでも農林地一体型の整備事業というのが行われてきておるわけでありますけれども、重点を一体どっちに置いていくんだということについて確かめておきたいのであります。  今の中山間地の現状からしますと、農用地でこれはちょっともうなかなか維持が難しいだろうというところをどんどんつぶして林地にしていった方が整備は早いですよ。しかし、それじゃ話にならないのでして、ですから極力、農地を残していくためにどうするかということをこの事業に取り組む際に考えていくべきだろうと思うのです。その点はどういう見地に立って取り組むのか、そこはいかがでしょうか。
  88. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 今回の新しい事業が一千ヘクタール以上を事業実施要件としておりますことからもわかりますように、地域全体、かなり広い視野に立ちまして、ここの農地をどういうふうにする、あるいはここの森林をどういうふうにするという非常に大きなコンセプトを立てていただいた上で、それぞれの地域に見合ったメニュー採択していただくことにしております。  今、先生がおっしゃったように、食料の安定供給の観点からは、農地はできる限り農地として活用するということが私ども事業をいたしますときの基本でございます。また、農地として活用できるようにするということの一つには、例えて言えば、これまでアクセスが悪くて農地として維持をしようにも維持ができなかった、そこにアクセス道路がつけば農地として維持ができるものも出てまいりましょう。そういうふうなことで、できるだけ農地農地として利用するということを基本原則にしております。  ただ、その中で、やはりどうしても日当たりの悪い水田であるとか、急傾斜で農業生産によって公益的機能を確保するのが難しいとか、あるいは森林一体になってしまったような桑園、そういうものについてはやむを得ず林地化をするということもメニュー一つに含めさせていただいたわけでございます。その方が公益的機能を発揮することもあり得るということでございます。  いずれにいたしましても、地域の実情をよく掌握しながら、極力、農地として利用できるものは農地として利用するという基本で対応したいと考えております。
  89. 谷本巍

    ○谷本巍君 次に、水源林づくりについて大臣に伺いたいと存じます。  去年の集中豪雨で私が得た教訓の一つは、川上の森林が、例えば杉の人工林であっても、人手が入ったものであると川下の被害が比較的少なかった。ところが、広葉樹林でも人手が入っていないものでしたら川下はやっぱり大きな被害を受けていますね。この教訓からしますと、人工林や広葉樹がいいんだというのはまことにそのとおりでありますけれども、それ以前にもっと大事なことは、人手が入っているかいないか、中山間地域に人が住んでいるのかいないのか、ここのところが一番やっぱり大事だということでありました。  だが、中山間地域の過疎の歯どめはかかっておりません。地方へ行きますと、谷本さん、今度はあそこの集落はみんなで川下におりていきますよというような話を聞くことが多いんですよ。それを聞くたびに、その村が管理していた数百ヘクタール、数千ヘクタールの山がだめになっていく、また水が足りなくなっていく、こういう思いを随分してまいりました。それだけに農業といえば何といったって土地と水なんですよ、担い手以外で大事なのは。  そして、悪いことには、日本の行政は、水が足りなくなってくると都市の方へどう回すかということで農業用水の削減から始まってくる。大体、水をつくる生産者をぶったたいて、それでもって都市が永久的に用水が確保できるかというとそうじゃありませんよ。それだけに今、水源林の整備というのは非常に大事になってきていると思います。この点、大臣、どうお考えでしょうか。
  90. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 全く先生のおっしゃるとおりでございまして、中山間あるいは山間地整備というものは、木材という産業面だけではなくて、今おっしゃられたような洪水に対する対応、あるいは水を適切に確保あるいはまた管理をするという意味で非常に重要であります。そのためにも整備が必要であり、そしてまた先生指摘のように、定住することもまた必要であり、耕作放棄地等の発生を防いでいかなければならないわけであります。  そういう意味で、水源林造成事業というものもその多面的な機能の重要な部分の目的達成のために極めて重要なことでございますので、これからも積極的に推し進めていかなければならないというふうに考えております。
  91. 谷本巍

    ○谷本巍君 この点ももう少し聞きたいことがあるんですけれども、基本法の議論の方に譲りたいと存じます。  最後に伺いたいと思いますのは組織問題であります。  これまで随分、新公団役員問題について話が出ました。私、ここで長官に伺いたいと思いますのは、平成七年の特殊法人の整理合理化について行った閣議決定がございますね。統廃合によって生じる雇用問題についてでありますけれども、労使の自主性による協議を基礎に、そして一言で言うなら生首は切らぬと。そして、労働条件等の低下を来さぬということについて閣議決定で述べておるわけであります。  これは当然のことでありますが、この決定は遵守してやっていくということは間違いありませんね。
  92. 山本徹

    政府委員山本徹君) 今回の農用地公団の廃止に伴います緑資源公団への承継に当たりましても、先生指摘平成年度閣議決定を遵守すべきものと考えておりまして、職員の雇用の安定が図られるよう農用地整備公団職員の雇用関係も含めて緑資源公団に承継することといたしております。
  93. 谷本巍

    ○谷本巍君 その場合の労働条件の低下を来さぬことということでありますけれども、この場合は一つ公団にもう一つ公団が吸収合併される形なんですね。そうすると、どっちを物差しにしていくということになってきますというと、既にもうこれは長官衆議院一定程度お答えになっておるようでありますが、この場合は森林開発公団、そこのところで歩調をそろえてひとまずスタートをする、こういうふうな形になるものと理解をしておりますが、それで間違いありませんね。
  94. 山本徹

    政府委員山本徹君) 御指摘のとおりでございまして、両公団の給与体系、勤務条件につきましては、それぞれの歴史、経緯もございまして若干の差異がございますけれども、今回の法改正の趣旨が森林開発公団農用地整備公団残事業等を承継するという基本的な考え方のもとに、緑資源公団につきましては職員方々一体となって効率的な業務運営を確保していただく必要がございますので、森林開発公団の給与体系や勤務条件をベースに調整を行い、一本化を図っていただく必要があると考えておりまして、私どもも両公団の実情は、他の政府関係機関の給与、勤務等を勘案しながら、関係省庁とも十分協議して適切に対応してまいりたいと考えております。
  95. 谷本巍

    ○谷本巍君 ありがとうございました。
  96. 阿曽田清

    阿曽田清君 農用地整備公団、これが廃止になって森林開発公団一体化し、名称を緑資源公団として新たにスタートするということであります。農用地整備公団が今日まで四十年果たされてきた成果、その総括をここでやっぱりしておく必要があるだろうと思いますので、大臣から四十年間の農用地整備公団の総括を述べていただきたい。
  97. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 四十年ということになりますと、今、国会でこれからまた当委員会で御審議をいただきます基本法のことを頭に浮かべるわけでありますが、当時はとにかく食料の増産ということで、農地の確保ということが急務であったわけでございます。その場合に、普通の一般会計の国営農用地造成あるいはまた地方自治体がやる造成だけではできない機動力といいましょうか、技術力、機動力、あるいはまた短期間に集中して大規模にかつ広域的にできる。特殊法人でございますから、極端に言えば財投からお金を幾らでもとは言いませんけれども、必要なものについては借りてでもやっていくわけでございますので、同じ規模のものを国営の普通の事業と比べてもそのスピードが倍半分ぐらい違うぐらいに集中的にできるわけでございます。  また、その農用地の面的な整備等、農道等の線といいましょうか、点といいましょうか、そういう整備等多岐にわたって総合的にできるということで、当時の状況というものが社会情勢あるいは農業情勢の中で極めて意義深いものがあったというふうに考えております。  ちなみに、現時点ではその重要性というものは変わっておりませんけれども、それをほかの事業でも補完、やれるような状況になってきたというようなことがあるわけでございますが、四十年間を振り返ってみますならば、そういう食料増産といいましょうか、そのための農地の確保を緊急かつ大規模に総合的にやっていくという意味で、極めて成果がある事業を行ってきたと理解をしております。
  98. 阿曽田清

    阿曽田清君 地元でも道路整備やら草地改良あるいは造成等で大変評価を受けているといいますか、喜んでいただいているのを目にいたします。しかしながら、今回、農用地総合整備事業、これそのものがもう既になくなるということでありますが、これに対するニーズといいますか要望というのはなかったのかどうか。  そして、仮にこれは新しい公団に引き継ぐということで残事業がありますから、これを十年間でやってしまうということのようでありますが、緑資源公団になったらおくれてしまうんじゃないかという心配が一方でありますが、その点きちんと、今、大臣がおっしゃられたように、予算に縛られないでやれるんだという、そういうメリットを生かした形で十年間やれたのがやれなくなってくる、おくれるというようなことにはならないようにしていただきたいと思いますが、そこの見解を局長からお答え願います。
  99. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 今御指摘がありました総合整備事業、これは継続中が十八でございます。それから、調査にかかっておりますのが十、しかしそのほかに要望としてやってもらいたいというのが七つほどございました。しかし、私ども中を精査いたしまして、この十の調査事業まででとにかく完了させようと。  それから、必要な事業費については、これは先ほど現在の予算で割り算をして十数年というお答えを申し上げましたけれども、とにかく予算がきちんと確保されるように全力を挙げたいと思っております。  それから、面を整備する、線を整備する事業というのはこの公団事業だけではございませんので、国営、都道府県営いろいろな事業を活用いたしまして、そういった生産基盤整備については万全を期したいと考えております。
  100. 阿曽田清

    阿曽田清君 塚本理事長、おいでいただいて恐縮でございます。  緑資源公団、いわば両公団が機能的に一緒になって新しくスタートする。一足す一は二ということでとどまってもらっては、新しい緑資源公団になってスタートする意味においては二じゃ私は本当の行政改革にはならないんじゃないか、三か四に伸びていくような緑資源公団になってほしい。理事長、引き続きなされるであろうと思いますが、その緑資源公団の新たな取り組みについて決意を述べていただきたいと思います。
  101. 塚本隆久

    参考人塚本隆久君) お答えいたします。  緑資源公団では、現在、私どもが行っております森林開発公団水源林造成事業林道事業と、それから農用地整備公団農用地整備に関する事業、こういったものを行いますとともに、新規事業といたしまして、中山間対策に関連する事業を新たに行うということにいたしております。  この中山間対策事業、これを充実していくということは、さきの食料・農業・農村基本問題調査会答申にもございますように、今後の我が国の農林行政推進にとりまして大変重要な課題であるというふうに考えております。  したがいまして、森林開発公団が今後、緑資源公団といたしまして中山間地域対策の一環を担わせていただくということになるとするならば、その責任の重大さをしっかりと受けとめまして、森林農用地一体整備に係る中山間地域関連の事業について新しい公団の主要な事業として位置づけましてこれを推進してまいりたい、このように考えておるところでございますので、今後ともいろいろと御指導いただきたいと思っております。
  102. 阿曽田清

    阿曽田清君 中山間保全整備事業、そういうものを創設されて、森林農用地一体化を進めていくというのが新しい取り組みとして生まれてきたというお話でした。  私は、これからの緑資源公団に求めるものの一つに、開発というものが前面に出て今日まで来ていた、この開発から保全の方にある意味じゃ緑資源公団の機能は移っていかなきゃならないんじゃないかなというふうに思うんです。先ほど谷本先生から産業廃棄物を捨てるのは一番国有林が向いているとか、県境に多いとかということもありました。地すべりの問題もあります。  私は、そういう意味で、保全という観点でのウエートを公団の新しい事業に置こうとするならば、例えばカナダの環境保全を重視した森林保全帯的な機能を公団が持ったら本当にすばらしい公団になっていくんじゃなかろうかなというふうに思っているんですが、これは大臣に聞いた方がいいかな、突然の話になりますけれども、そういう意味の機能性を持たせていく時代になってきたんじゃないかというふうに思いますが、見解を求めます。
  103. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) カナダの例は私は申しわけございませんが存じませんが、とにかく森林を開発する、あるいは農用地を造成開発するということももちろんこれからも必要なことであると同時に、先生指摘のように、例えば条件不利地域である中山間地帯の農地を放棄させないように何とか維持管理をするでありますとか、山の公益的な面をどうやって、先ほどの谷本先生のお話にもありましたように、山がおかしくなれば海の近くの大都市までおかしくなるわけでございますから、そういう意味で産業面、経済的な効果を生むという仕事だけではなくて、そういう一見、経済的な面ではないけれども国民全体にとって、あるいは国土全体にとって極めて重要な役割を果たす森林あるいはその周辺の農用地等のきちっとした維持管理ということも非常に重要な役割にこれからますますなってくるというふうに考えております。
  104. 阿曽田清

    阿曽田清君 終わります。
  105. 石井一二

    ○石井一二君 自由連合・二院クラブの石井でございます。  今回の改組にちなみまして、まず塚本理事長に、過去十年ぐらいを振り返って、現在の森林開発公団の財務状況についてどのような認識をお持ちか、一口でお答えいただきたいと思います。金が余ってしようがないとか足らぬとか、例えば収入というものが、利用料を取っていない、国の補助金とか財投資金だということが主だと理解しておりますが、その辺の御所見をまず伺いたいと思います。
  106. 塚本隆久

    参考人塚本隆久君) 森林開発公団におきましては、林道事業水源林造成事業、これが大きな二つ事業でございます。  林道事業につきましては、事業費について国庫補助金、そして財投からの借り入れということでやっておりますが、三分の二は国庫補助金でございます。そして、三分の一が資金運用部からの資金の借り入れということでやらせてもらっています。この資金運用部資金の借り入れは、据置期間五年間を含む二十五年元金均等で返してまいっておりますが、この返す財源につきましては、林道を通す関係地域の道、県の負担金と受益者の賦課金によって賄われておりまして、これはきちんと毎年納められておりまして、林道事業についての財投からの借り入れにつきましてはおおむね予定どおり償還されておりますので心配ないと、このように思っております。  それから、水源林造成事業につきましては、三分の二が国からの出資金、そして三分の一が資金運用部からの財投借り入れということになっておるわけでございますが、これにつきましては伐採時に分収金で支払っていくということにいたしておりますけれども、当面、私ども切る木がございませんので、借りた財投につきましては資金運用部の資金から借りかえのような形で支払っておりますけれども、これについてもおおむね順調に返しておりまして、伐採時期にはまたきちんと残ったものは返せる、このように考えております。
  107. 石井一二

    ○石井一二君 うまくやっておるということでございますが、私が過去十年ほどを振り返ってと申しましたのは、例えば一九八九年、日経株価のインデックスが三万九千八百円をつけたときですが、おたくのこの財務諸表、特に貸借対照表を見ておりますと、有価証券絡みでいろいろもがいておられる姿というものがあるわけです。  これはもうけて楽にしようということが意図だと思いますが、例えば林道事業の経理を見てみますと、七年の有価証券科目は二億九千八百万から八年は一挙に二十二億という大きな数字を計上しておる。四年度の五千万円あったものが六年度には三億余りになっておるんですが、四年度の現金預金が二百億円という数量が五年度にはたった九十八億円というふうに百億円消えているわけですね。しかも、この有価証券科目はゼロになっておる、こういう状態があります。  また、造林事業の経理を見ておりますと、有価証券項目というものは、元年、二年がゼロだったものですが、三年にやっと六億七千万。それから、四、五、六、七、八年と項目自体を削ってしまって存立しておりませんが、九年に四億円というもので再出現している。ポリシーが一貫していないんですね。恐らく、善意であれ相当な株価の売買損というものが出ているに違いないと私は思うんですが、この実態を私は知りたいと思います。  今ここで答えを求めてもすぐには出ないし、通告を余りはっきりすると、またそれぞれ作戦もあろうと思います。私は、これを違う機会で使いたいと思いますので、資料要求いたします。ひとつばっちりとうそをつかずに出していただきたい。その責任は、あなたが理事長をやっておる時代のものじゃありませんのであなたに及ぶことはございません。  続いて、今回の改組にちなんで、私は、先ほど来、理事の数がどうのこうのという論議がいろいろなされておりますが、現在の一般のプロパーの職員の方の状況でございますが、農用地整備公団が三百八十七人、森林開発公団が四百七十三人の八百六十人、こう伺っております。中を見ておりますと、総務部が森林の方は二十五人、片や農用地の方が企画調整を入れて十八人の合計四十三人。経理部だけで片方が二十七人、片方が十一人の三十八人。  こういう一つ組織になると、こういった分野は当然余ってこなきゃいかぬわけです。だから、こういうことについて、国家公務員の定員管理等に基づいてあなたは相当な英断を持っていろいろ知恵を絞らなきゃならない。当然、生首を切るわけにはいかぬ。ここら辺についてビジョンを求めたいわけであります。  二十六分まで私の時間で、あと二分半ですからもう一つだけあわせて聞きますから、答えを二つひっくるめてしていただきたいと思います。  しかも、今、両組織はタクシーでワンメーター半ぐらいでしょうか、分かれていますね。あなたの理事長室がどちらに移るのか私もちょっと心配しております。というのは、あなたのおられる方がスペースとしては小さいでしょう。こういったときに、非常な非効率を考えて余り金ぴかの高いビルに入らずに、どこか一カ所に絞るというようなことも当然考えられなきゃならぬと思います。  私の申した以上二つのアングルから、あなたの所見を伺いたいと思います。
  108. 塚本隆久

    参考人塚本隆久君) 第一の要員の問題は私の権限外でございますので、林野庁なり構造改善局の方から答えていただきたいと思っております。  それから、事務所につきましては、森林開発公団は、東京の一極集中を是正するための多極分散型国土形成促進法の基本方針に基づきまして、平成十四年までに二十三区外に移転することになっております。それから、農用地整備公団についても同様であると伺っております。したがいまして、新しい緑資源公団の事務所につきましては、平成十四年度を目途に東京二十三区外のどこかに両公団が一緒に入るということで事務所移転を検討しておるところでございます。  ただ、その間、現在の事務所二つ仕事をしてまいりますので、これにつきましては、両公団はこれから具体的にいろいろ相談をいたしまして、両公団一体となって進めなければならない問題等も多々ございますので、例えば両事務所間の連絡をどういう形で具体的に密にするのかといったことも含めて十分検討しながら、新公団事業の円滑な実行に支障がないように努力してまいらなきゃならない、このように考えておるところでございます。
  109. 石井一二

    ○石井一二君 もう三十秒で終わります。  あなたは、今、最初の職員人数の問題は私の管轄じゃないとのんきなことを言っていますが、あなたは予定理事長でしょう。そうすると、今後どうするのかということぐらいのビジョンがあってしかるべきじゃないですか。セクショナリズムに従ってよそが決めることだから私は知らぬというような態度自体が私は非常に問題であると思うんです。
  110. 塚本隆久

    参考人塚本隆久君) 新公団理事長に私がなるかどうかということは農林水産大臣が決めることでございますので私は何とも申し上げられませんが、少なくとも私ども森林開発公団職員につきましては、これまでもいろいろ合理的な要員削減を行ってきたところでございますし、これからもそのような形で進めてまいりたいと思っております。
  111. 石井一二

    ○石井一二君 終わります。
  112. 野間赳

    委員長野間赳君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  113. 須藤美也子

    須藤美也子君 私は、日本共産党を代表して、森林開発公団法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。  反対する第一の理由は、多大な浪費と環境破壊が批判されてきた大規模林道事業がそのまま継続されていること、農用地整備公団が既に着手した農用地整備事業等も継続されるなど、公団が行っている浪費的な公共事業を見直すこともなく継続するものになっているからであります。  第二の理由は、新たな中山間保全整備事業も、廃止される農用地整備公団事業と同規模事業となっている上、手法も従来どおりであるなど、これまで農用地整備公団が行ってきた事業を名前や内容を変えて中山間地に引き継ぐものであり、公共事業のむだと自然破壊、地元負担の圧迫等をもたらすものでしかありません。さらに、中山間地森林農用地一体整備するといっても、新たな森林破壊を全国の水源林地帯に広げかねないものであるからであります。  今日求められているのは、浪費的な大型公共事業思い切って削減し、真に農業振興に役立つ農地造成を行うこと、環境保全と両立する森林開発など、地域の条件を生かした事業への抜本的な改革を図ることであります。  同時に、中山間地での森林農用地整備は、地方自治体を中心としてそれぞれの地域の条件に合った手法で行うべきであり、そのために国は必要な財源を保障すべきであるということは言うまでもありません。  以上で反対討論を終わります。
  114. 野間赳

    委員長野間赳君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  森林開発公団法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  115. 野間赳

    委員長野間赳君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、和田君から発言を求められておりますので、これを許します。和田洋子君。
  116. 和田洋子

    ○和田洋子君 私は、ただいま可決されました森林開発公団法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、社会民主党・護憲連合、自由党及び二院クラブ・自由連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     森林開発公団法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、本法の施行に当たっては、次の事項の実現に遺憾なきを期すべきである。  一 緑資源公団は、その事業の適正な実施を通じて、森林及び農用地の持つ公益的機能の発揮、中山間地域振興に努めること。    特に、水源かん養機能の強化と温暖化対策等環境面への配慮から水源林造成事業を積極的に推進すること。  二 緑資源公団事業実施に当たっては、地域の実情、受益者の意向、自然環境の保全に十分配慮すること。  三 緑資源公団における職員の雇用問題については、平成七年に閣議決定された「特殊法人の整理合理化について」を踏まえ、労使協議を尊重するとともに、労働条件の悪化を来さないよう留意すること。  四 特定森林地域開発林道事業等により整備された林道については、安全な通行の確保と自然環境の保全を図るため、土砂流出の防止、法面の緑化、周辺の樹木植栽等の改良事業に万全を期すこと。    右決議する。  以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  117. 野間赳

    委員長野間赳君) ただいま和田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  118. 野間赳

    委員長野間赳君) 全会一致と認めます。よって、和田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、中川農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。中川農林水産大臣
  119. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) ただいま法案を可決いただき、ありがとうございました。  附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、今後、最善の努力をしてまいります。
  120. 野間赳

    委員長野間赳君) なお、本案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 野間赳

    委員長野間赳君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時三十二分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  122. 野間赳

    委員長野間赳君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  農業災害補償法及び農林漁業信用基金法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  123. 岩永浩美

    岩永浩美君 私は、今回、政府から提案されている農業災害補償法及び農林漁業信用基金法の一部を改正する法律案に対して、今後とも農災制度の健全な運営を確保する視点から質問をしたいと思います。  まず、これまでの農業災害補償制度が果たしてきた意義と役割についてお伺いをしたいと思いますが、この法律ができてから既に四十年以上の歳月が過ぎ、その間にそれぞれ改正をされてきておりますが、農業災害補償制度の果たしてきた意義を政府はどのようにお考えになっているのか、お伺いいたします。
  124. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 農業災害補償制度は、農業は自然相手、生き物相手の仕事をするわけでございますが、自然災害を中心とする農業災害によって受けることのある損失を保険の仕組みによって補てんし、農家経営の安定を図り、生産力の発展に資することを目的とした制度であります。昭和二十二年に創設されて以来、これまでたび重なる大災害に適切に対応してきたと考えております。  例えば、平成五年の大冷害では、水稲を中心に甚大な被害が発生しましたが、その際、水稲に係る共済金として総額四千三百九十四億円が支払われ、被災農家の経営維持に大きな貢献を果たしてまいりました。  このような中で、今回の改正は、食料・農業・農村基本法案及び農政改革大綱で示された意欲ある担い手の育成や農業経営の安定機能の強化等の観点を踏まえ、本制度を今後とも国の農業災害対策の柱として充実強化していくという考えのもとで措置しようとするものでございます。
  125. 岩永浩美

    岩永浩美君 今回の法改正は第十六次改正に当たると聞いています。そこで、それぞれの時代に組合員や農業団体の要求、また農政上の要請に対して的確に一つの制度がこたえてきたものだと私も思いますし、十六次の改正はその証明だと言っても私は言い過ぎではないと思っています。  そこで、今回の提案に至った背景と趣旨について、今、大臣からお話をお聞きいたしましたが、麦共済における災害収入共済方式の試験的導入について伺いたいと思います。  麦については、麦種ごとに主産地が形成されています。例えば、国内産小麦の生産状況を見ると、主産地の中での麦作の比重の高い北海道、福岡、群馬、埼玉、そして私の地元佐賀、熊本、栃木の七道県の作付面積を合わせると、実に八割を占めています。  そこで、今回、被災農家の経営安定を図るために、品質低下によって引き起こされる収入減少にも対応できるようにということで麦共済について新たな災害収入共済方式を試験的に導入されていますが、既に果樹共済、畑作共済に導入されているその実施状況について御報告を願いたいと思います。
  126. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) いわゆる災害収入共済方式でございますが、果樹共済では昭和五十六年からの試験実施を経まして平成六年から本格実施をいたしております。また、畑作物共済では平成七年から茶で試験実施をしているところでございます。  その実施状況についてのお尋ねでございますが、平成十年産で見ますと、果樹では温州ミカン、ブドウ、ナシ、指定かんきつ等で十二県で実施されておりまして、面積にして一万四千ヘクタール、これらの共済引受面積に占める割合にいたしますと四二%の実施状況になっております。茶について見ますと、七県で四百四十ヘクタール、五五%の実施状況でございます。
  127. 岩永浩美

    岩永浩美君 この方式を導入する場合には、指定対象地域は省令で定めるということになっていますが、その具体的な内容について伺いたい。  そしてまた、仮に災害収入共済方式を導入した場合、共済掛金率がどういうふうな形になるか、どういう形で上昇していくのか、その見通しについても伺っておきたいと思います。
  128. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) 麦の災害収入共済方式でございますが、これは麦の生産金額を適正に確認できるということが前提条件になりますので、そういうことができる見込みがある地域実施することにいたしておりますが、省令ではその確認の方法を定めることにいたしております。具体的には、農業協同組合等への出荷資料等によるということを省令で定める考えでございます。  それから、この方式に伴います共済掛金の水準でございますが、現在、掛金率を算定いたしますための被害率調査実施しておる段階でございまして、現時点で申し上げる状況にはないわけでございますが、一般論として申し上げますと、品質の低下も補てんの対象にするということで、いわばサービスを充実することになるわけでございますので、掛金率も現行よりは若干増加する見込みでございます。
  129. 岩永浩美

    岩永浩美君 特に麦作については、梅雨どきに入ったりすることによって品質の低下を招くことがよくあります。どちらにしても、米、麦は主要な国内の農作物でありますから、麦については特に食料政策として、災害にも強くて良質な国内産麦の品種の改良や研究開発が必要なことは言うまでもありません。  今まで私どもは、麦の品質の改良について鋭意検討して、良品質そしてまた雨に強い、あるいは雨の時期に遭わない麦の品種の改良をしていると聞いておりますが、現在どれぐらいまで品種の改良が進んでいるのか、そして収穫の時期を一週間程度早めていく品種は何年ごろをめどにでき上がっていくというふうにお考えになっているのか、伺いたいと思います。
  130. 三輪睿太郎

    政府委員(三輪睿太郎君) 平成十年五月二十九日に省議決定をいたしました新たな麦政策大綱に基づきまして、農業研究センター及び地域農業試験場におきまして、それぞれの地域におきます品種開発の目標を具体的に明確にしました計画を策定しております。そして平成十一年度、今年度から麦類の高品質・わせ化のための新品種育成及び品質制御技術に関する緊急研究を三年間の計画で開始しております。  この中で、今、先生指摘のありましたように、収穫期の降雨による品質の劣化等を避けるためのわせ性、穂発芽の耐性あるいは赤カビ病の耐性、これを強化した品種の開発を行うことにしております。  例えば、九州におきます品種について申し上げれば、現在のチクゴイズミという品種は六月四日に標準では収穫されますが、五日早めた五月三十日に収穫できる西海一八一号という系統を三年以内に品種化して、栽培技術をきっちりとつくりたいと思っております。また、実需者の要望が高い製粉性、色相、製めん性、こういったものを一層向上させた品種の開発及びブレンド技術の開発等をこのプロジェクトの中で取り組むことにしております。
  131. 岩永浩美

    岩永浩美君 ぜひ品種の改良を促進していただいて、梅雨どきに入らない品種が麦作農家皆さん方に早く行き渡るようにしていただくことをぜひ要望いたしておきたいと思います。  次に、家畜共済関係について伺っておきたいと思いますが、今回、家畜共済において事故除外方式を追加することになり、特に肉豚共済においては年間一括引受方式を試験的に導入するとされています。こうした措置を講じようとされた理由を、どこからこういう形のことをしようとされたのか伺いたい。
  132. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) 家畜共済の新たな事故除外方式についてでございますが、最近、畜産経営におきましては、御存じのように規模拡大が顕著に進んできております。こうした規模拡大農家にとりましては、共済に入ろうとしますと共済掛金も大変多額に上るということになりまして、家畜共済への加入を敬遠するような傾向がございます。また、一般に大規模農家になればなるほど飼養管理技術水準も一般的には高いということもございまして、通常の死亡とか廃用による損失は経営の内部で吸収していくことが可能であるというようなことから、補償対象とする事故は経営に重大な影響を与えるような火災とか天災とか、そういった一定のものに限定することによって農家の掛金負担を軽くすることができないかというような要望が出されてきております。  こうした要望も踏まえまして、今回の制度改正におきましては、死亡、廃用でありましても火災、伝染病、自然災害以外の原因によるものは補償の対象から除外することができるという新たな事故除外方式を導入しまして、農家の掛金負担を軽減し、これによって特に大規模畜産農家等が共済に加入しやすくしよう、そういう意図から出ているものでございます。
  133. 岩永浩美

    岩永浩美君 それでは、この方式を追加した場合、組合員の共済掛金の負担がどれぐらい軽くなるのか、あるいは家畜共済の引受率の上昇がどれぐらいこれによって見込まれますか。
  134. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) 新たな事故除外方式を採用した場合の共済掛金の水準なり加入見込みでございますが、例えば死亡・廃用事故につきまして火災、伝染病、自然災害によるもの以外を共済事故から除外した場合の共済掛金は、現行に比べますとおよそ乳用牛、肉用牛で四五%、種豚で六五%、肉豚で九〇%軽減されるというような見込みでございます。  こういう新しい事故除外方式についての加入見込みでございますが、各県の連合会による調査によりますと、乳用牛で十九万頭、肉用牛等で十六万頭、種豚で二万頭、肉豚で二十七万頭程度ということで、かなりの加入が見込まれると考えているところでございます。  また、これに加えまして、さらに疾病・傷害事故の全部を共済事故から除外いたしました場合には、共済掛金につきましては各畜種を通じておおよそ九五%程度軽減されるという見込みでございまして、乳用牛で四千頭、肉用牛等で三万頭、種豚で一万四千頭程度が加入すると見込まれているところでございます。
  135. 岩永浩美

    岩永浩美君 それでは、肉豚共済もこの一括引受方式を今回導入されますけれども、これも省令で定めることになっています。この具体的な内容をちょっと教えてくれませんか。  また、新たに設定される共済の肉豚の価格、それから共済掛金の水準が今とどれぐらい違ってくるのか。
  136. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) 新たに導入することを予定しております肉豚共済の年間一括引受方式でございますが、これは飼養群単位で引き受けをいたします現行の引受方式と違いまして、農家の飼養する肉豚のすべてを一括して一年間の共済掛金期間で引受る方式でございますので、農業共済組合といたしましては、飼養頭数を確実に把握できることが必要でございます。  そこで、お話のございました省令では、年間一括引受方式への加入資格を、畜舎の敷地面積とか母豚の頭数、あるいは過去の繁殖成績等の資料から飼養頭数が客観的に推計できるものとする、こういう加入資格を省令で定める考えでございます。  それから、この新しい方式につきましての共済掛金でございますが、現在、年間一括引受方式を前提とした被害率の調査を行っておりまして、その結果を待たないと正確なことは申せないわけでございますが、共済目的となる肉豚の始期を、現在五十日からとなっておりますのを、出生後二十日からということに改正することにいたしておりますので補償の対象期間が長くなる、その一方で一頭当たりの価額は低下いたしますために、共済掛金の額としましては現行の引受方式とほぼ同水準になるのではないかと考えております。
  137. 岩永浩美

    岩永浩美君 肉豚の共済制度の加入率は平成八年で一一%前後と非常に低い状況にあると聞いております。そこで、現行と同じような掛金率でこの法の改正によって畜産農家人たちは加入することになっていくでしょうか。畜産農家人たちがこの法の改正によってさらに加入率が上昇すると考えられますか。
  138. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) 肉豚共済の加入率は、お話のございましたように、かなり低い状況になっているわけでございます。  その理由といたしましては、一つには肉豚の一頭当たりの資産価値が大家畜などに比べますと低い上に、肉豚の飼養期間が約半年というような短期で非常に回転が早いということもございまして、農家の資産保全意識が大家畜に比べますと低いといったようなこと、あるいは技術の大変進んだ大規模農家におきましては生産が比較的安定しておりますために、通常の死亡とか廃用によります損失はある程度経営の中で吸収していくことが可能であるといった面がありますこと、また特に先進的な大規模農家におきましては衛生面のことに大変神経を使っておられます。衛生面の懸念から共済の引き受けとか事故発生のときの頭数確認のための豚舎への立ち入りなどを嫌う傾向がある、そんなことから現在、肉豚共済への加入率はかなり低い現状になっているというふうに考えております。  今後、この新しい年間一括引受方式を導入した場合の加入見込み頭数でございますが、昨年、農業共済団体等に対しまして見込みの調査実施いたしております。その結果によりますと約百五十六万頭程度が見込まれるということで、これは平成年度の加入実績に比べますと三七%増といったような数字でございまして、かなりふえることになるのではないかというふうに考えております。
  139. 岩永浩美

    岩永浩美君 そうすると、今まで豚の生産農家皆さん方は、共済掛金をやっていくときに検査が、畜舎の監査というんですか、そういうものがあるので手控えて加入率が悪かったということですか。それを今度は一括することによって、そういうことをしなくていいからふえるということになるんですか。
  140. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) 新しい一括方式では、例えば飼養管理簿等的確に頭数規模を把握できる資料を使いましてそれで確定するということで、一々豚舎の中に立ち入って確認するということは省略できる方式を考えているところでございます。
  141. 岩永浩美

    岩永浩美君 豚の場合は飼養頭数が非常に多いから、専業農家皆さん方が共済制度の中で不安定な要素を引き起こすことのないように、皆さん方の指導をさらにお願いしておきたいと思います。  次に、農業共済組合の共済事業の運営基盤の充実強化の促進について質問をしたいと思います。  農業共済組合の広域合併が四十六年以降急速に進んでおります。昭和四十五年の三千二百二カ所から平成十年には五百四十五、約六分の一に減少して、都道府県において策定されている再編整備計画において平成十二年度は三百二十九とするということを聞いていますが、皆さん方は組合の広域合併の効果がそれほど上がってきているという御認識を持って今その指導をしておられますか。
  142. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) 農業共済組合につきましては、将来にわたりまして組合員等のニーズに対応した共済事業の一層の効率的、安定的な実施を確保するというような観点から広域合併を進めてきているところでございます。  合併によります効果といたしましては、例えば管理部門統合等によりまして事務の効率化とか経費の節減が図られるといったこと、また業務執行体制が強化されまして職員の職制の専門分化とか資質の向上も図られるということで組合員等に対するサービスも充実強化することができるといったようなこと、さらには現在実施していない新種の共済事業に積極的に取り組むことが可能になる、あるいはまた組合員に対する損害防止活動についてもより充実できるといったような効果を期待して広域合併の推進に当たっているところでございます。
  143. 岩永浩美

    岩永浩美君 それでは、現行の三段階制を基本として、地域の意向を踏まえた農業共済事業の二段階での実施を可能とする道を開くと今回していますが、今後、政府は二段階制をどのように推し進めていこうとしておられるのか。共済組合の事業を積極的に二段階制として推し進めていこうという方針なんですか。
  144. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) 今回の制度改正で、農業共済事業を現状三段階実施しておりますところを二段階実施する道も開くということにしているわけでございますが、これは組合等の広域化が進展してまいります中で、一部の県におきましては県下全域を事業区域といたしまして一つ農業共済組合にする、その上で国との間で直接、保険関係を結ぼうとする、そういう動きも出てきております。そういう形が実現いたしますと、事業運営の効率化とか安定化といった観点から大変好ましい面もございますので、そういった形態を可能とするような法的な手当てをしようというものでございます。  そういうことでございますので、今回の改正は、あくまでも現状の三段階制度というものを基本にいたしながら同時に二段階での実施も可能にする、そういう道を開くということでございまして、私どもとしましては、地域の意向なり実情なりを十分踏まえまして、そういう条件の整ったところでは二段階制が推進されるように必要な支援をしていきたいというふうに考えております。
  145. 岩永浩美

    岩永浩美君 共済組合の広域化並びに二段階を否定するものではありません。ただ、生産農家皆さん方と、業務効率化のみを推進することによって意見の食い違い、考え方のそごが出ないように、そういう指導を強く要請して、私の質問を終わります。
  146. 和田洋子

    ○和田洋子君 民主党・新緑風会の和田洋子でございます。  私は、農業災害補償制度が健全に機能して運営されていくためには、まず農家組合員の方々が喜んで加入していただくことが大変重要だというふうに考えて、そのことから主な質問をさせていただきます。  前の質問で麦の共済の試験的導入とか水稲共済、家畜共済、肉豚共済のことをいろいろお聞きしましたが、この主な改正点はどんなものか、そしてまた農家の皆さんに不利益というか掛金が上がっていくような心配はないかどうか、お尋ねをいたします。
  147. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) 今回予定しております制度改正でございますが、最近の農業をめぐる情勢の変化等を踏まえまして、大規模農家等意欲ある担い手の育成と農業経営の安定への要請にこたえるというような観点から制度的な手当てをしようというものでございます。  主な内容を申し上げますと、先ほど来もお話が出ておりますように、一つには麦共済における災害収入共済方式の試験的導入、それから水稲共済の共済金の支払い開始損害割合、いわゆる足切り割合でございますが、この特例的な引き下げ、二つ目には家畜共済におきます新たな事故除外方式の導入と肉豚共済の年間一括引受方式の試験的導入ということ、三つ目には蚕繭共済につきまして任意加入制、任意事業制に移行しますとともに畑作物共済に統合するということ、四つ目には家畜共済や園芸施設共済の責任分担につきまして見直しを図るということ、それからただいまお話もございましたように、農業共済事業につきまして二段階制の道を開くということ、六番目になりますが、農業共済基金の廃止とその業務の農林漁業信用基金への承継、こういったところが主な改正内容でございます。  それから、今回の改正農家にとって負担増になる点があるかどうかというお話がございました。  今回の改正でございますが、これは一つには平成九年六月に閣議決定されました行政改革観点からいたします農業共済基金の廃止とこの業務の適切な機関への承継に合わせまして、かねてから農業共済団体等から要望がありました事項につきまして、そのうち可能なものにつきまして改正を行うというものでございまして、掛金の国庫負担割合の見直しといったような農家負担を伴うものは含まれてはおりません。  ただ、先ほどもちょっとお話がございましたが、試験的に導入されます麦の災害収入共済方式につきましては、国庫負担割合は従来どおりでございますけれども、現在の引受方式よりもそのサービスといいますか補償内容が拡充されることに伴いまして、これに見合って共済掛金率が若干上昇する、そういった点はございますが、そういった点を除いて農家負担の増加につながるといったような内容はないところでございます。
  148. 和田洋子

    ○和田洋子君 今ほどのお答えの中にもありましたが、蚕繭共済が統合されて畑作物共済に入るということでございますが、我が国の養蚕業を取り巻く環境は大変厳しい状態です。でも、中山間地域では養蚕経営というのは重要な地位を占めています。そして、我が福島県の実情の中でも安達郡とか川俣町とか四百七十戸の農家が養蚕をされており、特に大規模で七トンとか四トンとかという農家もあるそうですが、福島県なんかは国の大体一〇%くらいを担っているということです。  そういうことからしても、養蚕農家が畑作物の共済に入ってそれが悪くなるということはないと思うんですけれども、そのためにしっかりとした施策とかそういうものをやって、養蚕農家が困らないようなことをきちんとしていただかなければいけないというふうに思いますが、そのことについてお答えをお願いします。
  149. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) 今回、蚕繭共済につきましては畑作物共済の中に統合するということを予定しているわけでございますが、今回の改正におきましては、現在の蚕繭共済の仕組みを基本的にそのまま維持いたしましても従来どおりの保険ニーズに対応することが可能である、そういう形で統合するものでございます。また、共済掛金とか共済金につきましても、現在と同様に蚕繭のみで算定されるということでございますので、農家負担いたします掛金とか共済金の支払いの面で不利益が特に生ずるということはないと考えております。
  150. 和田洋子

    ○和田洋子君 積極的に養蚕農家の経営安定に資するために災害補償制度をしっかり維持していくべきだと思いますので、よろしくお願いいたします。  大臣にお尋ねします。  農業共済事業において、蚕繭共済のほか農作物共済及び家畜共済の三共済が、一定の基準を満たす農家については当然に加入する当然加入とか、組合が行わなければいけない必須事業にされました。今回、このうち発足当時から組み込まれている蚕繭共済が任意加入、任意事業に移行するわけですが、農政改革プログラムで言われている農業災害補償制度の見直しによって、次回以降、制度の改正において今回に引き続いてほかの二共済もいろいろ移行するというような大きな何か目標があるんじゃないかなというふうに思いますが、いかがですか。
  151. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 共済制度というのは、あくまでもそれぞれの品目を生産することについての自然災害等における損失を補てんするための制度であるというのが大前提でございます。したがいまして、蚕繭共済を今回、畑作物共済に入れるということになった理由というのは、先生今御指摘のように、お蚕、生糸というのは我が国の伝統的な、代表的な農業といいましょうか農業生産活動であるにもかかわらず、養蚕農家が大変減少してきて、この共済制度の仕組みそのものがもたなくなるということになっては大変だということで、畑作物共済の方に統合したわけでございます。  したがいまして、そういう観点から、では他作物についてそのような前と同じような状況のものがあるかと現時点で検討してみましたならば、そういう状況のものは現時点ではないということで、現時点におきましてはこのような組み入れ、統合というようなことは考えておりません。
  152. 和田洋子

    ○和田洋子君 いろんな委員会においても、この委員会においても附帯決議ということが行われます。この問題について、平成五年の参議院の農林水産委員会の附帯決議の状況を読みながら、それに対する政府の対応がなされているかどうかをお尋ねしたいと思います。  まず、「共済掛金の国庫負担方式の合理化措置に対応し、農家負担が過重とならないよう、無事戻しの実施につき適切な指導を行うとともに、異常災害の折には国が積極的な支援を行うこと。」という附帯決議に対しまして、無事戻しの実施というのは適切な指導をしておられますか。
  153. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) いわゆる無事戻しにつきましては、現在、無事故あるいは低被害の農家に対しまして、原則として過去三カ年間の農家負担しました共済掛金の二分の一相当額について、これを限度としまして実施できるという仕組みになっているわけでございますが、私どもとしましては、平成五年の改正の際の附帯決議、お話のございました附帯決議等も踏まえまして、各般の会議の場等を活用いたしまして、この無事戻しの制度の適切な実施につきまして農業共済団体を指導してきているところでございます。
  154. 和田洋子

    ○和田洋子君 無事戻しというものはもう実際に行われているんですか。
  155. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) もちろん、先ほど申しましたような仕組みで実施されているわけでございまして、最近の実績数字を申し上げますと、例えば平成年度で、これは全事業を合計した数字でございますが、二百三十一億円が無事戻しの対象になっているというような状況でございます。
  156. 和田洋子

    ○和田洋子君 「加入率が低迷している果樹共済、畑作物共済、園芸施設共済については、組合等の加入促進の活発化等を通じて一層の加入促進が図られるよう所要の措置を講ずること。」というふうに言っているんですが、一層の加入促進が本当に図られているのでしょうか。そして、その効果は本当にあったのでしょうか、お尋ねします。
  157. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) お話しのように、果樹共済等につきましては確かに現状ではまだ加入率が低いわけでございますが、この加入促進を図りますために、私どもとしましても予算的な手当てもいたしまして、農業共済組合等の加入促進活動や被害防止のための巡回指導に要する費用について助成をいたしておりますとともに、各般の会議等の機会を活用いたしまして、共済団体に対する加入促進のための指導等を行っているところでございます。  それから、例えば果樹共済を例にとって申し上げますと、農家がより魅力を感じていただけるような、例えば災害収入共済方式につきましても、これは果樹共済では既に実施しております。こういった方式とか、あるいは共済の引き受けを特定のものに限定して引き受けをすることによりまして共済掛金が低くて済むような方式、そういった方式の普及とか推進に努めておるところでございます。また、被害の少ない農家には掛金も低くて済むというような危険段階別の共済掛金率の設定といったことも普及してきておるところでございます。こういったことによりまして、果樹共済の農家にとっての魅力を高めるという努力によりまして加入促進に努めているというのが現状でございます。
  158. 和田洋子

    ○和田洋子君 次に、組合等の広域の合併の推進ということで、さきの質問にもあったんですが、「画一的に指導することなく、地域の実情を反映させるとともに、組合員等の意見が十分反映される体制整備されるよう指導すること。」ということで、先ほどのお答えの中に、効果としては事務とかそういうものが軽減する、節約だ、また専門的に研究ができるとか資質が向上するとかというふうに言われておりますが、それはあくまでも事務的なことであって、地域でそれを享受される皆さんに果たしていいかどうかというのは、先ほども指摘をされましたけれども、組合員の皆さんの意見が十分に反映されているかどうかということが一番問題だと思いますが、その点についてもう一度明確にお答えをお願いします。
  159. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) 組合等の合併を推進していきますに当たりましては組合員等関係者の意向を十分踏まえる必要がある、これは当然のことでございまして、現在もこの広域合併につきましては、各都道府県知事が農業共済団体の役職員とか学識経験者等の関係者の意見を聞いて作成した地域再編整備計画に従って推進するように指導をしているところでございますし、またいろんな機会を通じまして組合員の意見を十分反映しながら推進されるようにということで指導をしているところでございます。
  160. 和田洋子

    ○和田洋子君 次に、会計検査院の決算検査というのがありまして、平成年度の決算報告で肉豚に係る家畜共済事業の運営について会計検査院法第三十六条に基づく改善の処置命令がされたと聞いていますが、その指摘の事項とか記載事項について、簡単でいいですけれども御報告をお願いします。
  161. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) 平成七年の肉豚共済に係る会計検査でございますが、細かい点はいろいろあったわけでございますけれども、主要な事項について申し上げますと、この肉豚共済の引受頭数が実態と乖離しているという指摘でございまして、これは養豚経営の規模拡大が急速に進んでおります中で飼養頭数の的確な把握がなかなか難しくなってきている、そういったことに原因があるので頭数の把握が容易となるような引受方法に見直すべきではないかと、そういった指摘であったわけでございます。
  162. 和田洋子

    ○和田洋子君 その指摘に対して農林省が処置要求事項にどういう是正措置をとられたか、お尋ねします。
  163. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) 平成七年の会計検査の指摘を受けまして、その同じ年の省令改正等によりまして、この肉豚共済につきましては、繁殖肥育の一貫経営の場合には離乳した日を同一とする子豚、同時に生まれた子豚を一群として共済の引き受けをする、そういう方式に改めるなど近年の肉豚の飼養実態を踏まえて改善措置を講じたところでございます。  さらに、今回予定をいたしております制度改正では、農業災害補償法改正いたしまして、規模拡大の一層進んでおります養豚農家の保険ニーズにも対応いたしまして、飼養管理簿等を活用いたしまして飼養頭数を的確に把握する、そういう新しい引受方式を導入いたしまして、特に大規模化の進んでいるような肉豚飼養農家が共済に入りやすいようにしようと、そういうことを考えているものでございます。
  164. 和田洋子

    ○和田洋子君 大規模な経営との関連ということで大臣にお尋ねします。  今回、改正案の提案の理由として、先ほどもお答えになりましたけれども、「大規模な経営等意欲ある担い手を育成し、農業経営の安定を図る観点から見直しを行い、」ということを提案理由の説明でも御説明をいただいていますけれども農業災害補償の目的は、農業者が不慮の事故によって受けることのある損失を補てんするということですから、それで大規模農家等意欲ある担い手のためだけの農業災害保険ではないというふうに思いますが、その点はどうなんでしょうか。
  165. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今回の改正は、最近の農業の変化に適切に対応するということで、これから御審議いただきます基本法の中でもいろいろと育成すべき農家とか担い手の育成とかいうことはございますが、提案理由でも申し上げましたように、今回の改正は大規模農家等意欲ある担い手の育成という観点から、例えば家畜共済についての新たな事故除外方式の導入あるいはまた肉豚共済についての農家単位の年間一括引き受けの試験的導入等を行っております。  しかし、これはあくまでも従来の仕組みの上に、大規模農家が非常に負担になって制度を利用しにくいということを改善するということでございまして、中小の方が厳しいということではなくて、全体の枠組みを変えずにその大規模の方の不便性を除去していこうということでございますので、決して小規模あるいは中山間等の農家を軽視したものではないというふうに御理解をいただきたいと思います。
  166. 和田洋子

    ○和田洋子君 農災制度というのは、大規模でない中小零細農家とか中山間地人たちが入ってそれで成り立っている制度だというふうに思うので、何もそんなに大規模とか意欲ある担い手とか、そういうことを言う必要はないのじゃないかなというふうに思ったものですから質問しました。どうぞ零細農家の皆さん、中山間地方々のためにもいい制度であるようにお願いをします。  次の質問に移ります。  今後の課題として、カナダのNISAやアメリカの収入保険制度といった制度の導入で農業者の関心は高いものがあります。私なんかは地元に帰っても収入保険制度というのはどうなんだろうかということをよく聞かれますけれども、そういうことの審議をされたことがありますか。
  167. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) 現在の我が国の農業災害補償制度というのは、当然のことながら農業災害の発生ということを前提にして、これを保険の手法によって農家の損失を補てんしていくという制度でございます。そういう災害の発生と関係なしに農家の収入の減少分を補てんするといういわゆる収入保険につきましては、現在、農政改革大綱のもとで進めております農政全体の見直し状況等も踏まえながら、その必要性が検討されていくものというふうに考えておるところでございます。
  168. 和田洋子

    ○和田洋子君 そういう議論がいつも見送られるというのは、結構、農家人たちは自分たちの経営安定のために収入保険がいいんじゃないかなと思っている人はたくさんおられると思うんですが、そういう議論もされている農林省がいつもいつも見送られているという理由は何なんでしょうか。
  169. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) 見送りというようなことではございませんで、今まさに進行中である農政全体の見直しの中で検討していくというものでございます。これは、価格政策の見直しとも密接に関連してまいりますし、現状でいいますと、品目別に価格制度があるわけでございますが、そういった制度の見直し等と並行して検討していくことになろうかと考えております。  ただ、現時点で申し上げますと、この収入保険といったような手法につきましてはいろいろ検討を要する点もあろうかと考えております。  例えば、保険の設計あるいは実際の事業実施の仕方といったようなことを考えましても、需給事情による価格低落をどういうふうに補てんしていくかということになろうかと思うわけでございます。通常の農業災害補償制度によります場合には、ある地域で発生した損害をほかの地域も含めた全国的なレベルで危険を分散して対応するというような仕組みになっているわけでございますが、例えば需給事情によって価格が低落するというような場合には、これは全国的に発生する現象でございまして、そういう発生した危険を地域的に分散するというような手法が通じにくい面があるのではないかといったような問題点がまず一つ考えられます。  それから、需給事情による価格の低落といったようなことは、自然災害とかあるいは事故などとは大分性格が違いまして、経験則に基づいております保険料率の設定になじむかどうかといったような問題も考えられるわけでございます。  それから、こういう収入保険といったような仕組みを導入しようといたしますと、農家ごとの収入を的確に把握する必要があるわけでございますが、農家はいろんな作物をつくっておりますし、いろんなものをいろんなルートで販売しているというようなことからいたしますと、農家の全体としての収入を的確に把握するということはこれはまた技術的にかなり難しい面もあろうかと思います。そういったもろもろの点をまず検討する必要がある、そういった印象を持っているところでございます。
  170. 和田洋子

    ○和田洋子君 終わります。
  171. 風間昶

    ○風間昶君 公明党の風間ですけれども、ちょっと前の和田委員の質問ともラップしますが、今回、麦共済に災害収入共済方式が試験導入されることになりました。言うまでもなく、北海道の地元では小麦がもう一大作付地帯になっているわけであります。とにかく、畑作物の中の輪作体系の中で大変重要な位置を占めているというのはもう御承知のとおりでありまして、てん菜、バレイショ、豆と合わせて基幹作物でありますから、いやが上にでも麦をつくらなきゃならないという状態になっておるのも事実でございます。  しかし、麦というのは、聞いてみると、余り手はかからないんだけれども、天候に物すごく左右されやすいということもあって、作況指数が米に比べて変動が著しいわけであります。この災害収入共済方式の試験導入は、要するに農家の強い要望もあったからだと思うんです。そしてまた、何よりも去年策定された新たな麦政策大綱の農業共済の拡充を図るということからも当然これが必要な措置としてされたんだと思います。  問題は、収量の減少あるいは品質低下に伴って共済保険金が支払われることになると、一方では農家の安心感は出るわけでありますけれども、今度は共済事故がふえるということになると共済組合の側の経営が逆に厳しくなるという、このバランスだと思うんです。  そうすると、その場合には共済金のまた値上げということもあるわけでありますから、先ほどの和田委員の質問ともラップしますけれども、このことによって収支の予測がどういうふうに、これは天候次第でありますからそう簡単には言えないかもしれませんけれども、認識としてどう思っているのか。引き続いて、農家が支払う掛金についてはその場合にはどうなっていくのかということの見通しを農水省としても持っていなきゃならないと思うんですけれども、そこをまず伺いたいと思います。
  172. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) 麦の災害収入共済方式でございますが、共済掛金率の設定等につきましては、これはほかの共済事業でも同じでございますけれども、収支の均衡ということを前提にいたしまして保険の設計をすることになるわけでございます。したがいまして、今後の共済組合の収支ということを考えました場合に、そう大きな影響が出るということはないのではないかというふうに考えております。  この新しい方式によります具体的な共済掛金の水準でございますが、現在、新しい方式に基づきます共済掛金率を算定いたしますための被害率調査実施している段階でございまして、現段階で申し上げる状況にないわけでございますが、一般論として申し上げますと、従来の収量の補てんだけではなくて、新しく品質の低下も補てんの対象にする、そういう意味でサービスの拡充になるわけでございまして、過去の被害の発生態様等によっても、地域によって違いは出てこようかと思いますが、現在の方式に比べますと掛金率は若干アップするのではないかというふうに考えております。
  173. 風間昶

    ○風間昶君 そこの若干が、要するに農家方々にとってみての若干なのか、農水省が計算しての若干なのか、ギャップがあるとこれはまた大変な問題になりますから、もうちょっとつまびらかにできる部分はしてもらいたいんです。
  174. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) 共済掛金率の算定につきましては、先ほども申し上げましたように、現在、主要な麦作県につきまして被害率の調査実施しているところでございます。この調査の結果を活用いたしまして共済掛金率の算定を行うということになるわけでございまして、現時点で具体的には申し上げられない点を御了解いただきたいと思います。
  175. 風間昶

    ○風間昶君 理解できる部分とそうでない部分があります。  そこで、災害収入共済方式を試験導入ということで、いつまで試験的にやっているのかということ、これもまた見通しはかなりきついと思いますけれども、では災害収入共済方式を定着させるための要件としてどんなものを想定されているのか、お述べいただきたいと思います。
  176. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) 麦につきましては、先ほど先生からもお話がございましたように、収穫時の降雨によって品質が低下しやすいといった特性を踏まえまして、今回、災害による収量の減少だけでなしに品質の低下に伴う収入の減少を補てんする方式を試験的に導入するということでございます。制度上は試験実施の期間を当分の間ということにしているわけでございますが、事業の安定的な実施のために、生産金額なり被害率等の各種データを十分集積、蓄積していく必要がございます。そういう期間として、現在のところ数年間程度考えているところでございます。  なお、今後における麦作経営の安定ということを考えますと、特に土地利用型作物の振興というような観点から、麦についての災害収入共済方式を定着させていくということは大変重要な課題であるというふうに考えております。農業共済団体等を通じまして、農家への周知徹底なり、この方式への参加につきまして十分に指導をしていきたいというふうに考えております。
  177. 風間昶

    ○風間昶君 具体的に要件は受けとめられなかったんですけれども、いずれにしてもここは団体との連携を外してはできないことでありますから、当分の間のことにつきましても、数年間といっても、なかなか何年度までやりますということは言えないかもしれませんが、ここは定着させるためにも被害率の調査をきちっとやった上でやらなければならないのではないかというふうに思います。  私は、単純に考えれば共済組合の安定経営というのも大きな要件一つになるのではないかと思います。そこで、衆議院で議論されて今度こちらへ回ってくる予定の新農業基本法の中にも、国内生産の向上、自給率の向上のために法文が加わったということでありますから、麦についてもできるだけ麦の再生産が図れるような形で農業共済の方からも支援していく必要があるのではないかと私は思うわけでありますが、この点についての認識を伺いたいと思います。
  178. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) 農業災害補償制度は、自然災害を中心とします農業災害による損失を保険の仕組みを使って補てんしていく、そのことによって農業の再生産を確保し農業経営の安定を図っていくということを目的にした制度でございます。これまでもたびたびの大災害等に適切に対応してきたところでございます。  そうした中で、麦につきましても、やや専門的な表現になりますが、これまで半相殺農家単位引受方式とか全相殺農家単位引受方式の導入、さらにはまたより実態に即した共済の引き受けということで、秋まき麦と春まき麦の類区分の導入ということを通じまして、麦作農家のニーズに応じて逐次、制度の改善充実を図ってきたところでございます。  これに加えて、今回、災害収入共済方式を導入するということで、先ほどからお話が出ておりますように、特に麦につきましては収穫期の降雨で大幅な品質の低下が起きやすい、そういった問題点に対応する措置としてこの方式を導入することを提示しているわけでございます。これによりまして、麦作経営の安定なり麦の再生産の確保に大きく寄与することになるのではないかというふうに考えております。
  179. 風間昶

    ○風間昶君 同じような答弁がこれで三回続いているわけですけれども、聞いていてそれ以上のものは出てこないのかなと思いました。いずれにしても、共済の方からの麦に対しての支援をどうするかということを伺ったわけですけれども、結論的には農家方々にとって麦の生産性向上のために国としてどういう指導性を持ってやってくれるのかということになるのではないかと思います。  話が若干横道にそれますけれども、きのう麦の生産費調査が出されました。これは新たな麦政策大綱、今後の麦の価格決定に大きな影響を与えることになるわけでありますけれども、今回、データ的には、全算入生産費は前年比一・二%減の十アールで六万一千八百九十七円、さらに収益性でいえば十アール当たりの所得は一万八千三百四十五円。ですから、十ヘクタールつくっても百八十万円にしかならないということで、そういう意味では生産者の方々は今回の価格についても十分な満足感を持っていないのも事実であります。  だからこそ、麦の国内生産について政府としてどう取り組んでいくかということが問われていくわけであります。毎回毎回、価格決定のときだけ、国としてこうやります、ああやりますという、いわばビジョンまではいかないけれども希望的なことを言って済んでしまっているような形では、私は、麦だけじゃなくて国内の農業をしっかりと支えていくためにも、そこはやっぱりある程度安心感を与えるような政府の取り組みという姿勢が出されてこないと、いつまでたっても不安感というか、将来的な展望がないままでやっていかざるを得ないとなると当然縮小してくるわけです。代々農水大臣がかわるけれども、言っていることは非常に希望があるようだけれども希望がない、実効性があるようだけれども実効性がない。実効性が全然ないというふうには言わないけれども。  だから、今の中川大臣のときにどうやっていくのかということが、二十一世紀にあなたが名前を残すか残さないかということで問われているわけで、そういう意味で大臣として麦の国内生産の向上についてどう取り組んでいかれるのかということをまず伺いたいと思います。
  180. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 先生指摘のように、麦というのは本当に米と並んで日本の主要作物の一つであり、しかもこれから御議論いただく新しい食料・農業・農村基本法の衆議院の議論のときでも、昭和三十六年当時よりも自給率がどんどん下がってきておるという状況、一方ではこれはつくらなければいけない作物だと言いながら、いろいろな状況の中で自給率がもう今や一けた台という状況を何とかしなければならないということで、基本法のお話は余りここですべきではないわけでございますけれども、その自給率を上げる上でも、また国内の位置づけとしても麦は非常に重要な作目であるわけであります。そしてまた、先生指摘のとおり、我々は北海道ですから、主産地の一つとして、例えば冬の気温あるいは雪の降り方、さらには収穫時の雨の状況、一晩で品質ががらっと変わってしまうという大変デリケートな作物であるわけであります。  しかし、事麦に関してだけ申し上げましても、麦の国内での生産をもっとふやしていかなければならないという強い意志を我々も持っておるわけでございまず。収入保険の面からという御質問が先ほどございましたが、そういう意味でも品質を勘案した形の新しい制度を今度導入しようということで御審議をいただいておるわけでございますし、先ほどは技術会議の方から、新品種のことについて今一生懸命やっている最中だという話もございました。また、実需者ニーズにこたえられるような、例えば日本めん用とか、そういうような麦を、実需者あるいは消費者の方も含めて国産を使っていこうというような意識というものも大事でありましょうし、また御指摘がありました、きょう米価審議会で御審議いただいております新しい経営安定対策の麦版でございます民間流通を主体としたやり方というものも、いいものをつくれば今よりももっと収入があるんですよという方向に持っていくためのインセンティブとしてのことしの麦価並びに関連対策の決定であるわけでございますので、来年以降の新制度にうまくいけるように今審議をしていただいている最中だと思います。  そういう意味で、我々はもとよりでございますけれども、生産者ともども、麦というものの国内生産の位置づけというものをさらに高めていくということがいろいろな意味で極めて重要だというふうに私自身も痛感しておりますので、そういう意味で、今幾つか申し上げましたが、この保険の麦についての改正というものもその一環として位置づけておるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  181. 風間昶

    ○風間昶君 共済組合の広域合併については先ほども議論がありました。いずれにしても、昭和四十年には三千七百七組合、現在では五百四十五、七分の一程度に減少しているけれども職員の方については、昭和四十年の二万二千五十名から現在一万六百四十四名と半分にしかなっていない。この間、コンピューターが導入されて相当機械化が進んできているにもかかわらず、職員の数についてはもう少し削減できたのではないかというふうに私は思っているわけであります。  人件費が増大しているということは、即やはり最終的に農家負担増になってはね返ってくるわけでありますから、適正な人件費に抑えるということが一方では大事な視点になるわけでありますけれども、この点について農水省として、上から押さえつけるという意味ではなくて、どういう指導性を持っていくのかということが問われていると思いますが、方針があったら伺いたい。
  182. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) 農業共済組合等におきます職員人件費でございますが、最近の実績を見てみますと、人件費率でございますが、平成八年で六〇%、平成九年で五九%、平成十年で五九%ということで、ちょっとお話がございましたようにふえているという実態はございません。  それから、組合数と職員数のお話がございました。  組合数につきましては、平成二年から平成十年を比較いたしてみますと四一%の減少、これは関係者が広域合併の推進に向けて大変努力をしてきた結果であろうというふうに考えております。  一方、職員数でございますが、これも平成二年と十年を比べてみますと、二三%の減少ということでかなりな減少になっているわけでございます。もちろん、お話もございましたように、組合数の減少に比べて職員数の減少が小さいじゃないかという見方もできないわけではないと思いますが、職員数につきましても、今申しましたように二三%の減少ということで、賃金節減の努力もしてきているということでございます。  これにもある程度限界もございまして、共済組合といたしましては、組合員のニーズに十分こたえて適正、円滑な事業運営を確保してまいりますためには、従来からもやっておりますような損害防止活動とかあるいは家畜の診療業務等、そういった農家へのサービスもおろそかにするわけにはまいらないわけでございます。そういった観点から、一定職員数は必要になってくるということで御理解をいただきたいと思います。  ただ、今後とも共済組合の効率的な運営に努める必要があるということは当然のことでございまして、地域の実情等に応じて合理化効率化に努めるように十分指導していきたいというふうに考えております。
  183. 風間昶

    ○風間昶君 終わります。
  184. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 日本共産党の大沢でございます。  今回の法改正案は、御存じのように、生産者の要望を反映した前進面もありますけれども、やはりメリットを受ける地域、対象者は限定されていると思うんです。だから、農家の皆さんの共済制度に対する改善要求に十分こたえるものではないと私は思っています。  そういう点で、数点質問させていただきたいと思うんですが、特に昨年の台風で被害を受けた兵庫県の農家の方はこう言っています。自分は農業を四十年やってきたけれども、今まで共済は受けたことがない、今回だけは助けてほしいと。芽の出た稲穂を私は突きつけられたんですけれども、結果的には補償されませんでした。  水稲の一筆方式の足切り割合の改善について、衆議院の審議の中では、日本共産党の中林議員に対して経済局長は、現在の制度上、三割ということで被災した農家に対しましては十分対応できているものと考えていると答弁をされています。でも、これも兵庫県の農業委員会の方とのお話し合いの中ではっきり述べておられますけれども、今、圃場整備は本当に進んでいて、一筆大体三反、四反というところがふえている中で三割足切りは現実的ではないと述べていますが、これで本当に十分に対応できていると言えますか。まずお聞きします。
  185. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) 水稲共済の足切り割合は、一筆方式の場合に三割ということで、逆に申しますと、全損が発生しました場合には七割補てんされるという仕組みでございますが、これは保険の理論に基づきまして設計されているものでございまして、被災された農家への補償としては十分に対応できているものというふうに考えております。
  186. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 実態はそうなっていないということを言っているわけですけれども、本当に農家の皆さんの期待にこたえていくために、北陸の改善は私は評価したいと思います。でも、これから全国的に選択制も含めて引き下げについて真剣に検討に入っていただきたいと私は思いますけれども大臣、この点についていかがですか。
  187. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今回の北陸四県の引き下げのやり方を変えるというのは、長年のデータに基づいてやっているわけでございまして、そういう意味ではもちろん足切りを小さくするということのメリットがコストとの関係でいいということは平年作においてはあるわけでありますけれども、長い間の統計といいましょうか、データを積み上げたときには、じゃ万が一のときにはどうなるんだということにもなるわけでございます。  そういう意味で、今回は過去のデータというものを前提にした計算方法によってこの四県についてこういう措置をとったところであります。
  188. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 今後の課題として、やはり農家の皆さんの意見を聞いていただいて、圃場整備が進んだ中で本当に現実的な三割足切りというのははっきりしているということをおっしゃっているわけですから、この辺については今後の課題としてお願いしたいと思います。  次に、国庫負担問題についてお聞きしたいと思います。  今、共済掛金に対する国庫負担額は一九八五年で一千六億四千四百万円だったわけですけれども、九七年では八百十五億八千二百万円になっています。この間、十数年ですけれども、確かに農家戸数の減少もありますけれども、国庫負担は一八%も落ちているわけです。これが現状なわけです。  そういう状態の中で、農水省の自民党農業基本政策小委員会への提出資料にこういうふうに書いてあります。農業災害制度の見直しについて、今後の方向として、意欲ある担い手の育成、農業経営の安定機能の強化などにあわせて、当然加入基準や共済掛金、事務費に係る国庫負担見直しを検討するとしていますけれども、これは農家規模によって今後、掛金への国庫負担率に差を設けようという考え方なんですか。お尋ねします。
  189. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) 共済掛金の国庫負担割合でございますが、例えば水稲共済だと五〇%というふうに農業災害補償法におきましてはっきり規定されているところでもございまして、その見直しがなされない限り農家の共済掛金負担割合が上下する、変化するということはあり得ないわけでございます。  一方、お話ございました共済掛金国庫負担予算額でございますが、これは各共済事業ごとの、例えば農家数とか引き受け見込み面積とか、そういった引き受け見込みを基礎にして算定しております。予算額が減ってきているではないかという御指摘がございましたが、予算額が年々減少しておりますのは農家数の減少とか、あるいは引受面積の減少とか、そういった引き受け見込みが減少していることを反映しているものでございます。  いずれにしましても、共済掛金の国庫負担割合というのは、これは農家規模が大であれ小であれ全く同じでございまして、農家によって差があるものではないということに御理解をいただきたいと思います。
  190. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 規模によって差はないということではっきり答弁されたわけで、そうでなければならないわけですけれども、あなたたちが出した資料にこういうふうに書いてあるわけです。今述べましたけれども、意欲ある担い手の育成、農業経営の安定機能の強化等にあわせて、掛金、事務費に係る国庫負担見直しを検討すると書いてあるわけですから、そこを私は心配しているわけです。  だから、意欲ある担い手、つまり経営規模の大きい専業的な農家に対しては国庫負担率を高くする一方で、それ以外の農家には国庫負担率をさらに削減するという受けとめ方をされても仕方がないようなあなたたちの書類なんです。だから、本当に今後の方向としては今答弁されたように差をつけてはならないと思います。もう一度確認したいと思うんです。
  191. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) 今後、農政改革を進めてまいります上で、意欲ある担い手の育成といったようなことは重要な課題でありますが、先ほども申し上げましたように、農業共済におきます共済掛金の負担割合につきまして、農家規模の大小で分けて設定するというようなことは考えておりません。
  192. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 その点については確認をしたいと思います。大臣、本当に将来的に、今こういうふうに自民党の委員会に出しているような内容があってはならないんですけれども、本当に選別を農家規模に持ち込むということは絶対許せないということはもう一度指摘したいんです。  農災制度に関する委託研究報告というのがございますね。その中で、農業経営と共済組合の現場から見た農業災害補償制度の改善の方向というので、研究事例が行われています。これは果樹共済の研究事例ですけれども、これを見ると、やはり加入戸数と加入面積の減少は共済掛金の上昇と連動している、当たり前のことですが、このことは共済加入率の変化を左右する最も直接的な要因である、近年は特に経営規模の小さい農家でその傾向が顕著になっていると指摘しています。  だから、私は、国庫負担率の低下ということがもし起これば、農家の掛金負担の増大を招きますし、結局、中小零細規模農家人たちは共済に一層加入しにくくなると思うんです。ですから、共済制度の趣旨からいっても、農家規模で差別、選別することはあってはならないし、そぐわない。だから、農水省の出している文書の方向はあってはならないと思うんですが、大臣はこの文書を御存じだと思いますけれども大臣のそういう差をつけないという確認をしたいと思うんですが、いかがですか。
  193. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 意欲ある担い手の育成というのは私は農政の基本だと思っております。一方、共済制度の運営に当たって、規模でもって差をつけるということは考えておりません。
  194. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 そのことについては本当に守っていただきたいと思います。  農水省、事務費の国庫負担金についても定額制を見直し削減する方向を打ち出していますけれども、今でも大変な農家負担ですから、国の財政負担削減する動きには強く反対して、次の質問に移りたいと思います。  組織についてなんですけれども、二段階制の導入について、先ほども質問ございましたけれども、今回の改正案は広域合併の進展で一県一組合になることを想定しています。その場合、連合会を廃止して組合等が直接国に再保険できるようにするものであると。NOSAI団体は現行の三段階制での事業継続の方針を打ち出していますけれども、にもかかわらず、なぜ今二段階制の導入を図られるのですか。まずお尋ねします。
  195. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) 今回、二段階制に道を開くということを考えているわけでございますが、これは組合等の広域化が進展いたします中で、現に一部の県におきまして、県下全域を事業区域とする一つ農業共済組合をつくっていこう、その上で国との間で直接、保険関係を結んで事業の一層の効率化とか安定化を図っていこうというような動きが出てきておるわけでございます。そういう動きにこたえまして、そういう形が現在の法律制度の上ではできないものですから、こういう形が実現できるように道を開こうというものでございます。  そのための法的手当てをするということでございまして、実際に二段階制に移行するかどうかということは、これは地域の関係者、地域の実情等によりまして実施されるものでございます。一律的にこれを全国的に推進するとか、そういった性格のものでは必ずしもないというふうに考えております。
  196. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 希望する県があるということをお聞きしたわけですけれども、今相当数出ているわけですか。
  197. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) 今現実に、具体的にそういう二段階制を目指そうとしている県は一県でございます。
  198. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 その県はどちらでしょうか。
  199. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) 熊本県でございます。
  200. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 熊本県ということですけれども、熊本県も組合数が今十三、それから農作物共済の引受戸数が六万五千三十六、他の県と比べても共済資源が少ないとは言えないと私は思うんです。  だから、共済資源の減少した組合への対応という説明もあるわけですけれども、今、全国農業共済協会はこの二段階制について、組織効率化を図るためだけで二段階制への移行を進めるべきではないという見解をまとめています、中間取りまとめですけれども。慎重な討議をお願いしたいということですが、一つには再保険を含む危険分散のあり方、二つには評価機能の低下の防止、三つには組織運営と自治体運営の財政的・機能的統合調整などの問題点を指摘しています。私はこれは当然の指摘だと思います。  農水省が上から二段階制への移行を指導したり誘導することなど、農業共済組合の主人公である農家組合員の意向を無視して合併や組織再編が強制されることがあってはならないと思いますが、その点については十分に対応していただきたいと思います。その点はいかがですか。
  201. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) 今の共済協会の資料というのはちょっと今手元にはございませんが、そこにございますように効率化だけで進めてはならないとかいうことであろうかと思います。各般の事情を勘案して推進されるべきものということではないかと思います。  今回予定しております改正でございますが、先ほども申しましたように、あくまでも現行の三段階制を基本にしながら、同時に条件の整ったところ、あるいはそういう意向のあるところにつきましては二段階制への道を開こうというものでございまして、あくまでも地域の意向なり実情なりに応じて推進されるべきものであって、一律的に強制したりする性格のものではないというふうに考えております。
  202. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 その点は、厳に守っていただきたいと思います。  農業災害補償制度というのは、もちろん共済組合それから連合会、国という形で危険を分散して今日まで安定を図ってきた制度だと思うんです。ですから、こういう三段階制の保険的な手法というのは本当にいい制度だと思うんです。だけれども、従来の組合と連合会の責任分担をあわせて負うことになりますと、この二段階制というのは危険分散の点で問題が発生するのではないかと思いますが、その点については危惧はありませんか。
  203. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) 危険の分散機能でございますが、現状の三段階制では、単位組合から県連合会へ、県連合会から国へという形で広域的に危険を分散していく仕組みでございます。二段階制ということになりますと、この単位組合と連合会の分が一緒になるということでございまして、危険分散という面では、地域から県段階、県段階から国段階ということで、両者において違いはないというふうに考えております。
  204. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 三段階制というのは、重ねて申し上げますけれども、やっぱり危険分散をどうするかということでこういう形をとってきたと思うんですね。だから、効率性だけで判断すべきじゃないということをもう一度指摘したいと思うんです。本当に、大規模な災害が発生したり災害が続いた場合の組合の過重負担で支払いに支障を来す事態も全く否定できないと私は思います。  農水省の説明でいけば、二段階を希望する可能性があるところは、加入者の減少等で三段階ではやっていけない組合であり、財政的にも厳しいはずのところだと私は思うんです。だから、三段階から二段階になって大変な場合は国が責任を持って対応すべきであるということを指摘したいと私は思いますが、最後に大臣にそのことだけ確認をして、終わりたいと思います。
  205. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 三段階制から二段階制への移行というのは、先ほども局長から答弁がありましたように、決して強制するものではありません。それから、効率性だけではありませんけれども、いろいろな、できるだけ掛金と支払いとの関係以外の経費というものもスリム化していくことはやはりメリットのあることであろうというふうに考えております。  一方、危険分散というお話をされましたが、冒頭、私が申し上げたように、平成五年のときの米の四千五百億円ほどの支払いについては特例措置まで講じてやっておるわけでありますから、仮にどんな災害が起ころうとも、生産者を守りこの制度を守っていくということが大前提にあるということを御理解いただきたいと思います。
  206. 谷本巍

    ○谷本巍君 初めに、当然加入制の問題について伺いたいと存じます。  今回の改正では、蚕繭共済は当然加入をやめて畑作共済へ統合するということであります。米の当然加入は維持していくということでありますけれども、規制緩和の時代に当然加入の維持というのは疑問がありますという声もあります。  では、これは当然加入をやめたらどうなるのか。東北あたりで申し上げますというと、昔は半数残るだろうとか減っても四割ぐらいはなという話があったが、このごろは三人に二人はやめますねという話が多くなってまいりました。これは掛金の二分の一を国が負担している、そして先ほどのお話にもありましたように無事戻しもやっている、なのに、自由化したら脱退者が七割という状況というのはこの制度の危機なのじゃないかと私は思うんですが、どんなふうに局長は踏まえておられるでしょうか。
  207. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) 農業災害補償制度につきましては、先生からもお話がございましたように、掛金についておおむね半分、国庫負担をしている、それからそれぞれの共済事業につきまして随時、農家や関係者の御意向を酌んだ制度改善をしてきているということで、制度の改善も進めてまいりまして農家のために大変使いやすい制度になってきているというふうに考えております。  例えば、水稲共済でございますが、当然加入制になっているわけでございますが、これをやめた場合にどの程度になるか。これはちょっと推測の限りではございませんが、現在の共済制度がそれぞれの作物分野について大きな役割を果たしているということは事実であろうと考えております。
  208. 谷本巍

    ○谷本巍君 米の場合で例を申し上げましたけれども、他作物にも似たようなことはあるんですけれども、大体、米の場合でも収量が安定してきている、これは一つありますね。それから、米でいいますというと、所得に占める米代の収入の低下、相対的低下、この状況がありますが、もっと大きな問題は連帯意識の低下です。戦後この制度をつくるとき、どれだけ連帯意識の問題というのが論議になったか。これを基礎にして共済制度というのはでき上がってきたという歴史的な経過がありました。市場原理の徹底ということになっていきますというと、人と人との関係がずたずたにされていく、連帯の関係というのが解体状況に陥っていくというのが特徴であります。  だが、私はまだそういう連帯感というのは農村に残っているなというふうに最近発見した一つの事実を申し上げますというと、稲作経営安定対策の問題でありました。全国共補償とのリンクの論理が果たして通用するかどうか、多分通用しないだろうと私は思ったところが、事実は、結果はそうではなかった、やっぱり連帯意識が残っていたなというのが私の実感であります。  さてそれで、今度は基本法農政がどういう地域農業づくりをやるか。市場原理の導入で人と人との関係をずたずたにしていくような格好でいくのか、それとも日本型地域社会の持っている相互補助的なものをうまく活用しながらやっていくか、それでもって共済の行き方というのが私は決まっていくだろうと思うんです。この点はどうお考えになっておりましょうか。
  209. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 先生指摘のように、やはり農業というのは地域あるいは集落というものが中心になって、中心というか、そこでの連帯意識というものがやはり必要であろうと私も考えております。現実に水管理一つとっても、ばらばらであったらこれは全体がおかしくなるわけでございますし、また意識的に、経済的にはっきりあらわれないものも含めて、やはり自然、生き物をつくっていく。そのために共同すべきところは共同していく、あるいは共通の意識を持っていくということは大事でございます。  したがいまして、御審議いただく基本法の中にも地域の特性を生かしとか、あるいは地方自治体の責務とか、そういうものに配慮をした、そしてまた市場原理のことがございましたけれども、あくまでもこれは農業者自身あるいは集落やそれぞれの集合体を前提としたものであって、決して破壊をすることを目的としたり予測したりしているものではないと考えております。
  210. 谷本巍

    ○谷本巍君 市場原理が徹底してくれば、共済は崩壊して保険制度になっていけばいいんですよ。アメリカがそうだ。  そこで、収入補償に向けた制度づくりについて若干伺いたいと存じます。  米で申し上げますというと、昔は食糧管理制度がありまして価格が保証されておりました。安定しておりました。したがって、共済は災害減収補償があれば経営は安定するという状況にありました。他作物もほぼ似たような状況にありました。しかし、今は状況がすっかり変わってきました。それは自由化が進んだこと、市場原理が徹底され出してきたこと、そしてそのために価格は不安定な状況になってきたということであります。しかも、牛乳のように加工乳を一定程度政府が支えて牛乳全体の価格安定をしていこうというようなものであっても、例えば冷夏の年になりますというと消費ががくんと落ちる、生産量は逆にふえる、かくして価格は低落していくというような状況が生まれてまいります。これは農家の生産調整努力だけでは解決しないという問題を含んでいるということであります。  ところで、米の経営安定対策をつくるとき、食糧庁長官は記者会見で次のように言っております。いずれは収入保険のような形で共済制度との関連も考えていかないといけませんねと、こういうぐあいに述べております。ということは、経営安定対策というのは言うならば暫定的性格を持ったものとしてスタートをしているわけであります。  そして、そんな状況の中で、衆議院の論議を見てみますというと、意外と収入保険制度を採用すべきだという声が多かったようであります。私はこれについては反対、賛成ではありませんが、ともかく何らかの形のものをつくっていかなきゃならぬという状況になってきております。その点どうお考えになっておるでしょうか。
  211. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) 価格政策の見直しに伴う経営安定対策につきましては、また官房長の方から必要に応じて御説明いただこうかと思いますが、収入保険制度につきましては、農業共済とのかかわりで御議論をいただいているわけでございますが、現在の農業災害補償制度というのは、あくまでも災害の発生ということを前提として、その損害を補てんするという制度でございます。  これに対しまして、災害の発生と関係なしに収入の減少分を補てんするというような収入保険制度につきましては、今後の農政全体の見直しの中で検討していきたいと考えておるわけでございますが、いろいろ問題点もございまして、保険の設計なり事業実施上ということから考えましても、今後なお検討を要する点がいろいろあるというふうに考えております。
  212. 谷本巍

    ○谷本巍君 次に、大臣に伺いたいのであります。  通常、保険というのは、わずかな掛金で万一の大損のときに大きな補てんをしてもらうというのが保険についてのいわば世間の常識であります。では、農業の場合にこれをやったらどうなるのか。私はこの点は全く素人でありますけれども、たびたびの大損が生ずるわけです、大きな農家であればあるほど。そうすると、莫大な掛金をかけなきゃしようがない、それが嫌であればもらうときのものを少なくするしかないんです。これが私は保険制度の宿命だろうと思うんです。農災法の前の改正のときに収入保険制度の論議があった、その論議の中で出てきた論議はそういうものでした。だから、収入保険なんといったってこれはやりようがないなと。しかも、災害は地域的であるが収入が低下するときには大体全国一律に落ちてしまいますから、そういう意味でもやりようがないなというような議論があったわけであります。  しかし、先ほども申し上げましたように、状況がすっかり変わりました。そして、今、多くの農家の間で、例えば今の稲作経営安定対策の問題を一つの前提としますというと、二、三年続けて価格が下がったときには補償基準まで下がっていって、再生産加工というのが不可能な状況になっていきはしないのかといったような声が多くなってきました。それからまた、牛乳の場合について言いますと、再生産加工が困難な状況になってきたときには今度は南北戦争が始まってしまう、これはえらいことになっていくぞといったような声等々が少なくありません。  したがって、私は、収入保険制度のあり方についての論議、検討というのはそれはそれなりにやっていく必要があると思いますが、例えばカナダでやっているNISA積立制度、これの場合でしたら、経営全体の所得を対象にして過去五年平均より下がったら補てんをするという性格のものであります。そして、その財源は、農家の側とそれからまた政府、自治体でもって折半をするような格好でもってやっているという話も伺ったことがございました。そうした制度等々も含めて、とにかく想定し得るものを一定程度出しながら、やっぱり当面大いに議論をしていくということが大事になってきていると思うんです。この点、大臣、いかがでしょうか。
  213. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 共済にしても保険にしても、とにかく事故要因が発生した段階で日ごろお金を出している人がその損害に対しての一定割合をカバーするということですから、まずみんなで参加をするということが大前提になるわけであります。そういう意味で、まず大前提が幾つかあって、そしてその事故発生率等々をきちっとある程度予測できる、また専門家の計算でそういうものをつくっていかなければならないというわけでございます。  したがって、私の地元の例なんかですと、自分はここ数年いい状態だからいいやと入っていなかったら、突然、入っていればよかったなんというような話をたまに聞くことがございますけれども、入っていると何年もそう悪い状態じゃなくて高いものを払って負担が多いなんという話を逆に聞いたり、その辺がやはり特に農業の場合には自然相手、生き物相手ということの難しさだろうと思います。  そういう観点から、共済というものをずっと長い歴史の中で何回も改正しながら、少しでも生産者の皆さんによりお役に立てるようにということで今回も御審議をいただいておるわけでありますが、いわゆる保険、特に収入保険の議論につきましては、先ほど経済局長答弁いたしました。時間の関係で繰り返しになりますから申し上げませんが、その計算をする上での前提条件が自然相手であるということ、あるいは需給と価格との関係等々から、いわゆるカナダ型の収入保険というのはなかなか予測が難しい、保険として成り立ち得るのかどうかということに対しての見通しが立たないというふうに言わざるを得ないと思います。
  214. 谷本巍

    ○谷本巍君 最後に伺いたいと存じますのは、先ほども出ておりましたが、広域合併のことについてであります。  共済組合の広域合併とともに、一県で一つ規模となった共済組合に連合会の権利義務を継承するというような法律改正が今度は行われるわけであります。組織二段の方向を共済の場合も出したということでありますが、これは強力に推進していくという考えに立って出されたのかどうか。  農協の場合で見ても、組織二段、必ずしも成功しておりません。一時期は、銀行も大型合併の時代だ、なぜ信用事業だけ三段階なのかと熱に浮かされたような議論がありましたよ。とにかくやろうというようなことで熱に浮かされたような荒っぽい議論をしてやってみた。今どんな状況になっていますか。非常に多いのは職員の問題でもう四苦八苦していますよ。もっと落ちついた議論をやればよかったなという議論がやっぱりありますよ、農協の場合で見まして。その点、共済の場合にうまくいくというふうな前提でこれをお決めになっているのかどうか、それから強力に推進しようとしているのかどうか、この点について最後に伺っておきたいと存じます。
  215. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) 農業共済組合の広域合併でございますが、これは農業生産構造の変化あるいは農業共済資源の変化といった事情を踏まえまして、共済組合が将来にわたりまして安定的、効率的に事業実施し得るための事業基盤あるいは事業実施体制をきちんと確保していく、そういう観点から進めているところでございます。  現在、平成十二年度を目標にして推進しているところでございますが、もちろん何が何でもがむしゃらに推進していくというようなことではございませんで、先生も御指摘いただきましたような地域の実情を十分踏まえながら推進していくべきものと考えております。  特に、広域合併が進みますと、組合と組合員との間が疎遠になるというような指摘もしばしばされるところでございます。そういった問題も生じないように、必要に応じて支所等を活用する、あるいは現に活動していただいております共済連絡員を十分活用していくとか、いろいろ工夫を凝らしましてそういった問題に対応していきたいというふうに考えております。
  216. 谷本巍

    ○谷本巍君 ありがとうございました。終わります。
  217. 阿曽田清

    阿曽田清君 引き続きまして、同じような質問になりますが、三段階を基本に置きつつ二段階の道を開くという、今御質問がありましたように積極的に進めていこうとしているのか、それともどうでもいいですよ、やりたいところは二段階制をやっていっても結構ですよと、そういう国としては傍観的立場にしか私には感じられません。    〔委員長退席、理事三浦一水君着席〕  広域共済組合になった折にはいわゆる合併助成金までつけて合併を進めてきた、今回はそういう姿が全く見られない。私は、むしろいまだまだ各県においては未合併の組合が残されておる中で二段階制が打ち出された理由は、一体本音のところはどこなのか、それからお尋ねいたします。
  218. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) まず、広域合併でございますが、これは農家の保険ニーズの実態等にも十分対応しながら地域の実情に応じました事業運営をこれまで以上にきめ細かく推進していく、そういった観点から共済組合の広域化を推進することによりまして、組合が将来にわたりまして安定的、効率的に事業実施できるような事業基盤なり体制整備していくというものでございます。もちろん、地域によりまして進んでいるところ進んでいないところ、うまくいっているところいろいろ問題が生じているところ、そういうことはあろうかと思いますが、全体としての推進考え方は今申し上げたとおりでございます。  二段階制につきましては、これは広域合併の推進とはやや趣が異なりまして、これを一律に全国的に推進していこうということでは必ずしもございません。先ほど来申し上げておりますように、そういう条件ができているところ、地域の意向なり実情なりから二段階制に移行したいというところにつきましては、現在の制度ではそれができないものですから、そういう道が開かれるように法的な手当てを今回講じよう、そういう趣旨でございます。    〔理事三浦一水君退席、委員長着席〕
  219. 阿曽田清

    阿曽田清君 実際、それぞれの連合会の実態からしますと、もちろん単位の組合もそうですけれども、運営費が国からの補助金に頼っている、そして組合自身の運営費のいわゆる利息の収入減によって経営的になかなか厳しくなってきておるというところから、ある意味ではいわゆる県一本になった方がいい、ならざるを得ないんじゃなかろうかなというムードがあるのも事実なんです。  むしろ、私はその中で一つ問題にしておりますのは、国からの補助金の配分です。これは事業量に応じた配分をすべきではないか。規模点数一点当たり受け取る補助金が全国それぞれ格差が大きくあります。今回の改正において事業量に応じた予算配分と職員定数の標準化をむしろ明確にすべきじゃないかなという点でありますが、その点どうですか。
  220. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) 農業共済団体に対します事務費の国庫負担金の配分の問題でございますが、これにつきましては、従来からもさまざまな要素を考慮して実施してきております。  大きく申し上げますと、一定額を配分する固定費用割、それから組合員数……
  221. 阿曽田清

    阿曽田清君 それはわかっています。
  222. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) はい。事業点数の規模に応じて配分するような事業規模部分、そういった要素があるわけでございますが、そのウエートのかけ方につきましては、先生ただいま御指摘ございましたように、組合等の経営の健全性とか安定性とかも配慮しながら、組合員数とか事業規模等を重視した配分をしてきているところでございます。
  223. 阿曽田清

    阿曽田清君 そういう予算配分の問題、それはやっぱり職員定数に応じて標準化していくことが私は現時点では必要じゃないかなと思いますと同時に、二段階制を進めていくなら進めていくで、これはそういう方向が望ましいのだという出し方をきちんとすべきだと思うんです。  その場合に、今までの県連の一つ役割の中で保険のいわゆる引受率を、大災害があったときは今まで県連で引き受けた部分はより多く国が引き受けるというようなことを出すとか、あるいは削減規定がありますね、県連なり組合に対して。いわゆる百四十五条の削減規定、この削減規定そのものをなくして、これは組合がちゃんと負担できるから二段階制に持っていくのだよというようなことを出していかないと、私は生産者の方々が二段階になることに対してもろ手で賛同はしないんじゃなかろうかと思いますが、いかがですか。
  224. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) まず、農業共済事業を二段階制で実施する場合の責任分担の問題でございますが、いろいろ考え方はあろうかと思いますけれども、三段階制で行っております大部分の現状の組合等の公平性というようなことを考えました場合に、基本的に、三段階制のもとでの組合の共済責任部分と連合会の保険責任部分、これを合わせたものを二段階制のもとでの組合の保有責任部分とするのが素直な考え方ではないかというふうに考えております。
  225. 阿曽田清

    阿曽田清君 それはあくまでも組合と県連の方が一緒になってすべて今までどおり背負っていきなさいというやり方だから、むしろ合併を進める以上は、そういう負担部分についても国が県連の一部を受け持ちますよと、そして今まで国が全額、災害があった場合に見ておったものを、県連なり単共は削減規定の中でカットしてでも出していたわけですけれども、そういうこともありませんよと、そういうようなことを今回打ち出していくということが農業者から共済制度への信頼感が高まっていく、私はそのように思います。  あと一分しかありませんので、実はこういう県連が大きくなったときに掛金率が上がるということをここで説明して、そうはしないよということの御回答をいただきたいと思います。  管内の農協で災害収入保険方式で加入しているかんきつの保険を今実行いたしておりますが、たまたま隣の市と隣の町がともに同じように災害収入保険に加わっていただきました。当時、管内でスタートしておりました掛金率が四・八だった。両町が一緒に加わってきたら、加わってきた時点で六・一に上がった。これは国が算定して出して掛金率が上がったんです。そうしますと、今度県一本になりますと、先に進めておったその地域では掛金率が正当だったのが、県一円になったら主要産地じゃないところも加わっていきますから、それによって掛金率が七ぐらいに上がっちゃう。そういうことが出てきたときに、本当に広域の県連一本になったことでメリットがあるのか、農業者にとって。農業者が主人公ですから、農業者にとってそれはよろしくないことになるんじゃなかろうかなという事例をもとに、そういうことにならないようにしていかなきゃならぬ。合併のマイナス要因がある。  これは三年間は猶予できるんですよということだけれども、ではその三年間の猶予をなぜ適用を現実にしていただけなかったのかということも疑問として残ります。そういうような問題等をやっぱりきちんと整理した上で、強力に進めるなら進めるということをとっていただきたいと思います。  回答があれば聞いて、終わります。
  226. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) 共済組合が合併した場合の共済掛金率ですが、これは建前上、合併した後の組合単位で算定されることになるわけでございますので、これは実際上は、上がる場合もあれば下がる場合もあるということでございます。  ただ、その掛金率につきましては、先ほどお話がございましたように、一つには、合併後一定期間、合併前の組合等の掛金率を適用できる合併促進のための特例制度がございますし、こういった制度を使っていただくとか、あるいはまた組合ごと集落ごとの危険の程度に応じて掛金率の差をつけられる、もう先生御存じのところでございますが、危険段階別の共済掛金率制度もございます。そういった制度を使っていただきますと、合併後の激変緩和に役立つのではないかというふうに考えておるところでございます。
  227. 阿曽田清

    阿曽田清君 農業者が主役ということを考えて、今後合併をしていくにつきましても、そこに主体的な政策が施されることになりますようにお願いをいたしまして、終わります。
  228. 野間赳

    委員長野間赳君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  農業災害補償法及び農林漁業信用基金法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  229. 野間赳

    委員長野間赳君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  230. 野間赳

    委員長野間赳君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十分散会