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政府委員(
中須勇雄君) ただいま
お話ございましたように、今月の二十四日から二十九日までカリブ海の島国グレナダにおきまして五十一回目の国際捕鯨
委員会の年次総会が開催されます。もちろん、これに先立ちまして一月ほど前から各種の準備会合というか作業部会等が続々と今進んでおりまして、二十四日から本会議で各種の決議等の採択が行われる、こういうような
状況になっているわけであります。
私
ども、従来からこの国際捕鯨
委員会に対しましては、やはり鯨というものも海の
資源の
一つでありまして、その適正な
管理、科学的根拠に基づいて
管理をするということは持続的に利用していくということである。それは鯨においても他の魚類においても
基本的に変わらないわけでありまして、そういうものとして
考えていくべきである。また、国際捕鯨取締条約
自体がそういうことを目的に掲げているわけでありまして、捕鯨産業の健全な
発展ということもこの条約の目的になっているわけであります。
したがいまして、私
ども、今年度の年次会合におきましても、
先ほど申しましたとおり、科学的根拠に基づいて鯨の
資源を
管理していく、鯨の
資源の持続的利用を図っていく、これを実現するということを
基本的な態度として臨んでいくべきだというふうに思っております。
ただ、率直に申しまして、IWCの
委員会、加盟国が三十九カ国で、投票権の停止等をされているものがございますので、実際には三十五カ国に投票権がございます。どれだけ今回、出席するかわかりませんが、それに近い数の国が出席されると思いますが、これは
我が国のような捕鯨に対する立場、捕鯨の支持国と申しましょうか、残念ながら少しずつ地歩は拡大しているにせよ、なお少数派でございまして、劇的に事態を
改善するということは難しいわけでありますが、やはり
我が国として主張すべき正しい主張は主張をいたしまして、一歩でも前に進むということを
目標にしてこの会議に臨みたいというふうに思っております。
特に、ことしの年次会議で重要な問題、争点になるということでいいますと、これも従来から言っておることでございますが、商業捕鯨モラトリアムはもう既に見直し期間に本来は入っているわけでございまして、これを廃止して鯨
資源の
有効利用を図るということになりますと、新しい
管理方式というのを今この
委員会で検討しております。改訂
管理制度と言っておりますが、これがもうでき上がる寸前になっております。
これができ上がりますと、
資源評価をして、例えば南氷洋のミンククジラであれば六十七万頭でございましたか存在すると、二千頭とっても全く問題ないということが科学
委員会で認められております。そういうことが認められれば自動的に商業捕鯨が
再開できるということでございますので、この新しい
管理方法の作成と、それに基づいてこの
管理制度のもとで商業捕鯨を
再開するというのが
基本的なまず
我が国の主張だろうと思います。
それから、従来から暫定的に
我が国の
沿岸におきまして北太平洋、北西太平洋でミンククジラ五十頭の捕獲枠を認めよという要求をしておりまして、ことしもこれを要求してまいりたいと思います。
それから、
一つの動きとしてはサンクチュアリーを設定する。南極海等において現在、決議で設定されているわけでありますが、これを拡大しようという動きがあります。科学的根拠なしに捕鯨をやめさせるという
意味ではサンクチュアリーという方法しかないということで、他の捕鯨国はこういうやり方をしておるわけでございますが、これは全く科学的根拠がないわけでありまして、
我が国としてはそもそもサンクチュアリーに、あるいはさらにそれを拡大するということには反対であるという立場で臨みたいということでございます。
なお、アイルランド提案というのが二年前に行われました。膠着状態に陥ったIWCの議論を多少なりとも前に進めるという
意味で、反捕鯨国でございますがアイルランドから新しい提案があって、公海での捕鯨禁止と
沿岸二百海里内におけるIWC
管理下における捕鯨を一部認める、こういうようなことを
内容にしているわけであります。もちろん、
我が国として認めがたい部分もありますが、膠着した
現状を何とか打開しようという
意味ではそのアイルランドの気持ち
自体はわかるわけでありまして、このアイルランド提案が今年度どのように取り扱われるかというのも我々としても大変注目しながらまた対処していかなければならない
課題だろうと思っております。
なお、
我が国はここのところ引き続き南氷洋及び北西太平洋において捕獲調査を実施しております。これについては科学
委員会でも高い評価を得ているわけでございまして、引き続きこれは実施するという態度で臨みたいということで、大変長くなって恐縮でございますが、こういう態度で
努力をしてまいりたいというふうに思っております。どうかよろしく
お願いをしたいと思います。