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政府委員(
本田浩次君) 公共事業として考えるかどうかということをお答えする前に、私
ども、今回、
法律を提案していることともかかわるわけでございますけれ
ども、今後、
畜産経営が
地域の中で安定的に
発展していくためには、まさにこの
家畜排せつ物の問題につきまして適切に対応いたしまして、
畜産環境の保全でありますとか資源の
有効利用の確保の
観点からこの
環境問題につきまして適切に対処をいたしまして、堆肥として
農地に還元することを基本としてその
利用の
促進を図っていくことが必要だろうと思っております。確かになかなか難しい点ではございますけれ
ども、少しでも資源化をして有価資源として
利用できるという形での
活用がまず必要であろうというふうに思っているところでございます。
加えまして、できるだけ低コストで
家畜ふん尿の
処理を行う、これも大事な点であるというふうに思っております。
先生御
指摘の数千万円かかったということにつきましても、これも堆肥舎だけをつくっているのか、それとも浄化槽もつくっているのかといった
施設整備の
内容とかかわりを持っておるわけでございますので、先ほど御
説明いたしました堆肥舎だけについて見れば七百五十万円でございますが、これにし尿
処理施設を加えると一千万円を超える、そういった計算になるわけでございます。
いずれにいたしましても、私
どもといたしましては、この
畜産環境問題に対処いたしますためにあらゆる手段を講じて助成
措置を講じていきたいというふうに思っておりまして、まず第一点は、個人
利用にかかわる
施設整備につきましては、融資でありますとか
リース事業などによって
支援を行っていきたいというふうに思っております。それから、
補助事業におきましては、これは公共事業、非公事業双方を用意しているわけでございますけれ
ども、共同
利用にかかわります
家畜排せつ物の
処理利用施設の
整備に対して助成を行っていきたいというふうに考えているところでございます。
公共下水道や集落排水
施設で
家畜排せつ物を
処理することにつきましては、私
どもは次のように考えているところでございます。
まず、
家畜排せつ物は人のし尿に比べまして汚濁負荷量が極めて高い。これは、例えば豚では人間の十倍、それから牛では六十倍に当たる、こういうふうに言われているところでございまして、しかも一戸当たりの
飼養規模が大変大きくなっていると。例えば、北海道のように平均規模でいきますと八十頭規模になっているわけでございますので、八十頭の牛ですと五千人ぐらいの町の下水
処理に匹敵する、こういう
状況でございます。
したがいまして、これを公共下水道などで受け入れるという形にいたしますと、公共下水道などの
処理能力を大幅に増加させることが必要だと考えられます。これは、実態としては、自治体の財政
状況などを考えますと一般的には困難であるというふうに考えられるところでございます。それからまた、この
家畜排せつ物を下水などで
処理いたしますとその使用量が膨大なものとなりまして、一戸
あたりの
利用料金の負担額が、
農家がみずから浄化
処理施設を設置する場合に比べて恐らく割高になるだろうというふうに見込まれております。
したがいまして、私
どもとしては、まさに
畜産は
農業内部におきます資源でございますので、まず
畜産農家の
皆様方といたしましては、堆肥舎などをきちんと
整備していただいて良質な堆肥をつくって、それをできるだけ
農地に還元するという形で
利用していく方向でこの問題に対処していくのが必要ではないかというふうに考えているところでございます。