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阿曽田清君 このSBSの十二万トンのうち、いわゆる短粒種というべきものが九万六千、約八〇%入っているんです。いわば、ジャポニカ系のものがSBSの八〇%を占めておるということからするならば、ここに私は
関税化へ向けての助走が始まっておるなというふうに受け取りました。今、
食糧庁長官の御
説明と若干私の解釈は違うのですが。
と申しますのは、もう既に中国から六万二千トン、アメリカから三万六千トン
輸入されておりますが、何と中国産あきたこまち、これが既に五百トン、三井物産の手によって
輸入されました。吉林省に三井物産や佐竹製作所の合弁のいわゆる精米会社が設立されておると聞いておるわけでありますが、まさに現地で
日本向け用のお米が
生産されて、
日本の技術を導入した精米工場でいわゆる精米されて、そして品質を高めたところで
輸入してきている、これが中国から入ってきているSBSの実態であります。
また、アメリカでは、カリフォルニア州あきたこまちあるいはコシヒカリ、アーカンソー州のコシヒカリも入っておると聞いておりますが、伊藤忠商事、これがコシヒカリを
輸入しているということを聞き及んでおるわけであります。まさにこのことは、次の
関税化へ向けて
日本人の口に合うものを
日本人が海外でつくってそれを逆
輸入する、そういう事態がもう既に生まれてきているということは私は大変ゆゆしき問題だなというふうに
思います。
なぜ私がそれを非常に
心配いたすかといいますと、十年前に熊本県でイグサがまさにこのパターンだったんです。中国に
日本の商社が
日本のイグサの苗を持っていって植えて、そして七年前は一割しか入っていなかったのがその後急速に伸びて、七年間で約四六%ほど入ってきているというような状態になってしまったということからするならば、私は、
日本企業が、あるいは合弁投資会社として海外で
日本のコシヒカリ、あきたこまちというのを
生産させて
輸入してくるということがこれからさらに拡大していくということになってくれば、まさに脅威的になってくるというふうに思うわけであります。
日本の企業もそういうところは、
日本企業として
日本の国家のため、あるいは社会のために貢献していくという
観点をもっと持っていかなければならないのではなかろうかな。いわば、金もうけならどんどんやっていくという
時代は終わったのではなかろうかなというふうに思うんですが、そういうことからして、
大臣、どのようにお考えになりますか。
もみがどれぐらい出ているんだと、こういうことで
農林省の方にお聞きいたしましたら、試験用だけは出ておりました。商業用では
一つも出ておりませんでした。試験用でも中国、アメリカには行っていないんです。行っていないけれ
ども、そういう実態があるということから、非常にこれは不可解だなと
思いながらも、しかし現実そういう実態が登場してきているということに対して、私は
日本人みずからこういうものについてはきちんと
考え方を共通認識しておく必要があるんじゃなかろうかと思うんですが、いかがでしょうか。