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1999-03-18 第145回国会 参議院 農林水産委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年三月十八日(木曜日)    午後一時二分開会     ─────────────    委員の異動  三月十五日     辞任         補欠選任      久保  亘君     北澤 俊美君  三月十六日     辞任         補欠選任      北澤 俊美君     久保  亘君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         野間  赳君     理 事                 岩永 浩美君                 三浦 一水君                 和田 洋子君                 須藤美也子君                 村沢  牧君     委 員                 国井 正幸君                 佐藤 昭郎君                 中川 義雄君                 長峯  基君                 森下 博之君                 小川 敏夫君                 久保  亘君                 郡司  彰君                 風間  昶君                 大沢 辰美君                 谷本  巍君                 阿曽田 清君                 石井 一二君    政府委員        公正取引委員会        事務総局経済取        引局長      山田 昭雄君        農林水産政務次        官        亀谷 博昭君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木 威男君    説明員        農林水産大臣官        房審議官     城  知晴君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○農林水産に関する調査  (畜産物等価格安定等に関する件)  (畜産物価格等に関する決議の件)     ─────────────
  2. 野間赳

    委員長野間赳君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  農林水産に関する調査のうち、畜産物等価格安定等に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 中川義雄

    中川義雄君 きょうは、主に乳価のことにつきまして質問してまいるわけですけれども畜産局皆さん方にはきのう遅くまで大変御苦労されて、朝九時半からまた衆議院で、昼飯もとらないで引き続きということでございますので、本当に御苦労なことだと思いますが、数点お聞かせ願いたいと思います。  第一点は、新たな酪農乳業対策における牛乳乳製品価格政策、これをこれまでとどのように変えていくのか、そしてスケジュール的にどんな形でそれを実施していくのかについて説明していただきたいと思います。
  4. 亀谷博昭

    政府委員亀谷博昭君) 乳製品あるいは加工原料乳につきましては、価格が硬直的である、あるいは固定的であるとされておりまして、需要者のニーズに応じた生産、供給が行われないというような問題が指摘されているところであります。  そこで、お話ございましたような、新たな酪農乳業対策大綱におきまして、平成十三年度を目途に、市場実勢を反映した形で価格が形成される制度に移行することといたしております。  今回の改革に当たりましては、高い関税相当量国家貿易のもと、計画生産の推進や必要に応じた調整保管実施等により、生乳等の需給の安定、またこれを通じた全体としての価格水準の安定を図りながら、実際の取引生乳についての指定団体乳業メーカー、あるいは乳製品についての乳業メーカー実需者取引等における価格につきまして、市場実勢を反映する観点から価格政策を改定しようとするものであります。  この価格政策の見直しによりまして加工原料乳取引価格変動することになってまいりますけれども生産者が安心して酪農経営に取り組むためには価格低落に対応した経営安定措置が必要となってまいります。そこで、単価の具体的な算定方式等検討とあわせまして、過度の価格低落影響を緩和するための生産者の自主的な取り組みを前提とした措置につきましても、その必要性を含めて検討することといたしております。  そうした所要の措置を講ずることによりまして、加工原料乳地域における生乳の再生産を確保し、生産者経営の安定及び所得の確保を図ってまいる所存であります。
  5. 中川義雄

    中川義雄君 御承知のように、新たな農業基本法におきましては、価格市場のメカニズムに基づいて決めていきたい、しかしそれと農業者経営との間に乖離が出てきますから、農業者経営または所得については政策でこれを援助していきたいというのが基本になっておると思うんです。  それで、今回の乳価決定におきましてもそういった点が加味されておりまして、その中で特筆されるのは例の二円の問題でありますが、この二円を価格本体から取り外すが、これを何とか酪農振興策として、新たな政策として切りかえていきたいということが非常ににじみ出ているわけであります。  今回の乳価決定に際しまして、例えば草地規模別に見て、酪農家に二円分につきまして新たな政策に基づいて給付するというような形に変えていっていると言われておりますが、その点の政策のねらいと、今回の価格決定に際しまして農水省として一定方針が出たと聞いておりますので、まだ審議会にかける前だと思いますが、農水省考え方をこの際明らかにしていただきたいと思います。
  6. 城知晴

    説明員城知晴君) ただいま中川先生から御指摘のございました特別対策につきましては、いわゆる俗称、横積みと称しておりますが、平成三年度から毎年度、額は変わってきておりますが、設けているものでございまして、その基本的な趣旨は、当面する酪農経営課題に対する生産者の積極的な取り組みを誘導する、そういう趣旨からつくられたものでございます。私ども、この特別対策は、現在までの過程におきまして、加工原料乳地域酪農経営の安定を図る上で極めて大きな効果があったものと理解いたしております。  ただ、私ども加工原料乳保証価格につきましては、御案内のように、生産費基礎といたしまして加工原料乳農家の再生産を確保するという仕組みであるにかかわらず、この特別対策分現行二円分につきましては生産費とは無関係に上積みされている。そういうことから、価格算定上の問題といたしましてさまざまな御論議がございまして、従来から価格決定のたびに問題にされてきたわけであります。  今回、私どもといたしましては、このような二円特別対策につきましては、まさに現在、加工原料乳地域酪農家が直面する諸課題に対しまして積極的な取り組みを誘導するという、その名のとおりの対策に変えたいということでございます。具体的には、現在特に問題となっております畜産環境問題に積極的に対応する、あるいは飼料自給率向上に積極的に対応する、そういう酪農家経営動向を促進する、横から支える、そういう面での対策に抜本的に切りかえたい、このように考えております。  具体的には、各酪農家に一頭当たり飼料作物作付面積ごと一定の金額を交付する、こういう仕組みにいたしたいと思っておりまして、すなわち生乳生産量とはデカップリングする、こういう基本的考え方でございます。  現時点におきましてまだ関係方面との調整は終了いたしておりませんが、例えば北海道で申し上げますと、搾乳牛一頭当たり飼料作物作付面積が五十ないし百アールの場合におきましては一万一千円程度を支払う、それより大きい場合は一万三千円、少ない場合は九千円、非常に小さい場合は三千円、そういうことで支払っていきたい、このように思っております。  また、内地につきましては、それぞれ北海道とは飼料基盤の置かれている状況が違いますので、内地に適した具体的な運用状況を早急に定めまして各都道府県と御相談の上決定いたしたい、このように考えております。  以上でございます。
  7. 中川義雄

    中川義雄君 要するに、規模に応じて格差を設けることによって、草地なら草地がもっと大きくなって生産性向上がそのことによって図られるというのが政策のねらいだと思って、私もそういった点からは今後ともこういった施策につきましては十分配慮して効果が出るように期待していきたい、こう思っております。  次に、これまでの乳価決定におきましては生産費ということを基礎に置いて積み上げられてきたわけですが、それはそれとして一つ考え方だと思うんですが、問題は、酪農家が個々に生産費を切り下げる努力をする。経営規模を拡大したりしていろんなことを工夫したり、また新たな施設を導入したりして生産費低減する努力をする。これは所得を得るために生産費低減努力するのは当然のことなんですが、しかし生産費にシフトするというこれまでの原則でいきますと、安くなるとまた価格が安くなって、結局は酪農家経営意欲低減させるという逆の効果も出てきたような気がしてならないんです。  それで、今度の新たな対策においてはこの問題をどのように考えて、これをどのような方向に変えていくつもりなのか、もし考え方がありましたらお示ししていただきたいと思います。
  8. 野間赳

    委員長野間赳君) ちょっと答弁が聞き取りにくいですから、明確にひとつよろしくお願いします。
  9. 城知晴

    説明員城知晴君) ただいま御指摘のございました件につきましては、従来から価格決定のたびに生産者側からは、生産性向上努力が常に価格引き下げに結びついてしまう、必死に頑張って規模を拡大したり乳量をふやしたりすると価格が引き下がってしまう、そういう強い御不満が出てきておりまして、先生方からも種々御指導を賜ってきたわけでございます。  私ども、この点につきましては、今回の乳価自体につきましては現行の枠組みのもとに決定いたしておるわけでございますが、従来そのような生産者努力に報いるという意味から二つ配慮事項を行ってきております。一つは、乳量につきましては生産費調査の結果をそのまま用いることなく前三カ年の平均伸び率を用いて価格算定乳量とする。また、労働時間につきましては前年との平均値を用いる。  そういうことで価格算定を行ってきたわけでございますが、近年、規模拡大等に伴いまして、あるいは乳量増加に伴いまして、さらに一キログラム当たり労働時間がかなり減少してきておりますので、そういう面から今回の価格算定当たりましては三カ年平均労働時間を算定する、そういうような配慮をさらに加えまして、今回の七十三円三十六銭という諮問案を作成いたした次第でございます。
  10. 中川義雄

    中川義雄君 これまでのやり方やり方といたしまして、新しい農業基本法におきましては経営安定化というようなことを考えて十年ぐらいの計画をつくりながら、そしてまた五年ぐらいでそれを見直しながらこの基本法が実施されるようにやっていくという方式をとっているようであります。  そんな観点からいいますと、一つの方法として、ある時期において生産費に基づいて価格を決めておいて、それが毎年変わるんじゃなくて、できれば計画期間の十年なら十年を目標価格として設定して、その間に酪農家努力して生産費を下げた分はその分が酪農家所得として、ゆとりとして、また再生産の資本として、そしてまた酪農経営の転換の原資として残るような施策をとるべきでないのか。そうすると、酪農家も安心して経営目標をつくってやっていける、そうなると思うんですが、そんな私の考え方に対するもし農林省考え方があればお示しいただきたいと思います。
  11. 城知晴

    説明員城知晴君) ただいまの御指摘の点につきましては、酪農家が将来にわたって自分の経営をどのような方向に持っていくか、その経営判断目標あるいは今後の経営目安となるような形で価格決定すべきではないか、そのように理解いたしております。  これにつきましては、新たな酪農乳業対策大綱におきましても、一定期間における生産者経営判断等目安となるような手法の確立ということを検討させていただきたいということを申し上げまして、今後の検討課題にさせていただいております。  したがいまして、私ども、現在の時点におきましてこうする、ああするという具体的な案を持っているわけではございませんが、年々の価格決定で大きくぶれるのではなくて、少なくとも数年間、生産者から見てそれを目標とし得るような水準として価格を設定できないかということでさまざまな分野の先生方のお知恵もかりまして早急に検討を進めてまいりたい、このように思っております。
  12. 中川義雄

    中川義雄君 この点につきましては積極的に検討して前向きの回答をぜひ得たい、それは本当に酪農家の悲痛な願いでありますので、よろしく御配慮いただきたいと思います。  それから、今回、農林省から出たいろんな数字を見まして、私は酪農というのは日本農業の中で非常に優等生、非常に短期間で生産性も上げて、そして価格一定水準、常に安くなるような努力をしてきた、これは評価されていいと思うんです。しかし、その中で、私は、乳製品工場乳製品企業努力がそれに対して非常におくれているような気がしてならないんです。ですから、これから消費者に安くておいしい乳製品を供給するためにも、私はメーカー努力というものが、ともに血の出るような努力をしていかないと、これは何ぼ酪農家が頑張っても片手落ちになると思うんです。  そういった意味で、メーカーに対する農林省としての今後の指導方針などがありましたらここで明らかにしていただきたい、そして徹底していただきたいと思うんです。
  13. 城知晴

    説明員城知晴君) お答えいたします。  現在、我が国酪農生産コストは諸外国と比べまして大体二倍ないし三倍の高さにございます。ただ、残念ながら、乳業工場につきましては、今御指摘ございましたように、四倍ないし五倍のコストをかけている、そういう状況になっております。  なぜ乳業工場コストがこれほど高いかと申し上げますと、一工場当たり処理量が諸外国と比べまして極めて小そうございます。我が国の場合は一工場大体一万トン程度でございますが、これに対しましてドイツで約九万トン、小さなフランスでも二万七千トン、アメリカで約四万三千トン、こういうことでございまして、バター、脱粉をつくるという製造過程のものといたしましては極めて規模の問題がコストにはね返りますので、このような面から見まして我が国乳製品工場規模が余りにも小さ過ぎるということが大きな課題ではないか、このように思っております。  したがいまして、私どもといたしましては、このような乳製品工場につきまして何とか再編合理化を行っていただきたいということでございまして、現在も再編合理化のための予算を四十数億円毎年いただいておりますが、今回、新たな酪農乳業対策大綱の策定を機に、酪農及び肉用牛生産近代化に関する基本方針という大臣計画を改めまして、その中で具体的な再編統合目標、各地域ごと目標生産性向上目標を明記いたしまして、その線に沿った乳業界再編合理化の御努力をお願いし、政府としても可能な限りの指導、支援をしてまいりたい、このように考えております。
  14. 中川義雄

    中川義雄君 この問題の解決にはいろんな努力が必要でありますが、私は、現実としてこれだけの経営努力がされなかったというのは、この国ではメーカー競争原理の外にあるということも一つの要因だと思うんです。指定団体メーカーを指定して、また収入の範囲も指定して、その範囲のものは特定のメーカーに必ず一定価格で行くというこれまでのやり方では、なかなか自助努力しようといっても、それで食べていけるということが原則になりますと、これでは経営努力がなかなか促進されない。やはり、ある種の競争原理が導入されて、一生懸命頑張った者が、合理化を進めたところがそれが利益としてきちっと反映されるというようなシステムに切りかえていかなければならないと思いますが、この点につきましては意見にとどめさせていただきたいと思います。  もう一つ問題なのは、御承知のように、例えば飲用乳ですと大体九十三円ぐらいで酪農者メーカーに渡しているはずなんです。メーカーでそれを殺菌したり瓶詰めか何かをして、そして消費者に渡る。その店の現場では、本当にその間に一日ぐらいの処理だけで、現実には私もけさ幾らぐらいしているのかなと思ったら、一キロ大体二百円以上しているのであります。これは余りにも、酪農家努力して九十三円で売ったものが、ある流通過程を経由してそれが倍以上、二百円以上になっているというのは、少しそこら辺ではここもまた流通過程においてもっと工夫してもいいのではないか、努力してもいいのではないかというような感じがするんですが、やっぱりこの乳製品流通過程についても、透明性とまたはそこに少しでも工夫して安い乳製品消費者に提供するという流通についても関心を持たなければならないと思うんですが、いかがなものでしょうか。
  15. 城知晴

    説明員城知晴君) ただいま御指摘ございましたように、飲用向け生乳につきましては価格全国平均で約九十三円程度でございますが、現実小売店等で売られておりますミルクは約二百円、そのような二倍強の差がある、このように理解いたしております。これらの格差につきましては、基本的には製造コスト流通コスト並びにマージン、これが加わってちょうど倍になるというわけでございますが、今、中川先生指摘のように、これから国際化時代を迎えまして、酪農家の方々につきましてもさらなる生産性向上の御努力をお願いするという時代でございますので、流通部門につきましても当然のことながら物流コスト低減ということを積極的に進めていきたいと考えております。  また、現在、ミルク流通が県内だけではなくて隣の県を動くというのがふえてまいっておりますので、こういう観点から、生乳流通コストの削減ということを指定団体広域化を通じてぜひとも実現していきたい、このように考えております。  いずれにいたしましても、飲用牛乳流通につきまして私ども十分勉強させていただきまして、さらなる合理化策を打ち出していきたい、このように考えております。
  16. 中川義雄

    中川義雄君 要するに、製造費用がどのぐらいかかって、流通費用がどのぐらいかかって、そのうちにマージンがどんな形になっているのか、輸送費がどんな形になっているのか少し調査した上で、そこの隘路みたいなものを改善していかなければならない、こう思いますので、その点の努力をお願いしておきたいと思っております。  畜産経営で大きなウエートを占めるのは、一つはやはりえさ代であります。特に、その中で配合飼料ウエートが高いわけでありますが、最近、配合飼料が非常に価格変動が大きいわけであります。安くなるときは、これはこれなりにいいわけですが、これがあるときはまた急な高値をつけるときもあるわけであります。  そういったことで、配合飼料価格変動酪農経営に大変不安な要素を残しているわけですが、安定的な酪農経営を図るために、この配合飼料価格変動が少しでも酪農経営影響を与えないような方策が必要だと思いますが、その点についての考え方を示していただきたいと思います。
  17. 城知晴

    説明員城知晴君) 我が国畜産につきましては、牛乳乳製品もそうでございますが、特に豚肉、ブロイラー、鶏卵等につきまして、生産費に占めます配合飼料価格コストが大体五割を超えている、そのような状況になっておりまして、配合飼料価格価格変動我が国畜産経営収益性等に極めて大きな影響を与えるものと、このように認識しております。  このため、現在、政府といたしましては、配合飼料価格安定制度というのを設けております。具体的に申し上げますと、生産者配合飼料メーカーお金を出し合って積んでいます基金と、その基金ではとても対応できない異常な変動が起きました場合に、その基金の上積みといたしましてさらに補てん金を交付する、親基金と俗称言っておりますが、国と製造メーカーの両者で半分ずつ持つ基金と、この二つをつくっております。  配合飼料価格は、我が国円高影響を受けまして極めて低位安定をいたしておりましたが、平成七年十月からシカゴ相場の暴騰といいますか高騰によりまして一気に値上がりいたしまして、この間この配合飼料価格安定制度を運用いたしまして、通常基金から約千四百億円、国が出資いたしております親基金異常基金から四百七十五億円、合わせまして一千九百億円程度お金平成七年十月から今回までに出していただくということでございます。  他方、現時点におきましてはシカゴ相場が極めて安いものでございますので、年間で五千百円程度の値下がりを見た、こういう状況でございまして、私ども、今後とも配合飼料価格畜産経営、各畜種ごと畜産経営に占めますシェアにかんがみまして、配合飼料価格安定制度の適切な運営ということに十分意を用いていきたいし、予算面からも、今申し上げました異常基金に対する、現在は安いわけでございますが、積み増しということをこの時期に行っていきたい、このように思っております。
  18. 中川義雄

    中川義雄君 今お話にありました、最近はこのシカゴ市場が大変な暴落を重ねている。我々が心配したのは、その暴落生産費にはね返って、これが今回の乳価決定に大きく作用するのではないか。私たちが試算してみましても、この価格をそのまま生産費にしますと一円数十銭の値下げになるというような厳しい現実でありまして、聞くところによりますと、いろんな努力をされて、それが最低限に圧縮されたと聞いておりまして、これだけはそのことを確実に実施していただきたいものだと、こう思っております。  これからの酪農の歩んでいく方向について少し考えていきたいと思うんです。  私の十勝に最近ロボットが導入されまして、それが大変な反響を呼んでいるんです。私の友人、これは普通の企業経営していた人なんですが、酪農家出身の人が自衛隊に入って、退職して、普通のコンクリート業をやっていて、ある程度の余裕ができて、将来長い目で見たら農業をやりたいという話があって、酪農を勧めたら、その方が酪農を始めた。資金に余力があったものですから、ロボットを三台導入したのだそうであります。やめた酪農家の跡地を利用して、そして三台利用して、今二百頭ぐらいの搾乳をして、多分、十勝で四、五年の間に一番になったと、こう聞いているんです。  それが非常に隣近所酪農家影響を与えて、ロボットを導入したいという気持ちが強くなってきているんですけれども、そのロボットは五千万以上するんだそうです、ワンセット。しかし、大変すぐれたものなんです。  この点について二点ぐらい聞きたいんですが、将来必ずこれはロボット化すると思うんです。ロボット化することによっての酪農家の極端な労働、苦痛とも言える労働から解放されて、そして未来豊かな経営になっていくと。ところが、五千万ということになりますと、今の酪農家の実態からいってそう簡単に導入することはできません。これを導入しやすくするために、例えばリース制度だとかなんとかというものを考えていけないかが一つのあれです。  もう一つは、これがすべてオランダ製品なんです。オランダでこれだけすぐれたものを考えて五千万になる。日本オランダ以上に機械とか電化製品についてもすぐれた技術を持っているはずですから、日本人の手で日本人のためにこんな機械をつくって少しでも安く酪農家に提供できないものだろうか、本当に悲痛な願いを持っているのでして、そんなことについて農林省としての考え方があればお示しいただきたいと思います。
  19. 城知晴

    説明員城知晴君) ただいま御指摘のございました搾乳ロボット、私どもの聞いております範囲では、本体価格が大体三千万から四千万でございまして、その周辺の施設を入れれば先生御指摘の五千万程度になるんじゃないか、このように思っております。  現在、酪農労働は一人平均二千六百時間ということで、我が国の全農業の中におきまして最も労働時間の長い部門でございますが、そのうちの約半分近くが搾乳労働でございます。しかも、この搾乳労働が周年拘束性のもとでございまして、この搾乳労働ロボット化できるということになりますれば、現在の酪農労働で最大の問題でございます超長期的労働が一気に解決されるということでございまして、私どももこの搾乳ロボット問題について極めて関心を持って見ておるところでございます。  現在、先生がおっしゃいましたように、オランダではメーカー二社が市販いたしておりまして、ヨーロッパで大体百台以上、我が国でも十数カ所で設置され動いております。この中において、事例として聞いております範囲におきましては非常にうまくいっているものもあるんですが、搾乳ロボットのセンサーが乳首になかなか吸いつかないという問題もございまして、なかなかうまくいかないところもあるということでございまして、結果といたしましては現在まだ開発途上、そういう感じのように理解いたしております。  この問題につきましては、特にヨーロッパにおきましてはそれほど大きな問題があると聞いておりませんので、我が国の環境条件における適した技術を早急に開発することが重要と考えております。このため平成九年度から実用化事業というのに取り組んでおりまして、現在、都道府県の試験場内におきまして具体的な実験を繰り返しておるところでございます。また、メーカーの方におきましては、生物系特定産業技術研究推進機構、俗称、生研機構と言っておりますが、ここの出資によりまして、現在、搾乳ロボットの開発に取り組んでおるわけでございます。一定の品質のものができ上がりますれば、我が国酪農の実態から見まして相当の需要があるということでございまして、値段の方も現在売られているものよりはかなり安い値段で供給できるんじゃないか、このような期待を持って現在、技術開発なり各試験場におきます実験結果というのを見ているところでございます。
  20. 中川義雄

    中川義雄君 まだまだ聞きたいことがたくさんあるんですけれども、時間が来ましたので、この辺で終わります。
  21. 久保亘

    久保亘君 畜産価格決定に関して、今、畜産振興審議会が開かれておりますけれども、この問題は新しい食料・農業・農村政策に関する基本方向を考えるまでもなく、農業にとって非常に重要な問題であり、また我が国の今後にとっても極めて重大な意味を持つものだと思っているのでありますが、このことに関して議会の意見が述べられる機会に大臣も担当の畜産局長も出席できないというような状況は極めて遺憾なことだと思います。私は、まずそのことを申し上げておきたい。  審議官にお尋ねいたしますが、今の我が国畜産状況はどういうとらえ方をされておりますか。非常に厳しい状況というふうに見ておられるのか、それとも新しい基本法が示そうとしている畜産拡大の方向へ進みつつあると思っておられるのか、少し具体的に話をしてみてください。
  22. 城知晴

    説明員城知晴君) お答えいたします。  ただいまの久保先生からの御質問でございますが、我が国畜産につきましては、御案内のように、現行基本法のもとにおきまして選択的拡大の代表選手ということで、この間に大幅な生産の拡大、需要の拡大を見てきたわけであります。しかしながら、近年におきましては豚肉、鶏肉、鶏卵につきまして需要に陰りが出てきております。現在、ほぼ横ばいで推移いたしてきております。また、牛乳乳製品につきましても、ここ数年間、飲用乳需要がやや低下いたしておりまして、需要面におきまして天井感的なものが出てきておる状況でございます。  このような状況の中におきまして、これを担う人々、畜産農家の方々につきましては、酪農でこの間に戸数が十分の一になったことに象徴されますように、各畜産農家の規模拡大は急速なスピードで進んできております。したがいまして、現在の畜産農家、肉用牛繁殖農家を別といたしますれば、ほとんどの方が専業的、プロ的な農家でありまして、まさに経営としての農業を担っておられる方々になってきたということでございます。  したがいまして、そういう担い手の面におきましては、我が国の他の農業部門に比べまして極めて恵まれた状況にあるわけでございますが、ただ他の農業部門にない問題といたしまして、残念ながら畜産環境問題というのが極めて深刻化してきております。一戸当たり経営規模が非常に大きくなりますればなりますほど、あるいは畜産が地域特化すればするほど、この畜産環境問題は極めて深刻な問題になってきておりまして、この問題にどのように対応するかということが今後の畜産振興上の一つの大きな課題ではないかと考えております。  また、国際的な問題につきましては、平成三年の牛肉自由化、ウルグアイ・ラウンドによります牛乳乳製品の関税化等によりまして諸外国との競合が次第に深まってきておりまして、今後とも我が国畜産全体の現在の規模を維持していきますために、あるいは今後さらに国内生産の拡大を図っていきますためにはさらなる生産性向上努力というのも必要な課題、このように考えております。  このような状況の中で、昨年末、新たな食料・農業・農村政策の指針といたしまして農政改革大綱が出され、プログラムが出されたわけでございますが、私ども、先ほど申し上げました大きな課題二つを含めまして、我が国畜産の振興を図ってまいりますために、まず一つは国内生産基本とした畜産物供給ということを柱に、具体的には酪農及び肉用牛生産近代化を図るための基本方針というものを新たに策定いたしまして、各地域ごと生産量の目標、飼養頭数の目標を明示いたしまして今後の生産対策に取り組んでまいりたい、このように思っております。  また、前述の環境問題につきましては、今国会に農林水産省から畜産環境を適切に管理するための法案を提出いたしまして、これから御審議をお願いいたすところでございますが、この新たな法律に沿いまして国が基本的な方針を示し、県が具体的な施設整備の計画をつくり、それに沿って国、県、市町村、関係団体が一体となって畜産環境問題に対処する、そういう方向でこの問題の解決に当たってまいりたい、このように考えております。  また、明年度から始まります次期ラウンド交渉につきましては、私どもといたしましては現在のTE、関税相当量も含めまして、我が国畜産が今後とも持続的に発展できるようなものを次期ラウンドの過程において実現したい、このように考えているところでございます。
  23. 久保亘

    久保亘君 畜産に関して国内の生産基盤というのは新しい基本法が示そうとしているような方向に向かって拡大基調にありと見ておられますか。
  24. 城知晴

    説明員城知晴君) 新たな基本法の目指すところにつきましては、私ども畜産分野におきまして、まず畜産の自給率の向上ということを中心に考えなきゃいかぬだろうと思っておりまして、一番最大の問題となりますのは、重量ベースの自給率もさることながら、カロリーベースの自給率が畜産はたしか一七%と記憶いたしておりますが、極めて低いという状況にございます。  したがいまして、国産粗飼料を積極的に拡大していく、国産粗飼料の増産を図ることがカロリーベースひいては重量ベースの自給率増大につながる、このように考えておりまして、新たな基本法が成立いたしました後、基本計画というのを策定する予定になっておりますが、その基本計画策定の過程におきまして、そのような具体的な今後の生産努力目標、自給率の目標等を明示いたしましてその目標に向かって努力いたしたい、このように考えております。
  25. 久保亘

    久保亘君 少し私と見方が違うのかもしれませんけれども畜産生産基盤が私は必ずしも拡大基調にあるとは見ていないのでありまして、そういう中で、今どうやったら努力目標を定めて国内生産を拡大の方向へ持っていけるか、中長期的な計画方向性が問われているんだと思うんです。  そういう中で、価格政策というのはどういう意味を持つと考えておられますか。ただ単に、計算式をもって価格が決まればよいということではなくて、そういう中長期の畜産政策基本にあって価格政策というものが樹立されなければならないと思うのですが、そこはいかがお考えでしょうか。
  26. 城知晴

    説明員城知晴君) 価格政策につきましては、個々の価格につきましてはそれぞれの関係法令に基づきまして需給事情、生産条件その他もろもろのものを勘案いたしまして決定いたすわけでございますが、価格政策が設定されております趣旨並びにそれぞれの価格決定基本的目的は、関係する農業者の方々の再生産を確保する、経営の安定を図るということにある、そのように理解いたしております。  したがいまして、毎年毎年の価格は確かに当該年度の生産費等から算定いたすわけでございますが、制度運用といたしましてそういう価格を設定することにおいて長期的に畜産農家の経営が安定するよう運用することは当然御指摘のとおりではないか、このように思っております。
  27. 久保亘

    久保亘君 短い時間ですから、それでは具体的に、今、畜産振興審議会に諮問されております四つの法律に基づく諮問は具体的に数字を示して行われていると思うのでありますが、まず、部会の一番最初に開かれました飼料需給安定法に基づく飼料需給計画についてお尋ねいたします。  今度の畜産振興審議会畜産局長が報告されました報告書がございますが、この報告書にあります平成十年度飼料需給計画の数字と今回、平成十一年度飼料需給計画試案として審議会に諮問されました数字とは全く関係のない大変な違いがありますが、これらの数字というのはどういう根拠でつくられたものでしょうか。そして、なぜこういう状況が起きているのか。  例えば、昨年度、需給計画として審議会もこれを答申の趣旨に即し試案は適当なものであるということで答申されて決まったんだということになっておりますけれども、例えば小麦の売買数量は百三十五万トンと計画で決められておりますが、実際に平成十年度の実績見込みはその半分に近い八十七万八千トンと今度の試案では示されております。こういう違いというのはどこから生まれてくるんですか。
  28. 城知晴

    説明員城知晴君) 先生御承知のように、飼料用麦も麦でございますので、いわゆる食管物資になっております。したがいまして、食管物資でございます麦につきまして、政府といたしまして政府が操作する麦の上限を定めるというのがこの飼料需給計画趣旨でございます。  したがいまして、私ども、飼料需給計画を策定いたします場合に、現実に使われるであろう量というのはもちろん計算いたすわけでございますが、過去の実績等を見て、あるいは需要が伸びるという可能性も見まして、枠といたしましてかなり大きなものを採用いたしております。その結果といたしまして、実は昨年だけでございませんで、毎年度、需給計画に掲げました数字と実績との間に大幅な乖離がある、そのような状況になっております。
  29. 久保亘

    久保亘君 前年度の実績とは関係なく上限の数量だということでこの需給計画をお決めになるとすれば、それは需給計画と言えるものなんでしょうか。  そして、今度出されました試案には、昨年実績が加味されて、昨年の小麦の売り渡し数量百三十五万トンが百十一万トンに下げられているじゃありませんか。これはどういうことですか。
  30. 城知晴

    説明員城知晴君) お答えいたします。  現在の我が国の飼料の需給規模は二千数百万トンに達しておりますが、政府操作飼料はそのうちの一部ということでございます。まず、麦だけということになっております。したがいまして、飼料全体の需給の変動によりまして、結果として政府が責任を持って供給せざるを得ない量が大幅にふえるということも想定いたしまして、過去の最高数値的なものを従来この飼料需給計画として設定してきたわけであります。  過去の需給計画との間におきまして、今、先生御指摘のように乖離がございますが、小麦につきましてはそのような状況でずっと百三十五万トンという数字で設定してきたわけでございますが、このような水準に近づくという可能性が極めて薄いということでございますので百十万トンまで下げさせていただいたというのが今回の経緯でございます。
  31. 久保亘

    久保亘君 どうもこの数字の算定の根拠というのが非常にわかりにくいのか、大ざっぱなものでやられているのかわかりませんが、買い入れに当たっては政府として責任を持つものだとするならば、買い入れ、売り渡し、そして必要な保管量というようなものについてもう少し科学的な根拠のある数字で諮問せられるべきものと私は思います。  それから次に、畜産政策価格に関するいろいろな農業団体等の要請のあります中で、地域肉豚生産安定基金に係る発動基準価格についてでありますが、この発動基準価格というのはいかなるもので、そして現在これはキログラム当たり幾らになっておりますか。
  32. 城知晴

    説明員城知晴君) 地域肉豚生産安定基金と申しますのは、国が行っております指定食肉の価格安定制度とは別個に各県において自主的に生産者基金を積んで価格低落時にその基金から補てんする、そういう仕組みでスタートしたものであります。  しかるところ、ウルグアイ・ラウンドの結果といたしまして豚肉の差額関税制度の基準輸入価格が年々十円ずつ下がっていく、そういう事態を招きましたこととの関係上、今後、豚肉価格が急激に低下するおそれもなしとしないということで、ウルグアイ・ラウンド対策の一環といたしまして全国の地域肉豚安定基金に対しまして、生産者が積み立てておられる基金がなくなった場合にそれをバックアップするための基金をつくろうということで国から百五億円の金を出しております。  したがいまして、御指摘の地域肉豚の発動基準価格と申しますのは、今申し上げました各生産者が積んでいる積立金がなくなった場合に国の金が出ていくわけでございますが、その出ていくときの基準となる価格です。つまり、その価格を下回ればお金を補てんするわけですが、国のお金が出ていくときの基準となる価格ということでございまして、現在私どもは、全国平均といたしまして四百円ということを定めておるところでございます。
  33. 久保亘

    久保亘君 実際には、今、豚肉の枝肉の相場というのはこの発動基準価格を上回っておりますか、下回っておりますか。
  34. 城知晴

    説明員城知晴君) ちょっとややこしい話がございまして、私どもの言っております四百円と申しますのは、指定食肉の豚肉と同じく規格といたしましては省令規格、いわゆる上以上のものにつきまして価格を四百円と決めております。  それに対しまして各県で、例えば鹿児島県でございますと三百八十五円という発動価格を決めておられますが、これは省令規格ではなくて並以上の規格のものの平均がこの価格を下回ったらお金を出す、そういうふうに言っておられますので、県ごとに若干差はございますが、本日現在で申し上げますれば、発動基準価格を上回っております。  なお、先生御承知のとおり、例えば鹿児島県は一日でも下回ればその日の出荷部分については補てんするといういわゆる日々補てんというのを行っておりますし、県によりましては月補てんももちろんございまして、各県ごとに相当事業内容に格差のある事業、このようになっているところでございます。  これは、先ほども申し上げましたように、各県が自主的におつくりになっておられた基金にウルグアイ・ラウンドの結果、豚肉価格が下がって基金が枯渇するんじゃないかと心配がありましたものですから、それにウルグアイ・ラウンド対策の一環として百五億円渡したということの結果といたしましてそのような仕組みになっているということでございます。
  35. 久保亘

    久保亘君 では、今度は畜産農家の生産価格は発動基準価格と比べました場合にはどういう状況にありますか。
  36. 城知晴

    説明員城知晴君) 平成十年度の畜産生産費におきます豚肉の生産費から見ますと、総平均が約四百円ではなかったかと、このように記憶いたしておりますが、生産費期間以降、生産コストの約六割を占めます配合飼料価格が三度にわたり引き下げられておりまして、その面を換算いたしますと、現在の価格は総平均価格といたしまして四百円をかなり下回る水準になっておるのではなかろうか、このように理解しております。
  37. 久保亘

    久保亘君 それはかなり下回っていると見ておられますか。
  38. 城知晴

    説明員城知晴君) 今申し上げましたのは、平成十年の畜産生産費調査の豚肉の全算入生産費から考えれば、現在の豚肉の生産コストはその時点よりもさらに下がっているだろうと、その時点が枝肉ベースで四百ではなかったか、このように記憶いたしております。
  39. 久保亘

    久保亘君 これはいろいろな計算のやり方もあるんだろうと思いますけれども、実際に発動基準価格を基準に見ました場合に、生産費と肉の価格の相場、販売価格とは非常に微妙な関係になっているというのがよく私どものところに言われることであります。  そこで、私がお尋ねいたしたいのは、この発動基準価格というのは国としては今四百円になっているものを今後どうされるか、今度の審議会にはこの問題について諮問されているのかどうか、その点を伺います。
  40. 城知晴

    説明員城知晴君) まず、地域肉豚制度自体が法律に基づく制度ではなくて、各県の養豚家の皆さん方が自主的に自分たちに対する保険措置ということでおつくりになり、それに県あるいは生産者団体が補助し、現在は国も補助している、そういう制度でございますので、いわゆる審議会にお諮りするような性格のものというふうには私ども考えておりません。正式に審議会に諮問するようなものとは考えておりません。もちろん御検討の対象となるわけでございますが、いわゆる諮問という行為はございません。  この四百円問題につきましては、私ども生産コストを反映した価格にできる限り早く直すことが適当ではないかと思っております。ただ、豚肉につきましては、牛肉自由化以降、年々生産が落ちてまいりまして、そこにウルグアイ・ラウンドも加わっておるわけでございまして、なかなか豚肉生産が、全国では昨年から、主産地でございます鹿児島、宮崎等では一昨年からやっと飼養頭数が上向きに転じたばかりでございますので、私どもといたしましては、平成十一年ということについて申し上げれば、これを維持すべきではないかと考えております。  ただ、先ほど説明いたしましたように、国のお金が出ていきますのは、国以外の方がお積みになったお金がなくなった場合に出ていくわけです。そうすると、国以外の方が幾ら積んでおられるかというのが極めて問題でございまして、一軒当たり低いところは二百数十円、高いところは一千数百円という県間のアンバランスが極めて激しい、先ほど申し上げました日々補てんの県もあれば月補てんの県もあるということでございまして、そういう保証基準価格自体につきましては維持することが平成十一年度にとっても適当ではないかと考えておりますが、県間のアンバランスも含めまして制度の今後のあり方について平成十一年度から検討させていただきたい、このように私どもは思っております。  引き下げろということではなくて、制度の各県間のバランスをどのようにすれば是正できるのか、あるいは是正しなくてもいいのかということも含めまして検討させていただきたいと思っております。
  41. 久保亘

    久保亘君 次に、平成十年度に制度としてつくられました家畜防疫互助基金制度に関してでありますが、これは豚コレラワクチン接種を中止することによってこの制度が使われてくるものだと思うのでありますけれども、過渡的にはこの両方が畜産農家にとっては負担しなければならないものとなっているようであります。  これは二重負担というのかどうか知りませんけれども、両方を負担することを避けられるような措置はとれないのかどうか、このことはどのようにお考えになっておりますか。
  42. 城知晴

    説明員城知晴君) お答えいたします。  豚コレラにつきましては、我が国においては近年その発生を見ておりませんで、我が国といたしましては一刻も早く豚コレラ清浄国に移行したいというのが基本的な考え方でございます。その場合、豚コレラにつきまして清浄国になりますためにはワクチン接種を取りやめることが必要なわけでありまして、いわゆる清浄国には、ワクチンを打っているからきれいな国というのと、ワクチンを打たなくてもきれいな国の二種類ございまして、通常、清浄国と我々が言っております場合は、ワクチンを打たなくてもその病気が発生しない清浄国でございます。  したがいまして、ワクチン接種は現在の状況下においては各県ごとには差がございますが、既に十一年四月からワクチン接種をやめようとしている県もございますし、私どもの理解におきましては、多くの県におきましてワクチン接種をやめても何の問題もないのではないか、このように理解いたしております。  ただ、これは病気でございますので、何らかの時点におきまして、万が一の場合ということを海外との問題その他のこともございまして考えていかなきゃいかぬ。したがって、豚コレラのワクチンをやめました場合に、いざという場合に備えて互助基金というのを現在つくっておりまして、平成十年から十四年までの五年間において一定額を積み立てようということにいたしております。  したがって、この問題につきましては個々の県ごとに差があるのだろうというふうには理解いたしますが、地域の実態に即して、現在、ワクチン接種をやめられる県はやめていただくことによりまして一つのものになる。まだやめられない県につきましては、ワクチン接種のお金並びに家畜防疫互助基金制度の加入金の両方が、先生おっしゃるように二重払いとは我々は思わないのですが、二つ払わなきゃいかぬということがございますので、そういうところにつきましては都道府県等からの補助ということも検討すべき課題だと思っておりまして、現在幾つかの県においてそのような検討が進められている、このように承知しております。
  43. 久保亘

    久保亘君 たくさんの問題がありますけれども、もう一つは、国産の食肉の消費拡大ということとあわせて、原産国、原産地の表示を徹底すべきだという声が強いのであります。JAS法の一部改正を検討されておられると思いますが、この点に関して農水省のお考えをお聞きしたいと思います。
  44. 城知晴

    説明員城知晴君) 私ども、食肉につきましては、消費者の適正な選択に資するという基本的な原則からいたしましても、原産国表示を当然徹底すべき対象品目だと、このように理解いたしております。現在、平成八年四月から、原産国表示というのは食肉につきましては公正競争規約の範囲内におきまして進められております。  この場合、狂牛病の問題があったとか、あるいは牛肉について申し上げれば、諸外国の牛肉と我が国牛肉との間におきましては、我が国の方が品質的に極めて優位にあるものでございますので、我が国の名前的なことを語られる表示があってはいけないということで徹底いたしてきておるところでございます。  したがいまして、現時点におきましては、ほとんどの小売店でそのように表示されているものと理解いたしておりますが、今、先生御指摘の農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律、JAS法の一部改正を今国会で御審議賜る予定になっておりますが、この法律案が成立いたしました場合におきましては、食肉を含みますすべての生鮮食料品につきまして原産国表示の義務づけが必要だと、このように理解いたしております。
  45. 久保亘

    久保亘君 今、当面する畜産政策上の価格問題を含めた幾つかの課題について伺いました。これらの問題の中で、現在審議中の畜産振興審議会に諮問されているものもございます。これらの畜産価格並びに政策は、畜産の将来に非常に大きな影響を持ち、また国民生活に関しても極めて重要な意味を持っているものだと考えております。  こういった問題について、農水省としても前向きにというか、積極的に畜産の拡大、国内生産の拡大の方向を具体的に目標を提示して進められることが非常に重要になってきているんだと思うのでありまして、そういう立場から、価格政策についても、ただ計算式による答えを出すということだけではなく取り組まれることが重要だと思いますので、その点についてのお考えを伺って、私の質問を終わります。
  46. 城知晴

    説明員城知晴君) ただいま先生御指摘のとおりだというふうに理解いたしておりまして、私ども、新たな基本法成立後の基本計画におきまして、我が国畜産の可能な限りの生産拡大ということを目指して計画作成に当たりたい、このように考えておるところでございます。
  47. 風間昶

    ○風間昶君 公明党の風間でございますけれども、まず畜産経営について何点かお伺いしたいと思います。  いわゆるぬれ子の価格について、乳雄子牛について、畜産価格の動向の資料からいきますと、都府県と北海道の生後七日のぬれ子価格を比べた場合、平成八年まではまさに北海道価格が全国価格よりも高かったけれども、九年から、全国で三万八千三百十円だったのが北海道では三万四千二百二十八円と、だんだん逆転が起こって値崩れに陥っている。北海道について言えば、平成二年のときには九万六千三百七十円の高値をつけていますけれども価格そのものは値崩れを起こしているぐらいに下がって、去年の十月は一万一千百四十円と大変な下落率で、八九%近い下落率です。  まず、農水省としてこの原因についてどうとらえ、さらにそれに対する対策をどう考えているのか、お伺いしたい。
  48. 城知晴

    説明員城知晴君) まず、平成二年前後のことにつきましては、当時は牛肉価格が史上最高のときでございまして、牛肉自由化を目前にいたしておったわけでございますが、極めて高値で推移したということから今御指摘のような数値が出てきているものと、そのように考えております。  今、先生御指摘の近年におきますぬれ子価格の低下の原因は何かということでございますが、ぬれ子価格の低下の原因につきましては、基本的には、ぬれ子につきましては一週間から十日で酪農家が育てたものを育成牛農家が引き取りまして、六カ月ぐらい育成して子牛として肥育農家に売る、その肥育農家がまた十五カ月程度肥育いたしまして私どもが食べる牛肉になる、そういう三段階を経ております。したがって、問題となっておりますのは、肉用子牛の価格がこの期間におきまして値下がりを見たということで、肉用子牛農家の収益性が悪化したということがぬれ子価格低下の最大の原因ではないかというふうに思っております。  また、もう一点考えなきゃいけませんのは、平成二年当時と異なりまして、乳牛のおなかから出てくる子牛は必ずしも白黒まだらのホルスタインだけではなくて、和牛を交配しました交雑種、俗称F1と言っておりますが、F1が非常にふえてきまして、市場評価がF1と乳用種そのものとの間に大きな格差が出てきている。そういうさまざまな問題が重なりまして、最終的には昨年の九月時点のあのような価格になったものと、このように考えております。  なお、先生も御案内だと思いますが、その後、若干の持ち直しをしているというのが現在の状況でございます。
  49. 風間昶

    ○風間昶君 対策についてはどうですか。
  50. 城知晴

    説明員城知晴君) したがいまして、この対策につきましては二つの問題があろうかと思います。  一つは、関係している農家の方々の収益性の問題ということが一つあろうかと思います。もう一つは、価格そのものの問題があろうかと思います。  まず、価格そのものの問題につきましては、これはいい子牛を育てていただくのが第一でございまして、まず酪農家の方々がすぐさま手放さずに、一カ月程度ぬれ子を育成していただけないだろうか、保育育成をしていただけないだろうかという対策を今現在講じておりまして、一カ月程度飼っていただきますと大体一頭当たり七千円程度お金をお支払いする、そういう仕組みになってございます。  それからまた、育成牛農家の方々がぬれ子を肥育農家から見てちゃんと使えそうな立派な育成牛にしていただくということが課題でございまして、ここに対しましてもそのような助成策を講じておりますし、さらには乳雄の肥育自体に対しましても助成措置を講じておるところでございまして、すべてを含めまして立派な乳牛雄としての牛肉をつくるということが基本的な課題ではないかというふうに思っております。  それから、収益自体の問題につきましては、極めて高水準にございました配合飼料価格が現在大幅な低下を見ておりますので、各段階におきます収益性は今後かなり改善しつつあると思っておりますので、そういう面からの経営の改善と、またそれに伴います価格への反映、上昇ということも十分期待できるんじゃないか、このように思っております。
  51. 風間昶

    ○風間昶君 今おっしゃった対策がきちっと生産者の方々に目に見える形でなかったからこそ、大変な負債を含めてあえいでいるという現状は知っていらっしゃるわけですか。
  52. 城知晴

    説明員城知晴君) 今、風間先生御指摘の点につきましては、個別具体的な話であるならばそのようなこともあろうかというふうに思いますが、私どもといたしましては、各種事業につきまして、今申し上げましたのは具体的に言いますと、乳肉複合経営体質強化事業あるいは乳用種牛肉生産流通改善対策事業、こういうかたい名前でございますが、こういう事業につきましてそれぞれ簡単な事業内容のものをつくり、関係都道府県並びに関係生産者団体に対しましては周知徹底を図っているところでございます。
  53. 風間昶

    ○風間昶君 次に、畜産環境保全施設整備事業で、ふん尿が土の中に入っていかないように堆肥盤設置事業がありますが、しかし予算が足りないものですから、この堆肥盤に対応する屋根が全部設置されないでいると。そうすると、屋根のない箇所は雨水が吸収されないでじゃぼじゃぼというか、ぬかるみ状態になっている、屋根を設置した部分までこの影響が及んでいるというのも実態上あるわけであります。防水盤というか、堆肥盤が結局は被害を拡大しているということも部分的にあるんですね。  具体的にではないですが、きのう、おとといか、大臣にも公共事業の年次繰り延べを要求いたしました、見直してもらいたいということで。本日は、政務次官にもこの公共事業の年次繰り延べについて見直しのお考えを伺いたい。
  54. 城知晴

    説明員城知晴君) 二分の一補助つきリース事業の問題につきましては、先生今御指摘のように、必ずしも要請に十分にこたえられなかったという面があるのは御指摘のとおりでございまして、この事業につきましては、今回の価格を正式に決定いたします際に、明年度、平成十一年度の事業をどの程度規模にするかということもあわせ決定いたしたいと考えておりますが、私どもといたしましては、畜産環境問題の現在の深刻性並びに、先生御指摘のように、そのような素掘り、野積み的な状況がまだたくさん残っているという状況から見まして、可能な限りこれを拡大いたしまして、できる限り早期に素掘り、野積み状態のふん尿処理は解決していきたい、このように思っております。
  55. 風間昶

    ○風間昶君 今、審議官からお答えになっていただきましたけれども、要するに政務次官にもそのことを、年次繰り延べができないのかというふうに今問うているわけです。とっさのことでありまして政務次官に大変御迷惑をかけていますが、政務次官だっていつまでも政務次官をやっていられるわけじゃないわけですから、議員になったときには当然現場の声を聞いて、年次繰り延べについての御意見を持っていなければならないと私は思うものですから振ったわけです。  それがもしできないということならば、この堆肥盤の設置事業について、多少地域差が出るのはこれはやむを得ないんだけれども、きちんとした堆肥盤ができるように確実に箇所づけをすべきだと思うんだけれども、この部分についてはどうですか。
  56. 城知晴

    説明員城知晴君) まず、各農家の方々あるいは地域で数戸の方が集まってやっておられます堆肥化施設、これにつきましては幾つかのパターンがございます。  一つは、公共事業で実施しているものがございます。装置と一体的に整備しているものでございます。なお、これにつきましては公共事業でございますが、平成十一年度からは装置と直接関係することなく環境施設を整備するような事業を仕組みたい、このように考えております。  二つ目といたしまして、数戸の方々がやる、あるいは畜産農家と耕種農家がやる事業がございます。基本的に非公共事業でございますが、これについても数十億円の堆肥化施設の予算を組んでおります。  さらに、構造改善事業あるいは農産園芸局の事業等におきましても堆肥の関係では幾つもの事業がございます。  またさらに、先生御指摘の事業だと理解いたしておりますが、個々の方が自分単独でやる事業につきましては、いわゆるリース事業というのを設置いたしておりまして、リース事業につきましては、昨年から環境問題の深刻性にかんがみまして、リースをするに際しまして二分の一の補助を行う、こういう事業を行っております。さらに、さまざまな融資もございます。  いずれにいたしましても、そういうありとあらゆる事業を総動員いたしまして、私どもといたしますれば、今後五年間に何とか全国から素掘りと野積みという二つの環境面にも大きな影響を及ぼす問題についての解消を図りたい、このような意識でおります。
  57. 風間昶

    ○風間昶君 事業の種類を聞いているんじゃなくて、箇所づけをきちっとすべきではないかと言っているんですよ。
  58. 城知晴

    説明員城知晴君) 失礼いたしました。  当然そのように適正にさせていただきます。
  59. 風間昶

    ○風間昶君 また、屋根つきのふん尿処理施設、いわゆる堆肥舎について、酪農家畜産家の方々の固定資産税を減免するような制度を、そういう税制優遇を図るべきではないかと思いますが、どうですか。
  60. 城知晴

    説明員城知晴君) 今回御審議をお願いいたします家畜ふん尿の適正化法案でございますが、この適正化法案の対象となります施設につきましては、なかなかゼロとはいかないわけでございますが、固定資産税を二分の一に軽減する、そういう税制上の措置を講じているところでございまして、私どもといたしましてはできるだけ早く御審議を願いたい、このようなつもりでございます。
  61. 風間昶

    ○風間昶君 それはそういうことであるならば審議を促進すべきだと私は思います。きちっとそういうことが腹が決まっていればですよ、農水省の。  もう一つ、今回、水産二法が衆議院でも審議されていますけれども、その中にゆとりある養殖という考え方が盛り込まれていまして、つまり生けすの中に魚をたくさん突っ込んで育ててもストレスがたまる、伝染病の問題がある、食の安全の観点からも問題があるということで、広い生けすの中に伸び伸びと、ということでこの養殖法案もまた用意されているようでありますけれども、同じことは畜産にも言えるのであって、ただやみくもに規模拡大を規模拡大をと言っても、結局、土地にかかる負担も大きくなる。また、牛そのものにもストレスがたまるということになるわけでありますから、経産牛一頭当たりのえさの面積に基準を設けて、それに経産牛の頭数を掛けた奨励金を出すというような制度の導入ができないかと思うんですけれども検討していると思うけれども、どうですか。  検討しているという答えは要らないから。
  62. 城知晴

    説明員城知晴君) ただいま風間先生から御指摘のとおりのような内容の事業をぜひとも明年度仕組みたいということで現在検討を進めておりまして、最終的に価格決定と同時にその内容を明らかにしたい、詰めたい、このように思っています。
  63. 風間昶

    ○風間昶君 決定権のない審議官の答弁だけれども、本当にいいんですね。やるんですね。  それでは次に、食肉の需給見込みについて。  畜産物の需給見通しによれば、平成五年から十七年にかけて、肉類の需要量は年平均で一・一から一・七一ふえることが予測されています、資料によりまして。一方で、世界の食料需給は年々逼迫に向かっているわけであります。例えば、世界自然保護基金は北米地域を中心とした食肉の消費を減らすことを勧告しているわけであります。いろんな試算がありますけれども、世界じゅうで食肉の消費を一〇%減らすだけで穀物の供給が需要を上回るという試算もあります。  そういう意味で、今こそ日本人の食生活を見直す時期に来ているんだけれども、需給見通しの策定に当たって、まず審議会でどのような議論があったのか、伺いたい。
  64. 城知晴

    説明員城知晴君) 現在の食肉の需給見通しにつきましては、現行農業基本法に基づきます農産物の需要と生産の長期見通しの一環として定めているものでございまして、畜産振興審議会の審議を経て定めたという経緯ではなくて農政審議会の審議の中で定められた、そのようなものでございます。
  65. 風間昶

    ○風間昶君 じゃ、農政審議会でどういう議論があったんですか。
  66. 城知晴

    説明員城知晴君) 当時、私は畜政課長だったかと思いますが、当時の話といたしましては、牛肉はまだ伸びるのかとか、牛肉の伸びに伴いまして他の食肉が減るのではないかとか、そのような議論があったかというふうに思っておりますが、詳細には、今現在御発表できるほどの記録は持ち合わせておりません。
  67. 風間昶

    ○風間昶君 これは後できちっと報告していただきたいと思いますが、いかがですか。
  68. 城知晴

    説明員城知晴君) 当時の農政審議会の資料が、多分、企画部会か需給部会だと思いますが、提出し得るようなものがあるのかどうか、私、この場でお約束できるような状況にはございませんが、帰りまして、官房企画室等に今の御指示につきまして相談させていただきまして、御返答させていただきます。
  69. 風間昶

    ○風間昶君 納得できるものではありませんけれども、その努力をぜひしていただきたいと思います。  豚肉と鶏肉の需給見込みがほぼ横ばい状態であるにもかかわらずというかあるんだが、牛肉の消費は伸びていると。単に嗜好の変化という問題で片づけるべきではなくて、じゃどうやって、豚、鶏とのバランスの中で牛肉に対する戦略的対応を考えていかなければならないのかということが問題になるわけでありますけれども、戦略的対応が必要ではないかと思うが、いかがですか。
  70. 城知晴

    説明員城知晴君) 戦略的対応という言葉は非常に難しい言葉でございまして、どのようにお答えすればと思うのでありますが、私ども、豚肉、鶏肉につきましては、現在の国境措置の中におきまして、生産者の方々の大変な御努力によりまして現在の生産水準を維持しているわけでございまして、これらにつきましては今後とも、新たな基本法の策定後になろうかと思いますが、現在の生産力、需要の動向等を見きわめながら生産目標あるいは需要の目標を設定したいと思っています。  ただ、牛肉につきましては、酪農と並びまして我が国の土地利用型農業一つの基軸でございまして、我が国全体の食料自給率なり国土利用のあり方等にも絡む問題でございますので、私どもといたしましては、今後の国内牛肉生産につきまして、可能な限りの生産の拡大、飼料自給率向上をもあわせた生産の拡大を探求したい、このように考えております。
  71. 風間昶

    ○風間昶君 牛肉の輸入にストップ、歯どめをかけるということが全然伝わってこない。私、結構丁寧にやっているつもりなんですけれども、全然それに答えていないです。  それで、肉類についての関税でありますけれども、いろんなコンセンサスが得られるために努力していると思いますけれども、結局、我が国のようないわば消費国が、飢えた子供たちの口に入らないでそういう穀物を牛に食べさせて、そしてまた輸入しているという構図、これは極めて不自然で、飢えた国の子供たちにはそう映っているんじゃないかと思うんです。  関税だけで飼料用穀物が食用穀物に転換できるわけではないですけれども、こういった世界の食料事情の中で、事牛肉に関して言えば、輸入をストップさせられるようなことをとにかくWTOの次期交渉の場の中でも日本は言わなきゃならない。  そういう意味で、我が国としての責任、これは大きいものがあると思いますが、政務次官にそのことを伺って、質問を終わりたいと思います。
  72. 亀谷博昭

    政府委員亀谷博昭君) 先ほど来、風間先生の御高説を伺っておりました。まだまだ勉強不足のところがたくさんありますけれども、これからも頑張っていきたいと思っております。  今の牛肉の問題でありますけれども、世界の食料需給が全体的には逼迫している。そういう中で、我が国でどうするかということになれば、当然、国内生産基本とした食料の安定供給を図っていかなければならないわけであります。そうした観点から、私たちは、肉用牛の生産につきましても、我が国の土地利用型農業の基軸であるというふうに位置づけまして、国際的に対応できる生産の確立を目指していきたい、こう思っております。  ただ、そういった中で、先ほども審議官からお答えを申し上げましたけれども、今、先生お話しの飼料自給率、それが果たしてベストなのかというような御指摘もあると思いますけれども飼料自給率向上ということも肉用牛の今後の問題を考える上で非常に大きな課題でありまして、我が国の純国産の飼料自給率は今二五%、こういうことになっております。国内産の粗飼料の自給率は七八%ですが、純国内産の濃厚飼料の自給率は一〇%、合わせて二五%、こういうことでございまして、今回の農政改革大綱も受けまして、自給飼料基盤の強化、日本型放牧の推進等を内容とした飼料増産推進計画を策定しながら飼料自給率を上げていきたい、こんなふうに考えているところであります。
  73. 風間昶

    ○風間昶君 終わります。
  74. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 日本共産党の大沢でございます。    〔委員長退席、理事三浦一水君着席〕  酪農乳業対策について質問をいたします。  今、酪農経営は、御存じのように、政府の低乳価政策のもとで保証価格が二十数年前の水準に下がってしまっていると思うんです。その結果、離農が後を絶たないというのが実態だと思うんです。そういう中で、不十分とはいえ、農家に年間を通じて乳価を保証してきた不足払い制度があります。この制度は本当にぎりぎりのところで酪農経営を守る役割を果たしてきたと思うんです。ところが、今度の新たな酪農・乳業大綱、これを見ましたら、二〇〇一年にはこの不足払い制度を廃止するということになっていますね。  これに対して、北海道を初め全国の生産者からは、乳価市場原理が持ち込まれたら大変なことになる、価格が下がることはもう明らかだ、これ以上価格が下がったらやっていけない、こういう叫びが上がっているわけですけれども、本当に酪農家経営をこれで保証できるんですか。まずお尋ねしたいと思います。政務次官。
  75. 亀谷博昭

    政府委員亀谷博昭君) 不足払い制度酪農を支えてきたということは事実だと思います。  ただ、不足払い制度につきましては、加工原料乳地域酪農経営の発展に大変貢献をしてきたという反面で、市場の需給動向とかあるいはニーズというものが生産者サイドに十分に伝わっていかない、それからまた乳業者間、いわゆるメーカー間においても原料調達面、製品販売面での競争が不十分で、コストの削減とか新商品の開発を阻害してきたのではないかという指摘もされているわけであります。これは、いわゆる保証価格あるいはメーカーから生産者に支払われます基準取引価格、こういうものを基盤にして設けられておりましたから、ここの数字が固定されているということでそういうような問題点がまた別な角度から出てきているということでもあるわけであります。    〔理事三浦一水君退席、委員長着席〕  そういう意味で、平成十三年度を目途として、乳製品加工原料乳取引価格、これが極めて安定的、固定的、安定的と言うとおかしいのかもしれませんが、固定的になってきた。そういうことで、これを廃止して、実勢価格市場価格取引当事者間に反映されるような形をつくっていきたいというふうに考えているところであります。  ただ、この見直しに当たりましては、再生産の確保、あるいは生産者経営安定を図る水準市場価格が必ずしも達しないということもあるわけでありますから、加工原料乳生産者に対しまして生乳の再生産の確保あるいは経営安定の観点から所要の措置を講ずることが必要というふうに考えておりまして、関係者から成る検討の場を設けて今後この点についてはしっかり検討していきたい、こう思っているところであります。
  76. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 措置を講じたいという言葉でまとめられているわけですけれども、それで本当に経営がよくなるのかというのが酪農家の皆さんの心配なんです。そこはやっぱり希望が持てるような方針を出していただかなかったら私たちはもう審議できないと思うんです。  現在の基準取引価格というのが乳業メーカー生産者の交渉にこれから任されることになったら、価格が下がることはもう本当に明らかだと思うんです。その下落した価格の上に今までの補給金のような規模措置をするというのであれば、とても大綱で言う、今、次官がおっしゃった生産費の問題で、加工原料乳の地域における再生産を確保できないと思うんです。だから、生産者経営の安定を図ると言っていますけれども、やはりこれは図れないと。  私たちは、価格が下落したときの下支え、これがなかったら本当にやっていけないということをもう一度述べたいと思うんです。そういうことになるんじゃないかという心配をしていますが、それは絶対にあり得ないですか。
  77. 亀谷博昭

    政府委員亀谷博昭君) さっき申し上げましたのは、今後検討しますと、こういうことでありますけれども、新たな酪農乳業対策大綱の中でも経営安定措置のイメージということが一応うたわれておりまして、その趣旨としては、さっき申し上げました加工原料乳地域における生乳の再生産を確保して生産者経営の安定を図る、こういうことですけれども、このイメージの中に、確かに市場原理を導入しますから価格が下がっていく。そのときに、今までの生産者補給金ではなくて、今までは価格がある程度固定されていましたから不足払いという名称で乗せていたわけですけれども、これからは市場価格で行われるということになった場合には、不足払いではなくて新たな措置としてある程度のものをきちっと乗せていくということも考えなければいけないだろうと。  それから、市場価格に任せますと、高くなるときもあるわけです、あるいはまた安くなるときもある。そこのところの、高くなったときはどうするか、あるいは安くなったときはどうするか。これにつきましては、さっき申し上げました新たな措置ということで、例えば今、稲作経営安定対策というのがありますけれども、あれは国とか生産者お金を出し合って措置をしているわけですけれども、例えばそういうものも含め新たな検討をしていきたい、こういうことで考えているわけです。  酪農者の方々がこれがなくなったことによって意欲を減退して再生産につながらないということは決してないように、しっかり検討していきたいと思っております。
  78. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 イメージがと言われるけれども、わかないんですよ。高くなったらと、高くなったら当然努力しているんですからいいと思うんですが、下がった場合本当に心配だというのも、下支えがなくなるじゃないかということを心配している。  今、稲作経営安定対策ということをおっしゃいましたけれども、私たち、農家の皆さんも経験しているわけですけれども、この三年間、稲作が暴落した場合、平均してその八割を補てんするということでしょう。その八割の補てんの中には自分が出した負担金も入っているわけですから、何か補てんという言葉はあるけれども、全く下支えがないわけですね。そういう稲作経営安定対策を参考にするような価格保証というのは私はやはり認められないと思いますし、本当に経営計画が成り立たないと思うんです。  ですから、この不足払い制度というのはやっぱり立派だと思うんです、そういう点から見ましたら。継続は不可欠だということを指摘しておきたいと思います。  もう一点、九六年に発行された「食料政策研究」という本があるわけなんですけれども、これは畜産局牛乳乳製品課の木下調整官が講演した内容を私ちょっと見まして、これにこういうことを書いているんです。  二〇〇五年ぐらいの酪農の見通しを問われたこの調整官は、戸数については、今というから九六年ですね、四万四千戸というものが二〇〇五年には大体三万戸ぐらいになるのではないかと思われるというように指摘しています。その三万戸のうち、一万戸は北海道で二万が都道府県だと、こういうふうに述べているわけです。だから、話をされた三年前に四万四千戸だったわけで、今、約三万七千戸に激減しています。だから、さらにこれから七千戸が数年で減るということになるわけで、これはひどい状態になると私は思うんです。  私も、昨年十一月、北海道調査に行ってまいりました。そこで厚岸町の酪農家の皆さんと懇談をしたんですけれども、今の乳価では本当に息子に継がせることはできないとはっきりとおっしゃるわけです。それもそのとおりだと思うんです、本当に。その上に、今申し上げました不足払い制度の廃止ということになったら、私は、この七千戸が切り捨てられるというところにとどまらず、日本酪農農家の方たちが危機に瀕するのではないかという不安を覚えます。  もうごらんになったと思いますけれども、せんだっての三月十四日の毎日新聞にもこういう宣伝が載っていました。中央酪農会議の意見広告です。こういうふうに言っています。「酪農を続けられる国でありたい。」、日本酪農家はもうぎりぎりのところで頑張っているんだと、こういうふうに宣伝をしておられます。  だから、本当にだれもが酪農の将来に不安を抱いて、不足払いが廃止されたら大変だ、農家の経営はどうなるのかと心配しているわけです。ですから、繰り返しますけれども、この不足払い制度廃止は撤回して、より充実していただきたい。  この廃止のねらいは、次官、WTO協定への対応としての国内助成の削減が打ち出されたわけです。ですから、やはりこのWTO協定に問題があると思うんです。私たちは、国内の不足払いの廃止でなくて、協定の改定こそ今努力すべきだと思います。  政務次官、どうお考えですか。
  79. 城知晴

    説明員城知晴君) 先生当然御承知のことと存じますが、我が国生乳生産量は現在八百六十万トンぐらいでございまして、政府価格を支持しておりますのはそのうちの二百四十万トンでございます。過半のものは現在も市場取引がなされ、市場実勢を反映した価格形成がなされているわけでございます。  今回の私ども検討いたしております新たな制度と申しますのは、決して北海道あるいは加工原料乳地域の再生産確保という現行不足払い制度の目的、これをなくす、そういうことを申し上げているつもりは全くないのでございまして、引き続き加工原料乳地域におかれては飲用乳地域との間において一定の不利性というのは否定できない、その不利性に着目いたしまして、通常生ずるであろう取引価格と再生産のために必要な価格との間を、現在のような上下を全く政府が決める価格なのではなくて、自由に動いてもいいけれども、その間の不足分を政府といたしまして、新たな措置と言っておりますが、名前としては補給金という名前になるのかどうか、ちょっとまだ検討中でございますが、交付するというものでございますので、決して不足払い制度をやめたがゆえに我が国酪農が崩壊する、そのようなことを目的にしているものでは全くございませんので、念のため補足して説明させていただきます。
  80. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 WTO協定のこと。
  81. 亀谷博昭

    政府委員亀谷博昭君) 四月から関税化移行ということで法律案の御審議も国会に今お願いいたしているところでありますが、WTOに向けましてはこれからミニマムアクセス米をどうするか、こういう問題も絡めてしっかり我が国としての対応をしていかなければいけないと思っているところであります。そういう中で、今お話しの問題も、次期WTO交渉の中で我が国考え方の中にどう位置づけていくかということはこれから検討させていただきたいと思っております。  なお、今、審議官からお話し申し上げましたが、不足払い制度という名前がなくなることによって不安を感じておられる。これは市場動向に価格をゆだねるということによって不足払いという名称がなくなるわけですけれども、実質的に、今、審議官が補給金という名前になるかどうかということをちょっと申し上げましたけれども、やっぱり再生産を確保するという意味では何かの形でしっかりした支えはしなければいけない。それと同時に、例えばということで稲作経営安定対策のようなことを申し上げましたけれども、もう一つそういうものも考えられていくのではないか。そういうことを含めてこれからしっかり具体的な検討をしていきたいと思います。  価格市場動向にゆだねることによって不足払い制度という名前はなくなりますけれども、決して酪農家の皆様方の再生産の意欲を損なうようなことがないようにしっかり取り組んでいきたい、こう思っております。
  82. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 今後、下支えをしっかり支えていくという方向を示しながら、また論議を続けたいと思います。  もう一点、新たな質問なんですけれども、学校給食用の牛乳供給事業について一点お聞きしたいと思います。  これは、御存じのように牛乳の供給は児童生徒にとても良質のたんぱく質、カルシウムを供給していると思うんです。体力向上にも確かに役に立っているし、牛乳消費の定着、拡大にも寄与していると思うんです。  ところが、政府は、「引き続きその推進を図ることが必要である。」と書いてあるんですが、その一方で、二〇〇〇年から「そのあり方を見直し、」と大綱には書いてあるわけです。私は、推進を図るというのであれば現在の補助金制度は絶対に維持していくということを申し上げたいんですが、その点は間違いありませんか。
  83. 城知晴

    説明員城知晴君) ただいま先生御指摘のように、学校給食事業につきましては私ども極めて重要な事業だと、このように認識いたしておりまして、法律に基づき実施している事業でございます。今回の新たな酪農乳業対策大綱におきましても、学校給食は今、先生おっしゃいましたような役割を果たしているということを正式に明示いたしました。  ただ、学校給食自体はそのように極めて重要だし、今後とも推進すべき課題だと思っておりますが、具体的な事業の進め方といたしまして、納入業者が極めて固定的なのではなかろうかとか、あるいは現在の農林水産省から補助いたしております補助金が実質零細ではないか、零細補助金になるのではないかとか、そのようなさまざまな御指摘も賜っておりまして、私どもといたしましては、現在実施いたしております学校給食の重要性を頭に置きながら、具体的な事業のあり方につきましてさまざまな御意見も踏まえ、より効率的なやり方はないのかという観点からこの四月以降検討させていただきたい、そういうことを記載したところでございます。
  84. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 重要性は認識してくださっているようですので、補助金制度については守るということを特に強く申し上げて、次の質問をしたいと思います。  肉用子牛生産者補給金制度についてお聞きしたいと思います。  この制度は四つに区分されていますが、それぞれに保証基準価格が決められています。区分の一つの肉専用種以外の品種が今問題になっていると思うんです。これは生産者団体からも要請が上げられていますので御存じだと思うんですが、肉用種と交雑種の区分を分けてほしいという要請が全中などからも上げられています。制度の見直しを求めたいと思いますが、いかがですか。
  85. 城知晴

    説明員城知晴君) 乳用種と交雑種の両方が現在、肉専用種以外の品種に入っておりますことにつきましては数年来の懸案事項になっております。これにつきましては、今、先生御指摘のように、分離すべきではないかという要請を私どももいただいておりますし、私どもが現地で調査いたしましても分離可能ではないかというふうに考えております。  ただ、分離いたしますとプラスになったりマイナスになったりということが出てくるかと思いますので、これから生まれてくる子牛の種つけは既に終わっておりますので、この四月からではなくて明年四月から分離させていただきたいというふうに考えております。正式に決定次第、全国の関係の方々に趣旨を徹底いたしまして、明年四月からは乳用種と交雑種は別のグループになるんですよ、保証基準価格も別のものなんですよということを十分に周知徹底を図っていきたい、このように思っております。
  86. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 生産者の期待にぜひこたえていただきたいと思います。  あと一分だけありますが、先ほどもぬれ子の価格の問題で質問がありましたけれども、この問題については自由化前は十万円ぐらい価格がしていたのに今大変な事態になっている。根室管内でも去年二億ぐらいの損失があったという組合長さんの報告が新聞に載っておりました。  これは、私は、牛肉の自由化によって輸入牛肉が国産肉を圧迫して、肉牛の農家がぬれ子を買える状態を失っている結果、こういうことになっているんじゃないかと思うわけです。ですから、牛乳関税収入をここに使えるという、いわゆる特別措置法の十三条に基づいて、ぬれ子も含めた補給金制度というのが私は今求められているんじゃないかと思いますが、その点を質問して、私は終わります。
  87. 城知晴

    説明員城知晴君) 先ほどもお答え申し上げましたように、ぬれ子につきまして乳雄の枝肉価格が低下いたしてきていることが育成牛に響き、結果としてぬれ子が大幅な低落を招いたのは御指摘のとおりだと思っております。  ただ、ぬれ子自体を対象とする価格安定対策ということはなかなか困難な課題ではないかと思っております。なぜかと申し上げますと、ぬれ子自体につきましてはあくまでも酪農経営の副産物でございまして、本日、畜産振興審議会に諮問いたしております乳価につきましても、ぬれ子価格が副産物として計上され、それが大幅に低下しているということで計上いたしておりまして、結果として乳価の引き下げ要因になっておるわけでございます。  また、副産物でありますぬれ子につきまして適正な価格というのもこれまた非常に難しい課題でございますし、基本的には主産物である生乳において再生産を確保するというのが本筋の課題なのではなかろうか、このように思っております。
  88. 谷本巍

    ○谷本巍君 初めに、酪農の現状をどうとらえておるかということについて伺いたいと存じます。  酪農家の戸数は激減状況、そういう状況の中で頭数を見てみますというと、平成五年以降これまた減少傾向。こんな状況の中で一頭当たりの搾乳量をふやすことで生産が横ばい状況ということです。こうした現状をどうとらえておられるでしょうか。危機的状況というふうにとらえておるでしょうか。
  89. 城知晴

    説明員城知晴君) ただいま御指摘のとおり、飼養頭数規模につきまして最近やや減少傾向に入っております。これは基本的には一頭当たり乳量の伸びが最近極めて大きいものがございまして、前回の生産費調査でも二・二%という数字が出ておったと記憶いたしておりますが、そういう状況の中で、他方、飲用乳を中心といたしまして牛乳乳製品需要が現在やや停滞ぎみにございまして、その両方の面からそのような頭数になっている、このように理解しております。  ただ、いずれにいたしましても、現在、酪農経営全体といたしまして、極めて優秀な方々が酪農経営に取り組んでいただいておりますし、所得水準なりいろんな面から見ましても日本農業を支える集団であるというふうに考えておりまして、今後ともその育成、確保ということを考えていきたい、このように思っています。
  90. 谷本巍

    ○谷本巍君 乳量がふえたから頭数がふえなくてもいいような状況になってきたと、私は逆だと思うんです。  それは、今言われているのが自然酪農ということですね。今までのような無理な搾乳やり方というのはもうやめていこうという話が大方の話だったんじゃないんですか。一頭当たり乳量がふえることでつじつまが合っているなんというような状況というのはこれは時代逆行ですよ。私はそう思う。  問題はそれだけじゃありません。これまで多頭化を進めてきた、そうすると生産性が上がる。ところが、価格の方はどうなるかというと、生産性向上すればするほど下がってくる。そんな状況の中で、多頭化が進みますというと今度はふん尿がふえてまいります。この負担がまた大変だ。そして、そういう状況の中で、今や労働時間は三千時間前後というのが多くなってきましたでしょう。もう限界ですよ。価格が下がったら今度はまた多頭化でもって対応しましょうといっても、できっこないような状況まで今来ている。まさしく危機的な状況に来たのではないのか。  机の上の数字で見たんじゃ、実態とはまるで違いますよ。だから、そういう実態をきちっととらえた立場でもって対処するということが私は大事になってきたと思うんです。その点どうお考えですか。
  91. 城知晴

    説明員城知晴君) 北海道を中心といたします我が国酪農経営全体を通じて見まして、先ほども申し上げましたように、一定の数の方が負債を抱えておられる。そういう状況は我々も十分承知いたしておりますが、酪農経営全体として見た場合においてはかなり収益性、経営状況等は改善されつつあるものと考えております。  ただ、例えて申し上げますと、私どもの保証乳価でございますが、今回のものじゃなくて前回と前々回を平均したものでございますが、保証乳価でどの程度の対象農家をカバーしているんだろうというふうに試算いたしますと、約四分の三強の方を保証乳価でカバーしている。四分の三強の方々が保証乳価以下の生産費になっているというのが実績でございまして、言葉をかえて申し上げれば、四分の一程度の方は保証乳価より高いわけであります。ただ、こういう場合に、どの程度のレベルで保証乳価を決めるのが適切かというのは極めて難しい問題だと、このように理解いたしております。  いずれにいたしましても、そういうことで規模拡大を中心に進んできた我が国酪農経営でございますが、これからの行き先といたしましては、必ずしも規模拡大だけがいいわけではございませんし、また私ども平均二千六百数十時間と思っておりますが、これを前提に、若い方々が我も我も酪農経営をやりたいということもなかなかこの労働時間の関係におきましては難しい面も出てきたように理解いたしております。  それぞれの経営ごとに、規模拡大をさらに図って、頭数の拡大をさらに図っていこうとする方もいらっしゃるでしょうし、先ほど乳量の話が出ましたけれども、牛群検定の農家と非検定農家では搾乳量に年間約一千七百キロの差があるという状況もございますので、こういう非検定農家の方々につきましては、いわゆる山地酪農的なことをやるのは別でございますが、それ以外でやるならやっぱりもう少し乳量のアップということも考えてもらわなきゃいかぬだろう。  規模拡大一辺倒ではなくて、さまざまな道で自分たちの酪農経営向上を図っていく、それに対して政府がさまざまな事業を用意して支援するということが今後必要になるのだろう、このように思っております。
  92. 谷本巍

    ○谷本巍君 審議官、そういう話を私は聞いているんじゃない。端的に答えてください。私、二十分しか時間がないんだから。  問題を指摘しているんです、事実をもって。だから、そういう事実に対してどう対処するのか、それだけを答えてくれればいいんです。長々とやられたんじゃ、こっちはあとの質問が予定どおりにいかなくなってしまいますよ。  だから、そういう事実がある、そういう事実を踏まえて対処するなら対処する、それだけ答えてください。
  93. 城知晴

    説明員城知晴君) 一部、農家にそのような事実の農家がいらっしゃる、このように理解いたしております。  それらの方々に対しましても、負債農家対策等で対処していきたい、このように思っております。
  94. 谷本巍

    ○谷本巍君 それは一部じゃないですよ。  それは、今までの規模拡大というのは、隣の人がつぶれたら隣の人がそれを今度は引き受けてやっていきますということでやってきた。そういうパターンがもうやれなくなってきているところに今日的な酪農危機があるんですよ。だから、もっと実態をきちっと調べた上で御発言いただきたい。  さて、時間がありませんので先へ進ませてもらいます。  新制度のことについて話を聞きたかったんだが、ちょっと時間がなくなってしまいました。それで、新制度絡みで、続いて亀谷政務次官に伺いたいのでありますが、先ほど、経営安定対策問題について大沢委員かの質問の中で、米と同じようでは困りますよという指摘がありました。これは私も同感なんです。  米の場合は、それは下がった価格に対して八割、どんどん下がっていけば再生産の確保はできなくなるじゃないかというような問題点がある。それでも米は赤字でもやれる人が結構いるんですよ、兼業農家という。酪農はそうはいきませんよ。専業農家が圧倒的です。  そういう問題と、もう一つ大きな問題は、加工原料乳が再生産の確保ができるような状況でなくなった場合に、飲用乳市場にこの加工原料乳が回されてくる可能性が極めて大きくなってきます。そうなりますというと、これはもう加工用原料乳だけの問題じゃなくて、日本牛乳の総生産全体が縮小されていくような状況になってくる。  きょうの質疑の中で、審議官は自給率を上げていきたいということを言っていましたね。自給率を上げていくような状況では全くなくなってくる。それだけに、特に酪農牛乳経営安定対策については価格を下支えするという性格を持ったものじゃないと、これはとても自給率の維持ということにはいきません。この点どうお考えでしょうか。
  95. 亀谷博昭

    政府委員亀谷博昭君) 現在は、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、基準取引価格、いわゆるメーカーから生産者に払う価格、それと生産者の再生産のために必要な保証価格、この差額を不足払いということで手当てをしているわけですけれども、これからの考え方としては、基準取引価格が下がっていく可能性がある。しかしながら、現在生産者保証価格として考えている水準、ここはきちっと維持したい。そのために、今の名称で言えば不足払いみたいなものですけれども、ここはどういう名称にするか。それから、仕組みももう少し考えなければいけませんが、基本的には、例えば補給金か何かの形で現在の生産者が受け取っている水準というものはきちっと確保する手だてを講じたい。一つはそう考えております。  ただ、市場価格ですから、上がっていったり下がっていったりします。そこで、激変した場合にそこをどうするかというのが課題でありますので、ここは私は、一つの例として稲作安定対策みたいなものもありますということを申し上げたんですが、これはこれからの検討ですけれども、この激変措置については、生産者の方々にも主体的に参加をしていただく中でしっかりした新しい措置を講じていかなければいけない、このことは第三者も含めた機関でしっかり検討したい、こう思っているところでございまして、いわゆる二段階みたいな形を今考えております。
  96. 谷本巍

    ○谷本巍君 政務次官、なぜそこのところが重要になってくるかといいますというと、不足払い制度を廃止して二〇〇一年から新たな制度に移るというのだが、ここじゃ政務次官も御存じのように、安定指標価格も事業団売買操作も全部やめてしまいます、そしてそれにかわって酪農家生産調整指定団体のブロック化による取引でもって価格を安定させようと、こういう構想になっています。  ところが、これがうまくいくのかといいますと、御存じのように、生産調整をやっても酪農の場合は米以上に天候次第でもって需給関係が変わっちゃう、そういう問題が一つあります。それからまた、指定団体のブロック化でメーカーと対等に交渉できるようにしようと役所の事務当局はおっしゃるんだが、必ずしもそうはいかない。それは総合農協でいいますというと、大型合併をやった、寄り合い世帯になった、そのために指導力が発揮できなくなって全体が沈没していくような例がしばしば出てくる場合があるというような例と似たような状況がブロック化の中で一部の県では起こる可能性もあります。それにまた、今までの乳価交渉などを見ていましても、需給関係が相当締まっている中でも乳価を下げられたというようなこともちょいちょいあったわけです。  そうしたこと等から見ますと、最後のところは結局どこへ来るかというと、経営安定対策です。ここがしっかりするかしないかでもって全体が決まっていくという可能性が高い。それだけにしっかりやっていただきたいと思うのだが、再度ひとつその辺の御決意について聞かせていただけませんか。
  97. 亀谷博昭

    政府委員亀谷博昭君) 酪農の皆様方は大変寒いときでも朝早くから、ある意味では、さっき三千時間というお話がありましたが、かなりの労働時間を費やしながら努力をしておられるわけで、私たちとしてもその生産意欲をしっかりとかき立てる、維持するではなくてもっとさらに生産意欲を持っていただくような対策をしっかり講じなければいけないと思っておりまして、先ほど申し上げたようなことを基本にしながらこれからしっかり検討してまいりたいと思っております。
  98. 谷本巍

    ○谷本巍君 それから、時間がなくなってきていますから簡潔に答えていただきたいんですが、乳業の合理化問題です。  一工場当たりの年間の処理能力は日本は一万トンだと。これはアメリカの四分の一、オーストラリアの八分の一だという数字等々が挙げられてくる中で、中小のメーカーはもうつぶしていって乳業の思い切った再編合理化をやった方がよろしいのではないかという声が出始めております。  そういう中で、中小メーカーというのをつぶしていいのかどうなのかということについて、私は地場生産、地場消費という意味の中からここのところはそうはいかないのじゃないかという問題意識があるのだが、事務当局はどんなふうに考えておりますか。
  99. 城知晴

    説明員城知晴君) 我が国牛乳乳製品生産コストあるいは消費者への販売コストを引き下げる上ではやはり乳業工場合理化というのは避けて通れない課題だと、このように思っております。  ただ、それはすべて一つにすればいいとかつぶしていけばいいということを申し上げているわけではなくて、各地域地域において工場の数も配置も違いますし、現実に果たしている役割も違うわけでございますので、今、先生がおっしゃいましたような地域酪農と密接な関係のもとに地域の酪農を支えている乳業でありますれば、そういう乳業が自分たちの努力合理化することを私どもとしても支援していきたい、このように思っております。
  100. 谷本巍

    ○谷本巍君 お願いしておきたいのは、この場合、牛乳というのを経済の産物としてとらえるか食物としてとらえるか、これによって私は大きな違いが生ずると思うのです。食物としてとらえた場合は、牛乳の場合も生産と消費が接近しているのが好ましいということが最近強調されるようになってまいりました。細菌数の問題もありましょう。それからまた、牛乳は生き物でありますから、遠距離輸送などをやりますというとかなりのストレスが生ずるといった問題等々があります。欧米のオーガニックミルクの問題にしましても、最近はやっぱり生産と消費の距離が近い方が好ましいというようなことが言われるようになってまいりました。それだけに、地場生産、地場消費と申しましょうか、その辺のところを重視した配慮をひとついただきたいということをお願いしておきたいと存じます。  そして、最後に伺いたいと思いますのはことしの乳価にかかわる問題であります。  この間、長野の方の話を伺いました。四十頭、それを二人でやっている場合であります。手取りが現状は八十八円でありますが、八十五円を切るとこれはちょっと大変だな、お手上げですねという話が出てまいりました。それからまた、北海道の北見の方でありますが、これは百二十頭飼って、三人でやっている方であります。手取りが現状八十円でありますが、七十八円になるとこれはえらいこっちゃというような話が出ておりました。  やっぱり全体として見ますというと、かなり今までとは違って二、三円の勝負という感じになってきている。競争が激しくなってきますというと、どうしても低マージンで大量生産の形態が出てくる。酪農の場合も似たような状況が出てきたなというような印象を私は受けております。  それだけに、一つの問題としては生産性向上メリット還元、これはひとつ全面的にやってほしい。先ほども申し上げましたように、多頭化をやれと言うのであればやれるような価格政策というのが大事だと。そういう点では、生産性向上メリットというのをどうもなかなか思うように還元しないというようなあり方に大きな価格政策上の問題点があったわけでありますから、そこのところをひとつ配慮してほしいということと、現行乳価水準を維持してほしいということであります。  ことしと来年の乳価水準がどうなるか、そのことによって新制度に移った場合の補給額、これは固定額でやっていくわけでありますから、それが決まっているだけに、ことしと来年の乳価決定は非常に大きな大事な意味を持っているわけでありますから、その点をひとつ配慮していただきたいということを申し上げて、お答えをいただきたいと存じます。
  101. 城知晴

    説明員城知晴君) 酪農家の方々の生産性向上努力の還元につきましては、先生御承知のように、従来から乳量労働時間について行ってきたわけでございますが、本日諮問いたしました本年の乳価につきましては、従来の調整措置に加えましてさらに労働時間について調整を加えております。基本的な考え方といたしましては、先生もるるおっしゃいましたが、規模拡大だとか乳量増加の結果といたしまして一キログラム当たり労働時間が大幅に減少するということでございますので、そこのところに特段の配慮が要るのではないか、そういう考え方によるものでございます。
  102. 谷本巍

    ○谷本巍君 終わります。
  103. 阿曽田清

    阿曽田清君 自由党の阿曽田でございます。  先ほどから質問が出ておりました中に、風間委員や大沢委員から質問されておりましたぬれ子の価格、これは非常に安いんじゃないか、その対策を講じるべきではないかというようなお話がありました。審議官からは、副産物だからしようがないよというような御意見もちょっと漏れたんですが、これは農業者の方が聞けば大変怒る話になりますよ。  それと、収量が昨年減ってきたというようなことで、収量が減少してきたということは消費が減ってきたからであるというようなお話がありました。そうじゃなくて、いわゆる黒毛和牛の種つけが最近特にふえてきておる。特に、内地では五〇%、北海道でももう既に一番新しいデータでは二〇%、F1が生まれてきておるわけです。このことが、私は当然のことながら頭数が減っていくという方向へつながってくる、それが収量の減につながってきておるというふうに私は感ずるわけであります。  ですから、このF1がふえていくことによって将来、搾乳元牛の確保という観点からして大変危惧するわけであります。  昨年、竹中審議官は、心配だというような話をされたのが三年たったら大変な酪農界の問題になるよと私は指摘をしたんですけれども、その兆候がもう既にあらわれてきているんじゃないかなというふうに思いますが、政務次官、いかがでございましょうか。
  104. 亀谷博昭

    政府委員亀谷博昭君) 先ほども御議論がございましたが、いわゆる四種類に分けているうちの肉専用種以外の品種、これの中でのいわゆるホルスタインと交雑種子牛、かなり価格にも倍ぐらいの開きが出てきておりまして、お話がありましたように、交配状況北海道は二〇%、他県は低いところでも四八、九というところで五〇%を超えてきている。  こういう状況を踏まえまして、今後の生産につきましては酪農家自身の経営的な判断が基本ですから、正しい情報をまずしっかりと伝えていこうということで、このための判断材料となります肉用牛への黒毛和種の交配状況、こういうものは平成八年度から情報提供をするようにまず一つはいたしております。  さらに、生産性向上のために優良な後継牛の確保による乳用牛の改良が重要であるということでありますので、今年度新たに自家用を上回って優良な乳用後継牛を生産する酪農家に対しまして奨励金を交付する制度を取り入れておりまして、一定要件を満たす交配を実施する場合には一交配当たり千五百円というような奨励金を出しているところであります。  先ほど、この二つの区分をこれから見直しますということも審議官から申し上げておりますが、そういうことも前提にしながら取り組んでまいりたいと思っております。
  105. 阿曽田清

    阿曽田清君 熊本でちょっとデータを調べてみましたら、平成十年六月でありますが、前年対比六・六%の減なんです、育成牛が。北海道から千頭ほど導入しているというような状況でございまして、どうぞひとつそういう確保対策というものに対して本気で取り組んでいただかないと、後で足らなくなってきたよというようなことになっては畜産行政の過ちになりますので、よろしくお願いしたいと思います。  私は、公正取引委員会に質問をちょっといたします。  おとといの新聞に、牛肉等食肉の二重価格表示が不当表示防止法違反として公正取引委員会が警告をいたされた記事が出ておりました。この経緯をまず教えていただきたいと思います。
  106. 山田昭雄

    政府委員(山田昭雄君) 御質問の食肉の不当表示の経緯ということでございますが、三月十五日に大手スーパー七社に対しまして、食肉の二重価格表示、これが不当表示に当たるものといたしまして警告いたしました。  この事実関係でございますが、昨年の九月から十一月にかけまして私ども調査いたしまして、七社の各一店舗の一、二品目、合計十一品目の牛肉等につきまして価格表示を調査いたしました。各品目とも、例えば当店通常売価百グラム五百八十円の品三百グラム、これは千七百四十円に当たるんですが、これを九百八十円というように比較対照価格を実売価格に併記いたしまして、あたかも通常価格よりも安いかのように表示していたわけでございます。  こういった当店通常売価と言っているような比較対照価格というのは販売実績が全くない、あるいはほとんどないものでございまして、そういうこともございまして、七社に対しまして、このような表示が食肉の販売価格について実際のものよりも著しく有利であると一般消費者に誤認されるおそれがあるものであるといたしまして、景品表示法に違反するおそれがあるとして警告を行ったものでございます。  以上でございます。
  107. 阿曽田清

    阿曽田清君 公正取引委員会の中に食肉公正取引協議会というのがありますね。これは小売店とかそういう消費者サイドといいますか、小売サイドの方々で構成されている。その方々で表示の規制をお互いにやっていこうということであるわけでありますが、これが役割を果たしていないんじゃないかと。小売サイドの方々で構成している協議会、この中に全く同じ自分たちが商売をしている者同士で表示の規制をやろうといったってそれは守れっこないわけなんです。生産者団体サイドからの協議会への加入といいますか、メンバーに入るということはできませんか。
  108. 山田昭雄

    政府委員(山田昭雄君) 景品表示法という法律、これはふだん日常の販売活動に当たりまして広告表示を行っておりますので、国あるいは地方自治体がこれをすべて規制するというのは非常に不可能でございまして、先生おっしゃるとおり、食肉の表示につきまして業界で自主ルールをつくりまして、それを公正取引委員会が認定するということで、公正競争規約というものがございます。食肉の小売店が中心になりまして全国食肉公正取引協議会というところで公正競争規約をつくりまして、そして自主ルールと申しまして、それぞれがお互いに商売をやりながら表示を適正にしていこうと、本件でいえば価格表示を適正な価格表示にしていこうということをルールを持ってやっていたわけでございます。  お尋ねの、生産者団体が入れるかどうかということ、食肉の公正競争規約あるいは施行規則という組織の規程がございます。手元に今ないものですから、直ちに会員になれるかどうかということをお答えできませんが、これはいずれにいたしましても、それぞれの団体が自主的に自分たちでそういったルールをつくって、それを守るためには一体どういう組織にしたらよいかということも自主的にやっているものでございますから、国として入った方がいいとか、入れるかどうかというのもまずはそれぞれの協議会が決めていく、こういう仕組みになっているわけでございます。  手元に今ないものですから、現行の規約で入れるかどうかということをちょっとお答えできなくて申しわけございません。
  109. 阿曽田清

    阿曽田清君 自分たちで自主的にルールをつくってやっていこうというところに問題があったわけですから、その中にいわゆる生産者団体サイドの方も入って、ともに監視的な機能といいますか、そういうものを持たせた方がいいのではないかなというふうに私は思いますので、そういう観点検討もいただきたいと思います。  最後に、こういう二重価格表示というのは食肉だけじゃなくてほかのものにもかなり出ているようであります。したがって、ルールのあり方といいますか、根本からある意味では見直していくべきではなかろうかなというふうに思います。  そして、政務次官、恐らく同じ肉の中でも海外から入ってきている肉と国産の肉と全くわからない。しかし、これはオーストラリア産ですよ、国内産ですよとやったらそれが正解になっちゃうというようなことも、やはり消費者にとってはそれは正しいといいますか、優しい行政じゃなかろうというふうに思いますので、将来の課題としてその点ひとつ十分詰めておいていただきたいと御要望申し上げまして、終わります。
  110. 野間赳

    委員長野間赳君) 本件に対する質疑はこの程度といたします。  和田君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。和田洋子君。
  111. 和田洋子

    ○和田洋子君 私は、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、社会民主党・護憲連合、自由党及び二院クラブ・自由連合の各派共同提案による畜産物価格等に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     畜産物価格等に関する決議(案)   我が国畜産酪農は、食肉、牛乳乳製品等国民生活に不可欠な食料の安定供給という基本的な使命に加え、地域社会の活力維持、国土・自然環境の保全等多様かつ重要な役割を果たしている。しかしながら、近年、畜産物需要の伸びが総じて鈍化する中で、ウルグァイ・ラウンド合意による牛肉及び豚肉の関税の引下げ、畜産物輸入の増大、担い手の減少・高齢化、畜産環境問題の深刻化等極めて厳しい情勢に直面している。   よって政府は、こうした情勢を踏まえ、平成十一年度畜産価格決定に当たっては、次の事項の実現に万遺憾なきを期すべきである。  一 我が国酪農の健全で持続的な発展を期するため、生産者・乳業者等の創意工夫と自主性を生かし、ゆとりある生産性の高い酪農経営と効率的な乳業の実現に向け、酪農経営の安定と所得の確保を図る等総合的な施策を講ずること。  二 加工原料乳保証価格については、農家が意欲と希望を持って営農に取り組めるよう、再生産の確保を旨として適正に決定するとともに、加工原料乳限度数量については、生乳生産事情、牛乳及び乳製品の需給事情を考慮して適正に設定すること。    また、近年における飲用乳需要の減少傾向にかんがみ、牛乳及び乳製品の自給率の向上を図るため、輸入乳製品との競合・原料代替性のおそれが少ない液状乳製品及び国産ナチュラルチーズの生産振興対策を推進すること。    さらに、ゆとりある経営の実現に向け、酪農へルパー、コントラクターへの支援対策を今後とも積極的に推進すること。  三 牛肉及び豚肉の安定価格については、畜産農家の経営の安定が図られるよう、再生産の確保を旨として適正に決定するとともに、肉用子牛の保証基準価格については、繁殖農家の経営の安定が図られるよう、再生産の確保を旨として、また、合理化目標価格については、我が国の肉用子牛生産の実態等を勘案して、それぞれ適正に決定すること。    また、肉用牛生産基盤の縮小が懸念されている実情にかんがみ、繁殖雌牛飼養頭数の拡大並びに生産の安定を図るための支援対策の充実を図ること。  四 飼料基盤に立脚した畜産酪農を確立し、飼料自給率向上生産コスト低減を図るため、草地の造成・整備を計画的に推進するとともに、既耕地・低利用地等の畜産酪農家への土地利用の集積対策、優良な草種・品種の開発・普及対策、林地や公共牧場等の活用による放牧利用の促進対策、飼料用稲の技術開発を推進すること。  五 学校給食用牛乳供給制度は、牛乳飲用習慣の定着化を図る上で極めて重要な制度であることにかんがみ、今後とも引き続き供給促進対策を確保するとともに、望ましい助成措置の在り方を検討すること。  六 畜産業の持続的発展に資するため、経営継承・担い手対策を含めた畜産経営に対する財政、金融、税制に係る支援の適切な運用等の諸施策を講ずるとともに、家畜排せつ物処理施設の整備等の畜産環境対策、堆きゅう肥の生産流通促進対策、家畜改良促進対策、家畜衛生・防疫対策、原産国表示の徹底を含めた表示の適正化等を推進すること。    また、食肉の輸入急増に対する関税の緊急措置及び特別セーフガードの適時・的確な発動を行うこと。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  112. 野間赳

    委員長野間赳君) ただいま和田君から提出されました決議案を議題とし、採決を行います。  本決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  113. 野間赳

    委員長野間赳君) 全会一致と認めます。よって、和田君提出の決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、亀谷農林水産政務次官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。亀谷農林水産政務次官。
  114. 亀谷博昭

    政府委員亀谷博昭君) ただいま六項目にわたる御決議をいただきました。この御決議につきましては、その趣旨に従いまして、最近の畜産をめぐる情勢を踏まえつつ、十分検討してまいる所存であります。
  115. 野間赳

    委員長野間赳君) 本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十七分散会