○前川忠夫君 それでは、できるだけ
法案に絡んでお伺いしたいと思うんですが、既に何度も
議論をされていましたので、また
質問しても同じ答えが返ってくるのかと思うと多少割り切れなさがあるんですが、例えば
日本の平和と安全に重大な
影響を与える
事態、いわゆる
周辺事態の定義です。
〔理事竹山裕君退席、
委員長着席〕
これまでのいろんな
議論を積み重ねてまいりまして、またわからなくなってきているんですが、先般来の
議論の中で、例えば地球の裏側のようなところ、それから中東のようなところ、それからこれまで言っているようないわゆる極東というところ、具体的なものをイメージしているわけでは必ずしもないというお話がありました。
そうしますと、
周辺事態というのは
世界じゅうどこでも
対象になるのかという、また話がもとに戻ってくるんです。確かに、地球の裏側といいますとブラジルとかアルゼンチンとかということになるんでしょう。今すぐそこで何かが起きるような、今のところそういうこともありませんから言い切っておいてもいいのかもしれません。しかし、では例えば
日本の本当の近くで
考えれば、一番近いのは南
北朝鮮の問題かなという感じが一つあります。あるいは中国、台湾の問題かなという感じはあります。しかし、いや必ずしも具体的な
地域を特定したわけではありませんという話にまた返ってしまう。
そうすると、
国民の側つまり受ける側からすると、一体どの
範囲までのことを
考えているんだろうかと。ただ地球の裏側、遠くだから、あるいは今そういう気配もないから心配はないんだということだけでは解消できない。もちろん、なかなか線引きが難しいというのは承知をしてあえてお聞きしているんですが、そういう不安があるわけです。そういう不安に一切の
議論が答え切れていないんです。
私は、国語の先生でも何でもありませんから、ごく常識的に
考えれば、
日本周辺における
事態、
周辺事態といえば、やっぱり地理的な概念というふうにどうしてもとらえちゃうんです。
日本の
言葉ですよ。
それからもう一つ不可解な部分というのは、例えば後方
地域支援、
地域が入るのと
後方支援とは違うんだという話もありました。あるいは武力行使と実力行使、あるいは戦闘行動、さまざまな
言葉がいろいろと飛び交ってまいりました。そういう違いというのはなかなか一般の
国民の皆さんから聞いても見てもわからないんですね、はっきり申し上げて。それで、この大事な
法律を何とか御
理解をと言われてもなかなかわからない。そういう問題があるから、いかに大事な
法案だ、国の
安全保障だと言われてもなかなか
国民の中にすとんと落ちないというものが私はあるような気がしてならないんです。
そこで、私は大変勘ぐった言い方をさせていただきますが、恐らく九六年の
日米共同宣言以来この
議論が始まりました。もちろん、その前段から旧指針の見直しの作業は始まっていたのかもしれませんが、表向きは一応一九九六年四月でしたか、橋本・クリントン会談での
日米安全保障共同宣言以来この作業が始まっているわけですね。その当時から具体的な
地域を特定するような
議論がなかったのかどうか。
つまり、旧ガイドラインでは極東という文字が入っているわけですから、それを
周辺事態というふうに変えるに当たってはそこに何らかの
議論があったはずなんですね。なければおかしいんです、極東という文字を外す
理由がないわけですから。従来どおり
安全保障条約を効果的に運用するということであれば、極東という表現がそのまま残って不思議はないわけですね。
ところが、その極東という
言葉が消えたということは、それが
周辺事態というふうに置きかえられたということは、その
議論を始めた段階では必ず地理的な
議論があったはずなんです。それが不明確になったままだから従来の極東よりも
範囲が広がったんじゃないかという
議論が起きるのはある意味じゃ当然なんです。そのことに対する答えは一切示されていないんです。この辺がわかりにくくしている。
それから、後方
地域支援の問題でもやっぱりそうなんですね。例えば、私ども常識的に
考えれば、昔の戦国時代のような戦争ならば、先日もやりの柄と穂先の話がございましたけれども、少なくとも竹やりでやあやあやっている部分と、その竹やりを補充する部隊というのは非常に接近をしているというか非常に見えやすいところにあります。
ただ、現代戦においては、例えば仮の話ですからお聞きをいただきたいと思うんですが、
北朝鮮で仮に何かあったとしますね。もう
日本から直に行けるわけですよ。そうすると
日本が後方になりますというのは、これまでの
議論からも当然のこととして認められています。例えば、もっと距離を開いて、後方
地域というのはもう際限なく拡大をする
可能性というのはあり得るわけです。
この
法律の中では、
日本のいわゆる領海ないしは公海上というふうにされていますからその
範囲なんだろうなと漠然と
思います。その
範囲であれば戦闘に参加をしたことには結果的にならずに、
日本は武力を行使しないから、ある段階で仮に武力攻撃を受けた場合には中断をして、あるいは撤収をするということになっているから大丈夫なんだというふうに言われても、ごく一般的な概念からいったらそれは大変わかりにくい概念なんです。そのことについてもすっきりとしたすとんと落ちるお答えが返ってきていないんです。
こういう疑問についてどのようにお答えをいただくのか。
言葉の問題、あるいは
法律の表現上の問題は
外務大臣にお答えをいただきたいと
思いますし、今申し上げましたような解釈上の問題や何かは
防衛庁長官にもう一度、念押しですけれども、お答えをいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。