○椎名素夫君 ありがとうございました。
説明不足だけだと思っておられると困るなと思ったんですが、その後ろのことに十分に御認識があるというのはまあまあよかったなと、こういう気がするんですけれ
ども。
それで、
一つ一つとおっしゃるけれ
ども、やっぱり全体の設計図みたいなのがないと、
一つ窓をつけたよとか、あそこをぶち抜いてドアをつけたとかいうのを
一つ一つやっていると、本当に見えないという気がするんですね。
私は思うんですが、とにかく四十年ばかり
日米安保でやってきて非常にうまくいったという話であります。それでよかったと。先ほどどなたかの
お話にもありましたが、
日本の安全というのは
自衛隊があって
日米があって大丈夫だと思っていたけれ
どもというのが、どうもおかしいなという感じになってきた。
これは、
日米安保というのは非常にうまくいったと。うまくいったというのは、何も起こらなかったし、防大を出られて、全部勤め上げて定年で退役する方もかすり傷
一つ負わずに卒業されたというようなことは、これはいいことなんですね。本当に軍事力が使われるような
事態というのは余りいいことじゃない。
ですから、いいことなんですが、ただ、私はよく言うことなんですが、火事が出たときにスプリンクラーというのがあります。火が出て温度が上がると水がだっと天井から出てくる。この部屋には見当たらないな、大丈夫かと。スプリンクラーの蛇口みたいなものだったと思うんですね、
日米安保体制というのは。天井を見るとちゃんとついている。だから、もう大丈夫だと思っていたし、また火事が出なかったから何もテストしないで済んだ。しかし、どうもこれはおかしいんじゃないかというのに最近気がついて、そしてあのクリントン・
橋本以来、一回屋根裏へ上がってちょっと検査しようじゃないかと。行ってみたら水道管がつながっていなかったという話だと思うんだな、これは。そうなりますと、一体水道はどこまで来ているんだという話で、これがいわば
ガイドライン、国内法の方はこっちの責任なんで、また別のパイプをつながなきゃいけないんでしょうが、とにかくこっちまでやろうと。
しかし、いろんなことがあってこの部屋まで来ないんですね、私の感じでは。どうも隣の部屋でとまっちゃったという感じがある。そうすると、この部屋で火が出たときには、やっぱりここらあたりのものは燃えてしまうというあたりにとどまっているんじゃないかということをおととしですか、
ガイドラインをやったときに私は申し上げた。
ほかの例で言えば、本当は福岡まで行っておかないといけないんだけれ
ども、切符を買う金がなくて岡山だ。ここらで一休みして、少しアルバイトでもやって稼いで、それから最後の福岡に行こうという話のところじゃないですかな。お金がなければしようがないからしばらく岡山にいるのもいいけれ
ども、いや、ここもなかなかいいところだなんといって住民登録してそこに住みついちゃったりしないでくださいよということを申し上げたことがあります。
よく
考えてみると、私はこういうことだと思うんです。やっぱり憲法なんですね、どう
考えても。
日本国憲法はあります。しかし、国には固有の自衛権がある。これは憲法と関係がないわけです。個別の何の、集団的とかなんとかありますが、何にしても自衛権はあるという話は憲法の外側のところにあるわけです。
日本の憲法をつくるときは、大変に理想に燃えて、とにかく何もなくしていこうじゃないかということでやりましたので、それなりの体系が全部できちゃった。しかし、一方では自衛権がある。個別自衛権ならば五条までは行けるはずだった。六条になってくるとこれはまたほかの手当てが必要かなという話になってくると、その外にあるものを非常にきれいにつくり上げてしまった中のことでやろうと思うと、わかりにくさというのが出てきちゃうんじゃないかというのが原因じゃないかと私は思うんです。
我が
日本国憲法がよそと変わっているのは、よその憲法は、いろんなことが書いてあるけれ
ども、大体固有の天与の自衛権というのを中に書き込んであるんです。それを組み入れたような憲法ができているからそこのところは苦労しない。だけれ
ども、うちのはそれはそれとしてあるというので、個別自衛権までは何となしにこっちとなじむけれ
ども、いわゆる集団的自衛権ということになるときれいにでき上がった平和憲法となじまないということだから、そこのところは、ないというよりもできないということにしておかなきゃしようがないなというところでみんな苦労しちゃっている。それに合わせたようなことをやろうと思うと、どうしてもこういうわかりにくい後方
地域とかいうようなものをつくらなきゃいけないし、それから地方自治体に頼むときも、とにかく
日本の憲法というのは何もしないでいいと書いてあるんですから、そんな
事態は予想してないわけですから、そこで
説明しようと思うとそれは随分無理が来るのは無理ない。
ですから、
総理、これはやっぱり設計図が必要なんですね。この次にあの窓をつけようとかあそこのドアをあけようとかいう話じゃないんです。それをぜひやっていただかないともう話にならない。
自分ばかりしゃべって申しわけありませんが、余り聞くこともないのでしゃべらせていただきますけれ
ども、とにかく安全
保障というのをやろうと思ったら幾つかしかチョイスはないと思うんです。
選択肢というのは、
一つは、全く中立で独立自尊で行くというようなものがある。これは大変なので、非武装中立というのは理想としてはいいけれ
ども難しいと思うんです。ですから、中立でいこうと思ったら相当重武装をしなきゃいかぬ。中立国の義務というのはどこにもフェーバーを与えないということですから、拒否力がないと中立というのはできないんですね。だから、今よりももっともっと五倍ぐらいは防衛費を使わないと、
日本のような海岸線の長いところなんというのは殊にそうですが、やらなきゃいけない。
それから国連ですが、国連はまだだめだというのは、
日本の防衛の基本方針ですか、昔できたのに書いてありますが、第一義的には
日本の安全は国連に任せる、しかし当分だめだから、その間は
日米でやるといって現実にも
日米でずっと来てしまっているというわけですから、これは当てにならない。
〔
委員長退席、理事竹山裕君着席〕
大体、いい悪いは別にして、国連というところはそれぞれの国益のあるものを背負った国が集まって、みんながそうだねと、こう言わない限り何も決まらないし、決めても
アメリカが動かないと何も動かないという話になっているので、これもだめということになると、あとはどこかと同盟関係で助け合う以外にないということだと思うんです。
たまたま今は
アメリカとやっている。しかし、
アメリカがなるべくそうしないようにみんなで努力しなきゃいけないんですが、嫌になっちゃったと、もうこれ。何かいろいろとごたごた文句を言って、理屈を言って何もやってくれない、やめたともし言ったときに、仮に万一、国際
情勢というのは何が起こるかわかりませんが、そのときにそれではどこかと組もうかといって探しますでしょう。この国と組もうというのはいないですよ。今の法体系で自分のところに入ってきてもきちっと守る手だてを持っていない、何か領域の外に出た途端に、私はできません、あれもできないこれもできない。だれがこの国と同盟を結ぼうと思うか。何も普通の国なんというものにならなくてもいいんです。最低どこかの国と組もうかといったときに、それじゃやろうかなと思わせるぐらいのことはやっておかなきゃいけないというのが私は設計図の最低条件だと思うんです。
アメリカもだんだんみんな忘れてきたけれ
ども、憲法を押しつけちゃってしまったなと思っているのもいるからこれでまだ我慢しているんで、もう少したったらわかりませんよ、これ。
ですから、この
法案は
法案で結構ですが、余り結構だと思わないけれ
ども、前よりはいいという
意味では結構だと思うんです。しかし、さっき申しましたように、本当は福岡までもう行っておかなきゃいけないというのを岡山で住民登録をやって、まあしばらくはここで暮らすかというような気持ちに
政府はぜひならないでいただきたい。これだけをぜひお願いしたいと思うんですが、あと一分と書いてありますので、どなたか御感想があればお願いをします。