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1999-06-08 第145回国会 参議院 地方行政・警察委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年六月八日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  六月一日     辞任         補欠選任         松岡滿壽男君     田名部匡省君  六月二日     辞任         補欠選任         田名部匡省君     松岡滿壽男君  六月三日     辞任         補欠選任         藤井 俊男君     前川 忠夫君  六月四日     辞任         補欠選任         前川 忠夫君     藤井 俊男君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小山 峰男君     理 事                 釜本 邦茂君                 松村 龍二君                 輿石  東君                 山下八洲夫君                 富樫 練三君     委 員                 井上 吉夫君                 岩瀬 良三君                 鎌田 要人君                 木村  仁君                 久世 公堯君                 谷川 秀善君                 保坂 三蔵君                 高嶋 良充君                 藤井 俊男君                 魚住裕一郎君                 白浜 一良君                 八田ひろ子君                 照屋 寛徳君                 高橋 令則君                 松岡滿壽男君    国務大臣        自治大臣     野田  毅君    政府委員        自治政務次官  田野瀬良太郎君        自治大臣官房長  嶋津  昭君        自治大臣官房総        務審議官     香山 充弘君        自治省行政局長        兼内閣審議官   鈴木 正明君    事務局側        常任委員会専門        員        入内島 修君    説明員        労働省職業安定        局高齢障害者        対策部長     長谷川真一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 〇地方公務員法等の一部を改正する法律案内閣  提出)     ─────────────
  2. 小山峰男

    委員長小山峰男君) ただいまから地方行政警察委員会を開会いたします。  地方公務員法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は去る五月二十七日に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 木村仁

    木村仁君 今回の地方公務員法の一部改正法案は、新たな再任用制度導入、また懲戒制度の整備という大変時宜に適した改正であろうと考えまして、全面的に賛成をいたしたいと存じます。  この際、何点かお伺いをいたしておきたいと存じます。  まず最初に、地方公務員法という法律体系の全体について大臣の御所見をお伺いしておきたいと思うのでございますが、この地方公務員法は、昭和二十五年、一九五〇年に制定されましてほぼ五十年間、地方自治の根幹の法律一つとして私は全体的には非常によく機能してきたのではないかというふうに考えております。  ただ、五十年を経て、やはり時代も変わってまいりましたし、特に地方分権推進ということでこれから大きく地方自治の姿が変わっていこうという時代でございますから、地方公務員法もそろそろオーバーホールと申しますか、全体的な見直し、そして改革があってもいい時期に来ているのではないか、こういうふうに考えております。  基本的にこの地方公務員法というのは、国家公務員法あるいは国家公務員制度運営の実態と非常に調子を合わせてつくられ、かつ運営されてきた。特に、制定されたときは昭和二十五年でございますから、とりわけて国家公務員との整合性ということが気にされたわけではないのかもしれませんけれども、その後の運営においては常に国家公務員との整合性あるいは国家公務員基準に合わせて、あるいは準じてというようなことで運営されてきたと存じます。  法律中身を見ましても、給与については国の給与その他の事情を考慮して決めようではないか、あるいは給与以外の勤務条件につきましても国の職員との間に権衡を失しないように制度をつくり運営していこう、あるいは公務災害補償におきましても国の制度との権衡を失しないよう適当な配慮をしよう、あるいは昭和五十六年に制定されました定年制、この場合には特に国家公務員との整合性ということが意識されたと思いますが、国の職員につき定められている定年基準として条例地方公務員定年を定めていこう、こういうことでございました。  私は、国民から見れば国家公務員地方公務員公務員であるには違いない、あるいはお役人であるには違いないということで、できるだけ国民から見てバランスのとれた国公関係というものが維持されることは基本的に正しいと思っておりますが、やはりそろそろそれぞれの地域の実情に即した、あるいはそれぞれの地方公共団体創意工夫による地方公務員制度あるいはその運用ということが考えられてしかるべきではないかというふうに考えております。こういう観点に立って、自治大臣はこれから公務員制度について見直しを行われるお気持ちがあるかどうかということ。  それから、それと関連いたしまして、去る四月二十七日に地方公務員制度調査研究会報告書、「地方自治・新時代地方公務員制度」という報告がなされ、数々の提言がなされております。  特に重要なことは、この中で、地方公務員制度における国と地方との関係について、法律で定めるべきものは制度の基本的な枠組みにとどめて、そして自主立法活用する範囲を拡大する方向考えたらどうかと。もちろん、この報告書を子細に読みますと、国家公務員制度との整合性あるいは権衡ということは非常に意識しておられますけれども、しかし許す限り自主立法、つまり条例で定める分野を拡大していこうという気持ちがこの報告書全体に流れていると私は思います。  こういうことに関連しながら、この具体化についてどのようにお考えになっていらっしゃいますか、お伺いしたいと存じます。
  4. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 御指摘のとおり、地方公務員制度につきましては制度制定以来五十年の歳月を経過いたしておるわけで、地方分権推進官民役割分担変化、こういった社会経済全体の情勢変化対応して、新しい時代にふさわしい公務員制度あり方というものを改めて見直し考えていかなければならぬという問題意識はまことに共通認識であると思っております。  そういう点で、自治省におきましても、そういう問題意識の中で、今御指摘にもありましたが、地方公務員制度調査研究会という研究会を設置いたしまして二年間にわたって議論をしていただいてまいりました。この四月に報告をちょうだいしたということでございます。  その報告中身は、これまた御指摘ございましたが、地方分権が進展する中で、地方公共団体運営中枢的事項である人事行政分野においても、法律で定める事項地方公務員制度の基本的な枠組みにとどめ、その他の事項については自主立法活用し、地方公共団体が自主的に定める範囲を一層拡大していく必要があるとされておるところでございます。  また、この報告では、地方公務員法制制度及び運用の全般にわたり見直しが提言されておりまして、地方公務員制度改革が着実に実施されるように、法律改正に取り組むべき事項地方公共団体運用改革を促す事項、それから制度あり方についてさらに検討を深めるべき事項に応じて今後の改革方向が示されておるところでございます。  したがって、この報告を二十一世紀地方自治を支える地方公務員制度への改革の大きな指針であるというふうに受けとめておりまして、基本的にはこの研究会報告にのっとった法律改正等に取り組んでまいりたいと考えております。  その中で、特に今御指摘のございました、いわゆる地方自治体の自主性地方公務員制度運用あるいは法制の中でより高めていったらどうだという御指摘、これも今申し上げた研究会報告の中でもそのことにかなり突っ込んで踏み込んで言及していただいております。方向性としては我々もそのことを同じ考えでおりまして、その方向でこれからも取り組んでまいりたいと考えております。
  5. 木村仁

    木村仁君 今回の地方公務員法の一部改正につきましても、私は、当地方行政警察委員会はいつでも審議するという姿であったと思いますけれども、やはり国家公務員法に同様の改正があったら、審議が済んだら地方行政警察委員会と、そういう雰囲気であったと思います。若干残念な気がいたします。どんどんこの委員会でも先議をしてしまったらどうかなという気が、これは感想でございます。  以下は、新しい再任用制度及び懲戒制度の改善について御質問をいたしますが、これは行政局長さんの御答弁で十分でございますので、よろしくお願いをいたします。  まず、新たな再任用制度導入についてでございますが、一九八一年、昭和五十六年に定年制度導入され、同時に勤務延長制度、あるいは最長三年を限度とする再任用制度というのがつくられていたわけでございますが、今回六十五歳までおおむね五年というめどで新しい再任用制度ができるものと理解をいたしております。  超高齢社会を迎えまして、高齢者雇用の問題が非常に重要な問題でございますし、また年金制度改革が順次進んでいく中で六十五歳までの雇用を確保していくということも非常に重要なことでございますから、今回の制度改正はまことに時宜を得たものと考えております。  自治省でお調べになりました地方公務員の六十歳代前半における就労生活意識調査平成八年に行われているようでありますが、やはり定年を迎えた後、継続就労意欲がある方は全体の七〇%強に及んでいると。その中で、現役と同じように仕事をしたいという人は二割で、あと仕事趣味半々にしてはどうか六割、それから短時間勤務の方がいいなという方が六割、いやフルタイムがいいという方が三割と、こういうふうな統計が出ているようでございます。  私どもももうちょうどそういう年齢でございますので、私の友人、知人あるいは地方団体で働いてきた方々を見ますといろいろな対応の仕方の方がいらっしゃいます。どうしてもやっぱり勤務延長でもして仕事をしたいという方もいらっしゃいますし、趣味半々にある仕事をしたい、中にはもう何にもしない、悠々自適、今度は自分人生だと、そういう方もおられます。また、全く違った分野で新しい企業事業を起こしてみようかという意欲の方もいらっしゃいます。  そういう多様な定年を迎えられる公務員対応していく上でこの制度をおつくりになったと思うのでございますが、自治省としてこの新たな任用制度導入されることとした基本的なお考え方、それを確認しておきたいと思います。
  6. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 新たな再任用制度導入することについての基本的な考え方でございますが、今、議員の御指摘のように、本格的な高齢社会対応して高齢者の方の知識経験社会において活用していくということが一つ、もう一つは、国民年金制度改正に合わせまして、六十歳代前半生活雇用年金連携によって支えるということが官民共通課題ということを背景といたしまして、地方公務員につきましても、高齢職員雇用を促進するために六十歳代前半公務内で働く意欲能力のある者を再任用することができる、こういう新たな再任用制度導入するものでございまして、六十歳定年制というものを維持しながら新しい再任用制度導入するというものでございます。  内容的には、一つは、定年退職等により退職した者を任期を定めて改めて採用できることとすると。それから二つ目は、任用される者の年齢上限につきましては、国の職員につき定められている年齢基準として条例で定めることができるということにしております。三点目が、短時間の勤務形態というものを新たに設ける、こういうものでございまして、この上限年齢につきましては、共済年金支給開始年齢引き上げスケジュールに合わせまして段階的に引き上げて、最終的には六十五歳ということとされているところでございます。そういった新たな再任用制度国家公務員制度との均衡をとりながら導入しようとするものでございます。
  7. 木村仁

    木村仁君 心配されますのは、新たな再任用制度運用いかんでは新規採用職員採用枠が非常に厳しくなってくるのではないかということでございます。  平成十年度地方公共団体定員管理調査によりますと、地方公務員の総数は四年連続減少し、平成十年度は一万七千六百二十四人減少、四年間で三万二千九百九十八人が削減されている。恐らく財政的にも非常に厳しい状況あるいは行政改革必要性ということの中でこういった傾向が維持されていかなければいけないとすれば、新人の新規採用、特に今女子大学生就職が大変厳しい状態でございます。  したがいまして、こういう制度ができて、どっと定年方々が、引き続きやりたいという人が出てきたときに、本当に温情主義でみんなことごとく採用するということになると、職員の新陳代謝というところに少し問題がありはしないかと思いますが、簡単で結構ですからコメントをお願いいたしたいと思います。
  8. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 新規採用との関係でございますが、現在、地方公務員退職者を見てみますと、全地方団体で年間十万人を少し上回る程度で退職者が生じております。そのうち、定年または勧奨による退職者が半分、それ以外の自己都合退職者が半分という状況でございます。再任用制度では、その定年退職者等のうちから公務内で働く意欲能力のある方を採用しようというものでございます。これによりまして、公務部門におきましても、新規採用とあわせ高齢職員活用を図りながら公務の効率的な運営に必要な人材の確保を図っていくという課題を抱えているわけでございます。  新規採用につきましては、一つは再任用制度関係で、定年前の職員で行っている現在の職務遂行体制というものを見直しまして、既存の職務を分析、再編いたしまして再任用職員の方にふさわしい職域拡大というものを図るということが重要であります。もう一点は、他方で新規採用によって職員を補充して対応することがふさわしい職務というものもあるわけですので、それとの区分というんでしょうか、分類というものを適切に行うということも重要なわけでございまして、高齢者雇用推進と組織の活力維持ということの調和を十分に留意いたしまして、中長期的な視点に立った人事管理が重要であろう、このように考えております。
  9. 木村仁

    木村仁君 次に、大勢的なと申しますか、一般国民の皆様との関係でございます。完全失業率が四・八%、やがて五%を超えるかもしれない、男性だけとればもう五%だよと言われているような今日でございますが、こういうタイミングでこの制度をつくって、公務員だけが先取りで六十歳代前半就職体制を整えようということについてどんな印象を受けられるだろうかということ。また、行政改革で能率的な行政運営国民から求められている今日、もう六十歳を超えた人をのんびりと雇うのではないかという印象国民は受けやしないかと思います。  したがいまして、この制度が成立したときの実際の運用というのが非常に重要になると思いますけれども、自治省としてその御指導というとあれですが、ガイダンスについてどのような態度で臨まれるか、お伺いしたいと思います。
  10. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 高齢者雇用推進につきましては、平成八年七月五日の閣議決定高齢社会対策大綱に基づきまして六十五歳までの継続雇用推進というものが官民共通課題とされているわけでございまして、公務部門公務部門で、民間部門民間部門で、それぞれの責任で努力すべきものと、このように考えております。  ただいまお話のございましたように、大変雇用情勢の厳しい中にありまして、民間部門につきましては既に高齢者雇用安定法に基づきまして、事業主に六十五歳までの継続雇用努力義務が課せられておりますほか、継続雇用を支援するための給付制度などが設けられておりまして、総務庁の調査によりますと、約八割の企業において再雇用あるいは勤務延長など何らかの継続雇用制度導入されているという状況でございます。  今回の地方公務員の再任用制度は、昨年の五月に人事院からなされました意見の申し出を踏まえまして、国家公務員制度との均衡を図りながら、行財政改革要請にも十分配慮しながら進めるものでございますので、その点、御理解賜りたいと思います。  なお、行政改革要請については、十分こたえるべく地方団体の方に要請をしてまいりたいと考えております。
  11. 木村仁

    木村仁君 地方公務員として定年を迎えられたときに、これで定年だ、また次の人生があると考える人も多いと思いますけれども、やっぱりこういう制度があるとどっと押しかけてくるということもあるかと思います。それから、おれは勤務時間を短くしていただいた方がいいという方がまたたくさん出てくるとかいろんなケースがあって、振り分け、整理がなかなか難しいのではないか。  制度本来の、本当にその人の能力活用しながらその人の就労ということについても配慮するということは、なかなか実際は難しいのではないかと思いますが、そういう運営についてはどのようにお考えでいらっしゃいましょうか。
  12. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 高齢職員につきましては短時間の勤務形態を希望する傾向があるということは御指摘のとおりでございます。また、地方団体サイドにおいても弾力的な勤務形態を設けることが業務運営上効率的な場合というものもあるわけでございますので、今回の新たな再任用制度におきましては短時間の勤務形態というものを設けることといたしております。その場合においても、現行の非常勤職員のような臨時的、補助的な業務という位置づけではなくて、常勤職員と同様の本格的な業務に従事できるというような考え方位置づけをいたしております。  それで、お話しの短時間勤務職務につきましては、それぞれの地方団体検討を経て具体化されるわけでございますが、例えば調査研究仕事とか税の徴収業務など一定のまとまりのある業務に従事するということもあろうかと思いますし、公の施設の休日・夜間開館への対応とか、旅券の発給事務など短時間に業務が集中するような窓口の混雑緩和などのための対応ということで、短時間勤務職員活用するということも想定されるわけでございます。  ただ、フルタイム勤務あるいは短時間勤務のいずれの形態で再任用するかということにつきましては、任命権者が決定する事項でございますが、今申し上げましたような短時間職員活用による適切な業務運営といった視点と、また各職員の方の希望、適性というものを考慮しながら判断することになると、このように考えております。
  13. 木村仁

    木村仁君 最後に、こういう制度の適用を受ける職員の方の主体性の問題でございますけれども、やっぱり定年を迎えるまでには自分の将来の、新しい仕事をするのかあるいは県の外郭団体でもう一働きするのか、あるいは県に再任用してもらって仕事をしながら自分人生も楽しむというのか、そういう早い時期からの心構えというのが必要であると思います。  以前、ライフプランということが非常に問題になって、そういう協会もできて、そして全国的に指導されておりましたが、私の印象では、もう一つ迫力のない運動だなという気がいたしておりました。ぜひこれをまた活性化しながら進めていっていただきたいと思いますが、その現状及び将来への意気込みを、一言で結構でございますから、お答えをいただきたいと思います。
  14. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) お話しライフプラン関係でございます。  高齢化社会の到来あるいは自由時間の増大という地方公共団体あるいは地方公務員を取り巻く環境の変化ということで、職員の生涯生活設計あるいは健康づくり、あるいは退職後の生きがいづくりといったことを念頭に置きまして、ライフプラン施策を進めてきているところでございます。具体的には、退職間近の職員に対するセミナー、あるいは四十代、五十代を対象とした生涯生活設計プログラム実施などを推進、支援してきております。  地方団体においても、自治省の示した指針に基づきまして計画をつくり、計画に沿ってライフプラン相談員の設置あるいはセミナーの開催など、これは共済組合などと一緒に共催という形でやりながらライフプラン充実のための支援の事業を行ってきているところでございます。  委員指摘のとおり、今回の再任用制度実施ということを考えますと、やはり職員が在職中の早い段階から退職後を見据えた長期の生活設計を立てるということで安心して仕事の方にも励むことができますように、ライフプラン施策充実ということがこれからも重要になるものだと考えておりまして、自治省といたしましても、地方公共団体共済組合などとの連絡を図りながら推進してまいりたいと考えております。
  15. 高嶋良充

    高嶋良充君 民主党・新緑風会の高嶋でございます。  まず最初に御要望申し上げておきますが、二十一世紀は超高齢社会というふうに言われているわけですが、それを目前にして、民間に引き続いて公務高齢者雇用制度導入されるということについて評価をしておきたいというふうに思っております。ただ、経済情勢雇用情勢が非常に厳しいという現状もございますが、この制度導入に当たってはぜひ円滑に導入できるようにさらに御努力をお願いしておきたいというふうに思っております。  まず、総論的な部分について自治大臣にお伺いをいたしたいというふうに思います。  本制度目的社会的意義については、先ほど木村先生の方から御質問がございました。目的雇用年金連携だろうというふうに思っております。とりわけ二〇〇一年から雇用年金との間にブランクが生じる、こういうことですから、国家公務員法の百七条あるいは地方公務員法の四十三条からいっても、この法律趣旨としては雇用年金連携を十分に配慮するということが必要なのではないかな、こういうふうに思っております。  もう一つは、先ほど政府委員の方から答弁がございましたけれども、人生八十年代の社会的なシステムをどうしていくのかということになると、当然のこととして高齢者知識経験活用するということが非常に重要だろう、そのことがやっぱり社会的意義として重要なのかなというふうに思っているわけです。  この二つについては、人事院あるいは政府検討委員会からも考え方としては出されているわけですけれども、私はもう一点、年金社会福祉という観点からいえば、非常に年金財源が厳しくなってきているという状況のもとで、高齢者に多様な就労形態を準備して、高齢者がいつまでも支えられる側ではなくて、自分たちも働くことによって支えていく側に立つというのが高齢社会の財政的な問題からいえば非常に重要なことではないのかと。  そういう意味では、二十一世紀に生涯現役社会を実現していくという観点からもこの制度は寄与するのではないかなというふうに思っているんですが、その辺の、目的社会的意義と、現役社会の実現に寄与するかという観点で、自治大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  16. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 大体の認識は、今、高嶋先生質問の中でお述べをいただいたことにほぼ共通しておる認識であると思っております。  この点は、同じようなことを申し上げることになるかと思いますが、せっかくですからかいつまんで申し上げますと、二十一世紀初頭の本格的な高齢社会対応したいわゆる人生八十年時代にどう対応していくかということ、それからいま一つは少子社会、特にこれから、今は短期的には非常に経済が低迷して雇用の問題が非常に大きなテーマになっておりますが、少なくとも長期展望の中で考えるといわゆる現役世代が少なくなっていくという、これはやはり日本の今後の経済の成長率そのものをも規定していく要素ではないかというのが基本的認識になっている。そういう意味で生涯現役時代というか、そういう中で少子高齢社会をどうやって乗り越えていくか。また、そのこと自体が単なる年金等の財政計算のみならず、人間としての生きがいというか尊厳というか、そういう部分にも、生きざまに影響していく問題であるということは、大体共通認識であると思っております。  それから、具体的にこの再任用制度というのは、これまた御案内のとおり、平成八年閣議決定高齢社会対策大綱が決められましたが、ここでは六十五歳までの継続雇用推進というのは官民共通課題である、その中で公務部門公務部門民間部門民間部門、それぞれのセクターにおいて努力をすべきであるということになったわけでございます。そういう点で、先ほど局長から木村先生への御答弁で申し上げましたが、民間セクターにおいてはそれぞれいろいろな努力をしていただいて結構進んできている。  そういう点で、公務部門において、今回特に六十歳代前半生活というものをどうやって雇用年金という連携によって支えていくかということを公務セクターにおいてやっていこう。これは国家公務員ということと同時に、地方公務員においてもこの点においては大体並行的にやっていかなきゃならぬ。そのことがまた高齢者知識経験というものを社会の中で生かしていくという上からも大事なことではないか、こういうことでございます。  いずれにせよ、少子高齢化が進行していくわけですが、今るる申し上げました我が国の社会というものをどうやって支え合っていくかということについて今回、公務部門においてこれを導入するということは大変大事な第一歩になっていくだろうというふうに考えております。
  17. 高嶋良充

    高嶋良充君 ぜひ制度趣旨を生かして、制度の円滑な導入に向けて御努力をいただきたいというふうに思っております。  そこで、若干二点ほど、この制度の円滑な導入という側面から、国家公務員の場合はかなり具体的に検討委員会報告等にも記されているわけですけれども、地方公務員の場合はまだまだそこまできちっと円滑な導入に向けての体制整備ができていないようですから、それらについて御質問したいというふうに思います。御答弁政府委員の方で結構ですから、よろしくお願いします。  いずれにしても、今回の制度公務組織にとっては初めての経験というか新たな経験であるわけです。そういう意味では、組織全体の人事配置の見直しが必要になってくる部分も当然出てくるでしょうし、そういう意味では制度の円滑な実施をしていくためには万全の準備態勢が必要になっているのではないかというふうに思っています。  先ほども申し上げましたが、政府検討委員会の最終報告では、国の場合は高齢者雇用推進計画政府全体として作成をしていくとか、あるいは人事行政を担当する高齢者雇用推進主任を選任して人事計画の作成とか、あるいは実施予定及び前年度の実施状況を各年度ごとに総理大臣報告をするという、きめ細かくそういうことが決められているわけであります。  地方公共団体の準備推進体制を早急に確立させなければならないというふうに思っているんですけれども、その辺の部分についてどのように整備をされようとしているのか、考え方伺いたいというふうに思います。
  18. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 新たな再任用制度実施のための準備ということでございます。  お話しのように、この円滑な実施のためには十分な準備が必要であるということで、この法案の附則におきましても「円滑な実施を確保するため、任命権者は、長期的な人事管理計画推進その他必要な準備を行うもの」というふうに規定しているところでございまして、平成十三年四月一日の施行ということで、そういう面でも非常に前倒しで御審議をお願いしている次第でございます。したがいまして、この期間に十分な準備が必要であると考えております。  お話しの、公務部門における高齢者雇用問題検討委員会報告、これは自治省、私どもも参加して議論をしてきたところでございますが、その中では任命権者制度職員への周知を図る、また対象者の把握をする、また六十歳代前半雇用機会の拡充を計画的に実施していくということが必要であるとされております。また、高齢者雇用推進方策としては、高齢者雇用に係る推進体制を整備する、また高齢者雇用推進計画の作成が求められるというふうにされているところでございまして、各地方団体におきまして国家公務員における実施のための準備などに準じまして円滑に導入されますように所要の準備が行われると思います。  この点が重要でございまして、自治省といたしましても、適時、情報の提供、助言を行ってまいりたいと考えております。
  19. 高嶋良充

    高嶋良充君 もう一点、雇用推進という立場で御質問申し上げます。  これも政府検討委員会報告では、雇用促進に努力してもなお困難な事態が生じた場合は、個別の任命権者の問題とすることではなくて、政府、総務庁が責任を持って検討委員会を設置し対応をしていくべきだと。同時に、退職時の任命権者を越えて再任用することも想定するという、こういう考え方が示されています。  これは地方公共団体に当てはめると、地方公共団体においても首長部局だけではなしに公営企業とかあるいは行政委員会とかあるいは一部事務組合とか広域連合など、任命権者を越えた連絡調整の準備が必要であるし、その中から雇用の拡充というものを図っていかなければならないというふうに、趣旨としてはそういうふうに私どもは読み取れると思っているんですが、どのような雇用促進のための推進体制を整備していかれるのか、考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  20. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) お話しのように、地方公共団体におきましては、例えば県の場合ですと、知事部局それから教育委員会、警察本部、また公営企業と、こういう部門があるわけでございます。また、市町村ですと、市町村長の部局のほかに教育委員会あるいは消防、公営企業がありまして、任命権者というものは分立しておるわけでございます。  新たな再任用制度においては、同じ地方公共団体であれば各任命権者を越えて再任用することが可能でございますので、すべての職種において全体として高齢者雇用推進されるように任命権者間の連携を緊密に図りながら取り組むことが重要である。それで、この法案の中にも一部事務組合、広域連合などと構成する地方公共団体との間の高齢者雇用共通してできるという手当ても講じているところでございます。  その任命権者間の連携につきましては、地方公共団体の長が任命権者の行う準備に関し必要な連絡調整その他の措置を講ずることといたしておりまして、長を中心に任命権者間の連絡調整のための体制整備の充実を図っていくことが重要であるというふうに考えておりまして、自治省としても適時任命者間における調整につきましての助言、情報提供というものを行ってまいりたいと考えております。
  21. 高嶋良充

    高嶋良充君 次に、具体的な問題について数点伺いたいというふうに思います。  まず、給与等の改善の問題ですけれども、再任用職員は正規職員というかフルタイム職員と同じように働いても年収で四〇%の減、係長級では約三百七十万程度と、こういうふうに言われております。これはやむを得ない部分ですし、毎年の昇給もない、こういうことになっておるわけですね。それは法的にそういう形になるわけです。  ただ、ベースアップの関係については、労働基本権の代償措置としての人事委員会勧告制度のもとに地方公務員の場合は置かれている部分もございますから、せめてベースアップは必要ではないか、こういうふうに思っておるんですが、それらのベースアップの関係については現役と同様の人事委員会給与勧告の対象になるのかどうか、その辺についてお伺いをしたいと思います。
  22. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 地方公務員給与は国に準じて定められるという原則でございますので、国の再任用職員給与で申し上げますと、長期継続雇用を前提としたいわば現役職員制度とは給与体系を切り離しまして、各級単一号俸による簡素な仕組みといたしております。その水準は各ポストの職責、それから民間企業の六十歳代前半の者の水準などを考慮して設定されるというところでございます。  お話しの、再任用制度導入後におきまして給与水準の改正が必要となる場合があり得るということは、基本的には定年職員と同様であるというふうに考えておりまして、人事院勧告の対象となるものでありますが、今後の具体的な取り扱いについては、その時々の社会一般の情勢、民間における六十歳以降の雇用、賃金の状況などを踏まえて検討していくこととなる、このように聞いております。地方公共団体の人事委員会の勧告の取り扱いについても、基本的には国における取り扱いを踏まえて適切に対応されるべきものだと考えております。
  23. 高嶋良充

    高嶋良充君 定年前に退職をされた場合の再任用の対象の問題について伺いたいと思います。  とりわけ行政改革等で、先ほども若干数が出ていましたけれども、勧奨退職者等々は定年前に退職されるということになりますけれども、この皆さん方が再任用の対象となるのかどうかということも含めて、定年退職者の再任用基準について若干伺いたいと思います。
  24. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 定年退職の方ではなくて定年の前に退職した方の再任用関係でございますが、この新しい再任用制度というのは、公務員として長年培ってきた知識経験というものを定年年齢を超えた場合においても公務内で活用しようとすることを目的としておるわけでございますので、そういう意味では定年退職者だけではなくて定年退職者と同様の知識経験を有していると認められる者についても、定年退職者に準ずるものとして条例で定める場合に再任用の対象とすることといたしております。  具体的には、国家公務員に準じまして、定年退職者と同様の知識経験という観点から、勤続期間が二十五年以上で退職し、再任用までの期間が五年以内であることを条例で定めるというふうになるものと考えております。
  25. 高嶋良充

    高嶋良充君 勤務形態については、週四十時間のフルタイム勤務と、それから週十六時間から三十二時間の短時間勤務の二種類があるわけですけれども、フルタイムは別にして、短時間勤務者の条件等について伺いたいというふうに思うんです。  まず、短時間勤務者が営利事業等の従事、いわば兼業等についての制限の関係について弾力的に対応すべきではないかなというふうに思っているんですが、その辺の考え方について伺いたいと思います。
  26. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 再任用職員につきましては、短時間勤務職員も含めまして定年前と、いわば現役職員と同様の本格的な職務に従事するということで位置づけておりまして、地方公務員職務の性格に応じて設けられている、こういう考え方でございますので、営利企業等の従事制限などの服務に関する規定も現役と同じように適用するというふうに考えております。このため、短時間勤務職員の営利企業等の従事制限については現行の許可の基準に基づきまして各任命権者が判断するということになります。  ただ、今御指摘の点でございますけれども、公務部門における高齢者雇用問題検討委員会での検討、最終報告においては、短時間勤務職員の兼業の許可については現行の許可基準を適用するが、その運用に当たっては各任命権者はそれぞれの職員勤務時間等が現行の常勤職員とは異なることを考慮するものとするということでございまして、個別の事案の許可の運用につきましては、短時間勤務職員については、職務の遂行に支障が生じない場合が多いということが予想されるといった点も踏まえまして、国家公務員との均衡を図りながら各任命権者によって適切に運営されるというふうに考えております。
  27. 高嶋良充

    高嶋良充君 弾力的な対応運用の部分でぜひお願いしておきたいというふうに思っております。  次に、労働省からも来ていただいておりますので、御質問をいたします。  基本的に再任用職員退職金が支給されない、こういうことになっているわけですが、その際雇用保険が適用されるのかどうか、これはフルタイムと短時間の関係もありますけれども、その辺についてお伺いをしたいと思います。
  28. 長谷川真一

    説明員長谷川真一君) 雇用保険法の適用に関する御質問でございますが、雇用保険法の規定によりますと、労働者を雇用する事業につきましては業種等を問わず原則としてすべて適用事業となるわけでございます。適用事業雇用される者は雇用保険の被保険者となるということで、国であれ地方公共団体も含めてこれが原則でございます。  ただ、適用除外規定がございまして、国や地方公共団体雇用される者のうち、他の法令等に基づき支給される手当などが雇用保険法に定められている求職者給付等を超えると認められる者については適用除外とするということでございまして、御指摘のとおり、退職手当等が支給される場合には適用除外になるということでございます。  今回の再任用職員でございますが、国に雇用される者については国家公務員退職手当法の適用が除外される、また地方公共団体雇用される者は国家公務員法と同内容を規定する条例の適用が除外されるということでございますので、この雇用保険法の適用除外規定には該当せず、結論として申しますれば雇用保険法が適用されるということでございます。  そこで、再任用職員フルタイム、短時間勤務ということでの御質問でございますが、雇用保険法の適用基準は、これは一般の場合も同じでございますが、短時間就労者につきまして、一週間の所定労働時間が二十時間以上である、一年以上引き続き雇用されることが見込まれる、また年収が九十万円以上見込まれる、この三つの要件を満たした場合には雇用保険の被保険者となるということでございまして、これは今回の再任用の短時間勤務者についても同じ基準で適用になる、これに該当すれば適用になりますし、これに該当しなければ適用にならないということでございます。
  29. 高嶋良充

    高嶋良充君 今の問題はとりわけ短時間職員、十六時間から三十二時間ということになっているわけですけれども、二十時間、これは国の郵政の短時間職員の扱いなどの部分だろうというふうに思いますけれども、そういう実態も踏まえて弾力的に対応いただくように、これは御要請として申し上げておきたいというふうに思っております。  最後に、医療保険の適用の関係について、公務員の場合ですから共済組合となっていますから自治省の方でお答えをいただきたいと思いますが、フルタイム勤務者は共済組合対応できるというふうに思っているわけですけれども、先ほどと同じように短時間勤務者の健康保険、これの適用の基準等々について考え方をお伺いしたいというふうに思います。
  30. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 再任用職員の医療保険の適用関係でございますが、フルタイム勤務職員につきましては共済組合の組合員資格が付与されますので、お話しのように共済組合法の短期給付が適用されるということでございます。  短時間勤務職員につきましては、一定の条件を満たしている場合、例えばおおむねフルタイム勤務職員勤務時間の四分の三以上勤務している場合、四十時間ですと三十時間以上、四分の三以上勤務している場合につきましては健康保険法が適用されるということでございます。その他の職員につきましてはこれが適用されず、国民健康保険の退職者医療制度が適用されるか、あるいは共済法の任意継続組合員となるかという選択が可能になります。
  31. 高嶋良充

    高嶋良充君 今の問題を最後に御要望申し上げておきます。  いずれにしても、先ほど雇用保険との関連もあるわけですが、郵政短時間勤務職員、二十時間で政管健保というようなこともございますから、そういう実態も踏まえてぜひ前向きに対応いただくようにお願いを申し上げておきたいと思います。  わざわざ労働省からもお越しをいただきまして、ありがとうございました。  終わります。
  32. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。  いよいよ高齢社会また少子社会、そういう社会を迎えて、人生八十年という時代の中でこういう再任用制度というような形になっていくのかなというふうな思いもありますし、基本的には賛成でございます。  ただ、今時期がどうなのかなと。完全失業率も四・八%、男性に至っては五%というような状況の中で、民間も中小企業のみならず大企業もあっぷあっぷしている、どんどんリストラで首を切られている、そういう状況があります。また、労働組合の連合もあした雇用確保の集会をやりまして、国会請願デモもやる。そういう中で、お上だけが定年延長というか再任用で職場を確保しますよということをやると、結局その給料というか、それは税金でやるわけですから、これはちょっとおかしいんじゃないかというふうに民間から見えると思うんです。もちろん高齢社会はどんどん進んでいくわけだけれども、あえてこの時期にスタートを切っていくという、この時期選択が適切なのかどうか。この辺、自治大臣のまず御所見をいただけますでしょうか。
  33. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 確かに、今、失業率四・八ということで、特に男子が五%という非常に深刻な状況にあるわけです。しかし、それはもちろんなんですけれども、これはこれで現在政府においては雇用対策あるいは産業競争力、こういった問題で全力を挙げて取り組んでおりまして、今週中にも政府としての一つの取りまとめをやろうということで大車輪で今作業をしておるわけでございます。  この問題は、そういうことはわかるんですけれども、別途先ほどもいろいろ申し上げましたのですが、既に人生八十年時代にどう対応していくのか。それから、長期的に見れば、今は極端に経済活動が落ち込んでおりますけれども、ノーマルな状態に復していくということになれば、おのずから労働力人口が極めてバランスが欠けていくという中で、経済の活力なりあるいはひいては年金を初めとする財政的な背景というものをどうやって確立していくか、そういった切実な問題もある。そういう中で、この高齢者雇用をどうしていくかというのは官民共通する大事な課題である。  そこで、平成八年、閣議決定高齢社会対策大綱というものが決定をされて、民間部門民間部門公務部門公務部門ということで、それぞれの責任において努力をしていきましょうという一応仕分けをしたわけであります。既に民間部門では、高年齢雇用安定法に基づいて事業主に六十五歳までの継続雇用努力義務が課せられておるわけであります。そういう点で、民間セクターでは継続雇用というのがいわば事業主が担うべき責任として位置づけが既になされておるということがございます。公務部門においては、年金制度改正に応じて事業主としての責任を果たしていかなければならぬ。これはやはり当然のことだと思います。そういう点で、今回、民間よりも少しおくれたということになっているかもしれませんが、そういう形での責任を果たしていこうというタイミングになっているということは御理解をいただけるのではないかというふうに考えております。  今の御質問の御趣旨には今申し上げたようなことでお答えにしたいと思います。
  34. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今、民間におくれてというお話でございますけれども、じゃ民間はその継続雇用制度というのがかなり進捗しているのかというと、これはまた別問題であろうというふうに思います。継続雇用制度がある企業は大体六割ぐらいまでになっているようでございまして、もっと促進を図らなきゃいけないというふうに思いますし、また民間に対する今回の改正のインパクトをどのように考えておられるのか、労働省、お願いできますか。
  35. 長谷川真一

    説明員長谷川真一君) 民間企業におきます継続雇用制度現状でございますが、今、先生御指摘のとおり、平成十年一月現在で、六十歳以上定年を採用しております企業のうち、六七・八%の企業勤務延長制度または再雇用制度を有しておるというふうに承知しております。  労働省としましては、平成十年四月から法律上六十歳以上定年が義務化されたわけでございますが、これを基盤といたしまして、六十五歳までの継続雇用というものの推進策を積極的に行っておるということでございます。事業主に対するきめ細かな相談、援助等の実施により継続雇用制度を普及するとともに、雇用保険で高年齢雇用継続給付といった制度、こういった制度活用することによりまして六十五歳までの雇用を確保するなど、さまざまな施策実施しておるというところでございます。
  36. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 具体的な中身に入りますけれども、再任用の場合、採用方法でございますけれども、「従前の勤務実績等に基づく選考」という形に書かれておりますけれども、「勤務実績等」というのは非常に私にとってはわかりづらい選考基準なのであります。既に地方では継続雇用制度があるようでございますけれども、大体この首長の机の上には履歴書みたいなのがうずたかく積まれるみたいな部分もあるやに聞いておりますけれども、人によっては非常に不明瞭というか、透明性がないというような選考過程に映るのではないだろうかというふうに実は危惧をしております。逆に言えば、また自分は再任用されるのかどうか、それをおもんぱかって言いたいことも言えなくなってくるんではないかというような懸念も考えられますけれども、選考基準自治省としてどういうふうにお考えなのか、お示しいただきたいと思います。
  37. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 再任用に当たりましては、公務員任用の原則ということで、改めて能力の実証を要するということにいたしているわけでございます。その方法は選考の方法に基づくということは御指摘のとおりでございます。  再任用される職の職務段階あるいは職務内容というのはさまざまでございまして、要求される能力というものが異なっているということで、再任用職員を充てる職あるいはその対象となる職員に応じてきめ細かく方法を設定できる選考の方法がいいのではないかということで、それに基づくこととしております。それで、任命権者がその選考を行うということにいたしております。  選考の基準というか選考の方法といたしましては、従前の勤務実績が中心となるということでございますが、そのほかに面接とか健康診断とか任命権者実施する試験とか、そういうその他の方法も含めまして総合的に判断するということになると思います。具体的な選考の方法につきましては、それぞれの任命権者が職種や職務内容などに応じて決定すべきものと考えております。  このような考え方は国においても同様でございますので、自治省としても今後の国家公務員の選考に関する取り扱いの状況といったものも踏まえながら必要な情報提供、助言を行ってまいりたいと考えております。
  38. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 再任用職員の中でフルタイムの場合は定員の枠内というふうになろうかと思うんですけれども、再任用されていきますと、一定の枠の中で、先ほども御質問ございましたけれども、新規採用がやっぱり減ってくるんではないか。国とは違って、地方団体の場合、地方の場合四十代の職員の方が非常に年齢構成から考えると多い。そうすると、今から十年ちょっとぐらいになると一気に定年を迎えるという形になろうかと思うんですね。それで再任用されていくと高齢者ばかりになってしまう。学校の先生も若い先生がいなくて跳び箱もコンピューターもできない先生がいっぱいふえてしまう、そういうふうな形になるのではないかというように思うんですが、この点はどういうふうにお考えなんでしょうか。
  39. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 地方公務員退職状況は、先ほど申し上げましたが年間約十万人おりまして、そのうち定年あるいは勧奨による退職者が半分、それ以外の自己都合でおやめになる方が半分、こういう状況で新陳代謝が進んでいく、こういう状況でございます。  お話しのようにそれぞれ地方団体、都道府県あるいは市、それから町村ということで実情を異にしているわけでございます。その中で任命権者としては再任用制度新規採用というもののバランスをどう図っていくかということが大きな課題であろうと思います。  基本的には、現在、現役職員で行っております職務遂行体制というものを見直していただきまして、既存の職務の中でも分析、再編しまして、再任用職員の職域を拡大する努力もしていただかなくてはならないと思っております。他方、新規採用により職員を充てることがふさわしい職務というものもありますので、それはまたそれとして何かということを適切に確定していただくことが必要であろうと思います。  それぞれの職務、職と職員との当てはめの問題でありますが、やはりお話しのように長中期的な視点に立って、組織の活力維持にも留意しながら計画的な人事管理をやっていただくということではないかと思います。
  40. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 高齢社会対応という形でこの制度になるわけですが、公的年金支給開始年齢の引き上げに伴って順次やっていくということにもなります。そういう趣旨からすると、選考で漏れた人が当然出るわけであって、その趣旨からちょっと整合性が保てるのかという点と、それから誕生日によっては年金をもらいながら再任用されていく。例えば四月二日生まれの方は一年間採用されながら年金ももらうよ、こういうことになるわけですが、何とかなるべくきちっと飯が食えるようにするという趣旨はわかるんだけれども、ダブるのはちょっとどうなのかと。その点はいかがでしょうか。
  41. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 再任用に当たりましては能力実証に基づいて行うというのが根本基準でございます。したがいまして、任命権者が従前の勤務実績等に基づいて選考の方法により採用することができる、こういうふうにいたしているところでございます。  したがいまして、希望者が当然に全員雇用されるということを保障するものではありませんが、高齢者雇用推進という観点からは、先ほど申し上げましたように職務の再編成や職域拡大によりできるだけ雇用の機会の拡充に努めなければならないと考えておりますが、お話しのようにその上でも公務内での雇用機会が得られないという職員の方があると思います。そういう方につきましては、その知識経験をできるだけ社会において活用していくということが望ましいわけでございますので、公務外での再就職の支援策などを講ずるということを検討する必要があると考えます。  公務部門における高齢者雇用問題検討委員会においても、当面、例えば生涯生活設計プログラム充実活用を進める、あるいは資格取得等の支援を行う、また求人求職情報の管理のあり方について検討する、職業能力開発のための休暇制度あり方について検討するということで指摘がされているところでございますので、そういった点について検討を進めていく必要があると考えております。  それから、お話しのように、再任用の場合の上限年齢条例で定めるわけですが、その上限年齢に達した三月三十一日ということでございますので、年金支給等の関係ではダブりが生じる場合もあるわけでございます。再任用上限年齢は国の職員基準として条例で定めるということにいたしておりまして、その年齢は満額年金のいわば支給開始年齢の引き上げと合わせますので、基本的には一致するということでございます。  ただ、任期の末日は、条例で定める年齢に達した日以後における最初の三月三十一日までの間において条例で定める日以前でなければならないということで、幾つかの地方団体においては現在の定年制においても三月三十一日でなくて九月末とかを定めているところもありますが、多くは三月三十一日ということでございますので、その場合には任期の末日の定め方によって満額年金の支給対象となる期間が始まるというケースもあるところでございます。その点では、高齢者知識経験活用といったことでは、再任用制度の対象としてはそう大きな問題ではない、このように考えております。
  42. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 ちょっと確認でございますけれども、地方団体と国で人事交流とかやっていますけれども、国に行ってそこで定年を迎えたといった場合は、国家公務員の再任用制度との関係はどうなるんですか。定年を迎えるときは本籍に戻るというふうな形で多分人事的には配慮するんでしょうけれども、行ってしまった、そこで定年を迎えた場合はどんなぐあいになるんでしょうか。地方公務員としての再任用制度になるのか。ちょっと確認ですが。
  43. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 再任用制度運用は、今お話し国家公務員地方公務員の間の再任用に当たっての通算というんですか、共通した任用はありません。同一の地方団体の中で任命権者が異なる場合には同一の地方団体の中での再任用が可能と。それからもう一つは、一部事務組合あるいは広域連合とそれを構成する地方団体の間で退職者について共通して再任用することができる、この手当てをいたしておりますので、その二つのケースの場合が可能、こういうことでございます。
  44. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 趣旨があれだったんですけれども、例えば国家公務員がどこかの県に行く、そこで定年を迎えてしまったといった場合、多分本省に戻すんでしょうけれども、そのまま向こうに行きっぱなしで定年を迎えた場合のことを私は聞いているんです。その場合において、この人事交流をやった場合に、次の懲戒制度にも関連あるんですが、退職金というのは多分これは定年を迎えたところで払うわけですよね。これは国と地方考えた場合、多分通算してやるということになるわけです。退職金、退職手当ですか。そういう形でいいんですね。ちょっと確認ですが。
  45. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 国と地方の人事交流は通常退職方式で行っております。国家公務員の方が地方団体仕事をする場合には、国家公務員退職しまして地方公務員として採用されるということになっておりますので、地方団体退職した場合には、その団体の地方公務員としておやめになるということでございますから、退職金もその団体から出るということでございますし、再任用につきましてもその団体の問題として考え、対処するということになろうと思います。
  46. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 その場合、退職手当は、例えば国のお役人さんが県に行った場合は国の時代も含めて退職金は出るということなんだと僕は思うんです。  この懲戒制度ですけれども、今度新たに、非違行為があったら出向して戻ってきた段階で懲戒ができますよということなんですけれども、国民から見ると、戻ってこなくても、行った先でもやっぱり懲戒した方がいいんじゃないのかと、退職出向という概念を一応横に置いておいて。  つまり、地方公務員として適格性を欠く人間が人事交流で国家公務員として行った。じゃ国家公務員としては適格性はすばらしいんだということを意味していいのか。この点はどうなんでしょうか。国の場合でも、国家公務員としておかしなことをやっていて出向した、戻らないでそのままいれば、国家公務員として適格性が疑われるような人物が地方公務員として地方自治のために一生懸命やるんだと。それだけで適格性はそのままいいのかなと。一方で退職金はきっちり通算して出ますよ、こういうことになるわけですけれども、この点はいかがでしょうか。戻ってきた場合に懲戒できるというのは大きな前進ではありますけれども、いかがですか。
  47. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) お話しの懲戒処分の関係でございますが、基本論を申し上げて恐縮ですが、職員の非違行為に対してその責任を明らかにして任用関係の秩序維持を図る、いわば任命権者が使用者としての立場で行うということで任用関係の秩序維持を図るということが基本でございます関係で、お尋ねのように出向先において、今勤務しているところにおいて、それ以前の時代の非違行為についてそれを懲戒事由とできるかということでございますが、それはやはり任用関係にない時点における非違行為に当たりますので、そこは難しい、できないということでございます。  実際の運用ではいろいろなケースがありますけれども、出向先の任命権者ともととでお話し合いをしていただきまして、出向を解消して戻して、それで懲戒処分を行うといった運用は可能かと思います。また、出向先での仕事ぶり自体が非違行為なり懲戒事由に該当することがあるならば、それはそれで対応可能ということでございます。
  48. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 退職出向という考え方が既に退職手当等では乗り越えているわけです。公務員としての適格性、国民から見たら、何で一方ではおかしいと言われているのに他方に行ったら許されるのか、やっぱり奇異に映るわけであって、ぜひ検討を今後もしていただきたいと御要望して、質問を終わります。
  49. 富樫練三

    ○富樫練三君 日本共産党の富樫練三でございます。  もう大分議論がされておりますので、若干最初に確認をしておきたいと思うんですけれども、今度の再任用制の問題です。  この目的というのは、年金支給年齢が二〇〇一年、平成十三年から三年ごとに一年ずつ引き上がっていくということで、平成二十五年には六十五歳からの支給になる。そういうふうになった場合に、現在、六十歳定年ということになりますと、六十歳と六十五歳の支給との間の年齢の格差というか、制度上の矛盾と言うとちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、そこにブランクができる、ここのところを解決する。そのために、今まであった再任用制度とはちょっと中身の違う再任用制度にする。その対象やあるいは職務の内容、こういう点についても改善をして、引き続いて公務員として働けるような状況をつくろうと。ここが今度の再任用制の目的の一番ポイントだというふうに理解してよろしいのかどうか、ここをちょっと確認しておきたいんですが。
  50. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 平成六年三月二十五日の閣議決定公務部門における高齢者雇用を進めるということが決められているわけでございます。  そこにおいては、基本的には高齢化が進んでいるということを背景といたしまして、今般共済年金の六十歳代前半の給付の弾力化を行うに当たり、公務部門における高齢者雇用について次の方針で取り組んでいくとして、今後とも雇用年金連携に十分配慮していくものと、ここで基本方針が決まっておりますので、御指摘のとおりだと思います。
  51. 富樫練三

    ○富樫練三君 そうしますと、五年間のブランクを埋めようということで、実は三月十六日の公務員制度調査会の答申、その中で国家公務員については六十五歳定年に向かうべきである、こういうふうにされていて、四月二十七日の地方公務員制度調査研究会の発表、例の「地方自治・新時代地方公務員制度」、地方公務員制度改革方向、こういうのが発表されているわけですけれども、この中では、将来の六十五歳定年も視野に入れて、こういうふうになっているわけなんです。  そうしますと、今回の再任用制というのは、将来、国家公務員地方公務員も六十五歳定年というものを一応視野に入れながら、まだ決めたわけじゃないんだけれどもそうすれば矛盾は解決するということなんですけれども、六十五歳定年制までの間の過渡的な措置として、今度の制度を暫定的な措置として今回改正をする、こういう意味でしょうか。その点はいかがでしょう。
  52. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 地方公務員の六十五歳への定年延長との関係でございますが、今回導入しようといたしております再任用制度は、六十歳定年制を前提といたしておりまして、そこに高齢者の方の知識経験というものを役立てるということで再任用の仕組みを設けるというものでございます。  それで、公務員制度調査会あるいは地方公務員研究会におきましても、お話しのように、高齢者雇用制度あり方については、今後の年金制度改革の動向さらには民間企業における定年制継続雇用制度あり方、賃金実態も踏まえながら、将来の六十五歳定年制も視野に入れて、より適切なものとなるように引き続き検討を行う必要がある、これが研究会での総括でございます。御指摘のとおり、そのような報告がなされております。  平成八年七月の閣議決定高齢社会対策大綱で現在のこの制度改正考えておりますが、そこにおいては、希望すれば現役として六十五歳まで働くことができる社会を目指して六十五歳までの継続雇用推進する、そのために高齢者意欲能力に応じて就業することができる多様な機会の確保を図るということとしているところでございまして、今回の改正は、過渡的、暫定的なものという位置づけではございません。
  53. 富樫練三

    ○富樫練三君 過渡的、暫定的ではないということなんだけれども、要は五年間のブランクを何とか埋めよう、こういうことなんだと思うんです。  五年間のブランクを埋めるには、年金支給を六十歳からにするか、退職定年を六十五歳にするか、どちらかを選べば退職年金が継続するわけです。ただし、現在、年金の方は六十五歳からということでもう既にそういう方向が決まっていますから、それに対応して再任用制度でカバーをしていこう、こういうことなんだろうと思います。  そういうふうに考えた場合に、先ほどもちょっと質問がありましたけれども、退職者の中で、フルタイムであるか短時間勤務であるかはともかくとして、希望者が全員、希望する者は全員が再任用されることによって初めて五年間のブランクというのが埋まることになります、一年ごとの更新というのはあるわけですけれども。  先ほど、全員保障するものではない、公務外でのということもちょっと答弁であったわけですけれども、五年間の矛盾を解決するということであれば、希望者は原則として全員採用する、再任用を認めるということでなければ、この法律目的は達成しないんじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  54. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 公務員任用の基本的な原則は能力実証に基づいて行うということは言うまでもないわけでございまして、再任用についても、原則は従前の勤務実績などに基づく選考の方法で任命権者が採用するということになるわけでございます。  この場合において、再任用に当たりまして定年前と同じ職に再任用されるとは限らないわけでございまして、再任用される職に応じて要求される能力がさまざまでございますので、再任用の対象となる職員につきまして、職務遂行の能力実証というものが改めて必要になる、このように考えております。  したがいまして、希望者が当然に全員雇用されるということが保障されるものではないわけでございます。  また、再任用に当たりましては、行財政改革要請、また再任用新規採用との調和というものに留意した中長期的な視点に立った計画的な人事管理ということも大事でございますので、各地方団体においてこの辺のことを適切に判断がなされるべきものと考えております。  いずれにしましても、高齢者雇用推進という観点から、各地方団体においては、既存の職務の再編成あるいは職域の開拓ということにより、できる限り雇用の機会の拡充に努めなければならない、このように考えております。
  55. 富樫練三

    ○富樫練三君 従前の勤務実績等というのも入っているわけですね、先ほど質問がありましたけれども。  再任用の対象者は定年まで勤めた方ですね。その方は、個人の能力や個性もあるだろうから程度の差はいろいろあったとしても、少なくとも地方公務員法には合致する、したがって定年まで勤められた、こういう方です。  それ以外の基準をここに持ち込むということになれば、任命権者の恣意が働くというか、こういう要素が入ってくる可能性があるんではないか。  少なくとも定年まではしっかり働いた人なわけですから、そういう方で希望される方は、短時間であろうとフルタイムであろうと採用するのが当然だろう。  仕事の内容も、職種は多少の違いはあるかもしれないけれども、地方公務員という大枠の中では十分合格しているわけですから、それ以外の基準は設けるべきではないのではないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  56. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 高齢職員の再任用に当たりまして、高齢職員の場合には加齢によりまして能力また資質の変動というものも大きいということが特色でございます。また、再任用される職というものの方から考えますと、それに要求される能力というものもさまざまでございますので、それぞれ再任用される職員の方についてのその職に要求される能力というものの能力実証というものが必要となると考えております。  また、再任用により職員、組織の膨張を来すということはあってはならないという原則もあるわけでございまして、行財政改革要請あるいは再任用新規採用との調和、中長期的な人事管理といったことからそれぞれの地方団体において適切に判断がなされるべきであると考えております。当然、職域拡大については努力をする必要はもとよりでございます。
  57. 富樫練三

    ○富樫練三君 確かに年齢の問題というのはあるとは思うんですけれども、ただ六十歳まではこの仕事ができたけれども六十一歳になると途端にもうその仕事はできないということではないだろうと。ですから、ここのところは運用の点で大いに実情に合わせた運用の仕方、こういうことが必要なのではないかというふうに思うんです。  先ほども定数の問題、枠の問題がありましたけれども、高齢者が入ってくることによって若年層、若い人たちの新規採用の部分の枠が減るのではないかと。これは定数の枠内、常勤のフルタイムの方が枠内に入るわけですから、それから、短時間の場合でも、それによって軽減される、定数枠内の仕事の内容が軽減された分はそれに換算をするということになりますから、当然のことながら若い人たちの入る余地というのは少なくなっていく。これは程度はどのぐらいかはともかくとして、確実にそういうふうになるだろうというふうに思うんです。  地方自治体の場合を考えると、例えば先ほども跳び箱やコンピューターの話が出ましたけれども、保育園の保母さんとか病院の看護婦さんとかあるいは小中学校の教員の問題であるとか、さまざまな若い人たちが入ることによって新しい職場に活力が生まれてくる、あるいはそういう人たちだからこそできる、こういう部分も、地方自治体の場合はかなり現場を抱えているわけなんです。こういう点はかなり考慮されるべきではないかというふうに思うんです。  したがって、若い職員新規採用の枠を狭めない、そのためには定数の枠をふやすかあるいは再任用については定数の枠外にしていくかということになると思うんです。定数の枠をふやすということ、これが一番妥当であろうというふうに思うんですけれども、この点についてはどうお考えでしょうか。
  58. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) これから高齢社会ということで全体の人口の推移あるいは人口構成の高齢化が進む、それは地方公務員の採用などにも影響を及ぼしてくるだろうというふうに考えております。  そういう全体の高齢化が進む中でこの再任用制度というものを導入していくわけでございますが、平成六年の閣議決定におきましても行財政改革要請に十分配慮しつつ取り組むというふうにされております。  この再任用制度導入によりまして行政需要が増加するというわけではないわけでございまして、そういった意味で簡素で効率的な行政体制の推進を阻害しないようにしなくてはならないということで、定数に関しましては、フルタイム職員につきましては定年前の常勤職員と同様に現行の定数条例の対象とする、それから短時間勤務職員につきましてはその導入により軽減された常勤職員業務量に見合う定員をカットするという方向考えるべきであろうと考えております。
  59. 富樫練三

    ○富樫練三君 確かに、高齢者というか経験豊かな方々から学ぶべき点も多いわけで、そういう点では若い人と経験豊かな人の調和というのが大事だと思うんです。  先ほどもちょっと出ました閣議決定平成八年の高齢社会対策大綱の中でも、希望すれば現役として六十五歳まで働くことができる社会を目指すというふうに言っているわけなんですけれども、こういうことを考えた場合に、少なくとも国が職員の定数の枠の中に入れるとかということをこちらから枠をはめるというか決めるのではなくて、そこの運用については地方自治体の判断にむしろ任せる、こういうことも必要ではないかというふうに感じるんですけれども、この点はいかがでしょうか。
  60. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 地方団体職員の定数につきましては条例で定めるということで、そういう面では議会で御審議いただいてそれぞれの団体で定数条例を定めてまいるわけでございますが、その場合の考え方につきましては今ほど申し上げたところでございます。  非常に現今の経済、地方行政を取り巻く環境というものは厳しいわけでございますので、地方団体においても行財政改革要請に十分配慮して対処していただきたいと考えておりますし、私どももそのように要請してまいりたいと考えております。
  61. 富樫練三

    ○富樫練三君 ということは、条例で定数を決めるということは今までもそうなわけですけれども、そうすると、一応今度の法案では国としての考え方を示したということであって、再任用の部分については定数の枠を仮にその部分をふやすということがあったとしても、そのことについて国としてはとやかく言うものではない、これに縛られるものではない、こういうふうに運用上は理解してもよろしいんですか。
  62. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 地方団体において再任用制度運用に当たりましては、基本的にはできる限り国との均衡をとりつつ実施をしていくということでございます。特に定員の関係につきましては、今ほど申し上げた考え方地方団体に対しまして自治省といたしましても要請し指導してまいりたいと考えております。
  63. 富樫練三

    ○富樫練三君 できるだけということでありますから、運用の点では自治体の判断に大いに任せるべきだろうというふうに思います。  もう一つ、再任用職員の所得の問題、これは自治省自身の九六年の六十歳代前半就労生活意向調査なんですけれども、常勤の再任用希望者の場合は大体年収でいうと四百万から七百万ぐらいを希望するというのが全体の七三・一%、月額にした場合は三十万ないし四十万というところが全体の六〇・八%を占めているんです。今度の再任用の場合は、一応目安として言われているのが年収で約四百万から四百五十万、月額に換算してみますとこれは二十七万から三十万ぐらい、こういうことになるわけなんです。老後の不安のことを考えれば、希望している金額も恐らく控え目な金額だろうというふうに思うんです。  そういう点で、先ほど民間の六十歳代前半の部分と均衡を保って、こういうことがあったわけですけれども、民間のそれが理想的だというふうに私は思わないわけで、そういう意味ではもっと豊かな老後が過ごせるということを目指すべきだろうというふうに思うんです。  特に、働く意欲能力経験もあるベテランの公務員に対して、それにふさわしい所得を保障するということがやっぱり大事なんじゃないかというふうに思うんですけれども、これらについてはかなり確定的なものとして目安を出しているのか、この点も地方自治体に必要な範囲で実際にはそういう方々の希望も受け入れてやるという一定の幅が持たれているものなのか。もちろん給料については地方自治体が独自に決めるという原則があるわけですけれども、これを拘束するものではないというふうに理解してよろしいんですか。
  64. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 再任用職員給与でございますが、基本的には地方公務員給与は国に準じて定められるという大原則がございますので、その原則にのっとった考え方でございます。  そこで、国の再任用職員給与考え方でございますが、長期継続雇用を前提としたいわば現役職員制度とはこれは切り離して考えようと。それで職務の評価というものを基本とした簡素な仕組みとする。その水準につきましては、人事院の意見の申し出を踏まえまして、各ポストの職責及び民間企業の六十歳代前半の者の給与水準などを考慮して設定するということで考えているところでございます。  地方公務員の再任用職員給与につきましても、国の職員に定められる給与に準じてこれが設定されるべきものだ、このように考えております。
  65. 富樫練三

    ○富樫練三君 もう時間が来ましたので、最後になりますけれども、私は、一つはなるべく全員が採用されるように、さらに定数の問題、所得の問題を今伺ったわけですけれども、この法案が可決されれば、地方自治体が実際に運用するわけです。  そういう中で、例えば地方団体の意見はこれを決めるに当たってどう反映されているのか。特に地方六団体やあるいは職員団体、こういう人たちの意見がどういうふうに聴取されたのか。それからもう一つは、実態に合わせて運用の点で大いに改善すべきところ、先ほどからも意見がたくさん出ておりましたけれども、こういう点についてはどういうふうに柔軟に対応していくのか。  この辺の考え方について最後に伺って、質問を終わります。答弁をお願いします。
  66. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 地方公務員の再任用制度につきましては、先ほども申し上げましたが、平成六年の閣議決定から出発しているわけでございまして、自来五年かけて議論を進めてきたところでございます。地方、国あわせまして、公務部門においての再任用制度について議論をしております。  自治省におきましても、これまで、例えば昨年、十年の五月に出されました人事院の意見の申し出、あるいは六月に最終的に出されました公務部門における高齢者雇用問題検討委員会の最終報告というものをベースに、地方団体の人事担当者を交えまして、ブロックごとに都道府県や指定都市の課長会議などいろいろな会議の場あるいは個別の地方公共団体から御意見を聞いております。また、学識経験者、地方公共団体の人事責任者などからも御意見を伺うということで、地方公務員高齢者雇用問題研究会という場をつくりまして関係方面との意見交換を行ってきておりまして、そういった成果を踏まえたものでございます。  再任用制度は、それぞれ任命権者ごとに実施することになるわけでございますが、それぞれの地方団体でやはり調整を図るということも重要な課題でございますので、制度趣旨に沿って円滑な運用がなされるように、私どもとしても今後地方団体に対して助言をしてまいりたいと考えております。
  67. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 社会民主党・護憲連合の照屋寛徳でございます。私の方からも何点か質問をさせていただきたいと思います。  このたびの地方公務員法の一部を改正する法律案、これはただいま多くの委員から質問がありましたように、我が国の超高齢社会の到来という社会的な背景があり、同時に年金制度改正に合わせて六十代前半公務員生活雇用年金連携によって支えていこう、こういう改正趣旨でございますので、私も基本的に賛成でございます。  ところで、今回の地方公務員法の一部改正がうまく機能していくために、私はどうしても基本的な視点というか考え方を確立しなければならないと思います。と申し上げますのは、国家公務員の場合も地方公務員の場合も、御承知のように職務専念義務というのが法律上明定をされておるわけであります。公務員職務専念義務というのは公知の事実であるわけでありますが、国家公務員の場合、地方公務員の場合、公務員法律職務専念義務を課されるという場合に、任命権者の方も職員職務に専念できるような、職務専念義務が果たせるような、そういう環境を同時につくっていかなければならない、これもまた私はある面で法律上の義務であろうというふうに考えるわけであります。  そうすると、地方公務員職務専念義務を果たしていく上で、定年退職後の生活に不安を覚えることなく職務に専念できるような公務員制度の一環として年金制度の樹立とその効果的な実施地方自治体に義務づけられておるんだ、こういうことを私はしっかりとらまえていく、このことが非常に大事だろうというふうに思うわけです。  したがって、このたびの地公法の一部改正の理由というか立法趣旨からいたしますと、任命権者に対して、公務員職務専念義務を果たしていく上で定年退職後の生活に不安を覚えない、そういう施策として雇用年金連携を十分配慮していくことを要請しているんだ、むしろ義務づけておるんだ、こういうことを私は強調しておきたいと思います。そこのところがしっかりしておらないと、再任用希望者が全員任用されるのかどうなのか、あるいは定数の扱いをどうするかとか、ここの取り扱いが私はうまくいかないのではないかな、こういうふうに考えるからであります。  そのことを冒頭申し上げた上で、具体的な質問に入りますけれども、地方公務員の高齢化の背景にある要因をどのように自治省はとらまえて分析をしておられるのか、お聞かせを願いたいと思います。
  68. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 地方公務員の高齢化ということでございますが、例えば一般行政職の平均年齢は、平成九年の四月一日現在では四十・六歳ということで、約二十年前の昭和五十三年四月一日現在と比較して四・七歳上昇いたしております。国家公務員の同日現在の平均年齢と比較しましても一・五歳上回っている、こういう状況でございます。  その要因でございますが、一つは、行政ニーズ等に対応して採用の増大した年代の職員がちょうど四十歳代から五十歳代へ移行している。それから、近年の行財政改革要請の中で新規採用による若年の職員の補充が抑制されている。それから、職員退職理由といたしまして、勧奨退職、自己都合退職の割合が減少いたしまして、定年いっぱいまでお勤めになるという方の割合が増加している。こういう要因があるものと考えております。
  69. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 恐らく民間に比べて自己都合退職というか中途退職は少ないだろうというふうに思われます。そのことが、ある時期、ある年代における行政需要の増大と絡んで大量採用があって、高齢化というのが生じているのではないかと思います。  今、答弁の中でも触れておられました地方自治体における定年前勧奨退職制度の全国的な実情というのはどういうぐあいになっておりますでしょうか。
  70. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 勧奨退職制度を設けております地方団体は全体の四分の三となっております。その運用においても、特定の年齢に達した職員に対して退職勧奨を行うというやり方は減少傾向でございまして、個別の事情を考慮して勧奨を行うというものが多くなってきておりまして、大体三分の二の団体がそういう形で、一律でない個別の事情による勧奨となっております。  それから、特定の年齢に達した職員に対して退職勧奨を行うという場合にあっては、五十八ないし五十九歳とする団体が多い、こういう状況にございます。
  71. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 全国的に勧奨退職制度の適用を受けて退職されるというのは減少しているんですか。傾向としてはどうなんでしょうか。
  72. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 傾向といたしましては、勧奨退職が減少し定年退職の割合が増加する、こういう傾向でございます。
  73. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 最近、学校教育現場などでは勧奨退職制度の適用を受けたいとする者が増大をしているというようにも聞いたんですけれども、なるほど今の御答弁でよくわかりました。  さて、地方公務員の高齢化という現象、その背景等についてお伺いをしたわけですが、地方公務員の高齢化に伴う高齢職員人事管理上の課題というのはどういったことが考えられるんでしょうか。
  74. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 地方公務員の高齢化ということで、年齢構成で見てみますと、現時点では四十歳代後半のいわゆる団塊の世代の年齢層の占める割合が極めて高い状況にございます。  これに伴いまして、多くの地方公共団体におきまして人件費の増大、役職ポストの不足、それから昇任人事の停滞に伴う職員のモラールの維持、また組織の活性化といったことが人事管理上の課題となっていると考えております。  そういったことで、従来のピラミッド型の人事構成を前提としましたライン重視型の職務編成を見直したらどうか、また職員の適性や意向に応じたスタッフ職、専門職として能力発揮の機会をつくって処遇をしたらどうか、いわば複線型の人事管理システムへ転換する。それから、年齢構成の高齢化に伴って高齢職員給与あり方について見直しをしたらどうかといったことで、能力、実績を重視した人事管理システムに見直しをしていくといったことが課題となる、このように考えております。
  75. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 さて、国家公務員の場合には、天下り問題というのがかなり大きな社会問題に発展をしておるやに私は理解をいたしております。  それで、いよいよ地方公務員の場合も定年等による離職後の再就職あり方というのがこれから大いに問われてくるのではないか、社会的に解決しなければならない大きな課題ではないか、こういうふうに考えるわけであります。  地方公務員国家公務員とでは差異があるんだろうと思いますが、地方公務員の場合でも、地方団体が出資をしておる第三セクターとの関係、あるいは外郭団体や施設の管理公社等への天下りあるいは出向、再就職の問題、さまざまあるんでしょうけれども、自治省として地方公務員の離職後の再就職あり方についていかなる方策をお持ちか、お教えをいただきたいと思います。
  76. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 地方公務員の特に退職管理、退職状況また再就職の実態というものは、国家公務員とは相当異なるというふうに見ております。  この四月に出ました地方公務員制度調査研究会報告でも、そういったことを踏まえまして、引き続き各地方団体においてその実情に応じて再就職後の営業活動に関する行為基準など一定の基準を設けるなど、住民の不信を招かないよう適正な管理に努めることが適当であるというふうにされておりまして、自治省では、平成五年のいわゆるゼネコン汚職という事態を踏まえまして、離職後の再就職に関しまして住民の不信を招かないよう十分留意して対処するよう地方団体に対して通知を出しております。  それぞれの地方団体におきましては、離職後に営利企業就職した職員地方団体に対する営業活動を一定期間自粛することを要請したり、また営利企業への職員の推薦を廃止したりということで、何らかの見直し措置を講じているところでございます。
  77. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 次に、今回の法改正が実現をいたしますと、恐らく地方公務員の大きな関心は、再任用を希望する者は全員採用されるのかどうなのかということにあるだろうと私は思います。  これまでの答弁を聞いておりますと、再任用されるかどうかは基本的には当該本人の意欲能力の実証を前提にして選考するんだと。そして、一年単位で任用を更新していく。更新後、年金の満額支給開始年齢まで雇用を継続していく制度だと。したがって、再任用を希望する者は恐らく全員採用されるとは限らないというのがこの趣旨かもしれません。  しかしながら、冒頭申し上げましたように、法律上、地方公務員職務専念義務を課しておるその背景というか、一方では職員定年退職後の生活に不安を覚えないような雇用年金制度を確保していくというのが義務づけられておるんだということからすると、地方公務員の場合、各任命権者にとどまらずに、政府全体として私は再任用を希望する職員に対してはそれが実現できるように努力をする、そういう義務が課されておるのではないか。あるいはまた、努力義務と言い切るときついのかもしれませんが、そういう義務が強く要請をされておると考えてもいいのではないかと思いますが、この再任用されない場合の公務外への再就職支援策をどのように講ずるのか、あるいはまた再任用されなかった場合、何らかの経済的な保障は考えておられるのか、そのことについてお聞かせを願いたいと思います。
  78. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 六十歳代前半の方で就労を希望する方については、まず公務部内の職務再編などで再任用ポストの確保、採用職場の職域の拡大ということで高齢者雇用を進める必要があるということは御指摘のとおりだと思います。  その上で、公務内での雇用機会が得られない職員についても、その知識経験をできるだけ社会において活用していくということが望ましいわけでございますので、公務外への再就職支援策などをやっぱり検討する必要があると考えているところでございます。先ほど公務部門における高齢者雇用問題検討委員会の最終報告書でも、当面、生涯生活設計プログラム充実活用、あるいは資格取得などの支援策、それから求人求職情報の管理のあり方、または職業能力開発のための休暇制度あり方といったことについて検討を行うこととされておりまして、地方公務員につきましてもそういったことを踏まえながら検討してまいりたいと考えております。  それから、新たな再任用制度任命権者定年等で退職した者についていわば選考により採用することができるという制度でございますので、採用されることについて何らかの保障をするという制度とはしておりませんので、経済的保障ということは想定をいたしておりません。
  79. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 終わります。
  80. 高橋令則

    ○高橋令則君 自由党の高橋でございます。  今回の地方公務員法等の一部改正の内容につきましては、適正かつ必要な内容だというふうに考えておりまして、今後この制度について運用の適正をさらに努力していただきたいというふうに思います。  私は一点だけ、懲戒の問題の取り扱いを確認しておきたいんですけれども、A省に入省してB県に出向し、そしてまたA省に復帰した場合の最初のA省の懲戒事由でA省に復帰した後に処分するだけだというふうに後で聞いたんですけれども、そのとおりですか。
  81. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 今回の改正はそういう場合を対象といたしております。
  82. 高橋令則

    ○高橋令則君 そのようなケースについて、A省そしてB県で何か不祥事があって、そしてA省の中で復帰後に発覚したというふうなケースがあるわけで、そういう場合はできないわけですね。  私は、わざわざ法律をつくるにしては法益が非常に少ないなということを実は感じたんです。今の特別権力関係論というんですか、これはわかりますけれども、わざわざ法律につくってこの程度かなというふうに思うんですけれども、これしか方法がないんですか。
  83. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 公務員の懲戒処分ということで申し上げますと、任用関係の秩序維持を図る観点から任命権者がいわば使用者の立場で行うということでございます。  それで、退職して出向する形になりますので、そういう面では身分関係任用関係はそこで切れるということでございますが、いろいろ社会的に問題になったケースを中心として検討した結果、復帰を前提として出向する、当然戻ってくることを前提として出向した場合に、以前の非違行為というものがそこで中断されて、帰ってきた後に発覚したときに懲戒行為が行えないというのはおかしいじゃないかということで、その場合には中断ということはないということで今回の措置を講ずる、こういうことといたしたものでございます。  お話しのように、出向先で非違行為を行って復帰後にそれが判明したというケースにつきましては、やはり任用関係にない時点での非違行為ということでありますのでなかなか懲戒制度上非常に難しい、困難である、こういうことでございます。
  84. 高橋令則

    ○高橋令則君 国民から考えるとどうも納得しがたいという部分があるだろうというふうに私は思いますが、今後いろんな機会があろうかと思いますので、継続して検討していただきたい。  終わります。
  85. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 法案に対する質問の前に、せんだって当委員会で二〇〇〇年問題につきまして御質問をさせていただいて当時の状況は伺ったわけですけれども、二〇〇〇年まであと半年ということで時間も迫ってまいりますと、国民も非常に関心を持ってきておりますし、マスコミも連日のようにこの問題を取り上げておるわけです。    〔委員長退席、理事山下八洲夫君着席〕  たまたま先日のNHKのニュースで言っていたんですけれども、中小企業における対策が大変おくれている状況にあるようでありまして、四分の一が対策は講じないということを言っておるわけです。四分の一が対策は講じたいけれども資金がないということを言っておるわけです。二〇〇〇年問題の対策助成金についても、申請してもうまくいかないと嘆いている企業が中小企業の大半になっておる状況でありまして、地方自治体におけるこの問題についての現状をまず伺いたいというふうに思います。
  86. 香山充弘

    政府委員(香山充弘君) お答えを申し上げます。  二〇〇〇年問題につきましては先般の委員会でも御指摘をいただいておるところでございますけれども、私ども、国に準じた早急な対応をするよう地方団体に指導を繰り返しておるところでございます。  まず、地方団体が保有いたしておりますシステムにつきましては、修正作業と模擬テストの実施要請した次第でございます。ことしの三月一日現在の調査結果で申し上げますと、六割の都道府県で修正作業がおおむね完了しておる、それから市町村の方は一〇〇%の団体で修正作業に着手をしたと、こういう状態でございまして、修正を終えたものにつきまして順次模擬テストが行われておるという状況にございます。  それからさらに、この四月には「危機管理計画策定の手引」というものを作成いたしまして、すべての都道府県と市区町村に配付をさせていただきました。これは、地方団体がみずから持っておりますシステムが問題を起こした場合の対応だけではなくて、ただいま御質問にもございましたけれども、民間会社等が保有する社会インフラにかかわるようなシステムが問題を起こした場合、この場合には、要するに災害に準じたような対応をとるようにという、そういう心構えをしておく必要があるということを促したわけであります。こういう二つの内容を持ちました手引書を地方団体に示しまして地方団体対応要請いたしたところでございまして、すべての都道府県それから六割強の市区町村でこの危機管理計画の作成に着手、あるいは作成の予定を決めた、こういうような回答をいただいております。    〔理事山下八洲夫君退席、委員長着席〕  今後とも、地方団体に対する要請を強めまして、遺漏がないよう期してまいる所存でございます。
  87. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 いろいろな面で国際化が進んできて、諸外国も二〇〇〇年問題について日本がどう対応するのかということを非常に注目しております。そういう中で、先般から、ガイドラインの問題もそうでありますし、通信傍受の問題もそういう部分があるわけでありまして、やはり世界の中での日本の果たす役割というものをきちっと果たしていくということが大切であろうというふうに思います。  最近、衆議院と参議院のいろんな状況を見てみますると、いろいろな形での、世紀末から新世紀に向けての改革をやっぱり進めていかなきゃいかぬということで、積極的な取り組みはそれはそれで必要なことでありますけれども、かなり無理をしてスピードアップしているという部分が審議の中であるんじゃないかなという感じがするんですね。それで、これは非常に参議院の独自性とも関連してくるわけでありまして、非常に問題が起きておるという思いがいたします。  この法案につきましては、参議院先議ということでありますし、先行議員の方々からそれぞれの角度で熱心な議論をされておる。非常にそういう点ではいいことだと思うんですが、今回のこの法案について、御存じのように今非常に経済の状況が厳しい中で、失業率も四・八%、男子の場合はもう五%という未曾有な状況になってきておりますし、総理が国際公約しておられます〇・五%の成長率、これは恐らく民間方々はまず無理だろうという厳しい状況の中で、民間では大変なリストラが実は進んでいるわけですね、金融関係だけは除外しておったわけですけれども。例えば、私がかつて勤務しておりました新日鉄は、昭和四十五年に合併したときには八万二千人いましたのがもう今二万一千人です。その中で、実際に鉄を売っているのはわずか一万六千人ぐらい。そういう形でみんな努力をして頑張ってきておる。  そういう供給過剰体制の中でこれからどうやって経済戦略を練りながら日本として頑張っていけるかというこのタイミングが、そういう時期でありますだけに、十年先のことで、確かに国、地方を通じて公務員が四百四十万人頑張っておられるわけですし、六千数百万の雇用労働者のうち大きなウエートを占めておるわけでありますが、過去におきましては、民間が非常に元気のいい時代人事院勧告というのはそれに依拠して対応してまいってきておるわけですが、今逆の状況が出てきている。  そういう中で、確かに年金に移行していくというその辺の問題はわかるわけでありますが、なぜ今この時期にこの法案が出てくるのかということをやはり国民の皆さん方にきちっと説明しなきゃいかぬだろうと思うんですね。確かに、少子化の問題あるいは高齢化対策、人材が足りなくなってくるんだからきちっと優秀な人材を確保しておかなきゃいかぬ、これも私どもはわかるわけでありますが、また片方で、年金受給年齢のアップに対する定年を迎えた公務員への対応という、この二つの問題があると思うんです。どちらにウエートを置かれて今回この法案を出されたのか。タイミングの問題と、少子化対策なのか年金対策なのか、その辺をまず伺いたいと思います。
  88. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 全体的な背景については松岡先生から今いろいろお話がございました。本格的な少子高齢社会においてどういうふうに我が国全体の仕組みをつくっていくのか、先ほど来いろいろ御議論がございましたが、言うなら人生八十年時代にどうしていくのか、そういった観点というのが背景にあると思います。そういった背景の中で年金制度改革ということが行われ、そして六十五歳への年金支給開始年齢の引き上げということが決まってきた。  そういう背景の中で、その改正に合わせて、特に定年制そのものは六十歳定年制ということを前提とする中で年金支給開始年齢の引き上げということであれば、当然のことながら六十歳代前半における生活をどういうふうな形で支えていくのか、それが、年金雇用連携させる中で対応していこうという、これは一つの大事な、タイミングからいえばそういうことはあるということは率直に申し上げなきゃならぬと思います。  今、当面の現在の経済低迷状況は、いつまでもこれが続いて、いつまでも雇用問題が慢性的に日本の最大課題一つであり続けるということは私はないと思います。また、そんなことであればこの日本は立っていかなくなるわけですね。  そういった意味で、今一時的に雇用問題というのは非常に深刻なことになっております。そういう点で、確かに民間のサイドから見れば何でという言い方、何で公務員だけがという指摘があるいはあろうかと思います。しかし、それはそれで、特にこの年金支給開始年齢の引き上げという問題、これは公務員の世界だけではありませんで、当然のことながら民間においても同じようなテーマに取り組んでおるわけで、この点は先ほども申し上げましたが、閣議決定において、公務部門公務部門民間部門民間部門、それぞれの努力と責任においてこの問題に取り組んでいくという一応の仕分けを、整理をして、そしてそれぞれ取り組んできた経緯があるということも先ほど申し上げたとおりでございます。  そういう点で、両方が同時に進行しておると言っていただいた方がいいのかと思うんです。特に、少子高齢社会において、本当に経済、雇用、財政、あらゆるものがみんな関係してきている背景があることはもう改めて言うまでもないと思っています。
  89. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 大臣のおっしゃる認識は私もよくわかるわけでありますが、現在、日本が全体的に大体二割から三割ぐらいの設備過剰といいましょうか、供給力過剰に経済全体が陥っているから、需要を何ぼ喚起しても景気が立ち直らないという悪循環の中にあるわけです。  この前、鉄鋼関係が随分アメリカからたたかれておりますけれども、アメリカの状況を聞いてみますると、大体国内の設備供給力というのを、全体を一〇〇とすれば八割ぐらい経済活動、あと二割は輸入で賄おうという体制に試行錯誤しながら向こうはいっているわけですね。ところが、我々の場合はもう最初から百二、三十%の設備を持っている。これをこの数年の間にどうやっていくかという苦しみの中に今あるわけですね。  ですから、例えば、これは六月三日の朝日に出ていますが、電通が管理職定年を五十八歳にするというものを出しているわけですね。管理職です。六十歳定年法律で決まっているのにそういうことを片方でやっている。  それから、定年制の問題については、現在の平成十年の実績で見ますると、定年制を決めている企業が、一応一〇〇%決めているわけですけれども、定年実施しているのは九三・三%という状況一つあるわけです。  それから、これまた非常に大きな問題なんですが、千人から四千九百九十九人というかなり大きな企業の中では、五十五歳以下でも職を去っていっているというのが実は〇・五%既に実績として出てきておるわけです。そういう厳しい状況の中で、やはり国民に対してきちっとした説明が必要だろう。例を挙げますと、そういうことが実際の問題として出てきておるわけです。  そして、先ほど来先行議員の御議論もございましたが、アンケート調査によると再任用を希望している職員は六割程度ということですから、先ほど御心配の発言もありましたが、実際は一〇〇%再任用職員にされるというふうにとれるんですけれども、これはどのように考えておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  90. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 再任用に当たりましても、行財政改革要請に十分配慮して取り組むこととされております。再任用制度導入によって定数あるいは人件費の増大を招くことがあってはならないものと考えているところでございます。  再任用制度の基本は能力実証に基づいて行うということでございまして、任命権者が従前の勤務実績に基づいて選考の方法により採用するということでございますので、希望者が当然に全員雇用されることを保証するものではないということでございます。  御指摘就労の希望の状況をちょっと申し上げますと、六十歳代前半就労を希望する者は約七割、七〇・一%でございまして、このうち公務内での就労を希望する者が約六割、五六・八%ということでございますので、掛けますと職員のうち四割程度が公務内での就労を希望する、こういう状況のようでございます。  いずれにいたしましても、高齢者雇用推進という観点では、既存の職務の再編成や職域開拓によりできる限り雇用の機会の拡充に努めなければならないということでございますが、前提として先ほど申し上げたことを前提とする、こういうことでございます。
  91. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 今の御答弁でよくわかりました。  常勤職員の定数と短時間勤務職員の定数をどういうふうに定めていくのか、これが一つのポイントになるんだろうと思うんですけれども、行政改革を進めていく中でこれをどういうふうにされるのか、御所見を伺いたいというふうに思います。
  92. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 再任用職員の定員管理の問題でございますが、これまでの政府部内での検討におきましても非常にシビアな議論がされてきているところでございます。  現在の厳しい行財政環境のもとで、簡素で効率的な行政体制の推進を阻害しないということで現在考えておりますのは、フルタイム勤務職員は現行の定数条例の対象とする、定数カウントするという考え方でございます。短時間勤務職員については、常勤職員と区別して別途管理するということでございますが、考え方は短時間勤務職員導入により軽減されました常勤職員業務量、それに見合う定員を削減するという考え方で対処するということで、国、地方、同じ考え方考えております。  再任用制度導入によりまして行政機構の膨張といったことがないように厳正に管理する必要がある、このように考えております。
  93. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 一年を超えない範囲内で任期を定めて、一年を超えない範囲で更新することができるというふうにあるわけですけれども、どの時点でこれを決定されるのか、伺いたいと思います。
  94. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 今お話しのように一年ごとに再任用ということになるわけで、再任用あるいはその更新ということでございます。  それぞれの地方公共団体において、人事計画全体の中で補充すべき欠員の状況というものを把握して、その欠員を新規採用あるいは他の職員の転任、昇任、退職した職員の再任用あるいは任期の更新、こういったいずれかの方法で補充するか見通しを立てるということになりまして、個々の職員の方の当てはめにつきましては、職員能力実証を経て決定されるということでございます。時期的には、新規採用あるいは他の職員の人事異動といったスケジュールを勘案しながら、その時期は判断されるというふうに考えております。  いずれにいたしましても、全体の人事計画と並行して、職員本人の勤務意欲、また勤務形態についての希望の把握、それから候補者のリストアップ、選考の実施といった手続が必要となりますので、前倒しで計画的に取り組んでいくということになると思います。
  95. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 公務員の皆さん方が安心して働ける条件をつくっていく、これは当然のことでありますし、必要なことだというふうに私どもも考えておりますが、先ほど来申し上げておりますように、民間で働いている方々が非常に厳しい状況の中で働いているということを念頭に置きながらいろんな問題を進めていかなきゃいかぬ、そういう立場から意見を言わせていただきました。  時間が参りましたので、終わります。  ありがとうございました。
  96. 小山峰男

    委員長小山峰男君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  地方公務員法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  97. 小山峰男

    委員長小山峰男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  山下君から発言を求められておりますので、これを許します。山下八洲夫君
  98. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 私は、ただいま可決されました地方公務員法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、社会民主党・護憲連合、自由党及び参議院の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     地方公務員法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   再任用制度は、高齢社会の到来と少子化に伴う生産年齢人口の減少が見込まれることにかんがみ、高齢者が豊かな知識経験を生かすことを可能とする重要な制度であり、その整備充実社会的に求められている。政府は、地方公共団体が、この制度活用を通じて雇用年金連携を図り、自主的に公務における雇用機会の拡充に努めるよう、支援すること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  99. 小山峰男

    委員長小山峰男君) ただいま山下君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  100. 小山峰男

    委員長小山峰男君) 全会一致と認めます。よって、山下君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、野田自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。野田自治大臣
  101. 野田毅

    国務大臣野田毅君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重し、善処してまいりたいと存じます。
  102. 小山峰男

    委員長小山峰男君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 小山峰男

    委員長小山峰男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十一分散会