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参考人(
島野康君) おはようございます。
国民生活センターの
島野でございます。いつも当
センターの業務について御
指導いただきましてありがとうございます。
私は
参考人としてお呼びいただきましたけれ
ども、
チャイルドシートそのものについて余り深い
知識はございません。ただ、長年
製品関連事故やら
苦情処理というところを担当しておりまして、その立場から今回の
義務化に対して
意見を述べさせていただくということにいたしたいと思います。
まずその基本的な
認識でございますが、
着用の
効果といいますか、が極めて高いということはもう周知のことであります。
死傷率は三倍、
致死率は八倍なんというような
数字が出ますけれ
ども、
死亡なんというのは、生存と
死亡ですので、そんな
数字であらわせないのではないかというふうに考えております。
しかしながら、
着用率は一割にも満たない。我々の
モニターに聞きますと、大人がいつも同乗しているんだとか、
シートベルトをさせているよとか、
子供を乗せるには近距離過ぎるとか、やっぱりちょっと大きいものですから煩瑣であるとかいろんな言い方をされますけれ
ども、一応一割にも満たないということがございます。しかしながら、こういうのはやっぱり
義務化をしないと先ほど言ったような
効果がなかなか上がらないのではないかと。
シートベルトの例を見るとおりであります。
ですから、
国民生活センターでも、
平成十年七月には警察庁に対して
チャイルドシートをぜひ
法制化してほしいというふうな
要望をいたしたところであります。ですから、これは大歓迎というか全く大
賛成、大がつくものであります。失礼ながらやや遅きに失するぐらいなのではないだろうかというようなことを思っております。
ただ、
法制化あるいは
義務化に対して先ほど申し上げましたような
視点からやや留意点的なことを申し述べさせていただきます。
苦情相談はいろいろなものがありますが、危険、危害と、危険な目に遭ったとか実際にけがをしたとかいう
苦情がございます。ダッシュボードなどに頭部をぶつけて、これは
死亡事故もございますが、そういう
事例がございます。
走行中シートごと転落しちゃったとか、これは御
案内のとおりですけれ
ども、ベルトが首などに絡みついて、親がちょっと留守にしていたという監督義務違反的なことがあると思いますけれ
ども、そういう
部分で
死亡事故も起きているということもございます。これは
バックルの
金具がありますが、炎天下にとめておいて、またすぐ乗るものですから、
バックルの
金具でやけどしたというような
事例も寄せられております。あるいはその
シート自体の折損とか、ばりがあって手を切ったというようなことも寄せられております。
品質、
機能にかかわる
苦情としては、余りもたないですぐだめになっちゃうとかいうことで、
耐久性だとか
使用感ですね、ざらざらしていて
子供が嫌がるとか、そんな
苦情もございます。
適合性、これもまた大変大切なことじゃないかと思いますが、この
自動車この
自動車で、オルターナティブというかなかなか汎用がきかないというようなことがあるわけです。あるいは
幼児の体格に適合したというふうにして買ったのに、それが適合しない。重心が高くて不安定であるというようなことがあります。
それから、多分議論になるのではないかと思いますが、表示とか
修理にかかわる
苦情です。やっぱり安くないものでありますから、
リサイクルとか
レンタルとかいうことになりますと
取扱説明書がなくてわからなかったとか、そういうこともございます。あるいは
修理対応に対する
部品がなくなっちゃって取りつけてもらえなかったというようなこともございます。
そういういろんなことを考えますと、二の方の
安全基準でございますが、
道路運送車両法での
自動車用部品ということでございますが、やはり今まで申し上げましたようなところを見ると、
消費生活用製品というのがあります。
消費生活用製品安全法という
法律で、戦後の安全三法と言われているものの
一つですが、
特定製品というのは
Sマークがついておりまして、国がある一定の
基準をつくりまして、その
基準に合致しないと販売してはいけませんということがあります。ですから、かなり
強制基準が強いものですが、二十四カ月以内の
乳児用ベッドとか
登山用ロープなんというものがそれに当たります。そういう
視点も必要なのではないかということが考えられるわけです。
それから、
技術基準もかなりいろんなことをされているようでございます。
ダイナミック試験とかそんなことはされているんですが、側面からの衝撃や、あるいは
被害者になるというか受ける、追突された場合の
基準とか、そういうようなものは余りまだ考えられていないのではないか。そういうものも検討の
一つとしていただければいいのではないかというふうに思います。
それから、大切なのは
バックルの
解離力といいますか、実際の
事故が起きたときに取り出しやすくしないといけませんが、取り出しやすくするというと、今度は
自分自身が
バックルを外しやすくなっちゃうという、そのトレードオフというか
部分があって非常に難しいと思うんです。
薬品なんかでいいますと、
チャイルドレジスタントパッケージといって
子供があけにくいけれ
どもどうするんだ。じゃ、あけにくいからって、おじいさんが心臓があれのときにすぐあけられるかなんというのが、こういう
チャイルドレジスタントパッケージという
考え方があります。そういうことを考えながら、これは非常に難しいんですけれ
ども、
幼児には外しにくく
救済の際には外しやすいようなのを考えていただければありがたいということです。
それから、一方では
消費者への
普及啓発というのが今非常に大切な事項ではないかと思います。これは
改正案にもありますけれ
ども、「
固定して用いる
補助装置であつて、」という、この「
固定して用いる」というところがキーワードであります。
固定するというのが非常に難しいというか、我々のところで
モニターの
試験をしますと、なかなか上手につかないという声がありました。何回かやるとがたつかないでつくというようなことがありますが、今の方はいろんな方がいらっしゃいまして、冗談のあれですけれ
ども、
チャイルドシートに乗せておいたんだと。ただ乗せておいた、
固定していない、がたがたしているのに。それで落っこっちゃったなんという
苦情もないわけではありません。
消費者の
意識改革もやっぱり必要であると思います。拘束されるのはやっぱり嫌うというのは嫌うんだと思いますが、それは小さいときから、あるいは
乳児のときからそういう形にしておけば、割に習慣的に、二歳、三歳、四歳、五歳になっても、車に乗ったらもう
チャイルドシートに乗るんだということで
意識を根づかせるということだと思います。
あと、ちょっと
事業者の方にも
要望がございます。「装着しやすい
製品開発」あるいは「
チャイルドシート固定機構付きシートベルト等の
装備化」と書きましたけれ
ども、どちらかといえば
ISOFIXみたいな形の方がむしろいいのではないかというようなこと、あるいは
救済措置でも
PL法の観点からの
被害救済を求めたい、あるいはその
低廉化といろいろございますが、先ほど冒頭に申し上げましたように、この法案についてというか、
義務化については大
賛成でございます。
ちょっとオーバーしまして失礼いたしました。