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1999-03-30 第145回国会 参議院 地方行政・警察委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年三月三十日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小山 峰男君     理 事                 釜本 邦茂君                 松村 龍二君                 輿石  東君                 山下八洲夫君                 富樫 練三君     委 員                 井上 吉夫君                 鎌田 要人君                 木村  仁君                 久世 公堯君                 谷川 秀善君                 保坂 三蔵君                 高嶋 良充君                 藤井 俊男君                 魚住裕一郎君                 白浜 一良君                 八田ひろ子君                 照屋 寛徳君                 高橋 令則君                 松岡滿壽男君                 岩瀬 良三君    国務大臣        運輸大臣     川崎 二郎君        自治大臣        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    野田  毅君    政府委員        警察庁長官    関口 祐弘君        警察庁長官官房        長        野田  健君        警察庁生活安全        局長       小林 奉文君        警察庁刑事局長  林  則清君        警察庁交通局長  玉造 敏夫君        警察庁警備局長  金重 凱之君        防衛施設庁総務        部長       山中 昭栄君        外務省北米局長  竹内 行夫君        運輸省航空局長  岩村  敬君        海上保安庁長官  楠木 行雄君        自治政務次官  田野瀬良太郎君        自治大臣官房長  嶋津  昭君        自治大臣官房総        務審議官     香山 充弘君        自治省行政局長        兼内閣審議官   鈴木 正明君        自治省財政局長  二橋 正弘君        消防庁長官    谷合 靖夫君    事務局側        常任委員会専門        員        入内島 修君    説明員        海上保安庁次長  長光 正純君    参考人        新東京国際空港        公団総裁     中村  徹君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 〇新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の  特別措置に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) 〇消防施設強化促進法の一部を改正する法律案(  内閣提出衆議院送付) 〇警察法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 小山峰男

    委員長小山峰男君) ただいまから地方行政警察委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日、参考人として新東京国際空港公団総裁中村徹君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小山峰男

    委員長小山峰男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 小山峰男

    委員長小山峰男君) 新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案及び消防施設強化促進法の一部を改正する法律案の両案を便宜一括して議題といたします。  両案の趣旨説明は去る二十三日に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 輿石東

    輿石東君 民主党の輿石ですけれども消防法質問をさせていただくに先立ちまして、きょうはお忙しい中、川崎運輸大臣にも御出席をいただいておりますので、最初に二点ほど川崎大臣に御質問したいというふうに思うわけです。  御案内のように先週の二十四日に、日本海で北朝鮮の工作船と見られる不審船二隻が日本領海を侵犯するという事件で、海上保安庁巡視船が、四十六年ぶりですか、二回目の威嚇射撃を行った。そして、海上自衛隊護衛艦自衛隊が創設されて以来初の警告射撃を行ってから既に一週間がたとうとしているわけですけれども日本政府史上初海上警備行動自衛隊に発動するという経過の中で、海の警察としての海上保安庁を所管する運輸大臣として、この間おとりになった対応、その経緯を含めて御説明をいただきたいというふうに思います。
  6. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) まず、二十三日の午前十一時ごろ、それから二隻目については一時ごろ、海上自衛隊から能登半島沖漁船に関する情報を入手しました。  初めの情報は、二隻不審な船がある。その船を調べましたところ、御承知のとおり、一つはれっきとした日本漁船でございました。もう一つは、まさに偽った船であることが判明をした。それから午後一時に、一隻も偽った船であるということで、二隻が不審船であるという一つの結論の中で、巡視船艇及び航空機の発動を指示し、現場海域巡視船艇十五隻及び航空機十二機を投入したわけでございます。  漁業法に基づいて停船命令をまず航空機から行い、その後、不審船は無視して速力を上げて逃走いたしましたので、巡視船艇が追いかけ、そして今お話しいただきましたように最終威嚇射撃を実施いたしました。  しかし、なおも停船せず高速で逃走を続けたため、巡視船艇による捕捉が困難になったということから、私から二十四日の零時三十分、海上保安庁能力を超える事態に至った旨を防衛庁長官連絡いたしました。そして総理内閣判断を求めたということでございます。零時五十分、海上警備行動自衛隊によって発動されたということでございます。
  7. 輿石東

    輿石東君 運輸大臣から防衛庁へ要請があって、総理が決断するまでに十五分の時間という素早い対応だった、こういう報道もされているわけであります。いろいろお聞きしたい点もありますが、全体で二十分しか時間を与えられておりませんので、もう一点、今後このような事態が生じた場合に、川崎運輸大臣としては、海上保安庁とそれから防衛庁海上自衛隊との連携のあり方、そしてまた、ここ幾日か話題になっております警察官職務執行法根拠法令として武器使用規定等議論をされているわけですけれども、こうした法整備上の問題に、何かみずからの御経験から問題がある、そのように認識されているか、その点だけに限ってもう一点お聞きしたいというふうに思います。
  8. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 実は橋本内閣の時代に、海上事案に対して一つの考え方が、閣議決定までいたしておりませんけれども、示されております。例えば、漁船が武装しておって海上保安庁武器能力を超える武器を擁して抵抗に入った場合、またその不審船が多数になって行動した場合、こういった場合には海上保安庁内閣判断を求めていく、自衛隊協力を求める、こういう形のスキームは基本的にでき上がっておりました。  今回は、まず自衛隊が発見し、我々に連絡をもらった。我々は警察活動として当然出ていった。そこで我々の能力を超える船、要するにスピードの上で非常に高い能力を持った船であったということから、我々の能力以上の状況になりましたので、今申し上げたように内閣判断を求めたということになります。  基本的に、初めて動いたルールでありますけれども認識としてはこういう形なんだろうと思っております。やはり警察活動である我々がまず第一にできるだけのことをしていく。したがって、今回、高速船等をもう少し配備していくべきではなかろうかと大変御指摘をいただいております。私どもとして、より高い能力を持った巡視船艇を持てるように、また内閣と相談しながら進めてまいりたい、このように思っております。  それから、捕捉能力につきまして、これは警職法との関係ということで、国内でのそうした事案とも関係してまいりますので、すぐに変えるべきかということについてはいろいろ今議論をさせていただいており、もう少し議論の結果をまちませんと、すぐ私がどうだと言えるような状況にないと思っております。
  9. 輿石東

    輿石東君 今の武器使用規定一つとってみても、相当今後議論がなされていく必要もあるだろうし、議論を呼ぶだろうと思います。いずれにいたしましても、海の警察としての海上保安庁としての任務がきちんと果たせるような整備も必要かというふうに思いますが、これ以上時間がありませんので、ありがとうございました。  続きまして、消防法にかかわる質問を何点かさせていただきたいと思います。  全国三千三百にも及ぶ各市町村、御案内のように高齢化過疎化が加速している状況だろうと思います。そうした中で、消防団状況もかなり変化をしてきているだろうというふうに認識しているわけですが、現状はどうなっているのか。時間もありませんので、あわせて、そういう消防団現状を踏まえて、消防庁としてはどのような対応を講じているのか。その二点についてまずお伺いしたいと思います。
  10. 谷合靖夫

    政府委員谷合靖夫君) 御承知のように、消防団常備消防と並ぶいわば消防機関の一翼を担っている機関でございます。現状といたしましては、昨年の四月一日現在、消防団員数が九十六万二千六百二十五人、こういうふうになっておりますけれども、この団員数が年々減少してきております。それから、やはり高齢化というものが進んでおりまして、例えば三十歳未満団員数の割合というのが、同じく昨年の四月一日現在では二六・三%というふうになっておりまして、したがって平均年齢も上昇している。それからさらに、国民のいわば就業形態がだんだん変化してきておりまして、それに影響を受けまして、やはり事業所等に勤務するいわゆるサラリーマン団員というものがふえてきておりまして、大体七割近くがサラリーマン団員になっているというような現状でございまして、特にそうした点については昼間の消防力の低下というものが懸念をされるというふうに認識をいたしております。  したがって、これらの課題に対処するためには、何よりもまず団員確保、特に青年層中心消防団への参加を促すということが一番必要だろうと思いますし、それと同時に、やっぱり地元企業とか事業所に対して消防団活動に対する理解協力を求めていくということが必要であろうというふうに考えております。  そういう観点から、私どもとしては消防団関係施設あるいは装備というものの充実に努めてまいりましたし、またいわゆる報酬でありますとか出動手当等の処遇についての改善措置も講じておりますが、やはりPR面というのも大事だろうと思いまして、特に地元住民あるいは企業等に対する消防団への参加とか、あるいは消防団活動への理解協力の呼びかけというようなことに力を入れておるわけでございますし、昨年の一月にはインターネットに消防団のホームページをつくってそうした呼びかけもやる等、いろんな手段を講じながら対応しているというのが現状でございます。
  11. 輿石東

    輿石東君 今のお話で、団員を構成している七割はサラリーマンと。そうしますと、お話がありましたように昼間の消防体制大変手薄になるということはもう明らかであります。PR地域の方々や各企業にもしていると。その程度では根本的な解決にならないだろうとも思いますけれども、加えて、これからは非常に災害も複雑、多様化しておりますし、高度の技術を必要とする状況にもあろうかと思うわけであります。  そうした点で、それへの対応としてどのようなことを考えられているかということになりますが、とりわけ専門的な人材確保していくということが必要でもありましょうし、昼間の間はサラリーマン団員が多いという背景の中で、二十四時間体制常備体制必要性ということが非常に重要だろうと思います。しかし、三千三百もある市町村の大多数は過疎化高齢化という状況の波を受けているわけですから、市町村が個別にこの問題に対応し切れなくなってきているのではないか、そうも思うわけであります。  その点についてどのような対策を講じていられるか、お聞きをしたいというふうに思います。
  12. 谷合靖夫

    政府委員谷合靖夫君) 戦後、いわゆる市町村消防といいますか、自治体消防が発足をした当時は圧倒的に市町村消防団のみに依存をした状況であったわけでございますが、御指摘のございましたようにその後の災害の複雑、多様化とか大規模化等に応じて、消防本部とか消防署、いわゆる常備消防を整える市町村がふえてきておりまして、現在そうした常備消防を整えている市町村人口カバー率といいますか、それは九九・七%というふうになっている状況でございます。  ただ、その中身でございますけれども、今の常備を整えている市町村のうち大体九百二十の消防本部がつくられている。つまり、単独市町村ごと消防本部を設けているところよりも、圧倒的にいわば組合によって消防本部を設けている、大体八割近くが組合による消防本部を設けているということで広域的な対応を図っておるわけです。  ただ、そうはいっても、その九百二十の消防本部のうち消防職員が百人未満のところが約半数、五三%程度がそうした消防本部であるわけでございまして、先ほど御指摘ございましたような人材確保とか財政基盤の問題からいって、やはりこうした小規模の消防本部をさらに広域的に再編をするというのが大きな課題ではないかというふうに認識をしておるわけでございます。  このため、私どもとしては、都道府県に消防広域化基本計画というものをつくっていただいて、そして広域再編の先導的な取り組みを行う地域モデル広域消防と言っておりますが、これを二十三圏既に平成六年度と七年度、両年度にわたって指定をする。そうした広域再編を目指すためのいろんな施策をこれまでも積み重ねてきたという現状にございまして、その結果としてはモデル広域消防としては二十三圏指定をしておりますけれども、十六圏域で既に再編がなされておる。  それから、消防本部の数は平成四年度に九百三十五というふうにピークになっておったわけですが、昨年では九百二十というふうに減ってきて広域が進んでいる。さらに、昨年の十月には埼玉のモデル圏指定されておった四市が組合をつくって、四つの単独本部から一つ本部に変わりましたので、昨年の十月では既に九百十七というふうに減少しておりまして、徐々にではございますけれども、そうした広域再編が着実に進展をしているのではないかというふうに考えております。
  13. 輿石東

    輿石東君 その広域再編の動きの実態もお話をいただいたわけですけれども、これは財政的な裏づけといいますか、支援はどのようになっていますか。
  14. 谷合靖夫

    政府委員谷合靖夫君) これまでの再編の中で、基本的な財政措置としては、やはり補助金をそうした広域再編については優先的に配分をするという問題と、それからもう一つはやはり各種の計画なりそうした推進施策のための交付税措置を講ずる、この二つの柱を中心に行ってきておるわけでございまして、そうした意味での裏づけといいますか、それなりのいわば財政支援というものはある程度そうした意味で役に立ってきておるのではないだろうかというふうに思っております。
  15. 輿石東

    輿石東君 この問題は消防分野だけではなくて、来年四月には介護保険制度も導入をされてくる、そして一方では地方分権ももう実行の段階に入った、こう言われる状況にあるわけでして、ますます各市町村の新しい行政需要というものは大きくなっていくし、拡大をしなければならないという状況にあることは事実でありますから、そうした点でこれに対応するための市町村行財政基盤をどう確立していくか、ここが最大の課題になってくるというふうに思います。  最後に、この点についてどのように対応を講じられているかをお聞きし、私の質問は終わりたいと思います。
  16. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 御指摘のとおり、消防分野もそうですし、あるいは福祉行政分野もそうでありまして、非常に広域的な対応、それから内容の高度化ということに、どうそれを満たしていくか。そういう点で、これから市町村の役割も大きいのですが、同時に、単一の現在の市町村という圏域のままだけで、あるいはその財政規模等だけでそれだけの対応能力があるかどうかということもありまして、先ほど来消防分野については広域的な対応をそれぞれやってきておるといういろいろお話がございました。  これからさらにそういったニーズが高まっていくということを考えますと、まず第一にその行政主体としての体制をどう確立していくかという点で、一つ市町村合併といいますか、ただ単に広域的な連合とか、そういう協力体制だけでなくて、基礎的自治体としての対応力をレベルアップしていこうという角度からは、まず第一にそういう市町村合併ということをさらに強力にバックアップをしていかなきゃならぬという点がございますし、もう一つはそれが自主的、自立的な運営ができるような財政基盤をどうやって確立していくかという側面がございます。  財政基盤確立の問題は、先般いろいろこの委員会でも御議論をさせていただき、私からもいろいろ詳しく御答弁させていただいておりますのであえて重ねることは避けたいと思いますが、いずれにせよ、そういう行政財政両面バックアップをしてまいりたいと考えております。
  17. 輿石東

    輿石東君 時間になりました。終わります。
  18. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。  きょうは、運輸大臣、当参議院地方行政警察委員会審議に御協力をいただきましてありがとうございます。当委員会海上保安庁事項も所管をしておりまして、先般来の山田・新生丸事件、これについてもお尋ねをしたかった。ようやくこの成田財特でお出ましをいただいたわけでございますけれども、過去にも橋本登美三郎運輸大臣あるいは森山欽司運輸大臣地方行政委員会出席をされ審議に御協力をいただいているわけでありまして、今後ともこの海上保安に関する事項につきまして積極的に御協力を賜りたいというふうに思う次第であります。  そこで、まず最初に今般の不審船対応について若干お聞きしたいんですが、テレビ中継といいますか、数多く放映されました。国民みんなが思うことは、何で追いつかなかったのかとか何でガス欠になったのか、まず素朴なところはそういうところだと思うんです。  運輸大臣も、テレビ等能力アップというようなこともお話をされ、また新聞記事等では航空機への武器搭載についても検討するべきである、そういうような発言もされておられるようでございますが、海上保安庁装備あるいは情報収集能力アップについてどのようなお考えで今後取り組まれるのか、まずこの点からお聞きしたいと思います。
  19. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) まず、私自身が今指示をいたしておりますのは、今回の問題点すべての洗い出しをしなさい、その上で自衛隊等とある程度マニュアルをつくっていかなきゃならないねと。  阪神・淡路大震災のときにもいろいろ議論がありました。私の地元でも、大きな台風が来ますと知事が自衛隊協力依頼をして防災のための出動をしてもらう。新生丸の話が先ほどありましたけれども、ああいう事件の場合も、私どもは管区から地域自衛隊連絡をして、そしてあのときも、実は新生丸の救難は、自衛隊機で見つけていただいた、こういう経過があります。そういう意味では、海難事故等について自衛隊海上保安庁の間の協力関係は、かなり事案もありますし、でき上がってきておるんだろう。  今回は、ある意味では初めてのケースで、頭の中では考えておったけれども初めて事態になったな、こういう事態を踏まえてしっかりマニュアルづくりをしていくことが大事だろう。特に、防衛庁の方からも、話し合いの中でそういうことにいたしたわけですけれども省庁間協力についても、災害の場合は現地でやりますけれども、やっぱり大臣同士省庁間協力お願いをしろということで、私の方から防衛庁長官省庁間協力、あれは八時五十分ごろだったか、こういうお願いをした。したがって、やはり災害の場合とは少し違うしっかりしたお互いマニュアルというのをまずつくっていくことが大事だろうと思っております。  それから、法の整備等いろいろ御議論がありますけれども、私ども現行法で何ができるのかということをもう少し徹底的に議論していかなければならないだろうと思っております。  それから、当然私ども能力アップを図っていかなければならないだろう。宮崎のときの昭和六十年の例があります。四十時間ほど追いかけてやはり逃げられた。こちらも船の能力を上げると向こうも上げてくるというのは一つ事例でありますけれども、いずれにせよ、向こう能力が、一部官邸等情報としていただいたのは、あの船は途中で四十ノットぐらい出るかもしれぬなと。それから非常に走行距離が長うございました。そういう意味では、あの船全体が油の船のような感じだなと。我々はいろんなものを載せるものですからガス欠になったりとか、いろいろ御指摘をいただいているわけです。  そういったものを踏まえながら、既に百八十トン級のある程度の船を用意しておりますけれども、残念ながらあのときあの近くにいなかったということもあります。したがって、能力アップ高速船艇をどうやってつくっていくか、そしてその高速船艇が近くまで行ったときにどのようなことまでできるかというのをもう少し詰め直さなきゃならぬだろう、こういうふうに思っております。  いずれにせよ、捕捉できなかったことはまことに遺憾でありますので、対応をこれから十分考えてまいりたい、こう思っております。
  20. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 時間がありませんので、簡潔によろしくお願いします。  それで、大臣の今お話しになった共同マニュアルですか、きのうの新聞にも若干出ておりましたけれども、それからやっていくんだろうと思いますが、今般は自衛隊がP3Cで発見してから約四時間かかっていますね、十一時に通報といいますか御連絡があったようですが。共同マニュアルになる前に、事前にいろいろ想定をした協議をなされていると思いますが、何でこれは四時間もかかったのかなというのも一つ疑問なんですが、簡潔にお答えいただけますか。
  21. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 過去の事例で、不審船らしいぞという連絡を受けて現実不審船でなかったという例がかなりございます。そういう意味では、防衛庁の方は念には念を入れてきちっとしたいと。現実、先ほど申し上げたように、二隻と御連絡をいただいたけれども、一隻は日本漁船だった事実が判明しているわけであります。  そういう意味では、防衛庁側はしっかり調べた上で我々に連絡をして一緒に行動しよう、こういう御判断だったかもしれませんけれども、今後、今申し上げたマニュアルの中で、不審船ということで防衛庁が動かれるときは我々にも同時期に連絡をしてください、お互いにつくっていくことが大事だろう、こう思っております。
  22. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 それでは、今回の成田財特の関連で質問をさせていただきます。  今、ガイドラインの問題とかいろいろ議論をされておりますが、運輸大臣も、成田飛行場米軍提供可能性についていろいろ報道されておりますが、いろんなことを考慮しつつも緊急性を持つ場合はいいのでないのか、その緊急性の中には周辺事態も含むよというようなことで、米軍への提供可能性を示唆されております。  また一方、公団総裁は、たとえアメリカ軍がチャーターした民間の航空機でも問題があると思う、いかなる軍事利用もあり得ないと思っているというようなコメントをされているやに報道されておりますけれども、この辺について、一体どういう方向性なのか、運輸大臣並びに公団総裁にお伺いをいたします。
  23. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 法律上の建前としては、日米地位協定で民間の飛行場を使う権利を与えられている、これは間違いないと思います。  しかしながら、私どもがいろいろ申し上げておりますのは、現実に民間航空機でいっぱいである、成田の場合は完全にそうでありますから、そうした状況、それから国会での御答弁、地元との話し合い、こうしたものを十分加味した上で基本計画をつくるときに我々の主張ははっきりしていきますよ、過去の経緯をはっきり主張しながらできるだけの努力をしていく、しかしながら緊急時というのは、周辺事態も含むということよりも、緊急時で例えば飛行機のトラブルで泊めてくれという場合もありますよ、そういう意味も含めて申し上げたつもりでございます。  いずれにせよ、一〇〇%否定するわけではありませんけれども、基本的な認識は、私が今申し上げたように成田空港の特殊性というものを十分頭の中に置きながらやっていかなきゃならぬ、こう思っております。
  24. 中村徹

    参考人中村徹君) 私どもは現場を預かっているものでございますので、地位協定上の法律的解釈はどうこうということを取り上げて申し上げているわけではございませんけれども、これまでの運輸省の大臣答弁、国会における御答弁とか、あるいはまた地域とのお約束ということを踏まえますと、成田空港はあくまで民間空港として整備するもので軍事利用を目的とするものではないという御方針があるわけでございますので、それは変わらないというふうに信じて成田空港の運用に当たっている、また空港整備に当たっているということを申し上げたわけでございます。  したがいまして、ただいま大臣から御答弁がありましたように、過去の経緯あるいは国会答弁というものを踏まえて今後も対応されるということでございますので、私どもとしては今までの考え方に従ってこれからも進んでまいりたい。そういう意味で、大臣お話と全くニュアンスが違うということはないと信じております。
  25. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 報道によりますと、朝鮮有事を想定したことで福岡に在韓米軍の飛行機が飛んできたとか、また年間に七百回も来たとかいろんなことが報道されておりまして、皆さん心配をしておるところでございます。  所管は違いますけれども自治大臣にこの点についての御所見をお伺いしたいと思います。
  26. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 基本的には今、運輸大臣から御答弁された考え方と同様であります。多少最近、別途ガイドライン法案の審議に絡んでいろんな報道がなされております。ただ、私自身の理解は、むしろ港にせよ空港にせよ、もし何か大量に半島からの避難民を短期間で受け入れなければならない、そういったときにどうするかというような対応も含めていろんな検討がなされている中で、たまたまそういう部分が取り上げられて、それが何かいかにも軍事利用であるというような形に結びつけられていろいろ報道されているということが、ある種のそういう、何といいますか、容易じゃないというようなイメージをつくり出しておるんではないかというふうに私は理解をいたしております。
  27. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 過去にも秋田大助自治大臣の「突発的なときはやむを得ませんが、民間航空の本来の使命に徹しまして、これを米軍共同使用に供せしめたり、軍事目的のために使用せしめることは断じてさせないつもりでございます。」という答弁がございます。そうなってくると、今ガイドラインでやっていることはいろんな計画を立てて云々というようなことになっているわけで、「突発的な」といった場合には、例えば飛行機が故障したであるとか急に台風が来たとか、急にということはないでしょうけれども、そういうことだろうと想定されるんです。今、自治大臣がおっしゃったのはちょっとニュアンスが違うんではないか、避難とかそういう場合があるようでございますので、もう一度その点。
  28. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 当然、今突発的なというイメージで、事成田空港に関連しては冒頭申し上げましたとおり運輸大臣が御答弁された点と同じであります。成田についての今日までの実際の地元との折衝の経緯あるいは国会における答弁の積み重ね、今日までのいろんな御苦労の経過があるわけでありますから、そういった点を踏まえて判断をしなければならぬことであるということは、まず基本原則を申し上げておいたわけであります。この問題とは別に、今、後でいろいろおっしゃいましたほかの空港の件に関してもお触れになりましたので、あえてそういう一般論の世界として申し上げたということであります。
  29. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今回、成田財特を五年間延長するという法案内容でございますが、成田飛行場については長年の経緯がございます。また、運輸省当局あるいは公団も非常に努力されてきて、いろいろシンポジウムをやったり円卓会議をやったりして強制退去までようやくこぎつけてきたなという思いが私もあります。ただ、北原派の反対集会とかいろいろあって、大臣なりの発言が地元住民の思いを逆なでするような部分もあるのではないか、そういうふうに思っている次第でございます。  今回、五年延長ということでございますが、飛行場の整備の完成の見通しというのは一体どのように私ども理解をすればいいのか、あと一分しかございませんが、簡潔にお答えをいただけますか。
  30. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 二〇〇一年三月三十一日を目標に最大限の努力をしているところでございます。そして、それは話し合いによって解決を見つけなければ実行は不可能になるだろう、そういう意味では、一に話し合い、二に話し合いということで努力をしているところでございます。
  31. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 終わります。
  32. 富樫練三

    ○富樫練三君 運輸大臣に伺いたいと思います。  今回のいわゆる不審船問題についてでありますけれども、先ほどの議員に対する答弁の中で、二十四日の午前零時三十分ごろ、海上保安庁能力を超える旨の報告を防衛庁にした、こういう答弁が先ほどありました。これは海上自衛隊出動を正式に防衛庁の長官に対して要請した、こういうふうに理解してよろしいんですか。
  33. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) あの晩に私が防衛庁長官と電話をいたしましたのは二回だけでございます。一回目は八時五十五分に省庁間協力を求めた、二回目は今御指摘の零時三十分、先ほど御答弁申し上げましたように、スピード、能力的に我々の超えるところになった、したがって総理内閣判断を求めたい、こう申し上げました。
  34. 富樫練三

    ○富樫練三君 ということは、正式な要請はしていないというふうに理解してよろしいんですか。どちらですか。
  35. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 総理の御判断でありますから、当然私どもが要請をするという立場にはないと思っております。
  36. 富樫練三

    ○富樫練三君 これは三月二十四日の参議院の本会議でありますけれども防衛庁の長官が答弁の中でこういうふうに発言しております。「本日の零時三十分ごろ、運輸大臣から、海上保安庁ではなかなか対応が難しい状況にあるから海上自衛隊の方に出動お願いしたいという要請を正式に受け取りました。」、こういうふうに防衛庁の長官が答弁をしております。これと矛盾はしませんか。  正式に要請をしたんですかしないんですか、どちらですか。
  37. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 先ほどから私が御答弁申し上げているとおりでございます。
  38. 富樫練三

    ○富樫練三君 ということは、正式な要請はなかったというふうに理解してよろしいですね。確認をしておきたいのですが。
  39. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 結構でございます。
  40. 富樫練三

    ○富樫練三君 ということは、防衛庁の長官が参議院の本会議で正式に要請があった、こういうふうに言ったことは事実と違うということですね。どうですか。
  41. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 私は答弁の場におりませんので、私が申し上げていることだけ御理解を賜りたい。防衛庁長官がどういう発言をされたか私は存じておりません。
  42. 富樫練三

    ○富樫練三君 防衛庁の長官がどういうふうに答弁したかわからないと言いますけれども、これはもう議事録で出ているわけですから、もう正確に出ているわけですから、そういう点でははっきりしているわけなんです。いつだってわかる状況にはあるということだと思うんです。  正式には要請はしていないというふうに大臣はお答えいただいているわけですけれども、にもかかわらずああいう状況になった。自衛隊法の八十二条が適用される、こういうことになったわけなんです。  そういうことになった経過の中で、報道では、大臣からの、運輸大臣からの要請に基づいてと、こういうふうに言っているんです。例えばこういうことなんです。朝日新聞などではこういうふうに言っているんです。二十三日の午後十一時四十七分、第一大西丸が一たん停止したが、このとき海上保安庁巡視船は約百キロ離れていた。海上自衛隊護衛艦は第一大西丸から約一キロから一・五キロ。そこで、防衛庁は運輸省に状況説明した上で、ここからが大事なんです。海上警備行動をとってほしい、という要請をしてほしい、すなわち、防衛庁の側から運輸省に対して、運輸省の方からそういう要請をしてもらいたい、こういうふうに防衛庁が運輸省に要請をしたというわけなんです。それで、二十四日の零時半、川崎二郎運輸相名で正式な要請が野呂田防衛庁長官に届いた、と報告されているわけなんです。これについてはどうですか。
  43. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 私の方から電話をさせていただいて、何か書類があったような、名がといいますから書類があったような形でとられがちでありますけれども、書類は全くありません。電話で今の海上保安庁現状お話し申し上げて、そして、あとは内閣判断を求めたいということを防衛庁長官に御連絡したということでございます。
  44. 富樫練三

    ○富樫練三君 防衛庁長官の本会議での発言ですから、これは大変重みのあるものなんですね。もし防衛庁長官の答弁が、正式な要請はなかった、にもかかわらず正式な要請があったというふうに私が申し上げたような答弁をしているということであれば事実と違う、こういうことになるわけなんですね。これは重大な責任問題になります。  しかも、防衛庁の長官は本会議の答弁の中で、その後、続いてこういうふうに言っているんですね。「零時四十五分に、安全保障会議や閣議決定がなされました。そして零時五十分には、海上警備行動の命令を発信したところであります。」、こういうふうに言っているわけなんですね。そのきっかけをつくったのは運輸大臣の正式な要請だと、こう言わんばかりの中身でありますけれども、こういう重大な問題でありますから、絶対に要請はしていないというんであれば、防衛庁の長官に対して本会議の答弁の訂正などを申し入れるのが当然ではありませんか。そういうことはやっているんですか。
  45. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 私は、お話し申し上げたことが事実でございますので、そうしたことの御質問があったということは防衛庁長官にお伝えいたしておきます。
  46. 富樫練三

    ○富樫練三君 防衛庁の長官の答弁を知らないということは私はあり得ないというふうに思いますので、運輸大臣があくまでも正式な要請はしていないということであれば、防衛庁の長官は本会議で違うことを言ったことになります。  しかし、きょうこの委員会の場には防衛庁の長官はおりませんので、長官のいないところで、長官の意見も聞かないで本会議の答弁が違うという結論はなかなかこれは出しにくいというふうに思うんですね。ですから、事実がどうだったのかということをこれは確かめる必要があるというふうに思います。  そこで、防衛庁の長官来ておりませんので、委員長お願いしたいわけなんですけれども、きょうは午後にも委員会が予定されております。したがって、防衛庁の長官に御出席をいただいて事実の確認をぜひしたいというふうに思いますので、委員長の方で取り計らっていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  47. 小山峰男

    委員長小山峰男君) ただいまの件につきましては、後刻理事懇で、理事会で協議させていただきます。
  48. 富樫練三

    ○富樫練三君 ぜひそういうふうにお願いしたいと思います。この点に関してはその答えを待ってからにしたいと思うんですけれども、いずれにしても、今回の場合、不審船捕捉できなかったということは確かなんですね。この点について伺いたいというふうに思います。  過去において十八回の不審船を確認していながら一度も捕捉していないという報告が出されておりますけれども、その原因は何でしょうか。
  49. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今回の例で言えば、スピードが違ったということになります。また捕捉の方法等について限界がある。ただひたすら逃げていくものに後ろから撃つわけにはいかぬということはもうおわかりのとおりでありますから、今回のように威嚇射撃までが精いっぱいの活動であるということになるわけであります。  そういう意味で、自衛隊が今回海上警備活動も出動していただきましたけれども、そうした場合においてもなかなか現実としては難しかったというのも事実だろうと思っております。
  50. 富樫練三

    ○富樫練三君 資料によりますと、最初不審船の発見は一九六三年、昭和三十八年ですね。今から三十六年前です。そのときもスピードが追いつかなかった。その後、昭和五十六年、「海上保安の現況」、これを見ますと、このときも高速を利して逃走した。五十七年の報告によっても、これまた高速を利して逃走している。六十一年の報告、これによると、長時間にわたり追跡したが、先ほどちょっと説明があった件ですね、捕捉には至らなかった、こういうわけなんですね。今回の場合もスピードが追いつかなかったということで、既に問題は三十六年前からはっきりしているわけなんですね。いまだにその問題は解決されていない、こういう状況にあるわけなんですね。  一九九六年六月六日、参議院の海洋法条約に関する特別委員会で附帯決議が行われております。同じく六月七日の参議院の本会議でも国連海洋法条約の実施に伴う体制の確立に関する決議、この中で海上保安庁体制強化が全会一致で決議されていますけれども、その主な中身はどういうことだったんですか。
  51. 楠木行雄

    政府委員(楠木行雄君) ちょっと今手元に詳しいものを持っておりませんけれども、海洋法条約のときの衆参、それからもう一つ、つい最近でございますが、いわゆる日韓漁業協定、こういったときに、巡視船艇整備に努力すると、こういうような内容であったと承知しております。
  52. 富樫練三

    ○富樫練三君 巡視船や巡視艇の整備に努力をする、こういうことのようでありますけれども、このときは、海上保安庁の人員、それから巡視船艇航空機等の体制について今後一層の整備充実を図る、こういうことが全会一致で決められたんじゃないですか。そういうことが決められながら、今回も同じようなことを繰り返すというのは一体どういうわけですか。
  53. 楠木行雄

    政府委員(楠木行雄君) 先ほど大臣も別の委員に申し上げましたように、私どもとしては第一義的な海上警察機関として万全を尽くしておるつもりでございますが、船のスピードの技術というのが、それに私ども整備が、その事案が起こるたびに整備をし、それに対して追いつかない面も一つは今までの例ではございました。  今度の場合、そういった点かなり痛感をしておりますので、情報収集の迅速化の問題とかあるいは監視体制、船とか航空機なんか使いましたそういうものですね、そういったものとかあるいは捕捉機能強化とか、こういったようにいろいろ、今、大臣からの指示を受けて詳細に検討しておるところでございますので、海上自衛隊との連携の強化もございますし、そういった点いろいろ努力をしてまいりたいと考えております。
  54. 富樫練三

    ○富樫練三君 スピードが追いつかないだけじゃなくて、整備の方が追いついていないんですね。そういうことですね。
  55. 楠木行雄

    政府委員(楠木行雄君) せんだっての第三次補正予算におきましても、これは日韓の漁業協定の取り締まりの励行という観点でございますけれども、約百億円の巡視船艇整備ということでいただきました。それによって、いわば古い巡視船艇を代替することによってスピードアップも結果的にそれで図っていけるというようなことで、かなりそういったいろんな機会を利用してやっていただいているつもりでございます。
  56. 富樫練三

    ○富樫練三君 そういう整備がおくれている、努力はしていると言いますけれども、実際には今回も捕捉できなかった、こういうわけでありますからね。  今回の場合に、そういう整備のおくれという問題と、もう一つは、経過をずっと見てみますと、自衛隊の方から連絡を受けてから出動するのにも時間がかかっているという点もどうもあるようなんですね。さらに、自衛隊からの連絡も遅いというわけなんですね。  そういう中で、新聞の報道ではこういうことも言われているんですね。もっと早く海上保安庁連絡していれば海上警備行動の発令などは必要なかったし、海保だけで十分対応できていたはずだと。これは海上自衛隊幹部の一人だと。名前は出ていないんですけれども、こういう新聞報道さえあるわけなんですね。  そうすると、基本は沿岸の警備に対して海上保安庁が第一義的に当たるということであれば、まずその整備をきちんと行うということが大事だというふうに思うんですね。国会決議があるわけですから、その方向で海上保安庁体制を強化すること、今回のような場合にしっかりと備えること、これが本筋ではないか、これが議会の総意でもあるというふうに思うわけなんですね。人員や装備の充実が不十分なままでまた不審船捕捉できない、しかもその責任を棚上げして、そして困難な状況にあるというふうに報告をした、こういうわけなんですね。ですから、ここはやっぱり責任問題だというふうに思うんですね。困難な状況にあるから何とかしてくれ、こういうことでは国民を守るわけにはいかないというふうに思うんです。  ですから、そこのところをしっかりと責任を感じていただきたい。この点については、まずは、決議の点から見てのこの国会の総意、これに基づいて整備を充実させるということの方が先決ではないか。自衛隊法の八十二条の適用よりも、まずこちらの方が先決というふうに思うし、その八十二条の適用というのはこういう問題とは全く違う問題だ、筋の違う問題だというふうに思うわけですけれども、いかがですか。
  57. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 先ほど海上保安庁長官から御答弁申し上げましたけれども、四十ノットの能力を持っていたかもしれない、それを捕捉するためには前に回り込まなければなりませんから四十五とか五十ノットの能力を必要とする、そういうものをそろえるように努力をしていかなければならないだろうと。  当時考えたのは、三十五ノットで何とかいけるのではなかろうか。そういう意味では、だんだん向こう能力も上げてきている、そういうものにどう対応していくかというのは、まさに、我々御批判もあえて受けながら、そして今御指摘いただいたように、能力アップを図るために内閣全体として取り組んでまいりたいと、こういうふうに思っております。  一方で、やはり自衛隊との連携というものは、先ほどから海難の場合、また陸においても大きな災害の場合、こういうものは連携を常に心がけていくということは大事だろうと思っております。
  58. 富樫練三

    ○富樫練三君 終わります。
  59. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 社会民主党の照屋寛徳でございます。私は、成田財特に関して運輸大臣に何点か質問をさせていただきたいと思います。  今回、予算委員会でもいわゆる周辺事態法第九条と成田空港の使用問題についてただしてまいりました。予算委員会の答弁、その後の運輸省の考え方を拝聴いたしておりますと、現行地位協定の五条でも成田空港そのものは基本的に使える、だけれども混雑空港なのでそう簡単に使わせるわけにはいかない、こういう基本的な考えなんでしょうか。
  60. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 委員言われたとおりでございますし、あわせて国会答弁の重みなり地方との話し合い、こういうものもあると思っております。
  61. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 成田空港については、開港前の一九七二年に、運輸省の航空局長立ち会いのもとに新東京国際空港公団との間で覚書を交わして、新空港は純然たる民間航空のためのものであって軍事利用させることはないと、こういうふうな基本的な合意に至っていることは間違いないですね。
  62. 岩村敬

    政府委員(岩村敬君) 開港前に、当時の運輸大臣、そして千葉県知事、それから公団総裁、それと地元関係の三里塚平和塔奉賛会会長との間で、安保条約及びこれに基づく地位協定の存在にもかかわらず、これを軍事的に利用することは認めないという取り決めがあることは事実でございます。
  63. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 いろんなマスコミで報道されております一九九四年の朝鮮半島有事を想定した在日米軍日本に対する対日支援の中で、一千五十九項目要求されたという報道もありますし、いや固まった要求なんか受けていないという政府の答弁等もあります。  いずれにしろ、幾度かの協議を踏まえて、防衛庁そのものが支援の項目について検討したことは私は間違いないだろうと思うわけです。その中で、民間空港である成田や、私の住んでいる、那覇空港などが米軍によって使用される、米軍の使用のために提供される、こういうことが防衛庁によって検討されたと、こういうふうに報じられているわけでありますが、運輸大臣、そのことについては防衛庁の方から運輸省には具体的な協議、相談というのは一切ないんでしょうか。
  64. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) このことについては、一九九四年、多分細川内閣の時代だろうと思いますけれども、私どもさかのぼって調べてみましたけれども、全くその事実はございません。国会でも何度も御答弁させていただいております。
  65. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 私は、改めて、成田空港開港の際に新東京国際空港公団と取り交わした覚書というのを政府は遵守をしていただきたいということと同時に、防衛庁は一九九四年の時点では成田空港にしてもあるいは那覇空港にしても米軍使用が最大限になった場合には民間空港としての封鎖も考えておったことは間違いないだろうというふうに思うわけです。はっきり防衛庁が検討した結果として、これは米軍が管理権を行使するために日米地位協定二条四項(b)の適用も考える、適用も可能であるんだ、こういうところまで踏み込んでいることからすると、日本の民間空港が米軍の後方支援基地化することは間違いない。こういうことがあってはならないと思いますので、このことを強く運輸省に申し上げておきたいと思います。  それで、きょうは外務省もおいででございますので、外務省と防衛庁に、民間の飛行機による武器弾薬の輸送、これは具体的には一九九七年にアメリカの海兵隊の実弾演習を北富士演習場でやる際にチャーターをした、これに地位協定五条を適用した、こういうことでありますが、その地位協定五条適用の根拠と、地位協定五条を民間の飛行機に適用する際に日本政府だけの判断でできるのか、あるいは日米合同委員会その他のもっと上級の日米間の協議でもって、民間の飛行機による海兵隊の輸送や武器弾薬の輸送について地位協定五条を適用する、こういう合意がもう既にでき上がっているのか、そこら辺について外務省と防衛庁の考え方をお示し願いたいと思います。
  66. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) 先生御指摘の一九九七年の件との関連でございますが、米軍が使用しております航空機につきまして、この場合チャーターされた民間航空機の場合でございましたが、地位協定第五条に基づきますと、米軍の指揮官が当該航空機に乗り込みましてこの航空機の運航を管理しているような場合につきましては、この航空機の運航が米国の管理のもとに公の目的で行われているという地位協定第五条の適用がある航空機に該当するというのが我々の考え方でございます。  このような考え方につきましては、日本と米国の間で相違があるわけではございませんでして、一九九七年に米軍が防衛施設庁を通じまして御指摘の民間航空機をチャーターした場合につきましても、このような日米間の共通の認識のもとに地位協定第五条の適用がある航空機として扱われたものでございます。  具体的に、この航空機につきましては、米軍の嘉手納飛行場と横田飛行場の間の移動に使われたわけでございます。この際、防衛施設庁が行いました輸送役務契約におきまして、まず輸送が米軍の管理のもとで行われるということが定められております。また、現実にその米軍要員及び物資の輸送作業の現場におきまして、防衛施設関係者が立ち会いまして、米軍指揮官がこの航空機に乗り込みましてその運航及び物資の搬送を管理していたという事実を確認しているわけでございます。  このように、防衛施設庁を通じてチャーターされました民間航空機が、先生御質問の地位協定第五条の適用ある航空機として確保されているというための手続と申しますかシステムと申しますか日米間のやりとりにつきましては、まず防衛施設庁と米軍との間の協議を通じまして、契約の面におきまして米側指揮官がこの航空機に乗り込みまして運航管理できるように確保されているということが確認されます。  さらに二番目に、実態面におきまして、防衛施設関係者が輸送作業の現場に立ち会いまして、米軍指揮官が航空機に乗り込むことを確認いたしまして、当該航空機の米国管理のもとでの公の目的での運航が確保される、こういうことになっております。  なお、米軍の管理のもとに運航されている民間チャーター機につきましては、この航空機が我が国の民間空港に出入りする場合につきましては、この航空機が地位協定第五条の適用のある航空機であることを空港関係者が容易に確認できるよう手続が日米間で設けられております。  具体的には、当該航空機が我が国の民間の空港に出入りする際には、米軍当局より我が方の空港関係当局に対しまして、その航空機米軍の管理のもとに運航されている航空機であるということを明らかにするいわゆる五条機証明書という書面が発出されることになっているということでございます。
  67. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 防衛庁はいないですか。
  68. 山中昭栄

    政府委員(山中昭栄君) 事実関係につきましては今外務省の方から御答弁申し上げたとおりでございますが、御指摘航空機につきましては、在日米軍の調達依頼を受けまして、私ども日本通運を通じて全日空から借り上げた。その前提といたしまして、県道一〇四号線越えの実弾射撃訓練の分散移転の実施に伴いますさまざまな物品、役務の提供米軍に対していわゆる間接調達方式という形で行うというあらかじめの合意がございます。  その合意に基づきまして、個々の米軍の調達依頼を受けて私どもが一括、日本通運と契約を締結いたしまして、当該日本通運が航空機につきましては全日空から借り上げて御指摘のような人員あるいは武器弾薬等を輸送したということでございますが、その際に、当然のことながら当庁の職員も立ち会って、米軍の管理下に行われているというような点について確認をいたしているということでございます。
  69. 高橋令則

    ○高橋令則君 運輸大臣不審船の問題について御質問をさせていただきたいと思います。  経過とか対策につきましては既に各委員から質問がございましたし、答弁もございましたので、それは私は繰って、まず第一点は、これも関連があったわけですけれども、いわゆる巡視船整備の問題、これは富樫委員も言われたんですけれども、私も何遍も同じようなことを申し上げているんですけれども、非常に不十分ではないかと思っているわけです。  例えば、護衛艦に比べると非常に老朽化しているというふうに私は思っているんです。五百を超える船を持っているわけですね。ですから、もっとやっぱり計画的な整備をしなければならない。海自の方は中期防というふうな、いろんな経過はあるんですけれども、計画的な整備をやっているわけです。問題があってすぐ、極めて計画的ではなくて非常にそのときそのときだけの整備では対応できないのではないかと私は思うんですけれども、計画的な整備についての大臣の考えをお聞きしたいんです。
  70. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 確かに、御指摘のように海上事案というのはふえてまいっております。国連海洋法条約の締結、それから薬物、銃器等の密輸入事犯がふえてきている、また新日韓漁業協定ができ上がった、そんなことで昨年は第三次補正でかなりの増船を認めていただいたところでありますけれども、委員御指摘のようにまだまだ足らずということでしっかり努力をしてまいりたいと思っております。
  71. 高橋令則

    ○高橋令則君 それは同じ答弁なんですけれども、私は計画的にやっていただきたいということなんですよ。これはもう要請申し上げておきます。  それからもう一つは、運用の問題もあるわけですね。今回はかつてない迅速な措置だというふうに言われておりますけれども、私は、いわゆる不審船問題というのは、陸、水際、そして遠い海というんですかね、空もあるかもしれませんが、いわゆるそういうふうに所管のまたがる問題があるわけですね。  この問題についてのマニュアルの話を言われたんですけれども、私は、マニュアルを運用するための密接的、有機的な連携、システム的な連携、これを海上保安庁、そして自衛隊との関連においてはきちんとやった方がいいんではないかというふうに思うんです。こういう考え方も大臣はあるというふうにおっしゃったんですけれども、その方向については、時間、そういったものについていかがですか。
  72. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 実は、この事案が起きましたときに官邸に関係閣僚が集まりました。その中で、まず基本的には警察活動として海上保安庁が対処すべき、ただしどのような事態がその後起きてくるかわからぬ、したがって全閣僚に連絡すると同時に、状態の変化について海上保安庁はしっかり内閣連絡をとるようにということで、ある意味ではいろいろなケースを想定しながら動き出したということは事実でございます。  そういった意味で、今回の事案というものを反省しながら、基本的にはまず閣僚が先頭に立ちながらやっていくということは当然でありますし、また、例えば今御指摘いただいております朝六時に情報があったんじゃなかろうかと、自衛隊はなるべくそれを確かめたいということで時間をとった。だったら一緒にそのときは行動させてくださいよということでしっかりしたマニュアルをつくっていく、こういうことがまさに必要であろうと思います。  そういった意味では、先ほども御答弁申し上げましたけれども、今回のある程度一つのルールとして評価いただいていること、いや、非常にまずいという御批判をいただいていること、すべてをやっぱり洗いざらい出して、そしてまず防衛庁と運輸省でしっかりやる、また内閣も入れてすべてのケースをつくっていくということが大事だろうと思っております。そういった意味では、今回のことを大きな反省材料にしながらしっかりやってまいりたい、こう思っております。
  73. 高橋令則

    ○高橋令則君 この問題は施設整備と、それから運用の問題、これは慌てる問題でございますので、大臣がおっしゃるように適切にやっていただきたいというふうにお願いします。  消防庁長官質問しますが、今まで我々は、消防庁関連で議論するときには消防力の基準ということを言うわけですね。これは昭和三十六年に告示になっているだろうと思うんですけれども、どうも見ていると、一〇〇%近いのもあるし、うんと低いやつもあるし、非常にばらつきがあるんですね、充足率というんですかね。  それを細かく見ていると、果たしてそれが今合っているかな、ちょっといかがなものかなというような感じを私自身持つんですけれども、この消防力の基準、それ自体を改定する考え方はありませんか。その必要性を感じませんか。
  74. 谷合靖夫

    政府委員谷合靖夫君) 消防力の基準は、御指摘のように昭和三十六年に制定をされておるものでございまして、その後、救急業務を基準上に位置づけるために昭和五十年に比較的大きな改正をしており、それ以降からも二十年以上たっておりまして、いわば基本的考え方が三十六年のままでございます。したがって、どうしても現在の消防を取り巻く環境にもそごするような面が目立ってきておる、これは間違いないと思います。  例えば、市街地が普通木造住宅平家建てだけで構成をされているとか、それから五十年のときの救急出動件数が、約百五十万件を前提にしていますが、現在は三百五十万件近くなっている。そういうようなことで、都市構造の問題とか、先ほどもおっしゃいました救急需要等に基準が十分に適応していないのではないか、こういう認識のもとで、私どもは昨年の十月に消防審議会にその見直しについての諮問をさせていただいて、審議会もかなりの議論をした上で、やっぱり見直しが必要だという答申を先ほどいただいておる、こんな状況にあります。
  75. 高橋令則

    ○高橋令則君 実現できるのはいつごろですか。
  76. 谷合靖夫

    政府委員谷合靖夫君) この答申を踏まえて最終的には基準の改正ということになりますが、これは告示形式でやっております。したがって、私どもは、直ちにそうした事務作業に入ってできる限り早く改正に持っていきたいというふうに考えております。
  77. 高橋令則

    ○高橋令則君 終わります。
  78. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 参議院の会の松岡滿壽男です。  私も衆議院からこちらに参りまして、参議院が参議院改革の一環として独自に委員会編成を横割りにしているわけです。これは非常にすばらしいことだなというふうに思っておったんですが、前回も魚住委員が質問されようとしたんですけれども、なかなか大臣取りがうまくいかなかった。そういうこともありまして、一年半になるんですけれども、どうもこの委員会編成はうまくいかないのじゃないかという声も出てきております。しかし、そういう中で松村理事さん初め御努力いただいたと思うんですけれども運輸大臣が御出席をされたということは非常にいいことだというふうに思っております。  この前も議運で十三本の法案をどの委員会に付託するかということで一カ月ももめました。もとの委員会に戻すべきだとか、これでは何のための改革かということで、形骸化してしまいますので、今後そういう点での御協力をぜひお願いいたしておきたいと思いますし、皆さん方の御努力に感謝をいたしたいと思います。  さて、不審船の問題についても質問していいというようなことでございますが、私は山口県でございますから、北も南もたくさんおられるわけです。山口県も、伊藤博文公が朝鮮総督時代に暗殺をされたということもありまして、非常にこの問題について関心を持っているんです。いろんな質問を受けまして、私自身もテレビで見ただけですからよく状況がのみ込めないし、今回の事件についてはやっぱり私は捕捉をするということになったら銃撃戦になったと思うんですね。そういう点では、足が遅くて事に至らずに結果的にはよかっただろうという意見が随分ありました。  ただ、実際に向こう武器装備しておったのか、追尾する船に銃口を向けておったのか、その辺の状況はわからないし、テレビで見るとヘリコプターも出動しているわけですから、そうなるとマーキングができなかったのか、例えば蛍光塗料をぶつけるとか。今、清津の港に帰っているということを、恐らくアメリカの衛星は全部見ているんだろうというふうに思うんですね。私も地元の方でカーナビなんか見ていると、これはおもしろいから運転しながら自分で見るんだけれども、トンネルの中に入ったって位置がぱっとわかるわけでしょう。あれはアメリカの衛星を借りてやっているというような話ですが、そういう状況を見ると、日本の中もアメリカから見たらすっぽんぽんで裸みたいな形になっているだろうというふうに思うんです。  そういう中で、全然タッチしていないという形のものを向こうが言っているわけですから、地元の皆さん方が蛍光塗料でも上からかぶせたらよかったんじゃないか、あるいはネットをかぶせたらいいんじゃないかとか、いろんな話が出てまいりまして、そういう素朴な種々の疑問、向こう武器装備はどうだったのか、やっぱりそういう蛍光塗料とか、漫画チックですけれども、縄を上からぽっとおろしたらどうだったんだろうかと。  そういうことに対して、何か御意見でもございましたら、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  79. 楠木行雄

    政府委員(楠木行雄君) 私ども航空機からも船の状況を写真に撮りまして、うちの大臣が記者会見のときにちょっと見せておるのをごらんになったかもしれませんが、あの写真で見ますと、武器状況というのは、少なくとも甲板上には出ていないということはわかるわけでございます。重火器などの場合ですと固定しないといけませんので、そういうようなことにはあれだけ見るとなっていないのかなというのが武器状況、それ以上はちょっとわからないということでございます。  それから、ふだん私ども、例えばちょっとこの場合とは事案が違いますが、事実だけ申し上げますと、対馬などで非常に高速の密漁船などを捕捉する場合に使います手段として、船からいわゆる着色弾的なものを相手のブリッジに投げましてブリッジのガラスを全部色で染めてしまう、そうするとなかなか前が見えなくなるというようなものもございます。その他いろんな、若干御示唆ございましたようなものもいろいろ持っておるわけでございますが、今回の場合はちょっとそこまで近くに行かなかったということが、船の場合はちょっと難しかった点がございます。それは航空機の場合についても同様の点がございまして、今はそこまでやっていない。照明弾を落とすとか、何かそういうのはございますけれども、やっていないわけでございますので、それはこれからの工夫をすべき検討課題かなと考えおります。
  80. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 せっかくこういう体験があったわけですから、それを生かしていろんな方法を考えていただきたいというように思いますし、今回のことで海上保安庁海上自衛隊との連携が深くなったということは非常にいいことだと思っております。  成田財特法ですけれども、昭和四十五年以来三度にわたって延長しておるわけです。それで、今回が四回目の五年間の延長ということでありますけれども、この四回目の五年間の延長で成田の事業というものが全部完成できるのかどうか。そういう見通しにつきましてお伺いをいたしておきたいと思います。
  81. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 今回の法改正の対象事業は、地元の地方公共団体それから関係省庁と調整の結果、今後五年間に国庫補助率のかさ上げ措置を講ずるなどして実施することが必要とされたものであります。法律延長後の期限であります平成十五年度末までにおおむね完了する見込みでございます。したがって、今回の五年間という延長期間は、そういうことに基づいてやっておりますので、適切なものだと考えております。
  82. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 消防の関連ですけれども、阪神・淡路大震災で六千四百三十人の死者を出したわけですけれども、そのうち五〇%が六十五歳以上という高齢者なんです。それと、このところ日本人の世界旅行も多いですが、外国から来る旅行者も今のところ一年間で四百六十万ですか、外国人が来ているわけです。  こういう高齢者とか障害者、外国人、災害時に被災する可能性の高い人たちに対するいわゆる災害弱者、災害対策についての取り組みがこの経験を生かしてどういうふうになっているのか、お伺いしたいと思います。
  83. 谷合靖夫

    政府委員谷合靖夫君) いわゆる災害弱者対策でございますが、阪神・淡路大震災の教訓も踏まえまして、地域防災計画の抜本的な見直しを各地方団体にお願いしておるわけですが、その中に災害弱者対策も具体的に位置づけて、そして施策を講ずるようにあわせて要請をしておるところでございます。  それで、地方公共団体の方におきましても、例えば在宅高齢者宅への通報システムの整備であるとか、それから民生委員の協力を得て災害弱者を把握しておくということなどの措置がとられております。  それから、外国人についての御指摘がございましたけれども、外国語によるパンフレットの作成とか、あるいは目で見てわかるような避難誘導標識の整備というようなことも進められているという状況でございます。  そして、このような災害弱者対策については、やはり特に地域住民とかあるいは自主防災組織、ボランティア等との協力体制が重要だというふうに考えておりまして、地方公共団体の中におきましては、高齢者や身体障害者など自力避難が困難な方々の避難を自主防災組織等が支援をするためのいろんな取り組みが進んでおりますので、私どもとしてもこのような地域住民とか自主防災組織との協力体制整備がさらに進むようにこれからも努めてまいりたいというふうに考えております。
  84. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 終わります。
  85. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 私からは成田財特に関連しまして、空港整備関係についてお尋ねしたいと思います。  空港公団総裁もおいでいただいていますので、初めに総裁の方にお聞きしたいと思います。  空港問題につきましては、その経過が非常に長くなっておるわけですが、その間、シンポジウムとか円卓会議等を通じて、また皆さんに非常にお骨折りいただいたわけでございますし、最近ではまた空港公団の副総裁、運輸省の審議官等の皆さんが現地入りされて努力されておるというような状況でございます。先ほど魚住委員から今後の見通しはと、こういうお話がありましたので、私からもそれをお聞きしようと思ったんですが、もう少し一歩進めて、あと空港整備についての用地買収はどんな状況なのか、その点を公団総裁に。
  86. 中村徹

    参考人中村徹君) 現在残っております未買収地でございますが、空港全体の敷地が千六十五ヘクタールあるわけでございますが、その計画用地のうち六ヘクタールだけがまだ買えないでいる。敷地内に残って住んでいらっしゃる方は二戸でございます。それ以外に、敷地外に住んでいて敷地内に用地を持っていらっしゃる方もおります。そういう方を合わせて六ヘクタールでございます。
  87. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 あと敷地内は二戸ということでございまして、二〇〇〇年度の滑走路完成に向けて最後の追い込みだろうと思うわけでございましてぜひお願いしたいわけです。  その場合、今までいろいろなお約束があるわけなんですが、今後、この空港整備についてのお取り組みに当たっての基本姿勢、これもまた話し合いでという先ほど大臣から話があって、話し合いだけで可能性が非常に難しいかと思いますけれども、その辺のところの姿勢をお尋ねしたいと思います。
  88. 中村徹

    参考人中村徹君) 先ほど大臣からお話がございましたように、基本的に話し合いでということでございますが、これは地権者の方とのお話し合いということに尽きるわけではありますけれども、そのような話し合いを行う場合に、地域の方々の御支援といいますか、御理解を得ることが一番肝心だろうというふうに考えておりまして、共生大綱というようなものをつくって共生策を推進するということを実施いたしておるわけでございます。  あわせて、そのような結果もございまして、地域の自治体とか議会の方々とかあるいは民間団体の方々が平行滑走路の完成に向けて努力しろ、我々の平行滑走路の完成に支援するということを決議していただいたりしておりますから、そういう地域の方々の声というものをバックにしながら御理解を得ていくように努力していきたい、このように思っております。
  89. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 ぜひお願いしたいというふうに思うわけでございます。  それから次に、羽田空港の点についてお伺いいたしたいと存じますけれども、都知事選を控えて羽田空港の国際化の動きなども言われておるわけでございますし、また平成九年三月、新C滑走路が完成して、いろいろ離発着時間の拡大なども図られたところでございます。  羽田空港のおおよその利用状況と今後の将来需要、将来需要の方を主にお答えいただければと思います。
  90. 岩村敬

    政府委員(岩村敬君) 羽田空港におきます平成十年の年間離発着回数でございますが、実績で約二十三万回でございます。このうち定期便の運航は、曜日とか繁忙期、また閑散期等で変動はございますが、現在、一日当たり三百二十往復の定期便が飛んでおる状況にございます。  それから、将来でございますが、これにつきましては、平成八年度を初年度といたします第七次空港整備七カ年計画の中で需要予測を行っております。羽田空港の年間離発着回数の予測といたしまして平成十年の数字を予測しておりましたが、二十二万回と当時予測しておりました。先ほど申し上げたように実績は二十三万回でございますので、予想を上回っておるところでございます。そして、平成二十二年に約二十六万回になるという予測をしておるところでございます。
  91. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 それともう一つ、羽田空港については航空機騒音が東京都の大田区の方であるよというような、大田区だけではございませんけれども、そういうようなことが沖出しがなされた一因でもあるわけでございますが、現在の飛行コースの騒音コンター、これがどうなっているのか。それからまた、今後より遠距離への飛行となった場合、そのコンターはどうなっていくのか、その辺のところを。
  92. 岩村敬

    政府委員(岩村敬君) 羽田空港の飛行コースにつきましては、居住地域に騒音の影響が及ばないようにということで、できる限り陸域を避けて設定をいたしております。その結果、沖合展開事業が進みまして、今、先生御指摘の新C滑走路という沖出しの滑走路ができたわけでございますが、そういったこともございまして、住居地域においては環境基準で定めておりますうるささ指数七十、WECPNLという単位でございますが、うるささ指数で七十という基準を達成しておるところでございます。  それから、深夜・早朝時間帯、こういう環境基準もございますが、さらに千葉県側への影響等を考慮いたしまして特別な飛行経路の設定を行っておりまして、例えば木更津については二十二時から二十三時にかけて到着機の通過高度を高く設定する、また二十三時以降については到着機のための海上ルートを設定する。それから、浦安地区については出発機が近隣上空を通るわけでございますが、出発機のルートを十度海側に変更する、こういった配慮をいたしまして深夜・早朝帯の騒音の問題が生じないよう配慮をいたしておるところでございます。  それから、先生第二点目の御指摘、遠距離飛行の飛行機が入った場合にどうなるかということでございますが、一般論として申し上げれば、より遠距離を飛行する場合にはその飛行機の離発着の重量が重くなりますので、騒音値は近距離の飛行機を中心としている場合に比較いたしまして大きくなる、すなわちコンターは広がってくるということになるかというふうに考えております。
  93. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 時間の関係で最後になるかと思いますが、騒音につきましては、いずれにしても、浦安関係とか木更津関係の方への影響、殊に早朝、深夜につきましては非常に憂慮されるというのが今の現状だろうと思うんで、それをできるだけ解決しながら今やっていただいておるというのが状況だろうと思うわけでございまして、できるだけ騒音につきましてはさらに御配慮をいただければというふうに思うわけでございます。  最後ですけれども大臣に、首都圏を中心とした空港整備の基本姿勢、これはもう一部質問がなされておりますけれども、再度この基本姿勢につきましてお考えをお聞きしまして、終わりにしたいと思います。
  94. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) これはもう、成田は国際空港の拠点空港として、羽田は国内ということで仕分けをして今日まで来ております。また、羽田自体の使用も、今、航空局長から御答弁のように、千葉県側に少し迷惑をかけながら活用させてもらっておるのが現実でありますので、今言われておるような議論が千葉県側の理解をなしにできるとは全く考えておりません。したがって、原則成田国際、そして羽田国内、そして将来需要がふえてくるなら第三空港という問題も視野に入れながら調査を進めてまいりたい、この基本は守ってまいりたいと思っております。それを目指して、何としても二〇〇一年の三月三十一日、こういうときを目指して平行滑走路、成田、懸命に進めておりますので、岩瀬先生にもひとつどうぞよろしく御協力お願い申し上げたいと思います。
  95. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 ありがとうございました。
  96. 小山峰男

    委員長小山峰男君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を求めます。    〔賛成者挙手〕
  97. 小山峰男

    委員長小山峰男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、消防施設強化促進法の一部を改正する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を求めます。    〔賛成者挙手〕
  98. 小山峰男

    委員長小山峰男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 小山峰男

    委員長小山峰男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  午後一時まで休憩いたします。    午前十一時三十二分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  100. 小山峰男

    委員長小山峰男君) ただいまから地方行政警察委員会を再開いたします。  警察法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は去る二十三日に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  101. 藤井俊男

    ○藤井俊男君 民主党・新緑風会の藤井俊男でございます。限られた時間でございますが、私が一番持ち時間が多いようですが、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  関東管区警察局が東京から私の住んでおります埼玉県大宮市に移転されることで、私はまさに力強く思っております。ただいま着々と工事が進められ、その威容を誇っており、埼玉に国の十省庁十七の行政機関とマッチした都市が誕生するものと大いに期待をいたしているところでございます。  国の機関の一極集中是正を目的とし、多極分散型国づくりの一環のものと伺っておりますが、警察行政を担当する最高責任者であります国家公安委員長、自治大臣として、この機関の移転に伴う大臣の見解を伺いたいと思います。よろしくお願いします。
  102. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 東京への一極集中を是正して国土の均衡ある発展を図るということは極めて重要な課題でございまして、その一環として国の行政機関などの移転を推進していくということは大変肝要なことであると認識をいたしております。昭和六十三年にこの点について、国の行政機関等の移転に関する基本方針という閣議決定がなされたわけでございますが、警察においてもその方針にのっとって行政機関の移転の推進が図られておるわけでございます。  既に本年二月、千葉県の柏市に科学警察研究所が移転を完了いたしたところでございます。引き続き、今御指摘の関東管区警察局、これが十二年二月に埼玉県大宮市に移転をする予定になっておりますが、さらに残る移転対象の機関でございます警察大学校、これも東京都の府中市に十三年の七月に移転をする予定でございます。  こういう形で、順次国の行政機関等の移転に関する方針、閣議決定にのっとって警察としての対応を進めておるという現状にあります。
  103. 藤井俊男

    ○藤井俊男君 今、大臣から答弁がございまして、まさに力強く思っておりますので、ひとつよろしくお願いしたいと思っております。  次に、関東管区警察局は七管区警察局ある中で規模や体制も一番大きくなっています。  そこで、関東管区警察局のみ保安部が設置されているわけですが、その理由と役割についてお尋ねしたいと思います。
  104. 関口祐弘

    政府委員(関口祐弘君) 管区警察局は都道府県警察警察活動が全体として整合性のある統一的な活動として系統的に行われることを確保するために警察庁の地方機関として置かれる組織でありまして、現在七局設置されております。  具体的な分掌事務といたしましては、複数の府県にまたがる広域犯罪の捜査、大規模な災害等の警備、高速道路における広域的な交通規制等の事務につきまして、府県警察を指揮監督することや、警察通信組織を直轄管理することなどをつかさどっております。  管区警察局の内部組織でありますけれども、総務部、公安部及び情報通信部の三部がありまして、関東管区警察局にありましてはさらに保安部が置かれ、他の管区警察局公安部の事務のうちで生活安全部門、刑事部門及び交通部門に係る事務を専門的に担当しているわけであります。  これは、関東管区警察局は十の県を管轄しておりまして、他の管区警察局に比べ業務量が多いことから、事務処理の効率化を図るため保安部が設置されているものであります。
  105. 藤井俊男

    ○藤井俊男君 そこで、私は、この法案の中にも情報通信技術に関しまして所掌事務も追加をされておりますが、移転に際し通信機材等の装備、機材を整備、増強するのか伺いたいと思います。するのなら、その内容についてもお聞かせを賜りたいと思っております。
  106. 野田健

    政府委員野田健君) 関東管区警察局を大宮に移転するに際しまして、業務を推進する上で必要となる通信資機材等を整備することとしております。  主な通信資機材といたしましては、全国の警察情報通信ネットワークを構成するために必要な無線多重設備、マイクロ回線等の設備でありますが、それから電子自動交換機等を整備することとしております。  また、管区警察局の主要業務の一つに、大規模災害が発生した場合に警備の指揮等を行うという仕事がありますけれども、東京が被災して警察庁庁舎が倒壊するなど、指揮機能が失われた場合には、関東管区警察局のこのたび新設されました庁舎内の災害対策室を警察庁の警備本部の代替として運用できるようにということで、これに必要な通信資機材を整備する予定であります。総額で十八億二千一百万円でございます。
  107. 藤井俊男

    ○藤井俊男君 関東管区の関係については以上で質問を終わらせていただきます。  次に、最近の犯罪の現状対応について質問してまいりたいと思います。  最近の犯罪は広域化、スピード化していると言われております。銃を使った犯罪、覚せい剤、強盗事件も凶悪化しております。そこで、最近の犯罪の現状対応についてお伺いしたいと思います。
  108. 林則清

    政府委員(林則清君) 社会情勢の変化に伴いまして、御指摘のように犯罪が複雑化、多様化しておるのみならず、近年におきましては刑法犯の認知件数が大変増加しまして、昨年初めて二百万件を超えたというような状況にございますし、来日外国人でありますとか暴力団等の組織犯罪がますます深く根を張っておる、あるいはハイテク犯罪等の新たな犯罪が見られるというような現状にございます。  御指摘の犯罪の広域化、スピード化につきましても、オウム真理教による未曾有の大規模事件、あるいは広域暴力団による犯罪や、数都道府県にまたがり敢行される組織窃盗事件等の発生が最近目立っております。また、例えば平成十年に検挙した刑法犯事件で、犯行現場から犯人が逃走したもののうち、自動車やオートバイなどを利用して逃走したというものの割合は五割以上に上るなど、まさに従来にも増して広域化、スピード化が進んでおるというのが現状でございます。  このため警察におきましては、従来から合同・共同捜査の積極的な推進や広域捜査隊の活用による都道府県相互の連携強化、この中には先ほどお話がありました管区局も大きな役割を果たしておりますが、そういうことでありますとか、あるいはヘリコプターを初めとする警察機動力の効果的な活用、あるいは自動車ナンバー自動読み取りシステムの整備というような施策を進める一方、制度面におきましては、逐次警察法を改正しましてそういった法制面での措置も講じてきておるところであります。  今後ともこれらの施策を積極的に推進しますとともに、さらなる改善につきまして検討を進め、広域化、スピード化する犯罪への対応に万全を期してまいりたいと存じます。
  109. 藤井俊男

    ○藤井俊男君 ただいま答弁の中にも出ておりましたけれども、犯罪が広域化、スピード化するに伴いまして、私は車での対応にはもう限界が来ていると思われます。車の増大、道路の狭隘等を考えますと、今答弁にもありましたようにどうしても空からのヘリコプターの効果的活用が求められるものと思っております。  映画やアメリカの追跡関係とか逮捕の関係も報道されていますけれども、今後のヘリコプターの具体的な活用について私は伺いたいと思います。
  110. 林則清

    政府委員(林則清君) 御指摘のように、ヘリコプターはその特性といたしまして機動性、高速性、広視界性、こういったものを有しておりまして、各種警察活動を効果的に推進する上でこれから御指摘のように大変重要なものになってくると認識しております。したがいまして、犯罪捜査に際しましても、現に上空から密入国者の捜索や逃走する盗難車両の追跡を行い、地上と連携してこれを検挙するといった例もありまして、被疑者やあるいは逃走車両の捜索、追跡等にヘリコプターを活用して効果を上げておる例も相当あるわけであります。  御指摘のように今後ともヘリコプターのさらに効果的な活用に努めて、迅速、的確に犯罪に対処してまいりたい、そのように存じます。
  111. 藤井俊男

    ○藤井俊男君 ヘリコプターの活用につきまして御答弁がございましたけれども、私の居住している埼玉県はヘリコプターが二台ございます。四十七都道府県でヘリコプターの状況はしからばどういうふうになっているのか、そして今何機ぐらい警察庁としてはヘリコプターを所有しているのか、ちょっとわかりますか。
  112. 野田健

    政府委員野田健君) 警察のヘリコプターは四十七都道府県全部に配置しておりまして、総数で七十機であります。
  113. 藤井俊男

    ○藤井俊男君 そこで七十機の中で、活用の状況は今ございましたけれども、模範的な活用状況はどうですか。ちょっとお知らせください。
  114. 野田健

    政府委員野田健君) 複数所有している都道府県警察にありましては、常時空から監視する等いたしまして、例えば交通が渋滞している、その原因は上から見ますと例えば交通事故であるとかあるいは自然渋滞とかそういう状況もわかりますので、もし事故であればすぐに警察官を派遣させるというような、そういう意味での警ら活動から始まりまして、交通、警備、刑事、各般にわたっております。中には人命救助ということで大活躍をしているという事例も多く報告されているところであります。
  115. 藤井俊男

    ○藤井俊男君 ヘリコプターの活躍、活用が非常に効果的になされているということでございますので、ぜひこれらの充実化に向けて今後ひとつよろしくお願いしたいと思います。  次に、暴走族問題について伺いたいと思います。  最近、暴走族が急増しておると言われております。私の住んでおる埼玉でも暴走行為の苦情が数多く寄せられております。交通秩序を無視し、住宅街での暴走行為は危険と迷惑を及ぼしております。特に初日の出暴走など、暴走族の現状と対策について伺いたいと思っております。
  116. 玉造敏夫

    政府委員(玉造敏夫君) 平成十年末段階で警察が把握しております全国の暴走族の総数は約三万四千人でございます。この内訳は、爆音暴走等の暴走行為を集団で行うもの、これが約千グループ、二万五千人でございます。一方で、山間部の道路でコーナリングの運転技術等々を競いますところのローリング族などが約八千七百人でございます。  特徴的傾向としましては、かつてのような五十台百台といった大集団による暴走行為は、先ほど委員が挙げられましたような初日の出暴走のような特殊な場合を除きましては基本的には減少いたしまして、むしろ少人数のグループによっての爆音暴走というものは増加しておる。ある意味でそれだけ拡散しておるということにも活動形態としてはなろうかと思います。また、暴走族は、グループ間の対立抗争事件あるいは脱会者に対するリンチ事件、一般市民に対する暴力事件、さらに警察官に対する公務執行妨害事件等、一段と凶悪化、粗暴化の傾向がございます。  こうしたことから、警察としましては、交通、少年、さらに暴力団対策、地域部門等、各部門の総合体制をとりまして暴走族の実態を把握して効率的な指導、補導、さらには検挙、解体を促進するということ、そして暴走族を許さない社会環境づくりを促進するというようなことを重点として今取り組んでいるところでございます。  暴走族に対しましては、昨年も前年比で六・三%増の十万八千七百三十四人を検挙しております。このうち前年比で一〇・二%増の六千二百十七人を逮捕しておるところでございます。やはりこれは凶悪化、粗暴化ということの反映でもあるわけでございます。  こうした取り締まりの徹底とともに、これとあわせまして、その根源的な解決を図るための対策といたしましては、青少年の健全育成に関する機関であるとか、あるいは団体、さらに家庭、学校、地域社会と緊密に連絡をとりまして総合的な対策を推進しているところでございます。
  117. 藤井俊男

    ○藤井俊男君 少年等が大半の中で、社会環境づくりにぜひ御尽力いただき、暴走族一千グループということでございますので、これらについての対応もひとつよろしくお願いしたいと思います。  時間があと一分ぐらいありますので、最後にコンピューター技術、電子通信技術を悪用した犯罪、インターネットを使った犯罪が問題になっておりますが、その検挙と対策についてお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  118. 野田健

    政府委員野田健君) 最近コンピューター技術あるいは電気通信技術を悪用した、いわゆるハイテク犯罪と申しておりますが、この検挙件数が年々増加しております。平成九年の検挙件数は二百六十二件でありましたが、昨年は四百十五件という状況で、平成五年が三十二件でありましたから約十三倍にも伸びているということで、大変憂慮すべき状況と考えております。  こうした深刻化するハイテク犯罪に対処するための総合的な施策として、警察庁では、体制整備などを内容とするハイテク犯罪対策重点推進プログラムというものを昨年六月に制定、公表したところでありまして、今後いわゆるサイバーポリスとも言うべき体制の創設を目標として掲げているという状況にございます。  このプログラムに基づきまして、警察庁に都道府県警察の行うハイテク犯罪捜査を技術的に支援するナショナルセンターを設置する、そして主要都道府県警察にはハッカー対策班、サイバーテロ対策班を配置してハイテク犯罪専従捜査体制を確立したいと考えておりまして、そのために必要な警察法の改正を今回お願いしているという状況にございます。
  119. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。  きょうも午前中の質疑で、不審船というので対応についての質疑がなされましたけれども、あれは海の上というか水の上でございまして、当然、工作船であるとかあるいは麻薬云々とか、そういうようになってくるとおかの上がやっぱり大事になってくるだろうというふうに私は思っております。  この不審船に対する警察対応はいかがなものであったのかということと、またマスコミ等によりますと、実はあれは陽動作戦やったんだ、青森であるとか茨城であるとか千葉の方にもう既に工作員を上陸させたよみたいな報道もございますが、その辺に関連して、警察対応につきまして御答弁をいただきたいと思います。
  120. 金重凱之

    政府委員(金重凱之君) 今回の不審船事件についてのお尋ねでありますけれども警察としましては、従来から北朝鮮の工作員による不法出入国事案や集団密航事案等が発生しておるということで、治安上これを大変重大な問題であるというふうに認識しておりまして、各種の対策を実施しておるところでございます。  それで、本件事案につきましては、三月二十三日の午後に内閣官房の方から警察庁への通報がございまして、これを踏まえまして、関係警察に対して関連情報の収集あるいは沿岸部の点検、さらには沿岸地域におけるパトロール等、沿岸警戒活動の強化を指示したところであります。それからまた、三月二十四日、翌日でありますけれども、この日には全国警察に対しまして関連情報の収集強化、沿岸警備活動の強化、関連重要防護対象の警戒強化等を改めて指示しておるところでございます。  それから、もう一つお尋ねのございました陽動作戦ではなかったのかということでございますけれども、そういう報道がございましたことは私ども承知しておりますけれども、現在のところ警察においてそのような情報には接していないということでございます。今申し上げましたように、集団密航事案等が多発しておるという現下の情勢を踏まえまして、全国の関係県において沿岸警戒警備をかなり強化しておるということでございます。そうした中で、今申し上げましたようにその種の情報には接していないということでございます。
  121. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 このちょうど追っかけているころ、警察庁では全国警備部長会議というのをやったんですか。そのときに、新潟であるとか富山とか、そういう警備部長もわざわざこちらまで呼んでいるわけですか。
  122. 金重凱之

    政府委員(金重凱之君) お尋ねの全国警備部長会議、三月二十三日の午後に警察庁において開催いたしておりまして、関係県の警備部長も出席いたしております。
  123. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 じゃ、日本海側でだれが現場の指揮をとるんですか。
  124. 金重凱之

    政府委員(金重凱之君) これは会議は警備部長だけが来ておるわけでありまして、警察活動というのは警備部長一人でやるわけでなくて、その下に関係課長等も警備部の中にもおりますし、それから本部長もおるわけでありますから、そういう面で警戒の遺漏なきを期しておったというふうに承知しております。
  125. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 ただ、そうは言っても、現実に追っかけている最中に該当県の警備部長までわざわざ東京に呼んで、朝鮮半島云々、不透明だ、しっかり対処するようにと訓示を垂れても、何か間が抜けたような気がするわけで、ちょっと質問をさせていただきました。  今お話しの中で密航船云々というお話もございましたけれども、最近、この密航のルートも韓国船を使ったような形もあるようでございます。韓国の海上警察等との連絡もあるようでございますけれども、午前中、不審船対応して海上自衛隊海上保安庁との共同マニュアル云々ということもございましたけれども、こういう密航船あるいは不審船等に対応する形での海上保安庁警察との協議というか共同マニュアルというか、その点はいかがになっているんでしょうか。
  126. 楠木行雄

    政府委員(楠木行雄君) 先生おっしゃいますように、韓国漁船を利用した密航がふえている、これが実態でございまして、運んでくる人は中国人がほとんどなんですけれども、韓国船を使ったもの、この三月二十九日現在、昨年同期で比較しますと既に九十八名、昨年八十四名でしたのでもうかなりふえておる、こういう状況でございます。しかも、なかなか手口が悪質、巧妙化しているというようなことでございまして、私どもの方も、まず海上保安庁自体では情報収集体制の強化とか、韓国等を出航して本邦に寄港する船舶への立入検査の徹底とか、あるいは犯罪のおそれのある虞犯海域における警戒の強化とか、情報入手時における巡視船艇航空機の集中的な投入による監視取り締まり等を行っておるわけでございます。また、今お話にも出ましたような、韓国の海洋警察庁を初めとする中国、韓国の取り締まり当局との国際的な連携も行っておるわけでございますが、やはりこういったものは情報が命でございますので、警察との間で情報交換を緊密に行っております。  例えば、今月二十四日に広島県の福山港で発生いたしましたカンボジア船籍の貨物船による中国人二十二名の集団密航事件において、事件捜査をお互い分担して合同捜査を行うとか、こういうこともやりましたし、連携協力して不法入国の取り締まりに取り組んでいるところでございます。  今後とも水際の摘発に万全を期してまいりたいと思います。
  127. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 次に、ちょっと新聞に載っていたのですが、交通事故の関係で、これは香川県警ですか、自賠責の利用について、最初は物損で取り扱っていた交通事故につきまして、医者の診断書一枚で人身事故に変わる、それで自賠責保険が払われる。しかも、統計上はそのまま物損で扱っているというような、「抜け道」というような表現が新聞には書かれておりましたけれども、これは非常に不公平感も与えますし、またそれを悪用する業者というか保険代理店もおるようでございます。  事司法にかかわることでございまして、余りにもばらばらな対応というか、それはいかがなものかというふうに思いますが、この点について、是正措置等を含めてどのようにお考えなのか、御答弁をお願いいたします。
  128. 玉造敏夫

    政府委員(玉造敏夫君) 当初、物損事故として受理いたしました事案につきまして、後日、けがの届け出があった場合に、これを人身事故に切りかえるか否かにつきましては、当該事故とけがの間に因果関係が認められるかどうかということに係るわけでございます。これは、それぞれの事故ごとに個別具体的に判断されるべきことになるわけでございます。したがいまして、統一的な切りかえの基準とかそういうものはございません。  しかしながら、当然のことながら警察といたしましては、通常、当事者の申し出であるとかその内容、さらに診断書提出までの日数であるとか事故の形態であるとか車両の損害程度等の諸点を総合的に検討して、これは人身事故に当たるのか、それとも物損なのか、要するに因果関係が出てくるのか出てこないのかということを判断しているところでございますが、香川県警察におきましては、こうした当初物件事故として受理いたしましたものを、後日けがの届け出があった場合でけがの程度が軽かったような場合には、これらの諸点について検討不十分のままに人身事故として交通事故証明が発行されるように安易に取り扱っておったということでございます。昨年の十月に損保協会からの指摘等がございました。それを踏まえまして、現在では、物件事故として届け出があり後日けがの届け出があった事故の対応につきましては厳正に対処しておるところでございます。  警察庁といたしましては、昨今の交通事故捜査に関するさまざまな御指摘等も真摯に踏まえまして、一層の適正捜査の推進について全国を指導しているところでございます。さらにその徹底を期してまいる所存でございます。
  129. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 警察の取り扱いというものは不公平感を与えたらだめだと思うんですね。自分が駐車違反になって何で隣の者が駐車違反にならないんだというようなことも含めて非常にわかりやすい不公平感が出てしまうわけでありまして、ぜひその辺はきちっと是正をしていただきたいというふうに思います。そういうことなくして、やれシートベルトやれとかチャイルドシートやれとかいうのはちょっといかがなものかと私は考えております。  次に、今回の改正案につきましてちょっとお尋ねをしたいわけでございますが、先ほど、ハイテク犯罪についてのナショナルセンターを設けるというようなことだと思いますが、人材が非常に大事になろうかというふうに思っております。  ただ、ネット技術者というか、これは非常に実社会においても引く手あまたでございまして、FBIのアメリカ連邦捜査局の国家インフラ防護センターにおいても、いわゆる専門知識を身につけさせると民間企業に高給で引き抜かれてしまう、そういう事案もあるようでございます。また逆に、元ハッカーがハッカー防護措置を講ずる会社をつくるとか、技術を持っているだけでいろんな立場になり得る。逆に、警察官も技術を持てば退職した後いろんな活動ができるというふうに思うわけでありまして、この人材確保、それから人事管理といいますか、高度な技術を持っているわけですから、その点どのように対処しようとされるのか、御答弁をお願いしたいと思います。
  130. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 御指摘のとおり、ハイテク犯罪対策を進める上で高度な情報通信技術に対応できる優秀な人材、それから日々高度化する技術革新に対応した装備資機材を確保するということが極めて重要であると考えておるわけであります。  そこで、ナショナルセンターでは二十名で発足する予定でございます。庁内の情報通信技術者の中に既にハイテク犯罪に精通している人材がおります。したがって、そういう人材を配置すると報告を受けております。今後、業務の展開に応じ必要な拡充を図ってまいりたいと存じます。  また、都道府県警察にありましては民間からの中途採用を行いまして、ハイテク犯罪捜査官として配置しておるところであります。  なお、装備の資機材につきましては、技術革新が急速に進展しております分野でありますので、今後必要に応じ的確にその整備充実を図って対応してまいりたいと思います。  今後、警察庁と都道府県警察が協調して強靱なるサイバーポリスを構築してハイテク犯罪対策を推進していくように督励をしてまいりたいと存じます。
  131. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 もう時間がございませんのでこれで終わりにいたしますけれども装備、機材も本当に常に新しくいいものにしていかなきゃいけないと思いますけれども、また一方で、ハイテク企業とはいいながら水増し請求をやるようなところもあるようでございまして、その点十分に御留意をしていただきたいと申し上げて、質問を終わります。
  132. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 日本共産党の八田ひろ子でございます。  警察の機構にかかわって、女性警察官の採用と研修について伺いたいと存じます。また、とりわけ性暴力被害者に対応するに当たっては女性警官の配置が求められていますが、各警察署や交番、また指導員の配置というのがあるそうですが、その実態をお示しください。
  133. 林則清

    政府委員(林則清君) 性犯罪被害者対策を推進していく上で、被害者からの事情聴取等、各種の捜査活動で女性警察官を充てるということは御指摘のように極めて有効であるというふうに考えております。そういった考え方に基づきまして、各都道府県警察本部の性犯罪捜査指導係という専門の係を設けておりますが、この係の中に平成十年十二月末現在で女性の警察官が百二十名配置されておりますほか、全国で総数二千三百名の女性警察官が性犯罪捜査員として指定されておるところであります。
  134. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 今お示しいただいた全国に二千三百名、指導員と言われる方が百二十名で、これは実際には警察官だけでは足りなくて職員の方もそれに当たっている方もあるというのをちょっと聞いたことがあるんですが、全国で警察署の数は一千二百六十四ですか、交番でいきますともっと多くなりますね。こういうふうに全国の警察全部均等に女性を配置するというわけには、無論大きいところ小さいところあるわけですが、圧倒的にまだ少ないというふうに思うんですけれども、今後どういうふうな充実の計画とか、あるいは女性一一〇番とか性犯罪に向けてのいろんな窓口をおつくりになるんですけれども、そういうところの充実なんかはどういうふうに計画されているんでしょうか。
  135. 野田健

    政府委員野田健君) 昨年の四月の採用で見ますと、都道府県警察において警察官約三千八百名を新たに採用したところでありますが、そのうち約四百人、約一一%が女性警察官でありました。この採用時点では約一一%ですけれども、同じく昨年の四月一日現在、全国の都道府県警察においては約八千百人の女性の警察官が勤務している。この比率は全警察官の約三・五%ということでありまして、ですから、今採用している方が女性の比率が高いということであります。  実は、数年前には女性の警察官が一人もいないという県の警察もございました。特に、女性被害の犯罪等の捜査に当たる場合には女性の警察官の事情聴取を受けたいという希望が非常に多いという実態もございます。中には自分は男性の警察官に被害を言いたいという方もあるんですが、総じて女性にお願いしたいという方が多いので、今後さらに、そういったことを考えますと女性警察官をどこの県でもそういった捜査に当たれるようにしておかなければならないなということで、今は一割ぐらいですけれども、将来は恐らく全体として二割から三割採用するという時代が来るのではないかなという予測をいたしております。  といいますのは、警察の仕事というのは最後は犯人と格闘するという場面がありますので相当な体力を必要とする。ですから、男性でないとそれにたえられないなというような場面が多いとは思うんですが、一方で、女性にやっていただいた方がいい仕事、あるいは女性でも男性と全く同じように能力を発揮できる分野等々もたくさんありますので、女性もこれからどんどん活躍してもらっていいのではないかというように考えております。
  136. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 今話題になっておりますハイテク分野とか女性が活躍できる分野は非常に多いと思いますし、私は警察白書を見せていただきましたら、そこに性犯罪担当の女性の方の手記が大きく載っていまして、非常に歓迎をされているとか、ちょっとした心遣いが被害者に非常に大きな生きる勇気を与えるというのも見たものですから、そういう意味でも、今全体の二、三割というふうにおっしゃったんですけれども、内容の充実というのを今後もお願いしたいというふうに思います。  次に、交通事故の減少、防止の施策について伺います。  交通安全対策はいろいろと種類がありますし、考えられていますけれども、資料をいただきますと、交通事故発生件数から見ますと、交差点での事故というのが一番多く、また死亡の被害者というのは年齢層でいいますと六十五歳以上が圧倒的に多いわけです。また、子供の交通事故も心配されます。  そこで、交通安全対策として事故防止のための信号機の設置状況について伺いますが、押しボタン式の信号機などの設置状況と、それから整備のための長期計画がどうなっているのか、お示しください。
  137. 玉造敏夫

    政府委員(玉造敏夫君) 信号機の設置状況でございますが、まず平成九年度末の全国の信号機のトータルな数でございますが、十六万五千八百八十三基でございます。  計画といたしましては、七カ年計画、これが平成八年から十四年度に関するものでございますが、信号機の新設計画としましては二万百七十五基でございます。基本的にこれは各都道府県の単独事業として行われますが、沖縄県につきましては補助事業というふうになっております。
  138. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 地方単独事業ということで、計画があれは五年間が中身は変わらなくて七カ年になったという中身なんですね。どうしてそれを伺ったかというと、私ここに手紙をいただいたものですから、これは愛知県岡崎市の方なんですが、愛知県は残念なことに交通死者が非常に多いという県なんですけれども、昨年十一月二十五日の昼間、この方の住んでいる市営住宅の横の横断歩道で七十二歳の女性が乗用車にはねられて亡くなったという痛ましい事故があったことにかかわるんですけれども、お手紙の中で、   この事故の事がとても気になったのでお手紙します。実は、私の主人も交通事故により大切な命を失ってしまいました。そして残された幼い子供三人もいます。三号棟が出来たら、 これは新しい市営住宅を今建てているそうですが、 特に又、人が多くなります。これ以上命が失われてしまう前に信号だけはどうかお願いしたいものです。子供は社会の宝です。どうか、真剣に、警察の方にも呼びかけて、実現させて下さい。お願いします。 という、こういうお手紙なんですね。  この道路というのは、国道に抜けるための通過道路としても最近利用が多い市道、岡崎駅—平戸橋線というところで、道路を挟んで市営住宅と老人福祉センターが両側にあるというところで横断歩道の線だけ引いてあるという、いろんなところでそういうところがあると思いますが、こういうような事故も多く、死亡事故もあるようなところにもなかなか信号機がつかないというのをどういうふうにお考えなのか、伺いたいと思うんです。
  139. 玉造敏夫

    政府委員(玉造敏夫君) 信号機の設置が事故防止上有効であることは委員御指摘のとおりでございます。  各都道府県警察におきまして、それぞれの現場の道路交通の状況あるいは事故状況等を勘案しながら、設置計画の策定、推進に努めておるところでございますけれども、予算上の制約ということもございまして、緊急性の高いものから設置をしておる、その結果として、まだつかないという個々の地域の住民の方々の御不満があるということは重々承知しております。何分にも予算上の制約の範囲内でやっておるということでございますので、御理解を賜りたいと思います。
  140. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 先ほどお示しいただいたこの七カ年計画、交通事故死を一万人以下にしようということで目標があって、次は九千人を切ろうという目標でおやりになっているというふうに思うんです。  この信号機の問題で私、この愛知県の部分を調べてみたんですけれども、愛知県の中でもここ十年ぐらいの資料を取り寄せてみますと、この岡崎市、またお隣の豊田市というのがワーストワン、ワーストツーを行ったり来たりしているわけですね。平成十年度、岡崎署管内では十七カ所の信号機の予算しかなかったようでここにつかなかったということですが、これ豊田と比較をしますと、平成八年度、岡崎市では二十四名の死者が出て、隣の豊田市では二十一名の死者が出たんです。そうしますと、平成九年度の信号機の設置数は、岡崎が十九基で豊田が十七基。平成九年度になりますと、今度は豊田市が死者二十七人で県下トップになりますと、次の年には岡崎市の信号機設置数が十七基で豊田市が二十基となっている。だから、地方自治体、県としては非常に苦肉の策というんですか、多いところには一生懸命、ほかのところを減らしてでもつけるということをやっているわけですね。  結局、私が思いますのは、国全体の信号機設置の目標というのが低いということがあって、その範囲内ということなるとこういうふうになるんじゃないかと思うんですけれども、切実に求められているところになかなかつかない。私自身県議会におりましたときでも、この信号機と死者の数というのは長いスパンで見ますと本当に相関関係があるんですよね。  だから、そういう意味国家公安委員長に伺いたいんですが、この計画、五年間でつくる部分を中身を変えなくて七年にしただけという計画について、見直すべきだというふうに私は思うんですが、いかがでしょうか。
  141. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 総論的に申し上げますと、信号機の設置そのものは、各都道府県警察において管轄下の交通の実態あるいは地域住民からの要望、そういったものを踏まえて計画的に、緊急度、必要性の高いものから順次設置をしていくということが基本だと考えておりまして、今後とも、必要な信号機の設置というための具体的な措置を各都道府県警にもこれは督励をして指導してまいりたいというふうに考えております。  ただ、今の五年計画を七年に延ばすというようなことを、それは愛知県ではそういう話になっていたんでしょうか。財革法の話ですか。ちょっと政府委員の方からその辺は説明をさせますが……
  142. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 いや、さっき説明されたものですから、公安委員長の御意見を伺いたいということです。
  143. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 私は、これは余りそういうような財政構造改革というものとは……
  144. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 法でなくて、あれなんです。警察というのは、交通事故の現場検証もされていらっしゃるわけですね、各警察署で。信号機があれば防げたかもしれないという事故も現場現場でよく御存じですし、そういうのを積み上げるとどれぐらいの数字になるかというのも実際はあると思うんですね。  しかし、全体の計画、そういうものが私は少な過ぎる、さっきお答えがあった七年間で二万機という計画ですね、これで九千を切ろうというので今やっていらっしゃるわけなんですけれども、やはり信号機をつけてほしいという住民の声に耳を傾けると同時に、そういう積み上げの、本当に緊急に必要なものからつけるというのは無論当然そうです。さっきお示ししたように、各警察署や各県は努力をしているんですけれども、やっぱりそういうもとになる計画というのを抜本的に見直して信号機の数をもっとふやすべきではないか、こういうことを私は伺っているわけなんです。そういう姿勢ですね、交通事故死を減らすためのこういう計画も本当に抜本的に見直す立場で取り組んでいただきたいということを私は質問しているんですが、答弁書がうまくかみ合っておりませんか。
  145. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 御質問の趣旨はよくわかりました。  この種の問題は、そういうことは必ずしも適切な発想法ではないと私は思います。したがって、必要なものはできるだけ早期にやるという基本スタンスの中で処理をしていくべきものであるというふうに思います。
  146. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 社会民主党の照屋寛徳でございます。  ハイテク犯罪の件について何点か質問をさせていただきたいと思います。  ハイテク犯罪という従来の刑法典あるいは刑法の構成要件の中で論じられなかった新しい犯罪が起こってきたわけでありますが、いわゆるこのハイテク犯罪の認知件数と検挙件数、その関係をまずお教えいただきたいと思います。といいますのは、従来の財産犯、窃盗事件や強盗事件と違って、ハイテク犯罪の場合には認知件数が即同じ程度検挙されるのかな、あるいは要するに認知された段階で犯人への結びつきというのが従来の財産犯と違って高い確率で押さえることができるのかな、こう思ったものですから、その点をお教えいただきたいと思います。
  147. 野田健

    政府委員野田健君) いわゆるハイテク犯罪と言われているものの平成十年における認知件数は四百十九件、検挙件数は四百十五件であります。平成九年を見ますと、認知件数が二百六十三件で、検挙件数が二百六十二件というような状況にありまして、他の犯罪と比べますと認知件数と検挙件数の数値が極めて近いという特徴がございます。これは、認知できたものは検挙できるけれども、認知できないで行われている段階ではなかなか検挙はできないということではなかろうかというように思っております。  また、この検挙件数そのものが、平成十年は平成五年に比べると十三倍というような状況にありますので、これらのハイテク犯罪に的確に対応していくということが急務であると考えております。
  148. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 次に、ハイテク犯罪の態様というか俗に言う手口というんでしょうか、警察の立場でもよくいろんな犯罪行為の手口の研究というのが積み重ねられておりまして、手口の研究がある面でまた防犯にも役立つというんでしょうか、そういうことになるだろうと思うんですね。それで、ハイテク犯罪というのは被害者も、また加害者というんでしょうか犯行を行う者もいわゆるハイテク機器をそれぞれ利用している立場だろうと思うんですが、このハイテク犯罪の態様、手口の特徴的なものがあればお教えいただきたいと思います。
  149. 野田健

    政府委員野田健君) いわゆるハイテク犯罪の手口的なものといたしましては、例えば、事務処理に使用される電子計算機に虚偽の情報あるいは不正な指令を与えて、財産権の得喪に係る電磁的記録を作成する電子計算機使用詐欺というようなコンピューター、電磁的記録を対象とする犯罪であるとか、あるいはインターネットを利用して覚せい剤等の禁制品を販売したり、あるいはわいせつ画像を送信したりするというネットワーク利用犯罪というようなものが典型的な事例かと思います。  これらハイテク犯罪は、他の従来型の犯罪と比べますと証拠として残る可能性のある指紋であるとか足跡というようなものが犯行の痕跡としては残りにくいという特徴があります。また、対面で行われる犯罪ですと相手方がだれのだれべえということが確認できるということでありますが、ID、パスワード等の電子データによって確認をするということになりますので、匿名性が高い、あるいは全くの他人に成り済ますというようなことも容易にできるという特徴がございます。また、被害がネットワークを通じて広範囲、多数に及ぶ、あるいは国境をも容易に越えられるというようなところが特徴として挙げられるというふうに考えております。
  150. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 なるほど従来型の犯罪、特に例えば詐欺罪なんかでもこれはだますやつとだまされる人、一種の対面犯罪みたいなところがありますけれども、それが同じ詐欺的な行為であっても、ハイテク犯罪の場合にはやっぱり違うということはよくわかりました。  そういうことが一種のネットワーク型の犯罪であるということで、せんだってお伺いいたしましたが、例えば中学生が犯罪行為に及ぶ。普通、中学生だったら、対面犯罪的なものであれば詐欺罪みたいにだまされるようなことはないんでしょうけれども、そういうハイテク犯罪特有の手口、態様あるいは動機などを今説明いただいたわけでありますが、それに対応する捜査体制の側、捜査する人たちもハイテクに精通をしておらなきゃならないし、捜査する場合にもまたハイテクの機器を備えておらぬといけないと思うんですけれども、そういう捜査体制整備状況はどうなっておるんでしょうか。
  151. 野田健

    政府委員野田健君) 今申しましたように、ハイテク犯罪に緊急に対応していかなきゃならないと考えているわけでありますが、そのために高度な技術力を備えたサイバーポリスともいうべき体制整備していかなければならないというふうに考えております。  そこで、警察庁に都道府県警察が行うハイテク犯罪捜査を技術的に支援するナショナルセンターを設置したい、そして主要都道府県警察にハッカー対策班あるいはサイバーテロ対策班を設置して、ハイテク犯罪専従捜査体制を確立したいと考えているところでございます。  ナショナルセンターにおきましては、情報通信に関する高度かつ最先端の技術力を有する人材中心におおむね二十人で発足する予定としておりますが、資機材につきましても、あるいは暗号化されたフロッピーディスク等の解析を行うために高速コンピューター等を整備するというようなことを考えておるところでございます。
  152. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 最後に、ハイテク犯罪捜査上の人権への配慮についてお伺いいたします。  これはもちろん、ハイテク犯罪に限らず、捜査をする上で常に人権への配慮を行っておるだろうと私は思いますが、特に、ハイテク犯罪という従来の刑法典が予想しなかった犯罪であり構成要件でありますから、私はまたそれなりに捜査をする上で人権への配慮がなされるべきだと思いますが、そこら辺を長官に御所見をお伺いしておきたいと思います。
  153. 関口祐弘

    政府委員(関口祐弘君) 警察の任務は個人の権利と自由の保護をすることでありまして、その活動は、「日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあつてはならない。」ということが警察法の第二条で明記されているところでございます。また、警察活動におきましては、個人の基本的人権を尊重し、個人の自由及び権利を不当に侵害することのないように注意しなければならないということとされております。  御指摘のハイテク犯罪の捜査につきましても、こうした規定の趣旨を十分に踏まえまして、いやしくも個人の人権を不当に侵害することのないよう適正な捜査を行いまして国民の信頼と期待にこたえてまいりたい、かように考えているところでございます。
  154. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 終わります。
  155. 高橋令則

    ○高橋令則君 今回の、情報通信に関する組織の整備法律だと思っておりますが、これに関連して質問をいたしたいと思います。  問題になっておりました不審船の問題、報道では、不審船の任務として、工作員の浸透作戦、ハイテク機器の運搬、それから海上の例えば覚せい剤等の取引というような可能性を言っているわけであります。この真偽のほどはわかりません。  しかし、政府が既に公表している日本人の拉致問題とかいろんな今出ている情報のあれでは、日本海だけではなくて太平洋にまたがる大変なところでこういう情報としては出ているわけですが、まずこの過程においては、当然不審船と、あるいは北朝鮮かどこかはわかりませんけれども、こういったところを交信する情報通信、それがあったんではないかというふうに思うんですね。  したがって、警察としてそのような情報能力というんですか、この実態、まずはこういうふうな不審船問題にかかわるどういうふうな実態があるのかないのか、あるとすればどのぐらいなのか。不審船は例えば海上保安庁では十八隻あるというふうに言っているわけですね、かつて。そういうふうなことからして、そのような状況についてはいかがですか。
  156. 金重凱之

    政府委員(金重凱之君) 警察におきましては、従来からこの集団密航事件の多発とかあるいは緊迫する半島情勢等、現下の情勢を踏まえまして、累次沿岸警備の強化を図ってきておるところでございます。  今回のこの不審船事案に対しましても、内閣官房の方からの通報を受けまして、全国警察に対して関連情報の収集強化だとかあるいは沿岸警備活動の強化、さらには関連重要防護対象の警戒強化等を改めて指示するなど、所要の措置をとったところでございます。  それで、警察におきましては、こういう沿岸警戒警備の万全を期するということのために種々の情報収集に平素から努めておるところでございますけれども、個々の内容につきまして明らかにすることは差し控えさせていただきたいというふうに思う次第でございます。
  157. 高橋令則

    ○高橋令則君 個別の問題を私は質問していないので、全体的な例えば件数とか何かについて、それも難しいというのもちょっとあれなんですけれども。それはそれとして、じゃ今度は質問しますけれども、この種の問題についての、無線になるのかどうかわかりませんが、そういうことを含めたこういう問題に対する警察情報能力というんですか、これは十分整備されておりますか。
  158. 金重凱之

    政府委員(金重凱之君) 警察情報収集能力についてのお尋ねでございますけれども警察におきましては、公共の安全と秩序の維持という法令の定めるところの警察の責務を果たすために、法令の定める所掌事務の範囲内で種々の情報の収集、分析、整理等を行ってきておるということでございますけれども、その具体的な内容等については事柄の性格上明らかにできないということを御理解賜りたいというふうに思っております。
  159. 高橋令則

    ○高橋令則君 国民が安心できるように、そうしていただけませんかね。個別の問題になるとそういう話ですからやむを得ないことでありますので、適切にやっていただきたいというふうに思います。  最後ですけれども、午前の質問でも私は海上自衛隊とそれから海上保安庁の連携の問題を取り上げました。同じように、警察と海保、それから海自との連携、これのマニュアル的な整備が必要ではないかなと私は思うんですけれども、まず最初に、この問題については長官の認識と考え方をお聞きしたいと思います。
  160. 関口祐弘

    政府委員(関口祐弘君) このたびの不審船問題ということを含めましての沿岸警備という問題になりますと、私ども警察とまたその他の関係機関というものが緊密な連携を保っていかなければならないということで、現在もその作業を進めておりますけれども、さらに今後ともその方向を強めてまいりたいと、かように考えているところでございます。
  161. 高橋令則

    ○高橋令則君 最後に、大臣にちょっとお尋ねしたいんです。  私は、こういう連携が非常に不十分ではないかと前から思っているわけです。大体、役所の縦割りというのはこれはもうお互いにわかっているわけでありまして、しかし国民の生命とかこういう極めて重要な問題については、このすき間をきちんとやっぱり詰めていかなければならない。詰めるためには、私は、マニュアルとかシステムというところがやっぱり大事だと思いますので、これを督励していただきたいと思うし、いわゆる組織というような問題とそれから運用の問題と、その中にはもう一つは法制的な問題もあると思うんですね。ですから、国家公安委員長を超えた国務大臣として、この不審船問題を含んで高い次元で大臣にお考えをお尋ねしたいというふうに思います。  終わります。
  162. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 今御指摘ございましたように、今回不審船の問題がクローズアップされて非常にこの点について注目されておるわけですが、あの不審船という問題のみならず、言うなら日本の領空、領海というこの警備をどうするかという問題、これは国内の通常の警察活動の延長だけで考え切れない部分もあるのではないか。  そういう中で、今御指摘がありましたような組織、運用、法制、これをどうするのかという、必要な見直しをするべきは当然のことだと思います。また、特に装備力を強化するというだけで本当に対応が可能なのかどうか、そういったことも踏まえて考えなければならない。  特に、私は漁業法を適用して海上保安庁対応せざるを得なかったという、本当にそれでいいんだろうか。私は、そもそも我が国の領域警備ということを、漁業法を云々ということは一体いかがなことなのかという思いもございます。そういった点で、独立国家として、やはりそういうあり方についてもう一遍きちんとした見直しをすべきときに来ているというふうに私は思っております。  なお、念のために申し上げれば、あくまでこれは警察活動を前提とする世界でありますから、そのことと直ちに、何でもかんでも自衛隊にという話とはまた違った次元の中できちっとした仕分けをして論議をしていただきたいことだ、このように思っております。
  163. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 過日、二〇〇〇年問題につきまして本委員会質疑をさせていただいたんですが、警察問題につきましてはいたしておりませんでした。この機会に質問させていただきたいと思うんですが、交通規制対策について、この問題についてどのように対応を考えておられるのか、伺いたいと思います。
  164. 玉造敏夫

    政府委員(玉造敏夫君) 警察におきましては、昨年九月の高度情報通信社会推進本部において決定されましたコンピュータ西暦二〇〇〇年問題に関する行動計画を受けまして、庁内に対策委員会を設置するなど、行動計画に沿った対策を実施しているところでございます。都道府県警察に対しましても、行動計画に準じた措置をとるよう指示しているところでございます。    〔委員長退席、理事山下八洲夫君着席〕  信号機等の交通管制システムにつきましては、二〇〇〇年においてコンピューターシステムの停止あるいは誤作動などが起きることがないように現在各都道府県警察におきまして所要の修正等の措置を行っているところでございます。今後とも、模擬テストの実施であるとかあるいは危機管理計画の策定等を進めまして、その対応に万全を期してまいりたいと思っております。
  165. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 危機管理の問題につきましては、やはり国民の生命、財産を守るのが一番大切な仕事でありますので、今御答弁されましたようにきちっとした対応をひとつお願いいたしたいというふうに思います。  この資料を拝見しますと、三十二ページですか、「警察職員の定員の推移」、平成十年で二十六万三千四百八十三人ということでありますが、このところ御存じのような失業状態、雇用が非常に不安定な状況になってきていますし、今ですと教職員の方もいい人材が集まっていますし、警察官の方にもいい人材が集まってきておるだろうというふうに思うんですが、このところの採用試験の状況ですね、ひところ二十倍ぐらいの競争倍率、平成六年、七年あたり非常に倍率が高かったんですが、平成九年のデータを見ますると、受験者が十一万五千人、合格者が七千四百人、十五・四という、倍率がこう下がってきている。この中身が、今やはりいい人材確保する一つのチャンスだろうと思うんですけれども、スリム化することもそれは必要だけれども、やっぱり大切な要員はきちんと確保しなきゃいかぬ。  今のこの採用の倍率が少し下がってきているということはどういうところに原因があるのか、また、これからのハイテク犯罪とか、先ほど来いろんな議論がありましたが、犯罪も多様化していますから人員もきちっと確保していかなきゃいかぬだろうと思うんですが、そういうものについてのお考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。
  166. 野田健

    政府委員野田健君) 都道府県警察で行っております警察官の採用試験の状況ですけれども、実は平成元年、二年ごろは五倍程度の倍率でありました。    〔理事山下八洲夫君退席、委員長着席〕  平成六年が最近では一番倍率が高くて約二十六倍ですが、この年は実は採用者数が非常に少なかったというような事情がありまして、その後、増員も多少いたしましたので、倍率的には少し下がってきております。  平成九年は十五倍ということでありますが、以前に比べますとそれでも十五倍の倍率で採用しているということで、現場の状況を聞きますと、非常に優秀な者が受けに来ているというように聞いております。  もちろん、もっと倍率の高い時期もありましたので、そういう意味でいろいろな、ダイレクトメールで警察の採用状況を知らせるとか学生に対する働きかけもやっております。ただ、阪神・淡路大震災、あるいはその同じ年にオウムの関係事件が起きたわけですけれども、そういうようなことがありまして、いわゆる警察官の仕事に対する学生の関心、あるいは自分も警察官になりたいというような気持ちが非常に多いのではないかなというように思っております。  ですから、そういった状況を考えながら、ぜひ今のこの時期にいい人材を迎えたいものだというふうに考えております。
  167. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 先行議員の御指摘にもありましたが、女性警察官もふえてきておるようです。自衛官の方もふえていますよね、女性が。現在のところ一一%ですか、採用者の中の。今後の方向というのはどういうふうになるんでしょうか。  引き続いて、女性参画基本法が出てまいりますし、そういう時期に女性警察官の採用の考え方についてお伺いいたしておきたいと思います。
  168. 野田健

    政府委員野田健君) 昨年の新採用者で見ますと一一%ぐらいでありますが、組織全体から見ると、採用者に占める比率、女性の比率の方が高いということで、女性を少し多目に採用しているという実情にあります。  女性の警察官の方の倍率は全体の倍率の中でもさらに高うございまして、場合によっては八十倍であるとかそういうような倍率の都道府県警察もあるというようなことで、女性の警察官志望者の中には非常に優秀な、警察組織としてもぜひ迎えたいというような能力を持った人も多数おります。  一方で、警察は、もともとは男性だけの都道府県警察もあったというようなことで、女性がいない都道府県もあったというようなことでありますが、被害者対策等を適切に進めていくという問題、あるいは女性でないと、男性の警察官がやらない方がいい仕事というものも中にはございますし、一方で、先ほども説明いたしましたけれども、男性でも女性でもどちらでも同じように能力を発揮してもらえるという、そういうポストもありますので、優秀な女性の警察官希望者をぜひ採用していって、そして全体として警察力がアップできるようにしたいなというように考えているところでございます。
  169. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 もう時間ですから、終わります。
  170. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 私から、警察法の改正に関連して、成田空港の警備の関係で一言御質問いたします。  皆さん御記憶に新たなとおり、空港の建設に当たっては警察官の、四名ですか、殉職が昔あったわけでございまして、その後、収用委員会委員長の暴力行為というようなことがあったわけでございます。その後いろいろな、職員等の家屋が時々火災に遭ってしまうというようなことでございまして、最近では県連の幹事長、自民党の幹事長の隣接家屋が燃えたというようなこともあるわけでございます。またその後も、公団職員の方でしたか、の車が燃やされた、こういうような不法行為が断続的に続いておるわけでございます。  今、二〇〇〇年度完成に向け、県、市町村はもとより一生懸命この推進を図っておるところでございまして、議員の方、また空港周辺の経済団体の方々もこの動きを強めていて、今までにないような一体感が見られておるわけでございます。  そういう中で、こういう民間の人が自由に発言したり推進を図っている中で、まだ不法行為者が断続的、これはどこにいるかわからないわけでございますけれども、こういうものの被害に遭うということがあると一大事だろうというふうに思うわけでございまして、こういうような犯罪行為は絶対許してはならないというふうに思っておるわけでございます。  こういう中で、千葉県の警察官の方、夜間にいろいろな方々のおうちを見回ったりとかということで、ほかの県の警察官に見られないようないろんなプラス的な仕事もされておって、大変御苦労なことでありますけれども、一面そういう民間の方の心配もあってはならないということを思いますので、警察庁の決意のほどを、こういう盛り上がってきているときでございますので、お示しいただければと思うわけでございます。
  171. 金重凱之

    政府委員(金重凱之君) 新東京国際空港でございますけれども、開港から二十年を経過しておる、そして現在一層の空港整備に向けた関係者による努力が続いているものというふうに承知しておるわけであります。  しかしながら、成田の現地には今も極左暴力集団のメンバーが常駐しておる、そしてこういう動きに反発を強めておるところであります。昨年は、成田空港に関連したテロ・ゲリラ事件を八件引き起こしておりますし、それから本年も一月に芝山鉄道関係者に対するテロ・ゲリラ事件を引き起こしておるということでございます。こういうような現状がございますので、千葉県警を初めとする関係警察では、引き続き成田空港関連施設そして空港関係者に対する所要の警戒措置を講じておりまして、一昨日も、三月二十八日でございました、現地集会デモがございましたけれども、その際にも、前段を含めまして全国から多数の警察官を動員して警戒に当たらせたということでございます。  それからまた、先生御指摘の民間人の方々がいろんな自由な御発言をされる、そしてそのことにより被害に遭ったりしないようにという意味合いで自主的な警備をやられるというようなこともあろうかというふうに思っておるわけでありますけれども、これにつきましても必要な指導を行っておりまして、地域の安全にも十分意を用いているところでございます。今後とも、さらにこの極左暴力集団による違法行為の取り締まりを強化し、関係機関とも連携を密にして、警戒、さらに万全を期していきたいというふうに思っております。
  172. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 本当にそういう点では大変だと思いますけれども、なお一層御督励のほどをお願い申し上げる次第でございます。  それから、不審船の方のことで、午前中、成田財特がありましたので、こちらの方質問できませんでしたので、一、二質問させていただきたいと思うわけでございます。  どちらかというと、海上保安庁の方へ御質問したいと思いますが、国民の信頼感というのがやっぱり一番大事じゃないかと思うわけでございます。午前中の話にもありましたように、逃げられてしまったかと、こういう話もあるんですけれども、町の中で話をしていますと、逃げられちゃったのかと、こういう話になるわけでございます。逃がしたのか、それはないと思いますけれども、どっちにしても国民の信頼感というのが一番の基礎になければならないかと思うわけでございます。  そういう意味で、早くから航空機の方から停船命令がなされたということでございますし、海の上ですので陸とはまた違いますけれども、巡視艇からも停船命令を出している。こういうようなことであるわけでございまして、停船命令をした場合にやはり停船させなければしようがないんだろうというふうに思うわけでございます。速いノットで逃げられてしまったというようなことであろうわけでございますけれども、こういう点についての実効性の確保を図っていかなければ国民の信頼を得られないと思うんですが、こういう点で実効性の確保を図るにはということでのお考えをいただきたいと思うわけであります。
  173. 長光正純

    説明員(長光正純君) お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、今回の不審船では捕捉できなかったわけでありますけれども、こういった停船命令の実効確保についてということでございまして、私ども海上保安庁におきましては、先生も御指摘ありましたように、巡視船艇または航空機により繰り返し発光信号あるいは無線等によりまして停船命令をまず発するということとしております。  この停船命令に応じない場合の停船措置でございますけれども、これは当該船舶の抵抗の状況でありますとか、そういったいろいろな個々具体的な事案に応じた違いがございますが、巡視船艇により警告弾であるとかあるいは着色弾の投てき、場合によっては海水の放水、こういった形あるいは接舷規制等を実施することにしているところでございます。  これは、停船措置を繰り返し実施したにもかかわらず停船しないあるいは抵抗する場合にありましては、その事態に応じ、海上保安庁法第二十条により準用をされております警察官職務執行法第七条に基づきまして合理的に必要とされる限度において武器を使用する、こういう形で実効をあらしめたいというふうに思っております。
  174. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 速くて逃げられたというようなこともあるわけですけれども新聞などを見ますと、東京—苫小牧航路に超高速貨物フェリーを今後就航させる。民間の会社でございます。これは航海速力が三十ノットということでございまして、民間の中で速い方だと思うんです。しかもこれは一万二千五百トンだというのです。こういう大きなこれだけのものを持っているわけなんで、保安庁の方、先ほど高橋議員からも計画を持ってというような話がありましたので、ぜひこれは整備をしていただきたい。  それから、時間がないのでこれで終わりにいたしますけれども、先ほどから、海上保安庁警察との連絡、また自衛隊との連絡を密にというようなことがありましたけれども、もう一つ日本全国が周り海だらけなので、海の中にいるわけなので、職務を持った方だけではなかなかこれは発見できないと思うわけです。そういう意味で、民間との連絡網もその中に組み込むべきじゃないか。もう実質やっておられるのかもしれませんけれども、そういう民間、言うならば消防団もそうだろうと思うわけですが、そういういろいろなところとの協力関係もその中に入れてマニュアルをつくっていっていただきたい、そういうふうに思うわけでございます。この点だけ質問させていただいて、終わりにします。
  175. 長光正純

    説明員(長光正純君) 海上保安庁におきましては、領海警備体制につきまして今回の事案の教訓をそれぞれ分析検討して、現在のマニュアル等に対する検討あるいは関係省庁との連携のあり方等々を検討し、それぞれ実施に移していきたいというふうに考えておりますが、先生御指摘のとおり、こういった事案についてどういう形で民間の方々にも御協力いただけるかというような点も含めて、あわせて検討していきたいと思っております。  なお、私ども業務のうちの救難業務でありますとか、こういう側面におきましては、非常に民間の方々に常に御協力いただいておりますことを申し添えておきたいと思います。  以上でございます。
  176. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 終わります。
  177. 小山峰男

    委員長小山峰男君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  警察法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  178. 小山峰男

    委員長小山峰男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  179. 小山峰男

    委員長小山峰男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十一分散会