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1999-03-11 第145回国会 参議院 地方行政・警察委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年三月十一日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小山 峰男君     理 事                 釜本 邦茂君                 松村 龍二君                 輿石  東君                 山下八洲夫君                 富樫 練三君     委 員                 井上 吉夫君                 鎌田 要人君                 木村  仁君                 久世 公堯君                 谷川 秀善君                 保坂 三蔵君                 高嶋 良充君                 藤井 俊男君                 魚住裕一郎君                 白浜 一良君                 八田ひろ子君                 照屋 寛徳君                 高橋 令則君                 松岡滿壽男君                 岩瀬 良三君    国務大臣        自治大臣        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    野田  毅君    政府委員        警察庁長官官房        長        野田  健君        大蔵政務次官   谷垣 禎一君        大蔵大臣官房審        議官       福田  進君        大蔵省主計局次        長        藤井 秀人君        自治大臣官房長  嶋津  昭君        自治大臣官房総        務審議官     香山 充弘君        自治省行政局長        兼内閣審議官   鈴木 正明君        自治省財政局長  二橋 正弘君        自治省税務局長  成瀬 宣孝君    事務局側        常任委員会専門        員        入内島 修君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○地方税法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) 〇地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) 〇地方特例交付金等地方財政特別措置に関す  る法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 小山峰男

    委員長小山峰男君) ただいまから地方行政警察委員会を開会いたします。  地方税法の一部を改正する法律案地方交付税法等の一部を改正する法律案地方特例交付金等地方財政特別措置に関する法律案、以上三案を一括して議題といたします。  三案の趣旨説明は去る九日に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 木村仁

    木村仁君 自由民主党の木村仁でございます。同郷の甘えで失礼なことを申し上げるかもしれませんが、よろしくお願い申し上げます。  まず、景気回復積極財政、それと地方財政計画について御質問をいたしたいと思います。  私どもが若いころは、地方財政というものは国の経済対策、ましてやフィスカルポリシーとは関係のない中立なものであって、年次の国の政策によって動くものではないというふうなことを教えられたのでございます。そのころは十分考えてもみませんでしたけれども考えてみれば、あるいは地方財政というものは国の経済影響を与えるほど重みのあるものではないという意味だったかもしれませんし、地方財政というものは住民の日々の需要にこたえる地道な行政を支えているものであるから、国の経済対策等によって膨張したり縮小したりするべきものではない、こういう意味だったかもしれません。しかし今日、地方財政が国の経済対策の極めて重要な一部を担っているということは、これは疑いもないことでございます。  そこで、国の政策との関連で地方財政計画についてのお尋ねをしたいのでございます。まず、小渕内閣橋本内閣から政権を引き継いだ後、財政対策の非常に大きな転換をいたしました。橋本内閣は、規制緩和あるいは公共事業の抑制、そして小さな政府と大きな供給サイドという実はレーガン政権が実施して成功した政策をとられたわけでございますけれども、どうも日本の実情に合わなかった。そこで、小渕内閣はこれを百八十度大転換をいたしまして、積極的な財政出動、そして恒久的な減税、そういう対策によって、景気回復を何よりも優先するという考え方から財政構造改革法律も一時凍結して財政出動を行ったことは周知のことでございます。  こういうことによって第百四十四臨時国会において第三次補正予算が組まれて、いわゆる十五カ月予算ということで九兆円の国、地方を通ずる減税、そして公共事業は新年度実質一〇%を超えるような伸びを示す。一方では、そのために国債発行を三十一兆円、国債依存度三七・九%、うち実質赤字国債が二十二兆円に達するという財政状況になったわけでございます。  私は今、この時点で政策転換あるいは財政出動による景気回復という意図は大変正しい選択であったと考えておりますけれども自治大臣、どのようにお考えでいらっしゃいましょうか。
  4. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 先生指摘のとおり、私は、小渕内閣になって、今までよりもより経済再建戦略といいますか、再生戦略がクリアになったというふうに理解をいたしております。それまではやはり財政再建とそれから経済再建という、ある意味では二兎を同時に追うという側面があったことは確かであります。  しかし、基本的に経済をどう立て直すかという、日本経済は少なくとも圧倒的に民間需要をターゲットにより立て直さなければならないわけで、そういう意味消費なり設備投資なりあるいはサプライサイドそのものの体力をどう強化するかということがまず基本にあると。しかし、今はなかなかそれだけでは立て直しができない。そういう意味で、公共事業等、それだけに依存して経済を立て直すということはこれは無理であるけれども、少なくともその部分をある程度下支えするということが経済再建をする上で極めて大事な役割なんだと。そういう意味で、先生指摘のとおり、サプライサイドということをも念頭に置いて恒久的な減税が行われているんだというとらえ方が一つ。  それからもう一つ公的セクター下支えをするという側面で、こういう財政の厳しい状況ではあるがやむを得ざる措置としての財政的な下支えをするという部分があって、国、地方を通じてそのために全力を尽くされたと。まさに総理自身背水の陣という言葉を引いておられますけれども、この背水の陣をしいてまず経済を立て直す、その上で財政再建へのシナリオを描くための、それの前提となる経済再建へのシナリオをつくったという意味で私は高く評価されてしかるべきものである、そう思うのであります。  要は、結果においてそのことがはっきりと示されるということが何より大事なことでありますので、今お尋ね評価ということであれば、まずこの予算、そういう意味での歳入歳出についての予算を組むことができたということはまず高く評価していただきたい側面であるというふうに思います。
  5. 木村仁

    木村仁君 そのような国の積極的な財政政策に対応して地方財政計画というのはつくられていると存じますし、この地方財政計画の最終の詰めの段階では自自連携ということがほぼできていたわけでございますから、現在の自治大臣のお立場ではなくとも大きな影響を与えられたというふうに考えております。  国が実質一〇%を超える公共事業伸びというものを確保いたしまして、それに対応して地方財政計画でも投資的経費が二十九兆五千億、そのうち公共事業が十兆二千億に対して単独は十九兆三千億という非常に大きな金額になっていることは事実でございます。ただ、昨年度、十年度地方財政計画との対比においては、投資的経費伸びは〇・九%である、計画総額財政規模伸びでも一・二%に抑えられております。これは当初当初の対比ですから、あるいは補正後の実態、もし地方財政計画というものを昨年末に補正しているとすればもっと逆に引っ込んでいはしないかなという気もしないでもございませんけれども、そういった面を含めて、国の積極財政に対して地方財政計画においても公共事業を積極的に計上してあるというようなことが言えるのでございましょうか。
  6. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 御指摘のとおり、国の一般会計公共事業につきましては、公共事業等予備費五千億円を含めて一〇%超の対前年度の増ということになっております。この五千億円を除きますと五%の増という数字でございます。  一方で、地方財政計画におきましては、直轄事業負担金補助事業費を合わせて二・六%の増、こうなっておるわけでございます。これは、伸びからいえば補助事業直轄事業では直轄事業伸びの方がより大きい、それから地方にとってみれば、ウエートからいえば補助事業の方がウエートが大きいということの結果、今申し上げたような二・六%ということになるわけでございます。他方で、単独事業の方は対前年度ゼロであるということで、国に比べていわゆる投資的経費伸び地方財政計画ではそこまで至っていないというのは御指摘のとおりでございます。  これは、今申し上げましたような直轄事業ウエートが極めて大きい、伸びが大きいというようなことから、数字の上ではそういうことになっておるわけであります。  ただ、税制面におきましても、何といいましても日本経済そのものが、国の経済地方経済が切り離されてあるわけではありませんで、そういう意味で、地方税においても恒久的減税という中でそれなりの役割を果たす税制改正を行い、そしてまた投資的経費分野においても、そういう地方経済を活性化させるということを通じて国全体の景気対策への貢献というものを期待いたしておるわけであります。  ただ、先生指摘のとおり、基本的には、いわゆる景気対策を主体的にどちらの分野においてより責任が大きい姿の中でやるべきかということであれば、当然のことながら国における役割が大きいということの結果、このような姿になっておるということでございます。
  7. 木村仁

    木村仁君 いずれにいたしましても、地方公共団体が実施すべき公共事業あるいは単独事業金額は非常に大きな金額であろうと私は存じます。そして、当面の景気回復を図るためには、やはりこの二十九兆五千億という巨大な投資的事業地方自治体が着実に、しかも遅滞なく実施していただくことが非常に重要だと考えるわけでございます。  ただ、この厳しい経済情勢の中で、地方自治体借金も非常にふえている、そして地方自治体がいわば借り渋りと申しますか、もうこれ以上借金をふやしたくないという気持ちが多い中で、この十九兆三千億の単独事業をぜひこなしてもらいたいという気持ちからいえば、そのための環境整備ということを一生懸命考えなければいけないだろう。そうしますと、公共事業においては、補助事業について余り小うるさいことを言わないで、やりたいけれども周囲がうるさいから返上しましょうとかそういうことが起こらないように、また単独事業においては借金が正当化できるような、例えば利率をできるだけ小さくしてやるとか、あるいは既往の高利率地方債の繰り上げ償還を、これは後で御質問しますけれども、できるだけ認めてあげるとか、そういう環境整備が必要だと思います。  そういう点についての御方針はいかがでございましょうか。
  8. 野田毅

    国務大臣野田毅君) ただいまの先生の御指摘、そのとおりでございまして、地方財政計画に計上しております公共事業、そして単独事業につきましては、その地方負担について、一般財源あるいは地方債による財源措置を講じておるところでございます。  特に、地方単独事業は十九兆三千億円ございますが、そのうちの八千億は景気対策枠でございます。これにつきましては、それぞれの地域経済状況に即して機動的、弾力的な財政支出に対応できますように、臨時経済対策事業というものを創設しまして臨時経済対策事業債充当率一〇〇%を予定いたしておりますが、この起債措置、そして交付税措置でございますが、これは元利償還金の四五%を後年度事業費補正算入をいたしますが、この起債措置地方交付税措置、これによって財源措置を講ずることにいたしておるわけでございます。  また、公債費負担の話は後ほど先生から御指摘があろうかと思いますが、補助条件の問題につきまして、その適正化緩和等について関係省庁にも働きかけますとともに、地方団体事業を実施するに際して財政運営支障がないように適切に対処してまいりたいと存じます。
  9. 木村仁

    木村仁君 これはちょっと乱暴な質問かもしれませんけれども国家予算地方財政計画を通観いたしまして、もし地方自治体が本当にこの地方財政計画を参考にしながら積極的な投資展開をしていただければ〇・五%の新年度経済成長は可能であると私は確信しておりますけれども自治大臣、いかがでございますか。
  10. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 公的セクター、いわば国の財政支出、あるいは地方における歳入歳出を通ずる財政的側面、この側面からまいりますと、〇・五%の達成条件は十分に整っておるということは率直に言い得ると思います。最後の問題は、民間消費動向あるいは設備投資動向、こういったところがGDPの中で大きな要素を占めるわけでありまして、これにどうやって活力を与え、あるいはそれを引き出していくかということがかぎになる、そういうふうに思っております。  しかし、その中での本年度歳入歳出を通ずる、特に減税措置を通じての影響というのは、民間セクターをエンカレッジする上で有効な政策である、こう存じておりますので、〇・五%達成に向けて今着実に進み始めておるというふうに申し上げたいと存じます。
  11. 木村仁

    木村仁君 次に、地方財政対策地方交付税について一、二御質問をいたしたいと思います。  平成十一年度地方財政、国税の恒久的な減税影響があります上に、地方公共団体の経常的な財源不足も十兆四千億と十兆を超えるものが予想された中で、結果的に見ますと、非常に自治省地方サイドが健闘いたしまして立派な地方財政対策が講ぜられたというふうに私は評価をいたしております。  小さな点については、申し上げる時間がございませんので、承知のことでございますから省略をいたしますけれども地方税収が対前年度比で八・五%減になるという厳しい見通しのもとで、地方交付税については一九・一%の増、二十一兆円が確保されております。そして、赤字地方債、いわゆる財源補てん債が二千六百七十八億円に抑え込まれたということは非常にすばらしいことだと私は考えております。恐らく自治省が頑張ったということと、相手方の大蔵省が今バッシングで弱っているという面があったのかということを言う人もおりますけれども、私はそうじゃなくて、やはり大蔵省自身が、地方財政がきっちりと対応していただかなければ景気を回復することはできないという御認識のもとに、非常に積極的な対応をしていただいた結果というふうに感謝をしている次第でございます。この過程には、先ほど申しましたように、十二月二十日前後の攻防でございますから野田自治大臣も自由党の立場で関与されたものと思っております。  この財政対策全体についての自治大臣の御評価をお聞かせいただきたいと思います。
  12. 野田毅

    国務大臣野田毅君) これも先生指摘のとおり、私は、国の財政地方財政は必ずしも相反する利害対立という関係ではなくて、やはり我が国の経済、あるいは財政、国民の生活、いろんなことに責任を持って運営していく上で、言うなら車の両輪といいますか、互いに相協力しながらやっていかなければならない責任があると思います。  そういう中で、今回の地方財政措置につきまして、先生から高い点数をちょうだいして、自治省幹部のみならず、大蔵省理解もあったということで、いろいろありがたいお話があったんですけれども、それぐらい地方財政が今大変危機的状況にあるということを大蔵省の方も認識をしたという中から生まれてきている。もちろん、自治省幹部の皆さんが本当に昼夜寝ずに一生懸命努力をしてこれだけの成果をもたらしたということは当然のことだと思います。  もう具体的な内容に一々触れませんが、少なくとも、恒久的な減税に伴う地方財政への影響、それからそれ以外に見込まれる十兆円を超える巨額な税収不足、この大きな二つの課題をどうやって乗り越えるかということで、これを中心に本年度地方財政についての手当てができたというふうに考えておりまして、関係者の皆様に感謝を申し上げておる次第であります。  しかし、問題は、これから先まだまだ厳しい状況が予想されておりますので、さらに努力をして、地方財政運営行政運営支障を来さないように全力を挙げてまいりたいと思います。
  13. 木村仁

    木村仁君 地方交付税総額で二十兆円に達し二十一兆円に近い金額、そして一九・一%という非常に大きな伸びになりました。実は、この内容資金運用部から八兆四千億円の借り入れを行っているということでございます。  全体的に、全国の地方公共団体は、借入金残高個々自治体において非常に増嵩していく中で、住民一人当たりの借入金残高が三十万円になる、四十万円になるというような指摘をされて、非常に苦しんでいる。その行政内容がよきにつけあしきにつけ、それと関係なく借金がふえるということ自体を指摘されて攻撃されるというような状況でございます。  そういう中で、これは私どもも、みんなで借りれば怖くないというわけではありませんけれども、この際は地方交付税借り入れをしてでも総額を確保するべきではないかということを主張いたしておりましたので、そのような結果になっていることは私は大変よいのではないかというふうに考えているわけでございます。  特に、八兆四千億円という借入金も、財源不足に当たる部分については国が半分、地方が半分と折半して持とうというような非常に地方団体にとってもいい措置が行われておりますので、その点を評価いたしたいと思います。  あるいは、そのような借入金がどんどんふえていくことについては、もっと財政改革あるいは行政改革を徹底して絞り込むべきだという意見もあるかもしれません。しかし、今の経済情勢の中では、この八兆四千億に上る借入金、そして交付税特別会計借入残高が二十九兆を超えるような状態であっても、私はあえてそれをよくない政策だと言う必要はない、今はそれくらいの積極的な対策を講ずべき時期であるというふうに、ちょうちん持ちではありませんが考えておりますけれども、どのようなお考えでございましょうか。
  14. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 御評価いただいて大変ありがたいと存じます。  平成十一年度地方財政対策、先ほども申し上げましたが、いわゆる恒久的な減税に伴う地方税収の減、あるいは通常の財政収支不足、この二つの大きなテーマにどうやって対応するか、その中でどうやっていわゆる一般財源を確保するかということが大変大事なテーマでございました。  そういう点で、いわゆる恒久的減税に伴う地方税の減収についてその四分の三、これについては交付税率そのものに踏み込んだ手当てが行われた、これはもうたびたび申し上げております。たばこ税についての国から地方への問題、あるいは特に法人税についての交付税率の引き上げ、こういった形での手当て。さらには、特例交付金というものを取り入れるということで四分の三を手当てする。これは従来にない、当面の措置とはいえ、この制度にまず踏み込んだということ。それからあと、交付税について、特会借り入れということではありましたけれども、国、地方が折半をして手当てする。その結果、地方税交付税を含めた一般財源について対前年で一・四%という枠を確保できたということは、やはり個々自治体にとっては大変大事なことであったと思います。  そういう点で、個々自治体起債措置をして借金を担うという形よりは交付税特会において、もちろん共通的な借金であるといえばそれまででありますが、個別の地方団体財政硬直化を招くということよりは私はその方がよりベターな選択であるというふうに考えておるわけでございます。
  15. 木村仁

    木村仁君 二十一兆円の地方交付税が、借り入れだけでなくて、法人税に係る地方交付税率の当分の間の措置でありますがアップ、あるいはそういったいろいろな努力の結果であるということは私も承知し評価をいたしているところでございます。  ただ、地方公共団体のトータルな借入金残高が十一年度末には百七十六兆に達するであろう、国の借り入れまで全部合わせると六百兆を超えそうだ、こういう状況の中で、地方自治体にさらに積極的な投資活動公共事業活動を促すということはなかなか心理的には難しいことであろうと思います。  そこで、その説明としては、そういうことによって景気回復になれば見通しはできるんだというようなことが言われますが、それにしても、三%、四%の成長が確保されたにしても、六百兆円の借金というのはかなり重いな、そういう感じがいたします。そこで、将来、税制の抜本的な改革によって増税もしなければいけないのではなかろうかとか、あるいは極端な論をなす人は、日銀の買い切りオペあるいは国債日銀引き受けによって若干名目成長率を高くして負債圧力を下げていく必要があるんじゃないか、そういう議論も巷間ではなされているように思います。  いずれにしても、この借金地獄みたいな感じ地方公共団体財政担当者あるいはそれを取り巻く政治的な状況の中で感じているものですから、何か少し、いや大丈夫だよという見通しがあれば非常に明るくなる。  なかなか難しい問題でございますが、どのようにお考えでいらっしゃいますか。
  16. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 国、地方を合わせて六百兆という借金重みGDPの一二〇%ということは決して軽いものでない、相当の重圧感を感ずるということはお話のとおりでございます。  しかし、率直に言って、これをゼロにしようというのは大体暴論である、私はそう思います。そういう意味で、どの程度まで、言うなら処理可能な範囲というか、適正規模があってしかるべきである。特に借金重みだけを見るんじゃなくて、国債なり地方債なり、そういう形で日本経済の中で果たしている役割というのは実はあるわけで、いろんな年金基金であったり、言うなら投資対象なんですね。つまり、投資対象、これがなかったらそのお金は一体どこへ投資されるのか。  そういう意味で、私は、側面からも、本当はいろんな角度からこういったものを見ておくべきであって、いわゆる個人の家計と比較をして論ずる風潮がやたらとあり過ぎるということ、私はその危険性の方を感じておりますのが第一点であります。  それからいま一つは、一刻も早くデフレ型のスパイラルを脱却することである。当然一番大きいんですよ、借金重圧というのは。デフレ型の雰囲気の中では、これはいつまでたったって重圧から抜け切れないんですね。そういう意味で、きちんとした経済戦略を打ち立てることである。  そういう点で、先ほど先生から御指摘ございましたが、小渕内閣になって、特に今回の経済戦略会議の方で、十年間について三つのステージに分けて経済再建戦略、当然それに伴って財政再建戦略が出てくるわけですが、非常に私が高く評価するのは、そういう視点も実はございます。  そういう中から、まず日本潜在成長率はどの程度かといういろんな話がありますが、私は、個人的には三%のノミナルな成長は十分に余力があるんだと。よく限界論がありますけれども日本よりもアメリカの方がはるかに経済は成熟しているとみんな思っていたわけで、私はそういう点から、今の日本がゼロ成長時代に入るんだなどと言って自分で自分の能力を過小評価するということが決していいことではない、そのようにも思うわけであります。  そういった点で、今いろいろ先生から御指摘ございましたが、税制を抜本改革して増税しなければ財政の再建ができないと私は実は思っておりません。むしろ、アメリカの例を見ましても、アメリカの経済、特に双子の赤字から財政赤字が脱却できた最大の一つは、軍事費削減といいますか歳出削減効果があったと思います。しかし同時に、景気の回復による税の自然増収、この二つが車の両輪であることは今や常識であると思っております。そういう点で、財政再建は、増税しなければできないんだという認識を卒業することがまた日本経済の将来に対する明るい展望をもたらすのじゃないか、そのようにも感じております。  そういう点で、いろいろ御指摘ございましたが、我々は過大評価をしてもいけません、自信過剰はいけないと思いますが、多少日本人全体がみずからの国の問題について国力について少し過小評価し過ぎているのではないか、そのように感じられてなりません。
  17. 木村仁

    木村仁君 私も自分勝手なことを一つ言わせていただきますならば、百七十六兆の地方公共団体借金はほとんど日本のしっかりした金融機関あるいは人々が貸してくれているお金でありますから、貸し手サイドから見れば極めて優良な債権であって、国民の財産であると。だから余り心配することはない、思い切りここは財政出動いたしましょうという、そういう感じを持っておることを加えておきたいと思います。  次に、地方特例交付金についてお尋ねいたします。  これも昭和四十一年に同じようなことが実施されたのでありますから、今回、当分の間の措置としてこのような制度ができたこと、これは基本的には地方交付税のリンク率等を制度的に上げていくことが必要だと私は思いますけれども、当面の措置としてはよくここまで来ていただいたという気がいたします。  ただ、私自身よくわかりませんのでお尋ねしておきたいのですけれども、今回の地方特例交付金というものと昭和四十一年度に行われました地方特例交付金は同じものでございましょうか、少し性格が違うのでしょうか。その点をお教えいただきたいと思います。
  18. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 今回の地方特例交付金は、今回の恒久的減税に伴います地方税の減収の一定割合について、地方税の代替的性格を有するものとして交付しようというものでございまして、交付団体、不交付団体にかかわらず交付するということでございまして、特に不交付団体にとっては有効な財源手当てになるというふうに考えております。  お話のように、四十一年度にも臨時地方特例交付金がございましたが、これは四十二年度からたばこ消費税の税率の引き上げということが予定されておりまして、一年間だけ四十一年度住民税の減税分を補てんしようと、こういうものでございまして、単年度限りのものでございました。今回のものは恒久的な減税が続いている間は交付しようというものでございますから、趣旨とか目的とかという点では四十一年度のものとは大分違っているというふうに考えております。
  19. 木村仁

    木村仁君 これも私の勝手な考え、思い込みでございますけれども、今不交付団体の大都市が経済危機を宣言して非常に困っている。したがって、不交付団体にも交付される特例交付金が当分の間の措置としてつくられたということは非常にいいことだと思います。ただ、過去の例からもわかりますように、大きな地方自治体景気回復で数%の経済成長になればまたあっという間に大きな黒字になる。むしろ私は、今大都市は徹底的な構造改革と申しますか、地方行革によってスリムになるべき時期であるというふうに考えていることをつけ加えておきたいと思います。  そこで、特例交付金をつくってくれたのはいいけれども、大枠だけ法律で決めて、あとは政省令に任されている。それは技術的な部分が非常に多い措置でございますから仕方がないのでございますけれども地方自治体の中には、自治省が恣意的な配り方をするのではないかと警戒する向きがあるようにも、多くの意見ではありませんが聞こえてまいりますが、客観的、公正な配分ということについてどのような保証をいただけるでしょうか。
  20. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) この地方特例交付金でございますが、まず基本的な額でありますとかあるいは各団体ごとの予定額というものにつきましては、今回御審議いただいております法律の中で基本的なことはすべて規定をいたす形になっております。都道府県につきましては、各団体の税の減収見込み額を基本にいたしまして、交付団体の場合には法人の事業税の減収見込み額について、これは交付税率の引き上げがございますので、そういったものを当然加味する必要がございます。法人の事業税の減収見込み額とそれから県へのたばこ税の移譲に伴います増収見込み額の合算額を税の減収見込み額の四分の三から控除したものを基本にして算定する。市町村につきましても各団体の減税の減収見込み額の四分の三に相当する額からたばこ税の増収見込み額を控除して計算する。要するに、基本的な枠組みはきちんと法律で規定をいたしておりまして、算定のスケジュールも普通交付税とほぼ同様に四月一日現在で算定して、遅くとも八月三十一日までに決定、通知ができるようなスケジュールで進めることにいたしております。  各団体別の減収見込み額の算定方法など細かいところ、技術的な点につきましては、事柄の性質上政省令にゆだねておりますが、ルールがはっきりいたしておりますので、いわば機械的、客観的に算定されるものと、地方団体関係者もそこは十分御理解いただいているものと思っております。
  21. 木村仁

    木村仁君 適正な政省令の制定及び曇りのない運用をお願い申し上げておきたいと思います。  次に、恒久的な減税地方税制度についてでございますが、今次の恒久的な減税は定められたとおりでございますけれども、国の方の所得税法あるいは法人税法の関係では、これを本法の改正によらないで、難しい名前ですが、経済社会の変化に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律案という形の特例法になっております。これに対して、地方税法関係地方税法の一部改正ということになっていると思いますけれども、これは国と違う恒久的な減税、いわば恒久減税というふうにお考えになってこういうことになるんでしょうか。それとも単なる立法技術上、地方税法を一部改正しておこうということでしょうか。そこのところをお尋ねいたします。
  22. 成瀬宣孝

    政府委員(成瀬宣孝君) 今回の恒久的な減税は、単年度限りの特別減税とは異なりまして、期限を定めずに実施されるものでありまして、近年におきます我が国の経済社会の構造的な変化あるいは国際化の進展等に対応するとともに、現下の著しく停滞した経済活動の回復を図る観点から国税、地方税ともに個人所得課税及び法人課税について抜本的な見直しを行うまでの間の措置として実施されるものでございまして、国税におきましても地方税におきましても背景あるいはその趣旨、考え方は全く同一のものでございます。  そうした中で、国税におきましては、所得税法や法人税法など関係法令が複数にわたりますような制度改正につきましては、今回のように特別の法律を制定して対応しているようでございますけれども地方税におきましては、地方税制全体の姿について一本の法律理解できるようにするため、従前より地方税法の附則に所要の規定を設けることによりまして対応してきているところであり、今回の恒久的な減税につきましても同様に取り扱うこととしたものであります。  なお、地方税におけるこのような取り扱いは、各税目を通じました内容を一覧的に把握することが容易になりますとともに、地方団体の条例改正における便宜などにつきましても配慮しているところによるものでございます。
  23. 木村仁

    木村仁君 了解いたしました。  総理は、国会答弁の中で、将来における税制の抜本的改革ということを言っておられますし、恒久的な減税という形で進めながら、将来においてはそのような抜本的改正が行われるのではないかと考えますので、私が五つほど、当面私の願望も含めて申し上げますが、もう詳しい御説明は必要でございませんので、端的にお答えをいただければ結構でございます。  第一は、法人事業税の外形標準課税の問題でございます。これは一昨日もお話がございましたし、鎌田委員から長年の懸案である、悲願であるということを言われました。実は、これはシャウプ勧告の中に入っている提言でございますからもう五十年の悲願である、二十世紀後半の問題でございます。今度の地方分権関係法には、機関委任事務制度の廃止が含まれております。この機関委任事務制度の廃止というのも、シャウプ勧告で提言された五十年来の悲願であったわけでございます。これが解決されます。したがって、小渕総理の二十世紀の問題は二十世紀中に片づけるという意気込み、これでもってひとつ外形標準課税もぜひ野田自治大臣のときにめどをつけていただきたいと考えるのでございますが、いかがでございましょうか。  この点はお許しをいただいて、税務局長にもひとつコメントをいただきたいんですけれども行政局は五十年の悲願であった機関委任事務を片づけたんです。前座が片づいたんですから、今度はいよいよ真打ちの登場で税務局の出番ではないかと思いますが、決意のほどをお伺いいたします。
  24. 野田毅

    国務大臣野田毅君) その必要性については、もう重ねて申し上げることは避けます。方向性について、その大事さについては全く認識を共有しておるわけであります。そういう点で、できるだけ早く実現をしたいという思いは共有をいたしております。いつまで私がこの位にあるかわかりませんが、ともかく本当にこの他の、国、地方を通ずる税制の抜本的な再配分、この税財政の配分の見直しであったりということよりも、この部分は少なくともそれよりもさらに前にやるべきことであると、そういう意味で、ザ・スーナー・ザ・ベターであるという思いを持っておりますので、最大限の私は努力を傾けたいと、そう思っております。
  25. 成瀬宣孝

    政府委員(成瀬宣孝君) 大変力強いお励ましをいただいたものとして、頑張ってまいりたいというふうに思っております。
  26. 木村仁

    木村仁君 地方債についてお尋ねいたしますが、一つは私のお願いでございますから、答弁は要りません。  公債費比率一五%を警戒水準と自治省は定めて指導をしてこられました。何の根拠もない数字でございますけれども地方自治、地方財政の運営の指針としては大変結構な水準だったと思います。しかし、ここ一両年は一五%ということを言わないで、むしろ起債制限比率をお使いになると一〇%ぐらい下がってまいりますから、心理的には起債制限比率で議論をなさった方が貸し渋り、借り渋りがとまると思います。そういうことをお願いしておきたいと思います。  それから、公債費負担の軽減対策というのを講じていただきました。詳細は御承知のとおりでありますから省略しますけれども、これも大ヒットであると私は思います。ただ、欲を言えば、政府資金の繰り上げ償還も二千二百億円で百四十団体、特別交付税措置も二千九百億円で八十団体、そういう程度でございます。したがって、もっともっと拡張して措置を講ずる努力をお願いしたいと思うんです。例えば、七%、八%という高率で借りている政府資金はもう一括償還させていただいて、そして借りかえを政府資金からやるのが無理だというならば、それは民間から借りかえるというような思い切った措置でもすれば、地方自治体事業に対する取り組みがさらに積極化するのではないかと思っておりますが、いかがでございましょうか。
  27. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) この繰り上げ償還の話は各地方団体からも非常に強い要請がありまして、昨年の末、私ども大蔵省とか郵政省とかというところといろいろ折衝した問題でございます。  まず、やはり基本的に高利のものを借りかえたいというそういう地方団体側の気持ちというのはわかりますが、片方で、貸している原資が、たびたび申し上げておりますように、これは郵便貯金とかあるいは年金とかというものを原資にいたしておりますので、それぞれ利ざやを取らずに貸すというこの資金の性格からいきますと、やはり長期で安定的な機能を果たすというそういう特色があることから考えていきまして、一般的に金利が高いからこれを借りかえるとかあるいは繰り上げ償還するということになりますと、そちらの方の資金運用部そのものが成り立たなくなるという性格のものでございまして、やはりどうしても特に高いところについて臨時的、弾力的な措置がとれないかという角度から折衝することになるものでございます。  こういうふうに、今回の場合は十一年度の単年度の臨時異例の措置としてこういう措置をとったものでございまして、特に公債費、起債制限比率の高い団体に限って措置をとるということにしたものでございます。そういうことにつきましては、政府資金の性格あるいはその果たしている機能あるいは地方団体の今の公債費の状況、全体を考え合わせて弾力的な措置を臨時的にとったものということで御理解をいただきたいというふうに思います。
  28. 木村仁

    木村仁君 けちをつけているわけではございませんで、さらに努力をお願いするということでございますので、御理解をいただきたいと思います。  余り時間を気にして、実は税を飛ばしてしまいましたので、ひっくり返りますけれども、もう一、二言わせていただきたいと思います。  固定資産税の負担調整ということはバブル時期に特に顕著に行われたわけでございますけれども、私は、固定資産税というのをもし負担調整するならば税率でやるべきものであって、客観的事実である不動産の評価というのを足したり引いたりするものはおかしいという気持ちがいたしますが、いかがでございましょうかというのが一つでございます。  次々と言っていきます、簡単にお答えいただければ結構ですから。  それから、地方消費税は、多段階方式によらないいわゆるセールスタックスにした方がよいのではないかという感想を持っております。  というのは、アメリカのニューヨークとかそういうところではセールスタックスであるために、単純にぱっと時限的にこれをやめることができる。日本は、私自身としては、所得税の減税を四年ぐらい延ばしても、消費税を時限的にどんと二%、一%に下げて自動的に上がっていく、それに歩調を合わせて所得税を減税していくというやり方があったのではないかなと思っておりますけれども、これは多段階の消費税の制度のもとでは非常に困難ではないかというふうに思います。例えば、ニューヨークなんかでは楽しいことが行われているようですね。入学期になると、学用品のセールスタックスをぱっとただにしてやるとか、一カ月だけと、そういうことができるようでありますので、この点を将来にわたってはお考えいただいたらどうかと考えております。  それから、これは既に御指摘がありましたけれども地方都市の事業所税というのは、言うなれば行政栄えて経済陰るみたいな部分がございまして、もともとは三大都市圏の人口五十万以上の都市について創設された税金で、したがってむしろ事業所追い出し的な性格を持っていたものが全国の三十万都市に普及し、しかも強制的に採用されることになった。  こういうことで、これはだんだん経過措置を講じながら三大都市圏にまた集成、集約していくか、あるいは三十万以上の地方都市については自分の意思で選択することができると、そういうようなことにしてはどうかと考えておりますが、税務局長で結構でございますから、一言ずつ、よろしいですか。
  29. 成瀬宣孝

    政府委員(成瀬宣孝君) 三点について御質問いただきました。  まず、固定資産税のいわゆる負担調整、これは今のような負担調整措置というようなことではなくて、税率であんばいしたらどうかというような御指摘であったかと思います。  率直に申し上げまして、土地の評価の方は七割評価ということで、今全国的に均衡化を図っておりますけれども、この評価額に対します課税標準額の割合、いわゆる負担水準が非常に今全国的にばらつきが多うございます。そういった中で、その均衡化をできるだけ早急に図る必要があるといったようなこと、あるいは固定資産税の税率、土地、家屋、償却資産を通じて一本であるべきこと等々の問題がございまして、今の段階で負担調整を税率によってやるということはなかなか現実的に困難な問題が多いのではないかというふうに思っております。  それから、地方消費税につきまして、現在の方式ではなくて外国においてとられているようなセールスタックスといったような手法はとれないのかという御指摘でございました。  地方消費税といたしましては、理論上は単段階の小売売上税がなじみやすいといった意見もございまして、現在の地方消費税の創設の論議が行われた際にも政府税制調査会でいろいろ議論が行われましたけれども、なかなか小売と卸売の区別が難しいといったようなこと、あるいは比較的小規模事業者の多い小売業者やサービス業者に納税事務負担が偏ることになるのではないかといった問題があることに加えまして、何と申しましても既に国税としての消費税が導入されているという現状を踏まえまして、その中でさらに小売売上税を入れるといったようなことは現実的な選択肢として難しいのではないかといったような議論が最終的にございまして、現在の方式になったということを御理解いただきたいと思います。  それから、最後に事業所税の問題でございますが、たびたびお答えをさせていただいておりますように、この事業所税は都市の行政サービスとそこに所在する事業所等との受益関係に着目をいたしまして、都市環境整備等に要する費用に充てるため事業所税があるわけでございまして、これは人口三十万以上の都市の貴重な税源として役立っておるわけでございます。  今後とも、都市環境整備の必要性あるいは都市税源の確保の要請といったことは、三大都市圏はもとより地方都市におきましても引き続き存在するものと考えられますので、ここでいろいろ御提案のございましたような弾力的な対応を図っていくことは現時点ではなかなか難しいのではないかということで御理解をいただきたいというふうに思います。
  30. 木村仁

    木村仁君 必ずしも理解はいたしませんが、実情はよくわかりました。  若干細かな問題、細かでもございませんが質問しておきたいと思いますが、一つは広域行政関係でございます。  この地方行革あるいは経済対策とも絡んで、市町村の再編成の問題が出てきております。この問題についてはまた別の機会に質問させていただきたいと思いますが、当面一つだけ、介護保険制度の実施等に伴って広域行政、特に広域連合による行政ということが非常に注目されております。  そこでこの際、ふるさと市町村圏基金の活用、あるいは、これも夢でございますが、広域連合を特別交付税の直接の交付団体とするとか、そういう思い切った対策によってこの介護保険を円滑に進めていくという上からも広域行政を再活性化していただきたいという気がいたしますが、いかがでございましょうか。
  31. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 広域行政、特に広域市町村圏という仕組みをつくります過程の中で、木村先生、大変お骨折りをいただいてきたという経緯を存じております。  全国にあります三百四十一の広域市町村圏におきましては、ごみあるいはし尿処理や消防などの事務の共同処理が展開され、また広域的な地域振興のための計画策定や事業などを実施しておるわけでございます。最近では、広域市町村圏を単位とした広域連合によって公的介護の事務の共同化や地域戦略プランの単位としても活用されておるところでございます。  そこで、この三百四十一ある広域市町村圏の中で、百七十九の圏域ではふるさと市町村圏基金というものが設置をされておるわけでございます。平成十一年度においては、経済再生、人づくり、それから広域連携から成る地域活力創出プランに基金の造成も位置づけ、構成市町村の出資金に対する財政措置の充実を図って、ボランティア育成などの研修事業や観光PRなどの広域観光事業などのソフト事業に加えて、公共施設の広域的な利用促進のための改修や機能付加などにも活用しておるところでございます。  また、広域連合の財政につきましては、さまざまな御意見もあるところでございますが、広域連合に直接地方交付税を交付することは困難でございます。ただ、現在広域連合が設立される際には、それを構成する地方公共団体に特別交付税を交付してその設立を支援しておるところであります。広域連合の運営の実態も踏まえ、財政基盤の充実についてさらに検討をしてまいりたいと考えます。  今後、市町村合併の推進とあわせて、地域における広域的な連携の取り組みを生かすべく、広域市町村圏が圏域の総合的、重点的な振興整備のために活用されますよう施策の展開に努めてまいりたいと存じます。
  32. 木村仁

    木村仁君 最後に、実務的な質問でございますけれども、今、国からの人件費補助を廃止してこれを地方交付税措置し、そして県が団体に補助金を出すというような仕組みに切りかえていくということが行われております。  例えば、商工会の人件費補助について国の補助金が打ち切られた、そして地方交付税に切りかえられたけれども、その算定について商工会の方々が理解できない。だから、わからないままに都道府県の補助金がカットされているのではないかという不満、これは誤解に基づく不満かもしれませんけれども、そういうことがありますので、どのように算入されているかということをわかりやすくするような努力をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  33. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 今、お話のございました商工会関係の人件費の一般財源化でございますが、この経営指導員等の人件費の補助につきまして、平成年度から一般財源化いたしております。一般財源化いたしますと、補助金から交付税に振りかわるという形になりまして、その所要額については、まず毎年度地方財政計画に計上して、普通交付税の商工行政費、これは県の分でありますけれども、におきまして中小企業振興指導費として算入するところでございます。  県の場合には、百七十万の標準団体をもとにいたしまして、その経営指導員でありますとかあるいは補助員でありますとか記帳専任職員でありますとか、一定の職員数を前提にして計算をいたしますが、その算定に当たりましては、各地方団体の経営指導員等の実情も勘案して、的確な財源措置交付税の算定を行うというところでございます。各県ではそれぞれどういう算入になっているかということは十分わかっておりますので、またその関係団体とのいろんな連絡といいますか周知ということにつきましても各県の方が努力していただけるように私どもも心がけてまいりたいというふうに思います。
  34. 木村仁

    木村仁君 最後に、自治大臣にお願いを申し上げておきたいのでございますが、非常に重要な問題であるけれども、局地的な問題であるためになかなか国政で顧みていただけないという問題がございます。  例えば、熊本県、岡山県のイグサの問題であります。非常に今厳しい状態にございますけれども、五百万ヘクタールの農地のうちのたかだか数千ヘクタールの話でありますから、国政レベルではどなたも関心を示していただけないというようなわけです。それから、水俣の問題につきましても、患者補償という非常に難しい部分が一応解決したらあとは局地問題になってしまう、したがって皆様の関心も薄れていくという状態でございます。  そういうところをやはり自治省としてもきめ細かく地方行政を支えるという意味で御尽力いただきたいと思いますが、その点についてできれば一言ちょうだいいたして質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  35. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 全く御指摘のとおりでございまして、やはり局地的なテーマだと言われても、国として責任があるというものやら、あるいはそれがまた全国に波及するという可能性があったり影響も甚大である、また国が何らかのことをやらなければならぬ、いろんなものがあると思います。  そういう点で、単に財政的な支援を個別にしていけば事足れりということではなくて、きちんとそういう地域的な課題に対しても、必要な財政のみならず、行政側面からも重大なる関心を持って必要な対応に努めてまいりたいと思います。
  36. 木村仁

    木村仁君 どうもありがとうございました。終わります。
  37. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 谷垣大蔵政務次官さんには、地方行政警察委員会に御出席いただきましてありがとうございます。私も、なるべく早く谷垣政務次官さんには質問させていただきたいと思いますが、済みませんが少しお待ちいただきたいと思います。  まず最初に、野田大臣にお尋ねしたいわけでございますが、私も昨年の七月の参議院選挙でこの参議院に初当選をさせていただきました。そのときに、民主党から立候補いたしましたので民主党の選挙公約、それから私も選挙法で認められております公報とか、あるいは選挙の合法的なビラでございますとか、そういうものに公約をいたしました。  公約ということは、私の場合は県民に約束をするということでございますが、党の公約と個人の公約に違いがあった場合は、直接選挙民に約束したわけでございますから、私は個人の方が優先すると思うわけでございますし、また、全体的に見れば党の公約も当然守らなくてはいけないということは十分理解できるわけでございますが、その辺のお考えについてまずお尋ねしたいと思います。
  38. 野田毅

    国務大臣野田毅君) なかなか公約というのは難しいところがありまして、特に政党の公約というのは、政権をとったらどうするこうするという公約の仕方があるだろうし、あるいは政権をとらなくてもそういうことの実現に向けて努力をしますという公約もあるかもしれません。そういった意味で、一概になかなか論ずることは難しいとは思いますが、いずれにせよ、政治家はみずからこういうことで努力をすると言ったことは、選挙が終わった後、なおさら責任感じてその努力をすべきであるということは当然だと思います。
  39. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 図らずも、私も消費税につきましては三%に下げるべきだというような約束をいたしました。ですから、私は参議院に議席が六年間ある限り、もし消費税の税率アップがあれば党の方針を無視してでもこれは反対しないといけないなというような決意でいるわけでございますが、大臣の所属でございます、当時幹事長でもございました自由党も、確かに私の記憶では三%に下げるべきだという約束をなされたと思います。また、選挙終わりましてそれこそもう五%を凍結すべきだ、このようなこともよく政策として打ち上げられたというふうに私は理解しておるわけです。  そこで、この間細川連立政権を初め、あるいは自社さきがけ政権、あるいは今日では自自政権でございますが、いろんな枠組みの政権ができております。連立政権を批判するわけではないわけでございますが、私も反省の上に立ってお尋ねするわけでございますけれども、かなり違った政策を出し合って、そしてそこが連立を組むというのは、私も末席の方で経験をいたしましてだんだん理解に苦しむようになったわけでございます。それがもう一方ではなかなか政治をわかりにくくしている。  そのことを考えますと、今回、特に自自連立の合意に当たりまして、予算総則に消費税収の使途を、基礎年金、老人医療及び介護に限る旨が明記されたわけでございますし、そうしますと、自由党の消費税を凍結する、あるいは三%に下げる、この政策とここの部分はどのようにマッチをしていくのかなということにつきましてなかなか私理解できないものですから、ぜひ御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  40. 野田毅

    国務大臣野田毅君) これは自由党の政策についてのお尋ねですので、そういう側面から申し上げたいと思いますが、自由党の基本政策は私自身もつくった責任者であります。その中には、消費税を三%に引き下げるという話は基本政策には入れておりません。あくまで消費税に関する基本政策は、福祉目的に使おうということが基本政策であります。  それはなぜか。老後の不安をどうやって乗り越えるか。そのためには、老人医療あるいは介護あるいは基礎年金、特にこの三つの分野について社会保険料だけに依存するような現行のシステムでは限界がある。したがって、きちんとした約束どおりの年金を支給する、あるいは老後のいろんな病気になったときの不安も除去する。そういう中で、しかも社会保険料といえども直接税的要素でありますから、そういうことでどんどんいきますと可処分所得に食い込んでくるわけであります。そういうことのないように、少子高齢社会になっていったとしても若者の負担が過重にならないようにしていくには、やはり最初から消費税は何のために入れたのかという議論を思い起こせば、社会保険料よりも消費税というものを中心にした財源として考えるべきじゃないか。  しかも、考えようによってみれば、消費税そのものは、実に消費パラレルにみんなが払うわけであります。そういう意味で、所得に応じて支払われる社会保険料、ある意味ではそれと比べれば、消費に比例して支払われる社会保険料と認識すれば、かえってその方がすっきりするんじゃないだろうかというのが実は基本的な考えであります。  そういう意味で、その基本的な考え方について、自民党、自由党の政策協議の中で、将来的に完全に福祉目的税化するということの合意までは至らないまでも、少なくとも当面消費税の使途そのものは、今言いました三つの大きな分野に対する歳出総額から見れば、言うなら余裕があるわけですから、少なくとも消費税によって集められたお金がほかに使われてはいないということだけははっきりさせておくべきだと。消費税に関する多くの消費者の不満というのは、どこに使われているかわからないということが非常に大きな不満の原因でもあるということから、予算総則の中に書き入れるということは、私は大きな前進、第一歩、消費税に対する国民的理解を求める大事なステップであるというふうに考えております。  そこで、長くなって恐縮ですが、三%の議論はどこから出てきたか。それは、先般の総選挙のときにも、当時新進党で言いました。私は、それは正しかったと思っています。すなわち、そういう形になるならば、少子高齢化の進展に伴っていずれ消費税の税率は上がらざるを得ないということは認めておったわけで、あえてあの当時一〇%程度は必要になるでしょうということまで実は総選挙直前に要らぬことまで言ったことも事実です、あえてね。だから、選挙の結果いろいろありました。  そういう意味で、消費税率そのものの将来展望は申しましたものの、なぜ三%で据え置くべきかと言えば、それは今世紀の間は、日本経済の構造改革あるいはバブル崩壊後の資産デフレ、そういった金融の不良債権の早期処理、そういったことを考えると、言うなら坂道を登ろうというときにバックギアを入れたら大変なことになるぞ、したがってせめてそういった課題を抱えているときには、しかも行革を初めデフレ的な政策もやらなきゃならぬというのであれば、アクセルを踏まなきゃならぬときにバックギアを入れるばかがあるかと、こういう話をしたんですよ。そういう意味で私たちは、今世紀三%に据え置くべきであると。だからそのことを言ってきた。そのとおりになったと思っています。  そして、ただしその後凍結論をいろいろ言いましたが、とにかく金融デフレという話になり、貸し渋りから本当に日本経済が底割れするんじゃないか、中小企業がばたばたいきそうな気配になる、本当に昨年の夏以降、危機的な状況に立ち至ったときにどうするか、そういう意味で緊急避難的に一時消費税を一遍ゼロにしましょうと。そのかわり毎年二%ずつ上げていって、地方消費税一%は別として、国税四%を一遍ゼロにして、一年ごとに二、四、六と引き上げていくことであれば、最終的に四が六になっていくんですから、そういう意味財政赤字ということとのバランスは十分とれるはずだし、その方がアクセルを三年間、前倒し効果が現にあるわけですから、その方が経済政策としては有効ではないかという提言もしたわけです。  ただ、残念ながら、我々はそのことを随分やってみたんですが、民主党さんも賛成してくれなかったし、他の政党も賛成してくれなかったし、自民党も、消費税率については、せっかく上げるのに苦労したんだからもう一切触りたくないというお話でもあった。残念ながら経団連、中小企業団体もなかなか賛成はしない。ただ、世論調査をすれば支持が多かったということは事実であります。そういう中で、永田町の力学においてもそこまで行かなかった。その中で、我々はの経済を立て直す一つの緊急避難の考え方として申し上げたわけで、それは残念ながら能力の限界を超えていたわけで、実現できなかったことは残念です。  しかし、それにかわって、自民党、自由党の政策協議の中で、例えば設備投資の問題であったり住宅投資の問題であったり、そういう時限的なアクセルを踏むような一つの手法が取り入れられるなり、あるいは減税総額において、それまで、夏まではかたくなに実は財政再建優先路線をおやりになってきた。しかし、その反省に基づいて、財革法は凍結をする、あるいは今まで否定をしていた恒久減税をやりますということに小渕内閣になって踏み込んできた。そういう意味で、従来の政策が確実に、小渕内閣になって大きく経済政策転換をされてきた。そのことを高く評価して、そうであれば我々と同じ政策の方向性が共有できるということの確認ができたということから、率直に言って私は、連立政権というものができる、我々の政策小渕内閣の、ああいう自民党の基本的な経済政策は今同じ方向を向いてしっかりと歩んでいるというふうに認識をいたしておるわけであります。
  41. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 景気対策のためにアクセルを踏むという部分につきましては、私も十分理解をいたします。  同時に、私は、この消費税というのは大変不幸な生い立ちだなと思っています。あれが導入されましたときには福祉に使いますと。それから今度は、福祉に使われているんだろうかということで国民に信頼されていない。そしてまた、福祉に使いますといって五%になってしまった。これもそういう意味ではなかなか国民に理解されなかった。ちょうど十年たちまして振り返って見ますと、それこそ言葉は悪いんですけれども、人間で言いますと私生児のような形で、なかなか国民に認知されていない。ですから、昨今、この消費税というのは一遍凍結をして、そしてアクセルをぐんと踏んで、景気がよくなったらそれこそ基礎年金税ぐらいにして国民に認知をされていく、このような制度にすることがいいんだろうなというふうに私自身も考えているんです。  もう消費税の問題は結構でございます。  実は、野田大臣は大蔵省の出身でございます。そして、今、自治大臣を務めていらっしゃいますので、税については大変詳しいわけでございますし、政策についても詳しいわけでございますが、率直に申し上げまして、大蔵省を経験なさり、今、自治大臣として自治省のトップにいらっしゃって、これ言葉は適切でないかもわかりませんが、どちらのサポーターに、より力を入れていらっしゃるのか、あるいはどちらに友愛の気持ちを持っていらっしゃるのか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
  42. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 私は一〇〇%自治大臣でございます。それから同時に、私は自治省大蔵省が利害相反関係にあるとは思いません。  特に、これから日本の国づくりをどうしていくかという中で、明治以降ありました中央集権的な行政システムを国、地方を通じて根本から見直しをして、まさに国と地方を対等、協力の関係に持っていこうという、本当に百年に一遍あるかないかという大作業をやろうというさなかにあって、当然のことながら地方の自主性、自立性、言うなら自己責任、そういったことを本当に言葉でなくて名実ともにやっていこうという意味で、財源の配分等についても私はやっていくべきであると、そのことを心から思います。それが日本の国づくりをかえていくことなんだ。  やっぱりそこを思いますときに、大蔵省自治省やという議論は超えていると私は実は思います。自治省自身の権限、縄張りというのは、私はないと思うのです。それは、地方団体自身がみずからの責任においてどのようにその仕事を遂行していくか、それをバックアップするのが自治省役割であって、自治省自身が地方自治体をコントロールしていこうというなら、それは間違いである。地方自治体自身がみずからの自己責任においてみずからの地域を責任を持ってどのように伸ばしていくかということに力点がある。長くなって恐縮ですが、私は、そういう意味自治省大蔵省と全然、言うなら、ある意味では車の両輪と言ってもいいかもしれません。
  43. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 谷垣政務次官さんにお尋ねしたいと思いますが、御案内のとおり、予算ももう終盤に来まして、そろそろ予算の成立も見えてきたような感じがいたしております。そして、本日もそうでございますが、予算関連法案の審議をさせていただいておりますし、あるいはまた大蔵を初め多くのそれぞれの省庁で予算関連法案もあります。この予算が成立をして、そしてこの関連法案が成立をすると、本当に景気がよくなるんだろうか。私はこれにつきまして大変疑問を持っているわけでございます。  正直申し上げまして、我が国は本当に未曾有の長期の不況になっておりますし、国民は毎日毎日不安な気持ちで生活を今営んでいるだろうというふうに私は判断いたしております。金融不安も、公的資本が注入されたわけでございますけれども、約七兆四千六百億円ですか、されましても、中小企業の倒産はこれによって歯どめがかかるんだろうか。  私は岐阜県の出身でございますから、岐阜県はそれこそ大企業といったら県庁か岐阜市役所ぐらいで、あとは中小企業、零細企業というような県でございます。特に地場産業であります縫製業でございますとか、あるいは関の刃物産業でございますとか、あるいは美濃方面の陶磁器産業、こういう中小零細企業です。もう毎日のように倒産の状況で大変苦しんでいるわけです。谷垣先生のところも京都でございますから、西陣織なんかでもかなり厳しい業界が多くあるんではないかなというような気もいたしております。  また、失業率にいたしましても、どんどんまだ上昇して、下手をすると五%台になってしまうんじゃないか、このような不安も持っております。もうテレビのニュースでは、自動車にいたしましても、あるいは電気にいたしましても、ゼネコンにいたしましても、それこそ今度銀行は公的資本導入の関係でどんどんとリストラをしないといけないわけでございます。リストラはございますけれども、雇用をふやしますよという企業はなかなか生まれてこないわけでございます。  このような状況を見ておりますと、完全に日本経済というのは大きく変化をしておりますので、当初この予算案等が成立してずっといけば、来年はそれこそ実質〇・五%の経済成長はできるんだというような見込みを立てながら、今経済政策に一生懸命取り組んでいらっしゃるわけでございますが、その辺につきまして本当に経済回復するだろうかと心配しておりますので、ぜひ御見解をいただきたいと思います。
  44. 谷垣禎一

    政府委員(谷垣禎一君) 山下先生に御答弁するという形でこの参議院の地行・警察委員会でお答えをさせていただくことができるのを大変光栄に存じております。  今、山下先生、地元の経済、あるいは全国をごらんになっていろいろ御憂慮の念をお述べになったわけでございます。堺屋経済企画庁長官が、景気回復の胎動が見えるということをおっしゃって、私たちも全国の景気状況がどうなっているのかと日々目を光らせているつもりでございますが、正直申し上げて、いろいろ何か胎動が見えるなと思うところもございますし、今私の地元についてもおっしゃっていただきましたけれども、私の地元の地場産業も、例えば和装産業なんというのは非常に不況でございます。いろいろ白いところ黒いところまだ必ずしも先にすかっと明かりが完全に見えてきたという状況では私もないと思っておりますし、大きな変化の流れの中にあるということも山下先生指摘のとおりだと思います。  その上で、この予算が通ったら〇・五%の経済成長が可能かということになりますと、これにお答えするのはこの予算編成に対する基本的な考え方を持ってお答えせざるを得ない、こういうふうに思っておりますけれども、こういう厳しい経済状況を前提といたしまして、政府としては緊急経済対策等全力を挙げて取り組んでおります。  今参議院で御審議をいただいているこの平成十一年度予算も、これは昨年暮れ通していただいた平成年度の第三次補正予算と一体になっていわゆる十五カ月予算という形で、切れ目のない形で景気を刺激していこう、こういうことでつくっておりますし、特に公共事業関係につきましては平成十一年度予備費、五千億円の予備費も確保をいたしまして、その支出面におきましても予算ベースにおきまして前年度一〇%増ということで対応しよう、こういうことにしているわけでございます。  それから、税制につきましても、今も野田自治大臣からもいろいろお話がございましたけれども、従前なかなかできなかった所得課税あるいは法人課税の思い切った減税ということをいたしまして、しかも単年度限りでない恒久的な減税ということにして、これは九兆円を超えるわけでありますけれども税制の方面から景気刺激をしていこうということにいたしております。  それと、山下先生もお触れになりましたけれども、昨年の国会で通していただきました金融を立て直すシステム、今金融再生委員会が一生懸命取り組んでおられますけれども、そういう形の中で金融面に対する不安が取り除かれていく、こういうことが相まってこの予算で〇・五%の経済成長達成されていく、こういうふうにお答えをいたしたいと思っております。
  45. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 景気の胎動に触れられたわけでございますが、きのうのNHKをたまたま見ておりましたら、景気の胎動、本物かというようなニュースが流れました。それで、瞬間的に見ましたので数字は若干間違っているかもわかりませんが、八八%の皆さんは胎動を感じていない、一二%の皆さんが少しよくなったと、このような回答が流れたわけでございます。これがやっぱり国民の本当の気持ちだろうと。  きょうの朝、ニュースを見ておりましたら、十年前、八八年に自己破産した方が九千四百十五人、九八年が、ちょうど十年後ですね、今九九年でございますので、十万三千、その後九百三人だったのか八百三人だったのか、ちょっと数字見切れなかったんですが、要するに十万三千人、この十年間で十倍ぐらいに膨れ上がっていると。これは、国民の皆さんは相当深刻だと思うんです。  それから、今減税お話がございました。制度、政策減税を含めて、それこそ九兆四千億円ぐらいの減税がなされたことは承知しております。だけれども、今回の所得減税あるいは住民減税含めてでございますけれども、所得減税は本当にてこ入れのための減税なんだろうかなということを考えますと、私は全く逆の減税ではないか、悪い言葉を使えば金持ち減税ではないか、このように思えてなりません。  確かに、昨年の特別減税があるわけでございますが、一年限り。だけれども、国民の皆さんは去年税金を納めたのと、ことし納めるのとでやっぱり比較すると思うんですね。これは政策減税だろうと制度減税だろうと余り国民の皆さんは関心はないと思うんです。幾ら減税されたかと。  そうしてみますと、標準家庭で申し上げますと、御案内のとおり、年収八百万円の四人家族で大体四千百円の減税。年収が七百万円になりますと四万円からの増税になってまいりますし、あるいは年収五百万円の皆さんは九万三千円からの増税になってくる。しかも、年収が七百万円以下の皆さんが国民の約八割だと私は理解をいたしております。そして、今度は年収一千万円以上の皆さん、大体これは〇・六%と言われているわけでございますが、そういう皆さんにつきましては、年収一千万円で十一万二千円でございますか、あるいは二千万円になりますと三十七万円からの減税になってくる。  こう見てまいりますと、〇・六%の皆さん方に対しての減税でございますので、私はこれはまた景気にてこ入れ効果を起こすだろうかといえば決して起こさないと思うんです。  もうこれはここまで進んできておりますからなかなか修正することは困難であろうと思いますが、ですから景気対策のためにはもう少し本当に、同じ減税をするのならどこを減税すればいいのか、そういう立場でぜひ取り組んでいただきたいということを強く要望しまして、大蔵政務次官さんにはこれで質問を終わらせていただきたいと思います。
  46. 谷垣禎一

    政府委員(谷垣禎一君) 今、山下先生がおっしゃったような面があるということは私全く否定するものではございません。  ただ、昨年来の議論を振り返ってみますと、昨年の特別減税の際にはできるだけ早期にやりたい、早期に効果を発揮させたいということで定額方式をとったわけでありますけれども、この方式をとりますと、もう繰り返すまでもございませんが、課税最低限が四百九十一万円という非常に高いことになって、しかも税金を払ってくださる方がたしか七百万人ぐらい減ってしまったという状況でありますのと、それから減税額が所得で決まるのではなくて、家庭の構成員で決まっていく、こういうようなことでございまして、所得税制としては少しゆがみがあるということで一年限りのものとせざるを得なかった、こういうことでございます。  それを踏まえて、ほっておけばそれで終わってしまうわけでありますから、じゃことしの減税はどうするかということに立ってことしのような仕組みを考えて、やはりこれはことし限りで終わるものではなくて恒久的なものにしていく、そしてこれからの抜本的な税制改革にもつなげていく、こういう形で今回の税制をつくったわけでございます。  それと同時に、所得の一番最高限度を下げていくということは、それぞれのところで活力を出していただくということにもつながるのではないか、こういうふうに思っておりまして、いろいろこれから御議論も重ねながら、この税制でもって少しでも景気を刺激していきたい、このように思っているところでございます。よろしくまた御指導のほどお願い申し上げます。
  47. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 どうもありがとうございました。  野田大臣、今ちょっと私は景気問題に触れさせていただいたわけでございますが、当然自治省としても地方としても、平成十一年の地方税制改正でそれこそ景気をよくしようという、両輪のもう一方で努力をなさっていることは十分理解した上で申し上げるわけでございますが、野田大臣は、率直に申し上げまして、今年度、この予算が上がって、ぐうっと景気がよくなって〇・五%の実質成長率があると思われるでしょうか。ちょっと一言お願いします。
  48. 野田毅

    国務大臣野田毅君) そうなることを期待しておるわけです。  もうくどくど申しません。今の日本経済の担い手は一体だれか、そのことを言えば、先ほどちょっと申しましたが、何と言っても民間セクターなんです。したがって、その民間セクターがどれだけの実際活動レベルに達することができるのかということが一番大事なことでございます。  それからもう一つは、スタートの沈み込みが大きいという現実があると。設備投資にしてもやっぱり相当水深の深いところからやるわけですから、プラスに転ずるというのはなかなか容易なことではなかろうというところはあります。  そういう中で、少なくとも民間セクターが大いに活力を取り戻すということが大事なんですが、しかし同時に、だからといって、じゃ公的セクターが引っ込んでいいかというと、そういうわけにいかない。せめて公的セクターにおいても、特に公共投資の世界において、さっき谷垣政務次官からもお話がありましたが、国の方において予算面においても支出ベースにおいても一割以上という部分は確保する中で、その公共投資の担い手として地方がかなりの部分を担っておるということを考えて、御指摘のような地方景気に最大限配慮した地方財政の姿をつくってきたわけでございます。  そういった点で、我々の期待どおりの姿でいければ〇・五%に向けていろんなものが始動していけばそういう姿に到達することは可能だというふうに思います。到達することは可能であると。しかし、じゃ絶対に大丈夫かということになると、そこはやってみなきゃわからぬところがあるというのが率直なところだと思います。
  49. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 私も率直に申し上げまして、この景気対策に対して政府が一生懸命努力をなさっているなという部分は十分認めているんです。ただ、国民の視線でやっているのかなということになりますと、なかなか理解できない部分がたくさんあるんです。  確かに今回、公共投資お話も出ましたけれども、公共投資といえば日常、通学から通勤に使う生活道路とか公園とかあるいは学校とか、そういう本当に身近なところへあの公共投資がどんどんなされているかといえば、なかなかそうはいっていない。岐阜県にも徳山ダムといういつできるかわからないようなのを、一生懸命そこへどんと予算がついたりしているんです。そこのゼネコンというのはもう限られているんです。地元の小さな中小零細の土木業者は入ることができないんですよ、残念ながら。これではなかなか公平に景気はよくなっていかないと思います。  それから思いますのは、この減税にいたしましても、繰り返しませんけれども、先ほど申したような状況でございますし、じゃ今一番何が欠けておるか。そういうような景気対策をしながらも国民の皆さんが生活におびえているというのは、一方ではどんどんリストラされている、次は自分がリストラに遭うんじゃないだろうか、こういう生活防衛になっていると思います。それは何かというと、セーフティーネット、要するに安全ネットがない。ですから、年金にいたしましても将来本当にもらえるんだろうかと不安があって、それこそ国民年金一万三千三百円を意識的に納めない方もいらっしゃるわけですから、それなら自分で貯めた方がいいと。だから、あの莫大な一千二百兆というような貯蓄になっているんじゃないかなと思うんです。  今、人も失業しておりますけれども、お金も失業しておるんじゃないかなと。お金は天下の回りものとよく言われたわけでございますけれども、今は回っているんじゃなくて、みんな塩漬けになっているんじゃないですかね。あれが仮に一年物の定期預金が三%とすれば、三十六兆円の六兆円を二〇%の税金に持っていかれたって、三十兆円消費に回れば大変なことだと思うんですよ。  だから、そのような道をつけていく政策が私は市民や国民の目線に合った政策だと思うんです。そういう方向でぜひ、野田大臣は腕力もございますので、大蔵省に対しても政府に対しても努力していただきたいなと思いますが、その決意はいかがでしょうか。
  50. 野田毅

    国務大臣野田毅君) いや、非力なものですからなかなか成果が上がらなくて申しわけないんですが、いろいろ御指摘ございました。国民の目線において景気対策をやれというその御趣旨は、本当にその点は大変大事な視点であると私も存じます。  ただ、その中で税について先ほど議論のやりとりがあったんですが、私は昨年とことしと比べての増減税の議論は、それはそれで一つの見方かもしれません。私はそれは昨年の減税政策が正しかったという大前提に立って行われる議論であろうと思います。しかし、それは必ずしもそうではないのであって、本来の抜本的な税制改革を目指そうという姿からすれば、それは違うのではないかというのが今回の税制。しかし、いきなりそこまで行き切れないので、そういう意味では中途半端な姿になったことはやむを得ないから恒久的減税だとこうなっておるわけであって、そういう点で課税ベースの問題もありますし、同時に課税最低限の問題もありましょう。  いずれにせよ、今回の所得減税の姿というのは単に目先の消費を拡大するというか、いわゆる公共投資と同じように有効需要の追加という角度だけからなのではなくて、少なくとも経済の担い手、言うならサプライサイドをどのようにエンカレッジするか、法人課税もそうだし所得課税もそうだと思います。そういう意味で最高税率の見直しであったりということが大事な意味があるのであって、決して有効需要追加論理ということだけで、そういう意味での減税規模がどうのという議論ではないんだ、むしろその視点が大事なんだと。  それから、今リストラのお話がございましたが、やっぱりくぐらなければならないトンネルの一部である、そういう意味で株価がどういうふうに動いておるか。  このところ、いろんな分野で御指摘のとおりリストラの話が出てくる、何万だとか何千だとか本当にこのままなら失業率がえらく高くなるんじゃないかと、いろんな懸念はあるんですが、しかし一方で、そのことによって基本的に収益力を回復していくということが将来の雇用拡大に向けての大きな第一歩になるんだ。したがって、目先の厳しさを避けるために結局じり貧になるということが今の日本にとって一番問題なので、目先厳しいのは歯を食いしばって我慢する。いっとき数字は悪くなるかもしれぬが、そのことによってサプライサイドを強化させることによって、日本経済を担い手から改善していこうという時期に今はなっているという理解をぜひすべきである。  そういう意味で、今それだけの厳しいリストラ策が出されていることが結果として株価にいい反映をしているのであると、私はそう認識をいたしておりますので、物事を決して目先だけで考えるべきではないというふうに考えております。
  51. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 この不況はもう目先だけの問題ではなくて、バブル崩壊以降ですから、十年近くずっと不況不況で来ているんです。ですから、もう国民の皆さんが萎縮しちゃって全部守りに入っているというふうに私は思っているんです。  ですから、貯蓄がふえていると思います。本当に今の段階ではまだ立ち直る、そういう意味ではチャンスがあると思うんです、苦しい中でも貯蓄に回すことができるから。私はそう思っているんです。だけれども、もう我慢の限度のところに来ております。一刻も早く景気対策というのは本気になってやらないといけないと思っていますので、私もあえてこのような質問をさせていただいたわけでございます。  この問題はもう横へ置きまして、国と地方関係についてお尋ねさせていただきたいと思うんです。  特に、我が党の同僚議員の三月八日の参議院本会議での質問に対して大臣が答弁なさったわけでございますが、「地方分権は、国と地方公共団体が分担すべき役割を明確にし、地方公共団体の自主性、自立性を高め、国と地方公共団体とを対等、協力の関係にしようとするものであります。」と。「しようとする」ということになっていますから、するということにはなっていないんですが、そのように答弁なさっているわけでございますが、方向性は対等にしようというお考えだと思うんです。どのようなプログラムといいますかグランドデザインを組んで対等にしようとなさっているのか。  確かに、地方分権推進法も一つあるでしょう。私は、あれだけでは対等になると思っておりませんし、もし見解がありましたらお聞かせいただきたいと思います。
  52. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 御指摘のとおり、国と地方公共団体との関係をまさに縦の関係から横の対等、協力という関係転換をしよう、こういうことでございますが、それにはまず仕事の役割分担の位置づけということをはっきりしておかなければなりません。  そういう意味で、御指摘のとおりの地方分権一括法の中で、地方自治法改正の中で地方の自治事務というものと受託事務というものをもう一遍きちんと位置づけるということが一つでございます。しかし、それは位置づけたからといってそれで完結というわけではないというのもそのとおりであります。  そこで、それを裏づけるやはり税財政の形をきちんとつくっておくということがなければ、これは当然言葉だけに終わるわけであります。そういう点で、地方の自主性、自立性を保障できるようなそういう税財政の見直し、特に国と地方の間の税源の配分の見直しを含めてやり直さなければならぬというのはこれは当然のことであります。そのこともあわせて申し上げたいと思います。  それと同時に、地方自治体においても特に身近な行政地方がまさに自己責任、みずからの責任において運営をしていく、行政主体として行っていくということであれば、それを行うにふさわしい、つまり行政サービスを充実した内容がちゃんと担えるような一つの、受け皿という言葉がいいかどうかわかりませんが、自治体としてのサービスのレベルを満たすような形をやっぱりつくっていかなきゃならぬ。  そういう点で、今現在の市町村の姿の中で本当にそこまで責任を負うことができるだけの体力を持っているのかどうかということを考えれば、おのずから単に広域連合ということだけではなくて、さらに市町村の合併ということまで突っ込んで考えていかなければそれだけのニーズを満たすことができないということも当然予想されるわけでございまして、この部分もあわせてやはり進めていかなければならないというふうにも考えております。
  53. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 五十年ぶりの大改正の地方分権推進法、いずれにいたしましてもこの国会にかかってくると思います。そこで、またそちらの関係の方につきましては議論する機会があると思いますが、今財源の面あるいは税収の面のお話も御答弁されたわけでございますが、私もその点が一番重要だなというふうにも思っております。御案内のとおり、国と地方が税の面では二対一になって、仕事の面ではまた逆になってきて、最終的には一対二の形になっていっているわけでございますけれども、民主党にはもう何回か答弁なさっているかもわかりませんが、所得税から税率の一〇%部分地方税に思い切って移譲したらどうだ、私もこれは一つの大きなすばらしい案だと思っております。  それと、地方と国とを税収の面でバランスをとるためには、地方税あるいは所得税を別々に二本立てにする必要があるのかな、あるいはそれをきちっとまた分けるという方法も一つあるんじゃないかと思ったり、私なりにいろいろと考えてはいるんです。  特に、今たばこ税でございますけれども地方たばこ税と国と、それが今回JRと林野ちょっと入りましたけれども、JR、林野の分は別にしまして、大体国と地方分合わせますと二兆円ちょっとでずっと推移しているんです。これなんかはもう思い切ってすべて地方税にしてしまったらどうだろうと私は思うんです、この機会に。  それから酒税、酒税も二兆円弱のところをずっと推移しているんです。一兆九千幾ら、大体二兆円のところを推移しているんです。たばこの場合は、私もたばこを吸いますので、岐阜県で買わないで東京でしょっちゅう買いますけれども、お酒の場合は道端で飲んだりしませんので、大体買ったら家へ持って帰って飲むか、あるいはせいぜい旅行先で飲むか、こういうことでございますから、酒税なんかは率直に申し上げまして一番地方税に向いているんじゃないかなというような気もしているんです。  そういうものは全部地方に移転して、自主税源を少しでも確保する、そういうことをぜひ提言したいんですが、お考えはいかがでしょうか。
  54. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 具体的ないろいろ御提言いただいてありがとうございます。  基本的に地方税というのは、何といっても景気変動にできるだけ左右されない方が望ましい。それは当然のことながら地方行政サービスというものがより地域住民に密着しておることであって、余り景気変動とかかわりのない基礎的なものが非常に多いということがあるのは当然のことだと思います。  そういう意味で、地域社会の費用をそれぞれの能力に応じて住民がその負担を分任していくというような発想というものが一つあるでしょうし、あるいはそういう意味で地域サービスを受けるという、それから考えれば応益的な課税ということも当然念頭に置くべきことでもあろう、さまざまな角度があろうと思っております。  それから、特に地方税ということで仕組むならば、税源の偏在が余りないような、偏りがないような、ある程度全国似たような形での税収が上がるという、これも大事な要素だろうと思うんです。  ただ、今おっしゃった間接税的なものはみんな地方にということだけで果たして成り立つかどうかは、勉強する余地はあると思うんですが、確かに間接税系統の方がそういう意味で所得あるいは法人課税よりも景気変動に強い税収の安定性が確保される、あるいは地域の偏在性というのもより少ないということは御指摘のとおりでございます。  ただ、やはり地方税といえどもそういうものだけで成り立っていいかどうかというのはまた別の問題であって、所得それから消費それから保有課税、いろんな税体系のバランスということも、やはりこれは国税もそうでしょうし、地方税においても必要な視点ではあるということで、結論においては、いろいろ申し上げたんですが、地方の自主性、自立性をしっかりと保障できるような、先ほど幾つか申し上げましたことを念頭に置いて検討を続けてまいりたいと思いますが、いずれにしても、いつまでもそうずるずる延ばすわけにいきませんので、できるだけ早期に税調でも御議論もいただいて、国、地方の間の税源配分、そのところに足をまさに踏み込んでやらなければならぬ、そのように考えております。
  55. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 私は、たばこ税と酒税だけを地方へと申し上げているんじゃないんです。今、固定資産税を初め多くの地方税がございます。今大体年間二兆円でございますので、この酒税にしましてもたばこ税にいたしましても。二兆円ですから、思い切って両方足して、国も今二兆円ここから国税として入っておるんです。残りの二兆円が地方税で入っていますから、この二兆円分はもうすべて地方税に移したらどうだろうと。そして、これを移したから固定資産税をなくそう、こういうことを申し上げているんじゃないんです。  こうやって地方の、それこそ今、大臣もおっしゃいましたように、お酒とかたばこは北海道から沖縄まで比較的私はバランスのとれているものだと思うんです。ここの地域はお酒がうんと売れるけれどもこちらは全然売れない、こういう地域格差もないと思うんですね。ですから、そういう意味では地方税にはかなり安定した税収になると思います。  そして、せっかく今回地方分権推進法が提案されて、それこそ五十年ぶりに大改正しようとするんですから、そのときにやっぱり税の方も、思い切ってこういうものは地方税に移していくということで提言を申し上げたわけでございます。ぜひこのことにつきましては努力していただきたいなというふうに思っている次第でございます。  もうこの地方行政委員会で外形標準課税の議論がかなりなされております。これだけはぜひ私もやっておきたかったものですから、時間がありませんのでこちらへ移らせていただきたいと思います。  私自身も、この外形標準課税というのは、企業は損益に関係なく公共あるいは行政のサービスを受けているわけでございますし、そのことは十分理解はいたしております。その上に立ちまして、八月発足の小渕内閣で、最近の景気動向を踏まえ来年度税制改正では具体的に外形標準課税を取り上げるのは困難という総理見解が国会で示されたわけでございます。私はこれで少しは安心していたわけですが、この地方行政委員会は積極論者が大変多うございまして、どうも野田自治大臣もそのような雰囲気だなと思ったものですから、私も触れさせていただいているわけです。  それで、野田自治大臣もこの外形標準課税の導入に向けまして、自民党と自由党との昨年末合意によりまして二〇〇四年までに基礎年金の国庫負担率を引き上げる、これが実現した場合、国庫負担がふえるかわりに企業の年金掛金負担が軽減されますので、この掛金の軽減の恩恵は赤字企業も受けられるのでこの時期に外形標準課税を導入してはいかがと、そして自治省当局にもその検討を指示されたというふうに伺っておりますが、その考えはそのとおりでございますでしょうか。
  56. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 基本的にはその考え方は変わっておりません。やはり先ほどもちょっと申し上げたんですが、地方財政の中でも事業税は大事な柱でございます。そういう意味で、ぜひこれを応益的な角度からも、税収の安定化ということからいっても、先ほど来いろいろ御議論ございました、悲願という言葉もあったわけですけれども、長年の課題でありました。  ただ、現実問題、いわゆる所得課税的なものから外形標準的な課税ということに切りかえるということになると、当然のことながら、納税者のサイドから見れば、税負担についてでこぼこが発生するのではないか、そういう点でいろいろな御議論があることは百も承知であります。  そんなことも念頭にあるものですから、先ほど御指摘のありましたように、特に年金の改革なり社会保険料そのものの見直しということと連動する中で、いわば社会保険料は、サラリーマンの場合は半分は雇用主が負担をしているわけですから個人の負担部分消費税につけかえになっていくんだろう、では企業の負担分が助かる分だけ企業が軽くなり過ぎるんじゃないかということは連合からもいろいろ言われておるわけです。  そういう点で、いや、そうじゃないはずだ、その部分はむしろ地方団体に入れてもらいたいんです、地方財政の方に貢献してほしいんですという形でいけば、何ら企業に対する不当軽減措置ではないじゃないですか、むしろそのことによって地方行政サービスが安定するんですということをあわせて発想したらより前向きの建設的な話になるのではないか、私はそういう思いを持っておるわけです。  いずれにしても、この外形標準課税の要素を事業税の世界の中に入れてより税収が安定できるような形にするということは大事なことだし、ちょっと余分なことかもしれませんけれども、見ましたら民主党さんの昨年十一月お出しになった中にも、法人事業改革で二〇〇〇年度以降段階的に外形標準課税に移行する、こう書いてあるものですから、私は大変心強い思いを持ってこれを読ませていただきましたので、ぜひ御協力いただければありがたい、そのように思います。
  57. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 確かに民主党もそのような方針でいこうとしておりますが、私は一生懸命抵抗させていただいているわけでございます。  確かに、外形標準課税というのは資本金を中心に、あるいは従業員の数とかあるいは売上高とか蔵出しとかいろんなものを数字化して、そしてこういう税になりますよということを出せるとは思うんです。思いますけれども、この外形標準課税が導入されますと、特に中小零細企業の皆さんは、今本当に赤字で、あすにも倒産するのではないかと困っている人は交際費も使えない。会社の金で自分のうちのテレビを買うこともできないですよ。もうかっているところは節税すると思います。  ですから、私は、この外形標準課税が導入されましても、中小零細企業の人はそれに対してどう節税するかということを考えると思います。思いますけれども、それ以上に大企業の皆さん方は考えると思います。大企業の大工場はそれこそ今ですらどうやって縮小しようかと。また、そのような外形標準課税ががあっと来れば、みんな地方に工場があるんですから、それをどんどんと縮小していって外形標準課税の節税に走っていく。このことを見落としてはいけないと思うんです。そうしますと、場合によればまた空洞化して企業が外へ出ていくという危険性も決してないとは言えないと思います。それだけに、私はこの問題というのはあらゆる角度から慎重に検討しないといけないというふうに一つ思うんです。  それからもう一つ、償却資産は大体五年物が多いですね。それは、景気のいい、うんともうかっているところは償却資産なんかは余り持っていないんです。みんなリースなんですね。五年で償却するより三年でリースでやった方がいい。もっとひどいところは二年でやった方がいい。こういう矛盾も出てきているんですね。償却できるところはいいんです。償却できないところがたくさんあるんですね。  そういういろんな矛盾がありますので、ぜひこの点につきましては、私は反対とは言っていませんけれども、この問題については慎重に取り組んでいただきたいというふうに思います。  次に移りますと時間がオーバーしますので、簡単な答弁をいただいて終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  58. 野田毅

    国務大臣野田毅君) おっしゃるとおり、お話を伺いまして安心しました、反対ではないが慎重にやれと。まさにおっしゃるとおり、何を外形標準の対象にするかということによってやっぱり取引をゆがめたり経済をゆがめたりすることだってあり得る。これは御指摘のとおりです。  そういう意味で、付加価値がいいのか、売上高がいいのか、支払い給与の総額がいいのか、あるいは資本金の額だとか、言うなら事業所の面積だとかいろんな外形標準のとり方があるわけで、その中でどういうものが一番いいやり方なのかということは、さらに政府税調を初めいろいろな形で検討して、できるだけそういう問題の少ないやり方を研究してまいりたいと思っております。
  59. 小山峰男

    委員長小山峰男君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後零時四十分まで休憩いたします。    正午休憩      ─────・─────    午後零時四十分開会
  60. 小山峰男

    委員長小山峰男君) ただいまから地方行政警察委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、地方税法の一部を改正する法律案地方交付税法等の一部を改正する法律案地方特例交付金等地方財政特別措置に関する法律案、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  61. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 民主党・新緑風会の高嶋です。午前中の同僚議員に続いて、地方財政を中心に自治大臣そして政府委員の皆さん方に御質問申し上げたいと思います。  一つは、今まで小渕総理も前西田自治大臣も、臨時国会質問をさせていただいたときに、地方財政の危機を乗り切るためにはまず景気回復が先決だ、景気が回復すれば地方財政の再建というのは可能なんだということをずっと言われ続けてきたんですけれども、確かに戦後三回目の地財危機だというふうに思うんですが、前二回、一九五九年それから七五年、この二つの地財危機については、その後の高度成長という部分と、それからバブルが来たと、こういうことで、税の自然増収といいますか、税収増によってその危機を乗り切れているんです。  そういう意味では、今回の場合も、柳の下に三匹目のドジョウがいるかどうかは別にして、その論理はわからないことはないんですが、ただ二十一世紀に向けて高度成長的な経済成長が見込めるかどうかということになると非常に問題があるだろうと。政府の方も、二〇〇一年に二%成長というのが経済戦略会議のこの間の最終答申でしたね。ことしの経済成長率は政府の見込みとして〇・五%、こういうことですから、計画でいっても二〇〇一年までに二%以上の経済成長達成するというのは非常に難しいというふうに思うんです。二〇〇一年以降もやっぱり持続的な低成長という部分が本来続いていくんではないかというふうに思うんですが、そういう経済成長のもとで現在の地方財政の再建が可能なのかどうか。その辺、まず新しく自治大臣に就任されました野田自治大臣の御認識をお聞かせいただきたいと思います。
  62. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 地方財政だけをとらえて論ずるのはなかなか難しいと思います。御案内のとおり、国も地方も両方含めて財政がどうやって立ち直ることができるのかという角度でとらえた場合に、望ましい税収のレベルに達するということがまず基本であるというふうに考えます。  そういう点で、今日の日本経済は、本来の持てる実力というと抽象論になりますが、俗に言う潜在成長力といいますか成長率といいますか、それから見てかなり下振れをしてしまっている。そういう意味で、経済戦略会議においても、日本はもうゼロ成長時代に入ったというのではなくて、少なくともこれから十年間引き続いて実質レベルで二%の成長の実力は持っているんだ、だからできるだけ早い機会にそこに回復しなければだめなんだということが原点にあると思います。  そういう意味で、その戦略会議経済に対する実力判断というのは実は私もそのとおりに見ておりまして、少し悲観的に過ぎるのではないか、これは午前中の議論の中でも申し上げたとおりでございます。  そういう点で、いわゆる実質ベースでそういうことであれば、当然のことながら税収というのは名目値によって出てくるわけでありますし、そういう形に経済が正常に復していくということになれば、税収そのものもただ単なる弾性値が一・一で計算されるような世界だけではないと、私はそう確信をいたしておるわけであります。  実際問題、法人税についても、バブル期ということもありましたが、平成元年、二年ぐらいであったでしょうか、当時十八兆円を超えていたと思うんです。したがって、バブル崩壊後わずか数年足らずして五兆円六兆円落ち込んでいるわけです。それは、かなりの部分は実は不良債権処理ということとも絡んで、その半分は実は税金がロスということになって反映もしているわけです。  そういう意味で、マイナス成長がプラス成長に転ずるということはただ単に租税弾性値ということだけでない要素がありまして、税収増に大きく貢献するだろう、そのことはアメリカにおいても実証済みであるというふうに実は私は思います。これが第一点でございます。  しかし、それだけで国も地方も全部うまくいくかというとそうはいきませんで、当然のことながら、それに連動して国、地方を通ずる行財政の簡素効率化ということはさらに徹底してやらなければなりませんし、いわゆる徹底した行財政改革ということ、これはこれでもう一つやらなければならぬ財政健全化のための大事な柱であるというふうにも考えております。  同時に、国、地方の事務、権限、役割分担の再配分というような中で、少なくとも自主自立的な財源をどのように確保するかという角度の中から、当然のことながら、地方の税財源を確保するための国と地方の間の見直しということも連動して行っていかなければならない。  そういうことが両々相まって我が国の地方財政を健全化させていくといいますか、財政の再建を目指していくということになっていくだろうというふうに考えますし、またそうあらねばならぬ、そう思っております。
  63. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 今、大臣から、景気回復のための施策と、それから行政改革等含めた部分財政再建をと、こういう考え方が示されました。  ただ、最近というか、来年度のとりわけ都道府県の予算編成を見ていても、景気対策のために公共投資を含めた予算をやることによって逆にますます地方財政が悪化をする。だから、午前中大臣は二兎を追うという言葉も使われましたけれども二つを追うというのはもう難しいんではないか。だからどちらかを選択するということで、もう大半のところが財政再建選択するという道を選んできたんではないか。そういうことからいくと、やっぱり景気回復も大事ですから、そういう意味では私は二兎を追う政策というものを自治体にとりやすくしてあげるというのが国の政策として必要なんではないかというように思うんです。  そういう観点からいきますと、景気対策については国の責任で行っていくということを明確に打ち出す必要があるんではないか。昨年までの段階では小渕総理も大蔵大臣もそう言っておられましたけれども、国も財政的に厳しいんだ、地方も厳しいんだ、だからどっちも苦しいんだから半分半分、どっちも犠牲になってやろうじゃないか、こういう考え方だったんですが、それにはもう地方自治体というのはついていけないという状況になっていると思うんです。  そういう観点からいうと、国家財政地方財政の構造的な相違というものを無視して景気対策なり財政再建策を立てるというのは非常にもう難しくなってきているのではないか。  国の場合は、幾らでもと言ったら怒られますが、少々の国債を発行しても日本国が破産をするということは法的にはないわけですね。ただ、地方自治体の場合は財政再建団体という、基本的に言えば、会社でいえば会社更生法的な、それ以上突っ込んだらもう破産しますよという、そういうやっぱり法的な制約があるわけですから、その観点でいくと、景気対策は国の責任で行って、地方へ負担をさせるのは筋違いではないか。  だから、地方に負担させる場合は国がすべての財源を、すべてといいますか大方の財源を持って、それで地方自治体に協力をお願いする、そういう方法をとれないかというふうに思うんですが、その点についてどうでしょうか。
  64. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 結論において、御指摘のように景気対策地方団体に御協力をお願いしようというような場合に、いわゆる財源についても配慮した上でお願いするということが原則であるということにおいては全く同感でございます。その点については、先般宮澤大蔵大臣も、今までのやり方の中でやはり反省すべき点もあるということは率直にお話があったとおりでございます。  そういう点で、今申し上げたような地方財政ということ、特に今かなり危機的な状況にまで立ち至っているというそのことに思いをいたしますときに、これからも大事な視点であるというふうに思います。
  65. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 力強い答弁をいただいて自治体の皆さん方も勇気がわくと思うんです。  そこで、自治体のこの借金政策転換について大臣に若干お尋ねをしたいと思うんですが、七五年のオイルショックのときの不況で自治体財政危機に陥ったときには財政再建債を大量に発行してしのいできてバブルにつないだ、こういうことがあるんですけれども、そのときは一九七五年で十四兆円の借金だったんですね。  ただ、今は御承知のようにもう百七十六兆円というその当時から比べると十五倍ぐらいの借金になっておるわけですから、この借金を返済していくためにまた借金をさせるということになると、これは最近は民間の皆さん方の自己破産問題がマスコミをにぎわせていますけれども借金のためにまたローンあるいはサラ金を借りて、最後は自己破産するというような状況になってきていますが、自治体も同じ道を歩むのではないかなというふうに思うんです。そういう観点では、地方団体にめどのない借金財政を続けさせることというのは、やっぱり自治省が軸になってそういうものを中止させていくという政策転換を図っていただきたいなというふうに思っておるわけです。  ただ、それができない場合でも、先ほどから外形標準課税の問題が出ていますし、あるいは安定的な税財源をどう求めるかということが出ていますから、二〇〇四年なら二〇〇四年、あるいは二〇〇三年なら二〇〇三年、こういう安定的な税源を確保するからそれまでの間のつなぎとして借金はやむを得ないという、そういう将来展望を示してあげて、それで自治体借金をしても返せるというような見込みを持って計画が組めるような状況にしてあげるべきではないか。  民主党の場合は一〇%の所得税の地方住民税化、こういう言い方で言っていますけれども、これも一つの方法だと思うんですね。だから、そういうグランドデザインというか、今後の地方財政状況とも相まって、そういう施策も含めて行っていただく必要があるのではないかというふうに思いますが、その点について自治大臣のお考えをお願いしたいと思います。
  66. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 考え方としては御指摘のとおりであるべきだろうと思います。  そういう点で、平成十一年度地方財政対策におきましても、恒久的な減税に伴う減収に対して、たばこ税の一定割合の地方への移譲、さらに法人税地方交付税率の引き上げ、そして地方特例交付金の創設、こういった措置を、単年度ということではなくて、将来の税制の抜本的見直しが行われるまでの当分の間の姿として続けるという形をとったわけでございます。  では、いつきちんとした抜本的な見直しができるのか、どういう形でやるのかということをあわせてお示しすることができればもう言うことはなかったのでありますけれども、残念ながら、その点について先ほど来いろいろ申し上げておりますが、経済が安定し、税収がどういう形で、収入として税目ごとにどういうことになるのか、そういった中で国、地方の税源の配分などを含めてどういう形がとれるのかということは、まず経済の回復ということからスタートしてみないと、そこまで今からアプリオリに決めるというわけにいかぬところもあるという点で具体的な姿は出せなかったのでありますが、考え方としてはそういう意味措置をしたと考えております。  そういう意味で、当面目先、残念ながらこの借入金によらない抜本的な財源対策を講ずるということは今直ちにはちょっと困難かとは思っておりますが、先ほどるる申し上げましたとおり、地方分権の推進と国、地方役割分担の見直しとあわせて税制の抜本改革、あるいは税財政制度のあり方について幅広い角度からきちんとした絵姿を出さなければならない、そう思っております。
  67. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 ありがとうございます。  次に、自治省政府委員にお聞きしたいと思うんですが、とりわけ東京、大阪、神奈川という大都市を抱える都府県で税収が大変落ち込んできている。この税収を埋め合わせるために財政調整資金が使われてきておるわけですが、財政調整資金というのは御承知のように自治体のへそくりであるわけですけれども、今回の場合の財政調整資金というのは、バブル時代にこつこつとため込んだ調整資金だというふうに思いますが、このへそくりが東京都は二千二百億円あったものが平成年度ではもう十億円しかない、こういう状況らしいですね、九億九千万、こういうふうに言われています。神奈川県は七千万円しかもう残っていない。千葉県が十五億円、大阪府が二十一億円と。これはもうどんどん下がってきている。こういうことで、いずれにしても貯金は各自治体ともほとんどもう使い果たしているという状態になっているんです。  そういう中で、今年度平成年度の決算においてはまさに財政再建団体に落ち込むか落ち込まないかのがけっ縁に立たされている自治体が非常に多くなってきているのではないかなというふうに思っているんですが、十年度決算によって財政再建団体が私は複数出てくるのではないかな、こういうふうに思っているんですけれども自治省等の調査によってその辺についてどう認識をされているのか。現時点でわかる範囲で結構ですから、御答弁をいただきたいと思います。
  68. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 今御指摘のように、特に大都市地域の府県の税収の減が大きいものですから財政状況が非常に厳しくなっておるわけでありますが、十年度の決算、まだこれから数字が具体的にぎりぎり固まってくるわけでありますけれども、私どもいろんな形で御相談をいただいておりまして、今私どもの方でお聞きしておるところでは、こういう大府県はいずれも、東京、神奈川、愛知、大阪といった県は十年度は赤字決算にならざるを得ないだろうというふうな見込みでございます。ただ、いずれにいたしましても、その四県ともいわゆる再建団体になります標準財政規模の五%というところまでにはいかない形で何とか決算をしたいということで、私どもも大体そこまではいかないだろうという見込みでおります。
  69. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 ちょっと安心はいたしましたが、しかしこのままいくと、今年度は再建団体に落ち込まなくても、このままの不況の状態が続くと来年度の末には非常に厳しいという状況になると思うんです。  そこで、自治大臣お尋ねしたいんですけれども自治体は非常にそういうやりくりもして、あるいはリストラもして財政再建にことしも必死になっていましたけれども、来年度もやっぱり必死になると思うんです。そういう必死な状況の中でも公共投資、とりわけ単独事業も含めて何とか国の景気対策のためにということで公共投資の拡大を求めていくというのは自治体にとっては非常に厳しいということでございますが、先ほども若干考え方をお聞かせいただきましたけれども、私はこういう状況の中では財政再建と公共投資の拡大を求めるというのはやっぱり政策的に矛盾をしてきているのではないかなというふうに思うんですが、その点について自治大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  70. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 現在、地方財政の悪化の要因が、一つには経済の低迷による税収不足ということが国にも地方財政にも反映されているということはたびたび申し上げておるとおりでございまして、そういう点で一刻も早く経済を回復軌道に乗せるということが国、地方を通ずる最大の経済財政上の課題であるという意味においては共通しておるとまず認識をいたしております。  そういう意味での景気回復への共通した努力と同時に、行財政改革への取り組みといいますか、そういう意味財政健全化のための行財政改革を引き続いて推進していくという要請をあわせてしておるわけでございます。  その中で公共事業を通じての景気回復への努力につきまして、これは単に国の景気対策への協力要請という性格だけでなくて、やはりその地域の経済をどうやって活力を下支えするかという要素、あるいは地域における社会資本整備の要請ということもやっぱりそれはそれなりにあるわけでありまして、とにかく財政がだめだから公共事業的なものはみんな削れということにはならないんではないか。そういう意味での必要な地方行政レベルをやはり維持できるということも大事な視点である。むだ遣いはする必要ありませんが、大事なことはやっぱりやらなきゃならぬというのは当然の要請だ、私は両面あると思っています。  問題は、地方財政の悪化をこれによって促進することのないような財政的な裏づけをきちんと国の方も考えて行うということが大事な視点であるというふうに考えておりまして、そういう点では、本年度の地財計画の中でそれなりに地方の行財政運営に極力悪い影響を及ぼさないような手当てができたのではないか。百点満点ではないかもしれませんが、最大限の努力をさせてもらったように考えております。  そういう点で、長くなって恐縮でありますけれども、ただ地方と国が公共事業をやったからといって景気がよくなるという性質のものではなくて、せめてこの部分景気の足を引っ張らないようにするというところに意味があるのであって、いつまでもこれをどんどん広げていけば景気がよくなるというものではないということは重ねて申し上げておきたいと思います。
  71. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 大臣が言われているのは私もそう思います。民間設備投資が主役であって、公共投資というのはそこまでのつなぎ役の役割を果たすか、それとも先導役の役割を果たすか、こういうことだろうというふうに思うんです。  そういう意味では、民間設備投資がどう効果を発揮するかという状況をつくり上げなきゃいかぬというふうに思うんですが、ただ、もう大臣は今答弁をいただきましたから次の質問の答弁は結構ですが、いずれにしても、地方財政計画公共事業、公共投資関係について計画がされていますが、とりわけ地方単独事業は前年度並み、〇・〇%、この達成さえも今の状況では非常に難しいんではないかというふうに私ども心配しています。状況によれば一三%ぐらい減少するのではないかという数字も出ているようでございますから、これはもう今までの答弁であれですけれども、何としても地方単独事業自治体がやりやすいようなそういう財源的手だて等々について今後とも御努力をお願いしたい、これは御要望しておきたいというふうに思います。  次に、地方債関係についてお伺いをしたいというふうに思います。地方債を非常に大量に発行してきておるわけでありますけれども、東京都が地方債の大量発行とか大量償還に伴って市場ニーズに対応して償還期間の多様化を検討するということがこの間報道もされたんですけれども、これとの関係で、政府としてこれらの地方債の多様化について、とりわけ国債償還期限というのは六十年だけれども地方債政府資金というのは二十年から二十五年、民間資金を借りると十年、こういうことになっているわけですけれども、こういう部分償還期間の長期化、多様化がこれから地方債にも必要になってくるのではないか、そういうふうに思っているんですが、自治省としてそれらの長期化、それから多様化について本格的に検討される予定があるのかないのか、その点も含めてお聞かせいただきたいと思います。
  72. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 御指摘のように、公債費の負担が急増しておりまして、地方財政を圧迫している状況にございます。公債費の負担をできるだけ平準化をしたいというふうに私ども考えておるところでございます。  地方債の資金、いろいろございますが、政府資金とかあるいは公営企業金融公庫の資金などは比較的長いものでございまして、事業別に、一番長いもので三十年ぐらいになっているということでございます。従来からそれぞれの施設の耐用年数の範囲内で延長に努めてきたところでございまして、この点につきましては引き続き公債費負担の平準化に資するように関係当局に働きかけをしてまいりたいというふうに考えております。  それから、民間縁故資金につきましては、基本的に償還期間は十年というものが多うございますが、もちろん一回借りかえするというケースもございます。団体によりましては施設の耐用年数に比較して著しく償還期間が短いというところもございまして、従来それで何とか公債費の償還をやってまいりましたけれども、耐用年数に比べていかにも短いというふうなケースもございますので、借りかえを予定しないものにつきまして借りかえを予定した方式を導入してはどうかといったようなことを検討してほしいといったようなことも地方団体に呼びかけておりまして、公債費負担の中長期的な平準化に留意していただきたいということをこれからも地方に要請をしてまいりたいというふうに考えております。
  73. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 ぜひ、抜本的とは言いませんけれども、早期に本格的な検討をお願いしておきたいと思います。  次に、地方債の繰り上げ償還問題についてお尋ねをします。今年度地方財政対策という形でこの委員会でも強く要望がされていたわけですけれども地方債の早期の償還を含めた公債費負担対策六千四百億を措置されたことは非常に私どもは歓迎すべきことだというふうに思っております。それに対して自治省が大変な努力をいただいたことは高く評価をしておきたいというふうに思うんですが、ただ、これは先ほど大臣の御答弁とは違って単年度限りなんですね。単年度限りということになると、なかなか他の自治体も追随できない、あるいはこの百四十団体、二千二百億の関係も含めて、その皆さん方も、じゃそれを希望するかどうかというのも今はまだわかっていないというふうに思うんです。  そういう意味では、やっぱりことし一回限りというのは非常に残念だというふうに思っています。とりわけ来年度経済成長が〇・五%も達成できないというような状況になった場合は、これは自治省としても、再度継続とそれの拡大を含めて、大蔵省との財政戦争と言ったらなんですけれども、決意を持って大蔵省に対応していただきたいなということで、その点についての考え方。  それから、早期償還を実施した団体、とりわけこの対象団体で百四十団体の分については新規の地方債の発行が三年間できない、こういう規定になっています。これについて、こういうことになるとなかなか、こちらに申請をして三年間新規のやつがストップをされるとやっぱり困るから申請しないでおこうか、そういう自治体がふえてくるというふうに思うんです。そういう意味では、せっかくいい制度をつくっても利用価値がゼロ、こういうことになると問題が出てきますので、非常にこの三年間の発行停止というのは厳しい措置ではないかなというふうに思うんですが、その辺についての御認識もお伺いしたいと思います。
  74. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) この政府資金の繰り上げ償還の問題は、当委員会でも何回も議論された話でございますし、地方団体からも非常に切実な要望のあったことでございます。  他方で、これも何回も申し上げて恐縮でありますが、政府資金の場合には郵便貯金とか公的年金の原資を使って融資いたしておりまして、長期に安定した資金を提供するということで、いわばその間はそれを前提にして資金運用部なりあるいは簡保なりの資金計画が成り立っているわけでございまして、その中途でそれを返すということになりますと、資金運用部といたしますと、利ざやを取っていないということなものですから、その間のいわば予定した金利が入ってこないということで、運用部自体のあり方にも問題が出てくる、そういう性格のものであるということはまず基本でございます。  しかしながら、私どもは繰り返し粘り強くいろんな話し合いをしながら、今の状況からいって何とか弾力的な措置がとれないものかという観点から関係当局と折衝してまいったものでございまして、そういう基本的な公的な資金の機能を損ねることなく何とか対応可能な方法はないだろうかということで、起債制限比率が高い団体に限定して、今回、十一年度の異例の措置としてこういう措置をとったところでございます。いろんな状況から考えますと、やはり今のところ、この話については十一年度の単年度措置ということで、これは関係地方団体の皆さん方にも御理解をいただきたいというふうに思っておるところでございます。  それから、三年間の新規の貸し付けを停止されるという問題でございますが、これもこの資金運用部の性格からいきまして、いろいろやりとりをいたしました中で、繰り上げ償還資金運用部の側がいわばその期間の中途でオーケーするという資金運用部資金法の考え方、ぎりぎりのその中での考え方でいきますと、資金運用部資金の確実かつ有利な運用原則にかんがみて、当該地方団体公債費負担の改善が想定されるという前提で、そういう考え方で三年間は新しい貸し出しを御遠慮願いたい、こういうことになるわけであります。  しかしながら、それでは私どもも、政府資金が全部そうやってとまってしまうということになりますと、当該団体に非常に影響が大きいということでございまして、これにつきましてもいろいろ折衝いたしまして、資金によりましても、これはどうしても政府資金でなくてはいけないといいますか、事柄の性質上、政府資金を充てることを政府側の責任としても考えなくてはいけないと。地方団体の責めに帰することができないといったようなもの、例えば財源対策債でありますとかあるいは減税補てん債といったようなもの、そういうものについては、やはり三年間といえども政府資金を充てる必要があるだろうと。  その政府資金を充てるものというのは実績からいってどのぐらいあるだろうかということも、該当する団体ごとに私どもなりに検討いたしまして、そういうところについてはおおむね半分以上は引き続き政府資金を充てられるだろうというふうなめどがつきましたので、そういう措置にしたところでございますし、また今の全般の金利状況なり、あるいは他の資金の用意をできる状況といったようなことを考えますと、このことでこの三年間に関係地方団体事業実施に支障が出るということはないのではないかという見込みのもとにそういう措置にしたところでございます。
  75. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 いずれにしても、単年度とはいえ、いい制度というか、対応されたわけですから、自治体が使い勝手のいいようなことで今後とも努力をいただきたいというように思います。  余り時間がなくなりましたので簡単に御答弁いただきたいと思うんですが、最近、マスコミで日本格付投資情報センターが地方債の格付を発表しましたけれども、これはどう自治省として認識をされているのか、お願いをいたします。
  76. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 地方債償還は、基本的に地方税あるいは地方交付税で担保された債務でございます。この地方債は現在許可制度がとられておりまして、その許可された地方債の元利償還につきましては、地方財政計画あるいは地方交付税の算定を通じて財源保証をするという仕組みになっております。  それから、個々地方団体に対しましても、公債費負担が一定の限度を超しますと起債の制限といったような制度がございますし、さらに赤字が一定限度を超します場合に、既発債の元利償還を確実に行うことを前提にした財政再建制度というのが設けられておるわけでございます。  そういったようなことから申しますと、地方団体の債務の信用力、これはどの団体が発行する地方債につきましても、現在、国債政府保証債と同様にいわゆるBIS規制というもので信用リスクのそれぞれウエートづけが行われておりますが、地方債国債政府保証債と同様にリスクゼロということにされておるものでございます。こういう国は国際的にもそんなに多くはございませんで、日本地方債は特にゼロにされておるわけでございます。  そういったような現在の地方財政制度の仕組みのもとでございますし、またリスクウエートがゼロになっているという状況にございますので、個々地方団体財政状況に差があるということは、それぞれそういう差はあり得ますが、そのことが地方団体間の信用力の格差に結びつくものというふうには私ども考えておりませんで、地方債の信用力の団体間の格差はないというふうに私どもとしては認識しているところでございます。
  77. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 自治体の信用力の格差はないという部分は国内では割と通用すると思うんですが、外国から見るとなかなか通用しにくい部分がありますから、これは要望ですけれども、諸外国にも理解をいただけるようなそういう見解というのをこれからぜひお願いしておきたいというふうに思います。  時間がありませんから、最後に、第五次勧告でも出されました統合補助金、これは自治大臣は新進党、自由党時代からも個別補助金というのはもう廃止すべきだ、新しい交付金かそういう統括的な補助金が必要ではないかということを、経過的にでも導入すべきだということをずっと言い続けられてきましたけれども、ぜひこれは早期に導入をいただきたいというふうに思うんですが、自治大臣の決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  78. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 御指摘のとおり、私も、これはある意味じゃ悲願というと言葉がどうかわかりませんが、本当の意味地方の分権といいますか主権といいますか、これを確立していく上では、ぜひ権限の移譲だけでなくて、そういう個別補助金をなくして自主自立の財源手当てをきちんと行うということが原点であるというふうに思っておりますので、全力を挙げて個別補助金の廃止と統合補助金なりあるいは一般財源化ということに向けて努力をしてまいりたいと存じます。
  79. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 ありがとうございました。
  80. 白浜一良

    ○白浜一良君 通告していないんですけれども、最初にちょっと大臣にお伺いしたいと思います。  これはもう従前から言われている問題でございますし当たり前の話なんですが、地方税と国税の関係でございます。  地方税の構造的な問題も当然あるんですけれども、これだけ地方財政難になりますと、私は選挙区も大阪なんで、大阪市と話ししても大阪府と話しいたしましても、国税というのは再配分機能があるのは当然でございますが、結局、府民が納めている税金よりも使っている税金の方が少ない、持ち出し分が多いわけです。これは再配分機能がございますから、税には。それは理屈の上ではそういう機能があって当然なんですが、大変、なぜこれだけ税金を納めていて大阪府民に還元されないんだと、これは素朴な感情があるわけでございます。  国税と地方税関係性ということもございますが、この税のあり方の問題で、大臣は財政にお詳しいので、理念的なお考えで結構ですから若干お考えをいただきたいと思います。
  81. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 半分よく理解して半分誤解があるんじゃないかという気がするんです。  というのは、納税者感覚からしまして、自分たちの納めている税金が自分たちの地域のためでなくてどうもほかのところに使われているんじゃないかという感覚が、大都市の皆さんから見てよくそういう御議論があります。感覚的にはわからぬじゃないんですけれども、ただ問題は、大阪府から発生する税金が言うなら国税として国の懐に入るという、それは全部大阪府民が納めた税金だという認識をすればそういう議論になるんです。  しかし実は、じゃ大阪府から上がってくる税収のそのもとが全部大阪府における経済活動から発生しているかというとそうではないので、法人税初めかなりの部分がそういう意味で本社の所在地で国税の場合は納税をされるということになっておりますので、そういった誤解があるのではないか。そういう意味で、大阪の府民税なりそういった府税というその大きさが、一人当たりの納める額がどうなのかということでいうと、それほどの格差はないんじゃないか。  それからもう一つ、この機会ですから、大阪の場合もそうかもしれませんが、東京の場合でも上下水道、特に上水道の事業などについて、やっぱり相当、一つの地域を超えたいろんな公共投資が行われておる。あるいは水源をどこへ求めるのか、あるいはそのほかのごみ処理の話であったり廃棄物の話であったり、そんなことを考えますときに、私はいろいろ御議論があるのでわからぬではないが、やっぱり半分誤解もあるんじゃないかということを考えますと、余り建設的な結果の議論になっていかないのかなと。  ただ、都市住民の皆さんが自分たちの義務として納めている税と、それから国なりあるいは地方団体から受けるサービスとのバランスを考えたときに、ややサービスが過小ぎみになっておるんではないかという受けとめ方があるということについては、歳入歳出両面を通じて行政に携わる者は心しなければならぬ戒めとして承っておくべきであるというふうには思います。
  82. 白浜一良

    ○白浜一良君 今のお話でようわかります、それはそれなりに。法人税を申されましたけれども法人税はおっしゃるとおりですよね、本社のあるところで、全国的に商売しているわけですから。それはよくわかるんですが、例えば消費税なんかは少なくともその域内で納めている部分ですよね、大体。そういう意味もございますし、もっと根本的にいくと、やっぱり国税のあり方、それは税の内容の問題、それから地方税のあり方、これも税の内容の問題、やっぱりいろいろ見直さなければならない問題であるということは私は間違いないと思うんです。この点をちょっと答えていただきたいと思います。
  83. 野田毅

    国務大臣野田毅君) その今御指摘の点においては、全くそのとおりだと思います。いろんな角度から国税においても地方税においてもあり方を見直していくべきであるというのは、そのとおりだと思います。
  84. 白浜一良

    ○白浜一良君 それで、通告した問題に入りたいと思いますが、地方債も随分膨らんでまいりまして、国の借金も大きいですが、地方借金も大変膨らんでいるわけでございます。当然よく指摘されるように、これは地方税の問題、よく言われる法人事業税が景気に左右されるようなそういう税財源があって、当然景気が悪くなると税収が減るという地方税の構造上の問題、一つこれがあるのは当然でございます。  と同時に、もう一つよく言われている問題は、バブル崩壊以後景気対策を何回も打っていますね。そういうときに、いわゆる当然国の直轄事業もあるでしょうし、税に対する対策もあるでしょうが、地方単独事業の場合もございますし、また補助事業もございますが、随分それで自治体の起債が膨らんでしまった、こういう指摘もたくさんあるわけでございます。  ある民間のシンクタンクの調査によりますと、平成三年から八年の間の地方債の残高は四十八兆円、その四十八兆のうち三十四兆円がいわゆるこの間の景気対策に付随して起こった起債だったという指摘があるわけでございますが、そういう意味で言いますと、国がいろいろ景気対策結構なんですが、そういうあおりを受けて、決して一〇〇%地元のためになっていないとは私は言いません、だけれども、そういう国として行ったこの景気対策の余波、それで地方借金も膨らんだ。こういう意味で言いますと、そういう景気対策全体を打ち出した国の責任も大きいんじゃないか、こういう指摘もあるわけでございますが、これに関しまして大臣のお考えを聞きたいと思います。
  85. 野田毅

    国務大臣野田毅君) この点はたびたび申し上げておるんですけれども、現在の地方財政の悪化についてさまざまな要因がある。その中で、何といっても景気低迷による地方税あるいは国税の減収というものが大変大きい、それが第一の大きな原因だろうと思います。  一方で、今御指摘景気対策お話もございます。これも私は否定はいたしません。結局、それが、ただ若干、景気対策を何か国から強制されて、嫌々ながら地方団体が押しつけられて、その結果こんなになってしまったという物のとらえ方は、額面どおりというわけにはいかないところはある、それは白浜先生指摘のとおりそれだけじゃないんだと。それは、地方自治体自身が自分たちの要請といいますか、国からの要請だけじゃなくて自分たちのニーズの結果としてそれらを主体的に取り組んできたということも現にあるわけで、そういう意味借入金がふえてきたとか、あるいはそのほかにいろんな義務的経費も増嵩をしてきている、さまざまな要因があったことはそのとおりでございます。そういうさまざまな要因の一つとして、景気対策ということが同時に当面の地方財政悪化の原因の一つを構成しているということは、これは否定のできないことだ、その点は私もそう理解をいたしております。
  86. 白浜一良

    ○白浜一良君 それで、国が景気対策をいろいろ打つ場合は、それは網羅的にやりますからそれ自身は否定はしませんが、主として景気対策というのは国が責任を持ってやった方がいいんじゃないか、地方事業分まで、特に地方直轄事業まで含めてやるというのは、総額を膨らます意味でですよ、そういうふうにしないで、国が責任を持ってそういう事業に関して景気対策をすべきじゃないか、こういう考えもあるんですが、いかがでしょうか。
  87. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 御指摘のとおり、景気対策については国と地方それぞれがお互い責任のなすり合いをするべきものではなくて、主体的にはまず国が中心になって考えるべきである、仕事の役割分担という側面からすれば、そういう御指摘があるのはよくわかります。  しかし一方では、国の経済といっても地方経済の集大成でもあるわけで、地方経済を全く抜きにして景気対策ということも、これはあり得ない。しかも、現実問題、そういう公共事業の担い手、主体は大体六割ぐらいが地方事業主体という形になっておるという現実を考えれば、やはりそれなりの地方の協力がなければ景気対策そのものが成り立たぬということは御理解いただけることだと思っております。  ただ、もう一つ考えなきゃならぬのは、その際には、やはり地方財政負担ということを頭に置いた上でそういう景気対策を講じなければならぬ。そういう意味で、財政措置を同時に踏まえた上で行うということが大事なポイントの一つであるというふうにも思いますし、景気対策を行っていく上で反省点はもう一つある。  それは、過去かなりの部分公共事業をたくさんふやせば景気対策になるんだという感覚があったということは否定できない。しかし、もはや公共事業をふやすことだけで景気対策ということにはなかなかならないのであって、もっと幅広い角度からの景気対策というものが必要になっているんだという認識が出てきている、私はそのようにも理解をいたしておりまして、そういう意味で今回減税政策ということにまで踏み込んだというのは、そういう背景もあったということであると理解をいたしております。  ちなみに、本年度公共事業伸び率でまいりますと、直轄事業が七・三%、補助事業が二・二%、それから地方の一般単独が対前年度同額というような形で、大体今、白浜先生指摘になったように、本年度の地財計画の中でも、いわゆる景気対策の中でも直轄事業伸びが最も大きいということになっているということは申し上げておきます。
  88. 白浜一良

    ○白浜一良君 今おっしゃったとおりでございまして、景気考えますと、地方経済景気を抜きにしてそれは考えられないわけで、それはそれなりの手を打たなきゃならない。大臣は、いわゆる財政基盤、その裏づけをどうするかだとおっしゃいましたが、そのとおりなんです。そういう意味で、私は、国がその財源まで含めてきちっとやるということが景気対策じゃないかという意味で言っているわけでございます。  それで、今、来年度予算の若干のお話もされました。これはもう統計的にもわかるんですね。うちの事務所でちょっと集計させたんですけれども、データの関係で、平成九年と平成十年の、だから本年度と去年度ですか、公共事業の着工額を見ますと、平成九年の四月から十二月は十二兆二百六十二億円なんです。平成十年の四月から十二月が十一兆九千百五十二億円。四—十二月期で見るとちょっと、〇・九%と減っているんですね。減っているんですが、内容を見ますと、国の直轄事業で言いますと一〇・九%ふえているんです。平成年度が二兆八千六百五十三億円。それに対して平成年度の四—十二月期が三兆千七百六十九億円になっている。ところが地方の方は四・六%減になっているんです。平成年度の四—十二月期が九兆千六百八億円で、平成年度の四—十二月期が八兆七千三百八十三億円。  これは、いろいろその時々の時の流れがございますから単純に比較はできないかもわかりませんが、いや応なしに減っているんですね。国の方がちょっとふえてそれをカバーしているという、こういう実態でカバーしているというような、もうそういう流れで仕方なくそうなってきているのは私は間違いないと思うんです。  そういう観点で言いますと、来年度予算公共事業に対する内訳を先ほど大臣がおっしゃいましたが、民需が中心であるのは当然でございますが、それを押し上げる公共事業内容として質量ともに大丈夫か、こういう考えもあろうかと思うんですが、ここの点に関しまして御所見をいただきたいと思います。
  89. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 特に地方団体それぞれ、みずからの財政の健全化ということに従来以上に非常に高い意識が生まれてきたように思います。それは、定員管理のやり方であれ、さまざまな面において大変御努力をいただいておりまして、そういう点で公共投資の問題にしても、これは、補助事業であれ単独事業であれ地元にとってもむだな予算は極力慎むべきであるというか効率的な活用に心を配らなければならぬということが出てきたことは、私は、あながち悪いことではない、そのことは大事なことだと思っております。  ただ、その中で、地域にとっても必要な公共事業財政という制約の中で何もできないということになれば、これはやっぱりゆゆしき問題だということでありますので、一応地方財政計画としてはそれなりに必要な財源手当ては行っておるところは、もうくどくど申し上げることはないと思っております。  ただ、統計的なことで今いろいろ数字がございました。私もまだもちろん断定的なことは何も言えないんですけれども、公共工事の着工統計でいくと、都道府県、市町村とも、いずれも昨年の十一月、十二月はマイナスになっておりますが、本年一月に入るといずれもプラスに転じてきているという数字が出てきておるということも事実です。そういう点で必ずしも一概に言えないんじゃないかとは思います。  この後、いずれにせよ、第三次補正がどういう形で反映されていくのかということも見ていかなければならないと思います。いずれにせよ、必要な事業が行われていくということは大事なことだというふうに考えております。
  90. 白浜一良

    ○白浜一良君 おっしゃるとおり、第三次補正予算実質的に本年に入ってからでしょうから、先ほど私が申し上げましたのは四—十二月期だけで比較していますので、必ずしも正しくないかもわかりません。その点は認めますが、この期間だけ見ると傾向差が出ているという意味で御指摘したわけでございます。  次に、地方債の問題で、これも先ほどからいろいろ話が出ておりましたが、元利償還負担が財政の二〇%を超える、超えないというのが一つの制限のラインだということを指摘されております。とはいえ、計数的に見るとそういうことなんでしょうけれども自治体もいろいろ内容に違いがあると思うんですね。十分いわゆる財政を回復する体力を持っているところと全く持っていないところ、そういう質的な違いがあるのに、こういう二〇%という一つの基準だけでいいのかという考え方がございまして、起債ルールをもう少し弾力的に運用させてはどうか、こういう指摘もよくされるんです。  この点に関しまして大臣のお考えを伺いたい。局長でも結構です。
  91. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 新規の地方債の発行につきまして、起債制限比率という指標で一定の率になりますと発行制限をいたしておるということがございますが、これは公債費が一般財源に占める割合が一定のところを超しますと、どうしても地方団体財政構造から見ましていろんな他の一般財源を要するような分野の経営支出に支障が出てくるというふうなことがございまして、そういうラインを設けておるわけでございますが、具体的に最初のラインが二〇%でございます。二〇%を超しますと、これは時々全部の地方債がストップになるような誤解がございますが、これは単独事業についてだけ二〇%以上になったら制限しようということでございまして、公共事業とかあるいは災害復旧とか住宅関係でございますとか、そういうものは従来どおりやれるということでございます。  それからもう一つ、さらにそれが三〇%以上になりますと非常にきつくなるものですから、災害復旧とかあるいは過疎対策といったようなものを除いて、補助事業なんかについても原則として制限をするということにいたしておるものでございます。  ただ、現在のところ制限比率が二〇%を超しております団体は全国で一団体だけでございますし、通常のことを考えますと三〇%を超えるというようなことは普通はなかなか考えられないことでございまして、この起債制限比率で地方債の発行が非常に窮屈になるということでは必ずしもないんではないかというふうに思っております。
  92. 白浜一良

    ○白浜一良君 それで、今そう局長はおっしゃいましたが、一方で地方のいわゆる財政が悪いということで財政健全化債ですか、これは私が調べたところ、五十年代に発行されたんですか、ところが五十九年を最後に発行されていない、これをもう一度発行許可していこうというような流れが昨年四月の事務次官の通達で触れられたと、こういうふうに承知しておりますが、これはどういうお考えでそういうものを出されたか、まず伺いたいと思います。
  93. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 地方債の発行は事業別にそれぞれ事業費の何%を地方債をもって充てるか、残りを一般財源でもって充てるかという、その地方債を充てる率を充当率というふうに言っておりますけれども、そういうものが財政の健全性という観点から設けられておりまして、それを前提にして地方財政計画で全体としては財源手当てがされておるということでございます。  ただ、団体によりましてはどうしてもやっぱり財政状況にいろいろな差がございまして、そういう全般的な財源手当てがされている水準だけでなかなかやっていけないというふうな事態になってくるケースがございます。これは五十年代にもオイルショック後にございまして、そういうときに、特に財政が一般のところよりきつくなっているというところについて、一方で行政水準を維持しながら財政の健全化も図らなくてはいけないというふうな要請にこたえていただきますように、通常決められております充当率以上に地方債を出すというふうなことを認めようというのがこの健全化債でございまして、そういたしますと、当然将来の財政負担はそれだけ重くなる、その団体については重くなるわけでございます。  それは、片方で財政健全化の努力をもって将来のそういう通常を上回って出す地方債償還についての財源を確保していただこうということで、財政健全化債というものを五十年代に設けておったわけでございますが、最近のこういう状況でございまして、特にやっぱり大都市部の府県を中心にして財政が厳しくなっているということから、この健全化債というのを十年度について、恐らく十一年度についてもそうなると思いますが、そういう希望のある団体について財政健全化債を出すというふうな形でやっていこうというふうに思っているわけでございます。
  94. 白浜一良

    ○白浜一良君 それで、五十年代に行われたことは承知しているんですけれども、事務次官通達で昨年の四月に発行許可の可能性を述べられたということで、今趣旨はおっしゃったとおりなんですが、特段、平成年度で発行された件数とか、また、それを発行される場合の、どういう条件で許可したか、こういうことがございましたら、そこをお教えいただきたいと思います。
  95. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 大体、健全化債は、年度の締めくくりに当たりまして全体いろんな財源カウントをして、財政状況大詰めの数字を把握して、これだけ財政健全化債を出して決算をしたいというふうな形になってまいりますので、最終的にはこれから年度末に向けて数字が固まってくる、あるいは団体の申請が出てくるわけでございますが、今私どもが聞いておりますところでは、県で六つ、政令市で二つ、それから一般の市町村で四つ、計十二の団体がこの健全化債を出したいというふうな希望を持っておられるというふうに承知いたしております。
  96. 白浜一良

    ○白浜一良君 こういう時期ですから、平成十一年度になって好転するわけじゃないんで、こういうお考え平成十一年度も踏襲されるだろうというふうに理解していいんですか。
  97. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 十一年度の今ごろの状況というのは、なかなかまだ見きわめのつけにくいところがありますが、全般的に地方税の収入が十一年度は三角八・三で見込んでおるような状況でございますので、全般的にその水準でいきましても、団体によってはもっと落ち込みの大きいところというのは当然あり得る話でございまして、そういう場合にはやはり十一年度においてもこの健全化債という対応をしなくてはいけないケースは当然あり得るだろうというふうに考えております。
  98. 白浜一良

    ○白浜一良君 わかりました。  それでは、次に行きたいと思います。  先ほど質問されたことと関連いたしますが、この地方債の格付の話で、先ほど局長は、元利払いは国が保証しているからそういう差はないんだと、こういうふうな趣旨の答弁をされました。それは、そういう意味ではどの県の、どの市の債券だって別に一緒だと言えるのは、私は間違いないと思います。  直接関係ございませんが、きょうの朝刊を見ましたら、いわゆる機関委任事務をすべて廃止する、こういうことで昨日自民党の部会でいわゆるその内容を了解されたという報道をきょう見ましたが、国と地方関係というのは、従来からいろいろ言われていますように、縦じゃなしに、いわゆるそういう意味では機関としては対等なんです。そういうふうにしていこうと、こういう流れをつくればつくるほど、やはり自治体の格差というのは出ると思うんです、当然。国が一切責任を持って、その補完的なことを都道府県、市町村がやっているというのであれば、そういう地方債に対する局長がおっしゃたような意味もわかりますよ。  しかし、住民に直結している自治体を尊重して、地方分権とかいろんな流れがもう盛んに主張されているわけですから、そういう意味でいいますと、やっぱり地方の経営に対する責任地方の経営の実態に対する格差というのは、これはいや応なしに出てくると思うんです。別に私は格差をつけることが本義じゃございません。だけれども、そういう一つの実態というものがやはり明らかになってあらわれるから、ある意味で、それは競合する意味ではいいと思うのであります。  無制限に自治体といえどもそういう行政をできるわけじゃないわけで、厳しく限られた条件の中でしかやっぱり自治というのはあり得ないわけですから、そこでいろんなやっぱり住民と一体になって知恵を出して、よりよき自治体運営をされるということが本義ですから、そういう意味ではやっぱりいいところはいい、悪いところは悪いと、こういうふうな差もやはり国民の目に明らかになってくるというのももうやむを得ない流れだと。  そういう流れからいいますと、地方債の本当に健全化という意味からいって、国が元利保証しているからいいんだ、一緒なんだというような考えだけでいいのかという考えが率直に私なんか思うんですが、この点はいかがでしょうか。
  99. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 御指摘のとおり、これからの将来展望という角度から論ずるならば、まさに今よりもはるかに分権といいますか、それぞれの自己責任というものがはっきりしていく。そういう中で地方団体みずから財政的な自己規律をきちんとわかりやすく市場にも示していく、そういう意味で非常に大事な視点だと思います。同時に言うなら、地方がぐあいが悪くなれば国に駆け込めば何とかなるよというようなことではなくなっていくという、流れはそっちへ持っていかなきゃならないということであれば、市場における格付がおのずから結果として差が出てくるということは一つの流れだろうと思います、将来展望は。  ただ、ことし民間でいろいろ試みがなされておるわけですが、じゃ現段階でどういう意味があるのかということからいえば、今現在では地方税交付税を言うなら担保として地方債というものが成り立つわけで、その償還財源については独自の努力だけでなくて、一応地方財政計画という枠組みの中、あるいは交付税ということが一つの背景としての保証措置をとっている、そういうようなこともあって現在BISの対象でも国債、政保債と同じようにいわばリスクウエートはゼロであるという取り扱いということにもなっている。そういうことを反映して、現実に相場の方でもそれほどの格差は開いていないという現実の、格付会社はいろいろ格付行われたんですが、現実にはそれほどの開きはないということでありますので、今の段階での意味づけと、それから将来への意味づけはおのずから違うと。  ただ、こういうことを通して、それぞれ地方団体自身がみずからさらに襟を正して自己規律を強めていくということに働いていけば大変結構だし、また格付会社自身が結果において妙な格付をすれば世の中から格付されるわけですから、そういった意味で今から試みが始まっていく状況でしょうから、余りむきになって今コメントするのは差し控えたい、率直にそんな思いでございます。
  100. 白浜一良

    ○白浜一良君 今、大臣おっしゃるとおりだと私も思うんです。思うんですが、実態の方が先行するんですよ。  私が聞いた話では、昨年八月の北海道の債券ですか、それが買い手がつかなくて発行価格を一円三十銭下回る安値で販売した、こういうことを聞いているんです。それはいろんな要因あるんでしょう。いろんな要因あるとは承知しておりますが、保証しているとはいえ、実態的にそういうことは先行してあらわれてしまうというか、ということもあるわけで、保証されて地方債発行しても引き受けがないというような事態も起こり得る可能性はあるわけです。ということで私は申し上げているわけで、この北海道の件、局長、何かコメントございますか。
  101. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 市場公募債を出しますときに、関係団体、シ団と交渉して条件を決めておりまして、確かに同一条件で売り出して価格に差がついたということは昨年の秋ございました。  そのとき、どういう要因なのかということは、これは市場の判断でありますので正直言って、あの当時の北海道経済とか北海道の財政とか、どういうふうな評価になったのかということは私どもなかなかうかがい知れないところがございますが、私どもは基本的にはさっき申しましたように信用力に差はないものというふうに思っておりまして、現に少しの期間そういうことはございましたけれども、今はそういう事態はございませんで、北海道の地方債についてもまた同じような条件になってきております。  そういう意味では、やや市場の評価ということについて、あるいは市場の方が今の地方財政の仕組みをどういうふうに理解してくれているのかなということについての思いも正直言ってございまして、その後シ団の関係者とも話をしましたり、あるいは引き受けていただく方々にいろんな説明をしてほしいというようなこともございまして、いろんな説明の機会を設けさせていただいて、その点についての理解は私どもなりにかなり進んできているなというふうに思っております。  それから、さっき委員がおっしゃいましたいろんな差がついてきて当然ではないかという話に関連して、地方団体の側から恐らく言いたいというふうに考えますのは、やはりみずから償還できるような財源を地方税制で担保されるということが前提にならないと、規律と言いましても先立つものが入ってこないような制度のもとで地方債償還に差があってそれを甘受せよということはなかなかいかないんではないか。したがって、それは将来の展望として、税財政制度全般の話とはやっぱり裏腹の関係になるものではないかというふうに考えます。
  102. 白浜一良

    ○白浜一良君 それはそうでしょう。それは私もよく理解していますが、先ほど象徴的におっしゃったけれども地方債内容を市場が余り理解していなかったんじゃないかとおっしゃいましたが、確かに知らなかったから説明してよくわかってもらったと、そういう点もそれはあるかもわかりませんが、やっぱり市場の方がもっとシビアだという側面もあるわけですよ。私は、そういう意味で言っているわけでございまして、説明して、それでよかったと言えばそれでよかったんですが、それで済まぬ、市場というのはやっぱり自由なんですから、それは余り軽々しくお考えになってはいけないということだけを言っておきたいと思います。  もう時間もないので、本当に余り質問やっておりませんが、最後に一点だけ大臣にちょっとお伺いしたいんですけれども地方と国の財源問題を考えるときに、いわゆる特定財源の見直しというのはいろいろ従来から議論されているわけでございます。揮発油税とか自動車重量税とかいろいろございますが、これは当然大蔵とも関係してくるんですが、そういうふうなものを不断に見直すような機会があっていいんじゃないかと、時代とともに。私なんかもっとフレキシブルに考えるべきだと考えているんですが、この点につきまして大臣のお考えをお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
  103. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 御指摘のとおり、目的税、特定財源について不断に見直しをすべきだという御指摘はそのとおりだと思います。  今日時点では、ただ、特に道路に関して地方についてはるかに国のレベルよりも整備状況がおくれているという現実がある。特定財源比率が非常に差があるということも事実でございます。そういう点で、特にこれから地方道の整備という意味でこちらの方をさらに充実していきたいという思いを強くいたしておる。特に、国、地方の見直しの中で、市町村道等についての仕事の役割がますます国から地方の方へシフトしていくという傾向を頭に置いて考えますときには、なおさらその財源措置という意味で大事な意味があるというふうにも考えております。
  104. 白浜一良

    ○白浜一良君 終わります。
  105. 富樫練三

    ○富樫練三君 日本共産党の富樫練三でございます。一昨日に続いて大臣に地方財政の問題を中心に伺いたいと思います。  きょう午前中からの質疑の中でも財政問題が中心になっているわけですけれども、今実態としては地方財政の危機的な状況、これはまさに政府経済財政政策の失敗によって加速度的に進んでいるというふうに理解しております。  例えば、午前中も出ましたけれども地方の累積借金が九九年度末で百七十六兆円、さらに九九年度地方財源不足が合計しますと単年度で十三兆円も不足するということ、あるいは地方財政計画全体の規模八十八兆円のうち十一兆円が地方債、同時に公債費が約十一兆円ということですから、借りた分はそっくり返さなければならない、こういう事態にもなっております。すなわち、借金を返すために借金をする、こういう状況が生まれているわけです。しかも、その返済の十一兆円のうち利息分が四兆二千億円、三七%にもわたるわけでありますから、利息のために借金をする、こういう事態になっているわけなんです。そうしますと、累積の借金や単年度地方財政不足分、そして借金の利息支払いのための借金、こういうところに今の財政のゆがんだ姿が端的にあらわれているというふうに考えなければならないと思うんです。  特に新年度財源不足の中では、当面の経済政策いわゆる景気対策、これによってもたらされる不足分、そしてもう一つは、国と地方の仕事の配分、そして財源の配分がバランスがとれていない。仕事は国が四割で地方が六割やるけれども、税収などの財源では国の方が反対に六割で地方が四割、こういう制度上のアンバランスからくる地方財源不足、大きく分ければこういう二つの問題があるのではないかというふうに思います。  そして問題は、今度の新年度地方財政計画が、法改正や新しい制度、こういうものを取り入れられるわけですけれども、当面の矛盾やあるいは根本の矛盾、こういうものを解決する方向に向かっているのか、それともそれを一層深刻化する方向に向かっているのか、一〇〇%解決できなくても一歩なり二歩なり前進する方向に向かっているのか、ここのところがまさに問題だろうというふうに思うんです。一年間ですぐに解決しなくても解決の方向に確実に向かっているんだ、こういうことが今政府には求められていると思うんです。  この点については午前中も質問があったわけでありますけれども、まず最初に、大臣は、どっちの方向に向かっているのか、どういう認識をされているのか、ここのところをひとつお願いしたいと思います。
  106. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 率直に言って、結論においてはまだ横ばいだと思っています。結局、私は従来よりは前進していると思います。それはやはり、少なくとも今年度、たびたび申し上げておりますが、恒久的減税に伴う地方税の減収について、その財源補てん措置を、たばこについての国、地方の配分比率の見直し、あるいは法人税についての地方交付税率の引き上げ、そして地方特例交付金という、四分の三をこういう形で手当てする、それを単年度限りではなくて、少なくともこの恒久的減税措置が行われるその裏づけとしてその間はこの姿を維持するという措置をまずやったと。  そういう意味で、単年度ごとの勝負ということではなくて、そういう形がまずとられたということは従来にない一つの前進である。また同時に、残り四分の一の補てん債もありますが、通常の収支不足財源不足についても国、地方折半で対処する。こういうことで、結果において交付税については前年度に比べて一九・一%の増であり、そして地方税と合わせた一般財源ベースでいえば対前年で一・四%増という一般財源を確保したということは、個々自治体財政という側面から見れば、これは決して今年度限りの話ではなくて、その背景となる考え方そのものは私は従来よりは前進をしてきたと。  しかし、ではこれで満足できる姿になっているか、あるいは今後いつまでこの形を続けていくのかということについて、どのような形で最終的にきちんとした整理がなされるのかということについての結論は、たびたび申し上げておりますが、今その全体像をクリアにできる状況にはないと。それについては、これから後の景気の立て直し、それに伴い税収構造が安定すること、それに伴って国、地方の間の税源の見直しなどを通じたいわば税財源の見直しということが当然裏づけとして必要になるわけであります。  もちろん歳出側面におけるいろんなこともありますけれども、基本的に今申し上げたような形でありますので、そういう意味で、これで満足すべき姿になっているとはとても言えないわけですが、また従来よりも悪くして、その場限りでやっておるということではない、従来よりはやはり物事の整理の仕方としては前進をした整理の仕方がなされているというふうに理解をいたしております。
  107. 富樫練三

    ○富樫練三君 横ばいと、こういうお答えなんですけれども、具体的に伺いたいと思います。  九九年度地方財源不足、この対策なんですけれども、まずは政府景気対策としての恒久的な減税による財源不足、この点については午前中からの各質問者からも共通の問題として出されてきたと思うんです。  実際にはどうかというと、この影響額というのは地方全体で約二兆六千億円、そのうち地方税減税分、これが約一兆円というわけなんですけれども、国税の減税による交付税に対するはね返り分というかマイナス分、これが約一兆五千億円、こういうことなんです。その対策として、たばこ税の一部移譲、法人税交付税率の引き上げ、特例交付金、これは新設ですけれども、さらに交付税特別会計借入金の二分の一を国が負担するということで、国負担分の合計は約一兆五千億円、こういうことになります。二兆六千億円影響を受けるんですけれども、そのうち一兆五千億円は国が負担しましょう、さらにこの残りの部分地方の負担分でありますけれども減税補てん債、交付税特会借入金の二分の一の地方負担ということですから、残る一兆円ぐらいは地方自治体が負担することになる、こういうことになるわけなんです。  そこで、伺うわけなんですけれども政府経済政策の失敗の結果としての景気対策、こういうふうに私は思うんですけれども、これに対してなぜ地方まで減税影響を受けなければならないのか、なぜ地方税減税までこれに含めて責任を一緒に負わなければならないのか、こういう問題なんです。先ほど景気対策は国と地方は車の両輪だ、敵対するものではない、こういうふうな答弁もあったわけですけれども、それにしても地方自治体の財源であります地方税まで影響を受けるというのはこれはなかなか自治体としては納得ができない、こういう問題があると思うんです。  この不況を招いた責任の半分は地方にもあるんだ、したがって地方税減税して、さらに穴のあいた部分地方自治体にも負担してもらおうではないか、こういう理屈が成り立つのかどうか。ここについてまずお答えいただきたいと思います。
  108. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 不幸にして経済が予想以上に落ち込んだ結果、言うなら予想以上の税収不足に国も地方も陥っているというのが偽らざる姿だと思います。そういう点で、経済が予想以上に落ち込んだということの責任を、すべて国の責任で、経済の落ち込みによる税収減の責任も国が全部責任を負うべきであるというのはちょっときついんじゃないんだろうか、率直にそのようにも思います。もちろん、すべて正しかったかどうかと言われたらいろいろ反省すべき点は多々あるだろう、しかし、経済が落ち込んで税収が落ち込んだというその責任を全部、責任論で片づけるのはいかがなものか、率直にそんな思いがございます。  それよりも大事なことは、この落ち込んだ経済をどう立て直していくのか、そしてそのことによって国も地方もどうやって財政を立て直していくのか、そして住民の必要な仕事を責任を持って遂行できるような仕組みをどうやって保障していくのか、むしろそちらの方に目を転じていくべきものではないか。  そういう意味でいえば、現在の落ち込んでいる経済を立て直していく上で、少なくとも地方公共団体が担う、公共事業については事業費ベースでは八割方が地方が主体になっているわけですね。そういう意味で、地方自治体の協力なしにはそういう意味での経済景気対策もなかなか成り立たないというこれも現実だし、それは何も景気対策という側面からだけで見るのではなくて、地方におけるニーズを満たしていくという要素も現にあるわけですから、そういった意味で、国、地方がお互い協力しながら必要な仕事をしていくことを通じて景気対策に役立っていくんだというとらえ方をすべきなのではないか、そんなことを申し上げておるわけでございます。
  109. 富樫練三

    ○富樫練三君 すべて国がというのは厳しいのではないかというふうにおっしゃいますけれども、私は、基本は国にあるんだということをしっかり踏まえるべきだ、こういうふうに言っているわけなんです。ですからそういう意味で、今度の減税による穴のあいた部分財源不足を、少なくとも二兆六千億のうち一兆円は地方自治体が負担しなければならない、そういうことは当てはまらないだろうというふうに思うんです。  私は、この間埼玉県で、減税影響地方財政にどう影響が出ているのか、こういうことを調査してまいりました。自治体は何を望んでいるのか、こういう問題も含めてです。現在まで、全県九十二市町村、県を合わせますと九十三自治体があるわけですけれども、そのうち七十二自治体財政担当者から回答をいただきました。  理事会の御了解をいただきまして、皆さんのところにこれから資料を配ってください。    〔資料配付〕
  110. 富樫練三

    ○富樫練三君 今度のいわゆる景気対策のための減税によってそれぞれ地方自治体の税収にどのような影響があるのか、こういう点であります。大変文字が小さくて見にくいかと思うのですけれども、めくっていただいて二枚目の棒グラフでありますけれども、縦の線が、これは平成年度の税収見込みに対する今度の減税分、どのぐらいのパーセントの比率で落ち込むかということです。  左側の方に狭山市というところがあるんですけれども、ここは八・七%税が落ち込む、こういうのが出ております。真ん中あたりの二番目に高いところは蓮田市でありますけれども、ここは七・八%。平均しますと大体六%から七%近くの影響が出る、こういう回答が寄せられているわけです。金額での最高は浦和市で、落ち込み分が四十七億四千四百万円、六・一%落ち込む、こういう回答が寄せられております。  次のページでありますけれども、どういう希望があるのかということで、この棒グラフの一番左、一番棒の高いところでありますけれども、「景気対策政府責任で行うべきだ」というのが七十二自治体のうち二十六自治体、三六%に上っているわけなんです。  ですから、こういう点から見ても、今地方自治体にしてみれば、景気対策は必要だと思うけれども、その財源まで含めて地方自治体責任を負うというのは苦しいんだというところが大変よくあらわれていると思うんです。  そういう点では、ぜひこういう声を国の政治にしっかりと生かしていくこと、これを自治省がきちんと受けとめる、こういう対策が必要だというふうに思うわけですけれども、大臣の感想をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  111. 野田毅

    国務大臣野田毅君) よく細かいところまでお調べをいただいたと敬意を表します。  その中で、それぞれ自治体から出されております声についてもお伺いをいたしましたが、さもありなんと。大体予想しておるようなお答えであるように思います。  私もたびたび申し上げておりますが、基本的に、景気対策について少なくとも地方に御協力をお願いしようというのであれば、ただお願いをして仕事だけ押しつけるということではなくて、必要な財政支援措置をあわせて用意して、その上で御協力を要請するということが基本でなければならぬというのはそのとおりだと思います。  そういう点で、従来よりも本年度措置については、先ほどいろいろ御議論もいただきましたが、過去の数次にわたる景気対策を組んできたときよりもはるかに今回の方がさらに突っ込んだところまで配慮がなされてきているということは私はあえて申し上げたいと思うんです。  もちろん、これで満足しているということじゃありません。しかし、それだけ前進、努力の跡は、これはぜひ理解をしていただきたいというふうに考えております。
  112. 富樫練三

    ○富樫練三君 大臣が言うのは、たばこ税の一部移譲とか法人税の税率の引き上げとか、こういうところまで切り込んだというか手をつけたというか踏み込んだ、こういう対策をやっているんだということ、あるいは特例交付金、これを新たにつくったんだ、こういうことを言わんとしているんだと思うんですね。  ただ同時に、この恒久的な減税影響額に対する地方自治体の負担の問題を考えると、減税補てん債で二千六百七十八億円、さらに交付税の特別会計の借入金、これの二分の一、七千六百四十二億円、これはいずれも借金なんです。要するに、税収の落ち込み分は地方自治体の負担分でいえばすべて借金なんです。こうやって借金を膨らませるようなやり方をやってきたことも確かなんですね。しかも、九九年度もそういうやり方になっているというわけなんです。  ですから、確かに一部たばこ税とか法人税の問題はありますけれども地方分でいえばこれは全部借金なんだ。こういうやり方がいいのかどうか。この点についてはどうですか。
  113. 野田毅

    国務大臣野田毅君) それで、冒頭の御質問のときに、これで満足できるかというと満足できることではございません、これで抜本的な対策ができましたということを言うつもりはございませんと。これは、抜本的な対策というのは、もうたびたび申し上げておりますが、経済を安定軌道に乗せた上で地方分権、いろんなことを総合的にきちんとやりたい、それまでの、いわばこれは当分の間の措置であるという認識をしておりますと。こういうことを申し上げておるわけです。
  114. 富樫練三

    ○富樫練三君 その減税による影響分と、もう一つは、恒常的なといいますか構造的なというか、今の制度上からくるいわゆる通常収支の不足分、これが約十兆四千億円ということであります。  この十兆四千億円を九九年度どうやって補てんをしようかということで、今出されているもの、この約十兆四千億円、そのうち地方交付税で八兆一千億円を見る。もう一つ地方債、いわゆる財源対策債で二兆二千五百億円、これで穴埋めしよう、こういうふうになっているわけですから、この時点でさらに二兆二千五百億円のいわゆる借金地方にはできる。地方財政計画がそのまま行われればこういうことになりますね。  さらに、この交付税の八兆一千億円分、これを増額措置分と過年度分の精算の繰り延べ、こういうことでやられるわけですけれども、増額措置の七兆四千億、その中で国の方と地方の段階で借り入れた分の二分の一ずつ、三兆四千億円ずつ、これは半分こしようではないか、こういうふうに決めているわけなんですね。そのほかに一般会計からの加算措置が別途あるわけです。  ここで伺いたいのは、先ほどの減税による落ち込み分、これについても交付税特会借り入れ分についてはこれは国と地方が二分の一ずつ、さらに通常収支の不足分の交付税特会借り入れ分についてもこれまた二分の一ずつ、要するに折半しようじゃないか、地方財政不足分の地方交付税特別会計に関連する分についてはお互いに半分ずつ負担しようではないか、こういうふうにしているわけなんですね。そこで、半分ずつにしなければならないというその理由は何なのか、それから五〇%、五〇%にしたその根拠は一体どこにあるのか、ここのところをきちんとぜひ伺いたいわけなんです。
  115. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 毎年度地方財源不足をどうやって補てんするか、それからその中で地方交付税総額をどうやって確保するかといことは、基本的にはその時々、毎年度の国と地方役割分担とか財政状況を踏まえながら対処してきたというのが過去の経緯でございます。  御案内のように、ただ平成年度、九年度、それから十年度以降、いわゆる交付税法の六条の三の第二項の状態になっておりますので、制度的な対応をする必要があるということで、その際にそれじゃ財源不足のうち交付税で対応すべきもの、これについてどうするかということについて、国庫当局と私どもの方といろいろ折衝して決めてまいりましたのが国と地方交付税特会借り入れ分を折半するというやり方、これを制度化しようということでございます。  その考え方は、国税と地方税がおおむね二対一でございますが、交付税を国税から地方に移した後で一般財源ベースで考えますと、おおむね国と地方の財源の配分割合は一対一になっているということで、地方一般財源である交付税総額が足りないものについては、それを一般財源ベースの国と地方の配分割合、これを用いて一対一にしようというのが基本的な考え方でございます。これは昭和五十二年とか五十三年とかいうときにも財源不足が出まして、単年度措置ではございましたけれども交付税法の制度改正を行いましたときにも同じような考え方でそういう措置をとったところでございます。
  116. 富樫練三

    ○富樫練三君 それはちょっとおかしいんじゃないかと思うんです。交付税法の六条に該当する状況がこの間続いている、そういう場合には交付税率を当然引き上げるなどの対策をとるのが必要だと思うんです。その一環として法人税が今回引き上げられたという問題はあると思うんですけれども。  ただ、交付税の会計が少ないから借り入れをする、借り入れを二分の一ずつにすることによって税配分が国と地方の仕事の量、あるいはそれに応じた形になるんだ、こういうことのようですけれども、今回についていえば、折半にしようではないかというのは、二〇〇〇年までと言われていたいわゆる財政構造改革の集中期間中、こういうことで二分の一というふうに、そういう要素も含めて検討されたんではないですか。そこはどうですか。
  117. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) まず、地方交付税法の六条の三第二項というのは、交付税が、今で言えば五税に一定率を掛けるわけでありますが、その五税に一定率を掛けた交付税が必要とする交付税総額に一割以上足りないというふうな状態になっていて、それが三年以上続くといったような状態のときに交付税率の引き上げ、あるいは地方財政制度の改正を行いなさいというのが六条の三でございます。  八年度も九年度もそういう事態でございましたので、八年度、九年度は単年度措置としてその足りない分を交付税特別会計借り入れてその償還を二分の一ずつ折半するという制度改正、単年度の制度改正をして交付税法の六条の三の事態に対応したということでございます。  今、委員が構造改革との関係をおっしゃいましたけれども、確かに十年度以降におきましてはこういう単年度措置だけではなかなか中期的な安定が図られないという観点がございまして、ちょうど十年度、構造改革が始まった年でありますが、その十年度、十一年度、十二年度の三年間の中期的なルールをつくろうと。その間の償還を先に繰り延べますとともに、あらかじめその三年間の分については交付税の足りない分は折半するということで、三年そのやり方で行こうということを決めたというのが十年度の改正でございました。  その後に恒久的な減税という話が出てまいりましたので、これは単年度財源不足ではございませんで、私どもとしては、恒久的な財源不足だからこれは恒久的な手当てが必要だということで、たばこの移譲でございますとか、あるいは法人の交付税率の引き上げとか、特例交付金とかという制度改正を行ったと。それを従来の二分の一に折半するというものに加えて、そういう恒久的な制度改正を行って全体として六条の三の第二項の事態に対応しているということでございます。
  118. 富樫練三

    ○富樫練三君 それは全然理屈に合わないんですよ。  例えば、財政構造改革をやろうということで法律を決めましたね。ところが、その法律は間もなく、昨年凍結されましたね。ですから、そういう意味でいえばこのルールも、三年間という約束であったんだけれども、基本になっている法律が凍結されたわけですから、このルールだって本来ならば凍結されて当たり前なんです、ということですよ。  それからもう一つ、その後いわゆる恒久的な減税の問題が出てきた、したがって二分の一にしたんだと。仮に百歩譲ったとして、じゃ恒久的な減税影響額については半分ずつなんだというふうに言っても、この通常の収支不足の問題、十兆円、これに関する交付税の特別会計の借入金についても半分ずつにしなけりゃならないというのは、これは理屈が通らないでしょう。そこはどういうふうになっているんですか。
  119. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) まず、構造改革との関係でありますが、構造改革法がスタートいたしましたときは、御案内のように構造改革期間というのは六年でございました。そのうちの前三年を集中改革期間にしよう、こういう話でございました。片方で、私どもの毎年度地方財政対策は八年度、九年度と六条の三第二項の規定の事態になりまして、単年度措置、要するに借り入れ分の半分、折半するというやり方をしてまいりましたが、十年度いよいよ構造改革に取りかかるという、そういう時期でもございますし、単年度措置ではなくてもう少し中期的な仕組みをあらかじめつくっておきたいということで、これは何も構造改革法を、要するに法律を引用して制度を決めているわけじゃございませんので、これは交付税法におきます制度でありますから、その際に、構造改革法に言ういわゆる集中改革期間のいわば期間を援用してまいりましてそういう三年間ということを考えたわけでございます。  それから、今、委員がおっしゃいました恒久的減税分という話が後から出てまいりましたので、それについては二分の一ということではなくて、その恒久的な減税が出てきたものの地方税部分については、先ほど申しましたような恒久的な財源措置、それを地方行政財政制度の改正として行いまして、交付税影響してくる分については、あらかじめ設けた三年間のルールをこれも援用いたしまして補てんをするやり方にしたと。通常収支分の不足分の交付税対応分、これはあらかじめ三年間はこのやり方でいこうということを仕組みとして設けておりましたので、それをそのまま使ったということでございます。
  120. 富樫練三

    ○富樫練三君 私、今聞いていて本当にへ理屈だなというふうに思うんです。自分の都合のいいところだけは次から次へと持ってきて、それでつじつまを合わせる。結果としては地方の負担をふやすということにしかなっていないんですよ、これは。こういうやり方をやっていたのでは、地方財政の問題は私は解決できないというふうに思うんです。  そこで、次にもう一つ、今度の地方財政計画の中で新たに臨時経済対策事業、八千億円ですね、これが設けられました。説明によりますと、地方単独事業事業量確保を図ることができるように新たに計上したというふうに言っております。一月二十日の財政課長の内簡によれば、景気対策分八千億円については、地方債及び地方交付税による措置を講じることとしているので適切な活用を図られたいというふうに言っております。すなわち、借金して国の景気対策に協力してくれ、こういうことであります。  そこで、伺うわけなんですけれども、九三年度平成年度から九六年度平成年度までの地方財政計画における投資的経費のうちの普通建設事業地方単独のもの、これは平成八年までは決算がもう既に出ているわけですから、これで消化できなかった未消化部分、その金額はそれぞれ平成五年から平成八年までどのぐらいの金額になっているのか、これをひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  121. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 今、委員は計画未消化という言い方をされましたが、私どもは、計画と、地方団体が実際に行いました事業、これを決算でとらえて、そこにどのくらいの差があるかということで、計画と決算はもともと性格が違いますから、そういう意味で私どもはあえてそういうふうに申し上げておるわけでありますが、それで申しまして、五年度の場合には四千五百億程度、それから六年度は一兆二千億程度、七年度は一兆九千億程度、八年度は二兆九千億程度の乖離がございます。念のために、平成二、三、四は逆に一兆二千から一兆五千ぐらいの逆乖離がございます。
  122. 富樫練三

    ○富樫練三君 今の数字で明らかなように、九三年度から九六年度までは、四千五百億円台から一気に九四年には一兆二千億、一兆九千億、さらに二兆九千億、約三兆円未消化分があるわけなんです。これは比率にして言えば、当初見積もった地方財政計画に対しては二・四%が九三年度でありますけれども、九六年度は一四%台にふえているんです。これがどんどんふえている。  地方の方は、幾ら借金を許すから、借金を認めるから、借金してでもいいから単独事業をどんどんやりなさいというふうに国の方が号令をかけても、借金するとはいっても当然地方の方には裏負担があるわけなんです。しかも、その借金は後で返さなきゃならない。その返す分については後で交付税で面倒を見ますよ、こういうふうに国は言うんだけれども、例えば不交付団体の場合は全くないわけですし、面倒を見てくれるとはいったって、その分丸々来るのかどうかというのは極めて不安定要素が多いわけです、仮にたまたま収入が多くなれば交付税はぐんと減るわけですから。そういう点を考えれば、地方の方は、将来を考えたら心配でこういう仕事はなかなかやり切れない、これが実態ではないかというふうに思うんです。  ですから、そういう実態をよく考慮しないで、新年度もまた八千億円も見込む、これはまさに実態を知らない人がやること、こういうやり方が政府に対する自治体からの信頼を失っているんだというところについてどういうふうに考えますか。
  123. 野田毅

    国務大臣野田毅君) これだけの乖離が現にあるということは十分承知しておるわけです、この点は。しかし同時に、単独事業、これは地方自身が主体的に判断して決定する、これは当然の姿であると思います。  そういう点で、地方がそれぞれみずからの財政健全化のためにいろんな努力を現に重ねていただいておるということも事実。そういう中で、主体的に判断して必要な単独事業を行おうとする上で、財源面の支障を来さないような配慮をするというのは当然の、自治省としてはやるべき財源手当てを十分にするということは、これまた大事な役割だと承知をいたしております。  そういう点で、それだけの手当てを用意しただけできなかったという地方の実情があるということはそのとおり素直に受けとめて、地方財政なり、いろんな財政状況の厳しさを我々もその中で把握しなければならないし、同時にまた、地方自身のみずからの財政健全化の努力ということも見なければならないというふうに考えております。
  124. 富樫練三

    ○富樫練三君 今回の地方財政計画の中で、先ほどもちょっと触れましたけれども、新たに地方特例交付金、この制度が設けられることになっております。説明によれば、これは地方税の代替的性格を有する財源というふうに言っているわけでありますけれども、要は国から交付する財源であります。  そういう点でいえば、これは地方税減税分について穴埋めするためにこの制度を設けるわけなんだけれども、本来地方税の落ち込み分を穴埋めするのに、なぜ一たん国を通じて地方に交付金として出す、国を通過してから地方自治体に出す、こういう方法をとるのか。本来ならば、地方税で落ち込んだ部分地方税で賄うというふうにするのが、地方財政自主権を尊重するということであればそういうことだと思うんです。それをわざわざ一回国のトンネルを通してから地方自治体に出すということになれば、これは地方財政自主権を後退させる、そういう性格のものになるんです。  これは地方交付税の場合もそういう性格が大分ありますし、地方債の場合もそうです。すべて国の言う方向に地方自治体が誘導されていくような金の出し方をする、こういう方法を常に取り入れてきているわけなんです。大臣は、地方が自主的に主体的に判断してやるんだ、こういうふうに言いますけれども地方の方が主体的に判断できないような仕組みにしてきたのが今までのやり方だし、今度の九九年度の新しい予算でも地方財政計画でもそういうふうになっているんじゃないですか。だから、こういうお金の出し方ではなくて、地方の自主的な財源をもとからちゃんと確保する、こういう方法でやるのが当然のことではないですか。どうですか。
  125. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 一〇〇%質問の御趣旨を私が理解したかどうかちょっとわからないんですけれども地方特例交付金というのは、少なくとも地方税の世界における恒久的減税措置によって生ずる地方税の減収額をどう補てんするかという世界の話でございます。  そういう点で、それを補てんする上で、結局その特例交付金をどういう基準で配分するかという話になるわけで、それには一応計算をして、減税に伴う減収分が各自治体ごとにどういう形で発生するかと。つまり、得べかりし収入がどの程度剥落するのかという計算をした中で、結局不交付団体も交付の対象にするということでなければ地方税の減収補てん措置にならないわけでありますから、その点は逆に地方税、まさに自主財源の穴埋めなんだということで御理解をいただけるのではないかというふうに私は考えております。
  126. 小山峰男

    委員長小山峰男君) あと三十秒ですので、よろしくお願いします。
  127. 富樫練三

    ○富樫練三君 時間がありませんので、最後になると思うんです。  要するに、景気対策地方財政を動員する、その結果として地方財源が足りなくなる、足りなくなったところは借金をする、借金をした部分については交付税で面倒を見ようと。ところが、交付税会計の方が今度はにっちもさっちもいかない、こういう状況になる。だから特別会計が今度は借り入れを起こす、その借り入れに対して国も地方も一緒に責任を負おうではないか、こういうふうになって、地方自治体借金総額としてはみずから直接した借金交付税会計の借金と合わせて百七十六兆円にもなる、こういうことになっているんです。これは悪循環から一歩も抜け出ない、こういうことなんです。その悪循環の中をぐるぐる回っているわけなんです。
  128. 小山峰男

    委員長小山峰男君) 時間ですから、できるだけ簡潔に。
  129. 富樫練三

    ○富樫練三君 ですから、今回、特例交付金であるとかそういうことをやってもなかなかここから抜け出せない、こういうことだと思うんです。ですから、ここに抜本的なメスを入れる、このことを要請して質問を終わります。
  130. 小山峰男

    委員長小山峰男君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後二時四十分散会