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1999-05-18 第145回国会 参議院 総務委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年五月十八日(火曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員異動  五月十三日     辞任         補欠選任      末広まきこ君     真鍋 賢二君      入澤  肇君     月原 茂皓君  五月十七日     辞任         補欠選任      真鍋 賢二君     清水嘉与子君      日笠 勝之君     但馬 久美君      月原 茂皓君     入澤  肇君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         竹村 泰子君     理 事                 海老原義彦君                 佐藤 泰三君                 江田 五月君                 入澤  肇君                 堂本 暁子君     委 員                 石井 道子君                 岡  利定君                 鴻池 祥肇君                 清水嘉与子君                 森田 次夫君                 矢野 哲朗君                 今井  澄君                 川橋 幸子君                 小宮山洋子君                 但馬 久美君                 浜四津敏子君                 阿部 幸代君                 吉川 春子君                 清水 澄子君        発議者      川橋 幸子君        発議者      小宮山洋子君    国務大臣        国務大臣        (内閣官房長官) 野中 広務君    政府委員        内閣審議官        兼中央省庁等改        革推進本部事務        局次長      松田 隆利君        人事院事務総局        任用局長     森田  衞君        内閣総理大臣官        房審議官     佐藤 正紀君        総務庁人事局長  中川 良一君        外務省総合外交        政策局国際社会        協力部長     上田 秀明君        大蔵大臣官房審        議官       福田  進君        文部省生涯学習        局長       富岡 賢治君        文部省初等中等        教育局長     辻村 哲夫君        厚生省児童家庭        局長       横田 吉男君        農林水産省農産        園芸局長     樋口 久俊君        通商産業省機械        情報産業局長   広瀬 勝貞君        郵政省電気通信        局長       天野 定功君        労働省女性局長  藤井 龍子君    事務局側        常任委員会専門        員        志村 昌俊君    説明員        内閣総理大臣官        房男女共同参画        室長       名取はにわ君        郵政大臣官房審        議官       平井 正夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○参考人出席要求に関する件 ○男女共同参画社会基本法案内閣提出
  2. 川橋幸子

    男女共同参画基本法案川橋幸子君外二名発議  )     ─────────────
  3. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十三日、末広まきこさんが委員辞任され、その補欠として真鍋賢二さんが選任されました。  また、昨十七日、日笠勝之さん及び真鍋賢二さんが委員辞任され、その補欠として但馬久美さん及び清水嘉与子さんが選任されました。     ─────────────
  4. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事入澤肇さんを指名いたします。     ─────────────
  6. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  男女共同参画社会基本法案及び男女共同参画基本法案審査のため、来る二十日、午後一時に、参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) 御異議ないと認めます。  なお、その人選につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  9. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) 男女共同参画社会基本法案及び男女共同参画基本法案を一括して議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 清水嘉与子

    清水嘉与子君 おはようございます。  私は、政府提案男女共同参画社会基本法を中心に質疑をしたいと思います。  今日、こうして私にもこの法案審議参加する機会をいただきまして、政府関係皆様方、そして我が党理事の皆さんにも感謝を申し上げるところでございます。  選挙のたびに、我が党におきましても女性社会参加でありますとか政策決定の場への進出でありますとかあるいは子育て支援、いろんなことで公約に載るんですけれども、選挙が終わりますと、どうもそういう問題解決に向けての動きがなくなってしまうような思いがしておりました。  平成八年の橋本内閣の総選挙公約におきまして、この男女共同参画社会を推進するための基本法をつくるということを我が党の公約にしたわけでございます。また同時に、当時の与党であります自社さの合意事項にも取り上げられたわけでございますけれども、実際いつこの基本法審議する日が来るんだろうかと待ちかねていたところでございました。こうした公約づくりに直接参加しました私といたしましても、今日を迎えたことを大変うれしく思っている次第でございます。  ちょうどこの法案が本会議審議されました四月十二日、私はブリュッセルで開かれました第百一回IPU会議女性議員会議参加しておりました。竹村委員長もこの女性会議調整委員として随分御活躍されたというふうに伺っておりますけれども、その日に私は、日本で超党派の女性議員が手を結んでこの男女共同参画社会基本法審議がスタートを切ったということを発表いたしまして、幾つかの国からエールを送られたところでございます。そういう意味でも、ぜひ各党合意のもとにこの法案が早く成立することを願っている次第でございます。  そこで、質問に入ります。  我が国では、日本国憲法で個人の尊重あるいは法のもとの平等がうたわれているわけでございますけれども、実際に我が国のこれまでの男女共同参画社会への歩みというのは、国連など国際社会における男女平等の実現に向けてのさまざまな取り組みに後押しされて進んできたと言ってもいいんじゃないかというふうに思うわけでございます。  一九七五年の国際婦人年から国連婦人の十年の間に、女子差別撤廃条約批准されましたし、そして我が国女性社会的地位も大きく前進したというふうに考えられます。今や婦人という言葉ももう女性に置きかわってしまいました。今後ともこうした国際社会における取り組みと連動していくことが我が国男女共同参画社会形成を図っていく上では必要だし、また有効なのではないかと思うわけでございます。  そこで、官房長官にお伺いしたいんですけれども、この国際社会における取り組みと連動することの必要性について、この法案ではどのように反映されているのでしょうか、お伺いいたします。
  11. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 我が国男女共同参画社会形成促進につきましては、累次の世界女性会議を初めといたしました国際社会におきますさまざまな取り組みと連動をして進められてきたところでございます。国際社会の一員として我が国男女共同参画社会形成は、国際的な連携、協力のもとに行うことが望ましいと考えておるところでございます。  このことから、本法案におきましては、基本理念といたしまして第七条で、「男女共同参画社会形成は、国際的協調の下に行われなければならない。」と規定をいたしますとともに、なお第十九条におきまして、男女共同参画社会形成国際的協調のもとに促進するための措置について規定をいたしておるところでございます。  委員指摘のように、今後も男女共同参画社会形成は、国際的な視点について十分配慮をしてまいらなくてはならないと考えております。
  12. 清水嘉与子

    清水嘉与子君 一九七九年第三十四回国連総会におきまして採択された女子差別撤廃条約我が国では一九八〇年に同条約を署名したわけですけれども、実際に批准できたのが一九八五年にずれ込んだわけでございます。  この条約批准に向けて、我が国では何点かの条件整備をしたというふうに伺っております。また、この条約批准をきっかけにさまざまな政策が具体的に進んできたわけでございますけれども、改めて条約批准時あるいはその後の男女共同参画社会形成のために行われてきた政府取り組みを簡単に教えていただきたいと思います。
  13. 佐藤正紀

    政府委員佐藤正紀君) 我が国におきましては、女子差別撤廃条約批准するために国籍法改正男女雇用機会均等法の制定、それから労働基準法改正を行うほか、家庭科教育のあり方の検討等を行いまして条件整備を行いました。こういうことを踏まえまして、昭和六十年に留保することなく批准をいたしたところでございます。また、批准後は、締約国として条約趣旨を踏まえまして各種施策を推進してきております。これまで四回にわたりまして条約実施状況に関する報告国連に提出するなど、条約の遵守に努めてきたところでございます。  今後とも、男女共同参画社会形成のため、同条約を誠実に遵守してまいりたいと考えております。
  14. 清水嘉与子

    清水嘉与子君 政府が非常に積極的に取り組んできたとおっしゃるわけでございますけれども、しかしその取り組みにもかかわらず、例えば意思決定レベルへの男女共同参画というのは、国際的な水準から見るととてもおくれているというふうに聞いているわけでございます。各国の比較におきまして我が国状況はどうなっているのか、特徴も含めてお教えいただきたいと思います。
  15. 佐藤正紀

    政府委員佐藤正紀君) 女性社会進出を図る指標といたしまして、国連開発計画、UNDPでございますが、そこが開発いたしました人間開発に関する指標のうちに、女性が積極的に経済界政治生活参加意思決定参加できるかどうかを図る指標として、ジェンダーエンパワーメント測定GEMと言われているようでございますが、これがございます。これにつきまして、我が国GEMが測定可能な百二カ国中第三十八位であると承知をいたしております。  このGEMは、国会議員に占める女性割合行政職及び管理職に占める女性割合専門職及び技術職に占める女性割合、及び女性稼得所得割合の四つの要素から算出されておりますが、我が国は、GEMの順位の高い国々に比べますと、国会議員に占める女性割合、それから行政職管理職に占める女性割合が低いという特徴があろうかと思います。
  16. 清水嘉与子

    清水嘉与子君 さきの統一地方選挙におきましても、大分女性進出は進んだようではありますけれども、しかしまだ立ちおくれている状況にあるということだと思います。  本法案におきまして、第五条において、「政策等立案及び決定への共同参画」、これを基本理念として掲げているというふうに考えておりますけれども、政府としてはその理念を具体的にどういうふうにして進めていくのかという点についてもお伺いしたいと思います。
  17. 佐藤正紀

    政府委員佐藤正紀君) 男女共同参画社会基本法案の第五条におきまして、「政策等立案及び決定への共同参画」を理念として掲げてございます。これは、男女社会の対等な構成員として、公的、私的分野を問わず、政策あるいは方針立案及び決定に共同して参画する機会が確保されることの重要性基本理念として明らかにしたものでございます。  本法におきましては、国がこのような基本理念にのっとりまして、積極的改善措置を含め、男女共同参画社会形成促進に関する施策を総合的に策定し実施する責務を有するとされているところでございます。政策方針決定過程への女性参画拡大男女共同参画社会実現のための重要課題でございまして、政府国内行動計画でございます男女共同参画二〇〇〇年プランにおきましても、重点目標の第一番目に掲げているところでございます。  具体的には、国の審議会等委員への女性登用促進などの取り組みを推進しているところでございますが、今後とも政府一体となりまして、政策方針決定過程への女性参画拡大に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  18. 清水嘉与子

    清水嘉与子君 今おっしゃいましたように、二〇〇〇年プランの中でできるだけ早い時期に二〇%、女性委員にしたいということでございましたけれども、昨年九月の様子では一八・三%、かなり近づいてきたとはいえまだまだではないか。  中央省庁の再編が行われます。そのときにも、これから審議会等整理合理化ということが行われるわけでございますけれども、その中で、政府の案では審議会の数が今の二百十二から九十に、また委員の数も五千三百人から千八百人に減るという案が出されているわけでございます。  ただ、運営方針の中に、女性委員比率を十年以内に三〇%に引き上げるというようなことが書いてありまして、ぜひ十年を待たずに努力していただきたいというふうに思うわけでございます。  今、私は党の中で国会承認人事審査に加わっているわけでございますけれども、特に女性の場合に、同じ人が幾つかの審議会にまたがって起用されるという率が高いんじゃないかというふうに思うんです。今は審議会兼任というのを一人が四審議会まで兼任できるという内規になっているそうでございますが、今度整理合理化が始まりますと一人が兼任できる審議会は三審議会だと、こういうわけです。それでも私は多いんじゃないかと思うんです。本当に、審議会がこんなに数も減って委員の数も減ってくる中で、同じ人が何回も審議会に加わるというのはいかがかなというふうに思っているわけでございます。  この兼任というのも、実はその背景には女性委員確保難があるというようにも伺っているわけでございます。考えてみますと、いろんな委員選任に例えばどこどこ団体の長であるとか何とか労働組合の長であるとかというふうに役職が指定されてしまいますとなかなかそこに女性進出していくというのが、そこまで変わるのが難しい点があるんじゃないかと思うんです。  そういう意味では、委員選考要件からそういった役職指定のようなものを少し外すとか、何か広く人材登用の道を開くべきじゃないかというふうに思うんですけれども、この審議会委員選考方針、少し官房長官にもぜひお知恵を出していただいて、能力のある女性はいるというふうに思うのですけれども、チャンスをぜひ広げていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  19. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 今回、閣議決定をいたしました審議会等整理合理化に関する基本的計画に基づきまして、委員に占める女性委員比率につきましては、府省編成時からおよそ十年以内に三〇%に高めるよう努めることとしておることでございます。  委員選任につきましては、この計画に基づきましてそれぞれの審議会等の設置の趣旨、目的に照らしまして委員により代表される意見学識経験等が公正かつ均衡のとれた構成となるように留意をしてまいらなくてはならないと考えておるわけでございます。  ただいま清水委員指摘のように、広く人材登用の道を開くことに努力をしてまいりたいと考えております。
  20. 清水嘉与子

    清水嘉与子君 ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。  また一方、今のような女性の方が少し出おくれているというような分野もございますけれども、そこだけでなくて男性参画がおくれている分野というのもやっぱり問題じゃないかというふうに私は思っているわけでございます。  取り上げられる家事とか育児とかそういった仕事に対する男性参画が不十分だというふうな声を聞きますけれども、本当に諸外国に比べて我が国家庭における男性仕事への参画というのはおくれているのかどうか、ちょっとその辺を具体的に例があったら教えていただきたいと思います。
  21. 名取はにわ

    説明員名取はにわ君) 平成十一年度男女共同参画の現状と施策、いわゆる男女共同参画白書では、諸外国における男女家事等への参画状況を見るために女性が費やした時間に対する男性が費やした時間の比率、これを家事参画度としておりますが、それを見ております。  前提となっております各国の時間調査の対象や活動の定義などが異なるという点に注意をする必要がございますけれども、例えばアメリカ合衆国では男性家事に費やす時間が女性の四九%、保育に費やす時間が女性の四九%となっております。これに対しまして我が国は、男性家事に費やす時間が女性の六%、保育に費やす時間が女性の二〇%となっておりまして、男性家事等への参画は低くなっております。
  22. 清水嘉与子

    清水嘉与子君 そんなところかなという感じもいたします。  この法案審議に際しまして、官房長官が御自分の体験から、昔の男性の方がいろんな育児等にも参加していたんじゃないかと言われたということが新聞に載っております。意外なことに、昔の方が女性労働力率も高かった。専業主婦化が進んだのはむしろ戦後のことではなかったのか。それは、農業だとか自営業だとかたくさんあって、そこにともに参加をし、そして育児をし家事をするというようなことを男女ともにやっていた生活があったんじゃないかというふうに思うんです。  日本男性家事とか育児参加していない理由。これはきょうの読売新聞に、日本男性育児参加論外国のメディアに取り上げられていますけれども、名取室長男性育児参加の度合いが低いというのは男性が長時間働き過ぎじゃないかというふうなことをコメントしていらっしゃる。私はやっぱりそれも大きな原因じゃないかというふうに思っているわけでございます。  我が党の某代議士がアメリカで留学中にお子さんを出産されて、当然のことながら一緒に立ち会って一緒にお産をし、本当にその後も育児をしたということをおっしゃっていました。日本に帰りましたら今度は、次の子供が生まれるときには、いつ生まれたのか病院に行ったのか全然お構いなしで、そして子供に会ったのも生まれてからしばらくしてからじゃなきゃ会えなかった、こういう状態をお話しいただきました。  女性もそうでございますけれども、やっぱり女性の姿だけでなくて父親の姿も子育てにはどうしても必要なんじゃないかというふうに思うわけでございます。今、日本学級崩壊でありますとか家庭崩壊、さまざまな社会問題が起きておりますけれども、これはもう男女含め人々が余りにも経済性を追求する生活にはまり込み過ぎて家庭を放置してきたツケじゃないかというふうに思うわけでございます。こういう法案を通して、男性仕事に没頭するだけじゃなくて、もっと人間らしい生活を取り戻す、そして仕事が終わった後には長い老後生活があるわけでございますから、そこも有意義に過ごせるような人生設計が立てられる準備をしなきゃいけないんじゃないかというふうに思うわけでございます。  そこで、二十一世紀、中央省庁の機構も大きく変わります。まず、日本中央省庁職員の働き方を少し変える、仕事だけじゃなくて子育て家庭生活をエンジョイできるようにするところからまず政府としては取り組んだらどうかということを思うわけでございます。  確かに、国際的な仕事で時間も決められない仕事もあろうと思いますけれども、中央省庁役人の本当に大変な仕事というのは、予算の編成作業であり、また実は国会作業なんですね。国会の方にもこれはぜひ改革をしなきゃいけない問題がたくさんあると思うんです。きょうのこの委員会を開くに当たっても、どれだけたくさんの役人の方々が長い時間を深夜までやったかと考えますと、やっぱり内心じくじたるものがございます。そういうことで、ぜひできるところから改善をしていったらどうかと思うわけです。私もしばらく役人生活をしておりまして、国会待機という名の本当に非生産的な仕事にうんざりとした経験がございます。  そういう意味で、ここもぜひ官房長官の大きな指導力を期待したいと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  23. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 総理府が男女共同参画社会に関する世論調査平成九年に実施したわけでございますけれども、これを見ますと、「男性家事子育て教育などに参加するために必要なこと」としては、「男女役割分担についての社会通念、慣習、しきたりを改めること」、また「夫婦の間で家事などの分担をするように十分に話し合うこと」のほか、「労働時間短縮休暇制度を普及させること」等が挙げられておるところでございます。  国家公務員労働時間の短縮を図る観点から政府といたしましても、これまで各種業務改善や全省庁一斉定時退庁日設定等取り組みを行ってきたところでもございます。しかし、委員指摘のように、まだまだ十分生かされておるとは考えておらないところでございます。  また、昨年の夏には、人事院から職員超過勤務縮減に関しまして、育児介護責任を有する職員につきましては年間三百六十時間を超勤の上限とするほか、その他の職員についてもこれを上限の目安として努力すること等の内容報告をされたところでございまして、これは本年四月一日から実施されたところでございます。  さらに、先般、公務員制度調査会より、公務員の職業上の責任家族的責任との両立を図るという観点から、実効ある超過勤務縮減方策に取り組むべきであることを内容とする答申をいただいたところでございまして、政府といたしましても、今後これらを踏まえましてさらに実効ある超過勤務縮減対策等につきまして一層検討してまいりたいと考えておるところでございます。
  24. 清水嘉与子

    清水嘉与子君 男性参画がおくれている分野ということでは、私が今まで取り組んできました看護分野というのはまさにそういう分野でございます。どちらかというと医師が男性看護婦女性、こういう構図が看護分野近代化をおくらせてきたという点は否めないというふうに思います。しかし、こういう分野にも今どんどん男性参画できるようになりまして、こういうふうに環境が整ってきますと、やっぱり性別にとらわれずに多様な生き方が選択できるというだけでなくて、またこの分野近代化を図ることができ、社会的な地位も向上させることができるというようなことで、非常にいいことではないかと思っている次第でございます。  先般は議員立法によりまして保健士というものが誕生いたしました。そして、今非常に大きな活躍をしております。また、近い将来、まだ制度にはないんですけれども、助産士、助産婦の男性ですね、これも入れようじゃないかという機運になってまいりまして、そのうちに御報告を申し上げたいと思います。  次に、国民の非常に関心の高い苦情処理の問題についてお伺いしたいのですけれども、この第十七条におきまして苦情の処理等の規定がされておりますけれども、この本条の趣旨についてお伺いしたいと思います。
  25. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 委員御承知のようにこの法案基本法でございますので、具体的にどのような措置を講ずるかにつきましては規定をしておらないところでございますが、男女共同参画社会形成促進していきますためには苦情の処理等が重要であることは十分認識をしておるところでございまして、国は、政府施策についての苦情の処理のために必要な措置及び人権が侵害された場合における被害者の救済を図るために必要な措置を講じなければならない旨を規定しておるところでございます。  今後も、この基本法の成立後、積極的にこういう問題について私どもとしては十分配慮を加えてまいりたいと考えておるところでございます。
  26. 清水嘉与子

    清水嘉与子君 今のお話でございますが、実際に苦情処理等の問題をこの法案の体系の中に明確に位置づけたことを大変評価するわけでございますけれども、苦情処理のための必要な措置、被害者救済のための措置など具体的にはどのように対応していくのか、もう少し具体的に教えていただきたいと思います。
  27. 佐藤正紀

    政府委員佐藤正紀君) 苦情処理につきまして、具体的には男女共同参画二〇〇〇年プランにおきまして「行政相談委員、人権擁護委員等について、女性への積極的な委嘱に配慮するとともに、男女共同参画に関する認識を高めるための研修機会、情報提供等の充実を図る。」等とされているところでございます。当面、こういう既存の制度の活用を図ることを考えておりますが、今後とも着実に苦情処理の体制の整備に努めてまいりたいと考えております。
  28. 清水嘉与子

    清水嘉与子君 この四月から、保育に従事する保母さんという名前にかえて、男女共通の保育士という名称がつくられたわけでございます。このきっかけになったのが、総務庁が行っております行政相談に、男子の保育従事者から何とか変えてほしいという声があって、そしてそれが実現したというふうに聞いております。  確かに、苦情処理にはこの委員会におきましても第三者機関をという声もあることは十分承知しておりますけれども、もしそれをやりますと本当に大変に大きな組織が必要なんじゃないかというふうにも思いますし、ただいま行革の時代でもございます。今、政府のおっしゃいましたので、ちょっと今のはまだどうかなという感じもいたしますけれども、まずとりあえず既存の制度を十分活用するということも必要ではないかと思うわけでございます。  ただ、寄せられた苦情を具体的にどういうふうにして政府施策に反映できるかというあたりが十分考慮されなければならない大きな問題ではないかと思いますので、その辺についてぜひ御配慮をちょうだいしたいと思っております。  最後の質問になりますけれども、これは基本法という性格上、この法制定の効果でありますとか個別の政策推進のための実効性などにつきましても、これまでこの委員会の中でも随分審議されていることは十分承知しております。しかし、二十世紀の末に日本でこうした基本法ができる、そして二十一世紀には中央省庁の機構の上でも男女共同参画局が位置づけられるというふうなことを素直に私は評価をし、そして引き続き実効のある政策実現させていく際にこの基本法を十分活用できるのではないかという気持ちがしているわけでございます。  官房長官は、かねてからこの問題に大変御熱心に取り組んでいらっしゃるということで心強く思っているわけでございますけれども、最後に官房長官のこの男女共同参画社会形成に向けた決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  29. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 男女共同参画社会実現は、もう改めて申し上げるまでもなく、少子高齢化などの社会経済情勢が今日急速に変化をする中にありまして、男女の人権が尊重され、豊かで活力ある社会実現していきます上で、二十一世紀を決定する大きなかぎとなる意義を有するものと考えておる次第でございます。  このため、政府といたしましては、この男女共同参画社会実現政府の最重要課題として取り組んでいるところでございまして、男女共同参画社会基本法の制定は、男女がみずからの選択により、性別にかかわらず、おのおのの個性を生かしつつ、社会のさまざまな分野に対等に参画することを通じて、未来に向けて豊かで活力ある社会実現に資するものと考えておるところでございます。  私も、見かけは随分男性優先社会のようなおっかない見かけでございますけれども、今日まで長年女性問題あるいは男女共同参画問題に取り組んできたところでございます。昨夜もある方から電話がかかって、官房長官は見かけはもうがりがりの男性優先社会に見えるけれども、話を聞いておったら意外と女性問題に理解があるなと電話で励まされたわけでございます。  男女共同参画担当大臣といたしまして、この基本法を早期に成立させていただくよう特にお願いする立場にみずからあることをまことに光栄に存じておる次第でございます。  今後一層、委員初め関係各位の御協力と御理解をいただいて、男女共同参画社会実現のために頑張ってまいりたいと存じておるところでございます。
  30. 清水嘉与子

    清水嘉与子君 ありがとうございました。  終わります。
  31. 川橋幸子

    川橋幸子君 民主党・新緑風会の川橋幸子であります。  私は、労働省で働いておりまして、前回初めて雇用機会均等法が制定されるときの、その制定作業の一端に携わった経験がございます。そしてまた、総理府の、当時婦人問題担当室と申しておりましたが、そこの事務局に勤めさせていただいたこともございます。  そういうことから考えますと、議員になりましてから改正雇用機会均等法の審議参加し、そしてことし四月からの施行を見守り、そしてさらに長年の懸案でありました基本法の制定の審議に私も参加できますことを大変に喜び、光栄に思っているところでございます。  さて、前回、第一回目の当総務委員会におきましては、民主党の方から民主党案の趣旨説明をさせていただき、また同僚の小宮山議員の方から民主党案の考えるところを政府案と対比しながら質問させていただいたわけでございます。  民主党案といいましても、その質疑の中で明らかになりましたように、政府案と違うものではない、むしろ政府案の中に明示的に含まれていないものを明示されてはいかがでしょうかと、そういう違いが大きかったのではないかと思います。そうしたいわゆる協調的な修正案につきまして、そうした議員立法につきましても、議員立法というんでしょうか、各党の努力についても評価するような御発言を官房長官からいただいたかと思います。  さて、そこできょうは、私は今度は立場を変えまして、民主党案と政府案の協調を図るための共同参画的な作業として確認的な答弁をちょうだいしたい、このような趣旨から、実は逐条でやっておりましたら三十問にもなってまいりました。いただいた時間は、その三十問に対して余りにも短い六十分でございます。最後までたどり着くことに御協力をお願い申し上げまして、もし積み残しがありましたらまた機会がありますことをお願い申し上げながら、質問に入らせていただきたいと思います。  まず、前文の問題でございます。  男女共同参画社会基本法政府案は、目的、第一条から入るわけでございますが、最近の基本法におきましては、その性格を明らかにするため、基本法必要性を明らかにするための前文が置かれることが多うございます。  政府案には、なぜこうした理念を明確にするため、必要性を明確にするための前文が置かれなかったのか。私は前文が必要ではないかと考えているものでございます。その点につきまして、まず御答弁いただきたいと思います。
  32. 佐藤正紀

    政府委員佐藤正紀君) 法律の前文の問題でございますが、これは法令の本則の前に置かれまして、法令の制定の趣旨、目的、基本原則を述べる文章であろうかと思います。最近の法律では第一条に目的規定を掲げるということが多く、わざわざ前文を置かなくても制定の目的を知ることができるところでございます。  男女共同参画社会基本法案におきましては、第一条におきまして、本基本法の目的といたしまして男女の人権が尊重される社会実現することの緊要性を掲げるとともに、第三条におきまして、基本理念として最初に男女の人権の尊重を掲げ、その人権の内容といたしまして男女が性別による差別的取り扱いを受けないことを明記したところでございます。  このように、御趣旨の点につきましては、本則における目的、基本理念規定の中で明確に盛り込まれておるということから重ねて前文を置かないことといたしたところでございます。
  33. 川橋幸子

    川橋幸子君 前回の委員会では、男女平等という言葉と男女共同参画という言葉、それと英語のジェンダーイクオリティーという言葉をめぐりましてさまざまな議論があり、どうやらここらあたりがしっかりと説明されればこの法案必要性、意義というものがより明確になってくると思うわけでございます。  そこでお尋ねしたいのですが、男女共同参画をジェンダーイクオリティーという言葉で表現されているわけでございますが、それではかつて私どもが使っておりました男女平等というのはどんな英語であったのでございましょうか。  それから、その英語の言葉の違いから考えますと、どうも男女共同参画というのは、非常に形式的な平等、法律、制度上の平等からむしろ実質的な事実上の平等、これを目指したものではないか、そう考えられますが、この点についてはいかがでしょうか。
  34. 佐藤正紀

    政府委員佐藤正紀君) 先生お尋ねの男女平等という言葉の英訳でございますが、かつてはイクオリティー・オブ・メン・アンド・ウイメンと訳されていたと承知をいたしております。  日本語で男女平等、あるいは我々は男女共同参画と申しておりますが、これは外国語と日本語の違いがございますので必ずしも言葉のニュアンスは一致するものとは思いませんが、私たちが男女共同参画社会と言っている概念につきましては、男女平等等の実現を当然の前提とするものでございますけれども、男女平等にとどまるものではなく、さらに男女が各人の個性に基づいて能力を十分に発揮できる機会を保証され、よってさまざまな分野における意思決定過程に参加すること、すなわち参画することをも重要な理念としているということを考えております。
  35. 川橋幸子

    川橋幸子君 これは国会図書館の立法考査局がつくりました「外国の立法」という女性問題を特集した平成七年に書かれているものでございます。そこで「男女平等法制の新段階 「法的平等」から「事実上の平等」へ」というタイトルで書かれているものをちょっと御紹介させていただきたいと思います。  建前としての男女平等と現実の男女差別の残存、これは我が国だけのことではなくて、国によって程度の違いはあるにせよ存在する。しかし、このような現実に対して、特に一九八〇年代後半からこれを問題視する意識が次第に高まってきた。法的平等、これ、いつぞや予算委員会官房長官に御迷惑な質問をしてしまいましたが、デジュール、ラテン語なんだと思います、を超えて、事実上の平等、デファクトのイクオリティーが強く求められるようになって、諸外国ではこうした整備が進んできたと、このような紹介文、分析があります。  それから、関係者の中からもこの法案意味男女平等と男女共同参画との違いをはっきりさせてほしいという要望が数々あるわけでございます。一番代表的なものは、国際婦人年の決議を実現するための連絡会、いわゆる五十一団体といいます日本の全国規模の女性団体が連絡し合って総合的にやっている、そうしたところでございますが、真に男女平等を促進する基本法が制定されますようにという要望ですとか、各党がよりよい基本法にするためにこの国会において真摯な議論を尽くして成立に尽力してくださいということに加えまして、基本法必要性については性差別に関係なく、憲法並びに女子差別撤廃条約の掲げた理念を真に実現するために制定されるものであることを明記してほしい、こういう要望が出ております。それから、連合からも同趣旨のものがありますが、時間がもったいないので飛ばします。  それから、きょうも傍聴席に女性の方々がたくさんお見えでございますが、きのう、私の部屋に八団体から基本法に対する要請書が入ってきておりまして、十分な審議の上よりよいものにしてほしい、こういう要望が強いわけでございます。とりわけ、その男女平等と男女共同参画との違いをひとつ前文ではっきりさせていただきたいという希望が強いわけでございますが、この点についてはいかが考えられますでしょうか。
  36. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 男女共同参画社会基本法案におきましては、第一条において本基本法の目的として男女の人権が尊重される社会実現することの緊要性を掲げるとともに、第三条におきまして、先ほど政府委員も申しましたけれども、基本理念として最初に男女の人権の尊重を掲げて、その人権の内容として男女が性別による差別的取り扱いを受けないことを明記しておるところでございます。  委員御承知のように、男女共同参画審議会におかれましても、この男女共同参画社会基本法についての御答申をいただいておる点でございまして、このような趣旨にのっとりまして、目的、理念規定の中で明確に織り込んで、私どもとしては男女共同参画社会基本法とさせていただいた次第でございます。
  37. 川橋幸子

    川橋幸子君 官房長官から別の言葉で御説明いただきたかったのでございます。  実は前回の審議でも、官房長官の提案理由はとてもよくわかりやすい、なぜこの法律が必要かを提案理由の中で大変簡潔にまとめられているということを私どもの党の江田議員から申し上げたところでございました。  例えば、「現実の社会においては、男女間の不平等を感じる人も多く、男女平等の実現に向けて、なお一層、努力していかなければなりません。」、こういう言葉が官房長官の口から提案理由説明として述べられているわけでございます。それから、官房長官が御紹介の男女共同参画審議会の答申にも、「はじめに」というところで、真の男女平等の理念、その実現のために法的取り組みの枠組みを整理するというような序文がございまして、これがあると非常にこの法律が生き生きとしてくると思うわけでございます。  既にあるからそれを読めばよいと言われればそうかもわかりませんが、法律を読む人が法律の条文と答申とあるいは提案理由とばらばらに持ってきて読むということは、国民にとってはいささか不便なところでございまして、これを一体化させていただけないかということが私の質問でございました。もう答弁は結構でございますので、要望として述べさせていただきます。  さて、以下は逐条で御答弁をちょうだいしたいと思います。  第二条第二号の「積極的改善措置」ということが盛られました。大変歓迎すべき規定でございます。雇用機会均等法ではポジティブアクションと日本語よりも片仮名文字の言葉でもってPRをしたり、事業主を指導したりすることが多いわけでございますが、この第二条二号の積極的改善措置というのはどのようなわかりやすい、例えばポジティブアクションというような形で表現なさることになるのでしょうか、お伺いします。
  38. 佐藤正紀

    政府委員佐藤正紀君) 今お尋ねの表現が英語でどう表現するかということであるといたしますと、ここで書いております積極的改善措置につきましては、諸外国でポジティブアクションと言われている措置に相当するものと考えております。
  39. 川橋幸子

    川橋幸子君 ポジティブアクションということでやっていただいた方がよりわかりやすくなる、一般にもそのように受けとめられております。  そこで、ポジティブアクションなるものを先ほどの「外国の立法」の文章から紹介いたしますと、積極的に差別を是正するための措置意味する概念というようなことが言われておりまして、またこの本を紹介するまでもなく、女子差別撤廃条約の第四条に暫定的な措置としてそのような措置規定されているわけでございます。「事実上の平等を促進することを目的とする暫定的な特別措置」、こう言われているわけでございます。  こういう外国の言葉、その言葉の背景には、諸外国の立法例、制度等の概念があるわけでございますが、そういうポジティブアクションをこの基本法規定されたということは、より積極的な意味合いでこれから施策を推進していくということになるのではないかと考えますが、そういうことでよろしいでしょうか。
  40. 佐藤正紀

    政府委員佐藤正紀君) 本基本法案の積極的改善措置とは、さまざまな分野におきまして活動に参画する機会男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対しまして活動に参画する機会を積極的に提供するものでございます。これは個々の状況に応じて実施されるものと考えております。  このような内容でございます積極的改善措置、これを含みます施策を国の責務として八条に規定をいたしておりまして、国としては、積極的改善措置を含めまして男女共同参画社会形成促進に関する施策を積極的に進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  41. 川橋幸子

    川橋幸子君 積極的に進めてまいりたいというその姿勢を評価させていただきまして、それでは公務部門のポジティブアクションについて質問させていただきたいと思います。  五月十七日の日経新聞でございます。「遅れる企業の女性活用」というようなタイトルなんですが、そこで「「官」が行動計画で率先を」というタイトルで、「官公庁の率先垂範が必要」、こういう記事が載っておりましたが、このような要望はかねてより連合傘下の公務員連絡会が関係方面に具体的に要望させていただいていたところでございます。  ちなみに、公務員連絡会というのは、女性の団体ではございませんで、男性女性一緒共同参画されて、男性の幹部、リーダーの方がこうした公務部門の女性のためのポジティブアクションに熱心に取り組んでいるというところでございます。  そこで、まず総務庁、人事院の方にお伺いしたいと思いますが、この春闘におきましても、公務員連絡会の方からこうした趣旨の要望がそれぞれなされているかと思いますが、どのように御回答になられたのでしょうか。
  42. 中川良一

    政府委員(中川良一君) 公務員連絡会から総務庁に対します要求の中に御指摘のようなものがございまして、これに対しまして三月二十三日、総務庁長官より、男女共同参画の推進に向け、女性国家公務員の採用、登用促進等に着実に取り組むという趣旨の回答をいたしております。
  43. 森田衞

    政府委員森田衞君) 人事院といたしましても、かねてから機会をとらえまして公務におきます女性の採用、登用等につきまして促進に努めてきているところでございます。  また、今、先生御指摘のように、本年の三月二十三日に、公務員連絡会から私どもに対しまして御要望がございまして、人事院の総裁から男女共同参画社会を目指すさまざまな動きを踏まえ、公務においても女性職員の採用、登用等の促進が図られるよう努めるという旨の回答をしているところでございます。  私どもといたしましても、公務におきます女性の採用や登用拡大男女共同参画社会実現のための大変重要な課題の一つと考えておりまして、各省庁におきまして女性の採用、登用等の促進に一段と努める必要があるものと考えております。今後努力していきたいと思っておるところでございます。
  44. 川橋幸子

    川橋幸子君 それぞれ大変前向きな答弁をちょうだいしましてありがたいと思います。  そこで、今度はこの基本法が成立すると新たな段階を迎えることになるのではないかと思います。ことし三月十六日に公務員制度調査会からもこの件について報告といいますか答申がなされているようでございますが、具体的に、それでは新段階を迎えて公務部門のポジティブアクションについてどのように処理していこうとしておられるのか。きょうは総務庁、人事院両方来ていただいておりますけれども、実際に採用、任用を担当される方の、使用者責任が大きいと思われる総務庁に代表してお答えいただきたいと思います。  ちなみに、ことしの白書でございますが、男女共同参画白書の中にも既に諸外国の中でそうした公務部門のポジティブアクションをやっている例が詳しく紹介されているところでございます。ことしの白書には大変タイムリーにいいテーマで書かれておりまして、この中ではカナダ、オーストラリア、ドイツ、アメリカ、ベルギー、イギリスと、このような各国例が紹介されているところです。  このようなことを踏まえまして、総務庁から代表いたしましてポジティブアクションについて、新段階においてどう措置されていかれるのか、お答えいただきたいと思います。
  45. 中川良一

    政府委員(中川良一君) ただいま先生から御指摘ございましたように、去る三月十六日に提出されました公務員制度調査会のいわゆる基本答申におきまして、女性国家公務員の採用、登用につきましては、「国家公務員法の定める平等取扱と成績主義の原則に基づき、男女共同参画の推進に向けて各種のポジティブアクションを推進し、性別によらない開放的な人事運用の一層の促進を図っていくことが必要」というふうに指摘をされておりますとともに、公務部門における男女共同参画の推進方策についていろいろな提言がなされております。  総務庁としてはこれを受けまして、女性国家公務員の採用、登用について基本答申を踏まえた方策について所要の検討を行うなど、公務部門における男女共同参画の推進に着実に取り組んでまいる所存でございますが、特にこの法律が成立した後におきましては、男女共同参画推進本部と連携をとりながら、そちらの方の施策と整合性を持ったような形で今後公務員サイドについて対策を考えてまいりたいというふうに思っております。
  46. 川橋幸子

    川橋幸子君 率先垂範して取り組んでくださるというその御決意を伺って、大変女性たちにとっては朗報かと思いますが、お疲れのところ恐縮でございますけれども、政府全体の問題でもございますので、官房長官の御決意も一言お願いしたいと思います。
  47. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 今、それぞれ政府委員からお答えを申し上げましたように、政府といたしましても女性国家公務員の採用、登用、あるいは職域の拡大、さらには能力開発等を一層推進をいたしまして、女性国家公務員の採用あるいは登用促進について着実な成果が上がるよう一層努力をしてまいりたいと考えております。
  48. 川橋幸子

    川橋幸子君 総務庁の方からの答弁を官房長官政府全体の問題としてプッシュしてくださるようにお願いして、次の第三条に入りたいと思います。  前回の質疑でも、女性に対する暴力への取り組みがここの中で明示されていないことについて大変質問が集中しておりました。これはこの三条の中の「個人としての尊厳が重んぜられること、」で読めるのだということでございますけれども、最近国際的な潮流といたしましては、もちろんこの尊厳が一番基本でございますが、なおこの尊厳を具体的に実施するための一つの柱といたしまして、女性に対する暴力の取り組みについて国際社会の動きがあるわけでございます。それが国連の中でどのように動いてきているのか、御紹介いただきたいと思います。
  49. 佐藤正紀

    政府委員佐藤正紀君) 女性に対する暴力への取り組みにつきましての国連の動きでございますが、一九八五年の国連婦人の十年ナイロビ世界会議で採択されました婦人地位向上のためのナイロビ将来戦略におきまして、婦人に対する暴力の問題が取り上げられました。  それから、一九九三年のウィーン世界人権会議を経まして、同年の女性に対する暴力の撤廃に関する宣言に至っております。  そして、一九九五年の第四回世界女性会議におきましては、女性に対する暴力が行動綱領の十二の重大問題領域の一つとして取り上げられるなど、女性に対する暴力の問題は大きく取り扱われるようになってきていると認識しております。
  50. 川橋幸子

    川橋幸子君 今、御紹介いただきましたように、国連では非常に目に見える動きがこれにかかってきているわけでございます。  女性への暴力といいますのが、例えばセクシュアルハラスメントなんかはもう既に政府の中でも措置済みでございまして、暴力は違法なものということは、その一般的な概念は定着しているにせよ、女性に対する暴力というものが社会の中では今まで気づかれない部分が非常に多かった。一例はドメスティック・バイオレンス、家庭内の暴力というようなことでございます。  国連の中では、このように明示的に宣言なり行動計画なり国連総会での決議なりというものがあるわけでございまして、なぜ本法案ではこの尊厳だけで読み取るようにしたのか、明示していないのか。暴力の規定を明示していないのかが非常に逆に不自然に思われるところでございます。  先ほど紹介しました国内行動計画二〇〇〇年プランの中にも、既に女性への暴力の根絶に関する分析なり叙述が入っていて、政府としてはやっているわけでございます。なぜ明示していないのかが不思議なのですが、重ねてしなかった理由をお尋ねします。
  51. 佐藤正紀

    政府委員佐藤正紀君) 男女共同参画社会基本法案は、男女共同参画社会形成を総合的、計画的に推進することを目的とする基本法という性格がございます。したがいまして、女性に対する暴力の問題などの個別具体的な施策につきましては、本法案の中には具体的には規定しておりません。  本法案には、基本理念といたしまして、第三条におきまして、先生が先ほどおっしゃいましたように、「男女の個人としての尊厳が重んぜられること、」など、男女の人権の尊重を盛り込んでいるところでございます。  この基本理念に照らせば、女性の基本的人権の享受を妨げ、自由を制約する女性に対する暴力というものは決して許されるものではないということで、政府としても重要な課題であるとは認識いたしております。
  52. 川橋幸子

    川橋幸子君 この問題はどうも水かけ論で終わりそうでございますので、実際の取り組みについて重要課題としてやっていくというその政府の姿勢を官房長官に伺いたいと思います。  近く、女性に対する暴力に関する男女共同参画審議会の答申がまとまる、こういう時期を迎えているわけでございますが、官房長官としましては、その答申を受けられた場合、この答申を尊重してしっかりと取り組んでいただけますか、お願いいたします。
  53. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 今、委員からも御指摘ございましたように、現在、男女共同参画審議会におきまして、過去十五回にわたりまして女性に対する暴力に関する基本的な方策について内閣総理大臣からの諮問を受けられまして熱心な調査審議が進められておるところでございます。  近く、総理に対しましてこの御答申が出されるということを私どもも聞いておるわけでございまして、答申を提出していただければ、これを参考にいたしまして、今後、政府といたしまして女性に対する暴力の問題につきましてさらに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  54. 川橋幸子

    川橋幸子君 次は、第三条に関連しまして前回質疑で議論になっておりましたのが間接差別の問題でございました。  「差別的取扱いを受けないこと、」という表現の中に、直接的な差別だけではなくて、その結果としていずれか男女一方に差別的な効果をもたらすという取り扱いを含むべきではないかということが間接差別の明記の民主党の主張であったわけでございます。  直接か間接かという言葉の問題よりも、この際実質的な意味で確認をさせていただきたいと思います。  三陽物産の事件、この判決につきましては、前回審議でも総理府側も引用なさっておられたわけですが、そこの中では、明確な差別意図があるものだけを差別とするわけではなくて、そうでないものも差別と考えるんだという、そういう御答弁だったと思います。  ジュリストの中で書かれておりますのは、この判例の持つ意味というものは、厳密に女子のみを差別する制度や実態が提示されていなくても性差別というのは存在するんだということ、これは労使間の判例でございますが、使用者が女性への著しい差別的効果を容認したときには、差別があったということを明確な意図が証明されなくても推認されればよい、こういうことがこの判例の意味として引き合いに出されておったわけでございます。  重ねて、この差別的な取り扱いを受けないことというものは、明確な意図という狭い範囲の差別ではないことを御確認いただけますか。
  55. 佐藤正紀

    政府委員佐藤正紀君) この差別の問題につきましては、審議会の中でもいろいろ御討議がございました。間接差別というものを置くべきだという御意見も確かに出ておりましたが、今、先生がおっしゃいましたような判例を引用されて検討されまして、明確な差別意図がはっきりしていない場合でありましても種々の状況から差別を容認したとの推認が行われるということもあり得るということからいきますと、「差別的取扱い」と書けば十分であろうということでございました。  そういうことから申しまして、そういう内容を当然に含んでおると考えております。
  56. 川橋幸子

    川橋幸子君 官房長官に確認の意味で同じ質問をさせていただきたいと思います。  今のやりとりはかなり技術的でございますけれども、官房長官御自身のお口で、御自身の言葉で、この差別的取り扱いを受けないということについてはそう狭い範囲ではないということをお述べいただきたいと思います。人権問題については特に造詣が深くて、最近は男女共同参画についても大変英知のおありの官房長官から、御自分の言葉でお話しいただけるとありがたいと思います。
  57. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 先ほど政府委員からお答えいたしましたように、過去の判決等におきましても、明確な差別意図がはっきりしない場合に、さまざまな状況から女性に対する差別を容認したとの推認が行われた例もあるわけでございまして、この法案におきましては、「差別的取扱い」という用語について、明確な差別意図がある場合に限ったものとして考えていないということでございます。
  58. 川橋幸子

    川橋幸子君 ありがとうございます。考えていないというところに重点を置いて受けとめさせていただきました。  さて、次は第四条でございますが、間接差別かどうか等々の関係からもよく言われるわけでございますが、社会における制度または慣行についての配慮という条文がございます。  性に中立的につくられた諸制度、慣行であっても、一見、性には中立であるように見えても、そのバックグラウンドには性別による固定的な役割分担というものが非常に強い場合には、いずれかの性に対しては不利に働くことがあるという問題でございますが、この第四条の一番最後は、「中立なものとするように配慮されなければならない。」ということになっているわけでございます。  したがいまして、国としては配慮しなければならないということになるわけでございますが、国がすべきこうした制度、慣行についての配慮というのはいかなるものになるのでしょうか。
  59. 佐藤正紀

    政府委員佐藤正紀君) この第四条は、性別によります区別を明示的にしていないような社会制度、慣行でありましても、男性仕事女性家庭といった性別による固定的な役割分担等を反映いたしまして、男女社会における活動の選択に対して中立でない影響を及ぼすことがありますので、このような規定を設けたものでございます。  女性の活動の選択に大きな影響を与える制度につきましては、女性社会進出や家族、就労形態の多様化なども踏まえつつ、男女共同参画社会形成という観点からも必要な検討が行われなければならないと考えておるところでございます。
  60. 川橋幸子

    川橋幸子君 必要な検討を行わなければならないと、そういう御答弁ですね。それがこの「配慮」の中に含まれるということを確認させていただきます。  さて、その制度、慣行というものが性中立的なものでない、こういう影響を及ぼすというそのバックグラウンドは、性別による固定的な役割分担意識、要するにジェンダー問題でございます。ジェンダーバイアスがある、そういうことでございますが、その意識啓発というものについて、そうした意識をなくする、こういう努力が必要になるわけでございます。女子差別撤廃条約の第五条では、そうした文化的、社会的に形成された慣行についても修正しなければならない、そのように国は努めなければならないというふうに書かれているわけでございますけれども、これにつきましての政府取り組みを御説明ください。
  61. 佐藤正紀

    政府委員佐藤正紀君) 固定的な役割分担をなくしていくということから、個々の人たちの認識も改めていかなきゃならないということがございます。第十六条には、国及び地方公共団体は適切な措置を講じなければならないということを規定しておりますけれども、この適切な措置の中には、人々の意識の中に長い時間をかけて形成されてきた性別に基づく固定的な役割分担意識が男女共同参画社会形成の障害となっていることを踏まえて講ぜられる広報活動等を通じた措置をイメージしていると思っております。  具体的には、各種の媒体を通じました広報活動、各種講演会、イベント、行事、学校教育等、いろんな面での取り組みを指すものと考えております。
  62. 川橋幸子

    川橋幸子君 学校教育の中でも取り組んでくださると、そこを私は期待したいと思います。  さて、次は第五条でございます。  方針立案決定参画する機会が確保される、方針立案への参画男女共同参画の中でも根幹的な基本理念となる部分でございます。政府取り組みはポジティブアクションの点で先ほど伺ったということでございますが、ここには民間の団体における方針立案決定への参画が書かれているわけでございます。  そこで、官房長官にお伺いしたいのですが、労働省の女性局長が連合に対して、連合の中でも女性役員の登用をすべきではないか、こういう要請をやったことが新聞に載っておりました。そうすれば、このたび大変大胆な大物の会長と言われる奥田碩さんが日経連の会長にも就任されたわけでございますけれども、民間の団体でもこうした女性方針決定への参画が確保されるようにこの際は官房長官から要請すると、日経連というのは一つの具体例でございますけれども、そういうことをやっていただけないでしょうか。
  63. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 第五条で示されておりますように、男女社会の対等な構成員として、公的、私的分野を問わずに政策あるいは方針立案及び決定に共同して参画する機会が確保されることが重要な基本理念であるということを明らかにしておるわけでございまして、委員御承知のように、政策方針決定過程への女性参画拡大については、男女共同参画二〇〇〇年プランにおきましても、あらゆる機会を通じて女性登用等について経営者団体、労働組合、協同組合等、各種機関、団体等に協力要請を行いますとともに、社会的機運の醸成を図ることとされておるわけでございます。  今後、私どもとしても、日経連を初め関係団体にも幅広く女性登用等について、あるいは女性がその政策方針等を決定する段階での参画等について啓発かつ要請をしてまいりたいと考えております。
  64. 川橋幸子

    川橋幸子君 次は、七条と十九条に関連いたしまして、国際的協調という部分、七条の方が理念として規定され、十九条の方はそのための国がとるべき措置として規定されている、この部分について伺いたいと思います。  まず、この国際的協調という言葉なのですけれども、何となく仲よくすると、協調という言葉に積極性が感じられないということで、国際協力ということを民主党では主張しておったわけでございます。女性の憲法、地球上の憲法と言われていますような女子差別撤廃条約や、それからアジアで初めて開催された、北京で採択されました北京行動綱領、このような国際文書を遵守するということは間違いなく確保されますね。その確認のお答えをいただきたいことと、この国際的協調というところにはむしろ積極的な貢献ということが含まれるのではないか。積極的な貢献となりますと、みずから範を示すということもございますし、途上国に対して支援するというようなさまざまな国際協力があるわけですが、これらがすべて国際的協調というところに含まれると解してよろしゅうございますね。
  65. 佐藤正紀

    政府委員佐藤正紀君) 我が国男女共同参画社会形成促進は、女子差別撤廃条約あるいは北京行動綱領の採択を初めといたしました国際社会におきますさまざまな取り組みと連動して進められてきたところでございます。国際社会の一員といたしまして、我が国男女共同参画社会形成は国際的な連携協力のもとに行われることが望ましいと考えておるところでございます。  このことから、本法案におきましては、基本理念として、第七条で、「男女共同参画社会形成は、国際的協調の下に行われなければならない。」と規定するとともに、第十九条におきましては、男女共同参画社会形成国際的協調のもとに促進するための措置について規定をいたしたところでございます。  女子差別撤廃条約や北京行動綱領の遵守は、国際協調についてのこれらの条項の精神に沿ったものであるということは言うまでもございませんが、また、国際協調の理念に基づきまして発展途上国への積極的貢献も果たしてまいりたい、こう考えておるところでございます。
  66. 川橋幸子

    川橋幸子君 関連して、きょうは外務省にお越しいただいております。  お伺いしたいことは、女子差別撤廃条約の選択議定書の草案が承認されて、ことし秋の国連総会で採択される見込みと、こういう報道がなされているわけでございます。  この選択議定書といいますのは、個人に申し立てを認めるということでございまして、後ほど質問したいと思いますが、苦情処理というのでしょうか、被害者救済のための措置の条文も掲げられておりまして、それとの関係が出てまいりますが、まずこの選択議定書について御説明いただきたいと思います。
  67. 上田秀明

    政府委員(上田秀明君) 御指摘のとおりでございまして、国連婦人地位委員会におきまして、かねて議論されておりました女子差別撤廃条約選択議定書の案がことしの三月の委員会で採択されまして、ことしの秋の総会で採択される見込みでございます。  いわゆる条約違反の被害者であると主張する個人あるいはその代理等が女子差別撤廃委員会に通報を行って、いろいろな規定がございますけれども、締約国一緒調査をするというような規定が案として上がっております。
  68. 川橋幸子

    川橋幸子君 そこで、またこの議論は官房長官にも後ほど逐条のところで伺いたいと思いますが、一つ外務省の方から上田部長に確認させていただきたいことは、国内人権機関のあり方に関しては国際的な基準、いわゆるパリ原則というものが九三年の国連総会で採択されているというふうに伺っていますが、この中身。  それから、昨年の十一月十九日ですか、国連の人権委員会の第六十四回会期におきまして、人権委員会としての日本に対する見解が出されております。その中で、日本の人権擁護委員については、このパリ原則等々に照らして日本に対して勧告がなされたというふうに伺っておりますが、そこを簡潔に御説明いただきたいと思います。
  69. 上田秀明

    政府委員(上田秀明君) いわゆる国連の人権委員会の方で国内の人権機構についてのワークショップが九一年にパリで開かれまして、その際、勧告といいますか、レコメンデーションとして、国内的な機構というものが、新たな立法の勧告とかあるいは人権教育の支援とか広報とか、そういうような権限を有しておって、政府より独立した独自の人員、建物等を有して、そして個人の状況に関する苦情とか陳情を聴取、検討したり、あるいは調停をしたりする、そういうような役割を持つ、準司法的とございますが、機能を持つような、そういう国内的人権機構を設けるのが望ましいということが言われております。  それから、いわゆる市民的自由に関します人権規約B規約につきまして、日本政府が行いました報告に対します審査が行われまして、九八年十一月に最終見解が出されまして、そのうちの九項で、委員会の方から、「当局が権力を濫用せず、実務において個人の権利を尊重することを確保するために効果的な制度的仕組みが要請される。」というようなくだりがございまして、日本についてこのような仕組みをつくるべきではないかというようなことを勧告いたしております。
  70. 川橋幸子

    川橋幸子君 肝心なところをこれは明確な意図によって除かれたのでしょうか。私の方が紹介させていただきますと、「委員会は、」、委員会はというのは人権委員会はでございますが、「人権擁護委員は、法務省の監督下にあり、また、その権限は勧告を発することに限定されていることから、そのような仕組みには当たらない」。つまり人権委員会が適当と認める国内機関には当たらないという見解を出して、それで日本に対して、「人権侵害の申立てに対する調査のための独立した仕組みを設立することを強く勧告する。」、こういう結びになっておりますが、間違いございませんね。
  71. 上田秀明

    政府委員(上田秀明君) おっしゃるとおりでございます。
  72. 川橋幸子

    川橋幸子君 ありがとうございました。  それでは、この点は後ほどといいましても、持ち時間が十数分なのでございますが、外務省ありがとうございました。  次の条文に参りたいと思います。九条でございます。地方公共団体の責務が書かれているところでございます。この基本法につきましては、地方の女性たちも大変関心を強く寄せているところでございます。さきの統一地方選では女性の自治体議員が史上最多となったわけでございまして、それぞれの自治体の中で国の基本法に合わせてどのようにその地域の男女共同参画政策を展開していくか、今いろんな議論が行われているところでございます。  ところで、この施策の中は、「国の施策に準じた施策」等々を実施する責任を自治体が有する、こんな書きぶりになっているわけでございます。国の方は十一条というところで、「政府は、」という書きぶりになっておりまして、国の行政府というものは「必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。」と明記しているわけでございますが、自治体の責務については「準じた施策」、そういう書きぶりになっております。  最近、東京都ほか先進的な自治体におきましては、自治体レベルでも立法措置、つまり条例の制定に取り組んでいる自治体がございます。このような取り組みにつきましてどのようにお考えになりますでしょうか。官房長官にお伺いしたいと思います。
  73. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 男女共同参画社会形成促進のためには、国と同様、住民に直結する地方公共団体の果たす役割がまことに重要であると思うわけでございまして、本基本法案の趣旨を各地方公共団体においても十分御理解いただきまして、その上で積極的に男女共同参画社会形成のために取り組んでいただくことを強く期待しておるところでございます。  委員が今御指摘ございました東京都の条例の例も一つの例であろうと思うわけでございますが、一方、国会においてただいま地方分権推進の法案をお願いしておるわけでございまして、各地方公共団体がそれぞれ自主的にみずから男女共同参画社会形成のためのお取り組みをお願いしていきたいと考えておるところでございます。
  74. 川橋幸子

    川橋幸子君 国の施策に準じた施策をとるべきだという地方の責務に関しまして、積極的改善措置というものは含まれるのでしょうか。
  75. 佐藤正紀

    政府委員佐藤正紀君) 基本法案の第九条では、「国の施策に準じた施策」と書いてございます。これは男女共同参画社会形成に関して国が講じている施策とおおむね同様ないし類似の施策を講ずることということでございます。第八条におきましては、国の責務といたしまして、積極的改善措置を含んだ男女共同参画社会形成促進に関する施策規定をいたしておりますので、第九条につきましてもその内容が含まれておると考えております。
  76. 川橋幸子

    川橋幸子君 自治体にもポジティブアクションをとるという、それは含まれているということをそれでは確認させていただきまして、次は第十条でございます。  第十条、事業主の責務を明記すべきだという要望が大変強うございますが、「国民の責務」と、こう書かれているこの「国民」の中には主要な構成要素として企業が入っている、このように解してよろしいでしょうか。
  77. 佐藤正紀

    政府委員佐藤正紀君) 「国民は、職域、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野において、基本理念にのっとり、男女共同参画社会形成に寄与するように努めなければならない。」と、こういう責務を規定いたしております。本法案におきます国民の規定につきましては、当然ながら事業主も含まれますし、法人、事業そのものも対象となると考えております。
  78. 川橋幸子

    川橋幸子君 このところは関心の深いところでございますので、ぜひ今の答弁を周知徹底していただきたいと考えます。  次に、基本計画に入らせていただきます。  基本計画につきましては、民主党の方はこの計画の中に盛り込むべき事項を種々書かせていただきましたが、それが明示されるか否かは別にいたしまして、今度は国の計画としてつくられるというふうに私は解釈しておりますが、国の基本計画というのはこれからどんな計画をいつごろ策定していく政府方針でしょうか、お伺いします。
  79. 佐藤正紀

    政府委員佐藤正紀君) 男女共同参画基本計画は、具体的には職域、学校、地域、家庭などにおきます男女共同参画社会形成促進に関する施策の基本的方向を定めるものでございます。積極的改善措置もこれに含まれるものでございますが、また男女共同参画基本計画の円滑な実施を図るために関係者への理解を求めること、計画の着実な推進のためのフォローアップに関する事項も含まれると考えております。  策定時期についてでございますが、この法律が制定、施行されましたならば遅滞なく計画を策定することが望ましいと考えております。ただ、法案第七条の国際的協調趣旨を踏まえまして、国際社会の動きと軌を一にして取り組む必要があると考えております。二〇〇〇年六月には国連総会の特別会期といたしまして開催される予定の女性二〇〇〇年会議がございますので、これの成果も視野に入れながら策定に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  80. 川橋幸子

    川橋幸子君 十四条に移りたいと思います。  国の計画と同様に都道府県の場合は計画の策定義務がこの法律では盛られているわけでございますが、市町村の行動計画については努力義務ということになっているわけでございます。  ところで、市町村といいますと、市は別にしまして、町村となりますと議会への女性進出というのもなかなか容易ではございません。こういう状況の中で市町村の行動計画というのは実際どのぐらい策定されているものでしょうか、現状をお伺いします。
  81. 名取はにわ

    説明員名取はにわ君) 平成十年七月に総理府が取りまとめました調査によりますと、全国で四百四十二、これはパーセントにしますと一三・六%の市区町村において行動計画が策定されております。
  82. 川橋幸子

    川橋幸子君 一四%だそうでございます。これが実態。地方に参りますと、固定的な役割分担意識というのは非常に根強いものがございまして、それぞれ自治体は苦慮するあるいは女性たちももどかしい思いをするというのが現状でございます。  そこで、十四条に市町村の計画とそれから二十条に自治体に対する国の支援、サポートというものが書かれております。これを絡めてお伺いしたいと思います。  市町村計画につきましては女性意見も幅広く聞いて策定すべきであり、また国は市町村をきちんと支援していくべきではないかと考えますが、官房長官のお答えをいただきたいと思います。
  83. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 市町村の男女共同参画基本計画の策定の方法についてただいま委員から御意見なりお尋ねがあったわけでございますが、申すまでもなく市町村の自主性にゆだねることとしておるものの、本基本法におきましても、基本計画の策定を規定した趣旨を踏まえまして、作成過程においてさまざまな意見を聞くなど工夫されることが期待をされておるところでございます。  市町村の男女共同参画基本計画が策定をされることは、市町村の男女共同参画社会形成促進に寄与するものと考えておるわけでございまして、作成を行う市町村に対しましては、今、委員から御指摘ございましたように、法案二十条にのっとりまして情報の提供やその他必要な措置を十分講じてまいりたいと考えております。
  84. 川橋幸子

    川橋幸子君 それでは、一問飛びまして、もう時間がございませんので、十七条、先ほど来既に申し上げておりますが、苦情の処理等被害者の人権侵害の救済、この問題に移らせていただきたいと思います。  既存の制度を十分活用するということは当然のことでございまして、そのように政府では努力すべきだと存じますが、この十七条の最後には、「被害者の救済を図るために必要な措置を講じなければならない。」と書かれているわけでございます。先ほどの外務省からの答弁で、パリ原則があり、あるいは人権委員会からの日本政府に対する最終見解があり、そういうことを踏まえますと今の既存の制度では十分ではない、こういう事態になることも容易に予想されるわけでございます。  ところで、この「必要な措置」というところにはもしも必要であれば新たな立法措置が入る、このように解釈してよろしいでしょうか。
  85. 野中広務

    国務大臣野中広務君) この基本法におきましては、具体的にどのような措置を講ずるかについては規定をしておらないわけでございます。男女共同参画社会形成促進をされていきますためには、委員が今御指摘ございましたように、苦情の処理等が重要であることは私どもも十分認識しておるところでございます。  国は、政府施策についての苦情の処理のために必要な措置及び人権が侵害された場合における被害者救済を図るために必要な措置を講じなければならないと規定したところもそこにあるわけでございまして、本条の規定に基づいて今具体的にどのような措置を講じていくかということにつきましては、御承知のように行政改革で非常に行政の組織の見直しが一方で行われておる時期でもございますので、そういったこと等を十分踏まえながら、なお人権の侵害やあるいは被害者の救済等について十分な対応ができるよう検討をしてまいりたいと考えております。
  86. 川橋幸子

    川橋幸子君 それでは、あと二問、三十三分まででございますが、質問が言葉足らずになるかもわかりませんが、よろしくお願いいたします。  二十一条に男女共同参画審議会という規定が入っておりまして、現在の審議会設置法がここの中に盛られているわけでございますが、審議会設置法のときも話題になりましたクオータ、審議会委員の中で男女のいずれかが四〇%を切ってはならないという四〇%ルールが入っているわけでございます。今度、中央省庁改革によりますと男女共同参画会議となるわけでございますが、このクオータはどうなるのでございましょうか。
  87. 野中広務

    国務大臣野中広務君) この参画会議におきます有識者の議員についてでございますけれども、国民各界各層の意見を反映させるという趣旨にかんがみまして、これから学識経験者の御議論を十分踏まえて男女割合の均衡を図っていかなければならないと考えておるところでございます。  男女それぞれの視点からの意見をバランスよく反映させるために、男女それぞれ四割を下回らないように措置する四割規定が置かれておるところでございます。これは有識者のみによって構成される男女共同参画審議会においてこのような四割規定を設けている趣旨と同じでございまして、従来より女性の声が反映されにくくなるとの御懸念にはならないと考える次第でございます。
  88. 川橋幸子

    川橋幸子君 今度の省庁改革によりますと、内閣府に置かれる男女共同参画会議構成メンバーには各省庁の大臣が入ってこられるわけです。現状、小渕内閣では郵政大臣の野田聖子さんがいらっしゃいますけれども、大臣というのは非常に女性が少ないわけでございます。  有識者の中では女性割合が確保されるにしても、全体は非常に男性の黒い色が多くなるのではないでしょうか。ぜひ、女性を大臣に起用されることとあわせまして、官房長官を補佐する女性問題についての担当大臣を起用する等々、男女共同参画会議におきましても女性意見の反映についてお努めいただきたいと思います。  決意をお伺いさせていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  89. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 新たな省庁再編に際しましても、この男女共同参画社会形成するための担当大臣を置くこととしておるわけでございます。先ほど申し上げました四割規定の適用は大臣は除外をされるわけでございまして、担当大臣ともども、なお女性の閣僚の登用につきましても小渕総理は強い意欲を持っておられるわけでございますので、一層私どもとしても御一緒に努力をし、女性地位向上のために積極的に寄与してまいりたいと考えております。
  90. 川橋幸子

    川橋幸子君 ありがとうございました。  終わります。
  91. 但馬久美

    但馬久美君 公明党の但馬久美でございます。  本会議でも本法案につきましては質問させていただきました。ほぼ一カ月経過いたしまして、やっとこの委員会審議が開始されたわけでございます。一日も早いこの基本法案の成立を願う者の一人といたしまして、直接、間接を問わず、一般社会にはまだまだ男女の格差がたくさんありますので、しっかりしたルールにのっとり、確認作業も粘り強く行って、この法案の成立を期していきたいと思っております。  それではよろしくお願いいたします。  さて、この基本法案にはしっかりした基本計画施策が定められておりません。日本国憲法女子差別撤廃条約などに基づいて具体的な基本計画及び施策を策定する必要があると思います。まず、この基本計画及び施策の策定は今後どういうスケジュールで行われるのか、お聞かせください。
  92. 野中広務

    国務大臣野中広務君) ただいま御審議をいただいておりますこの基本法が成立をいたしましたら、男女共同参画基本計画を定めまして、遅滞なくこの基本計画を策定してまいらなくてはならないと考えておる次第でございます。  また、この法案第七条の国際的協調趣旨を踏まえまして、国際社会の動きと軌を一にして取り組む必要があるわけでございますので、二〇〇〇年六月に国連総会の特別会期として開催をされます予定の女性二〇〇〇年会議の成果をも視野に入れながら計画の策定に当たることが、先ほど政府委員も答弁いたしましたように必要であると考えておるところでございます。  このような状況を踏まえまして、法案を成立させていただきました暁には、男女共同参画基本計画の策定に向けて早急に鋭意準備を進めてまいりたいと考えております。
  93. 但馬久美

    但馬久美君 ぜひよろしくお願いいたします。  今、全国に国際婦人年日本大会の決議を実現するための連絡会が五十一団体で形成されております。そちらの要望といたしまして、さきの基本計画施策の策定には、憲法、女子差別撤廃条約のもと、男女共同参画ビジョンや男女共同参画二〇〇〇年プラン、これを基本にまとめていただきたいと要望されております。  具体的には次の点を挙げますので、ぜひ施策に入れていただきたいという熱望でございますので、よろしくお願いいたします。  一つ目には人権の尊重、二つ目には男女の直接・間接差別をなくすこと、三番目には女性に対するあらゆる暴力の排除、四番目にはメディアから女性差別をなくすこと、五番目にはリプロダクティブヘルス・ライツ、これは性と生殖に関する健康と権利についてです、六番目にポジティブアクションの推進、七番目に男女共同参画理念に立った社会基盤の施策、八番目に男女生活者を支援する施策の推進等々、この施策を入れていただきたいとの御要望であります。  官房長官の御意見をお伺いいたします。
  94. 野中広務

    国務大臣野中広務君) たびたび申し上げておりますように、男女共同参画社会基本法案には、今、委員が御指摘ございました男女が性別による差別的扱いを受けないことその他、男女の人権の尊重、社会における制度または慣行についての配慮、政策等立案及び決定への共同参画家庭生活における活動とその他の活動の両立を基本理念として定めておるわけでございまして、当然のこと女性を含む暴力の問題あるいはメディアに関する問題等はこの中に含まれておると認識しておるわけでございます。  この基本法の制定によりまして、幅広い分野にわたる施策が総合的かつ計画的に推し進められることが期待をされておるところでございまして、例えば男女共同参画基本計画の策定を通じまして、各種施策の調整が行われ総合的に推進されるものと考えておるところでございます。
  95. 但馬久美

    但馬久美君 同じく五十一団体の要望でございますけれども、一つには、基本法は各省の枠を超えて国の施策全体が男女共同参画社会を目指すことを明らかにすること。また二番目には、これを促進することを目的として、総合調整あるいは活動の鈍いところに対して勧告を行う権限を付与すべきであると要望しております。この点についてお伺いいたします。
  96. 野中広務

    国務大臣野中広務君) お説のように、この法案は第一条におきまして、男女共同参画社会形成を総合的かつ計画的に推進していくことを目的とすることを明確に規定しておるわけでございます。この基本法に基づきまして施策を総合的に推進していくための体制がまず重要でございまして、今、国会にお願いをいたしております中央省庁改革について、現在の審議会に新たな任務を付与いたしまして、この機能を格段に強化した合議制の機関として内閣府に男女共同参画会議を置くこととしておるところでございます。  また、本年一月二十六日に中央省庁等改革推進本部が決定をいたしました中央省庁等改革に係る大綱におきましては、男女共同参画に関する企画立案及び総合調整等を主な所掌事務とする局を新たに設けることとされておりまして、現在、この局にふさわしい強力な体制をとるように検討を進めておるところでございます。  今後とも、総合調整を含めて一層努力の成果が上がるようにやってまいりたいと考えております。
  97. 但馬久美

    但馬久美君 今、官房長官からお話ありましたけれども、将来の内閣府に設置されます予定の男女共同参画会議に、男女共同参画社会形成促進するために、また次の役割を分担していただくことを要望されておりますので、申し上げさせていただきます。  一つ目は、総合調整、勧告できるような仕組みを入れる。これは先ほど話にもありました。二つ目には、女性関連法律、施策をチェックして、市民に対して説明申請、意見具申の機会を提供できる場を設けること。また、その結果を公表すること。三つ目には、事務局に十分な予算と人員の配置を、また非常勤専門員の配置をお願いしたい。四つ目には、オンブズパーソンの任命です。その任務は、行動計画の評価、点検、勧告と結果の公表など。  以上、この四点の役割についてでありますけれども、要望が出されておりますので、この点検討いただけるのかどうか、お伺いいたします。
  98. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 将来の男女共同参画会議につきましては、この基本法案に基づきまして、委員が御指摘になりましたように施策を総合的に推進していかなくてはなりませんし、その体制といたしまして、中央省庁改革において現在の審議会に新たな任務を付与いたしまして、先ほど来申し上げておりますように、その機能を格段に強化した合議制の機関として内閣府に男女共同参画会議を置くこととしておるところでございます。  さらに、先ほども申し上げましたが、小渕総理の決断によりまして、通常、各閣僚の数を減らし、そして十二省庁に改めてお願いをしておるわけでございますが、これにあわせまして、それぞれ政府の各局も削減をすることになったわけでございます。特に、男女共同参画につきましては、小渕総理の強い意思によりまして、従来の室を局に格上げをいたしまして、先ほど申し上げましたように、これにふさわしい推進体制がとれるように、そして男女共同参画会議とともに相連携をいたしまして、この男女共同参画社会実現のための一層の推進体制が整備をされるようにしておるわけでございます。  今、それぞれ御要望のございました諸点につきまして、この会議とさらに局の充実によりまして、内容が十分生かされるように努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  99. 但馬久美

    但馬久美君 どうもありがとうございました。ぜひ、よろしくお願い申し上げます。  それでは、質問変わりますけれども、次に、女性とメディアについて残りの時間質問させていただきたいと思います。  昨年、一九九八年、世界人権宣言五十周年でした。この年、日本では男女共同参画社会実現のために二つのことが一歩前進いたしました。一つは中央省庁等改基本法の成立によって内閣府に男女共同参画会議が設置されることが決まりました。もう一つは、政府男女共同参画社会基本法案の制定を目指しまして作業を開始した。つまり、きょうこの基本法案が国会に上程され、審議されております。  実は、一九七九年、国連総会で採択されました女子差別撤廃条約は世界の女性の憲法とまで言われ、私たち日本女性の悲願はまさにこの女子差別撤廃条約という世界基準による日本社会の変革であります。一九八〇年のコペンハーゲンでの第二回世界女性会議でこの女子差別撤廃条約の署名が日本も含めて行われまして、第三回のナイロビ世界女性会議開催中に日本批准しております。それが一九八五年ですから、それ以来十四年目にして日本もようやく家父長社会から一歩踏み出して、男女平等社会実現に大きく前進したことになります。  そこで、女性とメディアは北京行動綱領の重大問題領域の一つといたしまして挙げられております。北京行動綱領とは、その冒頭に記述されておりますように、女性たちのエンパワーメント・アジェンダ、あらゆる意味女性が力をつけていくための行動指針であります。  ある知識人も言っておられるのですけれども、女性が自分たちの状況地位、生き方などに対して自己決定権を持ち、新たな世界の構築の主体者になるためには、必要な情報の入手ができ、表現したいものを表現し、そしてまた発信し伝達することによってあらゆる分野方針決定過程参画できるということが必要であると言っております。  このように、女性のエンパワーメントと情報やそれを伝達するメディアとは密接に結びついているわけですから、非常に重要な分野であるということと同時に基盤をなすものと認識しております。そういう意味で、女性とメディアについて幾つか質問させていただきます。  日本参加し、採択しました北京行動綱領には、女性はその技術、知識及び情報技術へのアクセスを高めることによって権能を高めるべきであるとありますけれども、何よりもこの女性のメディアへのアクセスを重視しております。これは、従来からメディアはジェンダーに関する固定観念から一歩も抜け出ることなく、屈辱的な女性像を描いておりますけれども、そうした状態を解決するためには、女性自身の技能、知識、そしてまたメディアへの参加を高めることが不可欠であるということを言っていると思うんです。  政府は、この北京行動綱領が指摘しておりますメディアへのアクセスについてどのように対応しておられるのか、お伺いしたいと思います。  また、例えばこの男女共同参画二〇〇〇年プランには、メディアへの女性参画についてどういう指針を出しておられるのか、あわせてお伺いいたします。
  100. 佐藤正紀

    政府委員佐藤正紀君) 政府といたしましては、北京行動綱領の当該部分を踏まえまして、国内行動計画でございます男女共同参画二〇〇〇年プランにおきまして、メディアにおける女性の人権の尊重という重点項目のもとに、具体的施策といたしまして企画、制作、編集などメディアのあらゆる段階、特に方針決定の場に女性を積極的に登用するようメディアの自主的取り組みを促すことといたしております。
  101. 但馬久美

    但馬久美君 今のお話では、その取り組みというのは北京行動綱領から見ましても本当に限定的で、はっきりとした対応がなされていないように思われます。女性の人権は確かに大事ですけれども、それだけが全面的に取り上げられて、メディアにおけるポジティブアクション、つまりメディアから女性差別をなくす、そのための文面が欠如しているように思いますけれども、この点はどういうふうにお考えでしょうか。
  102. 佐藤正紀

    政府委員佐藤正紀君) 男女共同参画二〇〇〇年プランにおきましては、重点目標の一つである雇用等の分野における男女の均等な機会と待遇の確保における具体的な施策といたしまして、企業による積極的取り組み、ポジティブアクションの奨励を行うことといたしております。企業としてのメディアにはこの項目が該当すると考えております。  さらに、メディアにつきましては、重ねてプランの他の重点目標でありますメディアにおける女性の人権の尊重における具体的施策といたしまして、ただいま申し上げましたように、企画、制作、編集など、メディアのあらゆる段階、特に方針決定の場に女性を積極的に登用するようメディアの自主的取り組みを促すこととしたところでございます。
  103. 但馬久美

    但馬久美君 それでは、きょう、郵政省にも来ていただいておりますので、お伺いいたします。  NHKあるいは民放において、現実に女性の番組への参画はどのようになされているのか。例えば、先ほど話していらっしゃいました採用とか全体の人員での比率、幹部への昇進、また番組審議会などでの女性比率はどういう状態になっているのか。同様に、最近は契約者がふえてきておりますCS放送、この放送界では意思決定における女性参画はどのようになっているのか、この二点お聞かせください。
  104. 平井正夫

    説明員(平井正夫君) お答え申し上げます。  番組審議機関における女性委員の就任状況は、NHKでは二四%、民放キー局五社では二七%、CS放送の委託放送事業者では約二〇%となっております。また女性役員につきましては、NHKの経営委員は十二名中三名が就任しているものの、NHK、民放キー局五社とも、役員には女性がほとんど登用されていない状況にございます。職員に占める女性割合については、NHKは九%、民放キー局五社は約一七%となっております。  番組審議機関委員、役職員への女性登用については、基本的には放送事業者の判断によるものではございますが、男女共同参画社会実現に向けた政府内外の取り組み趣旨を踏まえて、今後とも適切に対応されることを期待しております。
  105. 但馬久美

    但馬久美君 今お聞きになられましたように、まだまだ意思決定機関への女性進出というのは非常に低いと思われます。これはどこに原因があると思いますか、お聞かせください。
  106. 平井正夫

    説明員(平井正夫君) 放送につきましても、社会全体を反映した側面といいますか、実社会が放送に反映され、放送がまた実社会に影響を持つという相互の関係ではないかなというふうに考えております。政府を挙げまして男女共同参画社会実現に向けて真剣に取り組むという中で、実社会もまた変化をしてまいり、その中でまた放送も変化をしてまいるのじゃないかというふうに期待しております。
  107. 但馬久美

    但馬久美君 これも総理府にお伺いしたいんですけれども、同じ質問なんですけれども、総理府の方にお伺いしましたところ、どういう数字が出ているかというデータがないということなのですけれども、やはり本基本法案をつくる所管庁の総理府といたしましてはぜひこの点も考えるべきだと思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、次に参ります。  北京行動綱領には、メディアのあらゆる分野、レベルへの女性の平等なアクセスを促進し、保障するために女性教育、訓練及び雇用を支援することと政府に求めております。また、二つ目には、ジェンダーの視点を組み入れる目的のもとに、既存のメディアの政策を見直すこと。三つ目には、管理、番組編成、教育、訓練及び研究を含むメディアへの女性の完全かつ平等な参加促進すること。また、四つ目には、民営、国営または公共メディアを含めてすべての諮問、管理、監督または監視機関への女性及び男性の任命に当たって、男女の均等を目指すこと等々、すべて政府に求めております。  これらの点について、非常に具体的な行動指針を列記しておりますけれども、政府責任がかかっていると考えますが、この点について、現状における取り組み、これは郵政省とそしてまた総理府にお伺いいたします。
  108. 佐藤正紀

    政府委員佐藤正紀君) 政府といたしましては、男女共同参画二〇〇〇年プランに基づきまして、メディアを含むあらゆる分野において女性政策方針決定過程への参画拡大を進めているところでございます。また、メディアにおける女性の人権の尊重につきましては、表現の自由はもとより、女性など、表現される側の人権についても尊重されるようメディアの自主的取り組みを促しつつ、メディアの特性や技術革新に対応した実効的な対策を進めておるところでございます。
  109. 平井正夫

    説明員(平井正夫君) 北京行動綱領では、政府により女性のニーズ及び関心事項が適切に取り組まれるように、女性のための女性による番組の数をふやすよう、表現の自由に矛盾しない範囲でこれらの機関に対し奨励することとされていることは承知いたしております。  我が国におきましては、放送番組につきましては、放送法におきまして放送の自律のもとで表現の自由の確保と公共の福祉への適合を図ることが原則とされております。したがいまして、このような基本的な考えのもとで、女性のための女性による番組づくりの増加についても、放送事業者の自律的な仕組みの中で対応が図られるものと認識しております。  また、放送事業者は今男女共同参画社会基本法案国会提出の趣旨等についても十分に承知をいたしておるというふうに考えておりまして、放送事業者におきまして一層の自主的取り組みが行われることを期待いたしております。
  110. 但馬久美

    但馬久美君 では、ちょっと時間がありませんので、メディアリテラシーという言葉がしばしばマスコミに登場しておりますけれども、この言葉の意味は、メディア側の情報を一方的に受容するだけではなくて、メディアとの関係をより能動的なものに変えていく力ということで、いわばメディアを批判的に読み解く力を養うことだと思います。これからは非常に大事な点だと思うんですけれども、この言葉の原点は、カナダのオンタリオ州の市民組織、メディアリテラシーという協会のところから来ているようです。  カナダでは、市民がさまざまな形でメディアにかかわることができると言われております。苦情にしろ人権問題ばかりではなくていろんな問題について吸い上げる機関や市民グループがあります。その一つにメディアリテラシー協会というのがあるんです。さらに、そうして吸い上げた問題をコーディネートする独立行政機関、カナダ・ラジオ・テレビ・コミュニケーション委員会といいまして、CRTCという独立行政機関も存在しております。  カナダはVチップ制を導入しておりますけれども、例えばテレビの暴力にかかわる番組で青少年に対する影響を考えて何に期待をするかといいますと、カナダ・ラジオ・テレビ・コミュニケーション委員会、CRTCはVチップに対しては一〇%しか期待していなくて、あとの八〇%はメディアリテラシーにかけるとさえ言われております。  これほどメディアリテラシーに期待がかかっているんですけれども、郵政省はメディアリテラシーについて、どのように考えておられるか、お聞かせください。
  111. 平井正夫

    説明員(平井正夫君) 我が国におきましては、青少年と放送に関する調査研究会という研究会を昨年開催させていただいておりまして、昨年十二月に御報告をいただいております。青少年と放送の良好な関係の構築に向けてテレビを初めとするメディアの持つ特性と内容を正しく理解する能力であるメディアリテラシーの向上についての提言が行われたところでございます。  現在、その報告書の提言を受けまして、ことし一月から青少年と放送に関する専門家会合ということで、郵政省も入らせていただきまして、郵政省それからNHK、民間放送事業者それからPTAですとか学識経験者等に入っていただきまして、今議論をしていただいているところでございまして、本年六月を目途により具体的な施策を取りまとめようとしていただいておるところでございます。  また、平成十一年度予算におきましては、放送分野における視聴者保護政策に関する調査研究が計上されておりまして、メディアリテラシーに関する調査研究等を行う予定でございます。  メディアリテラシーの向上は、国民的な課題であり、広く文部省教育関係者のみならず、父母、学界等を含め多くの分野の方々が関心を持って取り組まれることと期待いたしておるところでございます。
  112. 但馬久美

    但馬久美君 ぜひ教育分野においても、これは大切な問題でございますので、ぜひ努力していただきたいと思います。  きょう、文部省の方にも来ていただいておりますので、お伺いいたします。  カナダのオンタリオ州ではメディアリテラシーという教育が小中高と正規に授業に取り入れられております。これは一九七八年に創設されました市民組織、メディアリテラシー協会の主要メンバー十名が執筆した「メディアリテラシー・マスメディアを読み解く」という本があります。これは出版されていると同時に、中学、高校でも授業が開始されたと伺っております。現在では小学校でもこの授業が行われているようですけれども、小学校でCM、コマーシャルと普通の番組の違いなどを学び、そしてまた高学年ではコマーシャルの内容についてどう思うか、あるいはどういう効果や影響があるのかを学ぶと言われております。中学や高校では、さらに番組の評価のみならず番組の制作にまで学習して、それを通じて社会観や世界観をしっかり認識する作業をしていると言われております。  カナダ初め、欧米では学校教育カリキュラムに取り入れる国が今どんどんふえているようですけれども、この点、検討すべきではないかと思いますけれども、文部省、どうお考えですか。
  113. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) メディアリテラシー教育の意義につきましては、今、先生から御紹介されたとおりでございまして、私どももカナダの状況等につきましては資料等を取り寄せまして様子を承知しているところでございます。今、先生御紹介されたとおりでございます。  あふれる情報の中から正しい情報を子供たち自身の力で選択する、あるいはメディアの一方的な情報をそのままうのみにするのではなくて、みずからの判断で取捨選択する力、こういったものは大変重要なこれからの子供たちに必要な力だというふうに思います。  私ども文部省の学校教育の中では、これまでは社会科とか公民というような教科でこれらを行うようになっておりましたけれども、率直に言いまして、今紹介されましたカナダの例に比べますと十分とは言えないのが現状であろうというふうに思います。  平成十四年度から私ども新しい学習指導要領に移行いたしますけれども、そのときには、中学校、高等学校につきましては情報という教科を必修にいたしました。あるいは、総合的な学習の時間といったものを小学校の場合は週三こま、中学校は週二こま用意するというような用意をいたしました。それ以外に、さまざまな教科におきましてこれは必要でございますので、いろいろな教科においてこういった視点に立った教育がさらに行われることは大切なことだと思います。  各学校の判断による部分も多いわけでございますけれども、私どもこうした視点に立った能力の育成といったことを各学校にも呼びかけて、積極的に取り組んでいきたい、こんなふうに思っております。
  114. 但馬久美

    但馬久美君 メディアの時代とも言われておりますので、ぜひ検討していただきたいと思いますし、努力していただきたいと思います。  カナダのことばかり言うようですけれども、もう一点、メディアと市民とのコミュニケーションがうまくとれている様子なので、日本も参考にすべきではないかというように思ってこの質問を取り上げさせていただきました。放送にかかわるさまざまな苦情や問題提起が市民グループから吸い上げられて、調整して、メディアに改善を求めたり、そしてまた提案したりするこのカナダ・ラジオ・テレビ・コミュニケーション委員会日本にあるとすればどういう機関に当たるか。  先ほど青少年と放送に関する調査研究会とおっしゃいましたけれども、これをベースにいたしました、一九九七年にBRC、放送と人権等権利に関する委員会が設立いたしましたが、もっと幅広い委員会が必要ではないかと思われます。今後は、特に男女共同参画社会形成のために対応できる、また意見調整ができる公的あるいはまた民放連でつくる民間機関が必要不可欠だと思うんですけれども、暴力と放送、性的描写と放送、あるいはまたジェンダーの視点を欠く固定観念にとらわれた放送、また青少年と放送等についてももっと自由に意見が交換できるように、そういう機関が欲しいと思うんですけれども、これは郵政省の管轄だと思いますけれども、御意見をお伺いいたしまして、私の最後の質問とさせていただきます。
  115. 平井正夫

    説明員(平井正夫君) 先ほども御説明させていただきましたが、青少年と放送に関する専門家会合というものの中に、やはり第三者機関等の活用という項目も入っておりまして、御検討いただいておるところでございます。  ただ、先ほど先生の御指摘ございましたように、BRO、BRCにつきましても、今でき上がってこれから実績を積みつつあるというような状況にあったり、あるいは放送法の中でも番組審議機関が法定で定めておりましたり、あるいは番組向上の協議会が放送事業者の自主性に基づいて設立されたりということで、機関の数はかなりあるんじゃないかということですが、その実体的な働きについていろいろ御批判のあるところではないのかなというふうに考えております。  先生の御意見も踏まえまして、そういう委員会にもこういう御意向があったということをお伝えさせていただきたいなというふうに考えております。
  116. 但馬久美

    但馬久美君 いろいろ男女共同参画社会基本法案につきましてのお話から、こうやって放送関係の方に質問をさせていただきましたけれども、これから本当にこのメディアの世界が非常に大事になってまいりますので、そういうところから放送される、また影響を与える力というのはこれからますます強くなってまいりますので、今数々質問させていただきましたけれども、ぜひ今の質問の中からいろいろ配慮していただきたいと思うわけでございます。  時間が参りましたので、私の質問はこれで終わらせていただきます。  以上でございます。
  117. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 日本共産党の阿部幸代でございます。  まず、法案の基本的な性格について質問いたします。  男女共同参画社会基本法、この名前自体、大変難しいように思います。また、名は体をあらわすと言いますから、少なからぬ女性たちが失望感を抱いたのも仕方がないのかなという気がしないでもありません。それというのも、個人の尊重と平等を基本的権利とする憲法を持って五十年余、女子差別撤廃条約批准して十四年たちましたが、男女の格差が厳然として存在し、男女平等の促進こそが女性たちの切実な願いだからです。  例えば、就業は生活の経済的基盤であり、自立と男女平等の基礎であるにもかかわらず、女性の賃金は男性の六三・一%、雇用機会均等法制定後二・六%縮減したにすぎません。パート労働者を含めますと女性男性の五〇%、半分にしかすぎません。昇進、昇格差別もなくなりません。  官房長官趣旨説明に際し、男女間の不平等感と男女平等の実現に言及されていましたが、法案は、男女間格差をなくして男女平等を推進していくのに資するものとしてつくられていると理解してもよろしいですか。
  118. 野中広務

    国務大臣野中広務君) ただいま御審議をお願いいたしております本法案は、委員が御指摘のとおり、私どもは、男女の人権が尊重され、またこれによって男女共同参画社会形成され、かつ総合的な計画が推進されるということで、今、委員がおっしゃいましたように、男女が性別によって差別されるような取り扱いを受けないという基本が貫かれておると考えておる次第でございます。
  119. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 法案では、男女の対等、均等、共同と、符節を合わせたように専ら機会の確保がうたわれています。第二条一項、「自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、」を初め、第三条、第五条にも見られます。対等、均等、共同と機会の確保ということを厳密に考えますと、門戸は開くけれども結果の平等は保証できないとも受け取れます。それとも、容易に到達はできないけれども、結果の平等も排除しないということですか。
  120. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 男女社会の対等な構成員といたしまして、みずからの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保される社会として第二条一項に定義をしておるところでございます。  ここで言う参画する機会が確保されるということは、単に形式的に差別がなく門戸が開かれているという意味での機会を確保することだけを指すものではございませんでして、実態として男性に比べてより多くの家事責任を負っておる女性であっても、家庭生活における活動以外の活動にも参画していただけるような環境整備をすることなどを通じまして、実質的にあらゆる分野での活動に参画する機会を確保していこうと考えておるところでございます。  このような機会を確保することによりまして、男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受できるようにすることが共通の責任であろうと考えておるわけでございまして、男女共同参画社会形成をかかる観点で図ってまいりたいと存じておるところでございます。
  121. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 なかなか難しいですね。  法案の理解を深める立場から伺いたいんですけれども、男女共同参画社会基本法というネーミングの由来でもあり、法案の骨格でもある、政策方針立案決定への共同参画ということについてです。  このこと自体、いわゆる参政権などと比べると国民の間に必ずしも広く知られているというふうには思えないのですけれども、男女平等を推進するに当たってのその積極的意義は何でしょうか。
  122. 佐藤正紀

    政府委員佐藤正紀君) 社会構成員政策あるいは方針立案それから決定に共同して参画する機会が確保されることが、男女があらゆる分野におきまして利益を享受することができ、ともに責任を担うべき男女共同参画社会の基盤をなすことであると考えております。  このことから、第五条におきまして、国もしくは地方公共団体における政策または民間の団体における方針立案及び決定に共同して参画する機会が確保されることを旨として行われなければならないという基本理念を掲げたところでございますが、このことは男女共同参画二〇〇〇年プランにおきましても重点目標の第一番目に掲げたところでございます。  その施策の基本的方向といたしまして、「国の政策方針決定過程への女性参画拡大」、「地方公共団体等における取組の支援、協力要請」、「企業、教育・研究機関、その他各種機関・団体等の取組の支援」及び「調査の実施及び情報・資料の収集、提供」と、さまざまな分野にわたる施策を掲げたところでございます。
  123. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 男女平等という状態概念に対して共同参画はプロセスと動きをあらわす言葉である、こういう説明を男女共同参画審議会委員をやっておられた方から聞いたことがあるのですが、そのかなめをなすのが政策方針決定過程への参画問題と考えます。  何をどのように実現するのか。政策方針立案決定女性がもっともっと参画するというのはすぐれて民主主義的な課題だと私自身も思うんですけれども、こういう理解でよろしいですか。
  124. 佐藤正紀

    政府委員佐藤正紀君) 男女の平等を促進するためには、あらゆる活動におきまして均等な機会が提供され、おのおの積極的に活動できるような状況を確保することが基本的に大事だというふうに考えておりまして、そのような社会形成するための施策を総合的に推進していきたいと考えております。
  125. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 今のお答えが一番わかりやすかったような気が私はいたします。  実は、このことともかかわって、ともすると政策方針決定過程への参画というと女性議員審議会委員女性比率を高めること、このこと自体重要だと私は思うんですけれども、それに限定するような議論もあるんですけれども、国連とその関連文書は一貫してこの問題を重要視していると思います。  例えば、既に一九七五年の国際婦人年世界会議における世界行動計画は、「国際婦人年の目的は、婦人が真の、かつ、完全な意味で、経済的、社会的、政治的生活参加するような社会の概念を定め、社会がそのように発展していくための戦略を作り出すことである。」として、各国政府やすべての公的及び民間機関、婦人団体、青年団体、使用者、労働組合、マスコミ、非政府機関、政党及びその他のグループに向けて、国内行動として、「地方、全国及び国際レベルにおける政策決定婦人参加を奨励すること。」を挙げています。  国連はなぜ政策方針決定過程への女性参画促進を重要視してきたのか、説明していただけたらと思いますが、お願いします。
  126. 佐藤正紀

    政府委員佐藤正紀君) 国連女性がいろいろな分野参画できるようにということを推進してきたのは、あくまでも男女の平等を推進するためにはいろいろな部門での女性の活動が重要であるという認識に立つものと考えております。
  127. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 国際婦人年のテーマは、平等、開発、平和であらわされ、世界の女性運動に受け継がれているというふうに思うんです。  ここには、植民地主義と人種差別に終止符を打つ運動で重要な役割を果たした女性たちが必ずしも男性と平等な仲間としては認められなかったこと、その後の開発でも必ずしも女性を含むすべての国民が利益を得られたわけではないこと、つまり、おこぼれによっては生活の向上も平等、平和もあり得ず、みずからが変革の担い手となって政策決定参加していかなければならない、そのために力をつけなければならないという決意が込められているように私には思えます。  いわゆる先進国にも同様のことは言えるわけで、結局、変革の主体、担い手として広く政策意思決定過程に参画していくというのは、このこと自体男女平等の重要な要素であり、前進的、形成男女平等の一つの基礎であると思います。  こういう理解でよろしいですか。
  128. 佐藤正紀

    政府委員佐藤正紀君) ただいま先生のおっしゃった項目が男女共同参画社会形成という定義に書いてあることとまず同じことではなかろうかと理解をいたします。
  129. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 問題は、このことを単なる国民の心構えに終わらせないためにどうしたらよいのかということだと思うんです。私は、多くの女性たちから何だか心構えばかり言われている法律案だというふうに言われたんですね。そうではないものにしていきたい。  諸外国では、法のもとの平等から事実上の平等を実現するための苦心と努力を重ねているように思います。それらは、積極的差別是正措置やいわゆる間接差別の禁止、セクシュアルハラスメント対策、家族的責任を有する労働者のための政策等の立法化であり、法案にはこれらが一定程度反映されていると思います。問題は、どのようにしてこれを広く国民全体の取り組みにしていくか、つまり男女平等の実現を前提とした男女共同参画実現を単に心構えに終わらせないためにどうしたらよいかということだと思うんです。  そこで、重要になってくるのが職場生活における男女共同参画実現だと思います。  就業率から見て男性の七六%、女性の五〇%が働いていて、しかも今後女性の就労が一層期待される中で、職場における男女共同参画の前進なくして社会全体の共同参画はあり得ないと思うわけです。改正雇用機会均等法では、国は、男女の均等な機会及び待遇の確保の支障となっている事情を改善するための計画の策定、実施等の取り組み、ポジティブアクションを行う事業主に対し、相談その他の援助を行うことができるとありますが、民間事業主にポジティブアクションを普及するためにも、まず公務部門での男女共同参画計画の策定や実施などポジティブアクションの模範的実践が必要だと思うんですが、どう思いますか。
  130. 野中広務

    国務大臣野中広務君) お話のようにポジティブアクションが果たす役割が非常に大きいと思うわけでございまして、特に公的部門におきますポジティブアクションを実現していくことが先決であろうと考えるわけでございます。それをなお民間に拡大をしていくというのが委員がおっしゃるこれからの道筋であろうと思っておるわけでございます。  したがいまして、男女共同参画二〇〇〇年プランでは、女性国家公務員の採用、登用、職域拡大及び能力開発を一層推進いたしますとともに、現在、定期的にこの状況を分析しながら今後計画的に取り組むことが効果的との観点から、採用、昇進等の状況を逐一調査、公表し、改善がなされるようにこの課題に取り組んでまいらなくてはならないと考えておるところでございます。  また、引き続き、民間におきます関係者にも、それぞれこのポジティブアクションがより有効的に実施されますような啓発要請を行っていかなくてはならないと考えておるところでございます。
  131. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 私は、諸外国で公務部門における雇用平等がいわば模範として推進されていることに大変注目をしているところです。  例えば、ドイツでは女性地位向上計画の策定を公務部門の全事業所に義務づけて、就業者二百人以上の事業所には女性問題担当者の専任を義務づけています。そして、適性、能力及び専門的業績の優先を尊重した上で、女性の少ない各領域で女性比率を高める努力をしたり、家族的責任を有する官吏には管理職を含めパートタイム勤務あるいは休職の請求権を原則的に認めています。  実は、公務員制度調査会の三月の答申の中でもこれらについて触れているんです。「男女共同参画社会基本法が制定された場合には、それに基づく関連諸施策と一体的かつ総合的に公務部門における男女共同参画を推進すべきである。」、こう言って具体的改革方向を示していまして、例えば「単身赴任の縮減方策等の検討」、こんなのも入っているんです。法律ができるわけですから、ぜひ前進的に取り組んでいただきたいと思います。  次に、民間企業における男女共同参画の推進のために、先ほど長官おっしゃっていたんですけれども、雇用均等法による相談、援助、啓発活動が主ですね。それだけではなくて、誘導策などもっと実効性ある施策が必要と思うんですけれども、どのように考えますか。
  132. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 先ほども若干申し上げましたけれども、この法律の十条におきまして、「国民の責務」といたしまして、職域、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野において、基本理念にのっとって、男女共同参画社会形成に寄与するように努めなければならない旨を規定しておるところでございまして、当然のこと、企業におかれましても男女共同参画のために積極的に取り組んでいくことが重要であると考えておるわけでございます。  今後、あらゆる機会を通じまして、基本法及び関係法令の趣旨の徹底を図りまして、男女共同参画社会形成促進の実効を上げてまいりたいと考えておるところでございます。
  133. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 外国の物まねを何でもすればいいということは言えないと思うんですけれども、カナダとかドイツ・ベルリン州とかオーストラリアとか、いろいろなところでいろいろなことが試みられているようです。例えばベルリン州法では、一万マルク以上の契約発注の際、複数の有資格企業のうち女性地位向上計画に基づいて女性の平等に配慮した企業を優先しているわけです。  日本でも、補助金をもらっている企業、政府から契約を受注している企業があるわけですから、一定額以上の補助金や受注額に応じて男女共同参画計画の策定、実施などポジティブアクションを義務づけるとか、また逆に積極的に取り組んでいる企業を優先するなどの措置をとってもよいのかなというふうに思います。  要するに、男女共同参画を進める上で事業主の責務は非常に大きいと思うのですが、そこはどうですか。
  134. 野中広務

    国務大臣野中広務君) お説のとおりだと思っております。
  135. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 政府男女共同参画二〇〇〇年プランの中でも、「雇用等の分野における男女の均等な機会と待遇の確保」というところで、「男女共同参画社会実現にとって、この分野は極めて重要な意味を持っている。」、このように述べられています。法律ができるわけですから、これも、このプランよりもより実効性のあるものへと前進させていただきたいと思います。  次に、家庭生活における活動と他の活動の両立、中でも職業生活家庭生活の両立支援策について質問いたします。  私は、男女共同参画社会に関する有識者アンケート調査結果に大変興味を持ちました。男女共同参画社会形成のために政府が重点的に行うべき取り組みとして、仕事家庭の両立支援の体制整備と答えた方が、全体で五四・二%、女性有識者で五六・六%でトップでした。それは、政策方針決定過程への参画を進めると答えた方、全体で四一・七%、女性有識者で四四・五%を大きく上回っています。  この調査結果について、どのように受けとめておられるでしょうか。
  136. 佐藤正紀

    政府委員佐藤正紀君) 先ほど来答弁いたしておりますように、平等なる機会を確保する、ただ単に形式的な機会を確保することではなくて、その周辺の環境整備も重要であると認識しておりますので、こういうアンケート等で出てきた結果については十分念頭に置いて考えていきたいと思っております。
  137. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 仕事家庭の両立支援の体制整備の中で、具体的に保育所の拡充は待ったなしと言えるのではないかと思っています。  厚生省が全国子育てマップを発表し、保育所に申し込んでも入れない子供、いわゆる待機児が昨年四月現在、全国で四万人にも上り、都市部を中心に深刻な実態にあることが明らかになりました。  私の地元、埼玉県について見ますと、同じ昨年四月現在で待機児の数は千五百六十三人に上り、とりわけ都市部が深刻です。今年度も事態は一層深刻で、例えば所沢市などでは入所待ちの児童が三百七十人にも上っています。定員増をしても根本的な解決にはならず、むしろ保育環境の悪化を招いているわけです。園庭で遊ぶのも交代制で、一歳児はめったに土に触れられません。狭いところで大勢が生活するために、ぶつかって歯が折れた等の事故、けががあちこちの園でふえている、こういう報告もあります。これは、埼玉県保育問題協議会の「埼玉の保育」の中で見られた報告でした。  男女共同参画促進するために、男性にとっても女性にとっても保育所の拡充は大前提、しかも待ったなしと言えるのではないでしょうか。
  138. 横田吉男

    政府委員(横田吉男君) 近年、共稼ぎ家庭が増加してきておりますのに対応いたしまして、私ども、保育所の役割が大変重要になってきているというふうに考えております。  これにつきましては、平成六年に緊急保育対策等五カ年事業を策定いたしまして、先生今御指摘にございましたような待機児の解消等を目指しまして鋭意努力を進めているところでございます。例えば平成十一年度予算におきましては、最近需要が特にふえておりますゼロ歳児から二歳児、低年齢児の枠につきましても五万人弱の増加を図るなど、この計画の達成に鋭意努力をしているところでございます。  全国的には保育所の定員は約百九十万人でございますが、入所者数は百七十万人ということで、あきが二十万人ぐらいございます。一部大都市等におきまして今御指摘のございましたような待機児があるということで、私ども、こうした個別の団体への努力をお願いする意味からも、近年、個別のヒアリング等を行いまして、こういった地域における待機児の解消に努めてまいりたいと考えております。  また、そのためにできるだけ増設しやすいようにということで、小規模の保育所でございますとか学校の空き教室を活用した分園の設置でございますとか、あるいは既設の保育所におきましても年度当初から定員の一五%、それから年度途中では二五%までの入所を認めるとか、あるいは産休明け、育児休業明け等の場合におきましては無制限に入所できるようにするというような規制の弾力化を行いまして、こうした待機児の解消に努めているところでございます。
  139. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 余り事細かに保育行政についてここで質問する気はないのですけれども、保育所拡充に際し、私はやはり国や自治体の責任が重要だということを強調したいと思うんです。  例えば、紹介した所沢市では、公立保育所では、以前からホール、つまり保育室以外のホールを含めた定員設定をし、建てかえや増築で定員増の努力をし、私立の保育所についても、十四保育園のうち十二保育園で定員を超える保育を実施しています。最高は一一六・七%の実施率です。それでも三百七十人分足りないのです。  政府としても、男女共同参画を進める国の施策として、ここにぜひ着目をしていただきたい。  つまり、法案第六条の「家庭生活における活動と他の活動の両立」において、「相互の協力社会の支援」の中の「社会の支援」とは、国や自治体の責任を不可欠のものとするということを確認してもよろしいですか。
  140. 佐藤正紀

    政府委員佐藤正紀君) 第六条に書いてございますとおり、家庭生活と他の活動が両立できるように社会として支援をしておかなければならないということが国の責務の中に入っておると考えております。
  141. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 修正案の提案者にお伺いいたします。  私は、今までの質問の中で展開しましたように、男女共同参画を進めていく上で、公務労働分野で模範的な実践をまずやっていくこと、それから企業や事業主の責任が非常に重要だということ、それから社会的支援における国、自治体の責任が極めて重要であるということを展開いたしました。修正案では、政府案と同様これらを……
  142. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) 阿部さん、対案です。
  143. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 ごめんなさい。修正案じゃないです。対案です。失礼しました。  政府案と同様これらをいわば担保するといいますか、そういう直接的な条文はないんですけれども、これらの問題についてどのようにお考えになっていますか。
  144. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 今幾つかの点がございましたけれども、特に公務部門での積極的な取り組みにつきましては、私たちは、第四条のポジティブアクションに当たるところ、積極的是正措置政府案よりはちょっと強い表現を使っておりますが、その中で言うまでもなく国や地方公共団体の公務分野で率先して取り組んでほしいという、そういう意味合いも込めております。  先ほどからのお話にもありますように、例えば男女平等に近いスウェーデンなどでは、女性労働者の五五%がパブリックセクターで働き、しかも女性管理職の三分の二がパブリックセクターだということもございますので、特に公務部門につきましては、積極的にポジティブアクションを取り入れて採用をし、また女性管理職にも積極的に登用してほしいというふうに考えております。  ナイロビ将来戦略でも、あらゆる分野意思決定過程のところに三〇%という約束をしているわけですから、特に公務部門で率先してやっていってほしいというふうに考えます。  また、事業主の責任が大きいという点では当然だと思いますので、これは第十条の中の職域部門の中にその事業主の責任が含まれていると考えます。  また、最後にお聞きになっていました家族的責任仕事の両立ということにつきましても、日本はILOの百五十六号条約ももうとっくに批准をしているわけですので、そうした育児、介護等その他の当該活動以外の活動という表現に文章の中ではなっていますけれども、その他のものが両立するように国もそれから自治体も積極的に取り組んでいくべきであると考えまして、そうしたことを私どもの法案の中にも意味合いとして込めてあると思っております。
  145. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) 午後二時四十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時三十四分休憩      ─────・─────    午後三時開会
  146. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) ただいまから総務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、男女共同参画社会基本法案及び男女共同参画基本法案を一括して議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  147. 清水澄子

    清水澄子君 社民党の清水澄子です。  時間が二十分しかございませんので早口で言いますけれども、答弁もイエス、ノー的なところはそういうふうにしてください。  それで、最初に確認をさせていただきたいんですけれども、日本では他国にはない人権問題としての部落差別やアイヌ差別問題がありますし、また在日韓国・朝鮮人や在日外国人の差別問題が非常に多く存在しております。  このように、日本に存在している人権侵害の問題とまたいわゆるマイノリティーに属する女性たちは、それゆえの差別の上にさらに女性として二重三重の差別を受けているわけです。しかし、男女共同参画ビジョンでも男女共同参画二〇〇〇年プランでも、彼女たちの人権についてはほとんど明記されておらないわけです。  しかし、北京行動綱領では、「戦略目標」のI、「女性の人権」というところにはっきり、いかなる種類の差別もなしに女性男性の人権及び平等と、同時にそういうマイノリティーの女性に特別の注意を払うべきであるということが明確に記されております。北京宣言でも、そういう立場にある人たちは「エンパワーメント及び地位向上に対する多様な障害に直面しているすべての女性及び少女のあらゆる人権及び基本的自由の平等な享受を保障するための努力を強化する。」ということがうたわれております。  このことがこの基本法の第三条にある個人の尊厳そして人権というところに入っているか、これが意識されているか。そしてさらに、これらが今後ともそれらの彼女たちに対する差別解消、人権保障のための施策を講じていくということをここで確認させていただいていいのか、そのことを簡潔にお答えください。
  148. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 男女共同参画社会基本法案は、第一条におきまして、男女の人権が尊重される社会実現することの緊要性にかんがみまして、男女共同参画社会形成を総合的かつ計画的に推進することを目的とすることを掲げますとともに、委員指摘のように、第三条において男女の人権の尊重を基本理念として規定しておるところでございます。  この法案におきまして、単に人権と規定せずに男女の人権と規定いたしましたのは、人権について性差に起因する問題という観点に着目をいたしまして、この観点から尊重することを強調したものでございます。したがいまして、男女の人権の享有主体はすべての人でございます。
  149. 清水澄子

    清水澄子君 では、マイノリティーの彼女たちの人権は今後ともこの条文の中で解決していくというふうに確認させていただきます。  次に、第三条、第四条に関してでございますけれども、現在の税制とか年金制度はやはり性別役割分業を前提としたものででき上がっております。ですから、妻は被扶養者として位置づけられておりますし、税制上の配偶者控除が、いわゆる百三万円の壁と言われるように、女性が配偶者控除の要件となる年収百三万円未満になるように就労調整を図られているという大きな要因になっております。年金制度でも、第三号被保険者制度は同様に女性の就労調整の要因となっておるわけです。そもそも、年金制度は夫婦子供二人の標準世帯を前提にして設計されているために、離婚女性とか単身女性には非常に不利になっておりますし、今日の女性の多様なライフスタイルに対応できるものとはなっておりません。  四月十二日の本会議において、宮澤大蔵大臣は、税制について扶養控除制度を置いているために個人課税に徹し切れていないとして将来考え直さなければならないという答弁をされておりますし、宮下厚生大臣も、女性の年金については制度全体の検討が必要になっているというお答えをいただいておりますが、この三条、四条は、こういう性別による差別的取り扱いや中立でない影響を及ぼす制度として認識させていただいてよろしゅうございますか。
  150. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 御指摘の第三条におきましては差別の問題など男女の人権の尊重を、そして第四条では制度、慣行の問題を取り上げているところでございます。  議員お尋ねの税制や年金等、女性の活動や生活に大きな影響を与えますものにつきましては、女性社会進出や家族、就労形態の多様化、諸外国の動向等も踏まえつつ、男女共同参画社会形成促進という視点からも、議員御指摘のような諸点を踏まえまして必要な検討を行ってまいらなければならないと考えております。
  151. 清水澄子

    清水澄子君 次に、アンペイドワークについての認識とこの政策化の決意をお伺いしたいと思うんです。  これまで日本では、農業や自営業女性の無償労働問題、それから家庭女性も含めての家事とか育児とか介護など、ボランティア活動もそうなんですが、これはすべて社会で必要な働きなんですけれども、それらは無償労働として存在しています。これらについての経済評価、または政策課題の面でもそれらが取り入れられていないわけです。  しかし、北京宣言及び行動綱領では、女性と経済の格差をいかになくすかという中の大きなテーマとして、これは女性がペイドワークだけじゃなくて非常にたくさんのアンペイドワークを担っている、そしてその国の経済や社会の発展に非常に大きく寄与している、そして一方で農業とか食糧生産、または家族経営の企業において市場向けの製品をつくったりサービスの生産に参加しているけれども、それらは国民経済計算体系に反映していないということで、これらが女性差別の大きな原因になっている。  さらに、女性は、子供や高齢者の世話とか家族の食事、環境保護の運動また地域でのボランティア活動など、地域社会または家庭内で多くの無償労働の大部分を担っている。だから、これはその国の国民経済計算の中できちんと把握されて、そういう必要な経済のコストとしてこれらが把握されなきゃならない。その中から、家庭の中で役割分担する部分と地域社会で支え合えるものと政策的にそれを補っていけるものという形で、アンペイドワークとそしてペイドワークのバランスをきちんとすべきだということがうたわれてきていたんですが、日本ではなかなかそれが理解されない。  私が何年か前に経済企画庁の政務次官だったときに、経済企画庁は何にもそういう女性の経済に果たす役割の統計をとらないんじゃないかということで、アンペイドワーク統計の整備を頼みました。ところが、そこで初めて日本で無償労働の統計をとったんですが、非常に不十分なために、そしてその訴え方が家事の値段とか主婦の値段などと訴えたので、非常に大きな誤解が生じているわけです。これはそういうものの値段ではありません。人々がいかに一日を過ごしているか、これは男女ともです。そして、それはどんな種類の仕事に時間とエネルギーを費やしているかということを男性女性もとる。それをきちんと掌握すると、女性の方が二つも三つもの二重労働をやっている。アンペイドとペイドワークと両方を女性は担っている。その点をどのように女性男性の間でより公平に分配するか。  もう一つは、社会の福祉に貢献するアンペイドワーク、いわゆる介護とか育児、そういうものをどう社会的、経済的に認知して、それをどう政策に反映させるか。それらが、両親休暇とか同一価値労働同一賃金への政策であるとか、または税の控除とか育児経費への控除とか、そういう政策に、ヨーロッパ等は男女ともこのアンペイドワークとペイドワークのバランスを、女性にだけアンペイドワークが多いというのではなくて、両方がそれこそ生き生きと人間らしくと言うならばこの辺が一番大きな問題だということでもうずっと統計もとられて、それを政策へ反映しているわけです。  このことが日本ではほとんど取り組まれていない。今、総務庁がようやくこの問題で統計をとる準備を始めてくださいましたけれども、私は、これこそが男女共同参画社会というならば、この問題をはっきり認識した上で、これをきちんと状況を把握する、そしてそれらを公平に時間を分配できるような政策をしていくべきだと思います。その点で、私はこれは男女共同参画室が最も中心的役割を担うべきだと思うんです、政策的提言とか趣旨について。  そういう意味で、どうぞ官房長官、アンペイドワークについての御認識と、今後どう統計の実態をとって政策化をしていかれるのか、その点についての御決意を伺わせていただきたいと思います。
  152. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 女性がその大部分を担っておられます無償労働、いわゆるアンペイドワークにつきましては、男女共同参画社会実現をしなければならない観点から、男女共同参画二〇〇〇年プランにおきましてその数量的な把握の推進を行うこととしておるところでございます。委員も経企庁政務次官のときに大変熱心にお取り組みをされたと聞いておるわけでございます。  具体的には、国際動向を踏まえまして、我が国における無償労働の量及び質を測定する方法、調査実施の可能性等を検討するため、ただいま学識経験者による研究を行っていただいておるところでございます。また、家事等の無償労働を貨幣評価した推計結果を平成九年及び十年に公表いたしております。この評価結果は、無償労働の経済的意味を明らかにしたものでございます。  これらの調査研究の結果等を踏まえまして、今後、無償労働社会的評価のあり方について十分検討してまいりたいと存じております。
  153. 清水澄子

    清水澄子君 ぜひ他の国におくれないように、日本にもそういうきちんと統計の把握があり、それが政策化されようとしているということが報告できるように、ひとつ御努力をお願いしたいと思います。  次に、基本計画のところに、やはり第十三条ですが、男女共同参画基本計画の策定ということの中には、やはり基本理念を具体化していくためには、例えばマイノリティー、女性の人権保障だとか、税制とか年金制度の見直しとか、教育の平等とかアンペイドワークの把握と政策化だとか、そういう政策とか課題、目標が具体的にみんなに理解されることが私は非常に重要だと思うわけです。ですから、それらをぜひここに明記していくことをお願いしたいと思うんです。  それで、あわせて、市町村に基本計画策定を義務づけることなんですけれども、この法案では都道府県には基本計画の策定を義務づけておられますけれども、市町村には努力義務にとどまっております。しかし、例えば老人福祉法では、やはり市町村老人福祉計画策定を義務づけていたことによって、ようやく各市町村が一〇〇%これを計画策定しているんです。ところが、同じ障害者基本法は努力義務になっているために、現在三三・三%しか実行されていない。  そういう意味でも、やはりこの基本計画を市町村にも義務づけるということをぜひ私はここでお願いしたいんです。それと同時に、こういう基本計画をつくっていくために、都道府県及び市町村に財政的な支援をするということを含めてこれは検討すべきことと思いますが、いかがでしょうか。
  154. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 基本計画につきましては、これまでの男女共同参画に関する国の行動計画は柱立てが時代によりまして変遷をしていること等、また来年六月には御承知のようにニューヨークの国連女性二〇〇〇年会議が開催をされ、その動きも十分踏まえるべきであると考えまして、法律で細かく規定するとかえって硬直化し、今後の世の中の動きに合わなくなるおそれがあると考えたところでございます。  なお、昨年十一月に男女共同参画審議会から提出をされました答申では、「基本計画に盛り込む事項については、世界の情勢、時代の変化に柔軟に対応するため、基本法で詳細に規定せず、主要事項にとどめることが適当である。」とされておるところでございます。  市町村についての問題でありますけれども、市町村は御承知のように三千以上もあるわけでございまして、その規模がさまざまでございます。これらのことにかんがみまして、一律に計画の策定を義務づけることは適当ではないと考えたところでございます。しかし、市町村におきましても、本法案趣旨にのっとりまして計画の策定に積極的に取り組まれるよう期待をするものでございまして、市町村における計画の策定を努力義務としておるところでございます。  また、この法案におきまして、第十一条で政府男女共同参画社会形成促進に関する施策を実施するため必要な法制上または財政上の措置を講じなければならない旨規定をいたしておるところでございますが、具体的にどのような施策についてどのような措置を講ずるかにつきましては、施策の進展状況や国、地方の役割分担、財政事情等を十分勘案しながら、最も効果的かつ効率的なものになるよう進めてまいりたいと考えております。
  155. 清水澄子

    清水澄子君 市町村も町村となるとちょっと大変、村だと大変かなと思うんですが、市であると大きい市もありますから、やはり市と全くわずかな人数の村とが一緒ではちょっとおかしいと思うんです。ですから、その辺も運用の中ででもきちんとやっていただきたい。私は義務づけることを希望しておきます。  最後に、この推進体制について伺います。  中央省庁等改革関連法案が提出されて、内閣府に調査及び監視機能を持つ男女共同参画会議を設置することが盛り込まれております。また、中央省庁改革の推進に関する方針では、内閣府に男女共同参画局の設置が示されていて、私はこれは大いに評価をしております。  しかし、小渕総理は本会議で、局にふさわしい強力な推進体制を整えるべく検討をしていると答弁されておりますが、その方策というのは一体どういうことをされるのか、具体的にお示しをいただきたいと思うんです。  同時に、内閣府設置法では、行政各部の施策の統一を図るために必要となる企画及び立案並びに総合調整について特命担当大臣を置くことができることとなっております。ですから、男女平等推進は、政治、経済、社会のあらゆる分野のあり方の見直しを必要とするものでありますから、あらゆる施策にかかわるわけです。よって、男女平等推進をつかさどるといいますかそういう特命担当大臣を置いて、内閣府に位置づけられた推進機能をより強化することが私は非常に不可欠だと思いますが、官房長官の御答弁をいただきたいと思います。
  156. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 担当大臣につきましては、男女共同参画社会形成促進が内閣として取り組むべき国政上の最重要課題であることでございますので、従来より基本的に内閣官房長官が担当大臣に指名をされてきておるところでございます。現在は、不肖私が担当大臣の重責を担っておるところでございます。  このたびの中央省庁等改革におきましては、内閣府における男女共同参画会議の長を内閣官房長官といたしておりまして、内閣官房長官のもとに男女共同参画社会形成促進に関する施策を強力に推進することとされているところでございます。  特命担当大臣の設置につきましては、もちろんのこと総理の判断されるところでございますけれども、いずれにいたしましても、今後とも内閣官房長官のもとに男女共同参画社会実現を強力に推進してまいることに変わりはないと存じておるところでございます。
  157. 清水澄子

    清水澄子君 もう一つ、その推進体制をどのようにやっていかれるか。
  158. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 失礼しました。  中央省庁等の改革に伴いまして、内閣府に御承知のように従来室でありましたものを局に位置づけまして、そのもとに審議官を初めとする推進のための組織を目下検討しておるところでございます。
  159. 清水澄子

    清水澄子君 終わります。
  160. 入澤肇

    入澤肇君 私は幾つか事務当局に対して御質問したいと思います。  今実際に動いている基本法我が国全体で十四本だと言われております。これはそれぞれの時代背景を担ってその時々に極めて重要な役割を果たしてきたわけでございますけれども、形はつくってもなかなか内容が伴わないという基本法も中にはございます。先ほど午前中の質疑の中で、条文だけ読みますと心構えの法律化という御発言がございました。  この基本法、いわゆる理念法あるいは宣言法的なものがこれから内容を持って大きく掲げていくためには前提条件が私は必要であると考えております。その前提条件は、言うまでもなく男女平等あるいは男女共同参画についての我が国経済社会における実態的な分析であります。これは社会科学的な方法論を駆使して、ある意味では文化人類学的な手法を用いて調査分析を行うことが必要不可欠であると思います。これだけ立派な法案を出すわけでございますから、前回の質問のときにも申し上げましたけれども、かなりの調査を私は積み重ねてきているというふうに考えているわけであります。  ただ、きょうは二、三、その調査結果につきまして事務当局にお聞きしたいんですけれども、第一に女性の職場進出状況でございます。私は、家庭において果たしている主婦の役割というのは極めて大きく、また健全なる家庭でこそ健全な子供が育つというふうに考えております。ただし、意欲と能力のある女性がいろいろな機会社会進出したい、そういうときに差別的な扱いをしてはいけないということを厳にこの法律に基づいてこれから具体的に推進していかなくちゃいけないと考えているわけでございます。  今までの女性の職場進出状況と、その中でどんな問題点が指摘されているかにつきまして、二、三、例を挙げて御説明いただければありがたいと思います。
  161. 佐藤正紀

    政府委員佐藤正紀君) 総理府におきましては平成十年九月に男女共同参画社会に関する有識者のアンケート調査を実施いたしております。これは学識者、マスコミ関係者、自由業者等々各般の有識者三千人を対象といたしましてアンケートを実施したわけでございますが、男女共同参画をまず実現すべき分野という問いにつきまして複数の選択肢の中から回答をいただきましたところ、総数といたしましては、国、地方自治体の政策方針決定過程への男女共同参画というものが重要であるということを掲げた方が四六・四%、それから職場における男女均等待遇の確保を挙げた方が四三・一%、それから家庭における男女役割分担の偏りの是正等を挙げた方が三三・六%おられました。  総理府といたしましては、この基本法案に沿いまして、政策方針決定過程への共同参画、それから職場における男女均等待遇の確保など、社会のあらゆる分野において総合的に取り組みが行われることを期待しているところでございます。
  162. 入澤肇

    入澤肇君 もう少し各省の所管する業種ごとにこれからぜひ実態調査をしていただきたいと思うのであります。  例えば、今政府の重要な課題であります雇用問題、雇用構造再編の問題でありまして、今まで余り関心を持たれていなかったところでこれは女性に任せた方がいいんじゃないかという分野幾つかあると思うんです。  例えば、今マンションブームであります。住宅産業を興すことが私は経済成長のための一つの大きなポイントになると思っていますけれども、その中で基本的に大事なことは、設計の分野、特にコーディネートする分野女性の役割が高いということをなかなか認識されない。私もこの間からずっとマンションを見て回りまして、女性が設計責任者になっている、コーディネーターになっているマンションは非常に使い勝手がよくてまた飛ぶように売れています。男性中心の設計ではだめなんです。そういう分野にどのくらい女性進出しているか。進出したくてもし切れないような仕組みになっている。ぜひこういうところを新しい分野として政府全体として応援をするようなことを考えていったらいいんじゃないかと思うんです。  それからさらに、食品の開発分野とテストの分野があります。これは御承知かと思いますけれども、食品も毎年多く数えて二万点、少なく数えて一万点の新商品が出ます。これは内容量とかラベルの問題とか包装の問題とか組み合わせ食品のいろんな種類を含めて一万点から二万点出る。そして、一年を通じますと大体三、四点ぐらいが残るんです。この三、四点残る相当部分は大体女性が開発した食品、最近の例でいえばニアウオーター、これは女性が開発した。こういうふうな食品の開発やテストの分野でまだまだ女性進出する可能性があります。  それから、衣食住の基本的な資材、それから健康資器材、これについても女性の目で商品開発することが必要で、そういうところにどんどん女性進出することを助長することが私は必要じゃないかと思います。  行政でいえば、消費者行政は言わずもがな、地域づくり、町づくりについて女性のセンスの方が男性のセンスよりずっといいというふうに一般に言われています。例えば、農林省の構造改善事業などで村づくりのいろんな施設をつくったところも、女性が中心になってつくったところは非常にお客さんが入っている。男性中心の設計事務所がやったところはなかなかリピーターが少ないというふうなことも報告されております。  そういう意味では、女性の職場の開発について新しい視点から見直すべきじゃないかと思っているんですが、第二番目の質問といたしまして女性労働特徴というのをどのように把握しておられますか。
  163. 藤井龍子

    政府委員(藤井龍子君) 女性労働特徴という御質問でございますが、今いろんな企業、団体あるいは公的部門、こういうところで働いている女性というのは全雇用労働者の四割を占めるようになっておりまして、非常にいろんな分野に職域が広がってきていると申し上げてよろしいかと思います。  ただ、職種別に見てみますと、例えば女性の三人に一人が事務従事者であるとか、あるいはサービス業の女性比率は五二・六%ということで過半数を超えておりますけれども、先生も先ほど御指摘なさいました建設業などを見ますと、女性比率が一六・二%ということで大変低い状況になっておるわけでございます。  こういったような特徴が出てきておる原因につきましては、私どもといたしましては、やはり一般的に女性というものを平均値でとらえたりされまして、これは男の仕事だとか、これは女の仕事だというふうに固定的に役割分担意識を前提にして考えておられる方が大変多いんじゃないかというようなこと。あるいは企業の雇用管理におきまして、女性に対してこれまで男性と均等な機会が必ずしも与えられてこなかったというようなこと。あるいはこれまで、この四月一日前まででございますが、女性に対する時間外・休日労働あるいは深夜業の法的規制があったというようなこと。こういったことがやはり原因になって、今申し上げたような偏りと申しますか状況になっているのではないかと分析しているところでございます。
  164. 入澤肇

    入澤肇君 もう一つ、この第四条で「社会における制度又は慣行が、性別による固定的な役割分担等を反映して、男女社会における活動の選択に対して中立でない影響を及ぼす」、これの実例なんかを御存じですか。例えば、いい例かどうかわからないですけれども、今相撲の世界も女子相撲がありますし、それから女子プロもあります。だけれども、例の国技館における賜杯の授与には女性官房長官はだめだという例がありました。今度、第四条を駆使して、相撲協会にそういうふうな是正を申し入れるような気持ちは事務当局はございますか。
  165. 佐藤正紀

    政府委員佐藤正紀君) ただいま御質問のありました相撲につきましては、先日、本会議におきまして総理大臣からは、この法律が制定されることによりましていろいろ国民の間で議論がなされるようになるであろうというようなお話がございました。その議論の結果といたしまして、おのずと社会の中でいろいろな慣行の見直しでありますとか、そういう検討がなされていくであろうというふうに私どもとしても期待しておるところでございます。
  166. 入澤肇

    入澤肇君 要するに、今のような歴史と伝統あるいは文化との衝突ということも、これからこの法律を本当に駆使してやっていこうとする場合にはあちこち出てくるんじゃないかと思うんです。そういう意味で、社会における制度または慣行の実態というのをよく調べておいていただきたいと思うんです。  第四条みたいなこういうことを入れるということは、一体、観念的に入れたのか実態を踏まえて入れたのかよくわからぬところがありますので、今お尋ねしたわけであります。  それから、ちょっと違った視点で御質問を申し上げますけれども、私立はそれぞれ建学の精神がございますからあえて問わないとして、公立学校における男女別建ての制度がございます。例えば、群馬県、栃木県、茨城県等々、埼玉県もそうですが、女子校と男子校が区別されています。  私の経験では、ちょうど私どもが高等学校のときに女子が男子校に入りたいと言ったんだけれども、県の教育委員会が男子校には入れさせないというふうに言って、泣く泣くその女子は女子校に行ったというふうなことがございましたけれども、公立学校における男女別学というのを今でもやっている、この教育的な効果というのをどういうふうに把握しておられますでしょうか。
  167. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) 平成十年度時点におきまして、全国の公立高校のうち男子のみの学校が四十二校ございます。女子のみの学校が百二十七校ございます。  ただいま先生からも御紹介がございましたけれども、全国満遍なくということではなくて、具体的に県名を挙げてもよろしいかと思いますが、宮城県、福島県、群馬県、栃木県、埼玉県といった特定の県でございます。こうした県におきましても、昭和四十年度以降の新設校につきましては、男女別学といった学校はつくっておりません。男女共学の学校でございます。それから、男女別学でありましたいわゆる農、工、商といった専門高校がかつてはございましたが、そうした学校もこうした県におきましても男女共学にするような傾向がございます。  また、先ほど申し上げました県の中の福島県におきましては、平成十五年度を目途に年次計画によってすべて男女共学の学校にしていく、そういう計画を進めているというふうに承知いたしております。  そこで、先生お尋ねの男女別学の教育的効果はいかにということでございますけれども、私ども率直に申し上げまして、そうした研究はいたしておりません。県の教育委員会等にどうして男女別学の学校を維持しているのかというようなことを、先生からのお尋ねもございますし、聞いてみましたところ、教育的効果を理由として設置しているというふうな返事はございませんで、これまでの歴史的経緯、そしてそれぞれの学校が地域からも評価され、そうした学校として高い評価を受けている、そしてそうした学校のあり方が定着している、そういうような理由をもとに、県の段階におきまして今のこのあり方を変えるという、先ほどある県は年次計画でこれを変えていくということを申し上げたわけでございますけれども、他の県におきましては積極的にこれを変えていくようなお返事はなかったというのが現状でございます。
  168. 入澤肇

    入澤肇君 一番異性に対する関心が高くて、いろんなことを学ぶべき高等学校の時代が男女別学であるということは、私は不自然だと思うんです。そういう意味では、この教育的効果なりなんなりを十分に吟味したらいいと思います。  私どもが学校に行ったときには、これは本当かどうかわかりませんけれども、女子学生が男子校に来ると全体として成績が悪くなって進学率のレベルが落ちるというふうなことを言っていましたけれども、そんなことはないですね、女性の方がむしろ優秀な人が多いんですから。ですから、そういうふうなことを十分に分析して私は検討し直すことが必要じゃないかと思います。  続きまして次の質問は、今度は対策の方なのでございますけれども、各省に基本法をもとにいたしましてどのような行動を求めるのか、全省庁といっても問題がありますから、例えば通産省それから厚生省、農林省等々にどのような行動を求める考えであるかというのを事務当局にお聞きしたいと思います。
  169. 野中広務

    国務大臣野中広務君) この法案の成立後、総理府としての考え方でございますが、男女共同参画社会基本法が制定されました後、男女がみずからの選択によりまして、性別にかかわらずおのおのの個性を生かしながら、社会のさまざまな分野に対等に参画することを通じて、未来に向けて豊かで活力ある社会実現を目指そうとするものでございます。この目的のための中心的な仕組みといたしまして、政府におきましては男女共同参画社会形成促進に関する基本的な計画でございます男女共同参画基本計画を定めることといたしております。  総理府といたしましては、関係各省庁に対し、幅広い分野にわたる男女共同参画社会形成促進に関する施策が総合的かつ計画的に推し進められるよう、本法案趣旨の徹底を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
  170. 入澤肇

    入澤肇君 これからの話でありますから、今までのそういう総括的な御答弁になるかと思うんですけれども、私は各省にこの法律の案文を手交した段階で、具体的に第一段階としてはこれだけのことをまず考えろということを総理府当局から指示があってもいいんじゃないかというふうに思いましたので御質問したわけであります。  その次に、そういう中で、極めて難しいけれども一度はハードルとしてクリアしなくちゃいけない問題に、税制上の中で特に贈与税の問題、夫から妻へ毎年毎年贈与する税金の限度がございます。それから、パート労働の税金の問題、年金の問題も絡むのでしょうけれども、上限がございます。このようなものについて男女共同参画という視点から見直しをすることを求める考えはないかどうか、これは審議官で結構ですから、御答弁願います。
  171. 佐藤正紀

    政府委員佐藤正紀君) この法案を検討する上で各方面から税制でございますとか年金でございますとか、ここでも大分いろいろ御質問を受けておりますけれども、そういう分野につきましてどういう見直しがされるのかというような御質問が出ております。  私どもといたしましても、税制当局あるいは年金当局にもいろいろ働きかけをいたしております。各制度につきましてはいろいろな制度の成り立ってきたゆえんがございますけれども、その見直しの一環といたしましてはこういう男女共同参画の視点も踏まえまして検討するということはしていただけるものと考えております。
  172. 入澤肇

    入澤肇君 先ほども清水委員から、真の共同参画の精神を生かすためには賃金面の平等の追求が必要だという趣旨の御質問がございました。この賃金面の平等を追求する前提として、今のような税制上のネックというのをぜひ真剣に考えなくちゃいけないんじゃないかと私は考えております。  最後に、総理府のアンケート調査男女共同参画が望まれる分野ということで、国、地方公共団体の政策あるいは方針決定過程への男女共同参画というのが四六・四%、非常に高いシェアを占めておりました。それから、職場における男女均等待遇の確保というのが四三・一%という高いシェアを占めておりました。このようなアンケートを見ますと、本当に女性側からの熱烈な声が聞こえてくるような感じがするんです。  なぜ、これがこのような声として今の時点で、雇用機会均等法もでき、憲法ではもちろん男女平等と言い、私も不平等だと思ったことは一度もないんですけれども、なぜこのような要望が調査をするたびごとに出てくるのか、この結果について事務当局はどうとらえているかをお聞かせ願いたいと思います。
  173. 佐藤正紀

    政府委員佐藤正紀君) ただいま先生おっしゃられたとおり、制度としてはかなり平等な制度にできておると思います。ただ、国連開発計画でつくっておりますGEM等の値を見ますと、まだ現実にはかなり日本はおくれているという指摘もされるかと思います。  こういうものを踏まえましてこのような数字が出てきておると理解をいたしておりますので、この法案が成立しましたならば、女性社会への参画が進んでまいりますように、総理府として努力をしてまいりたいと考えております。
  174. 入澤肇

    入澤肇君 ぜひ、せっかく長い時間をかけて、また国際的にも注目されている法案がようやく日の目を見ることになるわけでございますから、各省に真の意味での平等の追求、真の意味での共同参画という観点から、それぞれの分野で、つかさつかさごとに各般の調査をやるように、場合によってはこういうことをやってくれということも注文するような気持ちで調査をし、分析をし、それを政策に反映させる努力をしていただきたいことを要望いたしまして、質問を終わります。
  175. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 きょう、私は、農山漁村における男女共同参画に絞って質問をさせていただきます。  農水省の平成十年九月の女性に対して行った調査によりますと、農村の女性の九割が若い女性は農業農村を敬遠すると答えているそうなんです。なぜ日本の農村がそんなにまで女性にとって魅力のないところになってしまったのか。ある意味では敬遠されて見限られてしまったのか。農水省はどのようにお考えでしょうか。
  176. 樋口久俊

    政府委員(樋口久俊君) 御承知のように、農林水産業におきましては、女性の皆さん大変重要な役割を果たしていただいておるわけでございます。男女共同参画社会に向けて、私どもとしてはいろんな対応をしなきゃいかぬということで、まずそのために農村の女性の皆さんの本音を探ろうじゃないかということで、昨年三つほどの調査を実施いたしました。  一つが、四カ町村ほどでの現地調査でございます。もう一つが、東京近郊の九つほどの女子大の若い学生さんに対するアンケート調査でございます。先生お話しございましたのは、もう一つ、農村に現に住んでおられる方々、もう既に今農村におられる方々に対して、若いお嬢さん方は農村をどう思うだろうかという質問が一つございまして、その一つに多分敬遠するんじゃないかというお答えがあったのが九割ほどということでございまして、正直言って私自身若干残念だなという感じは持ったのでございます。  ただ、今後、活力ある農業農村社会を建設してもらわないといかぬということも踏まえて、いろんな立場から重要な問題であると認識しておりますが、この要因として、なおその調査の中で挙げられているものを一、二御紹介いたしますと、その理由としては、一つは因習や慣習や近所の目が煩わしいというのが理由に挙げられております。それからもう一つは、文化や娯楽や教養施設がどうも農村は不足しているのではないかというのがございました。それからもう一つが、やはり農作業はつらいんじゃなかろうかということを、若干これは自分たちの実体験を込めて挙げられているのではなかろうかと思っておりまして、こういう面をどうやったら逆に垣根をとれるかなということが私どもの課題かと思っております。
  177. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 実態としてそういう女性調査結果というのは非常に深刻だというふうに私は思っております。  なぜ今までこういう状況がほっておかれたのか、基本法ができる段階になって認識することではなくて、この状況というのは恐らく半世紀前から改善しなければいけなかったことだろうというふうに思っています。  長野県に数年前に入植して農業を始めた夫婦がいるんですけれども、その人たちが二人の共同名義で土地を登録しようとしたら、地元の人に前代未聞だというふうに言われた。この地域では、農業委員会選挙に出るのには土地を持っていないと出られない。ということは、女性がそういった土地を持たないということであると農業委員会委員にもなれないしその選挙権も持っていないということなんです。  こういった女性の基本的な人権と言ったらいいでしょうか、投票権すらない。そしてそういうことは、そこで意思決定の場に女性が全く参画できないという状況があるんだということを私も知りまして、とても驚きました。それを克服するためなんでしょうか、家族経営協定、これをつくって、しかもこの家族経営協定が結ばれていないと農業者年金にも加入できない。これでは本当に女性たちの権利が、男女共同参画ということからいえば日本の農村というのはとんでもない状況にあるというふうに私は思ったんですが、この現状をどのようにお考えでしょうか。
  178. 樋口久俊

    政府委員(樋口久俊君) これはお答えが、実は先ほどの幾つか挙げました理由の一つの解説にもなるわけでございますが、どうも実態といたしますと農山漁村はどうしても、これまでの経過といいますか経緯から、男性中心で社会が運営をされてきたし、そういう根強い社会意識が残っているんじゃないか。そういうことからしますと、基本的には男性の意識改革を念頭に置いていろんな対応をしていかないといけないんじゃないかということではなかろうかと思っております。  私どもとしては、農山漁村における共同参画社会形成に向けましては、まず意識啓発、それが大事じゃなかろうかということもございまして、一つは、普及組織を中心にいたしまして夫婦のセミナーをやる。例えばそういうことをやるとか、農山漁村婦人の日みたいなものを定めて、その日にはいろんな啓発活動をやる、家族で参加してもらうというようなことをやっているわけでございます。  そこまで申し上げていいかどうかちょっとわかりませんが、御質問でございますからあえて申し上げますと、どうも私自身は女性問題は男性の頭の中を切りかえないといけないんじゃないかという気がいたしておりまして、ある意味では女性問題は男性問題でもあるなという気がいたしているところでございます。  お答えになったかどうかわかりませんが、そういう認識を持っております。
  179. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 全然お答えになっていないと思います。  というのは、そういった一般論とか感想を伺おうと思って出てきていただいたのではなくて、農水省として政策があるかどうかということなんです。あなた御自身も男じゃないですか。そんな男の頭を切りかえるためのセミナーぐらいで変わりますか。そうじゃなくて、もっと法的なちゃんとした地位がないということの方が問題です。  どうも同じようなそういった御感想だけ伺っても私は全く意味ないと思うので、はしょって伺いますけれども、現実的にいえば三百三十万戸の兼業農家がある、そして家族経営協定を結べる女性というのは十二万人もいる。だけれども、今は一万人ぐらいしか結んでいないということです。家族経営協定を結ばない限り農業者年金に入れない。これはやはり大変な問題だと思います。委員長、そう思いませんか。
  180. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) はい、思います。しかと思います。
  181. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 しかも、農業者年金に入るのには、私も全く存じませんでしたが、三十アールもの農地を所有していることが条件。そうすると、夫の名義でそうやって土地がどんどん所有されていくということは、そもそも女は年金に入れないということなんです、前提として。  しかも、例えば自分の連れ合いの父親から亡くなればいいんですが、事はそう順番どおりにいかない。お父さんが生きていて自分の夫が先に亡くなった場合、相続は妻に行かないで、ほとんどの場合、例えば一回も畑なんて耕したことのないような東京に行ってしまった弟にすべて相続されてしまう。相続はしないのが当たり前、そして親の介護、畑の仕事、これは妻がやるのが当たり前、こういう状況というのはもうとんでもないことだと思うんです。  それで、今度は農業基本法の中でも、その二十六条に「男女社会の対等な構成員として」というふうに書いてありますけれども、ここにしても「環境整備を推進する」というような書き方で、義務づけをしているわけではないんです。  ですけれども、私は会社勤めをしていましたけれども、もう厚生年金というのは男女の関係なく強制的に入らせられる。それから比べると、女性は年金が欲しくても、そういった相続がない限りは法律上の保証が全然担保されていないということが私にはわかりました。  そういった今までのような御感想とか、それから男の頭の意識を変えるなんて、こんな甘いことで私は日本の農村が変わるとは到底思えない。基本法ができる以上は、この基本法に沿って農村の女性の基本的な地位をきちっと担保していただく。これはやっぱり農水省が今まで怠ってきたことだとしか申し上げようがないんじゃないかと思うんです。  それで、それは単に意識改革でできることじゃないんです。法律上の問題、制度上の問題、そういったことをどれだけ今まで行政上の指導をしてこなかったかということの証拠のような気すらするんですが、今度は感想はもう結構です。私はもうあと十分ぐらいしかないので、農水省の質問だけしているつもりもないんですけれども、今後この基本法ができた場合、農水省としては法的、行政的にどういうふうにするおつもりか、そこのところを端的に伺いたい。
  182. 樋口久俊

    政府委員(樋口久俊君) まず、先生に農業者年金の講義をするというのは非常に申しわけございませんけれども、農業者年金には農業経営者であるという前提がございますので、ここのことはひとつ御理解をちょうだいしたいと思います。もっとも、その経営者をだれにするかという別の議論があるということでございまして、他の国民年金等とはちょっと違うという部分は御了解を賜りたいと思います。  それから、お話ございますように、農業の中でかなりつらい立場におられるという実態は承知をいたしておりまして、私どもとしては、パートナーシップ推進事業というような事業をやりまして、例えば各県で社会参画の目標の数値を定めて、そこへ向けていろんな施策を打ってもらおうじゃないかというようなことも推進をいたしております。そういう、地道ではございますが、地元から手の届くところへ手を打っていくという対策も講じているということを御理解いただきたいと思います。
  183. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 これも平成十年の農水省の調査ですけれども、農業人口の五六・六%を占めているのが女性、半数以上です。それじゃ、まさに今問題になっている意思決定の場である農業委員会委員はどれだけかというと、〇・七%、千人に七人ということです。新潟県は二千人に七人だそうです。そして、そこへもってきて今度は農業協同組合、こちらは〇・二九%、ということは千人中三人しかいない。  これじゃ、何とおっしゃろうと、女性が農村では意思決定の場に参加していないと言っても、もうそのことは事実として間違いないというふうに私は思うんです。  たまたま今中央省庁等改法案が出ていますけれども、その中に二〇〇一年、平成十三年になりますけれども、から十年以内に国の審議会女性委員比率を三〇%に引き上げるということが明記されています。これはけさ、清水嘉与子委員が一番先に質問されたことです。  とすれば、少なくとも農水省は、これは地方分権だから中央で音頭をとってくださいとは申し上げません。しかし、問題にしていただいてもいいんじゃないかと思う。この農業委員とか農業協同組合、私は三対二でもいいと思うんです。六割近くは女性が働いているんだとしたらば、六割近く、その三分の二は女性が占めてもいい、そう主張したいけれども、そこはちょっとおまけをいたしまして、せめて国の方針審議会と同じに、この二つの組織については三〇%までは女性登用するというぐらいの大胆なことは言えませんか、農水省。
  184. 樋口久俊

    政府委員(樋口久俊君) 先ほどと同じような趣旨で申しわけないんですが、先ほどお話をし始めましたパートナーシップ推進事業というのは、実はまさに私どもが、手続では局長通達というものをつくりまして、ぜひ県の御協力をいただいてそういう数値を決めようじゃないかということでやっている事業でございます。数値は今、先生からお話があったとおりの数値に実態はなっております。やはりこれはちょっと幾ら何でも低い状況じゃないかという認識は全く私どももそう思っております。  ただ片方で、この組織は自治組織といいますか、自分たちで選挙されたりする組織なものですから、そこはなかなか何人がいいとか決め打ちをするのは難しいんですが、実際、今の数値はちょっとひどいでしょうということで、これは農業団体の方もよく理解をしておられまして、ぜひそこは是正すべきであろうという御判断で方向は同じだと私どもは考えております。
  185. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 きょうの御答弁をしっかりと日本じゅうの農村に回してほしいというふうに思います。  官房長官に通告を申し上げていないので申しわけないんですけれども、私はこの事態を知りまして、九〇%の女性が、若い女性は農村嫌だと言うということは、それだけ女性が中山間地区を中心として出ていってしまう。これは少子化、高齢化、過疎化を招くものですし、それから日本の農業の疲弊につながるような大問題だというふうに思うんです。  官房長官は今度の基本法をかぎにして社会構造改革をしたいというふうによくおっしゃっていましたけれども、私はそれを一番やるべきところは農村地区じゃないかという感想を持ちました。さもなかったら、日本の食糧安全保障は二十一世紀に入ってどうなるのかという危惧さえ持ちます。  今まだ農村でおばあさんたちは一生懸命働いていますけれども、若者がどんどん出ていってしまったら農村に女性が残らない。これは大問題だと思いますが、官房長官はどのようにお考えでいらっしゃいましょうか。
  186. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 堂本委員から先ほど来、農業と女性の問題さらには女性意思決定の場が位置づけられておらないという問題について厳しい御指摘をいただきました。おっしゃるように、法律的にも制度的にもまことに不備であることを十分承知しておる次第であります。  残念ながら政府側から、現在の農業の実情の中で男性の意識改革が必要などという答えが所管担当省から出るというのは、私も同じ政府側におりまして申しわけなく存じております。  私どもといたしましては、今農業を取り巻く環境はまことに厳しゅうございますし、特に委員が御指摘のように、食糧安全あるいは国土の環境保全、国土保全等から農村が果たす役割はまことに大きいわけでございます。けれども、その実態を握っておるのは、担っておるのは女性が大半を担っておるわけでございまして、政府みずから今後厳しくこの内容にメスを入れて、そして農業が女性の位置づけとして十分機能できるように、せっかくこの法案の、また成立をしたことの意義を十分生かしてまいらなくてはならないことを責任も込めて痛感しておる次第でございます。
  187. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 今、官房長官の御答弁もございましたので、農水省の御努力も、私は調査その他をしていらして多分どうしていいのかわからないんじゃないかと思ったんです。もっと農水省は女性をいっぱい入れて、女性の視点でこれから農業を展開するぐらいのことでやっていただいたらいいんじゃないかとすら思いました。応援もしておりますけれども、ぜひとも、今、官房長官のおっしゃったことを重く受けとめていただきたいというふうに思っております。  私、多分一番最後になったんだと思いますけれども、今回の行政改革の中で内閣府は各省庁よりも一段高い統括的な機能を持つということになっています。そういった高い機能を持つ内閣府に男女共同参画会議が位置づけられたということは、これから単に農水省だけではなくてすべての日本の行政、そして地方分権をも含めてこの基本法が浸透していき、そして実施されていくということに期待しております。  そのことについて最後に官房長官に伺いたいんです。と同時に、この法律の審議がここまで来る間に、野中官房長官は先ほども御自分でおっしゃっていました、男っぽいと思っていたら意外と女のこともわかるんだという励ましの電話をもらったというふうにおっしゃいました。本当にいろいろな局面で官房長官が頑張ってくださった、そしてここの実現までこぎつけてくださったということを私どもも認識もしておりますし、感謝もしております。そのことのお礼の気持ちをここで申し上げさせていただいて、そして最後に、内閣府に位置づけられる男女共同参画会議、これが本当に二十一世紀に向かって機能することを願いを込めて、そのことについての御答弁をいただいて、終わりたいと思います。
  188. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 本委員会におきます審議を通じまして、各委員の皆さん方から男女共同参画社会実現につきまして建設的な御意見を含めた御質疑を賜りましたことを私どもとしては厳しく受けとめ、その責任の重さを痛感しておる次第でございます。  内閣府に新たに女性に対する部局を局として設置いたしまして、局長のもと、審議官あるいはその他の組織を目下強化するべく行っておる次第でございます。また、審議会構成につきましても、担当大臣を置きまして、積極的に男女共同参画社会実現のために足らざるを補い、各省庁一体となってこの法案実現が大きな道あけになるように一層の努力を傾けてまいりたいと存じておるところでございます。
  189. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) 両案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  190. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  男女共同参画社会基本法案及び男女共同参画基本法案審査のため、二十日午後一時を午前九時半に改め、参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんでしょうか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  191. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三分散会