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1999-03-23 第145回国会 参議院 総務委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年三月二十三日(火曜日)    午前十時五分開会     ─────────────    委員の異動  三月二十三日     辞任         補欠選任      青木 幹雄君     久野 恒一君      矢野 哲朗君     斉藤 滋宣君      今井  澄君     千葉 景子君      浜四津敏子君     木庭健太郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         竹村 泰子君     理 事                 海老原義彦君                 佐藤 泰三君                 江田 五月君                 月原 茂皓君     委 員                 石井 道子君                 岡  利定君                 久野 恒一君                 鴻池 祥肇君                 斉藤 滋宣君                 森田 次夫君                 足立 良平君                 今井  澄君                 千葉 景子君                 松田 岩夫君                 木庭健太郎君                 浜四津敏子君                 日笠 勝之君                 阿部 幸代君                 吉川 春子君                 山本 正和君    衆議院議員        修正案提出者   植竹 繁雄君        修正案提出者   河合 正智君    国務大臣        国務大臣        (内閣官房長官) 野中 広務君        国務大臣        (総務庁長官)  太田 誠一君    政府委員        内閣総理大臣官        房審議官     佐藤 正紀君        総務庁長官官房        長        菊池 光興君        総務庁行政管理        局長       瀧上 信光君        総務庁行政監察        局長       東田 親司君        総務庁恩給局長  桑原  博君        厚生省児童家庭        局長       横田 吉男君    事務局側        常任委員会専門        員        志村 昌俊君    説明員        法務大臣官房審        議官       吉戒 修一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○行政機関の保有する情報公開に関する法律案  (第百四十二回国会内閣提出、第百四十五回国  会衆議院送付) ○行政機関の保有する情報公開に関する法律の  施行に伴う関係法律整備等に関する法律案(  第百四十二回国会内閣提出、第百四十五回国会  衆議院送付)     ─────────────
  2. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  行政機関の保有する情報公開に関する法律案及び行政機関の保有する情報公開に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案の審査のため、明二十四日、午後二時に、参考人として東京大学大学院法学政治学研究科教授宇賀克也さん、弁護士日本弁護士連合会情報公開法民訴法問題対策本部委員三宅弘さん及び神奈川大学法学部教授・前神奈川県立公文書館館長後藤仁さんの出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) 恩給法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 森田次夫

    森田次夫君 自由民主党の森田次夫でございます。  恩給法につきましては、ただいま提案されておられます法案につきましては既に積み上げてこられたわけでございまして、これにつきましては何ら申し上げるところはないわけでございますが、むしろ御尽力に敬意を表したいと思うわけでございます。  そこで、これらに関連するこれからの恩給行政、こういったことにつきましてお伺いをさせていただきたいというふうに思っておるわけでございます。  その中でもって、一つは恩給ベースアップの根拠につきましてお伺いをさせていただきたいと思います。  かつての戦争に際しまして、国の命令によって戦地に赴き戦没された方々、これらについては公務死であり、その遺族に対する補償というものは他の公的年金とは性格を異にするということは申すまでもないと思います。あくまでも国家理念に基づきまして改定すべきであり、政府もこのことは十分御理解をいただいている、このように思っておるわけでございます。  そこで、国家補償ということでございますけれども、これを端的にあらわすのが国家公務員ベースアップを適用しての改定であるというふうに考えておるわけでございます。また、受給者である戦没者遺族等もこのことを強く願っておるわけでございます。これらは、まさに金額の多寡ではございませんで、公務死と国も認めているんだから国家公務員給与改善率に準拠してほしい、こういうことでございます。  しかしながら、昭和六十一年の公的年金見直しに関連いたしまして、恩給につきましても昭和六十二年から総合勘案方式によって改定が行われているわけでございます。戦没者遺族等の今日までの歩みに配意いたしまして、また高齢化著しい実情等を考慮され、人事院勧告給与上昇率を適用されて改定をしていただきたい、このように考えるわけでございますけれども、その辺についてお伺いをさせていただきたいと存じます。
  6. 桑原博

    政府委員桑原博君) お答え申し上げます。  平成十一年度の恩給ベア率につきましては、公務員給与改定消費者物価動向等、諸般の事情を総合勘案して定められたものでございます。  恩給改定に当たっては、従来から、その時々における社会経済事情等を勘案しながら、最も適切な改善手法を採用してきたところでございます。現在の諸事情のもとでは、いわゆる総合勘案方式によりまして改定することが恩給の実質的な価値を維持するといった観点では最も適当な方法ではなかろうかというふうに考えているところでございます。
  7. 森田次夫

    森田次夫君 今までもずっと六十二年からこの方式で来ているわけでございまして、恩給法の二条ノ二にもそういうことがあるわけですけれども、そうしたことで定着をしてきておるのでやむを得ないかというふうにも思うわけでございますけれども、そういった要望が強いということを申し上げておきたいと思います。  次に、遺族加算につきましてお伺いさせていただきたいと思います。  戦没者妻等に対しましては、公務扶助料基本額とともに遺族加算というのが支給されておるわけでございます。同じように、普通扶助料受給者寡婦につきましても寡婦加算が支給されておるわけでございますけれども戦没者の妻の場合はこれは言うまでもなく戦争未亡人ということでございます。寡婦加算の場合には、恩給受給者が戦後ずっと夫婦生活等を営んでこられてそして高齢でお亡くなりになる、こういうことでございますけれども、そうした場合にその妻に対しまして寡婦加算が支給されておるわけでございます。これも六十歳以上の妻という制限はございますけれども、そういうふうになっておるわけでございます。  そこで、同じ寡婦でありながら、長い間夫婦生活をしてこられた方と片方はもう既に五十何年前に御主人を亡くされておる方、このところに差があるわけでございます。平成十年度で見てみますと、寡婦加算の場合には十五万三千七百円年額でついているわけでございますけれども遺族加算の場合には十三万七千五百円、そこに一万六千円の差があるわけでございます。何とかその辺につきましても寡婦同額遺族加算の方もしていただきたい、このように考えるわけでございますけれども、その辺についてお伺いさせていただきたいと思います。
  8. 桑原博

    政府委員桑原博君) 遺族加算につきましては、昭和五十一年に寡婦加算と同時に新設された制度でございます。そのときから昭和五十四年までは両者同額でございました。昭和五十五年度の予算編成過程におきまして遺族加算寡婦加算より低く設定いたしまして、その差額を公務扶助料基本額に組み入れるという措置をとった経緯がございます。そのときから両者の間に差が生じ、若干の改定を経ながら現在に至っておるところでございます。  しかしながら、こうした過去の経緯があるものの、公務扶助料受給者方々遺族加算寡婦加算の額を単純に比較することによりまして差があるといった心情的な格差感を強く持たれているということは、全く理解ができないというわけでもございませんので、そういった御主張があることも考慮して、平成元年以降、遺族加算については寡婦加算を上回る増額を行ってきたところでございます。
  9. 森田次夫

    森田次夫君 恩給局長が言われましたこともそのとおりでございまして、当時は恩給等が非常に低かった、こういうことで最低保障額引き上げる、こういうようなことでもって遺族加算の方も基本額の方に繰り入れる、そういう経緯が確かにあったわけでございます。そのことにつきましては私も承知はしておるわけでございますけれども、それは昭和五十五年のころでございまして、既に二十年近くたっておるわけでございます。  おっしゃられるとおり、そうした中でもって一時は二万五千百円ぐらいの差があったと思うのでございますけれども、若干ずつこれらにつきましても是正をいただいてきております。平成十年度では、先ほど申し上げましたとおり、それでもまだ一万六千円の開きがございます。六十二年から見てみますと九千百円是正されてきたわけでございます。受給者高齢化、こういうことに配慮されてぜひともこれからも同額に御努力いただきますよう要望しておきたいと思います。また、恩給局長もこれらについては御理解していただいた御答弁等もございますので、ぜひともそのことをお願いしておきたいと思います。  次に、受給者高齢化状況等につきまして質問させていただきたいと思うのでございます。恩給の場合には、本人に対するものと、それから遺族に対するものとに区分されるわけでございますけれども、これらにつきましては、いずれも国家補償であるとともに、老後の生活の糧であり、また心の支えでもあるわけでございます。  そこで現在、恩給対象者につきましては、予算等を見てみますと約百五十七万人おられるそうでございますけれども、これらの受給者ピーク時はどのくらいであったのか。既に相当の方がお亡くなりになっておるんじゃないかと思いますので、そういったピーク時はどのくらいであったのか。また、年間失権者、これはどのくらいおられるのか。本人失権されて、そしてそれが妻に転給されることがあるわけでございますので、そういった転給等も含めまして、お伺いさせていただきたいと思います。  また、平均年齢につきましても、旧軍人恩給受給者戦争未亡人と申しますか、そういった公務扶助料等受給者では若干公務扶助料受給者の方が高齢ではないかと思いますけれども、その辺の年齢的な問題、そういったことにつきましてもひとつお伺いいたしたいと思います。
  10. 桑原博

    政府委員桑原博君) 恩給受給者の数でございますけれどもピーク時は昭和四十四年度でございまして、二百八十二万五千人という数字がございます。なお、恩給金額からいいますと、ピーク時はその後しばらくたってからでございまして、昭和五十八年に一兆七千三百五十八億という数字ピークになっております。そこを境目に年々減少してきているところでございます。  恩給受給者年齢でございますけれども、戦後五十年以上経過した今日、受給者高齢化というのは大変進んでおりまして、平成十年三月現在における受給者全体の平均年齢は前年度に比較しまして〇・七歳上昇いたしまして、七十九・二歳ということになっております。
  11. 森田次夫

    森田次夫君 それは全恩給者平均でございますね。どうでしょう、旧軍人恩給とそれから公務扶助料受給者、この辺、ちょっと公務扶助料受給者の方が年齢が高いんじゃないかと思うんですけれども、その辺はいかがでございますか。
  12. 桑原博

    政府委員桑原博君) 公務扶助料受給者平成十年三月現在の平均年齢でございますが、八十二・六歳というふうに理解しております。
  13. 森田次夫

    森田次夫君 今、平均で七十九・二歳、それから公務扶助料については八十二・六歳、こういうことでございますが、いずれにしましても相当高齢であるわけでございます。  これらの恩給受給者高齢化、そういったことにかんがみまして、恩給局といたしまして受給者にどのように対応され、また接遇についても日ごろどんなことに配慮され、心がけておられるか、その辺につきましてお伺いさせていただきたいと思います。
  14. 桑原博

    政府委員桑原博君) 高齢化が進みます恩給受給者への対応については、受給者の立場に立った懇切丁寧な対応に努めたいというふうに考えております。  具体的には、恩給請求者負担軽減、押印の見直し等観点から、昨年、すべての請求書類等見直しまして、書体を大きくし、できるだけ平易な表現に改めるとともに、書式の簡素化を図ったところでございます。  また、年々増加してまいっておりますさまざまな恩給相談に対しても、専門的に対応する恩給相談官といったものを設置いたしまして、相談体制の一元化、充実強化を図り、恩給受給者相談に万全を期しております。ちなみに、現在、恩給相談というのは年間二十八万件ほどございます。  さらに、恩給受給者状況を把握するといいますか、恩給受給者の大変細かな御要望等もお伺いしたいというふうに考えておりまして、いろいろな場面恩給局の職員が地方に出張した折には受給者生活状況であるとか健康状態というものをお聞きするといったことも踏まえまして、意見要望等を直接お聞きするような場面をつくるよう努力をしておりまして、より円滑な行政サービスが図られるように努力をしているところでございます。
  15. 森田次夫

    森田次夫君 いろいろと御配慮をいただいておるわけでございますけれども、ただいま恩給相談室というのを設けられたということでございますけれども、私、ちょっとこのことは存じ上げなかったのでございます。これはいつ設置をされたのかということと、相談につきましても二十八万件と非常に多い相談があるようでございますけれども、そういった相談の主な内容はどのようなものがあるか、お教えいただきたいと存じます。
  16. 桑原博

    政府委員桑原博君) 恩給相談官設置は、平成十年四月に実は恩給局内部の課の再編成をしたわけでございます。そのときに、恩給業務を一元的に処理する担当として恩給相談官といったものを設け、そのもとで一元的な相談ができるような体制を整えたものでございます。  相談内容でございますが、やはり一番大きいのは受給支給関係でございまして、金額、それからいつもらえるのかといったこと、例えばベースアップ等も踏まえまして、それから恩給受給権失権受給者が亡くなった場合にどういう手続をとってお金はどうなるんだといった、例えば未支給金があるんではなかろうかといったようなことを含めて、その手続等についての相談が大変多いというふうに理解しております。
  17. 森田次夫

    森田次夫君 大変結構なことだろうと思います。受給者とのコミュニケーションといいますか、そういったことも図られるということでもって大変結構なことだと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  次に、傷病者遺族特別年金とそれから六年未満普通扶助料、これについてお尋ねをしたいわけでございます。  今回の改善、今提案されておりますものでございますけれども傷病者遺族特別年金及び実在職年六年未満扶助料につきまして、傷遺特につきましては千五百円、それから普通扶助料につきましては千円上積みが行われる、こういうようなことになっておるわけでございます。いずれにしても、これらは低額恩給受給者でございますので、これらにつきましての改善を今後とも図っていただきたいというふうに思うわけでございます。  その辺の引き上げにつきまして、今後どのようにお考えになっておられるか、お伺いをさせていただきます。
  18. 桑原博

    政府委員桑原博君) 傷病者遺族特別年金基本年額及び実在職年六年未満の者に係る普通扶助料最低保障額年額につきましては、制度創設傷病者遺族特別年金については昭和五十一年でございます。普通扶助料最低保障額、実在職年六年未満の者に係る普通扶助料でございますが、昭和四十九年でございます。それ以来、大変低額恩給ということで、その改善について恩給制度内のバランスも考慮しながら努めてきたところでございます。  平成十一年度恩給改善におきましては、低額恩給改善趣旨から、その最も低額な部分に当たるその両者年金につきまして、一般的なベースアップに加えまして特別の上積みを行うことといたしました。傷病者遺族特別年金については年額千五百円、実在職年六年未満普通扶助料については千円ということで、特別の上積みをさせていただくといったことにしたところでございます。  今後は、さらにこれらを特別に増額するということについては、単純に増額するということについては、恩給制度内のバランスや今までの経緯といったところからかなり困難な事情もございますけれども、全体的なバランス等を踏まえながら検討してまいりたいというふうに考えております。
  19. 森田次夫

    森田次夫君 いろいろと難しいかもわかりませんけれども、よろしくどうぞお願いを申し上げたいと思います。  次に、短期在職軍人、今度は御本人の方でございますけれども仮定俸給引き上げにつきましてでございますが、実在職年六年未満短期在職軍人仮定俸給格差是正でございます。  これにつきましては、四号俸格差がございまして、平成九年からそれぞれ改善が行われているわけでございます。平成九年、そして十年、そしてことしということでもって、三年間で三号俸格差是正をされてきた。そして、残るのはあと一号俸まで来ているわけでございます。これらにつきまして、ぜひとも来年度で一号俸上げていただきたい、そして格差を解消していただきたい、このように考えるわけでございますけれども、その辺についてお伺いをいたします。
  20. 桑原博

    政府委員桑原博君) 委員指摘の点につきましては、平成九年度からの措置として、長期在職者の旧軍人に係る仮定俸給と比べて格差のある短期在職の旧軍人及び各種扶助料受給者に係る仮定俸給について、受給者高齢化等状況にかんがみまして、老齢者寡婦等優遇趣旨からも号俸格付是正による処遇改善を行おうとしたものでございます。  御指摘のように、四号俸格差があったものを逐年一号俸ずつ是正をして現在三号俸是正を行ったところであり、関係者において当然もう一号という期待感があることも十分承知しております。ただ、私どもの建前からすれば、今後これをどうするかということにつきましては、恩給制度内のバランスとか経緯等を踏まえながらこれから慎重に検討させていただきたいというふうに考えております。
  21. 森田次夫

    森田次夫君 今まで三号俸まで是正をしてきていただいてございますので、ぜひとも来年度におきましても一号俸上げていただく、こういうことでもって格差を解消していただきたい、このことを要望させておいていただきたいと思います。  それと、恩給受給者の将来の見通しでございますけれども、先ほどから御答弁ございますとおり、八十歳から八十一歳になるわけでございます。現在、平均寿命が延びておるとはいえ今後受給者というのは加速的に減少していくんじゃないかな、そのように思うわけでございます。  そうしたことにつきまして、恩給局としてはどのように見込んでおられるのか、その辺についてお伺いをいたします。
  22. 桑原博

    政府委員桑原博君) 恩給受給者の今後の見通しにつきましては、受給者失権による減少等をどのように見込むかなどについて推計をしなければならないわけでございますけれども、なかなか個別の例を取り上げて見込むというのは大変困難な作業でございます。  仮に、平成十一年度予算において見込んだ人員等を基礎として厚生省が作成しております簡易生命表等によって機械的に推計いたしますと、現在の受給者が五年後には大体一割ちょっとぐらい減るんではなかろうか、十年後において百万人を切る程度に下がるんではなかろうかというふうに考えております。  ただ、私ども過去いろいろ推計をした結果でございますが、いつも必ずしもそれほどは減っていないといった事情もございまして、この辺の数字の使い方については十分慎重に考えてまいりたいというふうに思っております。
  23. 森田次夫

    森田次夫君 確かに、男性よりも女性の方が平均寿命も長いわけでございまして、御主人が亡くなられ、そしてまたそれが妻に転給される、こういうようなことがあるわけでございます。そうしたことでもって意外と、意外と言っては失礼ですけれども、やはりそれほど受給者というのは減少していかない、こういうことではないかというふうに思うわけでございます。  そこで、ただいま局長から十年後に大体百万人弱ぐらいではないだろうか、こういうようなお話がございました。行政改革恩給局人事局だったですか、と一緒になるやに聞いておるわけでございますけれども、十年後におきましてもまだまだ対象者が百万人おられる、こういうことでございますので、恩給局という名称につきましてはぜひとも残していただきたい、このように思うわけでございますけれども、この点につきましては太田長官お願いをしておきます。  これはもう全然お話をしてございませんでしたので、もし何かありましたら。
  24. 桑原博

    政府委員桑原博君) 今、委員指摘の点については、必ずしもまだ今の段階で正式に決まったものではございません。いろいろ総務庁内部、それから今後できるであろう総務省内部組織等について、これから検討をしていくという段階でございます。  いずれにいたしましても、委員指摘のように恩給受給者恩給が心の支えになっているといったことも踏まえ、恩給サービスが低下しないように、恩給受給者に不安を与えないようにぜひ必要な措置をとってまいりたいというふうに考えております。
  25. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 行政改革を直接やっておりますのは中央省庁等改革推進本部でありまして、私もそこの責任者でございますので、今の森田委員お話を念頭に置いて、ただ、今、局長が答弁しましたように総務庁としては内部で今検討中でございます。それがちょっと二重人格なんですけれども、私が今度はこっちでボールを投げて、私が受け取る、こういうことになっておりますので、その辺、考えてまいりたいと思います。
  26. 森田次夫

    森田次夫君 まだまだどうなるかわからないようでございますけれども、ぜひともそうしたことでもってよろしくお願いをしておきます。  次に、特例扶助料につきましてお伺いをさせていただきます。  今までは公務扶助料受給者と、それから特例扶助料受給者の間にある程度の差があるということはやむを得ないのかな、そういうような考えもあったわけでございまして、そうしたことでもって恩給局といたしましてもこうしたことに配慮され、そして公務扶助料の六割から出発しまして現在、遺族加算等も含めますと約八割ぐらいになっておるわけでございますが、その八割に改定されたのが昭和五十四年でございます。その後二十年近くその支給率というものは一度も改善がされてきていないわけでございます。戦後も五十四年、その特例受給者というのもやはり同じように高齢化しているわけでございまして、受給できる期間というものも残り少なくなっているんじゃないかなというふうに思います。  ただ、これにつきましては言うまでもないことでございますけれども、要するに戦地で亡くなったか、また本邦で亡くなったかということでございます。確かに、内地ということで畳の上でお亡くなりになった、家族にみとられて亡くなられた方々もいるわけでございますけれども、それよりも当時の本邦でございますので、台湾ですとか朝鮮ですとかそれから満州、樺太、千島、こういった地域が含まれるわけでございます。そうしたことで、これらの地域におきましては家族の行く末を案じながらと申しますか、要するに家族にみとられることなく普通の戦没者と同じような形でもって寂しく亡くなられている方がたくさんおられるわけでございます。  申し上げましたとおり、確かに前線というのと、兵たん地域というんですか、そういったような違いというものはございますけれども遺族の方の立場からいたしますと、同じ当時の朝鮮あるいは樺太、千島、台湾、そういったところで亡くなられた方も、普通のいわゆる戦没者と言われる方々も、公務扶助料をいただいている方の遺族といいますか、それとほとんど何ら変わらないわけでございます。そこに差があるというのは納得できない、これが特例受給者からの要望でございます。  前には六割から八割ということで、ある程度、何年かに少しずつこの支給率の方も拡大をしていただいているわけでございますけれども、五十四年から二十年近く支給率も改善されていない。何とかひとつその辺を改善してほしい、これについては強い要望があるわけでございますし、もっともなことではないのかな、このように私も思うわけでございます。  また、この件につきましては、そういった特例受給者というのは非常にお気の毒だと、一般の受給者からも何とかやはり一緒にしてほしいという要望も非常にあるわけでございますので、これら特例扶助料受給者につきましても、他の遺族と同じようにしていただきたいというふうに思うわけでございます。  そしてまた、失権者もやはり同じように多くいるわけでございまして、恐らく現在対象者は五、六千人ではないのかな、こういうふうに思うわけでございますので、老い先短い遺族のことを考えれば、最後に喜んで御主人のもとに旅立たせてやりたいな、これが政治の温かい思いやりではないのかなというふうに思うわけでございます。  そうしたことで、来年度の予算におきまして、ぜひともその支給率を拡大していただきますよう要望させていただきたいと思います。これはあくまで要望でございまして、今すぐにここで御答弁をということは考えておりません。一応そういうような方がおられるということでございます。もう公務扶助料受給者もそれから特例もほとんど変わらないというふうに我々は思うわけでございますので、どうか来年度の予算編成におきましては、そういったことについて配慮をお願い申し上げたいと思います。  そこで、最後になりましたけれども、今までいろいろと御議論させていただきましたが、今後の恩給改善に向けての大臣の御所見をお伺いさせていただきまして、私の質問の方を終わらせていただきたいと思います。大臣、どうぞよろしくお願いいたします。
  27. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 恩給受給者方々に対する処遇の改善につきましては、この恩給制度というのが国家補償的な性格を有するということを踏まえまして、また現在、受給者方々は百五十六万人、平均年齢が八十歳ということでございます。そして、それぞれの受給者方々恩給を心の支えとされ、また生活支えとしておられるわけでございますので、その実質価値が維持されるように今後とも拡充に努めてまいりたいと存じます。
  28. 森田次夫

    森田次夫君 ありがとうございました。  終わります。
  29. 海老原義彦

    海老原義彦君 自由民主党の海老原義彦でございます。  ただいまは大臣から非常に前向きな御決意をいただきまして、恩給受給者のためにお礼申し上げます。また、今年度の恩給改善につきましては、いろいろ問題は残したということはございますけれども、しかし、この非常に厳しい世情のもとでこれだけの改善ができたということは、大臣初め御当局の御努力に負うところ大変大きい、恩給受給者一同深く感謝しているところでございます。  ただいま恩給国家補償であるという国の責務としてのお立場からのお話がございましたが、受給者にとってもこの国家補償という言葉は大変重いわけでございます。恩給をいただいているということは、自分が南溟北漠の地で弾の下をくぐってきた、それに国が感謝してこれだけのものをくれるんだ。いわば勲章、勲記にも匹敵するものであるということで、あたかも勲記、勲章のように額に入れて恩給証書を飾っておるというような人もいるわけでございます。経済的な支えであると同時に、そういった老後の心の支えでもあるということを、大臣十分御存じでございますけれども、そういったことを踏まえて、今後恩給行政にいそしまれるようによろしくお願いいたしたいと思います。  さて、前回私が恩給の国籍条項のことを申し上げましたけれども、こういった恩給国家補償という理念、殊に受け取る側でこれはありがたいことだといって非常に名誉に思っているという状況、これを考えますときに、どうも日本をめぐる旧植民地であった諸国の状況を含めて、我が国をめぐる諸情勢は一体どうなっておるのかなということを私もその後いろいろと考えておるわけでございます。  インドの軍人さんがインドが独立した後もイギリスの恩給をいただいておる。これはやはりイギリスが宗主国として隠然たる力を持っておるということの一つのあらわれでもある。チュニジア、モロッコの、外人部隊でなくて、非常に失礼な言葉で言えば土民軍、しかし一緒に働いた当時の現地軍の部隊の将兵がフランスの恩給をもらっておる。そういうことはやはりフランスの宗主国としての立場を示すものかもしれない。宗主国というのは、植民地が独立した後もなお一定の発言権をどことなく持っているような気がする。例えば、ポルトガルの東ティモール紛争における介入とか、そういったものを見ておりましても、それだけの力が今でもあるのだなという気がいたしますけれども、我が日本が韓国と北朝鮮の仲介をするなどということは考えもしないことでございまして、これは専らアメリカさんがやっておられる。  そういう情勢の中で、日本の恩給をもし韓国国民あるいは北朝鮮の国民が受け取って、日本国民が受け取るように恩給証書を額に入れて掲げてありがたがるというようなことがあり得るのだろうか。ちょっと私はここら辺非常に複雑な心境になりまして、どうも非常に難しいんだなと、日本の国がもっと国力というか、国際的な発言力も向上して、近隣諸国との平和的な関係ももっと進行して本当に信頼される日本の国になっていくというような状況がないと、私のこの前申しましたようなことは絵にかいたもちにすぎないのかなという気もいたします。  そこら辺のところをひとつ総務庁長官の御感想をいただきたいと思います。
  30. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) この間からたびたびお取り上げをいただいております恩給法の国籍条項につきましては、今、海老原委員がおっしゃったことも十分考えなければいけないことだと思います。  したがって、これは日韓の間の条約の中で一つの結論も出ていることでありますし、韓国や北朝鮮あるいは台湾といったところとの関係も十分考えなければいけないことだろうと思っております。それは、ヨーロッパの宗主国と植民地であった国々との関係とは違っているということはおっしゃるとおりだと思います。  したがって、恩給法の国籍条項について、このことでもって手をつけるということは、従来の総務庁の仕事を律しております基本的な考え方とは違うものでございますので、もし何かの違った考え方でこの問題について措置がとられるとすれば、それは恩給法という世界ではなくて別の観点からの政策になろうかと思うのでございます。したがって、発想としては、我々から出てくるというよりもむしろ広く議会とか政治の世界の中から出てくることではないかと考えております。
  31. 海老原義彦

    海老原義彦君 別な観点からというお話もございました。確かに恩給法で取り上げるよりもその方が早道かなとも思います。しかし、やはり根本が崩れておるのもいかがかな、私いろいろ複雑に考えておるわけでございますが、いずれにいたしましても、別な方策をとるということもいろいろ障害のある問題でもございましょうし、こういった問題を早急に解決していくというのはなかなか難しいのだろうなという理解に立ちまして、質問を次の問題にいたしたいと思います。  今回の恩給改善につきましては、先ほど森田先生からるる御質問ありましたとおり非常にすぐれたものを幾つも含んでおるわけでございます。ベースアップもこういう時期に大変なことでございました。それから、短期在職者の号俸格差是正につきましても四号俸のうち既に三号俸まで行ったということ、これは非常に大きな成果であったと思います。また、寡婦加算遺族加算格差につきましてもかなり詰まってきた。  まだまだ残りはあります。これは恩給局長からの説明にもありますように、理論的にはともかくとして心情的な問題として今後さらに是正していかなきゃならぬだろうなと思っております。さらに申しますれば、短期在職者と長期在職者との違いというのは他にもございますので、これはまた後に折を見てお話ししなきゃならぬことがあるかと思っております。  さて、当面の問題といたしましては、短期在職者の四号俸格差是正のうち残りの一号俸については、これは次回の恩給改善でやっていくのだということを今国会の場で公言するわけにいかないことはよくわかりますけれども、そういったお気持ちをどうぞ持っていただきたいなというお願いがございます。  それからいま一つ、森田先生の質問にもありました普通扶助料の実在職年六年未満最低保障額とそれから傷遺特、つまり傷病者遺族特別年金とこれは本来同一の額であるはずでございまして、今回若干格差が生じておりますけれども、これはいずれ収れんする。また、両方ともこういう一番低い恩給というのは上げていかなきゃならぬ。  これはただ、今回上げたことは私は非常に大きな御決断だったと思うのです。最低保障という制度ができてから何回か改善はございました。殊に、短期在職者に適用するという大きな改善がございましたし、またその短期在職者の中でも一部の人に対して少し引き上げる、五割を六割にするというような改善もございましたけれども、基本的にはここ十数年来改善なく過ごしておりましたものを、最低保障をたとえ千円でも上積みするということはこれは非常に大きなことでございます。こういった方向が開けたということは恩給受給者、殊に御婦人方、扶助料受給者は非常に喜んでおるところでございます。  ただ、そういったことで傷遺特と普通扶助料の六年未満最低保障額との均衡ということを今後図って、均衡的な発展を遂げていくということが必要かなと思いますので、その辺について最後の一問としてお伺いいたしまして、質問を終わりたいと思います。大臣、お願いいたします。
  32. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 平成十一年度の恩給改善につきまして、今申されましたように従来の恩給国家補償的性格を有するものであることを十分に考慮しまして、恩給改善の過去の経緯、それから恩給制度内のバランス受給者高齢化等を考慮いたしましてその改善を図ろうとしたものであります。今回の恩給改善は、御指摘のようにすべて要望どおりの結果とはならなかったかもしれませんけれども、御要望趣旨に沿って少しでも御要望に近づけるべく努力をした結果であります。  今後とも、関係団体の御要望等を十分踏まえ、かつ御理解を得ながら恩給改善に努めてまいりたいと存じます。
  33. 松田岩夫

    ○松田岩夫君 今回の恩給法改正の目的は、言うまでもなく恩給受給者に対する処遇の改善を図ろうというものであります。  そこで、まずその前提となります恩給受給者生活状況はどう変わってきているのか、厳しくなっているのかよくなっているのか、そんなことについてまずお聞きをしたいと思います。総務庁恩給局では昭和五十一年度以降恩給の種類別に受給者生活状況について調査をしておられますが、その調査をもとに一体恩給受給者生活状況はどう変化してきているのか。特に、各種類別に五年ごとに一回という調査になっておるわけでございますが、五年前に比べてそれぞれどうなっておるのかといった点についてまず御説明をお願いいたします。
  34. 桑原博

    政府委員桑原博君) 先生御指摘生活状況調査でございますが、実は統計といいましても、厳密な意味で細かいところまで、例えば世帯の収入が幾らであるというのを厳密に確定するところまでというのはなかなか調査がしづらいものでございまして、そういった意味では多少アバウトといいますか、多少大づかみな調査でございますので、細かい数字というのが何十何円とか何%というところまで十分出し切れてないといったことも実情でございます。  ただ、概略としてつかめるところを申し上げますと、恩給を主たる収入としている者は増加恩給受給者で特に多くて、約六割が恩給を主たる収入としております。また、公務扶助料では四割、文官の普通恩給、それから文官の普通扶助料、傷病年金受給者では三割というふうになっております。旧軍人普通恩給につきましては、長期在職者で三割、短期在職者では一割ということになっております。公的年金受給状況につきましては、旧軍人普通扶助料受給者及び旧軍人普通恩給受給者のうち短期在職者では約九割、それから旧軍人傷病年金受給者で約八割という方が公的年金受給しておられまして、公的年金受給率の比率はかなり高いといった状況にございます。  なお、受給者意見要望等も聞いておりまして、いずれの調査においても、国からこういう恩給を支給されていることに大変感謝しているという声が強いと同時に、さらに恩給の増額といったものを求める要望が強くなっております。  先生今御指摘の五年ごとの比較といったものでございますが、なかなかデータのまとめがうまくいっておりませんで、五年間恩給をどれだけ改善したからどれだけ満足度が上がったかといった点については、必ずしも明確な数字として把握しているわけではございません。
  35. 松田岩夫

    ○松田岩夫君 局長自身お認めになられましたが、私も実はせっかく調査をしておられるというので、何年ぶりかでこの生活状況調査報告書というのを見させていただいたのです。しっかりと調査をしておられるわけですけれども、調査項目の設定の仕方なのか調査の集計の仕方なのか、正直この表題にありますように生活状況調査という割には恩給受給者生活状況がつまびらかに伝わってこない調査結果が報告されておるわけでございます。  私は、恩給受給者方々の将来のことを思いますと、先ほどから森田委員初め皆さんの御質問でも出ておりましたけれども、非常に客観状況は悪くなるばかりでございますから、受給者方々生活状況が一体どうなのかということについて、たしか五十一年度からせっかく調査なさっておられるわけですから、恩給受給者生活状況は一体どうなんだろう、どんなふうになっているんだろう、悪くなっているのかよくなっているのかということがある程度読み取れるような調査に、これからもお続けになっていただかなきゃなりませんので、この機会にぜひ調査のあり方について、継続性も加味しながら、しかしこの報告書を読むとおのずからああこうなのかということがわかるような調査報告書になるようにひとつ改善をしていただくよう、この機会に強く御要望申し上げておきます。  さて、今申しましたこの生活状況調査、最も最近のものがここにあります平成九年度旧軍人公務扶助料受給者生活状況調査報告書、昨年の十二月に発表になっておられるものでございます。この旧軍人公務扶助料受給者についても五年ごとということで、平成四年度になさっておられるわけでございますが、平成四年度と平成九年度の調査報告書をつまびらかに見てみまして、どうなのか。先ほど申したとおり、本当にどうよくなったのか悪くなったのかわからないわけでございます。  しかし、非常にはっきりしていることは、先ほど局長もおっしゃいましたけれども、この旧軍人公務扶助料の場合で取り上げてみますと、旧軍人公務扶助料受給者の方の世帯の主な収入先が、五年前に比べますと、五年前は勤め先からの収入というのが一番であったのが、その勤め先からの収入というのが大幅に減って、まさにいただいておられる公務扶助料に依存する度合いが大幅にふえておられる。これは大変な変化でございまして、世帯の最も多い収入先というので見てみまして、全収入に占める公務扶助料の割合が一四・九ポイントの増加、勤め先からの収入の割合というのは八・八ポイントの減少となっておられる。そして、最も多い収入先というのが勤め先の収入から公務扶助料に大幅に入れかわっておるということが読み取れるわけでございます。恐らく、他の種類の恩給受給者についても、先ほど局長が総括的におっしゃっておられましたが、そういう傾向がはっきり出てきておるわけでございます。  このことは、まさに恩給の額いかんが恩給受給者生活状況にますます直接響いてきておるということを意味しておるわけでございます。これまで以上に恩給の額とか恩給ベースアップといったことについては、我々は本当に真剣に考えていかなければいかぬということをまた示しているわけでもございます。  恩給ベースアップについてはもう何度も御議論がされておりますけれども恩給法第二条ノ二に規定されておりますように、「国民ノ生活水準、国家公務員ノ給与、物価其ノ他ノ諸事情」を「総合勘案シ速ニ改定措置ヲ講ズル」と、これに従って今回も行っているわけでございますが、このいわゆる総合勘案方式であります。  今回の改定は、前年度公務員給与改善率〇・七二%、前年物価上昇率〇・六%を例えば八対二のウエートで加重平均いたしますと、ちょうどこの恩給改善率の〇・七〇%にぴったりなるわけでございます。たまたまそうして計算するとぴったり合うわけでございますが、総合勘案とは一体どんなことをなさったのであるか。今、計算したとおり、ぴたりと〇・七〇と出てくるんだが、そういうことであるのかということをまずお答えください。
  36. 桑原博

    政府委員桑原博君) 先生から非常に直截に御説明をいただきました。私どもは、その数字については、根拠となる公務員給与のアップ率、物価については公になっている数字でございまして、先生がそういうふうに御推計いただいたところは、私どもの頭の中でいたしました作業とそれほど違わないやり方であろうというふうに考えております。
  37. 松田岩夫

    ○松田岩夫君 さて、そういたしますと、実は恩給改善率が、先ほど森田委員お話しになっておられましたが、公務員のベースアップにもっと準拠しろという御要望が非常に強い。公務員給与改善率が今申しましたように〇・七二、それを下回ったわけでございます。  大体物事というのは、常識的に申しますと、総合勘案するというときには、大体一番よくなるというのが総合勘案でございまして、いろいろ考えたら公務員のベースアップよりも下がってしまったというんでは一体何のための総合勘案か。経緯を知っている者からすればよくわかるのでございますけれども、総合勘案ということを一般国民の方が聞かれたときには、公務員のベースアップが〇・七二というんならそれを下回るような案にすることを総合勘案したとは普通は思わないのではないかというふうに思うんですが、これは一つの考え方として申し上げておきます。  さて、問題は公務員のベースアップよりも下回る率であった、それが総合勘案の結果だと、こうおっしゃるわけであります。正直、恩給生活者の方々生活実態、先ほどから議論してまいりましたように、ただ数字上非常に明確に出てこないのでございますけれども、当然高齢者でありますし、先ほど申しましたように、現在の勤め先からの収入というよりも恩給に依存する度合いがだんだん高まってきておられるという状況から考えますと、この恩給受給者方々が過去に蓄積された金融資産の運用収益、とりわけ預貯金の利息収入で生活の一部を賄っておられる度合いは一般の方々に比べると、とりわけ一般の勤労者の方々よりははるかに高いと想定してこれは間違いないと思います。  御案内のとおり、最近の金利の状況というのはここで申し上げるまでもありませんけれども、例えば思い出していただくためにあえて申しますと、預金額三百万から一千万というクラスで見て一年物の定期預金の金利、九〇年代初めは六%を若干上回っていました。九一年後半から下がり始め、九五年後半には一%を割り、九六年以降は〇・三%となり、そしてさらに現在は〇・二%でございます。今言いました六%に比べれば、三十分の一になってしまっておるわけでございます。  正直、余りの金利差でございまして、しかも半年だけの金融政策の結果だというのであればいざ知らず、五年にわたって続いておるのでございます。きょうはこのこと自身の政策を私は問うておるわけではありません。しかし、その結果が恩給受給者方々にどれほど厳しく当たっておるかということを我々はもっと深刻に受けとめねばいけないということでございます。  一千万円の預金とすれば、ざっと年間五十万から六十万円の減収でございます。これほどの大きな事情の変化ですから、私は当然恩給法二条ノ二に言う「其ノ他ノ諸事情」にまさに該当する事情だと、総合勘案するというのであればこういったことこそまさに取り上げていただくべき事情の一つではないかと私は思うのでございます。  先ほど〇・七%という改善率を出されるプロセスで、私が具体的に申し上げました計算式でぴたり出てきますよと、おおむねそういうことでございますというふうにおっしゃったわけでございます。そうだとすれば、今申したようなこの長期にわたる金利の異常な低下、そしてそのことがとりわけ最も影響を受けておられると思われる高齢恩給受給者方々恩給改善に何ら考慮されていないことを示唆しているわけでございますが、これはちょっとむごいことではないかなと私には思えるのでございます。  さて、今のお話を聞かれて、大臣はどんな御感想でございますか。織り込まれておられたんでしょうか。
  38. 桑原博

    政府委員桑原博君) 預貯金の金利が総合勘案の対象に直接なっていない、現在どう反映されたかということは委員指摘のとおりでございます。  ただ、ちょっと違った制度として、一般論としてほかの制度のことをお話しさせていただきたいと思います。実は、郵便貯金の福祉定期という制度がございまして、これは郵政省の所管でございますけれども、実は昨年から恩給受給者のうち普通恩給受給者を除く方々についてはその福祉定期の対象者として組み入れていただいたという経緯がございます。これは、先生御指摘の預貯金金利が著しく低下したことに伴うほかの、言い方は悪い言葉でございますが生活弱者といいますか、そういう方々を対象ということで設けられた制度でございます。恩給受給者のうち約百万人の方々はその対象になったということで、若干の救いはあるわけでございますが、預貯金金利の話、総合勘案の中には必ずしも入っていないということは事実でございます。
  39. 松田岩夫

    ○松田岩夫君 その福祉定期のお話もいいことだと思います。しかし、それも恩給受給者は後から追加なさっておられる。そんなこと一つとりましても、私ども少し配慮が足らなかったのではないかと思いますし、もちろんその対象預金金額も極めて限られている金額でございます。  そんなことを思いますと、これほどの低金利が長期間にわたって我が国経済再興のために必要であったということ自身、私は非常に残念に思い、金融政策も今や大きな岐路に来ている、このこと自身も大変大きな課題でございます。しかし、そのしわ寄せを一番受けておられる方々だということだけはしっかりと我々は肝に銘じておかねばならないし、そのことを今その他諸事情の中には明示的には入れておられない。こういうことこそ入れるために、恩給法第二条ノ二にその他諸事情という言葉が入っているのではないかと私には思われるわけであります。  こういったことは一刻も早く金融政策、財政政策も含めた経済政策の中で我々は対処していかなきゃなりませんけれども、なおこの超低金利が、超低金利というよりも今ゼロ金利と言われるわけでありますが、もしこのゼロ金利の状態が今後も続くようであれば、来年度の恩給改善に当たってはこの点も十分加味する必要がある。仮定の話ですからお答えもしにくいわけでございますけれども、しかし考え方、この思いというものは共有していただけるのではないかと存じますが、大臣いかがですか。
  40. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 総合勘案をするということが従来の考え方でいうと実質価値を守るということになっているんだと思います。今おっしゃいました、いわゆる預金金利の水準が従来の水準から見れば大きく低下をしておるということは、言ってみれば市場で決定をされるさまざまな、これは資本に対する、貸付資金に対する需要と供給の関係で決まってくるものについて、その変化をコンペンセーションするというか、補完をするということをあらゆる場合にやっていくということは大変難しいことだろうと思います。  同様にして、低金利の影響を受けておられる方々というのは恩給受給者のみならず広く存在されるわけでございますので、そのことをもって恩給のことだけで果たして済むのか、もっとこれは話は広がっていくことになりはしないかというようなことも考えなければならないと思うのでございます。  今の置かれている状況は、恐らく先生がおっしゃるように大変大きな影響が、金利の状態が現に恩給を受けておられる方々に同時に起こっている困難は十分に想像されるところでございますけれども、直ちにそれを考慮に入れるということはなかなか難しいだろうなというふうに思うのでございます。
  41. 松田岩夫

    ○松田岩夫君 今年度の恩給改善について大変な御努力をなさっておられるということをよく承知させていただいた上での意見であります。こういう状態が続くようであれば、さらに来年度の改善措置を講じようとお考えになるときにはぜひこういった点もよく考えていただきたい。強く御要請申し上げておきます。  ところで、この総合勘案方式、今まさに余りにも便利に使われ、したがって何でも勘案したことになってしまっておるが、しかし実際は勘案しなきゃならぬのに勘案されていないこともあるというわけでございます。これは結局、先ほど来お話に出ていますように、公務員の給与改善率に依拠して決めていた方式から見ますと、それとのバランスを考慮してということなのでございますが、改められたといっても結果的にはむしろ恩給の増額が抑えられてきたわけでございます。結果としてといいますか、初めからそう意図されたのかもしれません、この総合勘案方式に変えたときに。  さて、この共済年金等他の年金制度とのバランスを考慮して改めた、こういうわけでございますが、現在まさに国を挙げてと言っていいでしょうか、あるいは国会政府の中、各党、それぞれこれからの公的年金のあり方については今激論の最中と。政府としては、今国会中に成案を得て、年金の将来のあり方について提案されるようなお見通しもあるようでございます。いずれにしても、今検討されている中身を見ますと、きょうはそのこと自身について深く議論することはありませんが、ただ要すれば年金の支給開始年齢を延伸するとか、この公的年金について見ますと、保険料を引き上げるとかあるいは給付水準を引き下げるとか、いわば年金が今よりも条件が悪くなるという方向ばかりの議論でございます。一体どうしたらいいのかということについて、私もいろんな考えがありますけれども、きょうはそのことはこっちに置いておきます。  さて、前のこの恩給改善率を変えた六十一年度、六十二年度から適用が変わったわけですが、そのときの経緯考えてみますと、共済年金等他の年金制度とのバランスを考慮してというようなことをおっしゃって変えられたわけでございますが、これもまた将来の話ですのであらかじめ今申し上げておくわけでございます。さて、また公的年金等の制度が変わったよ、それとのバランスでどうのこうのという話にまたなるわけじゃないでしょうねと、先の話ですけれども。しかし、六十二年度からのあの改正の経緯を踏まえますと、そのことについて触れておきたい気持ちになるわけであります。  恩給の本質については、諸先輩からもいろいろお話がありました。まさに、今日の恩給戦争犠牲者に対する国家補償としての性格を持ったものである、これは政府の公式見解でもあります。これは公的年金にない大きな特色でございまして、公的年金恩給とは截然と区別をして理解しておく必要がある。そういう前提に立った場合には、当然のことながら、またそういう前提に立っておるわけでございますが、公的年金のあり方が今後どう変わろうとも、大げさな言い方をすれば、きょうの目的からすれば、わかりやすく言えば公的年金をどうするか自身は大変な今日我々政治家の抱えた最大のテーマでありますけれども、それがどう変わろうとも、恩給制度については現在やっておられるこの総合勘案方式によって処遇改善を図っていく、現在与えられた状況の中ではこれが最適と言わざるを得ないと思うのでございます。  そういうことでお続けになっていかれるという考え方で私は行くべきであると思いますが、大臣にこの点について御意見がいただければいただきたいし、また先ほどと同じようにどうもはっきりしない御答弁であるというのであれば、強くこの点御要請申し上げておきます。  しかし、いずれにしても大臣に御答弁をいただいて、私の質問を終わります。
  42. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) この点につきましては、公的年金の改革、特に先ほど言われました運用の益が大変小さくなっておるということからくる制度の改正ということと国家補償的な性格を持っておるということが、たびたび明言いたしております恩給制度とはそもそも成り立ちが違うということでございます。そこは公的年金の方が変わってくるから直ちに恩給制度のことが変わってくるということはないというふうに考えております。  ともかく、総合勘案方式によりまして年金の実質価値を維持していくということで臨んでまいりたいと思います。
  43. 松田岩夫

    ○松田岩夫君 ありがとうございました。
  44. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 公明党の日笠勝之でございます。  この恩給法は百四条あるわけでございますが、一読いたしまして非常に難しい。内閣告示による常用漢字での法律でもございませんし、現代仮名遣いや送り仮名の遣い方でもない。おまけに、百四条あるうちの二十八条分が削除されておる。二八%分である。例えば、第五十一条に褫奪だとか、八十六条に賑恤金だとか、三十八条は今削除されておりますが辺陬だとか、非常に難しい漢字が羅列されておるわけですが、新入職員の方とか恩給法関係に配置転換になった方はどういう研修をされているんでしょうか。
  45. 桑原博

    政府委員桑原博君) 先生御指摘のように、恩給法は大正十二年に制定されて以来幾度かの改正を経て現在に至っておりまして、大変難解な法律というふうに言われております。  この法律に基づく恩給事務の円滑な処理のために、都道府県の職員、それから国の職員を対象といたしまして年二回ぐらいの研修をしているところでございます。それでもってすぐ恩給全部がわかる一人前の職員を育成することはなかなか困難でございます。  ただ、私どもの方は別といたしまして、都道府県とか各省関係の恩給の担当者というのは実は扱う件数が大変少のうなってまいっております。一件一件非常に特殊な事例というのが出てきた場合には個別具体に御相談をいただくということにしておりますけれども、研修では一般的な非常に出てきやすいような手続的なことについての研修を中心として、実務が円滑に進むように事例研究等を踏まえながらかなり初歩的なところの研修を中心として行わせていただいております。
  46. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 そういう中で、例えば附則の別表にも出てきますが、不具廃疾というような言葉も出てきたり、そういうことに対する疑念は研修を受ける職員の方から全然出てこないんですか、若い人だと思いますけれども、どうですか。
  47. 桑原博

    政府委員桑原博君) 本音のところでは若い職員もそういうものについてはいろいろ疑念があるといいますか御意見があろうかと思いますけれども、何せ出てくる書類自体大変古い参考資料等を踏まえて出てまいります。したがって、そういうものを当てはめながら仕事をしていくということでございまして、どっちかというと担当の職員は仕事についていくのが精いっぱいといった状況でやっているんではなかろうかというふうに思います。
  48. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 要は、支給を受ける方は年輩の方が多い。先ほどおっしゃったように平均年齢相当高い。その方たちがわかりやすいのかもしれません。しかし、それは百六十万人ぐらいの方で、残りの一億二千万の方は、納税者の方は恩給法を見たってどういう根拠法に基づいて支給されているのかわからない。今言ったような不具だとか、ちょっと現代にはなじまないような言葉もばんばん出てきますね。そういう意味では、私は恩給法を全面的にこれは先ほど申し上げました常用漢字だとか現代仮名遣いだとかに合わせた改正をしたらいかがかなと。そして、先ほど申し上げましたように、百四条ある条文のうちの二十七条か八条分はもう削除で、二八%も削除されている法律なんです。  そういうことで、大体毎年恩給法は改正になる方向でございますから、全面改正を考えるべきである、このことを申し上げたいんですが、長官、いかがですか。
  49. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 今の御指摘の話は事恩給法にとどまらず、我が国の法律全体について言えることではないかと思います。御趣旨を念頭に置いておきたいと思います。
  50. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 さて、官房長官にもお出ましをいただきました。先日の衆議院の内閣委員会での在日の韓国、北朝鮮の元軍人軍属の方々補償の問題でございます。  官房長官は、答弁を拝見させていただくと、非常に前向き、積極的に、誠実、誠意を持ってお答えなさっておるということはよくわかります。  そこで、先ほど海老原議員の方からもこれに関して質問が出ましたけれども恩給法の改正でそういう措置を講じようという長官のイメージなのか、恩給法でじゃなくて特別立法なり何かそういう規定でこれを解決しようとされておるのか、まずその辺のところを官房長官にお伺いしたいと思います。
  51. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) 先日来、それぞれ御指摘をいただいております、旧日本軍軍属としてかつての戦争に従事をしながら、なお日韓条約の外に置かれて今日その給付の恩典に浴すことのできない人たちの心情について、それぞれ委員各位から御指摘がございました。  この指摘を踏まえまして、私どもといたしましては、現在の恩給法等の範囲を超える問題でございまして、このような問題につきましては現在の法の枠をもって措置することは困難だと思いますし、また韓国の方々に対する補償の問題につきましては、昭和四十年の日韓請求権・経済協力協定によりまして、在日韓国人を含めて法的には完全かつ最終的な解決済みということになっておるわけでございます。  ただ、そういう中におきましても、現実に在日の皆さん方にはその何らの恩典が浴されておらないという状況が現に存するわけでございます。そういう問題につきまして、いつも申し上げますように、一九九九年というこの節目のときに、我々は積み残してきた戦後処理の一つとしてこれをとらまえなくてはならないのではないかということを私は申し上げてまいったわけでございます。内閣の外政審議室において今申し上げたような問題等を含めて検討させておるところでございまして、何らかの方法が講ぜられるよう一層努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  52. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 外政審議室の方で検討されているのは、それは恩給法の世界なのか援護法の世界なのか、それを超えた新たな特別立法なり何らかの規定というか措置ということを考えておられるんですか。
  53. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) 恐らくそういうことにならざるを得ないと思っております。
  54. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 これは恩給局の方にお聞きします。  国籍条項の件ですが、今外国人恩給は四十一名、予算書を見ますと七千三百万円余り計上されています。この外国人恩給というのはまさに国籍条項がないんだと思いますが、きちっと予算にも計上されておりますが、どういう根拠によって外国人恩給が支給されているんでしょうか。
  55. 桑原博

    政府委員桑原博君) 外国人恩給というのは、恩給法の規定によるものではございません。  古くは、例えば一般的な言葉で言うと、お雇い外国人教授とか法律顧問とか技師とかいうことでいた方々に対して出されているものでございまして、相当長期間在職をいたしまして功績があった者に対し、内閣総理大臣の決定による外国人恩給規程というものの定めるところによりまして、財政法第十五条に規定する国庫債務負担行為予算により終身年金を給しているものでございます。
  56. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 ということは、外国人恩給というのは内閣総理大臣決定によってその根拠を見出すことができる、こういう理解ができるわけですね。  それでは官房長官、恩給法とか援護法でない世界というと、旧台湾の軍人の方の弔慰金もございましたが、議員立法でこれを我々がやるべきなのか、ないしは先ほどの外国人恩給のような内閣総理大臣決定によるべきなのか、こういうことも考えられるわけですが、いかがでしょうか。
  57. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) 先ほど申し上げましたように、内閣の外政審議室において、さまざまな旧植民地出身の方々補償のあり方について、現行の恩給法や援護法の国籍条件を見直すということではなかなか困難ではなかろうかということを踏まえながらも今議論をさせていただいておるところでございます。  一方、委員指摘のように、台湾におきます旧日本軍人軍属の扱い等の例も議員立法で行われた経過もあるわけでございますので、そういう方向をお願いしなければならないことにまた私どもも選択肢を求めなくてはならないかもわからないと存じておりますが、今は非常に極めて厳しい状況でございますけれども、何とかこれの救済の道はないかということで審議をさせていただいておる段階でございます。
  58. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 衆議院内閣委員会は三月九日でございました。  つい先日、総理が韓国に行かれまして、日韓首脳会談がございましたが、そのときにもし在日の韓国人の方に何らかの補償、特に恩給などの補償ということになりますと、これは韓国政府の合意が要るのじゃなかろうかなと思います。ということで、日韓首脳会談ではこの問題については俎上に上がったのかどうか。  それから、ちなみにもう一つ、在日外国人の参政権ということで今民主、公明で選挙権付与法を衆議院に提出していますが、この問題と、日韓首脳会談では俎上に上がったのでしょうか。お聞きになっていますか。
  59. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) 在日韓国人の方々の地方参政権につきましては、金大中大統領から会見の際に問題提起がされたようでございます。  総理は、国内においてもその問題について強いお話もあり、かつ韓日の議員連盟の会長からも先般強い要請を受けたところでありますので、自由民主党の中にも諮るようにやってまいりたいというお話をされたと聞いております。  そのほか、委員今おっしゃいました先ほどの軍人軍属の問題については、私は言及があったようには聞いておりません。
  60. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 本来ならば、せっかく積極的に官房長官が内閣委員会で三月九日におっしゃった、それを受けて金大中大統領にも何らかのコメントといいましょうかお話があってもしかるべきなのかなという感想を持ちますが、これから議員立法になるのか、先ほどもおっしゃいました内閣総理大臣決定になるのかわかりませんけれども、新たな措置を講じて戦後処理の問題を解決していこう、二十一世紀までそれを残さないようにしていこう、こういう官房長官の熱意ある御答弁に期待をするところでございます。  それと、せっかく官房長官がいらっしゃいまして時間も若干ございますので、先日、これも三月十八日の衆議院において北朝鮮の核開発疑惑施設に対して総理は、会議録を読みますと、もし可能ならば我が国としてもそうしたものを視察云々ということで非常に意欲を示された。しかし、記者会見で長官の方は火消しに回ったというようなことで、大体いつも、国旗・国歌の法制化でも官房長官が積極的なのに総理の方が消極的と反対なんですが、何か攻守所を変えたような気がいたしますが、北朝鮮核開発疑惑施設に対して日本が参加をするという総理の衆議院における御答弁、これは現状、官房長官はどのように把握されておられますか。
  61. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) 総理は先日、一義的には米朝間の話であるけれども、可能ならば金倉里の施設への訪問に我が国も参加をした方がよいとの趣旨の発言をされました。  これは、総理の年来からの考え方でございまして、我が国には核問題等にすぐれた学者等がおるわけで、しかもKEDOに我が国も応分の拠出をするとするならば、可能ならば我が国のそういう人たちもその訪問の中に加えられた方が一番透明度の中からもいいのではないか、こういう気持ちを率直に表明されたわけでございますし、そういう中からでき得れば訪問団の構成の中に入ればいいということを申されたわけでございます。  この問題につきましては、御承知のように米朝間で非常に長い困難な問題を辛抱強く交渉してこられた経緯もあるわけでございます。今我が方がこれを言うことによって、せっかく積み上げられた第一回目の、来るべき五月と想像される核疑惑の問題の調査、訪問というのがそごを来すようなことになってはならないという思いもございまして、私の方はやや慎重な配慮を加えた会見での答弁をいたした次第であります。  総理がお考えになる気持ち、そしてそれは一国の総理として国民の税金でこの問題を処理するに当たって、当然我が方がこれに関与することができれば可能な努力をしたいと思われる気持ちがにじみ出ておることは私どもも十分承知をしておるわけでございますが、いずれにいたしましても、核疑惑を何とか払拭するために米朝間の合意をもとにいたしまして、まずはこの成功を期待したいというのが私の会見にまた出たわけでございます。
  62. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 終わります。
  63. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 日本共産党の阿部幸代でございます。  毎年のように元日赤の従軍看護婦の方が国会に陳情に見えます。きょうは、その方々の切実な要望である慰労給付金問題について質問いたします。  初めに、兵の普通恩給と元日赤従軍看護婦等の慰労金との格差拡大の問題です。  消費者物価の上昇率を勘案して増額の措置をとっているとはいうものの、両者格差は拡大する一方です。九九年度について見てみますと、最大は実勤務期間三年以上六年未満の方の場合で、慰労給付金が十三万八千円に対して、兵の普通恩給最低保障額五十六万五千円で四・〇九倍、最小でも、十八年以上の方の場合で、それぞれ四十一万四千二百円と百十二万九千九百円で二・七三倍という状況です。格差是正の必要があるのではないでしょうか。
  64. 佐藤正紀

    政府委員佐藤正紀君) 旧日赤救護看護婦等に対します慰労給付金につきましては、昭和五十三年の六党合意に基づきまして加算年を含め十二年以上の方々に給付することとされたものでございます。  慰労給付金は、この看護婦の方々が女性の身でありながら戦地に赴きまして戦傷病者等の介護に当たられたという長年の御労苦に対しまして、それに報いるために支給することといたしました慰労給付金という性格を持っております。  これに対しまして、兵の恩給につきましては、所得の保障をするという性格がございます関係で、当初発足のときは兵の金額に準じまして計算されたものでございますが、その後、兵の恩給の方が最低保障額等で大幅に実際に受け取る額がふえたということもございまして、格差ができたものと承知いたしております。  政府といたしましては、戦後五十年のプロジェクトチームの御指摘にも従いまして、実質的価値の維持を図るために物価によりますスライドを今後とも実施してまいりたいと考えております。
  65. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 七九年当初は格差は最大でも一・二倍でした。今日では最大四・〇九倍になっているわけです。これでは恩給制度を準用するとも、また兵に準ずる処遇をするとも到底言えないと思うわけです。  昭和十三年の改正日本赤十字社令によりますと、日赤は「救護員ヲ養成シ救護材料ヲ準備シ陸軍大臣海軍大臣ノ定ムル所ニ依リ陸海軍ノ戦時衛生勤務ヲ幇助ス」とあり、「陸海軍ノ戦時衛生勤務ニ服スル日本赤十字社ノ」「看護婦及看護人ノ待遇ハ兵ニ準ス」とあります。  陳情者からいただいた手記を読んでみますと、日本赤十字社令の意味するところが一層具体的にわかるんです。「日本赤十字従軍看護婦 戦場に捧げた青春」という手記書を読んでみました。この中で、次のような例があります。  男子であれば召されてお国のために御奉公することは、帝国軍人である以上、名誉であると言われました。このようなときに、我が家では御奉公のできる者はおりません。日赤の看護婦になればよいと気づき、小さいころから包帯巻きが好きであった私は、赤い十字にあこがれて受験、三年間厳しい教育を受け、養成所を卒業して間もなく、夢にまで見ていた応召令状の赤紙をいただきました、とあります。  この方の勤務地はジャワ島でした。現地人の襲撃に備えた訓練あるいは実際の見回り、青酸カリや自爆用の爆薬まで所持させられたわけです。こうした歴史を踏まえれば、慰労給付金に盛り込まれた恩給制度を準用すること並びに兵に準ずる処遇というものがもっと重要視されて、格差是正措置がとられるのが当然ではないでしょうか。  これは官房長官に伺います。
  66. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) 先ほど政府委員が御答弁を申し上げましたように、旧日赤の救護の看護婦等の慰労給付金は、いわゆる兵役の義務のない身で戦地におきまして、委員がおっしゃいましたように戦傷病者の看護に当たられたという長年の御苦労に対しまして、昭和五十三年だったと思いますが、自由民主党、社会党、公明党、民社党、日本共産党、新自由クラブの六党合意によりまして、加算年を含めて十二年以上の方々に支給することになったわけでございます。  その後、委員がおっしゃるように、なかなか兵との格差が縮まらないといったような問題等、ある程度、五回程度の改定が行われたわけでございます。しかし、これが戦後五十年のプロジェクトにおいて、消費者物価等の動向を適切に反映させた措置を講ずるべきであるという指摘によりまして、年々改善をされてきたと思うわけでございますけれども委員がおっしゃるように、まだ十分その方々の御意向を生かし得たとは認識はしていないわけでございますが、平成十一年度予算におきましても、消費者物価指数の上昇分を勘案いたしまして、〇・六%増の改定を織り込ませていただいておるわけでございます。  今後、こういう問題をより実態に即すような努力は私どもとしてもしていかなくてはならないと考えておるところでございます。
  67. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 慰労給付金額の算出についての資料がここにあるんですけれども、五十四年度の場合、元従軍看護婦の方の実在職年数が三年以上五年未満の方の場合ですが、十万円でした。これは、当時兵の普通恩給年額の最低額が十一万六千六百円であったところから、十一万六千六百円より高額になると準ずることと矛盾するので十万円としたわけです。明らかに、兵の普通恩給額、これを基本にして算出しているわけです。  そういうことから考えてみますれば、物価上昇率を勘案して是正してきているといっても、今日最大四・〇九倍の格差があるわけですから、これでは到底兵に準ずるとは言えないわけです。慰労給付金の兵の恩給をもとにした算出方法に照らしても、日本赤十字社令や応召の実態からしても、格差の拡大は、日本の女性と国民の理解、支持を到底得られるものではありません。違いますか。
  68. 佐藤正紀

    政府委員佐藤正紀君) さきの大戦におきまして、戦地におかれて御苦労をなさった方々の中には、兵隊もおられますし、ただいま問題になっております旧日赤の救護看護婦の方々、旧陸海軍の従軍看護婦の方々、そのほか雇員、要員まで含めまして数多くの方がございます。  この中で、この看護婦の方々につきましては、兵役義務のない身でありながら、女性でありながら、そういう御苦労をなさったということから、慰労給付金を支給することとなったと理解しております。  この慰労給付金の算定につきまして、過去に兵に準ずるということについてどういう意味かという質問が何回かございまして、こういう答弁を政府委員がしておりますので、ちょっと申し上げますと、実勤務期間に加算年を加えた年数が十二年以上であること、それから戦地または事変地の区域の範囲内は恩給に合わせる、それから支給開始年齢を五十五歳とした、それから慰労給付金については昭和五十四年のときの兵の恩給の処遇状況を勘案してその金額を定めたということを答えております。  先生がおっしゃいましたように、当時の兵の金額に合わせまして、多少丸めた数値といたしたと理解をいたしております。この慰労給付金につきましては、こういう特別の事情で給付したものということから、翌年におきましては一切金額改定なしに過ごされてまいりました。その後、金額が据え置かれたままであるのはおかしいという声が非常に強まりまして、昭和六十年に物価上昇分を見込みました改定がなされたと理解をいたしております。  こういう経緯から申しまして、政府といたしましては物価上昇によります実質価値の維持に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  69. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 日本の女性と国民の理解や支持を得るためにも、日本赤十字社令や応召の実態を深く勘案して格差是正に本腰を入れていただきたいと強く要望いたします。  次に、毎年のように寄せられる元日赤救護看護婦に対する慰労給付金に関する請願に関して質問いたします。  この請願は、参議院では全会一致で採択されています。伺いたいのですが、総理府はこの請願を保留にしてほしいという働きかけを国会議員に対してしているようなことはありませんか。
  70. 佐藤正紀

    政府委員佐藤正紀君) 先生御指摘のように、この問題につきましては毎国会請願がかなりの数出ておると承知をいたしております。  総理府といたしましては、先ほど申し上げましたような事情にあるということを先生方に説明をいたしておるという状況にございます。そういう事情を御理解いただきたいと思っております。
  71. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 説明をしているだけではないんですね。  ここに、慰労給付金問題の担当部局である内閣総理大臣官房管理室が作成した文書があります。官房長官には手渡しました。「元日赤救護看護婦に対する慰労給付金に関する請願について」と題するこの文書は、「一 請願の要旨」、「二 請願に対する意見」、「三 請願の取扱い」から成り、政府の立場を説明した上で、次のように書いています。「以上のように政府としては最大限の措置を講じているところであり、これらの請願は是非保留としていただきたい。」と、管理室はこの文書をもって国会議員に働きかけています。  政府はこういうことを日常的にやっているんですか。
  72. 佐藤正紀

    政府委員佐藤正紀君) 先生御指摘の紙につきましては、百四十二回国会のときのものかと思われます。これは従来十二年未満方々に対しても何らかの措置を講じてほしいという請願が出されておった状況がございますが、当時、十二年未満方々に対しましても労苦に報いるべく書状贈呈事業を始めるということが予算で認められました関係で、こういう事情がございますので今回につきましては保留にしていただきたいという御説明をするための手持ち資料であったと理解をいたしております。
  73. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 請願を採択するか保留にするかは国会が決めることです。政府がとやかく言う筋合いのものではありません。まして、このような文書までつくって保留にするように働きかけるなどというのは、三権分立もわきまえない越権行為そのものです。直ちにやめるべきではありませんか、官房長官。
  74. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) 国民の権利として与えられた請願権を、所管する行政府が立法府にあらかじめこれを条件をつけるような行為は決してとるべき行為でないと私は反省をしております。過去にこういう経緯があったことをまことに残念に思います。  ただ、国会の良識によって、この文書が出たにもかかわらずこの請願は採択されたということを聞いて、立法府の人間としていささか、私としては議会の良識が通されたと思っておるわけでございますけれども、当初に申し上げましたように、国民の請願権をこのような形でやるべきことは決していいことでないということを反省いたしております。
  75. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 自由党の月原です。  恩給のことについてお尋ねします。今まで多くの委員がもう既に質問をし、討論をした後でございますので簡潔にお願いしたいんですが、恩給改定に際して、公務員給与改善というか、人事院勧告というものをどのように位置づけているのか、お答え願いたいと思います。
  76. 桑原博

    政府委員桑原博君) 平成十一年度のベースアップの率につきましては、公務員給与改定、それから消費者物価動向等、諸般の事情を総合勘案して定められたというものでございます。  具体的なベア率の算定については、平成十年度における公務員給与、これは行政職俸給表(一)の平均改定率でございます〇・七二%、消費者物価の対前年上昇率〇・六%等の事情を総合勘案し、本年四月から〇・七〇%ベースアップを行おうとするものでございます。
  77. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 今、松田委員が総合勘案というとプラスの方向に動くのが普通だというお話ですが、私はこの方式ができた途端、これはマイナスに引っ張るための言葉ではないかなと、これは今言っているんじゃなくて、そういう制度ができたときにそういうふうに思ったわけであります。  そういう意味で、今お話しの点からいうと、人事院勧告とのばらつきが過去五年間見ても相当あるように思うんですが、いかがでしょうか。
  78. 桑原博

    政府委員桑原博君) 御指摘のように、平成十年度に限っては恩給改善率が公務員給与を上回っているというふうに思います。恩給改定方式である総合勘案方式というのは、公務員給与改定、物価の動向等、諸般の事情を文字どおり総合的に勘案の上、恩給年額改善率を引き出す方式でございまして、公務員給与という関係だけに着目して決定しているわけではございません。  確かに、委員指摘のように平成十年度以外については公務員給与を下回っているという実情にございます。なお、平成十年度の恩給ベア率が前年度の公務員給与改定率を上回ったのは、消費者物価の上昇率が大変高くて、これは消費税導入に伴うものでございますけれども、その影響が出て、公務員給与改定率を上回ったという事情にございます。
  79. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 国家補償であり、それぞれもう高齢化しているという人たちが非常に多い中でありまして、これは毎年、十一年度予算を見ても四百億ぐらい減ですね。もちろんそれは対象の方々が亡くなっていく、そういう事情によるわけでありますから、私は諸般の情勢からいってむしろ、公務員の勧告というものには前年度は沿うかもしらぬけれども改定する場合に、消費者物価の上昇というものも公務員給与の中には当然入っておるわけであります。ですから、そういう総合勘案といいながらもやはり人事院勧告というものを非常に重い要素として考えられることを希望するのですが、いかがでしょうか。
  80. 桑原博

    政府委員桑原博君) 先生御指摘の点は十分踏まえているつもりでございますけれども、その時々の社会経済情勢を十分勘案しながら私どもが一番考えなければならないのは、恩給の実質的な価値の維持という点でございます。現在の総合勘案方式というのは、現在の社会経済情勢のもとで実質的価値を維持するためには最適な方法ではなかろうかというふうに考えているところでございます。
  81. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 私がそのように申し上げるのは、総合勘案方式というもとに予算のたびに、要するに年度ごとに力関係でそういうものが決まっていく、そういうふうなことは受給者にとっては大変に予測ができなくなってくるというようなことで、総合勘案といいながらももう少しその中に一つの基準というもっとしっかりしたものを確立する必要があるのではないか、このように思うわけであります。  要望を述べておきますが、最後に長官、恩給改善でいろいろ今までもお話がありましたけれども、総括的に今後取り組むべき課題というものをお話し願って、私の質問を終わります。
  82. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 恩給受給者方々に対する処遇の改善については、従来から恩給国家補償的性格を有するものであることを十分考慮して、この改善に努めてまいりたいと思います。そして、平成十一年度の改善についてもこのような考え方で、各恩給関係団体の要望等を十分に踏まえた上で、恩給改善の過去の経緯恩給制度内のバランス受給者高齢化などを考慮して、その改善を図ることとしたものであります。  関係団体の要望事項としては、短期在職者の旧軍人等に係る仮定俸給引き上げ遺族加算及び寡婦加算引き上げ低額恩給改善などがありますが、今後ともこれらの御要望を踏まえ、かつ御理解を得ながら、恩給改善努力してまいりたいと存じます。
  83. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 その決意でよろしくお願いいたします。  以上で終わります。
  84. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めます。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時二分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  85. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) ただいまから総務委員会を再開いたします。  初めに、委員の異動について御報告をいたします。  本日、今井澄さんが委員を辞任され、その補欠として千葉景子さんが選任されました。     ─────────────
  86. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) 行政機関の保有する情報公開に関する法律案及び行政機関の保有する情報公開に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  87. 佐藤泰三

    佐藤泰三君 自民党の佐藤泰三でございます。  今提案されています情報公開法につきまして、何点か御教示願いたいと思うところでございます。  昭和五十八年ですか、臨調で情報公開が論ぜられ、平成八年十二月、行革の答申により法案ができ、衆議院の方で慎重審議、大変長時間かけまして、二月十六日、全党共同のもとに一部修正して我が参議院に送付されてまいったわけでございます。  参議院としても、衆議院の長い間の御労苦にひとつ敬意を表しながら、慎重審議し、一日も早くこの法案が成立しまして、国民の負託にこたえるようにともども努力したいと思うところでございます。  情報公開法につきましては、衆議院で十分審議され、本日答弁者として衆議院より植竹先生に出席をいただいておりますが、よろしくお願いします。  以下、質問をいたします。  情報公開は、諸外国では、百七十数カ国ございますか、制定されている国は十三カ国だけにすぎないそうでございます。民主主義の大もとでありますイギリス、ドイツ、あるいは社会主義のロシア、中国などではまだ制定されておらないようでありまして、我が国のように単一民族の国家で比較的同質性の高い国民の間でこの法律はどのようなものかと感ずるところでございます。  と申しますのは、私、昭和五十八年、ちょうど臨調で論議されたころでございますが、オンブズマン制度の視察ということでオーストリアとウィーンに同僚県議八名で行きました。それで向こうのオンブズマンにお会いしました。オンブズマンって何だろうなと思いつつ行ったのでございます。  オーストリアでは、首相経験者、裁判所長官、議長と三人の巨頭がいまして、この方がいろいろな不満を聞くと。そのときに、おたく、日本は一億人近い人間で同一民族で単一国家ですね、果たしてオンブズマンの必要がございますかと皮肉られました。多民族国家では、一人市長なり首相がかわるとがらっと方向が変わってくる、そのためにどうしてもオンブズマンなり情報公開がなくちゃいけないんだと強調されまして、それはそれとして、どうぞせっかくおいでになったんだから、夏ですけれどもシャモニーに行って雪でも見てくださいと。今考えると、頭を冷やせと言われたのかなと思うのでございますが、そんなことがございました、古い思い出でございますけれども。  しかし、時代は変わりまして、日本もやはりだんだん、多民族ではございませんけれども、外人も百数十万来ておると言っておりますから、これも時代の流れかなと思うのでございますが、そのような経緯で、諸外国における制定されました経緯、また制定していない国の事情等の理由をひとつ御教示願えればと思うのでございますが、よろしくどうぞ。
  88. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) ただいま御指摘の諸外国におきます情報公開法の制定経緯につきましては、その国の実情等を踏まえましてさまざまなものがございます。  主な国の例を申し上げますと、一七六六年に情報公開制度を世界で最初に採用したスウェーデンにおきましては、行政機関や裁判所を統制しておりました議会の秘密主義が問題となりまして、出版の自由に関する法律を制定し、出版のために公文書を閲覧する権利を認めたというふうに承知をいたしております。そしてまた、スウェーデンでは、内閣の政策形成を担当する執政機能とその政策を実施する執行機能とに区分されますが、大臣は行政の執行機能については議会に対して責任を負わない、言いかえれば、議会の国政調査権が行政執行に及ばないという独特の制度を背景として、行政の執行について国民に対する責任を確保するために必要な制度となっていると聞いております。こういったために、スウェーデンの法律の対象機関としましては国会、裁判所等も含まれているところでございます。  そしてまた、制定国では最も活発に利用されていると言われますアメリカにおきましては、一九四六年に制定をされました行政手続法の第三条におきまして、正当かつ直接の利害関係者に行政記録へのアクセスを認めておりましたが、この規定があいまいで概括的な適用除外規定を有し、しかも開示拒否について司法的救済を規定していなかったことからいろいろと批判もありまして、同条を発展的に改正して一九六六年に情報自由法を制定することとなったと承知をいたしております。その後、この情報自由法は、一九七四年を初めとしまして何回かの大規模な見直し、改正といったものが行われ、今日に至っておるところでございます。  それから、制定していない国としまして、ただいま例を挙げられましたイギリス、ドイツなどにおきましては、一般的な情報公開法は制定をしておりませんが、イギリスにおきましては、従来、行政情報公開、非公開の判断は行政府が立法府に対して責任を負うべき問題であって、開示請求権を認め、開示の可否の最終判断を司法府に移してしまうことは国会主権との関係で問題があるというような考え方が示されていたというふうに承知をいたしております。しかしながら、最近、一九九七年十二月に政府は、情報自由法の提案文書、ホワイトペーパーと言われていますが、これを公表しているところでありまして、立法化に向けての努力が進められているところと承知をいたしております。  一方、ドイツにおきましては、情報公開に関する一般的な開示請求権が定められていなくても、国民は、行政手続法、データ保護法、個別法などで必要な情報を入手することができるので、特別の情報公開制度は必要ないというふうな考え方があったと承知をいたしております。
  89. 佐藤泰三

    佐藤泰三君 法案は、国民の一人一人が行政機関情報開示を直接請求できるわけでございますが、行政機関を直接国民が監督下に置くかのような誤解を招きかねない面もあるかと思います。議会制民主主義の我が国では、国民に選ばれた国会が国権の最高機関として国政調査権を持ち、常に行政に対し目を光らせ、国民の代弁者として民意を国政に反映しているわけでございます。  また、地方におきましても、四十七都道府県、三千二百名余の府・県会議員がやはりこれまた調査権に基づき厳しくチェックしておりますし、三千二百五十五の市町村におきましても、国民から厳正に選ばれた四万八千名余の各議員諸公が厳正にタッチしているわけでございますので、議員を通じて情報公開法もその点ではかなり整備されているんじゃないかなと思っております。  といって、反面、一億二千万近い国民一人一人が全部情報公開を求めたら国は滅びてしまいます、極端な例でございますが、そういうこともなきにしもあらずと。そのために議会制民主主義で市会、県会、国会とあるんだと思うのでございますが、それに対する御意見はどうでございましょうか。
  90. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 私も、議会制民主主義のもとで直接一人一人の国民がどういう情報開示の請求をするのが適当かというテーマについては、前から考えております。  実は、こういう国民一人一人の直接の請求という前に、国会法とかあるいは議院証言法とかについてさらに改善を加えて、あるいは創意工夫を加えて、より議会、立法府において国民の期待にこたえてそのような役割を果たせるようにする方が先ではないかなということを考えておりました。よくよく聞いてみますと、アメリカでも立法府のいわゆる国政調査権を上回るスピードでもってこの情報公開法が成立をし、一人一人の国民が情報開示を請求できるというその力を逆に立法府の方が武器にして国政調査権を強化したというふうな経緯があるようでございまして、なかなかこの辺は知恵が出ないうちに国民一般の方が先行してしまうということになったようでございます。  したがって、本来そういうことは順番からいえば議員の武器の方が先にあるべきなんだけれども、結果としては国民一般の持つ武器でもって議員の方がまた武装するということもやむを得ないことかなというふうに思うのでございます。しかし、おっしゃるように、議会の方がよりしっかりして一人一人の国民よりも先にさまざまな力を持つということは大切なことであるというふうに思っております。
  91. 佐藤泰三

    佐藤泰三君 情報公開の問題は運用でございますが、運用をよほどきちんとしませんと議会制民主主義の否定、あるいは国会議員不要論というような議論も出かねないと危惧するものでございますが、その点に対するお考えはいかがでございましょうか。
  92. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 結局、さっき申しましたように、一人一人の国民がそういう新たな主権者としての立場をここで確保することになるわけでございますから、それがひいては全体として国民主権という考え方が強化をされるということに、実質的に国政がそうなっていくというふうに考えております。
  93. 佐藤泰三

    佐藤泰三君 諸外国では商業目的あるいは営利目的の請求が大変多かったり、また開示請求をした情報を受け取りに来ないで手数料も払わないなどのトラブルが多々あると聞いておりますが、諸外国の運用、対策につきましてわかりましたら御教示願いたいと思います。
  94. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 諸外国の利用状況につきまして、例えばアメリカにおきましては企業等からの営利目的と思われる請求もかなりの数に上るようでございまして、商務省への請求の約七〇%、環境保護庁への請求の九〇%は企業からの請求であったというふうに聞いております。  そしてまた一方、こういったものへの対応としまして、ベルギーにおきましては、情報公開法で入手した行政文書の営利目的による配付や利用の禁止を規定したり、オーストリア、ニュージーランド等では乱用的な請求に対しては開示を拒否することができる旨の規定を設けるといったような法律上の対処をしている国もございます。
  95. 佐藤泰三

    佐藤泰三君 我が国の情報公開は、何人でも請求権があり、国籍を問わない、情報の使用目的も問わない、本人の確認も必要なし、全くのノーガードでありますが、例えばミサイルで日本を云々という国もございます。あるいは宗教団体、オウムのような組織もありました。あるいは刑務所の受刑者、だれでも請求できる。また、特定の役所の行政事務の混乱を招こうとして膨大な量の請求もできるわけでございますが、営利目的の請求、請求権の乱用等、これらの問題で非常に、そういうことはないと思いますが、しかし広い世間でわかりません、役所は混乱するんじゃないかと思うのでございますが、それに対する対策はお考えなんですか。
  96. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 情報公開法案では、何人に対しても請求の理由や利用の目的を問わず請求することができることとしておりまして、営利目的であっても開示請求することは可能であります。  こういった開示請求があった場合は、行政機関の長は、不開示情報が記録されている場合を除きまして、開示請求者に対しまして当該行政文書を開示しなければならないということとなっております。しかしながら、特定の部局の保有するすべての行政文書の開示請求といったものや、行政機関の事務遂行能力を減殺させることを目的とする開示請求等に対しましては、権利乱用に関する一般法理を適用することによって対応をすることができると考えております。
  97. 佐藤泰三

    佐藤泰三君 情報公開条例を施行している自治体もかなりございますが、ある自治体では三分の一がビルの建築確認を情報として要求しておったと、これは明らかに建築関係の営業と思うのでございますが、言われております。また、ある市では五百八十何件も請求があって、非常にそのために事務的な煩雑と時間の空費があったとも聞いておりますが、これらの実施状況、各市町村、自治体で相当実施しているようでございますから、その実態につきましてひとつ調査してありましたらお教え願いたいと思います。
  98. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 地方公共団体におきます開示請求の内容につきまして網羅的に把握しているものはございませんが、例えば都道府県についてでございますが、比較的開示請求件数の多い東京都と神奈川県におきます請求内容の多い順に申し上げますと、東京都の場合に、ただいま御指摘のありましたように一番多いのは中高層建築物の建築に係る標識設置届が約二五%近くでございます。それから二番目は会議費に関する文書が二〇%、出張に関する文書が六%程度でございます。  それから、神奈川県の場合には、都市基盤関連測量委託契約書成果品ということで全体の二六%を占めております。それから出張に関する文書が一〇%程度、それから交際費に関する文書が七%弱となっております。  そして、この開示請求の中には、複数の県におきまして御指摘のように明らかに営利目的と思われる請求が大量になされたケースもあったというふうに承知をいたしております。そしてまた同様に、幾つかの団体において、ある年度からある年度にわたる何々に関する一切の資料というように、非常に広範な文書について開示請求をするケースや、一人で一万数千件の大量の閲覧請求をして、行政機関が半年がかりで資料を整備して請求へ対応したにもかかわらず、一べつする程度の閲覧しか行われていない、あるいは一方的な取り下げをしたり全く閲覧をしに来ないケースといったようなこと、あるいは同一文書を何度も繰り返し請求するケースといったことの指摘があるということを承知いたしております。
  99. 佐藤泰三

    佐藤泰三君 今、東京と神奈川が出ましたが、大体トータル件数は年間にどのくらいありますか。
  100. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 東京都の場合に平成九年度の開示請求件数は一千七百三十件、神奈川県の場合には平成九年度の開示請求件数は六千二百八十一件でございます。
  101. 佐藤泰三

    佐藤泰三君 こんな膨大な件数が来て、非常に役所の方で事務に停滞を来し、その関係の職員を増大するような必要があるのじゃないでしょうか。
  102. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 請求内容によってはかなりのマンパワーを要するものもあると思いますが、具体的に地方公共団体でどのように対応しているのかといったことについては承知をいたしておりません。
  103. 佐藤泰三

    佐藤泰三君 国民に情報開示を求められて何千件と来ましたら、その省庁は大変そのために、しかもこれは期間は二週間でしたか、三十日ですか、非常な困難を来すのじゃないかと思うのですが、それに対する見通しはどうですか。
  104. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) ただいま御指摘の処理に当たりまして、条例上は十五日の期間あるいは三十日の期間といった期間内に処理をすべく一生懸命取り組んでいるということでございますが、しかし案件によってはかなりの期間を要するものもあるというふうに承知をいたしております。
  105. 佐藤泰三

    佐藤泰三君 情報公開も外交、防衛、治安、国の安全上開示できない情報、あるいは個人、法人等の権利、利益につながるものもございますが、適切に保護すべきものであると思います。  次に、不開示情報につきまして何点か確認したいと思っております。  先日、脳死移植の第一号がございました。平成九年十月に成立しました臓器移植法の第一号が一年四カ月ぶりに高知県の高知日赤でありまして、ドナーが出ました。それに対するレシピエント、受託者の方という形で、無事移植も済みまして、角膜移植二例、肺臓、肝、心臓、腎臓と六人の恩恵者が出たわけでございますが、これもこの当時、中山太郎氏中心にすぐ集まって協議したのですが、非常に報道の行き過ぎといいますか、そのためにドナー、供給者の方が非常にプライバシーの侵害もあったということが訴えられておりましたけれども、中山先生中心にそういうことを発表しました。レシピエント、受託者の方の情報はストップされていますから、その方の問題はなかったと思うのですが、これでまた逆に受託者の方がどんどん放送されますとその人の生涯にとって大きな負担になります。情報公開法はまだできていませんでしたけれども、朝新聞を見て、何だろうか、世界戦争が起きたのかと思うような記事でございましたけれども、ちょっと報道の行き過ぎじゃなかったかと思うのです。  これらの点も、これからはいろんな形でこの制度のもとにある程度の枠を決めないと、せっかく長年骨を折ってできた臓器移植法が次々にドナーがいなくなってしまうという危惧も考えられるのでございますが、その点につきまして御見解を賜りたい。  いま一点は、公務員関係が多いのですが、公務員の氏名についてはすべて開示すべきという論議がありますが、公務員といえども生活もございますし、一律に公開することはいかがなものか。政府案はこのような場合どの辺で線引きをしておるのか。その点と今の脳死問題、この二点につきまして対策をお教え願いたいと思います。
  106. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) ただいまの脳死の問題につきましては、プライバシーの保護と移植医療の透明性の確保の両立をどのように図っていくかという難しい問題がございますが、この問題につきましては厚生省を初めとしまして関係機関において鋭意検討が進められていることと承知をいたしております。  情報公開法案の不開示情報検討するに際しましても、個人の正当な権利、利益の保護、その中でも個人のいわゆるプライバシーは最も重要な保護を要する情報の一つとして立案をしているところでございます。こういったために、この法律の中では個人識別情報につきましては、これらを開示しますとプライバシーを中心とする個人の正当な権利、利益を害するおそれがあるということから原則不開示としているところでございます。  それから、ただいまの公務員の氏名につきましては、公務員の氏名は行政事務の遂行に係る行政組織の内部管理情報としまして担当公務員を特定するために行政文書に記載をされていることが多いわけでございます。そしてまた同時に、この公務員の私生活において個人を識別する基本的な情報として一般的に用いられており、これを開示すると公務員の私生活等に影響を及ぼすことがあり得るわけでございます。  こういったため、ただいまの情報公開法案におきましては、この法律の第五条一号ハによりまして、公務員の職名と職務遂行の内容は個人情報としては不開示とせず、すべて開示することとしまして、一方、氏名につきましては、第五条一号イによりまして、慣行として公にされている場合等は開示することといたしているところでございます。
  107. 佐藤泰三

    佐藤泰三君 公務員の身分保障ということを今聞きましたけれども、これはやはりあくまでも役所関係の情報公開でございますから、担当の職員等もありますから、十二分な線引きを計画して準備していただきたいと思うものでございます。  また、この臓器移植の点におきましても、提供者また受託者の方もございますが、その辺もひとつ、これは厚生省になると思うのですが、線引きをしっかりとやっていただかないと、恐らく今後もうドナーが出ないと思います、うっかりやろうと思ってもばんばん騒がれたらとてもできない、疑惑を持たれますから。ひとつこの二点につきましては十分に対策を立てていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  108. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) ただいま御指摘のような問題、非常に重要な問題であると思いまして、関係機関におきまして真剣な検討が必要であるというふうに認識をいたしております。
  109. 佐藤泰三

    佐藤泰三君 今、ダイオキシン問題が中央の問題になって、環境庁あるいは厚生省でやっておりますが、この所沢ダイオキシン問題につきまして、テレビ朝日の報道がひとり歩きをして地元の農家に非常なる波紋を投げ、大変な被害をこうむったというわけでございます。  実は昨年三月の予算委員会で、所沢あるいはその周辺何カ所かございましたが、ダイオキシンのために奇形児が産まれたという論議がございまして、県の衛生部が調査しましたらそういう事実は一切なかった、杞憂だったということがございました。その後、昨年の九月、十月ですか、所沢地区の土壌や河川が大変ダイオキシンで汚染されているというようなまた話が出まして、環境庁で所沢、また下流の川口、草加、川越、各地区の土壌あるいは河川、下水を調査しました。一番問題の所沢が一番程度がよかったのです。大気汚染度が〇・八、私の住んでいる川口が一・五と、二倍でございます。また地下水におきましても、所沢の地下水は非常にきれいで、むしろ私の住んでいる地域の方が三倍も悪かった。このような誤った報道もございました。  やれやれと思っていましたら、今度はホウレンソウであるという形で、これはもうテレビで出まして、今まではテレビじゃなかったからよかったのですが、テレビでぼんと出ましたために全国にセンセーションを起こして、農家が壊滅的な打撃を受けたということで、この情報公開の報道が、いい反面、怖い面もあるなということを、特に目で見る画像は一番人間に印象に残りますから、耳の何倍と強いですから、これらの点もひとつ十分にしなきゃいけないんじゃないかと思うわけでございます。  この所沢問題に関しまして、今も調査中でございますが、一日も早く調査をして正確なデータを発表していただきたいと思うのでございますが、それについて何かございますか。
  110. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) ダイオキシン問題について私どもの立場から具体的に申し上げるということはないのでございますが、一般論として申し上げれば、一般国民の生命、健康等に影響を与えかねない問題につきましては、適時かつ適切な方法で情報を提供していくべきものと考えております。その際には、御指摘のように、数値がひとり歩きして混乱が生ずることのないよう留意し、必要な情報を正確に理解できるような形で提供する必要があると考えております。
  111. 佐藤泰三

    佐藤泰三君 このダイオキシン関係でございますが、WHOではTDI一日四ピコグラム。ところが、埼玉の先ほどのホウレンソウ、お茶で見ますと〇・〇一七。全然問題にならない数字なんです。しかし、報道されますと、いかにもお茶を飲んじゃいかぬ、ホウレンソウはいかぬという非常なパニック状態になりますので、これはやはりデータが先走って画像報道されたということが非常なパニックを起こしたので、今後もいろんな形で、情報公開をするからにはその点を十分しておかないといけないし、また情報公開も厳しくやっていただきたいと思うわけでございます。  次に、国家の安全保障あるいは犯罪捜査につきましての情報は、相手国や犯罪組織に漏れることが非常に危惧されますが、諸外国ではこのような情報につきましてどのように扱っているのか、法案ではどのような仕組みで保護するのかという点をお伺いしたいと思います。
  112. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 諸外国におきましては、国家の安全保障や犯罪捜査に関する情報につきましては、開示、不開示の判断に高度の政策的判断を伴うこと、それから対外関係あるいは犯罪等に関する将来予測としての専門的、技術的な判断を要するといったこと、そういった特殊性にかんがみまして、不開示情報として特別の配慮をしているところでございます。  例えば、アメリカにおきましては、大統領命令による秘密指定が適切になされたものを不開示としたり、国際テロリズムに関する情報などを適用除外といたしております。オーストラリア及びニュージーランドにおきましては、この種の情報の開示、不開示につきましては、司法判断よりもむしろ大臣の国会に対する政治責任によって担保すべきものとしまして、不開示文書である旨の大臣の判断が最終的なものとなる大臣認定制度といったものを設けているところでございます。カナダにおきましては、法律で司法審査は行政機関の不開示決定に合理的な理由が存在するかどうかといったものに限定をしているところでございます。それから韓国におきましては、安全保障と関連する情報分析を目的に収集あるいは作成された情報につきましては、一般の不開示規定とは区別しまして、情報公開法の適用除外というふうにされているところでございます。  そして、今回の法案における対応ということでございますが、今回の法案におきましても、国の安全に関する情報及び公共の安全と秩序の維持に関する情報を不開示情報の類型として整理をしているところでございます。情報公開法第五条三号及び四号において、これらの利益を害するおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報を不開示情報としているところでございます。  こういった規定ぶりにしておりますのは、この種の情報につきましては、司法審査の場におきまして、裁判所は不開示情報に該当するかどうかについての行政機関の長の第一次的な判断を尊重し、その判断が合理性を持つ判断として許容される限度内のものであるかどうかといったことを審理、判断することが適当であるという考え方に基づくものでございます。
  113. 佐藤泰三

    佐藤泰三君 次に、役所の意思決定、各官公庁の意思決定が密室で行われないようにするには政策形成の過程におきます情報を請求対象にすることが必要だと思います。しかしながら、未成熟、未確認な情報まですべて開示しますと社会的混乱を招くおそれがあります。将来の道路計画あるいは都市計画等につきまして、未成熟のうちに情報公開しますと、用地の買い占め等の大きな問題を起こします。政策形成過程の情報については取り扱い方に十分な慎重を要するわけでございますが、これにつきましてはどのような程度の線引きになるでしょうか。
  114. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 御指摘の政策形成過程の情報につきましては、この法案の立案に当たりまして、政府はその諸活動を説明する責務を全うする観点から、事項的に意思決定前の情報をすべて不開示とすることは不適当であると考えております。  しかしながら、御指摘のとおり社会的混乱を招くおそれがある情報等、不開示とすることについて合理的な理由があるものにつきましては不開示とすることが必要であるというふうに考えておりまして、このような考え方のもとに、この法律の第五条第五号では、政策形成情報について、公開を原則としつつも、例えば「公にすることにより、」「不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの」といった不開示情報の基準に該当するものにつきましてはこれを不開示とする旨、規定いたしているところでございます。
  115. 佐藤泰三

    佐藤泰三君 その政策形成過程の情報でございますが、どの辺で線を引くか、これもまた初めてのことで非常に厳しいわけでございますが、地方自治体でやっている場合のそういう形態はおわかりですか。
  116. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 地方公共団体の条例につきましては、審議・検討情報というようなこととか、あるいは意思形成過程情報というふうなことで不開示情報にしておると承知しております。そして地方公共団体の場合には、対象文書を決裁文書等事案決定の終了したものというふうなこととしているものが多いわけでございます。  こういうことに対しまして、国の場合には必ずしも事案決定が終了をしていなくても行政機関が組織的に保有しているものにつきましては対象にしているということで、この検討過程の情報の開示につきましては国の行政機関のこの法律の方が広いというふうに考えております。
  117. 佐藤泰三

    佐藤泰三君 よく地方自治体で問題になるのは、土地等に絡む政策形成過程の中間的なる情報が漏れて云々ということがしばしばございますが、その辺のことにつきましてどのくらいのパーセントがあるか、また対策というものをお考えになっていらっしゃるんですか。
  118. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 都道府県の条例につきましては、審議、検討に関する情報は一般には不開示情報として扱われておりまして、一般的にそういったものが公表されるということは情報公開条例のもとではないというふうに考えておりますが、具体的にそういったケースなり実態なりということについては必ずしも承知をいたしておりません。
  119. 佐藤泰三

    佐藤泰三君 老婆心ですが、よく地方でいろんな工事等で先に情報が漏れて云々ということがしばしば新聞をにぎわすのでございますけれども、これが今度情報公開になりますと堂々とまかり通る危険性もありますので、その点に対する対応を十分にしないとますます混乱を招くおそれもあるんじゃないかなというふうに考えますので、いま一度それに対する対策をお答え願いたいと思います。
  120. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 情報公開と管理といいますか、両方とも適切に行われることが重要でありまして、それぞれの地方公共団体において適切な対応が講ぜられるべきものと考えております。
  121. 佐藤泰三

    佐藤泰三君 次に、訴訟の土地管轄の問題についてお伺いしたいと思うのでございます。  衆議院で大変なる御尽力によりまして全会派の共同提案という形で政府案が修正されまして裁判所をふやされましたが、さらに裁判所をふやせという論議も当委員会にはございますので、それにつきまして植竹先生からその経過をひとつお聞かせ願えればと思います。
  122. 植竹繁雄

    衆議院議員(植竹繁雄君) 今、佐藤議員お尋ねの件でございますが、こういう管轄の問題は本来であれば被告の所在地である裁判所ということでございますが、国民に情報公開するということは大変重要な問題であるわけでございますので、原告と被告、行政機関両者の公平性ということを考えますときに、また第三者の証人、その負担も検討した結果、これは高裁所在地の裁判所に管轄することが最適であるということで、衆議院におきまして全会一致を見たわけでございます。したがいまして、これ以上ふやすということは考えられない。  なお、衆議院におきましても、あるいは支部の所在地である那覇の場合はどうかということもございました。これも時間とか距離から考えまして、時間の負担の場合につきましては那覇よりも、奄美大島の場合もこれは飛行機で参りますが、その方が住民にとって負担が大変でございます。また時間の点につきましては、例えば北海道の場合は網走とかそういうところでございますと八時間から十時間かかってしまう。沖縄の場合は飛行機ですと二時間弱で来る。また、さらに今問題となっております小笠原諸島、あそこは船しかない。同じ国土であり日本国民であるのに、小笠原諸島から一々東京に来る場合は時間とかが非常に大変でございます。  そういうことを総合的に検討いたしました結果、これは高裁が最も適正であるという結果から八つの高等裁判所に決定いたしたわけであり、そういう審議過程を踏まえまして全会一致で八つの高等裁判所に決定いたしたわけでございます。
  123. 佐藤泰三

    佐藤泰三君 ありがとうございました。  今、裁判云々とございましたが、諸外国、アメリカ等、やはり情報公開で裁判所に提訴された件数がどの程度あるのか、また日本の自治体でもあるかどうか、その辺はどうでございますか。
  124. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 裁判管轄の問題、外国の場合につきましては、アメリカにつきましては被告である行政機関の所在地であるとともに原告所在地の裁判所も管轄区域に入っておりますが、アメリカ以外の外国の法律におきましては日本と同様に被告所在地の裁判所が裁判管轄を有するというふうに承知をいたしております。  それから、これらの裁判所に具体的に何件の訴訟が提起されているかということにつきましては、ちょっと資料を持っておりませんのでお答えは御勘弁を願いたいと思います。
  125. 佐藤泰三

    佐藤泰三君 提訴件数はわからないのでございますね、日本国内でも。
  126. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) ただいまちょっとその資料がございませんので、済みませんがお答えをいたしかねます。
  127. 佐藤泰三

    佐藤泰三君 これは重要な問題であって、まずその点が何%あるのか、これを調査しないと進まないんじゃないでしょうか。
  128. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 今まで情報公開の裁判で判決のあったものはおよそ二百件程度というふうに聞いております。
  129. 佐藤泰三

    佐藤泰三君 日本で二百件ですか。
  130. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) はい。
  131. 佐藤泰三

    佐藤泰三君 非常に熱心な人がいて、一人で百本、二百本も情報公開を求めることもあり得るわけですが、単に量が膨大であるというだけでなく、請求を拒否することは困難だということのようでございますが、請求手数料によっては興味半分の請求、あるいは請求権の乱用等もあるのではないかと想定されます。諸外国の請求は相当高いコストと聞いております。実情では、オーストラリアでは日本円に換算して請求だけで二千五百五十円、他に検索代が一時間当たり千二百七十五円、閲覧が三十分五百三十一円、外部審査費用二万五千五百円、内部審査三千四百円、相当高いようでございます。  我が国の一件最高五百円、相当高額でございますが、これは特定の人の希望にかかわらず一般国民が赤字を全部負担しなくちゃいけないというようになるのでございますが、それに対しては御見解はいかがでございましょう。
  132. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 手数料というのは、特定の者に対し行政が役務を提供する場合、その経費の一部を負担していただくというものであると考えておりますが、他方、この情報公開の問題につきましては、情報公開法の趣旨からこの制度をできるだけ利用しやすいものとするということも重要でありまして、手数料の額がその制約要因となるということは好ましくないと考えております。  そして、手数料の具体的な金額等は政令で定めることとしておりまして、その際には衆議院における法案修正をも踏まえ、できる限り利用しやすい額となるように配慮をしたいというふうに考えております。  このうち請求手数料につきましては、衆議院内閣委員会における修正案の提案理由説明におきまして、開示請求に係る手数料は五百円以下にするというような旨の発言もあったところでございまして、こういったようなことも念頭に置きまして手数料の具体的な金額等を検討してまいりたいというふうに考えております。
  133. 佐藤泰三

    佐藤泰三君 それは情報公開、国民のことですから、経費ゼロ、ただにまさることはないんでございますが、今回でも三十何兆の赤字国債を発行しております。さらに、極端に言いますと、五百円だと一人の人が十万円あると二百本できます。企業がどんどん十万で二百本出したら各省庁パニックになると思います。それに対する御懸念はどうか。また、五百円を出した根拠は何を根拠に五百円を出したんですか。それをお伺いしたいと思います。
  134. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 五百円という数字総務庁の方で出したわけではなくて、修正の提案者の方の提案理由の中で出てくる数字でございます。こちらの方からお答えいただいた方が……。
  135. 植竹繁雄

    衆議院議員(植竹繁雄君) その五百円という金額でございますが、実はこれは北欧、ドイツとか英国、またスウェーデンのいろんな手数料に関する金額、また私ども衆議院の内閣委員会で豪州あるいはニュージーランド等調査いたした結果、先ほどお話がありましたように、豪州では二千五百円強、あるいはニュージーランドでは四百五十円というものが出ておりました。しかし、国民の皆様に利用しやすい金額というのは五百円ぐらいが適当じゃないかということで、五百円以下の金額ということが、具体的に言えば五百円という、コイン一枚であると使いやすいし、そういう意味で利用しやすいということで以下ということでございまして、それぐらいなら利用しやすい金額というふうに考えまして、細部につきましては、これは政令事項でございますので、それは参議院の方でいろいろと御検討、御審議いただくということで、衆議院は五百円以下という結果となったわけでございます。
  136. 佐藤泰三

    佐藤泰三君 ありがとうございました。  ただにこしたことはないんですけれども、国が赤字でパンク寸前で五百兆も借金持っているんですから、やはり特定の希望がある人は受益者負担の原則で出す必要があると思うんですよ。世界一の高賃金、高物価の国ですから、五百円というお金の価値観はどういうものかなと。今のオーストラリアですか、相当な額ですから、それを考えますと、ちょっとその五百円というお金には何か私は抵抗を感じていけないんで、貧乏性かもしれませんけれども思うんですが、まして、五百円だと安心して十万円で二百本できる、二十万円だったら四百本できる。これで各省庁にぶつけられたら一体どうなるんでしょうか。それはすぱっと断り切れますか。私はそういう懸念もあるのでございます。
  137. 植竹繁雄

    衆議院議員(植竹繁雄君) 御質問の点につきましては、私ども衆議院においてはいろいろ論議もございました。しかし、乱用といいますか、裁判のための裁判ということではなくて、純粋に情報公開を求める国民の良識というものを期待いたしまして、しかも今の物価その他考えまして、乱用を避けるという意味を踏まえましてそういう金額に決定いたしたと。そういうわけで、衆議院の全党も各党御理解いただいて共同提案ということになったわけでございます。
  138. 佐藤泰三

    佐藤泰三君 わかりました。  つい先日ですか、文芸春秋に宮城大学の学長さんの「情報公開の盲点」という記事が載っていまして、拝見しましたら、教授会の会議録を請求された、実費五万円かかった、県条例ではコピー代の一部十円、計千三百五十円しか請求できなかった、腹を立てていると。宮城県は昨年の三月まではコピー代が三十円だったのが、情報公開日本一というタイトルが欲しいのか何か知りませんけれども、県民の負担を考えずにばかばか値下げしたというような批判もございました。  地方自治体が手数料について値下げ競争をしている状態が見られるような気がいたしますが、実費を参考にした適正価格を請求すべきではないかと、くどいようでございますが、財政を憂えまして思うわけでございます。
  139. 植竹繁雄

    衆議院議員(植竹繁雄君) いわゆる学者の先生のそういう点につきましても出ました。しかし、内容から考えて、その重要性とかあるいは公開すべきものを国民の皆様に開示していくということの方が必要じゃないかと。しかし、どれもこれも全部をそうやってはいけないと。余り安くするということは安易に流れるという点もありますし、あるいは国民の皆様の中にはそれを意図して、方法のために手段として使うというような点も回避するために、一応の利用しやすい金額と。  ですから、五百円以下ということは五百円以上じゃございませんで、三十円の場合もございますでしょうし、四百九十九円の場合もありますし、五百円もある。その点は、その基本だけを決めまして利用しやすい金額と。あとは参議院の方で皆様に御審議いただくということで衆議院は決定したわけでございます。
  140. 佐藤泰三

    佐藤泰三君 豊かな金満国日本でございますから、それもよろしいかなと思うのでございますが、次に、訴訟問題、土地管轄の問題についてでございます。  衆議院においては、行政機関の所在地の裁判所のほかに、原告の住所地を管轄する高等裁判所の所在地の地方裁判所にも訴訟を提起できることとする旨の修正が行われておりますが、これは訴訟当事者間の公平や証人の便宜等を考慮して与野党間でぎりぎりの調整が行われた上の全会派共同提案によるものと思っておりますが、この修正について一点提案者にお尋ねをしたいのでございます。  政府は、企業の情報や宗教法人、政党あるいは組合等、第三者の情報を多く持っている。例えばアメリカでの例のように、ライバル企業などがこの制度を使って裁判に持ち込んだ場合でも、第三者がわざわざ遠くの裁判所まで行く必要があるので、もしそうなれば非常に不公平な気がするというような案でございます。  衆議院での大変な御尽力にもかかわらず、現在でも管轄裁判所をふやせとの議論が行われておりますし、まとまった意見もあるようでございますが、そもそも情報公開法は裁判を起こすための制度ではないんじゃないか。この法律は、できるだけ多くの国民が国の情報を知り、国民と政府が一体になって円滑にいこうというための情報公開と思いますが、初めから裁判所が少ない、遠いということは、何か目的が裁判をするための情報公開かなというふうに、ひがむわけじゃございませんけれども、いかがでございましょうか。
  141. 植竹繁雄

    衆議院議員(植竹繁雄君) この情報公開法、先ほども申し上げましたが、本来は被告の所在地を管轄する裁判所で行うということでございますが、そういう情報公開の重要性を考えてその場所を、一々北海道から被告所在地といいますと東京まで出てくるのは大変だ、あるいは福岡から出てくるのは大変だということを考えまして、そしてそのかわりこれを地裁全部にふやすということは、費用とか、あるいはいろいろ地方裁判所によって異なった結果が出た場合に大変に煩雑であるということでございます。ですから、出てきて訴訟をする場合は一件でいいんですが、同一の書類とか類似するようなそういう文書につきましては移送するということもございます。  ですから、乱用を避けるということが非常に大切であるということで、しかもその乱用を避ける中にあっても、八カ所の高等裁判所で訴訟できるというように、国民に利用しやすい方向にいたしたわけでございます。
  142. 佐藤泰三

    佐藤泰三君 いずれにいたしましても、あくまでも国民と政府との間に行政がスムーズにいくようにするのがこの情報公開でございますから、国の役所の方でも公開、非公開の判断基準を一日も早く明確にして、円滑にするようにしないといけないんじゃないかと思うんですが、いかがでございましょうか。
  143. 植竹繁雄

    衆議院議員(植竹繁雄君) そういうように、今回の情報公開法というのは大変な問題であり、初めての問題でございます。そのために、見直す期間というものを四年といたしまして、四年たちましたらこの問題についても検討するというような規定も入れております。
  144. 佐藤泰三

    佐藤泰三君 いずれにしましても、この情報公開、今までいろいろありました。一昨年ですか、カイワレダイコンのブーム、またダイオキシン、ホウレンソウ、いろいろございます。単一民族、単一言語の日本列島でございますから、非常にその点は情報はわかりやすいのでございますけれども、その公開、非公開の基準をよほど正確にしないといけないと思うんですが、その基準はどこでお決めになる予定でございますか。
  145. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 情報公開法に基づきます開示、不開示の基準でございますが、基本的には法律の第五条で不開示の要件が書いてあるわけでございます。それとあわせまして、この情報公開に対する請求は、請求に対する処分ということになりまして行政手続法の規定が適用されます。したがいまして、それぞれの行政機関が自分のところの情報公開それから非公開につきましての審査基準等を策定することになるというふうに考えております。
  146. 佐藤泰三

    佐藤泰三君 大分これは地方が先行して、各市町村あるいは県でやっているようでございますが、その市町村、自治体におきます公開の基準は大体できておるのでございますか。もしありましたら参考に何例か御披露願いたいと思います。
  147. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 地方公共団体におきましては、地方公共団体がそれぞれ条例を制定するということになりますので、その開示、不開示の基準はその条例に基づきましてそれぞれの地方公共団体において策定をしていただくというふうに考えております。
  148. 佐藤泰三

    佐藤泰三君 それでは、まだ地方の実態は調査していないわけでございますか。
  149. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) ただいまのところ、地方公共団体におきましては、都道府県におきましてはすべての都道府県で条例が制定され、それから市町村段階では全体の二〇%程度の市町村において条例が制定されております。  これらの制定している地方公共団体におきましては、現実に条例の運用を行っているところでございまして、当然、開示、不開示の判断の考え方なり基準、そういったものは整理をされているものであるというふうに考えております。
  150. 佐藤泰三

    佐藤泰三君 その開示、不開示の整理をされておれば、それが何かあったらお知らせ願いたいわけです。
  151. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) それはそれぞれの自治体でいろいろ工夫して実施をいたしておるところでございまして、例えば情報公開のためのハンドブックのようなものをつくったり、いろいろ工夫しているようでございますので、そういった具体的な例であればお示しをすることはできるというふうに考えております。
  152. 佐藤泰三

    佐藤泰三君 これだけの長い年月がかかった情報公開という制度をつくるにしては、ちょっとずさんじゃないでしょうか。地方でやっている内容もよく御存じないようでございまして、地方は地方、国は国だと。これではおかしいじゃないでしょうか。やはり同じ日本ですから、神奈川県、東京都の内容とか、この開示、不開示の基準か何かあると思うので、そういう点を私はお調べになっていらっしゃるかと聞いているのでございますが。全然やっていないのでございますか。
  153. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) この法律をつくるに当たりましては、すべての都道府県の条例の規定内容がどうなっているかといったことにつきましては当然総務庁として整理をいたしているところでございます。  それから、運用の実態につきましても、情報公開検討しました行政改革委員会に必要に応じまして地方公共団体の方に実際に来ていただきまして、実際の運用の実態等も十分お聞きをし、必要な資料もちょうだいして、そういったものを踏まえまして今回の法律を立案いたしたところでございます。
  154. 佐藤泰三

    佐藤泰三君 やはりあくまでも、ある意味で法律的には中央があって地方でございます。その点、地方の情報公開をやっているところを、大変でしょうが国の方でも十分調査し、それを参考に積み上げていくべきじゃないかと思います。地方は地方、地方条例は関係ない、こちらはこちらだというのではちょっとちぐはぐになりますし、将来ますますいろんな形で裁判がふえると思います。いかがでございますか。
  155. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) この情報公開法案におきまして、地方公共団体の情報公開につきましては、その第四十一条におきまして「地方公共団体は、この法律趣旨にのっとり、その保有する情報公開に関し必要な施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければならない。」という規定を設けております。そして、こういうふうな規定が設けられることによりまして、条例を制定していない地方公共団体におきましては条例の制定が促進されるとともに、条例を制定しているところにつきましても必要に応じ条例の見直し等が行われ、一層適切なものとするように努力をされるものと考えております。  総務庁といたしましても、必要に応じましてこういった情報公開法の制度内容考え方等につきまして地方公共団体に対しましても必要な説明を行ってまいりたいというふうに考えております。
  156. 佐藤泰三

    佐藤泰三君 いずれにしましても、新しいすばらしい法案でございますが、年月をかけただけに、これからもいろんな形で大変と思うんですが、とかく今の日本はテレビの画像とかマスコミの報道が先行しがちでございますので、そういうことのないように十分に地方と連携をとってこの問題を研究していただきたいと心から願うものでございます、特に裁判を使って主義主張を通そうとするような動きがあるいはあるのではないかという懸念もなきにしもあらずでございますので。  料金問題も、日本で今五百円といったら、実際どうでしょうね、大体一分間三十円が最低の人件費でございますから、膨大な資料を何万件も処理するためにどのくらい人が要るかということを考えますと、ただ安ければいいのかと。お金は国民全体のものですから、欲しい方は出すべきだと思います。必要ならば我々議員が調査権でとれるんですから、議員は関係なしに御自分でとりたい熱心な方はある程度受益者負担の原則でいいと思うんです、我々議員を使えばただでとれるんですから。その点の考えはいかがでございましょうか。
  157. 植竹繁雄

    衆議院議員(植竹繁雄君) その点について再三お尋ねがございますが、やはり必要なこともありますけれども、国民全体から情報公開をしてほしいということになりますと、特殊な方々はそういう高額を出してもいいということでございますが、多くの国民の皆様に利用しやすいというのが本来の趣旨でございますし、これからの政治、行政というものはもっともっと開かれた、そういう二十一世紀のあるべき国の姿ということを考えましたときに、やはり金額が高額になりました場合は非常に問題もあると。  しかし、例えば手数料の金額自体が、閲覧手数料とかあるいはコピー代とか、そういうものを踏まえましたときに、高額の負担にたえられる個人あるいは企業はいいわけですが、ただ全体の国民の皆様に負担が過重であるという場合には問題もあると考えますし、諸外国の例もまちまちでございます。  この重要性というものについての考え方もいろいろ違いがありますが、ただこの情報公開に対する各国の方針といいますかあるいは民族の方針といいますか、そういうものによりましては高額のところも、例えば豪州とかあります。豪州では二千五百五十円、一方、豪州の隣のニュージーランドに至っては四百五十円、そういうような大きな格差もあるわけでございます。  そういうことを考えましたときに、先進諸国である日本としましては、やはり国民の皆様に利用しやすい金額ということも考え、それから日本の各地、基本であります日本の地方におきましては取っていないところもありますし、取っているところもある。  しかし、この法律案が衆議院を通過した段階におきまして、これは最低の受益者負担ということで手数料を取るべきじゃないかということで、今どんどん地方におきましてこれを改定されるというところも出てきております。やはり問題は、国でもって基本の法律をつくるということが大事じゃないかと考えた結果、五百円ということが一番いいんじゃないかということで、衆議院の内閣委員会は結論を得たわけでございます。
  158. 佐藤泰三

    佐藤泰三君 よくわかりました。ありがとうございました。  ところで、この情報公開制度、すばらしい制度が衆議院でもって長い時間をかけて全党一致で送付されてまいったということは重く受けとめまして、我々もできる限り慎重審議、衆議院に見習っていきたいなと願望するものでございます。  しかし、今料金問題もございましたけれども、やはり私は、これにこだわるわけじゃございませんけれども、受益者負担の原則ということを守っていただかないと、いろいろありますので、将来このために各省庁がパニックになるんじゃないか、そういう懸念を持つのでございます。単一民族だからそういうことはないと思いますけれども、しかしわかりません。これは、外人でもできますから、国籍を問わないんですから。外国から突然千本出されたってどうしようもないんですから、ということも想定しないといけないだろうと思います。これでパニックにするのはわけないということもお考え願いたい。百何十万の外人が来ているようでございますから、そういう点も十分検討いただきたいなと思うわけでございます。  同時に、裁判所の問題もよく承りました。あくまでも裁判を起こすためじゃなくて、国民と政府が一体になるためのすばらしい情報公開でございますから、これを維持するようにしていきたいと。  また、国民の方にも、たとえ五百円でももったいないですから、どうしてバッジを使わないのか。五万人近いバッジ族がそのためにいるんですから、使えばただでございますから。我々が応じない場合は別として、国民がバッジ族を越して行くことはちょっと民主主義に多少反するんじゃないかという感じもするのでございます。地方自治体、県、国にいますバッジ族を大いに活用していただきたいということをお願いしたいと思うのでございます。  いろいろございますが、自民党としてはこれ以上の修正は骨折った衆議院に対しても私は申しわけないと思いますし、これ以上は困難だと思うのでございますが、総務庁長官のお考えを承ります。
  159. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 先ほどから委員の御質問を伺っておりまして、大いに共鳴できる御主張もあるわけでございます。今、さらなる修正ということについては、この委員会あるいは理事会において御協議をいただいている途中だと思います。  私どもは、当初から申し上げておりますけれども、衆議院における修正というのがぎりぎり私どもの受け入れられる範囲であるということをもう一回確認させていただきまして答弁にかえさせていただきます。
  160. 佐藤泰三

    佐藤泰三君 大変、いろいろ失礼な言辞を弄しましたけれども、どうぞ衆議院を通った立派な法案が参議院でも無事にいくように、我々も一生懸命慎重審議に努力しますので、今後ともよろしくまた御指導賜り、御無礼の言葉はお許し願いたいと思います。  ありがとうございました。
  161. 千葉景子

    千葉景子君 きょうはまず、今も御議論がございましたけれども、管轄の問題からお尋ねをさせていただきたいと思います。  この管轄につきましては、今お話がございましたように、衆議院で修正がなされたところでもございます。  本来、この裁判の問題は、情報が十分に開示され、そして行政におかれましても適切な対応がなされれば、逆に言えば、裁判の問題というのはむしろ利用しなくて済めばそれにこしたことはないということになろうかというふうに思います。ただ、やはり裁判というのはさまざまな手続の最終的なとりででもございますので、情報公開制度が市民が利用しやすい制度として機能するためには、最終的な司法チェックの道、これがやはり十分に開かれていることも大変重要なことであろうというふうに思っています。  そこで、今の長官の御発言をお聞きして、もう一度私はお尋ねをしておきたいんですけれども、衆議院での修正を受けまして、管轄裁判所を全国八カ所の高等裁判所の所在の地方裁判所というところまで管轄を、窓口を広げたということになりますが、この管轄についての修正を受けまして長官はどうお考えになられますか。政府から出された案の場合には被告の所在地ということで大変狭い管轄でございました。それが市民に利用しやすいという観点を念頭に置いて修正がされた。こういう要望といいますか、そういうものを踏まえてどうお考えになられますでしょうか。
  162. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 今、千葉委員がおっしゃいましたように、原則公開といういう制度に我々は踏み込んだわけでございますので、原則的には開示を請求されて、それに対して恐らく普通の事柄であれば行政庁の方も対応すると思いますし、また行政庁で対応しない場合にも、内閣としては情報公開審査会で対応することになると思うのでございます。  そういたしますと、ではそこでなおかつ最終的にも救済されないといいますか不満であるという場合は、これは通常の原則から離れた一種の例外的な出来事になるわけでございます。そのような例外的な出来事に対する救済の手段として裁判所での訴訟を認めるということは、その制度がどこかにあればよいのであるというふうに私はもともと思っておりました。  ですから、通常の行政事件訴訟の手続にのっとって被告の所在地である、この場合は東京ですけれども、東京一カ所でよいのではないか、例外的な救済の手段でございますのでそれでいいだろうというふうに思っておりましたので、衆議院での答弁においては、とりあえずこれでスタートしましょうよということをたびたび申し上げてきたわけでございます。それに対して、いや、それでは同じ救済の手段としても不十分であるということで全会派一致されてこのような修正になったわけでございます。  ですから、どうかというふうに感想を聞かれれば、今の数でも、最初のスタートなんだからそこまではやらなくてもいいのではないかというふうに、率直に私はそう思っておるところでございます。
  163. 千葉景子

    千葉景子君 この法を執行していただくわけですから、もともとのお考えは一カ所で足りるのではないかと思っておられたということですけれども、ぜひこの議論の趣旨を十分に念頭に置いて今後考えていただきたいというふうに思うんです。  だとすると、私はこの際、この制度をスタートするのであれば、せっかく利用しやすい方向へ衆議院の本当に熱心な議論のもとに一定の窓が開いた。だとすれば、長官、思い切って、もう市民の皆さんにこれを十分に使ってほしい、そういう意味で全国の地方裁判所、これを基本的には管轄にするという方向を検討されたらどうですか。いかがですか。
  164. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 毒食わば皿までで行けというお話でございますが、それはたくさんの場所で、これは千葉委員やここにおられる委員の先生方はよくおわかりでありますから誤解はありませんけれども、一般には請求をすることが全国の中で一カ所しかできないというふうに、それが八カ所になったというふうにあるいは誤解があるのかもしれないと実は私は思っておるわけでございまして、普通の開示の請求というのはどんな手段をとってどこにいてもできるわけでございますから、そこはもう完全にオープンになっているわけでございます。  あくまでも、さっきおっしゃいましたように政府対応情報公開審査会まで経てなおかつ不満であるという例外的な出来事についての救済手段でございますから、私はこれは今の衆議院の修正案でも少しスタートとしては十分過ぎるというか、そんな感じを持つわけでございます。
  165. 千葉景子

    千葉景子君 例外的なことだと、司法の場まで行くことは。ということは、政府としてはこの行政情報公開、これは裁判などに行くような事態には決してさせないと。十分に情報公開して、情報公開がなされないという不満が出るなどということはないようにする、それだけの覚悟が多分おありなんだろうというふうに思いますので、その点はほかの問題点のところでまた指摘もさせていただきたいと思います。  今お話がございましたが、八カ所の高等裁判所に管轄が広げられた。ただ、八カ所の高等裁判所の所在地の地方裁判所というのは、考えてみれば理屈があってないようなものでございます、先ほど言った利用者の便宜なども含めてということですが。  そうなりますと、この八カ所の高等裁判所には支部がございます。それはこれまでも議論になりました。高等裁判所の支部というのは、決して高等裁判所に上下関係があるわけではなくて、支部も同じ機能を持つ裁判所でございます。だとすれば支部の所在地についても、利用の便宜という意味から考えれば、地方裁判所まではとんでもないというお話でしたけれども、同じ高等裁判所の所在地ということであれば、支部の所在地まで検討するということは非常につじつまも合うし、そして理論上も整理がされやすいんではないかと思いますが、長官、そうはお考えになりませんか。
  166. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 私もこの衆議院での修正の際にいろんな御意見に接したわけでございまして、千葉委員が今おっしゃるような御意見も衆議院段階でもあったわけでございます。しかしながら、我々の言うことも念頭に置いていただいたこともあったと思いますけれども、ちょうど高裁の所在地八カ所ということでもって、ぎりぎりのところで折り合ったということでございますので、このままで行っていただければというふうに思うのでございます。
  167. 千葉景子

    千葉景子君 長官もせっかくこういう歴史的な情報公開制度、そのスタートの時点でトップリーダーということでまとめをされようとしているところでもございます。そういう意味では、余り遠慮されることなく、むしろ本当にこれが後々やっぱり長官のもとでよいスタート、そして中身の濃いものとしてスタートができたということを、ぜひ長官、決断をされたら私は大変評価も高まるのではないかというふうに思うんですけれども、今の長官の御答弁は何となく腰がちょっと引けておられるという感がいたしますが、改めてお聞きいたします。支部まで管轄というものを検討しようというふうにお考えになったらいかがですか。
  168. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) というよりも、何回も同じことを申し上げて愚かしいのでございますが、私は一カ所でよかったのではないかなというふうに思っているということでございます。  情報公開法のこういう成立をするであろう時期に総務庁長官という責任を担っていることは、大変名誉なことだと考えております。
  169. 千葉景子

    千葉景子君 これはまたさらに議論がそれぞれあろうかというふうに思いますが、それでももし難しいということであれば、これも皆さんから大変強い指摘があるところでございますけれども、沖縄についてやはり配慮をすべきところが、ほかのことはもし難しいとしても、私はあるのではないかというふうに思います。  これは先ほどもちょっと触れてございましたけれども、距離的な問題、地理的な問題、それからもう一点、裁判所のこれまで置かれてきた経緯のようなものを私も調べさせていただきました。この経緯を見ますと、戦前の沖縄の裁判所、これは長崎に控訴院というのがありまして、長崎控訴院管内、那覇に那覇地方裁判所、同区裁判所が設置されていたということが歴史上ございます。そして、この長崎控訴院というのは昭和二十年八月、原爆の本当につい前ですけれども、どういうわけか福岡に移されているところでもございます。その後、米国の米軍占領下の沖縄の裁判所は、いろいろな変遷はございますけれども、琉球高等裁判所のもとに那覇地方裁判所、那覇家庭裁判所、那覇簡易裁判所が設置されて、沖縄の中で高等裁判所まで一つの一括したシステムが置かれていたということでもございます。  これが復帰後、日本と同じような裁判制度ということになりまして、もうこれは釈迦に説法であろうかというふうに思いますけれども、那覇地方裁判所、那覇家庭裁判所、那覇簡易裁判所が設置をされた。ただ、高等裁判所の管轄区域としては福岡高等裁判所の管轄区域とされましたけれども、戦前からの歴史的な経緯、あるいは地元の皆さんの要望などがありまして福岡高等裁判所那覇支部が設けられた、こういう経緯があるわけです。  もともと高等裁判所に準ずるといいますか、同等なものが存在した地域でもあり、先ほど申し上げた地理的な条件なども考えたら、長官もほかの裁判所にそれを広げるというのはいささかどうも納得いただけないというようではございますけれども、この那覇についての特殊な事情、こういうものは十分配慮すべき点ではないかと思います。その点念頭に置いて、長官はいかがお考えでしょうか。
  170. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 復帰前に那覇がそれ自体として高等裁判所の機能を持っていたということはそのとおりであろうと思います。しかし、日本国に復帰する前のことでございますので、それを復帰前の状態に戻せというようなことはまさか先生もおっしゃっているわけではないと思いますし、やっぱりそういう特異な時期、期間の問題であっただろうと思うのでございます。今は同じ日本国内でございますので、こういう問題についてはひとしく同じように取り扱われるべきではないかと思うのでございます。  特に私は、沖縄の方々に、これまでの苦難の歴史、あるいは今も同じような苦難の時代が続いているとも言われるわけでございますけれども、そのことについて私たちはできることは極力いたさなければいけない、あるいは特別な位置づけというものが必要だろうと考えておりますけれども、事この話については、先ほどから申しますように例外的に起こってくる訴訟であるというふうに思っておりますので、そのことを八つの高裁所在地のほかに那覇でやるということで、そこで何が行われるのかといえば、例外的に起こる救済の訴訟でございますから、政府の判断に対してそれは反対であるというふうな御主張がなされ、言ってみれば裁判所というのを舞台にして例えば安全保障と防衛のようなことについて激しい論争がそこで繰り広げられるということになるんだろうと想像いたします。  そういう舞台を九カ所目としてそこにつくるということがそれほど、今の苦難の歴史を振り返りまた苦難の現状を踏まえても、だから裁判所ということを舞台にしてそのような論争が行われる場所をそこに持ってくるんだということに直ちには結びつかないわけでございます。
  171. 千葉景子

    千葉景子君 そうおっしゃるとすると、そこに一カ所ふやすのがおかしいということであれば、八カ所じゃなくて、もとに戻りますけれども、むしろ一律に一番近いところで裁判を起こせるようにした方が逆に言えば長官の頭の中もすっきりされるのではないかというふうに思います。  この問題は必ずしも論理的にとかそういうことで今論議が進められているところでもございません。やはり市民が利用しやすい、そしてさまざまな地理的な条件なども含めてそういうところに配慮することこそこの制度を生かす道であろうというふうに思いますので、私は、ぜひこの管轄を少なくとも沖縄、那覇について認める方向を考えていただくことを要求しまして、この管轄の問題については終わりにさせていただきたいと思います。  次に、手数料の問題についてお尋ねをさせていただきます。  そもそもこの手数料なんですけれども、先ほどもこれは議論がございました。手数料を徴収するというのは、受益者ということではございますけれども情報公開制度、この基本的な理念を考えますと、私は、これは行政がある意味では義務を履行すること、義務の履行であるというふうに思うんです。この法案の趣旨としても説明義務を果たすということがうたわれているわけです。だとすると、本来手数料というものは国がその責任において負担をすべきものではないかというふうにも考えているところでございます。  この手数料問題について宮城県の浅野知事は、ここは今情報公開の先進的な取り組みを続けておられますけれども、行政は情報公開を住民に対する公共サービスと心得るべきだ、そうであれば手数料を徴収すべきでない、こういう発言などをなさっているところでございます。  謄写などについては別といたしましても、基本的な義務の履行として手数料徴収というものを本来すべきではないというふうに私は考えるところですが、長官はどうお考えでしょうか。
  172. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 一般的に、すべての国民一人一人に情報開示を求める権利を与える、与えるというか主権者であるから当然なんですけれども、主権者には当然そうすべきだという判断をこの法律で下すという中で、一人一人がそのような国民、主権者としての権限を行使するということは、行使した人と行使しない人が出てくるわけでございます。そうであれば、特定の国民は請求をし、ほかの国民は請求をしないというときに、特定の役務を求め、それを受けるということについて若干の手数料を徴収させていただくということは、何か私は当たり前のような気がするわけでございます。  それは、ひとしくみんなが常にあまねく広く受け取れる公共的なサービスであればそうでありますけれども、やはり行為そのものは特定の個人にしか返ってこないわけでございますので、そこは手数料をいただくのは自然なのではないかと思っております。  特に、何でも知りたいというのが当たり前だというふうにお考えであると思いますけれども、必ずしも世の中はそうではなくて、これは知らせるべきでないというふうに物によっては判断をされる場合もあるわけでございます。例として余りよくないかもしれないけれども、クリントン大統領の不祥事のときに世論調査をいたしたところ、私の記憶では、三分の二のアメリカ人はその赤裸々な事実を開示すべきではないということを答えていたように記憶するわけでございます。  だから、知りたいと思う人と同時に、そういうことは知らせる、さらすものではないと思う人もまたいるわけでございますから、その中で判断をして、少なくとも行政の方でそれはせざるを得ないと判断したものについては開示されることになるわけでございますから、それは開示する人とその他の不特定多数の納税者、税でもって負担をしている人たちの間のどこかで裁定はしなければいけない。政府は金のなる木を持っているわけではないわけでございますから、そこにあるお金はすべて国民のものであるということを思えば、そのような開示しなかった不特定多数の国民と開示した特定の国民との間で我々はどこかに裁きをつけなくちゃいけないということだと思うのでございます。
  173. 千葉景子

    千葉景子君 権利を行使するために金がかかるということは、私は基本的にはあり得ないことであろうというふうに思います。それと、権利を行使しない場合もそれはあります。ただ、権利を行使するということは、その人に特別な利益をもたらすという意味ではありません。当然の、だれもが行使できる権利を行使するということですから、それに対して手数料が当然だというその考え方というのはちょっと違うのではないかというふうに私は思っております。  そこで、その手数料を仮に徴収するとしても、どういう手数料になるのかというのがいま一つはっきりしてございません。情報公開請求による公開手数料としては、十六条の一項で開示請求に係る手数料と開示の実施に係る手数料を納めるもの、こうしておりますけれども、この間の議論では、開示の実施に係る手数料としては写しの交付、これは謄写手数料ということになりましょう。それから、閲覧等の実施に係る事務の費用、これが一般に閲覧手数料と呼ばれることになろうと思いますけれども、この二種類の手数料を開示の実施に係る手数料として納める、それを政令によって具体的に額などを定める、こう解釈してよろしゅうございましょうか。
  174. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) ただいまの開示の実施に係る手数料につきましてでございますが、それは具体的に開示の実施の方法がいろいろございます。ただいま御指摘のございましたように、閲覧の場合もあれば写しの交付の場合もある。ただ、手数料の種類としましては、開示請求に係る手数料とそれから開示の実施に係る手数料でございます。そして、その開示の実施に係る手数料につきましては、開示の実施の方法等によりまして金額をそれぞれ定めるということを考えておりまして、具体的には閲覧の実施あるいは写しの作成等にかかる費用の一部についての負担額につきましては今後政令で定めていくということになります。
  175. 千葉景子

    千葉景子君 これまでの質疑におきましても、開示請求に係る手数料、これは一定額ということで、衆議院での議論を踏まえてどうも五百円を下回るものという範囲になろうということのようでございます。  ただ、これを計算する方法なんですけれども、一枚の公開請求書、それで公開請求を行った場合というのは一回の請求として手数料を取られるということになるのでしょうか。  その一枚の公開請求書に、例えば幾つもの情報について記載をして、これを見たいという請求をしたとします。例えのあった方がわかりやすいと思いますので、例えば平成七年度から平成十一年度までの五年分の、どこの役所でもいいんですけれども、例えば防衛庁、大蔵省、厚生省、建設省から職員の民間企業への天下り状況がわかる資料、こういう一枚の請求をしたといたします。この場合、一回の請求として、幾らかわかりませんけれども、その五百円以下の定める手数料というのを納めるということになるのでしょうか。
  176. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 情報公開の開示請求の決定はそれぞれの行政機関単位で行われます。  それから、徴収の単位につきましての基本的な考え方でございますが、例えば開示請求に係る手数料につきましては、一請求に対し一定額の金額を徴収するという考え方でございますが、その請求に当たりましては、内容的に関連の深い文書は一回の請求にまとめることができるというふうに考えておりまして、例えば自治体が今行っておりますような一決裁文書当たり幾らということで、一決裁文書がたとえ一枚であっても二枚であっても定額を取るというような考え方は採用するつもりはございません。  いずれにしても、請求に当たって、内容的に関連の深い文書については一回の請求ということでカウントする、こういった考え方に基づきまして今後手数料の具体的な額、徴収方法等につきまして政令で定めてまいりたいというふうに考えております。
  177. 千葉景子

    千葉景子君 ちょっともう一度確認をさせていただきますが、自治体で実施をしているような一決裁文書ごとにというようなことは考えておらぬということですね。  先ほど例に挙げました平成七年度から平成十一年度の五年分の、ただこれは幾つかの省庁を私は例として挙げさせていただいたんですが、そうすると、省庁ごとで少なくとも文書の請求の数というのは別になる。まずそこはどうでしょうか。
  178. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 例えばそういったいろいろな各省にまたがるような内容について、それを内容とする行政文書を特定の行政機関が保有していたとすれば、それはその機関だけの請求ということになりますが、それが防衛庁とか厚生省とか大蔵省とかそれぞれに請求しなければならないということになれば、それを判断する行政機関ごとに請求に係る手数料を払っていただくという趣旨でございます。
  179. 千葉景子

    千葉景子君 それと関連するといいますか、先ほど例で挙げさせていただきましたように、平成七年度から平成十一年度分までの五年分の職員の民間企業への天下り状況ということになると、これで一つの請求と考えてよろしいですね。
  180. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 具体的個別のケースにつきましてはその請求の際に具体的に判断することになると考えておりまして、ここでそのケースが一件で済むかどうかということを一概にお答えすることは困難でありますが、内容的に関連性の深い複数の文書については一回の請求でまとめて請求することができるようにしたいというふうに考えております。
  181. 千葉景子

    千葉景子君 今のお答えから考えますと、私が申し上げました例というのはどう考えても一つの関連した請求ということに該当することになろうかというふうに思うんです。別にこれにお答えを求めようというわけではありませんけれども、そう考えざるを得ない、そう考えていいですか。
  182. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 内容につきましての関連性につきましては、やはり常識的、合理的な範囲で判断されることになると考えております。
  183. 千葉景子

    千葉景子君 次に、開示請求手数料を一定額とするのに対しまして、閲覧等の開示の実施に係る手数料、これについては実費の一部を負担するという形で検討がされているということでございます。その実費の一部の計算方法なんですけれども、先ほどのお話ですと、一定額のところでもそうでしたけれども、こちらも一決裁文書ごとに閲覧手数料を計算するというようなことではないと考えてよろしいですか。
  184. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 御指摘のとおりでございまして、閲覧に当たりましても、例えば一決裁文書が一枚であるといったことについて、今の条例の中ではそういったものであっても閲覧手数料は定額で例えば二百円徴収するというようなところもございますが、そういったような考え方はとらない、それはあくまでもその閲覧された文書の分量に応じて徴収するというような考え方をとりたいと考えております。
  185. 千葉景子

    千葉景子君 閲覧手数料はその分量で考えていくということのようでございますけれども、ちょうど三月に東京都の情報公開条例が改正をされました。ここで開示手数料が全面的に改められたところでもございます。  どうも聞くところによると、これはほぼ国の方向性をなぞらえて決められたのではないかとも指摘をされているところでございますけれども、この東京都の条例によると、閲覧手数料は一枚について十円、ただし一件について百円を上限とするということになりますから、一件の文書として九枚ある場合だと九十円、一件の文書として九十枚の文書がある場合には九百円。ただ、その上限については百円というふうにされているわけです。  せっかくちょうどこういう改定をされたところでもございますし、政府もこういういろいろな動きを検討なさっていらっしゃるというふうに思いますけれども、やはり例えば一定の上限を設けるとか、あるいは手数料についても一枚について十円というような考え方、こういうものを参考にされるという、どちらが参考にしているのかわかりませんけれども、ほぼこういうものに見合った、極端に手数料が高くなるというようなことがなきようにしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  186. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 具体的な手数料の定め方につきましては、国会におきます修正で「できる限り利用しやすい額とするよう配慮しなければならない。」といった修正が行われ、あわせて附帯決議で「開示の実施に係る手数料の額を定めるに当たっては、実質的に開示請求に係る手数料に相当する額が控除されたものとなるようにすること。」といった附帯決議もございます。  こういった趣旨を踏まえますと、例えば今の閲覧手数料につきましては、閲覧する文書の分量に応じた手数料とするわけでございますが、一般の人が通常閲覧されるような少量の文書につきましては、開示請求に係る手数料を納付すれば付加的に閲覧手数料を納付しなくても済むというような制度に、ここの附帯決議で実施をしたとすればそういうふうなことも考えられるわけでございまして、今後政令の内容の詰めに当たりましては、こういった国会での修正及び附帯決議の趣旨も踏まえて策定をしてまいりたいというふうに考えております。
  187. 千葉景子

    千葉景子君 手数料については、私は最初に、本来国のサービスといいますか義務の履行ということを考えれば徴収すべきではないのではないかという指摘をさせていただきました。ただ、そうはなかなかいかないという今の考え方のようでございます。  ただ、例えば先ほど御議論がありまして、いろいろな目的で請求をされることがあるだろうと思います、それは、それを問わない、だれでもできるわけですから。ただ少なくとも、やはり公益的な目的、こういうことで請求をする場合には、手数料を免除するとか、さらに低減化するというような措置をとるべきではないかというふうに思います。特に公益的目的という場合には、それは一人が権利行使をするけれども、やはり国民主権あるいは政治への参加、そういうことも含めてそれが多くの国民の意思決定の材料になっていくということもあろうかというふうに思うんです。  そういう意味で、公益的目的の場合には手数料を減免するというような措置がとられるべきではないかと思いますが、いかがですか。
  188. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) この法律におきましては、減免につきましては、経済的困難その他特別の理由があれば、行政機関の長の判断で減免をできるということになっております。  ただ、ただいま御指摘の公益減免の問題につきましては、個々の開示請求につきましては、何人に対しても、請求目的、理由を問わず、そしてまた取得した情報の利用に制限を加えるといったものでもなく、そしてまた公益目的かどうかというものを事務的に確定することも極めて困難ということで、したがって請求者の申し出に基づきました公益目的ということで減免を一律に行うということは考えておりません。
  189. 千葉景子

    千葉景子君 これは多分繰り返しの議論になってしまうのではないかというふうに思うんですけれども、だれでもがひとしく公開請求を求めることができるということと目的において手数料に差異を設けるということは、決して相矛盾することではないというふうに思うんです。これは、請求する側がむしろ公益的目的だということでそれを証明するなり、あるいはそれに必要な説明をすることになるわけですから、積極的にそういう請求をした場合、減免措置というのが別にあっても全く理論的にもあるいは実務的にもおかしくないというふうに思います。  これ以上のお答えはちょっと難しそうにも思いますが、これはただ、だからああよかったじゃなくて、それはきちっと政令などを準備するときに一つの材料として検討をいただきたいと思います。  次に、ちょっと審査会の問題についてお尋ねをいたします。  先ほど司法の問題、これも行政側が資料を十分に情報公開すれば司法のことについて心配しなくて済む、こういうことも言えようかと思います。さらに、それでも心配であっても、この審査会が十分に機能すればより司法の問題は心配しなくて済む、何重にもこういう手だてが行われるということになるわけですが、その意味でもこの審査会の機能の公平さとか充実が求められるところであろうというふうに思います。  そこでお聞きをいたしますが、この法案では九名の審査会委員ということになります。しかも非常勤が原則でございまして、常勤の審査会委員は三名以内というような形になります。これで十分に対応し切れるのかどうか。まず、その点をどう御認識なさっておられますか。
  190. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) この情報公開審査会が九人体制ということはどうかということと、それから非常勤、常勤の関係はどうかということでございますが、実は今行政改革の一つとして政府に設けられた審議会を大幅に削減するということをやっております。その中で、例えば政策目的のための審議会からは常勤の委員というのは極力なくしてしまおうということでやっているわけでございます。それは何でかと申しますと、常勤ということはすなわちそれが職業となるわけでございまして、当然所得もそこに発生をするわけでございますので、そういった場合に、果たして行政からの独立性ということについてどうかという見方があるわけでございます。  ただしかし、私どもも容易に想像できるとおり、情報公開審査会は恐らく大変なボリュームの仕事をこなすことになるでしょうから、非常勤の委員だけではとてもできないだろうということもありますので、その辺のことを折り合ってこの三人というのがよいところではないかというふうに考えております。
  191. 千葉景子

    千葉景子君 人数の問題もありますけれども、さらにどういう人がこの審査に当たるかということも極めて重要なことであろうというふうに思うんです。これが公平であり公正であるという信頼を得るためには、長官が今おっしゃったように、何か行政の一部のような構成では公平性を担保できないということになります。  とりわけ非常勤の審査会委員などについて、いわば学識のある方とかあるいは司法に専門的な知識を持つ者とか、そういう者を構成メンバーにして、客観的あるいは実務的に対応できる、そして公平性を担保できる、そういう構成にすべきではないかというふうに思います。  この構成などについて、こういう方向でというような基本的なお考えがあればお示しをいただきたいと思います。
  192. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) この審査会のメンバーについては、まさに内閣総理大臣が両院の同意を得て任命するわけでございますので、一体だれを選ぶかということでもってまさに総理がどれほどのものであるのかということが判断されることになるわけでございます。人事というのはまさにリーダーの資質を問われることになるわけでありますので、そこはぜひ総理にお任せをいただきたいと思うのでございます。  なお、私は余計なことばかりいつも申し上げますけれども、その場合に、どこどこの代表ということで何か推薦母体があるような人選の仕方と、もう一つは選ばれる人の個人の資質、勇気とか公平性とか判断力とか、そういう個人の資質に着目をして任命する仕方と二通りあると思います。私は、さまざまな審議会の人選に当たっては、任命をする人の責任でもってむしろ後者の選択をしてもらいたいなという希望を持っております。
  193. 千葉景子

    千葉景子君 多分、こういうメンバーの選定に当たっては、最終的には当然のことながら国会の同意を得て内閣総理大臣の任命ということになりますけれども、やはりその人選に当たっては、一定のこういうリストあるいはメンバーをという事務方の作業、それは総務庁の役割ということになろうかというふうに思いますので、長官が今話をなさいましたように、ぜひ公平性というものをきちっと担保し得るようなそういう構成を心がけるというか、当然のことでございますけれども、実行していただくように頑張っていただきたいというふうに思います。  時間が限られておりますので、まだ聞きたいことはあるんですけれども、文書管理について限りある時間内で聞かせていただきたいというふうに思います。  この文書管理につきましては、私も先般お聞きをさせていただきましたけれども、既に総務庁の方でもこれについての方向性などを検討されてガイドラインのようなまとめをされているやにお聞きをしておりますが、そのガイドラインはつくっておられるでしょうか、そしてそれはどんな内容になっておりましょうか。
  194. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 行政文書の管理につきましては、この法律の三十七条におきまして行政文書の管理に関する定めをそれぞれの行政機関がつくることとされ、その行政文書の管理に関する定めに共通する事項につきましては政令で定めるということで、行政文書の分類、作成、保存、廃棄に至る行政文書のサイクル全体を通じた統一的な、そしてまた基本的な中身を政令で定めることにしております。  そして、さらにその政令で定める事項の細目といいますか、その具体的な中身につきましては、統一性を図る必要があるというものにつきましてはガイドラインといったことも考えておりますが、具体的にまだガイドラインの内容につきましてはこういったところでお示しをできるような段階ではございませんで、担当者レベルでどういった中身を政令、どういった中身をガイドラインにするかといった内容の今検討を行っている段階でございます。
  195. 千葉景子

    千葉景子君 政令等をつくるのはこれからということではございますけれども、行政文書の管理の方策について、事務方として、あるいは今後の政令等を整備する準備作業、そのためのたたき台、あるいはこういう考え方に基づいて行政文書の整理をしたらどうかという考え方をまとめて、今各省間で協議をなさっていらっしゃるんじゃないですか。
  196. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 行政文書の管理の定めの内容等につきまして、御指摘のように今政府部内でいろいろ事務的な検討を進めているところでございます。
  197. 千葉景子

    千葉景子君 その検討の中身で、文書の保存期間が三十年以上、十年以上、五年以上、三年以上、一年以上、一年未満、こういう六段階で文書の管理、分類をしていこうというような方向で検討なさっているやに聞いておりますし、幾つかの報道などでもそれが出ておりますけれども、間違いありませんか。
  198. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 一部の報道等にそういうような記事が載ったということは事実でございますが、実際にまだ全く担当レベルの議論でございまして、私どもの方も必ずしもまだその中身を聞いていないというふうな段階でございます。どういった考え方で保存期間を定めるか、それからどういった文書についてどういった保存期間にするかといったような内容について今いろいろと議論をしているところと、そういう段階でございます。
  199. 千葉景子

    千葉景子君 では、これは毎日新聞の一月二十八日でございますけれども、「保存期間、六段階に分類」と。これは全く根拠のないことですか。
  200. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) そういった点も含めていろいろと議論がされているというふうに承知をいたしております。
  201. 千葉景子

    千葉景子君 こういうものが一つの議論のたたき台となっているというふうに受けとめさせていただきますけれども、この中で、保存期間が過ぎたものをどうするか、あるいは一年未満という大変短い期間のもの、それは一年未満ですからすぐ保存しなくてもいいということになってしまうような文書が出てくるわけですが、そういう文書の管理の仕方とか、あるいはその保存期間が終わった後どうするかというようなこと、これは大変重要な点であろうというふうに思いますが、それらについては具体的に検討されているところはございますか。
  202. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 御指摘の保存期間が経過した後の文書の取り扱い等につきましてでございますが、行政文書の保存に当たりましては、政令で定める最低保存期間基準に沿いました保存期間を定めまして、その期間はその行政文書を適正に利用できるよう保存することとしたいと考えております。  そして、その保存期間が満了した行政文書の取り扱いにつきましては、当該行政文書の内容、利用等の実態を踏まえまして三つの措置があるんじゃないかと考えております。  一つは、引き続き事務事業の遂行上必要なものについては保存期間の延長をする、それから二つ目としましては、事務事業上の必要はないが歴史的な価値があるものについては国立公文書館等への移管を行う、それからこれらに該当しないものについては廃棄といったような措置を講ずることについて検討をしているところでございます。
  203. 千葉景子

    千葉景子君 まだ聞くべきことはたくさんございますが、時間ですのできょうはこの程度にさせていただきます。
  204. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 公明党の日笠勝之でございます。  いわゆる情報公開法が去る二月十六日に衆議院で修正可決されまして、本院に参りまして今審議をしているところでございますが、この間、修正協議に御尽力をされました衆議院内閣委員会の理事諸兄の皆さんに心から敬意を表する次第でございます。  きょうは、修正案の提出者を交えながら、手数料と文書管理の問題を中心に何点かお伺いをしたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。  まず、長官にお伺いいたしますが、先日記者会見で長官は、開示請求手数料五百円というふうに明言をされたと報道で接しましたけれども、間違いございませんか。
  205. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 私も時々正確さを欠くことを申し上げることがございますが、それは多分附帯決議において五百円ということが書いてあったことを申し上げたのではないかと思います。  五百円ということを申しましたけれども、そういうふうになったというふうに申し上げていたとすれば不正確なことでありまして、附帯決議においてそのように記されておったという意味だったと思います。
  206. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 修正案提出者の方にお伺いいたしますが、衆議院においては開示請求手数料五百円以下と、こういうふうにお聞きしておりますが、それでよろしいんでしょうか。
  207. 植竹繁雄

    衆議院議員(植竹繁雄君) ただいまの日笠委員の御質問にお答えいたしますが、この五百円という額でございますが、これは日本の状況をベースにいたしまして、ヨーロッパ各国、また衆議院内閣委員会が実際に調査いたしました豪州、ニュージーランド、先ほど申し上げましたように豪州の場合は二千五百五十円、一方、ニュージーランドは四百五十円、それから日本における各種の、例えば戸籍謄本とかいろんな各証明に関するそういう手数料を勘案いたしまして、五百円以下なら一番国民の方々に利用でき得る金額考えて決定いたしたわけでございます。
  208. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 五百円と明定はせずに五百円以下としたわけでございますね。  さすれば、先日も長官に私、五百円以下といえば一円から四百九十九円ぐらいまである、こういうふうに申し上げたんですが、植竹先生にお伺いしたいんですが、参議院において五百円以下ということであれば三百円でも二百円でも、衆議一決すれば、また総務庁長官がそれでいいと言えば二百円でも三百円でもそれはあり得る、こういうふうに理解していいんでしょうか。
  209. 植竹繁雄

    衆議院議員(植竹繁雄君) 委員御提案の五百円以下ということは二百円、三百円ということよりも、これは私が決定することでありません、政令でございますが、しかし本来の目的は、五百円以下としたものは、やはり乱用を避けるという意味で、これは受益者負担の原則と申しますか、受益者の責任ある、良識ある行動を期待してしたのでございます。  これを以下とするということは、繰り返し申し上げますが、政令でございます。したがいまして、私どもではその基準の法律案をつくるということで、あとは附帯決議にございますようにいろいろ、後で御質問あるかと思いますが、その点を勘案いたしまして以下ということだけを決定いたしました。  諸外国またはほかの文書等を見ますと、あるいは五百円に近い数字であってもこれはリーズナブル、日本語で言わないといけないんでしょうけれども、利用しやすい金額だと考えておるところでございます。
  210. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 先日当委員会で、十六条の手数料の政令の骨子を用意するように申し上げましたが、骨子はどうなっておりますか。
  211. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 情報公開法で政令で定めるべき事項とその概要につきましては、私どもの方で一応整理をした資料を作成いたしているところでございます。
  212. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 だから、その骨子をちょっと話してください。
  213. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 情報公開法案に基づく政令の骨子につきましては、全体で十五事項ございまして、その事項についてまず申し上げますと……
  214. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 いや、手数料のところだけ。
  215. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 手数料のところにつきましては、法第十六条第一項関係としまして、手数料の納付方法及び額について政令で定めることにしております。   請求手数料及び開示手数料のそれぞれについて、その納付方法及び額を定める。   手数料額については、衆議院における法案修正、附帯決議等を踏まえ、利用しやすい金額とすることとしているが、具体的な額については、今後、地方公共団体の条例等の調査を踏まえ、検討することとしている。   なお、請求手数料については、一回の請求につき定額とし、衆議院内閣委員会における修正案の提案理由において、五百円以下とすることが述べられており、これを踏まえた額とすることとしている。また、開示手数料については、開示の方法ごとに手数料額を定めることとしている。 というものでございます。
  216. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 これも「今後、地方公共団体の条例等の調査を踏まえ、検討」とありますが、開示請求手数料、それから開示実施に係る手数料のうちの例えば閲覧手数料、これを徴収している地方公共団体は非常に少ないんじゃないかと思いますが、局長の認識はいかがですか。
  217. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 地方公共団体におきましては、開示請求に係る手数料を徴収しているところはございません。そして閲覧につきましては、私どもの把握しているところでは、東京都、静岡県、岡山県、香川県、千葉市、北九州市は一件当たり二百円、横浜、福岡市は一件当たり三百円を徴収している。そして写しの交付につきましては、すべての地方公共団体で複写代を徴収しているという状況でございます。
  218. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 そうすると、「今後、地方公共団体の条例等の調査を踏まえ、」というと、開示請求手数料はほとんどない、それから閲覧手数料もあるところの方が珍しい、我が岡山県も入っていて非常に申しわけありませんけれども。ただ、謄写等のコピー代は十円とか二十円とかでございます。ということは、五百円以下といえども、いわゆる乱用を抑えるということもあるようでございますが、五百円以下というのはもっとぐんと安くなる可能性もあり得る、こういうふうに思うんですが、これは長官、いかがですか。
  219. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 修正案の提案理由の説明の中にそういう数字が入るということをお聞きしましたときには、私は、五百円以下ということは、五百円をいただくことになるのかなというふうに考えておったところでございます。五百円も入るのではないかと思ったところでございます。
  220. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 どうも禅問答をやってもいけませんが、先ほどから申し上げているように、ほとんどの地方公共団体、条例があるところはまず開示請求手数料はない、それから閲覧手数料もほとんどないという中で、それらの調査を踏まえて検討するという先ほどの政令の骨子でございますから、十分これを念頭に入れて、私は五百円以下、すなわちぐっと安い二百円、三百円という線に、残念だけれどももし取るなら、せめてその辺のところに落ちつかせるべきではなかろうかと思います。  それでもう一点、開示実施に係る手数料のうちの閲覧手数料でございますが、これは先日の質問では一決済文書で一単位、こういうふうにお聞きいたしましたが、それでよろしいでしょうか、もう一度確認、局長に。
  221. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 閲覧手数料の徴収単位につきましては、ただいま御指摘のような一決済文書ごとに手数料を徴収するというような制度とすることは考えておりません。
  222. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 一決済文書ごとに一単位の閲覧手数料と先日お答えになったように私は記憶していますが、違うんですか。ではどういう単位ですか。
  223. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 閲覧手数料の徴収単位、具体的な金額等につきましては政令で定めるわけでございますが、閲覧する文書の分量に応じた手数料額となるようにしたいと考えております。例えば自治体の条例等の例がありますが、一枚の文書が一決済文書であるとすれば、一枚であっても例えば二百円とかいうような手数料が必要なわけでございますが、そういったことではなくて、閲覧する文書の分量に応じた手数料ということで、一決済ということを基準に金額を決めるのではないという考え方でございます。
  224. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 そうすると、閲覧する規格化された行政文書のボリュームですか。ボリュームということは、一万ページも一ボリュームだし、十ページもそうだし、大体どのぐらいを想定されておっしゃっているんですか。
  225. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 具体的に閲覧する文書の量が増加するに比例して一定額の手数料をいただくという考え方をとっております。したがって、あらかじめ具体的に何ページといったものがあるというものではございません。
  226. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 よくわからないな。  先ほどページ数によると言いましたが、例えば一ファイル五百ページぐらい入るんですか、これ以内なら一単位、二つあれば二単位で倍の閲覧手数料、こういうカウントの仕方ですか。
  227. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) これは請求手数料のところでも申し上げましたけれども、先ほど申し上げましたように一決済文書とかいったようなことではなくて、そのボリュームの話については、徴収単位とか具体的金額をどうするかといったことは政令でどう定めるかといったことで、できるだけ利用しやすい金額にするというようなこととか、あと衆議院の内閣委員会の附帯決議等を踏まえましてどういったカウントの仕方をするか、どういった金額を設定するか、そういったものについて今検討をしているところでございます。
  228. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 政令に皆委任するわけにいかぬからいろいろ議論しておるわけで、ではちょっとほかの質問をしましょう。  この前もしましたが、存否応答拒否です。情報があるかないか応答することすら拒否をする、それから不開示情報だということで拒否する。これは開示請求手数料は幾らか知りませんが、当然五百円よりぐっと安い金額で徴収はされる。しかし、その開示請求手数料は返さない、いただきっ放し、こういうことでしょうか。
  229. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 請求手数料につきましては、請求から開示決定に至るまでに必要とした経費の一部を負担していただくということでございまして、審査した結果、存否を明らかにできないということで不開示決定をしたものにつきましては請求手数料はちょうだいするということでございます。
  230. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 いただくわけですね。先ほどの議論を聞いていますと、いわゆる特定の役務に対する手数料ということでしたね。  例えば、NTTに電話番号を聞きたいというので番号案内へ電話して電話番号を調べてもらいます。これは当然向こうも費用がかかるわけです、回線使用料から人件費。ところが、その番号案内にお願いした該当者がいない場合は無料なんです、回線使用料から向こうの人件費。  ということは、こういう情報提供を受けて自分としては受益をしようと思ったけれども、一切そういうのが不開示だとか、存否応答拒否だということになれば手数料を返さないと。今のNTTと一緒ですよ、ないんですから、教えてもらえぬのですから。NTTの番号案内を例にして、返したらどうですか。
  231. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 手数料の考え方は特定の人に対する行政の特定の役務に要した費用の一部、実費を負担していただくということでございまして、ただいま御指摘のようなケースにおきましても、行政機関において一定の役務が発生するわけでございまして、手数料を返すというようなことは考えておりません。
  232. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 そうすると、NTTの番号案内の方がけしからぬということになりますな、これは。  その次は、どうも閲覧手数料を取るというのが私にはちょっと理解できないのは、図書館なんかはあれだけの膨大な本、または非常に高価な本を閲覧しても無料じゃありませんか。図書館、国立国会図書館へ行ってください。入館料も取りませんし、閲覧手数料も取りはしませんよ。  それなのに、国民の主権にのっとってというちゃんとした定義があって、なぜ情報公開を請求するかというと、これは恐らく行政のコストが非常に安くなる。例えば糧食費であるとか職員の旅費であるとか交際費であるとか、こういうものが情報公開で条例などでばんと出てしまう。だから、ここはしっかりアカウンタビリティー、説明できるようにしようということで抑止が働いて経費が安くなる。ということを考えれば、閲覧手数料はまだ料金も決まっていないし、単位も決まっていないとおっしゃいますが、図書館と同じように閲覧手数料ぐらいは無料にした方がいい、こういうふうに思いますが、長官、どうですか、政令をつくられるんですから。
  233. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) ほかの行政サービスと比較をしてケース・バイ・ケースであろうと思うわけでございます。図書館の場合は確かにそうなんですけれども、ちょっと今適当な例を思いつかないんですけれども、それはどれだけの請求があるかわからないという時点でその体制をとっておくということはちょっと想定もできないことだろうと思うんです。  したがって、行政機関についてはある意味ではアドホックなコストというか、現体制を超えてそういう追加的な負担が生じるかもしれないということがあるわけでございますので、これはちょっと図書館の場合とは違うのではないかなというふうに考えております。
  234. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 時間もありませんので、植竹先生、衆議院で政令での開示請求手数料の定め方をいろいろ御議論されたと思うんです。例を教えていただいたんですが、それには開示請求手数料から開示に係るコピー代の方は控除ができるという、いろいろな例の数字を入れたペーパーがございますが、これはコピーなどのいわゆる謄写のことですが、先ほどから申し上げておる閲覧手数料は控除できるんですか。どうでしょうか。
  235. 植竹繁雄

    衆議院議員(植竹繁雄君) まず、前段のコピーということは、いろいろなコピーがございますが、これはむしろ基本がコピー料ということでございますので、その内容について、このコピーは取るとか取らないとか、ただにするとか安くする、それはもう政令で決める問題でございます。これは行政側で検討していただく。  それから、閲覧手数料の控除をするということにつきましては、これは原則としては、「実質的に」という言葉が附帯決議にあるんですが、ですから、最高五百円の請求手数料を取った場合には五百円を控除するということから、あるいは零円も金額のうちでございますから零円となるか、それは最終的には行政側が決めることであります。  一応これを衆議院の段階において討議したときは、例えば五百円の請求手数料を取った場合に、それからコピー代が五百十円、コピー代というのは、閲覧しないとコピーできませんから、コピーをとった場合に五百十円になったと。そのときは五百円を控除して閲覧手数料分は零円になって十円だけコピー代が加えられる、そういうことで衆議院段階は終わりました。
  236. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 長官、今の理解でよろしいんですね。  ですから、開示請求手数料からコピー代を引いて、もし足らざるは納めていただく、コピー代を。閲覧手数料の方は、閲覧しなきゃコピーできないので閲覧手数料はゼロ円、こういうことですね。今、そういうふうにおっしゃったように私は理解しましたが、違うのかな。
  237. 植竹繁雄

    衆議院議員(植竹繁雄君) その点につきましては、閲覧手数料はその額を超えた場合です。だから、閲覧手数料内でどの程度金額がなるかということは、これは政令でもって五百円から零円までの範囲内で決めるわけです、控除ですから。だから、マキシマムという意味で五百十円ということを申し上げたのでございます。五百円以下というのはそういうわけです。
  238. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 ちょっと局長、整理してください。
  239. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 開示の実施に係る手数料ということで、開示の実施に係る手数料の額を定めるに当たっては、実質的に開示請求に係る手数料に相当する額が控除されたものとなるようにすることということでございまして、開示の実施の中身は請求者が選択できることになっています。あくまでも閲覧だけで済む場合、あるいは閲覧をしなくても写しの交付を最初から請求する場合、両方請求する場合があります。  いずれにしても、それらの手数料が例えば五百円であれば、その五百円の中で、請求手数料の中に入ればその範囲では無料になるというふうな理解をいたしております。
  240. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 これは仮定の話、五百円じゃないと思いますが、開示請求手数料が五百円、閲覧手数料が二百円、コピー一枚が二十円だとすると、五百円から二百円マイナス、マイナス二十円、こういうことですね。はい、よくわかりました。  では、時間がありません、最後に文書管理でございます。  文書管理でございますが、私、何省庁かの文書管理規程をいただきました。例えば、その中で総理府と総務庁と見比べますと、これは整合性が全くないですよね。例えば、総務庁の方は文書管理規程六条の一に常用漢字とか現代仮名遣いとか送り仮名のつけ方で文書を書けとあるけれども、総理府の方は平易、簡潔な口語体としか書いていません。それから、総務庁の方は九条で秘密文書簿というのでだあっと秘密文書のことを書いていますが、総理府の方は一切何も秘密文書のことはない。それから、反対に今度は、総理府の方は二十一条で暦年ごとの一連番号をつけろとかありますが、総務庁はそういうことを一切書いていない。いろいろ見比べると、総理府と総務庁だけでも文書管理規程の今までの仕方が相当違う。  おまけに、先ほど千葉先生がおっしゃったように、保存期間も、総務庁は永久、十年、五年、三年、一年の保存とありますが、総理府の方は一年の保存というのはないんです。  これをどうやって各省庁が大体統一的にやるかというと、最大公約数しかないとなると、これは文書管理規程というものの政令が抜け抜けになってしまうんじゃなかろうかな、こう思います。ですから、ぜひ政令マターで、政令の骨子も聞きたいんですけれども、時間がありませんので、これは各省庁の文書管理者というんですか、いらっしゃるわけですが、ぜひよく話を聞きながら、国民にわかりやすい文書管理規程にしていただきたい。  ちょっとまた戻りますが、総理府には三条の二に文書受送主任、文書保存主任というのを置くようになっていますが、総務庁にはそれを置くようにはなっていない。こういうようなことで、非常に文書管理規程が各省庁ばらばらでありますので、最大公約数をきちっと踏まえた上で各行政機関の長がつくるようになっておりますが、今より後退のないきちっとしたものにするように、最後に長官の決意をお聞きしたいと思います。
  241. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) おっしゃることはまさに正論であろうと思います。そうなるように努力をしてまいりたいと思います。
  242. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 終わります。
  243. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 きょうは時間の都合で手数料の問題についてのみ質問いたします。  前回の質問に対して長官は、行政情報が国民共有の財産であるということを認めつつも、特定の人に開示するからその人に手数料を負担していただくという趣旨の答弁をなさっています。  今度は、角度を変えて質問したいのですけれども、そもそも国民共有の財産である行政情報を開示するという仕事は職員の本業と一体のものではないんでしょうか。違いますか。
  244. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 先ほども同様の御質問が出たんですけれども、共有の財産であるということは、それを利用する、それにアクセスをする国民とそうでない国民があるわけなんで、それ自体は、その国民共有の財産があるということは財産なんだから意味のある存在だし、アクセスすることは意味のあることなんだけれども、不特定多数の国民との関係ではやはりそこには費用の負担ということは発生せざるを得ないのではないかと思います。  例えば、先ほどの御質問のときには思い出せなかったんですけれども、さまざまな権利について登記をする、登記簿にアクセスをするのに登記の手数料をちょっと金額は覚えておりませんけれども払わなくちゃいけない。それは登記されている情報というのはやっぱり国民共有の財産でありますから、それは常にそういうことがあるんではないですかね。
  245. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 私は、情報開示という仕事が職員の本業と一体なのか、それとも余計な仕事なのか、それを聞いたんです。
  246. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) それはまだ確立をされていない新しい仕事でありますから、そのためにこれだけの要員を準備しておけば間に合うというふうなことにはなっておりませんので、体制が固まるまでには少し時間がかかるのではないかと思っております。体制が固まったらば当然そこに専念をする人というのも出てくるわけでありまして、それは当然主権者たる国民に対して責任、そういう体制を準備しておかなければいけないということは間違いなくあると思うんですね。
  247. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 法案は、第一条「目的」のところで、政府の諸活動を国民に説明する責務を全うすること、そのことによって国民の理解と批判のもとにある公正で民主的な行政の推進に資するようにすることとあります。つまり、情報の開示というのは職員の本業の一部なのだと思います。ですから、私は特定の人にであろうとすべての人にであろうと、その情報を開示するのに三段階の手数料を取ることを当然視するのは法の趣旨に反するというふうに思っているわけです。これでは本業とは別の余計な仕事になってしまうからなんです。  次の質問に入りますが、私は全国の市民オンブズマンたちの活動に注目しています。食糧費という名のいわゆる官官接待費が莫大な額に上ること、その内容が主客一人当たり十万六千円もの支出であったりコンパニオン代や花代の支出であったりしたこと等が明らかになり、税金のむだ遣いに厳しい批判の目が注がれて食糧費予算の大幅な削減を実現してきた。都道府県の九七年度の食糧費予算平均して九五年度の五七・八%になったそうです。  こうしたことを初めとする市民オンブズマンたちの活動をどのように評価なさいますか。
  248. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) その前に、前段でおっしゃったことですけれども、登記制度というものをそこに用意しておくのは日本国であれば行政の当然の責任でありますので、だれも余計な仕事だとは言っておりません。しかし、登記にかかわってアクセスする人に対しては手数料をいただくということになっておりますし、ほかにもたくさんそういうものはあるわけですから、別に費用を取るから余計なものだと考えているということではないということをまず申し上げておきたいと思うのであります。だからそれは負担関係のこと。  それから、市民オンブズマンの活動については、これは言ってみればみずからエネルギーを費やしみずから御努力をされてそういう市民の側から言えば当然知るべきことを明らかにし、行政に緊張感をもたらして、そして公正な適正な行政が推進されるように御努力をされたわけでありますから、これは評価すべきことだと思います。
  249. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 まず、情報開示が職員の本業の一部であるということがお互いに理解できればよいと思います。  市民オンブズマンたちの活動は、公正で民主的な行政の推進のためには国民の監視と参加が不可欠であるということを示していると私は思います。この市民オンブズマンたちの活動で大きな障害になったのが手数料問題でした。  率直に伺いますが、閲覧手数料というのはゼロか限りなくゼロにするようにするのが情報公開の根本精神ではないんでしょうか。閲覧してみなければ必要な情報が開示されているのか実質不開示なのか判断できませんし、どれをコピーしてもらうかも判断できないんです。違うでしょうか。
  250. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 市民オンブズマンの方々にとって最大のネックというか障害が手数料の存在だったというお話でございます。私はちょっと適当な例を、具体的な数字を持っておりませんけれども、たしかどこかの都道府県の交際費の開示請求は何万人という方がされたというふうにお聞きをいたしております。何万人の方がされるということは、それを例えば全国で手分けをして請求されて、しかもそれがいずれも不開示になって訴訟が起きたりなんかいたしますと大変なことになるわけです。  だから、大量に組織的に行われることは必ずしもこの制度が予定しているものではないと思うわけでございまして、これは試行錯誤の中で、どのような手数料をいただいて、あるいはどのぐらいの頻度でそのような請求が起こるかということがおのずから定まっていく過程を経なければ何とも言えないと思うんです。
  251. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 私は閲覧手数料について聞いています。つまり、閲覧してみなければ必要な情報が開示されているのか実質不開示なのか判断できませんし、どれをコピーしてもらうかも判断できないんですから、閲覧手数料というのは本来ゼロか限りなくゼロであるべきだと思うんですけれども、違いますか。
  252. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 閲覧手数料は閲覧の実施にかかる費用について負担をしていただくものでございまして、情報公開法上の開示の実施の中には閲覧をするという選択、それからさらには写しの交付を求めるというような形態がございますが、いずれもそれぞれに対応するために一定の行政上の費用がかかっているわけでございまして、そういったものの一部を負担していただくという考え方によっているものでございます。
  253. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 請求手数料を取られ、閲覧手数料を取られても、墨塗りをするかマジックで塗るかわかりませんが、黒塗りが多くて結果として実質何も必要な情報を得られなかったということも起こるわけですね。こうなりますと、開示の実施に係る手数料というよりも不開示の実施に係る手数料ということになり、利用しやすい額とはとても言えないと思うんです。  具体的に聞きます。  例えば三年分の事故報告書の開示を請求した方がいたとします。一件三百円の閲覧手数料がかかり、何らかの合理的な基準で、行政の側の判断、基準で件数が一万四千件と数えられる場合の閲覧手数料は全部で四百十九万九千五百円になります。四百二十万円から請求手数料五百円を差し引いた額です。こんな高額な閲覧手数料は払えませんし、ましてコピー代を加えるとなると負担は一層重くなるわけですから、一部を引き抜いて閲覧することになると思うんです。こういうことは可能なのか、これが一つ。また、閲覧しないでコピーだけ請求することも可能なのか。  以上、二点について簡単に。
  254. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 最初の、一部について抽出して見ることはできるかといった点につきましては、この法律の十四条第二項では、開示決定に基づき開示を受けようとする者は、希望する開示の方法等を申し出ることができるということになっておりまして、その際に開示の実施を希望する部分を具体的に申し出ていただくことによりまして当該部分のみについて開示の実施を受けることはできるという仕組みとなっております。  それから後の……
  255. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 閲覧しないでコピーだけ。
  256. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) それは可能でございます。
  257. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 全国の都道府県のうち四都県を除いて閲覧手数料は取っていません。この流れに逆行する法案の不十分性というのは明らかだと思うんです。このまま行きますと、法の目的である国民の情報開示請求権に基づく的確な理解と批判を遠ざけることになりかねません。  そこで質問なんですが、閲覧手数料を限りなくゼロに近づけるためには、請求に当たって内容的に関連の深い文書は一回の請求にまとめることができるとしたのと同様に、一回の請求による開示情報の閲覧手数料は一回分と数えるのが合理的ではないんでしょうか。  もう一つ、東京都の場合、新しい基準で閲覧手数料は一枚につき十円で一件につき百円を限度とするようですが、これより少額にする気はありませんか。  以上、二点。
  258. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 閲覧手数料の徴収単位、具体的金額につきましては政令で定めることとしておりますが、閲覧する文書の分量に応じた手数料額というふうなことを今考えております。  今後、閲覧手数料の徴収単位あるいは具体的な金額等を決定する際には、国民の皆さんができるだけ利用しやすい金額といったことを踏まえて策定をしたいと考えております。
  259. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 東京都の例。
  260. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 東京都のように一枚十円あるいは上限を百円とか、そういうふうなことにつきましては、今の段階では考えておりません。
  261. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 終わります。
  262. 吉川春子

    ○吉川春子君 裁判を受ける権利について質問します。  「注解日本国憲法」によりますと、裁判を受ける権利は、刑事にあっては裁判所の裁判によるのでなければ刑罰を科せられない、また民事、行政裁判にあっては、裁判の拒絶の禁止と理解されているというふうにあります。  法案の第三条に、何人も行政機関の保有する行政文書の開示を請求することができることを定めています。  大臣、もしその文書が非公開とされ、行政訴訟を起こすときに、地方に住む人々にとってこの権利、提訴が事実上制約されることがないようにしなくてはならないのは当然ですけれども、東京や福岡に住む人に比べて宮崎や鹿児島に住む人が著しく不便であってはならないと思いますが、いかがお考えですか。
  263. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) それはそのとおりでございますが、先ほどから答弁を申し上げておりますように、原則開示をするということになるわけでございますので、通常の請求であれば行政の中できちんと答えが出ていこうかと思うわけでございます。  あくまでも例外的な出来事に対する救済手続でございますから、私は別に今の東京と福岡がそうであればいいというふうには考えておりませんで、東京一カ所でよかったのではないかというふうに思っております。
  264. 吉川春子

    ○吉川春子君 大臣、それはないでしょう、そういうお話は。訴訟というのは例外的なものではなくて、訴訟まで保障されていることがやっぱり基本的人権の担保ですから、訴訟を例外なんという答弁はちょっと訂正しておいていただいた方がいいんじゃないでしょうか。  それで、私はちょっと委員長のお許しを得てパネルをつくってまいりました。(図表掲示)大臣、見ていただきますと、これは県庁所在地から各高等裁判所所在地までの交通費の試算です。これは市民グループの方の試算によるものなんですけれども、白いところは県庁所在地から五百円以内のところなんです。そして、だんだん色が濃くなるに従って最高は六万円というところで、青森とか北陸とか、あるいは山陰とか宮崎とか、沖縄はもちろんですけれども、こういうふうに、今度の衆議院の修正で御努力いただいた結果によっても、交通費が最高四十倍もかかる、こういう結果になりまして、特に不利なのが日本海側に面している方々なんです。こういうことが表によって明らかなんです。  情報公開裁判を行うための交通費の問題なんですけれども、霞が関は東京にお住まいの方は恐らく千円以内で往復できる方が多いと思うんですけれども、やっぱり一度新幹線を利用したりいろいろして四万円以上、そして一番かかると一審だけで数十万円、こういうふうにかかるわけなんです。これは居住地によって負担の差が大き過ぎはしないでしょうか。  裁判を受ける権利のところに、憲法三十二条というのは、本条は貧困者に対する法律扶助を国の責任とするところまでは要求していないと解されているが、裁判に多大の金がかかる以上、その金が工面できない人間にとっては裁判を受ける権利は単なる紙の上の存在にすぎない。これは宮沢先生の教科書の引用なんですけれども、こういうふうにされているわけなんです。居住地によって負担の格差が大き過ぎはしないかという感じがいたしますが、大臣いかがでしょうか。
  265. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 我々も同じようにそういう地図を塗ってつくればよかったわけでございますが、単に、例えば北海道は真っ白で安いように書いてありますが、一番端っこから札幌まで行くためには片道六時間ぐらいかかるそうでございますので泊まらなくちゃいけない、泊まれば宿泊費がかかるということでございますので、地図のつくり方もいろいろあろうかと思います。  ただその中で、裁判に費用がかかるということは私はそれは一般論としてはあると思うのでございます。費用がかかるからそれはもっとアクセスをしなければいけないということは、別の問題として私はあると思いますし、それはもう早晩、今国会にでもそのような改革を目指す審議会のようなものが設けられるというふうに聞いておりますので、ぜひそちらの方でまた活発な御議論をいただきたいと思うのでございます。  今は、この話についていえば、さっき例外というのは訴訟というものを正しく理解していないというお話がありましたけれども、やはり救済の手続でございますので、そうあまねく至るところに細かくネットワークを張ると、そのためにかかるコストというものも別の面からいえばあるわけでございます、あるいは訴訟の結果がばらばらになったりすることも望ましくないということもあるわけでございます。通常の行政事件訴訟の手続から見れば大幅にこれは地域を拡大しているわけでございますので、随分努力をした方ではないかなというふうに思っております。
  266. 吉川春子

    ○吉川春子君 北海道の問題はこの次の質問で伺うつもりでおりました。北海道は決して便利じゃないんです。それから、先ほど小笠原とか奄美とか、そういうお話が出ました。船で行かなきゃならないとか、今、大臣がおっしゃったように宿泊しなきゃならないとか、こういうところが不便だから沖縄は入れなくてもいいというふうにならなくて、こういうところも改善しなきゃならないということを私は申し上げているわけでありまして、沖縄を入れれば事足りると、一般論としてそういうふうに申し上げているわけではありませんので、ぜひあまねく日本列島に住む方々が裁判へのアクセスを平等に受けられますように努力をしていただきたい、こういうことでございます。  それで、行政訴訟のお話が出ましたので、法務省に来ていただいておりますので続いて伺います。  行政訴訟法の十二条の一項があるからということを繰り返しここで言われているわけですけれども、端的に伺いますが、これはもう行政機関にとっては大変便利かもしれませんけれども、訴訟を起こす方にとっては行政訴訟の所在地しかというのは大変不利益が多いんです。法務省にお伺いしますが、今の制度上で原告の所在地から裁判を起こせるというような制度をつくることについて何か障害がありましょうか。一般論としてお伺いしております。
  267. 吉戒修一

    説明員吉戒修一君) お答え申し上げます。  今、議員御指摘のとおり、行政事件訴訟法の十二条の一項でございますが、これは行政庁を被告とする取り消し訴訟につきましては、行政庁の所在地の裁判所に管轄を認めております。この理由は、既に御案内のとおりでございますけれども、二点ほどございまして、一点は……
  268. 吉川春子

    ○吉川春子君 それはいいです。
  269. 吉戒修一

    説明員吉戒修一君) では端的に申し上げます。  こういうふうな行政事件訴訟法の土地管轄の規定でございますけれども、もちろん行政事件訴訟法の中にも例外の規定はございます。例えば、不動産等の所在地の裁判所に管轄を認めるとか、あるいは処分等に関しまして事案の処理に当たった下級行政機関の所在地の裁判所に管轄を認めるというような例がございます。それ以外にも、実は民事訴訟法の準用がございまして、原告の住所地で提起された訴えにつきましては、被告行政庁が応訴した場合には応訴管轄ができるというような規定もございます。  こういうふうにいたしておりまして、行政事件訴訟法の定める取り消し訴訟の土地管轄の原則でございますけれども、これはおよそその例外を許さないというものではございません。合理的な理由があれば、立法政策的にその例外を認めているというふうに解しております。
  270. 吉川春子

    ○吉川春子君 ですから要するに、今の十二条はちょっと外に置くとして、仮に原告の居住地で裁判を起こすという制度を設けるについて、憲法上あるいはその他上、何かどうしても障害があるということではない、こういう御答弁と承ってよろしいですか。
  271. 吉戒修一

    説明員吉戒修一君) 繰り返しになりますけれども、およそ例外を認めない原則ではございません。
  272. 吉川春子

    ○吉川春子君 行政訴訟法の十二条の二項もまさにその例外であるという御説明もありました。  そういうわけで、やっぱり裁判を受ける権利という憲法上の権利を全うするためには、なるべく裁判へのアクセスをよくするということで、行政事件訴訟法もこれは見直されなくてはならない規定であるというふうに思います。  大臣、こういう問題も含めて、私はこの情報公開法と同時にというのが一番理想だと思いますが、仮にそうでないとしても、行政事件についての提訴、これを本当に裁判を受ける権利を全うできるという憲法上の規定に沿った趣旨になるべく合わせていく、これが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  273. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 先ほども申しましたけれども、いわゆる司法と国民の間の関係について、これから国会でもいろいろ御議論がなされることと思いますし、私も関心を持って見てまいりたいと思います。
  274. 吉川春子

    ○吉川春子君 野党が共同修正で、裁判の管轄の問題について衆議院からも参りました。そして今、少なくとも沖縄はということで一致して要求しているわけで、沖縄プラス高裁の支部ということも修正案としては出しているわけです。  少なくとも、理想的な形で今度の法案が成らないとしても、余りにもちょっと見てアンバランスがあり過ぎる、せめて沖縄まではというお話が何遍も委員の質問から出ましたけれども、私はそういうことも含めまして、国民の裁判を受ける権利が全うされるような情報公開法であってほしい、そのことを強く要求して、質問を終わります。
  275. 山本正和

    ○山本正和君 植竹先生、どうも御無理を言いまして、ありがとうございます。  先ほどからずっと論議がございまして、私が質問しようという部分は大分重なっております。そこはもう省きまして、冒頭、佐藤理事からいろいろお話がございました。そして私も、実は情報公開法をつくったということは本当に我が国にとって画期的なことだろうと思いますし、こういう画期的な法案を出した総務庁長官は歴史に残る長官になるだろう、こう思うのであります。  衆議院で大変な御苦労の中で修正された。先ほど長官からお話しのように、政府としては、仮にもし公開ができないという事由に対して不服が出たというふうな場合でも、これは被告は国になるわけですから東京でどうぞと。こういう見解を終始持っておった。しかし、それもあるけれども、ひとつ八カ所に広げようじゃないかということで、衆議院の方では御議論の上、最終的には政府も了解されてそう決まった。大変な御苦労だったと思うんです。  それで、八カ所にとにかく広げようじゃないかという趣旨でまとまったその辺の理論といいましょうか理屈といいましょうか、理屈と言ったらしかられますけれども、八カ所にまで持っていったというそのあたりの衆議院の経過、またこうなったということについての植竹先生のひとつお考えをお聞かせいただきたい、こう思うんです。
  276. 植竹繁雄

    衆議院議員(植竹繁雄君) 管轄の問題でございますが、初め委員会におきまして、当該訴訟文書が存在する地裁においてはそこでもって訴訟が行い得るというような附帯決議案も出たわけでございます。しかし、それも文書があるかないかという判断とか、非常に難しいわけです。しかも、もとの文書があるか、今はファクスの時代ですからファクスで送れるとかいろいろありまして、これでははっきりしない。また、地裁におきまして、各地裁で違った判決が出た場合はどうか。そういたしますと裁判の迅速化に向かってのときに大変にこれはマイナスになるということであれば、やはり基本的に何か基準を設けなくちゃならない。それは全国八カ所の高裁が一番リーズナブル、適正ではないか。  しかも大事な点は、この情報公開法というものは初めて施行されるわけでありますから、一遍に法律検討するということよりも、とにかく野党さんの方ではこれは三年間たったら見直してと。しかし、全般の行政改革ということもありまして五年ぐらいが普通だったら適正ではないかと思いまして、そして、それでは二〇〇一年以降を考えてみたら四年が一番妥当じゃないか。まずそういう段階において見直しをすることが一番じゃないか。今ここで急に、法律ができたからこれを高裁以外六支部あるいは地裁全部ということになるとかえって全体にマイナスじゃないか。その点は単に情報公開法ばかりじゃなくて行政訴訟法にも影響するということであれば、これは八高裁でやった方がいいんじゃないか。  さらに申し上げるのは、例えば沖縄だけということになりますと、奄美大島の場合は支部は宮崎支部でございます。そうしますと、時間的には同じであっても旅費は大変だと。また、特に小笠原の問題は、小笠原は船である、船であった場合に小笠原の住民の方々すべて差別になるということはまずいんじゃないか。  そういうもろもろのことを検討いたしました結果、とにかく八高裁でこれを利用していただくということに決定したわけです。つまり、見直し規定をその中に入れまして、衆議院の全党一致ということの結論を得たわけでございます。
  277. 山本正和

    ○山本正和君 本当に大変な論議の中で随分御苦労いただいたようでございまして、私どもの内閣委員の方からも、本当にガラス細工のようにやっとの思いでつくったので絶対に参議院で壊さないでくれ、こういう要請も受けておりますが、私はただ、衆議院の段階で御議論いただくと、当然いろいろな角度から今のようなことも十分あったと思うんです。ただ、参議院の場合は参議院の会という全く衆議院には所属しない会派もございます。  そういう中で、いろんな議論が今されているわけですが、きょうは椎名委員が御欠席でございますけれども、またいろんな議論がおありになるんですが、衆議院の議論の中で、私もいろいろ聞いたんですけれども、一つだけ欠けておったんじゃないかと思うところがあるんです。それは政治的な、特に我が国が今置かれている政治的な状況の中におけるいろんな判断です。  それは何かといいますと、これはこの前も官房長官がお見えのときに私は言ったんですが、沖縄が戦争の中で大変な犠牲をこうむってきた。そして、私らよりも二つ、三つ下の昭和四年、五年の当時の少年少女まで全部戦争に行って死んだ。虐殺の憂き目に遭った者もおりますし、それから二十七年間にわたってアメリカ軍政下にあったという大変な苦労を沖縄に強いておる。そして沖縄が本土に復帰したのはいいんだけれども、沖縄がまだ依然として、例えば現在東京都と沖縄を比べると所得が半分しかない。そういう中での沖縄県民の感情といいましょうか、日本の国に復帰したんだ、同じ日本国民だと言いながらさまざまな思いがある。  そういう中で、仮に裁判を受けるという権利、この場合に対して、こんなことを言っては悪いですけれども、単にお金がかかるとかそれから距離がどうとかこうという以上に、沖縄県民に対してさまざまな日本国の法律の保護を十分に保障するということが必要なんじゃないだろうかという部分の議論がちょっと少なかったように思うんですが、その辺の議論はいかがでございましたか。
  278. 植竹繁雄

    衆議院議員(植竹繁雄君) ただいまの山本先生の問題でございますが、そういう点は実は私も与党の筆頭理事といたしまして──私自身も特攻隊の方々をお送りした経験もございますし、また出発に当たっての光景がまぶたにいまだに残っております。それはよく存じております。しかし、沖縄の問題に対する私ども考え方、いろいろ報いたいという気持ちも持っております。感情的には持っておりますけれども法律というものは、今度は同じ国土になりました。これから我々は二十一世紀に向かって前進していかなくちゃならないときでございますし、できるだけそういう感情的なものは、いたわりはまた別にいたわってさしあげたいし、御慰労申し上げたい、しかし我々次世代に対しましてどう進んでいくか、これが私どもの置かれている責務だと考えておるわけです。  そういう観点から、実は与党の筆頭でございますが、ここに大臣おられますけれども、役所に対しましても与党に対しましても、ある意味では四面楚歌の立場においてこれを持ってきたと。しかも、そのためには私はこの法律案は全党派共同提案で一致で成立しないと意味がないということで提案し御説明したという経緯から、山本先生のお気持ちは十二分にわかりますが、それはそれで、私ども政治家の一人といたしまして、全国会議員がそういうものを持ちながら対処していく、この法律案法律案として二十一世紀にかけたる我々の立場として考えていきたい、そういう見地からこれを進めてまいったわけでございます。
  279. 山本正和

    ○山本正和君 植竹先生のお気持ちもよく私も理解できますし、それからまた法律論としてはこれを超えるということについてはさまざまな問題がある、これもよく理解できるわけでございます。ただ、先ほどから言いますように、今置かれている、特に今度はガイドラインの問題が出てまいりますし、また基地返還の問題でいろんなことがあるという中での私は政治的な判断の話として一つこれを挙げておるんです。  これはまた参議院の中で今から議論が始まりますので、したがいまして衆議院における大変な御苦労、特に植竹先生の大変な御苦労につきましては私ども十分承知いたしておりますけれども、仮に参議院がもし何かの形で議論した場合も、もう本当に衆議院の大変な御苦労、それから今の法というものの本来あるべき姿ということについては十分理解しながら、なおかつ衆議院側に再度お願いする場合があるかもしれないということだけ植竹先生に申し上げておきたいと思っております。  先生どうもありがとうございました。  それで、総務庁長官の方にちょっとお願いをしておきたいんですが、実は三重県が北川知事になりまして大分いろいろと長い間の県政が、空気が変わったというようなことで、若い知事なものですから随分思い切っていろいろなことをやりました。もちろん情報公開の問題も真っ先に取り組んだわけであります。それで、非常にいいことですし、今度の知事選に当たりましても、私どもはそれを高く評価しまして、頑張れと、こう今激励しているんですけれども、ただそこで一つ困ったことがあるのは、県職員の間に、またそれにあわせて他の自治体の職員に対してもちょっとおかしな空気が出てしまったと。自分たちのお金で夜行って一杯飲むのも自粛してしまった。何かオンブズマンににらまれて何にもできなくなっちゃって、自分のお金で酒を飲むのも遠慮してしまうというふうな妙な空気が出ちゃうんです。  私が心配するのは、今、日本の国の問題がいろいろ言われますが、総務庁が一番旗を振っているのがこの行政改革、さらに情報公開、これをやるわけですからね。そうすると、国家公務員全体がもし元気が出なくなると大変なことになる。情報公開という、本当の情報公開の姿じゃなしに、誤った発想でもって公務員の元気が失われてしまったら大変になると思うんです。  ですから、情報公開というのは決してそうじゃないよ、公務員は安心してもっと堂々と国民生活の中で胸を張って頑張れと、こういうふうなことをやらにゃいかぬのじゃないかと私は思うんですが、情報公開法の取り組みに当たって、公務員全体に対してひとつ誤解のないようにというような格好で、この問題に対する総務庁長官からの、ひとつ元気出せというふうな通達というか解説というか、何か出せないんですか。その辺ちょっと、いつも心配しておったんですが、いかがでございますか。
  280. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 大変御激励をいただいて、我が意を得たりという感じでございます。それこそ自分のお金でお酒を飲みに行くことはどんどんやっていただかなくちゃいけませんし、だから何かよこしまなことを、自分のお金で飲んでいるときも気がとがめる、後ろめたいというようなことはあってはならないことだと思っております。  さまざまな、あらゆる交際費に公金を使うことは悪いことだということがとりあえず最初のショックとしてあって、それから、そうはいっても自分で飲みに行くのはいいじゃないかというようなことにだんだんなってくるわけでございますから、またおさまり場所は我々がひとしく努力をしてつくっていかなければいけないというふうに思っております。
  281. 山本正和

    ○山本正和君 終わります。
  282. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 自由党の月原です。きょうは情報公開について一、二お尋ねいたします。  まず、国の安全等に関する情報についてでありますが、別の観点から言うと、公務員法で守秘義務があり、また日米相互防衛援助協定等にも秘密保護法がある、刑事特別法の保護法益、そういうものを考えた場合に、これは非常に高度の政策的判断、専門的、技術的判断を要する問題だ、こう思うんです。この法律の流れ、どういうふうに運用されていくのか。
  283. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) ただいまの点につきましては、法律の立案に当たりましてもいろいろと議論がされたところでございます。国家公務員法等による実質秘と不開示情報の位置づけの問題、あるいは職務義務規定の適用の問題といったことが議論になりました。  実質秘と不開示情報の位置づけの問題につきましては、国家公務員法で守秘義務を課しているところの秘密は判例上実質秘とされておりますが、その範囲は具体的に定められているとは言いがたく、両者の範囲を関連づけることは困難であるということで、情報公開法で開示するか否かについては、情報公開法第五条第三号等の不開示情報に該当するか否かで判断することとなっております。  そしてまた、職務義務規定の適用関係の問題につきましては、国家公務員法第百条の守秘義務は職員の服務規律の確保を目的とするものでありまして、法律に従って職務を遂行することは職員の主要な義務の一つでありますので、情報公開法に基づいて適法に行政文書を開示する行為は、国家公務員法第百条に言うところの秘密を漏らすには該当せず、国家公務員法との抵触は生じないというふうに整理をしております。  そしてまた、ただいま御指摘の日米秘密保護法に規定する防衛秘密や刑事特別法に規定する合衆国軍隊の秘密など、国の安全等に係る特定の秘密の侵害を禁止している場合がございますが、こういった場合にも、情報公開法では、この法律の第五条第三号の国の安全等の不開示情報等に該当するか否かにより開示、不開示の判断をすることとなりますが、その判断に当たりましては、それぞれの法律で特定の秘密を漏らすことを禁じているということから、その保護法益は当然に法律上保護されるというふうに考えております。
  284. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 それでは、この情報公開法が制定された暁でありますが、既に地方で条例をつくっているところもありますけれども、恐らくこれをサンプルにしてつくっていくわけですね。  ここに四十条という規定がありますけれども、しかし、国の安全保障あるいは捜査の関係とかそういうものについて言うと、条例が法律をはみ出した場合にはどういう関係になるんでしょうか。
  285. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) ただいま御指摘のような国の安全や公共の秩序の維持等に支障を生ずるおそれのある情報公開されるべきではないと考えておりますが、この法律では、法律の第四十一条そして法案の趣旨にのっとりましてそれぞれの自治体において適正な内容となるように努力をしていただきたいと考えております。  しかしながら、条例の具体的な内容につきましては、地方自治の本旨に基づきましてそれぞれの地方公共団体において自主的に判断をされるべきものというふうに考えております。
  286. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 ですから、今おっしゃった地方自治の本旨に従ってというのは地方自治の考えであって、国の問題とは差が出てくるわけですよ。そのときにどうするのかということ。  そして、この法律を参考にして、今もう既にできている条例にそうあるかどうかは別として、審査委員会というようなものができたと。その人たちに対して、職務上知り得た秘密は、これは罰則をつけておりますが、そういうふうに指導するのかどうか、その点をお尋ねします。
  287. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 条例の制定につきましてはそれぞれの地方公共団体の御判断でございますが、政府としましては、この法律の作成に関連して必要な情報等につきましてはいろいろと提供するといったことによって対応をしてまいりたいというふうに考えております。
  288. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 何が適当かは別として、例えば政令等でもっとこういう国の非常に核になるような問題については指導していく、そういうふうに私はお願いしたいと思います。  さて、行政機関の保有する情報の中にその存否自体を答えられないものもあると。先ほど日笠議員のこととも関係するんですが、法案ではどのように対応するようになっているんでしょうか。
  289. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) ただいま御指摘のように、開示請求に係る行政文書が存在しているか否かを明らかにするだけで不開示情報の規定によりまして保護される利益が害されることとなるような場合がございます。  例えば、特定の個人の病歴の情報や犯罪の内偵捜査に関する情報等は、当該文書は不開示情報に該当するので不開示と答えるだけでその文書の存在が明らかになるというふうなことでございまして、当該情報の存否を答えるだけで不開示情報情報を開示することになってしまう。  こういうような事態に対処するために、情報公開法案の第八条におきまして、開示請求に対し、当該請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで不開示情報を開示することとなるときは、行政機関の長は開示請求に係る行政文書が存在しているか否かを明らかにしないで開示請求を拒否することができる旨の規定を設けているところでございます。
  290. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 八条の規定でそれを行えるということでわかりました。  それでは、これはもう全委員が議論されておることですが、もう一回、私はきょう最後の質問でありますので、政府案に対する裁判の土地管轄について、最初、太田長官はどういう考え方で一カ所にするとしておったのか、その根拠ですね。
  291. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) いずれにせよ、初めて我が国に導入される制度でございますので、あらゆる意味で試行錯誤の過程の第一歩だと考えておりました。  したがって、訴訟の管轄につきましても、原則公開ということになったわけでございますので、訴訟が起こるのは例外的な出来事であるという解釈のもとに一カ所が適当というふうに考えておりました。
  292. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 一番大事なところをおっしゃったわけでしょうけれども、その至る過程で、国として判断にある程度統一したものがなければならない。あるところに集中して持っていったら非常に自分に有利なものができる。これは有利不利という言葉は情報公開にはなじまぬかもしれませんが、そういうことが起こる可能性もある。  それからもう一つは、裁判官の数というか、そういう問題も私はあると思うんです。行政訴訟というのは非常に特別な領域だと思うんですが、そういう点は検討を十分されておると思いますが、長官の御意見を。
  293. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) それは足らざるところを補っていただきましたけれども、一つの事件について各裁判所でもってばらばらな結論が出たらば大変混乱するわけでございますから、できれば一カ所でやっていただきたいということもあります。  それからまた、それに対応する裁判官の数ももちろんでございますし、また被告側も相当のチームを派遣しなければいけない。あるいは証人を呼ぼうとすれば第三者もそこに行かなければいけないわけでございますから、同時に同じようなテーマでもって日本じゅうで訴訟が起きた場合には、これに対応する体制をふだんからとっておくというのは大変なことだというふうに私は思っております。
  294. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 長官は十分それを認識されて、私も今の話でさらに教えられることがあったんですが、そういう意味では、私としては一遍やってみろと。今、植竹先生からあったように、衆議院でもあそこまで広げてきたんだと、だからちょっと不安だけれどもやってみるということが大切でないかな、こういうふうに思います。  さて、審議、検討中の段階における情報公開というのは諸外国ではどういうふうな扱いになっていて、また法案ではどう取り扱うつもりになっているかということをお尋ねします。
  295. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 諸外国の情報公開法における審議、検討等に関する情報の保護の取り扱いでございますが、スウェーデンの場合には、対象文書の定義自体におきまして審議、検討等に関する情報を含む文書を除外しております。そしてフランスにおきましては、審議、検討中の段階の未成熟な文書を運用上除外している。それからアメリカにおきましては、審議、検討等に関する情報を含む文書も対象文書とした上で一定の情報を不開示情報としているところでございます。  御指摘の審議、検討中の段階における情報につきましては、対象外文書あるいは不開示情報というふうなことでいろいろ諸外国においては対応しているところでございます。  そして、この法律におきましては、審議、検討等に関する情報につきましては、政府がその諸活動を説明する責務を全うする観点から、事項的に意思決定前の情報をすべて不開示とすることは不適当であるという考え方に立ちまして、当該情報を含む文書も対象文書としました上で、法第五条第五号で、「率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの」に限って不開示ということといたしております。
  296. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 いろいろな点を質問させていただきましたが、要するに、私は、この法律が速やかに施行されること、そしてもう一つは、この法律と条例との関係、規則との関係、この点を、ここがもう政府として精いっぱいだということを示して、そして地方が実質的に異なった条例をつくるというようなことに対しては何らかの方法でよく話し合いをしていただきたい、このことを強く要望して、私の質問を終わります。
  297. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) 両案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  298. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、浜四津敏子さん、青木幹雄さん及び矢野哲朗さんが委員を辞任され、その補欠として木庭健太郎さん、久野恒一さん及び斉藤滋宣さんが選任されました。     ─────────────
  299. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) 次に、恩給法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては、既に質疑を終局しておりますので、これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、直ちに採決に入ります。  恩給法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  300. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  301. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十一分散会