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1999-03-11 第145回国会 参議院 総務委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年三月十一日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月九日     辞任         補欠選任      阿曽田 清君     月原 茂皓君  三月十日     辞任         補欠選任      福島 瑞穂君     山本 正和君      椎名 素夫君     堂本 暁子君  三月十一日     辞任         補欠選任      山本 正和君     福島 瑞穂君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         竹村 泰子君     理 事                 海老原義彦君                 佐藤 泰三君                 江田 五月君                 月原 茂皓君                 堂本 暁子君     委 員                 青木 幹雄君                 石井 道子君                 岡  利定君                 鴻池 祥肇君                 森田 次夫君                 足立 良平君                 千葉 景子君                 松田 岩夫君                 浜四津敏子君                 日笠 勝之君                 阿部 幸代君                 吉川 春子君                 福島 瑞穂君    衆議院議員        修正案提出者   植竹 繁雄君        修正案提出者   佐々木秀典君        修正案提出者   瀬古由起子君    国務大臣        国務大臣        (総務庁長官)  太田 誠一君    政府委員        内閣参事官        兼内閣総理大臣        官房会計課長   尾見 博武君        警察庁長官官房        長        野田  健君        総務庁行政管理        局長       瀧上 信光君        防衛庁長官官房        長        守屋 武昌君        法務省民事局長  細川  清君        法務省刑事局長  松尾 邦弘君        外務大臣官房長  浦部 和好君        自治大臣官房長  嶋津  昭君    事務局側        事務総長     堀川 久士君        常任委員会専門        員        志村 昌俊君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○行政機関の保有する情報公開に関する法律案  (第百四十二回国会内閣提出、第百四十五回国  会衆議院送付) ○行政機関の保有する情報公開に関する法律の  施行に伴う関係法律整備等に関する法律案(  第百四十二回国会内閣提出、第百四十五回国会  衆議院送付)     ─────────────
  2. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る九日、阿曽田清さんが委員辞任され、その補欠として月原茂皓さんが選任されました。  また、昨十日、福島瑞穂さん及び椎名素夫さんが委員辞任され、その補欠として山本正和さん及び堂本暁子さんが選任されました。     ─────────────
  3. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事月原茂皓さん及び堂本暁子さんを指名いたします。     ─────────────
  5. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) 行政機関の保有する情報公開に関する法律案及び行政機関の保有する情報公開に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案を一括して議題といたします。  両案につきましては、既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 岡利定

    岡利定君 自由民主党の岡利定でございます。  情報公開法が去年の三月二十七日に国会に提出されて以来、今日まで衆議院において慎重審議が行われ、また各党それぞれにおいても内部的にも検討が進められ、さらに各党間の真剣な話し合いが行われておりまして、最終的には政府案に対して全会派の提案に基づく法案の一部修正衆議院全会一致で可決され、参議院に送付されてきたわけでございます。衆議院におきます真剣なお取り組みに心から敬意を表させていただきたいと思っております。もちろん参議院においても、参議院立場でこの法案について慎重審議すべきであることは当然でありますけれども、このような今日までの経過というものも十分に踏まえて早期に成立を図るということが大事だと思っております。  衆議院におきまして、いろいろとこの法文あるいはその運用等について議論が多く出ておりますが、できるだけそういう意味で私も重複は避けたいと思うわけでありますけれども、せっかくトップバッターの地位をいただきましたので、これからの議論をうまく進めていく上で、基本的な事項について議論を整理するという観点から確認的なこともお尋ねしたいと思っておりますので、あらかじめ申し上げておきたいと思っております。  まず最初でありますけれども、総論的になりますけれども、情報公開法は、目的にも書いてありますように、行政公開性それから説明責任、アカウンタビリティーというんでしょうか、の理念に基づいて、行政意思決定過程をできる限り国民の前に明らかにしようとするものであり、これは行政国民との間の信頼関係の増進に大いに資するものであると考えます。  そこで、総務庁長官にお尋ねいたしたいんですけれども、長官情報公開法立法化意義についてのお考えをお尋ねいたします。
  7. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 情報公開法国民に開かれた政府を実現するということなわけでありますけれども、基本的には、国民主権考え方にのっとって申し上げますと、国民主権者であって、主権者である国民行政権内閣に対して信託しておるわけでございますので、主権者に対して常に行政内容公開できるようにしておくということの原則がここで確立をするわけでございますから、大変意義のあることだろうと考えております。
  8. 岡利定

    岡利定君 おっしゃるとおり、本当に意義のあるものだと思います。  そこで、この情報公開法論議の場においていろいろ各国情報公開法についての話が出るわけですが、特に米国の情報公開法というんですか、情報自由法と翻訳するんですか、がよく引き合いに出されております。  そういうようなことから、世界各国情報公開法制定状況というのは今どうなっておるのか。特に、先進国状況について多少詳しくお話しいただけたらと思います。
  9. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 諸外国におきます情報公開法制定状況ということでございますが、ただいま御指摘のございましたアメリカにおきましては、一九六六年に情報自由法制定され、その後何回かの改正が行われ、一九九六年には行政情報への電子的アクセスを含めた大改正が行われたところでございます。  このほか、スウェーデンフィンランドデンマーク、ノルウェー、フランス、オランダ、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、オーストリア、ベルギー、そして韓国の合わせて十三カ国におきまして、いわゆる情報公開法制定をされていると承知をいたしております。  そして、これらの各国法律内容というのは、各国政治制度、例えば議院内閣制をとっているか大統領制をとっているか、連邦制かそうでないか、いろいろな政治制度、そういった制度のもとで必要な措置、対応を行っているものと承知をいたしております。
  10. 岡利定

    岡利定君 各国、今のところ十三カ国で制定されておるというお話でありますし、それぞれ各国政治制度のもとでのものだというお話であります。  日本の場合は、その十三カ国が先に走っておるという状況の中で言えば、やや立法化がおくれたということになるわけでありますけれども、逆に立法化がおくれた分だけ、いわゆる先発組のいい点といいましょうか、あるいは反省点というようなものも内容的に取り入れる、あるいは新しい事態、新しい事項をも取り入れるというような形で立法できるという、いわゆる後発組のメリットというのがあると思うわけであります。  開示請求ができる主体を国民限定するというんじゃなくて、「何人も」とした点だとか、あるいは電子情報についても開示請求対象にしている点というのがそのような例ではないかなと思ったりするわけでありますけれども、そういう観点から総務庁は、この情報公開法案について、諸外国比較して内容面でどのように評価されておるのかお聞かせいただきたいと思います。
  11. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) ただいま御指摘のように、この情報公開法立案に当たりましては、諸外国情報公開法制度、実態につきまして必要な調査等も実施し、できるだけ取り入れるものは取り入れていくという形で内容の充実したものとすべく立案に当たりましては努力をしてきたところでございます。  ただいまの各国比較論で申されましたように、開示請求権者につきましてはこの法律では「何人も」といたしておりますが、外国によりましては、例えばフィンランドのように国民限定しているといったような国まで、その範囲はさまざまでございます。  それから、対象文書につきましても、今回の法律におきましては、正式な行政機関としての意思決定済み文書、いわゆる公文書といったものに限定をいたしておりませんで、行政機関組織的に利用、保存している文書対象にするということとともに、当初から電子情報対象にする。そして、さらには法律施行前に作成をされ、情報公開請求の際に行政機関が保有している文書、そういったものにつきましても対象とするということで、対象文書につきましてもできるだけ広いものにするということといたしております。  それから、こういった点について、外国との比較ですと、例えば国によりましては審議検討情報を含むそういった正式な決定前の文書については、例えばスウェーデン等におきましては除外をしているとか、あるいはデンマークのように施行日前の文書については適用しないといったような立法例もございます。  それから、あと不開示情報、これが情報公開の一番大きな問題の一つでございますが、それぞれ各国でさまざまな規定ぶりがありますが、そこの中で不開示としている類型につきましてはほぼ共通したものがある。例えば個人情報、それから企業秘密等法人情報、それから外交、防衛、それから治安、警察、それから審議検討情報、それから事務事業に関する情報等につきましては共通をいたしているものがございます。  しかし、その中でも各国でさまざまな規定ぶりがあります。例えば、アメリカでは大統領命令に基づく秘密指定がなされたものにつきましては原則的に不開示ということとされておる規定がございますし、オーストラリアにおきましては、国の安全、国際関係に影響を与えるものにつきましては大臣認定制度というものが設けられまして、そこで認定書が提出された場合には不開示とすることが最終的に確定するといったような仕組みもとられております。  この法律立案に当たりましては、こういった不開示情報範囲につきましては、各国状況参考といたしまして、できる限り不開示範囲を明確に定めるということとしたところでございまして、内容的に他の国と比較しても遜色のないものであるというふうに考えております。
  12. 岡利定

    岡利定君 外国との比較、またもう一つの方の比較で、国内の地方との関係でよく比較されるわけでありますが、情報公開の分野では、日本では地方が先行してきたとよく言われておりますし、少なくとも都道府県レベルではそのとおりじゃないかなと思うわけであります。  そこで、都道府県よりおくれたとはいえ、今回の情報公開法がつくられるわけでありますが、この多くの地方自治体にあります条例よりも、何といいましょうか、より使い勝手をよくしておるというような点もあるのかなと思ったりもするわけでありますけれども、具体的にそういう点があるのか、あればどんな点を入れるのかという点についてお伺いしたいと思います。
  13. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 今回の法案立案に当たりましては、地方公共団体条例参考にいたしまして、できる限り内容の充実した法案にするように努めたところでございまして、特に地方公共団体の一般的な情報公開条例と違う点として気がついております点を若干申し上げますと、一つは、情報公開請求対象機関につきまして、今回の法案では行政機関すべてを、会計検査院、国家公安委員会も含めて対象といたしておりますが、地方公共団体都道府県条例におきまして公安委員会警察対象にしている条例はございません。  そして、対象文書につきましてでございますが、条例の多くは決済文書限定をいたしているもの、あるいは条例施行後に作成されたものに限定しているもの等がございますが、この法律案の中では必ずしも決済文書に限らない。先ほど申し上げましたように、その範囲を広げているとともに、法施行前の文書につきましても対象といたしているところでございます。  そして、さらに開示請求権者について申し上げますと、国の場合には外国人も含め何人もといたしておりますが、地方公共団体では、県民あるいは県と利害関係を有する者と一定の条件を付しているという例が多いというような点もございます。  いずれにいたしましても、条例につきましては、今回の法案立案に当たりましていろいろと参考にさせていただいたところでございます。
  14. 岡利定

    岡利定君 そういう経過の中でつくられ、そういう特徴を持っておるということでございますけれども、これまでの国会審議過程で、いわゆる知る権利というのがしばしば論議されてきております。先日も千葉委員大臣との間でもいろいろと論議がございましたが、この知る権利というものについてちょっとお伺いしたいと思います。  まず最初に、諸外国情報公開法において、この知る権利というのは取り扱いがどのようになっておるのか、法律に明記している例があるのか、その辺について、特に欧米先進諸国状況についてお話しいただきたいと思います。
  15. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 知る権利につきまして、欧米情報公開法制定している国々では、憲法上の権利としての知る権利ということについての議論というものは余り聞かないわけでございますが、実際に欧米諸国情報公開法の中に、政府情報開示請求権としての知る権利というものを明記している例はございません。一般的に欧米の諸外国理念は、オープンネス・アンド・アカウンタビリティーということで、公開性説明責任という考え方が前提になっている例が多いというふうに認識をいたしております。  しかし、近年策定されましたお隣の韓国におきましては、唯一の例として知る権利というものが明記されていると承知をいたしております。
  16. 岡利定

    岡利定君 知る権利につきましては、総務庁長官からは、これは憲法解釈の問題であり、その内容が確定していないので法律規定することは困難であるというような答弁がなされ、また野党の側からは、これを法律目的規定に明記すべしというような要求もされてきております。私自身は、学説が分かれておって、また判例でも具体的な請求権としての知る権利を認めたものがないという状況におきまして、知る権利というものを法律に持ち込むことには慎重であるべきだというふうに考えるわけであります。しかし、本院において今後の審議の中でもこの問題が議論一つの大きな柱になるというように予想されます。  そこで、このいわゆる知る権利についての政府考え方をもう少し詳しくお話しいただきたいと思います。
  17. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 知る権利につきまして、憲法上どういった権利であるか、そしてそういったものについての性格内容、それから憲法上の根拠等々につきましていろいろ考え方が今あるわけでございます。  特に、この知る権利についての性格といいますか、そういったものについての学説について申し上げますと、一つは、憲法上直接知る権利を行使できるという具体的権利説二つ目考え方としましては、憲法上は抽象的な権利にとどまり、権利具体的内容法律によって定められるとする抽象的権利説、そして三つ目は、憲法上はいわゆる知る自由までであって、積極的な権利としての開示請求権までは含まないとする説等がございます。そして、知る権利を認める学説におきましても、憲法上の根拠につきましては憲法前文国民主権とする説や憲法第二十一条の表現の自由とする説、基本的人権のすべてとする説等、さまざまなものがございます。  そして、判例につきましては、最高裁の判例として知る自由といったものに関連して知る権利という文言は使われたことはございますが、請求権的な意味で使われたというものはございません。  こういった状況を踏まえまして、政府としましては、憲法上の権利としての知る権利につきましてはさまざまな考え方があるということと、最高裁判所におきましても請求権的な意味での権利として認めている例はないといったようなことから、法律上知る権利という文言は用いないということといたしたものでございます。
  18. 岡利定

    岡利定君 いわゆる知る権利について、いろんな議論のあるところでございます。知るということと知られたくないという、逆の面もあるわけでありますが、最近起こった事件といいますか事例で最もそのことが大きくクローズアップされたのが、この間の臓器移植報道の問題じゃないかなと思っております。いわゆる情報公開プライバシー保護との問題というのが一つの大きなテーマとして皆に考えられておるわけでありますけれども、総務庁長官というお立場での見解は無理であるかもわかりませんが、個人としてのお考えでも結構でございますが、この件についてどのようなお考えをお持ちか、お話しいただけたらと思います。
  19. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 臓器移植をめぐる報道についてでありますけれども、これは提供者側の御家族の方々の御感想が報道されているとおりのものであるとすれば、余りにも過剰な報道がなされたのではないかということを心配いたしております。  一方で、脳死判定について透明性を確保しなければいけないという議論もあるようでございますが、その透明性の確保というのは客観的な第三者による立ち会いとかあるいは判定客観性ということであって、必ずしも脳死判定場面そのもの公開をされるということとは違う話だと思っております。  また、こういうことは関係者の間でもっともっと十分に検討されるべきことではないかと考えております。
  20. 岡利定

    岡利定君 ありがとうございました。私も長官と同じような考えを持っております。  今後、情報公開法施行されるとなりますと、このような情報公開プライバシー保護との関係をめぐる問題というのが一層大きくなる可能性があると思います。  そこで、総務庁にお尋ねしますが、本法案では規定上、個人プライバシー保護に対して具体的にどのような配慮がなされておるのか、また、今後の法律運用面においてプライバシー保護に対してどのような基本的な姿勢で臨むのか、またどういうお心構えをお持ちなのか、御説明いただきたいと思います。
  21. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 個人個人として識別可能な情報については公開しないということを原則にして、しかし公開したからといって支障がないということがはっきりしたものについては例外的に開示をする、そういう原則で臨むことといたしております。
  22. 岡利定

    岡利定君 知るということと、逆に大変大事な側面でもありますので、いろいろと慎重な議論の上でお取り扱いいただきたいと思います。  大変事務的な話になるわけですけれども、先ほどから本法案一つ特徴として、開示請求に関して「何人も」という言葉を使ったということでありますが、実際にそうなってきたときに、外国語による開示請求というのもあり得るんじゃないかと思いますが、その対応は事務的にも大変難しい面も出てくるのかなと思います。  そこで、このような外国語による開示請求に対してどのように対応するつもりか、お尋ねします。
  23. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) この法案では、御指摘のように外国人からの請求も可能としているところでございます。  そして、申請書等外国語を用いることを認めるかどうかといった問題につきましては、この法案要綱案検討されました行政改革委員会におきましても議論をされたところでございます。そして、この行政改革委員会の答申におきましては、開示請求する書面は日本語で記載することとすべきであるというふうにされているところでございます。政府といたしましても、申請書等に用いる言語は日本語とすべきであるというふうに考えております。
  24. 岡利定

    岡利定君 では、申請書そのもの日本語でやるということでございますね。  それから、行政文書でありますけれども、開示請求対象になる行政文書につきまして、行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているものという定義規定を置いて、いわゆる組織共用文書対象にすることとされております。  しかし、この点は大変抽象的でわかりにくいし、衆議院でもいろいろとこれについてのお尋ねがあったようでありますけれども、この文書がこれに当たるのかどうかといういわゆる線引きについて、どうもまだはっきりしないような感じがいたします。どのような文書組織的共用文書に該当し、あるいは該当しないのかという線引きについて、わかりやすく御説明いただきたいと思います。
  25. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 行政文書定義につきましては、御指摘のように情報公開法案の第二条第二項に規定いたしておりまして、その定義では、組織的に用いるものとして、行政機関が保有しているものとしているところでございますが、これは開示請求を受けました時点で、当該行政機関組織において業務上必要なものとして利用、保存されている状態のもの、いわば組織共用文書のすべてを対象とするという趣旨でございまして、極めて広範なものといたしております。こういったものに含まれないものは、例えば個人的な検討段階のメモといったようなものを除くというようなことでございます。  したがいまして、決裁等の形式的な手続の対象となっているか否かということを問わず、また形態につきましても紙の文書に限らず電子情報等も含み、そしてまた、情報公開法施行前に作成、取得した文書につきましても開示請求対象とするということで、行政文書範囲というものは広いものといたしているところでございます。  いずれにいたしましても、開示請求を受けました時点で、その文書業務上必要なものとして利用、保存されている状態のものかどうか、そういったことで個別に判断していくということといたしております。
  26. 岡利定

    岡利定君 個別判断となると、かなり恣意的な面も出てくるおそれがありますので、しかもそれは総務庁だけでやるのでしたら余り問題がないかもわかりませんが、各行政機関がそれぞれの判断ということになってきますと、ばらつきが出てくる可能性もありますので、この点についても十分運用面配意をいただきたいと思います。  もう一つの新しい点で、電子情報開示請求ということもあるわけでありますが、いわゆる電子情報、すなわち電磁的記録についても開示請求対象に含めた点は評価したいわけでありますけれども、電磁的記録について、開示の実施の方法などの点でいろいろ難しい点、例えば部分開示というようなのはどうやってやるのかなというように考えたりするんですけれども、なかなか難しい点も多いと思われます。  法案では第十四条で、「電磁的記録についてはその種別、情報化の進展状況等を勘案して政令で定める方法により行う。」とされておりますけれども、具体的にはどのような開示方法を考えておられるのか、その検討状況をお聞かせいただきたいと思います。
  27. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 電子情報開示方法につきましては、御指摘のように、その種別、情報化の進展状況等を勘案して政令で定めるというふうにこの法律ではいたしておりますが、開示請求者の便宜等を勘案しまして、紙に出力したものの閲覧、交付だけでなく、フロッピーに複写したものの交付など、電子的な方法による開示につきましても検討していく必要があるというふうに考えておりまして、ただいまその具体的な方法につきまして、行政機関におきます情報化の進展状況、施設設備の整備状況、それから一般社会におきます情報機器の普及状況等の実態を踏まえまして、今その内容の詰めを行っているという状況でございます。
  28. 岡利定

    岡利定君 技術的な点もありますので非常に難しい点もあると思いますけれども、これまた各行政機関での準備等もありますからできるだけ早く何か決めてやる必要があるのではないかと思いますので、御努力をいただきたいと思います。  次に、独立行政法人の関係でちょっとお伺いしたいと思います。  二〇〇一年からの省庁再編に伴いまして、新たに独立行政法人というのが誕生するわけでありますが、この独立行政法人制度自体が現時点ではまだ存在しないというようなことでありますから、当然本法案対象にはなっておらないわけでございます。  特殊法人については、衆議院修正法案公布後二年をめどに情報公開について法制上の措置を講ずることになったわけでありますが、独立行政法人についても何らかの措置をしないわけにはいかないと思うわけであります。  小里前総務庁長官も、独立行政法人についてもその公開を図ることは不可欠と答弁されておりますけれども、独立行政法人の情報公開について、どのように手当てされていくのか、お教えいただきたいと思います。
  29. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 独立行政法人の制度についての設計といいますか、どういうものにするかということはだんだんと煮詰まってきておりますけれども、まだ最終的な結論に至っておりません。検討中であります。  しかしながら、自民、社民、さきがけ三党でこの情報公開法案の提出に当たって合意をされました事項というのは、独立行政法人が予定されておって、それとの関係を整理しながら特殊法人についての情報公開に関する法案を二年以内に出すというふうなことになっておりますので、当然そのときに今の行政機関に関する情報公開と特殊法人についての情報公開、そして、どこに位置するのかというのは、私はむしろ公共性という意味では特殊法人と従来の行政機関との中間に位置するのが独立行政法人だと思っておりますけれども、それは当然整理をしなければいけないことであって、特殊法人についての法案が出るときには、当然この独立法人についての情報公開法案も同時に出されなければいけないというふうに考えております。
  30. 岡利定

    岡利定君 それでは、独立行政法人の通則法が四月ごろに出るというように伺っておりますけれども、大体その時期に合わせてこの手当てなどをお考えだということですか。
  31. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) そうではなくて、通則法は四月に提案する予定で、今国会中にぜひ成立をお願いしたいわけでございますが、その四月段階ではまだ存在しないわけでございますから、生まれてから情報公開法との関係をどうするかということをその後に議論することになろうかと思いますので、特殊法人に関する情報公開法を整備する段階で独立行政法人も一緒にやることになるだろう。つまり、二年以内の話だということだと思います。
  32. 岡利定

    岡利定君 わかりました。ありがとうございました。  それから、今度は開示請求に対する各行政機関での対応関係でお伺いしたいのですが、情報公開の円滑な実施のために、国民に対する情報公開制度自体についての情報提供というのが不可欠でありますが、そのために第三十八条第二項では、総務庁が「開示請求に関する総合的な案内所を整備する」ということになっております。  ただ、現実には多くの開示請求者が一々案内所に行くことなく、直接情報を保有していると思われる行政機関に行って開示請求を行うということが考えられるわけでありますが、この点からも、各行政機関における開示請求者に対する案内を行うシステムといいますか、端的に言うと請求者をたらい回しにしないようなシステムというのが必要ではないかなと思っておりますけれども、この点についてのお考えをお伺いします。
  33. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 御指摘のとおり、この情報公開制度におきましては国民の信頼確保というのが極めて重要な視点の一つでありまして、今御指摘のありましたたらい回しといったような批判を浴びることのないように留意をしてまいりたいというふうに考えています。  そして、国民にとっては請求対象機関がどこであるかといったことも一般にはわかりにくいという場合も考えられますので、この法案ではただいま御指摘の三十八条におきまして、「開示請求をしようとする者に対する情報の提供等」としまして、それぞれの「行政機関の長は、開示請求をしようとする者が容易かつ的確に開示請求をすることができるよう、当該行政機関が保有する行政文書の特定に資する情報の提供その他開示請求をしようとする者の利便を考慮した適切な措置を講ずるものとする。」、そしてその二項で、「総務庁長官は、この法律の円滑な運用を確保するため、開示請求に関する総合的な案内所を整備するものとする。」というふうに規定をいたしているところでございます。そして、実際に開示請求するに当たって一々役所まで出向かなくても、郵送でも開示請求できるといったようなこととなっている次第でございます。
  34. 岡利定

    岡利定君 この辺は実際に本当にこの情報公開法が働くかどうかにもかかわる点でありますので、十分御配意いただきたいと思います。  また、運用面でありますけれども、情報公開のためには窓口の整備というのも必要でありますけれども、それ以上に、目録をつくったり開示請求に係る文書を探すとかコピーをとるとかなどでいろいろと手間、人手がかかるということが予想されるわけでありますが、各行政機関における体制づくりについて、総務庁としてはどのようにお考えでしょうか。  また、情報開示の手間を省くためには開示請求される前に情報がどんどん公表されればよいわけでありますので、そういうことも含めてでしょうけれども、法案第四十条でも「行政機関の保有する情報の提供に関する施策の充実」というのが定められておりますが、この情報提供の推進についてどのようにお考えか、あわせてお伺いいたします。
  35. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 情報公開の実施体制の問題につきましては、制度の的確な運用を図るという観点から必要な整備を図っていくべきものと考えておりますが、他方、政府は現在厳しい行政改革の推進を図っているところでありまして、制度実施の実情等も踏まえまして適切に対応すべきものと考えております。  そして、今の法律案第四十条の情報提供の問題でございますが、政府説明責任を果たすといった観点から、国民からの請求を待って開示する開示請求権制度のみならず、御指摘のように、むしろ国民一般に知らせる必要のある情報国民の関心の高い情報につきましては政府から積極的に情報提供することが極めて重要な課題であるというふうに考えております。マスコミを通じます報道に対する協力のみならず、社会におきます情報化の進展に沿いまして、各省庁、インターネット等による行政情報の電子的提供といったことについても強力に推進をしてまいりたいというふうに考えております。
  36. 岡利定

    岡利定君 この運用面、これまた大変大事な問題でありますので、よろしくお願い申し上げます。  衆議院で御修正いただきましたので、その点について一点でありますけれども発議者の方にお伺いをさせていただきます。  手数料に関しまして、衆議院修正で、「できる限り利用しやすい額とするよう配慮しなければならない。」と定められ、これを受けた衆議院の附帯決議では、「実費の範囲内」とされておりまして、また先日の修正部分の趣旨説明におきまして、「開示請求に係る手数料は五百円以下とする」と、具体的な金額まで述べられております。そこで、この五百円の根拠というのは何なのか、念のためにお伺いいたしたいと思っております。  また、複写手数料については、コピーの実費代程度、磁気記録のフロッピーへのコピーや閲覧手数料につきましても、五百円の意を体して、これをできるだけ低廉な価格にしなけりゃならないんじゃないかと思うわけでありますが、そのように理解しておいていいのか、お話を承りたいと思います。
  37. 植竹繁雄

    衆議院議員(植竹繁雄君) 衆議院議員の植竹繁雄でございます。  ただいまの御質問にお答えする前に一言申し上げさせていただきます。  今回の情報公開法についての衆議院における修正は、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、また日本共産党及び社会民主党・市民連合の各会派共同提案によるものでございまして、この六会派の全会一致により修正いたしたものであります。特に、そういう点につきまして御報告申し上げ、また、六会派の代表といたしましてお答え申し上げたいと思います。  今、岡議員の開示請求に係る手数料につきましては、諸外国の例、例えばオーストラリアにおきましては約二千五百円、あるいはカナダにおきましては四百五十円といったことでまちまちでございますが、この点につきまして与野党間の協議を踏まえまして、国民の皆様ができるだけ利用しやすい金額ということで五百円以下ということを申し上げたところでございます。  また、複写手数料や閲覧手数料につきましても、手数料についての本則修正内閣委員会などでの附帯決議を踏まえまして、これまた国民の皆様が利用しやすい適切な額になるような額に決定いたしていくことが肝要かと思われます。
  38. 岡利定

    岡利定君 ありがとうございました。
  39. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) ちょっと質問者お待ちください。
  40. 植竹繁雄

    衆議院議員(植竹繁雄君) 失礼いたしました。  今、六会派の提示におきましては、自自連合の自由党が抜けておりましたので訂正させていただきます。申しわけございませんでした。
  41. 岡利定

    岡利定君 これによりますと、今おっしゃった全会派の共同提案だというように承っております。  最後でございますけれども、手数料の関係であります。  総務庁長官にお考えをお伺いいたしたいんですが、衆議院の附帯決議におきまして、手数料はできるだけ利用しやすい金額にすることということの絡みの中で、なお書きでありますけれども、「開示の実施に係る手数料の額を定めるに当たっては、実質的に開示請求に係る手数料に相当する額が控除されたものとなるようにすること。」という附帯決議が衆議院内閣委員会で行われております。これについての総務庁長官のお考えをお聞かせいただきたいと思います。  また、手数料につきましては国民の関心も高く、衆議院でも該当条文の修正が行われるなどしてきたところでございますが、政令で定められる手数料のあり方について長官のお考えをお尋ねして質問を終わりたいと思います。
  42. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 開示請求手数料やあるいは実施に係る手数料に関する考え方でございますけれども、これは開示請求をされるのも国民であり、また行政機関の中でかかる費用を負担するのも結局は納税者であり、納税者はまた国民であります。その両方の国民の間の負担のバランス、公平というものを考えて決められるべきであろうと考えております。  そういうことで、これを踏まえた上で衆議院における附帯決議の利用しやすい金額ということを十分に考慮して政令で定めるということにいたしております。今、修正案の提案者の方から御説明がありましたようなことで私どもも取り組んでまいりたいと思っております。
  43. 岡利定

    岡利定君 ありがとうございました。  終わります。
  44. 海老原義彦

    海老原義彦君 自由民主党の海老原義彦です。  本日は、情報公開法について、初めに衆議院修正案提出者の先生方に申し上げたいと思います。  この修正案、先ほど植竹先生からのお話にもありましたように、衆議院内閣委員会における全会派一致の修正である。ここに至るまでの先生方の御苦労に本当に私は敬意を表します。本当に大変だったと思います。これは、私もNPO法案堂本先生と一緒に随分苦労した経験がございますけれども、各会派それぞれ持ち帰っていろいろと協議して、譲れないところを譲るという本当に身を削る思いをして固めた修正案であるということで、その重みをひしひしと感じておるわけでございます。  また、衆議院におきましては、二十二時間三十分にわたる長い審議をなさいまして、さらには恐らく、記録にはございませんけれども、理事会、理事懇等においてもっと長い協議をなさったんだろうと思います。それだけの御苦労をなさったその成果というものを参議院としても重く受けとめなければならない、こう考えておる次第でございます。本当にいい修正案を賜りまして、ありがとうございます。  さて、ついでにもう一つ修正案提出者の先生方に伺いたいのでございますが、二十二時間余にわたる審議の間において、情報公開審査会というものについては全然質疑が出なかったというように拝見しております。  これは、私は役所の方の対応に問題があるのかなと最初思いまして、総務庁長官に伺おうかと思ったんですけれども、ところが先般の当委員会における総務庁長官趣旨説明を伺っておりますと、法律案の要点として二本立てで御説明なさって、一つ法律案の具体的な開示請求に対する動きのシステムでございます。もう一つは、不服申し立ての際の審査会の話でございます。これだけ役所の方としては重点を置いておるんだなということがよくわかりましたので、これがどうして委員会の審議において表へ出てこなかったのか、どうも不思議でございますので、どなたでも結構でございますから、個人的な感触でも、なぜかということをちょっと一言忌憚のない話を伺えればと思います。
  45. 植竹繁雄

    衆議院議員(植竹繁雄君) 今、海老原議員御質問の点につきまして、実はこの審査会の問題につきましては、政府提案のほか野党三会派提出の行政情報公開に関する法律案及び共産党提出の情報公開法案においても、いわゆる第三者的立場から不服申し立てについて調査、審議する機関が設けられておりました。  しかし、各党ではそれぞれ党の御事情がございまして、この審査会についての質疑が少なかったということは、逆にこれは閣法でございまして、内閣提案の審査会に関する規定について、これは特に妥当と申しますか異論がなかったということから御質問がなかった、そういうふうに了解いたしておるところでございます。
  46. 海老原義彦

    海老原義彦君 審査会について政府の案、大変結構である、そうお認めになったということでございますね。
  47. 植竹繁雄

    衆議院議員(植竹繁雄君) 私ども六会派ともそういうふうに了解いたしております。
  48. 海老原義彦

    海老原義彦君 私も全く同じでございまして、この審査会についての政府の提案は非常に当を得たものだというか、非常に重要なものである。これは恐らく非常に先進的な新しい法制ではないかなという感じすらしておるわけでございます。  情報公開審査会というものの内容をこれからだんだん質問の中で明確に伺ってまいるつもりでございますけれども、私としては、これは非常に重要なことをお決めいただく、これからまた我々がさらにそれを決めていくというものであって、このことは今回の法案一つの目玉であろう、こういうふうに考えておるわけでございます。  さて、そこで総務庁長官に伺いますが、情報公開審査会というものは総理府に設置されるということになっております。中央省庁改革ということが二〇〇一年に迫っておるわけでございますが、現在進められております改編の中で総理府は主体は内閣府に行くということでございますが、この情報公開審査会についても内閣府に行く、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  49. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 率直に申し上げますと、今そこは最終結論は出ておりません。今検討中でございます。
  50. 海老原義彦

    海老原義彦君 これはぜひ内閣府に置いて、それで、内閣総理大臣の権限強化ということも御検討過程にあると思うわけでございますが、そういった非常に権限が強化された内閣総理大臣のもとに置くべきであろう、そう考えるわけでございます。  さらに申しますれば、これは単に諮問、答申という形の業務を行うのではなくて、裁定を行えるような、内閣総理大臣の権限を移して裁定を行えるような第三者機関があるといいなと思っておるわけでございます。省庁再編のときにそういう方向まで持っていけないかなということを私としては強く希望しているわけでございますが、大臣、いかがでございましょうか。
  51. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 裁決ということになりますと、この情報公開審査会が何か司法的な権限を持って内閣総理大臣に対して強制をできるようなことになるわけでございます。ですから、仮に内閣総理大臣のもとに置かれるということになりますと、それは情報公開審査会に諮って、そこで公開すべきであるということであれば、内閣総理大臣判断で、内閣の首長としての判断でもってそれは行えることでございますので、政治家の責任で、内閣の責任でもって行政機関の方がノーと言ってもこれは公開すべきだという結論を出すか出さないかということだと思います。  そして、そういう審決、裁決機関ということになりますといわば準司法的な手続になるわけでございますので大変慎重な審査がなされるわけでありまして、かえって時間がかかることになるのではないか。むしろ、内閣総理大臣のもとでの判断でもって迅速な判断公開が行われるようになる方がより請求者に対しては親切なのではないかというふうに思っております。
  52. 海老原義彦

    海老原義彦君 大臣、その点につきまして私は、こういった審査機関というものはやはり的確な判断を迅速に下すことが必要であるという意味から大臣の御主張はよくわかるわけでございます。ただ、的確な判断ということは、迅速性と同時に非常に的確な判断が重要なことでありまして、そうしますと、裁決機関だから特に慎重に審理するということではなくて、これは裁決機関であってもあるいは諮問、答申機関であっても十分慎重に審理することは同様に必要だと思うんです。  恐らく、この答申は公開もされることでございますから、各省庁としてはこれを尊重するのは当然のことだということに、法律上どうも尊重規定はないんですけれども、しかしそれは法律上書く必要もない、書くまでもないことだと私は思うんですが、尊重されるということで、各省庁の前の判断を覆すようなことが答申で行われる場合が非常に多くなると思いますけれども、それだけに慎重にやらなければならない。だから、裁定機関であってもなくても、これは慎重にやらなきゃならぬということを私は思うんですが、いかがでございましょうか。
  53. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) ちょっと言い過ぎるのかもしれませんけれども、国民に信任を与えられて、そのような決断に内閣総理大臣やあるいは例えばその主務大臣がだれかでありますれば主務大臣がかかわるということが、その決断というか決定については適切なものであるのかどうかということは、今度は国民の方からそこは審判を受けることになるわけでございますので、そこはいわゆる政治判断としてやれることだと思うのであります。  一方、裁決ということになりますと、当然それは準司法的なことをやるわけでありますから、瞬時の政治判断ということにはならないのではないかと思うのであります。  ですから、民主主義の社会でのチェックということも十分に我々は考えて、迅速なおかつ慎重な正しい、迅速で公正で正確な判断をするということが求められることになるのではないかと思っております。
  54. 海老原義彦

    海老原義彦君 大臣の御趣旨はよくわかりました。大臣の責任において、いわば政治家が責任を持って事を処理していく体制が重要であるという全体の流れの中で、この際、準司法機関的なものを設けるのは適切でないという趣旨と理解いたしました。  さて、この審査会は九人の委員で構成される。この九人の方々は、どういう分野から人選することを考えておられますか。
  55. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 情報公開審査会の委員は、すぐれた識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命するということにいたしております。すなわち、今、先生がおっしゃったような内閣総理大臣内閣全体の責任者として責任を持って判断ができるような体制を整えるということにいたしておりますので、どういうふうに人選を行うかは総理が慎重にお考えになると思います。
  56. 海老原義彦

    海老原義彦君 どのような人選にするかということは今の時点で特段に方向が固まっているものではない、これからだということかと思いますけれども、ただこれはいわば各省庁の決定を覆す非常に重要なことをするわけでございますから、おのずからしかるべき人をつけなければならない。  ただいま識見が高いという法律文言を引いてのお話がございましたけれども、こういった機関で人格高潔というものも法律に書いてある場合もある。例えば、人事院なんかはそうです。人事院の人事官。あるいは会計検査院は私はよく覚えておりませんが。ともかくこの情報公開審査会の委員も、後からだんだん伺いますけれども、秘密保持に関しての非常に重要な責務を負わされたりいたしますから、人格高潔ということは当然その御選考の中に含めるということが必要でございます。  それから、法律的知識が極めて高いということも必要かと思います。また、その知識が一方に偏らないためには、在野の法曹界、それから官における法曹界、すなわち司法官、それからさらには学界、学者の先生方、そういった方々にお願いするというのが妥当なのかなと思うわけでございますけれども、その辺は大臣いかがでございましょうか。
  57. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 全く総理のお決めになることでございますから、私が余計なことを申し上げるあれではございませんけれども、今の海老原委員のおっしゃったことは機会があれば総理にもお伝えをいたしたいと存じます。
  58. 海老原義彦

    海老原義彦君 次に、幾ら立派な委員を集めても九人では実は何もできないのでありまして、それを補佐する体制としての事務局が非常に重要になると思うわけでございます。補佐する体制として、現在何人ぐらいの事務局を考えているのか、またそのメンバーはどういう人を選ぶのか、ここら辺も伺いたいと思います。
  59. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 今のところ、参考資料の収集やあるいは関係者との連絡調整その他審査会の運営にかかわる体制あるいは庶務を行うということは、相当の体制でなければいけないということは考えておりますけれども、それ以上、何人でどういう専門家でという、どういう人がその補佐体制をつくるかということまではまだ考えを固めておりません。
  60. 海老原義彦

    海老原義彦君 これは、こういう行政改革で公務員を減らそうというときではありますけれども、これだけの重要な課題を抱える審査会の事務局というのは人数も相当なければならない。  例えば、後でまた御質問いたしますけれども、出張審理に行くといったような場合に、委員だけではまことに手薄になってしまうということはあるわけでございまして、委員を的確に補佐できる人たちが必要ではないか。そのためには、補佐陣にも事務局にも法律の専門家として若手のすぐれた人を入れるというようなことも必要ではないか。いろいろな委員会で、例えば公害等調整委員会などでも司法官に弁当持ちで来てもらっておるというようなことがあるわけでございますが、そういうことも構想の中に入れていただければと思う次第でございます。
  61. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) よく承って、今の海老原委員の御指摘を踏まえて対処いたしたいと思います。
  62. 海老原義彦

    海老原義彦君 それでは、具体的な審査会の特徴に順次入っていきたいと思います。  審査会の調査、審議において、いわゆるインカメラ審理と呼ばれる手続がとられる。これは法文で言えば何条になるんでしょうか、法文に書いてございますけれども、そこら辺の手続がどういうものであるか、ここら辺の御説明を瀧上局長にお願いいたします。
  63. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) ただいまの御指摘の審査会の調査権限につきましては、法案の二十七条に規定をいたしておりますが、「審査会は、必要があると認めるときは、諮問庁に対し、開示決定等に係る行政文書の提示を求めることができる。この場合においては、何人も、審査会に対し、その提示された行政文書開示を求めることができない。」という規定がございます。  それで、このインカメラというのは、アメリカ等で採用されていますが、非公開で裁判官が実際に請求された記録を直接見分して行う審査といいますか、こういったようなものをインカメラというふうに言っております。  そして、この法律案規定しています調査権限として、情報公開審査会の委員が不服申し立てに係る行政文書を不服申立人等に見せることなく直接見分するというのをインカメラ審理と言っております。  そして、この手続は不開示事由に該当する情報が当該行政文書に現実に記載されているかどうか、不開示等の判断が適法、妥当か、あるいは部分開示範囲が適切かといったことにつきまして、審査会の委員が迅速かつ的確な判断を可能とするために有効な手段であるというふうに考えております。  こういった制度を採用しました背景としまして、日本の訴訟手続におきましては、憲法第八十二条の裁判の公開原則との関係から、非公開審理手続についてさまざまな考え方がございます。そして、相手方当事者に吟味、弾劾の機会を与えない証拠により裁判をする手続を認めるといったことは行政訴訟制度の基本にかかわるといったこともありまして、裁判官は係争の文書を直接見分できないということとされていまして、こういったこととの関係におきましても、この審査会によるインカメラ審理といったものは重要なものであるというふうに認識をいたしております。
  64. 海老原義彦

    海老原義彦君 公文書公開を求めて、所轄庁が不開示としたという場合に、それを救済する手段として裁判に訴える。そうすると、今お話しのように、裁判所では本物はこんな内容のこういう文書だからとめくって見せて、だからこれは公開するわけにはいかないんです、そういう説明を聞くというわけにはいかない。これは裁判官だけがめくって見るのでは不公平であって、原告、被告両方に見せて、それでこういうことだからできないんだということを両方が了解するというふうにしていかなきゃならない。これをやったら不開示理由との自己矛盾なんです。  これは公開しちゃまずいんだというのを裁判所で広げてみんなに見せてしまう、みんなに見せてこれを公開しちゃまずいことをわかってもらう。それだったら何だろうということで、それを救うのが不服審査会におけるインカメラ審理でございますね。そういうふうに理解してよろしいんでしょうね。
  65. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 御指摘のとおりであると考えております。
  66. 海老原義彦

    海老原義彦君 そうしますと、私はこの審査会の重要性というのはまさにここにあるんだろうと思うんです。裁判でもできないことをやるんだ。裁判は、これは本当に歯にきぬ着せられたような、靴の上からかゆいところをかくようなことしかできない。これが、審査会においては非公開原則のもとで、ですから当事者はまだ納得しないかもしれませんけれども、しかししかるべき識見の高い委員が見て、それでこれはなるほど公開できないなということを判断する、もう一段の判断が働くということでありまして、これは非常に有効な制度である、また迅速的確にやっていくために非常によく機能するであろうと思うわけでございます。  さて、そういった大事なインカメラシステムでありますけれども、もしもこれが漏えいしたら大変なことになるぞというような、国の安全に重大な損害を与えるおそれがある情報、これはどうなんでしょうか、私はまだよくわからない。審査会の委員といえども見せるべきではないという議論一つあると思います。しかし、審査会の委員は守秘義務で絶対外に漏らさないという前提でやっておるのであって、審査会の委員だけは見せるべきだということも考えられます。大臣、この辺はどのようにお考えでございましょうか。
  67. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 事柄は、まさに先ほど海老原委員がおっしゃいましたように、そのものを知らなければ判断ができない、実際見てみないと開示にふさわしいかどうかということは判断できない。しかし、みんなが見てしまったらばもう不開示としていることとは矛盾してしまうわけでございますから、非常に難しい判断だと思います。  ですから、一方的にこれはもう最初から審査会にも見せないんだということになったらば、どんどんその範囲が広がってきて情報公開意味をなさなくなりますので、そこで内閣総理大臣国民から信託を受けているという責任において人選をして、まさに信頼できる高い見識を持った人に信頼してゆだねるということをやるわけでございます。総理と任命された審査委員の間の信頼関係こそがこの制度を支えていくし、また国の安全なども支えていくということになろうかと思うのでございます。
  68. 海老原義彦

    海老原義彦君 まことに大臣のおっしゃるとおりだと思います。  万一、秘密が漏えいするというようなことがありましたら、守秘義務がまた何条かに書いてありますけれども、特に重い守秘義務を課すということが必要かと思いますが、いかがでございましょうか。
  69. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) もちろんそこは守秘義務を課し、その義務が守られなかったときには何らかのペナルティーがあるということになるわけでございますけれども、それよりも何よりも、そんなに大切な国の安全にかかわるような情報を、もしその機密が漏えいされたということになった責任は、これは内閣総理大臣の政治責任ということになって返ってくるわけでありますし、国の安全にかかわるものであれば直ちにそれによって国民の安全もまた脅かされるわけでございますから、漏れてしまったら何にもならない。そこで罰しようが何をしようがどうにもならないわけでございますから、まずは信頼できる人を厳格に人選するということに尽きると思います。
  70. 海老原義彦

    海老原義彦君 大臣の御説明、大変よくわかりました。おっしゃるとおりでございまして、いわば大臣が信頼して、あらゆる秘密を打ち明けるから審査してくれ。その信頼にこたえないで、もしも漏れるようなことがあって、それが国の安全にかかわるような重大な問題であったとすれば、少し大げさに言えば内閣の命運にもかかわる問題である、そういう判断で人選をしてくださるというお話だろうと思うんです。それはもう安心して内閣総理大臣にお任せするしかない、私もそう思うわけでございます。  さて、この審査会制度では、いわゆるボーン・インデックスという耳なれない用語を聞きましたけれども、これもまたなかなか技術的に大事な制度だろうと思うので、また瀧上局長からひとつボーン・インデックスの御説明をお願いしたいと思います。
  71. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 御指摘のボーン・インデックスと申しますのは、アメリカの訴訟におきましてボーン対ローゼン事件訴訟というのが一九七三年にコロンビア特別区巡回控訴裁判所でございましたが、そこの判例で確立されたものでございまして、不開示情報該当性の立証のため行政機関作成し、裁判所に提出する説明文書というものでございます。このボーンというのは訴訟の原告の名前であるというふうに承知をいたしております。  そして、この情報公開法案規定をいたしておりますいわゆるボーン・インデックスというものにつきましては、不開示文書と不開示の理由とを一定の方式で分類整理した書類というふうに認識をいたしております。情報公開審査会の審議に際しまして、特に文書量あるいは情報量が多く、複数の不開示情報規定が複雑に関係するような事案にありましては、このボーン・インデックスを諮問庁に作成させ、諮問に係る処分意見の説明を聞くということが事案の概要と争点を明確にし、不開示とすることの適否を迅速かつ適正に判断する上で極めて有効かつ適切な制度であるというふうに考えております。
  72. 海老原義彦

    海老原義彦君 役所の方でいろいろと要求に応じて整理して、複雑多岐にわたることをわかりやすく整理して持ってきてくれるということで、これも審理の迅速化に非常に寄与するものだと思うんです。そういったいろいろな審理方法のいいところがある。  さらにもう一つ、これも瀧上局長にお答えいただくことになると思いますけれども、地方に在住する人が不服申立人になったというような場合、審査会は出張審理をやるんだという話も伺いました。そこら辺についてどのような措置を講ずるのか、ひとつお答えいただきたいと思います。
  73. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 地方に在住する不服申立人の方の便宜のためには、審査会は事件の審議に当たる委員のうち一部の者に意見の陳述を聞かせ、または必要な調査をさせることができるという旨を三十条で規定いたしているところでございます。この規定によりまして、一部の委員地方に赴くなど、地方におきます案件の実情に即した適切な対応が可能となるというふうに考えております。
  74. 海老原義彦

    海老原義彦君 担当委員が現地へ出向いて、現地において例えば不服申立人の口述とかそういった手続を行うということで、いわば審理の出前でございますね。こういう審理の出前までするという、本当に手を尽くして国民のために考えられているいい制度だと私は思うわけでございます。  そこで、修正案の提出者の先生方に伺いたいのでございますが、こんなに立派なすぐれた機能を果たす不服審査会というものがありながら、それは裁判も確かに国民権利でございます。裁判に訴えたい方はなさればいいんですけれども、私は、例えば管轄の修正がございまして八つの地方裁判所でできるようになった、そういうこと自体が国民権利のためにそれほど役に立つんじゃないんだ、裁判自体が、裁判所全体が本件については余り役に立たない、だから数をふやしたって余り役に立たないんだ、どうもそんな気がするんですが、その辺はいかがでございましょうか。
  75. 植竹繁雄

    衆議院議員(植竹繁雄君) 今御質問のことでございますが、これは裁判が役に立つ立たないことと、また審査会が迅速に、調査権限を強大にインカメラでもって与えられているわけでございますから、その機能を生かしましてできるだけ訴訟費用とか時間とかそれを簡略にするという規定を設けまして、一方では八つの裁判所に設けるということは、やはり国民のために、早く結果を知るという意味におきまして、そういう意味から審査会の効用というものを十二分に生かしたわけでございます。  また裁判所も、公平さといいますけれども、いろいろこれは同じような、例えば類似案件とかあるいは同一案件とか、そういうものが一方に出ますとかえってこれは審査が非常に不便になるという点から、裁判所の場合と審査会の審理というのは分けてやっているわけでございます。
  76. 佐々木秀典

    衆議院議員佐々木秀典君) 衆議院議員の民主党の佐々木ですけれども、ちょっと今の植竹議員の御答弁に補足をさせていただきたいと思います。  この裁判の管轄の問題などについては、大変に議論がありまして苦労をしたところでもございました。今、海老原委員お話しのように、確かにこの審査会の役割は非常に大きいし、ここが十全に機能してくれることを私どもとしても期待しております。開示請求をした、それについて開示されなかった、その不服を申し立て、審査会においてその是非を審査する。ここで、非開示としたことが不当なんだ、開示しなさいということになれば、その後の訴訟ということはまず起こらないわけです。それは私どもとしても期待はするんですけれども、しかしどうなっていくかということはこれはまだ極めてわからないわけです。  御案内のように、地方では自治体ごとに公開条例が随分できております。しかし、これについてもやはりそういう不服審査の機関、それなりに条例でいろいろ設けておるようですけれども、その決定に不服だということで、地方では結構この情報公開を求める裁判というのは起きているんですね。  いずれにいたしましても、裁判所、司法的な判断というのは、私は民主的な社会においては最終的な判断の機関として機能するものだと思っているわけです。ですから、行政情報開示請求権と表裏一体をなすものだ、制度あるいは権利の裏づけとして表裏一体をなすものとしてあるんだと私は考えています。  アメリカなどにおいても、これは州によって多少違うところもありますけれども、原則としては請求者の住んでいる地方の裁判所に訴えることができることになっているんですね。私たちは、政府の原案では行政庁の最終処分庁の所在地、つまり東京地方裁判所一カ所になっていたわけですけれども、これではまずい、できることなら全国の地方裁判所でと言ったんですけれども、これはなかなか多過ぎるんじゃないかということもあり、そして、その中で妥協として八つの高等裁判所所在地ということにしたわけです。これには、後にまた御議論があるかと思いますけれども、支部の問題も実はあるのですけれども、ぎりぎりのところの調整で八つの高等裁判所所在地に決めた。  できるだけこういう、言ってみれば制度あるいは権利に対する担保としての措置として、やはり裁判所の機能ということも私たちは考え、そのためにもまた国民の皆さんの権利ができるだけ実行できるようなものにしたいという思いで、裁判の問題は重要だと考えております。  ただ、先生御指摘のように、審査会が十分に機能していただきますと、裁判所に訴えるというその訴訟件数はそんなに多くないかもしれないということになるのではないか。そういう意味では審査会に期待するところが大きい、こう考えております。
  77. 海老原義彦

    海老原義彦君 ただいま先生御指摘のとおり、国民権利として裁判というものはやはりこの情報公開に関しても必要なことであろうということは私もよく理解できます。せっかく衆議院各党一致で八つまでふやしたということは、これは尊重しなきゃならぬなと思うわけでございます。私自身の考え方を抑えて、基本的に尊重しなきゃならぬものだろうと思っております。  ただ、費用のお話もございましたけれども、費用の点から申しますれば、審査会の費用というのはほとんど国負担でございます。ところが裁判は、原告、被告、双方の負担であって、負けた方の負担になっていく。さらに弁護士費用というもの、これも大変な額でございます。そういったことを考えますと、費用という意味からはどうも不服審査会の方に軍配が上がるんじゃないかなという気がいたします。  それから、裁判に移行する件数の問題でございますけれども、私ども当総務委員会といたしまして、先般、大阪に参りまして、大阪府から、大阪府における不服審査会というか行政情報公開状況を聴取したわけでございます。その中に不服審査会の問題も入っておりました。  大阪の状況を申し上げますと、大阪では公文書公開、五十九年十月から始まったようでございまして、統計が五十九年十月からできております。五十九年十月から平成十年三月まで十三年間で異議申し立て件数七十件、そのうち六十九件は処理いたしまして、一件残っておる、こういう状況でございます。  それに対しまして、公文書公開訴訟の状況、同じく五十九年十月から平成十年三月までとりまして、提起件数十三件で、そのうち確定判決の数が七つでございます。この七つと七十件という、大体裁判は一割だな、こういう感じがするわけでございます。  また、この裁判で逆転したものがどれぐらいあるか。逆転というか、認容あるいは一部認容も含めて大体七割認容されておる。異議申し立ての場合はやはり七割ちょっと超えますね、七四・二%となっております、大した差ではないけれども。いずれにせよ、認容率から見ましてもまた似たようなものでありますし、件数的にはやはり裁判に頼るよりも不服審査会に頼る方がどうしても圧倒的に多くなるということが言えると思うわけでございます。  私はたまたま大阪の事例しか持ち合わせておりませんけれども、もし役所の方で全国的なものをお持ちでございましたらひとつ御答弁いただきたいと思います。
  78. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 地方公共団体におきます公文書公開請求に対する異議申し立ての事案でございますが、都道府県分のみ当庁で把握しております数字によりますと、条例制定後の総件数は平成十年七月時点で九百九十四件となっておりまして、そのすべてが都道府県に設置された不服審査会に付議をされております。  このうち、この審査会の答申におきまして申立人、つまり開示請求者の主張を認容した件数は八十七件、また一部認容した件数は四百八十四件となっております。これらの答申、つまり審査会の答申を都道府県知事は尊重し、ほとんどこれに従っているというふうに言われております。  それからまた、地方公共団体における公文書公開に関する訴訟の件数につきましては、平成十一年三月時点で当庁が把握しているところでは事案数で百三十三件、延べ数では二百七件となっております。このうち、原告、開示請求者の主張を認容した判決の件数は四十八件、一部認容した件数は六十四件というふうに承知をいたしております。
  79. 海老原義彦

    海老原義彦君 この全国的な数字、私も今初めて伺いましたが、ざっと聞いておりますと、やはり大阪のような先進的な府県においては不服審査会が非常に信用されておるのだなという感じもいたします。全国的に見ると案外裁判の事例が出てくるということかもしれませんね。  私は、これ国でやるからには、内閣総理大臣が本当に信頼できる立派な人を選ぶのでありますから、これは信頼できる不服審査会になる、大阪以上に信頼できるものに当然ならなきゃおかしいわけでございます。ですから、これはもっと不服審査会というものを信頼して国民の皆さんが利用するということが大事だろうなと思うわけでございます。  さらに申しますれば、不服審査会で審査して決定決定というか答申に至るといったものは非常に重いものでございまして、内閣総理大臣が選んだ識見ある人、内閣総理大臣の信頼する人が決めたのだという意味で非常に重いものでございまして、政府としては当然それを尊重する、これは義務規定はございませんけれどもそうなりますし、万一裁判でこれが覆ったということになれば政府としては最後まで争うということになって、これは高裁、最高裁まで行く問題になるだろう、当然そうなるだろうと私は思っております。  そういう意味からいっても、また裁判の独立性ということがございますから、ひっくり返ることはあり得ると思いますけれども、それで最高裁まで争うということになるとこれは国民の皆さんに非常な御負担をおかけする。申請人の方には大変な御負担になるということもありまして、私はせっかくこれだけ機能している、とりわけこのインカメラ、ボーン・インデックスというようなアメリカにおける先進的なやり方に学んでつくられたこのシステムというのは、こういった行政不服申し立ての審査というのは実は日本は独特に発達しておるはずだと思うのですが、それにさらにアメリカの訴訟制度のいいところを取り入れたということでありまして、非常にいい制度になっておると思うので、国民の皆様方の一層の活用をお願いしなきゃならぬだろうなと思うわけでございます。  さて、少しいろいろな他の問題に移りたいと思いますけれども、情報公開法対象は、当然行政庁がつくる法律でございますので、三権分立の建前から行政内部だけになっておる。行政内部でも会計検査院は内閣から独立しているということでこれは別の法律、会計検査院法の中でやっていくということかなと思うわけでございます。  さて、三権の他の二権、司法、立法については、これは後刻他の委員からの御発言もあると思いますので、私は簡単にいたしたいと思いますが、せっかく行政庁お見えでございますから、これは大臣よりもむしろ事務的な問題としてお伺いする方がいいかと思うのですけれども、司法、立法もこういう時代に情報公開をやらなきゃならぬなという気持ちはあるだろうと思うのです。それで、行政のサイドではこんなふうに進捗しておりますよという、そういった情報を司法、立法に対して提供するということもひとつ重要かと思います。  それから、いま一つは、国民に対してこれはあくまでも行政だけなのであって、司法、立法は当分この法律には含まれていないのだよということもPRする必要があると思います。ここら辺について、例えば裁判所に対して開示請求が出ても裁判所としては何も制度がないから対応せぬよというのは当たり前の話でございますけれども、それは当たり前なんだというPRもあるいは必要なのかなという気もいたします。それから、裁判所だってそれは一生懸命情報公開の方向で検討しておるのだ、だから国としては、行政の方ではここら辺まで進みましたよというような情報を提供するということも必要だと思うのです。そこら辺については事務的にどんなふうな措置をとっておられますか。
  80. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 国会及び裁判所の情報公開制度につきましては、やはりそれぞれの機関、国会及び裁判所御自身において御検討いただくべき問題であるというふうに考えております。  この行政機関対象とした情報公開法制定をされました後、国会等から御要請があればこの法律趣旨内容、運用に関する資料等必要な情報の提供等には努めてまいりたいというふうに考えております。
  81. 海老原義彦

    海老原義彦君 三権分立を考えると、今のところはさわらぬようにしておる、簡単に言えばそういうことかと思うのですが、大臣、それでよろしいのでございましょうか。
  82. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 私の国務大臣としてか、あるいは衆議院議員としての判断または感想として申し上げるべきことだと思います、事務方とは別に。  私は、やはり司法においてもあるいは立法においても同様の制度が確立をされることが望ましいと考えております。
  83. 千葉景子

    千葉景子君 先般はこの委員会で趣旨説明のなされる前でございましたので、一般的な質疑ということで全般的な議論を多少させていただきました。その際にもお聞きをさせていただきましたが、きょうはまず文書管理について多少細かくお尋ねをしたいというふうに思います。  この情報公開制度が十分に機能するためには文書管理、文書がきちっと存在をしているということが必要不可欠な条件でもございますし、いわば情報公開制度文書管理は表裏一体のものであると言っても過言ではないと思います。  そこで、まず現在の文書管理の現状についてお尋ねをしておきたいというふうに思います。  私も、文書管理についてどうなっておるのかというので多少調べさせていただきました。なかなか公表されている文書管理規程のようなものというのは意外と少ないものでございまして、とりあえずというか、一応手に入れさせていただきましたところには総務庁のものとか、それから建設省、自治省、農林水産省などの文書管理規程がございます。今、文書管理規程をきちっと持っている省庁あるいは持っていない省庁、実情はどのようになってございましょうか。
  84. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 各省庁の文書管理規程につきましてでございますが、すべての省庁におきまして訓令の形式で規定をされております。文書管理規程のない省庁はないというふうに考えております。
  85. 千葉景子

    千葉景子君 なかなかどのような内容なのかというのは私たちも十分にわかりにくいんですけれども、全部の省庁で訓令という形で文書管理規程を持っているということと受けとめさせていただきます。  その内容ですが、私の手元のその四つを大枠ざっと拝見をした限りでも必ずしも統一されているものではなく、かなりいろいろなバラエティーに富んでいると言ってはおかしいですけれども、そういう状況でございます。その具体的な内容などについてはどのように把握をされ、そしておおよそどんな内容でまとめられているというふうに御承知されていますでしょうか。
  86. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 各省庁の文書管理規程の主な内容でございますが、この文書管理規程の対象となります文書範囲、それから文書管理責任者の配置、それから決裁簿等の管理帳簿の整備、そして決裁、供覧等の手続、それから保存期間、区分の設定、こういったようなものが主な内容となっております。
  87. 千葉景子

    千葉景子君 私も見ましたら、中には決裁印の大きさとかあるいはどういうものかという図面までついているようなものもあれば、文書の保存期間などでもかなり幅広い、それぞれの省庁による規程になっているように思います。  今回の法案では、行政文書の管理というのが第三十六条に規定をされております。そういう意味では、やはり情報公開制度のもとでは文書管理というのが大変重要であるということをある意味ではきちっと明らかにしているものというふうに思われます。ただ、これから文書管理を考えますと、現在それぞれ訓令で文書管理が行われているというそれだけで本当に十分なのかどうかということを考えますと、私はいささかこれだけでは十分とは思えない。  例えば、これまでの文書管理、訓令においてどういう趣旨でこの文書管理がなされているかということで目的規程を見てみますと、ほぼ、この文書管理というのはその省庁の内部での統一的な基準を定めることによって事務の適正かつ能率的な遂行とか事務の効率というような側面を基本にして文書管理がなされているということになります。  やはり、これから情報公開制度が確立をされ、そして情報国民がこぞって手にすることができるものだという原則に立って考えますと、文書管理というものも、事務の効率化などを否定するわけではありませんけれども、やはり情報開示をする、それをもって国民に十分に理解をしてもらう、こういう目的というものがこれから明らかにされ、それに沿った文書管理というものがなされる必要があるというふうに思いますけれども、その点についてはどうお考えでしょうか。
  88. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 今回のこの法案が可決、成立をした段階においては、文書管理に関する考え方は変わってくるものと思います。したがって、これが公開されるということを前提にして文書管理が行われるということになりますと、目的に書くかどうかは別として、その内容は変わってくるものと思っております。
  89. 千葉景子

    千葉景子君 今、この法律が成立すれば文書管理もこの法律目的に沿って変わってくるものだと。だとすれば、やはりこの際、この文書管理について明確に、どの省庁でも統一できるような、そして開示を求める側も、いざというときにどういう文書があり、どう保存されているのかということがきちっとわかるような形で統一した文書管理システムというようなものが求められてくるのではないかというふうに思います。今のままですと、この役所に行くときにはこういうやり方になっている、これでは文書を求めるというときに大変不都合が起こるのではないでしょうか。そういう意味では、統一したシステムを法的にきちっと担保しておくことが必要なのではないか。  この法律でも、三十六条によると、これが一つ根拠規定にはなろうかというふうに思いますけれども、その内容についてほぼ政令に包括的な委任がされているという状況でもございます。  やはり、法律の面できちっと裏づけをしておくということが必要ではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  90. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) この政府の案では、三十六条において文書管理に関する基本的な骨格というものを定めているわけでございますが、政令で、政令はつまり内閣全体としてこういう事項について盛り込みなさいということを統一的に決めて、そしてそれを今度は各省段階でそれに基づいてこういうふうにして文書管理をしますという行政文書の管理に関する定め、ルールをそこでつくるわけですね。恐らくこれは訓令になるんだと思いますが、訓令は大臣の命令でございますから、大臣がその省内に対してそういう命令を確定するということでございます。  そして、それを公開して、公開されれば国民は並べてそれを見ることができるわけでございますから、その過程で当然世論の批判も受けたりするわけでございますから、試行錯誤的に統一的なものに向かっていくだろうというふうに考えているわけでございます。
  91. 千葉景子

    千葉景子君 今のお話ですと、法律で具体的に内容を担保することがなくとも、政令という中で内閣が一体となってその内容について統一した基準をつくり、そしてそれに従って各省庁が規定をつくっていくということのようでございます。  その際に、やはりここには具体的には記載がなされておりませんので、政令を内閣で取りまとめられる際には、少なくとも文書作成、保管、保存についてそれが義務であること、義務規定を明確にすること。それから、系統的にどこの省庁でもそろうような分類のシステム、それを義務化すること。あるいは、管理状況国民にもわかりやすく、例えば定期的に報告をする。そして、第三者的といいますか、情報の管理について監視できるような機関なり制度、こういうものを盛り込む。こういうことなどを最低限政令できちっと取り決めた上で文書管理を進めていく必要があるかと思いますが、これらの幾つかの課題について、それを盛り込んだ政令をおつくりいただくということを確約はいただけますね。
  92. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) ただいまの情報公開法の三十六条の規定に基づきます各省庁の文書管理の定めの共通的な事項を定めます政令、この中に盛り込みます具体的な内容としまして今の段階で考えていることを申し上げますと、この法律では、政令では行政文書の分類、作成、保存及び廃棄に関する基準その他行政文書の管理に関する必要な事項について定めるということになっております。行政文書の分類につきましては、行政文書を体系的に管理し迅速に検索できるようにするため系統的かつ具体的な文書分類を設定すべきこと、それから行政文書作成、保存に関する責務の明確化、それから行政文書の種類、性質等に応じた基本的な保存期間基準の設定、それから行政文書の廃棄手続、廃棄の記録の明確化、それから管理及びチェックのための体制の整備と明確化、それから行政文書の所在を的確に把握、管理するための台帳等の整備等々を考えておりまして、こういった課題につきまして政府部内で現在実態等を踏まえつついろいろな検討を進めているところでございます。
  93. 千葉景子

    千葉景子君 おおよそこの法律施行まで二年ということになっております。私はそれが大変長いというふうに思います。だとすれば、情報の管理についてのシステムというのはもう早急に取りかからなければいけないということになりますが、これについて現状、進捗状況、あるいは今後どのぐらいの期間で政令を定め、そして各省庁がそれに基づく規則を設けることになるのか、その見通し、予定をお聞かせください。
  94. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 情報公開法案が成立をいたしましたら、この法律規定に基づきましてできるだけ速やかに行政文書の管理に関する体制づくりということに努めてまいりたいと考えておりますが、今具体的にいつということはちょっとまだ申し上げられる段階にはございません。今、各省庁の協力を得まして実態等についていろいろと調査をしているといった段階でございます。
  95. 千葉景子

    千葉景子君 少なくともこれまでもいろいろと行政文書については問題がございました。役所の焼却場から煙が立ったり、そういうようなことがあるような事態もあったわけですから、やはりこれをできるだけ速やかに、スピーディーに確立をしていただく。二年先だからそれまでに間に合えばいいなどということではなく、きちっと対処をいただきたいと思います。  そして、その制度が確立をするまでの間も、滑り込みで早く文書を処分してしまおうなどということがなきよう、その点については最大限の注意を払っていただきたいと思いますが、長官、いかがでしょうか。
  96. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 今でも行政機関の中で組織的につくられた文書については、それを勝手に廃棄したりすれば行政処分の対象、懲戒処分の対象になりますし、また場合によっては刑事的な責任も問われることになるのでありますから、この間からあった出来事は今のルールでもあってはいけないことでございまして、私どもはそこはくれぐれも注意をしてまいりたいと存じます。
  97. 千葉景子

    千葉景子君 それでは、次の質問に入らせていただきたいというふうに思います。  この法案については衆議院の方でもかなり突っ込んだ議論が行われてきたと伺っておりますが、ただ、整備法の方についてはまだまだ残された問題もあるのではないかというふうに思います。  そこで何点かお聞きをしておきますが、整備法の第七条では、刑事訴訟法に五十三条の二を追加して、刑事訴訟法についてはこの情報公開法を適用除外とするということになりました。そうなりますと、刑事訴訟にかかわってはこの情報公開法、本法案は適用されないということになり、刑訴のさまざまな規定でしか情報公開あるいは文書公開などは手続として運用できないということになりますが、この除外をした理由というのはどういうことでしょうか。総務庁の方にお伺いいたします。
  98. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 今回、整備法で情報公開法を刑事訴訟記録に適用しないこととした理由でございますが、情報公開法の適用関係につきましては、関係法律制度との調整ということで、個別の制度でその開示、不開示の要件及び手続について完結的な制度が確立をしているというものは適用除外としているところでございます。  そして、ただいま御指摘の刑事訴訟記録、訴訟に関する書類につきましては、その性質上多数の事件関係者や訴訟関係者の名誉、深刻なプライバシーにかかわる事項を含み、個人情報等の情報公開法の不開示情報に該当するものが大部分でありまして、こういったものにつきましては刑事司法手続の一環として被疑事件、被告事件に関して作成された書類であって、その適正の確保は司法機関である裁判所によって判断をされるべきものであるということと、そして刑事訴訟法は裁判の公正の確保、訴訟関係人の権利保護等の観点から、訴訟に関する書類を公判の開廷前に公開することを原則禁止する一方、事件の終結後におきましては、一定の場合を除いて、何人にも訴訟記録の閲覧を認めていることでございます。そしてまた、閲覧を拒否された場合の不服申し立てにつきましては、準抗告の手続によるということとされております。  こういったことから、何人に対しても理由のいかんを問わず開示する請求権を認めるという情報公開法を適用せず、個別の制度開示、不開示の要件、手続が定まっている完結的な制度として除外をいたしたものでございます。
  99. 千葉景子

    千葉景子君 別にきちっと完結した制度があるから適用除外だということでございますが、本当に情報公開といいますか、そういう制度として、それでは刑訴法が完結したきちっとした制度と言えるのかどうか。その点について私はいささか疑問に感ずるところもありますので、法務省も来ていただいておりますので、何点かお聞きをいたします。  刑訴法では、今お話がございましたように、確かに五十三条一項で終結後は原則公開という規定になっております。しかしながら、刑事確定訴訟記録法、これは確定記録についての法律ですが、この四条二項では逆に確定記録については原則禁止、公開が禁止という内容になっているところでもございます。その結果、例えば不起訴記録のようなものは、知る権利といいますか、その記録が全く保障されないという結果が起こってまいります。  先ほど完結した制度だという話なんですけれども、原則公開をされ、そして先ほど言ったように、司法の手続上の問題あるいは個人プライバシーの問題などによって一部あるいは例外的に公開が禁止されるというシステムであれば、情報公開制度を適用せずとも、それが一つの完結した制度になっておるということが言えようかと思いますが、刑事記録に関してはある意味では全く逆転現象が起こっているわけでもございます。  こういう情報公開制度が確立をしようとしている、そしてその調整によって完結した情報公開といいますか、それぞれ知る権利を保障するという制度として刑事記録については存在しているから適用しないんだと、総務庁の方では適用しなかった。  法務省としては、逆に刑事記録については原則あるいは最大限公開できるような制度考える必要があるのではないか。現状の法制度で問題はないとお考えですか。
  100. 松尾邦弘

    政府委員(松尾邦弘君) 先生御指摘のとおり、刑事事件の確定記録等につきましては、民事訴訟法の場合に比べましても確かに開示の制限事由がかなり規定されているわけでございます。  刑事訴訟法あるいは刑事確定訴訟記録法がこれを規定しているわけでございますけれども、民事関係その他の類似点としては、関係者の生活の平穏を著しく害することを閲覧の制限事由という点は刑事においても同じでございますが、そのほかに、刑事につきましては、検察庁の事務に支障があるとき、あるいは二番目には公の秩序または善良の風俗を害することとなるおそれがあるとき、さらには犯人の改善及び更生を著しく妨げることになるおそれがあるときというふうなことで閲覧の制限事由を設けております。  こうした事由を設けている背景でございますけれども、何点かあろうかと思います。  一つには、刑事事件におきましては、時には強制的な手段を用いまして、多数の事件関係者あるいは訴訟関係人の重大な名誉あるいは深刻なプライバシーにかかわるような証拠あるいは情報が収集されております。さらに、捜査中または公判中の関連事件あるいは将来の刑事事件の捜査等に支障があるような場合も想定されるわけでございます。また、刑事政策的には、犯罪の模倣の防止といいますか再発の防止というような観点も必要とされております。このようなことが背景となりまして、刑事事件の関係ではかなり閲覧の制限事由がふえる、あるいは多くなってくるということでございます。  現在の情報公開の整備拡充というようなことを考えましても、こうした刑事事件の記録については、そうした要請とも調和を図るという意味では公開を不当に制限している状況にはないと我々は考えております。
  101. 千葉景子

    千葉景子君 しかし、例えば先ほども申し上げましたように、刑訴法を適用するということで考えますと、不起訴の記録などは公開をされておりません。公開を求める手だてはないわけですね。  最近もいろいろなところで問題になったことがございますけれども、例えば不起訴となった交通事故事犯などがございます。そうすると、被害者が自分で一体事故が本当に相手方に責任があったのかどうか、そういうことが全くわからない。そこで、例えば現場の実況見分調書などを閲覧することによって、自分が被害を受けた事故について納得できる解決策というのでしょうか、それを見出すことができるということになろうかと思いますが、現在では被害者が実況見分調書すら請求できない。ある意味ではその問題についての当事者と言っても過言ではないわけですけれども、そういう事態になっているわけです。  こういう不都合についてはいろいろ問題にもなっているところですけれども、少なくとも刑事訴訟法あるいは確定訴訟記録法などによって、全部とは申しません、情報公開制度の中でもプライバシーなどの侵害については十分に配慮することになっているわけですから、そういう例外は別として、やはり確定記録あるいは起訴前の記録、そういうものを公開し得るような法整備、法改正をするべきではないかと思いますが、いかがですか。
  102. 松尾邦弘

    政府委員(松尾邦弘君) 裁判になりまして確定しました記録については、先ほど申し述べたところでございます。  また、先生御指摘の不起訴記録でございますが、確かにその中には、事故直後の事故現場の状況を再現したといいますか、実況見分調書という非常に重要な証拠資料が含まれていることは間違いございません。現在、そうしたものをどうするかということについていろんな論議がございます。  我々としても、できる限りこれを利用できる、あるいは必要性が認められる場合には利用できる方向で考えたいと思いますが、現在のところは裁判所の文書送付嘱託というのがございますが、民事事件になりまして、実況見分調書を送付されたいというような嘱託がある場合には、不起訴記録中に編綴されているものにつきましても応じております。そのほかには弁護士法二十三条の二の照会があった場合、あるいは交通事故紛争処理センターからの依頼があった場合等、公的な担保がある程度あるような場合については、実況見分調書の開示に応じているということで、できる限り採用しているという現状でございます。
  103. 千葉景子

    千葉景子君 今お話がありましたように、確かに嘱託などでできる限り対応しているという状況があることは私も承知をいたしております。しかし、それとて完全なる情報開示あるいは情報を得る手続ではございませんので、やっぱり私はこの点について今後御検討をいただく必要があると改めて指摘だけはさせていただきたいと思います。  特に、今回も民事訴訟記録の方は一切除外されていないということになります。先ほど刑事訴訟記録についての特殊性のようなお話もございました。しかし、民事訴訟記録でも同じような問題はあるわけですね。それぞれの私生活やあるいはプライバシーにかかわるというようなことも当然あるわけでございまして、そういうことを考えると、民事訴訟記録については適用の除外はされていない、しかし刑事訴訟記録については適用除外になり、しかもその公開を求める手続については非常に限定されているという状況でもございます。この点については改めて今後私も議論をまたさせていただきたいと思いますけれども、ぜひ改善に向けて取り組みをしていただきたいというふうに思っております。  それでは、ちょっと問題が前回に多少戻りますけれども、何かはっきりしないままに知る権利の問題も終わらせていただきました。一、二点だけ改めて、大変恐縮ですけれども、整理をさせていただく気持ちも含めて質問させていただきたいというふうに思っております。  前回も話をさせていただきましたが、今情報公開条例を持っている都道府県は、四十七都道府県すべて情報公開条例を持っているところでもございます。その中で、最近とみに顕著なことは、その条例の中に、長官はしばらく前までは知らなかったとおっしゃいましたけれども、知る権利、これを明記しているものが大変ふえてまいりました。平成九年の末時点では大阪、京都、沖縄、ここで知る権利を明記した条例がございましたし、平成十年以降でも愛媛、北海道、秋田、岩手、高知と、やはり知る権利を明記するという方向になりました。そして、現在平成十一年三月時点ですが、それぞれちょうど議会も開催をされ、その中に宮城県、埼玉県、東京都など、議会を通じて条例改正、そして知る権利を明記するという方向性で議論が進められているところもございます。  今後、よりこのような流れが強くなっていくのではないかというふうに思いますけれども、長官どうでしょう、それぞれ自治体で条例をつくる、そしてまた、そこにどういうものを盛り込むかということはそれぞれの御判断だというようなお話も前回なさっておられましたが、それぞれ自治体が、今多くの市民、国民から求められている知る権利、やはり社会の最も主体は市民、国民であるというそれを踏まえながら、こういう条例制定しているということについてどう受けとめておられるか。そして、少なくともこういうことについて尊重し、そしてまた謙虚に考えていかれるというお気持ちはございますか。
  104. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) この知る権利という言葉は一体いつごろから使われるようになったのかということでございます。  私は、この間も申しましたようにそう詳しくないのでございますけれども、一九五〇年ごろに日本の新聞協会の一つの運動の標語として知る権利という言葉が初めて使われたというふうにもお聞きをいたしております。それはまた、当時のGHQと言っていいのかわかりませんけれども、占領下にあった状態でございましたから、そのような運動をすべしということで働きかけもあったのではないかと想像をいたしております。  アメリカにおいては、同様に新聞協会においてそのような言葉が使われたと、ライト・ツー・ノウと言うんですかね、そういう言葉を使われたというふうにもお聞きをいたしております。すなわち、新聞週間のときの一つの運動の標語として使われたのが初めてだというふうにお聞きをいたしているわけでございます。違っていたら後でまた御訂正をいただきたいと思います。  そうすると、そういう一つの運動の標語として使われたものが、直ちに法律に盛り込まれるべきかどうかということの判断は、すぐれて立法に携わる者の判断で決められるべきことと思うのであります。憲法との関係も再三、委員の方からお話がございますけれども、仮に知る権利という言葉が憲法に明記されていたとしても、それを法律の中に取り入れるかどうかという判断はまた違っておりまして、今も私、随分いろんな中央省庁の改革に関係して法律を見直そうと、憲法と対照しながら見るということもやっておりますけれども、憲法の言葉がそのまま法律に使われているということは必ずしも一般的ではないわけでございます。  また、憲法の解釈上、知る権利ということが、今のおっしゃられるようなところで憲法の解釈をしていくと、日本語の解釈として自然に知る権利という言葉に結びつくようなものであるのかどうかということについても、また考え方が私は必ずしもそういうふうに直ちには結びつかないというふうに思うわけでございます。  したがいまして、地方自治体において、これは要するに地方と国はお互いに独立で対等であるというふうな考え方でずっときておりますので、我々も地方の自治体の条例について意見を言えないのと同時に、地方自治体がどうだからこちら側がどうすべきだということも、またお互い独立しておるわけでございますから、ないのではないかというふうに考えているところでございます。
  105. 千葉景子

    千葉景子君 もう時間がなくなりますので、最後にさせていただきます。  今情報公開制度をつくる、本当は私はやはり立法機関のある意味では責任であろうというふうに思います。行政に対して大変緊張感を持った法律ということになるわけですから、そういう意味では立法機関として明確にこの法律がどういう趣旨を持ち、どういう目的を持った立法であるかということを明確にしておく責任というものもあるのではないかというふうに思います。  長官のさまざまなお考えや御答弁などをお聞きいたしておりますと、この法律国民主権、そして国の説明義務、こういうものを明らかにし、そしてそれを具体化しているんだというお話でもございました。私は、そうなりますと、まさにそれこそが知る権利というものに裏づけられた制度であると言って全くおかしくないというふうに思います。  そういう意味では、これから国民にとって利用しやすい、そして本当に国民立場に立った国民主権、そしてその実現を図る制度としてこの情報公開制度を私たちがスタートさせるのであるとすれば、やはり立法機関としても、これは裁判所がどうだとかあるいは自治体がどうだということではなくて、国の意思として国民の知る権利を明確にここではっきりさせますよ、それを具体的に保障する立法をしますよということを自信を持って明記しておくべきではないか。それが今後のさまざまな運用やあるいはこの適用に当たっても大変大きな基盤になっていくものというふうに思います。  そういう意味で、再度この点について大臣としてのお考え、そして立法機関としてもしそういう意思を持っているとすればそういうものを尊重されるお考えはあるかどうかお聞きして、終わりにしたいと思います。
  106. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) この情報公開法がこのようにして日の目を見るというか、生まれるに至った経緯というものの中で、従来から知る権利という言葉でもって象徴されるようなお気持ちでずっと先生を初め多くの方々が運動しておられたことは大いに敬意を表さなければならないと思います。  しかし、日の目を見るに至ったのは、必ずしも長くそういう御認識で続けておられた方々ばかりではなくて、この時代の流れの中で、時代の変化によっていよいよそういう国民主権というのはそこまで含むんだ、行政情報開示まで含むんだというふうに発想の転換をされた方が随分おられて、特に自由民主党の場合はそういうところがあるわけでございますが、自民党の中で随分考え方がこの十年間で変わってきたわけでございます。その結果としてその情報公開法が出てきた、生まれるということに至ったわけでありますから、国民の中にもあるいは国民の代表の中にもさまざまな考え方があってそこで合意された今日の内容であるということでございますから、その言葉になじまないという方々も賛成者の中に随分おられるわけであるということ、私はぜひそこは、何といいますか、考え方の違う者がお互いに考え方が違うということを認め合って、その上で折り合っていくというのが真の民主主義であろうかと思うわけでございます。  ただし、この間からおっしゃっている知る権利ということが意味することは我々も大切だと思っておりますので、ぜひこの法律でもってそのような考え方行政機関の中で広く浸透していくように努力をしてまいりたいと思います。
  107. 千葉景子

    千葉景子君 終わります。
  108. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) 午後一時十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時二十四分休憩      ─────・─────    午後一時十一分開会
  109. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) ただいまから総務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、行政機関の保有する情報公開に関する法律案及び行政機関の保有する情報公開に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案を一括して議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  110. 江田五月

    ○江田五月君 太田長官最初にちょっと突拍子もない質問をしますので、余りびっくりせずに、怒らないで答えてほしいんですが、あなたはこの情報公開法は嫌ですか、嫌じゃないですか。
  111. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 議員として答えよということかあるいは国務大臣として答えよということか、その辺だろうと思っております。  私、ついこの間まで衆議院の法務委員会の情報開示の司法判断に関する小委員会の委員長を務めさせていただいておりました。これは、民事訴訟法の改正に際しまして、三年前だったと思いますけれども、衆議院の法務委員会で、民事訴訟法改正案の中で裁判官のインカメラ手続などについて今日の考え方を反映していない部分があったので差し戻しをして、その間に行政府も検討するけれども立法府も検討するということで取り組んでおりましたぐらいでございますから、この情報公開法については私自身も思い入れがございます。
  112. 江田五月

    ○江田五月君 思い入れを持たれて精力的にこの成立に努力をされているということだと思うんです。なぜそういう質問をするかというと、一般には、やはり行政側というのはよらしむべし知らしむべからずが好きなんだ、余り情報公開なんというのはやられたくないんだという、そういうことが言われているわけですね。太田長官個人として、あるいは一政治家として今のようなお気持ちはわかりますが、総務庁長官としては今の嫌ですかということについてはどういう答えになりますか。
  113. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 私は、このよらしむべし知らしむべからずという土壌が我が国に長くあったということは承知をしております。それは私もそう思いますけれども、役所、行政機関自身が時代の変化というものを受け入れて、なるべく国民主権考え方にのっとって開示していこうというその変化は随分あるんだというふうに肌に感じております。  今の時点で、きょうこの時点でどうかといえば、それはみずから情報公開をした方がよいというふうに行政機関の各位も思っていると考えております。
  114. 江田五月

    ○江田五月君 私は、やはり本来ならこの行政情報公開法というのは、役所に提出をしてもらうものではなくて、国会が議員立法でちょっと荒い言葉で言えば行政に押しつける、そういう性質のものであっただろうと思うんです。  ただ、いろんな事情でそういうことができず、ちょっとそのスタートのところでボタンのかけ違えというのがあった。しかし、ある種のきれいごと、建前にはなりますが、今、長官がおっしゃるとおり、今こういう時代になっているので昔流の秘密主義ではもう行政自体もその質の高さを保っていくことはできない。国民の不断の監視のもとで行政透明性を高め、国民とともに、国民のために行政をやっていくことによって、そういう姿勢をとることによって行政自身が質のいい行政になっていくんだ、行政の方もむしろこの情報公開を歓迎しなきゃならぬ時代になっているんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  115. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) そういう意味ではまさにおっしゃるとおりだと思います。  また、これは余計なことでありますけれども、総務庁という役所は本来そういう意味国民の視点を踏まえながら各行政機関のあり方について考えるところでございますから、特にそういう意味では進んだ考え方を持っていると私は感じております。
  116. 江田五月

    ○江田五月君 積極的なお答えをいただいて大変うれしいんですが、しかし、それはきれいごとといいますか建前なんですよね。建前が世の中大切なんで、それはもう建前だからどうでもいいんだとなったら世の中むちゃくちゃになるわけですから、建前というのを大切にしていかなきゃならぬ。しかし、やっぱり建前のところがあって、行政担当者は自分のミスは人に知られたくないし、何事もなしに任務を終えて昇進していきたいものではあるしということはある。ですから、そこはやはり情報公開ということで市民と行政との緊張関係が生まれる、これが大切なんだろうと思うんです。  そこで、知る権利についていろんな議論がありましたが、私は、知る権利自体が憲法上どういう位置づけをされるべきか、それも一つ大切な議論ですが、今のような市民と行政との緊張関係というようなことで見ると、やはり知る権利というこの一つのうったてがあって、そして行政情報というのはもう原則公開なんだと、こういう葵の御紋があることの方が情報公開の実態がよりいいものになっていく、より透明性の高いものになっていく。  ですから、知る権利を掲げるということは、そういう実際的な配慮からするとやはり大切なことだと思いますが、いかがですか。
  117. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 何度かお答えをいたしておりますけれども、知る権利という言葉を使う使わないにかかわらず、行政情報原則公開という考え方を徹底すればよろしいんではないかと思います。何回も同じことを言ってあれですけれども。
  118. 江田五月

    ○江田五月君 いや、それでいいです。徹底すればよろしいんじゃないかと思いますというお答えですが、徹底されますね。
  119. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) そのつもりでおります。
  120. 江田五月

    ○江田五月君 先般、私は本会議の質疑のときに申しました。情報公開法は、政府や与党の側ではなくて野党の側から数えてみたら十二本、議員立法としてこれまで提出されました。私もその一番最初の段階からかかわってきた一人ですが、しかしその都度厚い壁に阻まれてほとんど審議もなく廃案になってきた。  考えてみると、そのうちの一つでももっと早く成立をしておればいろんな事態が起きずに済んだのではないか。その間、例えば、今名前は変わりましたが、当時の動力炉・核燃料開発事業団、ありましたね、あるいは防衛庁だ、大蔵省だ、日銀にまでというような不祥事もございました。また、一番悲劇的な事例は恐らく薬害エイズのことでしょうが、そういうものを見るにつけ、時間がかかったな、遅きに失したのではないか、そういう思いがしますが、長官の感想はいかがですか。
  121. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) それらの今おっしゃったさまざまな不祥事は、それはこのことだけで説明できるものでもないと思います。それはそれとして、もともとの問題があったと思うのでございまして、直ちに情報公開法案がなかったから起きたというふうにはにわかには思えないわけでございます。  ただ、これまで江田委員を初め皆様方が努力をされて、情報公開法案をたびたび提案されて努力してこられたことについては敬意を表する次第でございます。
  122. 江田五月

    ○江田五月君 なかったから起きたというと、それはそこの因果関係は非常に難しい。しかし、あれば多少そのあたりの雰囲気が変わっていたんじゃないかなという思いは共有されませんか。
  123. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) それは、あるいはあるかもしれません。しかしそれだけではなくて、もっとあると思います。国民主権ということと、それから行政主権者から信託されているということの考え方をもっと行政の末端まで徹底しなくちゃいかぬ。これだけではないと思います。ほかにもたくさんまだ問題があると思います。
  124. 江田五月

    ○江田五月君 こんなことで押し問答をしてもしようがないので。  長官は、しばしばそこで国民主権というお話をされます。もちろん、国民主権というのが一つ非常に大事なことである、情報公開を基礎づける原理の一つであるということはそのとおりだと思います。しかし、この情報公開法は、単に国民主権だけではない、それは何人もと。何人にも情報公開請求権を認めているので、これはもちろん何人の中には国民以外も入りますよね。
  125. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 私は、外国人に対して情報開示請求を認めるということの考え方が実はよくわからない。正直言ってよくわからない。ただ、現にアメリカがそういう制度になっているということは前から聞いておりますので、そうすると日本国民もかねてからアメリカ情報公開法にのっとって請求をしてその恩恵を受けているわけでありますから、我が国も後から打ち立てるときに同様の制度をとらなくては、相互主義的な考え方でこういうことがあるのかなというふうに思っているわけであります。
  126. 江田五月

    ○江田五月君 相互主義の考え方もあるでしょうが、しかし相互主義なら認めている国だけ認めるということになるわけですが、これはちょっと違いますよね。そうではなくて、情報公開請求する外国人の所属する国が我が国民情報公開を認めていようがいまいが何人にも情報公開請求権を認めているわけですから、国民主権、さらに相互主義、そうしたことを越えたある種の新しい時代の地球的原理というものを含んでいるのではないか、そこまで洞察をしなければいけないんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  127. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) アメリカでそうなっているということは、恐らくそのほかの国々に前例がなかったのにアメリカはそういうことにしたわけですから、アメリカ人の考え方の中にはあるいは江田委員のおっしゃったようなグローバルというか、あるいはコスモポリタンというか、そういうふうな考え方があっての制度かもしれないとも思いますけれども、今、視野はそこまで及ばないという状態でございます。
  128. 江田五月

    ○江田五月君 太田長官、大分高いところから見ていらっしゃるわけですから、それだけの上背があれば世界が見られるんじゃないかと、ぜひ見ていただきたいと思います。  冗談はさておき、第一条に「責務」という言葉がございます。「行政機関の保有する情報の一層の公開を図り、もって政府の有するその諸活動を国民に説明する責務」。この「責務」というのはどういう意味ですか。
  129. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 責務というのは、主権者国民であって、そこから信託をされているわけでありますから、説明責任があるというのは当然のことだろうと思います。
  130. 江田五月

    ○江田五月君 責務という言葉の国語的意味をあれこれ言っていても仕方がないんですが、私は、責務というのは重要な規定であるが、しかし、なぜ義務と言わなかったのかなということをちょっと感ずるんです。義務といえば権利がある、しかし責務の反対にはどうも権利というのがない。権利を認めるのが嫌だから責務と言ったのかなと思ったりするんですが、そんなことはないでしょうね。
  131. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 私は、実はこの法案の条文ができた後に就任をいたしましたので、私なりに自信を持って今この法案を提案している立場になるために自分なりに消化をしてきたことを申し上げますと、責務というのは、それは主権者という言葉と無縁ではないと思っておりまして、権利と義務ということは必ずしも主権者ではなくて、言ってみれば統治される側というふうな立場があって権利義務というふうな言葉の使い方になるのではないかと思います。国民主権という立場からいうと、責務という言葉の方が非常にぴったりするのではないかと思います。
  132. 江田五月

    ○江田五月君 そういうやりとりをしていても仕方がありませんので、ちょっと具体的な実務的なことに入らせていただきます。  幾つかあるんですが、きょうはまず手数料のことについて伺います。手数料はなぜ取られるんですか。
  133. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 手数料は、先ほども申しましたけれども、情報開示請求される方、それはいずれにせよ特定の国民がしかも個人でやられることが多いわけでございますから、特定の個人が特定の理由でもって請求をされるというその国民立場というものと同時に、それに対応するためには人を配置しさまざまな施設での対応もしなければいけない。それにかかる費用というのは一般の納税者が負担をするわけでございますから、納税者一般のいわゆる負担と、それから請求をされる側の立場というものの両方を見て、負担の公平というふうなことを考えて費用をいただくということになったわけでございます。
  134. 江田五月

    ○江田五月君 先日、本会議であなたは、手数料は特定の者に対して役務を提供する場合にその費用を回収するために徴収するものであります、すべて租税の一般財源で賄うのは国民の合意が得られない、そういう答弁をされておられますし、今も同じ趣旨です。  さて、しかし、情報公開は国の責務としてやられるわけですね。しかも、さっきお伺いしたらお答えになりましたが、よりいい行政をつくっていくためにやることなんですね。請求をしてくれるのはむしろ国民、国の責務を果たす、いい行政行政自身をつくり変えていく、そのいわばきっかけをもらっているわけですね、請求されることによって。それなのに、ありがたい、ありがたいとむしろ手を合わせて拝むぐらいになきゃならぬのに、なぜ手数料を取られるんですか。
  135. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 私は、こういう場合に行政機関というのは何なのかというと、江田委員のようにとらまえると、国という人格が別にあって、そしてその国という人格にとってのメリット、デメリットと、それから請求をされる方のメリット、デメリットというものを比較されるというふうにお考えになられるようでございますが、国というのはそれを支える一般の国民がいるわけでありまして、その一般の請求をしている以外の人たちとの関係はどうかということは、これは両方考えなければ、何といいますか不特定多数のために、憲法十五条に書かれておるとおり、内閣あるいは国家公務員というのは一部の国民のために仕事をするんではなくて国民全体のためにパブリックサーバントであるべしということがありますので、そこは両方考えなくてはいけないと思うのであります。
  136. 江田五月

    ○江田五月君 これはもっと詰めた議論をいろいろする必要があるのかもしれませんね。行政サービスは受益者という人が本当にいろんな利益を享受する、そういう場合であっても必ずしも全部が全部手数料を取るわけではありません。まして、この情報公開のように行政自身にとっても必要なことである、国の責務を果たしていくことである、そして今これからは、もう本当にむしろ行政側からいろんな行政内容というのを積極的に国民に発信をしていかなきゃならぬという時代ですから、何かおまえ利益を受けているんだから手数料を払えという、あるいはその費用これだけかかったんだから国が回収をするんだという発想というのはちょっとそぐわないんじゃないかという気がいたしますが、重ねて伺います。
  137. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 同じ答えになるわけでありますけれども、国はそれ自体として何かあらかじめ財産を持っているとか、それはすべて国民のものであって、租税の負担とそれから国民に結局は行く債務を負ってやっているわけでありますので、そこはその負担について国が一つの人格を持って、損した分を回収するとかいうことではなくて、一般納税者に対する立場というのはあると思うのでございます。
  138. 江田五月

    ○江田五月君 手数料を取る目的として乱用防止という考え方はございますか。
  139. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 乱用防止を直接の目的としているわけではないわけでありますが、あるいは結果としてはそういうこともあり得るかもしれないと思っております。
  140. 江田五月

    ○江田五月君 乱用防止のために高い手数料を設定するという考え方はないですよね。
  141. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) そういう目的ではありません。
  142. 江田五月

    ○江田五月君 地方では、コピー代とか郵送料とかいうもの以外に特別に手数料を取ってないケースもあるんですが、長官の今の説明だとこれはちょっとおかしいということになるんですか。それとも、それはそれでそれぞれの地方考えることだということになるんですか。
  143. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) それはそれぞれの地方で、国と地方自治体は互いに独立であって対等であるという考え方でまいりますと、地方地方考えでやっておられることだということであります。
  144. 江田五月

    ○江田五月君 この法律は言ってみれば地方に対するある種のモデルになる。修正後の四十一条で、「地方公共団体は、この法律趣旨にのっとり、その保有する情報公開に関し必要な施策を策定し、」云々と。  手数料のところについては、この法律はこうなっているから地方も右へ倣えとせよと、そういう考えはないでしょうね。
  145. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) そういう考えはありません。
  146. 江田五月

    ○江田五月君 さてそこで、この法律の手数料の考え方についてちょっと伺いますが、請求手数料と閲覧手数料でしたか、いずれにしてもそういう内容、二重に取られる。さらに開示の手数料のほかに謄写、これは実費ということになるんでしょうが、の手数料も取られる。三つの手数料があるんですけれども、この相互の関係というものはどういうふうにお考えですか。
  147. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 情報公開法の手数料の規定では、「開示請求をする者又は行政文書開示を受ける者は、政令で定めるところにより、それぞれ、実費の範囲内において政令で定める額の開示請求に係る手数料又は開示の実施に係る手数料を納めなければならない。」ということで、開示請求に係る手数料としまして、開示請求の処理に係る事務の費用の一部の負担……
  148. 江田五月

    ○江田五月君 法律の中身はわかっていますから、聞いていることに答えてください。
  149. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) はい。それから、開示の実施に係る手数料としまして、写しの交付、閲覧等の開示の実施に係る事務の費用の負担を求めようとするものでございまして、開示請求に係る手数料につきましては一定額を、そして開示の実施に係る手数料については実費をということを前提として徴収するということになっております。
  150. 江田五月

    ○江田五月君 開示請求は一定額、そして開示の実施の方は実費。その二つは別々なんですか、それともある程度の関係を、例えば、開示請求のときに幾らか払いますね。実際に開示の実施をする、そのときに実費がかかりますね。その実費については開示請求のときに徴収した手数料でまず埋めていくんだと、それをオーバーしたときにはその部分を取るんだとか、そういうようなことについてのお考えがあるやに伺っているんですが、どうですか。
  151. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) ただいま申し上げました手数料はそれぞれ別でございます。しかし、ただいま御指摘のありましたように、衆議院の段階におきまして附帯決議におきまして、「開示の実施に係る手数料の額を定めるに当たっては、実質的に開示請求に係る手数料に相当する額が控除されたものとなるようにすること。」という附帯決議がつけられているところでございます。
  152. 江田五月

    ○江田五月君 だから私は思うので、これはやはり本来立法府がつくってそれを行政に押しつける、言葉は悪いですが、そういう性質のものでなきゃならぬというのがそのあたりにあるので、行政府の方はなるべくそこで自分たちの許容範囲を広くとっておいて後でやりたいと思われるかもしれませんが、附帯決議でそうなっているんですから、これはそう実行してくださいよ。いかがですか、長官
  153. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 附帯決議のとおりにいたしたいと思っております。
  154. 江田五月

    ○江田五月君 ですから、開示の実施に係る手数料という場合には、実費以外に別途一定額の実施手数料というものがあるという理解はしないでよろしい、そうじゃなくて、実施に係る手数料の方は実費だと。これはそれでいいですね。
  155. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 御指摘のように、実施に係る手数料は実費でございます。
  156. 江田五月

    ○江田五月君 そのときの実費というのは何ですか。
  157. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 例えば閲覧等におきましては、開示の実施の処理で閲覧文書の搬入、写しの作成、部分開示の場合のコピー等の作業でございます。そして、写しの交付の場合には写しの作成にかかる費用でございます。
  158. 江田五月

    ○江田五月君 写しの作成にかかる費用、その費用というのはこれは何ですか。写しをつくるには、例えば総務庁だったら総務庁の建物も必要だろうし、そこへいろんな部屋もあるだろうし、その中にコピー機もあるだろうし、写すための人も要るだろうし、人件費、ボーナスもあるだろうし、それら全部ということなんですか。それとも、通常民間で写しをとるときにはコピー一枚とるには幾らとか、コンビニでも何でも今あるじゃないですか。そういう額をお考えなんですか、どうですか。
  159. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 開示を実施するための人件費とか光熱費とか事務用機器等の諸費、そういったようなものを含みますが、その中の一部を手数料として負担していただくということでございます。
  160. 江田五月

    ○江田五月君 やはりそこが関係するんですよ。これは国の責務を果たすための仕事なんで、しかもいい行政をつくっていくための事務なんですから、一般行政経費をその実費の中にぶち込んで回収してやろうというような考え方はやっぱりとれない。そうじゃなくて、写しをつくるといえば、普通は世間では大体わかりますよ、どの程度のことか。その世間の常識、コピーをつくるための費用というときに、普通に世間の人が考える常識の範囲ということになるんじゃないかと思いますが、長官いかがですか。
  161. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 正直に言いまして、私は附帯決議に付されるまでは、最初にいただくものは、今言ったランニングコストではなくて、もう少し大きな範囲の費用を象徴的にごく一部でも御負担をいただきたいという気持ちであったわけであります。ですから、それが利用できないほど過大なものであってはいけないということは間違いなくあるわけでありますけれども、だからといってただというのは私はちょっと抵抗があるということでございます。
  162. 江田五月

    ○江田五月君 普通の町でコンビニでコピーとるときだって、それは多少のコンビニのもうけも入っているわけですから、総務庁がもうけるというのはどうだかわからぬけれども、そこはひとつ考えてください。  それから請求に係る手数料ですが、これは定額だということですが、どういう単位で定額にされるんですか。文書偽造のときのような文書の枚数の数え方、これは大変なんですよ。三人で一つ文書に判こ押していたら、どこか偽造したら三つ文書を偽造したことになったりするわけですが、そういうようなむちゃな考え方じゃなくて、別に文書の真正を担保するための開示請求じゃないんですから、そうじゃなくて行政透明性を高めるための開示請求ですから、そこにどういう文書がどのくらいな数あるかは別として、一つ請求が単位で一定額ということにすべきだと思いますが、いかがですか。
  163. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) ただいまの御指摘の徴収単位についての基本的な考え方を申し上げれますれば、例えば一請求に対し一定額の金額を徴収するという考え方に立っております。
  164. 江田五月

    ○江田五月君 もっと詰めていきたいところですが、ちょっと時間がありません。また後ほど。  それで、修正案の提出者の皆さんにちょっと伺っておきたいんですが、大変な御努力だったと思います。決断もされたことと思います。敬意を表します。ただ、私どももやはり国会議員でございまして、衆議院だけですべてを決めて参議院は指一本さわるべからずと言われてもちょっと困るんですが、そういうことはないんでしょうね。
  165. 佐々木秀典

    衆議院議員佐々木秀典君) 江田先生御指摘のように、私ども衆議院でも大変に与野党協議を尽くしまして、その中で理事などは特に苦労をいたしました。結果として、全党が共同提案になったということでございますけれども、一つには、やはり時間との勝負という問題もございました。  何分にも、昨年の通常国会政府が提案された、それについて審議をし、このままではいけないということで、これについては与党にも御理解と御認識をいただいて修正をしなければならないという作業に入ったわけです。しかし、その後参議院選挙を経て、二つの臨時国会でもこれができ上がらなかった。そして今度の通常国会に来たわけですけれども、この通常国会開催に当たりまして、お互いに与野党間の理事の申し合わせ、それを受けての衆議院内閣委員長の御発言でも、二月の中旬までにはこれを上げたい、衆議院で上げて参議院にお送りしたいという目標を設定いたしました。そうした時間の制約の中での修正協議でございました。  そこででき上がったものをこちらにお届けしているわけです。しかし、衆議院衆議院参議院参議院の独自性がございます。私どもがこの決定で、参議院の皆さんにこれ以上出っ張ってもらっては困るとか、そういう筋合いのものではございません。  ただ、私どもは苦労してここまでまとめ上げたという点についてはお認めをいただきながら、しかし私どもとしても、何といってもなおよりよいものができることを望んでおりますから、それについてはまた参議院で与野党御協議いただいて、さらに修正ということもあるのではなかろうか、これは期待を込めて申し上げておきたいと思います。
  166. 江田五月

    ○江田五月君 植竹議員も同じでよろしいですね。
  167. 植竹繁雄

    衆議院議員(植竹繁雄君) 私の方は、やはり与党といたしまして、この情報公開というものがどういう意義があるか、二十一世紀に向かってより国民全体にいろいろな情報公開することによって未来に対する展望というものが必要だという意味で、大きな目的でこれを考えたのであります。したがいまして、そういう大前提のもとに、いろいろ細かい点で再修正とかなんとか、根本目的に向かって私の方は進んでおるわけでございます。  また、細部につきましては、衆議院衆議院なりに与野党ともに全党一致にてこれを考慮し、審議し、そしてつくり、可決されたものでございます。そういうことを踏まえまして、私どもは進んで提出に参ったわけでございます。どうぞお酌み取りいただきます。
  168. 江田五月

    ○江田五月君 よく酌み取りたいと思います。何がいいか悪いか、これはいろいろ議論はありますが、しかし、それでもこの方がよりいいというような共通の認識というのは私は生まれるんだろうと思うんです。ぜひそういうことで、衆議院の皆さんにも参議院の努力もひとつお認め、お許しをいただきたいと思うんです。  さて、管轄でちょっと伺いたいんです。きょうは法務省民事局長に来ていただいておりますが、民事事件あるいは行政事件含めての管轄というものは、これは何か法律上もう動かせない大原則みたいなものがあるんですか。それとも、訴訟というものを国民の皆さんに使っていただくために、いろんな利益を比べてこういうふうにしたらいいということで決められる、いわば立法裁量にゆだねられるものではないかと思いますが、いかがですか。
  169. 細川清

    政府委員(細川清君) 民事訴訟の土地管轄は原則として被告の普通裁判籍所在地、それから行政訴訟においては行政庁の所在地の裁判所の管轄となっております。  しかしながら、これらの原則的な管轄のほかに、民事訴訟におきましても行政事件訴訟法においても、それぞれのいろんな理由から特別な管轄を認めているわけでございまして、結局のところ、これらの管轄の規定は、被告所在地の管轄を原則としつつも、当事者間の公平、円滑な審理の確保、訴訟経済等に配慮して、立法政策的な配慮がなされているというふうに考えております。
  170. 江田五月

    ○江田五月君 立法政策的な配慮ですよね。塩野先生も国会が決めることだという趣旨のことをおっしゃった。そこで衆議院で、単に被告住所地を管轄する地方裁判所だけでなくて、全国の高等裁判所本庁所在地を管轄する地方裁判所に管轄を認められたということなんです。  なぜ高等裁判所本庁所在地かということで、最高裁から高等裁判所の本庁とか支部とかというのはどういう趣旨で設置をされているんだということをちょっと聞いてみたんですが、文書を読むともう時間がないんですけれども、要は国民の便宜だと、比較的遠隔の地にある当事者その他関係人の不便をできる限り少なくするためにということで、全国に高裁がありますが、同時に支部もつくっておる。  ですから、国民の便宜ということを考えたら、高裁本庁だけだと国民みんなに高等裁判所を使ってもらうにはちょっと不便がある、だから支部を置いているというふうに最高裁も言っているわけですから、これは私は立法裁量としては本庁所在地だけではちょっと足りないのではないか。支部の全部と言うと衆議院の皆さんの御苦労をちょっと尊重しないと言われても困るんですが、しかしそれでも支部の中には大変苦労するところがあるんです。その辺のところは、衆議院修正案を出された皆さんはどうお感じですか。
  171. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) 時間が来ておりますので、手短にお答えください。
  172. 佐々木秀典

    衆議院議員佐々木秀典君) 今御指摘のような点について衆議院でもいろいろ協議をしました。  私どもとしては、高等裁判所八カ所については与党さんの御理解も得られたんですが、御指摘のように高等裁判所には本庁のほかに六つの支部がございます。私どもとしてはこの支部までということを申し上げたんですが、なかなか御同意が得られなかったのは、一つには公平などの観点から問題があるのではないか。  どうして高裁の支部がこの六カ所に決められたかといういきさつも実はよくわからないんですね。例えば、沖縄に福岡高裁の支部がございます。これについては、沖縄の方がわざわざ福岡まで来なければならないというのはまことに不便な話とは思うんですけれども、もう一つ、広島高等裁判所の支部が、江田先生は岡山ですけれども、岡山にあるんです。この辺になるとちょっと近過ぎるのかなという感じもあったりして、確かに問題がある。  でき得べくんば、私は今のお話のように、立法政策上の問題だとすれば特例中の特例としてもう一つ、沖縄にはせっかく那覇に裁判所があるんですから、ここでできるようにしたらどうか。あるいは、日本海側が全然ないんですね。ですから、せめて名古屋高裁の金沢支部あたりでもできるようにしたらどうかというようなことはあったんです。しかし、衆議院の段階ではいろいろ検討した結果、結局高裁本庁所在地八カ所ということで合意ができたということでお送りしたわけでございます。  この辺についても、参議院でまた十分御検討いただきたいと思います。
  173. 植竹繁雄

    衆議院議員(植竹繁雄君) ちょっと補足説明をさせていただきます。
  174. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) 時間が過ぎておりますので。
  175. 植竹繁雄

    衆議院議員(植竹繁雄君) はい。実は、公平の原則、これは立法府の特例措置の問題でございます。それが第一点。それからもう一つは、今沖縄の問題がございましたが、福岡高裁の場合、那覇支部の場合は沖縄はいいんです。奄美大島の場合は宮崎支部でございます。これは宮崎支部ですと同じようなことになりますので、そういう公平原則から考えまして八つの箇所に求めた、そういうわけでございます。
  176. 江田五月

    ○江田五月君 時間が参りましたが、管轄とか移送とかという問題については、私も法律家で法律論をがたがた言い出すとちょっとうるさい。そうすると、この修正どうだということになってしまうからそれは言いません。言いませんが、長官、これはやっぱり立法裁量ですから、立法府の方でひとつこうやると言ったら、それはもう当然認めてくださいね。  それで質問を終わります。
  177. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 公明党の日笠勝之でございます。  行政情報公開法は、多くの方々は今国会、それも早期に成立するものと、去年の三月二十七日でございましたか国会へ提出されましたので、そのころまでには、一年以内には成立するもの、またはさせていただければという皆様方の希望が多うございます。私どももその方向に向けて鋭意努力をしてまいります。  そこで、これは仮定の話、想定の話になりますが、この行政情報公開法が成立した暁には、恐らく世論は、ならば今度は立法府の情報公開をぜひやるべきである、こういう声がほうはいとして起こるんであろうと。  例えば、四十七都道府県でも、既に議会情報公開条例制定されておりますのは、つい先日の宮城県であるとか埼玉県、また神奈川県、山梨県、三重県、愛媛県、高知県、福岡県、沖縄県と九県が既に条例制定をされております。北海道とか東京とか奈良は議会情報公開条例をつくろうという予定もされておると聞いております。政令市でも広島市、川崎市は既に議会情報公開条例制定されております。  このように、だんだんと地方の方が議会の情報公開条例制定する、または予定をするというふうな段階にありまして、現在、我が参議院は一体情報公開に対してどういう現状、また方向であるかということをまずお聞きしたいと思います。
  178. 堀川久士

    事務総長(堀川久士君) お答えいたします。  参議院におきましても、かねてから国民に開かれた国会という考え方のもとに、特に会議情報を中心に情報公開に取り組んできております。  具体的に例を申し上げますと、従来から委員会の会議録等の頒布につきましては鋭意行ってきたわけでございますが、五十六年十月からはテレホンサービスというものを開設いたしまして、国民からの国会活動に対する問い合わせに対して積極的に対応をしてきております。  最近では、インターネット・ホームページを開設いたしまして、本会議の議事日程やその経過、また本会議、予算委員会の会議録等、これらを公開いたしております。このホームページにつきましては、さらに拡充を目指しておりまして、近々さらに議案の審議状況や、それから会議録につきましても、本会議、予算委員会のほかにすべての委員会、調査会の会議録を公開するという運びになっております。  また、こうした会議録のほかに、現在院内テレビで中継しております本会議とか委員会の審議状況でございますが、これらは放送局等には無償で提供いたしております。加えまして、昨年五月からはこれらの審議映像もインターネットを通じまして国民一般に公開をしているというところでございます。  また、これはちょっと性格は異にいたしますが、平成五年からは、いわゆる議員の資産公開法に基づきまして、国会議員の資産の状況等を国民に広く公開しているということでございまして、これらも重要な情報公開の一環かと存じます。  参議院におきまする情報公開の現状はおおむねそういったところでございます。
  179. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 たまたま私がこの参議院の議会情報公開の質問を予定しておりましたら、昨日の朝日新聞の論壇に、参議院のOBの宮澤弘さんが「国会情報公開をどうする」ということで、論壇へ寄稿といいましょうか、提案されておりました。その最後の結論を読みますと、「国会は自らの情報公開する制度検討を速やかに始めるべきではないか。国会情報開示の聖域であってはならないのである。国会の内外でそういう声を聞かないのが、私には不思議でならない。」と。  恐らく、ほうはいとしてそういう声が起こってくると思いますので、準備を怠らず、これは参議院の方にもお願いをしなきゃいけませんし、私は本当はきょうは参議院議長にお出ましをいただいて参議院改革を標榜されておる斎藤議長さんにお伺いしたかったんですが、通例、先例がないということで、総務委員長の方に、ぜひひとつ参議院の議会情報公開に向けて検討を始めるべきではないか、このことを要望として参議院の議運委員長に申し入れをいただければと思いますが、委員長、いかがでしょうか。
  180. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) 日笠委員の御要望を受けまして、私の方でひとまずきょうはお預かりいたしまして、議運の委員長と御相談申し上げたいと思います。
  181. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 先ほどから手数料の問題の議論が多々ございました。この手数料の問題についていろいろなペーパーが出回っておりまして、どれが一体正しいのか私どもよくわからない、こんがらがっておりますので、ちょっと整理をしながらお答えをいただければと思います。  まず、この手数料なるものは第十六条にございます。逐条解釈みたいになりますけれども、十六条に「開示請求をする者又は行政文書開示を受ける者は、政令で定めるところにより、それぞれ、実費の範囲内において政令で定める額の開示請求に係る手数料又は開示の実施に係る手数料を納めなければならない。」。  ということは、開示請求をするときにまず手数料が要る。それから、「開示の実施に係る」ですから、閲覧であるとかコピーとか、そういう実施に係る手数料、この二つある。まずこのように認識していいんでしょうか。
  182. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 御指摘のとおりでございます。
  183. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 そういたしますと、これは「開示請求に係る手数料又は」ですね、アンドじゃないんですね。または開示の実施に係る手数料を納めるということで、またははオアでしょう。だから、どちらかを納めてください、こういうふうにとればいいんですか。それとも、開示請求料と、実施を要求された場合、閲覧であるとかコピー、当然それもいただくんですか、アンドであると。「又は」というのは、オアですかアンドですか。
  184. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 開示請求をするに当たっての開示請求に係る手数料と、それからそれについて開示決定を受けて行政文書開示を受ける場合に支払っていただく開示の実施に係る手数料と両方あるということでございます。
  185. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 では、これは両方手数料を納める、こういう意味ですね。  そうすると、先ほどもございましたが、開示請求手数料というのは一定の額とおっしゃっていますが、衆議院でもあれだけ議論があったわけですし、附帯決議もあったわけですが、長官の頭では一定の額というのは大体どれぐらいのことを思われているんでしょうか。
  186. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 私は、利用しやすい金額というふうに考えておりましたけれども、衆議院段階での決議では五百円以下というふうな例示がなされたということでございます。それは頭にあります。
  187. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 五百円以下ですから、一円から五百円まであるわけですよ。ですから、長官の頭は五百円以下というのは大体どれぐらい、政令で定めるといったってしっかり参議院段階で議論しておかないと、本当に五百円以下といっても五百円かもしれませんし百円かもしれません。我々は極力安い方が使い勝手はいいと思っておりますが、五百円以下というけれども大体どういうことを想定されますか。政令委任をするわけですから、きちっとこれはいつかどこかで書かなきゃいかぬわけですね、金額は。
  188. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 五百円以下という以上、五百円と余りそう離れていない金額を念頭に置いております。五百円以下であって五百円と余り離れていない金額です。
  189. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 四百九十九円ということもあり得るわけですね。もう一回議論いたします。  それからもう一点は、実施に係る手数料ですが、仮称閲覧手数料と呼びますと、これはカウントの仕方なんです。一決裁文書、例えば平成十年度のどこかの保安日誌全部だとか、これを一件と勘定するのか、保安日誌なら保安日誌の一枚一枚を一件と勘定するのか、その辺のカウントの仕方、これはどうなんでしょうか。
  190. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) ただいま御指摘のありました一決裁文書ごとに形式的に手数料を徴収するというような制度考えておりません。
  191. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 一決裁文書ですね、わかりました。  次は、謄写手数料といいましょうか、俗に言うとコピー代ですね。コピーといってもいろいろなコピーがあるんですが、まず、相当膨大な謄写をしなきゃいけない場合に、一枚幾らのコピー代というふうにこれも政令で定めるわけですね。例えば、ちょっと量が多いのでコピー機そのものを持ち込みたいと、実際、地方情報公開条例で自分たちのコピー機を持ち込んでコピーしたというところがありますが、その場合の手数料はどうなるんですか。
  192. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 具体的に開示の手数料をどういった形態の場合に幾らにするかという、今の段階ではそういった具体的なケースについての詰めまでは行っておりません。
  193. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 いや、それを政令で定めるわけでしょう。でも、一年前に出た法案で、衆議院を通過して参議院に来ている。一日も早くこれを成立させようといっておれば、大体その辺のところの議論はほぼ済んでいるんじゃないかと私は思うんですが、まだそれは明定できないということですね。  それから、例えば局長は、コピー代というと十円か二十円か三十円、常識的なことですが、大体その程度だということ、まずそう思っておられますか。
  194. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 写しの交付の手数料につきましては、地方公共団体の実態等も調査しまして政令で決めたいというふうに考えておりますが、ちなみに、地方公共団体ではA四判一枚当たり十円から四十円というような実情にございます。
  195. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 そうすると、例えばカラーの文書だったからカラーコピーだとか、畳一畳くらいの大きな設計図であるとか、こういうふうな場合はどうなるのか。それから、電磁記録もいいわけですから、テープとかCDとかフロッピーとか、八ミリとか三十二ミリのフィルムだとか、またそれに類するものもたくさん文書、図画、電磁記録ということであるわけですが、文書定義、そういうものも一々一つずつ政令で決める、こういうことでしょうか。
  196. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 開示を実施するための事務に係る費用についての負担につきましては、行政文書の量とか開示の実施の方法等に応じた額となると思いますが、今、具体的な内容について検討しているところでございます。
  197. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 ではもう一点、同じく手数料のところでございます。これは十六条の二に、経済的困難その他特別の理由があると認めるときは、政令で定めるところにより、前項の手数料を軽減または減免とありますが、政令を作成するときにどういうイメージ、経済的困難とはどういう意味だとか、特別の理由とはどういう意味なんだとか、こういうことは既にもう念頭にあるんでしょうか。
  198. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 今の、十六条の第二項の政令で定めるところによりといった、この政令の内容につきましては、減免申請の方式等について定める予定といたしております。そして、経済的困難その他特別の理由といったことにつきましては、手数料を支払う資力がないと認められるような場合、あるいはこの情報公開法の中に規定がありますが、公益裁量開示とかそういったような場合には特別の理由があるというようなことに該当するのではないかと考えております。
  199. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 きょうは要求だけしておきますが、この法案の中には政令事項が十五カ所あります。まだまだ詰まっていないといいましょうか、それはそれなりにわかるんですけれども、ぜひひとつ次の審議までに政令委任しているものの政令の骨子を当委員会へ提出していただきたい。特に手数料の問題なんかについては大変な関心もございますし、骨子、これを次の委員会までに提出していただきたいことを要望しておきます。  続きまして、開示請求の手続でございます。第四条にはいわゆる開示請求する者の名前、名称、住所または居所並びに法人その他の団体にあっては代表者の氏名を行政機関の長に提出すると、こうあります。ですから、これを見る限りでは名前と住所が個人ならばあればいいのかな、こういうふうに思いますが、それでよろしいのでしょうか。
  200. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 第四条の開示請求の手続につきましては、一号で「開示請求をする者の氏名又は名称及び住所又は居所並びに法人その他の団体にあっては代表者の氏名」、それからもう一つは「行政文書の名称その他の開示請求に係る行政文書を特定するに足りる事項」というものでございます。
  201. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 だから、個人ならば名前と住所、居所でいいんですかと、こう聞いているんです。
  202. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 請求者の同一性が確認できるという要素が入っていればいいということでございます。
  203. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 今、行政情報公開制度にのっとって各省庁でも窓口をつくり閲覧に供しておるわけですが、ちなみに総務庁文書閲覧申し出書、いわゆる申込書でしょうか、これをちょっと取り寄せますと、職業を書くようになっていますね。大蔵省の方は、同じく職業も書き印鑑まで押すようになっている、年まで書くようになっている。ということは、今既にこういう各省庁の閲覧申し出書が各ばらばらであるわけでしょうから、これが統一される、こういうふうに考えればいいでしょうか。
  204. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 今の文書閲覧申し出制度、これは行政運営上の制度としてそれぞれ各省庁が実施をしているものでございますが、情報公開法の問題につきましてはできるだけ統一的に運用する必要があるというふうに考えております。
  205. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 そのようにぜひ配慮をお願いしたいと思います。これは開示請求をした場合、「何人も」ということですから、これは英語かフランス語かドイツ語か中国語かということもあるかもしれませんし、それから目の障害者の方は点字であるかもしれませんし、これはわかればいいんですか、その記載文章というか文字は。
  206. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 開示請求は書面で提出をしていただくということでございます。そして、具体的にどういうふうな形の書面の、内容の問題だと思いますけれども、それは今御指摘のような点も考慮に入れて考える必要があると思っています。  ただ、外国語につきましては、先ほど申し上げましたとおり、行政改革委員会でもこの問題が取り上げられまして、この申請については、日本行政機関に対する申請ということで、日本語でやっていただくという結論となっております。
  207. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 インターナショナルな時代ですから、通訳かだれかがいらっしゃって、ちゃんと請求に応ずるような体制を整えたらばいいんじゃないかと思います。  では、時間もありませんので次へ行きますと、裁判所の管轄の問題になるわけですが、きょうは実は最高裁の民事局の方にも出席をお願いして御説明をお願いしようと思ったんですが、法務委員会と決算委員会以外は出ないようになっておるという、何か非常に参議院は規制がたくさんございまして、私の方から聞いた範囲で御説明をいたします。今お手元に配付をお願いしたいと思います。「司法の窓」というパンフレットでございます。    〔資料配付〕
  208. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 これの十八ページをちょっと皆さんお開きいただければと思います。去年の一月一日から施行されました新しい民事訴訟法では、いわゆるテレビ会議方式というのが採用されておるわけでございます。これは、ここに記述されておりますが、  証人が遠くにいる場合、これまでは、事件を審理する裁判所まで証人に来てもらうか、それができないときには、裁判所や当事者が、証人のいる場所まで出向いて、証人に証言してもらうのが一般的でした。そのため、証人あるいは裁判所と当事者が長い距離を移動しなければならず、費用と時間が掛かるという指摘がありました。 ということで、昨年の一月一日から新しい民事訴訟法で、テレビ会議システムを用いての証人尋問ができるようになった、こういうことでございます。  いわゆるカメラつきのテレビ、双方向のシステムでございますし、また、それを利用して行われている模擬の証人尋問でございますが、こういうような形で行っているということ。それから、書面なんかを見る場合は、非常にカメラが小さいですから写りにくいということで、書画カメラというのがまた別途ある。こういうテレビ会議システム一式が全国五十の地方裁判所に全部今入っておるようでございます。さらに近々に三十の支部、また大きいところは二つというようなことで、一般国民の裁判にかかわる負担の軽減ということでテレビ会議システムが大いに活用されつつある。  ところが、まだ余りできて間もない制度でありますし、PRが若干行き届いていないのか、まだ去年一年間で九十件しか活用されていない。五十の地方裁判所にあって九十件ですから、一つ地方裁判所の一台のテレビ会議の画面に向かって二件ぐらいしかまだ利用されていないということで、大いに最高裁としてはこれを活用していただければと、こういうふうにおっしゃっておられました。  そこで、こういうテレビ会議システム、マルチメディアの一環でございますが、これがどんどん普及していくと、東京地裁を中心とする八つの高等裁判所の所在地提訴と言わずに、どこの地裁にもあるわけですから、極端に言えば全地方裁判所に拡大しても、この情報公開の裁判の管轄、いいんじゃないかなと。それが一挙にそこまでいかないというなら、先ほど江田先生もおっしゃっていたように、八つの高等裁判所の所在地、またその支部の六つの所在地と、せめてそれぐらいなら、このテレビ会議システムを利用すれば、行政の被告側も一々出向かなくても、東京地裁のその部屋に行って、沖縄であれ金沢であれ東北であれ証人尋問できる。こういうことで、行政被告側もそんなに手間暇かからない、こういうふうに思います。  そこで長官、こういうふうなシステムを利用できるわけでございますし、裁判所の管轄の拡大ということを、こういう新しい制度もできたということでぜひ御一考いただければと思いますが、御所見をお伺いしたいと思います。
  209. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) テレビ会議のシステムを民事裁判に活用するようになったということは大変なことだと、私も法案審議に当たっておりましたので意義は感じております。  ただ、これは今実際にすべての裁判の過程をここで全部やれるのかどうかということになりますと、証人に対する尋問ということであって、裁判そのものをここでできるわけではないので、そこはいろんな時間や手間を削減していくということの努力の一環だと思います。  また、私はちょっとこの話と今の情報開示にかかわる訴訟の話というのと一緒に考えておりませんでしたので、あるいはちょっと勘違いをしておるかもしれませんけれども、むしろこういうふうにしてどんどん進めていくと一カ所でいいんじゃないかという話の方も、多数に広げるのではなくて、一カ所でもできるようになるんじゃないかなというような感じもいたします。あるいは誤解かもしれませんが。
  210. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 何か逆手にとられて、そういう意味じゃないんですよ、どこでもできるようにと、こういう意味でありますから。  それと、「司法の窓」の五十二号二十二ページに、那覇地方裁判所というのがたまたま出ておるわけですね。これを奇貨としてぜひひとつ那覇地方裁判所も管轄に入るように、非常にすばらしいパンフレットでございまして、一石二鳥でございます。  なぜかといいますと、昭和四十七年五月にいわゆる本土復帰があって、いろいろ沖縄の皆様も苦労をされてきた、私たちは沖縄の心を知らなければならない。そういう意味でも、高裁六支部全部というとなかなか抵抗も強いのでしょうが、ぎりぎりのぎりでこの那覇支部、これもぜひひとつ御検討をいただければということで、非常に格好のパンフレットがありますので、長官にも後ほど読んでいただいて前向きに検討いただければと思うわけでございます。  では、個別具体的に、開示、不開示情報ということでお聞きしたいと思います。総論はやめて、きょうは防衛庁と外務省にも来ていただきましたので、具体的にこれは開示なのか不開示なのかなどを踏まえながらお聞きをしたいと思います。  防衛庁にお伺いいたします。まず防衛庁の行政情報、膨大なものがあると思いますが、その公開基準というものをそろそろ策定を始められているかもしれませんが、現状はどうなっておりますか。
  211. 守屋武昌

    政府委員(守屋武昌君) 防衛庁における情報公開に対する取り組み及び進捗状況でございますけれども、行政情報公開につきましては、防衛庁としても防衛行政の遂行に当たり国民の理解と協力は不可欠であると考えておるところでございます。それで、防衛行政に対する国民の信頼を確保するとともに国民の有効な利用に資するとの観点から、行政情報公開に取り組んでおるところでございます。  現在、防衛庁では、私どもの長官官房の広報課、それから防衛施設庁の総務課、それから全国に八つございます防衛施設局等に行政情報公開基準に基づく公開請求に対する窓口を設置しまして、国民の具体的なニーズに対応しているところでございます。  それから、御質問のありました情報公開法制定された後の国民開示請求にどうこたえるかという問題でございますが、現在庁内に情報公開に関する準備検討チームを設置しまして行政文書の整理などの所要の準備作業を進めているところでございます。
  212. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 ちょっと途中ですが、法務省さんに来ていただいておりまして、先に一件だけでございますので、申しわけありませんが、法務省さんの方にちょっと質問を振ります。  行政情報公開法が成立いたしますと、全国八カ所の高等裁判所所在地でも提訴できる。では行政事件訴訟はどうなっているか、十二条を先ほども読まれましたし、私も承知しておりますが、どうも行政事件訴訟の方も情報公開法が成立すればそれにあわせてちょっと窓口を拡大したらいいんじゃないか、こういう声も仄聞しておるわけでございます。情報公開法が成立した暁には行政事件訴訟法の提訴ができるといいましょうか、あわせて窓口を広げる、こういうお考えはあるんでしょうか。それをちょっと一問だけお伺いしたい。
  213. 細川清

    政府委員(細川清君) ただいま委員指摘のとおり、行政事件訴訟法は行政庁の所在地の裁判所に一般管轄を認め、一定の類型の処分については不動産所在地の裁判所、または処分に関して事案の処理に当たった下級行政庁の所在地の裁判所の特別管轄を認めているところでございます。  また、そのほかにいわゆる応訴管轄というのがございまして、このような行政事件訴訟の原則は、国の行政庁のみならず、地方公共団体の処分についても適用があるものでございますので、こういったものといたしましては一般の規定としては合理的なものではないかというふうに考えておりますが、行政情報公開法案において衆議院で全党一致で修正がなされたということを踏まえまして、成立した場合にはその運用の状況を注視してまいりたいと思っているわけでございます。
  214. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 では、防衛庁さん済みません、もとへ戻ります。  巷間いろいろ防衛庁には取り扱い注意資料、文書といいましょうか、それから秘、機密、極秘といろいろ段階があって、部外秘なんていうのもそうでございますが、一体全体どれぐらいの取り扱い注意文書、秘、機密、極秘というのはあるんでしょうか。
  215. 守屋武昌

    政府委員(守屋武昌君) 防衛庁で取り扱う秘密には二つの系列がございます。  一つは、日米相互防衛援助協定等に基づき米国から供与された防衛装備品に関する事項内容とする防衛秘密が系列でございます。それと、これ以外の防衛庁の業務に関する秘密でありまして、これは私どもで庁秘というふうに分類いたしております。  防衛秘密につきましては、平成九年十二月末現在でございますが、秘密区分の高い順番に機密、極秘、秘、こういう三段階に分けておりますけれども、防衛秘密については機密はございません。極秘が約五百八十件、約三千九百五十部、それから秘が七千九百六十件、約十四万六千四百五十部、合計で防衛秘密につきましては、件数で八千五百四十件、部数で十五万四百部、こうなっております。  それから庁秘でございますが、これも平成九年十二月末現在でございますが、秘密区分が一番高い機密で約二千二百十件、部数で四万八千七百九十部、それから次に秘区分の高い極秘で約一万五百十件、部数で六万四千八十部、次に秘でございますが、約十一万二千八百件、部数で百七十二万九千二百部ということでございまして、庁秘の合計では、件数にいたしまして十二万五千五百二十件、部数で百八十四万二千七十部、こういうことになっております。  これは、今私、件数と申しましたけれども、件数には文書のほか物件等も入っております。
  216. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 そこで、こんな膨大な文書をどうやって、二年以内を目途でございますから、私どもも一刻も早く施行すべきである、こう思っております。できれば二〇〇一年一月一日の中央省庁再編にあわせてやるのが一番タイミングもよろしかろうと思っております。  それはさておいて、二年以内となりますと、その二年以内の間にこれらを精査して、開示するもの、不開示するもの、こういう作業をやられるのですか。
  217. 守屋武昌

    政府委員(守屋武昌君) 今、先生御指摘のように、防衛庁の秘文書は大変膨大な数に上っております。私どもとしましては、このような実態を踏まえまして、情報公開法の的確かつ円滑な運用を確保するため、御指摘ございました情報公開法施行に間に合うよう行政文書の整理を行っているところでございます。  そして、その法に基づく行政文書の適正な管理、作成、分類、保存、廃棄の四つの方法がございますけれども、これと、それぞれの文書につきまして国の安全にかかわる情報等の不開示情報に当たるか否かの判断基準の作成、庁内的な確立に向けて今庁を挙げて取り組んでいるところでございます。
  218. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 では、ちょっと時間もありませんので、外務省さんもきょう来ていただいております。外務省の情報公開の進捗状況等を聞きたいのですが、外務省に今、秘とか機密とか極秘文書とかいろいろあろうかと思いますが、どのぐらい件数ございますか。
  219. 浦部和好

    政府委員(浦部和好君) 外務省では、実は昭和五十一年から外交文書の記録公開という制度を設けておりまして、それを鋭意実施してきているところでございます。ただ、何分にも体制が必ずしも十分ではないということで、三十年公開原則が必ずしもそのまま守られていないというところはございます。ただ、そういういろいろな、あえて言えば我々の経験と知識がちょっとあるものですから、そういうものをベースにして、新しい情報公開制度に適切かつ円滑に対応していくために、今省内の体制の整備強化あるいは文書管理制度の見直しなどの必要な手だてをとっているところでございます。  また、今もう一つの御質問でございます秘あるいは極秘等の文書でございますが、外務省では現在、秘密の区分としましては極秘と秘という二つの区分を採用してございます。また、実は秘密区分ではございませんが、取り扱いに慎重を期すべき文書ということで、当該事務に関与しない者には余り不必要に見せることはやめてくださいという趣旨の取り扱い注意という文書はございます。  具体的な件数については、実はちょっとこの場で全部で何件ということは手元に数字がないものですから申し上げにくいのですが、外務省は通常仕事を実は在外公館と本省とのやりとり、これは交信でやったりあるいは電信でやったりしてございます。これの恐らく総計、ちょっと乱暴な数字になりますが、全部合わせて八十万なり九十万、そういうことになるかと思います。そのうち極秘、秘、そういう特別な指定のございますのが恐らく一割から一割五分ではないか。ただ、秘と極秘がどのぐらいかというのは、まことに申しわけありませんけれども、この場ではちょっと数字を持ちませんので。
  220. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 膨大な、これも分類、区分があるわけですが、これもどこまで情報公開できるか、これから精査していかなきゃいかぬわけですよね。  そこで、具体的にちょっとお伺いするのですが、外務省にもいわゆる報償費というのが予算計上されていまして、来年度、平成十一年度に約十九億円計上されておりますが、この報償費というのは公開対象になりますか。公開対象になればどこまで公開できるか。
  221. 浦部和好

    政府委員(浦部和好君) 報償費というのは、一般に国が事業を効果的に遂行するため、当面の任務と状況に応じて機動的に使用する経費でございます。外務省について申し上げれば、報償費は情報収集及び諸外国との外交交渉あるいは外交関係を有利に展開するために使用をしております。したがって、こういう面で協力ないし功労のあった者に対して謝礼的または代償的な経費あるいは報酬でございます。  実は報償費につきましては、具体的使途を公表することは行政の円滑な遂行に重大な支障を生ずると判断をしておりますので、公表すべき性格のものではないと私どもは考えております。
  222. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 何か先日の内閣官房長官と同じような御答弁ですね。では、第何条のどの項に当てはまるから不開示だとこう言えるのですか、この情報公開法から見ますと。
  223. 浦部和好

    政府委員(浦部和好君) 外務省の報償費については、まさに公にすることにより国の安全が害されるおそれ、他国もしくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ、または他国もしくは国際機関との交渉上不利益をこうむるおそれがあること、さらには当該事務または事業の性質上当該事務または事業の適正な執行に支障を及ぼすおそれがあるところから情報公開法上の不開示情報に該当するというふうに考えております。
  224. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 納得しているわけではありませんけれども、次の質問項目がありますから。  在外公館は世界じゅうに散らばっておるわけでございますが、在外公館にも文書管理規程といものがあったり、また本省の文書管理規程が応用、適用されているのでしょうか。
  225. 浦部和好

    政府委員(浦部和好君) そうでございます。
  226. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 そうすると、第十条で開示請求されると原則的には三十日以内に開示決定をするわけです。もし、在外公館の文書開示請求されたものがあれば三十日で間に合うのでしょうか。
  227. 浦部和好

    政府委員(浦部和好君) まさに、在外公館に対してこの法律に基づいて開示請求が行われた場合の実態をどう取り扱っていったらいいかということにつきましては、実は在外公館全部で百八十五ございます。大は非常に大きなところから、ほとんどのところが実は十人以下あるいは五人以下の小公館でございます。こういうところでどういうふうに具体的に我々はやっていったらいいのかということについては、まさに現地の事情等を勘案しながら今部内で検討をしておりまして、今ここで具体的に右左と申し上げられないことをお許しいただきたいと思います。
  228. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 マルチメディアの時代ですからファクスもありますし、いろいろ対応考えられるとは思います。  最後に、知る権利ということについて先ほどから委員総務庁長官で、聞いていてよくわからないのですけれども、何か禅問答のようで。一つ参考というか、これをちょっと御提示して終わりたいと思います。  それは、秋田県の公文書公開条例改正です。平成十年四月九日に諮問の答申があったようでございます。そのときに、これは知る権利を尊重するという表現を明記したわけなのですが、どういういきさつであったかというと、この答申の中にはこう書いておるわけです。   その際の表現や位置については、「知る権利」が憲法学上も議論が分かれ、未だ確立したといえるまでには至っていない概念であることへの配慮が必要である。「知る権利」の後に続く言葉としては、「保障する」とするよりも「尊重する」等の表現を用いることが望ましい。 ということで、この改正の前文に県政を信託した県民の知る権利を尊重しというのを入れ込んだ。  ですから、この秋田県においても憲法学上いろんな議論が分かれておる、いまだ確立したと言えるまでには至ってない、そういう概念だと言いながらでも、知る権利を、保障ではちょっと強過ぎるから尊重に変えて、これを改正条例の前文に入れようと。  私は、秋田県のお考えというのは、午前中、長官が民主主義というのは歩み寄るのだと、こうおっしゃっていましたけれども、これは一つのアイデアではないかなと思いますが、いかがですか。それを聞いて終わります。
  229. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 午前中も申し上げたのですけれども、知る権利という言葉が使われ始めた最初の出だしは、私の理解では昭和二十五年あたりにそういうことを新聞週間のスローガンとして使用され始めたことでございますので、その言葉を使うかどうかということはそれぞれお考えがあって、その中で、むしろ我々は内容についての合意の方が大切ではないかということを申し上げておるわけでございます。
  230. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 終わります。
  231. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) ここで一たん休憩し、午後三時五十分に再開いたします。    午後二時四十分休憩      ─────・─────    午後三時五十一分開会
  232. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) ただいまから総務委員会を再開いたします。  この際、委員異動について御報告いたします。  本日、山本正和さんが委員辞任され、その補欠として福島瑞穂さんが選任されました。     ─────────────
  233. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) 休憩前に引き続き、行政機関の保有する情報公開に関する法律案及び行政機関の保有する情報公開に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案を一括して議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  234. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 日本共産党の阿部幸代でございます。  法案審議は本委員会においてきょうが初めてですので、基本的な問題について幾つか質問したいと思います。  初めに、総務庁長官並びに修正案の提出者に質問いたします。  いわゆる情報公開法案衆議院段階で修正を経た後も、日弁連や市民団体など国民各層の関心とそれから期待が寄せられています。政府原案修正後の世論をどのように受けとめておられるか、お聞きしたいと思います。
  235. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 報道機関には大変大きく取り上げられたと思っております。これによって情報公開法の成立に向けて大きく前進し、特に全会一致で可決されたことにつきましては大きく評価し、あと早く成立をしてもらいたいというのが国民世論の期待だろうかと思っております。
  236. 植竹繁雄

    衆議院議員(植竹繁雄君) 委員御質問の世論ということでございますが、なかなか世論というのは難しい概念でございますが、一般に言われておりますのは、要するにこの情報公開法案が非常に期待されているということは間違いないことでございますが、衆議院内閣委員会におきましては与野党で長い間協議してまいりました。そういうことを踏まえまして、先般全党一致で可決されたということについては、大変関心とまたマスコミの方も非常に評価されておられるところでございまして、私ども衆議院段階におきましては一刻も早く成立させること、それが一番市民というか国民の方々が望んでおられることかと思っております。どうかよろしく御審議をお願いいたします。
  237. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 毎日新聞は、「次の目標は早期の成立だ」と題する社説で、「今回の修正点だけで十分かと言えばそうではない。残った課題も多い。」。朝日は、「参院でさらに磨きを」と題して、「不十分な点については、再修正を視野に入れてもらいたい。」。東京は、「絶えざる論議で改良しよう」と題して参議院に期待を寄せ、日経は、「早く使いたい情報公開法」と題して、今回の修正はぎりぎり最低線の修正。というように、早期の成立と同時に一層の修正を求める声が強いのが特徴だというふうに思うんです。  日本共産党は、行政の腐敗とゆがみを一掃する行政改革の立場から独自の法案を提出した経緯がありますが、ほかの野党の皆さんと共同の十二項目の修正要求を踏まえて慎重な審議の上に少しでも国民の期待にこたえていくのが本委員会の務めであると考えています。  次に、法案目的に関連して、特に知る権利にこだわります。幾つか質問いたします。  長官は昨日の本委員会の質疑の中で、知る権利というものが抽象的にではあるけれどもあるということをお認めになったように思うんです。だとしたら、立法府として知る権利を保障する新しい法律をつくることが今求められているのではないんでしょうか。
  238. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 一昨日ときょうと答弁申し上げておりますことは、知る権利という言葉そのものについては、従来から憲法上それを保障されているか否かについては解釈の違いがある、見解の違いがあるということであり、また法律としてこの言葉を使うことがなじむのかどうかということについてはやや賛成をしない人の意見も多いということを申し上げておるわけでございまして、ただその意味するところについては私どもが目指しておるものと同じではないかということを言っておるわけでございます。  ちなみに、今、阿部委員が言及されました新聞のほかに、別の新聞は修正ではなくて早く成立することが大切であるというふうに言っております。
  239. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 つまり、国民が知る権利と言っているところのものと情報開示請求権意味するところは同じであるということですね。抽象的にではあるけれども、同一のものとして知る権利がある、そういうことですね。
  240. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 意味することは同じであろうと想像をいたしております。  正確に知る権利をどこかで定義をされた、新聞週間のスローガンとして使われ始めたことでございますので、正確な内容についてどこかで定義をされているというわけではないと思います。
  241. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 知る権利憲法上表現の自由などから来る自由権的権利であり、行政情報開示などの請求権権利としてはいまだ確立していない、こういうことが言われます。そういうことも含めてお話しになっていると思うんですが、それは一つには、そもそも人権概念というものが発展していくものであるということ、それから立法府として新しい立法行為を今行おうとしているんだということ、その立法府の責任、義務、そのことを置き忘れている議論ではないかと思うんですが、違いますか。
  242. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 今この内閣の一員でございますので、立法府の立場を置き忘れてというのは、ちょっと意味が私はわかりかねるんですけれども、そういう言葉が使われないと立法府としての責任を果たしていないということになるということですか。そうであれば、そういうことはないと思います。
  243. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 つまり、最高裁でもまだその解釈が確定していないと、そんなことを言っていないで、最高裁は最高裁で、待っていないで新しい法律をつくるのが仕事だということです。そういうことです。
  244. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) それは私もそのとおりであって、たとえ憲法に書いていなくても、あるいは憲法上解釈ができなくても、それは立法府の判断としてそれがふさわしいということであれば当然そういうことになるんだと思いますし、また書いてあっても書かないということも、これは法律そのものが違う話でありますからあり得ると思います。私どもは、そういう意味ではその知る権利ということをおっしゃっていることをよく承知の上でその言葉は使わないということでございます。
  245. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 地方自治体の条例では既に知る権利の明記が流れになっています。ほかの委員の先生もおっしゃっていたと思うんです。修正後の新聞報道によりますと、知る権利の明記は原則公開理念をわかりやすく県民に示すことができる、これは愛媛県当局の声です。それから、法案に明記されなかったのは残念、これは岩手県知事だったと思いますが、こういう声が上がっていて、条例にできてなぜ法案はできないのか、こう言っているわけです。  こうした声にどう答えたらいいんでしょうか。
  246. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) たびたび申しておりますように、地方自治体と国はお互いに独立の機関でございますので、それぞれの判断でもって、条例でその言葉を使ったり、国が法律の中で使わなかったりするというのは、これは別におかしなことではないと思います。また、知る権利という言葉に特段思い入れを持っておられる方がおられたらば、その言葉が入ったことに喜ばれたり、あるいは入らなかったことにがっかりされたりということもまたあろうかと思うんですね。
  247. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 地方地方、国は国ということですが、知る権利をなぜ明記しないのか、ここにこだわり続けるわけで、実は知る権利を明記するか否かは不開示処分に大きな影響を及ぼします。  知る権利を明記した大阪府の公文書公開条例に基づいて知事交際費の会計書類の公開を求めて非公開処分が出されたケースで、大阪地裁は非公開処分取り消しを求めました。これは一九八九年。一方、同様の裁判で宇都宮地裁は、栃木県条例は知る権利に触れていないというところから、開示請求権憲法によらず条例で初めて創設された権利だ、こういうふうに言って住民側の公開要求を退けました。  今回、知る権利を明記しないのは不開示処分が争われたときの効果を意図したものと思われても仕方がないのではないんでしょうか。
  248. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) いわゆる知る権利につきましては、これまで申し上げてまいりましたとおり、その概念があいまいであるため情報公開法には用いないこととしたものでありまして、訴訟が提起された場合の効果を意図したというものではございません。  そして、ただいま御指摘の二件の下級審の判決につきまして、知る権利の解釈が判決に反映したかどうかの判断というのは困難でございますが、ほぼ同様の情報請求した訴訟であるにもかかわらず判決内容に違いが出ているということは承知をいたしております。しかしながら、これらの訴訟が上訴されました最高裁判所におきましては、知る権利についての言及はなく、そしてまたその判断が大きく異なっているということでもございません。したがって、最高裁判所は、このような例を見ましても、知る権利という文言の明記の有無によって裁判所の判断が異なるということとなるとは考えておりません。
  249. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 大阪地裁はこう言ったんですね。この条例目的憲法二十一条等に基づく知る権利の尊重と、参政権の実質的確保の理念にのっとり、それを府政において具現するために制定されたものと認められる、非公開事由に該当するか否かの判断は、個人プライバシー等の保護には最大限の努力を払いつつも、厳格に解釈されなければならない、こう言って非公開処分の取り消しをしたんですね。つまり、憲法で認められている基本的人権、その尊重ということ、これが開示、不開示の際に問われてくるということなんです。意図したものではないとおっしゃっても、そういう知る権利の不明記ということは、客観的には意図したものと思われると私は思います。  もっと具体的に聞きますが、行政改革委員会行政情報公開部会の審議の中の意見に次のようなものがありました。実務的には、開示請求権憲法上の権利を具体化したものと理論づけられると、適用除外、つまり不開示事項の解釈において、憲法上の権利を制約するに足る実質的な理由を求められることになるのではないか、こう言っているんです。これはここにもきちんと載っていますね、意見。  つまり、憲法上の知る権利から開示請求権が演繹されることを認めると、不開示領域が狭められてしまう、それでは不都合だと、政府もこういう立場ですか。
  250. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 行政改革委員会におきましても知る権利につきましてはいろいろな審議が行われました。そして、その審議過程におきましては御指摘のような意見も出たわけでございますが、同時に、法律のつくり方で原則公開、非公開、例外とすることは可能であり、知る権利を使う積極的な意味合いはないというその考え方も同時に示されております。  この委員会が知る権利という言葉を要綱案に使わなかった理由というのは、要綱案考え方にもありますとおり、知る権利という概念につきまして多くの理解の仕方があるということで、法律上の用語としては使うことはできないという結論を出したということでありまして、今回のこの法案で知る権利ということを用いていない理由は、憲法解釈上さまざまな考え方があるということに尽きるわけでございます。
  251. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 知る権利などの権利の概念というものは歴史的につくっていくものだと思うんですね。それで、そもそも表現の自由とか報道の自由、それに対して知る権利があるというふうになって、さらに報道の自由から当然取材の自由があって、そのためには行政が持つ情報公開請求する権利がある。今日では、さらに国民主権、今度の法文にも盛り込まれましたね、国民主権、幸福追求権、生存権、教育を受ける権利など、その側からも知る権利があるんだ、こういうふうに非常に豊かに発展してきていると思うんです。  ですから、確定していないとかそういうものじゃないんです。これは発展してきているということ、これを法律に盛り込むのが明記をするということです。  結局、今回の法律で一番問われるのは、原則公開なのかそれとも秘匿保護なのか。知る権利を明記しないところにやはり私は客観的には原則公開ではなくて行政による秘匿保護の姿勢が大変強く感じられます。  次の質問、手数料問題について質問します。  手数料というのは請求時手数料と閲覧手数料とそれからコピー代、この三段階あるということが既に確認されていると思うんですが、なぜそれぞれの手数料を取るんでしょうか。
  252. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 三段階で取るということは、まず請求が出て受理してから開示決定などの通知書の発出までの処理に要する費用がある、それから閲覧手数料は閲覧を実施するということにかかる費用がある、それから交付手数料はコピーの作成にかかる費用があるということで、三つに分けて各段階で手数料をいただこうということでございます。
  253. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 手数料問題というのは高いか安いかとか、それから幾らにするかとかそういう問題の前に、理念の問題として考える必要があるんだと思っているんです。  やはり、行政情報というのは国民共有の財産だと思うんですね。違いますか。
  254. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 国民共有の財産でありますし、また主権者から内閣が信託を受けてそのような行政活動をしたものがそこに蓄積されているわけでございますから、主権者のものである。
  255. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 ですから、それを知る権利請求する権利を保障するのが今度の法律制定ですね。ですから、原理原則としては、手数料を取るというのが大前提になるのはおかしいというふうに思うんです。もちろん、ただにしなさいと私言わないんですけれども、理念的に。
  256. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) ですから、そのような行政組織あるいは内閣まで含めて行政組織というもの全体が主権者である国民のものでありますから、その共有財産をそれぞれの個々の一人一人の国民に対してどのようにディスクローズするかというときになると、今度は開示を求めておられる方々と開示を求めていない方々との関係というのがあるわけです。そして、一般の納税者というのはそのことについて開示を求めているとは言えないわけでありますから、その間の負担のバランスというのが考えられなければいけないということであります。
  257. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 特定の者に利用させるということをおっしゃったと思うんですが、いわゆる受益者負担論になるのだと思うんですが、何人にも開示請求できるというのが今度の法律ですから、すべての人に開かれているわけで、いわゆる受益者負担論というのはこの法の趣旨にそぐわないというふうに私は思います。  それで、通告していないのですけれども、ちょっと重要な問題なのでこの問題を聞きたいんですが、手数料で点数の数え方、一決裁文書ごとに数えるというふうに伺ったのですけれども、そうなりますと、例えば何百ページ何千ページの一冊の資料でも、あるいは一枚の伝票でも同じように一点になりますね。これは大変な負担になると思うんです。  それから、三段階全部取られるというのがどうも納得できない。コピーまでもらう人の立場に立った議論ですけれども、閲覧手数料まで取られてしまう。修正案で、開示請求に係る手数料は五百円以下とする等、できる限り利用しやすい額となるように配慮されなければならないという、こういう趣旨が盛り込まれました。これが具体的に三段階にどう具体化されるのか、お聞きします。
  258. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 最初に言われました、一決裁文書ごとに手数料を徴収するということではなくて、請求に当たって内容的に関連の深い文書は一回の請求にまとめることができるということで考えております。  それから、今の手数料の具体的な額あるいは徴収方法等につきましては政令で定める予定としておりまして、いろいろと現在政府部内で検討しているところでございます。
  259. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 手数料問題というのは、この法律が本当に国民利用しやすい法律になるかどうか、つまりハードルの高い法律ではせっかくつくった意味がなくなるわけです。その一つのかなめをなすと思いますので、白紙委任にするということは大変不安を覚えます。  今後、さらなる質疑の中で詰めていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
  260. 吉川春子

    ○吉川春子君 共産党の吉川春子です。  文書の保管は情報公開の前提であるわけです。これが欠けると情報公開は絵にかいたもちとなるわけで、大変重要な問題だと思います。  文明国の三点セットとよく言われるのですが、これは図書館、博物館、文書館が挙げられます。日本は三番目の文書館は大変おくれておりまして、その結果、歴史文書あるいは公文書の保管が非常に不十分です。情報公開法を契機にこれが大幅に改善されることが必要であろうと思います。  それで、まず警察庁にお伺いいたしますが、第二次世界大戦の敗戦の直後、一九四五年八月十八日付の米進駐軍のための性的慰安施設開設を全国の警察に指示した内務省警保局長通達について、私はかつて参議院の決算委員会等で質問しまして、その通達の提出を求めましたけれども、捜しているけれどもないというお返事でした。まだ出てこないのですか。
  261. 野田健

    政府委員(野田健君) 戦後、内務省が廃止されるとともに、警察に関する制度が根本的に改められたところであります。  警察庁においては、御指摘の昭和二十年八月十八日付の外国軍駐屯地における慰安施設に関する内務省警保局長通牒を引き継いでおりません。当該文書の所在について調査を続けてきたところでありますが、発見には至っていないということでございます。
  262. 吉川春子

    ○吉川春子君 局長通達は、確かに出したのではあるけれども、ものがない、こういうふうに理解していいんですね。
  263. 野田健

    政府委員(野田健君) 通牒が発出されたかどうかという事実に関しても承知しておりません。
  264. 吉川春子

    ○吉川春子君 そういうことになるんですよね。結局、都合の悪いことはなくしてしまって、その通達さえ出したかどうかわからないというふうにおっしゃるわけです。  これは全国の警察の歴史、私は四十七都道府県全部調べましたけれども、局長通達に基づいて性的慰安施設を設置していて、生々しい記録が警察発行の歴史の中にあるんですが、そういうことすら発したかどうかわからないという形になってしまう、大変ゆゆしいことだと思います。  しかし、同時に、同年の九月四日付だったと思うんですけれども、課長通達の方は幸いというかアメリカに接収されておりまして、太平洋を渡ってアメリカに行った。そして、昭和五十年でしたか、また日本へ戻ってきて公文書館に保管されているわけですから、ずっと日本にあるべきものはなくなっている、アメリカに持っていかれたために残っている、こういう形になるんですけれども、内務省の公文書、戦前も戦後も含めてこれは今どこにあるんですか。
  265. 野田健

    政府委員(野田健君) 警察庁といたしましては、当時の内務省文書について引き継ぎを受けておりませんので、どこに所在するかは承知しておりません。
  266. 嶋津昭

    政府委員(嶋津昭君) 自治省でございます。  内務省時代に作成された文書のうち一部のもの、自治省の今の業務関係するものでございますが、それにつきましては、自治省が引き継ぎまして、現在、自治省あるいは国立公文書館においてそれを保管しております。
  267. 吉川春子

    ○吉川春子君 続いて自治省にお伺いしますけれども、九四年十一月六日に自治省のビルの建て直しのための引っ越しの準備の際に膨大な内務省関係の資料があることが判明したという報道に私は接しました。そして、この中には歴史的に貴重な資料が含まれている可能性が大きいと思われますけれども、この文書について私が聞きましたら、文書質問ですから大変そっけない答弁が返ってきまして、そういう事実はないというお返事でしたけれども、私は納得いかないんです。  この資料があったという報道はうそだった、こういうことになるんでしょうか。
  268. 嶋津昭

    政府委員(嶋津昭君) 私もその記事は読ませていただいております。一番大きな見出しが旧内務省の文書ぞろぞろということで、その下に副見出しで積み上げると二万メートル弱と書いてございますが、記事の内容を読んでいきますと、自治省のいわば全文書文書庫にある文書が約二万メートル弱でございまして、その中に内務省の文書が含まれているという記事になっているわけでございまして、若干、この見出しから受けた印象で、内務省の文書が二万メートルあるということではございません。  具体的に申し上げますと、現在、自治省が引き継いでおりますものが四百冊ぐらいの文書でございまして、それは地方行政制度あるいは地方税財政制度に関するものが大部分でございまして、それを先ほど申しましたように公文書館と自治省において保管しているということでございます。
  269. 吉川春子

    ○吉川春子君 公文書館と自治省に保管されているというのはその前に引き継いだ資料だと思うんですけれども、私が伺っておりますのは、官庁の建てかえに伴って引っ越しをしようとしたらたくさんの行政文書が出てきた、その中に旧内務省の資料があることも判明しているという、そういう記事だったんです。  それに対して、そういう事実はないというふうに私に答弁されているんですが、そういう事実はなかったわけですか。その点に絞ってお答えいただきたいと思います。
  270. 嶋津昭

    政府委員(嶋津昭君) 今のお答えでございますが、そういう膨大な量の文書が発見されたという事実はないということを申し上げた、今答弁した内容のとおりでございます。
  271. 吉川春子

    ○吉川春子君 私の質問主意書をそのままちょっと読んでみますけれども、政府の答弁ですね。「平成七年の自治省の仮庁舎への移転の準備に当たり、同省の保有する資料の総量について調査したことは事実であるが、その際に膨大な旧内務省関係の資料があることが判明したという事実はない。」と、こういうことですから、内務省関係の資料があるということはなかったということですね。
  272. 嶋津昭

    政府委員(嶋津昭君) 回答と私の今答弁したことはほとんど同じなわけでございますが、その記事にあるように膨大な量の内務省の文書が発見されたという事実はないということでございます。
  273. 吉川春子

    ○吉川春子君 どの程度だったらあるというんですか。膨大なというのはどのくらいのことを言うんですか。では、このないというのは膨大なにかかるんですか、この日本語は。ないというふうに私は答弁を見たんですけれども、膨大なということだけを否定しているんですね。資料はあったんですね。
  274. 嶋津昭

    政府委員(嶋津昭君) 先ほどお話ししましたように、内務省の文書は我々現在保管しておりますが、その総量のうち記者が記事を書いたときの分が何冊であるかということはつまびらかではございませんが、現在総量で保管しているものが四百冊程度であるということでございます。
  275. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうすると、仮庁舎の移転の準備に当たって出てきた、その中に内務省の資料があるんですね。膨大なかどうかはさておくとして、内務省の資料が出てきたわけですね。あるんですね。
  276. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) 速記をとめてください。    〔速記中止〕
  277. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) 速記を起こしてください。
  278. 嶋津昭

    政府委員(嶋津昭君) その数百冊の文書、これにつきまして内務省から引き継いだものが書庫の中に一部入っておりました。公文書館に既にお渡ししたものもございますけれども、しかし新たに発見されたという性質のことではございません。
  279. 吉川春子

    ○吉川春子君 すごく質問主意書というのは無味乾燥で、もう本当にこういう文章になっちゃうんですけれども、今、要するに膨大なというものじゃないけれどもとにかくあった。そうしますと、その旧内務省関係の資料はどういうものなのか、分類したり整理されているんでしょうか。
  280. 嶋津昭

    政府委員(嶋津昭君) それぞれの関係する所管の課にございますので、そういう分類をし、それぞれの課が責任を持って保管しているものでございます。  したがいまして、先ほど申しましたように、その内容は、自治省が現在やっております地方行政制度、昔でいいますと旧府県の制度とか市町村の制度、あるいは行政区画の変更の資料とか、あるいは地方税財政に関する資料、そういうようなものが大部分でございます。
  281. 吉川春子

    ○吉川春子君 総務庁長官にお伺いいたしますけれども、今お聞きのように、米進駐軍の性的慰安施設を設置するなんというそういう通達は、本当は政府にとって保存して皆さんにお知らせしたくない資料だと思うんですね。だから、私は紛失されて今まで出てこないと思うんですが、要するにそういうことは、しかし政府にとって都合がいいか悪いかという判断でそれが出てきたり出てこなかったりというのは大変国民にとってはゆゆしいことだし、真実が知らされないということになると思うんです。  これは一例ですが、要するに、こういう行政文書が故意に隠ぺいされたり紛失されたりしてはならない。やっぱりその保障、担保をきちっと制度として確立しておくことが必要だと思いますが、この点について大臣の御見解をお聞かせください。
  282. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 一般論としては、今、吉川委員がおっしゃったように、そのときの判断でもって隠したり出したりするものではないと思いますし、また、文書管理のルールについてはきちんとしたものをつくるように努めていくべきだと思っております。
  283. 吉川春子

    ○吉川春子君 自治省にお伺いしますが、今、その内務省から引き継がれた文書の中にどういうものがあるのか。私が一番追及してきた知りたいものは、従軍慰安婦関係のものがあるであろうということなんですが、それがなかなか出ていないんですが、そういう内容についてどういうものがあるかどうか整理して公表するということを急いでやっていただけるでしょうか。
  284. 嶋津昭

    政府委員(嶋津昭君) 内務省から引き継ぎました文書につきましては、文書公開のルールに従いまして、私ども公文書館に移管し、公文書館におきましてまた御検討の上逐次公開をされているところでございます。  それで、先ほど委員からの質問主意書の際にも、私ども文書の管理台帳等も当たっておりますけれども、先生がお探しのような文書は中に入っておりません。
  285. 吉川春子

    ○吉川春子君 もう一点だけ伺います。  公文書館に対して、この自治省の資料はそちらに預けるけれども、封は切るな、勝手に処分するな、こういう条件は一切ついていなくて、公文書館のシステムに従ってそれは公開される、このように理解してよろしいですか。
  286. 嶋津昭

    政府委員(嶋津昭君) 一部のものについて非公開にしていただきたいという指定をしておりますけれども、大部分は公開されるものだということで、公文書館のルールによって逐次整理が済み次第公開されているところでございます。これからもそういうふうにしてまいりたいと考えております。
  287. 吉川春子

    ○吉川春子君 その一部が大変問題なんですけれども、その一部を非公開にするという判断はだれがしたんですか。
  288. 嶋津昭

    政府委員(嶋津昭君) それは文書を保管しております自治省においてしております。
  289. 吉川春子

    ○吉川春子君 大臣、今でも膨大な行政資料が自治省に限らずにあるんですけれども、それがいろんな理由をつけて非公開という形になっているんです。それは、各省庁がそれぞれの判断でこれは公開してほしくないというその条件をつけて公文書館に移管してあれば、幾らその公文書館が公開しようと思ってもできないわけですね。  だから、こういうものは公開するという原則でもってきちっとしたルールをぜひ政府においてつくるべきだと思いますが、その点はお考えいかがでしょうか。
  290. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 文書公開に関するルールというものは、今一般的なルールが、例えばプライバシーとか国家の安全とか、そういうふうなことで一応法律に定めてありますけれども、それに該当するかどうかの判断というのは各行政庁の長が行うということになっていて、それに不服であれば情報公開の審査会の方に持っていく、あるいはそれでも御不満ならば裁判に訴えるというふうにさまざまな救済の手続がなされておりますので、そこは御心配の件については、一応それに対してこたえる体制はできていると思うのであります。  それについて、各省で判断するというのは結局は大臣判断でございますから、各大臣判断がそれぞれあっていいのかということについては、これは私は今の内閣制度というものがそのようなものになっているというふうにお答えする以外にないわけであります。
  291. 吉川春子

    ○吉川春子君 この問題についてはちょっと重要な大きな問題ですので、私は、そういう行政文書を各省の判断によって公開したり非公開にしたり、そういうようなことはきちっと改めていくべきだと思いますが、次の機会にこの質問は譲りたいと思います。  それで、もう一つの質問なんですけれども、防衛庁の文書の隠匿事件というものが記憶に新しくありましたけれども、行政文書が廃棄されるとかいうことは終戦直後のことだけではないということをはっきり印象づけた事件でした。これを防止する方法があるのかということを次に伺いたいと思います。  こういう防衛庁自身の問題についてはいろいろ国会でも議論されまして、それはそれで大いに問題があるんですけれども、大臣、一般論としてこういうような事件が再び起こらないシステムといいますか、そういうものをきちっとつくるべきではないでしょうか。
  292. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) これは文書管理の話になろうかと思うわけでありますけれども、文書管理については今この法律にも書いてありますように、文書管理に関する定めというのを、ルールを各省庁においてつくる、そしてそのルールについての基本的な事項を政令で定めるというふうに決めております。  したがって、政令で定めたことに基づいてこういうふうに、いわゆる防衛庁の事件のようなことがないようにきちんとルールをつくっていきなさいと基準を定めて、具体的なことについては各大臣が各省においてそのルールを訓令という形でもって大臣の命令としてつくっていく、それを公開する、それを見て国民がどう判断をするかということで、またその内容がだんだんと同じものになっていくのではないかというふうに思っております。
  293. 吉川春子

    ○吉川春子君 どのような形でルールづくりが行われているのか、その素案等について明らかにしていただけませんか。
  294. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 情報公開法規定の中で、情報公開法に基づく文書管理のルールの整備と公開という仕組みによりまして、ただいま大臣がお答えを申し上げました恣意的な文書の廃棄の防止も含めて、適正な文書管理を確保することができるというふうに考えているわけでございます。  具体的な政令事項ということにつきましては、この情報公開法の中で規定をいたしてございまして、行政文書の分類、それから作成、保存、廃棄といった行政文書のライフサイクルを通じた統一的なルールといったものを政令で定めるということといたしておりまして、この法律の成立後、できるだけ早く各省庁の実態等も踏まえて策定をしたいというふうに考えております。
  295. 吉川春子

    ○吉川春子君 今作業が進んでいると思いますけれども、その素案みたいなものを明らかにすることはできませんか。
  296. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 今の段階では素案といったようなものまではつくっておりません。
  297. 吉川春子

    ○吉川春子君 行政文書を隠匿したり廃棄したり、そういうようなことをするのは公務員、システムの問題が一番大事だと思うんですけれども、具体的にそういうことがなされた場合、どういう対処の方法をされるんでしょうか。文書が隠匿、廃棄されたような場合です。
  298. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 仮に、行政文書を不適正に廃棄するようなことがあれば、国家公務員法の懲戒処分などの対象になるというふうに考えております。
  299. 吉川春子

    ○吉川春子君 とにかく厳罰に処せとか、そういう立場での質問ではないんですけれども、刑法の証拠隠滅罪とか公文書損壊罪とかそういうものに当たる場合はそういうものがあります。しかし、そのほか、情報公開法制定されて、そして公文書の隠匿とか損壊が行われた場合については一般的な公務員の今ある規定で、処罰に限らないんですけれども、対処方法としてはそういうことで基本的には考えていくということでしょうか。
  300. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 情報公開法に基づく政令では、保存、廃棄といったことにつきまして共通的な事項規定するわけでございます。  そしてその中に、行政文書について開示請求をしまして、その開示請求対象となる行政文書がないという場合に、情報公開法が成立をしました場合には不存在ということで決定をすることになるわけでございます。そして、それに対して申請者の方で不服があれば審査会あるいは裁判所の方に出訴できるということでございまして、行政文書の管理に関するルールというのは、策定をいたしましたら一般の閲覧に供する、公開するということになっていますので、そういった行政文書の管理のルールを見て、それでこういう文書というものは作成しているはずだとかそういったようなことも行政文書の管理のルールから推測することができるといいますか、そういったようなこともあわせて、この情報公開法行政文書の管理の中で実施をしていくことといたしております。
  301. 吉川春子

    ○吉川春子君 時間が来ましたのでこれで終わりますけれども、大変日本公文書が大量に焼却された事実、そしてそのことによって真実が知らされないという苦い体験を持っている私たちですから、やっぱりこの文書について引き続き追及をしていきたいというふうに思います。  終わります。
  302. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 五条の行政文書開示義務についてお聞きいたします。  五条は不開示情報のことを規定しております。その三号と四号についてお聞きしたいと思います。ほかの号はいずれも、「おそれがあるもの」という規定になっておりますが、この三号、四号は、いわゆる外交、防衛、捜査の号ですが、三号、「公にすることにより、国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」と、二段の要件になっております。四号も同じように、「おそれ」プラス「行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」というように、要件がほかの要件と違いまして二段になっております。  なぜ外交、防衛については、行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報というふうな要件が付加されたのでしょうか。太田長官、お願いします。
  303. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 立案過程のことでございますので、行政管理局長に答えさせたいと思います。
  304. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) この情報公開法案の第五条の三号、四号についての規定ぶりでございますが、この三号、四号は、我が国の安全、他国等との信頼関係を確保すること、そして治安の維持といったような国民全体の基本的な利益を擁護するための情報について、これらの利益を害するおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報を不開示情報規定をいたしているところでございます。  このように、行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報というふうにいたしましたのは、この外交、防衛、治安関係情報につきましては、外国の場合でも同様でございますが、高度に政策的な判断、それから専門的な判断といった観点から、行政機関のこの問題についての第一次的な判断というものを尊重しようということで、合理的な理由をその開示、不開示判断に当たって示すということといたしたものでございます。
  305. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 今政策性と専門性とおっしゃいましたが、いずれも他の号で必要なものだと考えます。  例えば、二号は、「法人その他の団体に関する情報又は事業を営む」云々とあります。こういうことについては、専門性、政策性は極めて必要で、だからこそ多数の情報をきちっと開示して、いろんな人の意見を聞くということが要求されていると考えます。  ですから、政策性、専門性は根拠にならないと考えますが、いかがでしょうか。
  306. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) この三号、四号につきましては、国の存立に関するような情報等、外交関係、防衛関係、治安関係ということで、それ以外のただいま御指摘の号の不開示情報と違う取り扱い、つまり高度に政策的な判断それから専門的な判断、そういったことを必要とする情報であるということでこのような規定ぶりにしているものでございます。
  307. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 専門性ということではほかとは変わらないということで、ちょっと答えになっていないと思いますが、いかがですか。
  308. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 外交問題、防衛問題、それから治安問題、こういったものについては高度に政策判断あるいは専門技術的判断を要するということでございまして、諸外国におきましてもこういった情報につきましては、それ以外の不開示情報と異なりまして、行政機関の第一次的判断行政機関の責任で対応すべき不開示情報の類型というような規定ぶりをしているものでございます。
  309. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 行政機関の長が認めることにつきというふうに主観的な要件になっているんですが、この点についてはいかがですか。
  310. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) ただいまの政策判断あるいは専門技術的な判断を有する事柄でありまして、その第一次判断行政機関の長に行わせることが妥当であるというふうに考えた結果の規定ぶりでございます。
  311. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 この三号、四号が、第一次判断権者を行政機関の長というふうにしているわけですが、これは裁判所に提起された場合にほかの要件と異なる点はありますか。
  312. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 第一次的判断行政機関の長に行わせるといった場合に、行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報ということで、行政機関の第一次的な判断を尊重しまして、その判断が合理性を有する判断として許容されるかどうかといったことを審理、判断するということになります。
  313. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 国家公務員法などによって保護されている秘密の扱いについては、最高裁の判例はいわゆる実質秘説という立場をとっております。実質的に保護すべき内容を備えているかどうか、そのことを裁判所が独自の立場から判断するという立場を既に判例として固めております。  そういう判例の確立された法理からして、この要件があるからといって、立証責任を実質的に原告に負わせるとか裁判所の審査権を制約するということにはならないのですね。
  314. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) ただいま申し上げましたように、この規定は外交、防衛、それから治安等の極めて高度の政策判断、専門技術的判断を要する事柄であるということで、裁判所は行政機関の長の第一次的な判断を尊重し、その判断が合理性を有する判断として許容される限度内であるかどうかということを審理、判断するということでありまして、行政機関判断を尊重する規定というふうにいたしているところでございます。
  315. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 外交、防衛などは重要な国民の命にかかわる問題、安全にかかわる問題ですから、こういうことこそむしろ情報開示して国民の審判を仰ぐべきではないでしょうか。  つまり、国民が適正な判断をこれに基づいてできる、それによってこそ外交、防衛に対する信頼感が回復できる、信頼を確立できるというふうに思います。  一条は、「政府の有するその諸活動を国民に説明する責務」、アカウンタビリティーを持つということを規定しております。外交、防衛のみ、なぜ裁判所は行政の長の判断を尊重するのか理解できませんが、いかがでしょうか。
  316. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 外交・防衛情報につきましては、その取り扱いが我が国の安全、存立等に重大な影響を及ぼすおそれがある、他国との信頼関係ということで国際上の利益を確保するといったようなことも重要であるということで、こういった情報につきましては行政機関の第一次的判断ということ、政策的判断を尊重するという立法の趣旨にいたしているものでございます。  こういったものにつきましては、諸外国情報公開法におきましても、例えばアメリカでは、大統領命令による秘密指定が正当になされたものであればこれを不開示とする。あるいは、オーストラリア、ニュージーランドでも、不開示文書である旨の主務大臣判断が最終的なものとされるということで行政機関の長の判断が尊重されるというような仕組みとなっております。
  317. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 尊重されるとおっしゃいましたけれども、これでいささかも原告の立証責任が加担されるとかそういうことではないわけですね。
  318. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 情報公開の訴訟におきましての立証責任の問題につきましては、この問題については裁判所は行政機関の第一次的な判断が合理性を有するかどうかといったことについて判断をするわけでございます。そういった点につきましての立証というものは行政機関の方で立証し、そして、合理的な理由を有する限度であればそういったものにつきましては行政機関判断が尊重されるというような仕組みになっておるわけでございます。
  319. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 私は外務省に対して、日米安保条約に基づいて米国が日本を防衛するために敵国が核兵器を使用しない段階で米国が核兵器を使うオプションを持つことを求めるという立場日本がとっているかどうかについて資料要求をいたしました。つまり、核の先制不使用、使用の問題です。この点については、一九七五年の三木・フォード会談があるということで、日本は核の先制使用を認めるということの回答をいただきました。  しかし、問題点はそれから先です。この一九七五年の三木・フォード会談以前に、核の先制使用を認めるというこの決定に際して日本政府内部でいつどのような議論が行われたのか、またこの議論が記録されている文書はあるかということで聞きましたところ、あるかないかも含めて一切答えられないというのが回答でした。  もし、この情報公開法ができた場合に、この情報開示されるのでしょうか、されないのでしょうか。外務省、お願いします。
  320. 浦部和好

    政府委員(浦部和好君) 全く突然の御質問なものですからあれでございますが、要は情報公開法ができて具体的に開示の御請求があった段階で判断をさせていただいてお答えをする、こういうことかと思います。
  321. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 ただ、この法律ができ上がって不開示の部分が広いと本当に困りますので、今、例えばこれは開示か不開示かについてお答えできますでしょうか。
  322. 浦部和好

    政府委員(浦部和好君) 繰り返しになりますが、その第五条の規定等がございます。また、個別の要求が恐らくございますのでしょう、それを踏まえてその段階で検討をさせていただく、こういうことになると思います。
  323. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 今の段階で開示されるかされないかがわからないというのは非常に不安なんですけれども、答えていただけないでしょうか。
  324. 浦部和好

    政府委員(浦部和好君) 大変恐縮でございますが、同じようなお答えしか現段階では申し上げられませんで、その段階で具体的に御請求をいただいてお答えをするということになるかと思います。
  325. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 外交、防衛に関して何が開示されて何が不開示かということはとても私たち関心を持つところですが、例えば周辺事態法がもし成立した場合に、安全保障会議の審議を経るというふうになっております。この安全保障会議の審議公開されるのでしょうか。
  326. 守屋武昌

    政府委員(守屋武昌君) 私どもの方もその周辺事態法を今国会で御審議を、まだ委員会には付託されておらないところでございますが、国会で、予算委員会等において議論が行われたところでございますけれども、周辺事態について国として対応する場合にどういうふうに……
  327. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 済みません、周辺事態法についてお聞きしているのではなくて、安全保障会議の審議がこの法律ができたときに開示されるのかされないのかについて、端的にお答えください。
  328. 守屋武昌

    政府委員(守屋武昌君) この法案の第五条の規定に基づき、国の安全等に関する情報その他の不開示情報が記録されているもの、または部分については開示しないという決定を行うことになると考えております。
  329. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 しかし、国民は、この安全保障会議がどのような意思決定に基づいて、極めて重要なことですから、知りたいと思うのですが、これも不開示なんですか。
  330. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 結局は、この開示、不開示判断というのは、行政官というよりも内閣が最終的な責任を持って判断することだと思うんですね。そのことが公になって世間にさらされることによって安全保障上危険だと思うのかどうかという判断は、まさに政策的な判断であって、最終的には内閣の主務大臣判断で決められなければいけないと思うわけです。  そこで、国民の選択はどうかというと、今、福島委員がおっしゃっている知りたいと思っている国民と、そしてほかに、そういうことが明らかになることによってむしろ国が危険になるというふうに判断する国民も一方においてはいるだろう。それぞれの判断を踏まえて、そのときの政策の責任者がどうするかという問題だと思います。
  331. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 この情報公開法の根本は国民に対して説明義務を持つというところにあると思います。重要なことは国民情報開示して、そのもとで判断してもらう。適正に判断が行われたかどうか、国民は説明してもらう権利があるというふうに考えますが、いかがですか。
  332. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) ですから、一般論としてはそういうことはあるんですけれども、しかし個々の問題について、今おっしゃったようにそう判断をする人も、前にも申しましたように憲法十五条の、要するに行政内閣は何のために仕事をするのかというと、一部の国民ではなく国民全体のために仕事をするわけですから、国民全体がそう思っているのか、一部の国民だけなのかということは高度の政治判断をしなければいけないということです。
  333. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 ですから、この不開示の条項により情報が出てこない場合がかなりあるのではないかという危惧を持っているために聞いております。  では、先ほどの安全保障会議の審議についてはお答えしていただかなかったんですが、閣議決定、この場合の閣議の中身については開示されるのでしょうか。
  334. 守屋武昌

    政府委員(守屋武昌君) 緊急事態の周辺事態法では、基本計画を策定いたしまして、それを閣議決定いたしまして国会に報告することになっておりますので、その限りにおいて内容開示されると考えております。
  335. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 話が戻ってちょっと申しわけないんですが、先ほどお聞きした核の先制使用の点についての文書はなぜ出てこないのでしょうか。
  336. 浦部和好

    政府委員(浦部和好君) まさに、現在でも外務省というのは文書公開に関する内部規定を持っております。そこにこの情報公開法ほど詳しくありませんが、国の安全に関することとか、個人プライバシーを守るとか、そういうことで、国の安全というのは、今のこの情報公開法的に申し上げれば、外交交渉上の我が国の利益であるとか、あるいは国の安全そのものであるとか、その国あるいは国際機関との信頼関係であるとか、そういうところを踏まえて現時点では判断しているということでございます。
  337. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 クリントン大統領は一九九五年四月、政府の新たな機密文書は十年を期限としてこれを公開する、二十五年以上の機密文書は例外を除いて自動的に秘密指定を解除するという大統領命令を出しております。ベトナム戦争時代の文書も含めて、一九七〇年以前の国家安全保障に関する公文書原則として公開です。  ですから、私は百歩譲って、例えば今出せないものがあるとします。しかし、日弁連は十年と言っておりますけれども、以前あった文書は出すべきだと考えますが、いかがですか。
  338. 浦部和好

    政府委員(浦部和好君) 実はもう先生十分御案内のとおりでございますが、外務省は昭和五十一年から三十年以上の文書については原則として公開をするということで、五十一年以来、むしろ記録の公開という作業を進めております。  ただ、そういう記録の公開という作業を進める中でも、やはり我々三十年という原則は持っておりますが、そういう原則の中でも先ほど申し上げましたような特別の例外はあるということでございます。
  339. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 アメリカの場合は新たな機密文書は十年ですし、一九七〇年以前の国家安全保障に関する公文書原則として公開です。さっきの基準でいきますと、どんなに年数がたっても公開されないのではないですか。
  340. 浦部和好

    政府委員(浦部和好君) そういう例があるということを私は否定できないんだろうと思います。つまり、一定で、今我々原則が三十年でやっておりますが、にもかかわらず、三十年たっても公開するに適当ではないと、先ほど申し上げたような基準に該当するからでありますが、そういうものがあるわけでございまして、何年たったら絶対全部公開ができるかと言われれば、つまり今逆の形で申し上げているわけですが、そういうふうにはなかなか申し上げにくい状況にある、こういうことでございます。
  341. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 ある程度歴史が経過すれば、国民に対して歴史を説明する説明義務があると考えますが、いかがですか。
  342. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) どうも何か法律や理論的、論理的にこういうことは詰められるというふうにお考えのようですけれども、私は、クリントン大統領がそういうふうなことを決めた、何年か期限がたったらすべてのものを公開するというのは、それはクリントンの政策判断、主張であって、そのことをアメリカ国民が支持するかどうかの話だと思うんです。ですから、それは我が国でもそれぞれの政党がそういう主張をされて、そして、もしそれが多数派を占めればそういうふうになるだろう、こういうことじゃないですか。
  343. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 この情報公開法をつくる意味は、できるだけ情報開示して、そのことによって国民がむしろそれを信頼していくということにあります。今のような立場ですと、知らせない方がいいのではないかと戻っているというふうに思いますが、いかがですか。
  344. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) いや、そんなことは言ってないわけで、それは今の段階で外交、安全保障については原則として、それからまたプライバシー保護のようなことについては制限する方が国の安全にとってはいいだろうという判断をしてこの法律を出しているわけです。後退しているわけじゃなくて、原則公開ということには変わりはないわけです。
  345. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 二十七条の審査会についてお聞きいたします。  「審査会は、必要があると認めるときは、諮問庁に対し、開示決定等に係る行政文書の提示を求めることができる。」、二項が「諮問庁は、審査会から前項の規定による求めがあったときは、これを拒んではならない。」とあります。  この審査会には、不開示となった文書本体も出てくるのでしょうか。
  346. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 審査会が必要であるというふうに認めた場合には提出をされます。
  347. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 では、ここには提示ですが、開示もあるわけですね。文書は読めるわけですね、審査委員は。
  348. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) これは先ほど審議がございましたけれども、いわゆるインカメラの規定でございまして、審査会が必要であるというふうに認めるときにはその審査会のメンバーは実際にその文書を見るということでございます。
  349. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 裁判所に対して、例えばアメリカですと、インカメラ方式と言って裁判官だけはその文書を読むことができる。日本の裁判制度ですと、両方の言い分を聞いて、裁判所はその中で文書は見ないで裁判を出すというふうになっておりますが、この情報公開法ができた以降、裁判所にはそのインカメラ方式で文書を出すということはあり得るのでしょうか。
  350. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 御承知のように、裁判の公開原則憲法の八十二条に規定をされております。したがって、裁判の段階につきましては、インカメラ審理といったものは採用をせず現行の訴訟手続で処理をしていただくということになります。
  351. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 ちょっと話が戻って済みません。先ほど三号のどちらが原則で例外かという話になったんですが、この情報公開法情報公開することが原則で、不開示が極めて例外的なことだというふうに理解しております。この情報公開法情報公開国民への説明義務を尽くすということが国家の役割であるという情報公開が大原則であって、情報公開しないということは極めて例外的だというふうに私は理解しておりますが、太田長官、いかがですか。
  352. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 私も同じように理解しております。
  353. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 先ほどの答弁で、外務省、防衛庁の情報が、先ほどの日笠委員の方から出たようにかなり膨大なんですが、それはかなりもう公開されるというふうに考えてもよろしいんですか。
  354. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 例外の中にそういうものが入っておる、原則開示なんだけれども、外交、防衛に関する機密にかかわる情報というのは非開示で例外扱いになるということだと思います。
  355. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 もう一点お聞きします。例えば外国から輸入食品の添加物や使用される農薬についての情報などがあります。国民は大変知りたいと思うのですが、これが三号の「他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれ」などという理由で、交渉や会議に関する文書が非公開になるのではないかという不安もあるんですが、この点はいかがですか。
  356. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 個別具体的な問題について直ちにこの段階で判断するということは困難でございますが、この情報公開法の不開示事項は一定の合理的な理由に基づきまして不開示とする必要がある情報を不開示情報としまして、不開示情報は記録されている場合を除き行政文書は要求に応じて開示されるという考え方でつくられております。
  357. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 文書管理の廃棄について先日お聞きいたしました。この情報公開法ができた以降は廃棄についての政令をつくり文書ができるというふうに理解しておりますが、問題なのは今の時点だと考えます。今の時点でルールをつくって廃棄についての文書指示をするということを約束していただけますか。
  358. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 情報公開対象となります行政文書は、行政機関組織において業務上必要なものとして保存されている文書対象になります。したがって、こういった文書行政機関において適正に管理されるべきものでありますから、いずれにしても管理の仕組みのいかんを問わず恣意的に廃棄できるものではないというふうに考えております。
  359. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 恣意的に廃棄しないための担保が必要だと考えているわけです。つまり、情報公開法施行される前にばんばん廃棄されたらたまりませんから、廃棄されないための文書、だれがいつどういう文書を廃棄したのかという、今自治体がやっているような文書を残しておく必要があると考えますが、いかがですか。
  360. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) ただいま申し上げましたような行政文書を不適正に廃棄したような行為につきましては、公務員法上の懲戒処分などの対象ともなり得るわけでございます。したがいまして、業務上必要な文書を廃棄するということはあり得ないというふうに考えておりますが、情報公開法制定されましたら、できるだけ早く文書管理についてのルールを定め、適正な文書管理に努めるよう推進してまいりたいと考えております。
  361. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 今の段階が問題だと思うんです。要するに、公務員を信用しないわけではありませんが、戦前のような国家は悪をなさないという建前に立っておりませんから、今の段階で廃棄についての文書をつくることが国民の信頼を獲得する方法だと考えますが、いかがですか。
  362. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) この間の防衛庁の事件で、結局そういうことを実行した人は懲戒処分の対象になっているわけでありますから、今だってやってはいけないことをしたわけです。やってはいけないことになっておるし、それをやったらばペナルティーがあるということは、今現にそういう制度になっておるわけであります。それに対して、それをあえてまた破る人がいるということは、それは絶対ないとは言い切れないわけでありますけれども、今のルールがちゃんと生きているということはこの間の事件の対処でもってはっきりしておると思います。
  363. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 懲戒処分は当然のことであります。そうではなくて、国民の側から見て、自分が欲しい情報が廃棄されたのかどうか、いつだれがどういう形で廃棄したのかを知ることが必要なので、廃棄文書をつくることが説明義務の一つだというふうに考えております。これについては、今からでもルールづくりをして、施行までに内部のルールづくりで出してほしいと思いますが、いかがですか。
  364. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 情報公開法上の文書管理におきまして、行政文書につきましてはそれぞれ各省庁が一定のルールをつくりまして、そういったルールを公開するということで、情報公開法施行後におきましては、国民開示請求をした場合に仮にその文書がないというような場合におきましては、その不存在といったことについての決定をすることになるわけでございます。そういったものにつきましては、情報公開審査会あるいは裁判所等でその是非について争われることになるということで、自後的な担保といったことも情報公開法制定後は可能になるものと考えております。
  365. 月原茂皓

    月原茂皓君 自由党の月原です。  もう多くの方々が質問、質疑をされたので、重なることが多いので簡単に申し上げます。  衆議院審議において修正事項があった。何を修正されたかとお聞きしようと思ったんだけれども、これはもう皆さんがお聞きになっておる。しかも与野党共同で修正した上、全会一致で可決された。これは非常に重いことだと思うんです。この間の本会議でも答弁されておったと思う。太田長官は責任者として、この推移を見ながらそれについてどのような感想をお持ちになり、この法案参議院に送り込まれた後、どういう決意でおるかということをお伺いしたいと思います。
  366. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 与野党の共同修正案が出されるまでは、私は一貫して政府原案がベストのものであるということを言い続けてきたわけでございますから、ここで私どもが修正を受け入れるということは、やや断腸の思いというか、そういうところはあるわけでございます。ただし、私どもは前から言っておりますように、この情報公開法案がともかく日の目を見ること、制度としてスタートをすることが大切でありますから、そこは我々は修正を受け入れるということになったということでございます。ぎりぎりの修正案であったと思っております。
  367. 月原茂皓

    月原茂皓君 非常にいろいろな力と対抗しながらいい線に落ちつけた、命がけで一日も早く成立させる努力をされようとするその決意が伝わってきました。  そこで、私は思うんですが、この間、新聞を読んでおると、宮城県の浅野知事が言うに、議論よりも動き出すことが大事だ、細かい部分は動き出してから考えればいい、そういうふうな発言をされておる。現在の法案で各省庁の抵抗が最も強かった提訴地の問題も一応修正された、それからまたすべての国民情報公開請求権を持つということもはっきりした、早く通すことによって全国で二割に満たない自治体の条例制定を促すことになる、こういうふうな論調が幾つか見られたことは、私は心強いことだと思います。そういう意味で、長官がおっしゃったようにこの参議院に臨んでいただきたい、このように思うわけであります。  そこで次に、ちょっと技術的な問題だから局長さんが中心になろうかと思いますが、今、福島議員もお尋ねで、これはもう多くの議員が既に尋ねたことだと思うんですが、時限開示について、だれが判断するんだということです。それからもう一つは不法破棄、これは先ほど防衛庁の例を挙げられておりましたが、長野オリンピックの例を見てもいいんです。日本の国は、ちゃんとしたオリンピックに対して姿勢を正さすネタがあるのに、それは全部焼きました、こういうことなんです。だから、私は時限開示と不法破棄について、だれが判断するんだ、そして今、局長お話だとこれは判断が間違っていたら結局裁判所がけりをつけるんだというふうなお話でありましたが、私はその点もう少し判断するところを、もうなくなってしまった後ですから、取り返しがつかぬわけですから、判断する主体というものをだれにするんだ、その責任はどうするんだということをちゃんとしておかぬといかぬと思います。  特に、法施行までの間にガチャガチャッとやられたら困るというのが多くの人の見解であります。国民に向かってそういう点は心配するな、こういうふうにやるんだというようなことがあればお話し願いたいと思います。
  368. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 御指摘のように、行政文書の管理は適正に行われるべきであるというふうに認識をいたしております。
  369. 月原茂皓

    月原茂皓君 最後になりますが、外務省にお尋ねします。  民主主義の国家にも守るべき秘密はあるわけです。そういうことで、我が国は憲法議論がありまして、なかなかそういうことを成立させることは困難なものですが、諸外国においては俗に秘密保護法というか、ただ単に開示しないということではなくて、国家の浮沈にかかわるようなこと、それにさわったら大変だよ、みんな一緒にこの島しか我々は住むところはないんだから、こういうふうな立場で秘密保護法というものが置かれる。私はそういう意味で、何も秘密保護法をつくれ、つくるのがいいんですと外務省に答弁願いたいわけではありません。諸外国の例を出されて、こういう国益については秘密保護法もあるし、当然のこと情報開示もされておるんだ、そして罰則はこういうふうになっておるんだということがわかれば御紹介願って、私の質問を終わりたいと思います。
  370. 浦部和好

    政府委員(浦部和好君) 外務省においては、諸外国におきます国家機密保護に関する法律でございますが、それを網羅的に調査は実は行っていませんが、例えばアメリカ、ドイツ、フランスあるいは韓国においてはそういう法令があるというふうに承知をしております。  具体的に申し上げますと、例えばアメリカにおいては連邦法典第十八編第三十七章スパイ及び検閲というところがございまして、国防情報の収集、移転または紛失、外国政府を助けるための国防情報の収集または引き渡し、国防施設の撮影、秘密漏えい等の行為が死刑、拘禁刑または罰金の対象になっております。  ドイツですと、刑法によりまして国家機密の漏えい、探査及び情報活動等の行為が自由刑、最高で終身自由刑だそうでございますが、または罰金刑の対象となっております。  韓国におきましても、刑法、国家保安法及び軍事機密保護法によりまして、国家機密及び軍事機密の探知、収集、漏えい、伝達等が死刑または懲役もしくは罰金刑の対象になっておる、こういうことでございます。
  371. 月原茂皓

    月原茂皓君 どうもありがとうございました。
  372. 堂本暁子

    堂本暁子君 参議院の会の堂本暁子でございます。  去年、連立与党の中でこの情報公開法の協議に参加いたしましたし、その前から大変長いことこの法律にかかわってきた者としては、衆議院修正され参議院に送られてきょうこういう審議に参加できるということには大変うれしくも、それからもっと感無量という気持ちでおります。特に訴訟の管轄については非常に問題があったことですけれども、八つの高等裁判所に拡大されたということも大変御苦労を、衆議院の先生たちはいらっしゃいませんが、おありになっただろうと思いますし、沖縄が取り残されることのないように願いたいという思いは大変強くあることをまず申し上げたいと思います。  私も、実は大詰めなものですから大分ダブった質問もございますけれども、いろいろきょうの審議の中でフォローアップしたいという内容が幾つかございました。一つ太田長官が、情報公開法がつくられた経緯、これは江田先生の御質問でしたけれども、その御答弁で時代の流れ、そして時代の変化によるものというふうにおっしゃいました。その時代の流れあるいは時代の変化、その内容をどのように認識していらっしゃるか、伺わせていただきたいのです。
  373. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) これはちょっと言い過ぎるかもしれませんけれども、やや世代的なものがあって、日本憲法のもとで育ってきた者がふえてくれば当然国民主権というものをみずからの血となり肉となして育ってきているわけでありますから、当然それはあってしかるべきというふうに考える意見が多数になってきた、今まで同調していなかったところでも同調するようになってくる、こういうことではないかと思っております。
  374. 堂本暁子

    堂本暁子君 ちょっと大きな話になってしまうかもしれませんけれども、東西の対立の中で軍事機密とかそれから核のバランスというような時代から、八九年ごろからでしょうか、もっと大きな時代の変革があった。そういったことと関係があるというふうにはお考えじゃないでしょうか。
  375. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) もちろん、冷戦構造が崩壊したということは、我が国の国民の各界各層についても大きな衝撃を与えたことでありますので、そこで認識が変わってくる、考え方が変わってくるということは大いにあったと思っております。
  376. 堂本暁子

    堂本暁子君 その変わり方の内容だと思うんですけれども、この法律行政改革の中で出てきたように、時代の流れというのは地方分権に象徴されますようにやはり規制緩和の方向に向かっているということだろうと思います。つまり、政策に関しての自己選択あるいは自己決定という時代に変わってきた。例えば、ペイオフなんかが一番いい例だと思うんですけれども、銀行の情報なしに自分たちがそういうことを選択するということは大変難しい。同じように、例えば保育所にしても今度は自己選択できるように児童福祉法が変わりましたし、いろいろなところでそういうことがどんどんここ一、二年の間に起こっているわけです。  ということは、選択するためには情報がなければ選択できない。だから、情報公開法というのは本当に民主的な政策、民主的な国として展開していくためには必要不可欠だというふうに私は思っているわけです。長官が同じような認識をお持ちかどうかということをちょっと確認したかったんですが、同じようなことをもしかしたらお考えかと思いますけれども、そういった自己責任を政府がもし私たち一人一人の国民に求めるのであれば、そうしたならば情報公開法はもう絶対必要。具体的な例で言えば、例えばエイズのようなこともありました。でも、その情報公開されていれば恐らくだれも選択しなかった。情報がなかったから選択したわけですね。そういったことがこれから起こってはならない。  その意味で、情報公開法というのは、単に情報公開するということだけではなくて、むしろこれからの政治のありようあるいは行政のありようということのかなめのようなところだというふうに思うんです。  その意味で、当たり前のことを言っているとおっしゃるかもしれませんけれども、先ほど福島先生なんかが質問なさった防衛とか外交の情報、これは非常に微妙なことがあるかもしれませんけれども、今のエイズの問題ですとかさっきのオリンピックの話とか、そういったことは本来は全部が公開されてしかるべきだ、だから公開原則だというふうに長官は御認識でいらっしゃいましょうか。
  377. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 最初におっしゃいました規制緩和や地方分権と情報公開関係でありますけれども、それは情報を持っている者、十分な情報を持っていなければ自己責任社会が成り立ち得ないというのはそのとおりでありますので、そういう意味でもこの情報公開法というのはおっしゃるように新しい時代に向けて必要な法律だと思います。原則公開であるということはたびたび申しておりますけれども、そのとおりであると思います。  ただ、さっきの福島委員の御質問に対しても申し上げてきたことでありますけれども、そういう情報を知ることによって非常にハッピーであるという人と、それからそれが明らかになることによってデメリットがあってアンハッピーという人もいるわけです。特定の少数の人ではなくて、開示されることのデメリットがメリットを上回ったというときには、そう判断をしたときには開示しないということになるわけです。その判断は、やはりこういう民主主義社会でありますから、いわゆる政策的な政治家の判断に最終的にはゆだねられるということになると思っております。
  378. 堂本暁子

    堂本暁子君 余りそのデメリットというのが私はちょっと理解できないんです。例えば、国にとってのデメリットということはあるかもしれません。企業秘密とかそういうこともないとは言えないでしょう。しかし、私は九九%は公開してしかるべきだと思うんです。  ですから、先ほど国会情報は今もうインターネットを使って開示されているということでしたけれども、私たちはアメリカ行政情報も今インターネットでとることができる、向こうの下院の議事録なんというのは翌日もう日本で読むことができる、そういうのが時代の流れです。  たくさんある中のほんの要求された一部を開示するんではなくて、全体が開示されている、その中のほんの一部が開示されないんだというふうに私は理解するんですね。とすれば、こういう時代ですから全部インターネットにお出しになればいい。そうすると、どうしても開示できないものは別として、原則開示できるものなら全部インターネットで情報開示する。そうしますと、手数料の問題なんかも非常に省けるわけです。  私は環境のことをやっていますから、こんなに紙が使われることよりは、むしろそういった画面上で見て必要なところだけをプリントアウトするという時代なんではないでしょうか。ですから、この法律ができるということは、ヨーロッパやアメリカはもうとっくにそういった意味で価値観の転換をしている。そして、それに日本が追いつくのであれば、遅きに失したことはありますけれども、きょうの審議を伺っていると、やはりどうもそこのところがすっきりしません。  そして、最終的に大変気になるのは、だれが判断をするのかということです。行政機関の長ということになっておりますけれども、これはどうしても、外務省の答弁もありましたけれども、そういったところもあるかもしれません。しかし、むしろ第三者機関でもいいんじゃないかとすら私は思います。  海老原先生から情報公開審査会についての質問がございましたけれども、海老原先生がおっしゃったのは、偏らない、そして公平な人選でなければならないという御指摘でした。その場合、見識が高いということになっていますし、そのように長官も御答弁になりました。その場合に、果たして万人が見識が高いということが同じ価値なのかどうかというあたりが非常に問題だと思っています。  総理との信頼関係によって支えられるというふうに長官はおっしゃった。海老原先生のその質問に対しては総理大臣に伝えますというふうに御答弁くださったんですが、実際に決めるのは私は総理ではなくて、最後に承認なさるのは総理大臣と両院かもしれません。しかし、もっとその前の段階で担当の所管する総務庁が決めるというようなことだろうと思うんですね。候補を出すというようなことだろうと思います。そういった場合に、総理との信頼関係だけではなくて、大事なのはむしろ国民との信頼関係がどれだけ構築できるかということの方だと私は思ったんです。  その辺のところで、その見識が高いというのは非常に抽象的な言葉です。海老原先生はどういうニュアンスでおっしゃったのか、もしかしたら同じ言葉を違う意味で使うことになるかもしれませんが、私はやはり国民がはっきりと国民の代表であるというような人を本当にきちっと選べるのかどうか、その辺を長官にぜひ伺いたい。
  379. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) こういう人選をするときは、本当に人事権を持つ総理というのは大変大きな存在になるわけであります。事実上、我が国においては司法と立法、行政は分離されて、三権分立ということになっておりますけれども、例えば最高裁判所の長官内閣の指名に基づいて天皇陛下が任命することになっておりますし、最高裁の判事は全員内閣の任命になっております。そういたしますと、その最高裁の判事を内閣の我々が指名するに値するのかと言われると、それは皆様が判断していただくよりほか仕方がない。小渕さんに任せられるのかといって、それは小渕さんだって皆さんに判断していただく以外にない。もともと内閣総理大臣になるときに、最高裁判所の判事の任命の権限まで持って国会で指名をされているわけでありますから、そういうことになるわけであります。あわせて、この場合には最高裁の判事とは違って国会の同意人事でもありますので、各党各会派の先生方の御意見というかお考えもそこの時点で取り入れられるものと思うのでございます。
  380. 堂本暁子

    堂本暁子君 大変前向きな御発言だと思いますが、決まった方を指名されるよりは、本当に各会派各党の意見をしっかりと聞いてくださる、そのことは確認させていただいてよろしいでしょうか。
  381. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 私は、人事権というのはまさに人事権を行使する人の全人格をもって判断することであって、いろんな人に聞いているうちにもう収拾がつかなくなるということはよくあることでございます。だから、組織代表、利益代表みたいな形でもって出てくるとこれは機能しなくなるわけでございますから、そこは総理が出してきたときにそれをどう判断されるかということだと思います。総理も結局そこで否決されたりなんかしないように随分お考えになることと思います。
  382. 堂本暁子

    堂本暁子君 本会議でよくやっております承認人事というようなものは余り意味がないというふうに思います。むしろ、本当にこの情報公開法を大事にするのであれば、私はきちっと国民の代表としての信託を受けている議員が相当参画できる、そういったことをぜひ長官おっしゃったように実行していただきたいというふうに思います。  次に参りますが、けさ千葉委員文書管理についてお話しになりました。私も、一番大事なのはこの文書管理のところではないかと思っています。なぜならば、先ほどから、例えば焼却場から煙が出るとか、それからエイズの場合でもいろいろ問題がありましたし、オリンピックの場合にも問題がございましたけれども、そういったように行政文書行政の側の裁量で保管され、分類され、破棄されるということでは、車の両輪の片方がやはり役を果たさないというふうに思います。  ですから、三十六条にある政令で決める、これは去年から見せてくれとお願いしていますが、全然見せていただけない。できていないはずがないと思っています。にもかかわらず、いつまでたっても見せられない。これは本当におかしい。やはり私は、行政文書管理法のような法律国会としてつくるべきだというふうに思います。  今、長官のお立場でお答えになっておられますけれども、行政府に対して、立法府がその点はきちっと法律をつくるべきだということを意見としては強く申し上げたいと思いますが、議員でもいらっしゃる長官は、その点はどうお考えでしょうか。
  383. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 私は、みずから議員立法も幾つかいたしておりますので、今、議員立法を思い立って、そして可決、成立するような議員立法の姿にするというのは大変なエネルギーが必要でありますので、にわかにはそう多くの例がないわけでございます。  しかしながら、本来私は、この国の唯一の立法権は国会にあるということになっているわけでございますので、立法府においてこのような重要な問題について御提案をされるということはよいことだと思います。そこは、議員としてはそういうふうに思います。
  384. 堂本暁子

    堂本暁子君 大変心強い御答弁をいただいて、ありがとうございます。  本来は、情報公開法も議員立法で立法府でつくるべき法律だったのではないかと私は思います。確かに日本内閣提出の法律が多くて、私ども法律づくりに手間暇はかかってまいりました。例えば、NPO法一つとりましても三年かかりましたけれども、やはり立法府ゆえの法律ができたと思っております。今やっております児童買春、児童ポルノ禁止の法律も、これは刑法の特別法です。NPO法の方は民法の特別法です。やはり立法府でやらない限り、今、刑法のこういった新しい法律がつくれない。同じように、行政情報公開というのは本来なら私は立法府でつくるべき法律だったというふうに認識しております。  その意味で、行政機関の長の判断がいろいろなところにあって、先ほど申し上げましたように原則公開ということを貫くのであれば、細かいところで行政機関の長が判断するようなことが入ってきては大変に困るというふうに思います。ですので、ここの審査会が果たす役割が非常に大きいとは思いますけれども、それ以前にやはり原則公開、どこが公開されないのかという議論が延々続いていますけれども、その前に原則公開なのだということをきちっと認識して、恣意的に廃棄したり何かしないというためには、これからつくられる三十六条の政令の部分をできるだけ早く公開していただく。  政令は立法府で扱うものではないということが大変問題なんですけれども、そこのところに対して、私たち立法府としても物が言いたい。どういうことなのかということを最終的に確認した上で実際に施行されるということが大事だと思うんです。  これは本当にダブった質問なんですけれども、いつごろ一体お出しいただけるんでしょうか。
  385. 瀧上信光

    政府委員瀧上信光君) 情報公開法に基づく各省庁の長が定める文書管理の定めの共通的事項を定める政令でございますが、ただいま政令の内容検討しているところでございます。  今の時点検討している事項を若干申し上げますと、一つは、まず行政文書の分類ということにつきましては、行政文書を体系的に管理し、迅速に検索ができるよう、系統的かつ具体的な分類とするという内容を詰めております。それから、行政文書作成、保存責務につきましては、行政文書作成及び保存に関する責務の明確化ということを考えております。それから、行政文書の保存期間につきましては、行政文書の種類、性質等に応じた基本的な保存期間の基準を設けるということを今考えております。それから、行政文書の廃棄手続につきましては、廃棄に関する手続を定め、そしてこの手続に従った廃棄を行うという方向で今検討をいたしております。  その他必要な事項としましては、管理体制の整備、明確化とか、それからあと管理台帳のシステム化といったようなことも検討をいたしております。  いずれにしましても、この法律成立後、できるだけ速やかに政令案の内容を固めてまいりたいというふうに考えております。
  386. 堂本暁子

    堂本暁子君 一年前にも同じようなことをお願いしたと思うんです。もうできているんじゃないかとすら思いますが、一刻も早く示していただいた上で法律の採決に入りたい。何かわからない部分が、全くぼこぼこと穴があいているような形で、政令の部分を知らないまま法律を採択するのは大変不本意なので、もしできることなら一刻も早くお示しいただきたいということをお願いいたします。  そして、最初に申し上げた沖縄のことですけれども、やはり福岡まで沖縄の方が出てくるというのは大変なことだと思います。沖縄ゆえになお、私は沖縄の方たちが不便を感じないようにしていただきたいということを思っているものですから、ぜひともその点は参議院で工夫をしたいというふうに思います。月原先生は先ほど衆議院決定を重くとおっしゃいましたけれども、NPO法も衆議院修正し、また参議院修正し、そして戻りましたし、そういった例は幾つもあります。この間の健康保険の問題についても、参議院修正して衆議院に戻しましたし、今参議院修正して衆議院に戻るというケースはたくさんあるわけです。  衆議院だけが国民の信託を受けているのではない以上、私は、本当に参議院で十分に審査して、そして必要な修正があったら修正すべきだと思います。その点についても長官、ぜひ御協力いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  387. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) これは、先ほどもお答えいたしましたように、今裁判所の管轄のお話をおっしゃっているのであれば、私はずっと一カ所がベストであるということを言ってきたわけでございますので、にわかにそういうことを変えるわけにはいかないということでございます。  いずれにせよ、アメリカが一番そういう意味では訴訟の起こせる場所の数が多い国だと私は思っておりますけれども、九十何カ所だったと思いますが、そうすると、アメリカの各州に平均すると二カ所ぐらいということになります。これは言ってみれば連邦国家でありますので、日本は面積といい何といい、むしろアメリカ一つの州に相当するぐらいの面積であるというふうに思えば、平均二カ所でありますとすれば、日本に二カ所という考え方もできるわけでありまして、どういうふうに考えるかというさまざまなバリエーションがあるんだと思います。
  388. 堂本暁子

    堂本暁子君 アメリカの例をお出しになりましたけれども、アメリカの場合は古くはワシントンだけ、それから地方でもできるようになり、そして地方では十分に中央の情報が得られないために、またワシントンでも、それから自分の住むミシシッピでもミシガンでも選べるようになったというふうに聞いておりますけれども、それはやはり必要とする情報公開内容によると思うんです。  それこそ、防衛とか外務のことだったらワシントンでなければわからないとか、それから先ほどの薬品の問題とか、輸入している食糧についての問題とか、そういうことだったら自分が住んでいるところの近くでもできるかもしれないというようなことで、一概に面積対公開する場所ということではなくて、情報公開というのはもう千差万別だと思います。それは、自分が判断するための情報を必要とするから情報公開を求めていくわけですし、自分が納めた税金がどのような形で使われているのか、どういう行政が実際に施行されているのかという、自分の納める税金に対してのチェックということもあるわけですから、そういうことから考えますと一概に面積では言えない。  私は、やはり理想としては、今までもずっと主張してきたことですが、地方でもそれから中央でもどちらでも選択できる。今回そういうような形で修正ができたもので大変うれしく思っているんですが、その場合、やはり沖縄という、島ですから、飛行機に乗ってまた本州まで来るというような面倒がない状況をぜひともつくっていただきたいということで、私たちは一生懸命そこのところをこれから何とか修正できるものならしたいなという気持ちを強く持っております。  最後に、日本の官僚は、政治家も評判悪いんですけれども、政治家以上に、以上にとか比較できませんね、日本の官僚は信用があったのに最近信用できない出来事が多々起こったことは大変残念に思います。情報公開法というのは公務員の信用を取り返す私は絶好のチャンスだと思いますので、やはりこれから、非公開公開のせめぎ合いのようなことではなくて、最初にお願いしたように、基本的には公開原則全面公開であると。そういった中で、大変公平な、そして平等な形での条件が整っていくということをお願いして、この法律が市民の信頼を取り戻す、そういった形で機能するように、そして本当に民主的な政治なり行政なりが実現するために使われるように願って、質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  389. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) 両案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十三分散会