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1999-03-09 第145回国会 参議院 総務委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年三月九日(火曜日)    午後一時二分開会     ─────────────    委員異動  三月八日     辞任         補欠選任      今井  澄君     千葉 景子君      山本 正和君     福島 瑞穂君      月原 茂皓君     阿曽田 清君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         竹村 泰子君     理 事                 海老原義彦君                 佐藤 泰三君                 江田 五月君                 阿曽田 清君                 椎名 素夫君     委 員                 青木 幹雄君                 石井 道子君                 岡  利定君                 森田 次夫君                 足立 良平君                 千葉 景子君                 松田 岩夫君                 日笠 勝之君                 阿部 幸代君                 吉川 春子君                 福島 瑞穂君    衆議院議員        修正案提出者   植竹 繁雄君        修正案提出者   佐々木秀典君        修正案提出者   河合 正智君        修正案提出者   三沢  淳君        修正案提出者   瀬古由起子君        修正案提出者   深田  肇君    国務大臣        国務大臣        (内閣官房長官)        (沖縄開発庁長        官)       野中 広務君        国務大臣        (総務庁長官)  太田 誠一君    政府委員        内閣参事官        兼内閣総理大臣        官房会計課長   尾見 博武君        内閣審議官        兼中央省庁等改        革推進本部事務        局次長      松田 隆利君        内閣官房内閣内        政審議室長        兼内閣総理大臣        官房内政審議室        長        竹島 一彦君        内閣官房内閣外        政審議室長        兼内閣総理大臣        官房外政審議室        長        登 誠一郎君        内閣総理大臣官        房審議官     佐藤 正紀君        総理府賞勲局長  榊   誠君        総務庁長官官房        長        菊池 光興君        総務庁長官官房        審議官      大坪 正彦君        総務庁人事局長  中川 良一君        総務庁行政管理        局長       瀧上 信光君        総務庁恩給局長  桑原  博君        沖縄開発庁総務        局長       玉城 一夫君        外務省総合外交        政策局国際社会        協力部長     上田 秀明君        建設省道路局長  井上 啓一君    事務局側        常任委員会専門        員        志村 昌俊君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調  査  (中央省庁改革目的に関する件)  (国旗及び国歌法制化検討に関する件)  (情報公開制度の諸問題に関する件)  (叙勲制度の運用に関する件)  (経済戦略会議答申推進に関する件) ○行政機関の保有する情報公開に関する法律案  (第百四十二回国会内閣提出、第百四十五回国  会衆議院送付) ○行政機関の保有する情報公開に関する法律の  施行に伴う関係法律整備等に関する法律案(  第百四十二回国会内閣提出、第百四十五回国会  衆議院送付)     ─────────────
  2. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨八日、今井澄さん、月原茂皓さん及び山本正和さんが委員を辞任され、その補欠として千葉景子さん、阿曽田清さん及び福島瑞穂さんが選任されました。     ─────────────
  3. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事阿曽田清さんを指名いたします。     ─────────────
  5. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 石井道子

    石井道子君 自由民主党石井道子でございます。  小渕内閣がスタートいたしましてから七カ月になるわけでございますが、その間、金融問題、景気対策等、緊急かつ重要な課題について迅速に適切に対策をとっていただき、その御努力に対しまして心から敬意を表したいと思います。  最近は、内閣支持率上向きムードでございまして喜んでいるところでございますが、内閣の番頭として、かなめとして大活躍をされていらっしゃいます内閣官房長官の大きな役割、これも十分に果たされていらっしゃるのではないかと思っております。  先日、内閣官房長官より伺いました所信の中に、冒頭、「小渕内閣は、現在を明治維新、第二次世界大戦後に続く第三の改革の時期と位置づけ、次の世代に力強い品格あふるる、美しい日本を引き継ぐため、さまざまな課題に誠心誠意取り組んでいるところでございます。」というごあいさつがございました。このような「力強い品格あふるる、美しい日本」という言葉に、私はその中身については大きなイメージを膨らませているところでございますが、野中官房長官におかれまして、この言葉中身について、具体的な問題をどのようにとらえて日本のあるべき姿を考えていらっしゃるのか、その点についてまずお伺いをしたいと思います。
  7. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 今、委員指摘賜りましたように、小渕内閣発足以来今日まで七カ月間、その間、金融国会を初め、それぞれ景気対策のための国会通常国会を振り返りまして、それぞれ衆参両院皆さんの大きな御支援、御支持を賜りまして、非常に困難な状況でございましたけれども、今日一応法律となりました金融問題を初めとしてまだまだ景気問題等不透明な問題も多く抱えておるわけでございますが、いずれにいたしましても、国民皆さんの信頼を回復するために衆参両院皆さんの御支援を賜ってまいりましたことを内閣一員として、この席をかりまして厚くお礼を申し上げる次第であります。  小渕総理は、施政方針演説におきまして、本年は一九〇〇年代最後の年であると同時に、千年紀をまたごうとする重要な時期である、現在の経済的な苦難を克服し、次の世代に力強い品格あふるる美しき日本、麗しき日本を引き継ぐため、私は身を賭して国政運営に当たる覚悟であると明確に述べられたところでございます。  私は、委員が今おっしゃいましたように、歴史の大きな節目になるこの時期におきまして、非常に不敏の身でございますけれども、官房長官を承りまして、小渕総理のこうしたお考えを実現するために関係各位の御協力をいただきながら、日々全力を傾注してまいりたいと考えておるところでございます。  今申し上げました施政方針の中から、総理のお考えを若干申し上げますと、一つには、小渕総理は就任以来常々、富国有徳という言葉をしばしば用いておられます。徳すなわち高い志を持った豊かな国でありたいということだと存じます。そして、このような考え方に基づきまして、二十一世紀のあるべき国家の姿について有識者から成る懇談会設置いたしまして、国民的な英知を集めて次の世代に引き継ぐべき指針をまとめるというお考えでいらっしゃるわけでございます。  二番目には、政策方向性についてでございますが、小渕総理は二十一世紀に向けました国政運営基本を、所信で申されましたように五つかけ橋、すなわち世界、繁栄、安心、安全、未来のこの五つかけ橋として示されたわけでございます。個々の政策について今申し上げるわけではありませんが、新しい世紀を希望と活力のあるものにするためにも、今世紀中の課題今世紀中に解決する道筋をつけることが必要であると総理自身、心に期しておられるわけでございまして、私も内閣一員としてそうした認識で努力をしてまいる所存でございます。  次に、経済再生内閣といたしまして発足をした小渕内閣にとりまして、次の世代に麗しい日本を引き継ぐためにも、第一に、現在の深刻な経済情勢を打開いたしまして、経済を自律的な回復軌道に乗せることが最重要課題であると考えておるのでございます。そのために、これまでも各党会派の御協力を賜りながら、金融システム再生、貸し渋り対策補正予算等施策充実実施努力をさせていただいたわけでございますが、引き続き来年度予算の御審議をいただき、早急な成立をお願いする次第でございます。  以上、私に与えられました役割の一端を総理所信表明をかりて御説明申し上げた次第であります。
  8. 石井道子

    石井道子君 ありがとうございました。その方向に向かって大いにまた頑張っていただきたいと思っております。  既に、橋本内閣が六つの改革を掲げて取り組んでまいりまして、その過程の中で改革は痛みを伴ってくるものだということを私も実感しているわけでございます。行政改革もまた橋本内閣時代からの政府の最重要課題でございまして、一昨年十二月の行政改革会議最終報告を受けて中央省庁等改革基本法成立をいたしました。そして、それによって設置された中央省庁等改革推進本部省庁再編関係法案策定作業を行い、そしてその前提となる中央省庁等改革に係る大綱が一月二十六日に決定されたところであると承知をしております。  今行われようとしております行政改革は、戦後我が国の発展を支えてきた行政システムが次第に時代に合わなくなった、金属疲労を起こしてきているということを感じさせるものでありまして、それを踏まえて、二十一世紀に対応した新しい行政システムを確立しなければなりませんが、今回の行政改革、特に省庁再編目的と、それによってどのような効果を期待していらっしゃるか、また実行する段階におけるさまざまな懸念の問題があるかと思いますが、そのことについてお伺いをしたいと思います。
  9. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 中央省庁等改革につきましては、これから我が国社会経済構造の転換を促しまして、自由かつ公正な社会形成を目指すということで取り組んでいるわけでございます。  具体的に申しますと、総理を初め、政治のリーダーシップ内閣リーダーシップを強化する。それから、省庁を大くくり的に再編成いたしまして、その中で重点化とかあるいは選択性を高めるというようなことを考え、同時に全体としてスリム化を図っていくということでございます。また、国民国家の間の関係を見直すということであります。どういう方向で見直すかといえば、例えば独立行政法人のような制度を導入して、主権者である国民の方から見えやすくするというふうなことであります。  一月に決定した大綱にのっとりまして、四月の関連法などの策定に向けて全力を傾注してまいりたいと思っております。
  10. 石井道子

    石井道子君 今回の省庁再編の中に内閣機能の強化が盛り込まれておりまして、内閣府の設置が決められております。  内閣官房充実が図られるということは大変すばらしいことであると思いますが、人をふやすだけではなくて有為な人材を採りやすくする制度が必要ではないかと思っております。この大綱では、内閣官房への人材の機動的な登用のための制度整備については検討事項となっておりますが、この人材登用制度整備検討状況についてお伺いをしたいと思います。
  11. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 内閣官房のこれまで持っておりました機能に加えて、今までは総合調整機能ということを中心にやってきていたわけですけれども、今回内閣総理大臣発議権というものを新たに盛り込もうということになりましたので、総理発議をするためには総理の一番近いところにいる内閣官房自体がその企画立案をできるようにしなければならない。そしてさらに、内閣官房というのはそんなに巨大な組織であっては直接のスタッフの役目をいたしませんので、内閣府というものを新たに創設して、さらに内閣官房及び内閣総理大臣を支えていこうということでございます。  そこで、人数がふえるというのは、これは別に人数がふえるとは言っておりませんで、内閣官房が前よりもふえるかどうかというのはわからない、まだ決めておりません。内閣府は新たに創設をされる組織でございますから、ゼロから新たに存在するということでございますので、ふえる減るということはないわけでございます。  ただ、今、先生がおっしゃいました人材登用については、いわゆる各省から有為な人材を集めて総理の直轄にふさわしい仕事をしていただこうと思っておりますし、またあわせて、外部からの登用というものも今よりももっと大胆に行えるように任期つき任用制度の導入などをいたしたいと考えております。
  12. 石井道子

    石井道子君 この中央省庁等改革に係る大綱の中で、現在各省庁にあります百二十八ある局、官房の数が九十六に削減をされます。そして、その中で、総務省では旧総理府本府の人事局恩給局をあわせて人事恩給局とするといったぐあいに、ほかの省庁にも見られますけれども、縦割り行政の打破という点についてはまだ不十分ではないかというふうに思うわけでございまして、やはり局レベルでの再編も必要ではないかというふうに思います。  その点について、総務庁長官の御見解を承りたいと思います。
  13. 松田隆利

    政府委員松田隆利君) 御答弁申し上げます。  府省再編後の官房の局の数及びその主な所掌事務につきましては、先ほど先生指摘になられました中央省庁等改革大綱におきましてその概要が示されているところでございます。  複数の省庁が統合する省におきましては、統合の効果をできるだけ発揮するという観点から、局数削減にあわせまして、従来の省庁の枠にとらわれませず、総合的な政策推進に向けた局編成になるようにさまざまな努力を行ってきているところでございます。  例えば、国土交通省におきましては、運輸省の運輸政策局建設省建設経済局、あるいは国土庁の計画調整局等々をあわせまして総合政策局といたしますほか、例えば労働福祉省では、厚生省の児童家庭局と労働省の女性局を統合した局にするとか、あるいは教育科学技術省におきましても、文部省の学術国際関係の局と科学技術庁の政策局あるいは振興局等々を再編いたしまして、学術、科学技術両方またがった総合的な効果が発揮できるような組織編成を今検討いたしているところでございます。  今後、各省設置法案を立案し、御提案申し上げるわけでありますけれども、さらにその後、局編成につきまして具体的な検討を進める中で、引き続き縦割り行政の弊害が排除できるように局編成検討していきたいと考えております。
  14. 石井道子

    石井道子君 次に、省庁再編に基づき新しく誕生した省庁名称の問題でございますが、幾つかクレームがついている省がございます。今度の大綱が決定されたときにも仮称という形で、まだ決着を見ていないのでございますが、この間どのような検討を行ってこられたのか、そしてそれが大綱決定までに発表できなかった原因は何であるか、そして今度は正式な新しい省庁名をいつまでに決定されるのか、お伺いをしたいと思います。
  15. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 省庁名称につきましては、内閣全体、それから与党にお諮りをいたしまして、有識者の御意見を聞こうということになりまして、昨年の十二月二十五日だったと思いますけれども、有識者の方々の御意見総理の方で受けられたわけでございます。  いずれにいたしましても、省庁名称は四月に関連法案提出するときには決まっていなければなりませんけれども、今は総理がお預かりをして熟慮している最中でございます。
  16. 石井道子

    石井道子君 次に、独立行政法人の問題について伺いますが、今度の省庁改革の柱とされております問題でございまして、イギリスにおけるエージェンシーをモデルにしたものであると聞いておりますが、今度の独立行政法人制度創設目的、また制度の内容についてお伺いをしたいと思います。  そして、この独立法人化対象となるものについては、業務と機関の選定における検討の経緯とか、またその法人機関の今後の拡大について伺いたいと思います。
  17. 松田隆利

    政府委員松田隆利君) お答え申し上げます。  独立行政法人制度目的あるいは意義といった御質問でございます。  まず、基本法に基づきまして、独立行政法人につきましては、現在国が行っている事務事業のうち一定のものを分離いたしまして国とは別の法人格を有する独立行政法人といたしますことにより、先ほど総務庁長官からも御答弁申し上げましたように、自己責任化し、明確な目標管理のもとで定期的に評価を行うということで、できるだけ国民のニーズにこたえた行政サービスの提供かつそれを効率的に提供していくことを考えているものでございます。  イギリス制度との比較でございますが、イギリスの場合には国の機関でございますけれども、内容的には、同じような政策企画立案機能実施機能の分離とか、あるいは自律的、弾力的な運営管理の手法を導入するとかということで参考にさせていただいているものでございます。  それから、独立行政法人検討対象について御質問がございました。  昨年七月の中央省庁等改革推進本部以来、行政改革会議最終報告に規定されました七十三の別表一の機関等対象にいたしまして、この間検討を進めてまいっております。そして、そのほかに別表二に掲げられた機関も含めまして検討を行った結果、八十四の事務事業について独立行政法人化を図るという結論をこの大綱において得られたところでございまして、今後その具体的な作業を進めさせていただきたいと考えております。  さらに、この八十四の機関以外につきましても、例えば国立大学でございますとかあるいは貿易保険等事務事業について、独立行政法人化について引き続き検討していきたいと考えております。
  18. 石井道子

    石井道子君 次に、男女共同参画の問題について伺います。  今回、男女共同参画社会基本法案提出をされておりまして、近いうちに総務委員会でも取り扱われると思いますが、細かい中身についてはそのときに譲りたいと思っております。  今度の共同参画社会形成は、野中内閣官房長官所信の中でもお述べになっていらっしゃいましたけれども、将来の我が国の行方を決定する大きなかぎでありまして、政府一体として取り組むべき重要課題一つであると思っております。  さきに出されました中央省庁改革基本法においては、内閣府に国政上重要な具体的事項に関して審議会を四つ設けているわけでございまして、その一つ男女共同参画会議が置かれております。そのほかの会議については総理がかかわっているわけでございますが、この男女共同参画会議については官房長官が一応担当されているわけでございまして、この点がちょっとアンバランスではないかなというふうにも思います。決して内閣官房長官を軽く見るわけではありませんけれども、しかし、できるだけ内閣総理大臣も関与して重要な男女政策について取り組んでいただきたいというふうにも思っているわけでございまして、そのことについてちょっとお伺いしたいと思います。
  19. 松田隆利

    政府委員松田隆利君) 行革会議最終報告あるいは中央省庁改革基本法にかかわる御説明でございますので、事務の方から御説明させていただきます。  男女共同参画会議につきましては、行革会議でも大変な議論があったところでございます。その中で、内閣官房長官男女共同参画担当大臣であるということから、やはり内閣官房長官会長としてこの男女共同参画に関する基本方針あるいは総合的な計画案検討等に当たることがふさわしいであろうということで、行革会議最終報告では内閣官房長官会長とするということにされておりまして、これを踏まえまして、中央省庁等改革基本法におきましても、男女共同参画会議の座長、会長内閣官房長官とすると規定されているところでございます。  もっとも、これとは別に、施策政府全体における円滑かつ効果的な推進を図るということで、内閣に別途内閣総理大臣本部長とします男女共同参画推進本部が置かれておりますし、これにつきましては引き続き存置してこの施策推進に当たるということになっておりますので、男女共同参画会議会長官房長官本部本部長総理という体制でこの男女共同参画関係施策を進めていくということになろうかと考えております。
  20. 石井道子

    石井道子君 現在も内閣官房長官女性問題担当大臣ということになっているわけでございまして、今後もそのような形で担当をされるというふうに受けとめたところでございまして、重要な役割を果たしていただきたいと思っております。  また、男女共同参画担当する局を置かれるというふうにも聞いておりますが、できるだけこの行政改革の中で組織体制を強化していただきまして、男女共同参画政策がさらに充実することを期待しております。  以上で質問を終わります。
  21. 森田次夫

    森田次夫君 自由民主党森田次夫でございます。よろしくお願いを申し上げます。  私、実は遺族会の出身ということでございますので、大変細かいことをお聞きすることをまずもってお許しをいただきたいと思うわけでございます。  そこで、一つ恩給受給者に対します市町村長生存証明制度廃止につきまして、恩給局にお伺いをさせていただきたいと存じます。  恩給受給者は、毎年誕生月往復はがき受給権調査を行っておるわけでございますが、このことについて従来から他の公的年金はほとんどが廃止をされておるわけでございます。そうした中で、恩給だけ調査が行われておるわけでございます。これは恩給関連援護年金等もそうでございますけれども、その他はほとんど廃止されている、こういう状況でございます。  恩給受給者につきましては、高齢等に配慮いたしまして、市町村証明廃止して自署のみとされたいとの要望が多いわけでございます。ぜひともそのように改正をしていただきたいと思います。また、これは国民負担の軽減にもつながるんではないか、このように思うわけでございますけれども、局長、いかがでございましょうか。
  22. 桑原博

    政府委員桑原博君) お答えいたします。  御指摘のとおり、恩給制度におきましては年一回受給権調査に際しまして、住民票記載証明について市町村長証明を求めているところでございます。  恩給は国費を直接支給するものでありまして、この証明過誤払いの防止を初め、適正な恩給の支給を確保するということのために欠かせないものだというふうに考えております。  なお、現在国会提出されております住民基本台帳法の一部を改正する法律案における住民基本台帳ネットワークシステムが利用可能となった場合につきまして、恩給局においては受給者生存の確認がそこでできるということになることから、受給者がわざわざ役場に出向いて証明を受けなくてもいいように、手間が省けるということになろうかと思いますので、そのシステムが稼働したときには、プライバシーに十分考慮しながら、できるだけスムーズに受給者の負担軽減を図ってまいりたいというふうに考えております。
  23. 森田次夫

    森田次夫君 国民の税金であるといいますか、そういったことでもってより正確を期したい、こういうことだろうと思います。  しかしながら、厚生年金、国民年金、それから公務員の共済、これは国、地方とも、さらには私学共済、農林年金、そして農林漁業共済とすべてで廃止をされ、自署のみとなっておるわけでございます。ただいま住民基本台帳ネットワークを活用してというようなお話もございましたけれども、これは平成十三年度以降になるわけでございます。そうしたことで、それまでの間、自署のみとして証明印は廃止できないか、廃止するとすれば厚生省もいわゆる援護年金等につきましても恐らく右へ倣え、こういうようなことになるのではないかと思いますけれども、もう一度その辺につきましての局長の御見解を承りたいと存じます。
  24. 桑原博

    政府委員桑原博君) ただいまの御質問でございますけれども、ほかの制度の運用につきましては私どもも大変関心を持って注意深く見守らせていただいております。  私から直接申し上げるのが適当かどうかわかりませんけれども、厚生年金、国民年金については人口動態調査の死亡情報というのを利用して独自の調査を行っているようでございます。ただ、その後廃止をいたしました国共済とか地方共済におきましては、そういう手だてのないまま、例えば二年間の暫定措置としてやっているという状況でございまして、その調査廃止したことの影響といいますか内容について十分見させていただいて、国費を直接支弁する恩給として制度運営上ある程度の自信が持てるということになりましたら、先生指摘のように、一刻も早く負担軽減という観点から検討する余地があるかというふうに思いますが、現時点ではまだそこまで至っていないという実情でございます。
  25. 森田次夫

    森田次夫君 受給者の高齢化、御承知のとおり既に八十歳でございます。また、証明をもらうのには手数料等もかかるわけでございます。そして、さらには、申し上げましたとおり、公的年金はすべて廃止されておる、こういうような状況であるわけでございますので、ひとつ一日も早い改正を要望させていただきたいと思います。  次に、これはこの後で趣旨説明等もあるわけでございますけれども、情報公開法案につきまして若干お聞かせをいただきたいと存じます。  情報公開法につきましては、昨年三月の政府提案から三回の継続審議を経て二月十六日に衆議院を通過したわけであります。それも全会一致、こういうことであるわけでございます。それだけ与野党間での慎重審議が行われたあかしというふうに思っております。これらの法案につきましては、この後大臣から趣旨説明がありますので、改めて当委員会で審議が行われるものと思うのでありますが、本日は法案そのものではなく若干疑問に思っていること等につきましてお伺いをさせていただきたいと存じます。  まず、地方自治体における情報公開の条例化の促進状況でございますが、都道府県レベルでは四十七都道府県すべてで制定されておりますけれども、市町村レベルでは、申すまでもなく、昭和五十七年の山形県金山町が最初でございます。現在まで何市町村で施行されているか、お伺いをさせていただきます。
  26. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) お答えいたします。  地方公共団体、特に市区町村レベルの情報公開条例の制定状況でございますが、市区町村につきましては、すべての政令指定都市十二市を含めまして、自治省の調査によりますと、平成十年四月現在、三千二百五十五団体中五百十五団体において条例が制定をされているということでありまして、二〇%程度の団体が条例を制定しているという状況にございます。
  27. 森田次夫

    森田次夫君 三千二百五十五の市町村のうち五百六十一でございますか、ということでいきますと一七%強ぐらいにすぎないかと思います。今の段階でございますので仮にと申し上げておきますが、この法案成立したら市町村とも一気に促進されると思うかどうか、その辺をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  28. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 国の情報公開法が制定をされました場合、地方公共団体の情報公開条例制定の促進との関係でございますが、地方公共団体における情報公開に関する条例につきましては、情報公開法案の第四十一条におきまして、「地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、その保有する情報公開に関し必要な施策策定し、及びこれを実施するよう努めなければならない。」というふうに規定をしているところでございます。政府といたしましては、この法律の趣旨を踏まえまして、ただいま地方公共団体の約八〇%が未制定という状況でございますが、こういった未制定の地方公共団体につきましては条例の制定に努力されることを、そしてまた、既に制定されている団体につきましても必要な見直しに努めていただくということを期待いたしているところでございます。
  29. 森田次夫

    森田次夫君 実は、数年前のアンケート調査でございますけれども、それによりますと、近い将来、情報公開条例を導入する予定がない、こういう市町村が圧倒的に多かった、こういうようなことも聞いておりますのでお聞きをいたした次第でございます。四十条に努力規定がございますので、これにのっとりまして、ぜひとも一層の促進をお願いいたしたいと思います。  次に、条例施行前後に見た地方選挙の投票率の変化ということでお聞きをいたしたいわけでございますが、地方自治体では、情報公開条例施行前と比較いたしまして、その直後の選挙では大部分の自治体で投票率が低下をしておるわけでございます。既に大臣の方にこの表をお渡しさせていただいてございますが、これは地下の売店で売っております「情報公開」という、ぎょうせいで出している本からコピーしたものでございます。  それで、この表を見てみますと、表一から表四まであるわけでございますけれども、その中で、都道府県議会それから知事選、そして次の表二が政令市の市議会と市長選、そして三番目の表が特別区の区議会、区長選、そして最後の表四が東京都内の市議会と市長選、こういうふうになっておるわけでございます。これを見ておわかりいただけると思うんですけれども、条例ができる直前と直後の選挙を比較した場合に、ほとんどの選挙でもって投票率が下がっておる、こういうことでございまして、どうしてこういうふうになるのかなと実は私もちょっと疑問に思って、わからないわけでございます。私は、これはいい方にとっておるわけでございますけれども、情報の透明化といいますか、そういったことでもっての安心感というか、私はそういうことではないかなと思っておるわけでございますけれども、よくわからないものですので、大臣にお伺いをいたしたいと思います。  一番下のところには、平均でどのくらいのマイナスかということですけれども、プラスというのは政令市の市長選だけでございまして、この場合には、選挙の前の投票率が二二・四で、その次が四三・七になったということで、そういった要素が含まれましてプラスになったんじゃないかと思いますけれども、あとほとんどがマイナスということがどうもよく理解できないので、その辺大臣のコメントをいただければと思うわけでございます。
  30. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 選挙の投票率は長期的に低落傾向にあるということだろうと思います。情報公開条例が制定をされたりあるいは今回の情報公開法が制定されますと、私は本来ならば有権者の関心というのが盛り上がって問題意識も強くなるであろうということを期待いたしますけれども、これまでの実例で言いますと、その長期低落傾向を食いとめるには至らなかったということだろうと思うのでございます。  いずれにいたしましても、国の方で情報公開法を制定するということが、もっと主権者である国民が政治や地方行政に至るまで強く関心を持っていただけるようになることを期待いたしております。
  31. 森田次夫

    森田次夫君 ありがとうございます。  実は、この本にはその低下した理由というのは一切書いていないんです。そういったことでもって、大変不親切と言えばそのとおりでございます。大臣、今、長期的にずっと低落傾向だ、こういうことで御答弁をいただいたわけでございます。そういったことも当然あるかと思いますけれども、私は、政治に対する無関心といいますか、そういったことではなく、逆にこの情報公開条例が施行されたことでもって、議会や行政で何かあればといいますか、いつでも必要な情報が得られるし、また市民として対処できる、こういった市民の安心感からの低下というものもあるのではないのかな、このように思うわけでございます。  投票率が下がりましたということは、決して褒められたことではございませんけれども、情報公開されたことで行政への透明性や信頼性が増した、こういったあらわれではないかというふうに私はよい方にとりたい、このように思っておるわけでございます。  次に、情報公開法のかぎといいますか、受付の窓口といいますか、そういったことが非常に重要になってくるのではないかな、こういうふうに実は思うわけでございます。  情報公開法が施行された段階で問題になりますのが受付の窓口の対応、法案では総合案内所を整備して、こういうことでもって対応等もお考えいただいておるわけでございますけれども、例えばオンブズマンのように一定の知識を持っている人はともかくといたしまして、一般の国民は行政がどうなっているかよくわからないというのが実態だろうと思います。こういうことが知りたいとか、またああいうことが知りたいと思っても、どこの役所に行って請求紙にどのように公文書の内容等を記載したらよいかわからない、これが大部分ではなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。したがって、公開請求書の形式不備だ、いわゆる行政文書を特定するに足り得る事項の記載の不備ということが生じてくるのではないか、こういうことを心配するものであります。  そこで、重要となってまいりますのが、申し上げましたとおり受付の窓口の担当者であろうかと思います。請求者の意を受けましていかに要望にこたえ適切なアドバイスができるかということが大変重要になってくるのじゃないかな、このように思うわけでございます。専門家だけではなく、一般国民が、「何人も」ということもありますので、できるだけ利用しやすい方法をぜひお願いしたいと思いますが、その点についてお伺いをさせていただきたいと存じます。
  32. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 具体的なことについては行政管理局長の方からお答えをいたしますけれども、私、これは心構えでありますけれども、制度創設したから直ちにみんなが知りたいと思っている情報が簡単に入手できるようになるとは限らないわけでありまして、それは行政側も積極的に開示をしようとする努力をし、みずから持っている情報というのを整理して伝える努力をしなければいけませんし、またそのようなさまざまな請求に対して相談に応ずるという体制も大切であるというふうに思っております。努力をしなければ、ほうっておけば勝手にどんどんよくなってきているわけじゃないと思っております。
  33. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) ただいまの点につきまして、情報公開法上の規定でございますが、政府案の三十七条につきまして、「行政機関の長は、開示請求をしようとする者が容易かつ的確に開示請求をすることができるよう、当該行政機関が保有する行政文書の特定に資する情報の提供その他開示請求をしようとする者の利便を考慮した適切な措置を講ずるものとする。」ということともに、その第二項で「総務庁長官は、この法律の円滑な運用を確保するため、開示請求に関する総合的な案内所を整備するものとする。」というような規定を設けておりまして、情報公開法の施行に当たりましては、こういった体制整備といったことも進めてまいりたいというように考えております。
  34. 森田次夫

    森田次夫君 よろしくどうぞお願いいたします。  実は、きょう官房長官も御出席いただけるとは私存じ上げませんでしたので、事務方の方にお伺いをさせていただきたいというふうに思ったわけでございますけれども、みどりの日を昭和の日にしてほしい。こういうことでございますけれども、国民の祝日に関する法律の一部改正についての御質問でございます。  昨年十月の臨時国会で、平成十二年から成人の日と体育の日をそれぞれ第二月曜日とし、三連休とすることで法改正が行われましたが、四月二十九日をみどりの日から昭和の日とすることについてもしばしば国会で取り上げられまして、その方向で進んでいると実は私も仄聞しておったわけでございます。成人の日等の改正とともにみどりの日についても昭和の日として生まれ変わるといいますか、そういったことで期待をしておったわけでございますけれども、しかしながらその法改正は行われなかったわけでございます。これは私の大変不勉強で、その辺も入っておるのかなというふうに実は思っておったわけでございます。  四月二十九日は、御承知のとおり昭和天皇の誕生日として長い間国民がお祝いしてきた日でもございますし、崩御された後は昭和の日と、このようにすべきであったのではないかなというふうに思いますし、実際そうした国民運動が起きておるわけでございます。  そこで、昭和の日と改めることについてどのように官房長官考えか、ひとつお聞かせをいただければというふうに思います。
  35. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) みどりの日を昭和の日へというお話でございますけれども、委員御案内かと思いますが、平成元年二月十七日に国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律というのが公布、施行されましてみどりの日というふうにされたわけでございます。  その間、政府といたしましては、官房長官のもとで有識者から成ります懇談会を設けまして、四月二十九日の名称をどうするかということについて御意見をいただきました。いろいろな御意見があったわけでございますが、みどりの日という祝日が適当であろうということになりまして、それを受けまして先ほど申し上げた平成元年二月に法律成立したということになってございます。  それから十年たちまして、国民の間にこのみどりの日が定着しているというふうに考えられること、二番目に、明治天皇の誕生日が文化の日ということに現在なっているわけでございますが、それとの整合性を考える必要もあるということ、さらに三つ目といたしましては、今申し上げましたように祝日法の改正案が多数の政党の御賛成で通過しているという事実、これらにかんがみまして、政府といたしましてはみどりの日を昭和の日に改めるということにつきましては慎重に考えていく必要があるというふうに思っております。
  36. 森田次夫

    森田次夫君 多数の政党ということでもっての御支持がなければと、これはもっともだろうと思います。それとともに、やはり世論の支持ということが必要ではなかろうかなというふうに思うわけでございます。したがいまして、この場合には議員立法でなければ難しいのではないかなというふうにも思うわけでございます。  当然のことでございますけれども、我々も努力をしなければならぬわけでございますが、二月二十五日の参議院予算委員会で狩野議員の国旗・国家の法制化についての御質問に対しまして、小渕総理は、考えていない、こういうように御答弁をされました。しかし、一週間ぐらい後でございますか、法制化について検討するよう事務方に指示した、こういうことであるわけでございます。これにつきましては、世羅高校の校長先生の自殺という痛ましい要素があるかと思いますけれども、法制化をアドバイスしたのは野中官房長官というふうに伺っております。  これは私、新聞等でございますので事実かどうかは定かではございませんけれども、そういった実力官房長官のもとでございますので、役所としてもぜひともお力添えをいただければな、このように要望いたしまして、時間でございますので私の質問を終わらせていただきたいと存じます。  ありがとうございました。
  37. 千葉景子

    千葉景子君 民主党の千葉景子でございます。  まず、きょうは冒頭に一点お伺いをいたしたいと思います。  委員皆さんも覚えておられるかどうかということでございますが、アジア歴史資料センターという構想がございます。これは九四年、当時の村山政権の時代でございますが、アジア諸国への侵略行為や植民地支配について深い反省の意を示すと同時に、日本とアジア諸国に関する国内外の歴史的な資料を収集して歴史の研究などに寄与していこう、そしてお互いに共通の歴史認識などをはぐくんでいったらどうかということで構想が打ち出されたものでございます。  実は、私もこの問題につきましては、私の周辺にも、大変大事なことだ、こういうことなら自分の地域にもこういう施設なり、あるいは構想を実現するような手伝いができたら、こんな意見もあったものですから、この間、時期折々にいろいろ進捗状況などをお尋ねいたしてきたところでもございます。  まず冒頭、官房長官に、これまでの進捗状況といいましょうか、取り組み状況はどのようになされてきたのかお尋ねをしたいと思います。
  38. 野中広務

    国務大臣野中広務君) ただいま御指摘賜りましたアジア歴史資料センターにつきましては、お話がございましたように、平成六年八月の村山内閣総理大臣談話を契機にいたしましてその検討を開始したものでございます。翌平成七年六月には、有識者会議によりましてこのセンターについての御提言をいただいたところでございます。  自来、この御提言に基づきまして、政府といたしましてはこの構想の具体化に向けまして、関係省庁がプロジェクトチームを編成いたしまして作業を鋭意進めますとともに、それぞれ諸外国の資料あるいは実情等も含めまして、我が国国内におけるものも含めて調査実施しておるところでございまして、今後ともこのセンター構想の可能な限り早急な実現に向けて着実に取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。  実は、戦後五十年という節目を迎えました村山内閣のとき、私も閣僚の一人として歴史的な戦後五十年の節目を迎えたわけでございまして、今アジア歴史資料センターについての委員質問をお伺いしながら、さらにその責任の重さを痛感しておるわけでございます。  一部報道等におきましては、自民党が自由党と連立を組んだからこれがおくれるんじゃないかなといったような報道まで行われている向きもあったり、停滞しておるという御指摘もあるわけでございますが、このことは連立の相手であります自由党にも御迷惑をかけるわけでございまして、一層私どもは村山内閣の際に提言をされましたこのアジア歴史資料センターの早期実現のために積極的に取り組んでまいりたいと存じておるところでございます。
  39. 千葉景子

    千葉景子君 御決意のほどを伺わせていただきました。  私も、多少事務方の皆さんからこれまで聞いておる話によりますと、国の機関としてきちっとして設立をしたい、ただ財政が大変厳しい折でもあり、そればかりではございませんけれども、既存の施設に併設をするというような形でやらざるを得ないのではないか、国立公文書館などという例えばの例もあろうかと思いますが。ただ、これは幾つかの省庁にもまたがることでございまして、どうやらその辺でそれぞれが腰が引けているやな話も伺ったりするところでもございます。  むしろ、これは政府全体としてきちっと最終的なまとめをされるべきものであろうと思いますので、困難はおありかと思いますが、官房長官、ぜひ陣頭指揮のもとにおまとめいただくよう改めて御要請をしておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  40. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 若干の日にちがたっておりますので、今、千葉委員が御指摘になりましたような調査あるいは検討がおくれておるのではないか、あるいは収集の対象となる資料等についても各省庁に分担がまたがったりするわけでありますので、政府部内の調整が円滑にいっておらないんではないかという御指摘を受けるわけでございますが、その取りまとめをいたしております外政審議室長もここに参っておりますので、先ほど私が申し上げましたように、この戦後五十周年という節目に決められましたアジア歴史資料センターの意味の重要さを新たに踏まえまして、できるだけ早い実現に向けて取り組んでまいりたいと存じております。
  41. 千葉景子

    千葉景子君 それでは、引き続きまして先ほど森田委員の方からも御質問、御質疑がありましたが、情報公開制度につきまして少し総括的な質問をさせていただきたいと思います。この後、法案につきましての趣旨説明もあり、個々具体的な内容につきましてはその趣旨説明を受けまして議論が進められるものと考えておりますが、そのいわば審議に当たっての心構えとでも言いましょうか、そんなことを含めまして何点か質問をさせていただきたいというふうに思います。  私もこの情報公開制度につきましては、その法制化に諸先輩あるいは同僚議員の皆さんともどもに長年取り組ませていただいてきた一人でもございます。その意味では、ようやく情報公開制度の法制化の姿が見えてきたな、こういう気持ちがいたしているところでもございます。  ただ、考えてみますと、先ほどお話もございましたように世界の流れから見れば、アメリカ等の情報公開制度の確立から三十年ほどもおくれてきた。また、地域での取り組み、これも先ほどお触れがありましたけれども、山形県の金山町、この条例の制定から考えても十数年の年月が経過をしている。そして、立法機関としてはやはり行政の情報に対する開示を法制化をしようということですから、ある意味では立法機関の責任でもあろう。そういう意味で、立法機関としても数々の議員立法も提起をされてきた。こういう長年の経過から見ると、今情報公開制度が法制化の姿が見えてきたこと自体は私も大変うれしく思いますが、いささかこの間随分時間がかかり過ぎたのではないか、そういう気がいたします。  地方などでは条例を使いながら、例えば官官接待とかあるいは空出張とかあるいは談合問題などが明るみに出て、そして地域の政治に対する不信感を取り除いたり、あるいはそのむだをきちっと適切に是正をしていくなどの措置もとられてまいりました。国の方は、どうやらこの情報公開制度がない間何がはびこってきたかということは、もう官房長官総務庁長官も御存じのことであろうというふうに思います。  そもそも、ここまで長きにわたってこの法制化がし得なかった、こういうところについては政府としてどう御認識をなさっているのでしょうか。これは怠慢と言っていいのか、あるいはそれともこの法律をつくっては大変だという何か特段の理由でもあったのか、その辺の反省も含めてお考えはいかがでしょうか。
  42. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 政府といたしましては、これまで情報公開を法制度としてどのように位置づけるかということについて調査研究を進めまして、我が国の実情を踏まえた情報公開法のあり方を検討いたしてまいり、その実績を踏まえて去る平成十年三月二十七日の第百四十二国会に提案をさせていただいたわけでございますが、第百四十三臨時会、百四十四臨時国会と残念ながら継続審議に至りまして、この一月二十二日以来の第百四十五国会においてようやく衆議院においてこれが御審議をいただき、かつこの衆議院における法案審議の結果満場一致をもって参議院に送付をいただいたところでございます。  今、委員からこの法案に対しまして、諸外国に比べておくれておるのではなかろうかという御指摘は私どもも甘受しなければならないと思うわけでございますが、諸外国ではそれぞれその国の国情の違いから情報公開法が制定をされておりますことは、もうこの情報公開に非常に熱心にお取り組みになりました委員でございますので、十分御承知でございます。また、未制定のところもさまざまあるわけでございまして、北欧あるいは米国等十三カ国において法律が現在制定をされておりますけれども、英国とかドイツとかイタリーとか、それぞれ先進国においてもいまだなかなかこの法律が制定されないところにも非常に難しい問題があるのではなかろうか、このように承知をしておるところでございます。  また、先ほども御指摘がございましたけれども、我が国の地方公共団体で条例制定によって情報公開を行っておるのも全体の約二割でありまして、まず、今回の情報公開法が本院においても早急に成立をさせていただくことによって一層この情報公開我が国においても進んでくるのではなかろうかと期待をしておるところでございます。
  43. 千葉景子

    千葉景子君 できていないところ、あるいはおくれているところを参考にしていたのではなかなか前に進むわけではありません。むしろ先駆的なところを参考にしたり、あるいはそのさまざまな蓄積を十分に受けとめて積極的に取り組むことが我が国にとっても大切なことではないか、そこのところは十分承知いただきたいというふうに思います。  遅きに失したとは申しましても、この法律がいよいよ生まれ出ようとしているところでございますから、私どもも最大限この法律がよいものとして誕生できるように努力をさせていただきたいというふうに思っております。  私が既に申しましたように、条例あるいは諸外国の実例などを考えても、今我が国のこの法制化はどこかに先がけてとりあえず試作品をつくってみようという段階ではないわけです。だとすれば、さまざまなこれまでの実績も踏まえて、一歩でも二歩でも、いや最高の法律としてまとめ上げていくということが立法機関として、それから行政機関としての責任ではないだろうかというふうに思います。  その意味では、この法案がこれから審議されるに当たって、この委員会での議論あるいは立法機関としてのさまざまな問題提起、そういうものも率直に受けとめていただいて、そして一歩でも二歩でもよりよいものをまとめていこうというお心構えを持っていただきたいと思うんですが、いかがですか。
  44. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 委員指摘のように、この情報公開法を衆議院に提案をさせていただきまして、一応の経過はございましたものの、各党間で熱心な御協議をいただき、さらに継続審議を重ねながら今国会において衆議院で共同提案を全会派において行われたということを私どもは重く受けとめておるわけでございます。参議院に送付をいただきましたけれども、なお参議院におきましても濃密な御審査をいただきまして、早期成立を心からお願い申し上げる次第でございます。
  45. 千葉景子

    千葉景子君 さて、私はこの情報公開制度、この大きな柱は、国民の知る権利を保障し、それを具体化する、そのための法律であるというふうに私は認識をさせていただいているところでございます。ただ、その点については、この法案中身を拝見いたしましても、今後さらに議論させていただくようになろうかと思いますが、なかなかはっきりされていないというところもあろうかというふうに思います。  そこで、きょうは知る権利という点について何点か御認識等をお伺いしておきたいというふうに思います。  まず、知る権利、これが憲法上保障された権利であること、これは当然のこと、お認めになるというか御認識を持っていらっしゃると思いますが、いかがでしょうか。
  46. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) たびたび申し上げておるのでございますが、国民主権のもとで国民が主人公なわけでありますから、そこで国会議員を選び、そしてそのもとで内閣総理大臣を選出し、そして内閣総理大臣内閣組織し、そしてそこから命令が発せられることによって行政というのはさまざまな権限を持つことになるわけでございますから、そのあり方について国民に対して説明の責任があるということは当然のことだと思っております。それをどの程度どうするかということについてさまざまなやり方があったということだと思います。  知る権利という言葉は、憲法上の直接使われている文言ではないわけでございますが、おっしゃっている意味は、我々と認識は余り変わらないのではないかというふうに考えているところでございます。
  47. 千葉景子

    千葉景子君 どうもいま一つちょっとわからない。簡単なことをまず私は聞いておるのでして、知る権利、確かに憲法の条文の言葉としては出てまいりません。ただ、現在、憲法の認める権利として存在をしているということはそのとおりですね、知る権利は憲法上保障された権利だとお考えですねと。まず、これだけお聞きしたいんです。
  48. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 知る権利という言葉が意味している内容については、確かにそのとおりだと思います。
  49. 千葉景子

    千葉景子君 何か禅問答のようになってしまうんですが、私はこういうことだと思うんです。  憲法には、二十一条で表現の自由というのが保障されています。ただ、この表現の自由というのはやはり送り手と受け手というものがあって成り立っているわけですから、その意味では、この表現の自由というのは受け手の自由も保障するものであるということがおおよそ学説でもあるいは判例上でも認められているということが言えるのではないかというふうに思います。  そういう意味で、知る権利というのは、憲法上保障されている権利だということをまずここは明確に押さえておいていただきたいんです。御趣旨はじゃなくて、憲法上の権利だと、まずそこは長官、きちっと御認識をしておいていただかなければいけないと思いますが、どうですか。
  50. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 憲法の解釈について、憲法を解釈すれば知る権利という言葉を使わなければならないということであるかどうかということからいえば、それは、ねばならないということではないと思います。その言葉についての選択は、それぞれの国民、各国民ごとにある考え方でありますから、その表現をとるかどうかということは、それは違う問題だと思います。
  51. 千葉景子

    千葉景子君 何か長官、知る権利とまず情報公開制度の問題、そこへ行くまでの予防線を張っておられるような気がいたしますけれども、そんなことではなくて、じゃ逆に、知る権利は憲法上の認められた権利ではないと、そうお考えですか。
  52. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 率直に申し上げると、例えば、この言葉は私はそんなに抵抗感がありませんけれども、人によっては非常に政治的な意味合いを感じる方も中にはおられるわけでございまして、要はその内容、意味しているところが、先生がおっしゃっている知る権利という内容と我々がこの情報公開法の制定に当たっての考え方とが共通であれば、それでよろしいんじゃないですかね。
  53. 千葉景子

    千葉景子君 いや、そういう問題ではないと思いますよ。というのは、例えば内閣としてあるいは行政府として、憲法上の権利だとすればそれをきちっと尊重、守り、そしてそれを施策やあるいは具体的な法制度の中に具体化をしていく、そういう責任が出てくるわけですよね。  だから、思いが同じだとか、あるいは解釈をしてみるとほぼ共通だという問題ではなくて、憲法上の権利であるとするならば、それをやはり日本制度あるいは施策、こういう中にきちっと位置づけてさまざまな運営をしていかなければいけないということになるはずですから、そこは明確にしておいていただかなければ、これから先の議論が進まないと思いますが、いかがですか。
  54. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 憲法二十一条の表現の自由というものの解釈について、そこに請求権的なものを含むか含まないかということであれば、それは含まないんだろうというふうに考えております。
  55. 千葉景子

    千葉景子君 まだ私、そこまで聞いていなかった、次に聞こうと思っておったんですけれども、大変時間がこれでかかるんですけれども、憲法上保障された権利かどうかという問題、そして、じゃ、その認められている権利というのはどういう内容を持った権利なんだという問題と両方あるというふうに思うんですね。  今、長官がおっしゃった表現の自由の中には請求権的な権利は認められていない。では、請求権的ではない、自由権的に知る権利を妨害するようなことをやってはいけないよ、いわば自由権的な権利としては認めるというふうにおっしゃりたいわけですか。
  56. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 私は、必ずしも、請求権的なものは含まないということを言っておるわけで、本来それがないんだとかそういうことを申し上げているわけじゃないわけでございます。  さっきから先生は、従来の憲法解釈についてのさまざまな説についてのお話をしておられるんだと思いますけれども、私は要するに、法律の中でどういう表現を使うかということは、その内容について大方のコンセンサスができていれば、そこの表現の言葉として何を使うかということは、それはそれぞれの意見の違いがあってもいいんではないかというふうに思っているわけであります。表現のことじゃないというふうにさっきからおっしゃっているように思うわけでありまして、私は表現の、言葉の使用の問題だと思っているわけです。
  57. 千葉景子

    千葉景子君 では、知る権利と申し上げるのが表現の仕方としておかしいと言われるのか、ちょっとよくわからないんですが、知る権利ではなくて、違う表現の仕方というのがそうするとあり得るということになりますか。内容は共通だとおっしゃいましたよね。だけれども、必ずしも知る権利は憲法上認められた権利と明言もなさらない。  そうすると、憲法上どういう権利が認められるというふうに、じゃ逆に言えば、お聞きしましょう。
  58. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 国民一人一人が行政文書の開示を請求できる、国民主権の理念にのっとって行政情報を一人一人が開示を請求できるということであろうと思います。
  59. 千葉景子

    千葉景子君 それが知る権利じゃありませんか。
  60. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) それは、千葉委員はそれを知る権利と表現をされるんだということで、別にそのことについて私は反対をいたしません。
  61. 千葉景子

    千葉景子君 この権利を私は知る権利というふうに表現をいたしますが、行政の情報にアプローチをする、そういう権利ですよね。憲法そのものではなかなかそれを手続的にも具体的には行使をできない。そうすると、それを具体化するための法律こそがこの情報公開法ではありませんか。
  62. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 国民一人一人が行政文書の開示を請求できる権利を定めるのが行政情報公開法であると思っております。
  63. 千葉景子

    千葉景子君 そういうことであれば、先ほどから長官もおっしゃっておられるように、知る権利と表現はせずともその内容は同じだということであれば、この法律、これから提案をされますけれども、これはまさに私の表現で言えば知る権利を具体化したものだ、それを現実に保障するための法律だというふうに考えてよろしいわけですね。
  64. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) ですから、同じ内容のことを言っておられると思いますが。
  65. 千葉景子

    千葉景子君 それでしたら、長官がお考えになっていることは、知る権利と言われているんですよね。
  66. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) あなた方がね。
  67. 千葉景子

    千葉景子君 あなた方じゃなくて、憲法上、知る権利ということで保障されているんです。だから、この法律は知る権利を保障するための法律なんだよということをもう少し明快にこの趣旨として明らかにした方がいいんじゃないですか。そうしないと、逆に言えば、今、長官と私がやりとりしていたように、一体この法律の本来の目的、趣旨は何だといったときに、私は知る権利を保障する法律だ、長官は御趣旨は同じでございますけれども違うんですと。どうもそこでこの法律の本来の目的、趣旨があいまいになっていくということになりかねない。長官、そこのところはどうお考えですか。
  68. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) ちょっと経緯を申し上げます。  例えば、四年前だったか三年前だったか、衆議院の法務委員会で民事訴訟法の改正が議題になりました。その際に、私もその衆議院の法務委員会におりまして、裁判官の行政情報開示についての権限が非常に制約されたものであったということでもって、みんなで案をつくって修正を大幅にいたしまして、その後、法務委員会に行政情報の開示に関する小委員会というものを設けたことがあるわけでございます。  そのときに、行政情報公開法についての最近の数年間の盛り上がりというのは私もあったと思うわけです。これは党派や会派を問わずにあったと思うわけでございまして、私どもは私どもなりに推進をしてきたつもりでございます。議員としても推進をしてきたつもりでございます。  そのときに、我々の頭の中には知る権利という言葉はなかったわけでございます。だから、私がそれについて反発を感じるとかなんとかではないけれども、従来、情報公開法という話が出てきたときに、先生方はそれは知る権利のことだ、どうしてそれを明記しないのかというふうにおっしゃいますけれども、我々はそういう知る権利という言葉でもって今言っている思いをあらわしてきたわけではないわけでございます。  だから、そこはちょっと一つ言葉についての受け取りようというのが違うと思いますので、内容が共通であればそれでよろしいんじゃないでしょうかということを先ほどから申し上げているわけです。
  69. 千葉景子

    千葉景子君 では、当時は知る権利というのが頭になかった、きょう知る権利というのを随分議論させていただいて、同じものだというのをわかっていただいたようですので、だとすればその言葉をきちっと頭に置いていただいて、そしてそれを具体化していく、これが法律だぞという位置づけを改めて確認をしておいた方がよろしいんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。  そして、こういう問題もあります。今、各自治体でも、先ほどもお話がありましたように、四十七都道府県すべてに情報公開条例がございます。かなり、かなりというか、知る権利を具体化する条例だということを明記している条例もございます。  そうすると、そういう条例の趣旨と知る権利を明記しない法律というのは、違う趣旨、目的を持ったものになりますか。それとも、それは決してそうじゃないんだ、同じものだ、同じ方向性目的を持った制度なんだというふうにお考えになりますか。知る権利を具体化したと明記している条例というのは、長官のお考えとはかなり違うものなんだというふうにお考えになりますか。
  70. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 幾つかの自治体でそういうふうに条例で明記していることはお聞きをしておりますけれども、それはそこの地方自治体の考え方であって、知る権利という表現を用いるのかどうかというのはまさにその選択の自由だと思うのでございます。  ですから、その意味している内容は、知る権利という言葉は、私は別にその条例を詳しく読んだわけじゃないからわかりませんけれども、恐らく想像するに、知る権利という言葉を使っているその条例の考え方と私どもの考え方は質的には同じものだろうと想像いたします。
  71. 千葉景子

    千葉景子君 それでは、長官としては情報公開法が知る権利を目的とし、知る権利を保障するための法律だということを明記することを否定する理由は何にもありませんね。知る権利を法律としてきちっと明記をするということで何か困ることがありますか。
  72. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 知る権利という言葉を使わなくても、意味している内容が同じであれば千葉委員もお困りになることはないのではないかと思います。
  73. 千葉景子

    千葉景子君 いや、これは別に私が困るとか長官が困るということではなくて、日本の憲法体系のもとできちっと概念として定着をし、そして保障されている知る権利ということを言葉としてきちっと明確にし、そして法文の上でそれを具体化するものだということを明記することは全然差し支えないじゃないですか。むしろ、わかりにくい言葉を使うよりは、知る権利を保障するものだぞと明記をした方が国民にとっても行政の執行にとっても大変わかりやすい。そういうことになりませんか。
  74. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 行政情報公開できるようになるということで、国民の方には何もそれについてあいまいさは残らないと私は思います。
  75. 千葉景子

    千葉景子君 これは改めてもう一回、長官も知る権利をよく見ておいてください、あるいは勉強しておいていただきまして、そうすれば、知る権利はやっぱりはっきりと明記をしてわかりやすくした方がこれからの運営にも、それからこれからのいろいろな裁判の上でも明確なこれが法律として位置づけられるということを御理解いただけるというふうに思います。  この議論の決着はまたさせていただかなければならないというふうに思っておりますが、ちょっと一、二点、今後の議論の上にも必要になってこようかと思うので御質問いたします。  この情報公開制度というのは、存在をしても情報そのものがきちっとされておりませんと、あるいは情報がなければ何の意味もないわけですね。そういう意味では、情報管理、これまでは文書という形で情報が集積をされることが多いですので文書管理ということになろうかというふうに思いますが、この文書管理をきちっとしておくということが必要だというふうに思います。  今度の法案にも文書管理についての規定が三十六条にはあるようですけれども、現状は一体どのようになされているでしょうか。幾つか文書管理規程のようなものを設けて行政内部で管理をされているということも伺いますけれども、ちょっと一回実情を聞かせていただきたい。どういう省庁でどういう規程があって、それはどういう内容で文書管理をさせているのかということ、時間がございませんので一、二点、もしお答えいただければお答えをいただいた上で、それはまとめて例えば資料、文書などでこの委員会などに提供いただきたいというふうに思いますが、いかがですか。
  76. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) 時間が超過しておりますので簡潔にお答え願います。
  77. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 文書管理についての現状でございますが、現在文書管理につきましては各省庁において大臣訓令等の形式によりましてそれぞれ文書管理規程を定めております。例えば、総務庁でいえば総務庁文書管理規則といったような形で定めております。そしてこれにつきまして、管理対象とかそれから対象とする行政文書の範囲、それからそれぞれの同種文書の保存期間についてどうするかといったようなこと等を規定しているものでございます。
  78. 千葉景子

    千葉景子君 終わります。
  79. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 私の質疑の時間はわずか十五分でございますので、簡潔に御質問いたしますので御答弁の方もそのようにお願いできればと思います。  まず、官房長官にお伺いしたいと思います。三月二日の記者会見で国旗・国歌の法制化ということを言われました。そこで、この国旗・国歌の法制化に向けて官房長官はどういうイメージを持っておられるか、お伺いしたいと思います。  一つは、国旗・国歌法という一本の法律をイメージされているのか、仮称、国旗法とか国歌法とかばらばらの法律をイメージされているのか、また諸外国の例に倣いますと、国旗は法制化をされておるところが多うございますが、国歌の方はイタリアのように閣議決定というようなところもございます。どういうイメージか、まず法制化についてお答えを願います。
  80. 野中広務

    国務大臣野中広務君) ただいま委員から御指摘の、日の丸・君が代が我が国の国旗・国歌として国民の中に広く定着をしております今日におきまして、なお二十一世紀を迎えるに当たりまして、諸外国では国旗・国歌を法制化している国もございますし、また国旗を法制化し国歌を別な、閣議決定とかこういう取り扱いをしておる国もあるわけでございます。いずれにいたしましても、こういう時期に国旗・国歌を法制化いたしまして成文化をすることが我が国においてもより明確に位置づける上で必要ではなかろうか、こういう上に立ちまして、この検討をする時期に参っておるということから今回国旗・国歌の法制化を含めて検討に着手をすることにいたしたわけでございまして、現在、先ほど委員の御指摘にもございましたが、具体的な内容の検討作業事務方に指示しておるところでございます。  今後、政府といたしましても、今申し上げました国旗・国歌の成文化を含めた諸問題の検討結果を踏まえまして、広く、国会を初め、国民各方面の関心も持っていただき、御議論も賜りたいと思っておるところでございます。
  81. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 今、事務方に指示をされておるようでございますが、今後どういう段取りで、また、いつごろまでに結論を出して、いつごろを目安に国会提出をされるか、このことについてお伺いいたします。
  82. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 今のところ、事務方に幅広い検討を命じておるところでございまして、いつ、どのような形で提案をさせていただくかという具体的な日程を申し上げる段階に至っておりませんけれども、私といたしましては、でき得れば今国会にでも御提示を申し上げるような取り運びをしてまいりたいと考えておるところでございます。
  83. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 では、時間がありません、次の質問に移ります。  情報公開、先ほどから各委員皆さんもおっしゃっております。情報公開法案、これから実質的審議が始まるわけですが、私も総論的にお聞きをしておきたいと思います。  一つは訴訟管轄についてでございます。衆議院におきまして超党派で高裁の所在地、八高裁ございますが、これも提起可能になったわけでございますが、その高裁、また六支部ございます。この六支部は、日本海側に秋田、金沢、松江とか、また沖縄の那覇とか、こういう高裁の所在地まで相当物理的にも空間的にも距離もかかる。こういうふうなことでございまして、この情報公開、広く国民情報を開示するということから見れば非常に使い勝手のいいものにしなければなりませんが、高裁支部にまで提訴可能に拡大するということについては、総務庁長官、どのようにお考えでしょうか。
  84. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 多々ますます弁ずということかもしれませんが、当初の政府の案では、従来の行政不服訴訟のようなことに倣って、被告の所在地一カ所でこれに対応するということになっていたわけでございます。それを、私もたびたびベストな案であるということを国会答弁で言ってまいりましたので、急にそこを変えるということはあれでございますけれども。衆議院で修正をされました高裁の所在地の地方裁判所でやるということは、私は、よその国の例と比較しても、我が国と比べて大変広大な国土を持っておるアメリカでどうかというようなことを考えても、州に一つしかないというところもあるわけでございまして、時間と距離に関して言えば、双方の訴訟の当事者間が、どちらがどれだけのコストを払うかということもあり、この辺が今の、衆議院で修正をされました現在の参議院における案というのがもうぎりぎりのところではないかというふうに考えておるところでございます。
  85. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 官房長官、所管ではないかもしれませんが、沖縄開発庁長官も兼務されておられますね。沖縄の心を大変よく知っておられる官房長官沖縄開発庁長官。沖縄の方は、福岡高裁の那覇支部、ここだけはもうせめて、ぎりぎりと今、総務庁長官はおっしゃいましたが、ぎりぎりのぎりで何とかこれはお願いできないか。もう物理的にも空間的にも非常に遠いところでございますし、沖縄県そのものが大変多くの離島も抱えておるわけでございます。  そこで、これは沖縄開発庁長官であります官房長官に、沖縄の皆さんの心を体して私は申し上げておるわけでございますが、せめて那覇支部だけでも広げられないのか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  86. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 衆議院におきまして、今、総務庁長官からお話がございましたように、それぞれ全会派をもって修正をされて、東京地裁を原則としておりましたのを八カ所の地裁で行うことになったわけでございます。委員が今沖縄県の実情を踏まえられまして御指摘になりました件も私も沖縄を所管する者として十分理解をするわけでございますけれども、いずれにいたしましても、衆議院におきまして全党全会派が満場一致で共同修正をされましたものを参議院に送付、御審議をいただいておる時期でございますので、ぜひそういう意見を踏まえまして参議院において十分御審議を賜ることをお願いする次第でございます。
  87. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 では、後日情報公開法案についてしっかりと議論をし、そういう方向になるように与野党の皆さんの御協力をいただくということで、次の質問に移ります。  実は、各省庁国会審議の参考資料として提出します各目明細書というのがございます。私は、久方ぶりに各目明細書をつぶさに見させていただきました。  そこで、もう時間がありませんから、沖縄開発庁、沖縄の道路事業工事諸費の職員俸給のところの人数の問題と、同じく内閣官房所管の安全保障会議庁費の問題で、事前のレクで指摘をしておきましたが、正誤表はできましたですか。
  88. 玉城一夫

    政府委員(玉城一夫君) 今、先生から御指摘がございましたように、訂正表をお配りするようにしてございます。  まことにお恥ずかしい話でございますが、平成十一年度一般会計歳出予算各目明細書の組織、沖縄開発庁、項、沖縄道路事業工事諸費の定員の書き方に誤った記載がございました。御迷惑をおかけしましたこと、まことに申しわけございませんでした。  今後、このようなことがないように十分気をつけてまいる所存でございます。
  89. 尾見博武

    政府委員(尾見博武君) 先生指摘内閣官房安全保障会議関係でございますが、自動車損害賠償責任保険料について一般事務処理費の中で計上するというような取り扱いをいたしました。その点について先生から御指摘をいただいたわけでありますが、先生の御指摘のとおりだというふうに思いますので、今後御指摘のとおりその統一を図るようにしていきたいというふうに思っております。
  90. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 来年度からの各目明細書もしっかり見させていただきますから、ひとつ特段の御注意を払ってお願い申し上げたいと思います。  では次に、官房長官の当委員会における所信表明の中に、各大臣との連携をとりつつ総理を補佐し云々、そして具体的な取り組み事項で、障害者施策の積極的な展開ということをおっしゃいました。  私も、障害者団体の方からいろんな陳情を受けますが、ぜひこれだけは、各省庁にもわたることでもございますので、当委員会であえて官房長官に御質問いたしますが、有料道路の割引につきまして障害者の方々への規制緩和をお願いしたいということでございます。  昭和五十四年にこの障害者の方々の有料道路割引制度発足いたしまして、ことし二十年目でございます。この間、平成六年、平成十年と拡大をしてまいりましたが、いわゆる使い勝手が悪い。一つは、福祉事務所に行って割引証をもらってそれを有料道路の精算所のところで提出しなければいけない。もう一つは、車両一台に限定をされておる。この二点が非常に煩わしいといいましょうか、ほかの制度に比べてこの点がハードルが高い。例えばタクシーなんかでも、一割引でございますが、障害者手帳を見せたらばもうそれでいい。JRもそうでございます。飛行機もそうです。  この有料道路だけが割引証を社会保険事務所からもらって提出し、なおかつ車両も一台に限定されておる。特に、車両の場合は車検のときとか事故車があったときに代車というのがあります。家族に二、三台あった場合に、たまたま限定された車を息子が先に運転していったというようなこともあります。  そういう意味で、この割引証と車両限定、これについて緩和をしていただきたい、特段の御配慮をいただきたいということでございますが、官房長官、いかがでしょうか。
  91. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 委員指摘の有料道路の障害者割引でございますけれども、障害者が移動する場合に、身体的な苦痛や疲労が著しいため、走行の条件のよい有料道路を利用することが相当程度余儀なくされている実情があるわけでございますので、その社会経済的事実をそばむことのないように設けられた制度で、委員から御指摘ございましたように、昭和五十四年から平成十年に至る間、逐次改善をされてまいったわけでございます。  もう十分御承知のように、この割引は他の利用者の負担により実施をされるものでございます。したがって、対象範囲は他の利用者の理解が得られる程度のものでなければならないというのを基本に御理解いただきたいと思うわけでございまして、本制度につきましては、車の事前登録制や手続についての関係団体からの要望も踏まえまして、なお障害者の社会的自立が一層図られますよう、今、委員から御指摘ございました点も踏まえながら、総合的に検討をさせていただきたいと存じております。
  92. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 ぜひ前向き、積極的にお取り組みをいただきたい、障害者の方のノーマライゼーションというようなこともひとつ念頭に置いていただければと思います。  済みません、また情報公開法の方に戻ります、ちょっと時間が思ったより早く過ぎまして。  これは、官房長官情報公開法が原案といいましょうか、修正があるかもしれませんが、ほぼ原案どおり成立した場合、二年間いろいろ準備期間がありますけれども、もしこれが成立した場合に、内閣に報償費というのがございますね。今年度、十六億二千四百万円、交際費が内閣官房で一千三百七十八万四千円ですか、それから総務庁も交際費が四百五十万六千円ほどありますが、これらは相手先、内容、金額を公開されるおつもりですか。  特に、総務庁の場合は率先してやらなきゃいけませんので、総務庁の場合はどこまで公開をするおつもりなのか、またこれから検討するのであれば長官としてはどこまで公開をしたいとお思いか、お二人からお伺いして、終わりたいと思います。
  93. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 内閣官房の報償費は、御承知のように、国が国の事務または事業を円滑かつ効果的に遂行するために、その状況に応じまして最も適切と考えられる方法によりまして機動的に使用する経費でございます。  例えば、一国の総理として広く内外、内政、外交の円滑な推進を図る上で、これに対し功労あるいは協力及び努力のあった者等に対し、その労苦に報いたり、さらにはそのような寄与を奨励することが望ましいと思われる場合におきまして、その状況に応じて最も適切に支出してまいったところでございます。  具体的な使途につきましては、一般経費とは異なる取り扱いをしておることは委員も十分御承知でございますので、内閣としてはその具体的な使途を公表することは行政の円滑な遂行に重大な支障を生ずると判断を現在いたしておりまして、公表すべき性格のものではないのではないかというように思考をしておるところでございます。  なお、その他交際費等につきましては政府委員から御答弁を申し上げます。
  94. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) 時間が超過しておりますので簡潔にお願いします。
  95. 尾見博武

    政府委員(尾見博武君) 内閣官房の交際費の公開についてのお尋ねでございます。  交際費の性格といたしましては、儀礼的、社交的な意味で部外者に対して支出する、一方的、贈与的な性格を有する経費で、交際の相手方との信頼関係ないし友好関係の維持、増進を目的として行われる、そういうものだというふうに認識しております。交際費に係る文書の公開につきましては、具体的な請求がございました時点で個々に判断を行う必要があるというふうに考えておりまして、現時点で公開がどこまでできるか的確にお答えすることは困難だというふうに承知しております。  いずれにいたしましても、情報公開法が施行されました後に同法に基づきます開示請求がございました場合には、同法の規定に基づいて適正に対応してまいりたいというふうに考えております。
  96. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 実際に非常に細かく調べたといいますか、今まで私自身がチェックをしてはおりませんので、これは性格がどんなことかということはこれからきちんとさせていただきたいと思いますが、いずれにせよ法律が施行されましたらば、法律の規定にのっとって適正に行わなければいけないと思っております。たくさんのことが書いてありますが、それは私が責任を持って言えることではないので、そこで御勘弁いただきたいと思うわけであります。
  97. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 日本共産党の阿部幸代でございます。  子どもの権利条約と国連子どもの権利委員会による日本政府の第一回の報告に対する最終見解、勧告の実施状況について質問いたします。  九八年度版の青少年白書でこの問題がどのように取り扱われているのか、大変私、興味を持ちました。本文では六行の扱い、コラムで九八年五月にジュネーブで日本政府の報告書に対する審査が行われたことが紹介され、巻末に資料として条約の概要と日本政府の報告に対する子どもの権利委員会の最終見解が掲載されていました。  そこで質問なのですが、条約の全文、採択された最終見解等に関する情報は外務省ホームページで入手可能とありますので、インターネットで検索したところ、日本政府第一回報告、同報告に関する児童の権利委員会の事前質問に対する政府回答、同報告審査後の同委員会の最終見解については、御希望される方は下記まで御連絡くださいとして、外務省の担当課の電話番号とファクス番号が紹介されているだけでした。インターネットを利用してこれらを入手しようとする方たちに対して、これでは大変不親切だと思うのですが、どうでしょうか。
  98. 上田秀明

    政府委員(上田秀明君) お尋ねの外務省ホームページでの扱いでございますけれども、現在におきましては、今、先生お話ございましたような取り扱いになっておりますけれども、目下ホームページに全文を掲載すべく作業中でございまして、第一回報告、それから質問とそれへの回答、それから委員会の最終見解、この三点の文書につきまして全文をホームページに載せるべく作業しておりますので、近日中に公開できる見通しでございます。
  99. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 子どもの権利委員会最終見解では、これらが広く国民一般に入手可能となるようにと勧告していますので、昨年の六月に勧告があったわけですから、一年を迎える前にぜひ早目に実現していただきたいと思います。  また、勧告はこれらを刊行することも勧告しているんですね。この際、子どもの権利条約全文と第一回の日本政府の報告書、事前審査に対する文書回答、本審査後の最終見解を各審査の議事概要と一緒に刊行したらよいと思うのです。つまり、インターネットを利用しない方もいるわけです。外務省だけではできないということでしたら、ほかの省庁とも相談して検討なさってはどうでしょうか。
  100. 上田秀明

    政府委員(上田秀明君) 既に条約の全文につきましては、ここにもございますが、形で刊行はされております。今お尋ねのその他の報告、その他の文書につきましてどこまでできるか、費用のかかることでもございますので検討させていただきたいと思います。
  101. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 次の質問に入ります。  総務庁はいわば青少年行政の総合調整機能を持っているところなのだと思うんですけれども、青少年対策推進会議なりそのもとにつくられた課長レベルの各種連絡会議で子どもの権利条約並びに子どもの権利委員会の最終見解をテーマにして議論が行われたことはあるのでしょうか。  また、昨年たしか三月に発足した次代を担う青少年について考え有識者会議、これはまだ閉じていないと思うんですね。ここではどうなのか、あわせて質問いたします。
  102. 大坪正彦

    政府委員(大坪正彦君) 前段の青少年行政につきましての取り組みについて御説明申し上げます。  先生言われました青少年対策推進会議は、性格といたしまして、青少年の非行防止あるいは健全育成、こういうような観点から各省庁施策取りまとめをする場でございます。そういう目で見ましたときに、子どもの権利条約、確かにかなり関係深い部分が多いわけでございますが、すべてをカバーしているという状況にもないわけでございますので、関心は持ちつつも、そういう青少年行政との関係においてどういうような問題意識を持つべきか、こういう受け取りを実はしておる状況でございまして、そういう意味におきまして、推進会議といたしましてこの条約そのものをテーマとしたような取り上げ方は実はしておりません。  ただ、昨年六月の最終報告に示されておるような問題意識、これにつきましては対応できるような部分は実は対応しておりまして、例えば推進会議の構成メンバー、こういうものにつきましては、昨年の推進会議、七月に追加をいたしております。  それから、この推進会議関係省庁の行政スタッフの基本方針となるような推進要綱というものを申し合わせでつくっているわけでございますが、その推進要綱の中におきまして、こういう子どもの権利条約というものがあるので、その辺との関係に配慮する必要があるというような関与の関係につきましては追加として要綱改正をしている、こういうようなかかわり合いを持っている状況でございます。
  103. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 次代を担う青少年について考え有識者会議についてのお尋ねでございますが、これは御案内のように、最近の青少年の非行事件の多発というような状況がございまして、それを踏まえて広く関係審議会にお集まりいただくとともに、プラスして有識者にも入っていただくということで昨年の三月から設けられて、逐次もう六回の会議をやっております。その中において私どもそれの取りまとめをさせていただいておりますけれども、私の記憶する限り、今の児童の権利条約でございますか、それについて具体的な議論がされたということは今までのところございません。  ただ、この会議は終わったわけではございませんので、これから随時それぞれの委員会において掘り下げた議論がなされたり、答申がなされましたら、この有識者会議に諮っていただいて、全体の問題意識を統一して持っていこうというのが有識者会議の趣旨でございますので、これからのことについてはまだ予断を持って申し上げられませんが、今までのところはそういうことでございます。
  104. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 子供の問題に深くかかわりながら、子どもの権利条約について独自に議論していないというのは、まだまだこの問題のとらえ方、正面から本腰を入れていないというふうに見えるんですね。  最終見解、勧告では、「条約の規定が児童及び成人の双方に広く知られ理解されることを確保するために」「警察の構成員、治安部隊及びその他の法執行官、司法職員、弁護士、裁判官、全ての教育段階の教師及び学校管理者、ソーシャルワーカー、中央または地方の行政官、児童養護施設職員、心理学者を含む保健・医療職員を含め、全ての職業集団に対し、児童の権利に関する体系的な訓練及び再訓練のプログラムが組織されるべきである。」と言っています。  子どもの権利条約というのはなかなか奥が深うございます。人間間、子供間の百八十度の転換が迫られる内容だとも言われているし、私もそう認識していますので、ぜひ正面に据えた取り組みをお願いいたします。  次は、子どもの権利条約の推進体制にかかわる質問です。  官房長官は、衆議院の予算委員会で我が党議員の質問に対して、外務省が主管をして関係省庁が一体となって取り組んでいる旨答弁なさっていますが、これでは従来型だと思うんです。最終見解はどう言っているかというと、「総務庁及び青少年対策推進会議の設立について留意しつつも、」「権限が限られており、とられた措置が不十分であることを懸念する。」「これが、政府の行動における調整の欠如のみならず不整合にも帰着し得ることを懸念する。」として、児童に関する包括的政策を発展させるため政府メカニズム間の調整を強化することを勧告しています。  ここで言うところの総合調整機能を有する機構はあるのでしょうか、官房長官
  105. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 今御指摘の児童の権利に関する委員会の最終見解につきましては、現在関係省庁の連絡会議を開催しながら、各省庁においてそれぞれ所管事項について検討をしておるところでございます。  今後とも、児童の権利に関する条約の趣旨、児童の権利委員会の最終見解にも留意をいたしまして、児童に関する施策を総合的かつ効果的に推進をしてまいりたいと考えております。
  106. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 それだと条約批准後ずっと変わらないんですね。  女性の総合政策と比べてみますと、女性の場合は内閣官房長官担当大臣になって進められています。総理大臣が本部長となって全閣僚が本部員となった男女共同参画推進本部もつくられて、NGOとの連携も行われているように思うんです。  子供の問題が非常にこれと比べますとおくれをとっています。従来の青少年健全育成の枠組みの単なる延長ではなくて、また各省庁の寄せ集めでもない、子どもの権利条約の実施と評価の総合的調整機能を持つ機構をつくるべきだと思うんです。つまり、子どもの権利条約を所管するところをはっきりさせるということです。どうですか。
  107. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 今は子供の権利を本来ここで所管しますというところはないわけでございます。例えば、青少年の健全育成とか非行防止という観点からいえば総務庁がそういう役目になっております。ところが、子どもの権利条約で触れられるテーマというのはそれだけにとどまりませんで、例えば人種差別のこととかあるいは民法にかかわるようなこととかも出てくるわけでございます。そこで、条約にかかわることでございますから、外務省が当面窓口になって受けて、それぞれの所管ごとに取り組んでおるということではないかと思っております。
  108. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 所管がないというところがやっぱり大問題なのだと思うんですね。そこが指摘されているんです。  ほかの国の様子をちょっとお話しします。子供家族省、これはノルウェーです。青少年子供省、チュニジアです。子供省、ブラジルです。など、独自の省を設置しています。厚生省内に子供局を設けている、これはカナダです。あるいは省庁の代表から成る子供に関する省庁委員会、デンマークです。などなど、さまざまな機構がつくられています。  つまり、子どもの権利条約の推進体制、所管をはっきりさせていく、そういう権限を持つ機構をつくっていくということです。ぜひ検討していただきたいんですけれども、官房長官、どうですか。
  109. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) どこで何を担当するかということについて、今中央省庁改革の最中でございますが、法案も煮詰まってきておりますので、では今すぐにこういうふうになりますということにはならないわけでございますけれども、御指摘の問題についてはよく理解をして、今後の課題といたしたいと思います。
  110. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 きょう、子どもの権利条約の実施状況について質問させていただいていますので、最後に子供の声を紹介したいと思います。  といいますのは、子どもの権利委員会は、日本政府の報告、とりわけNGOの報告によって先進国の子供のことがよくわかったというふうに言っているんですね。そう伝え聞いております。 ・赤ちゃんのぼく(小学校二年生) うっとり足をくんで にっこりわらって ぼくもこんなに くつろいでいるときも あったんだな いまは、もう こんなにべんきょうがあって もうたいへんだ むかしのぼくになりたい ・気分のいい時(小学校五年生) マッサージ機に座っている時 お風呂にはいっている時 ぼおーっとしている時 ねてる時 おちゃ飲んでホッとした時  こうした子供たちの声に本当に真摯に耳を傾け、酌み取ってさまざまな施策を進めていただきたいと思うのですが、官房長官、感想を。
  111. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 今、委員が御発言になりました内容を聞きながら、ある意味においてゆとりのあった時代というのは私どもの小さなときであったのかなと、そんな懐かしさを思いながら、今の子供たちが学校やあるいは帰ってまいりましたら塾やおけいこごとなどに時間を奪われ、追われて、ゆっくり遊ぶゆとりが失われがちな今日の状況というのは、決して子供たちが健やかに成長していく状況としては好ましくない状況ではなかろうかと思うわけでございます。可能な限り子供たちがゆとりのある自由な時間を与えられることによりまして、初めて心から遊びを楽しんだり、自分なりに遊び方を創意工夫をしてみたり、また伸び伸びとした個性や創造性を伸ばすことができるのではなかろうかと思うわけでございます。  そういう意味において、学校教育の内容が厳選をされるなど、教育課程の改定が必要とされると思うわけでございます。  委員十分御承知のように、平成十四年度から学校週休二日制が完全実施をされるわけでございます。それだけに、この完全実施を契機といたしまして、地域や家庭に子供をもっと帰らすことにより、それぞれ地域の多彩な体験活動の機会を充実いたしましたり、文部省を中心として関係省庁の連携のもとに全国子供プランを推進することなどを通じまして、子供たちに時間とゆとりを与えられるような努力を今後も惜しみなく続けていかなくてはならないと存じておる次第でございます。
  112. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。  情報公開法が成立した場合に落とし穴がないようにということでお聞きします。  核燃料サイクル開発機構、旧動燃に私が資料要求をいたしました。その場合に、三カ月かけてやっと資料が出てきたんですが、その際に、申込用紙に、つまり特殊法人が独自の情報公開制度をつくり、その申込用紙に記入し、手数料を払ってほしい、コピー代も払ってほしいというふうに、最終的にはコピー代はこちらでコピーをしたので払わなくて済んだんですが、というふうに言われました。国会議員が資料要求した場合にコピー代と手数料を払っていますと破産をすると申し上げたら、国会議員は調査費をもらっているではないかと言われたんですね。国会議員と国民を区別する理由はないというのが理由でした。  きょう確認したいことは、国会上程中の情報公開法ができた場合に、この核燃料サイクル開発機構の場合のような、国会議員が資料要求をした場合にどういう取り扱いになるのかについてお答えください。
  113. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 詳細についてはまた行政管理局長がお答えをすると思いますけれども、国会議員の国政調査権あるいは議院証言法の法律のあり方と今回の情報公開法というのは別々の話でありますから、こちらができたからこちらが何か向こうでやりなさいというふうにはならないはずでございます。なりません、と思います。しかし、全くこれは私の私見でございますけれども、従来、議院証言法というものの中で国政調査権というものがもっと徹底したものになるべきであったというふうに私自身は思っておりまして、それはあるいは情報公開法がここで可決、成立をすることによって、国会議員の方の手段も恐らくふえることになると思います。    〔委員長退席、理事江田五月君着席〕  実は前もって、数年前でございますけれども、この情報公開法案が我々の党で審議をされていたときも、私、説明を聞きますと、よその国でも、例えばアメリカにおいても情報公開法ができたことによって議員の国政調査の手段がふえた、随分大きく広がったというふうに言われているというようなことをお聞きしましたので、それはこの制度は国会議員にとっても重要な法案であろうかと思うのでございます。
  114. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 私は、千円手数料を払いましたので、ちょっとほっといたしました。  次に、文書管理のことについてお聞きいたします。  文書管理整備情報公開法の大前提です。防衛庁調達実施本部、長野オリンピック招致委員会のように、官僚の責任逃れのために重要な文書、帳簿が焼却、廃棄されることがあってはなりません。  今恐れるのは、情報公開法が施行されるまでの間に、同様の文書廃棄が行われるのではないかという危惧がある点です。安易な文書廃棄を避けるためには、つまり法律ができるまでになくなっていたとなると困りますから、既に自治体で行われているように廃棄文書目録のようなものをつくり、いつ、どこの課がどんな文書を廃棄したのかを記録し、これを公開すべきであります。  情報公開法三十六条は、行政文書の管理に関する政令が定められることになっております。  きょうお聞きしたいことは、新聞報道にあるように、政令の内容を政府部内で検討しているようですが、文書廃棄について具体的にどのような定めを検討しているのか。できる限り早く政令を施行すべきだと考えますが、政令の施行時期はいつごろになるか。その二点についてお聞きします。
  115. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 情報公開法を適正に運用していくためには、適正な文書管理が前提でありますが、情報公開法案におきましては、三十七条におきまして、文書管理に関する基本的な骨格を明記いたしております。  行政機関の長の行政文書の適正管理の責務を規定するとともに、それぞれの行政機関の長に行政文書の管理に関する定めの策定とその公開を義務づけております。そしてまた、それぞれの行政機関を通じて、共通的に定めに盛り込むべき基本的な事項を政令で統一的に定めるということといたしているところでございます。    〔理事江田五月君退席、委員長着席〕  そして、ただいまの御質問の政令で廃棄といったようなものについて具体的にどのような内容を定めるかということでございますが、この政令におきましては、それぞれの各省行政機関の長が、行政文書の管理に関する定めを作成するに当たって基づくべき基準としまして、行政文書の分類、作成、保存、廃棄に関する基準、その行政文書の管理に関する必要な事項について規定をするということになっておりまして、その中で具体的に廃棄につきましても、記録を残すというような方向でその基準を策定したいというふうに考えております。  この政令の制定時期につきましては、いずれにしましてもこの法律成立後、必要な行政文書の管理に関する実態調査、そしてその共通的な基準等を策定しまして、政令制定ということで進めてまいりたいというふうに考えております。
  116. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 官房機密費というものがあるというふうに言われておりまして、十三億円というふうに聞いております。それは領収書などを私たちは見ることが今の段階でできていないのですが、野中官房長官、この官房機密費十三億円について、将来あるいは現時点において公開されるおつもりはあるのでしょうか。
  117. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 先ほど日笠委員にお答えをいたしたわけでございますけれども、官房の報償費を指していらっしゃるんだろうと思うんです。  これは先ほどもお答えいたしましたように、国が、国の事務または事業を円滑かつ効果的に遂行をいたしますために、その状況に応じて最も適当と考えられる方法によって機動的に使用する経費でございまして、例えば一国の総理として広く内政、外交の円滑な推進を図る上で、これにさまざまな功労、協力及び努力等のあった人等にその労苦に報いたり、さらにそのような寄与を奨励することが望ましいと考えられる場合において、その状況に応じて適当な方法で支出をしておるものでございます。  具体的な使途につきましては、一般経費とは異なる取り扱いをいたしておるところでございます。内閣といたしましては、その具体的な使途を公表することは、行政の円滑な遂行に重大な支障を生ずると判断をいたしておりまして、現在公表すべき性格のものとは考えておりません。
  118. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 しかし、地方自治体では出張費に至るまで今大変問題になっております。十三億というのはかなり多額であります。これが全部お礼のお金、交際費と言われることには承服できないものがあります。いかがでしょうか、官房長官
  119. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 内閣官房の報償費につきましては、公にすることによりまして当該事務または事業の性質上、その事務事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると考えられるわけでございますので、情報公開法上の不開示情報に該当をすると私は考えております。
  120. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 十三億の交際費に対しては国民からも恐らく議論があると思いますので、今後もお聞きしたいと思います。  申しわけありません、文書の廃棄にまた戻るのですが、情報公開法はできました、しかしまずいものは過去において全部捨てられていましたということでは困ります。現段階においても文書廃棄の記録を今からつくっておくことが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  121. 瀧上信光

    政府委員(瀧上信光君) 情報公開法の対象となります文書は、それぞれの行政機関がその業務の必要に応じて保存、利用しているものが対象になるわけでございますが、情報公開法施行前でありましても、業務上必要な文書を恣意的に廃棄できるというものではございません。  そしてまた、この法律案におきましては、この法律の施行前に作成、収集されました文書につきましても、開示請求の対象としておりまして、例えば文書管理のルールに従って保存すべき文書が廃棄等によって不存在ということになっているということが判明すれば、その理由を説明しなければならない。こういうふうに事後的なチェックも可能となる。  そして、先ほど申し上げましたように、各省庁の文書管理規則というものも、廃棄に至るまでの規定がオープンになりますので、そういったことでいわば事後的なチェックも可能となるということから、適正な管理は確保できるものというふうに考えております。
  122. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 先ほど質問もありましたけれども、管轄のことについて申し上げます。  私も、やはり沖縄の人から、福岡地裁に行くのは大変であるというふうに陳情を受けました。沖縄について拡大するという、離島などもありますから、いかがでしょうか。
  123. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 多ければ多いほど情報の開示を請求される方々にとっては便利になるわけでございます。しかし、そういうふうに言っておりますと、日本じゅう各都道府県ということにもなったりいたしまして、そういうふうにどんどん広がって切りがないので、どこの国も、何かの常識、彼らのそれぞれの常識に照らしてここでこういうことにしようということにしているわけでございますので、またぜひ御理解を賜りたいと思うのでございます。(「沖縄だけでも何とか」と呼ぶ者あり)それは、さっきのお話では、そうするとまた何か高裁の支部の所在地全部とかいうことになってまいりますし、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
  124. 阿曽田清

    阿曽田清君 自由党の阿曽田でございます。  私は、勲章、褒章の運用についてお伺いをいたします。  これは春と秋にそれぞれ四千五百人の方々を対象に勲章、褒章が授与されるわけでありますけれども、この四千五百人、各省関係者の内訳をまず教えていただきたいと思います。
  125. 榊誠

    政府委員(榊誠君) お答えいたします。  今、先生お尋ねの省庁別の数字でございますが、数からいいますと大変な数になるのでございますが、主として多いところを幾つか御紹介させていただきたいと思います。  全体で平成十年秋の叙勲者でございますが、四千四百九十名おられたわけでございます。その中で、文部省関係が七百七十八人でございます。それから、自治省関係が五百九十九人。それから、警察庁関係が四百三十二人。それから、厚生省関係が三百四十六人。それから、ちょっと数字があれかもしれませんが、消防庁関係が四百十九人。幾つかの省庁におきましてそれぞれ何人かの受章者が平成十年秋には受章されているわけでございます。
  126. 阿曽田清

    阿曽田清君 農林水産関係はどれくらいでしょうか。
  127. 榊誠

    政府委員(榊誠君) 農林水産関係につきましては、百三十六名の方が平成十年秋の叙勲では受章されてございます。
  128. 阿曽田清

    阿曽田清君 今お聞きしますと、農林水産関係に絞りますと、約三%の方しかその栄誉に浴していないということであります。  その中で今、大体、想像いたしますのに六割以上が役人OB、公務員OB、そのように承っております。四割が民間であります。この六割と四割というのもどんなものかなという感じを一つ私は持っておるわけでありますが、わけても農林水産関係で百三十六人とおっしゃいました。その百三十六人の方をずっと調べてみましたら、何とこれも公務員や団体の長の方がほとんどでありまして、その中で農業関係者というのはたったの五名。その五名の中でも、純粋に農業に携わった方々で浴したというのはないんです。過去十年間の中でたった一人だけ、シイタケの販売拡大に努めたということで表彰を受けておられる。  まさに私がここで言いたいのは、それぞれの地域で大変な努力をされて産地化をされ地域に貢献をしている方、あるいは昔ながらの三百年も四百年も続く農村の文化というものを守ってきておられる方々、あるいは竹細工にしてもわら細工にしてもそういうものをつくって目立たないけれども日の当たらない方々に、むしろ私はこういう場面で褒章してあげた方が地域のためにもなり、かつ農村のすばらしい文化というものを継承できるのではなかろうかというふうに思うんです。そういうところにもっと意を用いたらどうかなと思いますが、いかがでしょうか。
  129. 榊誠

    政府委員(榊誠君) 今、先生から御指摘のございました農業を直接やっておられる方の叙勲なり褒章の方を多くふやしたらどうかという御質問でございましたが、いわゆるそういう団体経歴がなくて農業だけで叙勲をされる方あるいは褒章を受けられる方は、私どもは一応篤農家という位置づけで考えておるわけでございます。最近の例で申しますと、平成元年以降、先生は一名ということでございましたが、叙勲関係では三名の方が今までやってございます。それから、褒章関係では十何名の方が黄綬褒章を受けておるわけでございます。  私ども、このような方の叙勲につきましては、人目につきにくい分野で多年にわたっていろいろ御苦労されておるということでございまして、できるだけ叙勲の対象にしていただくように努力はしておるつもりでございますが、いかんせんこれは各省庁から推薦をいただくシステムになっておる関係もございまして、私ども、推薦省庁に対してもできるだけ今言ったような、団体経歴だけの人じゃなくて、こういうような篤農家の人につきましても多くの方を推薦してもらうように強くお願いを今後はさせていただきたいと思っております。
  130. 阿曽田清

    阿曽田清君 ぜひお願いいたしたいと思います。  ただ、篤農家としてそれぞれの産地おこしに努力した人あるいは新しい品種なり技術なりを開拓した人、そういう人たちだけではなくて、農村の中で村のためにあるいはその地域のためにいろんな伝統文化を維持してきた、継承してきた方々というのも、そういう日の当たる場所にといいますか、最後に表彰してあげる、これは非常に私は元気づくことだろうと思いますので、そういうところに特に今後褒章される場合に各省庁に対しましても強く御要請いただきたいなというふうに思います。  我々がこういうことを申し上げると、中には、もうこの制度なんてない方がいいよと言うような方さえもいらっしゃるんですよ。ですから、私は、四月に行われる今度の春の叙勲、これに間に合わせとは申し上げませんが、中小企業者の中におきましても長い間ボランティアあるいは団体の長をやってこられた方々が受けはしたものの勲六等とか勲七等では、勲一等、勲二等はほとんど大学の名誉教授とかあるいは政治家、さらには裁判所の判事さんとか、そういう方々が一、二等に類して、もっと我々は大事な国のためになさっておる人たち、日の当たらない人たち、あるいは長年ボランティアでやってきた人たち、そういう人たちのランクも、何も六、七じゃなくて、三にもなり四にもなるというふうに私は見直しをすべきではないかなというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。
  131. 榊誠

    政府委員(榊誠君) 叙勲の制度の運用についてのお尋ねでございますが、叙勲制度が昭和三十九年に生存者叙勲という形で再開されて、現在三十五年近くになるわけでございます。  その間、運用につきましては、大体国レベルで御活躍された方と地方レベルで御活躍された方とある程度勲等の中で差が出てくるのはやむを得ないのかなということでこれまでの積み上げがあるわけでございますが、いろいろな御意見なり御指摘があるということも私どもは十分伺っておりますので、その辺のこともよく念頭に置きながら、運用の改善につきましては努力させていただきたいと思っております。
  132. 阿曽田清

    阿曽田清君 時間がありませんので次に入りますが、国民から遠ざかってしまっておる勲章、褒章にならないようにどうぞひとつ心がけていただきたいと思います。  官民交流法案を中心にやろうかと思っておったのですが、時間がなくなってしまいました。  今国会提出の予定でありますが、厚生省や大蔵省の不祥事がいまだ記憶に新しいところであるのに、官民交流法案が今出てくるというのは一体何だろうか。そして、出てくる内容が何となく正当化するために法案を出されておるのかなというような勘ぐりさえするのですけれども、今回出された意味合いを教えていただきたい。
  133. 中川良一

    政府委員(中川良一君) いわゆる官民交流法案につきましては、平成九年三月に人事院から国会及び内閣に対しまして意見の申し入れがございまして、とかく閉鎖的と言われる公務員の社会に民間の活力を導入するために、新しい仕組みとして官民交流のスキームをつくったらどうかという御意見でございます。  その後、政府部内で鋭意検討を重ねてまいりまして、今回やっと成案を得る段階に至ったということで、国家公務員が民間企業で実際に業務に従事して、そこで民間の経験を積んでくる、また民間の方にも常勤の国家公務員として働いていただいて、民間の効率的なノウハウを公務部門に広めていただくというようなことを目的として制度化を図ろうということでございます。官民癒着の問題等いろいろございますが、その辺の公正性の確保のための仕組みについてもいろいろ工夫を凝らして提案を申し上げたいというふうに思っておるところでございます。
  134. 阿曽田清

    阿曽田清君 罰則を設けたり規制を設けたりというのではなくて、霞が関の改革の一環であるならば、こういうような改革をすべきだと思ったら、それにふさわしい方をヘッドハンティングで採ってくる、そしてその方によって中身を変えていくというやり方の方が私はむしろ改革の意味をなすのじゃなかろうか。単なる人事交流ではますます問題点を正当化することのみにしか見えないのじゃないか、そういう感じさえいたしますので、どうぞひとつ今後御批判を受けないような改革案を出していただきたいと思います。  終わります。
  135. 椎名素夫

    ○椎名素夫君 少し時間も短くなってきたようでありますから、私も短くいたします。基本的には一問だけ官房長官にお伺いをしたいと思っております。せんだって最終報告の出た経済戦略会議の答申への取り組みということであります。  この間、代表質問で中間報告の段階でなかなかよくできているねということを申しましたが、最終報告も大変よくできていると思っております。これは大変広範囲にわたっておりますし、いわばお役所の作文の域を超えたいい報告書だと私は思います。  特に感心しましたのは、これは正確じゃないかもしれませんが、委員の方にちょっと聞いたところ、これをやるにはどういう法律をいじらなければいけないかという一覧表がずっと参考一に載っておりますね。数えてみたら百四十三あるんです。しかし、百四十三といっても、例えば各種の税法であるとか特殊法人の根拠法とかいうのがいろいろありますから、百四十三にとどまらない。また、各条文なんというのをやると千ぐらいいじらないと、新法もあるということですから、大変な想像を絶するような法律をいじる膨大な作業になるのじゃないかと思うんです。  あの中で言っておりますのは、とにかくこれは総合的なものであって、一気に全部やる覚悟が必要だということを言っている。つまり、部品だけ端っこからいじっていっても機械は動かぬぞというようなことだと思うんですが、そういう目で見ていくと、取り組みによっては大変絶望的になりかねない。よく食堂にろう細工の見本がありますが、ずっと並んでいて、あれを食いたいと言ったら、いや、それはありません、これはどうかねと言ったら、これもありませんというようなことになってしまうおそれがあるのではないかと思うんです。  そこで、官房長官、御相談ですが、この百四十三か何かわかりませんが、大変たくさん法律リストが出ておりますけれども、これは各担当省庁があるわけですが、これはどれができるかできないかという、簡単に言いますと、マル、三角、バツというような分類をひとつやっていただけないかと思うわけです。  マルというのは、各省庁もこれは必要だからすぐにいじらなきゃいかぬと、それについてはいつごろ着手して、いつごろ実現するめどを持つかというあたりも言っていただくといいんですが。三角というのは、それは必要ではあるけれども、今省庁再編もあるし、とてもとても仕事にならぬ、着手のめどはちょっとつきかねるというやつが三角。バツというのは、こんなもの必要ないという御意見ならばお役所から率直にそういう意見を出していただく。それから、やる気がないよというやつですね。このマル、バツ、三角ぐらいのことを仕分けした上で我々に見せていただくことはできないかということであります。  余り複雑なことではないと思うんですが、つまり、今見ておりますと、都知事の選挙をやって、候補者がずらっと出てきたら、公約を読んで、都庁のお役人でもこれはできない、あれはできないというのを即座に言うぐらいですから、中央省庁の優秀な諸君からいえば、このマル、バツ、三角は相当簡単なことではないかと思います。  一月ぐらいの間にこれを出していただいて、その上で見ませんと、いや、だけれどもこれはやらなきゃということならば、それこそ議員立法をやってでもやりませんと、なかなか日本改革、改造というのはできないのじゃないか。一体何のために経済戦略会議というものをつくってこんな答申を出させたのか、下手をすると抜本的構造改革などというものは日本ではできないのじゃないかということを立証する歴史的な文書になりかねないと思いますので、ぜひこのことを質問というよりも官房長官にお願いいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  136. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 椎名委員指摘のように、このたびの経済戦略会議からの答申は、二十一世紀を展望いたしました豊かな経済社会をどのように切り開いていくかという中長期的な経済運営基本方向やら理念をお示しいただいたものといたしまして、これを大胆かつ貴重な御提言としてしっかりと受けとめまして今後の経済運営に取り組み、我が国施策の上にこれを生かし、経済再生への第一歩としていかなければならないと考えておるところでございます。  したがいまして、この答申の報告をいただきました三月二日の閣議におきまして、総理から各閣僚に対しましてそれぞれ所管する行政分野にかかわる事項について真剣に検討するようにという指示がされたところでございまして、かかわりました事務局も、一部縮小はいたしましたけれども、事務局長以下従来どおり存置をいたしております。  ただいま椎名委員から御指摘がございましたように、実際にこれをフォローアップしようとすると、マル、三角、ペケといったような表示をいたしまして、そして可能な限りこれを実現していかなければならないと思うわけでございます。御提言をいただきましたことを重要に踏まえまして、この事務局をも督励いたしながら、内閣官房においてフォローアップをいたしていくようにしたいと思いますし、総理もまた国会においても御議論を賜りたいと申しておりますので、お話がございましたような御提示を申し上げることを含めて検討させていただきたいと存じます。
  137. 椎名素夫

    ○椎名素夫君 結局みんなでやらなきゃいけないことだろうと思うんです、行政府だけに任せないで。こっちも立法府と言うんですからお手伝いする気は十分ある、そういう意味で今申し上げたわけなので、ひとつよろしくお願いを申し上げます。  これでおしまいにいたします。
  138. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) 他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にとどめます。     ─────────────
  139. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) 次に、行政機関の保有する情報公開に関する法律案及び行政機関の保有する情報公開に関する法律の施行に伴う関係法律整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。太田総務庁長官
  140. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) ただいま議題となりました行政機関の保有する情報公開に関する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  我が国においては、情報公開法制を確立することが国政上の重要課題となっていたところであります。  このため、行政改革委員会において、行政機関の保有する情報公開するための法律の制定等に関する事項について、二年間にわたり専門的かつ広範な調査審議を重ねていただき、その結果、平成八年十二月に、内閣総理大臣に対し、情報公開法制の確立に関する意見提出されたところであります。これを受けて、政府は同意見に沿ってこのたび行政機関の保有する情報公開に関する法律案を取りまとめ、御提案することとなったものであります。  次に、法律案の内容について、その概要を御説明いたします。  この法律案は、国民主権の理念にのっとり、行政文書の開示を請求することができる権利につき定めること等により、行政機関の保有する情報の一層の公開を図り、もって政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに、国民の的確な理解と批判のもとにある公正で民主的な行政の推進に資することを目的とするものであります。  この法律案の要点は、第一に、何人も国の行政機関の長に対し行政文書の開示を請求することができるものとするとともに、開示請求があったときは、行政機関の長は不開示情報が記録されている場合を除き行政文書を開示しなければならないこととするものであります。不開示情報については、個人に関する情報法人等に関する情報、国の安全等に関する情報、公共の安全と秩序の維持に関する情報審議検討等に関する情報行政機関等の事務または事業に関する情報の六つの類型に分けるとともに、各類型ごとにその範囲を明確かつ合理的に定めております。  第二に、行政機関の長が行った開示決定等について不服申し立てがあった場合に、行政機関の長の諮問に応じ不服申し立てについて調査審議する機関として、総理府に情報公開審査会を置くこととするものであります。これは、行政機関が保有する行政文書を開示するかどうかの判断を当事者である行政機関の長の自己評価のみに任せるのではなく、第三者的立場からの評価を踏まえた判断を加味することによって、より客観的で合理的な解決を図ろうとするものであり、このため、情報公開審査会には、行政文書の提示を求める権限等調査審議のために必要な権限を付与することとしております。  以上が行政機関の保有する情報公開に関する法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  引き続きまして、行政機関の保有する情報公開に関する法律の施行に伴う関係法律整備等に関する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、行政機関の保有する情報公開に関する法律が施行されるのに伴いまして、関係法律二十四件について必要な規定の整備等を行おうとするものであります。  次に、法律案の内容について、その概要を御説明いたします。  第一に、会計検査院長の諮問に応じ不服申し立てについて調査審議するため、会計検査院に、会計検査院情報公開審査会を置くこととし、その組織委員等について所要の規定を整備したことであります。  第二に、情報公開法または情報公開条例の規定により行政機関の長または地方公共団体の機関が著作物等を公衆に提供し、または提示する場合におけるその著作者等の権利の取り扱いについて、所要の規定の整備等をしたことであります。  第三に、登記簿、特許原簿、訴訟に関する書類等、謄本もしくは抄本の交付または閲覧について独自の手続が定められているものについて、情報公開法の規定の適用を除外することとしたことであります。  第四に、その他関係規定の所要の整備を行うこととしたことであります。  以上が行政機関の保有する情報公開に関する法律の施行に伴う関係法律整備等に関する法律案の提案理由及びその内容の概要であります。いずれも情報公開法の趣旨に照らし必要とされる関係法律の改正であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  141. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) 次に、両案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員植竹繁雄さんから説明を聴取いたします。植竹繁雄さん。
  142. 植竹繁雄

    衆議院議員(植竹繁雄君) 衆議院議員の植竹繁雄でございます。  それでは、ただいま議題となりました行政機関の保有する情報公開に関する法律案及び行政機関の保有する情報公開に関する法律の施行に伴う関係法律整備等に関する法律案に対する衆議院における修正部分につきまして、その趣旨及び概要を御説明申し上げます。  まず、行政機関の保有する情報公開に関する法律案に対する修正の趣旨及び概要につきまして御説明いたします。  第一に、手数料の額は政令で定めることとされておりますが、これを定めるに当たっては、開示請求に係る手数料は五百円以下とする等、できる限り利用しやすい額となるように配慮しなければならないことを明記するものであります。  第二に、情報公開訴訟の土地管轄について、原告住所地を管轄する高等裁判所の所在地の地方裁判所にも訴訟を提起できるようにするものであります。この特例規定は、開示請求権制度の趣旨に照らして、一般の行政事件訴訟の例外的な管轄を追加するものでありまして、特例の内容については、当事者間の公平、証人等の便宜等を考慮したものとしております。また、この規定にあわせて、複数の裁判所に同一または同種類似の情報公開訴訟が提起された場合には、裁判所の判断で移送することができるようにすることとしております。  第三に、特殊法人の保有する情報公開については、この法律の公布後二年を目途として法制上の措置を講ずるものとするものであります。  第四に、法施行後四年を目途として、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとするものであります。  第五に、その他として、法案の修正に伴い所要の規定の整理を行うものであります。  次に、行政機関の保有する情報公開に関する法律の施行に伴う関係法律整備等に関する法律案に対する修正の趣旨及び概要につきましては、行政機関の保有する情報公開に関する法律案の修正に伴い、所要の規定の整理を行うこととするものであります。  以上が両法律案に対する衆議院における修正部分の趣旨及び概要であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  143. 竹村泰子

    委員長竹村泰子君) 以上で両案並びに衆議院における修正部分の説明の聴取は終わりました。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十一分散会