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国務大臣(
柳沢伯夫君) 重ねて浅尾
委員からロスシェアリングに対する私どもの所感というか、そういうものについてお尋ねがございました。
先生は非常に金融の
専門家で、そういう
専門家の見地からいって、譲渡のときにすべてを決めてしまうというよりも、譲渡後において不測のいわば資産の劣化が起こったときに、そのロスを事後的に売った側と受け取った側との間でシェアをし合うという
ような仕組み、こういう仕組みを考えたらどうかということでございます。
これは
先生も、また各
委員の
先生方も御案内のとおりでございまして、アメリカにおきまして不良債権の処理あるいは破綻金融
機関の処理の際に、当時のRTCがいろいろな試行錯誤の結果、どうも
国民負担を一番安上がりにするという方式としてたどり着いたのがこのロスシェアリングの方式であるということの
ようでございます。
私も、RTCの前理事長のシードマンさんという方が私を尋ねてくださいまして、直接その方からいろんな御経験を含めてお聞きしました。そのときにもちょっとばかり、二、三御
質疑というか我々の
見解を申させていただいたんですが、どうもシードマンさんの考え方を聞いておりますと、アメリカの場合、
融資がいろいろセグメントに分けられる、
部分部分に切り分けられる性格を持つと。あえてプロジェクトファイナンスがすべてを覆っているとは言わないけれども、そこに
日本の
融資の仕方、つまり対人的な
融資の仕方、企業なら企業、個人なら個人というものを丸ごと金融的に面倒を見るというやり方と非常に違ったやり方が基礎にある
ような気がするわけでございます。
例えばの話、では譲渡後に継続
融資が行われた、それで不幸にしてその後いろいろな不都合が生じて損失が生じたという場合に、譲渡後における受け皿金融
機関のある種の
融資の責任というものを追及すべき話なのか、あるいはさかのぼっていわば破綻
銀行が責任を負うべき話なのかということの区分けというものを
一体はっきり帰属させるということができるんだろうかということを実は問題にしたわけでございます。
シードマンさんの答えは非常にあっさりしておって、それは区分経理していなきゃだめだよという話で、区分経理してあれば責任は追及できるというか、さかのぼれるという
ような
お話でございましたけれども、そんな帳簿上の区分経理だけでそういう責任問題が解決するとは到底考えられないわけです。やはり、そういうことができるというその基礎にはプロジェクトファイナンス的な考え方があって、この
部分はもう前の破綻金融
機関の金融の延長線の上で起こった損失である、この
部分は新たに
融資判断がされてその判断のもとで起こった損失であるという
ようなことが本当にうまく区分けできるだろうかということについては相変わらずの疑問として残ったということでございます。
そういう
ようなことで、私どもとしてはロスシェアリングの制度を入れればすべてが快刀乱麻を断つ
ようにうまく物事が解決できるかといえば、必ずしもそうではないと思っております。
ただ、
先生のせっかくのお申し出というか御提案でございますけれども、私どもとしても、再生法の枠の中にいろいろなオプションというか選択肢がある方が事が処理しやすいという面もあろうかと思いますので、どういう法文にすればいいか、法文はとっかかりだけをつくっていただいてあとは行政の実務に任せていただくというしかないかな、それを受けての行政の運用というのもなかなか難しいなとは思いつつも、そういう選択肢をもしつくっていただくならば、それはそれでまた適切に運用に当たらせていただきたい、こんなふうに今当座考えておるということでございます。