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1999-07-22 第145回国会 参議院 財政・金融委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年七月二十二日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  六月十一日     辞任         補欠選任      木俣 佳丈君     浅尾慶一郎君  七月五日     辞任         補欠選任      浅尾慶一郎君     福山 哲郎君  七月六日     辞任         補欠選任      福山 哲郎君     浅尾慶一郎君  七月二十一日     辞任         補欠選任      石川  弘君     上杉 光弘君      伊藤 基隆君     久保  亘君      笠井  亮君     須藤美也子君  七月二十二日     辞任         補欠選任      上杉 光弘君     木村  仁君      久保  亘君     本田 良一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         勝木 健司君     理 事                 石渡 清元君                 金田 勝年君                 広中和歌子君                 浜田卓二郎君                 池田 幹幸君     委 員                 岩井 國臣君                 片山虎之助君                 木村  仁君                 西田 吉宏君                 林  芳正君                 日出 英輔君                 平田 耕一君                 浅尾慶一郎君                 本田 良一君                 峰崎 直樹君                 益田 洋介君                 須藤美也子君                 三重野栄子君                 星野 朋市君                 菅川 健二君    国務大臣        大蔵大臣     宮澤 喜一君        農林水産大臣   中川 昭一君        国務大臣        (金融再生委員        会委員長)    柳沢 伯夫君    政府委員        金融再生委員会        事務局長     森  昭治君        金融監督庁長官  日野 正晴君        金融監督庁検査        部長       五味 廣文君        大蔵大臣官房総        務審議官     原口 恒和君        大蔵省主計局次        長        津田 廣喜君        大蔵省理財局長  中川 雅治君        大蔵省金融企画        局長       福田  誠君        大蔵省国際局長  溝口善兵衛君        農林水産大臣官        房長       高木  賢君        農林水産省経済        局長       竹中 美晴君        農林水産省構造        改善局長     渡辺 好明君        農林水産省農産        園芸局長     樋口 久俊君        農林水産省食品        流通局長     福島啓史郎君        農林水産技術会        議事務局長    三輪睿太郎君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田 成宣君    参考人        農林漁業金融公        庫総裁      鶴岡 俊彦君        日本銀行総裁   速水  優君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(  内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 勝木健司

    委員長勝木健司君) ただいまから財政・金融委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る六月十一日、木俣佳丈君が委員辞任され、その補欠として浅尾慶一郎君が選任されました。  また、昨二十一日、笠井亮君、伊藤基隆君及び石川弘君が委員辞任され、その補欠として須藤美也子君、久保亘君及び上杉光弘君が選任されました。  また、本日、久保亘君が委員辞任され、その補欠として本田良一君が選任されました。     ─────────────
  3. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会参考人として農林漁業金融公庫総裁鶴岡俊彦君及び日本銀行総裁速水優君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより直ちに質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 岩井國臣

    岩井國臣君 去る六月一日に、本委員会日本政策投資銀行法案を審議させていただきましたけれども、それは日本開発銀行北海道東北開発公庫とを統合しようとするものでございまして、そのことに関しまして私も若干の質疑をさせていただきました。  言うまでもなく、それは特殊法人等整理合理化についてということで平成九年九月に閣議決定がなされておるものでございますが、今回の農林漁業金融公庫法改正案もそれと軌を一にするものでございまして、一連のものでございます。  そこで、質問でございますけれども、農林水産省は、特殊法人等整理合理化という流れの中で今回の法案趣旨というものをどのように認識しておられるのか、またなぜ農林漁業金融公庫に移すことにしたのか、その辺の背景みたいなものも含めまして御見解を賜りたいと思う次第でございます。
  7. 竹中美晴

    政府委員竹中美晴君) お答えを申し上げます。  今回の法律改正でございますが、特殊法人整理合理化に関します平成九年の閣議決定におきまして、政策金融機関見直し一環として、日本開発銀行の担当しておりました食品工業向け融資農林漁業金融公庫移管することが定められたことを踏まえまして、その移管のための改正を行うものでございます。  具体的には、日本開発銀行から食品工業向け融資移管するために、食品製造等に必要な施設整備等に必要な資金の貸し付けの業務農林漁業金融公庫業務追加をいたしますとともに、この業務追加に伴いまして、農林漁業金融公庫の目的としまして、食品製造等事業を営む者に対し食料安定供給に必要な長期かつ低利の資金を融通することを加えることにいたしております。  なお、特殊法人のあり方とも関連してのお尋ねでございましたが、今回の食品工業向け融資移管につきましては、既に食品加工分野で一千億以上の融資実績を有します農林漁業金融公庫に一本化するものであるということ、また移管される業務につきましても農林公庫の既存の人員で対応していくんだということでございまして、政府系金融機関全体としての業務効率化なりスリム化といったことにも資するものと認識しているところでございます。  今回の業務移管背景ということでございますが、政策金融機関見直し一環としまして、日本開発銀行業務を新たな視点から再編成するということに当たりまして、個別の産業分野に向けての融資でございます食品工業向け融資につきましては、食料安定供給ということから考えますと、農林漁業金融公庫の本来的な農林漁業分野に対する融資一体的に扱うのが合理的であり、効率的ではないかということが一つでございます。  それから、先ほども申しましたように、農林漁業金融公庫が従来から食品加工なり流通分野でかなりの程度実績を持っているということから、農林漁業金融公庫業務として移管することが適当であるというふうに整理されたものというふうに理解いたしております。
  8. 岩井國臣

    岩井國臣君 ただいまの御説明ですと、農林漁業金融公庫で既にそういう食品工業に対する融資実績を持っておるんだ、人材もおるんだ、したがってそこへ一元化、一本化することが行政改革趣旨に沿うものである、こういう御説明であったと思います。  それでは、若干詳しく、今まで農林漁業金融公庫食品工業向けに行っておられました融資につきまして、どのよう融資分野においてどのよう実績を上げてきておられるのかというのを少し具体的に御説明願えませんでしょうか。
  9. 竹中美晴

    政府委員竹中美晴君) 日本開発銀行は一般的に食品工業向け融資をやってこられたわけでございますが、農林漁業金融公庫におきましては、これまで特定の分野加工流通向け資金といたしまして、例えば中山間地域農林畜水産物加工なり流通の増進とか、あるいはまた輸入の自由化により影響を受けます農産加工業者の経営の改善とか、そういった分野で必要な資金の融通を行ってきたところでございます。  こうした資金融資実績は最近年々増加してきておりまして、平成十年度で見ますと、食品加工流通分野向け実績が千七百億ということでございまして、これは農林漁業金融公庫の十年度の貸付決定額の約四割を占めているところでございます。こうした融資によりまして、農林畜水産物加工流通促進が図られますとともに、これを通じて関係する農林漁業振興にも資しているというふうに理解しているところでございます。
  10. 岩井國臣

    岩井國臣君 このたび新農業基本法が制定されまして、農山地域は新しいいろんな政策展開が行われていくのだろうと思っておりますが、私もその農山地域活性化ということにつきまして大変重大な関心を持っております。  そういう中で、食品工業というのは大体そういう農山地域地場産業ということになっておるわけでございますので、やはり地場食品工業が利用しやすいよう融資体制といいますか、そういうものでなければならないのではなかろうかと思うんです。そこが日本開発銀行の場合とこのたび農林漁業金融公庫に移った場合とで若干違ってくるのかなと。大いに地元との関係が濃密になっていくのかなという期待もあるわけですけれども、日本開発銀行から農林漁業金融公庫食品工業向け融資移管される、一元化されるということについてのメリットをもう少し具体的に御説明いただきたいと思います。
  11. 竹中美晴

    政府委員竹中美晴君) 農林漁業金融公庫は、先ほどからも申し上げておりますとおり、これまで食品加工流通分野を含め農林漁業分野各般融資業務を通じまして、こうした分野につきまして知見なりノウハウを蓄積いたしてきております。今回の食品工業向け融資農林公庫への移管によりまして、こうした知見ノウハウが生かされて、そうして地場産業の多い食品工業の発展と地域農林漁業との連携強化が一層図られるのではないかというふうに私どもとしましても期待をしているところでございます。  融資体制でございますが、農林漁業金融公庫の場合、二十一の公庫の直接の支店と、それから委託金融機関といたしまして全国の農漁協系統金融機関あるいは銀行、地方銀行等々、現在二百七十六の機関業務を委託いたしておりまして、地場産業として地方に立地しております食品工業関係皆様方にかなり利便性の高い融資体制になっているのではないかというふうに考えておりますが、今回の制度改正を契機にこうした融資体制の一層の充実に努めていきたいと考えております。
  12. 岩井國臣

    岩井國臣君 限られた短い時間でございますので、いろいろお尋ねしたいことはあるんですけれども、もう時間がございませんから、最後に大臣に御見解をお聞きしたいと思います。  国民食生活というのは随分変わってきております。したがいまして、それに対応して農水産物に対する需要というものもいろいろと変わってきておるんじゃないか。スーパーに行ってもそうなんですけれども、加工食品とか外食向けのものが随分ふえてきておる。今、全体の農水産物の三分の一ぐらいがそういう加工食品であるとか外食用のものである。家へ帰って電子レンジでちょっと温めればそれで食べられるとか、そういうものが非常にふえてきておるように思うんです。そういったことを踏まえますと、国民食料安定供給の確保のためには、やはり農水産業食品産業がもっと連携を強めていくとか、そういうことが必要ではなかろうかと思うんです。  そういう意味で、大臣としてどのようにお考えになっているか。農水産業食品産業との連携の問題につきまして御見解がございましたらお聞かせいただけますでしょうか。
  13. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、岩井先生指摘のとおり、日本農水産物の三分の一は食品産業向けでございますし、また食品産業仕入れ先の三分の二は国内という状況でございます。一方、食生活の変化等々によりまして自給率が減ってきておるとかいろいろな問題も出てきておるわけでありまして、今回の新しい基本法のもとで、国内生産基本としながら、生産流通加工消費といったものが一体となってこそ安定的な食料供給というものができるという観点基本法というものを御審議し、成立させていただいたところでございます。  その中で、日本型食生活振興とかいろいろとあるわけでございますけれども、やはり消費者にとっての生産サイドといいますと、生産者食品産業とが車の両輪となりまして一体的にやっていく、つまりニーズあるいは情報提供といったものをより綿密にやっていく必要があるというふうに考えております。  したがいまして、基本法におきましても、生産サイド役割努力目標、いろいろございますけれども、食品産業役割といったものも新しい条文の中の一項目として位置づけておりまして、まさに先生指摘のとおり、国民に向かっての安定的な食料供給という観点から、今後なお一層生産サイド、そして加工流通も含めました中間段階といいましょうか外食、中食も含めまして、農山村の生産現場食品産業とがさらに一体となって国民に対しての重要な役割を果たしていかなければならないというふうに考えております。
  14. 岩井國臣

    岩井國臣君 終わります。
  15. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 民主党・新緑風会の浅尾慶一郎です。  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案に関連しまして、質問させていただきます。  まず、この法律案趣旨の中で、ただいま岩井委員からもお話がありましたが、読みようによっては、食品工業向け融資が戦略的に重要でないから新しい政策投資銀行の職務から農林漁業金融公庫所管が移されたということでございます。読みようによってはというふうに申し上げたんですが、我が国の食料といったようなことを考えた場合に、これから食品工業あるいはその根幹となります農業といったものが、もちろん申すまでもありませんが、非常に重要ではないかなというふうに思っております。  そういう中で、読みようによってはということなので恐らく解釈は違うのかなというふうに思いますが、まず質問の第一点目といたしまして、戦略的に重要なものに限定されると。されないから食品工業向け融資移管されますというところを書いてあるんですが、農林大臣として率直な御所見をいただければと思います。
  16. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 我々といたしましては、ただいまも申し上げましたように、国民に対して平時あるいは不測時も含めまして食料を安定的に供給するというのは、政府一つの大きな責務であるというふうに考えております。そういう意味で、我々は食料安全保障というものを今後国内だけではなく対外的にも積極的に主張をしていくわけでございますが、そういう意味食品産業あるいは農林水産というものの果たす役割は極めて重要であるというふうに認識をしております。  そういう前提で、今回の農林漁業金融公庫移管される食品工業向け融資というのは、時間の関係先ほど局長から申し上げましたので割愛いたしますけれども、公庫移管されることが一番いい方法ではないかということで、地場産業との連携とかノウハウとかいろいろな観点から今回の移管ということになったというふうに考えております。
  17. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 移管元政策投資銀行所管されます大蔵大臣にお聞きしても恐らく同じような答えだと思いますけれども、もし何か戦略的に重要なものだけを政策投資銀行に残して、その他一般融資についてはそれぞれの所管する業態の特殊銀行に移されたということについて、御所見があれば伺いますし、なければ結構でございます。
  18. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 特に意見というものはございませんが、恐らく当然従来から農林漁業金融公庫の扱っておられる分野でございますから、政府関係金融機関の再編成をいたしますときにその原則に戻ったということではないだろうか。別にそれが大事であるとかないとかいうことではなかろうと思います。
  19. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 さて、その移管される融資あるいはその資金区分の中で、バイオテクノロジー産業化促進というものがございまして、バイオテクノロジーを応用して行う食品製造に必要な施設というものに対して年率二・四五%ということで、かなり優遇した金利で十五年間の融資をされる。ちなみに、この年率二・四五%というのは今度移管される中では一番優遇されている金利だと思います。  そこで、そのバイオテクノロジーの中には当然、今いろいろと話題あるいは注目を集めております遺伝子組みかえ食物を利用した食品加工といったようなものも含まれるんだと思いますが、消費者立場からいいますと、遺伝子組みかえ食物があるかどうか、そのことを知った上で買いたい、消費をしたいという声も当然あろうかと思います。加工された食品であったとしても、その原料の中に遺伝子組みかえ食物が入っているのであればその表示をしていくべきなのではないかということが今議論されておるわけでございます。  特に、仮に今度、農林漁業金融公庫から融資を受ける、しかも優遇レート融資を受けるということでは、その差額の部分というのはある意味では公的にあるいは税金で補てんしているということになるわけでございますので、遺伝子組みかえ食物を仮に使った食品加工が行われている場合には、その開示について、一般金融機関から受けるよりかはあるいは厳しくすべきではないかというふうに私は考えますが、その点について中川農水大臣の御所見をいただきたいと思います。
  20. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) まず、遺伝子組みかえ食品といいましょうか、もっと一般的に言いますとバイオテクノロジーということに関しましては、これはもう政府としても最重要課題一つでございまして、関係省庁、文部、科技、通産、厚生、そして農林水産と五省庁が、ことしの一月に申し合わせをいたしまして基本方針をつくりまして、つい先日、七月十三日に基本戦略というものをつくり上げました。  このバイオテクノロジーというのは、技術としても今世界じゅうで競争しております。その中でも遺伝子組みかえ食品あるいはアレルゲンフリーといったような非常に評価の、今のところマスコミ的に話題になっているものもありますけれども、だれもが認めるような有用な技術あるいは製品というものを世界じゅうが今競争しておるわけでございます。その研究に対する助成の問題と遺伝子組みかえ食品表示の問題とを分けてとりあえず答弁をさせていただきます。  研究に対する助成につきましては、あくまでもこれは民間に対して支援を行っておるわけでございまして、これに対して、遺伝子組みかえをしているんだということを研究段階表示するということは、これは民間にも企業秘密がございますので、すべてを最初から表示するということは困難であろうというふうに考えております。  しかし、その研究成果につきましては、事業実施主体報告会等を開いて情報開示をするということにしておりますし、また、農林水産技術会議におきましても、専門委員会におきまして安全性というものをきちっと審査して、そしてそのデータについては知的所有権に関する部分を除いて公表しておるところでございます。  なお、遺伝子組みかえ食品表示の問題につきましては、安全性というものが大前提でございますが、これについて表示をどういうふうに行うかについては、現在、検討会検討中でございまして、八月中には正式に農林水産省としての一つ方向性、結果を出し、そして公表させていただきたいと考えております。
  21. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私も、科学の分野は全く勉強不足でよくわかりませんけれども、昔たしか習いました生物の遺伝学で、サヤエンドウのかけ合わせでだんだんと優秀なエンドウマメをつくっていくというようなものを習った記憶がございます。これは天然の中で行うものなので、仮にその中にいろいろ人間にとって不都合なものがあったとしても、時間がかかっている分だけ、それがあらわれたとしても中和するというような話をこの間聞きました。ところが、その遺伝子組みかえはサヤエンドウの組み合わせの部分を物すごく速いスピードでやってしまいますので、中に隠れているいろいろな瑕疵があらわれないで製品となってしまう可能性があるという話を実は専門家の方から伺いました。  この問題について今御検討中であるということでございますので、ちょっと御要望だけさせていただきたいんですが、そういったようなことで、大変重要な分野であるということは私もそのとおりだと思いますが、ぜひ消費者の選択というようなことも検討の中で考えていただければというふうに御要望させていただきまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。  さて、次の質問でございますが、若干広い観点からきょうは中川農水大臣宮澤大蔵大臣にちょっとお話を伺いたいと思います。  現在話題になっています農林漁業金融公庫以外にも、農水省所管で例えば農林中央金庫といったよう特殊法人というか特殊機関があるわけでございまして、農林中央金庫の方は政府財投資金ではなくて御案内のとおり民間のさまざまな資金を活用して営業を行っている。柳沢金融再生委員長もお越しでございますけれども、今金融界が大変厳しい中で農林中央金庫は非常にいわゆる格付民間の中では一番高いと言われておると思いますが、その一番高い農林中央金庫資金調達一環として五年物の利付金融債を発行いたしております。  別にそれを否定するわけではございませんが、今、政府は五年物の国債を出すことを検討するということでございます。格付農林中央金庫が高い分だけ、変な話ですけれども、政府格付と同じレイヤーに入ってしまうということになりますと農林中央金庫利付金融債政府の五年物国債と競合する。政府と競合したらさすがに幾ら格付が高い農林中央金庫であってもなかなかマーケットでの消化で勝てないんではないかというふうに思うんですが、その点について中川農水大臣そして宮澤大蔵大臣の御所見を伺えればと思います。
  22. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 御指摘のとおり、農林中央金庫はいわゆる五年物の利付債券を発行しておりますが、この発行残高は十一年三月末で五兆四千億でございます。ただし、農林中金の資金の大半が各信連からの預け金でございまして、五年物の利付債券による資金調達は約一割程度でございます。  仮にこの五年物に国債が入ってくるということになりますと、一方では運用の一つの手段としての幅が広がるというメリットがございます。また一方、発行する側の立場としてみれば競合商品、しかも国の債券でございますから、そこで金利裁定がどういうふうに働くのか。国が一番信用があるわけですから、では金利が高くなるのか安くなるのか、あえてこの場では申し上げませんけれども、それによって買う側の人たちがどういう反応を起こすのかについては、これはまさにいろんな条件の中での総合的な判断になろうかと思います。  そういう意味で、発行する側であり、運用する面もあるという意味で、五年物の国債の発行については、今現在、農林中金で調達と運用の両面から関心を持っていろいろと研究をしておる最中でございます。
  23. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 農水大臣が関心を持つと言われますと、後から来る方はこれは遠慮しなきゃならぬ立場になろうと思うんですが、正直申しまして、いろいろ金利水準とか条件も違いますし、国債と金融債でもありますし、ただいま農水大臣が言われました投資家層が違うと申しますか、農林中金の方はかなりまとまっておられますから、そこらは違うんだろうと思いますが、全く影響がないなんということは本来あり得ないことでございますから、いやしくも農林中金の邪魔になるようなことを私どもはしてはいかぬと思っておりますので、そこはよく考えていたします。
  24. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 幅広い金融関係質問をさせていただく関連で少しまた金融関連の話をさせていただければと思います。  きょうはお忙しいところを各大臣にも御出席いただいておるわけでございますが、その中で、実はちょっと監督行政についても御質問をさせていただければというふうに思っております。先般初めて外資系金融機関に対しても監督に入られて、初めてということではないのかもしれませんが、日本として初めてそれなりの対応を決められるという報道がなされております。  そのことを伺おうと思っているわけではございません。伺おうと思っておりますのは、検査に入ってから通知あるいは決定を出すまでの期間というのが、どうもCSFBの話にしても、あるいは昨年話題となりました長銀や日債銀の話題にしても三カ月以上かかっておるということで、かなり長いような気がいたします。  一般論で結構でございますけれども、なぜ長銀の場合では通知がおくれたのか、あるいはこれは質問通告していませんが、CSFBの場合でそれだけ時間がかかっているのか、その点についてお答えいただければと思います。
  25. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) 長銀に対する検査につきましては、昨年の七月十三日に立入検査を開始いたしまして、九月三十日に立入検査を終了いたしました。十月十九日に検査結果の通知を行っております。私どもはこの検査結果の通知をもって検査を終了したということにしております。  一方、日債銀につきましては、七月二十四日に立入検査を開始いたしまして、九月十六日に立入検査を終了いたしました。検査結果の通知は十一月十六日でございます。  立入検査の終了後立入検査に基づく検査結果の通知までの間には、その取りまとめでありますとか、あるいは必要な審査を行いまして、その検査結果の通知書を作成することに私どもといたしましては最大限の努力を行っておりまして、今御指摘にありましたように、決してこの両行に対する通知がおくれたというふうには認識しておりません。  ちなみに、立入検査終了後検査結果通知までの所要日数を平均でとってみますと、主要行の場合には約四十五日でございます。また、金融監督庁が主として担当いたしました地方銀行の場合には、平均いたしますと百二日かかっております。そういった観点から見ましても、決しておくれたというふうには考えておりません。  したがいまして、今後も厳正かつ実効性ある検査の実施に努めるとともに、検査結果通知書の速やかな交付に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  26. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 なぜ検査結果をなるだけ早く出していただきたいということを申し上げているかといいますと、一つの例で申し上げますと、例えば昨年七月十三日に検査に入って、九月末見込みで長銀の資産は有価証券の含み損を入れると大体三千四百億円のマイナスだというふうにたしか発表されておられる。ところが、十月二十八日に特別公的管理になったときにはいきなりそのマイナスが二兆六千五百三十五億円と、三千四百億円のマイナスから一カ月足らずで二兆三千億円ふえてしまっているわけでございます。  これは、多分公表資料だからそのとおりだと思うんですが、そうするとなるたけ速やかに検査結果を出していただかないといろいろと不測の事態も出るんじゃないかなというふうに思っております。  質問は、なぜ昨年九月末見込みの資産査定の結果と株価算定時の額がこれだけ大きく違っているのか、この点についてお答えいただければと思います。
  27. 森昭治

    政府委員(森昭治君) お答え申し上げます。  日長銀あるいは日債銀の国有化の際の公告時における債務超過額というものを株価算定委員会で算定いたしまして公表しておるわけでございまして、その数字は今、先生のおっしゃられた数字でございます。  なぜそのように大きくなったかということでございますけれども、それはあくまで公告時の日長銀の資産、負債を日長銀が清算されたものということで評価したものでございます。検査結果はゴーイングコンサーンベースで計算しておりますので、おのずから清算ベースということになりますと、日長銀の融資継続によって生きていた企業向けの債権、資産も相当劣化いたしますので、例えばそういうこともございまして評価額が大幅に減少して債務超過額も大幅に増加したものと、このように認識しております。
  28. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 ゴーイングコンサーンベースと清算ベースで若干価額が違うというのは確かにおっしゃるとおりかもしれませんが、それにしても二兆三千億円というのは非常に大きな違いなのではないか。経済情勢が変わったということももちろんあろうかと思います。  その観点から、先般もちょっと御質問させていただいたんですが、伺わせていただきたいと思います。  そうだとすると、マイナス三千億円からマイナス二兆六千億円になるということは、逆に短期間でもしかしたらプラスになることもあるかもしれない、マイナスがもっと大きくなることももちろんあるかもしれないということだと思います。  だとすると、きょうの日経新聞にも柳沢再生委員長お話として、長銀の売却に際してはロスシェアリングというのは法律上できない、そのとおりだと思います。できないということでございますけれども、この間も実は申し上げましたが、短期間で非常に大きく動くということを考えた場合には、もしかしたらこの長銀には間に合わないかもしれませんが、ロスシェアリングということを考えた方が、日本全体の最終的に使われる費用ということを勘案すると少なくなるのではないか。もう一回別の観点から言いますと、短期間でマイナス三千億円からマイナス二兆六千億円になるということは、逆に言えば上向きになった場合にはマイナス二兆六千億円からプラス二兆円ぐらいになることもあるかもしれないと。最初からそれを想定して引き当てを多く積むというような報道でございました。  それよりも、ロスシェアリングということを考えられないかということを先般も申し上げさせていただいたんですが、それは法律上できないということでございます。新しく仮にその立法措置をとった場合に、どういうメリット、デメリットがあろうかという御所見を再生委員長に伺えればと思います。
  29. 柳沢伯夫

    国務大臣柳沢伯夫君) 重ねて浅尾委員からロスシェアリングに対する私どもの所感というか、そういうものについてお尋ねがございました。  先生は非常に金融の専門家で、そういう専門家の見地からいって、譲渡のときにすべてを決めてしまうというよりも、譲渡後において不測のいわば資産の劣化が起こったときに、そのロスを事後的に売った側と受け取った側との間でシェアをし合うというような仕組み、こういう仕組みを考えたらどうかということでございます。  これは先生も、また各委員先生方も御案内のとおりでございまして、アメリカにおきまして不良債権の処理あるいは破綻金融機関の処理の際に、当時のRTCがいろいろな試行錯誤の結果、どうも国民負担を一番安上がりにするという方式としてたどり着いたのがこのロスシェアリングの方式であるということのようでございます。  私も、RTCの前理事長のシードマンさんという方が私を尋ねてくださいまして、直接その方からいろんな御経験を含めてお聞きしました。そのときにもちょっとばかり、二、三御質疑というか我々の見解を申させていただいたんですが、どうもシードマンさんの考え方を聞いておりますと、アメリカの場合、融資がいろいろセグメントに分けられる、部分部分に切り分けられる性格を持つと。あえてプロジェクトファイナンスがすべてを覆っているとは言わないけれども、そこに日本融資の仕方、つまり対人的な融資の仕方、企業なら企業、個人なら個人というものを丸ごと金融的に面倒を見るというやり方と非常に違ったやり方が基礎にあるような気がするわけでございます。  例えばの話、では譲渡後に継続融資が行われた、それで不幸にしてその後いろいろな不都合が生じて損失が生じたという場合に、譲渡後における受け皿金融機関のある種の融資の責任というものを追及すべき話なのか、あるいはさかのぼっていわば破綻銀行が責任を負うべき話なのかということの区分けというものを一体はっきり帰属させるということができるんだろうかということを実は問題にしたわけでございます。  シードマンさんの答えは非常にあっさりしておって、それは区分経理していなきゃだめだよという話で、区分経理してあれば責任は追及できるというか、さかのぼれるというようお話でございましたけれども、そんな帳簿上の区分経理だけでそういう責任問題が解決するとは到底考えられないわけです。やはり、そういうことができるというその基礎にはプロジェクトファイナンス的な考え方があって、この部分はもう前の破綻金融機関の金融の延長線の上で起こった損失である、この部分は新たに融資判断がされてその判断のもとで起こった損失であるというようなことが本当にうまく区分けできるだろうかということについては相変わらずの疑問として残ったということでございます。  そういうようなことで、私どもとしてはロスシェアリングの制度を入れればすべてが快刀乱麻を断つようにうまく物事が解決できるかといえば、必ずしもそうではないと思っております。  ただ、先生のせっかくのお申し出というか御提案でございますけれども、私どもとしても、再生法の枠の中にいろいろなオプションというか選択肢がある方が事が処理しやすいという面もあろうかと思いますので、どういう法文にすればいいか、法文はとっかかりだけをつくっていただいてあとは行政の実務に任せていただくというしかないかな、それを受けての行政の運用というのもなかなか難しいなとは思いつつも、そういう選択肢をもしつくっていただくならば、それはそれでまた適切に運用に当たらせていただきたい、こんなふうに今当座考えておるということでございます。
  30. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 柳沢国務大臣の御説明はよくわかるんですが、そもそも金融再生法におきましては、受け皿金融機関あるいは特別公的管理となった金融機関が引き継ぐべき資産として資産判定をするということは私が申すまでもありませんが、それで適とされた資産というものしか本来は残っていないはずであります。  ですから、金融再生法はもともと特別公的管理になった銀行が将来損失が出るような資産を抱えていないことを本当は想定しているはずだと思います。また、資産判定基準についても、そのよう観点から二年間で正常となるもののみ引き継がれるというふうに多分大まかな基準をつくられたんだと思います。それでも少し残るでしょうと、残るものについてあらかじめ大きな引当金をお土産として積んで渡すよりかは、ロスシェアリングという形にしておいた方が少ないんではないか。確かにおっしゃるとおり、継続的な融資があって、それは継続的な融資のもとをつくった人がいけないのか、それともそこと引き続き取引をしてしまった新しい経営陣がいけないのかというのは難しいところだと思いますけれども、ぜひその点を御検討いただきたいというふうに思います。  ということを申し上げさせていただきまして、次に資産判定の話に移らせていただきたいと思います。  新聞報道によれば、引当金を多く積んでということを考えておられる、積み増してということを考えておられるということでございますが、先ほど申し上げましたように、もともと正常なものしか本来は残っていないはずであります。にもかかわらず、交渉の相手方からここはちょっと彼らの判断で心配だから引当金を多く積んでくれということがあるのかもしれませんが、その方向で進んでおるようにも書いております。  そこで伺わせていただきたいのは、先般は基準については別途公表していただくということでございましたが、仮に引当金を多く積んでお土産の資金を多くつけて、いいことなんですけれども、損失が発生しなかった場合には、それは返していただけるんでしょうか。ちょっとその点を伺わせていただきたいんです。
  31. 柳沢伯夫

    国務大臣柳沢伯夫君) ここは誤解のないように私から申させていただきたいのでございますけれども、引当金というものは、これはもう今回も金融検査マニュアルが出ましたし、それと平仄を合わせるような形で公認会計士協会の方から実務指針が出たと。この基準に基づいて、先生つとに御存じの、要すれば一般に公正妥当と認められる会計基準というものに乗っかって会計が行われるというところからお互いの信頼が生まれてくるというわけでありまして、仮に今回の株式の処分あるいは営業の譲渡というような再生法の枠の中における最終的な処理に当たってもあくまでもこの基準にのっとっての話でなければならないということであって、今、先生お話にありましたようなお土産的な理屈の通らない引当金を積み上げるというようなことはしてはならないことだということを私ども考えておりまして、その点はまず御理解を賜っておきたい、このように思います。  それでは、なぜそういうことが言われるかということでございますけれども、結局において、私ども資産の判定というものをやらせていただきまして、その資産判定基準というものは先般国会に御報告させていただきました再生法五条の報告の中にも私どもの基準というものがしっかりと掲げられておりまして、そこをごらんになっていただければもう一目瞭然でございます。ただ、やはりどうしてもいろいろな特殊な事情というようなものを勘案して判定するという面もこれは避けられない。世の中のことがすべて区分けできればいいわけですが、どちらかというとスペクトルのように連続しておるものですから、そこのところはどうしても境界線のところではかなりいろんなことを配慮しなければならない。そういう中には、金融健全化法の第三条でございますけれども、「社会経済的な費用が最小」と、こういうことが入っております。再生法の方は費用が最小ということで、社会経済的なという言葉が入っていない。それに対して健全化法は社会経済的な費用を最小にするというようなことで、そのニュアンスが私どもはかなり重いものとして受けとめさせていただいておりまして、そういう考え方に基づいて資産の判定にも当たったということでございます。  こう申すことは、別に非常に不健全なところまで適としたということを決して申しているわけではありませんが、世の中のことというのはなかなか、連続的にいろいろな事情が積み重なった企業がずっと並んでいるわけでございまして、どこで線を引くかということについては、やはり率直に言って今言ったような社会経済的な配慮というものもせざるを得ない面もある、こういうことでございます。  そうはいいましても、受け皿銀行の側でこれはちょっと我々は買うことはできないというそういう選択の自由は彼らは持っているわけでありまして、これから私どもとの間で、あるいは直接長銀との間での協議ということにゆだねられて、最終的な譲渡の資産の額あるいは対象というものは決まっていく、このように考えております。
  32. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 再生委員長がおっしゃりたいことは何となくわかるんです。その中で、先ほどちょっと御質問させていただいて、過剰な引き当ての積み立てはしませんということでございますが、仮にロスシェアリングということはできないということになった場合に、何らかの形で逆ロスシェアリングというか、引当金を最初は多く積んでも返してもらえるような契約というのは考えられないのかどうか、その点だけちょっと、簡単で結構ですから。
  33. 森昭治

    政府委員(森昭治君) 引当金を積むことにつきましては、今、大臣が御答弁なされましたとおり、受け渡し時における資産の劣化状況をもう一度買い手側がデューデリジェンスを行い、その査定の結果をまた長銀側が公認会計士等を使って再査定を行い、両者が合致したところでその資産の劣化度合いというものが決まり、それにつきまして公認会計士協会の実務指針に従いましてきちんとした引き当てを行う、それ以上の引き当てはできませんということを大臣が申し上げたわけでございます。それを今、先生がおっしゃいますように少し多目に積んでおいて後で何もなければ返してもらうという、それも一つの政策論としてはあり得るかと思いますけれども、現在の再生法の枠組みの中ではなかなか難しいことかなと。  いずれにいたしましても、先生の御示唆は検討させていただきます。
  34. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 多目に積んでということではなくて、さっき申し上げましたように本来いい資産しか残っていないはずなんで、余りこれから多目に積めなくなってしまうということだと思います。ですから、そもそも引当金を追加で積むこと自体が考え方からすればおかしいということだと思います。にもかかわらず、多分、柳沢委員長は多少そういうこともあろうかと、すごく要約すればそういうことをおっしゃったんだと思います。だとすれば、その仕組みを考えられたらどうですかということを申し上げた次第でございます。  時間の関係で最後の質問に移ります。  長銀、日債銀について、当初、税効果会計を導入してゴーイングコンサーンで考えると、少し資産、資本の部分が厚くなるという議論がございました。ところが、清算ベースで見ますから税効果会計は考えませんということでございましたが、法人格としてはもちろん残っていますし、納税主体としても当然残っておるわけでございますから、今度、売却をしたときにはかなりの税効果の戻り益というものが、本体そのままで売却した場合には残るんだと思います。  質問は、そうではなくて、いろいろな手法の中で、法人格ではなくて営業譲渡という形をとった場合に税効果会計の戻りの税の部分を引き継げるのかどうかということを、これは税の関係でございますので、引き継げるのかどうかということを大蔵大臣にちょっと伺わせていただきたいと思います。
  35. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 御質問を正解しておりますかどうかわかりませんが、基本的に税効果会計というものは適用できるものである、私はそう思います。
  36. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 質問は、その営業譲渡、別の法人が営業権を引き継いだ場合です。
  37. 福田誠

    政府委員(福田誠君) 今、大臣から御答弁申し上げたとおりでございまして、受け皿企業の方で再度有税引き当て等を行いますと、それについて新しい受け皿企業としての課税関係から税効果会計が適用されるということでございますので、現行制度でもそういうことだと存じます。
  38. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 時間ですから短くお願いします。
  39. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 ちょっと質問が御理解いただけなかったのかもしれないので、簡単で結構なんですが、過去の税効果部分が受け皿企業に引き継がれるかどうかということなんです。
  40. 福田誠

    政府委員(福田誠君) そのよう趣旨でお答えしたつもりでございますが、繰り返しになりますけれども、受け皿企業が引き継いだ資産につきまして適正な有税引き当てを行っていくわけでございますから、その受け皿企業の将来の収益等々の見通しをもとに新しい課税関係が起き、合理的な根拠があれば、そこで税効果会計が適用されるということでございます。
  41. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 終わります。
  42. 益田洋介

    ○益田洋介君 日銀総裁、御苦労さまでございます。  一九九五年九月八日、日銀は公定歩合を〇・五%に下げまして、今月十八日で千四百十日という据置期間を記録いたしました。これは五一年十月一日から千四百九日間という据置期間の戦後の記録を破った形でございます。もともと、九五年に〇・五%まで下げましたときに日銀が当時公表したコメントでは、バブル崩壊後の経済失速を是正するための緊急避難的な措置なんだ、だから長期に続けるつもりはないんだというふうなコメントで出発した金利が、実にこのような長きにわたって継続したわけでございます。  先月、六月三十日、衆議院の大蔵委員会におきまして、総裁は、このようなゼロ金利を長期に続けるというのは異常な事態であるという認識を持っているんだというコメントを発表いたしました。これが契機になりまして、ちょうど一—三月期のGDPが一・九%と予想をはるかに超えるような結果を出した直後だっただけにマーケットが相当動きまして、景気の回復の兆しが金利の上昇につながるんだろう、そういうシナリオのもとで一気に長短金利が急上昇したわけでございます。  どうも右に行ったり左に行ったりして総裁の本当のお考えがマーケットにも私ども政治家にも一般の国民の方にもわからなくなっている状況。一方で、六月には日銀金融研究所が金融政策についての論文をまとめて発表いたしました。その中では、総裁のこのゼロ金利政策について支持する妥当性の分析というのを行っているわけでございまして、一体どういうふうに解釈したらいいのか、また先行きどのような見通しを持ったらいいのかというのがわからなくなってきている、不透明になってきているのが現状である、そういうふうに私ども認識しているわけでございます。  昨日、総裁は記者会見を行いまして、これらを総括するといいますか、一つの道筋を新たに示されるような発言をされまして、デフレ懸念の払拭が展望できるまでは金融緩和は続けていきたいということをおっしゃった。潜在的な物価の低下圧力が残っているためにこのままで据え置くんだというようお話でございましたが、総裁の口からはっきりとどのようなお考えで金融政策を進めていかれるつもりなのか、その辺を確認をさせていただきたいと思います。
  43. 速水優

    参考人速水優君) お答え申し上げます。  まず最初に、公定歩合が随分長期間にわたって同じ水準にあるじゃないかという御指摘でございますけれども、おっしゃるよう日本銀行平成七年九月に公定歩合を〇・五%に引き下げましてから三年十カ月経過しておることは事実そのとおりでございます。  そのころから私どもの方は、平成八年から、原則として金融市場調節には日銀貸し出しでなくて各種のオペを使って金融の市場調節をやっていくという方向に切りかわっておるわけでございます。それと同時に、低金利政策が長期間にわたっておりますのは日本銀行が我が国経済の状況に応じて金融政策を実施してきた結果であるということに尽きるかと思いますけれども、その意味では、残念ながらこの期間、日本経済の長引く不況を反映したものであるというふうに考えていただいてよろしいかと思います。  無担保コール・オーバーナイト物を基準にして金融調節を今行っておるわけですけれども、これをゼロ金利、実質ゼロというところまで下げて、これは二月に決めたわけでございますが、それからも四カ月以上たって五カ月近くになっているわけです。  これは、私どもとしても初めてのかなり思い切った緩和政策でございますし、中央銀行の歴史でも三百年以上の歴史の中でこういう例は初めてだということでございますし、どういうふうに効果が出てくるかということは私ども自身注意深くその推移を見てきたわけでございますが、今までのところでは、株価の上昇とか足元の景気の下げどまりを示す景気指標の発表などを契機にしまして、割合、超低金利、ゼロ金利と言われているものが市場に浸透し、それが各方面に比較的明るい効果をもたらしてきたと考えていいんじゃないかと思っております。  後の方で御質問にございましたこれからどうするのかという御質問でございますが、明るくなってきていることは確かでございます。現在の景気情勢、いろんな資料によって私どもの判断するところは、足元の景気は下げどまっており、企業の業況感も一段と明るくなりつつあることは確かでございますが、肝心の民間需要そのものの自律的回復というのはまだはっきりとした動きが依然として見られていないということでございます。そういう情勢のもとで、日本銀行としては、デフレ懸念の払拭が展望できるような情勢になりますまで現在の思い切った金融緩和基調を維持して経済活動を引き続きしっかりと下支えしていくということが適当であるというのが、先週金曜日の政策決定会合での判断、決定でございます。  現状はそういうことでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  44. 益田洋介

    ○益田洋介君 一—三月期のGDPの発表、それから六月の日銀短観の発表を受けまして金融市場は非常に景気動向というものに対して敏感になっておりまして、先物金利などは既に景気回復への期待からむしろ金融政策の転換、変更の可能性が出てきたんじゃないか、そういうものを既に織り込み済みであるというふうに一部では伝えられております。  問題は、今一番注目を集めていますのは四月から六月期のGDPの先行指標でございまして、これは九月十日前後に発表されるということでございますが、どういうふうな見通しを総裁は現在の段階でお持ちか、お聞かせ願いたいと思います。
  45. 速水優

    参考人速水優君) 一—三月のGDP、これは私どもが思ったよりも非常にいい数字が出た。それによって市場も動き、為替や株価も円高になったりあるいは株価が急騰したりというようなことが起こったわけでございます。この実態がどうなのか、これから続いていくのかということにつきましては、私どももいろんな資料を見ておりますが、確かに公共投資や住宅投資が総需要を下支えしておって、そういうものがかなりこういういい数字を出した背景にあることは確かでございます。  金融面でも、日本銀行の金融緩和措置の効果とか金融システム不安の後退等によりまして、市場の環境は全般に好転してきているということも事実と思います。これらを背景にして、企業の業況感、消費者マインドというのも幾分改善してきていることは事実だと思います。  しかしながら、過剰設備、過剰雇用という状態はまだ根強く残っておりますし、企業の収益や家計の雇用・所得環境というのは引き続き厳しい状況にございます。これから企業のリストラが進んでまいりますと、短期的には設備投資や雇用等にマイナスの影響を与えることも十分可能性があると予想しなくてはいけないというふうに思っております。こういうことを踏まえますと、設備投資や個人消費といった民間需要が速やかな自律的回復をしていくということはまだ期待しにくいというふうに判断をいたしております。  物価の方も当面おおむね横ばいで推移していくと見られますけれども、今申し上げたような景気見通しに基づきますと、こうした面からの物価に対する潜在的な低下圧力というものは引き続き残っていると考えております。  そういったところから、日本銀行としましては、これらの点を十分に念頭に置きながら、デフレ懸念の払拭が展望できるような情勢になりますまで現在の思い切った金融緩和スタンス、いわゆるゼロ金利と言われている今の政策を維持していきたいというふうに考えております。
  46. 益田洋介

    ○益田洋介君 日銀総裁、ありがとうございました。またよろしくお願いいたします。  次に、農林水産大臣質問をさせていただきます。  食品工業向けで一般の金融機関融資がしづらいという状況がある金融対象物というものはどういうものなのか。そこで農林漁業金融公庫役割がクローズアップされるわけでございますが、その点が一点。  さらに、従来、日本開発銀行が行っていた業務の一部を今回の法律の改正によって農林漁業金融公庫が引き継ぐわけでございますが、その融資の判断基準というのはどういうふうにお考えなのか。そのあたりをお聞かせ願いたいと思います。
  47. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 農林漁業金融公庫はいわゆる政府系の政策金融機関でございますから、一般の金融機関が融通することが難しいというものに対して融資を行っております。  具体的には、食品工業団地の形成のような長期間かかるもの、あるいはバイオテクノロジーよう研究開発が主体でございますからリスクを伴うものといったものを対象にしております。またさらには、この業務の中には、例えば過去において、輸入自由化によって打撃を受けるような特定の農産加工業界、あるいはまた生産条件の悪い中山間地域等に対する資金的な援助といったものをやっておるわけでございまして、あくまでも民間金融機関の補完といいましょうか、補完し切れないところ、民間金融機関ではできない部分政策金融機関としてやっておるわけでございます。  今回、開銀からの移管につきましてもその原点というものは変わらないわけでございまして、あくまでも民間の補完という位置づけの中で、しかも民間連携をしながら農林水産業の振興あるいは食品産業振興というものに努めていきたい、いかなければならないというふうに考えております。
  48. 益田洋介

    ○益田洋介君 ありがとうございました。  次に、大蔵大臣に伺います。  二十日は日本は休日でございましたが、二十一日のニューヨーク・マーケットが開く前のロンドン市場で、一カ月ぶりの水準で、約百十七円台ということで円高になったわけでございます。これを受けて、二十一日のニューヨーク・マーケットで日銀が委託介入をFRBを通じて行いまして、大量の円売りドル買いという介入をしたわけでございます。その効果があって、終わり値は百十九円近くまでつけて、一応この介入の意図したところは達成できたというふうにされるわけでございます。  一方で、非常にアジアとかアメリカからは非難が出ておりまして、円買いの圧力を強めるマーケットと、一方で円高の阻止を目指している日銀とのあつれきが生じているといった状況でございますが、今後もこうした介入を、きのうは東京のマーケットでも介入をしたわけでございますが、続けていかれるおつもりなのか、その背景にあるお考えはどういうことなのか、あわせてお伺いしたいと思います。
  49. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 具体的な市場への介入につきましては、個々の問題としては申し上げることを差し控えますが、基本的に考えておりますことは、先ほども益田委員が言われましたように、我が国の経済がやや好転をし始めるのではないかという認識がかなり国の内外にございまして、為替市場ではそれを先取りするような動きがここのところしばらくの間でございますが見えるようになりました。  基本的には、経済が好転すればそれは当然のことでございますけれども、問題は、その先取りをするテンポが速過ぎまして市場を攪乱する、あるいはひょっとして兆しが見えました我が国の経済の好転にもよくない影響を与えるというふうに考えましたので、そのような急激な動きはプリエンプトしておくことが大事であろう、そういう考えを持っております。したがいまして、ここしばらくの間、余り急激な動きがございますとそれに対して我々のメッセージを伝えるというようなことはいたしてまいりました。しかし、それは市場の動きに、いわばある意図を持ってしつこく干渉するというようなつもりではございませんで、そのような急激な動きが好ましくないというふうに考えるからであります。  と申しますのは、今東南アジアの国々のこともお話しになりましたが、昨年来、東南アジアの国々にしましてもアメリカにしましても一番求めておりますのは日本の経済がこの不況を脱するというこの一点でございますから、それはまた我々もその一点に努力を集中しておりますので、それをくじくような、阻害するような動きについてはできるだけそれは排除してまいりたい、こういう気持ちでやっておるわけでございます。  難しいことは、おっしゃいますように市場の動きに大きな影響を与えるような介入というものは本来的に好ましいものではございませんし、またそれによって本来的に経済というものを変化させるものでもないと存じますけれども、ある一定の時間に急激な相場の変動があるということは、本来の市場経済というもの、マーケットエコノミーというものの自然な動きにとって弊害があるというふうに思いますので、必要に応じて我々のメッセージを出しておるというのが考え方でございます。
  50. 益田洋介

    ○益田洋介君 今月の上旬に香港で東アジア・太平洋中央銀行役員会議というのが開かれまして、その席上で参加十一カ国のアジアの中央銀行の役員から相当この点について非難の声が上がっている。株高を望む一方で日本が円高を阻止するというのは虫がよ過ぎるのではないか、こういうふうな金融政策を日本がとり続けていけばアジアの各国の輸出産業に大きな影響を与え続けるんだというふうな非難が上がって、今のこの介入策を見直してほしいという声がマーケットで上がっている。この点について大臣、どのようにお考えですか。
  51. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 金融筋でそういう声があることを承知しております。しかし、それらのアジア諸国も日本の経済が早く不況を脱するということが基本的に自分の国の経済に利益であると考えておることには違いございませんので、そのときそのときのステップについては多少のそういう御異論があるかと思いますが、我々としてはそういうことも考慮しながら、そういうことに一顧を与えないという意味ではございません。十分配慮しながら、しかしこの経済の好転の兆しを失することがないように、そういうことは考えながら慎重に進めてまいりたいと思っております。
  52. 益田洋介

    ○益田洋介君 お考えはわかりました。  それから次に、秋に予定されております、当然大蔵大臣はお考えと思いますが第二次補正予算、今年度〇・五%の経済成長を総理は繰り返し口にされて、公約されておりますが、達成するためにはどうしてもやはり十兆円程度の補正を組む必要がある。真水で三兆円とか五兆円とか言われておりますが、問題はこの編成時期だと思います。  例えば、公共事業の場合は、自民党の総裁選が終わりまして十月から十二月の間に臨時国会を召集して第二次の補正を編成するというのでは遅きに失するのではないか。例えば、十一月の補正では実際に公共事業が執行されるのは来年の一月から三月という時期にずれ込むので秋口に公共事業の発注の切れ目が生じてしまうのではないか。それは、今一番大蔵大臣が懸念されています景気回復の兆しを一たん中断してしまうのではないか。ですから、私は、補正の編成時期というのは八月の後半ぐらいには準備をもう始めなきゃ間に合わないんじゃないか、そういう気がいたしますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
  53. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先ほども益田委員がおっしゃいましたいわゆる一—三というもの、この中で比較的民間消費が高い数字が出たということが果たして何を意味するのかということは十分に分析ができておりません。設備投資については、これは余り望みがないということはかなりはっきりしておりますけれども、したがいまして四—六というものがどういうものになるかが一—三だけからはちょっと読みにくいと申し上げるべきではないか。ですから、そこはなるべく控え目に考えておいた方がいい、まあその時期になればわかるわけでございますけれども、という気持ちで今おります。  そこで、お尋ねの中心は、公共事業の中だるみがどこかでできるのではないかということでございます。それにつきまして、支払いベースで申します限りは私は余り心配しておりません。今年度の支払いベースでの公共事業は昨年度よりは一兆三、四千億円高うございますし、下半期におきましてその中で七千億円ぐらい大きゅうございますから支払いベースで事が起こるとは思っておりませんが、工事ベースで申しますと、おっしゃることはあるかもしれない。少なくとも、経済は生き物でございますので、それはないなんということを今考えない方がいい。工事ベースでもしそれが生ずれば、それは恐らく来年の一月以降の三月ぐらいの段階であろうか。いずれにしてもこれは推測を申し上げておるわけですが、したがってこれは四—六のできにもよるわけですが、それに間に合うように何かの手当てをする必要があるのでないかということに、益田委員のお尋ねを私流にはそのように受け取っております。  そういたしますと、地方議会が大体十二月でございますから、それには間に合わないといけない。つまり、問題は支払いベースではなくて工事ベースの話でございますから、世の中が一般に思っておられるよりは事柄はそんなにぎりぎり急いでおるわけではなくて、十二月の地方議会の議決に間に合うように国のきちんとした最終的な意思決定をしておかなければならない、そのための予算が成立していることが望ましい。大体逆算でそのようなことを考えております。  他方で、今年度の予算の中に公共事業予備費五千億円がございまして、このことについてはまだそのままにいたしておりますので、それにつきましての状況も見ながらの判断、そして今おっしゃった問題をどう考えるか。それらは四—六がわかりまして、その段階になって判断をしても恐らく遅くはないだろう。益田委員はいやそれでは遅いぞと言っておられるわけですし、世間にそういう御意見もかなりございますけれども、今支払いベースを見ておりますとそこは多分大丈夫だろう。いつまでも大丈夫だと言っておるのではございませんが、四—六を見て考えてもいいのではないかというふうに思っております。
  54. 益田洋介

    ○益田洋介君 ありがとうございました。
  55. 須藤美也子

    須藤美也子君 日本共産党の須藤美也子でございます。よろしくお願いいたします。  今回の法改正によって、開銀の食品産業向け融資が今度、農林漁業金融公庫移管される。従来の開銀の場合は中堅企業が多かったわけですけれども、食品産業は圧倒的に中小企業であります。今回、公庫移管される食品工業団地、基礎素材型基盤強化、再資源化、それから食品流通対策、こういう資金融資は企業の規模の大小にかかわらず対象になる、こう理解してよろしいのでしょうか。
  56. 竹中美晴

    政府委員竹中美晴君) 今回、日本開発銀行から農林漁業金融公庫移管される資金につきましては、食品工業団地の育成でありますとか、食品加工分野における流通機能の高度化でありますとか、あるいはまた食品加工分野技術開発に必要な研究開発の促進といったことを目的にしておりますことから、企業の規模を問わずに融資対象といたしているところでございます。  今回、農林漁業金融公庫への移管に当たりましても、そういった考え方を引き継ぎまして、企業の規模を問わずに対象にするという考え方でございます。
  57. 須藤美也子

    須藤美也子君 食品の中小企業は、これまで主に中小企業金融公庫に頼っていたわけですが、農林漁業金融公庫でも借りられることになるわけですね。その場合、金利において大企業と中小企業との間に差を設け、中小企業に少しでも借りやすくする、そういう用意はあるのでしょうか。
  58. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) これはあくまでも民間企業に対する融資、しかし融資する公庫政府系金融機関でございますから、政府系金融機関としての役割というものを前提にして対応するわけでございますけれども、ただ規模の大きさだけで中小企業だから低い、大企業だからと。まあ優遇という意味で高い低いという例を挙げさせていただきますならば、大小でもって高低を一義的に図るということは余り意味のないことではないか。  逆に申し上げますと、中小企業でもいい経営をやっているところもあるわけでございますし、大企業でも苦しいところもありますし、そこに政策金融機関としてどう対応できるかということがポイントではないかと考えております。
  59. 須藤美也子

    須藤美也子君 実は、既存の農林漁業金融公庫、ここでは中小企業者とそれから大企業、この場合、金利の差をつけております。既存の現在の農林漁業金融公庫は、乳業施設資金、さらには特定農産加工資金等々、これは差をつけているわけです。これを今度、開銀から移管されるとりわけ食品産業というのは中小零細企業が多いわけですから、そういうことを既存でやっているわけですから、今回、移管されるものにも中小企業と大企業の金利を分ける、差をつける、そういうことをやってしかるべきではないか、こういうふうに考えているんですが、どうでしょうか。
  60. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 原則として、開銀から移管されるものについては同条件でお引き受けをするということでございます。  なお、特定農産加工関係等の例を出されましたが、これは昭和六十二年でしたか、例の十二品目の関税化に対応するための政策的な措置として、特定業種に対して政策金融として一般会計からの利子補給も含めまして対応したわけでございまして、ここには大小という区別よりも、むしろ特定業種に対しての特別の融資措置というふうに御理解をいただきたいと思います。
  61. 須藤美也子

    須藤美也子君 食品流通改善資金も中小企業の場合は一・六%、大企業の場合は一・八五%、こういうふうに既存の農林漁業金融公庫でやっているわけですから、できるだけ中小企業にそういう優遇措置をすべきではないか、こういうふうに思います。  さらに、開銀では実績ゼロであります再資源化、動植物性残渣の問題なんですが、今度これが農林漁業金融公庫移管されてくるわけです。今非常に重要なのは環境問題、とりわけ市場から出てくるいろいろなごみ、こういう問題に対して、堆肥生産を行っているところもあります。さらに、各地の食品加工工場と結んだ堆肥生産の要望も多く出ております。市場や中小企業の処理機械、施設の導入にこうした資金制度が活用できるのかどうか、これはどうですか。
  62. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 先生指摘の再資源化資金でございますが、今回、農林漁業金融公庫移管されますのは食品加工分野におきます先生言われました動植物性残渣、そういうものを再資源化するために必要となります施設資金融資するものでありまして、これは地場食品メーカーのものも含めまして食品製造業が対象になるわけでございます。  また、卸売市場におきます再資源化施設でございますが、これは卸売市場施設としまして、今の農林漁業金融公庫の卸売市場近代化施設資金融資対象となっているところでございます。
  63. 須藤美也子

    須藤美也子君 非常に環境問題で社会的な問題にもなっておりますので、環境問題の面からも積極的にこうした資金支援の立場から取り組まれるように強く要望しておきたいと思います。  次に、公庫融資食品産業を低利資金で支援するものでありますけれども、一方で国内農業の発展と結んだ食品産業の育成が自給率の向上につながるという点からも非常に重要である、こういうふうに思うわけですが、輸入農産物の拡大に直結する食品産業の進出について質問したいと思うんです。  穀物メジャーであるカーギルの進出について、非常にこれは問題がたくさんあると思います。既に、日本に子会社、カーギルジャパンを持っているわけですが、最近倒産した総合食品商社の東食を子会社化する、こういう話し合いが進んでいる。その点で、昨年の十月、大臣は記者会見をしておりますね。この記者会見の内容が日本農業新聞に出ております。カーギルは米国の経済戦略の象徴的な存在であり、日本農業食品産業に与える影響を注意深く見ていく必要があると、こういうふうに日本農業新聞では書いてあるんです。大臣は、この問題についてとりわけ注意深く見ていく必要があると、こういうふうに述べているわけですが、どのように注意していかなければならないのか、その辺の内容についてお聞きしたいと思うんです。
  64. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 一昨年の秋、銀行あるいは証券会社、そして食品の名門でございます東食と、相次いで連鎖倒産が起こりまして、我々は、我々といいましょうか、非常に心配をしたわけでございます。特に、東食といえば食品の名門でございまして、さてこの四百人の雇用をどういうふうに路頭に迷わせないように、またこれによっていろいろな関連企業に対する影響も含めてどうしたらいいのかなと、一義的には私企業の問題であるわけでございますけれども、大変注目をしていたところでございますが、カーギルが子会社として、救済という言葉はいいんでしょうか、雇用面から見れば、また営業面から見ればそういうふうに子会社として傘下におさめたと。  これは会社更生手続の最中ではございますけれども、この個別の内容につきましては、カーギルあるいは東食の私企業同士の関係であり、また会社更生手続中ということでございますから、我々としてはこれ以上これについてコメントをすべきではないと思いますけれども、一般論といたしまして、カーギルという世界の巨大な、食品だけではございませんで、いろいろな分野で世界に非常に大きな影響力を持つ企業が我が国の農林水産省所管する分野関係してくるということについて、一般論として我々が関心を持っておるということは当然のことだろうと思っております。
  65. 須藤美也子

    須藤美也子君 このカーギルの進出について、やはり農水大臣として、これを野方図にどんどん進めるということに歯どめをかける、こういう点も日本農業再建のために、また食料自給率向上のためにと、この前の新しい農基法ですか、それにもきちんとそういうことを確認しているわけですから、そういう立場からも、このカーギル社を野方図にどんどん進出させるということはやめさせていかなくちゃならないのではないか、こういうふうに考えるわけです。  さらに、このことで日本農業が非常に圧迫を受ける、こういうことが非常に今注目されているわけです。一例を挙げれば、カーギル社は九〇年に千葉県に果汁貯蔵供給基地をつくったわけです。九〇年のオレンジ果汁の自由化開始とともに、ブラジル産オレンジを原料とする濃縮果汁飲料のメーカー向け供給を開始しました。  農水省に、大臣でなくてもよろしいんですが、九〇年から九八年までオレンジ果汁の輸入はどうなったのか、一方で国内農業、ミカン果汁の生産量及びミカン果汁用加工原料の取引価格はどのように推移したのか、この点を数字で報告していただきたいんです。
  66. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) オレンジの件については後で事務当局から答えさせます。  今度の基本法でも、国内農業の位置づけ、そして食品流通業が発展してもらわなければ困るという基本法の理念があるわけでございます。そういう中で、一方では自由経済でございますから、私自身は、アメリカのスーパー三〇一のように個別企業に対して制裁的なことをするということについては、公の場でこれは自由経済に反するということを申し上げておる立場でございます。  したがいまして、個別企業に対して、いかに脅威であるといたしましても、それに対して制裁的なことをするということは私の考えあるいは日本の経済システムからいっていかがなものか、それとは違う方法で我が国の農業あるいはまた食品産業にいかに発展していただく環境をつくっていくかということのために重点を置きたいと考えております。
  67. 樋口久俊

    政府委員(樋口久俊君) オレンジの件につきまして私の方からお答えを申し上げます。  まず、輸入量でございますけれども、平成二年、九〇年には三万一千トンでございましたものが、平成四年には六万一千トンに増加をいたしました。その後、円高の進行の影響がございまして、特に平成六年には大幅な円高になっていることは御承知だと思いますが、このため輸入量は十三万トンと一時的に増加をしましたが、その後、国内の果汁の需要が伸び悩んだ等々から、近年は十万トン弱ということで横ばいで推移いたしております。  一方、国産のミカン果汁の生産量でございますが、これは先生御承知のように、我が国ではもともと生果の生産が中心でございまして、隔年結果が大変強くあらわれます作物でございますミカンでは、余ったものを加工に回すという傾向があるわけでございますけれども、平成二年には二万四千トンでございましたものが四年には三万一千トンとなり、近年では豊凶変動の影響を受けまして、大体七千トンから二万四千トンで推移いたしております。  価格についてお尋ねがございました。温州ミカンの果汁用の加工原料の産地の選果場で渡します平均取引価格、平成二年産が二十七円でございましたものが、途中いろいろ経過はございましたが、平成九年で七円となっております。これに果実価格の安定対策事業によります補給金を加えました農家手取りは、平成二年産が三十二円、平成九年産が十四円となっております。これは価格でございます。  それから、対策についてもお話がございましたけれども、果汁等の加工用につきましては、まず、先ほどお話をしましたような価格安定対策も講じておりますし、果汁工場の再編整備等々の合理化も行っているところでございます。ただ、先ほどと同じでございますが、生食用に対策を講じる、ここを主力にするという必要があろうかということで、園地転換対策も充実強化をしておりまして、果実の需給バランスの回復を進めているところでございます。  特に、本年は大変豊作が予想されたということもございますので、これの摘果をやろうということで、これを今実施中でございまして、百五十万トン程度の収穫量の予想のところ、今のところは生果用で百万トン、ジュースに搾るのが大体九万トン程度と見込んだ対策を講じているところでございます。  この結果、温州ミカン農家の所得を見ますと、先生からお話がございましたが、自由化前の六十年から平成二年産が大体七万から二十八万でございましたものが、自由化後の平成三年から平成六年産におきましては十四万から三十八万ということでございまして、生果中心でございますこともあると思いますが、果汁原料価格が低迷ということではございますけれども、農家経営へ圧迫をしているということはストレートには申し上げられないんじゃないかという考えをいたしております。
  68. 須藤美也子

    須藤美也子君 国内生産量については先ほど数字で報告がありましたけれども、平成二年度、要するに九〇年は輸入量が三万一千トンですか、十年には九万二千トンですね。そうすると、輸入量が三倍に膨れ上がっているわけです。国内を見ますと、国内生産量は同じく二万四千トン、十年には八千トンです。三分の一に減少しています。価格は四分の一です。  私は、愛媛に行ったときにこう言われました。長い間、自分の父親が何十年もかけてミカンを育て上げてきて、それを伐採しなければならなかった。長年育て上げてきたミカンの木を伐採する父親の後ろ姿を見て、小さい時分ながら涙が出てきた。こういう日本農業であっていいのかと。  私は、このように、たとえ自由貿易であろうと自由化の時代であろうとも、日本農業にこれだけの壊滅を与えるようなものへの輸入制限、これはやるべきだと思うんです。輸入制限というのは、きちんとこれは認めているわけですから、輸入自由化であるからどんどん何でもいいから輸入してもいいんだという考え方は、これは間違っているのではないか、こういうふうに思います。きちんと国内農業を守る、こういう立場から、輸入制限も含めて、ミカン一つ見てもこういう状況になっています。日本農業に多大な影響を及ぼしている。こういう点をもう少し考えていただきたい。  そういう点で、今回の食品産業融資については、つまり食料安定供給のための資金を今回設けたわけですけれども、その第一項に、農林漁業生産力の維持増進に必要な資金、こういう項目があります。農林漁業の発展を目指していることは明らかなわけです。  ですから、政策融資である今回の食品産業融資の貸し付けに当たっては、まず第一に国内農業に打撃を与えないよう配慮し、できるだけ国産農産物を活用するよう指導すべきであると思います。二つ目は、国内農産物の活用をふやす場合、金利、返済期間、一定の有利な条件を設置する、こういうことを行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  69. 竹中美晴

    政府委員竹中美晴君) 金利の面で優遇措置をとってはどうかというお話でございましたが、食品工業向け融資に当たりまして、一般的に国内農産物を原料とすることを条件づけたりあるいは義務づけたり、あるいはまた金利面で優遇するというような措置につきましては、これはWTOの協定におきます内国民待遇の原則、いわゆる内外無差別ということでございますが、これに照らして問題がございますので、なかなか難しいことではないかと考えております。  ただ、個々の食品工業向け資金融資に当たりましては、これまでも、例えば中山間地域活性化資金とか特定農産加工資金ように、それぞれの資金の性格に応じまして、地域とのつながりぐあい、連携といったことを勘案しながら、特に地場産業の多い食品工業の発展とか地域農林漁業との連携の強化といったことが図られるように努力し、また工夫もしてきているところでございます。
  70. 須藤美也子

    須藤美也子君 公庫の特定農産加工資金、これは輸入事情の変化に伴う国内農産加工場への一定の支援資金制度であるわけですが、この場合、融資を受ける条件となる経営改善計画の中で地域農業の健全な発展に資すること、こういうふうに挙げているわけです。これは地域農産物の活用を条件にしていることであると思います。  先ほどどなたかもおっしゃっていましたけれども、食品産業はもっと国内産を使うこと、こういうことを農水省が積極的に奨励する、そのためには国内産を使う。農業白書なんかでは、なぜ輸入物を使うか、この中には、価格が安いから、これが第一の条件なんです。しかし一方では、国産品の方が安全である、新鮮である、品質がよい、これが圧倒的多数の消費者の声なんです。  こういう方向で、安全性も含めた品質面に大きなメリットを企業の方も認めている。こういう立場で進めていくとすれば、国内農産物を使った場合、その食品企業に対する支援策、地域の農産物を使った食品企業に対しては何らかの利子補給とかそういったものをやって援助していく、こういうことが非常に重要になっていくのではないか。こういう点では、国内産を使った者に対する金利補給とか優遇措置、こういうものを考えていることはありませんか。
  71. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、経済局長からもお話がありましたように、内外無差別という現在のWTO、ガット上のルールがあるわけでありますし、また一方、協定上、国境措置というものも認められておるわけでございます。  そういう中で、先生は今高い安いが最大のポイントだという御指摘がありましたが、それももちろん企業経営の一つの大きな判断材料だと思いますけれども、例えば日本めん用の小麦のように、製品としても、もちろん価格はそうでありますけれども、実需者あるいは消費者側が求めるものが残念ながら現段階ではなかなかできないという面がございまして、そういう面で、国内生産物をできるだけメーカーあるいは最終消費者に使っていただくために、現在やるべき最大のことは技術開発ではないかと。そのための支援であり、そしてまたそれができれば消費者ニーズがふえていき、そしてメーカーも含めて、これから国内産を基本としてというあの基本法の理念が実践されていくというふうに理解をしております。
  72. 須藤美也子

    須藤美也子君 終わります。
  73. 三重野栄子

    三重野栄子君 社会民主党・護憲連合の三重野栄子でございます。  本日は委員会質疑が重複いたしまして、午前中、大変離席が長くなりまして申しわけないと思っています。  それでは、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、数点質問させていただきます。  今回の法改正によりまして開銀の食品工業向け融資農林漁業金融公庫移管されるわけでございますが、そもそもの問題として、なぜ食品工業向け融資を一元化せずに両機関が実施してきたのだろうかということをお伺いしたいわけです。  一元化した方がメリットがあるから今回の法改正を実施するわけでしょうけれども、今までの経過、それから今日の視点につきまして、政府系金融機関を統括的に監督しておられる立場にある大蔵省から御説明をいただきたいと存じます。
  74. 原口恒和

    政府委員(原口恒和君) お答えいたします。  御指摘ように、従来なぜ一元化せずに両機関で実施してきたのかということでございますが、まず開銀におきましては産業開発とかあるいは社会経済の発展、そういう観点から比較的規模の大きな企業を主体に融資を行っておりますし、また農林漁業金融公庫におきましては農林漁業生産力の維持増進に必要な長期資金を融通する、そういう観点から農林漁業者を主体に融資を行っているところでございます。  このように、開銀、農林公庫、それぞれ違う目的を持っておるわけですが、そのいわば違った観点といいますか、違った切り口でもって食品加工業等に融資を行ってきたということがこれまでの実情でございまして、今回の法改正により移管される融資の一部につきましては双方から資金供給ができるということになっていたところでございます。  今回の法改正によりまして、これはいろいろ御説明しておりますように、食品工業向け融資については、農林漁業金融公庫の本来的な農林漁業分野への融資一体的にとり行うということによって、この公庫によって食品加工業向けの全体として円滑な資金供給ができるのではないか、そういうふうに考えております。     ─────────────
  75. 勝木健司

    委員長勝木健司君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、上杉光弘君が委員辞任され、その補欠として木村仁君が選任されました。     ─────────────
  76. 三重野栄子

    三重野栄子君 本来の方向に戻ったというふうに理解をするんでしょうか。  次に、現在、政府系金融機関は二銀行公庫の合計十一機関が存在をしております。これが開銀と北東公庫、さらには国民金融公庫と環衛公庫が統合することになりまして、本年の十月からは二銀行公庫の九機関になるわけでございます。これでもって類似業務の重複が解消されたとは思えないんですけれども、政府系金融機関のさらなる改革も視野に入れるべきではないかと思いますが、これらの点についての大蔵省の御見解を伺います。
  77. 原口恒和

    政府委員(原口恒和君) 先ほども開銀と農林公庫の例で御説明いたしましたように、政府系金融機関はそれぞれの根拠法に基づきまして設立目的、業務内容、そういうものが定められておりますから、具体的な融資の対象、融資条件につきましても、各機関の政策目的あるいは業務の特性等を反映して、基本的にはそれぞれの機関ごとに異なっているというふうに考えております。  ただ、今の農林公庫と開銀の例のように、切り口の違いから重複したというようなケースもないわけではございませんが、いずれにいたしましても、そういうことについて、これまでも民業補完の徹底ですとか、あるいは政策金融の効率的活用の観点といったところから融資対象の安易な重複等が生じないように、各機関におけるノウハウあるいは専門性の相違等を考慮しながら必要に応じて調整を行ってきたところでございます。  今後とも、顧客の利便が損なわれないように十分連携を図りながら、御指摘よう政府系金融機関の適切な役割分担という点についても十分配意していきたいというふうに考えております。
  78. 三重野栄子

    三重野栄子君 これからの問題について期待をしてまいりたいと思います。  もう少し詳しく伺いたいんですけれども、ちょっと時間の制約があるものですから、次の問題についてお尋ねしたいと思います。  農林漁業金融公庫平成九年度末の延滞債権でございますが、約九百四十八億円になっておりまして、貸出金の残高に対する比率は約二・二%となっております。  そもそも金融にはリスクがつきものでありますから、延滞債権が発生することが不可避であることも理解をしておりますが、農林漁業金融公庫等の政府系金融機関の金融というものは、郵貯だとか簡保だとか年金等を原資に実施されておりますから、その資金は有償資金であると肝に銘じていなければならないと思います。  こうした点を踏まえまして、この延滞債権の状況につきまして、農林漁業金融公庫総裁の御意見を伺いたいと思います。
  79. 鶴岡俊彦

    参考人鶴岡俊彦君) 九年度末の延滞債権は今御指摘のとおりでございます。平成十年度末におきます六カ月以上の延滞金額につきましては、前年と比べまして百五十五億円増の千百三億円になっております。これを業種別に見ますと、農業関係で八十四億円、漁業関係で六十八億円ということで大宗を占めておるわけでございます。  農業関係では特に畜産関係が、最近の需給関係の悪化により需要が低迷するとか、あるいは災害でありますとか事故に遭うというようなことが原因になって大きくなっております。それから漁業関係では、現在、水産の生産量、特にマグロとかイワシの資源が減少しております。さらに、国際規制がじわりじわりときいてくるというようなことで経営環境が急激に悪化をしておりまして、マグロはえ縄漁業でありますとか、まき網漁業の漁船資金融資の返済が滞っておることが増加要因になっております。  私どもとしましても、今御指摘ように、金融でございますので、低利、長期の資金という有利性を生かしまして融資先が成功していただくということが主眼でございますけれども、やっぱり融資したものについては管理し、返済していただくということが我々の役割でございます。  そういう長期、低利ということから、大体平均で十九年ぐらいの期間のお金を融資するわけでございますけれども、その間の経済環境の変化、特に農林水産物とか農林水産業をめぐる環境の変化はこの間に相当変わると思いますし、またその間、相続その他もあるわけで、かなり条件が変わっていくわけでございます。  私どもとしましては、融資に際してできるだけの資料を集め、それからまた経営者の意欲でありますとか資質、実績というようなものを総合的に判断しながら融資をし、難しいわけでございますけれども、延滞の発生を極力抑えていくというような対応をいたしておるわけでございます。  それから、融資後におきましても融資先との接触をやっていく。支店の数、職員の数から限界はありますけれども、そういう事後フォローをやっていきまして、延滞が仮に発生した場合につきましてはできるだけ早い段階で経営者とともにその要因を分析し、その対応策について検討するような方針でやっております。  それで、必要があれば中間据え置きの設定や、あるいは経営の機関あるいは関係する金融機関等とも相談しながら極力経営を円滑に進めていくというような支援を行うことにしています。また、延滞が長期化した融資先につきましても、これにつきましては今までもやっていますけれども、大幅な償還条件の緩和等を行い、経営の再建に向けて努力をしているところでございます。  ただ、残念ながら倒産とか廃業に至っているもので再建の可能性のない融資先につきましては、不良債権の早期整理ということを法律に従ってやっていくというようなことをいたしておるわけでございます。  いずれにしましても、延滞発生を抑制する、さらにまた延滞が発生した場合にはできるだけ早く対応をするということで、そういうことが少ないようにやっていきたいというふうに考えております。
  80. 三重野栄子

    三重野栄子君 もともと農林漁業の皆さんの御苦労は十分わかっておりますけれども、今御説明いただきましたように、十分対応を考えられまして、これらが有効に利用されるようにお願いを申し上げたいと思います。  農林漁業金融公庫に限ったことではありませんけれども、いわゆる財投機関に対する一般会計からの出資金、補給金というものがございまして、財投改革論議の中でも常に問題視されているところでございます。こうした会計上の複雑な仕組みによりまして、資金の流れを理解することは一般国民にとりましては非常に困難でございます。  補給金について見れば、農林漁業金融公庫は、過去五年間を見ても毎年一千億円前後の補給金を一般会計から受けておりますが、こうした補給金あるいは出資金のあり方につきまして、財政事情が厳しい中でありますけれども、今後何らかの改善が求められるのであるかどうか、中川農林水産大臣の御見解をお伺いいたします。
  81. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 政策金融機関といたしまして、財投からの調達資金と貸付資金との間を埋める補給金、あるいは経営基盤の強化につながる出資金というものは、やはり公庫の果たす使命にとって非常に大事なものでございますので、今回の新しい移管、あるいはまた基本法に基づく新たな業務が今後生じてくる可能性もございますので、所要の目的を確保できるための資金を確保していくべく努力をしてまいりたいと考えております。
  82. 三重野栄子

    三重野栄子君 農業基本法もできましたし、いろいろ大臣、頑張っていただきたいと思います。  昨年十二月に会計検査院が発表いたしました決算検査報告によりますと、農林漁業金融公庫が実施した農業経営基盤強化資金などの貸し付けで四件の不当貸し付けが指摘されておりますが、こうした指摘を踏まえまして、その後どのよう改善をされるのか、時間もありませんけれども、四件につきましての中身並びに今後の問題について、農林漁業金融公庫総裁の御見解をお伺いしたいと思います。
  83. 鶴岡俊彦

    参考人鶴岡俊彦君) 御指摘ように、平成九年度決算検査によりまして残念ながら貸し付けが不当である旨の御指摘を受けました。  その不当として指摘を受けました四件につきましては、平成十年八月七日までに指摘の線に沿って償還をしてもらっております。これらの不当事項は、虚偽の報告等が直接の原因ではありますが、これに対する調査、確認が私どもとして適切でなかったということで、本来行うべき公庫資金の繰り上げ償還の措置をとっていなかったわけでございます。  私どもはこういうことを踏まえまして、今後は従来にも増して貸付先に対します融資制度の周知徹底あるいは貸付対象事業の完成及び事業の支払い状況の調査、確認等につきまして、なお一層努力し、このような不当貸付の発生の防止に努めていきたいと思っております。
  84. 三重野栄子

    三重野栄子君 終わります。どうもありがとうございました。
  85. 菅川健二

    ○菅川健二君 今回の農林漁業金融公庫法案につきましては、特に意見はございませんけれども、この際、中山間地域農業振興対策について若干御質問いたしたいと思います。  この件につきましては、さきに成立いたしました農業基本法におきましても重要な柱の一環とされておるわけでございます。その中でも特に中山間地域生産条件の格差是正のための直接支払い制度が設けられることになっておるわけでございまして、現在検討会を設けられて中間取りまとめ等は出ておるわけでございますが、近々最終報告が出るやに聞いておるわけでございます。  そこで、この概要と今後の対応について、まずお聞きいたしたいと思います。
  86. 渡辺好明

    政府委員(渡辺好明君) 御指摘がございましたように、検討会を一月に発足させまして、これまで七回検討を進めてまいりました。五月末には中間取りまとめがなされたところでございます。  二点目の御質問の方からお答えしたいと思うのでありますけれども、八月の概算要求にやはりこれは盛り込むべき事項だろうと考えておりまして、そのころまでには最終結論を得たいと思っております。これを踏まえまして、来年度、平成十二年度から事業実施にかかりたいと思っております。  これまでの議論の中で、一番やはり議論が集中をしましたのは対象地域をどういう地域とするかということでございまして、対象地域につきましては、いわゆる地域振興立法五法の指定区域といいますか、区域を対象にする、それに加えまして沖縄、奄美、小笠原、こういった地域についても対象とすべきではないかという声が大きく出ております。  それから二点目に、対象とすべき農地でありますけれども、これはやはり不利の補正ということから考えまして社会的、自然的、経済的条件が不利ということでございますので、傾斜度の高いところ、これにつきましては当然この対象としていく。これ以外に小区画、不整形な水田、いわゆる谷地田と言われるようなもの、それに加えまして気象条件が非常に劣るという状況の中で草しか生育が不可能である、その収量も落ちるというふうな地域は対象として加えてはどうかということでございました。  いかなる行為に対してこの直接支払いをするかという点につきましては、農業生産活動に加えまして、やはり施設の維持管理、こういうものを加えていくべきであるという御意見が大宗を占めております。  交付の単価につきましては、やはりWTO農業協定の中に明示された規定がございますので、格差の範囲内ということでありますけれども、格差の全額を見るのか、それとも一定の努力目標を立てて七掛けとか八掛けを支払うべきであるかという点について意見が分かれております。  市町村との共同事業ということにつきましては、原則の意見は一致をいたしております。  最後に、対象期間でありますけれども、五カ年間を一単位としてやろうではないか、五カ年間の期間におきまして一定の目標をクリアしたかどうかということを検証いたしまして、新たなマスタープランを立て、次の段階に入るというのが私が申し上げました検討会のこれまでの検討状況でございます。  繰り返しになりますが、十二年度の概算要求に向けまして、最終取りまとめに努力をいたしたいと考えております。
  87. 菅川健二

    ○菅川健二君 ただいま概要の説明があったわけでございますが、特にこれまでの対象地域、対象行為ということで当てはめてみますと、例えば私の地元でございます広島県では、数町村を除いてほとんど全市町村が該当関係市町村になっておるわけでございます。これはある意味では広島県のこういった棚田の多い地域におきましては当然と言えるわけでございます。  ただ、これらのものをすべて包含するということになりますと、当然財源としての幅があろうかと思うわけでございまして、広く薄くばらまくことによって小遣い銭程度を各農家に配るということになりますと逆に効果が出ないわけでございます。  これらについて、やはり一定の絞りをかけることによって政策効果が出るような方策ということが望ましいと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。
  88. 渡辺好明

    政府委員(渡辺好明君) 御指摘のとおりであろうと思います。  今、私がいわゆる地域振興立法ということでお話し申し上げましたが、これのカバレッジが大体六割強といったところでございますので、EUの実施状況がたしか五三%ということでございますから、それと比べましてさほどの違いはないと思っております。  ただ、対象地域内の農地がすべて対象になるというわけではございませんで、当然のことながら対象地域内においてさらに生産条件に格差がある農地を絞り込んでまいりますので、そういう点ではこの直接支払いのお金がいわゆるばらまきにならないような工夫が必要だろうと思っております。  また、交付をされますお金につきましても、有効に使われるという観点から、集落協定を結んで一定の目的に活用していただくということを基本といたしたいと思っております。
  89. 菅川健二

    ○菅川健二君 それから、先般も予算委員会農林大臣にお聞きいたしたわけですが、中山間地といいましても北海道から沖縄に至るまで大変全国千差万別の実態があるわけでございます。そうしますと、地域の実態に合わせた効果的な実施ということになりますと、農林水産省が一元的に一定の基準に基づいて交付するということになりますと、必ずしも地域の実態に合わないということもあるわけでございます。  そこで、今地域との共同事業ということを申されたわけでございますが、例えば全中などは農水省の全国基準に基づいて都道府県が客観的基準を設定し、市町村が具体的な地域を指定するとか、そういったそれぞれ地域の状況に応じた役割分担をしていく、あるいは財源面におきましてもそれなりの役割分担をしていくという方策が必要ではないかと思うわけでございますが、この点につきまして農水大臣の御意見をお聞きいたしたいと思います。
  90. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 直接支払いをするに当たりましては、今、局長から幾つかの中間的な方向性が出ましたが、その大前提になるのがやはり国民的な理解と、それから局長からこれも今申し上げましたが、集落あるいは市町村単位の中で該当する農家としない農家とが出てくるわけでございますから、その自治体の中での理解というものも大事なポイントになってくるだろうと思います。  そういう意味で、国としては国民的な理解あるいはこの目的というものをできるだけ御理解いただく努力をしながら、客観的かつ明確な基準をつくる。そして、具体的な運用については地域の事情に詳しい都道府県、さらには市町村といったところが具体的な運用を行うということで、可能な限りその地域の特性を生かした形でそれぞれ御理解いただけるような支払いの方法あるいは地域等々の条件が指定されるように、まさしく先生のお言葉をかりれば、それぞれに役割分担をしてこの制度を進めていかなければならないというふうに考えております。
  91. 菅川健二

    ○菅川健二君 今御指摘ように、ぜひこれが効果的に実施できるよう役割分担を適正に考えていただきたいと思います。  そこで最後に、この法案に直接関連するということではございませんけれども、農林漁業金融公庫融資対象の中山間地域活性化事業で十年間で融資残高約一千三百二十二億とかなりの額を融資いたしておるわけでございますが、これらにつきまして、融資事例で特に成功事例としてどんなものが挙げられるか、何かございましたら御指摘いただきたいと思います。
  92. 竹中美晴

    政府委員竹中美晴君) お話にございました中山間地域活性化資金でございますが、これは地勢等の地理的条件の不利な中山間地域生産されます農林畜水産物加工流通促進を通じて、その地域活性化を図るという趣旨で設けられているものでございます。  優良な事例はどうかというお話でございますが、例えば北海道でダンシャクイモを原料としたコロッケの製造施設がうまくいっているとか、あるいはまた伊予カンとかビワを原料としたゼリーの開発施設が導入されてうまくいっているとか、さらにはまた牧場などの農業公園と一体になった牛肉や乳製品の直販施設の整備とか、中山間地域で特産の梅を原料にしました新しいタイプの梅酒の開発とか、そういった優良事例が見られているところでございます。  こういった例は、地域農林水産業との安定的な取引を通じまして原料生産農家の生産の拡大と販売の安定、あるいはまた付加価値の向上なり地域の雇用の創出等に大きく寄与しているものと考えております。
  93. 菅川健二

    ○菅川健二君 いろいろ役立っておるようでございますが、中山間地域におきます農産物の付加価値をより高めるための一・五次産業の振興というのも極めて重要だと思うわけでございます。この公庫資金につきまして、より中山間地に光を当てて付加価値を高めるような方策を講じていただきたいと要望して、私の質問を終わらせていただきます。
  94. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  95. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十八分散会