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1999-04-13 第145回国会 参議院 財政・金融委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年四月十三日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月三十日     辞任         補欠選任      岡  利定君     片山虎之助君      佐々木知子君     岩井 國臣君      山内 俊夫君     石川  弘君  四月十三日     辞任         補欠選任      片山虎之助君     岡  利定君      笠井  亮君     吉川 春子君      星野 朋市君     平野 貞夫君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         勝木 健司君     理 事                 石渡 清元君                 金田 勝年君                 広中和歌子君                 益田 洋介君                 池田 幹幸君     委 員                 石川  弘君                 岩井 國臣君                 岡  利定君                 西田 吉宏君                 林  芳正君                 日出 英輔君                 平田 耕一君                 浅尾慶一郎君                 伊藤 基隆君                 峰崎 直樹君                 浜田卓二郎君                 吉川 春子君                 三重野栄子君                 平野 貞夫君                 星野 朋市君                 菅川 健二君    国務大臣        大蔵大臣     宮澤 喜一君        国務大臣        (金融再生委員        会委員長)    柳沢 伯夫君        国務大臣        (経済企画庁長        官)       堺屋 太一君    政府委員        公正取引委員会        事務総局経済取        引局長      山田 昭雄君        金融再生委員会        事務局長     森  昭治君        金融監督庁長官  日野 正晴君        金融監督庁検査        部長       五味 廣文君        金融監督庁監督        部長       乾  文男君        経済企画庁調整        局長       河出 英治君        法務省民事局長  細川  清君        法務省刑事局長  松尾 邦弘君        大蔵政務次官   中島 眞人君        大蔵大臣官房長  溝口善兵衛君        大蔵大臣官房総        務審議官     武藤 敏郎君        大蔵省主計局次        長        藤井 秀人君        大蔵省主税局長  尾原 榮夫君        大蔵省理財局長  中川 雅治君        大蔵省金融企画        局長       伏屋 和彦君        大蔵省国際局長  黒田 東彦君        国税庁課税部長  森田 好則君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田 成宣君    参考人        国民金融公庫副        総裁       安部  彪君        日本銀行総裁   速水  優君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○金融業者貸付業務のための社債発行等に関  する法律案(第百四十二回国会内閣提出、第百  四十五回国会衆議院送付) ○国際協力銀行法案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 勝木健司

    委員長勝木健司君) ただいまから財政・金融委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る三月三十日、山内俊夫君、佐々木知子君及び岡利定君が委員辞任され、その補欠として石川弘君、岩井國臣君及び片山虎之助君が選任されました。  また、本日、笠井亮君が委員辞任され、その補欠として吉川春子君が選任されました。     ─────────────
  3. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  金融業者貸付業務のための社債発行等に関する法律案審査のため、本日の委員会参考人として国民金融公庫総裁安部彪君及び日本銀行総裁速水優君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 金融業者貸付業務のための社債発行等に関する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 日出英輔

    日出英輔君 本法案につきまして一通り勉強させていただきましたが、なかなか奥が深いという感じがいたしております。一定規模以上のノンバンクに多様な資金調達の道を開くということで、本法案につきましては私は賛成でございますし、また外資といいますかグローバル企業との競争というものが始まっておりますので、言ってみますれば本法案制定につきましてはむしろ遅いぐらいだという評価もあるんだろうと思います。  ただ、本法案につきまして外部からいろいろ問題があるという話も一部聞くものでございますから、その部分についてだけ幾つか政府考え方をただしておきたいというふうに思うわけでございます。  第一番目に、本法案制定具体的理由につきまして先に伺っておきたいのでございますが、ノンバンク懇談会報告書も見せていただきました。この中では、「金融仲介チャンネル多様化により、経済全体の資金配分効率化に資する。」とか、五つのメリットを挙げておるわけでありますが、どうも何か非常に抽象的な感じがするわけでございます。  外部からいろいろ言われています中で、消費者向け貸金業者の点につきましては、例えば三%で借りて二五%で貸しているとか、大変多額な利潤を上げておって非常に経営も好調であるとか等々が聞こえてまいります。こういった社債発行ができなくても、消費者向け金融機関大手の方でございますが、資金調達で困っているというふうにはちょっと思えないような感じもしないではございません。  また、事業者向け貸金業者の方につきましても一部いろんな問題が出ているようでございますが、この法案の具体的な制定理由あるいは緊急性、こういったものにつきまして、まず事務当局の方から簡潔にお話を伺いたいわけでございます。また、貸し渋り対策効果があるというふうに言うのか等々、まず議論の前にこういった具体的な制定理由につきまして伺いたいと思います。
  7. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) お答えいたします。  この法律案でございますが、ディスクロージャーの充実とか投資者保護観点からの措置を講じながら、金融業者社債発行等の直接金融による資金調達を自由化するものでございます。これによりまして、先ほど先生も言われましたが、金融仲介チャネル多様化による経済全体の資金配分効率化社債コマーシャルペーパー発行に際しましての金融業者に対する市場監視機能の導入、それから間接金融ルートを中心といたします金融仲介機能が低下している現下金融情勢のもとにおきまして、企業等への資金供給ルートの拡充、多様化、また社債コマーシャルペーパー市場の厚みが増しまして、広く我が国金融市場発展に資することが期待されているところでございます。  今、先生が言われました業界ごと意義についてでございますが、この法案の適用の対象となります金融業者銀行等とは異なりまして法令等により専業義務が課されていないなど業務運営面での自由度が高くて、その形態は消費者金融会社クレジットカード会社信販会社事業金融会社抵当証券会社、リース会社等さまざまでございます。その自由さと機動力によりまして、銀行等にはないノウハウを生かしました小口の分野専門性の高い分野資金を供給しているところでございまして、国民経済において重要な役割を果たしているわけでございます。  したがいまして、それぞれの金融業者がその専門性とか独自性を発揮いたしまして国民のニーズの多様化にこたえたさまざまなサービスを提供していく上で、この法案はその資金調達手段多様化するものとして意義があるものと考えているところでございます。
  8. 日出英輔

    日出英輔君 そこで、本論に入るわけでありますが、外部からはいろいろこの法案につきましての問題点と称するものが郵便やらインターネット経由でかなりあちこちで飛び回っているように伺っておるわけでございます。その中の代表的な意見に、ノンバンクの中で特に消費者金融会社でございますが、これにつきまして、社債発行を認める前に、あるいは並行してということでしょうか、出資法とか利息制限法によります制限金利引き下げを図るべきではないかという意見がかなりあるようでございます。  私はこういった意見はこの法案制定をおくらせるものではないというふうに思いますが、何か庶民感情からいたしますとやっぱり聞くべきものがあるのではないかというふうに思うわけであります。特にこの数年の金利のかなり低い水準の中で、確かに出資法利息制限法利息水準が非常に高目であるという感じ国民にあるように思います。  そこで、金利の話につきまして法務省に若干伺いたいと思っております。  まず、出資法の五条二項の制限利息罰則つき利息でありますけれども、この四〇・〇〇四%というのは、ちょっと正確でないかもしれませんが五十八年までは七三%でしょうか、これがその後四〇・〇〇四%に下がったんではないかと思いますが、今の四〇%の積算根拠といいますか、どういう考え方でこの四〇%というのが決められているのか、ぜひともお伺いをしたいと思います。
  9. 松尾邦弘

    政府委員松尾邦弘君) ただいまお尋ねのように、金融機関あるいは貸金業者による貸し付け利率に関しましては、確かに出資法五条二項によって罰則をもって制限しているわけでございます。  先生お尋ねのこの上限をどういうふうに決めたのかということでございますが、これは民事的な関係では、利息制限法によりましてその上限といいますか、無効にならない範囲といいますか、そういったものが決まっているわけでございますが、刑事の場合は罰則をもってこれを担保することになりますので、民事的な利息制限法上限もいろいろ参照しつつ、また恐らく金融行政密接にかかわり、あるいは金融行政一環と言えるような問題にかかわることでございますので、そういったさまざまな考慮の上で、利息制限法上限なども参照しながら、ほぼその半分にするといいますか、あるいはその倍にするといいますか、どちらかの見方によって異なると思いますが、そういったところで上限が定められているのではないのかなというふうに考えております。
  10. 日出英輔

    日出英輔君 若干私も経緯を調べようと思ったんですが、ちょっと私の手に負えませんでしたので今お話を伺っているわけであります。  それ以前の七三%から四〇%とかなり大幅に落ちているんじゃないかと思いますが、この四〇・〇〇四%の水準は、今お話しになりました利息制限法利息との関係で、いわゆるダークゾーンと言われているんでしょうか、こういった世界で大変いろんな問題を生じているというような議論指摘されております。  この出資法五条二項の制限利息につきまして、引き下げる考えというのはないんでしょうか。
  11. 松尾邦弘

    政府委員松尾邦弘君) 確かにこの制限利率をめぐりましてさまざまな議論があることは承知しております。  現時点においてこれをさらに引き下げるべきか否かということにつきましては、先ほど申し上げましたが、金融行政密接にかかわる事項でございますし、あるいは広い意味金融行政一環と言えるような問題かと思います。この法律を共管しているのは金融行政を所管している大蔵省でございますので、大蔵省と相談しながら、金融機関あるいは貸金業者による貸し付け実態等もいろいろ踏まえつつ、その必要性合理性等の慎重な検討を要する事項であるというふうに考えております。
  12. 日出英輔

    日出英輔君 意見だけ申し上げておきますけれども、国民感情といいますか庶民感情からしますと、四〇%の利息というのはやっぱり高過ぎるという感じがどうしてもあるんじゃないかというふうに思います。この社債法案と一応理屈としては切り離れておりますが、ぜひとも金融全体の議論として御検討いただきたいというふうに思うわけでございます。  それから、利息制限法の話がもう一つ出てまいりましたが、例えば今の出資法との関係であります。これについては、罰則をつけるというのは考え方としては全くないものでございましょうか。その点だけを伺いたいのですが。
  13. 細川清

    政府委員細川清君) 民事の有効、無効の関係を定めております利息制限法というものは、無効になった場合は後で返還を求められるということでございます。ただ、それに対して罰則を設けるということは非常に効果が強うございますので、やはり民事の場合と刑事の場合とでは要件が異なるというのが一般的な感覚ではないだろうかと思っております。
  14. 日出英輔

    日出英輔君 そこで少し話を進めますと、消費者金融会社貸出金利引き下げの話でございますが、大手五社の貸出金利平均が、衆議院の方の議論を見ておりますと、二六、七%という水準であるというふうなことがあります。  これはいずれの年度も利息制限法制限利息を超えているように思うわけでありますが、どうしてこんな高い利息になるのか、こういった貸出金利引き下げについて行政当局としては今どういう指導をしているのかということにつきましてぜひとも伺いたいと思います。
  15. 乾文男

    政府委員乾文男君) お答えいたします。  ただいま先生指摘になりましたように、消費者向けの無担保貸金業者大手五社を見ますと、平成十年三月末におきまして平均貸出金利が二六・三六%となっているわけでございますけれども、それと利息制限法との関係についてのお尋ねでございます。  これはもう御案内のように、利息制限法上限金利百万円以上でございますと一五%でございますが、これを超えた場合には無効とすると規定しているわけでございます。他方、貸金業規制法の四十三条におきまして、債務者利息制限法上限金利を上回る利息を任意に支払った場合におきましては、次の要件契約締結時及び弁済受領時に必要な書面の交付が行われているときは利息制限法規定にかかわらず有効な利息弁済とみなすこととされているわけでございまして、貸金業者が今申しました貸金業法規定にのっとってやっております限りは、そして債務者が任意に支払った場合には有効な利息弁済とするということで、法的には両方の法律の調和が図られていると承知しております。  それで、今お尋ねの、それにしてもこの水準は高いではないかということでございますけれども、この貸出金利の問題につきましては、金融監督庁といたしましても、資金借り手方々の利益の保護を図る観点から、私どもの事務ガイドラインにおきまして、「出資法に定められた上限利率にかかわらず、自らの経営努力により、可能な限り引き下げ、もって資金需要者の負担の軽減を図るよう努めること。」というふうに規定しておりまして、そうした考え方に立ちまして、業界に対しましていろいろな機会をとらえて引き下げの要請を行うなど努力しているところでございます。
  16. 日出英輔

    日出英輔君 意見でございますけれども、この間、東洋経済四月三日号で、ある消費者金融会社の社長さんが、お客様は今の金利水準で満足しているんだとか、あるいは大手が下手に金利を安くしますと中小の業者を圧迫して倒産を引き起こす、そうしますとこれらの債権をどこかの悪い業者が買い取ってまた昔のような過酷な取り立てが始まるんだなどというのが記事として載っておりました。  私は、やはり今のような問題がかなりほうはいとして出ておりますので、この消費者金融関係貸出金利引き下げにつきましてはぜひともこの法律の施行を契機に指導を強めていただきたいと、これは意見でございます。  それからもう一つ、ちょっと気になりますのが多重債務者の問題でございます。どうも新聞等では平成十年には自己破産件数が十万件を超えたという話でございます。私の身内には幸いにしてそういう方はいませんので実体験ではないのでありますが、非常に厳しい債権者取り立てでどうしてもギブアップしてしまう、そういうことで自己破産というのが生ずるんだと。何か予備軍は百万とか百五十万とかいうことがまことしやかに言われているわけでありますが、この多重債務者問題につきましては、かつて十年ほど前に問題になりましたようなある種のうねりもまた感ぜられるわけでございます。  そこで、現下多重債務者対策につきましてどういう対策をとっておられるのか、伺いたいと思います。
  17. 乾文男

    政府委員乾文男君) 今御指摘がございましたように、個人自己破産平成十年におきまして十万三千八百三件に達しているということでございます。御指摘多重債務問題につきましては、当事者にとっての問題のみならず消費者信用の健全な発展観点からも問題があるというふうに認識しておりまして、引き続き適切な対応を行っていきたいと思っております。  まず、発生を防止いたしますためには、借り手であります利用者の側において消費者信用の節度ある合理的な利用がなされることが必要であるということでございますけれども、このためにさまざまな消費者広報でございますとか啓発活動に努めているところでございます。  次に、貸し手であります業者の側におきましても、これは貸金業規制法の第十三条に、貸し出しを行うときには借り手の方のいわば返済能力等を勘案して過剰な貸し付けを行わないようにという過剰貸し付け禁止規定が設けられているところでございまして、そうしたことを業者におきましても十分に認識し、顧客返済資力等を勘案しまして適切な顧客審査の徹底を行うように指導しているところでございます。  さらに、一つ業者からではなくてあちこちから借りる、そうしますと結果的に金額が非常に多額に上るということがございますので、多数の業者からの借り入れによる多重債務を防止する観点から、業界内に信用情報機関を設けまして、それで多額借り入れをしている方々をいわばチェックできる仕組みがございます。ただ、この問題につきましてはプライバシーの保護ということも重要でございますので、そうしたことについても十分な配慮をしながら信用情報機関を活用するよう指導しているところでございます。また、業態を超えた信用情報機関の相互の間におきましても、延滞等が起きたときの事故情報、いわゆるブラック情報と言われるものにつきましても交流が行われまして、こうしたものによりまして過剰貸し付けの防止にそれなりの成果は上がっているのだろうというふうに考えております。  今後とも、消費者信用に係る業界におけるこの問題についての真剣な取り組み、あるいは政府におきましても啓発活動等に努めていきたいというふうに考えております。
  18. 日出英輔

    日出英輔君 それからもう一つ金利の問題のほかに、この法案制定の前に消費者保護のための統一的な法制をつくるべきだという議論があるように伺っております。アメリカ等では六〇年代の最後のころから法制整備が始まり、EC等ではどんどん進んでいるという話でございますが、そういうふうに聞きますと、何か我が国の現状がおくれているような気もするわけであります。  今こういった統一的な法制をつくるための議論が進んでいるというふうに聞いておりますが、どういうところまで議論しているのか、簡潔に伺いたいと思います。
  19. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) お答えいたします。  金融システム改革によりまして多様化した金融商品サービスを一般の利用者が安心して利用できるように、金融システム改革一環といたしまして利用者保護のための所要の措置を同時に既に講じてはきております。  さらに、ただいま先生が言われました消費者信用を含む利用者保護の諸施策につきましても、一つ金融審議会におきましていわゆる金融サービス法について議論が行われていることに加えまして、信用情報保護につきましては個人信用情報保護利用の在り方に関する作業部会において検討が進められているところでございます。また、融資に係ります約款につきましては、これは全銀協において見直しに向けました検討が進められておりまして、先般、全銀協消費者との契約のあり方に関する留意事項についての基本的な考え方がまさに取りまとめられたところであると承知しております。  先ほど先生指摘消費者信用保護につきましては、欧米におきましては、米国の連邦消費者信用保護法とかイギリスの消費者信用法といった統一的な法制整備されていることは承知しております。  我が国におきましても、消費者信用保護についてのさらなる制度の整備につきましては、今申し上げましたようなこうした取り組みを踏まえた上で今後さらに検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
  20. 日出英輔

    日出英輔君 なるべく早く議論が進むことを願っております。  大蔵大臣、質問ではございませんが、この社債発行法案規制緩和の中で議論が始まったというふうに伺っているわけでございます。こういった金融会社社債発行を認めるということ自体、私は大変いいことだと思っているわけでございますが、規制緩和という議論から始まりますと、どうしても今の金利の問題でありますとか消費者保護法といったような、ある意味政府の関与を強めなきゃいけないという問題が割合議論しにくいような雰囲気の中で議論されたのではないかというふうに思うわけであります。  また、この法案は昨年の五月に国会に提出されているということでありまして、もう一年ほどたっているわけであります。トータルで見ますと、この法案制定そのものは大事だけれども、あわせてこういった国民感情というものを十分に受けとめた全体的な政策の推進というのがやっぱり必要だと思っております。  金利の問題とか消費者保護法の問題とか、こういったことにつきまして、大蔵大臣の専管ではない部分もたくさんございますが、有力な国務大臣ということで、ぜひとも他の大臣に働きかけていただいて、バランスのとれた法制が進むように御配慮をお願いしたいということだけ申し上げておきます。  時間が来ましたが、もう一言だけお尋ねをいたします。社債発行を行います金融業者について登録制をしくということになっているようでございますが、特に人的構成要件について政令で定める基準、これについて最後にちょっと伺っておきたいと思っております。  ノンバンク懇談会の中ではいろいろと議論をしてございますが、結局余り厳しい基準ではなくて、むしろディスクロージャーに重きを置いて、こちらの方が主たる基本であるというふうにも見られるわけであります。一方、住専問題やら最近の長銀問題等関係ノンバンク問題なんかもありますと、何かそれだけだと非常にきれいごとのような感じにも聞こえるわけであります。  この人的構成要件につきまして、厳格な要件を定めるというのはどうも私もいかがかという気がするんですが、どういうようなことを決めようとしておるのか、最後に伺っておきたいと思います。
  21. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) お答えいたします。  この法律案におきましては、貸付資金受け入れのために社債発行等を行う金融業者につきまして、安定的な経営基盤を確保することにより投資者保護を図るという観点から、登録制を導入することとしているところでございます。そこで、登録制一つといたしまして人的構成に関する基準というものがございます。この登録の対象となる金融業者を一定の融資業務体制を有して的確なリスク管理が期待される金融業者に限定するためにこういう基準を設けたいと考えているところでございます。  具体的な人的構成要件基準につきましては、この法案の第六条第一項第三号によりまして政令で定めることとしておりまして、まさにこの国会における御議論なども踏まえて定めてまいりたいと考えているわけでございますが、的確なリスク管理体制を確保するという観点からは一定年数以上の融資業務の経験を有する者を数名確保するというようなことを求めることが考えられるわけでございます。  具体的なことということになりますと、一つ参考になりますのは、抵当証券業につきましては融資業務に三年以上従事した者が二名以上在籍していることというような規定もございまして、これらを参考にしながら定めてまいりたいと考えておりますが、いずれにいたしましても具体的な内容につきましては国会における御議論などを踏まえてまいりたいと考えております。
  22. 日出英輔

    日出英輔君 今、抵当証券業者の例を出されましたが、金融市場に対するインパクトもかなり大きいものでございますので、慎重な取り扱いをお願いしたいと思っております。  終わります。
  23. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 民主党・新緑風会の浅尾慶一郎です。  金融業者貸付業務のための社債発行等に関する法律案に関しまして、この法律案の対象には基本的にノンバンク等も含まれるということから、若干、先般特別公的管理になりました日本長期信用銀行の現在の業務体制についてまずお伺いをさせていただきたいと思います。  まず第一点目は、新しく取締役に何人か金融再生委員会の方で選任をされたわけでございますけれども、この新しく取締役になられた方ともともとの長期信用銀行の方、あるいは日債銀の取締役と日債銀の行員の方とは、これは円滑な人間関係で業務をやっておるという理解でよろしいんでしょうか、金融再生委員会委員長にお伺いいたします。
  24. 柳沢伯夫

    国務大臣(柳沢伯夫君) 国有化になりましても、日常の金融業務は一定の条件のもとでこれを円滑に進めていかなければならない、こういう任務を負っているわけでありまして、その具体的な執行の任に当たる取締役というものがお互いに融和、協調、団結して事に当たるということは必須の条件であろう、このように考えております。  そこで、私どもは、実はこの長銀の取締役、経営陣につきましては、総理の代行機関において指名をし預金保険機構が選任をするという手続のもとでこの方々にお願いをしたという経緯がございます。その際、もちろんトップの方あるいは副頭取の方というような最高責任の方々外部から適任者と思われる方々を選ばせていただいて指名をさせていただきましたが、同時にいわば最高経営陣を形成する経営陣の中のお一人は内部から登用して、内部との意思疎通というものが十分図られるように配慮をして選任させていただきました。  そのように、先生今御指摘の点については十分な配慮の上に選任をいたしましたので、その後の推移を見ましても我々の選任の趣旨を十分踏まえて事に当たっていただいておる、このように承知をいたしております。
  25. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 新しく選任をされた取締役の使命は、恐らく金融再生法の趣旨にのっとれば長期信用銀行なり日債銀の再生を図るということでございますから、通常の考え方でいえばむだなコストは削減していくといったようなことも含めてやっていかなければいけないんではないかなと。そうなってくると、ある面では当然行員の方と対立する部分も出てくるんではないかなというふうに考えますけれども、具体的に対立するような部分というのは余り聞こえてこないで、どちらかというと大臣が今言われたように円満な関係という点に重点が置かれているような気がいたしますが、その点について何かあれば。
  26. 柳沢伯夫

    国務大臣(柳沢伯夫君) 先生がどういう局面を念頭に置かれて御質疑をなさっているか、若干私の頭で整理し切れていない面もございますけれども。  経営に当たって経費の削減を心がけていくということは当然のことでありまして、その大きな枠組みにつきましては、実は経営合理化計画というものの中で、これは法律で定められた一定の手続によりまして再生委員会の承認を経て発効するというものでございますけれども、この計画にのっとった経費の節減努力というものが行われるということになっております。  したがいまして、個々の業務処理につきましてはその計画の定めたルールにのっとって行われておるということでございまして、個々の経費の支出について、使用人と経営陣の間で緊張関係があるということが非常に望ましいということではなくて、計画にのっとった適切な節減努力のもとでの支出が行われておればそれでよろしいのではないか、私としてはこのように考えるわけであります。
  27. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それでは、具体的に少し質問させていただきます。  最近の預金の調達コストに関して、通常の大手銀行と比べると大体一%ぐらい金利が高くなっているということも聞いておるんですが、それでいいかどうか、その点についてお答えいただきたいと思います。
  28. 森昭治

    政府委員(森昭治君) お答え申し上げます。  長銀が特別公的管理に入った際に、ただいま大臣が申し上げました経営合理化計画を当委員会で承認しますと同時に、業務運営基準なるものを策定いたしました。そして、ただいま先生指摘の調達の際のコストというものをどの程度の範囲にすべきかということも業務運営基準の中にきちんと定めております。  ただ、現在、長銀自身が新経営陣のもとで活動して商取引を行っている銀行でございますので、具体的な許容の調達コストの数字については発言を控えさせていただきます。
  29. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 数字をお答えいただけないというのはちょっと納得できないんですが。  一般の金融機関よりも一%高い。大変な低金利の中で一%高く払えば預金は集まるということですから、当然バランスシートの負債サイドが膨らんでいく。そうすると、資産サイドも膨らませていかなければいけないということになりますし、何よりも経費の節減ということを考えた場合に、今は国の信用でもっている銀行が一%高い金利を払う必要が本当にあるのか。あるいはまた、そういうことをして預金を余計に集めなければいけない理由というのはどこにあるのか。先ほどの経費節減ということも考えた場合には余り合理性がないんではないかなと思いますので、再度答弁を求めます。
  30. 森昭治

    政府委員(森昭治君) 先生指摘のとおり、調達コストは幾らでも高くていいというものではもちろんございません。したがいまして、この業務運営基準の中で合理的と認められる範囲内、いわば許容範囲というものを定めておるわけでございまして、調達コストが野方図に上昇していくということがないようにしてございます。  ただ、具体的な数字につきましては、商取引に影響が出ますものですから、この際、発言を控えさせていただきたいと思います。
  31. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 そんな商取引に影響が出るはずがないわけで、それは預けに行けばすぐわかる話なんです。  再度お答え願います。
  32. 森昭治

    政府委員(森昭治君) 私の申し上げておりますのは、現在の数字がどれくらいかということではなくて、どこまでいわばプレミアムといいますかそういうものがつけ得るか、またつけなければ調達できないかという問題については上限を定めておりますということをお答え申し上げているわけでございます。
  33. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 では、現在の数字を明らかにしていただきたいんですが。
  34. 森昭治

    政府委員(森昭治君) 現時点において、例えば本日の割引金融債が他行に比してどうかという具体的な数字は今持ち合わせておりません。ただ、一年物で大体一%程度というふうに聞いております。
  35. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 一年物で一%ということは、一年物の定期預金はちなみに今幾らぐらいですか、都銀の平均
  36. 森昭治

    政府委員(森昭治君) 先生御承知のとおり、今は自由金利でございますので、いろいろな金融機関によって違うと思います。確たる数字は、調べさせていただきますので少しお時間をいただきたいと思います。
  37. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 では、私の方で申し上げます。大体〇・一五ぐらいだと思いますけれども、その段階で一%払うというのは大変高いと思います。一年ということであれば当然その預金もすべて保護される。そういう中で一%払って集めているというのは、これはモラルハザードにつながるんじゃないかなと思いますが、その点、金融再生委員会委員長、いかがですか。
  38. 柳沢伯夫

    国務大臣(柳沢伯夫君) 国有化あるいは特別公的管理のもとに置かれた銀行の資金の調達をどうするか、あるいは今度金融整理管財人のもとに置かれた国民銀行のようなものの資金調達をどうするかという問題は非常に大きな問題であります。もちろん、当座、緊急のつなぎとしては日本銀行の特別融資をいただくということがございますけれども、基本的には今度のスキームというのは業務を継続していくということを旨としておりますので、私どもとしては、日本銀行の特融というようなものにできるだけ依存しない形で自力での調達を図らせるというようなことを原則的な考え方にしてございます。  そういうようなことの中で、それぞれの銀行が、例えばただいま先生指摘の長銀におきましても市場金利での調達ということを業務運営基準の中でもうたっておりまして、そういう中で自力調達を心がける。その場合に、市場におきまして若干高目資金調達になるということについても、あえてこれを認めていこうということでこの制度の運用に当たるべきではないか、このような考え方のもとで今運用をさせていただいておるという次第であります。
  39. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 あえて高い金利を払って多くのお金を集めているというふうに聞こえましたけれども、もしそうだとすれば、それに関連して少し質問をさせていただきたいんですが、最近、長銀並びに日債銀で特別公的管理になってからサービサーという子会社をつくっておられますか。
  40. 森昭治

    政府委員(森昭治君) お答え申し上げます。  私が聞いておりますのは、幾つかの子会社をいわば一つに集約してそういうサービサーの会社をつくったということは聞いております。
  41. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 御案内のとおり、サービサーは不動産つきの不良債権を底値で買って高く売るという会社だと思いますが、そのバックファイナンスというか資金は今おっしゃっておられた一%の高目金利で集めた資金を使っているというふうに理解ができると思います。  そうだとすると、今の不動産市況が底値だというふうに理解して、そこで底値で買って高くなっているのであればそれは成功なんですが、仮に底値で買ったとしてさらに下がった場合は、それは底値とは言わないんでしょうけれども、さらに下がった場合は損をしてしまう。ですから、簡単な言葉で言えば、資金調達をたやすくさせて、ばくちを打たせているのかなと。それは本当に特別公的管理に入った銀行がやることとして認めていいものなのかどうか。  翻って考えてみますと、そういうことで成功すればもちろん債務超過の部分はなくなるからいいんでしょうけれども、失敗した場合にはさらに税金で負担する部分がふえるのではないかと思います。金融再生委員会としては、特別公的管理に入るまではしっかり管理するけれども入った後の管理が少し甘いのではないかなというふうに思いますが、その点はいかがでしょうか。
  42. 森昭治

    政府委員(森昭治君) お答え申し上げます。  私が聞いておる範囲では、サービサーといいましてもいろいろあるかと思うんですけれども、長銀の子会社であるサービサーにつきましては、自分がポジションをとって債権を買って回収するということよりも、むしろ回収事業そのものに当たっているというふうに聞いておりまして、長銀から融資を受けて債権を買い取っているというような話は聞いておりません。
  43. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それは日債銀の子会社についても同じですか、日債銀についてはそうでない話も聞いていますが。
  44. 森昭治

    政府委員(森昭治君) 日債銀についても、そうでないという話は私は聞いておりません。確認をいたします。
  45. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 多少買っているという情報は聞いておるんですが、それは確認をしていただいてぜひ教えていただきたいと思います。  大変重要な問題ですし、税金も絡む問題でございますので、当委員会に月次で長銀のバランスシート及びPLを出していただきたいということですけれども。
  46. 森昭治

    政府委員(森昭治君) ただいま先生の御要望されたものにつきましては、果たして出せるものなのかどうか検討させていただきたいと思います。
  47. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 特別公的管理になる前の長銀は、上場企業として多分、月次ないしは四半期ごとに報告をしていた。今度は特別公的管理になったわけですから、なおさら税金の絡む問題ですので、出して問題があることは全くあり得ないと思うんですが。
  48. 森昭治

    政府委員(森昭治君) 再度申し上げますが、ぜひ検討の時間をいただきたいと思います。
  49. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 検討するほどのこともないと思うんですが、それではなぜ出していただかなければいけないのかということで、もう少しいろいろな具体例を申し上げさせていただきます。  ちなみに、特別公的管理になってからの人件費の推移というのはお手元に資料はございますでしょうか。なければ、今探している間に、もう少しそれに加えてお話をさせていただきます。  具体的なお話で、転職をされた方のお話でありますけれども、長銀から三和銀行に転職された方がいらして、それは個別の例なのですべてがそうなっているかどうかわかりませんが、給料が下がったというふうに言っておられたと。ということは、都銀の中で大変経営状態がいいと言われている銀行よりも今の給料が高いということになるんじゃないかなと思いますので、ぜひ人件費の推移についてもあわせて出していただければと思います。
  50. 森昭治

    政府委員(森昭治君) お答え申し上げます。  先ほど申し上げました経営健全化計画のもとで、経費は業務遂行上必要不可欠のものに限定するということで経費総額の圧縮に努めてまいっております。  具体的には、経営健全化計画におきまして、ピーク時に比して従業員は四割削減、すなわち最終的には二千五百人体制へ持っていく。人件費につきましても、ピーク時の平成七年度に比しまして五割削減するということで、約四百六十億円下げるということでやっております。また、営業経費につきましても四割削減ということで、ピーク時の千八十億円程度からことしの十一年三月末におきましては七百七十億円程度に下げるというふうに鋭意努力しているところでございます。
  51. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今のお話で千八十億円から七百七十億円まで下げられるということですが、人員についてはその間どれぐらい減っておられるんですか。やはり四割ぐらい減っておられるんですか。
  52. 森昭治

    政府委員(森昭治君) 平成五年四月にはピーク時ということで四千六十人でございました。それが平成十一年三月期、つまりこの三月末で二千七百九十人程度まで下がっております。これをさらに今年度下期には二千五百人まで減らす、こういうことでございます。
  53. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 そういたしますと、固定費の部分もあるので一概には比較できないかもしれませんが、人員が大体八分の五になって経費の方は四分の三ということですから、一人当たりの営業経費は逆にふえているというようなことがあるんじゃないかなというふうに思いますが、その計算で正しいかどうかということです。  それを補足する意味で、余り細かい話をしてもあれなんですが、例えば海外に勤務されている方の住まい等の具体例で幾つか聞いていますのは、ある米系のコンサルティング会社の、パートナーというとなかなか立場の高い人ですけれども、パートナーと同じアパート、まあマンションの隣に住んでいると。そうすると、大体月額で四千ドルぐらいの家賃のところに住んでおられるというようなことが今も続いているということなんです。  私は何が指摘したいかというと、経費というのは、固定費の部分もあるんでしょうけれども、人員が減っていると一人当たりで使える額が逆にふえるんじゃないかなと。今申し上げましたように、人員が八分の五に減って、片方で経費が四分の三ということはふえているんではないかなと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  54. 森昭治

    政府委員(森昭治君) 人員の方につきましては、総合職がやめていくのか業務職がやめていくのかあるいは一般職がやめていくのか、各層のやめる割合によって総人件費の低減ぐあいというのは違ってくるものだと理解しております。  また、先生が御指摘になった海外の例でございますが、海外拠点数はピーク時で四十四店舗あったわけでございますけれども、これを九年度末に四十一まで減らしまして、去る三月、すなわち十一年三月末で二十三まで減らしたところでございます。これも今後海外から全面撤退という方向で努力していると聞いております。
  55. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 その海外に関してなんですが、行員を新たに留学させる計画というのはあるんでしょうか。
  56. 森昭治

    政府委員(森昭治君) お答え申し上げます。  恐れ入りますが、そういう計画があるとは聞いておりません。
  57. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私はあったんだけれどもつい最近やめたというふうに聞いています。  それで、いろいろお話をさせていただいているんですが、新しく取締役になられた方々も非常に努力はされていると思いますが、なかなかかじが急には切れないのかなという印象を受けております。  先般も質問させていただいた件でございますけれども、そういう中で税金を使ってゴールドマン・サックスというアドバイザーを雇われているということでございまして、そのゴールドマン・サックスに対してもかなりの金額の報酬を払われる。報酬を払ってもそれが最終的に国民の負担が減る方向で払っているということであればいいんでしょうけれども、そうではなくて、国民負担を減らさないにもかかわらず契約金が払われてしまうということであれば、金額も億か何十億かちょっとわかりませんが、大変な金額だというふうに聞いていますので、ぜひ再度ゴールドマン・サックスとのアドバイザリー契約の中身を当委員会に出していただきますように資料要求をさせていただきたいと思います。
  58. 柳沢伯夫

    国務大臣(柳沢伯夫君) ただいま浅尾先生から、いろいろ具体的な事実に基づいて、長銀の経費の支出ぶりについてやや問題がありはしないか、特に人の処遇について問題がありはしないかという御指摘をいただきました。  私がこの特別公的管理下に置いた長銀について基本的にどういう考え方を持って臨んだかということをちょっとお話しさせていただきたいわけでありますが、私は、長期信用銀行というのは非常に優秀な人材を擁していた銀行である、そしてこの優秀な人材を抱えていることが恐らくいい譲渡先を見つけられる理由になるであろうというふうに考えまして、民間の銀行という立場から国有銀行という立場に変わるときに余りに人材の流出を招くような措置についてはやはり考えるべき要素がある、このように実は考えさせていただきました。そこのところは非常にバランスが難しいわけでありますが、その辺のことを安斎頭取以下に判断いただいて、その結論を尊重させていただいたというのが実態でございます。  具体的に、ある人がやめてほかの銀行へ行ったら給料が低くなったとか、あるいは海外にいる人がアパートを引っ越さないとかというようなことは、御指摘がありましたので安斎頭取にもそういう先生の御指摘をお伝えして、そういったところにも目を配るようにということは申し上げますけれども、今の私の受けた印象を言いますと、安斎頭取以下の経営陣も一つ一つの個々の点にまではまだなかなか注意というか目が届いていないために起こっている事象も多いだろう、このように思います。できるだけ細かく目を配るように経営陣に対して特に注意をしてまいりたいというふうに思います。  加えて、ゴールドマン・サックスとのフィナンシャルアドバイザリー契約の問題でございますが、これは別に隠し立てをするということは全く考えておらないわけであります。我々は次にすぐ日債銀のFA契約を控えておりますし、またあと二年あるということは想定したくないわけでございますけれども、さらに場合によってそんなことをしなければならない事態も発生するかと思うわけでございます。そういうことを考えるときに、このFA契約がいわば一つの指標になって、本来もうちょっと安くできるところを安くできなくなってしまうというようなことも防ぎたい、このように思います。  このFA契約自体の妥当性については、これは競争入札でやりましたので、この長銀のFA契約自体について何か市場価格と離れたような価格での契約が行われたかといえば、それは今言ったことでそうでないということが担保されておる、このように申し上げたいと思います。
  59. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 まず、前段の件でございますけれども、私も長期信用銀行の方は大変優秀な方が多いということはそのとおりだと思います。ただ、例え話で言えば、同じように例えば商社でも人材が集まっている商社というのは幾らでもあるわけで、では商社が経営危機になったら人材が流出しないように国がいろいろな補てんをするのかというと、そうではないんじゃないかなと。そうすると、長銀の場合だけ、銀行である、あるいは特別公的管理になったからということでその人材が流出しないようにして価値を高めておくというのは少しどうなのかなという気がいたします。  さらに言わせていただければ、仮に長銀に本当に優秀な人がいて、委員長は長銀を売却するということを当然考えておられるわけですから、恐らくその価値を高めるためにその人たちを残しておこうということなんだと思いますけれども、いろんな面で本当に優秀な方はいらっしゃると思うんですが、そのまま売られた場合に果たして本当に残っているのかなという点もやや疑問ではあると思います。  後段のアドバイザリー契約部分については、重ねて申し上げさせていただきますが、その中身を見せるとこれからの日債銀のアドバイザーが選べないというのはよくわからなくて、むしろよりよいアドバイザーが選べるのじゃないかなというふうに思います。  具体的に申し上げますと、多分アドバイザリー契約を結ばれるときに、売却先の候補というのももう入札された方は出されていたと思いますが、その売却先の候補というのは想像の産物で幾らでも出そうと思えば出せるわけで、こういうところが買いそうですよということを書いておくことも可能なのじゃないかなというふうに思いまして、本当に想像の産物で何億円も払う、あるいは何十億円も払うと。結局、売れなかったのは、極端な話を言えば、財政・金融委員会でだれかが指摘してうまく進まなかったとか、そういう幾らでも理屈がつけられるようになっている契約だとすれば、そこは問題なのではないかなというふうに思います。  加えて、先般、実はFA契約の中身を見せていただきたいということで、別途、金融再生委員会の方から御説明に来ていただいたときには、言葉として申し上げますと、我々金融再生委員会が新たに選任をした取締役というものはもともとの長銀の経営陣とは違うんだからそういう人たちを信じてくださいというような御説明だったんです。信じてくださいということで本当に信じたいんですけれども、今るる申し上げたようなことが現実にあるということであれば、これはその人たちに本当にフリーハンドで任せておいていいものかなというふうに思います。  加えて、先般も申し上げましたけれども、そもそも金融再生委員会が本来は売却先を探すという行為をするべきなんではないかなと。ですから、アドバイザーを雇うのであれば、先般は予算がなかったから金融再生委員会ではアドバイザーを雇えなかったということなんですが、国民にかわってその売却先を探すという観点に立てば、長銀の経営陣にアドバイザーを雇わせるということよりも金融再生委員会で雇っていただいた方がいいのではないか。それに対しては予算がないからというお答えだったんですが、予算がないのはしようがないとして、だとすれば、実質上は金融再生委員会が雇っているというふうに考えれば、税金ということもありますから、ぜひアドバイザリー契約を提出していただきたいという資料要求を再度させていただきます。
  60. 柳沢伯夫

    国務大臣(柳沢伯夫君) まず第一に、私が御答弁申し上げました企業価値をできるだけ維持して、これを望ましい譲渡先に売るということのために苦心をするところが必要だと自分は考えるという話に対して商社の例を先生はお出しになりましたけれども、やはりこの場合は私どもはそれを維持しておればいいということではなくて、できるだけいい譲渡先にできればいい値段でもって譲渡をするということが必要になっているわけでありまして、そのためには企業価値の維持ということにかなりの配慮をしていくことが必要である、この点は御理解を願いたい、このように考えるところであります。  それから、フィナンシャルアドバイザリー契約につきましては、ただいま先生お話になりましたように、最初は何かそういったことについての技術的なアドバイスみたいなもの、あるいは情報の提供みたいなもののみのアドバイスサービスを受けるというようなことも検討いたしたわけでありますが、それよりもやはりしっかりと譲渡先を見つける、マージャーの先を見つけるというかアクウィジションの先を見つけるというか、そういったサービスまで含んだところのFA契約にすべきだというふうに考えました。したがいまして、その契約に当たっては、その譲渡先を見つけ得る能力と申しますか、そういったものを見通し得る程度がより高いところにお願いをしたということであろうと思います。  しかしながら、その契約の内容についてここで開示しろということについては、先生に御理解いただきたいわけでありますけれども、今後そういうことがないということであれば幾らでもそういうことが可能になると思いますし、また公的管理が終わった後、この法律が失効して、こういったことの制度がなくなった後についてはすべてのことを明らかにするわけでございまして、そのときにまた御批判を賜りたいと私は思いますけれども、今この途上においてそういったことをすべて開示することが今後の制度の運用上本当に適切かどうかということについては、私は責任を持たせていただいておる立場からやや疑問に思いまして、何とか先生の御理解を得たい、このように思います。
  61. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 契約は単純に言えば報酬と対価、サービスの提供ということなんだと思いますが、サービスの提供というのは善管注意義務をもって売却先を探しますよということなんだと思います。  問題なのは、売却先が見つからない場合でも当然幾らかお支払いになられるわけでしょうし、その金額の多寡の問題が一つあるのと、それからもっと言えば、それが結果として税金で賄われるということが一番問題なのではないかなというふうに思います。  翻って、ではその契約を見せたとして一体売却交渉にどういう影響があるのか。ポテンシャルバイヤーの名前を出すとその人たちが困るということはあるかもしれませんけれども、そこの部分はもし問題があれば隠していただいても結構ですが、ポテンシャルバイヤー以外の部分については全く実害はないというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  62. 森昭治

    政府委員(森昭治君) 先生の御指摘契約書の公表についてでございますけれども、これにつきましては、契約の一方の当事者でありますゴールドマン・サックス社が契約内容の公開は今後の営業に支障を来しかねないということから公表に同意できないとしています以上、当方がその契約書の内容を開示することは守秘義務の観点から困難であると言わざるを得ない点を御理解いただきたいと思います。
  63. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 ゴールドマン・サックス社は契約を開示されるといろいろ困ることがあるから、それを称して今後の営業に支障が出るということなんでしょうけれども、先般の御答弁では、今後の例えば日債銀のフィナンシャルアドバイザーにはゴールドマン・サックスは入れないというふうに御答弁いただいたと思いますから、彼らがフィナンシャルアドバイザーとして関与することはないんじゃないかなというふうに思います。したがって、それは理由にはならないんじゃないかというふうに思いますが。
  64. 森昭治

    政府委員(森昭治君) なぜゴールドマン・サックス社が公開は困ると言っているかについては、私も想像の範囲を出ないのでございますけれども、ゴールドマン・サックス社は今世界のMアンドA部門である意味で最も強力な銀行とされているところかと思いますが、そういう銀行が世界のいろいろなところとMアンドA契約を結んでいるわけでありまして、その中のたった一つでも出てしまうということは、ゴールドマン・サックスの商取引からすればどうしてもそれは回避したい、そう考えているのではないかと思います。
  65. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 ゴールドマン・サックスの立場というのはそういうことなのかもしれませんけれども、税金を使って、そしてそれが果たして本当に妥当かどうかということを検証しないといけないという観点からいうと、それはちょっと納得ができないということなので、再度資料要求をさせていただきます。その理由というのは、もうきょうさんざん述べましたのでこれ以上申し上げませんけれども、ぜひその資料を出していただきますように再度要求させていただきます。
  66. 勝木健司

    委員長勝木健司君) ただいまの浅尾君の資料要求の件につきましては、理事会で引き続き協議いたします。
  67. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それでは、本日の法律案について質問をさせていただきたいと思います。  まず、多重債務者問題についてでございますけれども、取り立てが厳しいんじゃないかとか、いろいろあると思います。あるいは、利ざやが少し厚過ぎるんじゃないかと先ほど日出委員からもお話がありました。  取り立てについては、大手のいわゆるサラ金と言われている業者、それからリース会社、信販会社、いろいろあると思いますが、金融監督庁で把握されている範囲で結構ですけれども、それぞれの業態ごとにどれだけ厳しいかということを、厳しいのか厳しくないのかということについてちょっとお話をいただければと思います。
  68. 乾文男

    政府委員乾文男君) 取り立てについての問題でございますけれども、まず貸金業規制法におきましては、貸金業者債権取り立てに当たりまして、人を威迫し、またはその私生活もしくは業務の平穏を害するような言動によりまして債務者を困惑させてはならないとされておりまして、この規定に違反いたしましたときには業務の停止を命ずることができることとされておるわけでございます。  また、貸金業者貸金業規制法規定に違反しまして、あるいは刑法等の罪を犯しまして罰せられた場合等におきましては、当該貸金業者の登録を取り消すこととされているわけでございます。  平成十年度におきまして五十一の貸金業者に対しまして登録の取り消し処分を行っておりますけれども、このうち取り立て行為違反によるものは四件となっておりまして、御指摘がありましたように貸金業者の中に違法な取り立てを行っているものがあることは事実でございます。  最近数カ年間の違法な取り立て行為でそういうふうな罰則ないし処分を受けましたものの例を見ますと、語気鋭く債務者を威迫したとか、債務者宅に不法侵入したとか、債務者宅に金を返せとの張り紙をしたとか、そういうふうな事例があるわけでございますけれども、そうしたことにつきまして、金融監督庁といたしましては、大手、中小を問わず、警察当局と連絡をしながらそうした暴力取り立て等の悪質な取り立ての排除に取り組んでいるところでございます。
  69. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 先ほど日出委員からもお話がありましたけれども、消費者金融会社金利利息制限法上限よりもはるかに高い状況にあるということでございます。  先ほどの御答弁で、任意に支払いをした場合にはそれでも構わない、ただし書面で一四%までですよというようなことを提示されるということでございますが、今テレビのコマーシャルとかで盛んにいろんな会社が、ひとりででき太とかなんとかという、具体名は余り出さない方がいいのかもしれないですけれども、要するにATM方式でお金が借りられるというような宣伝をされております。  たばこの場合は健康のため吸い過ぎに注意したらどうかというのがあるんですが、この際、利息制限法上限金利以上は払う必要がありませんよというようなテロップでも流されたらいかがでしょうか。その御指導をされたらどうかということなんですけれども、その点についてはいかがですか。
  70. 乾文男

    政府委員乾文男君) まず最初に、自動契約受付機の問題につきまして言及がございましたけれども、自動契約受付機の問題については、それが過剰な借り入れを招いているのではないかという御批判があることから、私どもも、自動契約受付機が借り手の方に借りやすいとか、あるいはそういうことで過剰貸し付けを招かないように、自動契約受付機の広告に当たりましては、かつてありました簡単とか楽々とかそういう言葉を用いないこと、それから自動契約受付機も店頭と同様の審査を行っておりますということを明示するように、そういう御議論を伝えた結果、業界の方も今申しましたような自主規制を行っているところでございます。  それから、今の利息制限法とのかかわりにつきましては、これは先ほど申しましたように、利息制限法で一定の率を超えればそれは無効であるとされておる、それから貸金業規制法におきましては一定の要件のもとにそれが任意に払われた場合には有効な利息弁済とみなすとされているわけでございますけれども、この両者のかかわりというのは非常に難しい問題があるわけでございます。  釈迦に説法でございますけれども、司法体系、すなわち民法、商法、そしてこの利息制限法というものがあるわけでございまして、一定のものを超えたら無効だとしているわけでありますが、そうした中でいろいろな事案が、裁判になるような事案もたくさんあったわけでございます。  そういう中で、昭和五十八年に議員立法でこの貸金業規制法がそうした司法体系の特例法として成立したわけでございまして、今申しましたように、一定の要件のもとであえて有効な利息弁済とみなすことによりまして、契約上必要な書面の交付をしないような、言葉はあれですけれども、やみ的な金融というものをむしろ表に出してきちっとやっていくという当時の立法の御趣旨があったのかと思いますが、そうした観点から制定されましたこの両方の法律の調和という観点から、今の御指摘の問題につきましては、なかなか難しい問題と申しますか、慎重に検討を要する問題があるのかなということでございます。  したがいまして、現行の貸金業規制法の中では、店頭に貸付契約の内容を表示しなさいというふうに書いてあるわけでございますけれども、その内容というのは、貸付契約の内容でございますから、金利でございますとかそういうものを表示することになっているわけでありますけれども、今の法体系の中では、先ほど申しましたような考え方から、御指摘のような点について表示させることは貸金業規制法は想定していないのではないかというふうに考えているところでございます。
  71. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 最後部分で、要するにそういうことは行政指導としてはなかなか難しいということだと思いますけれども、再度お尋ねをさせていただきます。  利息制限法出資法上の貸出制限金利との間にずれがあると。片っ方は罰則規定があって、片っ方は任意の場合は構わないということなんですが、その周知徹底というのはなかなか難しいと思いますけれども、あれだけテレビコマーシャルということがあって、これは規制緩和の中ではいいのかなという部分もあるのでしょうけれども、一方で、今御指摘がありましたように、簡単とか便利とかそういうことではいけないけれども、ひとりででき太とか、むじんくんとか、いろいろあるわけでございまして、ほぼ類推ができることなのかなというふうに思います。  そういったようなものを盛んにテレビコマーシャルその他で宣伝されるということを考えた場合に、なかなか今の法律上は想定していないということなのかもしれませんが、一方でたばこの場合はそういったことが箱にも書いてありますし、テレビコマーシャルにも、小さくか大きくか議論が分かれるところでしょうけれども、出るわけでございますから、そういったようなことを御検討されてはいかがでしょうかということを申し上げさせていただいて、もし大臣の方で所見があればお伺いをさせていただきたいと思います。
  72. 乾文男

    政府委員乾文男君) 私ども、法律に基づきましてそれを執行する立場から申しますと、法律に書いていないことあるいは私どもに権限のないことにつきまして業界指導することはできないというのは、この問題に限らず金融監督庁発足のときからの一つのプリンシプルでございます。  先ほどの自動契約機の場合には、世の中の社会的な強い御批判の中で、業界の自主規制としてそういう簡単、楽々というふうなものは用いないとかということになっているわけでございまして、そのような自主規制として行われるのであれば格別でございますけれども、私どもの方からこの問題について行政指導をするというのは、現行の法体系の中ではやや難しいのかなというふうに考えておるところでございます。
  73. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 重ねて、将来の政策としてそういったようなことも含めて検討される可能性があるかどうか、大蔵大臣にお伺いさせていただきたいと思います。
  74. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど日出委員の御質問があり、今また浅尾委員お尋ねをずっと伺っておりまして、昭和五十八年に貸金業規制法制定いたしますときに、本院でもいろいろ御議論がありました。また、私どもの党内でも大変長い経緯を経ましてここに至りましたことを私はよく記憶いたしております。  そのときになされました議論が大体きょうまでそのとおりやっぱりいろんな問題として起こっております。先ほど政府委員が言われましたように、この貸金業規制法というものを思い切って制定することによって、ある程度好ましくない現実でもしかしそれを認めていって、その上に規制をしようという決断があったわけでございます。つまり、高い利子を取っているではないかといえば、それは払う人がいるから取れるという単純な事実がありますし、何しろ人類の中で一番古い商売の一つでございますので、この問題にはどうしてもそこのところがうまくいかない部分があります。  したがって、この四〇%という金利は確かに高いわけですから、だんだん下げていかなきゃいけないという問題が片一方にあるとともに、他方でそういうものが現実に存在しているということであるならば、できるだけそれについてのディスクロージャーであるとかというようなことをやって、消費者にそれをわかってもらいたい。しかし、これをけしからぬといって根絶するということは政策の方向ではなくて、金をどうしても借りなければならないという人を保護しながら、しかしそういう機関はなるべく自由に活動させたい、こういうようなジレンマを持っている問題だと私は思います。  浅尾委員のおっしゃることはよくわかりますが、時間とともにこれはやはりそういう気持ちの中から規制をしていくということではなかろうかと思います。
  75. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今の点と関連いたしまして、消費者金融機関金利が高い、それで非常に高収益を上げているという現状を考えた場合に、なぜそれが可能かというと、恐らく消費者信用情報といったようなものを、先ほど延滞の場合は共有というお話がありましたけれども、基本的にはその業態ごとに持っておられるということだと思います。これを延滞でない場合も共有できるようにしていくことによって、非常に収益機会が高いわけですから、外部から新しく参入する機会を設けられてはいかがかなというふうに思います。  具体的に申し上げますと、例えばATMなどというものは各金融機関が持っておるわけでございまして、キャッシュカードも皆さん持っておられるわけですから、これに簡単な融資機能も付加すれば参入できるのでしょうけれども、参入できない大きなポイントというのは、多分消費者信用情報というのがなかなかわかりづらい部分にあるのではないかなと。延滞という形では今交流が行われているという御答弁でございましたけれども、だとすれば延滞前から共有されるように御指導する可能性があるのかどうか、その点だけ伺わせていただきたいと思います。
  76. 乾文男

    政府委員乾文男君) まず、事実関係を先に申し上げますと、貸金業の新規の登録件数を見ますと、近年におきましては毎年度四千業者が参入しておりまして、一方では消えていく方も相当ありますので総数はそんなに変わらないんですけれども、数字としては新規参入が活発ではないという認識は持っておらないわけでございます。  それで、お尋ねの延滞のいわゆるブラック情報でない情報、ホワイト情報とかポジティブ情報とか申しますけれども、それについての信用情報機関間の共有ないし交流についての検討状況はどうかということでございますが、この問題につきましては、例えばある銀行からお金を借りているということが業態を越えております消費者ローン会社でわかる、あるいは消費者ローン会社で借りているということが銀行でわかる、延滞をしておりませんで順調に返済していても、いろいろなところで自分の借り入れ状況、残高等がわかってしまうというプライバシーの大きな問題があるわけでございます。  そうした観点から、このホワイト情報の交流につきましては、個人信用情報保護利用のあり方という観点から、現在、大蔵省金融審議会の中に作業部会を設けまして、金融審議会、それから通産省の産業構造審議会、割賦販売審議会の合同作業部会を設けまして、そこで幅広い観点から検討が進められているところでございます。金融監督庁といたしましても、そこでの議論に積極的に参加をして適切に対応してまいりたいと思っております。  ただ、先ほど申しましたような観点から、非常に慎重な検討を要する問題であるということはぜひ御理解をいただきたいと思います。
  77. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 もう時間が参りましたので、最後の質問とさせていただきたいと思います。  最後に、せっかく公正取引委員会に来ていただいておりますので、先ほど日出委員から金利がほぼ同じレベルで並んでいるというお話がありましたけれども、これは談合というかカルテルの可能性というのがあるかどうかだけ簡単にお答えいただいて、私の質問を終わります。
  78. 山田昭雄

    政府委員(山田昭雄君) お答えいたします。  貸金業者金利が横並びで推移しているかどうかにつきましては、私どもとしてすべてのものについてつまびらかに承知していないわけでございますが、少なくとも大手貸金業者の貸付上限金利がここ数年横並びで推移しているとは承知していないわけでございます。  なお、これは仮定の問題でございますが、貸金業者間におきまして貸付金利を決定し、当該金利貸し付けを行っているとすれば、これはもちろん独占禁止法上の問題になってくるということでございます。
  79. 益田洋介

    ○益田洋介君 まず大蔵大臣に、通告はしておりませんでしたが、最近の景気の動向に関するコメントが種々のメディアで報道されておりますので、この点について御意見を拝聴したいと思うんです。  それはどういうことかといいますと、最近、企業経営者とか消費者の心理にわずかながら景気に対する不信感が払拭されて、持ち直してきているんじゃないかという見方がございまして、先日も堺屋長官は、気分は経済の一部であると、心理効果に非常に期待している発言をされておりました。ただ、気分の好転だけで実際の景気回復につながるかどうかということはまた別の全く新しい問題だと思います。  具体的には、昨年十二月時点の中小企業製造業について、三カ月後の予測がマイナス五八だったところを、実際に三月末の実績では五ポイント以上上方修正されている。この上方修正ということは最近余り聞かなかった非常に明るいニュースの一つだと思います。そして、GDPベースで試算をすると、例えば個人の消費性向が一ポイント改善されると個人消費を三兆円程度ふやすことになる、こういった環境があたかもこれから、株価の高値の定着ということもございますし、よい要素であるという見方もございますが、大蔵大臣、どのようにお考えでしょうか。
  80. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) これは少しさかのぼって前から申し上げておりますことを繰り返させていただくことがいいのではないかと思います。  昨年から申し上げておりましたことは、年度の終わりになりますと予算も成立いたしますし、また金融関係で公的資金の導入ということも恐らく予定どおり行われるであろう。そういう環境の中で、三月を展望して心配なことは、一つは雇用の問題である。それは恐らくその時期に企業がリストラというものをどうしても考える、過剰設備の廃棄というものも考えざるを得ないということがもう一つありますので、それが雇用状況を必ずかなり悪くするであろうということ。もう一つは、そういう環境の中で企業は恐らくこの期末の決算でかなり思い切って在来のうみを出すであろう、したがって決算は予想よりも悪いのではないか、それがまたリストラに、雇用に影響するということでございますが、そういうことを申し上げておりました。  政府としてはほぼそのとおり、あるいは国会の御賛成によりまして予算は成立いたしましたし、公的資金の導入も行われまして、それは予定どおりでございますけれども、雇用というところの問題がやっぱりかなり深刻になりつつあります。  先ほどおっしゃいましたこの間の短観の数字は、恐らく実感ではありましょうけれども、それは今まで思っていたよりは少しはいいかもしれないといった程度のことでございますので、一番主要な要素であります一つは消費でございますが、給与所得が伸びておりませんから、限界消費性向に多少の動きはあっても消費に大きな動意はないと考えなければなりません。雇用はそれに対して必ずしもいい影響を与えるような状況になっていないと思います。  それから、設備投資は、この間の短観でもそうでございますが、製造業、非製造業とも大小企業において新しい設備投資というのはほとんど動きがない。わずかに在庫が多少下がったということがございますけれども、基本的には過剰設備をまず処理しなければならないという問題が先にあると思いますので、したがいまして消費と設備投資に大きな期待ができない、私はこの点は前と変わっていないというふうに思っております。  ただ、大変長く不況が続いておりましたから、さすがにその点は、ある意味でサイクルでないと申しましても大きなゆっくりしたサイクルぐらいなことはございます。ここへ来まして今お話しになりましたような幾つかの材料もあって、消費なんかでも、いわゆる白物の消費は必ずしも悪くないとか、いろいろそう思って見ればそういう部分もございますので、総じて一番悪い状態は過ぎたのだろうというぐらいのことは申し上げられるとしても、それから上向きにすぐに動いていくということにそれがなるのかならないのか、実証的には必ずなると申し上げるほどのものは現実には見えていないのではないかというふうに思っております。
  81. 益田洋介

    ○益田洋介君 次にお尋ねしようと思っていました雇用の問題についてもお答えいただきまして、ありがとうございました。  やはり雇用に対する過剰感というのは依然として根強いわけで、大蔵大臣が今おっしゃったように、リストラなどの雇用調整というのはこれからも進められていくということで、この雇用問題というのは政府の景気対策に対する一番懸念材料じゃないか。私も同感でございますが、それでは追加の経済対策というものを今お考えでいらっしゃいましょうか。
  82. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 昨年、平成十一年度の予算編成をいたしますときに、平成十年度の補正と十五カ月という展望で編成をいたしたわけでございますが、そのときに一番大きな視点を雇用ということに置いておりました。俗に一兆円と言われます百万人の雇用の維持、創出ということでございますが、それがいよいよ、いよいよと申しますか、どうも発動されざるを得ない状況になってきたと見ておりまして、そういう意味では予想しておった事態に対して準備はしてございますので、そのために新たに何かを今考える必要があるとは思っておりません。
  83. 益田洋介

    ○益田洋介君 設備投資の件も発言がございました。  昨日、経団連が総合戦略をまとめたということでございますが、この席上で今井会長が、民間設備投資が伸びないで景気回復の足かせになっているのは明らかなので、産業界としてもさまざまな努力をして過剰設備の解消に努めていきたいと述べた後に、例えば優遇税制など、もう一つは土地の問題、これは設備廃棄で生まれる遊休地の流動化策、この二つについては少なくとも政府にお願いして検討していただくのだという発言をされておりました。  優遇税制では、具体的に言いますと、欠損金が出た場合には課税対象の利益と相殺して納税を免除される期間の延長を、現行制度では五年でございますが、それをさらに繰り延べるというふうな政策をとっていただけないかと。卑近な例で、米国は二十年間、イギリス、ドイツでは無期限にこれが認められているというふうな発言をされておりますが、この点はいかがお考えになられますか、大蔵大臣
  84. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 過日、総理大臣の主唱によりまして産業競争力会議というものが開かれまして、産業界からたくさんの方がお寄りになり、私どもも出席をいたしました。  そのときに、いわゆる過剰設備の問題が会議の大きなテーマとしていろいろ議論をされまして、通産大臣と私とがおのおの産業界金融界に呼びかけまして、この問題は産業界だけでは処理ができないので金融界にも協力してもらわなければならない、したがってそういう御協議を民間でおやりになる何かそういう仕組みをつくっていただけませんかと。必要があれば、政府といたしましてもお呼びがあればいろいろ情報を申し上げますというようなことで、そういう体制が今整いまして、ただいま益田委員のおっしゃいましたような今井経団連会長のお話というものになってきておるわけでございますけれども、基本的にはこれは民間のお話でございます。  しかし、今我が国全体の二十一世紀を展望した状況から申しますと、過剰設備の廃棄ということはどうしても避けて通れないことでありながら、しかしそれはすぐに雇用に影響するという大変ぎりぎりの難しい問題でございますから、政府としてもこれに対して無関心ではあり得ない。少なくとも通産大臣と私がそういうことをお勧めいたしました気持ちの中には、民間でそういう御用意が整えば、具体的なケースが整ってまいれば政府としてはできるだけの御支援をしたい、そういう気持ちがあって申し上げたことでございます。  金融機関にも公的資金七兆円余りを投入いたしましたし、また九兆円というような減税もお願いしていることでございますから、同じような重さを持つ我が国の将来へのこの問題の解決については御支援は惜しまないつもりであります。
  85. 益田洋介

    ○益田洋介君 総理の懇談会であります産業競争力会議というのは次は二十六日に開催を予定されていらっしゃいますが、大蔵大臣はいらっしゃらないですね、二十六日は。二十五日からお出かけになると伺っていますので。
  86. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) お許しがありましたら、IMFの会議に出なければならないという日程とやや衝突をいたすことになります。
  87. 益田洋介

    ○益田洋介君 では、お出かけの前にぜひよくお打ち合わせを願いたいと思います。  二十五、二十六、二十七というのはガイドラインが衆議院で大詰めを迎える段階で、締めくくり総括のときには全閣僚が縛りつけられるというような制度が今度川向こうでできたようでございます。そうすると、ワシントンDCに大蔵大臣がいらっしゃっている間は締め総ができないわけですね。
  88. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) お許しがございましたらと申し上げましたのはそのような意味でございます。
  89. 益田洋介

    ○益田洋介君 わかりました。  日銀総裁、御苦労さまでございます。最近余りお目にかからないものですから。一点だけ御意見を拝聴させていただきたいと思います。  ペイオフの問題でございまして、三月末に記者会見をなさったときに、総裁は、ペイオフ解禁の時期は動かせないにしても、何らかの形でのセーフティーネットをデザインすることが重要だと考えると指摘をされておりました。恐らく総裁の脳裏にはアメリカのような破綻金融機関の資産また負債を迅速に継承する仕組みを日本でも用意しておく必要があるだろう、二〇〇一年四月までに、そんなことじゃないかと思いました。この点に関する総裁の御意見を再度拝聴しておきたいと思います。
  90. 速水優

    参考人速水優君) 御指摘のように、二〇〇一年三月までの時限措置として預金等を全額保護する仕組み、包括的なセーフティーネットが構築されております。預金保険法も、今のペイオフを超える特別資金援助も、金融再生法で今回国民銀行なんかにも発動されました金融整理管財人の管理とかブリッジバンクとか特別公的管理とか、あるいは早期健全化法での公的資金導入とか、そういうのはいずれも二〇〇一年三月が一応の期限になっておるわけでございます。これがもうあと二年足らずで来るわけでございまして、このような包括的なセーフティーネットというのは海外にも例のないほどのセーフティーネットであったというふうに思います。それが必要なだけの厳しい状況にあったんだというふうに思っております。  ただ、こうした措置は公的資金を含みます多大のコストを要しますし、預金者その他債権者金融機関のモラルハザード、そういったものを惹起していくおそれがあるものでございます。時限的な措置を延長するかどうかというようなことも議論になるのかもしれませんが、これは最終的には立法府を通じた国民の判断にゆだねられるべきものだと考えます。私としては二〇〇一年三月末に向けて関係者が全力を尽くして不良債権問題の克服に当たることが重要であるというふうに考えております。この意味で、安易に各種の時限措置の延長を視野に入れることは先ほど申し上げたような副作用を生じかねないということで適当ではないと考えております。  一方、それでは二〇〇一年四月以降のセーフティーネットのあり方について、社会的、経済的コストの少ない、かつ早期に問題を解決し得るような制度を今からデザインしていくことが必要なのではないかというふうに思っております。日本銀行としましても、現在、具体的なアイデアを持ち合わせているわけではございませんが、今後、海外の事例やこれまでの破綻処理の経験等を踏まえて、二〇〇一年四月以降のあるべきセーフティーネットのデザインの作成に積極的に参加してまいりたいというふうに考えております。金融審議会等においてもこのことは討議が始まっておるというふうに伺っております。
  91. 益田洋介

    ○益田洋介君 ありがとうございます。  それでは、再び、二十六日のG7、蔵相・中央銀行総裁会議の話題となるであろう、テーマの一つでございます、通貨変動が大きくなり過ぎないように各国は協調する必要があるという、これは大蔵大臣の持論だそうでございます。ドルだけでなくて他の先進国通貨、これはもちろんユーロも入ってくると思いますが、それらについて加重平均値にアジアの通貨を連動させる通貨バスケット方式の導入などを提案される、こういうふうな話も漏れ聞いておりますけれども、これについてもう少し敷衍していただけますでしょうか。
  92. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 結論の方から申しますと、そういうことを私が正式に提案し正式に議論があるというような状況ではないであろうと思っておりまして、前からそのようなことはG7の自由討議の中では申しておりますので別に目新しいことではございませんが、そういうことがG7の結論になるというような雰囲気でもございません。いろいろな問題をみんなが言い合っておる、話し合っておることの一つというふうにおとり願った方がいいと思います。  しかし、関係者の間では、お互いの間の通貨関係が安定することが非常に望ましいということはみんなが同様に思っております。その具体的な方法になりますと必ずしも一致いたしませんが、こうやってそういう議論をしている、しょっちゅう話をしているということ自身がそのことに役立つということはみんなわかっておりますので、またそういうことについての議論なり自由討議が行われるであろうというふうに想像しております。
  93. 益田洋介

    ○益田洋介君 次に、六月のケルンのサミットで予想される最大の話題の一つでございます重債務貧困国、余りいい名前じゃないんですけれども、アフリカなどを中心にした四十一カ国が今対象になっているということでございます。  この債務の救済をしなきゃいけないということで、今回の議長国であるドイツのシュレーダー首相などが旗振りになって、イギリスとかアメリカなどはかなり前向きに公的債務の棒引きというようなことを債権の放棄について考えている。日本は最初これはモラルハザードを招くと、たしかこれは大蔵大臣に伺う前に総裁にも伺ったと思いますが、そういう理由から債権の放棄は考えないと言い続けてきたわけですけれども、今ここに至って、やはりG7各国が足並みをそろえることが一番大事なんじゃないかという意見が出ておりまして、何らかの形で日本も債権の放棄またはそれにかわる方法で拠出せざるを得ないという段階に立ち至っているように承ります。  ODA関係債権の残高は日本が四〇%で一番多いと言われておりまして、フランスが二五%、それからドイツが二〇%ということで、日本の今回の姿勢がケルン・サミットで相当大きな影響を与えるのじゃないかと思っておりますが、現在の大蔵大臣考え方をお伺いしたいと思います。
  94. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 重債務国への債務を免除するということはサミットのたびに議論になっておるところでございます。殊にサブサハラ、アフリカに対しましては一番その問題が中心に議論されて、何回かのサミットが繰り返されておりましたが、このたびがたまたまいわゆるミレニアムであるということがございまして、彼らのいろいろな宗教的な思いもあって、この際そういうことをしたいという考え方が非常に強くなっておることは承知をいたしております。  我が国には特にそういう宗教的な立場はないわけでございますけれども、最大の債権国であることはおっしゃいますとおりでございますから、我が国がどのように対応するかということはやがて一定の考え方を決めなければならないことになろうと思います。  それにつきましてしょっちゅう議論をいたしておりますことは、益田委員はよく御存じのことでございますけれども、例えば日本のODA予算の三割ぐらいが財投資金でございますが、財政法の関係で申しますと、国の債権の全部または一部を免除するには法律に基づくことを要するとされております。したがいまして、これをいたしますためには法律をもって国会のお許しを得なければならない、現行法ではできない。輸銀等々につきましては、国の金ではございませんから財政法の影響はないと思いますが、しかしそれ自身に、またおのおのの法律にいわゆる経営のバランスみたいな規定がございますものですから、勝手にまけてしまうわけにはいかないということがあるかもしれないという問題がございます。  つまり、我々にとっては、全体の債務削減ということに基本的に同調するのかしないのかということと、する場合には国内にある法律の問題をどう処理するかということと二つの問題がございます。  従来は規模が大きくございませんでしたので、免除分を実はグラントで渡してしまうということで実際には免除をしてきたということがございますけれども、今度の場合、真っ正面から今までのものを帳消しにしますといったようなことをいたそうとすれば、この法律関連を処理しないとできないということがございます。  我が国のこの立場は関係国の専門家たちは知ってはおりますけれども、サミットというような場でこれをちゃんとわかってもらっておくためにはかなりの準備をしておかなきゃならないこともございまして、この問題についてはやがて基本的な方針を決めなければなりませんけれども、現在のところまだ決定をいたしておりませんで、恐らくそれに先立ちます蔵相会議等々のような場で一遍議論にならざるを得ないのではないかというふうに考えております。
  95. 益田洋介

    ○益田洋介君 大蔵大臣の口から財政と宗教の関係を伺うのは非常に奇異な感じがしたわけですけれども、日銀総裁、一言だけ御感想をいただけますか。  旧約聖書には五十年に一度のヨベルの年というのがあって、債務の帳消しを実際にしていたそうでございますし、奴隷の解放もしたと。今回、この千年紀の節目とヨベルの年が重なるのがちょうど二〇〇〇年だそうでございます。ですから、欧米ではキリスト教会やNGOの運動がこの方向に向かって非常に高まっているんだそうですけれども、総裁、どういうふうにお考えですか。
  96. 速水優

    参考人速水優君) ミレニアムというんですか、二〇〇〇年というのは欧米のキリスト教国にとっては非常に大変な年になるわけでしょうけれども、私どもはそういうあれでございませんから、特に宗教と金融との関係というのは全くございませんので、その辺はひとつ余り結びつけてお考えいただかないようにお願いしたいと思います。
  97. 益田洋介

    ○益田洋介君 わかりました。敬けんなクリスチャンである総裁からそう伺うとは思っておりませんでした。  消費者金融について、一言お伺いしないと申しわけないのじゃないかと思います。  十日に明らかになったことですが、国税局が業界の上位三社と言われる武富士、アコム、プロミスに関する税務調査の結果を発表して、総額約四十三億円の申告漏れを指摘しました。  これはどういうことかといいますと、貸し倒れの償却を認めないと、十分な回収作業をしないでこういうことをしたので。銀行とは対照的に増収増益を今続けている消費者金融業界ですが、非常にずさんな経費処理の仕方をしている。要するに、こういう貸し倒れ損失で経費処理した方が債権回収のコストは安上がりになる、面倒なことをしなくて済むと。先ほどの何かおどしたり脅迫したりして取り立てるという一方で、こういうこともする。だから、本当に緩急自在に使い分けているのがこの業界じゃないか、私はそういう印象を受けて仕方がないんです。  それで、この上位三社というのは七千社と言われている消費者金融業界の五〇%近いシェアを占めているから、言ってみればこの業界のリーダー格の三社が同じような方法をとってなるべくコストを安くしようとしている。法人税法では貸し倒れ損失というのは一定の基準がございまして、それにどれも相当しない形での処理の仕方をしていたということがわかりました。  この点は、今回のこの法案の採決の後に附帯決議があるそうですが、そこにも警告として書かれております、これは広中先生がおつくりになった。  この業界の体質というものを大蔵大臣はいかがお考えですか。
  98. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 今のことは国税庁からお答えを申し上げます。
  99. 森田好則

    政府委員(森田好則君) 国税庁としてお答えいたします。  業界の体質云々というのは私どもがコメントする話じゃないところでありますが、消費者金融大手三社に対して新聞報道があったことは承知しております。我々が発表をしたわけでなくて、我々の立場は個別の事柄について答弁することはできないという立場でありますので、御理解いただきたいと思います。  ただ、先生指摘のように、法人税法上の一般論を申し上げますと、法人の有する金銭債権に対する貸し倒れ損失はその損失が確定した事業年度の損金の額に算入されるということであります。具体的に申し上げましたら、法的整理とかあるいは関係者の協議により切り捨てを行ったというような場合、あるいは債務者の資産状況、支払い能力等から見てその全額を回収できないことが明らかとなった場合で、担保がある場合には実際に担保物を処分し残債権の全額について回収不能を確定させる、そういった場合に貸し倒れ損失として損金算入が認められるということになっております。  いずれにいたしましても、国税当局といたしましては、貸し倒れ損失の計上が認められるかどうかにつきましては、個々の実態に基づき法令等に照らして適正に判断しているところであります。
  100. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 私が一つお答えを申し上げたいと思います。  業界の体質ということでございますけれども、どう申しますか、ある意味では小回りがきく。本当に困った人、銀行や何かに行けない人たちはどうしてもここへ行かなきゃならぬ、そういう関係というものがございます。ございますから、やはりそれにはそれなりの問題があることはお互いがみんな知っています。しかし、なくなってくれても困るということもお互いが知っていますから、そういう意味ではだんだんにディスクロージャーというようなことで、やっていることが少なくとも外にはそのまま正直にわかるような、そういうものにしていってほしい。どうもトラブルが多いからなくなってしまった方がいいというわけにはいかないというふうに考えております。
  101. 益田洋介

    ○益田洋介君 ありがとうございました。  終わります。
  102. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 日本共産党の池田幹幸でございます。  ノンバンク社債発行法案に関して伺います。  まず、ノンバンクは伺いますと三万数千社全国にあるそうですけれども、そのうち今度の法案の対象になるのは百社程度ということですね。これは政令指定事項になるわけですけれども、そういったことを想定しているということなんですね。  先ほどの日出委員の質問の中にもあったわけですけれども、上場大手四社だけ見てみましても今期は最高益を更新するといったような大変な収益を上げておるということです。少なくとも資金が不足しておるといったような状況にはないんではないかという日出委員の御指摘もありました。私もそういうふうに考えるんです。ともかく百社、しかもその百社程度のさらにもうちょっと上の層、そういったところに社債発行して資金調達する道を広げてやる、そういった優遇措置をしてやる必要がなぜあるのかということについてまず伺いたいと思います。
  103. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) 今、先生が言われましたいわゆる社債発行によりまして貸付資金の調達をより広げるという意味でございますが、この法案ディスクロージャーの充実等、また投資者を保護する観点からの措置を講じながら、金融業者社債発行等のいわゆる直接金融による資金調達を自由化するものでございます。これによりまして、金融仲介チャネル多様化による経済全体の資金配分効率化とか、社債コマーシャルペーパー発行に際しての金融業者に対する市場、マーケットの監視機能の導入とか、間接金融ルートを中心にしております現在の金融仲介機能が低下している金融情勢のもとにおきまして、企業等への資金供給ルートの拡充とか多様化、さらには社債や今言いましたコマーシャルペーパー市場の厚みが増すことによって広く我が国金融市場発展に資することがこの法案で期待されているところであると考えております。
  104. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 いろいろ言われましたけれども、投資家を保護するということを主眼とした法律なんですね。しかし今、消費者金融や小零細企業の金融問題ということで起きておる問題というのは、むしろ投資家保護よりも借り手の方の保護、これが非常に重要になっておると。先ほどの日出委員や浅尾委員の質問の中にもありましたように、多重債務問題、過剰な貸し付け問題、これが非常に大きな問題になっておるわけです。  今の問題というのは貸金業法で禁止されておるような行為が公然と横行しているというところに問題があるわけなんですが、この法律では当然目的としていないわけですから、借り手保護消費者保護、そういったことについては考えないということなんですね。そうすると、この社債発行できるノンバンクの満たすべき条件というものについても、当然のことながら今こういったノンバンク等で起きている消費者保護を必要とされるような問題については何ら考えないんだと。  つまり、私が聞きたいのは、ここでこういった業者については社債発行できるように認めますよというときに、その要件が資本金と人的構成ということになっています。資本金は十億円以上としても、人的構成というときに、ただ単に貸し付けの経験があるというだけで認めるのか、それとも今起きておるような問題について問題を起こしたような、いわゆる貸金業法に違反するような、あるいはそれにすれすれのような行為をしてもうけてきた、業績を上げてきた、そういった人が入っておればむしろいいとするようなことになるんじゃないのか、まず伺いたいと思います。
  105. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) お答えいたします。  今、先生が言われましたように、登録制を導入することとしておりまして、一つには最低資本金基準がございますし、いま一つは人的構成に関する基準がありまして、先ほども御答弁した次第でございます。  そこで、ただいま先生の御質問でございますが、これは一つは、これまで以上にこの法律案によりましてディスクロージャー金融業者に求められることになるわけでございます。また加えまして、格付機関とか引受証券会社の審査も行われるわけですが、全体として、市場、マーケットによる監視機能が導入されます。いま一つ、例えば多重債務といった消費者金融問題の防止のためには、これはやはり貸出側におきまして顧客に対して適切な与信審査が行われる必要があるわけでございます。  今後この法律案に基づいて社債発行等を行います金融業者につきましては、従来の資金調達先である銀行による金融業者に対する与信審査管理に加えまして新たに市場の監視が導入されること、またそれによりまして、貸出債権の不良化を防止する観点から、従来以上に顧客に対する与信審査が厳格に行われるようになることが期待されるわけです。それによりまして、今申し上げましたような多重債務といったような消費者金融の問題の防止にもつながっていくと考えております。
  106. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 私の問題意識と全然違うことを答えておられるわけですが、いずれにしても市場の監視によってできるという問題について言えば、このノンバンクが業績を上げているかどうかということでしょう。その投資家が損しないかどうかということの観点なんです。  私がお伺いしたのは、こういった消費者保護という問題から、貸金業法等から見て問題を起こしたような企業、そこで仕事をしてきた人、そういった人が何人か入る、先ほど二名以上とか言っていましたけれども、貸し付けで経験豊かな人を入れておればよろしいというようになるんですね。そうしますと、投資家保護という観点から、利益さえ上げればいいんだということで、過剰融資とか暴力的な取り立て、そういったことで問題のあるような企業についても社債発行を認めるということになってしまうんじゃないか。そういった点はもう完全に今度の要件から外れておるということでしょう。
  107. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) 今、先生の言われますいわば借り手保護観点からの点でございますが、この貸金業者につきましては、貸金業規制法に基づきまして、これは主として借り手保護を図る観点から貸金業者登録制度を既に実施しておりますし、過剰貸し付けの禁止とか誇大広告の禁止、先ほど監督庁からもお答えがありました取り立て行為の規制等の行為規制が課されておるわけでございます。そういう意味では、貸金業規制法の方で借り手保護の運用を行ってまいりたいというぐあいに考えておるところでございます。
  108. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 要するに、貸金業規制法をかいくぐって今大変な問題が起きておるわけだけれども、そういったことをやっている企業についても社債発行を認める、その要件貸金業法に違反しているかどうかということとは全く別問題でこれはなされますねということの確認だけなんです。そのとおりでしょう。貸金業法でのそれとは全く関係なしにやられるわけでしょう。
  109. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) おっしゃいましたように、一つは今回の社債発行に伴います登録制度の導入というのがございますが、先生が今言われましたまた別の貸金業規制法観点からの登録制がございますので、この両方の法律で相まってこれからそこの保護を図ってまいりたいということだと思います。  おっしゃった意味では、そういう異常な貸し付けがあった場合にはこれが取り消しの対象になるわけでございます。
  110. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 それは貸金業法からでしょう。
  111. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) 今回の法案の第十一条におきましてこの登録の取り消しという規定がございます。
  112. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 その点で、先ほどの市場の監視とか貸金業法での規制と両方相まってということになったわけですけれども、私は今日の実態からいってこの法律ができたら両方相まってむしろ悪くなるなというふうに考えておるんです。というのは、貸金業法の運用実態というのは、先ほどの浅尾委員の質問に対する答弁でもあったように、とんでもないことが実際やられておって、それが横行しているんですね。  私はきょうは具体的な二点について質問したいと思います。  日栄、商工ファンドといういわゆる中小企業者向けの貸金業者ですけれども、これは大手です。両社とも資本金は四百億を超えていますから、今度の基準を十分満たしているわけです。そういった企業なわけですから、当然社債発行も認められるということになるんです。そういった日栄で起きていることなんですが、日栄・商工ファンド被害対策全国弁護団というのが生まれておるほどこの二社については今大変問題が多く発生しているんです。  そこで出されておる幾つかの事例なんですが、これは北海道北見市の事例です。この日栄というのは京都に本社があるわけですけれども、全国的に店舗展開しているわけです。そこの北見で、ある債務者が一千万円を超える債務を持っておったわけなんですけれども、ここに昨年、九八年四月から毎日十数回電話あるいは訪問で繰り返し繰り返しもっと金を借りろというあれをしたんです。何で金を借りろと言うかといいますと、日栄はこの当時キャンペーンを張っておって、業績を上げようということをやっておったわけです。  そのときに、当然この人は借りる必要もないわけだから借りないと言ったわけですけれども、借りないんだったら全額返済しろ、全額返済できないんだったら借りろということで、とんでもないことを押しつけてきたわけです。結局、何度も何度もやってきて、先ほどの張り紙どころじゃないんですね、家の前で騒いで、出てきて話せ、居留守を使ってもだめだということをやって、とうとう百二十万円上積みして借りさせたというんです。  こういうことがやられておるわけなんです。こういうのは当然のことながら貸金業法事務ガイドラインに違反する行為なわけですが、これについてはもう既に金融監督庁にも具体的に申し立て書という形で上げられておると思うんですけれども、どう対応しましたか。
  113. 乾文男

    政府委員乾文男君) 先ほど申しましたように、取り立てにおきまして、人を威迫し、またはその私生活もしくは業務の平穏を害するような言動によりまして債務者を困惑させてはならない、違反した場合には業務の停止、刑事罰を受ければ貸金業者の登録を取り消すこととされているところでございまして、そうした法令に基づきまして、監督庁といたしましては、大手、中小を問わず、警察当局とも連携しながら今後とも暴力的取り立て等の悪質な取り立ての排除に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  114. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 私はどうやったんですかと聞いているんです。
  115. 乾文男

    政府委員乾文男君) 今申しましたような考え方で警察当局と連携してやってまいりたいと思いますが、個別の事案についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
  116. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そういう状況なんですね。それではいつまでたったってよくならないじゃないですか。  私がなぜこれを取り上げたかといいますと、今答弁にあったように、暴力的な言動を弄しての取り立て、これは禁止されておるということなんです。ところが、今私が聞いたのは取り立てじゃないんです。貸し付けなんですよ。暴力的言動で借りたくない人に無理やり貸し付けるということなんです。こんなのは本当に正常な貸金業者かと。  これはそれなりのメリットがあるからだと思うんです。今は返せなくても、一定程度の財産を持っているとにらめば徹底的に、中で殺すまでという言葉があるようですけれども、要するに殺すまでやっちゃうということでこういうむちゃくちゃな貸し付けがやられている。それから、金利がむちゃくちゃに高いということで、四〇%なんという金利でやれば一年、二年貸せばもう元が取れちゃうわけで、だからそういうむちゃくちゃなことがなされておるということを問題にしているわけです。それを個別の事件で言えないなんというようなことを言っておったら、いつまでたってもこれは解決しませんよ。  もう一つ事例があります。今度は取り立ての方で、これは池袋の事例ですけれども、溶接工事業者が不渡りを出してしまったんですね。途端に取り立てに来たわけです。これも日栄ですよ。  そこで言っているのは、いろいろありますけれども、時間の都合で私も一つだけ取り上げて言うんですが、一番恐ろしいのが、うちの会社は会津小鉄とつながっているのでそれを動かせるんだ、毎日張りついてまとわりついてもいいんだぞというおどし方をしたというんですね。この会津小鉄というのは警察庁に聞きましたら五代目会津小鉄と言うそうで、暴対法の指定団体です。さっき言いましたように、この日栄は京都に本社があるんですけれども、同じ京都に事務所を構えておるそうです。そういう会津小鉄と関係があると言えば、それを言うだけでもう借り手は震え上がりますよ、それで返せとすごめば。  こういう暴力団とタイアップしたような貸金業者、これをこのまま放置しておっていいのか。これは暴力団とタイアップしているというだけで業務取り消しといったような方向を考えなければいけないんじゃないのかと思いますが、いかがですか。
  117. 乾文男

    政府委員乾文男君) 先ほどもお答えをいたしましたように、一般論でございますけれども、暴力的な行為あるいは威迫等によりまして取り立て等の事実が見られました場合には、警察当局と連携をしながらそうしたことの排除に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  なお、金融監督庁といたしましても、今お名前を挙げられました業者を含めまして、苦情が多く寄せられております、とりわけ事業者向け貸金業者でございますけれども、それにつきまして、金融監督庁におきましてその貸金業者の社長を直接当庁に呼びまして事情聴取を行うなどの対応をしておるところでございまして、今後とも貸金業規制法に基づきまして厳正に対処してまいりたいというふうに考えております。
  118. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 私が申し上げたのは、暴力団と直接つながっているようなところについては業務の取り消しができるんですよ、警察と連絡し合わなくても、この貸金業法で。貸金業法でやるべきじゃないかということを私は伺っている。
  119. 乾文男

    政府委員乾文男君) 先ほどからお答えしておりますように、威迫等を用いたり暴力的行為によりまして取り立てをした場合には、その事実が確認されました場合には貸金業規制法に基づきまして厳正に対処してまいりたいというふうに考えております。  ただ、暴力団とのかかわりがあるというだけでこの構成要件に該当するかどうかにつきましては、暴力団と取引があるということだけでこの貸金業規制法規定が発動できるかどうかにつきましては、困難ではないかと考えております。  いずれにいたしましても、それが行為にあらわれましたときには警察当局と連携をとりまして厳正に対処してまいりたいというふうに考えております。
  120. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 普通の人なら暴力団と提携していると聞いただけでもう震え上がっちゃいますよ、それが即暴力的な言動なんですから。それを言った上で、会津小鉄のだれそれを派遣するぞと言うことはないんです。そういう問題だと考えるべきだと思うんです。  今二つ典型的なものを申し上げたんですけれども、やられておることというのはさまざまでとんでもない。しかも、弁護士までおどすということも平気でやるわけです。そういったこともいろいろ報告されております。  ともかく人権無視、先ほどのことも人権無視なんですけれども、実際に資金を回収しようというのであれば相手の立場を考えなきゃいかぬのだけれども、要するに会社に乗り込んでいってサラ金から借りている実態を暴き立てる、そのことによってその人が結局失職してしまうというふうなことも起きております。それからまた、やり方が、何度も訪問する、それから電話を一日のうちに十数回かけるということのほかに、債務者の娘さんにおどしをかけたりというふうなことまであるんです。  こういったことが、数が少ないならともかく、この両社について先ほど社長を呼んで事情聴取もしているんだとおっしゃったけれども、日栄・商工ファンド被害対策全国弁護団がアンケート調査をやられたら、弁護士九十三人の回答があって、そのうち四十二名が日栄、商工ファンドを相手にした問題にかかわっているというんです。これは日栄、商工ファンドだけのアンケートじゃないですよ、消費者ローンについてのアンケートなんです。だから、それぐらい日栄、商工ファンドの二社というのは大変な問題を起こしているわけで、これについては社長を呼んで事情を聴取しておるといった程度で終わらせるような問題ではないと思います。  そういう点で、徹底した事実調査、それから貸金業規制法による営業停止などをやるべきだと考えます。もっときちんとした事実調査に踏み込むべきだと考えますが、いかがですか。
  121. 乾文男

    政府委員乾文男君) 今お名前を挙げられました業者を含めまして、問題を起こしている業者につきまして当庁として直接呼んで事情聴取をしているところでございますし、また警察当局と情報交換、必要な連携をとりながら対処しているところでございます。そうしたことを通じまして、貸金業法違反の事実が確認されました場合には行政処分を含めまして厳正に対処することとしていきたいと考えております。
  122. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 要するに、とんでもない実態があるわけで、しかもこういったことをやっておるこの二社については大手のトップクラスなんですね、いわゆる業者ローンに関していえば。こういったところにさらに資金調達をしやすくしてやろうということをやれば、今の貸金業法の運用実態をそのままにしてやれば大変な問題を起こす、さらに大きな矛盾を来すことになるということははっきりしていると思うんです。そういった点で、今の答弁では私は非常に困ると思います。  ともかく今は投資家保護よりも借り手保護、そのことが一番大事なんだという観点から対応すべきだと思いますけれども、この点について大臣のお考えを伺いたいと思います。
  123. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) その二つのことをすぐくっつけて議論をされますと、実際世の中にそういうケースはたくさんございますから、ある意味で説得力があるのかもしれませんけれども、やはり暴力行為あるいは不正行為等々はそれとして処分をしていきながら、しかしこういう金融の必要を消費者感じておるとすれば社債のような形で資金調達の方法を考えなければならないのではないか。二つのことは、取り締まりをきちんとやらないものだからそういうことを言われるという感じは私もわからないわけではないんですけれども、ちょっとそこは別に考えなければならないのだろうと思います。  今この法律で仮に貸金業者をどの程度まで対象にするか。十億円だという話がよくございますけれども、そういたしますと百幾つの社が該当するそうでございまして、消費者金融はその中で十二社だそうでございます。四十五が事業者向け貸金業者、十九がリース、十二が信販だそうでございますので、ただいま池田委員のおっしゃっていらっしゃるところばかりのために何かが行われようとしているわけではありませんから、取り締まりは取り締まり、ニーズはニーズとして考えなければならないのではないかというのが政府の立場でございます。  返す返すも取り締まりにおいて欠くるところがある、世の中にはそういう話がたくさんあるとおっしゃることは私もそのように感じますし、それであるがゆえにこの法律国会でも前国会からいろいろにお考えになっていて、なかなか懸念もある、問題もあるということは恐らく皆様がお気づきであると思います。そのことを全く否定をするわけにはまいりません。冒頭の日出委員の御議論にもそういうことがあったわけで、それは全く否定できるわけではございませんが、取り締まりはきちんと取り締まる、しかしこういうニーズはニーズとして考えていくということを、とどのつまり結論としてはそういうふうにお認めを願えないものだろうかというふうに政府は考えております。
  124. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 先ほど大臣の答弁に人類で最も古い職業の一つだというお話があったんですが、だとすれば、そういう営々として続いてきた職業であるけれども、今の時代に大変な問題を起こしておる、かつてもそういう問題を起こしてきたとすれば、もうそろそろこういった問題を起こさせない形での手だてというのを考えていくべきときに来ているのじゃないか。  社債発行の問題と貸金業法の問題とをくっつけて話すのはいかがなものかということだったんですけれども、くっつけて考えるということじゃなしに、事実としてくっついている問題だと私は思うんです。そういう問題を起こしている企業に資金調達をしやすくしてやるという必要性はさらさらないし、今そういったことをやる前に消費者保護が先だろうということを申し上げたいと思うんです。  それからもう一つ、これは時間がありませんので最後指摘だけしておきたいと思うんです。  多重債務問題が起こる最大の原因というのは、国民生活センターでもずっと調査してこられましたけれども、要するに金利が高い。特に罰則金利の四〇%、これは高過ぎる。これを引き下げていくべきだろう。利息制限法の二〇%を上回っても罰則がかからないわけだから、結局は四〇%に張りついた形になっております。  宮澤大蔵大臣はだんだんと下げていくべきことじゃないかというふうに先ほど御答弁なさったんですけれども、しかし今の実態を考えればだんだんではやっぱりだめだと思うんです。例えば諸外国の実態等も考えれば、四〇%なんて事例はないわけで、せいぜい二〇%ですね。そういったところまで一気に下げていかなければ今の問題は解決しないのではないか。だんだんというお考えはぜひ改めていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  125. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 五十八年のときにも随分それは御議論になりまして、現実的なところはどの辺かという、あのときは一〇〇%でございましたか、そういうことからいわば文字どおりだんだんに下げてきてここに来まして、これで十分だとは決して思っておりませんが、そこは現実といろいろつき合いながら下げていくのが本当でございましょうから、そういうふうに努力をしてまいるしかないのかなというのが偽らない感じでございます。
  126. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 終わります。
  127. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十分休憩      ─────・─────    午後二時三十分開会
  128. 勝木健司

    委員長勝木健司君) ただいまから財政・金融委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、片山虎之助君が委員辞任され、その補欠として岡利定君が選任されました。     ─────────────
  129. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 金融業者貸付業務のための社債発行等に関する法律案を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  130. 三重野栄子

    三重野栄子君 社民党の三重野栄子でございます。  五項目について質問をいたします。  まず、多重債務者自己破産者の原因の問題でございます。  最高裁の調査によりますと、自己破産者の数はバブル崩壊のあった平成二年以降からふえ始めまして、平成八年に五万六千四百九十四人、九年には七万一千二百九十九人、十年には十万三千八百三人と年々急増する傾向でございます。  その原因として、自己破産事件を数多く手がけたある弁護士は、消費者金融などの高金利と過当競争による貸し過ぎが原因と主張しておられます。また、リストラなどで収入が減って生活費を捻出するためのやむを得ない借金がほとんどで、浪費などはほんのわずかとも指摘されています。  そこで、最近の多重債務者自己破産者急増の背景や原因につきまして、午前中もちょっとございましたけれども、金融監督庁から御答弁をお願いしたいと思います。
  131. 乾文男

    政府委員乾文男君) 自己破産の件数が平成七年以降再び増加しておりますことはただいま先生指摘になったところでございます。  その背景、原因というものも、私ども自身が把握しているわけではございませんけれども、例えば国民生活センターが昨年十月に発表したところによりますと、多重債務に関する同センターへの相談内容を見ますと、平成三年度当時に比べまして次のように言っておるわけでございます。債務者の年齢が上がり、無職の者がふえ、また男性の割合が増加し、借金の主な理由もぜいたく品の購入から生活費へと変化し、長引く景気低迷の影響を反映した結果となっていると同センターでは分析をしているところでございます。
  132. 三重野栄子

    三重野栄子君 そこで、それに関連すると思いますけれども、出資法利息制限法上限金利貸金業規制法のみなし弁済についてお尋ねしたいと思います。  貸金業者につきましては、利息制限法で、例えば元本十万円未満の場合では年二〇%、元本十万円以上百万円未満の場合で年一八%と上限金利が定められております。また、出資法でも年四〇・〇〇四%と別の上限金利が定められております。しかし、利息制限法には罰則規定がないために利息制限法を超える貸し付けが常態化しておりまして、事実上、出資法の年四〇・〇〇四%までの超高金利貸し付けを認めている状況にあります。  そこで、なぜ出資法利息制限法でそれぞれ異なる上限金利が定められているのか、その理由と、それぞれの上限金利の根拠をお伺いいたしたいと思います。法務省、いかがでございましょうか。
  133. 松尾邦弘

    政府委員松尾邦弘君) 二点お答えする必要があると思います。  第一点は、高金利上限をどういうふうに設けるのかということでございますが、この問題は広く金融政策全般にわたる観点及びその性格にかんがみまして国民生活に重大な影響を与えるということで、いろいろな角度から論議が必要だろうと思います。これまでにも国会におきまして十分御論議いただいた上で上限金利が定められてきていると承知しております。  それから、第二点目でございますが、民事刑事、これでどう考えるべきかという問題でございます。  確かに利息制限法出資法では上限金利が異なっておりますが、利息制限法は主として民事契約分野でのとらえ方というふうに御理解いただけるかと思います。ただ、出資法の方は刑事罰をかけるということでございますので、その影響力といいますかあるいは抑止力といいますか、また結果もかなり重大なものになりますので、そういった点から、利息制限法で定められている上限金利のほぼ倍ぐらいを目途に高金利上限が設定されている。それによって民事刑事のある意味ではバランスをとっているとお考えいただきたいと思います。  以上でございます。
  134. 三重野栄子

    三重野栄子君 納得がいくようないかないような中身でございます。  次に、貸金業規制法第四十三条のみなし弁済について伺いたいと思います。  利息制限法上限金利を超過した分の利息は、民事事件で裁判になれば無効になりますが、借り手が任意に支払った場合は有効とされてきております。その根拠となるのが貸金業規制法第四十三条のみなし弁済規定です。しかし、最近における自己破産者の急増や超低金利の実情にかんがみますと、この出資法上限金利四〇・〇〇四%はいかにも高過ぎるように思いますし、貸金業規制法第四十三条のみなし弁済規定も見直すべき時期に来ているように思うわけでございます。  午前中にもこの点が触れられたのでございますが、そこでノンバンク社債発行法案制定をチャンスにして、この出資法上限金利引き下げについて大蔵大臣の御所見をお伺いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  135. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 昭和五十八年でございますか、このことにつきましては当院でも随分いろいろ御議論がございましたし、私どもの党内でも大変長いこと検討いたしましたが、結局こういう法律をつくったわけでございます。  一〇〇%なんて言っておりましたが、少しずつは下げてきました。四〇%というのはいかにも高い、それはもう明らかに高い率でございますけれども、先ほど法務省刑事局長が言われましたように、利息制限法の二〇%というものと幾らか関係が、片方は刑事罰がございますからということであろうと思います。もっと低ければいいことは明らかでありますが、ただその結果、救われる人とあるいは救われない人とがあるかもしれないというような問題もございますから、やはり時間をかけて忍耐強く下げていくということが一番現実的な方法ではないだろうか、こういうふうに私は思っております。
  136. 三重野栄子

    三重野栄子君 先ほどこの状況についてお話もございましたけれども、これは貸す方と借りる方と両方に原因があろうかと思います。  そこで、悪質業者の排除の問題についてお伺いしたいと思います。  多重債務者をねらった悪質な貸金業者による被害が近年多発しておりまして、これが大きな社会問題になっておりますことはきょう午前中にも具体的事例が出されました。こうした業者の中には、貸金業を営む意思がないにもかかわらず貸金業の登録を受けて正常な貸金業者であるかのような仮装をしているケースも多いと思われます。  平成九年五月に公表されましたノンバンク懇談会報告書によりますと、全国の貸金業者の三分の一は融資残高がないという実態にあるとされています。その原因として、貸金業者の登録拒否要件や取り消し要件が極めて限定的なものであるために、貸金業の実態がないものを法律上排除していくという貸金業規制法上の問題があるとも指摘されております。  これにつきましても午前中いろいろございましたけれども、こうした悪質な貸金業者を排除するために、ノンバンク懇談会報告書に提言されておりますように、貸金業の登録申請時に貸金業を営む意思や実態があることを証明する書類を提出させたり、あるいは登録の拒否要件や取り消し要件を強化したりする方策をぜひとも検討していただきたいんですが、もう一度大蔵大臣、この点はいかがでございましょうか。
  137. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) 条文にわたるところがあるものですから、私の方から答えさせていただきます。  今、先生が言われましたように、現在、貸金業の登録申請に当たりましては、貸金業規制法の第四条に基づきまして、登録申請者が登録拒否事由に該当しないことを誓約する書面、それから登録申請者の住民票、登録申請者が法人である場合には定款等を登録申請書に添付して提出することを義務づけられているわけでございます。  また、貸金業規制法の第六条におきましては、登録申請者が禁治産者であるとか、貸金業の登録を取り消されてからまだ三年を経過していない者だとか、禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない者などに該当するときとか、登録申請書または今言いました添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があるとき、これは当局は登録を拒否することとされているわけでございます。  そこで、先生が今言われましたように、仮装してといいますか、貸金業を営む意思がなくて貸金業の登録を受けることは、先ほどの懇談会の指摘もありましたが、これは虚偽記載または不正登録の要件を構成するものと考えられることから、これは金融監督庁において事務ガイドライン制定されまして今対応しておられると承知しております。  その点につきましては監督庁の方から答えていただきたいと思います。     ─────────────
  138. 勝木健司

    委員長勝木健司君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、星野朋市君が委員辞任され、その補欠として平野貞夫君が選任されました。     ─────────────
  139. 乾文男

    政府委員乾文男君) 今、大蔵省から法律の説明がありましたけれども、金融監督庁のガイドラインにおきましても、登録申請書の受理に当たりまして、申請者に対しましてそうした虚偽の記載があった場合には取り消されるということを、その旨を伝える等の措置を講ずることとしておりまして、法令の枠内で最大限の厳格化によりまして可能な限り悪質業者等の排除に努めることといたしております。
  140. 三重野栄子

    三重野栄子君 そこで、今度は借りる方の側でございますけれども、消費者教育とかカウンセリング機能の充実等々が必要だと思います。ノンバンクに関する懇談会の報告書にもその点が記載されておりますけれども、統一的な消費者保護法をつくったらどうかということでお尋ねしたいわけでございます。  アメリカ、イギリス、フランスなど欧米諸国では、消費者信用取引につきまして業種のいかんを問わず統一的に規制する消費者信用保護法が制定されているというふうに伺っております。我が国では業種のいかんを問わない統一的な消費者信用保護法は制定されておりません。そこで、信販、クレジット業界は通産省が監督官庁となっておりまして主として割賦販売法により規制されており、サラ金、ノンバンクなどの貸金業者金融監督庁が監督官庁になり貸金業規制法により規制されておるところでございます。  したがいまして、多重債務問題の発生を防止し、消費者債務者の権利を保護するためには、欧米の統一的な消費者信用保護法のように各業態に対して横断的に適用される法律制定すべきと考えますけれども、この点、最後大蔵大臣の御所見をお伺いいたします。
  141. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘はごもっともなことだと思って伺いましたが、我が国の場合、欧米、殊に米と異なりまして、長いこと一種の行政による規制あるいは保護等々が行われておりましたために、消費者というものがある意味政府に頼っておった部分があると思います。いろいろ弊害がございましたから改まってまいりましたけれども、そうである間は消費者というのはある意味での保護を受けておった。生活の面からは、いろいろな品物のテストであるとか、あるいは最近は製造物責任なんということも法制化されましたが、我が国の場合はそういう意味消費者はいわばかなりの保護を受けておりました。  しかし、ディレギュレーションになりますと、消費者はひとりで物事を判断しなければなりませんし、殊に金融におきましては、今までどの金融機関でも同じような品物を売っておりましたから、全く消費者というのは楽なものだというか、ばかにされたというかでございますが、今度は消費者が賢くならないといけないということになります。賢くなろうとしますと、いろいろ欲が出ますので、ちょっと難しいことにひっかかったりする可能性がまたあって、そうなりますと、消費者に賢くあれという意味でのいろんなガイダンスであるとかそういうものがやはり必要になる。それが欧米でこういう消費者保護の一般的な法律があるゆえんだと思います。  我が国もそういうステージに入ってきたわけでございますから、したがってこの金融につきましては、金融審議会でそういうことを既に議論を始められておりまして、消費者がだまされないように、あるいは消費者の信用、プライバシーが守られるようにといったようなことにつきましていろいろな御議論がございます。やがてそういう方にこれは展開していくべきものと考えております。
  142. 三重野栄子

    三重野栄子君 終わります。  ありがとうございました。
  143. 菅川健二

    ○菅川健二君 法案に先立ちまして、最近いろいろ問題になっております地銀あるいは第二地銀の経営状況の問題について若干お聞きいたしたいと思います。  北海道銀行に対する早期是正措置とかあるいは国民銀行の破綻に見られますように、いろいろな問題が噴出しておるわけでございます。金融監督庁の地銀等に対する検査でございますけれども、既に普通の地銀に対する検査を終えて、第二地銀の検査も山を越したというふうに言われておるわけでございますが、地銀以下の中小金融機関に対する検査状況はどのようになっておるか、御報告をお願いいたしたいと思います。
  144. 五味廣文

    政府委員(五味廣文君) 地方銀行につきましては、現在までに六十四行すべてについて立入検査、考査を終了しております。これは日銀と連携して行っておりますので、日銀考査と連携のもとに検査、考査が終了しているということでございまして、うち五十六行についてその結果の通知が済んでおります。  次に、第二地方銀行でございますが、六十行ございます。このうち五十四行について立入検査、考査が終了しております。さらに、このうち十行についてその結果の通知が済んでおります。  信用金庫につきましては、八十九金庫に着手をしておりまして、現在そのうち三十四金庫について通知が済んでいる、こういう状況でございます。
  145. 菅川健二

    ○菅川健二君 この検査状況でございますけれども、五月末の決算発表までには、これまで表面化した道銀とか国民銀行などのほかに、特別な公的な対応を要する銀行、金融機関が続出するのではないかということが巷間伝えられておるのでございますけれども、この検査結果の状況から見ていかがでございましょうか。
  146. 乾文男

    政府委員乾文男君) 銀行の十一年三月期の決算につきましては、現在、各銀行におきまして取りまとめ中でございますので、現時点におきまして当局として銀行全体の決算内容について申し上げる段階ではないことを御了解いただきたいと思います。
  147. 菅川健二

    ○菅川健二君 今の決算そのものにつきましてははっきりしないかと思うわけでございますが、検査状況から見ていかがでございますか。
  148. 五味廣文

    政府委員(五味廣文君) 個別銀行の検査の状況というのは、今申しましたように手順がどこまで進んでいるかということはできるだけ皆様に御紹介するようにしておりますが、その具体的財務内容がどうであったかという点につきましては、個別行の財務状況を当行の意に反して公表するということにつながりますので、守秘義務の問題もございますし信用秩序に悪い影響を与えることもなしといたしませんので、従来から答弁は差し控えさせていただいております。御了承いただきたいと思います。
  149. 菅川健二

    ○菅川健二君 個別銀行については個別に答えることは難しいかと思いますが、今までかなりの銀行について検査いたしておるわけでございますので、例えば債務の状況等がかなり悪化しておるのか、あるいはむしろいい方向に向かっておるのか、そういう一般的な趨勢についてお答えいただきたいと思います。
  150. 五味廣文

    政府委員(五味廣文君) これまでの検査の結果を総合して見ますと、主要十九行の検査の結果につきましては十二月末に統括して御説明を申し上げております。  それによりますと、関連ノンバンクを初めとする関連企業への貸し付けにつきまして、その資産査定が当局の見る目と違って多少甘いところがあったりして、自己査定に比べますと資産の劣化というのが検査の結果においてはより進んでいたというようなことが見えております。  地方銀行以下につきましてはまだそういう集計をいたす状況に来ておりませんので、ここで御説明するのは難しいかと存じます。
  151. 菅川健二

    ○菅川健二君 なかなか中身がはっきりしないようでございますけれども、できるだけ検査が終わったら終わった時点におきまして、それぞれ個別の銀行についてどうこうということは難しいかと思いますが、例えば地銀は既に全行終わっておるわけでございますので、そういった節目節目できちっとした趨勢なり動向なりというものを発表していただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  152. 五味廣文

    政府委員(五味廣文君) 主要十九行の場合と同様、地方銀行あるいは第二地方銀行につきましても、検査の全体が取りまとめられました時点では何らかの形でどのような状況であったかということを御発表できるように努力してまいりたいと考えております。
  153. 菅川健二

    ○菅川健二君 特に金融問題については一般の国民に対して大変な影響を与えますので、不安のないようにぜひ情報の開示をよろしくお願いいたしたいと思います。  それから、金融検査マニュアルの最終的な内容が大体固まったようでございます。これに対応しまして、若干は従来の考え方より緩和されておるというふうになっておるわけでございます。いずれにしても、これがさらに地銀以下の中小金融機関の貸し渋りを促進するのではないかという懸念さえ出ておるわけでございますが、この点についていかがでございますか。
  154. 五味廣文

    政府委員(五味廣文君) 金融検査マニュアルにつきましては、金融検査マニュアル検討会、岩原紳作東京大学教授を座長といたします各リスクの専門家によるワーキンググループでございますが、この検討会におきまして検討が進められまして、今月八日、先週の木曜日でございますけれども、「金融検査マニュアル検討会最終とりまとめ」というこうした大部のものでございますけれども、発表されております。  この取りまとめの過程で、中小企業あるいは中小金融機関経営あるいはそれへの貸し渋りを助長するのではないかということがパブリックコメントで幾つも御指摘をちょうだいしたわけでございます。こうした御指摘も踏まえまして、この検討会においてこれへの対応というものを検討してまいりました。中小金融機関の団体あるいは借り手であります中小企業の団体からも詳しくその出されたパブリックコメントの趣旨などを聴取して検討を進めたということでございます。  こうした聴取の結果といたしまして、一番皆さんが御心配になっていたのは、マネーセンターバンクと中小金融機関が全く同じような考え方で検査を受ける、同じ基準で検査を受けるということになった場合、中小金融機関にとって大変つらいことになるのではないだろうか、したがってなかなか貸し付けが思うようにできなくなるということがあるのではないかと。また、借り手の側の話でございますけれども、中小企業と大企業では財務の状況、帳簿の整理の状況等が違うわけでございますので、これも全く同じような発想でそこに対する貸し付けの資産査定というものをチェックした場合、やはりどうしても中小企業に苦しいことになるのではないだろうか、これがまた貸し渋りを助長するのではないだろうか、こういったような御心配が中心でございました。  そこで、この検討会では、マニュアルの適用に当たりまして、まず総論的に検査官はどういう考え方でこのマニュアルを適用しなければいけないかということを述べております。そこのところにはっきりと明示的に、機械的な適用をしてはいけないんだということを記述することが大切だという御議論がございまして、総論の中に「マニュアルの適用にあたっては、金融機関の規模や特性を十分踏まえ、機械的・画一的な運用に陥らないよう配慮する必要がある。」と、こうした一文を入れました。金融機関の規模や特性に十分配慮するという点がポイントであるということが一つでございます。  それから、このチェックリストを適用いたしますときに、中小企業、借り手の側に対する資産査定のあり方というものが問題になる可能性があるということでございました。これは本来貸し渋りの問題とは直結しないのでございますけれども、中小企業団体の皆様等の御心配もございましたので、自己査定結果を検証する場合の考え方の中にこういう記述を明示しております。「特に、中小・零細企業等については、当該企業の財務状況のみならず、当該企業の技術力、販売力や成長性、代表者等の役員に対する報酬の支払状況、代表者等の収入状況や資産内容、保証状況と保証能力等を総合的に勘案し、当該企業の経営実態を踏まえて判断する」ということで、いわゆる帳簿書類が完備し所有と経営とがきれいに分離をした大企業に対する資産査定のチェックの仕方とはおのずと違うやり方があって、そういう点に十分配慮するようにという点を明示しております。  さらに、これだけでは心配だという向きもおありなようでしたので、信用リスクをチェックいたしますときの基本的な共通チェックリストでございますけれども、その中に健全な融資態度のチェックという項目を入れております。銀行なり金融機関貸し付けを行うに際しまして、健全な融資態度、例えば健全な事業を営む融資先、特に中小・零細企業等に対する円滑な資金供給の実行が確立されているか、この点をチェック項目としてチェックリストに加えております。  さらに、当局が定める金融検査マニュアルを理由に、健全な事業を営む融資先に対する資金供給の拒否や資金回収を行うなどの不適切な取り扱いが行われていないか、マニュアルを口実とした貸しはがし、貸し渋りが行われていないかどうかもチェックをするという項目を追加いたしております。  いずれにいたしましても、金融機関が融資を行うかどうか、貸し渋りをしないかどうかという点は、借入先の財務状況だけではなくて、そこの事業計画ですとかあるいは投資効果ですとか、こういったものを各金融機関が総合的に経営判断として考えた上で実行していくということであります。  この検査マニュアルの基本的考え方にも書いてありますけれども、金融機関の本来の任務というのは適切なリスク管理というものを前提にして積極的なリスクテークを行っていく、そして信用創造をする、これが金融機関金融機関たるゆえんでありますので、こうした基本的な業務を果たすということがきちっと行われているのかどうか、またこうした業務を果たすために、貸し渋りという手法ではなくて、逆に貸すべきところに貸せるようにきちんと自己資本の増強などを行っているのかどうか、これをチェックしていくということが大切であります。健全な融資態度が確立できているかどうか、これをチェックしていく、マニュアルもそういう思想に立っております。  他方で、こうしたチェックをきちっとするということは、当局といたしましては、私どもは預金者の代理人でありますし、また公的資金金融システムの安定のために投入をされているという現状にかんがみますれば、我々は同時に納税者の代理人でもあるわけでありますので、赤信号になったときにきちっと金融機関がブレーキを踏んでくれるかどうか、これは厳格にチェックをしていく必要があるということでありまして、本来、貸し渋りの問題とこの金融検査という問題はつながってはいけないはずのものであります。  金融機関に対してもこういった考え方というものを確立していただけるように今後十分御説明をしてまいりたいと考えております。
  155. 菅川健二

    ○菅川健二君 マニュアルにおきましてはいろいろな配慮をされておるということはお聞きいたしたわけでございますが、これが実際の検査におきまして適正に行われるように引き続き御努力をお願いいたしたいと思います。  本題の法案につきましては、資金調達手段多様化という面におきまして意味があると思うわけでございますが、先ほど来話がございますように、出資法に定められております金融業者の貸し出しの上限金利が四〇%というのは低金利時代には余りにも高過ぎるわけでございます。大蔵大臣は先ほどこれは時間がかかると言われたわけでございますが、今ほどの低金利時代というのはかつてなかったわけでございますので、そういった面に対応した金利水準引き下げの御検討をぜひ早急にお願いいたしたいということを要望して、私の質問を終わらせていただきます。
  156. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  157. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 私は、日本共産党を代表して、金融業者貸付業務のための社債発行等に関する法律案に反対の討論を行います。  本法案大手ノンバンクに限り貸付資金社債調達を可能とするものであります。  近年、個人破産、多重債務者が急激に増加し、昨年は十万人を超えました。その背景には、国民生活センターも指摘するように、消費者金融、商工ローンなどの余りにも高い貸出金利過剰貸し付けに問題があります。金利に関しては利息制限法がありますが、罰則規定がないためほとんど守られていません。高金利是正のためには出資法罰則金利引き下げが必要です。しかし、政府は、本法案によって大手ノンバンク資金調達コスト引き下げが可能になると言いながら、出資法罰則金利には全く手をつけていません。  また、本法案では、貸金業規制法事務ガイドライン違反の行為を繰り返し問題を指摘されているノンバンクでも社債発行ができるようになっています。  高金利過剰貸し付けの問題を放置したままこのようにノンバンク資金調達チャネルを広げれば、無差別な過剰融資など違法な行為を横行させ、多重債務者自己破産などを増加させるだけであります。  政府貸金業規制法市場による監視によって問題は解決されるという立場をとっていますが、日栄や商工ファンドの例を見ても、貸金業規制法の規制では不十分で、かつ投資家利益と借り手の利益は一致しないことは明らかであります。  最後に、多重債務問題、自己破産問題の解決のため、出資法上限金利引き下げを強く求め、討論を終わります。
  158. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  金融業者貸付業務のための社債発行等に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  159. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、広中君から発言を求められておりますので、これを許します。広中和歌子君。
  160. 広中和歌子

    広中和歌子君 私は、ただいま可決されました金融業者貸付業務のための社債発行等に関する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、社会民主党・護憲連合、自由党及び参議院の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     金融業者貸付業務のための社債発行等に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。  一 金融業者発行する社債を購入する投資者を保護するため、金融業者の監督体制の強化を図るとともに、不良債権の状況など融資業務の特殊性に対応したディスクロージャーの充実を図ること。また、本法律に基づいて金融業者発行する社債については、社債と銀行預金等との違いを正しく認識した上で投資者が購入できるように、その趣旨の周知・徹底を図ること。  一 多重債務問題が深刻化している現状にかんがみ、金融業者に対し、与信審査の一層の厳格化、過剰貸付の禁止、貸出金利の引下げ等について適切な指導・監督・要請を行うとともに、暴力的取立てなどの悪質な行為は厳重に取り締まること。また、借手に対する消費者信用教育、カウンセリング機能の充実等を図るほか、統一的な消費者信用保護に関する法整備について検討すること。  一 出資法等で定められている金融業者貸出金利の規制の在り方については、借手保護の視点も踏まえ検討すること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ御賛同いただきますようお願いいたします。
  161. 勝木健司

    委員長勝木健司君) ただいま広中君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  162. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 全会一致と認めます。よって、広中君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、宮澤大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。宮澤大蔵大臣
  163. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨を踏まえまして配意してまいりたいと存じます。
  164. 勝木健司

    委員長勝木健司君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  165. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  166. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 国際協力銀行法案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。堺屋経済企画庁長官。
  167. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) ただいま議題となりました国際協力銀行法案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  特殊法人の整理合理化については、行政の減量化と新たな時代の要請にこたえるため、総合的かつ全般的に見直しを行い、平成七年三月に、日本輸出入銀行と海外経済協力基金について、国際経済社会への機動的、効率的貢献のための執行体制の確立等を図る観点から、これらを統合するとの閣議決定がなされたところであります。  同閣議決定に基づき、特殊法人の整理合理化を推進するため、日本輸出入銀行及び海外経済協力基金を解散して国際協力銀行を設立することとし、国際協力銀行の設立、組織、運営等に関し必要な事項について定める本法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、国際協力銀行においては、一般の金融機関と競争しないことを旨としつつ、我が国の輸出入もしくは海外における経済活動の促進または国際金融秩序の安定に寄与するための貸し付け等を行うとともに、開発途上地域の経済及び社会の開発または経済の安定に寄与するための貸し付け等を行い、我が国及び国際経済社会の健全な発展に資することとしております。  第二に、日本輸出入銀行と海外経済協力基金は国際協力銀行の設立のときにおいて解散するものとし、その一切の権利及び義務はそのときにおいて国際協力銀行が承継することとしております。  第三に、国際協力銀行の役員につきましては、特殊法人の統合の趣旨に即して、役員数の縮減を行うこととしております。  第四に、国際協力銀行は、その目的を達成するため、設備の輸出等のために必要な資金貸し付け等、重要物資の輸入等が確実かつ適時に行われるために必要な資金貸し付け等、我が国の法人やその出資に係る外国法人等が海外において行う事業に必要な資金貸し付け等、外国政府等が海外において行う事業等に必要な長期資金等の貸し付け等並びに開発途上地域の外国政府等が行う開発事業の実施等に必要な資金のうち、資金の供与の条件が開発途上地域にとって重い負担にならないよう金利、償還期間等について緩やかな条件が付されているものの貸し付け等及びこれに必要な調査を行うこととしております。  第五に、国際協力銀行の予算及び決算につきましては、国の予算及び決算とともに国会に提出し、その議決を要することとしております。  第六に、国際協力銀行の財務及び会計につきましては、国際金融等に関する業務と海外経済協力に関する業務に係る経理を明確に区分することとするとともに、所要の規定整備しております。  第七に、国際協力銀行の監督等に関し、主務大臣が監督上必要な命令をできることとしております。  その他、日本輸出入銀行と海外経済協力基金の解散に伴う経過措置等を定めることとしております。  以上が本法律案を提案する理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  168. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時十三分散会