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委員以外の議員(直嶋正行君) 私は、民主党・新緑風会を代表し、ただいま議題となりました
所得税法の一部を改正する
法律案並びに
児童手当法及び
所得税法の一部を改正する
法律案について趣旨を御
説明申し上げます。
まず、二法案の提案理由を御
説明申し上げます。
私たちは、今日我が国が直面しているかつてない
長期不況からの脱出のためには、とりわけ低迷している個人消費を思い切って刺激することが必要であり、昨年
橋本内閣が行ったような場当たり的な定額減税や
小渕内閣が現在提案しているような最高税率のみの引き下げと定率減税を組み合わせた継ぎはぎの減税ではなく、将来の
税制改革の方向をしっかりと見据えた制度減税を前倒しで実現するという観点が必要であると考えております。
昨年十一月に民主党が策定した「
構造改革につながる
景気・雇用対策」の中では、その基本的な考え方を次のように整理しております。すなわち、第一に
経済活力と
国民の安心をもたらす抜本的
税制改革の方向に沿った減税を行うこと、第二に総合課税化・課税ベース拡大による不公平是正が不可欠であること、第三にすべての所得階層を対象とした税率引き下げの制度減税を行うこと、第四に所
得税の五
段階の累進税率構造は維持すること、第五に人的控除は可能な限り社会保障制度上の歳出措置に移し
税制を簡素化すること、そして第六に所得減税は所
得税のみで行い地方
財政破綻を招く地方税減税は行わないということであります。
このような考え方に沿って、今般、民主党・新緑風会は二つの法案を政府案への対案として
提出いたしました。
一つは、
所得税法の一部を改正する
法律案であります。
この法案は、今後の我が国の
経済の活力を高める等のための抜本的な
税制改革を実現することが緊要な課題であることにかんがみ、個人所得課税について、
納税者番号制度の
導入による総合課税の推進、各種人的控除等の見直しによる課税ベースの拡大を図りつつ税率の引き下げを行うという抜本的な
税制改革の方向に沿って、その一環として、所
得税の負担の軽減を図るため、税率の一律二割引き下げを行おうとするものであります。
他の
一つは、
児童手当法及び
所得税法の一部を改正する
法律案であります。
この法案は、現在の所
得税における扶養控除等の人的控除が
税制を極めて複雑にし、課税最低限を諸外国に比べて著しく引き上げているだけでなく、これが所得控除であるために、高い限界税率が適用される者ほど大きな恩恵を受けるという逆進的性格を有していること、子供などの家族の扶養に要する
経済的負担は本来社会保障制度によって考慮されるべきものであることなどにかんがみ、これらの抜本的な見直しに着手しようと提案したものであります。
すなわち、本法案は、児童手当制度を拡充し、子育てに係る
経済的負担を軽減するために、児童を養育している父母等に対し子育て支援手当を支給すること等により、次代の社会を担う児童等のいる家庭における生活の安定に寄与することを目的とする子育て支援手当制度を創設するとともに、個人所得課税における各種の人的控除制度の見直しの一環として、扶養児童等に係る扶養控除の制度を改めようとするものであります。
次に、二法案の
内容の概要を御
説明申し上げます。
所得税法の一部を改正する
法律案では、第一に、税率を現行の一〇%ないし五〇%から一律二割引き下げて八%ないし四〇%とするとともに、最低税率区分の適用される所得金額の上限を現行の三百三十万円から四百万円に引き上げることとしております。
第二に、利子、配当、株式譲渡益等の分離課税を廃止するとともに、
納税者番号制度を
導入するための法制の整備を
平成十四年三月三十一日までに行うものとする規定を附則の中に設けております。
第三に、この
法律の施行期日を本年四月一日とし、
平成十一年分以後の所
得税について適用することとしております。
その他、経過措置等の所要の規定の整備を行うこととしております。
児童手当法及び
所得税法の一部を改正する
法律案では、第一に、
児童手当法の題名を子育て支援手当法に改めるとともに、目的規定を、制度拡充の趣旨に沿って、子育て家庭における生活の安定に寄与することを目的とすることに改めております。
第二に、児童手当については、従前の
児童手当法における児童福祉の理念を継承しつつ、児童手当の支給対象を、現行の三歳未満の児童を監護する父母等から、十八歳未満の児童を監護する父母等に大幅に拡大しております。また、支給額を現行の倍額の第一子、第二子一人月額一万円、第三子以降一人月額二万円に引き上げるとともに、父母等の所得制限を子二人のサラリーマン世帯の場合で給与年収千二百万円程度に引き上げることとしております。
第三に、所得が一定額以下の十八歳から二十三歳未満の子の生計を維持する父母等に対して、児童手当に準じた支給額、所得制限による子育て継続手当を支給することとしております。
第四に、右の児童手当及び子育て継続手当の支給に要する費用の九九%を国が負担することとし、都道府県及び市町村の負担額を従前の負担額の範囲内にとどめることとしております。また、サラリーマン等についての手当支給に要する費用の一般事業主負担を廃止することとしております。
第五に、
所得税法の扶養控除の対象を障害者及び年齢七十歳以上の扶養親族に限定することとしております。ただし、二十三歳以上七十歳未満の扶養親族については、当分の間、扶養控除の対象に含めることとしております。
第六に、この
法律の
児童手当法改正に係る部分についての施行期日を本年十月一日とし、
所得税法改正に係る部分についての施行期日を
平成十二年一月一日としております。
その他、経過措置等の所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が民主党・新緑風会の
提出した
所得税法改正等二法案の提案理由及び概要であります。
何とぞ、御審議の上、御賛同を賜りますようお願い申し上げ、私の趣旨
説明といたします。