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1999-03-09 第145回国会 参議院 財政・金融委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年三月九日(火曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  三月五日     辞任         補欠選任      木俣 佳丈君     浅尾慶一郎君      橋本  敦君     笠井  亮君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         勝木 健司君     理 事                 石渡 清元君                 金田 勝年君                 広中和歌子君                 益田 洋介君                 池田 幹幸君     委 員                 岩井 國臣君                 片山虎之助君                 西田 吉宏君                 林  芳正君                 日出 英輔君                 平田 耕一君                 浅尾慶一郎君                 伊藤 基隆君                 峰崎 直樹君                 浜田卓二郎君                 笠井  亮君                 三重野栄子君                 星野 朋市君                 菅川 健二君        発議者      林  芳正君        発議者      峰崎 直樹君        発議者      益田 洋介君        発議者      星野 朋市君        発議者      菅川 健二君        発議者      広中和歌子君    委員以外の議員        発議者      塩崎 恭久君        発議者     日下部禧代子君        発議者      直嶋 正行君    国務大臣        大蔵大臣     宮澤 喜一君        国務大臣        (金融再生委員        会委員長)    柳沢 伯夫君    政府委員        金融再生委員会        事務局長     森  昭治君        金融監督庁長官  日野 正晴君        金融監督庁検査        部長       五味 廣文君        金融監督庁監督        部長       乾  文男君        法務省民事局長  細川  清君        法務省刑事局長  松尾 邦弘君        大蔵政務次官   中島 眞人君        大蔵大臣官房総        務審議官     武藤 敏郎君        大蔵省主計局次        長        坂  篤郎君        大蔵省主計局次        長        藤井 秀人君        大蔵省主税局長  尾原 榮夫君        大蔵省理財局長  中川 雅治君        大蔵省金融企画        局長       伏屋 和彦君        大蔵省国際局長  黒田 東彦君        国税庁課税部長  森田 好則君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田 成宣君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○財政及び金融等に関する調査  (財政及び金融等基本施策に関する件) ○特定融資枠契約に関する法律案塩崎恭久君外  六名発議) ○平成十一年度における公債の発行特例に関す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○経済社会変化等に対応して早急に講ずべき所  得税及び法人税負担軽減措置に関する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○租税特別措置法及び阪神・淡路大震災被災者  等に係る国税関係法律臨時特例に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出、衆議院送  付) ○有価証券取引税法及び取引所税法を廃止する法  律案内閣提出衆議院送付) ○所得税法の一部を改正する法律案峰崎直樹君  外三名発議) ○児童手当法及び所得税法の一部を改正する法律  案(峰崎直樹君外三名発議)     ─────────────
  2. 勝木健司

    委員長勝木健司君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る五日、木俣佳丈君及び橋本敦君が委員を辞任され、その補欠として浅尾慶一郎君及び笠井亮君が選任されました。     ─────────────
  3. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 財政及び金融等に関する調査を議題とし、財政及び金融等基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 平田耕一

    平田耕一君 平田でございます。よろしくお願いいたします。  大臣は、一月の財政演説において、所信として、日本経済金融不安、雇用不安などが重なり極めて厳しい低迷状況にある、先行きは極めて不透明だ、こうした中、国民の英知を結集して国の内外から求められている役割にこたえられるようにしたいと申しておられます。また、三月四日の所信表明でも、我が国経済再生に強い姿勢を示しておられるわけでありますが、冒頭改めて御決意をお伺いしたいと思います。
  5. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 小渕内閣が発足いたしまして、不況打開至上命題といたしておるわけでございますが、財政経済につきましては、補正予算、それからただいま御審議願っております本予算等々におきまして、かなり大きな減税、それから施策を盛り込みまして、その反面、大きな国債発行を予定しているわけでございます。と同時に、金融のいわゆる不良債務の問題等々につきましては、国会の御発案、御助力も得まして二つの法律が昨年成立をいたしまして、それに従いまして公的資金導入が今まさに行われようとしておるところでございます。この両様から大体景気回復のための道具立ては整いつつあると考えておるわけでございます。  それによりまして、平成十一年度は〇・五%の、何半期か続きましたマイナス成長からとにかくプラス成長に入りたい、そして平成十二年度には願わくは二%ぐらいのプラス成長軌道に入っていきたい、こう考えておるわけでございます。  問題は、そのような道具立てが整いまして、予算は執行されつつあり、また金融の非正常化は少しずつ直りつつはございますが、さてそれがはっきり景気回復になってあらわれるかどうか。いずれにしても、日本経済そのものは広い意味でのインベントリーが非常に厚うございますので、それを乗り越えて果たしてポジティブな成長にまで行けるかどうかというのが今の現状であると思っております。事態は決して悪くなっておるはずはありませんで、よくなりつつあることは確かでございますが、水面に出られるのか出られないのかということはまだ何ともわかりにくいのが現状であろうと思います。  殊に、今この一—三月という時期が企業決算期でもございますし、また恐らくその決算においては過去の企業の業態からいいますと相当悪い決算を覚悟しなければなりません。それから、雇用に心理的な影響を与えるということも考えておかなければなりませんので、ともかくこの一—三月を何とか乗り切っていきたい。水面の方に向かって経済が進行しておることは確かでございますけれども水面の上に出られるのか出られないのかというところが十分に判断のできないところで、それだけにこの一—三月の景気動向に気を配っているところでございます。
  6. 平田耕一

    平田耕一君 ありがとうございます。  多少御答弁ともダブるのかもしれませんけれども、総理の諮問機関であります経済戦略会議最終報告提出をいたしました金融安定期、そして経済成長回復期、そして二〇〇三年—二〇〇八年度に財政再建財政改革等構造改革を行う内容になっておるわけでありますが、当委員会にとりましても大変かかわりのあることでございますので、当面の財政金融政策等との関連におきまして、その報告実効性について御所見をお伺いいたしたいと思います。
  7. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先般の経済戦略会議報告につきましては、ただいま平田委員の御指摘の点は幸いにして私が従来考えておりましたところとほぼ軌を一にいたしております。  私は、以前から自分一つ見通しと申しますか胸算用で、ともかく平成十一年度に〇・五%という、これはもう四四半期続きましたマイナス成長から脱出をしたいと申し上げておりました。そしてその次に、それができたら平成十二年度にははっきりしたプラス成長に乗っていきたい、願わくは二%ぐらいの成長に乗って、それがはっきり軌道に乗ったということになりましたら、今ほうっております財政再建、あるいは税も、地方と中央の関連も、一挙に二十一世紀の新しい日本というものを頭に置いて抜本的な改革をいたしたいと思っております。その時期は多分二%の成長軌道に乗って、それがまず確実にいいサイクルになると考えられるような時期ではないかと思うということを申し上げておったわけでございますから、その点は戦略会議が言っておられることとほぼ軌を一にしておると思います。  それから、八年というふうなことを言われました点は私は申しておりません。そうであるかもしれないと思っておりますが、ともかくそこのところまで読み切れませんので、その段階財政税制等々の抜本改革がはっきり成長軌道に乗りました日本経済を背景にして行われなければならない、ぜひそれはやりたい、こういうふうに考えております。
  8. 平田耕一

    平田耕一君 しからば、その景気判断ということでありますけれども、概略でありますが、平成四年以降今日まで緊急経済対策におきます財政追加の総額は百兆円を超えるわけであります。十一年度予算もかつてない景気浮揚型予算であります。その上で、月例経済報告では二カ月連続で変化の胎動という表現で明るい見通しもあるように伺っておるわけでありますが、私たちはどうも現場の感覚から見まして相当厳しい局面だなと思っております。大まかなそれらの一連の流れにつきまして蔵相の所見をお伺いしたいと思います。
  9. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私が先ほどインベントリーと申し上げましたのは、非常に広い意味で申し上げているつもりでございまして、一般に言われております在庫はもちろんそうでございますが、過剰な設備投資もその一つでありますし、また家計の消費の不振もとにかく物は買わなくても済むという意味でのインベントリーと申し上げることもできるだろうと思います。  そういう意味で、これを仮にヘドロヘドロという言葉は余り気持ちのいい言葉ではございませんけれども、一生懸命立てていってもどのぐらい底があるのかよく見えないという気持ちを申し上げようとしておりますので、ただいま平田委員の言われましたまさに百兆円に近い公共投資、あるいはいろんな意味での努力があるにもかかわらず一向に日本経済水面上に出てこないのは、いわゆるヘドロの部分で吸収されてしまっておるのであろう、比喩的な表現でございますけれども、そう思っております。しかし、いかなるインベントリーでも無限に、永久に尽きないということはあり得ないわけでございますから、努力によって必ずいつか水面に出てくるはずである、その時期は近いであろうと、堺屋長官はきっと兆しということで言っておられるのだと思います。  私もその時期は遠くないだろうと思っております。最近でも多少建築にいい指標が見えるとか、あるいは在庫が少しずつ減っておるらしい、あるいは白物が売れるとか鉱工業生産指数が少しプラスになるとか、そう思って見ると幾つかいい要素もございまして、水面が近いのかなという感じが確かにないわけではございません。  しかし、水面に出たらその後急上昇するかと申しますと、先ほど申しましたようなことでございますから、やっと在庫を超えてプラスが出てきたという程度、ゆっくりした回復以上のものは望めないと思いますが、とにかく水面に出られるようになりましたら、後はもう少し計数的にとらえられるような経済動きになってくるのではないかと思っております。
  10. 平田耕一

    平田耕一君 大臣から在庫率指数という御発言がありましたけれども、従来ですと在庫量が減れば生産活動に結びつくというタイムラグが非常に少なかったわけですが、今日その動きが見られないということにいろいろ業界も苦労をいたしておりまして、それぞれの業界において適正在庫量というものを減らして生産活動ができる状況になっているんだろうというふうに思っておるんです。  そこで、申されました鉱工業生産指数在庫調整等の明るさが見られて、トンネルの出口が近い、こういう表現をされておるわけでありますけれども、やっぱりこの局面は大きな二番底というものを実際我々は心配いたしておるわけでありまして、そういった場合の対応なりあるいは御見解なりをお伺いしたいというふうに思います。
  11. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 経済企画庁指数でございますが、在庫率指数は、平成七年を一〇〇といたしまして、昨年の十一月が一一一、十二月が一〇七、一月が一〇四で、これで見ますと在庫率指数はかなり好転をしているように見えます。  しかし、私も平田委員の言われましたような憂いを持っておりますのは、適正在庫というものの水準がかつて我々の知っていた数年前あるいはこの不況に入ります前と今と同じであるのかないのかということが第一に問題だろうと思いますし、それから日本の、殊に製造業は激しい変化をしておりますから、かつての製造業のあり方あるいはその在庫稼働率等々というものが今でも同じなのかどうか。一般的に考えると、恐らくそれは同じではないというふうにとらえておいた方がいいのではないかとすら思いますから、そういたしますと何を言っているのかわからぬというようなことになりますが、そこまで申しませんでも、二十一世紀日本経済は今までの経済とかなり違ったものになるということをお互いが予知しております限りにおいて、過去のこういうものが今プラス成長に入るか入らないかという予測の中でどれだけ頼りになるのかということは私も実は疑っておるところがございます。
  12. 平田耕一

    平田耕一君 あるいは通産なり経済企画庁なりという御答弁の範囲になっていきますので、しかしなおかつ景気回復ということにつきましては、金融システム不安解消とも絡んで大変難しいかじ取りをしていただいておるわけでありますけれども、もう一つの大きな要因として、金融再生にとりましては、早急に景気回復させて資産価値の下落をとめる、これが大変重要なことであろうというふうに思っております。景気回復資産価値を含めた金融再生の二大課題というものが軌道に乗るかどうかの大変な瀬戸際だろうというふうに思っておるわけでありまして、大臣の御指導力を大いに期待申し上げる次第であります。  そこで、景気浮揚のための国債増発によって日銀国債引き受け是非論というものが金利調整手段ということで多少論争になったわけでありますけれども大蔵省の発表のされ方というのが、既発長期国債買い入れを再開するということで現段階は決着がついたようであります。しかし、その辺がどうも金利誘導という点ですっきりと国民にわかる政策というものが見えないような気がいたしますが、その辺について御説明いただければありがたいと思います。
  13. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 短期金融につきましては、以前から日本銀行は低目誘導ということを心がけてこられましたけれども、殊に二月に入りましてからさらに総裁がそれを徹底されまして、今ごらんのようにオーバーナイトレートはゼロでもいいというようなことまで言われまして、現に〇・〇二というようなレートになりますと、手数料を引きますと何も残らぬというまことに思い切ったことをやっておられます。  各国ともこれはある意味で非常に驚きを持ち、また関心を持って見ているようでございます。そのさしずめの効果は、総裁自身が言っていらっしゃいますけれども、ある意味投資の対象がオーバーナイトから一月物あるいは三月物へ、あるいはさらに長期へも影響がありまして、長期利子水準もここへ来て下がっております。また、株式にも影響があったようであるし、為替もそこそこのところへ来たと。これは総裁が先ほどある委員会で言われたのを私は聞いておりましたので、自分もそう思いますから御紹介をいたすわけですが、短期レートはそれでいいといたしまして、長期レートにつきましては昨年の暮れから今年の初めにかけましてかなり急上昇をいたしまして、二を超えたわけでございます。  これは平成十一年度に大量の国債発行するということがいよいよ現実になってきたことと、たまたま資金運用部が、平成十一年はともかくも、十二年には明らかに原資が減るということを考えておかなければならない事情もありまして、月中の買い入れを一月はやめた。そして、それから後、新年度ももうやめるということを一遍お互いに話し合ったわけでございますが、そのことに、私はこれはやや過剰であったと思いますが、過剰に市場が反応いたしまして、長期レートは昨年の十月、もっと前ごろは〇・六などというレートがあったわけでございますから、それが急に、急にと申しますか、十一月ごろから急上昇して二まで行ったということには多少私どもも不用意な点があったと思います。  過剰に反応されたとはいうものの、もう少しそこを考えておくべきだったという思いはございますが、その後、私どもも二月、三月にはもう一遍月中の買い入れをやりましょうということを申したりいたしまして、市場も多少過剰な反応であったと思われるものが正常に戻ってまいりました。二を切りまして一・九とかいうところへ来ておりましたところへ日銀の低金利がありましたので、その金が国債に向かいましたせいもありまして国債の価格が上昇して、今長期金利は一・六何がしあたりかと思いますが、一応落ちついております。  しかし、これはよほど注意をいたさなければならぬと思います。幸か不幸か民間の資金需要がございませんから、クラウディングアウトをするというようなことは、あればむしろいいぐらいなもので、なかなかそれだけの資金需要は出ないと思います。しかし、だからといって長期金利というものを注意して見ておかないといけない。本来、長期金利というのは、日銀にも、あるいはある意味でどこにもと申しましょうか、マーケットで自然に決まるものとは申しながら、しかし国債をかなりたくさん発行する私どもとしては、それについて無関係だというようなことは多分言ってはならないですし、そう大きな影響力がないにしても絶えず注意していなければならないことだろうというふうに思っております。
  14. 平田耕一

    平田耕一君 そこで、関連して多少お尋ねをしておきたいことがございます。不良債権処理ということで、債権放棄についてお尋ねをしておきたいと思います。債権放棄という一つ言葉ではなかなか表現できないような不良債権処理というのがあると思うのですけれども、こういう観点でお尋ねをするわけです。  それはいわゆる金融機関がゼネコンに対する債権を放棄するということにつきましてなかなか国民感情で割り切れないものがあるわけでありまして、どのように説明をしたらいいのかなというふうに苦慮をしておるわけですが、そのことにつきましてお考えがございましたらお聞かせいただきたいと思います。
  15. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 債権放棄が最近一番世の中の注目を引きましたのは、昨年、長期信用銀行がまだ健在であって、そして住友信託銀行合併を計画しましたときに、長銀の側で幾つかの債権放棄をするということが合併の条件でありました。このことは、恐らくそれによって住友が母体行としての責任を果たす、そのかわり他の金融機関については、そのかわりと言っては語弊がございますけれども、これは自分責任を負いますと。しかし、しかるべきところは各行とも御協力願いたいというような気持ちであったかと思います。  それからもう一つは、あそこで債権放棄をしなければ幾つかの貸出先は恐らく破綻をして、そこから二次災害言葉はおかしゅうございますが、二次災害がかなりの大きさで起こるということもわかっておりましたから、そういう意味長銀債権放棄を決心したのだろうと思います。そのことは長銀住友信託との合併という全く私的な契約内容でございますから、私はそれなりの合理性があったと思っておりました。  ところが、事は長銀公的資金導入するというところに発展いたしましたので、あたかも債権放棄した分を納税者の金で埋めるがごとき印象を与えることになりましたので、そこでこの話は終わりになったわけで、債権放棄はついになされないままになりました。  しかし、これは公的な関与が出たからでありまして、普通の場合のいわゆる債権放棄、今どこかの市中銀行がある会社に対して債権放棄をするといったようなことは私自身は私的な関係だろうというふうに考えております。何らかの意味でそのことが銀行側にとって有利である、あるいは相手の企業にとっても有利であると。取り立てるものは全部取り立ててしまえと考えるよりは、債権放棄の方が関係者にとって有利である、あるいは国民経済全体にとっても有利かもしれない、そういう私的な判断で行われているものと考えるべきではないかと思います。  ただ、まさに平田委員がおっしゃいますように、そのことがまた公的資金導入というものの向こう側にあるという、ここのところの説明だと思いますけれども、それは再生委員会金融監督庁もよほどよく見ておられるようでございますので、その間投入される公的資金がその裏打ちをするとか、あるいはそういうことに用いられておるとかいうようなことは、今度はかなりはっきり、しかも行われました銀行検査の上でなされておりますから、そういうおそれは恐らくないものであろうというふうに感じております。
  16. 平田耕一

    平田耕一君 質問は公的資金の注入と関連してお尋ねしようとは実は思っておりませんで、答弁は当局で結構なんですけれども、こういうことなんです。  債権放棄を喜んでする経営者はだれもいないと思うんです。報道によりますと、四、五年先に再建できる会社に対して債権放棄をするということになっておりますので、しからば五年先、十年先に再協議をして、しばらくしてから利払いなり元本の払いを開始するということが、国民はそれならそうだなと思うけれども、四、五年先なら回収できる状況になると宣言をしておいて、そこに対して債権放棄をするということは、金融機関が要するに自己資本比率の達成のために分母を小さくするということであれば、それはそれで何らかの方法を講じて、実質五年先であろうが十年先であろうが、たとえ一万円でも二万円でも入ってくる方がいいに決まっておるわけですから、そこのところがどうも納得がいかないのです。  公的資金と切り離して、債権放棄というものについて、税制上の扱いであるとか企業会計上の扱いであるとかということを総合的に、短い時間ですので、どんなふうに、一千万円の借金で苦しんでいて、私も債権放棄してほしいなという人がたくさんいるわけでありますけれども、小さな銀行は七年の貸し付けを二十年にして面倒を見たりしているわけなんですが、同じようなことでいいんじゃないかなと思うので、そんなことをお尋ねしたいなと思っておりましたので、どうぞひとつお願いします。
  17. 森田好則

    政府委員森田好則君) お答えいたします。  金融機関債権放棄した場合の税務上の取り扱いについて御説明いたします。  大きく分けて二つあると思いますが、まず法人の有する金銭債権の全部または一部が回収不能と認められる場合には、当該回収不能額会社更生法あるいは和議等法的手続により切り捨てられるとき、あるいはまた債権者集会協議決定で合理的な基準により債務者の負債を定めたもの、そういったものなどに基づきまして切り捨てられたときは、貸し倒れ損失という世界の中で損金の額に算入されます。  それからまた、そういう貸し倒れ損失の世界とは別に、法人がその子会社等の整理あるいは再建のために債権放棄した場合には、その債権放棄が合理的な再建計画に基づくものであることなど経済合理性があると認められるときには、その債権放棄により生ずる損失の額は寄附金の額に該当せず損金の額に算入する、そういうふうな扱いになっております。
  18. 平田耕一

    平田耕一君 もう一つのことがきっとわかっておってそう言っていただいておるんだろうと思いますけれども、それは本当に金額が大きければつぶれない、借金が多ければつぶれないという形のことになっていきますので、どうぞひとつすっきり説明できるようにしていただきたい。  しからば、御答弁を受ければ、そういうふうに合理的な計画を提出する段階を和議とか更生法の手続に入る前段階にとらえて、健全な状態とそういう状態との中間地帯の法的な立場というものを明確にして、その間債権はどうするんだと。しかるべき後に回収するんだとか、一定時期に協議をするんだとかというような法的な立場を、立場といいますか債権に関する定めをぜひともひとつお考えいただいて、そういう経済行動というものは大企業のやることであっても中小企業で苦しんでいる人たちにも非常に理解しやすい形で一貫性があるように、御指導なり研究をひとつ早急にお願い申しておきたいというように思います。  それはそれとしまして、もう一つ我が国の経済に対しましては、外的要因で、大きな変動要素であろうと思いますけれども、ユーロにつきまして、昨年暮れに視察をEU議会との交流でやっていただいたわけなんですが、日本の当局の中にも、なかなかこのユーロの成功、不成功、成否については難しいものがあるんじゃなかろうかという意見も多分にあるようであります。そのことと関連をして、日本の円自体も基軸通貨として育てていかなきゃいかぬという環境整備もあろうかと思いますけれども、ユーロのそういった状況につきまして概略のお考えを大臣よりお伺いできればと思っております。
  19. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 三十年余りいろいろに言われながらついにユーロが誕生したということはやはり画期的な出来事だと思います。しかも、あれだけの大きな経済力を背景にした通貨でございますから、今までドルの一極体制であった世界の通貨に新しく一つ、どのぐらいのジュニアパートナーであるか、そこはいろいろございましょうけれども、第二の通貨が登場したということはやはり画期的な出来事であろうと思います。  一月に誕生しましてから、きょうまで六%、七%ぐらい、ちょっとドルに対して減価をしているようですけれども、発足当時にヨーロッパ中央銀行総裁は、もともと自分は強いユーロをつくるつもりはない、むしろ域内各国の物価安定が優先するということを言っておられましたから、そのことは大して懸念をしておられるようではありません。  むしろ、ドイツ、フランスは御承知のように非常に失業が高うございますし、殊にドイツは新しく政権が交代をいたしましたから早く金利を下げたいという感じがあるらしく思われますが、しかしそのことはなかなかユーロの中央銀行の立場から簡単にのめる話でもないといったようなことで、今後ユーロの中央銀行と今までございました各国の中央銀行とそれから政治とがどういう関係になっていくか。いずれにしても、この問題は時間とともに解決しなければならない問題ですが、今そこが試行錯誤の状況にあるように思われます。  しかし、それはそれとしまして、明らかにユーロというのは第二の世界通貨と申しますか基軸通貨と申しますか、そういうものに私はなっていくであろうと思っておりまして、そこへいきますと、円は第三の通貨であるかといいますと、なかなかそういう国際的な評価を円に与えるということは今の現状では適当なことではない。我々がやがてそういう方向を志向することがいいかどうか、そういう方向に入っていければという気持ちはございますけれども、なかなかまだ時間のかかることであろうと思っております。
  20. 平田耕一

    平田耕一君 ありがとうございます。  最後にしたいんですが、二〇〇一年のペイオフについて私は柔軟に対応すべきだろうというふうに思っております。自分はそう考えておりますが、御意見をお伺いしたいと思います。
  21. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) いろいろ御意見のあることも存じております。ただ、今回十五行に公的な資金を導入したことでもおわかりいただけますように、かなり急速に金融機関側の不良債権問題の処理が進んでおりますし、またそのことは対外的にも認められつつあって、ジャパン・プレミアムがほとんど解消しかかっておるようでございます。そういうふうに考えますと、まず日本の信用秩序というものは回復しつつあるのではないかと思います。  今、金融機関自身がペイオフは二〇〇一年の三月には終了するということを前提にリストラをやっておるわけでございますし、またそういうことがあってこそリストラをし競争をしなければならないということになるわけでございますから、やはりここはペイオフの時期というのは動かすべきではないだろうと思います。  また、そういう金融機関側の状況の改善あるいは体制の整備ということを預金者側もかなり知りつつございますから、この時期がこれでおしまいであるということに恐らく預金者が、預金者にしましてもあるいは銀行金融債の保持者にしてもそうでございますが、状況はかなりよくなっているということを両側が認識し始めておると思います。  いずれにしても、こういう異常な状態はいつかはやめなければならない、それが二〇〇一年という年ではなかろうかというふうにも考えまして、ここはその一つの重大な要素でございますから、これはそのまま動かさずにやってまいりたいと私としては思っております。
  22. 平田耕一

    平田耕一君 終わります。
  23. 広中和歌子

    広中和歌子君 民主党・新緑風会の広中和歌子でございます。  私は、宮澤大臣を初めそこにお座りの方々、経済の専門家と違いまして全くの素人でございます。普通の金銭感覚と申しますか経済感覚で質問させていただけたらと思います。  きょうは非常に寒い日でございまして、まさに桜の咲くころが待たれるわけでございます。去年はそのころには日本経済環境も明るくなると言われたわけでございますけれども、ことしはいかがでございましょうか。〇・五%の経済成長率、先ほども同僚議員が御質問になりましたけれども、果たしてそれが達成できるのかどうかということが今問題だろうと思います。民間の研究機関などには、それはとても無理ではなかろうかというようなことを言っている人がございますし、またグリーンスパンとかサマーズなどアメリカの政策当局の人たちもこれではだめではないかといったプレッシャーをかけてきます。  この週末、私は日英二〇〇〇年委員会というのに出まして、イギリス人の財界の方あるいは政界の方などとお話をしたわけでございます。タイムマガジンに載りました表紙を使ってみんなで議論したわけですが、大きな小錦のようなお相撲さんががけっ縁から落ちようとしている、それを小さな小人みたいに見えるアメリカやイギリスが一生懸命支えようとしているんですけれども、本当に日本がこければ世界もこけるんではないかという危機感を世界じゅうが持っているんではないか、そういうようなことを話し合って、日本が頑張ってくれというような要望もあったわけでございます。  それで、私は皆様方が一生懸命努力をなさってこの予算をつくられた、政策を転向なさってつくられたとは思いますけれども大蔵大臣、もしこれがうまくいかなかったらば今どのような手が残されているんでしょうか。来年はどうなるんでしょうか。そのことをお伺いいたします。
  24. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先ほど平田委員にも申し上げたことなのですが、プラザ合意がありまして、その後ブームがありバストがあり、それでずっとここへ来ておるわけですが、今、日本経済の本当の姿というのを実はだれも計量的に把握していないんではないかというのが私の率直な感じでございます。  先ほどインベントリーと申し上げましたが、ヘドロのようなものがいわゆる在庫にもあるし設備投資にもあるし、家庭もそうでございますし、ですから何十兆の金をつぎ込みましても、一体どのぐらいヘドロが乾いてきているのかということは、私はだれにもちゃんと的確につかめていないというのが本当ではないかと思います。  悪くなっているはずはございません。いつかは必ず水面に出るはずでございますけれども、それを計量的にだれも言えない。それはだれの罪でもなくて、恐らくそれだけ日本経済が変形いたしましたのと、将来あるべき姿、それだけやっぱり変わっていかなければならないのと、それからいわゆるヘドロの部分の深みがわからない、そういうことが総合して的確に申し上げられないことだと思います。  ただ、ここで四四半期マイナスを続けております。今の努力というのは動かないものを前へ動かそうとしているのではなくて、後ろへ下がっているものをとめて前へ動かすわけでございますから、それだけ余計な努力がいると思いますけれども、私は楽観主義者でございますので、どんなに難しくても、これだけの我々の経済が沈みっ放しなんということはあり得ないので、多分かなり水面に近づいているんだろうと思います。  ですから、これがうまくいかなかったらどうすると。水面から遠くなるはずはございませんので、これを続けていって水面に出ていくということだというふうに、これも計数的に申し上げられないことでございますけれども、そういうふうに思っております。殊にこの一—三月というのが決算期でもございますし、失業が出やすいときでもありますから、この時期に注意をして経済を運営してまいりたいと思っております。
  25. 広中和歌子

    広中和歌子君 私がお伺いしたかったのは、日銀金利ももう最低まで下がっておりますし、それから財政の出動もここまでやっているわけでございますけれども、ここから先、あとどのような手があるんだろうかと。例えば国債日銀に買ってほしいとか、インフレを考えていらっしゃるのか、どういうことなんでしょうかということをひとり心配しているわけでございます。
  26. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私が申し上げたいのは、我々の努力というのは間違っていないので、水面に向かって日本経済は今近づいているわけですから、これを続けていくことが大事だと。もちろん、何かさらに有効な手段があればそれはもういたしますけれども、これを続けていくことによって必ず水面に到達できるんだ、後ろへ行ってはいないんだというふうに私はむしろ申し上げたいのです。
  27. 広中和歌子

    広中和歌子君 それから、これは質問通告を申し上げていないことなんでございますけれども、けさ方、欧州中央銀行の理事でパドアスキオッパさんという方がここに来られて、EUがどのようにしてつくられたか、そして今どのようなことを目指しているかというようなことをるるお話しいただいたわけでございます。  そのときのお話の中で、この方はたまたまイタリアの方だったんですけれども、ユーロに参加するためにどのような努力をなさらなければならなかったかという中で、財政赤字を三%以内におさめるというようなこと、それからインフレ率を二%にするなど、それはもう国民の総意でそれを達成したというようなことをおっしゃったわけなんです。  そこのところで大変興味を引きましたのは、どうやって三%を達成したかというと、それは一方では増税したそうです。しかしもう一方では、公定歩合が非常に低かったので、つまりインタレストが非常に低かったために国の借金の利払いが減ったというようなことを言っていらしたんですけれども日本の場合にはそれは当てはまるんでしょうか。つまり、財投資金をいっぱい借りているわけですね。そういうようなのはリスケジュールされることがあり得るんでしょうか。
  28. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 一番最近の国債クーポンレートは一・九でございまして、こんな低い国債レートというのは世界のどこにもございません。  したがって、予算面で申しますと、国債費というのが御想像なされるよりは小そうございまして、十九兆余りでございます。これは借換債を含んでおりますので、したがいまして金利が低いということは、どうもこういうことを申すのも少し気が引けるような感じもいたしますけれども国債費の負担はこれだけ国債を出していながら意外に低い、そういう点はございます。  それから、あとはいわゆる財投金利、今おっしゃいました財投金利でございますが、これもクーポンレートとやや関連して設定されますので、今としては財投金利はかなり低くなっております。
  29. 広中和歌子

    広中和歌子君 これについては後ほど個別に勉強させていただきたいと思います。  さて、公的資金の注入問題についてお伺いいたします。  金融再生委員会は横浜銀行を加えた大手十五行に計七兆四千五百億円の公的資金を注入なさる予定で、けさ新聞などに細かなことが発表されておりましたけれども、その結果として不良債権はどの程度処理が進むのか、また貸し渋り対策や金融システムの安定にどの程度寄与するのか。柳沢委員長、お願いいたします。
  30. 柳沢伯夫

    国務大臣(柳沢伯夫君) 今、資本増強を三月末の決算期に向けて申請のあった十五行に対して行おうということで手続を進めておりますことは先生の御指摘のとおりでございます。  私どもは四日に正式申請をこの十五行からいただきまして、現在、正式の承認に向けて審査を行っておる途上にございます。その一環として、昨日、各行の最高責任者である頭取と言われる立場の方から改めてこの資本増強申請に係る考え方というものの説明を聴取いたしましていろいろな考え方を再確認させていただく、こういう機会をいただいたわけでございます。  十五行の申請額をトータルいたしますと、ただいま先生から御指摘をいただきましたとおり、七兆四千五百九十二億円ということに相なりまして、これと期を同じにいたしまして自力調達、市中からの、あるいは第三者割り当てによるところの自力調達の分を加えますと、トータルの資本増強額と申しますのは九兆円を超える金額になる、こういう見込みになっているわけでございます。  これによりまして、ただいま先生御指摘の不良債権処理、また貸し渋りの防止、別の言葉で言えば信用供与の円滑化と言えるかと思いますけれども、こういうものが本当に確保されるであろうかということでございますが、私どもはそのことが確保されるというふうに考えておる次第でございます。  不良債権処理問題につきましては、監督庁が新しく独立をして、そして新しい組織によって昨年三月末の資産につきまして一斉の検査をさせていただいたということがありますが、そのときの査定のやり方というものを各行ともによく認識をいたしておりますので、それを九月期の決算、それからまた三月期に向けての見込み決算、そうしたものに適用していただいたということであります。  それから、それに対しての引き当てが必要になるわけでございますが、従前の公認会計士協会の実務指針を一度この資本注入時におきましては改めていただきまして、私どもから特別の定量的な基準を示させていただいたと。これはアメリカ並みと言っていい基準でございますけれども、そうしたもので引き当てを行う、こういう前提で不良債権処理額というものを算出していただいて、それに必要な資本の増強をいたした、こういうことでございます。  他方、貸し渋り対策につきましては、この申請に当たりまして、それぞれの申請行から御提出をいただきました健全化計画というものにおきまして、今後の貸し出しの増加につきましての考え方、計画を示していただきました。特に中小企業者に対する貸し出しにつきましてもメンションをしていただくという計画内容にしていただいたわけでございますが、これからこのフォローをしていくことによって問題の解決に資してまいりたい、こういうように考えております。  そういうようなことで、全体としてこの二つができ上がれば、従前ございました日本金融システムに対する信認というものが回復し、あるいは向上するものと確信をいたしておる次第でございます。
  31. 広中和歌子

    広中和歌子君 金融機能早期健全化法、それに基づいて公的資金の注入枠というのがつくられました。二十五兆円でございましたけれども、その二十五兆円をなぜ用意なさったか、その根拠をまずお示しいただきたいことと、そして今回の注入額が七兆四千五百億にとどまったことの理由、それで大丈夫なのか、再度注入する必要がこの十五行に生じることがないのかどうか、お伺いいたします。
  32. 柳沢伯夫

    国務大臣(柳沢伯夫君) 二十五兆円がなぜ積み上がったかということについては、果たして私が御答弁に当たる適切な立場にいる者かどうかということは甚だおぼつかないのでございますが、私がいきさつとして聞いておりますものをここで申し上げるほかないのでございますけれども、二十五兆円というのはいろんな考え方があって積み上がったと思います。  例えば、当時いろいろ関与していた政府あるいは政府関係の方々から、主要行の不良資産というのは一体どのくらいあるんだというようなことが一様に聞かれた。そのときに、まあ十兆かそんなものじゃないでしょうかというような話でありました。そうしましたところ、では地銀、第二地銀などを入れれば、その二倍かもうちょっと積んでおけばいいかもしれないというような話もあったやに聞くわけでございます。  そういうことで、問題の性質からいって、積み上げの作業がそこで行われたというふうには私は聞いておりませんけれども、でき上がったところをよく振り返ってみますと、全国銀行ベースでリスクアセットが総額で約六百兆円、それの四%に当たる金額が大体二十五兆円くらいになる、こういう一つの事後的な確認というようなこともあって、そういうことを考えると割と適切な数字ではないかということが後になって言われていると、こういうような話をお聞きしたわけでございます。  さてそこで、この二十五兆円と今回の七兆四千五百九十二億円というのがどのような関係に立つのかということでございますけれども、この七兆四千五百九十二億円の方はまさしく積み上げでございまして、その算出の基礎は全く異なるものだということが言えようかと思います。  そして、この七兆四千五百九十二億円と申しますものは、私どもが健全化法で求めた不良債権処理及び有価証券に発生していると言われております含み損、こういうようなものを手当てするということが一方ありまして、これを必要性のサイドとあえて申し上げさせていただきますが、それが基本にあるわけでございます。  そして、他方、これは我々の方から申しますと出資でありあるいは融資でありますので、いずれにしてもそれを回収させていただくという関係にございます。金融機関の側からすれば返済というか償却というか、そういうようなことになるわけでございますが、多々ますます弁ずで、資本はたくさんあった方がいいとも言えるわけですけれども、そういう将来の償却なり返済なりを考えますと、そこにはおのずからそのもとになる資金、つまり原資の制約があって、そういうようなものを彼此勘案して、必要にして十分という意味で七兆四千五百九十二億円が積み上がった、このように私どもは認識をいたしておるところでございます。  では、第二、第三のこうした追加の行為が必要であるかということにつきましては、私どもとしては、今回の件で懸案であった不良債権処理あるいは有価証券の含み損といったようなものについては基本的に今度の決算期において処理が完了するという認識に立っております。もちろん金融でございますのでリスクはつきものでございまして、そういった意味で新規の不良債権の発生ということも当然見込まれるわけでございますが、それは通常ペースの引き当てによって十分対処可能で、政府等の格別の援助が必要という今回のような事態にはなるまい、このように考えておるというところでございます。  ただ、私どもは今回の資本注入でもってこの法律がうたっております金融システムの再編による効率化というのは緒についたばかりという感じを持っておりまして、さらに日本金融機関がビッグバンの中で国際的な競争力を大きく持たせていただいていくためにはなお再編というものを将来展望せざるを得ないのではないか、このように考えておりまして、そのようなときには、またこの期間中に行われる限りはこの資金でもって何がしかの支援をしていくということも考え得るのではないか、このように考えております。
  33. 広中和歌子

    広中和歌子君 つまり、十五行がそのまま十五行として残るとは限らないということですね。
  34. 柳沢伯夫

    国務大臣(柳沢伯夫君) この再編の問題について、個別の名前を今ここで想定させていただくというのはやはり差し控えるべきだと思いますけれども、おおむねそうした方向で考えておるという次第であります。
  35. 広中和歌子

    広中和歌子君 今回の資本注入はこの十五行ですけれども、都市銀行が八行、それから信託銀行が五行、長期信用銀行一行、地方銀行一行という内訳でございまして、他の地方銀行や第二地銀といった金融機関が申請していない理由は何でございますか。
  36. 柳沢伯夫

    国務大臣(柳沢伯夫君) 先ほど冒頭にちょっと申し上げましたように、今回の注入に当たってまず前提になったのは、金融監督庁が始まって、都市銀行を中心に主要行と言われるところに一斉検査に入ったということ、日銀の考査のお助けもかりましたけれども、これを含めれば一斉の検査を行ったということが基本でございました。そういう意味で、監督庁の手間からいって、この三月期に十分に間に合う形で、その後のいろんな手続の時間も加えて考えますと、これはもう本当に主要行に限られてしまったということでございます。  したがって、この検査の結果を生かして健全化法の諸手続につなげていくにはちょっと時間が不足であったということで、地銀、第二地銀については、今後、四月以降のいろんな動きの中で必要なことをやってまいりたい、このように考えております。
  37. 広中和歌子

    広中和歌子君 ということは、地銀に問題がないわけではないと。例えば不良債権問題とか貸し渋りの問題も存在するかもしれないけれども、その調査は先であると。  そうすると、こういうところに問題があったときに資金注入というのはあり得るのでございますか。
  38. 柳沢伯夫

    国務大臣(柳沢伯夫君) 先生のおっしゃるとおりだと言ってよろしいかと思います。
  39. 広中和歌子

    広中和歌子君 公的資金の資本注入の結果として、ゼネコンの債権放棄請求というんでしょうか、それが相次いでいると聞いておりますけれども公的資金の注入が結果としてゼネコンなどの救済に使われるということに対して、私は庶民の批判というのは非常に大きいんだろうと思います。バブル期に家を買った人たちは非常に高いものを買って、その後、失業したかあるいは失業の危険にさらされているような人もいっぱいいます。そういう人たちは家を売るに売れない、売ったとしてもまさに不良債権が残る。  そういうような状況の中で、この債権放棄についてはどのような基準が当てはまるんでしょうか、お伺いいたします。
  40. 柳沢伯夫

    国務大臣(柳沢伯夫君) 今度注入したこの公的資金金融機関貸出先のゼネコンに対する債権の放棄に使われるのではないか、こういうお尋ねでございますけれども、これは資金繰り的には、あるいは金に色目がないという意味ではそういうこともあながち否定すべきではないかもしれません。  しかし、先生に御理解賜りたいのは、このお金は補助金でもないし、また一方的に贈与をして、返す必要もない、あるいは償却する必要もないといったお金とは全く性質の違うものであるということでございます。先ほど来申し上げておりますとおり、我々の方からしますと、投資は回収しなければなりませんし、ローンの場合には返済をしてもらわなきゃならないお金であって、そういうことをしてもらうという、金融機関の方も当然そういう考え方でおるようなものでございます。そういうことで、金融機関債権放棄と今回投入される公的資金が直接的に結びついているという関係はないというふうにぜひ御理解を賜りたいと思います。  それはどうしてかといいますと、金融機関の側が仮に債権放棄をしたとしても、それは我々の側には何らの関係がないことで、返してもらうべきものはちゃんと耳をそろえて返していただくということでございますので、それは金融機関責任と負担において判断をして決定していただく、こういうことに尽きるものであることを御理解賜れればと思うわけでございます。
  41. 広中和歌子

    広中和歌子君 つまり、自由主義経済の中でそれぞれ企業が独自の判断をすることであるということでございますね。  それでは、金融再生委員会としては、国有化した長銀と日債銀などが再建計画の一環として要請を受けている債権放棄、ゼネコンなどが再建計画の一環として要請しておりますこの債権放棄なんですけれども、原則として認めないということは確かでしょうか。そのことを確認させていただきます。
  42. 柳沢伯夫

    国務大臣(柳沢伯夫君) 御指摘のように、長銀、日債銀は今特別公的管理下にあるわけでございます。これの債権につきまして、ごく一部の債務者の方から債権の放棄をしていただけないかというようなことを、この協調銀行、協調融資をしておる銀行とともに、そういうスキームを決めたいんだがといったような話があったわけでございますが、今日までのところ、これを我々の方としてはお断りさせていただくと。ひとつ我々の関係するところを抜きにして、再建計画というか債権放棄なりなんなりは他の民間行で行うことでひとつスキームをつくり直していただけませんかということを申し上げ、そのとおりにしていただいたということがございます。  一般論として申し上げさせていただきますけれども、この特別公的管理銀行債権放棄によってもしこれを行うとすれば損失が生ずるわけですが、これは今度は健全化法の世界ではなくて再生法の世界でございます。これは直接に公的資金によって賄われるという性格のものでございまして、私ども国民負担のもとで安易にこのようなことが行われることは厳に避けなければいけないというように今考えておるところでございます。  そういうようなことで、今日までは幸いにして私どものそうした姿勢が全体の中でうまく通ってきたということでございまして、今後ともそういうぐあいにいくことが望ましいというふうに考えておる、これが現在の状況でございます。
  43. 広中和歌子

    広中和歌子君 日債銀と長銀に関しましては、もうまさに公的資金が、つまり我々の税金がそのまま不良債権になったわけでございますから、モラルハザードが絶対に起こらないように、どのようなやりくりをするにしてもそこのところは気をつけていただきたいと思います。  それから、このたび注入される七兆円何がしにおきましても、新聞の報道によりますと、一応五年から十二年で返済されるということになっているようでございますけれども、これが無事そうした形をとられますことを心から祈りまして、この問題についての質問を終わらせていただきます。  それでは、北海道拓殖銀行についてお伺いいたします。  破綻した拓銀の、お名前はあえて言いませんけれども、二人の頭取が商法の特別背任容疑で逮捕されたということを聞いております。経営者としての責任が問われているわけでございますけれども、聞くところによりますと、拓銀による過去十年間の融資案件を調べますと特別背任罪が成立すると思われるケースは九件あるそうで、そのうちの一件を除いたあとの八件というのは既に時効が成立しているために刑事訴追ができない、そういう状況だというふうに伺っております。  つまり、現行の法律では五年で時効が成立してしまうということでございますけれども、この時効の壁によって肝心のバブルの時期に焦点を当てることができないという問題についてどう思われるでしょうか。
  44. 松尾邦弘

    政府委員(松尾邦弘君) 拓銀の事件は現に捜査中の事件でございますので、これに具体的に触れる御答弁はいたしかねるところでございますが、一般論として申し上げますと、特別背任罪につきましては平成九年十二月の商法の一部改正によりましてこの罪の法定刑が引き上げられております。その結果、公訴時効がそれまでの五年間から現在では七年間に延長されているということでございます。これにより、改正後における金融機関役職員による不正融資事犯に対してもより適切な対応が可能となったものと考えております。
  45. 広中和歌子

    広中和歌子君 アメリカでたしかSアンドLの破綻のときにやはり時効の壁というものがあったために改正されたようでございまして、アメリカの場合は時効が十年に延長されたと伺っております。日本もそれくらいにしてもいいんじゃないか。バブルの時期というのは非常に長かったし、それからそれがもたらしたさまざまな問題の解明にも時間がかかるわけですから、ぜひこれは法改正が必要なんじゃないかと思います。  それとともに、金融犯罪に関してアメリカと日本とを比べてみますと、日本の方が明らかに軽過ぎるというんでしょうか、そういうような感じがいたします。監督庁への虚偽報告、これなんかは日本ではほとんど罪の意識みたいなのがないような感じだったのかもしれません、一年でございますから。それに対してアメリカでは三十年。それから、インサイダーに関しましては日本が三年で、アメリカが十年でございます。それから、これは普通の会社だと思いますけれども、虚偽のディスクロージャーをしたときに、一般の株式投資者などに影響があるわけでございますけれども、これが日本では五年に対してアメリカは十年である。つまり、金融犯罪に対して時効の壁があるということ、それから罪が軽過ぎるということについてどのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。
  46. 松尾邦弘

    政府委員(松尾邦弘君) ある犯罪行為に対しましていかなる法定刑を設けるべきかということにつきましては、確かに先生御指摘のようにいろいろな観点から研究をするということは重要なことだと思います。  ただ、あえて申し上げれば、法定刑をどのように定めるかということになりますと、各国の社会あるいは経済情勢、あるいは刑事手続等のいろんな事情がこれに勘案されてくるというところでございますので、一概に軽重ということを単純に比較するということはなかなか難しいこともまた御理解いただきたいと思います。
  47. 広中和歌子

    広中和歌子君 大蔵大臣はどのように思われますか。いわゆる時効の壁があって、今は七年で時効にかかってしまう。それから、罰則についてもアメリカに比べて非常に軽いということについて、日本では法改正をする必要があると思われませんか。
  48. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これはたしかいつぞや、平成九年でございますか、十二月に罰則の整備のための金融関係法律の一部を改正する法律の改正を一遍いたしましたが、罰則というのはどうも大変難しいものでございまして、いろんなほかの刑罰とのバランスが伝統的に残っている部分があるそうでございますので、これは本当に法務省の御判断に任せないとならぬという感じを持っております。  ただ、最近、金融犯罪というのが非常に多うございますので、その点もきっと法務省の方でもいろいろそういう事態そのものは御認識であろうと思います。
  49. 広中和歌子

    広中和歌子君 金融の世界がグローバル化する中で、やはり犯罪に関する罰則規定などもかなりグローバルに統一した方がいいんじゃないかというような感じがいたします。  もう時間がほとんどなくなってしまったんですけれども、生命保険の経営状態についてお伺いいたします。  ちまたでは、銀行の次は今度は生命保険会社が危ないんじゃないかといったような声を聞くわけでございます。超低金利と株価の低迷といった最悪の運用環境によって、契約者に予約した予定利率が達成できない逆ざやの状態が続いて、経営体力が弱まっているというふうに聞いております。  生保業界の経営状態についてどのような御判断をお持ちか、お伺いいたします。
  50. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) ただいま広中先生から御指摘がありましたように、最近の経済情勢によりまして、本来保険会社が支払うべき責任の量と保険会社が保険契約者から受け取りましてそれを運用に回すその運用利率との間にいわゆる逆ざやが生じておりまして、その点では保険会社にとりましては経営状況が大変厳しいといったことが現在あるわけでございます。  また一方、保険会社の資産の部でかなり重要な比率を占めております有価証券につきましても、現在のような株価の低迷状況でございますので、これも有価証券の含み損というものが認識されておりまして、こういった面からも保険会社の経営は現在大変厳しい状況にあるということは御指摘のとおりだと存じます。
  51. 柳沢伯夫

    国務大臣(柳沢伯夫君) ちょっと広中先生、済みません。先ほど私、広中先生の御質問に対して、地銀、第二地銀のことについて非常にはしょった答弁をいたしまして、あるいはこれはミスリードするんじゃないかと思って心配になりましたのでつけ加えさせていただきたいと思います。  私が申したのは、地銀、第二地銀から必ず健全化法の資本注入であるとかあるいはその他のいろんなことが必要になるということを何か既に資料を持って言っているということでは決してございません。もしそういう検査の結果等が明らかになり、必要だということになればそういう手続をさせていただくということにとどまるわけでございますので、ちょっと答弁を補足させていただきます。
  52. 広中和歌子

    広中和歌子君 本当に地方で頑張っている銀行は幾らでもあるわけでございますので、おっしゃったことは当然だろうと思います。  生保業界に三月末に早期是正措置が導入されるというふうに伺っておりますけれども、どのような内容か、お伺いいたします。
  53. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) 先ほど申し上げましたように、現在、保険会社は大変厳しい経営環境にございますが、保険会社自身は経営の効率化の推進あるいは自己資本の充実等経営基盤の強化、資本構成の組みかえ等に努めているところでございます。  ただいま御指摘がありました早期是正措置は総理府令、大蔵省令によって定められまして、本年一月に官報にも掲載されましたけれども平成十一年度からこれが導入されるということになっております。
  54. 広中和歌子

    広中和歌子君 あともう一つしか御質問できないので、保険料の値上げと予定利率の引き下げについてお伺いいたします。  こういうような経営状況の中でそうせざるを得ない保険会社の事情はわかるわけでございますけれども、体力のある保険会社というのはそれなりの横並びでない自由な利率を使ってもよろしいのではございませんか。その点についてお伺いいたします。  聞くところによりますと、何か行政指導をなさっているというふうに伺っておりますけれども、新たに参入する保険会社であるとか外国系の企業であるとか、もっと経営体質のよいところはより高い利率を提示したりということがあってもよろしいのではございませんか。この分野でもっと自由化があってしかるべきだと思いますが、お伺いいたします。
  55. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) 生命保険会社に絞って申し上げますと、保険金の将来の支払いに備えるために必要額を責任準備金として積み立てていることは先ほど御指摘があったとおりでございます。  この責任準備金の積み立てと保険料との関係は大変非常に複雑なといいますか難しい関係にございまして、アクチュアリーと言われる保険数理の大変難しい学会まであって、そこで研究されているくらいの理論でございますので、私ごときから簡単にそれを御説明するのは大変口幅ったいかもしれませんけれども、あえて申し上げますと、この責任準備金の計算に用いられます予定利率の水準といいますのは、保険契約者を保護するという観点から、長期的な経済情勢を踏まえた運用水準をも勘案いたしまして、保険会社が保険契約上の債務を確実に履行することを可能とするように、標準となる利率が定められているところでございます。これは貸借対照表の負債の部に責任準備金としてそれが計上されるわけでございます。  金融監督庁といたしましては、こういった標準責任準備金の積立制度がある一方で、保険商品あるいは保険料率の設計につきましてはそれぞれの商品の特性等いろいろございます。例えば配当があるとかないとかございますが、そういったものを考慮いたしまして、保険会社の健全性に支障のない範囲内でこれを認めていくこととしたいというふうに考えているところでございます。
  56. 広中和歌子

    広中和歌子君 終わります。  どうもありがとうございました。
  57. 益田洋介

    益田洋介君 まず最初に、大蔵大臣に御所見をお伺いしたいと思います。  昨日、金融再生委員会と十五行の頭取さんが面談をいたして、最終的に公的資金七兆四千五百億円の投入をすることが決定したわけでございます。しかし、私はこれが今度の一連の金融問題の転換点になるとは考えていない、そう考えるのはまだ早計であると思います。なぜならば、今まで日本国民というのは、金融当局と銀行金融界に欺かれ続けてきた。銀行決算、これは結局粉飾決算ということですが、決算が終わるたびにこれで不良債権処理にめどがついたと言い、さらに金融当局は破綻した金融機関処理が済むたびにこれで金融不安は除去されたと言い続けてきました。  しかし、その実態はどうであったか。銀行はリストラをちっともしようとしないで来たし、大変高い給料を頭取初め役員に払い、退職金も、ある銀行の元頭取、会長の場合なんかは七億四千万円も退職金をもらっておった。こういうリストラというものを一切顧みない体質を銀行は持ち続けてきたし、さらにはいかがわしい総会屋等に資金の供与をしていた、利益供与をしていたというようなこともあります。一方で、金融当局については、接待汚職、昨年一年間嫌になるほどこの委員会でも議論いたしましたが、接待汚職に明け暮れて、要するに金融業界の、また日本金融財政現状をひた隠しにしてきたわけであります。  こういう経緯が今までありますから、私は今回公的資金七兆四千五百億を投入することを決めたって一向に安心していないわけです。これからやっぱりきちっとして、行政の監督ももちろんでございますが、国民はしっかり、私たちもその国民の皆様の代表として目を据えて見守っていきたいと思っているわけでございます。  その最たるものが佐々波委員会です。この委員会報告だけで公的資金を注入した途端、日本長期信用銀行日本債券信用銀行は破綻したわけです。結局、こういうふうに何でも物事を先送りしていく、こういう甘え体質とでも言うんですか、護送船団方式、政官業の癒着という構図が日本経済をどん底まで陥れたんだと思います。  それからまた、昨日の十五行の頭取のお話によると、五年後にはこういうふうな形になるという将来構想といいますか収益向上策というものを発表したわけですが、言ったとおりになったとしても、これは世界のランキングからすればBクラスにとどまる、そういうのが実態であります。  それから、この七兆四千五百億円が七年とか十二年とかという償還期間に償還できなかったらどうなるんですか。これはみんな言ってみれば日銀の貸し出しなわけですね、公的資金というのは。国民にツケがまた回ってくるんです。言ってみれば、結果的には国民自分の税金で金融機関に融資をしている形になる。こういう行動では困りますよ、大蔵大臣。これからどのように監督していきますか。
  58. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 過去の銀行行政に当たっておりました大蔵省自身の反省はいろいろにございますが、それはそれといたしまして、本当の銀行検査というものがかなりの厳しさを持って行われるようになりましたのは、極端に申しますならば昨年六月に金融監督庁が発足をしてからではないか、少し極端に申しますが、そういう感じがいたしております。それまでの検査は、もちろんおかしいことはしておりませんが、全体が護送船団というような雰囲気の中での出来事でございますから、それがそうでなくなりましたのは昨年六月の金融監督庁の検査からだと思います。  これによって本当にマネーセンターバンクスは一応それからすべて検査を受けました。のみならず、分類ばかりでなく引き当てについてもかなりはっきりした基準を与えられる、そういうことが背景になりまして今回公的資金導入ということになったわけでございますから、再生委員会は今度は導入を申請してくる銀行についてかなり具体的な資料を持っておったわけでございます。それが残念ながら佐々波委員会の時代にはそういう検査が背景になっておりませんから、それだけの資料がなかったと申さざるを得ないと思います。  そういうことでありますから、今度の導入についても、かなり再生委員会側がリストラなりなんなりについて具体的な検査の事実に基づいて注文をつけ指導をしたということでございますので、私はこれで初めて銀行も厳しい世論あるいは監督を受けることになったという思いがしておるわけでございます。  過去においていわばかなり温室的な中に育ちましたことは事実でございます。そしてまた、そういう惰性から関係者が完全に抜け切ったとは言えないかもしれません。しかし、今度の公的資金導入というのは昨年の場合と非常に違った背景においてなされましたし、またかなり具体的に銀行側がコミットメントもし、またそれを定期的に監督庁が検査をするということでございますので、言ってみれば在来の大蔵省のもとで行われました金融行政と全く違ったものになりつつあるのではないかというふうに私は見ております。
  59. 益田洋介

    益田洋介君 大蔵大臣、残念ながら国民の皆さんはまだ信用を回復していませんよ。これは私たち政治家の問題でもあります。しっかりこれからも議論して、目を据えて日本金融界が再生するのを見届けなきゃならぬ。それまで議論を真剣に闘わしていきたい、そういう不退転の決意でおりますのでよろしくお願いいたします。  そうした中で、明るいニュースがございました。七日発表になった。それは、富士銀行が今度融資基金を新しく設置して、名称は富士中小企業育成ファンド。非常にいい名前ですね。そのファンドの枠は六千億円ということで、新しい方式で、ファクスとか電話でも融資の申し込みができる。これは信用保証協会の保証が必要とされていますが、それが獲得できて、そして銀行の審査が通れば一週間程度で融資が実施されるだろうと。非常に簡便で、難しい手続を省いて、中小企業経営者向けに設計されているものである。四月からこれが実行に移される。非常にいいニュースだと思います。  私は、こうしたことは今回の公的資金の投入を受ける各行とも同じようなファンドを、ファシリティーをつくっていただきたい、そのような指導を金融当局にしていただきたい、こういうものもひとつコミットメントの中に入れていただきたい、そのように思いますが、いかがですか。各行がこの富士銀行に追随するように指導していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。大蔵大臣、答えてください、貸し渋りの話をしているんだから。
  60. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私の所管ではございませんので、私からはお答えいたしかねます。
  61. 益田洋介

    益田洋介君 大蔵大臣、このファンドを設置した、こういう動きについて大臣としてどのような御所感をお持ちか、これが私の質問です。
  62. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) いきさつは存じませんけれども、このたびの公的資金導入に至る長い間の再生委員会あるいは監督庁との折衝の中でいわゆる貸し渋りについてかなり厳しい指摘があり、またそういうことを今後繰り返されないためのいろんな保障のような、保障と申しますか問答があって、そういうことの一環として富士銀行がああいうことをやられたのではないか。それは大変明快で結構なことだと、私は直接自分が知識を持ちませんが、そのように感じております。
  63. 益田洋介

    益田洋介君 その一方では、昨年の十二月に当委員会において審議をいたしまして、日本開発銀行法の改正をいたしました。このことによって社債の償還円滑化資金制度の導入や返済円滑化資金制度の導入が可能になりました。  ところが、一日明らかになったところによると、ダイエーと西武百貨店などの流通業界の大手がそれぞれ三百億円ずつの融資の申請を開銀にして、今審査が行われている。さらには、長崎屋からも社債の償還の目的で数十億円規模の融資申請がなされて検討をされているといったことで、これは三月中に実行に移される見通しだということであります。加えて、七日明らかになったところによると、NKK、住友金属工業、神戸製鋼の鉄鋼大手三社に対しても、開銀は既におのおの四百億から四百五十億円の新たな融資をしていることが明らかになっています。  昨年の十二月に当委員会で、貸し渋り対策というのは中小企業が一番今割を食って被害を受けているから、中小企業を救済するためにということで開銀法を改正したんですけれども、実際、結果的に見ればみんな大手の流通企業であったり鉄鋼会社ばかりです。開銀に申し入れたけれども融資の相談にも乗ってくれない、また真剣に審査してもらえない、そういった中小企業の悲痛な声が耳に入ってくる。これでは何のために昨年の十二月に開銀法を改正したのかさっぱりわからない。  これも直接の所管じゃないと大蔵大臣は言うかもしれませんけれども大蔵省の監督下にあるわけですから、大蔵大臣の御所見を伺いたいと思います。
  64. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) わかりました。  開銀が今までそういう、その片方の方の、今名をおっしゃいました企業にはずっと融資をしておりますし、そういう意味でそれをやめろと言ったわけでも何でもございません。しかし、この間の改正は開銀にそういう新しい機能を与えて、ぜひこれに大きな精力を注いでくれという趣旨であるし、総裁もここでそういうお返事をされました。  今のお話は私から銀行に伝えます。
  65. 益田洋介

    益田洋介君 あのときたしか政府は枠を設けて、開銀に対して新たに三兆円程度の貸出枠、それから加えて二兆円程度の債務保証の枠を与えている。こういう大手のところにばかり使い切ったら中小企業に回らないじゃないですか。これが私のポイントなんです。  足りなくなったらどうするんですか。また新たに予算計上するんですか。それで繰り返し大手にだけ注入していったら、いつまでたったって中小企業に対する貸し渋りはおさまらないじゃないですか。その点はいかが思いますか、大蔵大臣
  66. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 今幾つかの企業をおっしゃいましたが、それに貸し出しをするということはそれなりの理由があっていたしたことでありましょうし、それがあるから片っ方の方に貸す金がないというようなことはどうも計数上の連関がすぐにはないように思いますが、そういうことをするから与えられた中小企業への務めが果たせない、少なくともそういうことが起こりませんように私から開銀の方にもお伝えします。
  67. 益田洋介

    益田洋介君 全体的につまびらかにされれば、融資の資金の配分というのは大蔵大臣がおっしゃるとおり明らかになるんです。ただ、表に出ているのは今こういうことばかりなんです。一方では、中小企業の人たちは貸し渋りは解消されていない、これが生の声、ちまたの声なんです。だから申し上げているわけです。  それから次に、税制の問題で大蔵大臣の御所見を伺いたいんですが、法案がただいま当委員会委員に手渡されました。これは所得税法の改正に関する法案でございます。これから参議院でも審議に入るわけでございますが、この法案が仮に審議の末可決されれば、所得税及び地方税というのが最高税率六五%から五〇%まで下がる。施行は四月一日からということで、これは非常に明るいニュースだと思います。  ただ、問題は相続税でございます。この最高税率は既に十二年間七〇%に据え置かれている。確かに税収面から見れば大蔵省としては据え置きをしたいという、その心境はわからないわけじゃございませんが、一方でアメリカの場合は最高税率が五五%、イギリスとフランスの場合は四〇%、ドイツの場合は三〇%と、これだけ大きな不均衡があるわけです。  これから金融問題や何かのグローバライゼーションというのを日本が図っていこうという、また先ほど大蔵大臣答弁されておりましたように円が国際通貨として認められるようになっていくためには、この辺からやはり是正していかなければいけない。現状では、我が国の一般会計の税収の四・一%が相続税です。ところが、欧米諸国はみんな横並び一線で二%以下です。これだけのギャップがあるわけです。だから、いきなりこの相続税の最高税率を下げただけでは日本税制の抜本的な改革にはならない。単純計算して、この四・一%マイナス二%の二・一%に今下げたらどうなるか。このギャップをやっぱり税収面で埋めなきゃいけない。  だから、税というのは、御専門の大蔵大臣に伺うのは失礼なんですけれども、総括的に全体のバランスを見ながら直間比率を含めて見直さなきゃいけないと思いますが、大臣、総括的に今後どのような税制改正をしていくのか、どういうふうな道筋を、概要で結構ですが、お考えでしょうか。
  68. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 確かに、税というのは総合的に、殊に直接税なら直接税の間で、あるいは直間の間で見なければならないということは、私もそうだと思います。殊に、今度、個人所得税法人税で相当大きな減税をいたしましたから、益田委員のおっしゃることは、そういうときはほかの直接税も考えなきゃおかしいんではないかとおっしゃるのは、私はそれは理屈だと思うんです。  現に税制調査会でも、相続税はこのままでいいのかという御議論があったそうです。あったそうですが、率直に申して今回は景気刺激ということが先に立った課題なものですから、議論はありましたが、相続税のことはそのままにいたしました。もう一つは、これも余りいかがかとも思いますが、土地の値段がかなり下がってきているものですから、相続税課税についてかつてあったような問題が多少緩和されてきたということもどうもあったらしゅうございます。  しかし、そうは申しましても、やがて租税の根本的な見直しをいたさなければならないことはもう必至でございますから、そのときには相続税もその一つの対象として検討されることになるべきものだろうというふうに思っております。
  69. 益田洋介

    益田洋介君 次に、最近、我が国でも話題になっておりますPFI、これは日本語ではどういうふうに訳されているのか、民間資金の活用による社会資本整備というシステムで、イギリスでサッチャー政権時代に非常に効果を上げて、そして電力とか鉄鋼とか通信とかといった国家の基幹産業の民営化やごみ回収などの公共サービスの民営化に成功した。政府をスリム化して、スモールガバメントとサッチャーさんはおっしゃっていましたが、要するにイギリスが再生した。昨年十月も参りましたけれども、今非常にいい景気で、その一つの大きな引き金になっている。七九年から九一年まで十二年間、サッチャーさんは政権の座にありましたが、非常にドラスチックな行財政改革を実行した。私は我が国もこれを見習わなきゃいけないんじゃないかと思います。  プライベート・ファイナンス・イニシアチブということで、政府はもちろん公共事業費の拠出を大幅にセーブできる一方、民間の持っている資金とまた経験、ノウハウ、そういったものを導入して、活力のある、また競争力のある企業同士が技術的なもの、またサービスの面で競い合いながら向上させていく。また、そうした会社が利潤を上げて地域社会にさまざまな形で貢献している、雇用の創出とかそういうものを含めて。だから、地方都市が非常に活性化している。これも見てまいりました。  私どもの国は、私は平成七年当選組ですけれども、もう前政権のことはとやかく言いませんけれども、六つの改革だとか三つの改革だとかおっしゃっていました、前の総理は。何にも実行していないんですよ。だからこんな窮状に日本は今陥らなきゃいけない。これも非常に私は選挙民の方に対して責任を感じております。  何としても行財政改革というのは国を挙げてやっていかなきゃいけない。その一端として、このPFIはさまざまな長所があるかわりに、また短所、研究しなきゃいけない余地というのが残されていると思いますが、やはり我が国に合った形でのシステムづくりをして導入すべきだと。(「賛成」と呼ぶ者あり)これは官民協力していかなきゃいけない。専門家の方が賛成してくださいましたけれども、私はそう思いますが、大蔵大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  70. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これはたしか議員立法が出ておると思いますし、政府も昨年の緊急経済対策にはわざわざ一項入れまして、現在、関係省庁ではかなりPFIを一生懸命、まずそれはどういうことかというPRから始めているようですが、熱心にやっております。サッチャーさんのお話をされましたが、これは確かに我が国なんかには向いているやり方ではないかと思っていますので、政府としては非常にこれは熱心でございます。
  71. 益田洋介

    益田洋介君 非常に心強い御決意といいますかお考え、展望を伺ったわけでございますが、特に我が国の場合は、岩井先生に直接関係しているような、直接はもうないかもしれないけれども、幹線道路や高速道路、総合病院、学校までこういった方式でイギリスはやっているわけです。  具体的にどういう部分から手をつけられるかということを研究して、相互に意見交換して、またイギリスのロンドンだけじゃなくて地方都市がどのような実態になっているか、活性化しているかということを、私たち国会議員も出かけていって勉強していく。当委員会でも、委員会として予算がないかもしれませんけれども委員長、自費でもいいですから、ぜひお考え願いたいことを提案申し上げて、質問を終わらせていただきます。
  72. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 日本共産党の池田幹幸でございます。  まず、宮澤大蔵大臣にお伺いしますが、小渕内閣景気対策最優先ということで、そのために財政再建を先送りしようといった姿勢をとっておられるわけですが、宮澤大蔵大臣所信表明でこういったことを言っておられます。「我が国経済は、資産市場の低迷や不良債権問題の深刻化などバブルの後遺症を抱える中、金融機関に対する信頼の低下、雇用不安などが重なり、極めて厳しい低迷状況にあります。」と言われて、金融については、「景気回復基盤を固めるためには、金融システムを早急に再構築することが不可欠であります。」と、こうおっしゃいました。  そこで、きょうの報道にもありましたけれども、この十二日には正式に十五行に対する七兆四千五百九十二億円の公的資金の投入が決定されようとしているわけですが、ただいま読み上げましたように、金融については、「景気回復基盤を固めるためには、金融システムを早急に再構築することが不可欠であります。」とおっしゃいました。  それでは、これで景気回復基盤が固まるのか、つまり景気回復に向かうというふうに考えていらっしゃるのか、まずお伺いしたいと思います。
  73. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 今回の公的資金の投入でございますけれども、これは昨年、法律もああやって二つつくっていただきまして、一種の道具立てをつくっていただいて、それに従って具体的なステップをとったということにすぎないと申しますか、すぎないというのは言い過ぎですが、というものとして位置づけております。  ですから、これをやったらすぐ景気回復するというようなことでは恐らくありませんで、国の予算もそうでございますが、それを執行していくうちに、またこういう公的資金導入から銀行がいい姿になっていくうちに景気回復することを期待していると。そのために必要な道具立てであったことは間違いございませんので、それに従ってステップを進めている、こういうふうに私は思っております。
  74. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 私は、今のような銀行の経営体質のままで公的資金を投入しても、ただいま大蔵大臣のおっしゃったように、そのステップとなり得るかどうかという点では、それはならぬだろうという考えを持っておりますが、ともかく公的資金の投入の問題について伺いたいと思います。  今月三日の予算委員会の集中審議でも、長銀や日債銀のように税金をどぶに捨てるようなことになるのじゃないかといった論議がなされておりますが、健全化法に基づく公的資金の投入については、昨年十月、健全化法の法案審議の際に、私の質問に対して大蔵大臣から答弁いただいておるんですけれども、そこでこうおっしゃいました。「協定銀行が普通株や優先株を売却する全部の操作がうまくいきますれば、そのための貸付金は当然回収される」だろうと。  今度の公的資金の投入の様子を見ますと、購入した優先株を転換して普通株ということで市中で売却する、そして、資金を回収するわけですね。そういうところで資金を回収するということになりますと、当然株価が一定に維持されなければならないわけです、株価が落っこちておったのでは回収されないわけですから。そうしますと、今回の場合には七兆四千六百億弱のうち五兆五千億が転換型優先株だと言われておりますけれども、そういった巨額の株が市場でたやすく処理されるということはないだろうとしますと、宮澤大蔵大臣がおっしゃったように、全部の操作がうまくいくというのは相当まれなケースだというふうに私は考えるんですが、いかがでしょう。
  75. 柳沢伯夫

    国務大臣(柳沢伯夫君) 今、池田委員の御心配なことは恐らくダイリューションという問題、そういう現象についての御心配も含まれているかと思うわけでございます。私どももそのあたりのことは非常に念頭にあるわけでございまして、相対での取引、つまり市場を経由しないで転換して相対で取引するという可能性も全く否定をしているものではございません。これだけの株式を単純に市場に投入した場合にはダイリューションということが起き得まして、これはかえって所期の目的に反するようなこともあり得る、こういうように十分認識しておりまして、そういうことのないように処理をしてまいりたい、こういうように考えているわけであります。
  76. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 柳沢大臣の国会での御答弁もいろいろと見せていただいているんですが、特に先ほどの広中委員への御答弁の中でもあったんですけれども、盛んに公的資金銀行への投融資だというふうにおっしゃるんですね。では、今度の七兆四千六百億弱のうち融資に属する部分というのはどれだけありますか。劣後債と言われるんですか。
  77. 柳沢伯夫

    国務大臣(柳沢伯夫君) 一兆三千億程度が劣後債及び劣後ローンの範疇に属するものでございます。
  78. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 劣後債は少なくともその半分ぐらいは資本というふうに見られるわけですね。劣後債を全部融資だというふうに見るというのもおかしな話だと思うんですけれども、それにしても大部分、少なく見ても五兆五千億は投資だと。そうしますと、投融資とひっくるめておっしゃって、それが返ってくる、回収できるというふうにおっしゃるんだけれども、先ほど私が言いましたように、要するに全部の操作がうまくいくというふうなことはまずそうないんですね。当然そんなことが言えると思います。  そこで、この間の予算委員会でも、投融資というものは当該金融機関から返していただくんだ、優先株の償却を求めて返していただくんだと。それはそうだと思いますよ、返してもらわないということを考えて投資する者はいないわけです。しかし、これは融資ではなく投資ですから、それは国民にわかるように言っていただかないと、まるで投資したものが融資したお金のように返ってくるんだというふうなことは、これはやっぱりおかしいのじゃないかと思うんです。  これを聞きますと、何だかんだ言ったって公的資金は最終的には税金で処理しなければいけないわけですよ、焦げついたときには。それを何かわざわざわかりにくくして国民説明しているように私は感じます。そういう点で、もっとわかりやすく説明するというのが政府の責任ある態度だろうということをまず申し上げておきたいというふうに思うんです。  そこで、きょうのことについて伺いますけれども、三月五日の時点では今度の公的資金投入が発表された際に各銀行がいろいろ言いました。そこで、各紙ともどの程度のものなのかということでいろいろ試算しています。特に銀行の返済力について試算しているんですね。それでいきますと、税引後の利益のすべてを返済に充てたというふうに考えて、つまり業務純益の五割程度、それを返済に充てたというふうに考えて試算しているんですけれども、七年以上かかる銀行に三井信託とか大和銀行が挙げられております。それから、大体六年弱、七年弱といったところで横浜銀行等々が挙げられておる。  しかし、利益の相当部分を新規に発生する不良債権とか有価証券の含み損の処理といったところに使う、それからまた配当原資などにも振り向けなけりゃいかぬということになりますと、実際の返済年数はこれの二倍ぐらいかかるんじゃないかというふうに言われているんですね。  実際、昨日十五行の公表した健全化計画によりますと、五年から十二年で返済することになっています。再生委員会はこれを大筋で合意したというふうに伝えられているんですが、そのとおりですか。
  79. 柳沢伯夫

    国務大臣(柳沢伯夫君) 先ほど広中議員の質問にもお答えしたように、私どもは今正式審査中という段階でございますので、今の先生の御質疑に対しても合意いたしましたというふうに完了形で申し上げることは差し控えるべきだと、このように思っております。
  80. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 きょうの新聞を見ますと、いろいろ言っているんですが、要するに公的資金が投入されると、もしこれで経営失敗したら大変だと。それは当然ですね。公的資金が傷ついたら経営責任はどうなるんだと言われて、責任はあるんだと答えている人は、ダイジェストですけれども、三和銀行の佐伯頭取だけなんです。  その佐伯頭取も、責任があると言いながら、市場への売却などで自己資本の入れかえができない状況を経営がつくったらやはり責任があるとおっしゃっているんですが、その後で、だが経営責任とは言い切れないことも起こり得るのかなという気もするということで、かなりの留保条件をつけて、経済が悪くなったら自分責任ではないよという感じにもとれるんですね。  しかし、いかに景気が悪くなっても、公的資金の注入を受けて経営がおかしくなれば、まさにその銀行の経営責任なんだということは感じてもらわなけりゃいかぬのですが、どうも各銀行の経営姿勢というのがそういったところにあるということをまず指摘しておきたいと思うんです。  それから、現実的には、先ほども出ておりましたけれども、ゼネコンとかスーパーといったところへの債権放棄という問題も出てきております。それが出るぐらい今後の経営悪化ということが考えられるわけで、そうなった場合には巨額の償却が必要になってきます。そうすると、そんな中で銀行は優先株の配当を払って、そして元本を返していくということができるのかということは非常に心もとなくなってきます。  新聞を読んでみますと、各銀行の幹部がこんなことを言っているんです。五日の報道によりますと、例えば都銀の企画担当者はこう言っています。十五日に公表される申請行の健全化計画について、かなり甘い見通しに基づいており、景気回復がおくれるなどすれば初年度から達成が難しくなると、これは都銀の企画担当者がそう言っているんです。しかも、ある都銀の首脳は、一、二年たてばやっぱりだめだと手を上げるところが必ず出てくるということも言っておるんです。  これは新聞の報道ですけれども、私はかなりの程度これがむしろ正直なところじゃないかというふうに感じております。つまり、まさに長銀、日債銀の二の舞、そのおそれがあるということなんですね。  そこで、柳沢大臣に伺いたいんですけれども、今回のこの十五の資本注入行、これが仮に破綻したり破綻しそうになった、その場合には当然また特別公的管理に移るということだと思うんですが、その場合優先株はどうなるのか。日債銀、長銀と同じように全く返ってこなくなるということじゃないか、その際の責任はどうなるのか。  というのは、この間までの日債銀につきましては、柳沢大臣はこれはまだ健全化法ができていなくてそういう仕組みがないときなんだと盛んにおっしゃった。今度はちゃんと仕組みができておる。これで返ってこなくなったらその責任はどうとるのか、まず伺いたいと思います。
  81. 柳沢伯夫

    国務大臣(柳沢伯夫君) 池田委員から、焦げついた場合どうするんだとか、あるいは健全化法がそのまま実現できない場合はどうするか、それも経済状況が全般的に思わしくない中で起こった場合どうするかとか、いろいろ御心配の向きを先ほどから御指摘いただいております。そういう御心配の向きが起こらないように、政府は今こういう措置もしているし、また財政面の措置もしているということでありまして、それを起こったらどうするんだというようなことでいろいろおっしゃるのはやや議論が一面的だと私は感じざるを得ないわけで、その点は申し上げておきたい、このように思います。  長銀、日債銀のように投入した資本が毀損するような場合は一体どうするか、あるいはそういうことが起こった場合の責任の所在いかんというような点からのお尋ねでございますけれども、これは日債銀、長銀の場合と私どもが今度資本投入する場合の置かれている制度的環境の違いということをぜひ御理解いただいておきたい、このように思います。  一つは、金融検査というものがこれまでは資産の分類と申しますか査定ということに集約されておって、それに対する適正な引き当てを確保するということは、どちらかというともうこれはその銀行と監査法人との間のいろんな交渉事に属しておった、こういうようなことが実態でございました。それが今度の検査からはこういう引き当ての問題についても金融検査の対象になるという仕組みになりましたので、債務超過に陥るかあるいはその危険があるかといったような判断においては随分この点は違ってくるであろう、そういう環境に変化が生ずるであろう、こういうようにぜひ指摘をしておきたい、このように思います。  それから第二番目は、早期是正措置というものがこれからは発動されるようになるということでございます。これもまた長銀、日債銀の場合にはなかった制度的な環境でございまして、この早期是正措置というのは、先生御存じのとおり、資本の充実の程度によって区分されておって、それぞれにとるべき措置が決められておるということは御案内のとおりでございます。  アメリカあたりでは、早期という意味は債務超過を現実に起こすより以前に手当てをするという意味である、こういうように非常に明快な位置づけがなされておりますが、私どももそのように考えておりまして、債務超過に陥って資本が毀損される、その結果、我々が投入した国民の税金が傷むというようなことはこれから早期是正措置というものが的確に運用されるという前提に立つならば少なくとも理論的には考えにくい、このように感じております。したがって、私どもは実際にそのような運用をすることを確保することによってその事態を免れたい、このように考えておることを申し上げたいと思います。
  82. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 いろいろありますけれども、早期是正措置について柳沢大臣の言われるのは非常に形式的だと思うんですよ。昨年四月一日から発効したということでしょう、それまでの三月段階ではそれは具体的には働いていなかったと。しかし、それはその前からもう既に言われておったことで、一定程度大蔵省なり監督庁なりで動いておった問題ですから、そんなふうに余り形式的に言われない方がいいだろうと私は思います。形式的には四月一日だから、それはそれであなたのおっしゃることは正しいんだろうけれども、そういうものじゃないだろうということです。  それから、先ほどから言っておられる回収の問題ですが、どうも委員会で聞いておると、要するに返ってくるんだということばかり強調する。大臣は私に、返ってこなかったらどうするんだということは一面的だとおっしゃるけれども、あなたの答弁は返ってくるんだという、かなり一面的なんですよ。その点ではこれはまずいんじゃないかと思います。  ともかく今度の問題でも、五年間の収支見通しを出させる、健全化計画を出させました、リストラ計画もあります、だから返ってくる、返済するまでに大体五年という点で見ていけば返ってくるだろう、こうおっしゃるんですけれども、しかしそんなのはどこにも保証はないでしょう。保証なんていうのはどこにもないわけですよ。それにもかかわらず返ってくるんだということを聞きますと、一体どういうことを根拠にしているんだと。  結局は、本当にそういう銀行に株をちゃんと売却させて、株価を維持させて返させるんだということになると、それができるのは、経営がおかしくなったらどんどん公的資金をつぎ込んで絶対銀行はつぶさない、まるで国有化ですが、そういった状況に持っていく、それしか手段はないんじゃないかと思うんですよ、そこまでおっしゃると。返ってくるんだ返ってくるんだ、必ず返させるんだということになると。そういったことをそこまでやるのかということを私はまず伺いたいと思うんです。  時間がないので、あと一、二点お聞きしたいので、簡単にその点をお答えください。
  83. 柳沢伯夫

    国務大臣(柳沢伯夫君) 私の議論は、予算委員会でも同様でございましたけれども、どうも税金という言葉を御党の人たちはよく使われて、国民の皆さんの前で一方的に贈与する資金のようなニュアンスで言われておりますので、私どもは正確を期して、これは出資であり、あるいは投資であり、また貸し付けなんだということ、あるいは債権の購入なんだということを制度の性格として正確を期して申し上げたという次第でございます。  これを言うと、また、それごらんといって鬼の首をとったような物の言い方になるのも私としては避けたいところなんですが、正直申して、出資というものはある意味で文字どおりの出資でございまして、これが債権のように、あるいは貸付債権のように債権者優位というんでしょうか、そういったようなものの性格でない、それがまた逆にこの健全化法では評価をされておるんだ、そういう制度的枠組みの中で行われることなんだということはぜひ御理解をいただきたい、こう思います。
  84. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 それを言われると最初に戻るんですけれども、税金でないと言えないでしょう。直接税金を注ぐなんてだれも言っていないですよ、制度上そうなっていないんだから。しかし、焦げついたら税金で面倒を見るしかないんですよ。そうでしょう。そういうことをまるで関係ないかのように言われる、これはおかしいですよ。国民にはやっぱりそこのところをわかりやすく説明すべきだと思います。  最後に、これは今後のこともあるので一、二点伺っておきたいんですが、貸し渋り対策ということで今度の公的資金投入をやられております、そういう面でも。貸し渋りどころか貸しはがしをするといったような銀行の経営体質が問われたわけですけれども、こういった方針がこれによって変わるのか。  申請行から健全化計画が出されておりますけれども、その中に中小企業向け融資をふやすというのがあるとけさの報道でありましたが、具体的にどうやってふやしていくのか。強いところにばかり金を貸しておったって意味がないんです。そういうところをどういう形でやるのかということについてまず一点伺いたいと思います。  それから、制度が変わったから大丈夫だと先ほどおっしゃったけれども再生委員会の審査のやり方です。これは佐々波委員会とどう違うのか。佐々波委員会ではラインシートを全部取り寄せてやったと言っていたけれども、実際はそんなことをやっていなかったと私は思いますが、そういったことまで言っておった。しかし、実際は日銀大蔵省任せだったですね。そういったことにならないのか。今度のいわゆる審査のやり方ですけれども、みんな今度も八%以上で非区分ということになったわけですが、どういった審査のやり方をやったのか、非区分になった根拠も明らかにしていただきたい。
  85. 柳沢伯夫

    国務大臣(柳沢伯夫君) 貸し渋りにつきましては健全化計画に書かれているということで、我々、健全化計画の履行ぶりについては、これはいろんな方策を今後検討させていただきます、その体制及び段取りでございますけれども。いずれにしても、フォローアップを、過剰介入と言われない程度で、この健全化計画の実施というものを確保するためにしっかりやっていきたい、そういうことを通じて貸し渋り対策、特に中小企業向けの信用供与の疎通については心を尽くしてまいりたい、こういうように考えております。  第二番目に、再生委員会の審査でございますけれども、これは法律の枠組みでも、一つは財務の健全性を確保しなさい、それからまた我々の取得した株式等の流動性、これは現実に市場で処分できるということの可能性でございますけれども、こういったものについてよく審査をしろということが定められておりますので、それに従って審査をしたということでございます。財務の健全性等については、もちろん監督庁による検査の結果そのものに即して我々は審査をさせていただいた次第です。第二番目に健全化計画の中身でございます。それから第三番目に商品性、こういったような各項目について審査をいたしておる途上にあるわけでございます。
  86. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 終わります。
  87. 三重野栄子

    三重野栄子君 社会民主党の三重野栄子でございます。  先般の財政金融委員会におきまして宮澤大蔵大臣所信表明をなさいまして、そのときに、今後の財政金融政策の基本的な考え方として、金融システムを早急に再構築することが不可欠であるとの御認識を示されておりました。  そこで、預金保険機構に対する監督権限をお持ちである大蔵大臣に、預金保険法施行令の規定に基づいて本年三月末までに検討しなければならない預金保険の特別保険料率の改定について御見解をお伺いいたしたいと思います。  そこで、預金保険機構のインターネットのホームページを見てみますと、問一には「預金保険制度とは、どのような制度ですか。」、問三十には「資金援助と特別資金援助とは、制度上どのような違いがあるのですか。」、問三十一には「保険料率は、現在、何パーセントですか。」、問三十二には「保険金等を支払うための責任準備金は、現在、どのくらいありますか。」、また初めに戻りまして、問四は「平成十三年三月末までは、金融機関が破たんしても、保険金の支払対象外の金融商品も全額保護してもらえるのでしょうか。」、そういう質問に対して明確な答えが出されていますけれども、果たしてそのような答弁でいくのだろうかということに私としては憂いを持っています。  すなわち、平成八年の預金保険法の改正によりまして、一人一千万円までの預金の払い戻しであるペイオフを平成十三年三月末まで行わないための財源として、各金融機関は預金保険機構に特別保険料を納めることになっております。ところが、その後、例えば木津信用組合の約一兆円だとか拓銀で約三兆四千億円と、破綻処理に要する資金は巨額に上っているのでございます。  そこで、お尋ねでございますが、現在、金融機関が納めている特別保険料及び一般保険料では賄い切れず特例業務勘定に交付されている国債七兆円のうち、既に現金化されているのはどれくらいでございましょうか。
  88. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 今の三重野委員の御質問の最後の点は、結局この保険料をどういうふうにすべきかということでございまして、それに至りますまでの数字をいろいろ今おっしゃっていらっしゃいました。その点はまず政府委員から申し上げます。
  89. 伏屋和彦

    政府委員(伏屋和彦君) お答えいたします。  昨年の二月に預金保険法が改正されまして、預金の全額保護の徹底を図りながら円滑に金融機関の破綻処理が行えるように、先ほど先生が言われました預金保険機構の特例業務勘定に七兆円の国債をもって充てる基金が設置されているわけでございます。  この特例業務基金は、保険料収入を補完するものといたしまして、破綻処理実施に際しましてこの勘定に発生する損失を補てんするものとして位置づけられているわけでございます。具体的には、先ほども先生が言われました中に入っておりましたが、特例業務勘定における預金の全額保護のための機構の業務でございます特別資金援助などに使用されることとなっているわけでございます。  そこで、御質問に対するお答えでございますが、きょう現在、特例業務基金のうち約一兆二千億円の交付国債が現金償還されているところでございます。
  90. 三重野栄子

    三重野栄子君 また、破綻処理費用に充てる責任準備金は、昨年、平成十年三月末で九百四十億円の赤字となっておりましたけれども、ことし、平成十一年三月末の赤字残高は幾らぐらいと見込んでおられるでしょうか、お尋ねします。
  91. 伏屋和彦

    政府委員(伏屋和彦君) お答えいたします。  昨年度末は、まさに先生がおっしゃるとおり、九百四十億円の欠損でございましたが、今年度末、平成十一年三月末の責任準備金、これは見込みでございますが、今年度中に処理が予定されているものを勘案いたしますと、一般勘定で約七千六百億円程度、それから特例業務勘定で四千百億円程度、したがって両方の勘定を合計いたしますと一兆一千七百億円程度の欠損となる見込みでございます。
  92. 三重野栄子

    三重野栄子君 相当に赤字があるわけでございます。  ところで、平成八年に保険料を七倍に引き上げたときには、どのような見通しのもとにどのような積算でもって七倍に引き上げられたのでしょうか。そこらあたりを御説明いただきます。
  93. 伏屋和彦

    政府委員(伏屋和彦君) お答えいたします。  今、先生が言われましたように、平成八年におきましては預金保険料率がその前の〇・〇一二%から〇・〇八四%ということで、まさに言われましたように七倍に引き上げられたところでございます。  これにつきましては、当時の平成七年十二月の金融制度調査会の答申に考え方がございまして、預金保険が発動されるようになったちょうどその前の四年間ぐらいでございますが、この四年間と同程度の破綻が生じた場合にも対処し得るよう、この間の破綻処理コストのちょうど合計額でございます二兆から二兆五千億円をその後の五年間で引き直しまして、それをカバーし得るよう料率を算定いたしますと、保険料率は一般保険料でその当時の料率の四倍程度、加えて特別保険料で三倍程度ということで、先ほど先生が言われました合計七倍程度の水準に引き上げる必要があるというぐあいに考えられたものでございます。  なお、もう少しつけ加えさせていただきますと、当時の金融制度調査会の答申におきましては、この預金保険料率の七倍の引き上げによりまして金融機関の利益に対する預金保険料の負担の割合が、当時の米国の金融機関の預金保険料負担のピーク、これが九一年に預金保険料の負担のピークが八%だったわけでございまして、ちょうどその利益に対する保険料負担の割合と日本の場合も同じ程度になるということになりますと、この七倍という数字が出てきたわけでございます。当時は、考え方といたしまして、この水準を超える負担を金融機関に求めることは我が国金融機関の国際競争力への悪影響等をも勘案すると極めて困難であるという考え方のもとに、先ほど先生が言われました七倍というものが当時引き上げで決まったところでございます。
  94. 三重野栄子

    三重野栄子君 しかし、その後の破綻状況を見てみますと大変なようでございますが、ペイオフを延期している平成十三年三月末までのあと二年間に必要な額を金融機関が納める保険料で賄うという考え方に立つならば、そのときと同じ積算を行った場合、どの程度保険料率が必要であるとお考えでしょうか。
  95. 伏屋和彦

    政府委員(伏屋和彦君) まさに先生、大体想像して御質問していただいているのでございますが、おっしゃるように、金融機関が預金保険機構に納める預金保険料は現在は年間約四千六百億円でございます。平成十三年三月末までの二年間に一体預金保険にどのぐらいの額が必要であろうかということになりますと、これは既に確定しているものと、もう一つは、破綻は公表されておりますがこれから処理が予定されている金融機関がございます。十の金融機関と二つの特別公的管理銀行でございますが、この処理に一体幾らの金額が必要になるか、これは現在精査中でございます。  さらに加えて、今後の破綻を予測することはこれまた難しいことでございますので、まことに申しわけございませんが、具体的な金額とか具体的な料率ということでお答えすることはなかなかできないものですから、御理解いただきたいと思います。
  96. 三重野栄子

    三重野栄子君 先ほどからマイナスのことを考えるなという議論もございましたが、時間もございませんので、最後に大蔵大臣にお願いしたいと思います。  既に預金保険法施行令に規定されました特別保険料率の改定期限の三月をもう迎えておるわけでございます。現在、この問題については大蔵省金融審議会第二部会、預金保険制度に関する作業部会で検討中と報道されておりますけれども、その検討内容についての情報公開は現在まで行われていないのではないかと思います。  平成八年の法改正のときには預金保険の対象外と説明されておりました長銀とか日債銀などが発行する金融債は現在保険料を払わないまま結果として保護されると行政当局に解釈されているようでございます。  そもそも預金保険制度は金融機関から徴収した保険料を積み立てて万一の金融機関の破綻に備えることを目的とした制度でございます。この制度の趣旨に即しまして、現状は赤字の状態にあるわけですけれども、保険料率の引き上げ及び保護対象商品の明確化が行われるべきと考えますが、これらにつきまして大蔵大臣の御所見を伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
  97. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 今、三重野委員がおっしゃいましたように、金融審議会でおっしゃったような問題を議論しておられまして、そこで結論をお出しになりますと、金融再生委員会と私どもの方の共管で決めていくということでございますから、三月末までに決めなければなりません。でございますので、私としては、お願いをしておることでございますので、これがよかろう、あれがよかろうというのをちょっと申し上げかねるのですが、しかしまさに今いろいろ細かにお聞きになりましたようなことが議論のベースでございます。  それで、対象を、本来は預金であったわけでございますが、その後大蔵大臣が言明をされて、金融債にも適用されるようになっております。そういったような対象の問題がございます。  それから、銀行のお立場からいえば、既にかなり重い負担であることは間違いございません。しかも、リスクのありそうな金融機関とそうでない金融機関で率を分けるということは許されない、みんな一律でなければならないという法律でございます。ですから、きっと金融機関側からはもう非常に重いというお話がこの審議会の委員の方におありだと思います。また別途、先ほど政府委員が申し上げましたように、今までのところももう相当負担になっているし、この勘定は一兆円余りの赤字ですし、世間からも、随分公的な援助も出ている、そこへこれをこの際軽減するということは一体どんなものかというようなことも審議会の中でいろいろ御議論のようでございます。  私が自分の意見を申し上げることができませんので、大体御議論になっておりますようなことを御紹介いたしました。
  98. 三重野栄子

    三重野栄子君 どうもありがとうございました。  終わります。
  99. 星野朋市

    星野朋市君 私は円の国際化と中期財政展望の二点に絞ってお尋ねをしたいと思います。  宮澤大蔵大臣はことしになりまして、ユーロの誕生によって国際通貨がバイポーラーになった、円はややおくれているけれども国際化のために努力している、もう少し東南アジアで円が使われてほしい、こういう御発言をなさったようでございますけれども、その背景にはここせんだって以来の東南アジアの通貨の混乱、それから三百億ドル規模に及ぶいわゆる宮澤構想、そういうものが背景にあってそういう発言があったのではないかと私は思っているんですが、いかがでございましょうか。
  100. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ちょっとお許しをいただきまして背景を申し上げるわけでございますけれども、我が国の経済がこういうみじめな姿になります前、勢いのいいときでございますけれども、その時代にも円をやや国際化しようという考え方は必ずしも政府の中軸になっておりませんでした。どちらかといいますと、戦後のいろんなことを引きまして、なるべく円が重荷を負いたくないというような、それは負いますとやはり財政に負担が来るということからだと思いますが、でございましたので、我が国の経済が相当力がありました時代でもなかなかそういう議論は中軸にならなかったわけでございます。  しかし、おっしゃいますように、ユーロというものが誕生した、さて円はという、誕生することが明らかになりました二年ぐらい前から申し上げればいいかと思います。  円はということが問題になりましたのと、それから一昨年七月にタイに通貨危機が起こりまして以来、通貨をドルだけにペッグしておった、そのために割高になってああいうことが起こったと。ペッグはいいがドルだけにペッグしておったのは間違いだったかもしれない、もう少しバスケットのような、例えば円とかにも、そういうふうなペッグの仕方をしておけばよかったのかもしれないという反省のようなものもそれらの国にあったようでございます。  そこへ我が国も何とかして手助けをしたいというようなことがございましたものですから、円というものをもう少し考える必要があるなということが東南アジアの国々にございましたし、我が国もそういう接触をしておるうちに、これは国際金融関係者が多いものでございますから、自然にそういう空気がそこで出てきておる、それがこの間までのところでございます。  そこで、将来そうであるとすれば、皆さん円をお持ちなさいなというときに、持った円を市場で運用できなければいけませんので、そういう市場をつくらなければならないということになりまして、ここへ来まして、短期割引国債、FBというようなものあるいは利付国債でレジスターしておりますようなものについて源泉徴収をやめようと。これがございますと流通ができませんので、それを主税当局が決心いたしました。それでようやく円というものが市場で運用されるようになった。この半面には日本銀行がFBを公開したということが大きいのでございます。それでようやく運用ができる市場がここでできることになります。  したがって、そういう道具立てがようやくできてきたというところまででございまして、これから後は本当に各国が、では円建てで取引しましょうとか、円を持ちましょうとか、あるいは円もバスケットに入れましょうとかいうように、恐らくかなりゆっくりゆっくりのプロセスではないかと思います。ですから、ドルができた、ユーロが国際通貨になった、次は円と、とんとんといくような感じではございませんが、ただそっちの方に向かっておるとは申し上げられると思います。
  101. 星野朋市

    星野朋市君 ただいま大蔵大臣がおっしゃったことは私は身を持ってよくわかるんです。というのは、別の面から申し上げますと、日本の輸出額は今、ドルでいいますと年間三千数百億ドル、輸入は二千数百億ドル。それで、輸出の円建て部分というのが大体三六から三八%ぐらい、それから輸入が一八から二〇%ぐらいですね。そんな関係がここ数年間続いて動かないんです。  それで、これは資産の面では問題なんですけれども、その規模でいくと実は円高になろうが円安になろうがトータルでは損得ない勘定になって、日本全体としては居心地がいい状態で続いてきちゃった。円高になるときにもっと円建てにすればメーカーも困らないじゃないかということをしばしば私は質問したんです。ところが、大体のお答えは、そうすると円を持った国がその円を運用する場所でいろいろ規制があって円を持ちたがらないという御回答だったんですね。  まさしくその中の一つにこれから審議される有価証券取引税及び取引所税の廃止という問題が出てまいりまして、これが行われると大体マーケットは世界の水準、今おっしゃった所得税の問題もございますけれども、これでオープン、フリーになる。それで、そのほかにただいま大臣がおっしゃったようないろいろな施策というものがあって、やはりここはひとつ日本のチャンスではないか、そうとんとんとはいかないかもしれませんけれども。  それからもう一つは、これは大蔵だけに望むことではございませんで、やはり輸出業者、輸入業者が円建て部分をもう少し大きくしていくという努力をする、こういうことが一つのステップじゃないかと私は思うんですが、いかがでございましょうか。
  102. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 星野委員は本当に御自分で長い御経験をなさいましたのでよくおわかりいただけるんですけれども、確かに日本から物を買ってもらうときに円で買ってもらえばいいんですが、どうも向こうは円で買いたがらないものですから、それをインシストすると商売に負けてしまうというようなことが現実にあったらしゅうございます。  いろんな事情がありましたが、ここへ来ましていろいろ自由化されたこともございますのでしょう。古い言葉で言えば国際派と民族派とございまして、このごろは余りそういうことは言わなくなりましたが、一生懸命努力をして、そして輸出入をなさる方にもそういう気持ちになっていただく。三十何%、二十何%ではちょっと話になりませんので、そういう意識的な努力を、こういう法律をお願いしたりしてそちらの方へようやく関係者の頭が向いたということでございますから、一生懸命努力をいたします。
  103. 星野朋市

    星野朋市君 次に、中期財政展望の件についてお伺いをいたします。  私はこれがいろんな面で重大な意味を含んでいると実は思っているんですが、世間ではまだこれはほとんど知られていない。実は先日も日銀に同じような形で質問をさせていただいたんですが、名前は申し上げませんけれども日銀の某幹部はこれは一つの試算でしょうぐらいの頭でしかないんです。  ところが、私はこれを見てやや愕然としたのは、政府が今使っている成長率の数字は、宮澤内閣のときに生活大国五カ年計画で設定された後、構造改革を伴う経済政策という形で、一・七五と三・五の二通りしか使われていないわけです。経済企画庁長官はこれの改定を命じましたが、恐らく今作業中だと思うんですけれども、まだ新しいのが出てきていませんから、すべてこの数字に拘束されているわけです。  そうすると、一・七五%の成長であろうとも三・五%の成長であろうとも、この中期五カ年計画の間では実は国債費の増額ということによっていわゆる赤字国債発行額がほとんど変わらない状態だと。最終的には約四百兆にも上る国債残高ということが、現在の低金利の状態において、実は成長率を高めると金利が高くなって国債費が増大してしまうということのために、そこで相殺されてしまうような状態です。  それから、GDPに占める国債費の割合が今の試算だと六五%になりますけれども、次第にふえていって今年から七〇%台になる。すると、一体日本国債残高の適当なというか一番望ましいところはどこなのかという問題が起こります。  たまたまきょう欧州中央銀行の理事が見えましたけれども、ユーロの統合について財政面だけ見ると、これは原則として財政赤字はGDPの三%、債務残高はGDPの六〇%以内にしないと通貨統合に加入できないということになるわけです。  それで、日本は昨年までが限度であって、これからはこれにも適合されない。現在は景気回復のためにどうしても今の状態は必要であるけれども、この後ずっとこのままでいいのかどうかという問題を中期展望には含んでいるんじゃないか。その一つは、成長率を増しても実は国債発行残高は減らない。もう一つは、今言った適正な国債残高はどうなのか。この二つが中期展望の中に含まれている問題点だと思うんですが、御意見はいかがでございましょうか。
  104. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そのとおりだと思います。  成長率が三%になればうまくいくはずですが、金利が上がってという、これはマクロモデルがいかにも言いそうなことでございます。そんなものじゃないだろう、人間の努力がいろいろあってと、こう私なんか思いますけれども、おっしゃっていることは、今こういう異常なことを我々やっておりますが、ちゃんと正常に返りましたらもう一遍このようなことをきちんと勉強することは大変意味があるだろう。この計画は五十年代の初めから国会にお出ししておりまして、そのころはまだこんな時代じゃございませんから、ごらんをいただいて、いろいろお使いもいただけたんですが、ここのところはちょっといろんなことが浮世離れしておりますので、しばらくお許しを願うとして、しかしやがてこういうことをまじめにしなきゃならないことになってまいると思います。
  105. 星野朋市

    星野朋市君 終わります。
  106. 菅川健二

    菅川健二君 参議院の会の菅川健二です。  若干ダブる面もあろうかと思いますが、金融再生問題についてまずお聞きいたしたいと思います。  先ほど来、益田委員等からも話がございますように、私もここ二年この席に座っておりますと、年度末になりますと、おおむねまず不良債権は解消して金融再生できるんだ、明るい見通しだということを聞かされ続けたわけでございます。  例えば、昨年のやはりこの時期だったと思いますけれども、全銀協の岸会長にもお聞きしたら、これでほぼ見通しが立ったということをはっきり言われたのを記憶いたしておるわけでございます。その後、大変な問題が起こったということは言うまでもないわけでございます。  そこで、今回でございますけれども公的資金七・四五兆円をほぼ申請どおり認められるという方向ではないかと思いますが、これで本当に不良債権は一掃されるのか、注入額はこれで十分なのかどうか、さらに積み増しする必要はないのかどうか、大変しつこいようでございますが、その確認をさせていただきたいと思います。柳沢委員長、よろしくお願いします。
  107. 柳沢伯夫

    国務大臣(柳沢伯夫君) たまたま菅川委員の方から、どうも何度も同じせりふを聞いているようだけれども、今回はどういう状況の違いがあるのか、本当に大丈夫なのかというお話がございました。  記憶ですので正しいかどうかちょっとおぼつかない面もありますけれども、去年の不良債権処理額は六兆円台だったと思います。その前が住専もあって十一兆円ぐらいだったと思うんですけれども、それに比べて今回の不良債権処理額は九兆円ちょっとというところでございます。  私ども、前回のときにやらないこととして何をやったかとあえて言わせていただきますと、査定の厳しさが第一、それから引き当ての定量的基準化というのが第二というように、制度的な枠組みも従来とはかなり異ならせて今回の不良債権処理に臨んでおります。  加えて、いわゆる飛ばしと申しましょうか、子会社を使って不良債権を他の企業体に移すことがあるというようなこともよく言われるわけでございますけれども、今回は連結決算ということで、しかもその連結をしなきゃならないのは、いわゆる形式基準による子会社といったようなものにとどまらないで実質基準によってそれを判断するというようなこともやりますので、そうしたいわば隠ぺい的な行為ということも、これを許さない仕組みのもとに置かれるわけでございます。  こういったもろもろのことを考えますと、これは従来とは違った点である、こういうことをぜひ申し上げたいと思うのでございます。  加えまして、今回は公的な資本注入をするということもあるわけでございまして、さらにその前提として、健全化計画ということの中で、不良債権処理の仕方ということについてもその計画の中身として盛り込まれなければならない、こういうようなことも義務化をいたしておるわけでございます。  そういったもろもろのことから、先生からまた同じせりふを聞いたぞと言われると、私もこれ以上何を言ったらいいのかよくわからないような気持ちにもなるわけですけれども、ぜひ今度の枠組みについては従前とは異なるということをひとつ御理解いただいて、私どもの手続が進行することをぜひ温かく見守り、また御支援もお願いしたい、このようにお願い申し上げる次第でございます。
  108. 菅川健二

    菅川健二君 来年の今ごろはぜひまた同じことにならないように、ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。  ただ、ちょっと審査の過程で気になりますことは、十五行が申請して、内容について非常に優良な銀行から非常に危ない銀行というように非常にばらつきがあったんではないかと思うわけでございます。恐らく柳沢委員長も途中で何か一行か二行は振り落としたいという気持ち銀行もあったんではないかという推測はいたすわけでございますが、ただ最終的には護送船団方式のように全部仏心で救われたということでございます。  ここ二カ月余りでやられたということでございますけれども、御案内のように、例えば給与問題とか人員の問題については組合と交渉しなくちゃいかぬとか、いろいろ細かい折衝というのがあろうかと思います。そういった面では、今回の計画が十分そこでこなれておるのかどうか。さらに、まだ危なっかしそうな銀行についてはさらに健全化計画の強化を求めるとか、そういった手だては講じられないんでしょうか。
  109. 柳沢伯夫

    国務大臣(柳沢伯夫君) この点については、マーケットに悪影響、誤解を与えてもいけないと思いますので慎重な言い回しをお許しいただきたいんですけれども、今回の十五行が決まったということは、内々にでも注入を希望したところをすべてその対象にしたということでは必ずしもございません。何というか、もう御遠慮いただいて、別の生き方というか、自分たちの経営のあり方というものをお考え直しいただいたところも実はあるわけでございます。  それから、今回注入を決定するに当たっても、その基礎となるべき自分たちの金融機関としての他とのあり方、関係について見直しをお願いしたところもありまして、護送船団方式のようにただ漫然と申請のあったところを皆対象にするということではなかったということを御理解賜りたいと思います。  今後のことでございますけれども、理論的に言えば、景況等がより深刻な事態になるというようなことになれば、これはまた一斉にでもというようなことも全く排除できるかと言えば、それはそういうものではないと言わざるを得ないと思いますけれども、一斉の注入が必要ではないような通常の競争あるいは経済状況の中で経営にしくじるというような前提で注入のケースを考える場合には、私どもは今度はもうその当該の機関に、単純な健全化法に基づく注入というよりも、もっと形を変えて合併なりあるいは再編というようなものを考える中でそうした対象としていくということを展望したい、このように思っております。
  110. 菅川健二

    菅川健二君 それから、今回の公的資金注入に当たっては、経営責任は事実上ほとんど問わないという形であったんじゃないかと思うわけでございます。余り最初からこういうものを問いますとなかなか真実の内容が出てこないということでございまして、それはある程度やむを得ないにいたしましても、経営健全化計画を出したわけでございますから、経営健全化計画が完全に履行されておるのかどうか、あるいは履行されていない場合には結果責任を問うということがやっぱり重要ではないかと思うわけでございますが、結果責任についてどのようにお考えでしょうか。
  111. 柳沢伯夫

    国務大臣(柳沢伯夫君) 菅川先生御推測のとおりでございまして、今回の健全化法に基づく資本注入のこれまでの道行きを顧みていただきますと、実はいろんな御議論がありました。最初から経営責任を明確化すべきだというような意見もあったし、入れなければ個々の機関ではなくてシステム全体としての健全化というこの法律の本来の目的が実現できないではないかというような御議論もありました。  私ども、いろいろ彼此勘案した結果、ただいま先生が仰せのような方針をとらせていただいて、事前的な経営責任を追及するということではなくて、今回はその責任をおとりいただくということがあればすべからく事後的に考えていきたい、このように考えておりまして、おっしゃるとおりの方針で臨んでいる次第です。
  112. 菅川健二

    菅川健二君 その点ではきちっとけじめをつけていただきたいと思います。  それから、銀行が事業法人の株式を持ち、株価の変動が自動的に貸し出しに連動するシステムではどうしても不安定でございますから、貸し渋り状況というのがなかなか解消できず、また銀行経営の安定化もなかなか望めないわけでございます。アメリカ等では銀行の株式保有を禁止しておるようでございますが、これについてのお考えはいかがでしょうか。
  113. 柳沢伯夫

    国務大臣(柳沢伯夫君) これもちょっと記憶の数字なものですから口にすべきではないかもしれませんが、日本金融機関の運用資産の多分六%ぐらいであったかと思うんですけれども、株式の形態で運用しておるということが現在の金融機関の実態でございます。  これについてどう考えるかということについては、ただいま先生御指摘のように、本来金融機関なんであるからこうしたことを一切禁止したらどうだというような御議論もあることを私もよく承知をいたしております。他方には、いわゆる日本のメーンバンクシステムの裏づけとしての株式保有ということがあって、メーンバンクというシステムのメリットを全く否定できないとすれば、それを効果的に実施していくためにはやはりメーンバンクとしての立場からその関係にある企業の株式を持つということにもそれなりの意味がある、こういうような両極端の間にいろんなバリエーションがあろうかと思います。  一般論として言えば、株式の持ち合い解消というふうなことの中でだんだん株式保有が少なくなっていくという状況にあるわけですけれども、それをさらに越えて禁止、あるいはこれを一定の限度に制約していくということについてどう考えるかということについては、大変恐縮ですが、いましばらくまだ時間をかしていただきたいなという感じがいたします。と申しますのは、日本のシステムの中でメーンバンクのシステムのメリットと、どのタイミングでどう修正していくかということについてなかなかまだ我々自身の中で結論を見出し得ていないということでございます。
  114. 菅川健二

    菅川健二君 この問題は株価にも大変影響しますので、引き続き検討していただきたいと思います。  最後に、大蔵大臣に一問お聞きしたいのでございますけれども、現在たしか二千二百億ドル余りの外貨準備高があるんじゃないかと思うわけでございます。この総額については明らかにされておるわけでございますが、実際に運用状況がどうなっておるのか、それが適正に運用されておるかどうかというのはブラックボックスになっておるわけでございます。アメリカでははっきりしておるし、またヨーロッパでもはっきりさせる動きがあるやに聞いておるわけでございますが、この点、透明化していくというお考えはありませんでしょうか。
  115. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 外貨保有高は時々で報告を公表するものでございますから、どうもおなかが膨れたじゃないの、どうしたのさというふうなことを言うと、介入したんじゃないか、こういうことになってきまして、その程度のことは仕方がないと思っておるんですが、介入そのものは、事の性質上、それから各国の中央銀行、財務省との約束なんかでもう一切言わないことにしよう、こういうことにしていまして、それにも意味がないわけではないと思っていますので、その約束を守らせていただきたいと思います。  ただ、外貨保有高は毎月公にいたしておりまして、これをごらんになりますと、急にふえているとかいうようなことは御想像はおできになるような仕組みであります。
  116. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  117. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 特定融資枠契約に関する法律案を議題といたします。  発議者峰崎直樹君から趣旨説明を聴取いたします。峰崎直樹君。
  118. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 特定融資枠契約に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。  一昨年来の信用収縮の状況のもとで、企業の資金調達の機動性の増大を図るため、融資枠契約、いわゆるコミットメントライン契約に対する需要が高まっております。  融資枠契約とは、金融機関等が手数料を徴求することにより一定期間にわたって一定の融資枠を設定、維持し、その融資枠内で顧客の請求に基づいて融資を実行することを約する契約でございます。企業にとりまして、この融資枠契約は、手元資金の流動性を確保する方法として、また社債やコマーシャルペーパーを発行する際のバックアップラインとして大きな役割が期待されるものでございます。  しかしながら、融資枠契約の手数料が利息制限法及び出資法上のみなし利息に該当すると解され、設定された融資枠に対して実際の融資額が少額にとどまる場合には制限利率を超過し、違法と評価されるおそれがあります。このため、銀行等の金融機関は融資枠契約を締結することに消極的であったと言われております。  そこで、経済的弱者を保護する利息制限法及び出資法の趣旨も考慮しつつ、借り主が大会社である融資枠契約につきましては、その手数料が利息制限法及び出資法上のみなし利息に当たるとされることがないよう、この法律案を提案した次第でございます。  次に、この法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  第一に、この法律は、特定融資枠契約に係る手数料について利息制限法及び出資法の特例を定めることにより、企業の資金調達の機動性の増大を図り、もって国民経済の健全な発展に資することを目的とすることとしております。  第二に、この法律において特定融資枠契約とは、融資枠契約であって、借り主が契約締結時に商法特例法第二条に規定する株式会社であるものを言うこととしております。  第三に、利息制限法第三条及び出資法第五条第六項のみなし利息の規定は特定融資枠契約に係る手数料については適用しないこととしております。  第四に、この法律は公布の日から施行し、この法律の施行後に締結される特定融資枠契約について適用することとし、この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用についてはなお従前の例によることとしております。  第五に、特定融資枠契約に係る制度のあり方については、この法律の施行後二年をめどとして、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるべきものとすることとしており、この法律の施行後の運用状況や中小企業等の要望を勘案し、特定融資枠契約を利用できる範囲、必要となる保護策の内容等について見直すことができるようにしております。  以上がこの法律案の提案理由及び内容の概要であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いいたします。
  119. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は御発言願います。
  120. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 日本共産党の池田幹幸でございます。  この法案は貸し渋り対策だということでございますが、それならば今問題になっております公共的な役割を忘れた銀行の姿勢、これこそ問題にしなければいけないんじゃないかというふうに考えるわけですけれども、この法案は案件ごとに審査して貸し付けるという今の銀行の貸し付けのやり方、これを大企業については緩和しようというものです。そうなりますと、これは貸し渋り対策とは別次元の問題だろうというふうに私は考えるわけですけれども、問題点を大体大きく三つに絞ってお伺いしたいと思います。  まず、利息制限法三条は、「債権者の受ける元本以外の金銭は礼金、割引金、手数料、調査料その他何らの名義をもってするを問わず、利息とみなす。」とあります。出資法にもほぼ同様な規定があるわけですが、提案者にお伺いしたいんですけれども、この規定はどういう趣旨で設けられたものというふうにお考えですか。
  121. 塩崎恭久

    委員以外の議員(塩崎恭久君) ただいまの池田議員のお尋ねでございますけれども、みなし利息という概念がそもそも何のためにつくられたのかということでございますが、この利息制限法並びに出資法は弱者保護を目的として行われているものでございまして、金銭貸借に係る金銭の授受については名目のいかんを問わずすべて利息とみなすということで、手数料という名目でどんどんと金利を弱者が取られることがないようにということであろうかと思います。
  122. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 その趣旨からすると、少しでも例外があるとそういった弱者保護という点では問題があるということになるんじゃないかと思うんですが、るる伺っていきます。  まず、法務省に伺います。  このコミットメントライン契約は、先ほどの趣旨説明にありましたけれども、実際には大企業との間で行われているということなんですね。そうしますと、この契約で言う手数料は利息制限法等のみなし利息に該当するはずなんですが、法務省、いかがですか。
  123. 細川清

    政府委員(細川清君) 御指摘のとおり、金銭の貸し付けに関して授受される金銭はすべて利息とみなされているわけでございます。
  124. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 発議者に伺いますが、そうしますと、このみなし利息をこの法案で除外する理由というのは一体何なんですか。みなし利息というものをどういうふうに考えて、この法案ではなぜ除外するのかということです。
  125. 塩崎恭久

    委員以外の議員(塩崎恭久君) 先ほど趣旨説明の中にございましたように、この取引自体、欧米では大変広範にやられているものでございます。すなわち、これは企業が手元を持つときに、将来のいろいろな条件が変わったとしてもコミットを銀行側からしている分については必ず得られるというメリットがあるということでございます。  そこで、例えば年末とか年度末は、我々個人でもそうでありますけれども企業においては特に資金繰りがタイトになってくる、不測の事態も起こり得るということで、例えば一昨年の年末であるとか昨年の年度末であるとか、あるいは昨年の年末もそうでありますが、信用不安の中で借り入れ需要というのが非常にふえたわけです。こういうことが行われますと、優良な大企業銀行に殺到して、言ってみれば企業のたんす預金的に保険を掛けてたくさんのお金を借りてしまうということになるわけであります。そういうことが行われますと、結局、自己資本比率銀行が貸し出しの行動を決めるとすれば、たくさんのお金を大企業が先に借りてしまえば自己資本比率が悪くなるわけでありますから、その分貸し出し余力が減ってしまうということであって、そういうことがひとつないようにしようじゃないかと。  ただ、今申し上げましたように、弱者保護ということがそもそも利息制限法と出資法の目的でありますから、今回大企業についてのみこのみなし利息を適用除外にしようということにいたしましたのは、大企業については弱者ではない、自己責任の世界であるからこの部分については外していいんではないだろうかと。そのかわり中小企業や個人については、弱者保護の観点から、今このみなし利息の適用を外すというのは余りにも早過ぎるんではないだろうかと。先ほどの趣旨説明の中にありましたように、保護策がきちっとしていなければならないということで見直し規定の中に入れてあるわけでございますが、そういうものを踏まえた上で将来はやらなければならないということでありますが、今のところは自己責任で、弱者ではない大企業についてのみこのみなし利息の規定を外すという考え方でございます。
  126. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そうすると、この手数料の性格というもの、これについてはみなし利息であるという従来の規定は変えないということですね。この法案についてのみ、その性格はみなし利息であるが、これは外すんだということですね。  そうしますと、大企業に限っておるから中小企業では大して問題は起こらないということなんですけれども、要するに高利の貸し付けを認めるということになるわけですね、この特定融資枠契約においては。そうでしょう。今までの法律に言う制限利息は法律でそのままだと、しかし手数料についてはもうみなし利息とみなさないんだから、しかも制限つけないわけですから、理論的にはどんどん高くなってもいいわけですね。そういうことですから、考え方としては高利の貸し付けを認めるんだということになりますね。  そうなりますと、結局は利息制限法とか出資法を貫いております原則を外すということにならないか。そういう意味では、言葉は悪いかもしれませんが、両法に風穴をあけるということになるんじゃないかと考えるわけです。  ですから、法務省に伺いたいんですけれども、法務省は平成九年一月に「規制緩和推進計画の見直し・検討状況の中間的公表について」というのを公表しておられるんですが、その中で、コミットメントフィーに関して、「これをみなし利息から除外すると、かかる力関係を背景としてコミットメントフィーという名目で実質的には高金利に当たる金銭を徴収するなどの脱法行為を助長する危険性が十二分にあり、現実的に大きな弊害を招くおそれがある」と言っておりました。  法務省、このおそれは今はなくなったということですか。
  127. 細川清

    政府委員(細川清君) 利息制限法及び出資法は弱者保護の観点から上限金利を定め、また脱法行為を防ぐためにみなし利息の規定を置いております。この趣旨が損なわれることがないようにすることが大切だと考えているわけですが、ただいま御提案の法案におきましては、借り主となるものが商法監査特例法上の大会社に限られており、十分な経営基盤と交渉の能力を有すると考えられますので、融資枠契約を悪用して貸し主が暴利をむさぼる弊害を生ずることはほとんど考えられないと思っております。
  128. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 要するに、利息制限法とか出資法が高利による暴利をむさぼることがないようにと、そういうことはだめなんだという考え方の上に立っておる、それを変えるものじゃないんだということですね。  そうしますと、大企業に限るわけだけれども、この法案について言えば高金利は認めるわけですから、借りる側が高金利でもいいじゃないかということならばこれはいいということでしょう。そうしますと、先ほど言ったように、結局は利息制限法や出資法の高利でもって暴利をむさぼるのはだめだという考え方を基本的に変えるものということになるじゃないですか。そう言うとまたもとへ戻って、いや、これは大企業だからということになるんですけれどもね。  しかし、そこを一歩超えれば、私は歯どめをなくすことになるんじゃないかというふうに考えるんです。というのは、運転資金が必要だと、急に借りようと思って借りられないからコミットメントライン契約をやるんだという先ほどの塩崎議員の説明がございました。そうすると、そういう資金が必要なのは何も大企業だけじゃないんです。中小企業だって必要だ。中小企業で優良な企業もあります。高利でも何とかそれを借りておきたいという中小企業もあるでしょう。そういうところについては、そういうところがいいと言っているんだからいいじゃないか、高利でもいいと言っているんだから、この融資枠契約を認めていいんじゃないかということにだんだん膨らんでいくだろうと。また、少々危ない中小企業でも、せっぱ詰まった場合、金を何とか確保しておきたい、そのときには町の高利貸しよりはましだろう、町金よりはましだろうということで、やっぱりこれを私のところもやりたいというところが出てきたら、どんどん枠が外れていって、結局は利息制限法や出資法の有名無実化につながるんじゃないか。その点はいかがお考えですか。
  129. 塩崎恭久

    委員以外の議員(塩崎恭久君) まさに池田議員御指摘の点が、我々も半年ぐらい議論してまいりましたけれども、一番心配をした点であり、一番注意を払ったところだろうと思います。名目は何にせよ、まさにそういう形で弱者がどんどん高い実質的な金利を取られるということがあってはならないわけであって、それがために我々は今回はとりあえず大企業に限定をした、こういうことであります。  先ほど大企業でも高い実質利息を払うことで合意するならというお話がございましたが、高いか低いかというのは、そもそもこれは一対一の私契約銀行と今回は大企業の間で決めることであって、高いと思えばその企業はまた別の銀行を選んでいけばよろしいわけであって、それがまさに我々今からビッグバンを進めようという中にあっての選択の自由というのがあるわけであります。  ただ、これが中小企業あるいは個人になりますと、この銀行がだめだから、ではこっちに行くよというわけになかなかいかないわけであって、高いかどうかの考え方は、大企業は高いものをわざわざ合意するはずがないわけであって、それは必ず別なもっと低いところに行くはずであります。ですから、先ほど御心配の点について、大企業についても高い金利でいいんですねというのは少し違うんではないかなと思います。  しかし、これが風穴となって弱者がどんどん暴利をむさぼられるようなことがあってはならないということは我々が共通に持っている問題意識でございまして、二年間の見直し規定を設けておりますけれども、この中で本当に保護ができるのかどうかということを見きわめないと新たなる一歩は踏み出せないのではないのかな、こんなふうに考えております。
  130. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 二年間の見直し規定というのをそのように伺って、ちょっと考え方が違うんだなと思うんです。  私は、この附則第三項の見直し規定を設けられたのは、中小企業に広げていこうよという考え方を基礎にして、二年後にはもっと広げていこうということで見直し規定を設けられたんじゃないかと。それがなければ、何も中小企業についてはこの見直し規定は要らぬのじゃないか、今のお考えだと。本当に弱者保護をしなければいけないんだと考えておられるのなら、これは矛盾した附則をつけておられるんじゃないかなというふうに私は考えます。  そこで、ちょっと時間が少ないものですから、第二番目のことに移りたいと思うんです。  このコミットメントライン契約を結ぶ場合、枠をつくるときに、先ほどからの説明は貸し手の側のことばかり言っておられるんだけれども、私はどう見たってこの法律銀行のために有利だなと思うんですが、実際貸し手と借り手と、そのイニシアチブはどっちが握るんですか。
  131. 塩崎恭久

    委員以外の議員(塩崎恭久君) どちらがイニシアチブをとるかということは、それはもうケース・バイ・ケースであって、私は個人的には、今までこれができなかったのは、もちろん利息制限法と出資法に抵触するおそれがあるということで認知をされなかったということもございますが、むしろ銀行の方にしてみれば貸し出すことをコミットするわけですから、いつ来られてもコミットした分については必ず出さなきゃいけない、貸さなきゃいけない、こういうことであります。ですから、これはもうまさに一対一の力関係で決まる部分からこの制度というのは実現していくんだろうし、今ミニマムバランスに配慮をしながら実際に行われている部分があるわけでありますが、そういう点でも実は無担保で行われておりますし、それから手数料の利率もそれぞれケース・バイ・ケースで違う。つまり、銀行の方も貸す相手側のデフォルトリスクの可能性というものをしっかり計算してから手数料というものを計算しないといけない、こういうことでありますから、これはもうどっちもどっち、綱引きの中で決まっていく世界だと、こんなふうに思っております。
  132. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 力関係、それはそうでしょう。力関係で決まるんだと。特に大企業と大銀行ですよ。信用金庫や信用組合は貸しませんね。大銀行と大企業の間での力関係ということですから、ある意味では私は将来それがなれ合いにつながるおそれもあるなという気持ちはするんです。  というのは、まずその枠の契約のときに、今までのような一件一件の契約で担保がどうだという審査をしますね、経営実態はどうだということで。その枠を決めるときは一体何を基準に決めるんだろうか。このプロジェクトが大丈夫かどうかじゃないですからね。この企業はどこまで大丈夫だろうかという枠を決めるわけでしょう。何を基準に決めるんですか。
  133. 塩崎恭久

    委員以外の議員(塩崎恭久君) それこそまさにケース・バイ・ケースだろうと思います。それは業種によって運転資金がどういう山で必要になってくるのかとか、あるいは設備の更新のペースとか、それぞれ違うわけでありますから、やはりそれはあらゆる条件を考えた上で、企業側はこれだけの枠を設定したいと言い、また銀行の方はその中身を見ながら自分たちの資金繰りも考えながら、そう自分の勝手ばかり言っていれば当然ほかの銀行にとられてしまうわけでありますから、必ずそれは自分の都合と相手のリスクをどのぐらい評価するかということで決めるんだろうというふうに私は思います。
  134. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 まず枠の面ではそれでいいとして、それではその枠いっぱいまで借りる権利があると、企業の側は。貸してくれと言われれば、融資の申し込みを受ければ貸さなければならないことになるわけですね、銀行の側は。  そうすると、二回目からの、総枠を決めた後の案件ごとの融資、これのチェックはどうなるんですか。この間ちょっと聞いたところでは、運転資金と書いて出せばもうそのままノーチェックで出さないといけなくなるだろうと。そうだろうと思うんですね、貸さなければいけないんだから。詳しく調べようが、もういいよいいよで貸そうが、同じだろうと思うんですね。そうなるんですか。
  135. 塩崎恭久

    委員以外の議員(塩崎恭久君) 何に使うか、何に使う可能性があるかを含めて最初に契約を交わすわけでありますから、そのリスクを評価する能力がまさに銀行に問われるわけでありまして、それができない銀行はやっぱり手数料を高くしようとする。高くしようとすれば、ほかの銀行に行った方が有利だなと企業は考えるわけでありますから、当然そういう中で契約がまた別な形でほかのところで起きてくるということになってくると思います。
  136. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 今、私の聞いていることとちょっと食い違っていると思うんですが、要するに銀行というのは、借り主の信用状態とか、それからその融資が妥当性のあるものなのかどうか、反社会的なことに使わないのか、投機に使わないのかといったことをチェックして、そして貸し付けると。銀行にとっては貸し出しに関するそういった調査が最も重要なことだと思うんですよ。今まではそうでした。ところが、このコミットメントライン契約の枠の中での融資というのはそういったことはしないわけでしょう。
  137. 塩崎恭久

    委員以外の議員(塩崎恭久君) 先ほど申し上げたように、一番最初に契約するときに、大体一年ぐらいが多いわけでありますが、例えばその一年間の活動の中でこの企業は一体何をするところなんだろうかということを必ず銀行は評価をしなければいけない筋合いにあるんです、つまりコミットするわけでありますから。だから、その時点で企業というのは、大体大きな企業であれば、今回特に外部監査を義務づけられている商法特例法に基づく大企業でありますから、当然オープンにされている企業であります。  したがって、まさにコーポレートガバナンスの問題にもなるわけでありますけれども、その企業がどういう企業であるかということを評価した上で契約をしているわけでありますから、それは最初にまとめてリスク評価をしていると考えるべきなんだろうと思います。
  138. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 わかりました。要するに、言い方は違うけれども、最初に決めたら、こういうリスクを背負うって決めたんだから後はもう何を言われても貸します、こういうことでしょう。結局、その審査機能をかなり形骸化することになるというふうに私は思うんです。  三番目の問題、これは貸し渋り対策だということで出されているわけですが、その……(「時間だ」と呼ぶ者あり)二十三分まであります。(「もう時間だよ」と呼ぶ者あり)二十三分までじゃないですか。
  139. 勝木健司

    委員長勝木健司君) お静かに願います。
  140. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 要するに、大企業に限定しているわけですね、これは。大企業に限定して、中小企業への貸し渋り対策になるということですが、どういうことでそういうことになるのかと私は思いますが、どうですか。
  141. 塩崎恭久

    委員以外の議員(塩崎恭久君) 先ほど申し上げましたように、これがまだ解禁されていない現在ではやはり不測の事態を考えて、聞いてみますと大企業でも何千億の単位で安心預金というかたんす預金を言ってみれば多目に借りて積んでおくと。不測の事態が自分会社も含めて、あるいは自分の取引先や関連会社の資金繰りが困ったときの援助も含めてたくさん借りているわけであります。  しかし、これが解禁をされれば、そんなものを無理に借りておく必要はないわけであって、その部分については一社で何千億という形で多目に借りているところが結構あるわけであって、これを返していただければ少なくとも銀行自己資本比率は改善をするわけであります。  その分、筋合いとして中小企業は借りやすくなるはずであって、それが直接中小企業にすぽんと行くという、審査もなしに行くというようなことはもちろんないわけでありますけれども銀行自己資本比率の問題についてはもう今さら言うまでもなく、先ほど来も議論がございましたが、そういう形で制約要因になるわけでありますので、これはそういう形で中小企業の貸し渋りにも有効なのではないかというふうに考えているわけであります。
  142. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 時間ですので、手短にお願いします。
  143. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 一言だけ。  それは期待だけでなかなかそういうことにはならないだろうと思います。  終わります。
  144. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。
  145. 西田吉宏

    ○西田吉宏君 委員長、議事進行。
  146. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  147. 西田吉宏

    ○西田吉宏君 いや、違うよ、議事進行だよ。議事進行が先行するよ、動議だから。
  148. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 議事進行いたしておるところであります。
  149. 西田吉宏

    ○西田吉宏君 いや、その議事進行と違うんだよ。動議を出しているんだよ。動議が先行します。
  150. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 速記をとめてください。    〔速記中止〕
  151. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 速記を起こしてください。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  152. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 私は、日本共産党を代表して、特定融資枠契約に関する法律案に対して反対の立場から討論を行います。  本法案は、大企業が資金調達を機動的に行えるようにするために、銀行があらかじめ融資枠を設定するいわゆるコミットメントライン契約を全面的に解禁するために、利息制限法及び出資法の適用除外を設けようとするものであります。  第一に、利息制限法や出資法がみなし利息規定を設けているのは、手数料などの名目で実質的に高い金利を取ることにより、金利規制を逃れる脱法行為を防止するためであり、本来その例外があってはならないものであります。本法案は、当面大企業に限定されているとはいえ、その抜け穴をつくるものであり、問題であります。  第二に、コミットメントライン契約では、銀行は、相手先大企業に対して、その融資枠内であれば幾らでもまたどういう使途でも資金を貸し出すことができます。このような貸し出しは銀行の審査機能を形骸化し、大企業の投機的活動に対するチェック機能も低下させることになります。  第三に、提案者はこれが当面の貸し渋り対策に役立つと言っていますが、ビッグバン対応で収益至上主義の経営戦略をとっている大銀行がこのコミットメントライン契約によって生じた余裕資金を中小企業に回す保証は何もありません。  以上の理由から、本法案に対して反対の態度をとるものであります。
  153. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  特定融資枠契約に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  154. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  155. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  156. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 平成十一年度における公債の発行特例に関する法律案経済社会変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税負担軽減措置に関する法律案租税特別措置法及び阪神・淡路大震災被災者等に係る国税関係法律臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案有価証券取引税法及び取引所税法を廃止する法律案所得税法の一部を改正する法律案並びに児童手当法及び所得税法の一部を改正する法律案の六案を一括して議題といたします。  まず、平成十一年度における公債の発行特例に関する法律案経済社会変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税負担軽減措置に関する法律案租税特別措置法及び阪神・淡路大震災被災者等に係る国税関係法律臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案並びに有価証券取引税法及び取引所税法を廃止する法律案の四案について、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。宮澤大蔵大臣
  157. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま議題となりました平成十一年度における公債の発行特例に関する法律案経済社会変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税負担軽減措置に関する法律案租税特別措置法及び阪神・淡路大震災被災者等に係る国税関係法律臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案並びに有価証券取引税法及び取引所税法を廃止する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  まず、平成十一年度における公債の発行特例に関する法律案につきまして御説明申し上げます。  平成十一年度予算につきましては、平成十年度第三次補正予算と一体的にとらえ、年度末から年度初めにかけて切れ目なく施策を実施すべく、いわゆる十五カ月予算の考え方のもと、当面の景気回復に向け全力を尽くすとの観点から編成したところであります。この結果、歳出面につきましては、一般歳出の規模を前年度当初予算に対して五・三%増の四十六兆八千八百七十八億円としているほか、歳入面につきましても、所得税及び法人税について恒久的な減税を実施するとともに、住宅建設及び民間設備投資の促進、経済金融情勢の変化への対応等の観点から適切な措置を講ずることとしております。  その中で、公債につきましては、財政法の規定により発行する公債のほか、二十一兆七千百億円にも上る多額の特例公債を発行せざるを得ない状況にあります。  本法律案は、こうした厳しい財政事情のもと、平成十一年度の財政運営を適切に行うため、同年度における公債の発行特例に関する措置を定めるものであります。  以下、この法律案につきまして御説明申し上げます。  第一に、平成十一年度の一般会計の歳出の財源に充てるため、財政法第四条第一項ただし書きの規定による公債のほか、予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で公債を発行することができることとしております。  第二に、租税収入等の実績に応じて、特例公債の発行額をできる限り縮減するため、平成十二年六月三十日まで特例公債の発行を行うことができることとし、あわせて同年四月一日以後発行される特例公債に係る収入は平成十一年度所属の歳入とすること等としております。  次に、経済社会変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税負担軽減措置に関する法律案につきまして御説明申し上げます。  政府は、近年における我が国の経済社会の構造的な変化、国際化の進展等に対応するとともに現下の著しく停滞した経済活動の回復に資するよう、個人及び法人の所得課税のあり方について、今後の我が国経済状況等を見きわめつつ将来抜本的な見直しを行うまでの間、早急に実施すべき所得税及び法人税負担軽減措置を講ずるため、いわゆる恒久的な減税の具体的内容を定めることとし、本法律案提出した次第であります。  以下、この法律案につきまして御説明申し上げます。  まず、所得税について、最高税率を五〇%から三七%に引き下げるとともに、平成十一年以後の各年分の所得税額から、二十五万円を限度として、その二〇%相当額を税額控除する定率減税を実施することとしております。また、十六歳未満の扶養親族及び特定扶養親族に係る扶養控除額の加算を行うこととしております。  次に、法人税について、その基本税率を三四・五%から三〇%に引き下げるとともに、中小法人の軽減税率等についても所要の引き下げを行うこととしております。  次に、租税特別措置法及び阪神・淡路大震災被災者等に係る国税関係法律臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  政府は、現下の厳しい経済情勢等を踏まえつつ、経済金融情勢の変化等に対応するため、住宅・土地税制投資促進税制金融関係税制等について適切な措置を講ずることとし、本法律案提出した次第であります。  以下、この法律案につきまして御説明申し上げます。  第一に、住宅・土地税制について、控除期間及び控除限度額の拡充等による住宅ローン減税の実施、長期所有土地等の譲渡所得課税の軽減等の措置を講ずることとしております。  第二に、投資促進税制について、情報通信機器の即時償却制度の創設等の措置を講ずることとしております。  第三に、金融関係税制について、非居住者等の受け取る一括登録国債の利子の源泉徴収の免除等の措置を講ずるほか、有価証券取引税等の廃止にあわせ株式等譲渡益課税の適正化措置を講ずることとしております。  その他、小規模宅地等に係る相続税の特例の拡充、特別法人税の課税の停止、たばこ税の税率の引き下げ、利子税等の軽減等の措置を講ずるほか、既存の特別措置の整理合理化等を図り、あわせて適用期限の到来する特別措置の延長等の措置を講ずるとともに、居住用財産の譲渡所得課税の特例に係る阪神・淡路大震災による滅失家屋の敷地の譲渡期間要件の特例の創設等の措置を講ずることとしております。  次に、有価証券取引税法及び取引所税法を廃止する法律案につきまして御説明申し上げます。  政府は、最近における経済金融情勢の変化等に対応するため、有価証券取引税法及び取引所税法平成十一年三月三十一日をもって廃止することとし、本法律案提出した次第であります。  以上が平成十一年度における公債の発行特例に関する法律案経済社会変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税負担軽減措置に関する法律案租税特別措置法及び阪神・淡路大震災被災者等に係る国税関係法律臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案並びに有価証券取引税法及び取引所税法を廃止する法律案の提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  158. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 次に、所得税法の一部を改正する法律案並びに児童手当法及び所得税法の一部を改正する法律案の両案について、発議者直嶋正行君から趣旨説明を聴取いたします。直嶋正行君。
  159. 直嶋正行

    委員以外の議員(直嶋正行君) 私は、民主党・新緑風会を代表し、ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案並びに児童手当法及び所得税法の一部を改正する法律案について趣旨を御説明申し上げます。  まず、二法案の提案理由を御説明申し上げます。  私たちは、今日我が国が直面しているかつてない長期不況からの脱出のためには、とりわけ低迷している個人消費を思い切って刺激することが必要であり、昨年橋本内閣が行ったような場当たり的な定額減税や小渕内閣が現在提案しているような最高税率のみの引き下げと定率減税を組み合わせた継ぎはぎの減税ではなく、将来の税制改革の方向をしっかりと見据えた制度減税を前倒しで実現するという観点が必要であると考えております。  昨年十一月に民主党が策定した「構造改革につながる景気・雇用対策」の中では、その基本的な考え方を次のように整理しております。すなわち、第一に経済活力と国民の安心をもたらす抜本的税制改革の方向に沿った減税を行うこと、第二に総合課税化・課税ベース拡大による不公平是正が不可欠であること、第三にすべての所得階層を対象とした税率引き下げの制度減税を行うこと、第四に所得税の五段階の累進税率構造は維持すること、第五に人的控除は可能な限り社会保障制度上の歳出措置に移し税制を簡素化すること、そして第六に所得減税は所得税のみで行い地方財政破綻を招く地方税減税は行わないということであります。  このような考え方に沿って、今般、民主党・新緑風会は二つの法案を政府案への対案として提出いたしました。  一つは、所得税法の一部を改正する法律案であります。  この法案は、今後の我が国の経済の活力を高める等のための抜本的な税制改革を実現することが緊要な課題であることにかんがみ、個人所得課税について、納税者番号制度の導入による総合課税の推進、各種人的控除等の見直しによる課税ベースの拡大を図りつつ税率の引き下げを行うという抜本的な税制改革の方向に沿って、その一環として、所得税の負担の軽減を図るため、税率の一律二割引き下げを行おうとするものであります。  他の一つは、児童手当法及び所得税法の一部を改正する法律案であります。  この法案は、現在の所得税における扶養控除等の人的控除が税制を極めて複雑にし、課税最低限を諸外国に比べて著しく引き上げているだけでなく、これが所得控除であるために、高い限界税率が適用される者ほど大きな恩恵を受けるという逆進的性格を有していること、子供などの家族の扶養に要する経済的負担は本来社会保障制度によって考慮されるべきものであることなどにかんがみ、これらの抜本的な見直しに着手しようと提案したものであります。  すなわち、本法案は、児童手当制度を拡充し、子育てに係る経済的負担を軽減するために、児童を養育している父母等に対し子育て支援手当を支給すること等により、次代の社会を担う児童等のいる家庭における生活の安定に寄与することを目的とする子育て支援手当制度を創設するとともに、個人所得課税における各種の人的控除制度の見直しの一環として、扶養児童等に係る扶養控除の制度を改めようとするものであります。  次に、二法案の内容の概要を御説明申し上げます。  所得税法の一部を改正する法律案では、第一に、税率を現行の一〇%ないし五〇%から一律二割引き下げて八%ないし四〇%とするとともに、最低税率区分の適用される所得金額の上限を現行の三百三十万円から四百万円に引き上げることとしております。  第二に、利子、配当、株式譲渡益等の分離課税を廃止するとともに、納税者番号制度を導入するための法制の整備を平成十四年三月三十一日までに行うものとする規定を附則の中に設けております。  第三に、この法律の施行期日を本年四月一日とし、平成十一年分以後の所得税について適用することとしております。  その他、経過措置等の所要の規定の整備を行うこととしております。  児童手当法及び所得税法の一部を改正する法律案では、第一に、児童手当法の題名を子育て支援手当法に改めるとともに、目的規定を、制度拡充の趣旨に沿って、子育て家庭における生活の安定に寄与することを目的とすることに改めております。  第二に、児童手当については、従前の児童手当法における児童福祉の理念を継承しつつ、児童手当の支給対象を、現行の三歳未満の児童を監護する父母等から、十八歳未満の児童を監護する父母等に大幅に拡大しております。また、支給額を現行の倍額の第一子、第二子一人月額一万円、第三子以降一人月額二万円に引き上げるとともに、父母等の所得制限を子二人のサラリーマン世帯の場合で給与年収千二百万円程度に引き上げることとしております。  第三に、所得が一定額以下の十八歳から二十三歳未満の子の生計を維持する父母等に対して、児童手当に準じた支給額、所得制限による子育て継続手当を支給することとしております。  第四に、右の児童手当及び子育て継続手当の支給に要する費用の九九%を国が負担することとし、都道府県及び市町村の負担額を従前の負担額の範囲内にとどめることとしております。また、サラリーマン等についての手当支給に要する費用の一般事業主負担を廃止することとしております。  第五に、所得税法の扶養控除の対象を障害者及び年齢七十歳以上の扶養親族に限定することとしております。ただし、二十三歳以上七十歳未満の扶養親族については、当分の間、扶養控除の対象に含めることとしております。  第六に、この法律児童手当法改正に係る部分についての施行期日を本年十月一日とし、所得税法改正に係る部分についての施行期日を平成十二年一月一日としております。  その他、経過措置等の所要の規定の整備を行うこととしております。  以上が民主党・新緑風会の提出した所得税法改正等二法案の提案理由及び概要であります。  何とぞ、御審議の上、御賛同を賜りますようお願い申し上げ、私の趣旨説明といたします。
  160. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  六案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十五分散会