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1999-03-24 第145回国会 参議院 災害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年三月二十四日(水曜日)    午後二時開会     ─────────────    委員異動  三月九日     辞任         補欠選任      松谷蒼一郎君     鹿熊 安正君  三月二十三日     辞任         補欠選任      高嶋 良充君     谷林 正昭君     ─────────────  出席者は左のとおり。     委員長         海野 義孝君     理 事                 鈴木 正孝君                 長谷川道郎君                 本岡 昭次君                 但馬 久美君     委 員                 市川 一朗君                 森山  裕君                 依田 智治君                 江本 孟紀君                 谷林 正昭君                 藤井 俊男君                 和田 洋子君                 大沢 辰美君                 山下 芳生君                 大渕 絹子君                 鶴保 庸介君                 岩本 荘太君    国務大臣        国務大臣        (国土庁長官)  関谷 勝嗣君    政府委員        阪神淡路復興        対策本部事務局        次長       高橋 健文君        科学技術庁研究        開発局長     池田  要君        国土庁防災局長  林  桂一君        厚生省社会・援        護局長      炭谷  茂君        農林水産省構造        改善局長     渡辺 好明君        水産庁長官    中須 勇雄君        気象庁長官    瀧川 雄壯君        郵政省電気通信        局長       天野 定功君        郵政省放送行政        局長       品川 萬里君        建設省河川局長  青山 俊樹君        建設省道路局長  井上 啓一君        建設省住宅局長  那珂  正君        自治大臣官房総        務審議官     香山 充弘君    事務局側        常任委員会専門        員        八島 秀雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○災害対策樹立に関する調査  (桜島火山対策に関する件)  (阪神淡路大震災復興対策に関する件)  (地震防災対策に関する件)  (被災者住宅再建支援等に関する件)  (防災体制整備に関する件)     ─────────────
  2. 海野義孝

    委員長海野義孝君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る九日、松谷蒼一郎君が委員辞任され、その補欠として鹿熊安正君が選任されました。  また、昨日、高嶋良充君が委員辞任され、その補欠として谷林正昭君が選任されました。     ─────────────
  3. 海野義孝

    委員長海野義孝君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 海野義孝

    委員長海野義孝君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事鈴木正孝君を指名いたします。     ─────────────
  5. 海野義孝

    委員長海野義孝君) 災害対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 森山裕

    森山裕君 自由民主党の森山でございます。  桜島火山対策関連をしてお尋ねをいたします。  昭和四十七年十月二日の規模の大きな桜島火山爆発以降、活動が活発になりました桜島周辺地域の農作物にかなり被害を生じたことを契機といたしまして、活動火山周辺地域における避難施設等整備等に関する法律昭和四十八年七月に制定をされ、その後、昭和五十三年四月に降灰対策及び治山治水事業推進等を盛り込んだ総合的な火山対策目的として改正をされ、その名称も活動火山対策特別措置法として改められました。その後、防災への施設整備計画立案をされ、また活動火山対策特別措置法施行令昭和五十三年七月に公布、施行されました。  この法律の特徴的なことは、いずれも議員立法であります。また、地域で生活してきた経験を持つ者として思いまするに、各政党がそれぞれの立場で大変この法律立案に御理解と御協力をしてくださった、また両院の災対委員会で小委員会をつくっていただき、地方公共団体のそれぞれの意見を聴取していただき、法律をつくり、その改正をしてくださった、そのことに住民大変感謝をしております。ゆえに、この法律というのは地域の発展、そしてまた本当に活火山と向き合いながら生活をしている住民の命を守るということに大きな役割を果たしてきたように思っております。  桜島活動状況でありますが、平成九年は爆発回数かなり減り、このまま少し活動がおさまってくれればというふうに住民は願っておりました。平成九年は爆発回数が三十五回でございました。噴火が四十五回、地震が四千四百六十六回でありましたけれども、また平成十年になりまして活発になりまして、爆発が百三回、噴火が百七十八回、地震が六千四百二十四回と極めて活発な活動が見られるところであります。  また、降灰の量を見てみましても、平成九年の降灰量、特に桜島直近地域であります鹿児島市、垂水市、桜島町の状況を見てみますと、一年間に観測地点で、平成九年に鹿児島市の場合は、一番多かったところが有村地域というところでございますけれども平米当たり四千二百八十五グラムだったものが平成十年には一万四十七グラムに倍増しております。また、垂水市の場合には、平成九年は桜島口という観測地点で千四百六十三グラムであったものが平成十年は三千八百三十七グラムとこれも倍以上にふえております。桜島につきましては、平成九年は二俣上というところが八百十五グラムであったのですけれども平成十年は湯之平というところが一万四千二百四十八グラムと、これはもう本当にかなり量がふえておりまして、活発になった結果として降灰量がふえてきているということがよくわかるわけであります。  住民が一番何を望むかといいますと、やはりいつ噴火をするのかが予測をできる、そしてそのことに備えることができる、そのことを一番実は望んでおります。桜島はたびたび噴火を繰り返してきた歴史がございます。私どもが知りますところでは、やはり大正三年の噴火というものがかなり大きなものでありましたし、この噴火は私どもに多くの教訓を残しました。東桜島小学校というところのプールの横に桜島爆発記念碑というものが建立をされております。私はこの記念碑の碑文を読みますときに、まさに我々に多くの示唆を与えているなというふうに思えてなりません。  大正十三年一月、東桜島村が建てました桜島記念碑にはこのように書いてあります。   大正三年一月十二日、桜島爆発ハ安永八年以来ノ大惨禍ニシテ全島猛火ニ包マレ火石落下シ降灰天地ヲ覆ヒ、光景惨憺ヲ極メ、八部落ヲ全滅セシメ、百四十人ノ死傷者ヲ出セリ、其ノ爆発ノ数日前ヨリ、地震頻発シ、岳上ハ多少崩壊ヲ認メラレ海岸ニハ熱湯湧沸シ、旧噴火口ヨリハ白煙揚ル等、刻々容易ナラザル現象ナリシヲ以テ村長ハ、数回測候所ニ判定求メシモ桜島ニハ噴火ナシト答フ。故ニ村長ハ残留住民ニ狼狽シテ避難スルニ及バズト諭達セシガ間モナク爆発シテ測候所ニ信頼セシ知識階級人却テ災ニ投ジ、漂流中、山下収入役大山書記如キハ終ニ悲惨ナル殉職ノ最後ヲ遂グルニ至レリ。   本島ノ爆発ハ古来歴史ニ照シ、後日復亦免レザルハ必然ノコトナルベシ住民ハ理論ニ信頼セズ、異変ヲ認知スル時ハ、未然ニ避難ノ用意、尤モ肝要トシ平素勤倹、産ヲ治メ、何時変災ニ遭フモ路頭ニ迷ハザル覚悟ナカルベカラズ。   茲ニ碑建テ以テ記念トス。     大正十三年一月                 東桜島村 という記念碑が建っております。  当時のことを、当時住んでおられた方がまだ御健在でありますから、お話を聞かせていただき、あるいは当時のことを書いた本を読んでみますと、東桜島村の村長川上村長であったそうであります。爆発をするのではないかということを心配し、何回となく鹿児島測候所に問い合わせたけれども爆発をする心配はないと、住民にそのことを伝え、心配をすることはないと伝えてまいった結果が大変な惨事を引き起こしてしまった。そして、村長の住んでおられる地域の方が最も大きな被害を受けられた。村長みずからは自分の弟さんも亡くしておられる等々のことがあり、桜島爆発というのは今後もその可能性があるから戒めとして記念碑を建てたというふうに私どもには伝えられております。  当時の状況を考えますに、鹿児島測候所を責めることは少し私は酷なような気がいたします。しかし、政治というのは間違いのない情報住民にどう伝えるか、そのことが本当に大事なことだと思いますし、そういう意味では観測体制というものがもっともっと充実をされなければならないと思っております。しかし、残念ながら噴火情報あるいは地震情報についてはまだそこまで進展をしていないというのが現実であります。  おかげさまで文部省や気象庁の大変な御努力をいただきまして、五次にわたりまして火山噴火予知計画を立てていただき、計画的な実施をして研究を重ねてきていただいております。第六次が平成十一年度から始まるわけでありますけれども周辺住民は、一日も早く観測体制というものがもっともっと近代化をされ、充実をされ、情報伝達というものが確実に行われることを願っております。  ここで伺いますけれども気象庁としては第六次火山噴火予知計画について基本的にどう考えておられるのか、具体的に桜島でどういう対応をされようとしておられるのか、そのことをまずお聞かせいただきたいと思います。
  7. 瀧川雄壯

    政府委員瀧川雄壯君) ただいまの測地学審議会の「第六次火山噴火予知計画推進について」でございますけれども先生指摘のとおり、昨年八月に建議されております。  この計画の中では、火山観測研究の強化、火山噴火予知高度化のための基礎研究推進火山噴火予知体制整備等を行うこととされております。この中で、気象庁は、常時観測火山の監視を強化しますとともに、火山情報を質的に向上させ、防災情報としてわかりやすく改善するために、火山活動度を定量的に評価する手法を検討することとしております。  この火山活動度を評価する対象火山といたしまして、桜島も含まれてございます。
  8. 森山裕

    森山裕君 火山観測研究推進というものについては今後とも積極的な対応をぜひお願いしたいと思います。ある意味では桜島というところがその一番いいサンプルになるのではないかなというふうに思っておりますし、火山の目前に五十五万を抱える中核市があるというところも非常に珍しいのではないかというふうに思います。今後ともぜひ観測体制というもの、あるいは研究というものを一層充実強化していただくように強く要望をしておきます。  次に、桜島周辺道路整備について伺います。  建設省の方で大変な御努力をいただきまして、おかげさまで桜島周辺道路整備というものも具体的に進みつつありますことは大変ありがたく思っているところであります。桜島の地形を考えていただきますと、まさに国道整備というのは避難道整備でございます。ほかに道路がないわけでございまして、桜島爆発をしたときにはその道路で逃げるという方法以外にありません。船で逃げる方法というのもありますけれども、これは少し時間のかかる話でございまして、一番早く避難をするという視点に立ちますと、道路整備というものが最も大事なことだというふうに思っております。  特に、道路の中で国道二百二十号線に関して伺います。国道二百二十号線というのは、少し連続的に雨が降りますと、ボラ層地質であります関係ですぐ交通どめをかけなければならないという大変厳しい地質の条件を持った国道でございまして、そのことを御配慮いただきまして少し海側にせり出して新しい道路をつくっていただくという工事も進めていただきました。そのことにつきましては大変住民感謝を申し上げておりますけれども、早咲大橋的な発想でぜひこの二百二十号の桜島口から牛根麓間の整備促進というものをお願い申し上げてきたところでありますが、ことしから一部工事に着手していただいております。地元では大変感謝を申し上げ、一日も早い完成を望んでいるところでありますけれども、今後の進捗というものをどう考えておけばいいのかということをまずお聞かせいただきたいというふうに思います。  このことを住民が特に望みますのは、連続雨量が百五十ミリぐらいになりますと交通規制のかかる国道なものですから、ただそこが一番首根っこの国道でございまして、そこが交通どめになってしまいますと桜島は孤立してしまうという状況になるものですから、特にこの道路早期完成というものについては周辺住民の希望が多いところであります。そのことが背景にありますことを御認識いただき、御答弁をいただきたいと思います。  次に、国道二二四でございます。おかげさまで有村地区には大きな橋をかけていただきました。有村地区というところは一番噴石の落下の多い地域でありましたが、そこを避けて道路をつくっていただきましたので、住民はそのことは大変安心をしておりますが、古里下村地区というところの整備も急いでいただかないと、避難道路としての役割を十分に発揮できないという事情がございます。この古里下村地区改良事業促進というものについてどうお考えをいただいているのかお示しをいただきたい、そう思うところであります。  次に、建設省関連をして、少し降灰除去事業について伺っておきたいと思います。  先ほど申し上げましたとおり、依然として降灰被害というものがありますし、これがなかなか厄介なことでございますけれどもおかげさまで補助事業あるいは国庫補助対象事業としていろんな事業をやっていただいておりますことは大変ありがたいことだと思います。その中でまずお願いを申し上げたいと思いますのは、降灰除去事業採択基準の問題でございます。一年間の合計においては採択とならないけれども短期間に集中して降灰があった場合の対応というものをどう考えていただいているかということでございます。  もう一つは、暦年で一月から十二月までの降灰量に対して、平米当たり千グラムの降灰がありますと一つ採択基準を満たすわけであります。ところが、冬場だけ集中的に降灰がありますとか、十二月と一月と続けて降灰があった場合にはなかなか採択基準に満たないという問題が地元にはございます。  もう一つは、桜島の一番直近の市であります垂水市というのは南北三十五キロぐらいのひょろ長い行政区域を持つ市でございます。鹿児島市も南北で約三十キロございます。この中に観測地点というものを一カ所しか今のところお認めいただいていないわけであります。降灰というのは御承知のとおり風向きによって帯状に流れてまいりますので、三十キロあるいは三十五キロという行政区域のどこに降るか予測ができないというところに難しさがあるわけでございまして、地元の自治体では観測地点というものをもう少しふやしてほしいというのが切なる願いでございます。そうしないと、実際はロードスイーパーを出動させて降灰除去をやってもなかなか採択基準に満たないという形になっておりまして、何とかこの問題について御検討をお願い申し上げたいと思いますし、考え方をお聞かせいただければ大変ありがたいと思います。
  9. 井上啓一

    政府委員井上啓一君) 先生お尋ねの二百二十号、二百二十四号、一般国道のその二つの路線についてのこれからの進め方についてお答え申し上げます。  二百二十号の早咲地区周辺は、先生指摘のようにボラと呼ばれる脆弱な火山層地質で落石も多いということで、五十九年から延長五・二キロの区間を早咲防災事業として進めておりまして、桜島口から南の方についての海潟地区については平成九年度に供用しまして、異常気象通行規制を解除したところであります。  御質問桜島口から牛根麓延長二・七キロは異常気象通行規制区間として残されておりまして、その解消に向けて現在整備を進めているところでありますが、この区間霧島屋久国立公園内を通過するということで、構造等につきまして環境庁と協議を行うとともに、十年度詳細設計を進めてまいりました。さらに、当区間用地の八割を占める私有地がございまして、これについては後年度に取得してもよいというように地元の方からの協力も受けることができました。そういうことで、十年度の当初予算と第一次と第三次の補正予算によりまして、十一年三月に改良工事の発注をもう既に行ったところであります。十一年度については、引き続きそういうことで改良工事を実施して牛根大橋下部工事に着手する予定にしておりまして、今後とも当区間整備に積極的に取り組んで早期異常気象通行規制を解除したいというふうに思っております。  それから、二百二十四号、桜島島内一般国道でございますが、これは先ほどの二百二十号と桜島口でつながっておりますけれども、御質問古里下村地区を含めまして、桜島口から桜島—赤水間十一キロについて防災性の向上と交通隘路解消目的として現道拡幅、橋梁かけかえ等を実施しております。全体事業費が大変大きいというようなことで、人家の連檐状況土石流発生状況等事業効果の大きいところから進めております。先生指摘のように有村地区はもう既にでき上がっておりまして、野尻、持木地区も含めまして三・一キロは供用が図られておりますが、古里下村地区二・二キロについては六年度に用地買収に着手して、十年度から工事に着手したところであります。引き続き用地改良工事等を進めまして、下村地区の一部を早期完成させたい、それから古里地区全線供用、それから残った下村地区についても順次供用が図られるように、そういうようなことで危険度の大きい隘路のところから順次整備を進め、早期改良を進めていきたいというふうに考えているところであります。
  10. 青山俊樹

    政府委員青山俊樹君) 降灰除去事業採択についてお答えしたいと思います。  先生お話のとおり、二回以上の降灰がある場合で一月一日から十二月三十一日までの総降灰量が一平方メートル当たり千グラム以上あるというのが採択基準となっているところであります。これにつきましては桜島火山におきます降灰実績、これはおよそ三十年間の実績でございますが、それに基づきまして一平方メートル当たり千グラム以上としたものでございます。  ただ、短期間に多量の降灰があった場合ということでございますが、これにつきましては災害復旧事業等採択できるわけでございまして、道路積灰厚二センチメートル以上の場合や一日一平方メートル当たり四千グラム以上の場合で採択しているところでございます。  そのほか、処分するために必要な経費調査及び測量を行うために必要な経費、機械、器具の借り上げ、購入に必要な経費等についても助成しているところでございます。  また、これは暦年でありますために、降灰量の程度が連続する二カ月の期間において毎月一回以上降灰がある場合とし、補助金の交付に当たってはその年の一月一日から十二月三十一日までの降灰にかかわる事業対象としているという点についてでございます。御指摘のとおり、同じ降灰量でありましても、例えば夏季の二カ月であれば採択となるけれども、冬季の十二月から翌年の一月にかかる二カ月であれば、暦年であるがために不採択となる可能性が存するということもございますので、降灰除去事業にかかわる制度につきましては、御指摘の趣旨も踏まえまして今後検討してまいりたい、かように考えておるわけでございます。  また、観測地点の件でございますが、降灰測定は、当該市町村におきまして、かつ当該市街地の平均的な降灰量が確認できる地点で毎日記録するものとなっているわけでございます。この測定地点届け出るということになっておりまして、市町村長都道府県知事協議し、建設大臣にお届けいただく、そういう仕組みでございます。  御指摘桜島にかかわる測定地点は、鹿児島市が二カ所、桜島町一カ所、垂水市一カ所の届け出がされているところでございますが、ほかの地点でも毎日観測されている地点があるということは承知いたしております。  それで、その測定地点の増加につきましては、測定地点の機器の規格等市町村長と県知事の協議が成立いたしまして大臣の方に届け出があり次第速やかに対応してまいりたい、かように考えております。
  11. 森山裕

    森山裕君 国道の問題につきましては、ぜひ今後とも積極的な対応お願いしたいと思っております。  局長も現場を御承知いただいておりますので、よくおわかりをいただけると思いますが、二百二十四号と二百二十号が完成をしない限り避難道路ができ上がったということにならない、この道路しかほかにもう代用する道路がない、これが桜島の現状でございますので、ぜひひとつ積極的な対応を今後ともお願い申し上げたいと思います。  それから、桜島降灰の問題であります。降灰を一遍経験していただきますとおわかりをいただけるんですけれども、極端に申し上げますと、右の肩には降灰があっても左の肩には降灰がないというぐらい、線を引いたようにきちっと降灰というのは分かれてあるわけです。ですから、東西南北三十キロあったり三十五キロあるような行政区域の中で平均的にとるということ自体が実は無理なことでございます。余りにも現実に合っていない。ですから、何カ所かとっていただいて、そこでもって御判断をいただくということが正しい判断の仕方なのではないかなというふうに思っております。今そのことについては届け出ることによって善処していただけるということでありますから、ぜひこのことにつきましては、降灰というものは特殊なものでございますので、よろしく御配慮賜りますようにお願いを申し上げておきたいと思います。  それから、土石流のことについて少し伺ってまいります。土石流発生ですけれどもおかげさまで随分数は減ってまいりました。平成九年は十一回の土石流発生でございまして、本当に一番多いときの十分の一ぐらいになったなと思って喜んでいたのでありますが、また昨年は三十五回と随分ふえてまいりました。  土石流発生をいたしますと、コンクリートでつくってありますいろんな川の底板とかというものが一回の土石流発生で大体二センチぐらい削り取られてなくなると言われますから、大変な勢いだなというふうに思いますし、そのことを一番実は心配しておりますが、これは建設省に大変積極的な対応をしていただきました。それぞれの河川を適時適切に直轄工事としてくださっておりまして、大変地元でもありがたく思っておりますし、ほぼ人命に影響を与えるということはないというふうに思えるところまで工事を進めていただいております。  ただ、この土石流発生と同時に今軽石が厄介な問題になっております。軽石が大量に海に流れ出すものですから、実は漁業にも大変大きな影響を与えております。  これもなかなか現地を見ていただかないと御理解をいただきにくいことだと思います。どういう状況が出てくるかと申しますと、まず港に潮の流れによって軽石がずっと漂流してまいりますと、港から船が出ていけない、その状況がずっと続くということでございます。無理して出ようとしますと、海水を吸い上げてエンジンの冷却をさせる仕組みでございますから、その冷却水を吸い上げることによって軽石を吸い上げるものですから、すぐエンジンをだめにしてしまうという現象が起きてしまいます。  もう一つは、非常に養殖漁業が盛んなところでございますから、その養殖の中に軽石が入ってしまいましてえさを食べさせることができませんので、人力でもって養殖のかごから軽石を取り除かなきゃいけない等々の問題がございます。  ですから、今後の砂防事業につきましては、発生源対策というものを積極的におやりいただくということが大事なことだなというふうに思っております。今後とも、この軽石の流出を未然に防ぐということをぜひ考えた砂防のあり方というものを研究していただいて、実施をしていただきたいというふうに思います。  それと、一遍海に流れ出た軽石というのは一週間ぐらいは浮いているわけですけれども、大体一週間が過ぎますと全部海底に沈んでしまいます。大変な量の軽石が海底にたまってきておりまして、錦江湾の湾奥というものはかなり珍しいいろんな魚族がおりますけれども、その海の生態系そのものに影響を与えるのではないかという専門家の指摘もございます。  ですから、流れ出した軽石をどう回収するかということは、これは本当に避けて通れない問題なんだろうなというふうに思いますし、漁民の方にとりましてはそのことは大変大事な問題でございます。このことを地元は今まで何年も陳情を繰り返してまいりましたけれども発生源で抑えるのか、流れ出たものをどうするのかということ等でなかなかうまく調整がつきませんで、いまだに抜本的な対策を講じることができておりません。  今やっておりますのは、海岸に打ち上げられた軽石を拾うという手作業をやっておりますけれども、これは本当にもうごく一部の回収でございます。本当は浮いている間にどう回収するかということを考えなきゃいけないというふうに思っておりますし、このことの解決なくしては私は漁業というものは本当に大変だなというふうに思います。もっと心配をいたしますのは、そういう生態系そのものに影響を与えてしまうのではないかということを大変実は心配をいたします。  このことについて水産庁はどうお考えをいただいているのか、また砂防事業のあり方について建設省はどうお考えをいただいているのかについてお聞かせをいただければ大変ありがたい、こう思います。
  12. 青山俊樹

    政府委員青山俊樹君) まず、山地の流出抑止の問題につきまして私の方からお答えさせていただきたいと思います。  桜島の土砂流出対策については砂防事業により実施しているところでございますが、非常に火山活動が活発でありますことから、軽石を含む火山噴出物の流出を完全に抑止することは困難であると思っております。ただ、砂防事業におきまして、火山噴出物が堆積した荒廃渓流におきます砂防ダムの設置や山腹崩壊地の緑化等を通じまして火山噴出物の流出の抑制に努めているところでございまして、今後とも、軽石を含む火山噴出物による土砂災害防止のために技術的に可能な限りの対応をしてまいりたい、かように考えております。
  13. 中須勇雄

    政府委員(中須勇雄君) ただいま先生指摘になりましたとおり、噴火によって堆積しておりました軽石土石流等によって海に流れ出る、これが漁船とか漁具等に大変大きな被害を与えているということで、私が水産庁長官になって以来、地元の方からこのお話を一回お伺いいたしまして写真も見せていただきました。漁港全体が軽石で埋まってしまったり、養殖業の生けすの上が一面その軽石で覆われてしまう、そういうような写真も見せていただいて、なかなか大変な事態だなという思いをしたわけでございます。  ただいま先生からお話がございましたとおり、そういった事態にとりあえずこたえるという意味で、五十九年度から海岸に漂着した軽石については、鹿児島市等関係の市町村に対して国からも助成を行うということでこの除去対策に取り組んでいるところでございます。平成十一年度につきましても、地元の市町等の皆さん方と調整しながら、引き続きこの事業は実施していきたいというふうに考えております。  ただ、御指摘のとおり、それではなかなか抜本的な基本的な対策にならないのではないか、こういう御指摘がございます。実は、こういった事業を始める初期の段階でも、もっと海の上に浮かんでいる段階から集めて除去をするということができないか、そういうような試みもいろいろやってみたわけでございますが、率直に言いまして、広い海に広がっているものを効果的に集める、また経費上の問題、そういうことがありまして、現段階ではこういったやり方が、大変細々とした形ではございますけれども、一番効果的であるということで続けているわけでございます。  そういった意味におきまして、より効果的な対策、もちろん土石流等で出てくるということが完全に防げれば一番いいわけでございますが、そういうことを進めていただくと同時に、洋上に出て海の上に出た軽石をどうやって除去していけばいいか、よく地元の関係者の皆様方とも話し合いながら検討していきたいというふうに思っております。
  14. 森山裕

    森山裕君 軽石の問題について申し上げますけれども、私はやはり海に浮かんでいる間の処理というものを考えていただかないと解決につながらないんだろうというふうに思います、打ち上がってまいりますのはごくわずかなものですから。軽石は錦江湾全体に実は広がっているというわけではありませんで、海流の関係がありまして帯状になって流れるわけでございますから、さほど回収そのものは難しいことではないというふうに思います。  どれぐらいの量が流れるかということでありますけれども、大体幅が短いときは十メーターぐらい、長いときには大体幅が百五十メーターぐらいでございます。長さにしますと一キロから三キロぐらいの形でずっと流れていくわけです。そうしますと、大体その深さはどれぐらいあるかといいますと、五十センチぐらいの層になっているわけでございます。それがずっと一週間ぐらい流れていまして、一週間ぐらいになったところで沈んでしまうということになるわけでございますから、その潮の流れ任せということになるわけでございます。そのことが大変実は湾奥の漁業そのものにも大きな影響を与えるということでございますので、何とかこれの研究を進めていただきたい。今打ち上がったやつを回収するという事業をしていただいていることも大変ありがたいと思いますが、ただそれは全く枝葉末節の話でございまして、今回の話でないということをぜひ御理解いただきたいというふうに思います。  それと、一つの漁協でどれぐらいのトラブルが起きるのかということを調べさせたんですけれども、船のエンジンのトラブルというのがかなり多いんです。だから、かなり漁民の人たちもいろんな出費があるんだなということを知ることができますし、養殖漁業そのものが大変盛んなところでもございますので、建設省の方では発生源で抑えるということをぜひ考えていただきたい。また、水産庁の方では、流れ出たものをどう回収するかということを積極的に考えていただきたい。このことを強く要望を申し上げておきます。  最後に、防災営農について伺ってまいります。  桜島というところは、昔からミカンがとれたり、ビワがとれたり、桜島大根がとれたり、大変特徴ある農作物の産地でございます。防災営農対策というものを八次にわたりまして実施していただいておりますので、おかげさまで比較的離農者も少なくて、ああいう厳しい条件の中ではありますけれども、自分の農地を守ろう、農業をしっかりやっていくんだという人が育ってきた地域だなというふうに思っておりまして、八次にわたる防災営農施設整備計画を実施していただいたということは大変ありがたいことだったと思っております。  今年から第九次の防災営農施設整備計画を策定していただいて新しく実施をしていただくわけでありますが、その中で地元で要望が特に強い二点についてちょっとお願いを申し上げたいと思います。団地として御認定をいただく場合にまとまりを持った地域ということの設定をしていただくわけでありますが、高齢化が進んでまいりますと、近くの三戸で団地をつくるということは非常に無理がございます。地元では二戸にしてくれという希望が大変多いんです。二戸にすることについては少し無理なことがあることは私もよく承知をいたしますけれども、団地を認めていただけるまとまりを持った地域として、できましたら校区ぐらいまでに広げていただきますと、非常に団地化というものを進めることができるのではないかな、そういうふうに思っております。そのことについての農水省のお考えをお聞かせいただきたい、そう思います。  もう一点は、一つの団地において複数の作物を対象にしても被覆施設をつくることを認めていただきたいという要望でございます。今は一団地一作物ということになっておりますから、野菜だったら野菜、花卉だったら花卉という形になっておりますけれども、できましたら一つの団地で花と野菜をつくるということについても認めていただければ、大変地元としてはありがたいと思いますし、そうしていただくことがこの地域防災営農という観点に立って農業をしっかり守っていくということにつながるのではないかなというふうに思うところであります。第九次の防災営農施設整備計画でのこの点について、農水省はどうお考えいただいているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  15. 渡辺好明

    政府委員(渡辺好明君) 二点お尋ねをいただきました。  第一点は、団地の要件といいますか、現在一団地三千平米以上というふうになっておりますけれども、基本はやはりそうした物理的にもまとまったものなんだろうと思います。ただ、やはり降灰被害状況であるとか地形、それから営農がどうなっているか、そういうことを考えますと、私どもは、必ずしも一つの団地ということにこだわらず、複数の団地であってもそれが連檐性もしくはまとまりとして説明ができるということであるならば承認をしようではないかというふうな弾力的な運用を心がけております。  ただ、今先生から校区というふうな地理的なまとまりを御案内がございましたけれども、やはり営農を共同してやるということでございますので、あくまでもその連檐性なりまとまりということに着目をして広がりを考えたいというふうに思っております。  それから、複数作物の問題であります。この点につきましても、最終的には団地制なり施設の共同利用という観点から判断をされるべき問題でありますけれども、私どもは、一農家が複数の営農をする、あるいは異なった作目の農家が共同して行うというふうなことは排除いたしておりません。こういったパターンが第九次の営農計画に盛り込まれれば、それにつきましても私どもも点検をさせていただいて、承認をすることもあり得るということでございます。ただ、やはり基本形として、県からのこれまで入手をしました情報では、作目ごとに構成をしているというのが現状のようでございます。排除はいたしておりません。
  16. 森山裕

    森山裕君 防災営農につきまして御答弁をいただきました。校区ということで固定して考えるよりも、今おっしゃるとおり、連檐性あるいはまとまりというものの広がりを持ってという考え方の方がいいのだろうというふうに思いますので、ぜひそういうことで特段の御配慮を賜りますようにお願いを申し上げておきます。  また、作物の問題につきましては、県との協議を今地元では進めているようでございますので、ぜひこういう状況になりました折には御配慮賜りますようにお願いを申し上げ、私の質疑を終わります。ありがとうございました。
  17. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 民主党・新緑風会の本岡でございます。  まず初めに、阪神淡路復興対策本部の問題についてお伺いをいたします。  阪神・淡路大震災復興の基本方針及び組織に関する法律に基づき、第四条でこの復興対策本部が設置をされております。しかし、この附則第二条で「施行の日から起算して五年を経過した日にその効力を失う。」ということが書いてありまして、正確に言えば来年の二月二十三日ですか、復興本部は廃止されるということになります。  そこでお尋ねしますが、長官としては、この法律の附則どおりに、ある意味では機械的にこの阪神淡路復興対策本部を廃止するというふうな今お考えであるのか、いやそうじゃないぞ、実情に合わせてもう少し柔軟に考えていこうというお立場なのか、お伺いします。
  18. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) この法律は、先生指摘のように五年の時限立法でございまして、最後の附則の第二条で「施行の日から起算して五年を経過した日にその効力を失う。」ということになっておるわけでございまして、そのまま読みますれば十二年二月二十三日、先生の御指摘のとおりに廃止ということにはなるんでございます。ただ、復興対策も五年目を迎えまして、地元の県市においてもこれまでの施策を総合的に検証することとしており、復興本部の設置期間満了後においてもこれらを踏まえて今後の復興施策が円滑に行えるよう十分に配慮をしていきたいと思っております。  ですから、正確な御答弁とするならば、法律的に言いますれば、五年を経過すればその効力を失うということでございましょうが、その後の仮設住宅から恒久的住宅への移行の問題等々、いろいろまだ問題点がございますから、私はそういうようなことではなくして、柔軟的に考えていきまして、その日を迎えた時点においてまたいろいろ先生方の御指導もいただいて、前向きの対処をしていきたいというのが正直な私の今の考え方でございます。法律的には五年と切っておりますけれども
  19. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 今の大臣の答弁を私は非常にうれしく思います。  この法律の基本理念のところにはこう書いてあるんですよね。「阪神・淡路地域における生活の再建及び経済の復興を緊急に図るとともに、地震等の災害に対して将来にわたって安全な地域づくりを緊急に推進し、もって活力ある関西圏の再生を実現することを基本理念として行う」と、ここまで書いてくれているんです、この法律は。  それで五年たったと。しかし、五年たってもこの基本理念に合うようなことになっていなければ、当然この法律延長するか、また違う法律をつくって、この基本理念を充足させるようにしなければならぬと私は思いますが、いかがですか。
  20. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 先生の御指摘のとおりでございまして、これは災害が起こってからつくった法律でございまして、そのときの内容がこの法律ですから、延ばすときには、やはりこの内容で延ばしたのでは実情に合わない状態ですから、この法律自体はこれで閉じるものなら閉じて、そして新たなものをつくるということになるのではないかなと私は思います。
  21. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 いや、私が強調したかったのは、この法律の基本理念には、「もって活力ある関西圏の再生を実現する」と、ここまで書いてくれているんですよ。  そこで、今、二、三見ますと、例えば阪神疎水構想なんというのがあるんですよ。これは水の問題です、尼崎、それから伊丹、西宮、芦屋とずっと来る。それから、六甲山系グリーンベルト整備事業。六甲山が今崩壊しかかっているから、それを防ぐためにグリーンベルトをつくって、そして環境整備と六甲山の崩壊を防ごうと。それから、神戸エンタープライズゾーン構想ということで、これも今不況とダブルパンチを受けて多くの失業者や雇用を喪失する状況。それで、いわゆる民間企業が仕事をする意欲を喪失してしまっているんです、神戸は。だから、エンタープライズゾーンという新しい構想を出して、そして新しい民間企業をどんどんと誘致していこうということをやっている。こういうものがずっとあって、ほとんどこれは手がつかないもの、つきかけたもの、国から冷たく見放されているもの等々があるんですよ。  しかし、今私の言ったようなことなんかは、いずれも関西圏の活力ですよ。これを復活させなければ、震災のダメージと不況のダブルパンチを受けたこのあたりはよみがえれないんですよ。だから、そういう意味でこの法律の言わんとするところをきちっと政府として受けとめてやっていただきたい。  それで、これから私も災害対策本部のところで、先ほど言いました阪神疎水構想、あるいは六甲山系グリーンベルト整備事業、神戸エンタープライズゾーン構想、これを一つ一つ質問していきたいと思うんです。そしてその上で、やはりこれを時期が来たからなくすというわけにいかぬでしょうということを私は実証したいと思うので、よろしくおつきあいをいただきたいと思います。これはこれで結構でございます、長官の意思はわかりましたから。  次に、昨年五月に議員立法で成立した被災者生活再建支援法、これはその後、新潟、福島、栃木あるいは高知という、風水害のところにもこの法律が適用されて、不十分な内容でありますけれども、それはそれなりに国の措置、地方自治体の措置として一定の役割を果たしたと私は思っております。そして、これを委員会議員立法としてつくり上げたということに対するやっぱり責任と、もう一つはやってよかったなということを今思っているところなんです。  きょうは、その被災者生活再建支援法の第三条にかかわって幾つか質問をいたします。  この被災者生活再建支援法の第三条は、被災者生活再建支援金の支給ということで、どういう人たちに支給するかという事柄も含めて書いてあるんですよね。そこにこういう言葉があります。「都道府県は、当該都道府県の区域内において被災世帯となった世帯のうち次の各号に掲げるものの世帯主に対し」と。何だかわかったようなわからぬような言い方なんですが、要するに被災世帯と世帯主ということをここで言っている。  ここで、実際この三条を被災地に適用すると非常に難しい問題が起こるということを今から申し上げたいんです。  まず、被災時に世帯主であった人、そして家が全壊する、これは条件を満たしますね。その後結婚をする、その人は世帯主でなくなる。そうすると、この女性は対象になるのかならないのか。被災したときは世帯主、結婚すると大体夫がなりますね、男の方が、それで世帯主でなくなったという場合、この法律でいけばどうですか、この対象者の世帯主として認定されますかされませんか。
  22. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) その場合は、被災日を基準とするわけでございますから、その後結婚されてもその支援金の対象者とはなるわけです。
  23. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 何とつまらぬことを聞きよるわと思われるんですけれども、後が私の聞きたいこと、その後があるんですね。  そうすると、同じように、被災時にいわゆる高齢者、六十五歳以上、被災時に全壊して、そして世帯主であったと、自分たち夫婦だけで。それで、震災後息子夫婦のところに行った、そのことによってその人が世帯主でなくなる、こういう場合も起こってくる。そのときも、今おっしゃったのと同じように、被災時に世帯主であればこれは当然対象者になるというふうに理解してよろしいですね。
  24. 高橋健文

    政府委員(高橋健文君) 法律の取り扱いと阪神・淡路大震災の取り扱いが……
  25. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 私は、今この法律のことを言うておるんですよ。
  26. 高橋健文

    政府委員(高橋健文君) そうでございますか。失礼しました。
  27. 林桂一

    政府委員(林桂一君) 先ほど大臣が答弁されたとおりでございますが、今のような事例においても、被災時において世帯主ということが認定されておれば、そういう形で被災者支援金の対象にはなるというふうに考えております。
  28. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 私も、世帯主であったかどうかという認定は被災時のそのときの状況を言わなければ当然意味がない、こう思うんです。  ところが、今ちょっとおっしゃったように、前回この法律をつくったときに、この法律と同等の効果を阪神・淡路大震災の被災者にも及ぼすというふうに附帯決議を行いました。すなわち、附帯決議で言いますと、「本法の生活支援金に概ね相当する程度の支援措置が講じられるよう国は必要な措置を講ずる」、こういうことであります。  それから、これも異例のことだと思うんですが、当時の浦田委員長が発言を求められまして、そして、この附帯決議というのは阪神・淡路大震災の被災者に対する支援というものがあるんですよと、だから「支援措置の適切な運用が検討されるよう期待するものであります。」、こういうふうに特に委員長も言っているんですね。  そこで、地元の復興基金がこのことにかかわって、七月一日に被災者自立支援金制度というものを実施するんですね。そこにも、「目的」のところに、第一条に、被災者生活再建支援法の附帯決議並びに従前この基金がやっておった趣旨を踏まえてやりますと、こう書いてあるんです。ここで問題が起こったのであります。  要するに、国の法律に準拠して兵庫県がやったときに、残念ながら震災から三年を経過しているという状況の中で、私がさっき言った、被災したときは明らかに世帯主であり高齢者であり、家は全壊した。しかし、その後結婚をしたことによってその人が世帯主でなくなってしまったということでこの適用から除外される、高齢者も除外されるということが起こっているんですね。  そのときに、兵庫県は、従来やってきた復興基金の一つの考え方、それに準拠すればそうなると言うけれども、しかしこの法律の考え方をそのまま素直に適用していくということも私はあってもいいんじゃないかと思うんです。  事実、兵庫県では幾つかの例がずっとあるんです。被災したときに全壊で世帯主であった、にもかかわらず、その後結婚とか息子夫婦のところへ移るとかそういうことによって世帯主でなくなったと。全壊の罹災証明を持っておるんですよ。だけれども、あなたは今世帯主ではないからということでその支給対象にしない。  そして、定義のところに、世帯主に対してということを最初にかぶせてしまうんです。「対象世帯」というその第一項に「世帯主が被災していること」というのが出てくるんですよ、「世帯主が被災していること」。そして、今現在あなたは世帯主でないと言うんです。こういうことは、私も兵庫県に住んで、貝原知事を支持しておるんですが、ちょっとおかしいと違いますかと。何でそういう解釈になるかわからぬですね。それなら、もらうときに世帯主であった人が翌年結婚したら、あなたは世帯主でなくなったから渡したお金を返せということをその人に言っても話が通るというようなことになるよね。高齢者がそこでもらって、翌年息子夫婦のところに移ったら、あなたはもう世帯主じゃないからあのときに渡した金は間違っているから返せというふうなことになりかねぬ。  認定するときはいつかというのはやはり被災したとき以外にないんですよ、何年経過しようと。それを兵庫県が七月一日にこの実施要綱をつくって、去年の七月一日に世帯主であったかどうかということで認定しようとするから無理がある。ここのところは兵庫県は兵庫県なりの言い分があると思いますけれども、私は無理があると思うんですが、この点はいかがですか。  それから、無理があるから訴えよと私は言うんですよ、不服申し立てをせよと。ところが、どこへ不服申し立てしていいかわからぬと言うんですよ。なぜなら、県から出てくるのは贈与だと言うんですよ。財団法人というところから出てきた私的な贈与なんだから、不服申し立てするところはありませんと言うんですよ。そんなばかなことはないだろうと。  大もとをただせば、九千億円というお金を国や地方自治体が出して、そこからやっているんですよ。もらっている人は贈与なんて思っていないですよ、国から支援されたんだと。その認定の仕方に不服があったときに訴えるところがわからぬというのではやはり僕はまずいと思うので、これはひとつ復興本部のところで交通整理をしていただかなければならぬと思うのですが、いかがでしょうか。
  29. 高橋健文

    政府委員(高橋健文君) 被災者自立支援金の支給に関します市あるいは町の判断に不服がある場合には、行政処分ではございませんので不服申し立ての対象ではございませんが、県と市、あるいは学識経験者、ボランティア等で構成されております県・市町生活支援委員会というのがございます。そこにいろいろ個別のケースについて御相談いただければ、その中で個別ケースの実情に即した対応がなされることになっておると聞いております。
  30. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 それは不服申し立てということのそういう機関じゃなくて、相談をしに行くとかお願いしに行くという相手ですか。県とか市は不服申し立ての対象機関にはならぬというんですか。
  31. 高橋健文

    政府委員(高橋健文君) 県とか市というのではなくて、今申し上げました生活支援委員会というのは、県の副知事を委員長としましてボランティアの方であるとかあるいは市の生活復興担当、行政、学識経験者等を含めて地元で復興対策に尽くしておられる方、そういう方たちの集まりで、基金の運用についていろいろ個別ケースで御相談がある場合にはそこで判断して基金の対応基準を決めておる、そういうことでございます。
  32. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 そのお金は贈与ですか。行政が行政の責任において渡しておる金じゃなくて、財団法人が私的に出している贈与という性格のものなんですか。
  33. 高橋健文

    政府委員(高橋健文君) 阪神・淡路大震災の復興基金は、行政がいろいろやっておりますことの補完的なことだとか、あるいは行政がなかなか手が届きにくいきめ細かな施策を県と市が出捐しました阪神・淡路大震災の復興基金、ここを通じていろいろな被災者生活再建策等も講じているわけでございます。
  34. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 私の聞いておるのは、贈与ですかと聞いておるわけです、そのお金は。そうであれば不服申し立てはできないじゃないですか。
  35. 高橋健文

    政府委員(高橋健文君) 贈与かどうかという話はここでにわかにはお答えしかねますが、行政処分ではないと、ですから基金の事業としてそういった自立支援金を支給している、そういったことでございます。
  36. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 長官が今おっしゃるように、やはり基本的には国が基金を積んで地方自治体と一緒に出した回り回ったお金が、今言ったように一体どういう性格のお金かと、そのことに対して認定とかいろんなことに不服があったら、だれでも不服申し立てはできるでしょう。そのときに、不服をきちっと申し立てて、そしてその不服とすることが正しいか正しくないかということの判断するところをきちっとやってやらなければ私はだめだと思うんですよ。だから、これはひとつそちらに宿題として預けます。  それからもう一つ、さっき言った結婚と高齢者の場合に神戸がそれを対象から外していること、神戸は神戸なりに今言ったように世帯主が被災者であることと、こうやっておるんですよ。それを今時点でやっているんですよ、今おっしゃったように。その認定は、あくまで五年たとうと三年たとうとそれは被災したときに世帯主であったかどうかという認定以外にないと思うんですよ。  人生それぞれで、結婚する場合だって離婚する場合だって息子夫婦のところへ行くときだっていろいろあるんで、そういう状況の中でそれは変わるんです。やっぱり国と被災者の間の信頼関係というものが、僕はこの中に物すごく大事なものがあると思うんですよ。自分の人生を奪われたような状態の中にあって、金額は不満があっても国がこういうお金を出してくれるという、その信頼関係というのが復興の中で物すごく大事だと僕は思うんですよ。  そのときに、今言ったように、被災時に世帯主であったけれどもその後結婚したからあなたはだめなんというような、そういう理屈はどこから出てくるのかなと思うんです。だから、これもぜひ復興対策本部というか大臣のもとで検討して、兵庫県にしかるべき指導をぜひともお願いしたい。
  37. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 私もある大学の法学部を卒業したんですけれども、さてどう判断していいのか、先ほどから悩んでおったんです。  私は、この被災者生活再建支援法の附帯決議を見ましても、やっぱり心情的に先生指摘のようにこの自立支援金というもので対処すべきだろうと個人的には思います。ただ、心情的なことだけで通るものでもないでしょうから、神戸と話し合いまして、できるものならその方向に私なりに努力をしてみたいと思っております。  ですから、お預かりをさせていただいて、後ほどまた。
  38. 藤井俊男

    ○藤井俊男君 民主党・新緑風会の藤井俊男でございます。  私は、限られた時間ですので、一つに絞りまして、災害発生時の近隣都民問題について伺います。  月日のたつのは早いもの、阪神・淡路大震災発生からはや四年が経過しました。被災者に対しまして改めまして哀悼の意を表したいと思います。  この教訓を生かすことが大切だ、私はこれまで地方議会の場で訴えてまいりました。問題は、首都圏で大震災が発生した場合の行政区域の異なる近隣県への対応であります。  私は埼玉に住んでおります。よく埼玉都民ということが言われておりますが、東京に通勤通学している埼玉県民は一日百三十万人と言われております。私も毎日電車に乗って登院をいたしております。きょうも満員電車に乗ってやってまいった一人でありますが、時間によっては約百万人の帰宅難民が生ずると言われております。  災害は忘れたころにやってくる、備えあれば憂いなしという言葉もあります。そこで、近隣都民の災害発生時の帰宅難民問題についてまず伺いたいと思います。
  39. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 帰宅困難者といいましょうか難民といいましょうかの問題でございますが、確かにこれは重要なことでございます。今でも南関東地域で昼間に大規模な地震発生した場合には、東京都の被害想定では帰宅困難者が約三百七十万人ぐらい発生するのではないかというふうにシミュレーションされておるようでございます。そのときは、何といいましても情報の提供ということが一番私は重要なことだろうと思うわけでございまして、それが徹底されれば混乱はいささかたりとも抑えられるのではないかと思うわけでございます。  そういうようなことで、そのために、まず一時避難場所等に関する情報を提供する、それから二番目に鉄道等の交通の運行や復旧状況等の帰宅手段に関する情報を提供する、それから三番目に地域ごとの被害状況など、帰宅困難者の家族の安否等に関する情報、そういうものにつきましてマスコミ、いわゆるテレビ、ラジオあるいはまた電光掲示板等を活用して提供するための体制を検討、構築していく必要があると思っております。  国といたしましても、東京都を初めとする関係地方公共団体と連携を図りながら、この帰宅困難者への情報提供の問題をどのようにやっていけばいいか、今鋭意対処しておるわけでございますが、少しでもそういうようなことが抑えられるようにあらゆる角度からなお検討を進めていきたいと思っております。
  40. 藤井俊男

    ○藤井俊男君 ただいま大臣からそれぞれの取り組みにつきましてお話がありまして、私はまさに力強く思っております。  そこで、一つ情報手段についてであります。  今、大臣も申しておられました。通勤通学者であれば家族が、一方それらの方が在宅中であれば、職場や学校がどうなっているかについての情報が大切であります。平成十年に改定された南関東地域直下の地震対策に関する大綱でも、帰宅困難者のパニック防止のため、情報を提供する体制の必要性を訴えております。  まず、情報手段について伺いたいと思います。
  41. 天野定功

    政府委員(天野定功君) ただいまお尋ねのように、大規模の災害になりますと、帰宅者が自宅に帰るのが非常に困難になる状況が想定されます。そういった場合に、交通状況だとか家族の情報を的確に把握することが非常に重要であります。通信や放送を担当しております郵政省としましても、平素から十分な備えを通信事業者や放送事業者に対して指導をしているところでございます。  具体的な取り組み状況を申し上げます。  まず、地域ごとの被害状況、あるいは鉄道等の交通の運行や復旧状況等に関する情報の提供につきましては、より多くの人に視聴されるような放送の利用が極めて有効であります。そういうことで、放送法におきまして災害放送の努力規定を定めておりまして、放送事業者は災害放送の実施体制の整備に努めているところでございます。  また、家族等の安否情報の確保につきましては、これは個別の通信になるわけでありますが、災害時、特に大規模災害になりますと通信回線がふくそうしてなかなかかかりづらくなるということが想定されるわけであります。NTTにおきましては、こういった災害時の通信ふくそうを回避するため、昨年の三月から災害時の伝言ダイヤルサービスを開始しました。これは一七一、イナイと略称されているようでございますが、そういう番号に被災地の方が簡単なメッセージを入れていただければ、それに届け出があった方がおかけになれば、混雑時でも確実なメッセージが伝わる、こういったサービスでございます。この活用はまだ始まったばかりでありましてよく知られておりませんので、この活用に向けて周知を図ってまいりたいと思っております。  また、電気通信事業者に対しまして、これは電気通信事業法に基づいて、迂回ルートを含む通信回線の設置あるいは予備電源の設置、それから電気通信設備が堅牢でなきゃいけない、あるいはそれを使用している局舎、施設も十分な強度を備えていなきゃいけない、こういったことが義務づけられております。さらには、災害時の通信の早期復旧体制も万全な備えをするよう平素から指導をしているところでございます。
  42. 藤井俊男

    ○藤井俊男君 ありがとうございます。  そこで、今情報手段の中で話されておりますが、その手段としてFM放送があります。埼玉県は、エフエム埼玉を活用して埼玉県民に埼玉県の被害状況を知らせることを構想しました。しかし、郵政省が免許で定めた放送範囲は埼玉県だけとし、このアイデアに難色を示していると言われておりますが、事実はどうなのか、お聞かせを賜りたいと思います。
  43. 品川萬里

    政府委員(品川萬里君) 先生指摘の新聞の記事は、ことしの一月十七日の読売新聞の記事かと存じますが、この新聞記事の時点まではこういうお話はございませんで、実はこの記事の後、埼玉県の方といろいろお話をさせていただいているという状況でございます。  現状を申し上げますと、ちょっと長くなって申しわけないんですが、FM放送というのは今までアンテナを立てて聞く前提になっておりました。ところが、御案内のように、今はラジカセ、携帯ラジオで聞く時代になりました。そうなりますと、送信場所が同じ場所である必要はなくなりまして、埼玉県下のエフエム埼玉はまさに埼玉県民のためのFM放送でございますから、埼玉県下全部に十分に電波が行き届くように位置を移したわけでございます。その結果、スピルオーバーいたしまして東京の一部でも聞こえるようになったという事実はございます。ただ、これはあるところによっては聞こえたり聞こえなかったりします。時間帯によっても違っております。  したがいまして、現在では、災害情報を流すにつきましては、今埼玉県の方でもエフエム埼玉を使いまして十分に災害情報を流すということで進めておられるようでございます。それは大変結構だと思いますが、東京におられる方がそれを前提にするというのはいささか不安定なところがございます。  他県の方が自分の住んでいるところの隣県の情報を十分に知るためにどうしたらいいかといいますと、こういう場合にはそれぞれ隣り合っている同士の放送会社がお互いに協定を結んでやっている例がございます。既にテレビの方は千葉テレビ、群馬テレビ、テレビ埼玉、テレビ神奈川の四社で協定を結んでおりまして、例えば埼玉県の情報を神奈川県でも流すというようなぐあいになっております。願わくば、このエフエム埼玉もFM放送会社同士で、例えば東京にはFM東京もございますし、あるいはNHKもございますから、そうした協定を結んでいただきますと、より安定した形で隣県の情報も手に入るのではないかというふうに思っております。  こうした協定が結ばれることにつきましては私どもは大変結構なことだと思っておりまして、そういうお話があれば、その調整役と申しますか話し合いの促進に私どもがお手伝いすることがあれば、喜んで御協力を申し上げたい、かように存じております。
  44. 藤井俊男

    ○藤井俊男君 それぞれの放送会社で協定を結ぶということでありますが、調整役ということでただいま非常にありがたいお言葉をいただいております。  そこで、アンテナ移設で臨時措置はとれないものかであります。今都内でも聞けるようになったとのことでありました。これを活用しての構想のようであるが、臨時の措置がこういう緊急の場合にはとれないかどうか、その辺をお聞かせ賜りたいと思います。
  45. 品川萬里

    政府委員(品川萬里君) 電波というのは見えないものですからなんでございますが、やはり放送をするという場合には、その電波がほかの無線局に混信を与えてはお互いに迷惑な話でございますから、十分調べる必要があるわけでございます。したがいまして、緊急時ににわかにアンテナを立ててというのは事実上不可能に近い話でございます。それよりはむしろ、今申し上げましたように、日ごろから放送会社同士で協定を結んでお互いに助け合うということがより現実的ではなかろうかと存じます。
  46. 藤井俊男

    ○藤井俊男君 限られた時間ですので、次に入ります。  近隣昼間都民の輸送確保についてであります。  東京都の第七次震災予防計画では、代替輸送機関の確保について新規事業が盛り込まれております。その内容は国としてはどうなのか、お伺いしたいと思います。
  47. 林桂一

    政府委員(林桂一君) 南関東地域で昼間に大規模な地震発生し、これにより大量の帰宅困難者が発生するということが想定されるわけでございますが、その際、鉄道等の復旧のおくれからそのような帰宅困難な状態が長時間にわたると予測されるような場合には、混乱の拡大を防止するために、帰宅困難者に安全に帰宅していただくための支援策等が必要だというふうに考えております。その中で、先生指摘のような代替交通手段の確保等についても検討されるべきではあるというふうに考えています。  基本的な考え方につきましては、やはり大震災時に大量の帰宅困難者が出るということでございますので、これを短期間で輸送する手段は基本的にはないだろうというふうに予想されるところでございまして、基本的には徒歩で帰宅していただくということが原則になるかと思います。しかし、帰宅困難者の中には高齢であるとか病弱であるとかいう方々もおられるわけでございまして、自力で遠距離の徒歩帰宅が困難であるというふうに判断される方々も多いわけでございまして、そういう方々に対して特に代替輸送手段を確保する必要があるのではないかという考え方でございます。  しかし、一方で人命救助とか消火活動などの応急活動もそこで対策が同時に行われているわけでございますので、そういった諸活動との調整をとりながら、例えば海上とか水上を利用した船、あるいは陸上の緊急交通路を活用しましたバス輸送といったものが手段としては考えられるのではないかというふうに考えております。  そういった基本的な考え方のもとに、東京都あるいは隣県の関係機関の方々も協議をしていただいておりますが、そのようなことなどを広域的な立場から、具体的な対策の推進を国として支援していきたいというふうに考えております。
  48. 藤井俊男

    ○藤井俊男君 次に国土庁、南関東地域地震被害想定の見直しについてであります。  国土庁がかつて調査した南関東地域地震被害想定については、阪神・淡路大震災の被害状況を踏まえた見直しが必要ではないか。この件についてはどう思いますか。
  49. 林桂一

    政府委員(林桂一君) 国土庁では、昭和六十三年でございますが、南関東地域地震被害想定というものを調査しているところでございます。  この調査は、関東大震災のような相模トラフを震源とする海溝型の地震が再来したという場合の被害状況を想定したものでございます。  ただ、この想定を行いました後で、より切迫しているという指摘がございましたのが直下型の地震でございまして、この直下型の地震に対する被害予測につきましては中央防災会議が平成四年に定めているところでございます。この中で、直下の限られたエリアの被害想定ということでもございましたので、その想定は地方公共団体によって実施し、国は手法の提供等によりそれを支援するという国と地方の役割が定められたところでございます。  そういうことで、地方においては被害想定が進められてきているわけでございます。しかしながら平成七年の阪神・淡路大震災の教訓を踏まえて、被害かなり広域的に予想される場合もあるということでもございましたので、そういった地方公共団体ごとの被害想定に加えまして、国と地方公共団体が連携して広域の被害想定を行うということが必要ではないかということになったわけでございます。  一方、被害想定につきましては、その後の科学的あるいは技術的な改善もございまして、いろいろなケースを、例えば震源の位置ですとか規模、発生の時間あるいは気象条件等々を加味して被害想定をするということが可能になってまいりましたので、そういうような多様なケースに諸条件を変えながら予測をすることによりましてさまざまなタイプの応急活動計画していく、その計画策定の補助手段としても使えるということになってまいりました。  そういうこともございますので、来年度は調査予算を計上いたしまして、地方公共団体等との連携のもとに、関係省庁とも協力をしながら、いろいろな形での広域的な被害想定を行っていきたいというふうに考えているところでございます。
  50. 藤井俊男

    ○藤井俊男君 災害発生時の緊急移動体制等、私はやっぱりヘリコプターの活用等も非常に大切ではなかろうかと思っております。また、病院等への搬送と、そしてまたそれらの今度は訓練等も非常に大切ではなかろうかと思っております。  そこで、最後に、災害発生時の安全、都民を初めとする昼間都民への対応につきまして、大臣の御所見をお願いしたいと思います。
  51. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 先ほどございましたように、そういう帰宅困難者がそれだけ大勢出るということ一つとってみましてもやはり大混乱、パニックがやはり起こるであろうということは想像できるわけでございます。そういうパニック状態をいささかなりとも静めるためには、やはり国土庁においてもこれだけの対策をしておるというようなことを日ごろからアナウンスもしておきましょうし、また国民の皆さんに広域的にはそういうシステムをやっておるから安心をしてそれぞれのところに向かっていただくなりあるいは対処していただくというようなそういうアナウンスメントというものを十分に進めていかなければならないのではないかな、そういうように思います。
  52. 但馬久美

    ○但馬久美君 公明党の但馬久美でございます。  阪神淡路震災からもう既に四年もたったわけですけれども、震災の傷跡は依然深く、不況の影響もありまして、その復興度は平均六七・一%であると地元の神戸新聞は試算しております。これは、震災後四年の復興の進みぐあいを人口や産業等における十八項目の各分野のデータでまとめたものでありますけれども、特に人口の戻りぐあいは推計で三四・八%、外国人の戻りぐあいは二五・六%、児童数の推移は三六・九%という結果をあらわしております。  さらに、日銀神戸支店の調べでは、九八年度の九月の時点ですけれども、兵庫県の完全失業率が五・八%、全国平均が四・三%なので一・五%も高い結果が出ております。また、あるデータバンクの神戸支店の調査によりますと、九八年の兵庫県内の企業倒産数は過去最悪の八百七件で、負債総額が三千六百二億円、そしてまたその負債額も被災都市に次いで二番目に多かったようです。  そのほか、震災前に比べて事業所数はマイナス一一・三%、これは全国ではマイナス二・四%。また、商店数はマイナス一四・八%、これは全国では六・一%ということです。オフィスの空き室率は一四・五%、これは全国ではマイナス五・四%、全国平均の二倍以上のマイナス幅となっております。  大臣として、こういう状況を聞かれましてどういう感想をお持ちなのか、まずお伺いしたいと思います。
  53. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 四年余り大震災から経過したわけでございますが、国としての対策はそれなりに一応の成果はあったとは確信をいたします。  しかし、いまだに仮設住宅で生活されている方が大勢いらっしゃる。そして、先ほど本岡先生がおっしゃられましたようなことも、法律の運営から大変難しいようなことも出てきたりしておるわけでございますから、まだまだこれから十分な支援をしていかなければならないと思うわけでございます。被災者の方々の生活再建の支援はもちろんのこと、産業の復興、それから安全な町づくりなど、復興に向けて努力をしたいと思います。  政府としても、先生御承知のように、復旧・復興対策というのはいろいろなところから、いろいろな角度から努力をしておるわけでございまして、何といいましても住宅の問題、それから支援金の問題、そしてまた被災企業に対する金融、税制上の特例措置の問題、あるいは復興支援工場など本格的な復興のための基盤の整備、それから安全な町づくりということで土地区画整理事業、市街地再開発事業推進等々を進めていかなければならないと思うわけでございます。委員指摘のような今の数値を見ますと本当にまだまだ道半ばである、そしてこの支援関係の法律というものは、そういうようなことで現時点でまた見直して強力なる国の指導でやっていかなければならないということを感じております。
  54. 但馬久美

    ○但馬久美君 ありがとうございます。  今さまざまな支援策をなされていることを伺っております。でも、やっぱり引き続いてぜひこうやって拡充並びに御支援の方をよろしくお願いしたいと思います。  仮設住宅の入居世帯数が、神戸市によりますと市内、市外合わせまして今現在四千三百七世帯、いまだに公営住宅に入ることができない方々がいらっしゃいます。ピーク時の平成七年十一月の三万一千世帯に比較しますと現在では一五%に減っておりますけれども、人数にして六千六百六十八名もおられます。この三月の末を期して仮設住宅の撤去ということも耳にしておりますけれども、現在残っているこうした方々に対する対応は今後どうなっているのか、お聞かせください。
  55. 炭谷茂

    政府委員(炭谷茂君) 今、先生がおっしゃられましたように、現在の兵庫県全体の仮設住宅の入居戸数につきましては、平成十一年三月一日現在で私ども持っている数字では五千三十九戸、入っていらっしゃる方は七千九百三十七人となっているわけでございます。これらの方々に対する対策といたしましては、例えば医療面、福祉面、いろいろな問題が生じてきております。それらの方に対しましては、例えばホームヘルパーの派遣とか、また民生委員が常時訪れるとか、それから医療面では保健婦の派遣というようなきめ細かい医療、保健、福祉にわたる手当てを講じているところでございます。
  56. 但馬久美

    ○但馬久美君 数字がちょっと違いましたけれども、今私がこちらに持っております人数ですけれども、仮設住宅の入居者が六千六百六十八名、そのうちの三〇・五%の二千三十一名の方が高齢者なんです。この高齢者の方々が公営住宅に入られた後もまた対策をどのように考えていらっしゃるのか、お聞かせください。
  57. 炭谷茂

    政府委員(炭谷茂君) 確かに、先生が今おっしゃられましたように、高齢者の方がたくさん今回の震災で被害に遭われたわけでございます。そこで、高齢者の方々にはそれぞれ適する施設、住宅、例えば特別養護老人ホームとか、またシルバーハウジングというような高齢者の方々が居住するにふさわしい施設もありましょうし、また本来はそれぞれ地域の中のそれぞれの住宅でお住まいになるのが望ましいだろうと思っております。  そこで、私どもは高齢者の方々に対してやはりそれぞれの健康状況またそれぞれの生活状況に応じた手厚いケアが必要だろうということで、先ほどもお話ししましたような同様な政策になりますけれども、ホームヘルパーの派遣とか保健婦さんの派遣とかいうようなきめの細かい対策を講じていきたいというふうに思っております。
  58. 但馬久美

    ○但馬久美君 ぜひよろしくお願いいたします。  平成八年度の補正予算で初めて震災被災者向けの家賃補助制度が創設されました。当初は事業費が三億六千四百万円、これに対する国の補助が一億九千七百万円とわずかでしたけれども平成十年度においては対象戸数や事業費及び国の補助は大幅に拡充していると伺っております。  家賃低減対策の取り組みについて、この現状はどうなのか、お聞かせください。
  59. 那珂正

    政府委員(那珂正君) 御指摘の災害復興公営住宅の家賃の低減対策でございますけれども、これは被災者の方々が一日も早く仮設住宅から恒久住宅へ移行して早期に生活再建ができるようにということが大変重要であるという基本的認識のもとに平成八年度に措置した対策でございます。御指摘のように当初五年間、災害公営住宅等の家賃を通常の家賃よりさらに低減するということでございます。国がその二分の一を補助するという制度でございます。  御指摘のように当初、平成八年度はまだ管理している、入居している住宅が少なかったものですからそのような金額でございましたが、平成十一年度においては三十八億円の国費を予算計上しているところでございます。
  60. 但馬久美

    ○但馬久美君 この制度には震災の一般減額の制度とそしてまた震災の特別の減額制度と、この二つを神戸市で分けて対策を考えられていらっしゃいます。一般減額制度は月収二十万以下の方に対してでありますし、また特別減額制度は月収八万円以下の方に対する低減制度である、そういうふうに伺っております。  また、この制度は今おっしゃったように五年間の期限に限って対応しているというんですけれども、六年目以降全く考えていないのかどうか、また特にこの月収八万円以下の者に対してはどのような対応を考えていらっしゃるのか、お聞かせください。
  61. 那珂正

    政府委員(那珂正君) ただいまお話しの一般の減額制度というのは公営住宅制度の本来の制度でありまして、月収二十万円以下の方々に一定の収入の段階を設けまして低減していくという制度でございます。八万円以下とおっしゃいましたけれども、一般的には十二万三千円以下の場合は一律に同一家賃でございましたけれども、この制度におきましては、その区分をさらにきめ細かくいたしまして、例えば八万円と六万円の間の人、六万円と四万円、四万円と二万円と、こういうふうに段階をそれぞれごとにきめ細かく低減した家賃を決めております。例えば、一番所得の低い方が四十平米程度の住宅にお入りになる場合は六千五百円というような数字でございます。こういう制度でございます。  今申し上げました特別措置の六年目以降の対応でございますけれども、これは入居者の生活再建の状況とか他の公営住宅の入居者に対する措置とのバランスとかその時点での地方公共団体の財政事情等を総合的に勘案して、その時点で決めさせていただきたいと思います。
  62. 但馬久美

    ○但馬久美君 その点、ぜひよろしくお願いいたします。  また、自力で住宅再建されました方々、その中には二重ローンやそしてまた多重ローンを抱えて非常に苦労されていらっしゃる方がたくさんいらっしゃいます。当初五年間は無利子になるよう利子補給や最大五年間の据置期間を設けるなど、対策として国と県と連携していると思うんですけれども建設省阪神・淡路大震災の被災者に対する住宅ダブルローンの対策はどうなっているのか、お聞かせください。
  63. 那珂正

    政府委員(那珂正君) 阪神・淡路大震災にかかわるいわゆる二重ローンと申しますか、そういう被災者のために講じている施策としては大きく分けて考え方は二つありまして、被災した後に新しく生活再建のために復興住宅をみずからお買いになるとか建てられたという場合のローンの問題でございます。これにつきましては、住宅金融公庫が災害復興住宅貸し付けというものを実施しておりまして、これについてさらに当初五年間兵庫県が無利子となるような利子補給を行っております。また、もう一方の問題が、いわゆる既往ローンと言われているものですが、被災した住宅についてローンが残っている、この点をどうするかということでございました。それにつきましては、元金の最長五年間の据え置き、その間の金利の引き下げ等の措置を講じたところでございます。  また、兵庫県の方では、さっき申し上げました復興住宅、新しい方の住宅ローンにつきまして、六年目以降につきましても一定程度金利の負担が軽減されるように、向こう六年目以降十年目まで一定の助成金を交付しようとしているところでございます。
  64. 但馬久美

    ○但馬久美君 十年目まで延ばすということで、やはり今のような状況の中で非常にこの部分に対しましては厳しい部分がありますので、ぜひ拡充をよろしくお願いいたします。  次に、科学技術庁の方にきょう来ていただいておりますので、伺いたいと思います。  科学技術庁の地震調査研究推進本部、これはことしの一月十四日に地震研究の方向転換をまとめられまして、地震予知研究から地震被害を軽減するための研究に切りかえたという報道がされておりますけれども、これはどういう内容なのか、お聞かせください。
  65. 池田要

    政府委員(池田要君) 地震防災対策特別措置法というのがございます。これは阪神・淡路大震災を契機に平成七年六月に成立を見ております。この法律のもとに地震調査研究推進本部、本部長は科学技術庁長官でございますけれども、これが設けられてございまして、その任務として、地震に関します観測、測量、調査及び研究推進について総合的かつ基本的な施策を立案することとなってございます。  この推進本部の活動としまして、これをまとめるべく、「地震調査研究推進について」というタイトルになってございますけれども、これを平成九年以来議論を積み重ねてきてございまして、これの案をちょうど今御審議いただいております。  これも、一月から一カ月余り一般からの意見募集を行う等の手続も踏んでございまして、一番最近の委員会におきまして、この御議論も公開のもとにさせていただいておりますのでその様子が新聞等に一部報道されているところでございますが、推進本部ではこの四月にも施策案を最終決定するという運びで進めてございます。  この施策でございますけれども、今後十年程度を念頭に置きまして、地震調査研究推進の基本でございますとか、推進本部の行います総合的な調査観測計画策定などの事業の指針を定めようとしてございます。  ちなみに、特徴的なところを申し上げますと、地震調査研究の目標を、「地震防災対策の強化、とくに地震による被害の軽減に資する」といったことも明文化して打ち出してきております。  なお、この報告の中に、まだ案ではございますけれども地震予知につきまして今お尋ねでございますけれども、異常な地殻の変動等の現象があらわれた場合に予知ができるということになってございます東海地震を除きまして、現在の科学技術の水準では一般的に直前の地震予知は困難である。直前のと申しますのは、警報を出せるほどの確かさで予知することは困難であるという認識でございます。  ただ、こういう予知が可能となった場合にはその被害の軽減効果が大きいと考えられるわけでございますし、そのために、「地震予知に関する努力は着実に継続することが適切である。」ということがこの報告の中に述べられているところでございます。  今後とも、この報告書の取りまとめを初めとしまして、推進本部の方針のもとに、私ども科学技術庁といたしましても、関係機関の御協力をいただきながら地震に関する調査研究推進してまいる所存でございます。
  66. 但馬久美

    ○但馬久美君 ありがとうございます。  やはりこれは阪神・淡路大震災の経験を受けてこういうふうな形になってまいりました。私は、地震学者とか考古学者、そしてまた災害関係者と一緒になってつくっていただける体制づくりが大事だと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  これに関しまして、あの大震災の後、今後、地震被害を軽減するために耐震診断技術者の育成を図って、木造住宅の耐震診断講習会を実施したり、技術の普及を図ったり、また非木造については耐震診断講習会を実施して、耐震性を向上させ被害を最小限に食いとめようとする。そういうふうに今なっておりますけれども、現在の建物の耐震診断・改修の現況について、特に診断実績や改修実績はどうなっているのか。  また、住宅公庫の耐震融資の実績はどうなのか。この点、建設省にお伺いいたします。
  67. 那珂正

    政府委員(那珂正君) 地震の際に建物による被害を最小限に食いとめるという観点から、おっしゃるとおり、既存の建物の耐震診断・改修が特に必要だと思います。  とりわけ昭和五十六年以前に、新耐震基準と言っておりますが、すなわち現在の基準以前に建てられた建築物については相当の耐震改修を進める必要があるというふうに認識しております。このため、この大震災を契機に制定されました建築物の耐震改修促進法という法律がございますが、この促進法に基づきまして、私どもも各種PR、それから先生今御指摘のいろいろな技術者の育成、そして耐震改修をしてもらう個人、会社等へのいろんな助成を講じているところでございます。  具体的には、耐震改修促進法でこれまでに認定された件数は全国で八百件強でございます。また、地方公共団体によって民間に対する助成制度が幾つかございますが、こういうものの実績を通じて得た件数が約一万件弱ということで、残念ながら大変少ない段階にとどまっていると思われます。  また、住宅金融公庫の融資につきましてお尋ねでございますけれども、住宅金融公庫はこの耐震改修を含めて住宅のいろんなリフォームについて融資することになっておりますが、これの総件数が年間で約一万件でございます。平成十年度の第三次補正におきまして、この融資金額を五百三十万円でありましたものを一千万円まで拡充するという措置を講じまして、耐震改修も含めて住宅のリフォームが促進されますようPRに努めてまいりたいと思います。
  68. 但馬久美

    ○但馬久美君 時間がなくなってまいりまして、もう一点聞かせてください。  この耐震改修促進法、これは平成七年に制定されたんですけれども、これによって認定された数が二件だと伺っております。これでは余り意味がないと思うんですけれども建設省の取り組みはどうなっているんでしょうか。私は二件と伺っておりますけれども
  69. 那珂正

    政府委員(那珂正君) お尋ねの二件という数字につきましては、多分先ほど申し上げました八百件のうちの純粋の住宅の物件が二件ということだろうと思います。  この法律が、どちらかというと不特定多数の人が出入りする公共的な建築物の耐震改修促進ということに一番のねらいがあったものですから、そういう結果になっているのかと思います。
  70. 但馬久美

    ○但馬久美君 それにしても、これはもっと活用すべきだと思いますけれども、数としては非常に少ないと思います。  ちょっともう時間がありません、もう一点だけ。  今度は、郵政省に来ていただいておりますので、CS放送が開設されまして二年になりますけれどもかなりチャンネルがふえてきております。既に国会放送もこのCS放送で一般に流されておりますけれども、それと同様に、この防災情報を国民のみんなに提供することは、阪神・淡路大震災を経験して非常に大事なことと認識しております。そういう意味から、私はぜひこの防災放送のための独自のチャンネルの確保が必要と考えます。国会放送の年間経費は数千万円と聞いておりますので、BS放送から比較しても格段に安いと思います。ぜひ実現していただきたいと提案しますけれども、これについて郵政省のお考えをお聞かせください。
  71. 品川萬里

    政府委員(品川萬里君) CS放送を使いましていろんなチャンネル設定が可能でございますが、どなたがどういうコストで賄ってやるのか、いろいろ研究を要するところではないかと存じます。  現在の放送と災害の関係を申し上げますと、放送法の第六条の二におきまして、災害情報の放送義務が、放送する努力義務が課せられております。加えまして、災害対策基本法におきまして、NHKが指定公共機関、それから民間放送は指定地方公共機関として指定されておりまして、それぞれ地方自治体に災害時のいろんな協力義務があるわけでございます。  したがいまして、まずより広くたくさんの人に災害情報が行き渡る必要がございますので、まずはこうしたNHKあるいは一般放送事業者の災害情報についての積極的な情報提供というものが有効かと存じます。実は、防災と放送についての連絡会というのを私どもが事務局になって設けておりまして、この連絡会には国土庁の防災局あるいは建設省河川局の方からも担当の方に来ていただきまして、連絡会を放送会社も一緒に入って設けております。今回先生から一つ御提言賜りましたので、この連絡会の中で、また先生の御提言も含めましていろいろ今後防災と放送のあり方について研究してまいりたいと存じます。
  72. 但馬久美

    ○但馬久美君 ありがとうございました。
  73. 山下芳生

    山下芳生君 日本共産党の山下です。  私は、戦後未曾有の大災害である阪神・淡路大震災の教訓を現在と将来の災害、特に被災者にどうやって生かすのか、そのために知恵と力を尽くすことが現在国会あるいは政治に携わっている者の重大な任務だと考えております。  長官は三月四日、衆議院災害対策特別委員会で、国土庁の被災者の住宅再建支援の在り方に関する検討委員会に関して、一つ被災者生活再建支援法では住宅そのものに対する対策が講じられていない、したがってこれを検討するんだと、二つ目に検討委員会は私的なものではない、省を挙げて長官の重みを持って指導するんだと、三つ目に政治家同士の意見交換、国会審議も踏まえて結論を出したい旨の御答弁をされました。私は、いずれもこれは大事な観点だと思いました。  そこで伺いたいんですが、まず長官はなぜ住宅そのものの再建に対する支援が、対策が必要だと認識されているんでしょうか。
  74. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) なかなかちょっと難しい質問だろうと思うんですが、やはり人間として、ヒューマンビーイングとして、住むところがなければ生活そのものがありませんから、何といってもやっぱり住宅が第一、重要なことではないかなと、そのように私は認識をいたしております。  そういうようなことで、先生から御指摘をいただきましたように、被災者の住宅再建支援の在り方に関する検討委員会においては、住宅に対する支援をどうするか、例えば今は金融公庫の低利の融資であるとか延べ払いにするとかいろいろあるわけでございますが、そういうようなことも含め、あとの二つの点につきましても鋭意努力をしていきたいと思っておるわけでございます。  政治家同士がいろいろ話し合ってやっていかなければならないと私が言いましたのは、先ほど本岡委員からも御質疑がございましたように、ああいうような問題はここの委員会で話されて、そして国会の方で主導をしていくということをやっていかなければならないと思うわけでございます。そういう意味で、私は政治家同士で、またそれぞれの立場で対処をしていきたい、そのように述べたわけでございます。
  75. 山下芳生

    山下芳生君 私はきょう、地震災害等に対する国民的保障制度を求めて全国二千五百万署名をお集めになった、中心的な役割を果たされた日本生活協同組合連合会会長理事の竹本さんが被災一年後に「なぜ、今この運動が緊急課題か」という短い文章をお書きになったのを持ってまいりました。そこにこうあります。  住民ひとりひとりが自分の街に戻ってこられるような施策が必要なのです。街の復興は市民ひとりひとりの生活の再建なくしてはありえず、生活の再建には「住まい」が必要なのです。  これは今大臣がおっしゃったように、人間住まいなくしては生活できない、住まいの復興こそ町の復興、震災の復興なんだと。私は、ここに今日の原点がやはりあるし、このためにどうするのかということを今我々が知恵を出さねばならないんだというふうに理解しております。大臣とその点は認識が一致しているというふうに理解をしておきたいと思います。  そこで、我が国は言うまでもなく地震噴火、津波など、世界でも有数の災害危険度の高い地域であります。そこで我々は生活をしているわけですが、それに対する備えが余りにもおくれていることを私は阪神・淡路大震災の経験を通じて痛感したというふうに思います。特に個人の生活の再建に対する対策のおくれ、これが今の被災者の困難を大きくしている。  なぜこういう生活再建の対策がおくれたのか。私は、これは日本の経済力や技術力のおくれの結果ではなくて、やはり政治の中でこの問題に対する優先順位がこれまでずっと低かった、優先度のおくれの結果だと。これは大方の国民の皆さんが一致して認めていると思うんですが、これは生活再建、住宅再建の対策がこういうふうにおくれている、その政治の優先順位のおくれだと私は理解するんですが、大臣、この点での認識いかがでしょうか。
  76. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 今戦後五十四年たったわけでございますが、やはり終戦直後においては、何といいましても社会資本整備を初め我々の生活の基盤を再構築していくということが第一でございました。ましてや我々の子供のころには食べるものがありませんでしたし、あるいはお砂糖なんというものはありませんでした。ですから、まずそういう食料を確保するということ、そしてまた住宅を確保するということ、あるいはまた、社会の組織をいろいろ再構築するというようなところに政治も目を向けていかなければなりませんでしたから、まずそういうところに行って、それからこの防災の分野に進んできたと思うんです。  ただ、先生指摘のように、そういう状態の流れの中でもまだ防災に対する認識が遅かったのじゃないかという意味だろうと思うんです。それは私も甘受しなければならないなという感じはいたしますが、とにかく最初は花よりだんごでございましたから、食べることがまず第一であった、そういうことであっておくれたと私は認識いたしております。
  77. 山下芳生

    山下芳生君 例えば、雲仙それから奥尻の大災害というのもありました。ここでも生活再建支援、住宅再建支援というのはいろいろ努力されました。県の基金あるいは市と町の基金などで住宅の全壊の場合には一千百五十万円等支給されるということがあったわけです。それがあって大規模災害でも生活の再建、住まいの再建ということが非常にスムーズになされたと。私はこれを、そのときの教訓をしっかり生かしてほしい。そういう制度がなかったら大規模災害の場合には自助努力による回復という点では限界がある、そういう支援制度がやっぱり必要だということが雲仙、奥尻で明らかになったわけです、それで復興したわけですから。  ですから、そのときも当時自治体のトップの方などからこの経験、教訓を今後の全国の災害に生かせるようにしてほしいという要望がありましたよ。ところが、残念ながらその災害どまりのものとされちゃった。そのことが、全国制度に至らなかったことが、阪神・淡路大震災のような大規模災害が起きても、残念ながら備えがなくて被災者が大変な苦しみに直面するという事態を招いたと思うんです。  私は、これを今変えなければならないというふうに思うわけですが、その点のもう一歩踏み込んだ、胸の痛みを感じる必要があるんです。そのとき責任者じゃなかったですけれども、担当大臣として、その点での行政の責任、やはり一言いただきたいと思うんです。
  78. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) そういう意味におきましては、この阪神・淡路大震災というのは、一に政治家だけではなくして国民一人一人の皆様方が防災ということ、あるいはその対策、そしてまたその意識というものを大きく高揚されたと私は認識をいたしております。国土庁あるいは建設省においても、そういうようなことで防災にはなお一層の努力をしていきたいと思います。
  79. 山下芳生

    山下芳生君 なお一層の努力と言うんですが、私は生活再建、住宅再建のおくれの背景に、やはり政府が個人財産に対する保障はしない、自助努力による回復が原則だという立場をずっととり続けていることがあると思うんです。  しかし、私は大臣とぜひこれは議論したいんですが、住宅というのは人間にとって財産であるというにとどまらず、これは生存のための不可欠の土台としてとらえなければならないんじゃないか、そうとらえなければ災害の際の支援というのは本当に手かせ足かせで縛られて十分なものができないと思うんです。  どうですか、住宅というのは財産であるというにとどまらず、生存のための不可欠の土台だという認識、大臣に伺いたいと思います。
  80. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) それは私もそのように思います。
  81. 山下芳生

    山下芳生君 素直にお認めになっていただいたんですが、今検討委員会で住宅再建に対する今後のあり方を検討されている。私は、そういう住宅を生存の不可欠の土台という見地からどう支援していくのかという議論が当然ここではあってしかるべきだと思うんですが、そういう議論、大臣はリードされるおつもりでしょうか。
  82. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) その委員会においてもそういうような感覚で御討議をいただけるものと思っておりますし、また私たちもそういう感覚で協力をしていきたい、そのように私自身は考えております。
  83. 山下芳生

    山下芳生君 非常に重要な御答弁だったと思うんです。これまでの個人財産に対する保障はできないというものも踏み越えて、その壁に縛られずにぜひ議論をしてほしいということだと思うんですが、大臣、もう一遍確認したいんですが、それでよろしいですか。
  84. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 何かがんじがらめに締められるような感じがしないこともありませんが、私はそれはそうだろうと思うわけでございます。  先ほど言いましたように戦後五十数年たちまして、衣食住というものを国民は皆求めてきたわけでございますが、衣食というものは達成することができた。今国民が最終的に望んでおりますものは住宅であるわけでございますから、そこでもやはり重要性というものが認識されると思うわけでございます。とにもかくにも、私の責任におきまして一生懸命やっていきたいと思いますが、いつまでも大臣を務められるわけではございませんので、その間はなお強力に、終わりましてからも私のライフワークとしてやはりやっていきたいと思います。
  85. 山下芳生

    山下芳生君 ぜひそういう方向での議論が進むように、私たちも政治の場で議論に参加をしていきたいと思うんです。  私は、人間に値する生き方をするということは人間としての基本的権利である、そして人間に値する生き方は人間にふさわしい住居がなければ不可能であると思っております。六畳一間に家族が四人、五人も住んで、あるいはいつ追い出されるかもわからない居住不安にさいなまれていては人権は守れない。憲法二十五条が保障している国民の生存権、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と、こういう見地から見ても、被災者の生活基盤である住居を再建するための公的な支援というのは当然なされてしかるべきだと思っているわけであります。憲法上の要請だというふうにも理解しております。  それで次に、その検討委員会で検討される結論、私は個人保障も含めて検討されると思うんですが、その結論は当然阪神・淡路大震災の被災者にも適用されるべきだと思うんですよ。これはいかがでしょうか。
  86. 高橋健文

    政府委員(高橋健文君) 被災者の住宅再建支援の在り方に関する検討委員会は、阪神・淡路大震災等の教訓を踏まえて、将来の自然災害により住宅を失った被災者に対する住宅再建支援のあり方について総合的な見地から検討を行うものと聞いております。  阪神・淡路では、生活再建の前提となります住宅確保対策といたしまして、公営住宅の大量供給や家賃の大幅引き下げ、住宅金融公庫の金利引き下げ、あるいは復興基金による利子補給など、政府としてできる限りの措置を実施してまいりました。今後ともこれらの支援策を着実に推進してまいりたいと思っております。
  87. 山下芳生

    山下芳生君 そこが私は理解できないんですよ。  阪神の教訓を生かすというために検討会をつくられた。つまり、生かされていない教訓があるんですよ。一生懸命やっていますと言うんだけれども、一生懸命やってもまだなお住宅再建についてはほとんど効果的な支援がないじゃないかという声もたくさんあるわけです。ですから、阪神の問題を土台にして教訓を生かすんだったらなぜ阪神対象外にするのか、これはどう考えても納得できないと思うんです。それとも、阪神はもう十分やっているという認識なんでしょうか。
  88. 高橋健文

    政府委員(高橋健文君) 検討委員会での議論というのがこれからどういう形になるか、今の段階では我々は何とも申し上げるわけにはいかないわけでございます。  検討委員会における結論が、既に起こった災害についても適用できるようなものがその中で出るかどうか、そういったことを踏まえ、その検討委員会での成果を見た上で、またその時点で検討する話ではないかと思っております。
  89. 山下芳生

    山下芳生君 私は、これは大事な問題だと思っているんですよ。つまり、阪神・淡路大震災に適用を最初からしない、将来の災害を対象にするという発想で議論しても、私は本当に阪神の教訓を将来に生かす議論にはならないと思うんです。それはそうですよ。そうならざるを得ないんです、議論が。阪神には適用せぬけれども、将来に適用するために知恵を出しましょうといっても、普通の人だったらそんなことはできないというブレーキがかかりますよ。  やっぱり阪神で今何が足らないのかということを率直に出し合って、それを今後の教訓にするんだったら、その教訓を今苦しんでいる被災者に適用するのは当たり前だと。法的にいろんな問題があるとは思いますけれども、最初から排除してしまうということは絶対とるべきではないと私は思いますが、大臣、これはいかがでしょうか。
  90. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) なかなか理詰めの鋭い御意見でございますが、例えば阪神・淡路の問題にこれを遡及するとかしないとかいうようなことは、その委員会での結論が出た時点でそれはやるべきだというようなそういう状態になっておるかもしれませんし、そういう意味においては、それは無理かなというようなこともあるかもしれませんので、その時点で対処をしたいと思います。結論は一年半先だそうでございますから、そのあたりの周辺の情勢もまた変わってくるでしょうから、その時点で私は判断をまたやらせていただきたいと思います。
  91. 山下芳生

    山下芳生君 余りにも先送りし過ぎると思うんです。その背景に、私はやっぱり今の阪神・淡路大震災の生活再建、住宅再建に対する認識の甘さがあると思っているんですよ。  私たちが聞きますと、阪神の住宅再建はようやっているんや、いろんなことをやったという答えが国土庁なんかからよく返ってくるんです。その一つの指標に住宅の回復率というのがよく言われますよ。もう当初の目標よりも、あるいは震災時よりも住宅がふえていると。  しかし、住宅は確かに建っているかもしれぬけれども、人口が戻ってきていない。被災六区では、例えば東灘区九五%、灘区九一%、中央区九七%、兵庫区八七%、長田区八三%、須磨区九〇%と、住宅は建っても人がもとに戻ってこられないという現状があるわけです。それはなぜかということを今やっぱり阪神からしっかり導き出さないとだめだと思うんです。  神戸新聞が震災四周年の被災者追跡アンケートをやっていますよ。持ち家が再建できた五九%、借家に戻った三〇%。一方で、戻ることを断念したが借家で五一・八%、持ち家も一八%。二極分化している。戻れない理由は、持ち家の場合は資金問題が最も多い。借家では、家主が再建しない、次いで資金問題ということになっているわけです。ですから、こういうことを踏まえてこれを解決できるような支援策を講ずる必要がある。  そのためには、私は住宅を財産と見るんじゃなくて、これは生存に必要な不可欠の土台として、大臣が問題意識を披露してくれましたけれども、そういう視点でこれは洗い出す必要があると思っていますし、阪神にこの問題がまだ残っているということをしっかり理解していただきたいと思うんです。大臣、この点はよろしいですか。うなずいていらっしゃいますので、次の質問に移りたいと思います。  最後に、いわゆる二重ローン問題について私も伺いたいと思うんです。  家が壊れて住宅ローンが残ったという方がたくさん生まれました。最近、島本慈子さんという方が「倒壊」という本をお書きになって、この問題をまとめられました。この中には、冒頭、三十代の夫、二十代の妻、新婚夫婦が二千九百万円のローンを組んで、その二カ月後に大震災で全焼してしまったという話も紹介されておりますが、家が壊れて家を失って住宅ローンが残ったという問題は、これはやはり特別の手当てが要ると私は思うんです。何もかも失いゼロから出発するのではない、何もかも失った上に未返済の住宅ローンという重荷を背負っている人たちが被災地には大量に生まれたということであります。  これは特別の対策ということで先ほどもう答弁がありましたので、今やられていることはもう重ねて聞きません。しかし、例えば既往ローンの元金の五年据え置き、その間の利下げということなんですが、これをやられたとしても逆に返済額自身はふえちゃう、その間延びますから。それから、新たにローンを組めば一定の補給がされるというけれども、しかしそれは新たなローンがふえるわけですから。いずれにしても、支援を受けたら、家を建てようが建てまいがローンはふえちゃうという残念ながら内容になっているわけです。  そこで、今こういう方々からやるせないという思いで声が上がっているのが、公的資金を注入した銀行によるゼネコンの債権放棄の問題なんです。これはぜひ考えていただきたい。大手ゼネコンによる銀行への債権放棄要請が相次いでいる。青木建設二千億円、フジタ二千五百億円、長谷工コーポレーション三千五百億円等々、合計一兆円を超えておるわけですが、これはいずれも公的資金を注入される銀行に要請されているわけです。なぜこんなことができるのか。金融再生委員会の金融機関に対する資本増強の基本的考え方という中に、こうあります。「債権放棄に当たっては、残存債権の回収がより確実となる等の合理性、借り手企業の経営責任の明確化、及び当該企業の社会的影響等を考慮するものとする。」と。  この概念でいきますと、住宅を失ってローンだけ残っている人に対する債権放棄をやるというのは、例えば社会的影響から見れば、神戸でもこういう方々の生活再建がなかなか進まずに税収が落ちている、もとに戻らずに商売がなかなかしんどいという状況あるわけですから、私は社会的影響は大きいというふうにみなすことができると思うんです。しかし、それはやらない。一方は自己責任ですよ、バブルのときに乱脈な融資、投資をやったわけですから。そのゼネコンの借金は棒引きしてやる。自己責任の全くない、自然災害で住宅が壊れてローンだけ残った者はもう返済をずっと続けなければならない。  これは被災者からおかしいじゃないかという声が出るのは当然なんですが、だから私は借金を棒引きしてくれということをストレートに求めているわけではないんです。やっぱり一段踏み込んだ、住宅を失ってローンが残った方々への支援にさらに踏み込む必要があると思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  92. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 山下委員が最初に住宅は個人財産ではなくして生活権であると、そこから今の結論が出されたなと思ったんですが、確かに債権放棄を銀行にしていただくというのは企業なんです。そして、片や住宅ローンの方々は逆に言えば個々人であるわけでございまして、ですからなかなか判断が正直言って難しいところであるわけでございます。  先生おっしゃられましたように、その住宅ローンをすべてただにしろという意味ではないという意見、そういうところでもう一歩踏み込んだことができないかということはまた考えてみる余地はあると思いますが、とにもかくにも、もう四年間たちまして、いろいろあらゆることを考えてきたのは事実であるわけでございます。また、なお一層のことが考えられるかどうか、考えてみたいとは思っております。
  93. 山下芳生

    山下芳生君 終わります。
  94. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 自由党の鶴保庸介でございます。    〔委員長退席、理事本岡昭次君着席〕  先日の衆議院の災対特の方で、私ども自由党の達増議員を中心に、コンピューター二〇〇〇年問題についての質問をさせていただきました。その関連で、私も参議院として同じ分野のことをちょっとお話をお伺いしたいと思います。  私もこの二〇〇〇年問題のことを質問しようと思いまして、まず真っ先にふと悩みましたことが、一体これは日本の中でどこが所管庁なのかということなんです。国土庁の防災局に、この二〇〇〇年問題についての所管というか、管轄について、まずお話をお伺いしたいと思います。
  95. 林桂一

    政府委員(林桂一君) コンピューター二〇〇〇年問題につきましての政府全体の取り組みといたしましては、平成十年九月に高度情報通信社会推進本部、これは本部長が総理大臣、本部員は全閣僚という形で推進本部を設けております。この中に、官房副長官を議長として関係省庁の事務次官級で構成されるコンピュータ西暦二〇〇〇年対策推進会議というものを設置いたしまして、官民を含めた強力な取り組みを進めるための行動計画を作成し、その推進状況をフォローアップするということにいたしておるところでございます。  この会議の庶務は内閣官房が行っているということでございます。したがいまして、どこが取りまとめをしているかということにつきましては、政府全体としての取りまとめは内閣官房で行われているというふうに理解しております。
  96. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 この件について、アメリカの連邦緊急時管理庁、いわゆるFEMAと言われる管理庁があります。こちらでは災害全般、危機管理全般を管理されておる。いわゆるコンピューターの機能麻痺のような技術災害などもこのFEMAによって所管をされておるということなんです。そのFEMAの中での取り組みが、具体的には、行動計画の指針ということのみならず、その指針に従って行動しておるかどうか、そして行動しておるかどうかの確認がうまくいっておるかどうか、確認をした後不都合があれば再度指導していくというようなことまで指揮監督をしておるというような状況であるというふうに仄聞しております。  衆議院の方での達増議員の質問に、局長は、今のところ具体的に物理的な災害が起こっておらぬから、まだ大規模な事故が発生するような場合ではないから、防災局としてはまず所管というか、動けないというようなことをおっしゃっておられました。そうではなくして、ぜひひとつ災害という観点からコンピューター二〇〇〇年問題をとらえていただきたいというふうに思うんです。  その意味で、災害というふうにとらえたとき、じゃ事が一つ起こったときにまず市民一人一人がどこを頼るかということなんです。恐らく頼る官庁は身近な官庁、役所は各市町村の役場であろうし、また各県の役場、県庁であろうと思います。  そういったことについて、特にきょうは自治省の方にもお出ましを願っておりますから、自治省が各地方自治体に対してどのような取り組みを指導し、また今現状はどうなっておるかということを全般的にまずお伺いしたいと思います。    〔理事本岡昭次君退席、委員長着席〕
  97. 香山充弘

    政府委員(香山充弘君) お答え申し上げます。  コンピューター西暦二〇〇〇年問題につきましては、御指摘もありましたように、対応を誤りますと国民生活全般にわたりましてさまざまな影響が生ずるおそれがありますので、地方団体においても万全の対応が必要であるというふうに考えております。  自治省におきましても、総理を本部長といたします高度情報通信社会推進本部におきまして行動計画というものを決定いたしておりますので、それに即しまして地方団体もきちんとした万全の対応を行うように要請を行ったところでございます。  地方団体の具体的な取り組み状況でございますけれども平成十年十二月現在で調査したところによりますと、都道府県の場合は、その扱っておりますコンピューターシステムにつきまして、六割の団体でおおむね修正作業が終了いたしました。市町村の場合も約半数の団体で修正作業が終了しておるというような状況でございまして、対応は着実に進められておるものというふうに承知をいたしております。
  98. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 もう少し具体的にお伺いをします。  計画に従って自治省が各自治体に指導されたということなんですが、その計画の内容とそれからその報告の内容についてちょっとお伺いできますか。
  99. 香山充弘

    政府委員(香山充弘君) 地方団体における問題としては、大きく分類をいたしますと二つございまして、地方団体が直接扱っております業務のシステムというものがございます。例えば、税金や料金の徴収業務、年金や手当の給付業務、外国人登録業務、消防・救急の司令盤、それから上下水道の制御システム・料金システム、このような形で日付情報を伴うものにつきまして、コンピューターの取り扱いといいますかシステムの修正につきまして指導をいたしております。  それからもう一つは、地域におきますライフラインというものに関する関心を持っていただく必要がありまして、民間のライフラインにかかわるような業者と密接な連携をとりまして、地域全体の問題としてそのことに対する注意を持っていくと。特にそういう住民の生命、財産にかかわるような重要なシステムにつきまして、よく関係の民間の方々と連携をとるようにと、こういう形で指導させていただいておるところでございます。
  100. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 コンピューター二〇〇〇年問題といえば、一般国民の方々の多くは、まあ何とかなるだろうという意識だろうと思います。そうなる可能性も少なくないと思います。ですけれども、行政として、危機管理という意識からすれば、最悪の事態を想定して、危機意識を持ってその事態に対処しておくということが要諦であろうと思います。言わずもがなのことです。  その意味で、今の自治省のお話であればちょっと私は不安になるんです。各窓口の役所の方々ですらそういう危機意識を持っておるということなんです。つまり、行動計画で確かにそれを伝えてありますということで済ませるのではなくして、そこからどういう具体的な対応をしておるというような報告が出ておるかということなんです。  その辺についてはいかがでしょうか。
  101. 香山充弘

    政府委員(香山充弘君) 先ほど申し上げましたとおり、私どもは定期的に地方団体の取り組み状況というのを調査いたしております。特に、私どもの方は、主として地方団体が扱っておるシステムにつきまして調査をいたしておるわけでありまして、その修正状況、あるいはそのプログラムの修正に基づいていろんなテストをしていただく必要がありますが、それぞれの対応状況というのを調べておるわけであります。  それから、一般の、個別の民間のあれにつきましては、それぞれの所管の省庁におきまして、それぞれ縦割りの形で各業界ごとの取り扱い状況というのを掌握していただいておるという状況でございます。
  102. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 まさに今言っていただいたとおり、その個別の問題の業界、団体の中で対処するというふうに、私もこの委員会質問の前にその話を聞きました。ですが、よくよく考えてみましたら、この問題が、例えば車の事故が起こった、車のことで問題になった、トラブルが起こったとき、これは通産省なのか運輸省なのかというところまで普通一般の人はまず考えないと思うんです。恐らく問題が起こったときに頼るのは、まず身近な自治省管轄の各役場あるいは役所だろうと思うんです。どうしたらいいんだというような苦情が出てくるのもそうだろうと思うんです。第一報が出てきたときにどういうふうに対処するかといったこと、そのことについてやはりイニシアチブをとっていただきたいというふうに思うんです。  先ほど言いましたアメリカのFEMAが、防災行政管理者用のガイドといったようなもの、大部なものを各地方自治体に配付しておるということなんですけれども、このことについて御承知ですか。
  103. 香山充弘

    政府委員(香山充弘君) 承知いたしております。
  104. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 こういったことを自治省としてやっておられるか。確かに、どこまで情報を開示し、そして余り危機感ばかり持たせて本当にパニックを起こしてしまうということではいけませんから、一般の国民に対するアピールというようなものをどこまで考えていらっしゃるか。その辺、自治省、もしくは大臣の所感があればお伺いをしたいんですけれども
  105. 香山充弘

    政府委員(香山充弘君) 先ほどお答え申し上げましたけれども、内閣総理大臣を本部長といたします政府の連絡会議で定めました行動計画と申しますのは、この二〇〇〇年問題に起因するありとあらゆる分野、金融分野から運送分野、電気・エネルギー分野、情報通信分野、あらゆる分野の対応というのを定めたものであります。私どもは、その行動計画はもちろん地方団体に伝達いたしておりますし、その行動計画を受けて、地方団体が直接扱うシステム、さらには地域にそれぞれの行動計画分野がかかわりを持ってくる部分について関心を持ってもらうようにという形で指針をお示ししておるわけであります。  さらに、私どもは、現在、地方公共団体の取り組み状況調査結果を踏まえまして、十年度の補正予算で対策調査費といったものを計上いたしておりまして、その調査結果を踏まえまして、さらに地域版の危機管理計画をつくるためのドラフト、マニュアルというものをつくることにいたしております。これを早急に地方団体にお示しいたしまして、地域における地方団体の対応に徹底を期していただく、このように取り組みをしたいと考えておる状況でございます。
  106. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 先ほどから御答弁の中に出ております内閣の高度情報通信社会推進本部のことでありますけれども、その中に自治省の方が入って、そして実際に発言をされておられるか、その辺はどうなんでしょうか。
  107. 香山充弘

    政府委員(香山充弘君) 先ほどの本部は事務次官レベルで会議が構成されておりまして、それにはもちろん自治省の事務次官も入っておりますし、さらにその下の組織として幹事会等もありまして、これは部長レベル、局長レベル、それぞれ自治省は参加させていただいております。いろいろ地方団体の対応状況あるいは民間の対応状況等について意見交換をするとか、そのような形で参加させていただいております。
  108. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 もう間もなく時間が迫ってまいりました。自治省の今の対応について、本当にぜひイニシアチブをとってやっていただきたいなというふうに思うんです。問題が起きなければそれはそれでいいんです。ただ、アメリカはFEMAという大きな組織が統括して問題に対処しておる、イギリスではコンピューター二〇〇〇年問題については主に内務省がイニシアチブをとってやっておるという話であります。  日本の危機管理体制はとかく脆弱であるというふうにも言われます。確かに、まだ起きていない災害のことについてやるわけですから、どこがどうということになればいろいろ問題もあろうと思います。ですけれども、先ほど言われたとおり、実際に問題が起きたときにはどこの所轄であるとかどこの省庁の問題だからというような話ではありません。やはり、実際には現場の行政官庁の対処といったものが必要になってくるというふうに思うんです。  これは大臣にお聞きする話ではありませんが、こういった対処の仕方、今の日本の危機管理体制そのものについて、特にコンピューター二〇〇〇年問題に関して自治省が中心になってやっていくというようなことについて、閣僚の一人としていかがお考えですか。最後にお伺いします。
  109. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) この二〇〇〇年問題は、本当に重要なといいましょうか、危機管理の上からもなお一層国民の皆さんが認識していただかなければならないと思います。  その中にあって、自治省はそういうふうないろいろな指導もしているわけですけれども、果たして地方公共団体の方々が本当にそういう意識を持っているかどうかというと、私は失礼な表現になるかもしれませんけれども、十分なものは持っていないというのが現状だろうと思います。  ですから、もう残すところわずかな期間でございますから、なお政府を挙げて、国を挙げて、地方にもまた国民の皆様方にもそういうようなことを十分に理解していただくということでやっていかなければならないと思っております。  伺いますと、アメリカではそういうようなことで、一日の航空会社のフライトは何割か強制的に削減をさせておるというようなことをやっております。私は、やっぱりそれほどの感覚でもって対処をしていかなければならないと考えております。
  110. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 参議院の会の岩本荘太でございます。最後の質問者でございますので、ひとつよろしくおつき合いのほどをお願いいたしたいと思います。  私は、今までずっと地方行政の立場で災害復旧等の当事者としていろいろ担当してまいった身でございますので、個々の問題にはそのときに遭遇してございます。本委員会は私にとりましては初めてですので、それらにつきましては今後末永くおつき合いをしていく中でいろいろと御質問させていただくつもりでございます。本日は最初ということもございますので、災害復旧体制の基本的なことというか一般的なことについて御質問をさせていただきたい、こう思っております。  私の経験でも、災害というのは言うまでもなく全く予期しないことでございまして、それこそ予期するような人災であれば言語道断であるわけでございますが、そういうものが起こったときは被災者被害を受けて大変ショックを受けておられると思います。そうでない者にとっても大変なことが起こったというショックを受けて、そのショックの差というものはあるかもしれませんが、お互いにどうかしなきゃいけない、何とかしなければいけないと、同じような立場で同じような感覚で受けとめると思っておるわけでございますが、復旧といいますか、その後が大変問題ではないかと。被災者に対してどのように手を差し伸べていくかというところが災害復旧の大きなポイントではないかと思います。  要するに、こういうやむを得ない予期せざることに遭った人が安心して復旧に向かっているという認識をするというか、そのように行政機関なり災害対策本部でやっていただくということが災害復旧に対する一番大事なことではないかなというように思っております。この災害復旧の予行演習はいろいろございますが、なかなか予行演習どおりにはいかないというのも実態ではないかと思っております。  そんな中で、同じことをやるとしても時間が遅かったために全く落第点になるとか、時期が早ければそれが合格点になる。時宜を得た先手先手の対応が必要ではないか、それが災害復旧の基本ではないかと思っているわけでございます。そのためには情報の的確な取得、あるいは初動体制から始まっていわゆる災害復旧のシステムといいますか、組織も含めたそういうものをどううまく先手先手で動かしていくかということになると思います。  その中で、特に大臣の所信表明の中で、初動体制については災害発生時の情報収集、連絡体制の強化を図るため、中央防災無線網の整備云々、今後も一層の整備拡充を努めてまいりたい、こういうような御所見を述べておられます。まず、整備網というのを今までよりどのように改善されて、どのようなイメージでもって我々は受けとめていたらいいのか、その辺をひとつ教えていただきたいと思います。
  111. 林桂一

    政府委員(林桂一君) 災害発生時の初動体制を中心としました特にハード面のネットワークの整備について御説明いたします。  いろいろなものがございます。まず第一番目に、国土庁では地震発生時、これは地震だけではございません、いろいろな大規模な災害を想定しておりますが、そういった災害のときに情報を直ちに官邸や国土庁等の関係省庁の防災要員に連絡するということで、私も持っておりますが、防災要員約二百名に対してポケットベルで一斉に情報を流すというようなシステムを整備し、運用しておるところでございます。これはもう二十四時間体制ということになりますので、こういったポケベルをつけておる方には二十四時間、その一斉の情報が入るようなそういうハードのシステムを持っておるということでございます。  またさらに、大規模災害時におきます情報収集、応急対策の総合調整を円滑にするということで官邸あるいは指定行政機関、これは国の諸関係省庁でございます。それから指定公共機関、NTTとか電力とかそういう関係のところでございます。各都道府県、これは全体で百二十七機関ございますが、この百二十七機関を結ぶ中央防災無線網というものを整備しておりまして、これで電話とかファクシミリ、それから後で述べますが、一部、画像情報の収集、伝達手段というものを確保しておるところでございます。  先ほど言いました画像につきましては、現在、警察庁、防衛庁等の五省庁がヘリコプターで画像情報を収集するということをしておりますが、この画像情報を官邸あるいは関係省庁に配信して災害発生時の被害規模の把握等に役立てるというふうなものも整備しておるところでございます。  また、特に首都直下型の地震の場合には、この霞が関周辺の庁舎の倒壊等により既存の中央防災無線網が使用できなくなるというような場合も想定されますので、必要な通信手段を確保するために衛星を利用した通信システムを今整備中でございまして、現在までに南関東地域の三十機関を衛星のシステムで結んでいるというようなことでございます。  そのほか、コンピューターを利用いたしまして災害被害早期把握を行うシステムを初めとする地震防災システムというものを整備するといったようなことなども手がけております。  平成十一年度予算につきましては、ただいま申し上げましたような項目につきまして、それぞれ逐次整備拡充を図っているというようなところでございます。
  112. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございました。  そのような整備も、今の電子工学の発展あるいは情報機器の開発等で、さらにいいものといいますか、適宜変えていただけるものだと期待しているわけですが、そういうハードの面と、それからもう一つはソフトといいますか、人の動き、災害対策本部の動き、その辺の整備も大変必要ではないかと思っているわけでございます。  先ほどから阪神大震災のお話も出まして、このときも何か遅かったんじゃないか、国の動きが遅かったんじゃないかというような批判が出たような記憶もございます。私は当事者であったんですが、例えば二年前の日本海の重油事件等も、正直に言いますと私は県の立場で流れを見ておりました。重油が海上にあるうちは海上保安庁の問題である、それが海岸に来ると建設省の問題になるというようなお話でございました。地元としては、これはもう災害そのものだというような感じがあったわけでございますけれども、そのようなキャッチボールみたいなこともございました。  それがどうなっているかということをお聞きするんではないんですが、そういうような人の問題、人といいますか体制の問題が、初動体制といいますか、被災者の安心感に対しても随分大きな影響があるんではないかなと思うんです。その辺について、反省を踏まえてどう改善されているのか、ぜひとも教えていただきたいと思います。
  113. 林桂一

    政府委員(林桂一君) 大規模災害が発生した場合におきます体制の問題につきまして、特に阪神以降どのような改善を見ているのかというお尋ねでございます。まず、阪神以降、大規模な災害の発生対応するということで防災基本計画を改定いたしまして、それらの体制の整備に努めているところでございます。  具体的に数点申し上げますと、政府として迅速な初動体制を確保するという観点で、まず内閣情報集約センターや国土庁等におきます職員によります二十四時間の当直体制で情報収集に当たるということにしております。阪神のときに当直体制をしいていなかったということが一つの反省でございまして、その後二十四時間の当直体制をとっているということでございます。  そしてまた、万が一災害が発生いたしました場合、それが非常に大規模なものでございますと、官邸に関係省庁の局長級職員から成る緊急参集チームというものが招集されまして、この緊急参集チームによりまして各機関からの情報の集約を行うことにいたしてございます。そして、その結果を内閣総理大臣等へ情報連絡するというような体制をとるということでございます。  特に、首都直下型の大規模地震発生時におきましては官邸等が被災するという可能性もあるわけでございます。そういうことを想定いたしまして、その場合には、内閣総理大臣の職務代行を内閣官房長官、国土庁長官の順に行うというような申し合わせ、あるいは官邸にかわる参集場所を国土庁、防衛庁あるいは立川広域防災基地というような形でその被害状況に応じて順次変えていくというような申し合わせなど、内閣の初動体制の整備を図っているところでございます。  また、こういうことで情報収集をいたしまして、そのほか必要に応じて関係省庁の連絡会議の開催とか、場合によっては政府調査団の派遣というようなことを行うこともありますが、そういうことをした上で、必要に応じ、非常災害という場合には非常災害対策本部、著しく異常かつ激甚な非常災害という場合には緊急災害対策本部というものを設置して、政府全体一体となった災害対応を図るというようなところを体制として持っているわけでございます。  それぞれ非常災害対策本部あるいは緊急災害対策本部につきましても、阪神・淡路の反省も踏まえまして、その本部が必要に応じかつ早急に立ち上げられるように、あるいはその本部を立ち上げました後で効果的な応急対策がとれるように、いろいろな諸改善をしてきているというところでございます。
  114. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございました。  言うまでもなく、災害というのはあした起こるかもわかりませんし、ずっと起こらないかもわからない。そういう中で、そのような体制を整えてやっていかれるというのは大変なことではあると思いますけれども、やはり安心、安全を求める次第でございますので、ぜひともよろしくその辺の御配慮をお願いしたいと思います。  それともう一つ、そういう災害の初動体制なんかについて、マスコミといいますかテレビの利用というものを、先ほど同僚議員の方からもちょっと質問があったので重複する面もございますけれども、私はこれは個人的には阪神・淡路の大震災のテレビを見ていて、そのときからずっと感じておるわけです。  朝の早い時間からテレビではどんどん報道していたわけでございます。あれを見ますと、これは相当ひどいというのが我々はすぐにわかったわけですが、災害対策本部等の設置というのは、いろんな要素はあるでしょうけれども、割と遅かった、これが一つ何か批判の対象になったかなというような記憶もございます。  考えてみますと、マスコミの情報量というのは相当なものであろうというふうに思います。いわゆる公的にといいますか災害対策本部として得る情報と比べても、それに匹敵するかあるいはそれ以上のものがあるのではないかなと。こういうものを視聴者にそういうもので報道するということもこれは非常に重要かと思います。  災害復旧というのは、これは何も偏った人間だけのやることではなくて、大きな災害であればこれは国民全体が一緒になってこの復旧をしなきゃいかぬというものであると思いますので、その辺は、マスコミ等の協力というものがぜひ必要じゃないかなというふうにかねがね思ってきたわけでございます。  先ほど、郵政省の考え方は局長からお答えございましたけれども、やっておられるとは思いますけれども、災害担当大臣として長官に、この辺の御所見をちょっとお伺いさせていただきたいと思います。
  115. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 御指摘のように、また今担当の者が答弁いたしましたように、衛星通信を活用いたしました中央防災無線の多重化などを行いましてハード、ソフト両面における情報の収集、そしてまた伝達の体制の整備は、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえまして細かく手配をしているところでございます。  そういう中にありまして、何といいましても災害情報には報道機関の協力がなければならないわけでございます。そのことにつきましては、日本放送協会を指定公共機関に指定いたしまして、平常時から連携を十分とっております。そしてまた、その他の報道機関とも協力体制というのは整備をしておるわけでございます。特別非常災害時の会議室の机の配置まで国土庁の講堂にちゃんと準備がされておるわけでございまして、そういう細かな報道機関との連係プレーというものはやっております。  いずれにいたしましても、災害発生時の初動に遺憾のないように、今後なお努力をしていきたいと考えております。
  116. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 私が知らなかっただけで御質問したのかもしれませんが、多くの国民もそういうことがわかれば安心するのではないかなと思いますので、今後ともよろしくお願い申し上げまして、質問を終わります。
  117. 海野義孝

    委員長海野義孝君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時四十九分散会