○中原爽君 今お話しいただきましたのは五月にお答えになりました内容と大差はないわけでございます。
どうして五十三年と五十六年の間でこういうふうにバランスが逆転したかということについては、恐らく五十六年の時代に第二次臨時行政
調査会からの御
意見がございまして、
医療財源が枯渇をしてきた、そのために薬価を引き下げて、浮いております薬価を引き下げた分の経費を
技術料に
配分するという形が行われたようであります。したがって、薬を使う率の多い医科は
技術料の上乗せ分が多くなった、しかし薬をほとんど使わない歯科については薬に基づいた
医療財源の
配分がほとんどなかった、そういう状態のために五十六年以降こういう格差がついたということであろうと思います。
それと、
平成十年については同じく一・五、一・五という御
指摘でありますけれども、このときは御承知のように中医協の場で
実態調査の結果に基づいて
厚生大臣に中医協からの改定を要するという答申が出ないままで年が明けました。そして、当時の与党三党の政調会のところでこの一・五という人件費と物件費を出すということが決められたわけであります。まことに異例の決め方であります。この一・五の財源というのは当時千三十億円であります。それは、薬の差から、引き下げた分から財源を出したということではありません。全く別のところから
厚生省としてこの一・五%の財源をお出しになったということでありまして、それで
技術配分をすれば両者一・五になった、こういう経過であろうと思います。
それから、
資料2でございますけれども、ただいま私が申し上げましたように医科と歯科の
技術と薬の薬剤料の差であります。医科は薬を三一%ほど使っておられる、我々歯科は一・二八%しか薬を使っておりません。ということは、歯科の疾患というのは薬を飲んで治るような疾患ではないわけでありまして、点滴をしたから抜けた歯が生えてくるということはないわけでありますし、薬を飲んだから虫歯の穴がふさがってくる、そういうこともないわけであります。したがって、医科と歯科の薬の使い方というのはこれだけ格差があるわけでございます。したがって、三〇%の上に乗っている
医療財源あるいは一・二八%に乗っている
医療財源を
技術料に振り分けるということであれば、確かに歯科は損をするということになるわけであります。それを申し上げたいと思っておりました。
それで、今回、
平成十二年度を目途に
医療制度あるいは
医療提供体制を改革するんだということが言われておりますが、
平成九年当時の与党協の
意見書では、新しい診療体系の構築については
技術、物、ホスピタルフィーの評価をする、こういうふうにおっしゃっておられる。また、同じ
平成九年の八月に
厚生省も
意見書を出されておりまして、
技術、物及び
施設管理
費用を明確に区分した評価体系の構築を提唱する、こういうふうに言っておられるわけであります。
それから、ことしの一月になりまして、
医療保険福祉
審議会の制度企画部会からはこういう
意見書、作業部会の報告が出ております。薬や治療材料の物の評価と
医療に係る
技術評価の間に不均衡が生じている、これを是正しろ、こういうことであります。薬や治療材料の物の評価と
技術の
医療に係る
技術の評価を明確に区分してそれぞれきちっと評価をするんだ、こうおっしゃっておられるわけであります。こういう
考え方でいけば、薬を使わない領域の部分とそれに
対応した
技術の部分ということで、当然医科と歯科の
技術に対する
考え方が違うということを申し上げたいと思います。
それから、
資料3でありますけれども、これが吉田代議士がお尋ねになりました初診と再診の差異であります。ごらんいただきますと、特に初診料については、五十一年、医科が九十点、歯科が九十点でありまして、この時代から昭和五十九年までずっと同じ点数でありました。しかし、昭和六十年以降は大差がつくという
状況が続いているわけであります。
私は、特に今回初診料で申し上げたいんですけれども、歯科が初診料に重点的な点数をつけないで、補綴すなわち義歯の領域に点数をつけたために結果的にこういうふうになったというふうにおっしゃっているわけです。しかし、先ほど来ごらんいただいておりますように、昭和五十六年以降、医科に比べて総枠の歯科の点数
配分が少なくなったということを踏まえて、歯科の場合には医科と同じような形の初診料の点数を持ち上げられなかったという結果がこういう
状況になっているというふうに理解をしているわけであります。
再診料については、それぞれその頻度によりまして診療科によって大差があるわけであります。全体的に申し上げますと、歯科の場合には医科に比べて再診の頻度は三倍ぐらい高いわけであります。したがって、同じ点数をつけようということを
考えますと、医科に比べて三倍の
医療財源を要する、こういうことでありまして、この点についても医科と歯科と同じような再診料の形はなかなかとれないということでございます。
こういう
考え方でよろしいかどうか、お尋ねをしておきたいと思います。