○朝日俊弘君 そういうお考えでしたら、これはまた後で
委員の皆さんにもお諮りをして、もし必要であれば、しかるべく表現を改めるということを私の方から御提案をさせていただきたいと思っています。
次に、三つ目の問題でございますが、いわゆる
医療保護入院の要件に関連して若干幾つかお尋ねしたい。
確かに、
医療保護入院、つまり本人自身の同意あるいは納得によって入院ができない場合に、
保護者等の同意に基づいて入院をしていただくという、その要件をどういうふうに定めるかというのは大変難しい問題であることは承知をしております。事実、たしか
公衆衛生審議会からの
改正要綱が答申されたときの表現は、
医療保護入院及び応急入院の
対象者の要件として、精神障害により入院の必要性が理解できないと判定されたものという書きぶりでありました。しかし、いろいろ御議論があったんでしょう。今回提出されている中身では、
医療保護入院及び応急入院の
対象者の要件として、精神障害により本人の同意に基づいた入院が行われる
状態にないと判定されたものというふうに表現が変わっているわけです。
ここの辺の変わった理由とも関係すると思うんですが、
医療保護入院については、決して安易に行われることがないようその要件をできる限り条文にも明確に書いてほしいし、条文で書きづらいところがあれば、それ以外の方法でもってきちんと要件を明確にしていくという作業がぜひとも必要だというふうに私は考えています。
それは、改めて申し上げるまでもないかもしれませんが、国連がもうかれこれ十年ほど前に、一九九一年でしたか、
精神障害者のための原則を決議しておりまして、そこの原則の中に一項目、
精神障害者の非自発的入院についてこんなふうに書いてあるんです。
要するに、どうしても非自発的に入院させなければいけない
状態がある、しかしそれは非常に本人にとってもそれから他人にとっても差し迫ってこのまま放置していたのではぐあいが悪いという
状態があって、しかもその人を入院させなければさらにその
状態が悪くなるだろうということが見込まれて、しかもほかにとるべき手段がないという場合に限って非自発的入院をというふうに、かなりくどくどとというか、きっちりとその要件を書いているわけです。そういう国連の原則と照らし合わせてみると、今回の精神障害により本人の同意に基づいた入院が行われる
状態にないと判定されたものという規定ぶりだけでは、どうも範囲が拡大されていく、あるいは安易に広げられていく危惧なしとしない。
ですから、申し上げたいことは、国連の原則をきちっと念頭に置いて、可能な限り法律の中に、あるいはその運用のための政省令や通知の中にこの
趣旨をきちっと盛り込んで、
医療保護入院の適正な運用を図るようにすべきだというふうに思いますが、この点について、これは大変重要な点ですのであえて
大臣にお尋ねしたいと思います。