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1999-04-22 第145回国会 参議院 国民福祉委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年四月二十二日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  四月二十一日     辞任         補欠選任      奥村 展三君     堂本 暁子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         尾辻 秀久君     理 事                 清水嘉与子君                 常田 享詳君                 朝日 俊弘君                 渡辺 孝男君                 小池  晃君     委 員                 久野 恒一君                 武見 敬三君                 中原  爽君                 水島  裕君                 櫻井  充君                 直嶋 正行君                 松崎 俊久君                 沢 たまき君                 井上 美代君                 清水 澄子君                 入澤  肇君                 堂本 暁子君                 西川きよし君    国務大臣        厚生大臣     宮下 創平君    政府委員        文部省体育局長  遠藤 昭雄君        厚生省健康政策        局長       小林 秀資君        厚生省医薬安全        局長       中西 明典君        厚生省老人保健        福祉局長     近藤純五郎君        厚生省保険局長  羽毛田信吾君        労働省職業安定        局長       渡邊  信君        自治省財政局長  二橋 正弘君    事務局側        常任委員会専門        員        大貫 延朗君    説明員        厚生大臣官房障        害保健福祉部長  今田 寛睦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の  一部を改正する法律案内閣提出)     ─────────────
  2. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) ただいまから国民福祉委員会を開会いたします。  精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 既にこの法案につきましては先週同僚議員の方から総括的な質問が随分出されておりますので、なるたけ重ならないように三十分の時間を使わせていただきたいと思っております。  まず初めに、この精神障害者定義のところでございますけれども、このたびの改正によりまして「中毒性精神病」という表現が「精神作用物質による急性中毒又はその依存症」というふうに改められました。この改正趣旨等をぜひお伺いしたいということと、この精神作用物質による問題、薬物あるいはアルコール、こういった中毒あるいは依存症の動向についてもあわせてお伺いしたいと思います。
  4. 今田寛睦

    説明員今田寛睦君) 今回の改正で、第五条の定義規定におきまして、今御指摘のように「精神作用物質による急性中毒又はその依存症」と、このように明記をすることとしたわけであります。これは、一つは、現在、第四十四条で覚せい剤依存者に関する準用規定がございますが、この準用規定を削除することによりまして逆に覚せい剤等依存症者が法から外れるのではないかということがございまして、このような誤解を招かないよう、覚せい剤を含む精神作用物質依存症を例示として明確化したものでございます。  それから、中毒性精神障害、特に薬物依存症患者実態につきましては、平成九年の時点で入院患者が六百九十七人でございましたが、平成五年のときには五百八十八人ということで、確かに増加しているのではないかというふうに思います。
  5. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 この薬物中毒依存症、これは非常に犯罪につながるケースも多いというふうに伺っておりますし、なかなか医療だけでは徹底して治療ができないという問題もあると思いますけれども、やはり専門的に治療をしなきゃいけない問題だというふうに思っております。  ところが、これを拝見いたしますと、いわゆる専門病院として、専門病床でしょうか、埼玉県に四十床というのがありますが、これで対応できるのかどうか。ことし一月の公衆衛生審議会の「今後の精神保健福祉施策について」という報告書によりますと、国立病院療養所でこういった薬物依存だとか合併症への対応重点的に行うべきだという指摘もございますけれども、この辺どうなっておりますか、伺いたいと思います。
  6. 今田寛睦

    説明員今田寛睦君) 確かに、薬物依存症に対する専門病床につきましては必ずしも十分とは思いませんが、国といたしましては、国立精神神経センター精神保健研究所が国府台にございますが、ここにおきまして薬物依存症についての研究、それから研修を行っております。それから、国立療養所下総病院、ここでもこういった薬物依存患者の受け入れを行っているところでございます。  先ほど御指摘審議会からいただいた意見書でも、国立病院療養所再編合理化の中でこういった薬物依存などの患者重点を置いて対応すべきではないかという御指摘がございました。これを踏まえながら、国立病院療養所におきまして、各施設機能に応じて薬物依存症を有する精神障害者への対応重点を置いて、民間病院のモデルとなるような先駆的な医療に取り組んで、治療体制充実に向けて努力をしていきたいと考えております。
  7. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 ぜひよろしくお願いしたいと思います。  それから、あわせてアルコール中毒依存症の問題なんですけれども、精神障害者二百十七万と言われているわけですが、いわゆる治療を必要とするアルコール依存症が二百二十万くらいいるんじゃないかというふうに言われております。この中で本当に専門的な治療を受けている人というのはほんの数%だそうでございまして、余り治療も受けていない。つまり、それだけ自分でそういう症状というか自覚がないからだと思いますけれども、ほうりっ放しになっているという状況でしょうか。  あるいは、行くにしても内科に行く人が非常に多い。内科に行きますと、臓器が、例えば肝臓が悪くなった、腎臓が悪くなったというようなことで、そこは治してもらう。治してもらうとまたお酒が飲める状態になるというようなことで、何度も繰り返し治療を受けているというようなことで、なかなかこれが根絶できないというような問題がございます。  ある看護婦が言っているんですが、自分たち看護をするのに自分が健康ないい状態でなければいい看護はできない。そうすると、かなり一生懸命自分たち健康管理をよくして職場に行く。ところが、職場に来てみたら、患者さんは何度も繰り返して、自分健康管理ができない人がどんどん来るというようなことで大変矛盾を感ずる。第一こういうところに医療費が使われていることもおかしいんじゃないか、何とかなりませんかと、こういう話なんです。  確かにそうだと思うんですね。精神科に行きましてもなかなか医療だけでは治らないで、社会的にも心のケアもしなきゃいけないというようなことで、やっぱり退院するまでに少なくとも三年くらいはかかると言うんです。それでも意志の強い人でなければなかなか治っていかないというようなことを聞いております。  仮に内科に受診いたしましても、反復受診を避けられるような治療をしなきゃいけないんじゃないかと思うんですけれども、そういう方向にぜひ進めていただきたいというふうにも思います。また、こうした簡単に反復受診しているような人たち医療費の面でもペナルティーを与えるようなことも考えたらいいんじゃないかというふうに思うんですけれども、これは部長のところの所管じゃないのかもしれませんが、厚生省全体で医療費をいかに適正に使うかということをやっているわけですからぜひお考えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  8. 今田寛睦

    説明員今田寛睦君) アルコール依存症はかなりの方がいらっしゃると思いますが、精神病院に入院している患者としては一万七千六百人程度いらっしゃいます。  今御指摘のように、お酒が飲めるように治しに病院に入るという批判というか、皮肉をおっしゃる方もいらっしゃるわけでありますが、結局はアルコールというのがいつでもどこでも手に入れられるということ、それからアルコールに対する社会的認識の問題、こういったものが深くかかわるものだと思います。  そういった観点から申し上げましても、今精神保健福祉センターでありますとか保健所の保健婦さんの活動の中で、家族のそういう相談を受ける窓口としての機能もさることながら、断酒会などの自助努力グループがございます。こういったところを育成して、とにかく自分が飲まないという意思をいかに継続するかということのためのグループづくりということで大変御尽力をいただいておりますし、一般社会に対しても、いわゆる適正飲酒ということで、飲酒文化そのものに対しても関心を向けていただくというようなことの御努力をいただいているところであります。と同時に、医師や看護婦保健婦あるいはPSWを対象といたしまして、国立久里浜病院アルコール依存症臨床医等研修事業を行って、その質的な向上も図ってきております。  アルコールは、今申し上げましたようにいつでもどこでもだれでも手に入ることのできる依存物質でございますので、やはり社会全体の理解と協力というものをバックにしながら、今申し上げました関係機関こぞってこれらに取り組んでいく必要があるのかなと、このように考えております。
  9. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 アルコール依存症は特に女性だとか若い人たちがどんどんふえているそうでございますので、ぜひこういったところについても気を配っていただきたいというふうに思います。  次に、精神病院長期入院の問題なんですが、これはもうこの前の委員会でも随分皆様から御指摘をいただいたところでございます。今国会の法改正精神障害者人権擁護ということを前面に出した改正でございますから、当然のことながら、長期に人間としての自由を拘束していることこそ最も問題じゃないかというような認識でございまして、これはぜひ何とか是正したいという気持ちを私は持っております。  先進諸国が既にもう精神病院の壁を取り払うことに努力してかなり成功しているということを知りながら、しかもそれは随分日本でもこれをしなきゃいけないということを言われながらちっとも改善していかない、これは何なんだろうかというふうに思うわけでございます。  しかし、もう今やそんなに待っていられないんじゃないかというふうに思います。といいますのは、今三十三万人の入院患者のうち三分の一はもう六十五歳以上の高齢者になっております。そうすると、現場ではおむつを使ったりなんかして介護が必要な人が大分ふえているという実態がございます。そういたしますと、来年から始まります介護保険法で当然介護認定を受ければ介護保険法対象として施設サービスも受けられる人も出てくるかもしれない。しかし、現実問題としてそういう人たちが環境の整った介護施設に入れるか、なかなか難しいと思います。そうなりますと、当然のことながら精神病院の体系の中でこれをやはり変えていかなきゃいけない問題が出てくると思います。  今、一般のところでも老人社会的入院を改善しようということで療養型病床群に変えたり、あるいは中間施設をつくったりというような施設の変更がどんどん行われているわけでございますけれども、一体これを精神科領域でどうするのかというような問題が出てきております。  幸いなことに、その受け皿であります在宅福祉サービスはこれから充足しようということでございまして、これはぜひやっていただきたいわけでございます。今回の改正におきましても、施設に関しては何ら新しい提言がないわけでございまして、これは一体どうするのかということが心配でございます。今多いと言われている精神病院からの転換計画、これをぜひ早急につくるべきじゃないかというふうに考えますけれども、これはいかがでございましょうか。大臣、どうぞよろしくお願いします。
  10. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 今回の改正の特色は、地域対策といたしまして、在宅精神障害者へのサービスにつきましては、ホームヘルプサービスとかショートステイ施設等を法定いたしました。そしてまた、社会福祉施設対策として、従来あるものに加えまして地域生活支援センターというようなことで充実をしております。  今、委員の御指摘は、精神病院長期入院の是正と、それから介護保険導入に伴ってその領域をどうするのかという問題だろうと思うんです。こうした長期入院患者療養関係の整備につきましては、先日、公衆衛生審議会から意見書が出されておりまして、これによりましてもリハビリテーションとか介護サービスのニーズが高い者の処遇について検討を行うべきであるという指摘もございます。  したがって、現在検討会を設けまして、長期入院患者療養あり方について検討を重ねております。この中には、医療法における医療提供体制一つとして病床機能の見直しの論議も現在行われておりますので、そういったことも背景に見据えながら、御指摘精神病床転換する長期入院にかわる新たな施設をどうやったらいいかということを検討することを含めまして検討会で今やっておりますので、それらを踏まえまして御趣旨のような施設あり方について模索し、実施を図るべく努力してみたいと思っております。
  11. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 既に一般病院の方ではその転換がどんどん進められているわけでございまして、少しゆっくりし過ぎるんじゃないかという感じもいたします。なぜなら、入院している患者さんたち介護保険に関しては保険料を払うわけです。被保険者になるわけでございまして、やっぱり当然サービスを受ける権利はあるんだろうと思います。そういう点で、そういう整備されていない方々をどうするのか、行く先がないというようなことになりますといろいろ問題が出てくるのではないかと思いますので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。  それから次に、精神科特例廃止のことを、これもたくさんの委員の方から出ておりますけれども、私の方からも一言お願いをしたいと思います。  最近、精神病院に絡んだ、看護婦が絡んだ事件が幾つか出ておりまして、大変心を痛めているわけでございます。しかし、これは看護婦が足りないというだけでは済まない問題だというふうに意識をしております。しかし、早期治療して病状を抑え、そして早く退院していただくとすれば、やっぱり必要な職員はそろえなきゃいけないということだと思います。そういう意味では、精神科特例早期廃止は望ましいというふうに私も思っているところでございます。  ところが、実際見ますと、特例さえ守れないところが結構あるということでございます。精神科のその他看護に3種なんというのは、1種もそうですね、一応六対一はいるけれども、ほとんどが准看護婦であるというところだとか、あるいはもう六人も満たしていないというところが平気病院として仕事をしているということ、こんなことはやっぱりおかしいんじゃないかというふうに思うんですけれども、これはまず改善するべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  12. 小林秀資

    政府委員小林秀資君) 今、先生から、精神科特例というものにも問題があるが、その特例さえ守っていない病院があるのではないかということで厳しく御指摘をいただいたところでございます。  厚生省の方では、医療法に定める人員配置基準に関しましては、都道府県が毎年度実施する医療監視に当たりまして特に重要としているところの点でございまして、その遵守徹底を図っているところでございますし、今後とも厳しく指導をしてまいりたい、このように思っています。  特に、精神病院につきましては、毎年度実施する実地指導とも緊密な連携を図ることで患者処遇について総合的な点検、指導を行うよう各都道府県に対し指導徹底しているところでございまして、今後とも基準遵守徹底を図ってまいりたい、このように思っております。
  13. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 行政指導で直っているんだったらもうとっくに直っているんだろうと思います。しかし、ずっと長いことこのままで来ているということがやっぱりおかしいんじゃないかというふうに思うんです。確かに、患者さんの方からいえばサービスを受けていないということを訴えることもできない。サービスを受けていて、これが普通なのかどうかということがわからないというような状態の中で行われている。確かに、今までは余り手をかけなくても、ただ生活しているだけで、かぎをかけてしまえばよかったのかもしれませんけれども、それではいろいろな問題が出てくるんだろうと思います。ぜひその点についてはよろしくお願いをしたいと思います。  一般的に精神科というのは看護婦が集まりにくい領域であることは事実なんです。看護の世界でも多少偏見があるのかもしれませんけれども、なかなか集まりにくい。したがって、准看護婦の比率も高いというようなことでございまして、これをもう少し魅力のある職場にしていくということも大事なことだと思います。  外国では精神分野専門家というのがかなり出ておりまして、いい仕事をしているわけなんです。日本でもやっと日本看護協会専門看護婦制度をつくって、その中の一つ領域として精神科看護を選んでいるわけなんです。そういう意味では、こういう人たちが本当に現場に入って仕事ができるような体制をぜひつくらなきゃいけない。  これは前回のいろんな参考人意見にも出てまいりましたけれども、やっぱり処遇の、診療報酬の手当てやなんかも必要だと思います。そういった面で精神科そのものを、何か人が足りない中でも平気で行われる医療じゃなくて、きちんとした専門家によって行われる質の高い医療看護が行われる場としてぜひやっていただきたいというふうに思います。  それから、今、局長の方からは医療監視等々おっしゃいましたけれども、なかなか全体に見渡せないのが事実でございます。  そこで、一般病院なんかではかなりこのごろ第三者機能病院機能第三者評価するというような役割を随分取り入れているというふうに思います。そして、そういった結果を公表しているというようなことによってお互いに病院サービスの質がオープンにされるというようなことになっているわけですが、精神科領域でもこの前、河崎先生は少しそういうことも始めているとおっしゃいましたけれども、もう少しオープンにやるということが必要なんじゃないか。  どうも精神科というのがなかなか一般の人がお見舞いにも行きにくいし、なかなか普通の人は入りにくいところだというふうに思います。そういう面で透明性といいましょうか、そういうものをもう少し明らかにするためにも、なかなか国が制度化することは難しいのかもしれませんけれども、専門団体によって、自分たち自身でこういったことをもう少し前進させる方向に進めるべきではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  14. 今田寛睦

    説明員今田寛睦君) 医療機関に対します第三者機関による機能評価につきましては、既に財団法人日本医療機能評価機構におきまして、特に一般病院を先行して着実にその実績を上げていらっしゃる、このように聞いております。  これにつきましては、一般病院評価に加えて精神病院対象にするということから、保護とか、あるいは隔離の問題も評価対象に入れながら精神病院についても機能評価を行うという仕組みが設けられております。ただ、ことし三月現在で八病院認定を受けただけでございます。  しかし、この機能評価事業というものが、今御指摘のように、医療の内容の透明性あるいは質の確保に非常に有用な仕組みであるということにつきましても精神病院関係者にもよく御理解いただきたいと思いますし、この事業精神科医療機関に広く活用されることが望ましいというふうに考えております。
  15. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 ぜひそういう方向でよろしくお願いしたいと思います。  次に、精神障害者就労雇用支援の問題でございます。労働省、よろしくお願いします。  精神障害者の中で六〇%以上を占めているのが精神分裂病、かつては本当に治らない病気というふうに私たちも習っておりました。しかし、今日では薬物療法あるいはリハビリテーション、こういったきめ細かい治療をすれば社会的に自立できる可能性が四〇から六〇%、仕事ができる可能性というのは七〇から八〇%程度、これは水島先生が監修された「今日の治療看護」にございましたけれども、そういうふうな大変高い率で復帰も可能だということでございます。  これは、精神分裂症に限らず、適正な治療とかリハビリテーションを受けて症状が安定している精神障害者すべてに言えることでございますけれども、やっぱり何らかの就労雇用支援、こういったシステムが動けば相当社会復帰だとか社会参加ができる人がいるんですね、いるはずです。  そこで、これも御指摘が随分あるようですけれども、身体障害者あるいは知的障害者並み法定雇用率にカウントするというようなことができないだろうか。そういうことによって雇用の機会が拡大するということになると思いますけれども、そういった検討がもう少し前向きにできないだろうかということをお伺いしたいと思います。
  16. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) 精神障害者に関します雇用対策としましては、現在は精神障害者の方を採用した事業主に対して賃金助成を行いますとか、あるいは精神障害者就業援助ということで職場援助者を配置したときのこれに対する援助、こういったことを行っております。また、今年度からは、公共職業安定機関職員医療機関に赴きまして精神障害者に対しまして就業に関するガイダンスを行う、こういった事業を行うことにしておりますが、まだこれを法定雇用率対象とするというところには至っておりません。  今、先生指摘のように、ようやく昨年から知的障害者法定雇用率基準に算入をされたという段階でございまして、遺憾ながらこの精神障害者に対する雇用対策というのは大変おくれているのが実情かというふうに思っております。  精神障害者の方を雇用率対象とすることにつきましては、どのような範囲の方が雇用就業能力があるのか、あるいは職場における適正な雇用管理あり方というものはどういったものか、あるいは個人個人のプライバシーの保護、こういった問題についていろいろと検討する課題があるというふうに思っております。  労働省では、今年度から、できるだけ早い時期に研究会を立ち上げまして、三カ年を目途にいたしまして精神障害者法定雇用率制度における位置づけというものを明確にしていきたいというふうに考えております。
  17. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 ぜひ研究を進めていただきたいと思います。  最後の質問になると思いますけれども、先日の参考人意見を伺っておりますと、今度の改正を皆さん前向きに、非常に喜んでいらっしゃるという感じでございます。やはり地域在宅生活ができる障害者がふえるということに対しては大変喜んでいるわけでございます。  しかし、そうはいいましても、市町村が責任をだんだんに負ってくるようになるわけでございます。実際問題として、障害者計画にいたしましてもまだまだ三分の一程度しかできていないというような実態もございます。そしてまた、母子だとか老人の問題、あるいは介護保険法というようなことで、どんどん事業が市町村に流れていく。確かに身近なところで仕事が流れるというのは大変いいことではありますけれども、一体それを受けとめる体制ができているのだろうか。人の問題が特に大きいと思います。そんなことで皆さんも大変その辺の御心配があったわけでございまして、その辺の対応を伺いたいわけなんです。  特に、精神障害者地域生活支援センター、これが新たに社会復帰施設として位置づけられたわけでございますけれども、これに対する皆さんの期待も物すごく大きいんです。私も厚生省から話を聞いていた以上に大変皆さんが地域における相談、助言の最先端の専門機関であるということで、当然のことながらここが精神保健福祉士なりなんなりのそういう専門家がコミュニティーケアを進める拠点になるというようなイメージを非常に膨らませて期待をしていらっしゃるのを伺いまして、私もそうなったら本当にいいなというふうに思うわけでございますけれども、一体それをどういうふうに進めていくのか。  今まで精神障害者の問題は、保健所の保健婦さんたちがまたさらに勉強して精神保健福祉相談員の資格を取ったりしてかなりきめ細かい対応をしてきております。市町村の保健婦でもそういう資格を持っている者もかなり出てきておりますけれども、やはり専門的な対応というのはどうしても欠かせない問題だというふうに思うんです。そういう市町村の受けとめをどう充足させるのかという点についてお話を伺いたい。  あわせて、保健所の保健婦たちが、一体保健所から市町村にそういう仕事が移っていったときに自分たちはどうするのかということで非常に問題意識を持っているわけでございます。私は、やはり保健所も今以上にもっと力を出さなければいけないんじゃないかというふうに思っているわけでございます。  その辺について、市町村の事業充実と、それから保健所の役割について改めてお伺いしたいと思います。
  18. 今田寛睦

    説明員今田寛睦君) 今回の法改正におきまして、地域生活をされます精神障害者を支援するということで、身近な市町村で在宅福祉サービスを実施するということ、それからそれに対応して、それらのサービスの利用に関する相談、助言を市町村にも行っていただく、このような仕組みにすることにしております。  在宅精神障害者の支援に対しまして、今御指摘地域生活支援センターには大変期待が多いわけでございますし、これも障害者プランの中で整備計画を立てて充実を図ることとしております。今回の法改正でもこれを法定化するということでその位置づけを明確にすることといたしております。  この期待を受けておりますセンターでありますが、市町村での相談を受ける場ということでもありますので、そこで働かれる皆さん方の精神保健福祉に係るノウハウ、こういったものについては当然十分な質を確保する必要がある、このように思います。  もちろん市町村も同様でありますけれども、こういった地域における精神障害者に対するいろんなサービスのためのノウハウというものは、保健所が今まで一番歴史を持って培ってきている分野でもあろうかと思います。そういう意味で、保健所との十分な連携を図ることは大変重要なことだというふうに認識しておりますし、当然これから市町村に精神保健福祉の部分での事業が付与されるわけでありますので、市町村も保健所の保健婦の皆さんから技術的あるいは専門的支援をどうしても受けなければならない。と同時に、本来業務であります医療、保健の分野は依然として県すなわち保健所に残っておるわけでありますので、むしろ今回の改正によって保健所は今まで以上に市町村に対しても重要な役割を担っていただくということで、その御協力をお願いしていきたいと考えております。
  19. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 民主党・新緑風会の朝日でございます。  先週の質疑、それから今週前半の参考人からの意見聴取、そしてきょう第二ラウンドの質疑ということで、かなり検討が深められてきているというふうに思いますが、この機会にぜひ確認的に幾つか質問をさせていただいて、この改正案をより有効なものにしていくための一つの素材としていきたい、こんな気持ちで幾つか質問をさせていただきます。  まず、この間、精神保健福祉のサービスをより充実させていく、あるいはより量的にも拡大していく、このためにはぜひとも人材の育成確保という点が大変重要であるというのはもう多くの委員からも御指摘がございました。そういう意味では、これというふうに特定するわけにはいかない、むしろ全体的に、精神保健福祉サービスを担うマンパワー、人材を育成確保していかなければいけない、こういうふうに当然思うわけです。しかし、そうは言いながらも、この間繰り返し、臨床心理技術者の国家資格の問題について、国会でも附帯決議もされておりますし、強い要望が各団体から出されております。  そこで、精神保健福祉サービスを担う多くの人材の中の重要な一つの職種として、臨床心理技術者の国家資格をでき得る限り早急に創設すべきではないかと思います。  もう改めてあれこれ申し上げませんが、一昨年、精神保健福祉士、PSWの資格が成立をいたしまして、大変これは多くの皆さんにも評価をいただいているし、一歩前進だと私も高く評価をしているわけですが、その法律を審議したときの附帯決議に、つまり平成九年十二月、参議院の厚生委員会では「臨床心理技術者の国家資格制度の創設について検討を進め、速やかに結論を得ること。」と、念には念を入れてこういう表現での附帯決議がされております。  こういう経緯を踏まえて、改めてこの機会に私からも、この臨床心理技術者の国家資格制度早期に実現するべく厚生省としてもさらに一層の御努力をいただきたい、このことをお願いし、お考えをお聞きしたいと思います。  この点についてはぜひ大臣の方からお考えをお聞かせください。
  20. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 臨床心理技術者の国家資格制度の創設という問題につきましては、今御指摘のように、平成五年の精神保健法の改正以来、数次にわたりまして衆参両院の厚生委員会におきまして附帯決議が行われまして、その検討の必要性が指摘されてまいりました。  確かに、人材養成という観点から重要な視点だと存じますけれども、厚生省としましては、平成六年度以降その資格のあり方について研究を続けてまいりましたが、いろいろ問題がないわけではない。つまり、臨床心理技術者の心理業務と医師の行う医療行為との関係とか、それから臨床心理技術者の対象とすべき業務の対象分野をどうするかとか、あるいは受験資格のあり方等、基本的な問題につきまして関係者間の合意が得られない状況で来ております。  そんなことで、いろいろの問題点がございましてなかなか意見の調整がつかないというのが実情でございましたので、現在、平成九年度からでございますが、臨床心理技術者の資格のあり方に関する研究班というのを設置いたしまして有識者による検討を進めておりますが、最大の問題は、今申しましたように、臨床心理技術者の行う心理業務と医療行為または診療の補助行為との関係について問題がございますので、集中的に現在検討させていただいております。  今後、関係者の意見の調整を図りつつ、これは六回にわたる附帯決議等もございますので、ひとつその結果を踏まえて前向きに検討したいと思っております。
  21. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ありがとうございました。  確かにかなり難しい調整をすべき課題があることは重々承知の上で、ぜひとも前向きの検討お願いしたいと思います。  それでは、二つ目の問題として、今回の改正で、法第二十二条の保護者の義務規定のところについて大幅な改正がされました。このことは、かねてより家族会の皆さんが強く要望されていたところでもありますし、また、精神障害者自身の自己決定を尊重するという観点からも、大変評価すべき改正が行われたというふうに私も理解をしております。  そこで、改正された第二十二条を読んでみますと、前半は、保護者が精神障害者治療を受けさせる、こういうことは何とか引き続き保護者の義務として残しておきたい、それから後段は、精神障害者の財産上の利益を保護する、これも一定程度保護者の義務として残しておきたい、こういうふうに書かれているわけですが、どうも読み方によっては、あるいは表現ぶりがどうも適切ではないのではないか。むしろ、括弧書きの中に書いてありますように、患者さん自身がみずから納得して、あるいは同意をして入院している場合とか、あるいは一定程度の病識をちゃんと持ってみずから通院している場合とかいう場合には、必ずしも、保護者が治療を受けさせなきゃいけないとか、あるいは保護者が財産上の利益を保護しなきゃいけないとかいう規定をあえてする必要はないのではないか。むしろこの部分は、患者さんの、あるいは精神障害者の自己決定を尊重する、こういうふうにきちっと書いた方がいいのではないかと思うんです。  そういう観点から見ると、この二十二条の書きぶりがいささか不適切ではないかと私は思うんですが、もう少し適切に表現した方がよいのではないかと思うんですが、この点についてのお考えがあれば聞かせてください。
  22. 今田寛睦

    説明員今田寛睦君) 今回の改正案におきましては、保護者の過重な負担を軽減するという観点から、自傷他害防止監督義務の規定の削除を図りましたとともに、任意入院患者等みずからの意思によって継続的に必要な医療を受けている者の保護につきましては、御指摘のとおり、治療を受けさせる義務や財産上の利益を保護する義務等を免除することにより、精神障害者の自己決定を尊重する観点に立って保護義務の軽減を図る、こういうことでございます。
  23. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 そういうお考えでしたら、これはまた後で委員の皆さんにもお諮りをして、もし必要であれば、しかるべく表現を改めるということを私の方から御提案をさせていただきたいと思っています。  次に、三つ目の問題でございますが、いわゆる医療保護入院の要件に関連して若干幾つかお尋ねしたい。  確かに、医療保護入院、つまり本人自身の同意あるいは納得によって入院ができない場合に、保護者等の同意に基づいて入院をしていただくという、その要件をどういうふうに定めるかというのは大変難しい問題であることは承知をしております。事実、たしか公衆衛生審議会からの改正要綱が答申されたときの表現は、医療保護入院及び応急入院の対象者の要件として、精神障害により入院の必要性が理解できないと判定されたものという書きぶりでありました。しかし、いろいろ御議論があったんでしょう。今回提出されている中身では、医療保護入院及び応急入院の対象者の要件として、精神障害により本人の同意に基づいた入院が行われる状態にないと判定されたものというふうに表現が変わっているわけです。  ここの辺の変わった理由とも関係すると思うんですが、医療保護入院については、決して安易に行われることがないようその要件をできる限り条文にも明確に書いてほしいし、条文で書きづらいところがあれば、それ以外の方法でもってきちんと要件を明確にしていくという作業がぜひとも必要だというふうに私は考えています。  それは、改めて申し上げるまでもないかもしれませんが、国連がもうかれこれ十年ほど前に、一九九一年でしたか、精神障害者のための原則を決議しておりまして、そこの原則の中に一項目、精神障害者の非自発的入院についてこんなふうに書いてあるんです。  要するに、どうしても非自発的に入院させなければいけない状態がある、しかしそれは非常に本人にとってもそれから他人にとっても差し迫ってこのまま放置していたのではぐあいが悪いという状態があって、しかもその人を入院させなければさらにその状態が悪くなるだろうということが見込まれて、しかもほかにとるべき手段がないという場合に限って非自発的入院をというふうに、かなりくどくどとというか、きっちりとその要件を書いているわけです。そういう国連の原則と照らし合わせてみると、今回の精神障害により本人の同意に基づいた入院が行われる状態にないと判定されたものという規定ぶりだけでは、どうも範囲が拡大されていく、あるいは安易に広げられていく危惧なしとしない。  ですから、申し上げたいことは、国連の原則をきちっと念頭に置いて、可能な限り法律の中に、あるいはその運用のための政省令や通知の中にこの趣旨をきちっと盛り込んで、医療保護入院の適正な運用を図るようにすべきだというふうに思いますが、この点について、これは大変重要な点ですのであえて大臣にお尋ねしたいと思います。
  24. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 保護入院制度につきまして、今回、本人の判断能力その他を勘案して、本人の同意によることが期待できない状況の場合に、これは強制的な措置になりますが、同意がなくても医療を確保するために、患者本人の利益のためにこのような措置を設けることとしたわけでございます。  この要件につきましては、今おっしゃられるように、個人の人権、それから患者医療と保健の確保という見地から十分な配慮が必要だと存じます。  なお、これにつきましては、医療保険の資格者、これにつきまして保護入院をされるときには、診断を要するとかあるいは保護者の同意を要するとかいうような条件のもとでこれを認めることになっておりますが、なお詳細な条件等が場合場合で必要なことがあろうかとも存じますが、できるだけ保護入院の対象者の人権に配慮した、しかもこれが強制措置であるということを考えながら対応すべきものだと思っております。
  25. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 できるだけ配慮してというお答えなんですが、私はもう少し強い気持ちというか考え方で臨んでいただく必要があるのではないか。  繰り返し答弁は求めませんが、医療保護入院が安易に適用、運用されることがないように、可能な限り国連原則を念頭に置きつつ、その運用について、明確かつ適正な運用を可能とするようにきちんと対応をしていただきたい。このことは強く求めておきたいと思いますが、どうでしょうか。
  26. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 今御答弁したことを補足させていただきますけれども、こうした保護入院の重要性にかんがみまして、精神障害者の人権に配慮した適切な医療を確保するという点で基準を明確に、要件等を明確にいたしまして、この改正趣旨医療現場に十分徹底させるように配慮してまいりたいと思います。
  27. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 よろしくお願いします。  それでは次に、今お尋ねした医療保護入院の問題と関連して、任意入院の要件のことについてどうしてもお尋ねしなければいけません。  といいますのは、今お話があったように、簡単に言えば、医療保護入院というのは、任意入院できない人について、しかも医療が必要である人について医療保護入院してもらうんだ、こういうことになりますから、そうすると、では任意入院とは一体何なのかということになります。  任意入院については、もう改めて申し上げるまでもなく、本人自身が一定の説明を受けて同意し、あるいは納得してみずから入院治療を了解する、そういう方について入院していただく、こういうことでありまして、これは可能な限り任意入院による入院形態を多くするようにということでいろいろ取り組みをされているというふうに思うんです。  ただ、気になりますのは、本人の同意ということについて、昭和六十三年五月付の通知によりますと、本人の同意とは「自らの入院について積極的に拒んではいない状態をいう」と。だから、積極的に拒んでいなければ同意というふうにとるのは、いいのか悪いのか、両面どうしてもあると思うんです。例えば、極めて理解力が低下していて、お医者さんから説明を受けても、そのことを必ずしも十分受けとめられなくて、返答に困って黙っているような場合とかも、いや、これは積極的に拒んでいないんだから同意いただいたと、これはやや無理があるのではないかと。  今回、医療保護入院の要件を明確化するその書きぶりの中に、本人の同意が得られない場合についてというふうに任意入院の要件を持ってきたものですから、これはセットで要件を検討し直す必要があるのではないかというふうに私は思うんです。趣旨としては、任意入院の要件についても、あわせて、その概念というか、定義というか、考え方についてもう少し厳密に、しかも明らかにしていく必要があるのではないかと思うんですが、いかがですか。
  28. 今田寛睦

    説明員今田寛睦君) 御指摘の昭和六十三年の通知でございますけれども、この通知の意図するところは、任意入院に当たっての同意が、民法上の法律行為としての同意とは異なるということを趣旨として言っているわけでありますが、このような記述については、ある意味では、積極的に拒んでいない場合もすべからく任意入院にすべきという解釈も成り立つというような御指摘があるのも承知いたしております。  今回の改正におきまして、医療保護入院の要件の規定ぶりを変えたわけでありますが、このことは、医療保護入院と任意入院を同意能力の有無といったところによって区別することになると思います。したがって、六十三年の通知にございます「患者が自らの入院について積極的に拒んではいない状態をいうものであること。」というその趣旨は、今回、法改正によって見直しをしなければならない、こういうことになりますし、当然、御指摘のように、この改正趣旨に沿って同意能力のある者を任意入院として適用するようその趣旨を明確化した上でまた周知していきたい、このように考えております。
  29. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 確かに難しい問題であることは承知しながらも、しかし今の法体系の中で、医療及び保護のために入院するという規定がありますね。随所に出てくるんですが、この規定ぶりが入院をさせる方向にどうも働いているんじゃないか。入院というのは、非常に厳密な状態で入院というのを考える。入院させた場合にはきちんと治療が提供される。当たり前のことなんですが、それがなかなか当たり前じゃないからあえて強調しているわけです。  そういうふうに少し法律の中身を変えていく必要があるので、とりあえず今回の法改正に伴ってきちっと表現すべきところはできる限り表現をしていっていただきたい、そして運用について誤りなきようにしていただきたい、こんなことをお願いしておきます。  それでは、あとの時間の関係もあって、用意した質問を幾つかすっ飛ばしてやりますので、よろしくお願いします。  次にお尋ねしたいのは、前回の質疑のときにも若干議論がありました患者さんの移送の問題と関連して、応急入院の指定病院についてその整備を進めていきたい、こういう御答弁がありました。  そのことは確かに必要なことで、積極的に応急入院の指定病院を計画的にあるいは地域的に整備していく、このことは私からも強くお願いしたいんです。ただ、気になりましたのは、そのときに指定基準を見直していきたいということをおっしゃったんです。  これはジレンマだと思うんですが、確かにたくさん確保しようと思えば、指定基準を甘くすれば指定病院対象はどんどんふえる。しかし、医療保護入院でなかなか病院にも連れていけない患者さんを入院してきちっと治療してもらうということを想定した病院なわけですから、そこそこのレベルというか水準が確保されている病院でないと、かえって何か、どこでも連れていけるようにすればいいのかということにもなりかねません。  そういうふうに考えますと、現実に相当地域的に精神病院が偏在していて、ある地域では、そういう一定の水準を持っていて、しかも応急入院としての機能を果たしていただける病院というのがなかなか選定できないところがかなり出てくるんじゃないかと私は一方で心配しているわけです。  ですから、繰り返しますが、ぜひとも今回の法改正に伴ってそれに対応できる体制づくりはしてほしい。してほしいが、同時にそれはある程度の質、レベルの担保された状況でないと逆の心配が出てきますよということを強調したいわけで、この点についてはどうお考えでしょうか。
  30. 今田寛睦

    説明員今田寛睦君) 応急入院指定病院につきましては、そもそもは保護者の同意を得ることができない場合を想定して、その体制を整えた施設として要件が定められておりますけれども、今回の改正法案によりまして、移送先についてこの指定病院を活用するという考え方になっておるわけでございますが、当然、移送先の医療機関につきましては、精神保健指定医あるいは看護婦あるいは看護士さんが常時診療可能な体制にあることなどが指定の要件になるのは言うまでもないことだと思います。  ただ、移送の対象となる者がこの制度によって多くなるということが予測されますし、また、三百六十五日、昼夜を問わず診療応需の体制を確保するということからすると、地域内の複数の病院が連携し、あるいは輪番制なども考慮しながら対応するという意味で、現在の応急指定病院の指定基準を見直すべきだという意見が出されております。地域による格差もございますので、御指摘のように複数の二次医療圏を一つのブロックとして、そのブロックの協力を得ながらそういった病院を確保するという方法も考えていく必要がある、このように思います。  いずれにいたしましても、この見直しに当たりまして、医療レベルが低下しないようにということについては、十分配慮した上でこの基準の見直しを考えていきたいと思います。
  31. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ぜひバランスよく整備を進めていただきたいと思います。  一言つけ加えれば、残念ながら日本精神病院地域的に必ずしも適正に配置されていないところが多い。逆に言うと、精神医療機関の偏在というのが厳然たる事実としてあるので、それを全くホワイトボードの上に全部並べ直すということになかなかなりませんから、そこは一定の現実的な対応も求められていると思いますが、ぜひ質と量をうまくかみ合わせて体制整備を進めていただきたいと思います。  それでは、次の問題に移ります。  きょうは実は自治省からもおいでいただいています。大変お忙しいところ、申しわけございません。  先ほど清水委員からもお話がありましたように、今回、精神障害者の福祉サービスの窓口を市町村に受けていただこう、こういう改正がなされました。ある意味で、この間の一連の精神保健法の改正の中で、前回ようやく精神保健福祉法というふうに名前が変わったわけですけれども、率直に言って、まだまだ本当の意味で福祉法になっていなかった面がある。今回、そこを一歩踏み込んで、市町村にもきちっとその精神障害者の福祉を受けとめてもらおうということについては賛成なんです。そういう意味で、ぜひそういう体制づくりに向けて市町村も頑張っていただけるような、そういう支援を自治省と厚生省と両方相まってぜひ協力してやっていただきたい、こういう思いであります。  三年間の準備期間が設けられました。ただ、これよくありますのは、三年間準備期間をつくりますと、最初の一、二年は余り何もしなくて、最後の一年でどたばたするというのが結構多いんですね。しかも、今、市町村は介護保険の来年春からの実施でもうてんやわんやでして、多分この国会でこの法律が成立して、さあ三年後には市町村で精神障害者の福祉をやっていただきますよと言っても、全然ぴんとこないところが結構あるんじゃないかと思うんですね。  そういうことからすると、よほどさまざまな形で御理解をいただく努力をしなきゃいけませんし、御理解をいただくだけじゃなくて、はっきり申し上げて、財政的にも、それから人材的にもちゃんと支援をするという体制が必要だと思います。  そこで、この施策の中心は当然厚生省になると思うわけですが、一方で自治省としてもさまざまな御配慮をいただかないと市町村としても大変困ってしまうと思います。自治省としてどんなふうに受けとめておられて、どんな考え方で支援をしていこうとされているのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  32. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 今お話にございましたように、精神障害者の福祉サービスの利用相談等につきましては現在保健所で行われておりますが、今回の法改正が行われますと十四年度から市町村が行うということになるわけでございます。これに伴いまして、都道府県は、保健所によります技術的な事項についての協力、その他必要な援助、それから市町村相互間の連絡調整を行うといったバックアップをするということになっております。自治省といたしましても、市町村におきます準備が円滑に進みますように厚生省の方ともよく連携しながら適切に対応してまいりたいというふうに考えております。  また、今回の法改正によりまして、精神障害者の方に対しますホームヘルプ、ショートステイが居宅生活支援事業として法定化をされるということになります。これに伴いまして、市町村がこの事業に要する費用の補助をするということになるわけでございまして、これに伴います都道府県、市町村の財政負担につきましても、適切な地方財政措置を講じてまいりたいと考えております。
  33. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 一つだけちょっと追加の質問をしたいと思うんですけれども、参考までに聞かせてください。  これは当然、この事務は自治事務に整理されるんでしょうかね。今ちょうど地方分権推進一括法案がこれから審議されようとしていて、私の理解するところでは、都道府県知事による措置入院については法定受託事務になるけれども、そのほかは基本的には自治事務に位置づけられるというふうに理解をしているんですが、それで間違いないですかね、念のため。
  34. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 私どももそのように理解いたしております。
  35. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ありがとうございました。  それで大臣、今、自治省の方からもお答えがあったわけですが、もうあれこれ申し上げるまでもなく、市町村が大変な状況にあるということは御存じだと思います。これは三年先にどうこうという話になるんですけれども、実は、障害者計画をつくってくださいということを既にお願いしているんですよね。当然、国は障害者基本計画をつくる、都道府県にもつくっていただく、そして同時に市町村にもつくっていただく。ただし、高齢者保健福祉計画とは違って、この障害者計画については努力義務ということでお願いをしているという形で、その障害者計画の中には、身体障害と知的障害とそして精神障害、三障害を含めて計画をつくってくださいというふうにお願いをしている。  先ほど清水先生からもありましたけれども、しかし残念ながら市町村のレベルで、都道府県は大体つくっているんですけれども、障害者計画をつくっているところはよく見て半分、三分の一ぐらいという。しかも、中身を見てみますと、全部見たわけじゃありませんが、精神障害のところが入っていない計画がこれまた結構あるんですね、三割ぐらい。  つまり、何が申し上げたいかというと、三年後にもちろんいろいろと市町村としては引き受けていただく体制づくりをしていただくんだけれども、もう現在既に一方で障害者計画をつくってくださいというお願いをしているわけですから、これからその障害者計画を市町村で主体的におつくりいただけるような、支援も含めて厚生省としてはさまざまな、財政的にもそれから人的にも支援や助言や指導や、そして場合によったら都道府県による補完も必要になってくるのではないかというふうに私は思うんですが、この点についての大臣のお考えをぜひお聞かせください。
  36. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 基本的には、今、委員の御指摘のとおりだと思います。  国としては、三年後の実施を、介護保険の実施等と重ならないとか、いろいろな条件を設定して施行日を定めておりますが、それまでに十分な福祉施策ができるように、例えばホームヘルプ、あるいはショートステイ施設、あるいはグループホームの整備、あるいは地域生活支援センターの整備等についても、あとう限り充実したものになるように今から準備をしてまいりたい。また、現にやっておる施策もございますので、それらを財政的にも、またいろいろ指導面でも手を打ってまいりたい。それから、新しく法定された例えばホームヘルプサービスにつきましても、モデル事業等を実施するというようなことで、今後の拡充に備える、あるいは市町村職員研修等の推進に当たるというようなことどもを通じまして、今、委員のおっしゃられたような厚生省として多面的な施設整備の援助もしてまいりたい、このように思っております。
  37. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ぜひとも可能な限りきめ細かな支援をぜひお願いしたいと思います。  最後に、今回の法改正は、十二年前に精神衛生法から精神保健法に改正されて以降の流れをさらに一歩発展させる、あるいは前進させるという意味で一定の評価をしたいと思っているのですが、ただ今後検討しておかなければいけない、あるいは留意しておかなければいけない点が二つほどあると思います。この点について大臣のお考えをお伺いして終わりたいと思います。  その一つは、精神保健福祉法という形で、精神障害に関しては保健と医療と福祉の一部あるいは大半、精神障害というところで一くくりの法律になっているわけですね。ところが、保健は、基本的な枠組みは地域保健法である、医療医療法である、福祉は社会福祉事業法である。それぞれの保健、医療、福祉の枠組みを定める法律が改正されるときに、ややもすると精神保健の分野が置き去りというか、別扱いということがしばしばあったし、うっかりするとあるんですね。  例えば、これから医療法医療機関機能分化をさらに進めていこうという議論がされているときに、うっかりすると、精神のところはちょっといろいろと難しいから置いておこうとか、なかなか意見がまとまらないから置いておきましょうとかいうことにしばしばなりかねない。  それから、これから恐らく社会福祉事業法等の改正案が出されてくるだろう。そのときに、さまざまな形で精神障害者福祉と絡む部分が絶対出てくるわけですね。例えば、小規模作業所をどうするか。そういうときに、えてして保健や医療や福祉の枠組みを定める法律の改正のときに、精神保健福祉が独自の法体系をつくっているためにややもすれば取り残されてしまう心配がある。こういうことのないようにぜひしていただきたいというのが一つ。  もう一つは、これは少し将来的な展望になるのかもしれませんが、せっかく障害者基本法ができて、身体障害、知的障害そして精神障害、三障害を同じ障害者として見ていこうという体制になってきて、今その途中にあると思うんですが、一定程度将来的には身体障害、知的障害、精神障害を総合的にくくった障害者福祉体系をつくっていく、展望する必要があるのではないかということも少し先の課題として私は考えているんですが、この二点について大臣のお考えをお伺いして、終わりたいと思います。
  38. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 今御指摘をいただきました点は大変重要な点でございまして、今、医療制度あるいは福祉制度その他全体を総合的に見直すということが非常に多いわけでございますが、それらは保健、医療も福祉も相互に関連をしております。したがって、そういう相互的な関連を重視しながらいろいろな諸改革をやる場合に、精神障害者の病気だからといって劣後しないように、正当な位置づけのもとでバランスのとれた総合的な施策を検討してまいりたいと思います。これから医療法改正その他もございますが、御指摘の点はごもっともだと存じます。  それから、小規模作業所等につきまして御指摘もありましたが、これらは社会福祉事業法等の改正によってもうちょっと小規模でも、あるいは条件が緩和してでもできるようにしていきたいというような考え方を今持っております。  なお、三点目の、知的障害者身体障害者精神障害者、それぞれ特色がありまして、それぞれの体系で今まで来ていると存じます。これはこれとして、それぞれの歴史的な、あるいはその病症に応じた、あるいは障害の程度、性質を異にしておりますから、それぞれ必要な領域でそれぞれの対策は講ずべきだと思いますが、しかし今言われましたように施策を総合化して見るということは極めて重要だと思います。  したがって、中期的な課題としては、そういった知的障害者精神障害者あるいは身体障害者、これを含めて総合的に一つの体系の中で考えていく。地域社会におきましてそういうことの方がより効果的に実施できる体制ができるかと思いますので、これはちょっと中期的な課題として取り組んでまいりたいというように思っております。
  39. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ありがとうございました。
  40. 沢たまき

    ○沢たまき君 よろしくお願いいたします。  私は、精神障害者に対する精神科疾病以外の内科とか外科とか歯科等、一般科の医療体制あり方についてお伺いしたいと思っております。  本年二月、三重県の多度精神病院でインフルエンザ様疾患が集団発生し、十九名の死亡者が出るという痛ましい事故があったわけでございますが、三月二十五日に三重県が提出した最終の調査報告によりますと、県は二月八日にマスコミ関係者から情報提供を受けてこのことを知ったと。最初の患者が亡くなって一カ月以上もたっているわけですが、厚生省がその事態を知ったのは二月十一日となっています。これだけの重大な事態を県の方へは一カ月以上たって、しかもマスコミからの通知で知ったということはどういうことなのかと思っております。  このような事態になっても、病院側は県とか国とかに報告する義務はないんでしょうか。もっと早く県に報告していればこんなに多くの死亡者の出現が防げたのではないかと思うんですが、厚生省は国とか県への病院の報告体制をどのように整備していらっしゃるんでしょうか、まずお伺いさせていただきます。
  41. 今田寛睦

    説明員今田寛睦君) 現在、インフルエンザのような疾患で入院した患者さんが亡くなられた場合に、これを制度的に報告するという仕組みにはなっておりません。  今回の多度病院の事例でございますけれども、病院の管理者の意見を聞いてみますと、今まで報告する決まりがなかったとか、報告したところで期待ができないとか、あるいは広まるのが余りにも急激だったので対応し切れなかったといったような御意見が出されているわけでございます。  病院が事態を危機的と認識したのは既にもうピークを過ぎた後で、それから対応をとり始めたという意味では後手を引いているという点もございました。危機管理意識がもし十分に備わっておれば、例えば県に報告するなど、今回のような事態に対して適切な対応がとられたのではないかというふうに私どもは理解をしております。  それともう一つは、病院から死亡者が出る場合には、医療保護入院につきましては退院届が出されることになっております。そういたしますと、医療保護入院に係ります退院届で死亡者の数がある程度わかるわけでございますが、そのことを県の機関として必ずしも十分に把握できていなかったという県の体制の問題としての認識もございます。  したがいまして、今回の事例というのは、もちろん病院のこともありますし、また県の対応もあります。重大な事態が予想されるような場合には早期都道府県に対して連絡するなどの必要な指導を行いながら、関係者の危機管理意識の高揚に努めていきたいと考えております。
  42. 沢たまき

    ○沢たまき君 危機管理の意識が薄かったのではないかとおっしゃいましたけれども、ここは単科の精神病院で、週二回非常勤の内科先生がいらっしゃるんですが、本格的な内科の診療はほかの病院に依頼するしかないわけですね。  ところが、死亡者十九名中四名しか転院させていなくて、残りの十五名を転院させていなかったんですが、この理由と、精神病院入院患者の転院がままならない理由になかなか受け入れてくれないという理由があるらしいんですが、そういうところを厚生省としてはどのように認識していらっしゃるでしょうか。
  43. 今田寛睦

    説明員今田寛睦君) 三重県が多度病院に対しまして、転院の措置に対してどういう考え方であったかということについて確認をいたしております。  当初は、転院が必要な者が確認できなかったということでありますけれども、ピークを過ぎた時点あたり、日付を申し上げてもわかりにくいかと思いますが、一月の中旬になるわけですけれども、この時期に亡くなった患者さんは急に亡くなられたということから転院などの措置を講じる間もなかったという当初のいきさつもございます。その後、肺炎などの患者が見られたわけでありますが、動かすことが困難な患者であったため自分病院で診療を続ける方針にした。  また、その後、転院を検討したケースもございましたが、近隣の病院、大桑病院というのが近くにあるようですが、その病院あるいは桑名市民病院も満床で受け入れられなかった、こういったことも影響しているというふうに言っております。三重県の報告によりましても、確かにこの時期、桑名市周辺ではインフルエンザ様の疾患が急激に増加していることは地元の医師会の報告、情報からも確認をいたしております。  いずれにしても、個々の患者状態にもよると思いますけれども、しかし近隣の病院が満床で受け入れられなかったということは、それは小さな区域で見ているからそういうことなんで、県全体あるいはもっと広域的に見れば、ちゃんと必要があれば行けたのではないかという意味において、今後、広域的な連携体制は当然必要になるのではないか、このように思っております。
  44. 沢たまき

    ○沢たまき君 次に、医療法施行規則の第十条三号において「精神病患者又は伝染病患者をそれぞれ精神病室又は伝染病室でない病室に収容しないこと。」、ただし、本文において「臨時応急のため収容するときはこの限りでない。」と規定されていますが、その趣旨及び理由を伺いたいのと、また臨時応急のときとはいかなる状態なんでしょうか。  この規定からいけば、多度病院の場合、一般病院が受け入れるべきだった。今、満員だったとおっしゃいましたが、この県の報告を見ると一月六日から二月四日までで、十五日、十七日、いっぱい発病した日が休日に当たったからなかなか当直がいなかったとかとこの県の報告にあるんですけれども、一般病院が受け入れるべきだったと思うし、私は全員転院させるのがベターだったと思いますが、いかがでしょうか。
  45. 小林秀資

    政府委員小林秀資君) まず、医療法施行規則第十条第三号の規定は、入院患者処遇に当たりましてそれぞれの病状に適した病室において入院治療を行うことが適切である、そういう考え方に立ちまして、原則として精神病患者は精神病室において、また感染症患者は感染症病室において処遇すべきことを定めているものでございます。  また、同条に「臨時応急のため収容するとき」といって、そのときは特別な扱いができることを規定しております。例えば、精神病患者に関していえば、精神病室を有しない病院等において緊急に入院を必要とする精神病患者をやむを得ず入院させる場合、例えばインフルエンザの患者さんが精神障害者の場合は、一般病院へ行ったときには、医療法の今の第十条第三号の規定によると精神病室に入れなさいと言っているんだけれども、それを外してやむを得ず一般病床に入れて構わないということを言っているわけであります。また、合併症等により精神病室において処遇することが不適当なため一般病床等へ収容する場合等を念頭に置いているものでありまして、具体的には医師が判断することになるものと考えております。  ですから、合併症というのも、精神障害者の方ががんになる、ところが実際に精神病院でがんの手術とか治療はなかなかできません。そういう場合には一般病院一般病床に入るということは緊急やむを得ない、応急時の対応ができると、こういうことを規定したものでございます。  なお、多度病院についてどうであったかの判断は私からは申し上げられませんので、部長の方からしていただきます。
  46. 今田寛睦

    説明員今田寛睦君) 先ほども背景を若干触れさせていただきましたが、この病院でインフルエンザになられた方が全体で九十九人いらっしゃる、亡くなられた方はもちろん少ないわけですけれども。この九十九人に対して、インフルエンザであるからといってそのすべてを転院させるべきかどうか。これは個々のケースで判断せざるを得ないと思いますが、やはり死に至ってしまうような重症な状況になったときに適切に紹介できるような仕組みが必要だということについては、十分そういったことを踏まえた形で対応すべきだと思います。
  47. 沢たまき

    ○沢たまき君 私は、こんなにいっぱい死亡者が出たというその原因は、局長が最初におっしゃったように、第一点は多度病院自体の危機管理の認識の欠如。休日があったとこの県の報告には書いてあるんですが、休日であろうと何であろうと、病気は休日だから引っ込むということはありません。第二点は、精神障害者の合併症に対する一般医療協力体制の不備。それから第三点が、精神障害者に対する医療機関の根強い偏見だと思うんです。  今回のように、全員が閉鎖病棟での患者で、しかも感染症という状況の中で、単科病院ではとても対応できるものではないと思います。地域医療機関の協力なしでは不可能なんです。その意味では、結果としてこのような事態を招いたのは、直接的とは言いませんが、県とか国の対応にもその責任の一端はあるのではないかと思います。  御近所に大桑病院がある。七十一床しかない。よく連携がとれていたといってもこの大桑病院だけでは対応ができなかったので、なぜもっと、今、局長がおっしゃったように、広域で協力体制を組むような制度を、日ごろから連絡をとり合うとか、そういう体制をつくることはできなかったんでしょうか。いかがでしょうか。
  48. 今田寛睦

    説明員今田寛睦君) そばにあります大桑病院、それから桑名市民病院が満床であったということで、受け入れられない状況があったというふうな報告も聞いております。  要は、そういう小地域における医療機関の連携だけでは、非常に大きな流行をするようなたぐいのものなどについては対応し切れないというようなこともありまして、三重県も広域的な医療支援体制が必要な場合にはそれに応じられるような体制をとっていきたいということを申しております。このような考え方は当然三重県に限った話ではございませんので、各県におきましてもこのような観点から指導をしてまいりたいと思います。
  49. 沢たまき

    ○沢たまき君 精神病院の中における精神障害者の合併症に対する危機管理と医療体制について、障害者が差別なく十分な一般科の医療が受けられるように厚生省としては対策を講じていただきたいと思います。  我が国の精神科専門の病院数千五十五のうち八割程度が単科病院だと伺っております。対策の一つとして一般科病床を設置した精神病院の拡大を図っていただきたいと思っておりますが、大臣、いかがでございましょうか。
  50. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 精神障害者の中には身体疾患をあわせ持つ患者がおられるということで、精神障害と身体疾患を並行して治療する必要があるのは御指摘のとおりでございます。  そのために、平成八年度から、これらの身体合併症の治療体制の整備の実態等を調査いたしましたが、それらに基づきまして、一般医療体制の具体的なあり方についてさらに検討を深めることが必要であるということで、昨年から精神障害者身体合併症治療体制整備事業というのを開始いたしまして、身体合併症治療が可能な医療機関を指定するとか、あるいは常時空床二床を確保しながら患者受け入れ可能な病院を指定するとか、総合病院精神科精神病院一般医療医療体制あり方検討するためのデータ収集を行う等の事業を今実施しております。  今後、これらの事業の結果を踏まえまして、精神病院が備えるべき一般病床のあり方を含めまして、身体合併症を有する精神障害者に対する適切な医療の確保に十分努めてまいるべく検討を進めてまいりたい、このように思います。
  51. 沢たまき

    ○沢たまき君 よろしくお願いいたします。  先ほど施行規則の第十条三号に触れさせていただきましたけれども、この医療法施行規則の精神病患者と伝染病患者を同号の規定にすることがどうも私は偏見あるいは誤解が生じるもとになると思います。乱暴なくくり方だなという気がいたしましたが、修正をしていただけないでしょうかという思いがあります。  また、精神病院では、この規定は閉鎖病棟、任意入院の開放病棟にも適用されているわけですが、任意入院患者さんについてはもっと開放的な処遇を推進してもいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  52. 小林秀資

    政府委員小林秀資君) まず、医療法施行規則第十条第三号の規定は精神病患者と感染症患者、今、伝染病患者と言いませんで感染症患者と申しております、これについての規定をしておるところですが、同一号のところで両方並んでいる形でございます。これは、立法技術上の整理からこういうふうにしてありまして特に他意があるわけではございませんが、先生の御意見があったことだけは承知をさせていただきます。
  53. 今田寛睦

    説明員今田寛睦君) 精神病院におきましては、御指摘のように任意入院患者については開放処遇を推進すべきだ、このように考えております。ただ、任意入院患者についても、一時的に病状が悪化するなど一時的に閉鎖的処遇が必要な場合もあるとは思います。  この閉鎖処遇の扱いにつきましては、審議会意見を踏まえまして、隔離とか拘束とかというものと同様に行動の制限の一つとして位置づけまして、一定の要件、手続を明確にすることによって不適切な閉鎖処遇がなされないようにやっていきたいと思います。
  54. 沢たまき

    ○沢たまき君 よろしくお願いいたします。  私の同級生にも知的障害を抱えて、精神ではありませんが、ダウン症を抱えた同級生とか四級ぐらいの知的障害を持っている私の同級生たちが、もうそろそろ自分が年なので、この改正法とかなんとかをしますが、とにかく障害者に対する社会的な偏見がとても根強いと訴えます。  障害者を抱えたその家族にとってこれほどつらいものはないわけでございまして、どんな障害の方であっても御家族にとっては我が子、どうやってその子が障害があっても生きる喜びを与えられるか、あるいは自己の生活を犠牲にしても必死で育てられているわけなんですが、逆に社会全体の中にそのような御家族の方を賛嘆してあげられるような社会にしていくべきだなと思っております。  そのためには、まず国立病院だとか公立病院精神障害者の合併症患者をもっと積極的に受け入れていただきたいと思います。そのための対策を進めていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  55. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 精神障害者に対する偏見というのは歴史的にやはりあったと思いますが、現在の状況におきましてこれを解消していくというのは、人権問題として大変重要なことだと思います。  その一例として、今、委員指摘は、国立病院等で精神病患者を受け入れて合併症その他の治療を率先して行うべきではないかという御意見かと思いますが、これは今、国立病院等につきまして再編成とかあるいは合理化をやっております。しかし、その際にも公衆衛生審議会等からは、精神科救急への対応とか薬物依存症や合併症を有する患者への対応重点を置くべきであるということが明記されております。  したがって、今までの状況を見ますと国立病院等が精神病患者を受け入れるウエートが非常に少なかったように思われますので、今後は各国立病院療養所におきまして、それぞれの機能に応じまして、合併症を有する精神障害者に十分対応できるように、しかも国立病院民間病院のモデルとなる先駆的な医療に取り組んでいるわけでございますから、精神障害者の合併症に対する治療体制充実に努めていくことは当然でございますから、今まで民間に頼り過ぎた精神障害者へのあり方国立病院でもウエートを高めていく必要があるというように考えております。
  56. 沢たまき

    ○沢たまき君 よろしくお願いいたします。  伺うところによると、本当にそういう公の病院がとても嫌うと伺っておりましたので、率先して受け入れて、大臣おっしゃったようにモデルを示していただきたいと思っております。  関連して伺いますが、精神障害者を初め知的障害者あるいは身体障害者の方々に医療処置を講じる場合、大きなネックが自己表現力の低さということでございます。病気になっても訴えるすべを知らない、したがってさまざまな権利侵害を受けやすく、障害者の合併症においても同じで、障害者が自己表現が困難なことから十分な医療が受けられない事態が生じます。せんだって私も、知り合いの歯医者さんが障害者のところで治療をしているので大変だと伺っておりました。ゆえに障害者治療をするお医者さんの方にも特殊な技術が要求されます。  したがって、これら障害を持った方々に対して、厚生省として障害者全体、身体障害者知的障害者精神障害者に対する内科、外科、歯科の医師の研修も含めた一般医療あり方について御検討いただき、医療機関への患者さんのアクセスも含めて総合的な医療体制を講じていくべきだと私は思うんですが、厚生大臣のお考えを伺って最後にしたいと思います。
  57. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 既に時間が経過しておりますので、簡潔にお願いいたします。
  58. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 一般診療科医療へのアクセスの問題ですが、これは当然身障者、知的障害者精神障害者についてもあとう限り努力しなければなりません。  したがって、例えば手話通訳をやるとか、また障害者の通院介助を行うホームヘルパー、ガイドヘルパーの派遣、養成が必要であるとか、あるいは駅その他バリアフリーをさらに進めていくとか、歯科医についても特に問題が多いようでございますから特別な加算制度等もあるようでございます。  それからまた、今議論されました身体合併症を有する方々に対する試行事業もやっておりますから、先ほど申したとおりこれも進めていきたいし、今後とも全体として障害者にとって必要な医療が提供できますように、これは専門病院のみならず一般的な医療にも十分アクセスができるように総合的にやってまいりたいと思います。
  59. 沢たまき

    ○沢たまき君 ありがとうございました。
  60. 井上美代

    ○井上美代君 日本共産党を代表して質問いたします。  今回の精神保健福祉法改正は、精神福祉の充実を図り、地域支援を促進するものとされておりますけれども、前回の改正の際に精神障害者の「社会復帰施設等の積極的な整備に努力すること。」というのと、また「小規模作業所の制度的位置付けに向けて検討を進める」という附帯決議がついております。これを重視する立場から質問をしたいというふうに思います。  現在、精神障害者社会復帰施設の設置状況についてですけれども、どのような実態になっているのか、まずそこをお聞きしたいと思います。入院患者に対してその受け入れ可能性の数と、それから可能率がどういうふうになっているのかということを部長にお聞きしたいと思います。
  61. 今田寛睦

    説明員今田寛睦君) 障害者プランによります精神障害者社会復帰施設の整備状況につきましては、平成九年度までの累計整備量ということになりますが、精神障害者生活訓練施設が二千九百八十人分、精神障害者福祉ホームが九百九十人分、授産施設が三千八十人分、それから福祉工場が二百四十人分、このようになっております。  受け入れ可能数というお問いでございますが、要はどのぐらい利用されて、どれぐらいあきがあるかというふうな理解でよろしければ、利用率でお答えをさせていただきたいと思いますが、精神障害者生活訓練施設の利用率が大体六七%、福祉ホームが七四%、授産施設は九〇%、福祉工場は六五%、このような状況になっております。
  62. 井上美代

    ○井上美代君 可能率については、入院患者が三十三万五千三人ですね。その三・一三%ですから一万五百二人だというふうに思います。  私がお聞きしたいのは、今ここに共同作業所全国連絡会が作成しました資料があるんですけれども、それによりますと、三千二百五十五の自治体のうちで何らかの法定の精神障害者復帰施設がある自治体、これは二百三十四自治体なんですね。これをパーセンテージにしますと七・二%になるわけです。自治体の七・二%しか復帰施設がないという非常に貧困な状況があります。九三%の市町村には精神障害者施設が全くないということになるわけです。これでは、入院している方が地域復帰したいというふうに思いましても、それは戻れないという現状があるわけです。  先日、参考人のお話でも、地域社会復帰施設などがあれば八万から十万の人が退院できるという御指摘がありまして、やはり社会復帰施設充実するということ、その数がふえるということが非常に今強く、しかも緊急に求められているというふうに思うんです。  世界でも進んでいるというふうに言われておりますオランダの水準で計算しますと、日本では二十六万人規模の社会復帰施設やケア施設が必要だということになるわけなんです。だから、そういう点でも、大変苦労が多いんですけれども頑張らなければいけない現状があるというふうに思います。  日本精神神経学会の調査をベースに専門家が必要としているグループホームを試算したものがありますが、そこには外来の治療中の患者も含めて三万九千五十一人分のグループホームが必要だという計算が出ているわけなんです。そして、九五年十二月に発表されました総務庁の行政監察局の調査があります。この調査は、精神障害者地域に戻せる数として七万人という数を挙げているわけなんです。  政府自身は、地域に受け皿があればどれほどの人が病院から地域へ戻ることができるというふうに考えておられるのか。また、この総務庁の行政監察局の調査についてどういうふうに考えておられるのか。検討会もやって分析もされているというふうに聞いておりますので、ぜひ数字で具体的にお答えしていただけたらというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  63. 今田寛睦

    説明員今田寛睦君) 社会復帰の重要性、それから社会復帰施設を使うべき、あるいは使って活用すべき人がどのぐらいいるのかということだと思います。  厚生省の方では、一年半以上の長期入院患者について、症状が安定していて社会復帰対策の対象となるべき者として三万人を試算してプランへと反映させております。一方で、今御指摘の総務庁の方の調査でありますが、これは十年以上入院している人で二十歳から四十歳の間の者を抽出した形で二一・五%と、こういうふうに言っていらっしゃいます。  したがって、これは二十歳から四十歳以上、なおかつ十年以上ということで見れば、七万人ということじゃなくてまた違った数字としても理解することは可能なのではないかと思いますが、その客体、方法が若干違いますものですから、そういった意味で多少の誤差があることは御承知いただきたいと思います。  いずれにいたしましても、現在、それを十分達成しただけの社会復帰施設があるというふうに認識しているわけではございません。プランの実現に引き続き努力をしていきたいと考えております。
  64. 井上美代

    ○井上美代君 この二〇・一%といいますと大体七万人近くなるんですね。参考人のこの間のお話でも八万から十万という数が出ておりますので、そういう意味でもここはやはりしっかり見ていかなければいけないのではないかというふうに思っております。  それで、三つ目の質問大臣お願いしたいんですけれども、二〇〇二年までの障害者プランの精神障害施策の達成状況というのを見せていただいております。九年度の実績を見ておりますと、これは予算に対して、例えば授産施設は入所、通所合わせて三千八百人分のところを実際には、平成九年ですけれども、三千八十を達成しているんですね。ということは、予算上の数字がかなりはっきり出ているんですけれども、実際にやられている数は平成九年で八割程度なんです。  だから、そういう点でも、今後、達成するということではかなりの努力が要るなというふうに思いますけれども、地域生活の支援事業で見ると百八十二カ所、これが九十七カ所しか達成しておりませんので、これは五割なんですね、達成率が。そういう点で、平成五年のときに入院患者のうちで三万人を迎えるということで受け皿づくりをしておりますので、本当に先ほどの十万などという数が出てきたら、いよいよ本当にこの目標を絶対に達成していくということが大変重要であるというふうに思っております。  それで、入院していらっしゃらない数で、これは参考人のときに二百十七万人という数字が出ましたけれども、こうした中でも地域施設をいろいろ利用されるわけですから、そういう点でも今後の目標達成ということが非常に重要だというふうに思っております。  そういう点で、特にこの精神障害者の部分というのは大変おくれております。だから、そういう意味で、私はほかの心身のところや知的のところと違って、特に精神障害者の分野では単独に緊急プランを持って二十一世紀につないでいくんだということが大事ではないかというふうに思っております。これは政治的な判断も要ると思いますので、ぜひ大臣にお答えいただきたいと思います。
  65. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 社会復帰施設の整備状況等でございますが、これは委員の御指摘のように、法律改正によりまして法定はされておりますが、しかし整備数は非常に少ない。特に九年度の予算と実績の御指摘が今ございましたが、確かに実績の方がかなり下回っております。  これはどういう原因かということも考えてみなければなりませんが、この社会復帰施設につきましては社会福祉法人等が主体になってやっておられると存じますが、恐らくそういった自主的な計画なり申し出が少ないのではないか、つまり地域でそれだけそういった施設に対する理解と需要が足りないのではないかなという感じをちょっと持たせていただきました。  しかし、いずれにいたしましても、先ほど来議論のあります長期入院とか社会的入院の問題が指摘されておりますし、社会復帰するということは極めて重要なことでございますので、これからもその充実には努めてまいりたいと思います。  ことしは、従来のグループホームのほかに、在宅精神障害者へのサービスとしてはホームヘルプとショートステイ施設を法定いたしました。そしてまた、社会復帰施設対策として地域生活支援センターを先ほど来御議論のありますように位置づけまして、きめ細かな市町村主体のこういった復帰施設の整備を図りたいと考えておりますので、そういった方向でよく周知徹底を図ってそれに対応してまいりたいと思います。  なお、障害者プランの中で、精神障害者だけ取り出して単独プランをどうかということでございますが、これはもちろん身障者あるいは知的障害者精神障害者それぞれに応じてそれらを積み上げ、予測し、計画を立てるべきものでございますから、単独の計画にするかしないかは別問題として、精神障害者の施策が多少劣後しているんじゃないかという御議論がありますし、私もそんな感じもいたしますので、今後、そういったことで全体としての障害者プランの充実、補整を図ってまいりたいというように考えております。
  66. 井上美代

    ○井上美代君 私は、精神障害者の全体の数が二百十七万人おられるという、ここのところを常に私たちが自覚をしながらやっていくということが大事だというふうに思います。今、緊急プランについても積極的に御答弁くださいましたけれども、やはり国民の間にも人権尊重志向が非常に強くなっておりますので、そういう緊急プランをつくってくださることによって、さらに啓発にもなるというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  今、大臣からお話がありましたホームヘルパーの派遣の問題、これは非常に重要な中身だというふうに思っております。これを提起していただいておりますけれども、既に八十の自治体で精神障害者についてのヘルパー派遣が行われておりまして、やはり非常に効果を上げております。  今年度八千六百万円の予算で精神障害者へのホームヘルパーの試行事業がやられることになっておりますけれども、法施行によってどれぐらいの規模のホームヘルパーを行うことができるのかということですね。そしてまた、この法施行は三年後なんです。もう本当に待ち遠しい思いなんですけれども、そういう意味で予算措置は前倒しして進めてほしい、現状から見てそのように思っておりますけれども、いかがでしょうか。
  67. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) このホームヘルプ事業につきましては、法定はいたしましたが実施は十四年からと、これは介護保険その他の事情等もございましてそうなっておりますが、今試行的な事業をやっております。これは、今は箇所数が限定されておりますけれども、それらの実効性を見ながら、十四年になって一気にやるということでなしに、できれば前倒しした方向対応していくべきものだと考えますから、今後検討はさせていただきます。
  68. 井上美代

    ○井上美代君 やはり階段を上がって一つずつよくしていくというのは大事だと思うんですが、その階段の高さも高くして上っていくというのも特に精神障害者のところは重要であるというふうに思っております。  それで、知的それから身体障害者のところでは行われている給食サービスのデイサービス事業ですけれども、これへの補助が精神障害者の場合にはやられていないんですね。だから、小規模作業所などでレクリエーションや食事サービスなどデイサービスの一部を担っているところが実際にはあるんです。私も何カ所か見に行きまして、そして特に食事のサービスについては非常に考えさせられてきたわけなんです。夕食会だとか昼食会だとか一緒にして、そして自分たちで調理をしている場面も見てまいりましたけれども、治療の面でも、それから障害を持った方の自立やコミュニケーションの面からも本当にすばらしいというふうに思いました。  自治体から補助が出ているところもかなりあるんです。東京都の調査では、要生活支援比率が一番高いのは男女とも食事なんです。そして、二十歳から三十五歳までの男性では三七%が必要としておりますし、女性も二六%が必要としているわけなんです。ホームヘルパーの派遣だけでは対応できないものでありますし、地域で行う食事サービスなどを地域支援事業に位置づけて、そして補助の対象にするべきだというふうに私は思っております。自立して生きるという点からも食事が大事ですので、ぜひ御答弁をお願いしたいと思います。
  69. 今田寛睦

    説明員今田寛睦君) 給食につきまして、特に精神障害者社会復帰との関連についてその効果を御指摘いただいたわけでございますけれども、日常生活の一環としてグループホームにおきましては食事の提供を行っておりますし、今回の改正案に盛り込んでおりますホームヘルプ事業についても食事の手助けを行うということも当然やっていただくことになろうかと思います。  ただ、身体障害でありますとか知的障害のように、食事をつくることそのものができなくて介助する、あるいは食べることが非常に難しくて介助するという意味合いの部分と、精神障害者の場合、自分でつくっていくこと、その行為そのものを見守っていく、あるいはそれを側面的に支えていくという意味ではかかわり方にも多少差があるのではないか。そういったノウハウはもちろん今から各市町村の皆さん方に御協力いただくわけでありますけれども、そういう意味で、食事そのものを身体とか知的と同じような意味精神障害者に適用することが即つながるのかという点については十分考えて、実態に合ったものとしてこれを組み立てていく必要があるというふうに思っております。
  70. 井上美代

    ○井上美代君 ぜひ私の意見も酌み入れて御検討を願いたいというふうに思います。  時間ももう迫ってまいりましたので、私は最後に大臣に御質問いたします。  これは小規模作業所のことです。法定施設の建設が進んでいる中で、小規模作業所が大変全国的に多くて、たくさんふえております。四千八百四十七カ所ですけれども、九四年では法定施設数の合計を上回って急増をしておりまして、ただできているというだけではなくて、法定施設の補完というよりも代替施設になっているという現実があります。そういう現実の中で、大臣はこの小規模作業所をどうお考えになっているのかということをひとつお聞きしたいというふうに思います。  同時に、この小規模作業所への自治体の単独事業としての補助もかなりやられているんです。国では一カ所当たり助成制度で百十万円出されておりますけれども、これは平成八年から四年間ずっと据え置かれたままなんですね。全国の四千八百四十七の作業所で助成対象となっているのは五四%なんですけれども、六百万円を超えた単独の補助事業がやられております。  そういう意味からも補助金の高いところほど作業所の数もふえているんです。そして、地域福祉を支えておりますので、私は、国からの助成を大幅に拡大していただいて、全国水準を引き上げていただくということが全体を引き上げていくことでもあるというふうに思っておりますので、ぜひ前向きに御検討お願いしたいと思います。
  71. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 法定施設でございます通所の授産施設、これは一定の要件がございますが、それに該当しない小規模の、しかも地域できめ細かにやっておる小規模事業所、この持つ意味は大きいと私は思っております。  ただし、現在の法制度のもとにおきましては、法定施設でございませんので、今、委員のおっしゃられたように百十万円というような補助金とか、あるいは地方交付税措置等も講じておりますが、本格的な対応だとはあるいは言えないのかもわかりません。  したがって、私ども、今後、社会福祉事業法の改正等を通じまして予定したいと思っておりますが、社会福祉法人としての要件緩和等を図って、そして、今、社会福祉法人でございますと二十人以上というようなことでありますが、例えば十五人であっても、場合によればそれを下回ることであっても、ある一定の規模は持たなくてはいけませんが、しかも精神障害者ばかりではなくて知的障害者あるいは身障者を含めて一緒になってやられるような小規模作業所を私も承知しております。そういった複合的な地域に密着した、しかもきめ細かな対応ができる、そういう小規模作業所というのは今後の中で大変重要な位置を占めると存じます。そんな観点から今後検討させていただきたいと思っております。
  72. 井上美代

    ○井上美代君 どうもありがとうございました。  終わります。
  73. 清水澄子

    ○清水澄子君 社民党の清水です。  十五分しかありませんので、ぜひお答えもポイントよろしくお願いいたします。  障害者プランでは、精神障害者の保健・医療・福祉施策の充実の一環として、自立を目指した訓練と雇用施策の連携を図るとなっているわけです。しかし、現実には精神障害者を欠格者としている法律というのは非常に多く残っていると思います。厚生省関係も非常に多いわけです。欠格条項問題は、これは総理府がやっていますという形ではなくて、厚生省は他の省庁に率先をして欠格条項を見直していく、そして他の省庁に範を示すという、そういう行動をおとりになることを私は提起したいんですが、大臣、どう御決意されますでしょうか。
  74. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 障害者の欠格条項は、今、委員の御指摘のように私も多少多過ぎるかなという感じです。政府全体で七十九くらいありますが、そのうち厚生省の所管として四十三が免許取得等を制限する事由、欠格条項に該当しております。しかし、職種によっては障害者がなかなか適さないという点もございますから一概にこれを全面的解除というわけにはまいりませんけれども、今、総理府を中心にいたしまして欠格条項の見直しを政府全体として取り組んでおります。それらを踏まえながら私どもとしても欠格条項の見直しについて、厚生省障害者の保健福祉政策を担当する責任省でございますから、できる限りの努力をして、その緩和、そして平等な参加ができるようにしたいという考えは持っております。
  75. 清水澄子

    ○清水澄子君 次に、一昨日の参考人の御意見でも、小規模作業所が事実上のデイサービス機能を代替している、そしてこの役割をもっと強化していくことが地域福祉にとって非常に重要なんだというお話がありました。そして、今も発言がありましたけれども、この小規模作業所については平成七年の附帯決議のときにもやはりこの制度的な位置づけに向けて検討を進めることとなっていたんですが、今回の改正案でも法定化に至らなかった理由というのは一体何なのか。  そして、今、大臣はいろいろ社会福祉事業法の改正の中でという、その分はお聞きしていますので、それらが実現するまでの間、現在一作業所当たりの国の助成額は年間百十万ですから非常に少ないと思うんです。ですから、小規模作業所が公的な社会復帰施設の不足を肩がわりしているという現実を重視してくださって、助成費については大幅な増額にぜひ努力していただきたい。これをひとつお答えください。
  76. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 先ほど井上委員にもお答えした小規模作業所の問題でございますけれども、多少繰り返しになりますけれども、こうした地域に非常にきめ細かく対応できる、しかも私の知っている限りでは精神障害者ばかりではありませんで、身障者の方、知的障害者の方、そういった方々を、非常にボランタリーな形でスタートしておりますけれども、非常に好意的にそういうものを運営されようとする動きがあることも承知しております。したがって、余り法定授産施設ということにとらわれないでこういう小規模作業所は育成していきたいなと思っております。要件も、先ほど申しましたように、二十人の緩和措置等も考えていきたい。  それから同時に、そうなりますと、助成のあり方もどうしたらいいかということになると存じますから、それらを含めて検討させていただきたいと思います。今、百十万円というのは確かに国庫負担としては小さいようですけれども、しかし小人数の規模でありますから、どの程度に可能かどうか、それは今後検討させていただきたいと思います。
  77. 清水澄子

    ○清水澄子君 次に、精神障害を重度化させないためにも早期の専門的な精神療法を受診するということは非常に効果的であると考えるわけです。しかし、現状の通院精神療法の診療報酬点数というのは非常に低いわけです。このことが大都市以外の精神診療所の開設の難しさとか、薬物主体の治療の先行といった現象につながっていると言われているわけですが、私はやっぱり一般医療と精神医療診療報酬に差があるのは問題だと思います。  今、厚生省では診療報酬の見直しを行っておられるわけですし、その審議の中では医療にあらわれない医療の技術料を評価すべきとの意見が非常に多く出ているわけですので、この機会に私は診療所への通院治療を不可能にしている精神病床外への収容禁止規定などをなくすとか、それから精神療法の点数を引き上げるとか、そういうことをぜひ努力していただきたいと思いますが、いかがですか。
  78. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 今、先生指摘ございましたように、精神療法の領域におきます技術の分野は大変大事なものだというふうに私ども考えております。特に、外来におきますカウンセリングでございますとか、そういった精神科療法に対しましての診療報酬上の扱いでございますが、現在は心身医学療法、いわゆる心身症の患者に対する療法、あるいは通院の精神療法、あるいは標準型精神分析療法といったような、いわゆる外来における診療報酬上も評価をし、またそれも段階的に改定をしまして診療報酬点数を上げてはきておるわけであります。  ただ、先生今おっしゃったように、今後さらにそれを充実するようにという御指摘でございます。診療報酬におきます技術料の評価あり方ということについては、診療報酬の改革問題の大変大きな柱として今取り組んでおりますので、そういった中におきまして、精神療法につきましてもそういった技術面での評価、特に外来面での技術面の評価といった点については、中医協を中心とした具体的な論議の中でできるだけそういった方向を考えていきたいというふうに考えております。
  79. 清水澄子

    ○清水澄子君 次に、強制的な入院が伴い、または今の精神病院の状況から見て拘禁的な状況が存在する、そういうときにはやはり上告とか審査とか監視というのは、国際的な人権基準では必ず備えていなければならないセーフガードであると思うんです。その意味では、精神医療審査会は審査機関に該当するものだと思います。  現在の精神保健福祉法は、人権擁護を重視するとして何回も法改正を行ってきたわけですけれども、実際には精神病院における人権侵害事件というのは後を絶たないわけです。その理由には、やはり精神障害者に対する偏見とか隔離主義とか、そういう根強い差別的なものがあると思いますが、同時に、上告制度もなく、これ自体が国際基準から大きくかけ離れているというところにも大きな問題があると思います。さきの委員会のときにも、審査会の構成メンバーに当事者の意見を反映させる人を加えるべきだということを求めましたけれども、それは審査会の機能のみでは限界があると思います。  そこで、厚生省は、地方自治体が行う医療監視とは別に、厚生省直轄で任命するチームをつくって病院の抜き打ち検査や指導とか処分について厳しい監督機能を持つべきではないか、それを実行すべきではないかと考えます。同時に、拘禁されている患者さんのプライバシーを保障した上で、入院から通院、生活全般に及ぶ状況に関して患者の人権を擁護する、聞き取る、そういう監視制度の新たな設置が必要になってきている、そういうものをぜひつくっていくべきだということを私は提案したいと思うんです。  それは、今後、痴呆性老人がふえていくとか、または老人病院がふえていく、そういうような状況の中で、もっと民主的なといいますか、そういう監視制度というのは非常に大事な制度になってくると思うんですが、こういう点について、大臣、ぜひ受けとめていただきたいと思うんですが、よろしくお願いします。
  80. 今田寛睦

    説明員今田寛睦君) 制度実態を御説明させていただきますが、精神病院に対します監査につきましては、原則的に所在地の都道府県知事あるいは指定都市の市長が毎年一回立入検査をする、このようになっております。立入検査に際しましては、入院患者の診察あるいは人権の保護に関します聞き取り調査もあわせて実施するように指導いたしております。  さらに、都道府県や指定都市の枠を超えた問題でありますとか重大な問題については、私ども行政の責任者たる厚生省として、独自の立場から報告徴収、立入検査を行うこととしております。例えば、大和川病院もしかり、栗田病院もしかりでございました。  それとともに、都道府県で年に一回やっていただいておるわけでありますが、その指導の内容、水準をきちっとしたものにするという観点から、本年度から国立精神神経センター武蔵病院、国府台病院の指定医の協力を得て、各県に一カ所、厚生省が監査を実施いたしまして、それぞれの都道府県がやっております検査の実情を見、適切な指導が行われるよう努めることといたしております。
  81. 清水澄子

    ○清水澄子君 ぜひ実態に合った新しい制度も考えていくということを御検討いただきたいと思います。  次に、この精神障害者福祉法というのは、第二条で「国及び地方公共団体の義務」として、その中に、精神障害者社会復帰と自立と社会経済活動への参加への努力というのが両方の義務として横並びにあるわけです。この中では国がどういう役割を担うのかというのがはっきりわからないんですが、そういう状況の上で、今回は市町村に精神障害者地域福祉の役割のほとんどを負わせていくわけですけれども、この場合もここにある地方公共団体の中に入るんだという御説明なんですけれども、非常に市町村は大変だろうと思うんです。  そこで、ぜひお伺いしたいんですけれども、この法律の三年後には、精神障害者の自立と社会復帰のニーズに沿った福祉的な支援が地域でどのようなサービス支援のシステムになっているのか、特に精神障害者介護支援事業、ケアマネジメント等の配置等とか、そういう具体的なイメージ、それを大臣ちょっと説明していただきたいと思うんです。それに対して国はどういう役割を果たし、都道府県の役割と市町村の役割はこうなるんだということについて、私たちにわかるような、また安心できるような、そういうことを描いてお答えいただきたいと思います。
  82. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 現在の精神保健福祉施策は、御承知のように基本的に都道府県と保健所でやることになっておりますが、今回の改正におきましては、市町村を主体にして、実施主体は市町村がやるということで、これを十四年度から実施する予定にいたしております。  そこで、では国としては何をするかということですが、全国的あるいは総合的な見地からの制度の企画立案等、これは当然国が先導的にやらなくてはいけません。それから、都道府県におきましても、措置入院とか精神医療審査会など保健、医療に関する事項を中心として専門性のあるもの、あるいは広域的な見地から立案したり指導しなければならないこと及び市町村の支援、これは県にもっとやっていただくということで、市町村におきましては今申しましたようにもっと身近な地方公共団体として在宅福祉サービスの提供などの地域生活支援を扱っていただく、こういうことになっております。  そのほか、地域生活支援センターを法定化いたしましてこれを設けるとか、あるいはいろいろ議論をいただきましたように居宅介護事業ホームヘルプサービス、あるいは短期の入所施設ショートステイ施設等を法定化するというようなことなども行いまして、また市町村に相談、助言等もやっていただくようになっております。  そうした意味では、市町村の事務がある程度従来よりも責任が重くなるという点はございますが、これらにつきましては、いろいろの点で交付税あるいは財政措置等をできるだけ講じて、こういった施設が形式的なものに終わらないようにやっていきたい。  一方、介護との関係につきましては、介護保険を来年四月から実施するわけですが、これは介護の問題とこうした精神障害者等の高齢者と重なり合う面がございますから、これらはよく整理をいたしまして、保険でございますから、介護でやる部分と、それから医療対応する部分とはっきりした区分け等がなされる必要があろうかと思います。  したがって、そういった点を含めて検討して、いやしくも精神障害者等の問題が医療面と介護の福祉の面でエアポケットが出ないように、しかも余り重複しないように、そういう調整を図りながら制度を構築していきたいと思っております。いずれにいたしましても、市町村にかなり御迷惑をおかけする話でございますので、十分連絡をして指導して適正に運営できるようにひとつ努めていきたい。  したがって、実施は十四年を主体にしておりますのは、介護保険のスタートが来年の十二年でありますから、それらも勘案いたしまして、今申しましたようなことをその間にきちっと調整していきたいというように思っております。
  83. 清水澄子

    ○清水澄子君 一つだけ。このマンパワーの養成がまず緊急ですし、それをどう配置していくか。それから、財政支援についてはぜひ前倒しで予算をきちっと組んでいただくことを要望いたしまして終わります。
  84. 入澤肇

    ○入澤肇君 先日の参考人質疑を聞いておりまして一つ疑問に思ったんですけれども、これだけ累次にわたって法律改正がなされてきた精神障害者対策につきまして、今なお一般医療に対する対応策とかなりのギャップがある。例えば、精神科特例の問題にいたしましても、診療報酬の点数の問題にいたしましても、あるいは地域医療のシステムにいたしましても、それから社会復帰施設の整備の問題にいたしましても非常にギャップがあるということを痛感しております。  一方で、日本人の百人に一人は精神分裂病を患っているというふうなことが言われていますけれども、このギャップを法律の改正によって埋めるための基本的なスタートとして認識していいのかどうか。参考人の方々は、これがスタートであって、これから厚生省がいろいろと施策を拡充強化してくれるのではないかということを期待しておりますけれども、この法律を契機といたしまして、一般医療に対する対応システム並みに精神障害者対策を強化することについて本気で考えているのかどうか、大臣の御決意を最初にお聞きしたいと思います。
  85. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 御指摘のとおりでありまして、今、医療保険の改革その他広範な抜本的な改革を考えておりますが、こうした中で精神障害者との調整あるいはその施策が行き届くように対応していくことは、これは当然の配慮が必要であると思っています。今回、精神障害者についての保健福祉法を提出いたしましたゆえんも、人権を尊重しながら、これからの精神障害者の福祉施策を医療面と保健でどのように充実していくかということの観点に立って幾つかの御提案を申し上げているわけです。  したがって、今後とも引き続き、精神障害者障害者福祉の問題と、それから一般的な医療の問題初め福祉の問題との調和はどうしても図って総合的にやっていかなきゃいかぬというように思っております。  抽象的な答えで恐縮ですが、そのように思っております。
  86. 入澤肇

    ○入澤肇君 この対策が一般医療とかなり差があるということの一つに、厚生省における組織のあり方が問題になったことはないのでしょうか。  例えば、官房に部がありますね、障害保健福祉部長がいらっしゃいます。局の下にあるわけじゃなくて、官房長が統括するといっても独立した部の部長さんがやっているわけです。要するに、プラスの面では官房で総合調整する機関、局の一つとして重要な地位を占めると位置づけられているというふうに見えて一括してやるからいいのじゃないかというふうに言われるかもしれませんけれども、健康政策局ですか、そういう局の下に置いて、そしてもっと他の医療制度とか何かとバランスをとりながら総合的に進めるというふうな組織上の問題点は痛感しておりませんか。
  87. 今田寛睦

    説明員今田寛睦君) 組織のあり方でございますけれども、御指摘のように三年前に障害保健福祉部をつくったわけです。それまでは現在の企画課、身体障害を所管しているのは社会局にあったわけです。社会局で身体障害者の対策を組んでいた。それから、知的障害あるいは障害児の問題は児童家庭局で見ていたわけです。そこで児童福祉の観点から運用されていた。それから、精神につきましては保健医療局の中で運用していた。  それはそれでまた意味があったのだろうと思いますけれども、一方でそれぞれの福祉がばらばらで横にらみもできずに機能するということに対する反省、それから障害者年などを契機といたしまして、障害者対策として一まとめに物を見た上で進めるということで、これが一本化されたというふうに理解をしております。  私自身そういう部に属しておりますけれども、かつて私が精神保健課の職員をしていたときから見て、やはり福祉というものとうまく連携できる仕組みを一緒に目にすることができるという意味において評価すべき点は多々あるように思います。  いずれにいたしましても、官房に今所属していることにつきまして私がちょっとコメントできませんけれども、そういう三障害が合同でやっていくことのよさというものは、私の日常的な活動の中で意義あるものというふうに認識をいたしております。
  88. 入澤肇

    ○入澤肇君 それはそれなりに理解できないわけじゃないんですけれども、ここまで累次の法律改正がありましてこれから政策をさらに強化しなくちゃいけないとなりますと、果たして官房に置いてやるのがいいのかどうかについてはもう一回検討に値するのじゃないかと私は思います。  次に、精神障害者の福祉対策の充実につきまして、保健福祉手帳というのがございますね。先ほどからお話に出ていますように二百十七万人も精神障害者がいるという中で、資料をいただきましたら、十二万五千人きりこの福祉手帳を持っていないということなんですけれども、どうしてこのようにメリットがあると思われる手帳を持っていないのか、これについてお聞きしたいと思います。
  89. 今田寛睦

    説明員今田寛睦君) 一つはこの手帳の普及率の御指摘でありますけれども、障害者のすべてが手帳の交付対象として適切であるのかどうかという問題もございます。例えば神経症も精神障害でありますし、その他の制度で適用しているものもたくさんあるだろうと思います。  いずれにしても、この制度がせっかくあるわけでありますから、より多くの方にこの手帳の意義を理解いただき、この手帳によって得られる優遇措置というものが幅広く使われるということについては引き続いて私ども努力をしなければならない課題だというふうに思います。
  90. 入澤肇

    ○入澤肇君 この手帳を持っていますと、例えば通院医療費の公費負担があるとか、あるいは所得税とか住民税の障害者控除、それから預貯金の利子所得の非課税とかいろいろな税制上の優遇措置もございます。さらに生活保護障害者加算、こういうものも受けられるようになっていると言われますし、生活福祉資金の貸し付けもある。さらにNTTの無料番号案内まで使えるんだということなんですけれども、こういう優遇措置を与えていながら、なおかつ関係団体からはこれらの措置をさらに強化してくれというふうな要望が出ております。  現状の優遇措置と、現に福祉手帳を持っている方々が利用している立場に立ってどんなギャップがあるのか、当局として把握しているか、どんな認識があるかについてお聞かせ願いたいと思います。
  91. 今田寛睦

    説明員今田寛睦君) 手帳を持っているということでのメリットにつきましては、今、委員指摘の点がやはり主要なものだというふうに思います。そのような状況の中で、なおかつ障害者手帳を持っていらっしゃる方々の非常に大きな期待というのは、一番大きいのがJRの割引適用が非常に強くうたわれているように私どもは理解をいたしております。  障害者団体からの要望に対しましては、運輸省への協力依頼でありますとか関係事業者に対して説明会などもやっているわけでございますが、現在まだそれを実現させるに至っていないという状況でありますけれども、引き続いて運輸省とも協力しながら、あるいは御要望を申し上げながら運賃割引については努力をしていきたいと思います。なお、昨年の二月に運輸省との間で検討会を設置しているという現状もございます。  いずれにしても、このような優遇措置があるわけですので、この手帳が有効に活用されるように、あるいは周知されるように努力はしていきたいというふうに思います。
  92. 入澤肇

    ○入澤肇君 次に、精神障害者は二百十七万人いらっしゃる。どういう原因で障害を受けているのか、それから重度なのか軽度なのか、そういうふうな調査、あるいはその原因についての国立の研究機関における研究の現状、これらについてはどうなっているか、お聞かせ願いたいと思います。
  93. 今田寛睦

    説明員今田寛睦君) 精神疾患全般で二百十七万人がいるということでありますが、それぞれの疾病あるいはそれぞれの疾病の原因というものには大変難しい学問的な背景があって、今ここで御説明するのも、資料を持ち合わせていない点もございますので申しわけございませんが、少なくともここ最近ふえている、これはもう明らかな事実でありますし、そのふえている内容がここ五年から八年の三年間で六十万人もふえていると。これにつきましては、私どもの研究機関からいただいた資料によりますと、やはり一番多いのはうつ病の患者、そして精神分裂病の患者、しかもいずれも外来患者、これが非常にふえているというふうに言われております。  このことについて、なぜこうなんだろうかという点で申し上げますとすれば、一つは、これまで入院治療が中心でありました精神分裂病がどんどん地域へ出ていくようになってきた。確かに長期間入院している方もいらっしゃいますけれども、そうじゃなくて、最近入院された方々はどんどん回転している。つまり、地域で精神分裂病の皆さんをケアできる体制が少しずつでも普及してきたのじゃないか、これが一点あります。そういう意味では、ふえたということそのものが悪いということじゃなくて、それだけ地域的な支えができたというふうな理解も可能なのではないか。  一方で、社会環境が変化しあるいは経済環境が変化したためにストレスが多い、こんなところがうつ病のような疾患の増加にかかわるということも聞いております。そういう点からいいますと、高齢化も関係するのかもしれませんが、うつ病などの増加というのはある意味で憂うべき増加として認識すべきではないか、このように思います。また、それだけなのか。もっと言えば、精神科の診療所が非常にふえてきたということで、かかりやすくなったという点もあるのかもしれません。  いずれにしても、そういった見方からして、私どもは、一つは精神分裂病患者さんを中心としての地域ケアの推進でありますとか、あるいはストレスとの関係でいえば、心の健康づくりといったものに目を向けて今後事業を展開する必要があるのではないか、このように思っております。
  94. 入澤肇

    ○入澤肇君 最後に。後で民主党の先生からも法案の修正の話が出ると思うんですけれども、そもそも政府提案の一番最後の附則六条に、こういうふうに第六条で何かものすごい条文の列記がございまして、十年をめどに見直すなんという規定が入ったというので私は驚いているんですけれども、聞くところによりますと、規制措置を規定したということについては十年をめどに見直せという総務庁の指示があったからということなんですけれども、ほかの省の提案されている条文を読んでもそういうことは附則に書いてありません。一律じゃないんですね。  この条文の中で、例えばいろんな法律に違反したような問題の施設事業運営について知事の事業停止命令をかけるとか、それから精神病院に対する改善計画の作成命令だとか入院医療制限命令、これなども十年したら見直せなんというふうに書いてあるんですけれども、こういう規定が必要なのかどうか。何か機械的に規制強化につながるような条文は全部ピックアップして附則にぶち込んだというふうな感じがするんですけれども、いかがですか。
  95. 今田寛睦

    説明員今田寛睦君) 総務庁との関係で申しますと、やはり規制緩和の流れの中で新たな規制を設けるということは、それを安易にあるいは無条件に容認するということにはいかないという総体的な御判断から、私どもも総務庁との折衝の中で、こういった新たな規制についてはそういう十年後の見直し規定というものを置くということでそれぞれに了解をさせていただいたわけであります。  かといって、例えば今御指摘のありましたように、取り消し、使用停止の命令でありますとかそういったものは、十年後にそれを見直すということを前提に私どもこの法案をつくっているつもりではございません。必要なものは営々とやっていただかなければならないと思います。  ただ、そういう法案を作成する間での一つの規制緩和の流れのあらわれがこういった形であらわれたというふうに私どもは理解をしつつ、総務庁ともそういう理解で今回こういう規定を入れさせていただいたということでございます。
  96. 入澤肇

    ○入澤肇君 質問を終わりますけれども、何か機械的に規制の規定があれば全部ぶち込むような、そういう考え方は、このようなせっかく抜本的に障害者対策を強化しようという法案の改正にあって、私はいかにも、軽率と言ったら言い過ぎかもしれませんけれども、問題があるなというふうなことを申し上げて質問を終わります。
  97. 堂本暁子

    堂本暁子君 先日、参考人の四人の方々にいろいろ現場からのお話を伺いまして、改めて精神医療現場の御苦労を感じた次第でございます。特に日本の場合は、宇都宮病院という病院の中で殺人が起こり、そこで大変人権が侵害されたということが国連の人権委員会でも問題になった。それから十数年の歳月がたったわけですけれども、参考人の御発言を伺っていて、改めてまだ難しい問題がいっぱいあるんだなということを思いました。  非常に私が大事だと思いましたことは、谷中参考人がおっしゃったことで、ぜひとも病院の中へ第三者が立ち入ることができるようなことが大変大事であるというふうにおっしゃいました。私も実は、国の内外の精神病院をずっと記者の時代に取材して歩いて、なかなか病院の中に、ほとんどと言っていいと思いますが、ほとんどの病院の中に入ることができませんでした。やはりそれが病院の中でそういった人権侵害を起こしているんだというふうに当時も痛感したわけですけれども、ちょうど日本精神病院協会の河崎会長がおられたので、今後は私どもが中に入りたい、それからいろんな第三者が中に入りたいというときは門戸を開いてほしいということをお願いしたところ、それは必ずやります、これからもう一回通知を出してもいいというところまでおっしゃいました。私は、大変それはうれしく伺ったんですけれども、厚生省としてもそのことを担保していただくことがこれからのそういった人権を守るという視点からとても大事だと思います。  これは大臣にぜひお願いを申し上げたいんですけれども、これから精神病院の中、とてもだめなところもあるかもしれませんけれども、原則論として、精神病院の中に例えば地元の審査会の方ですとか、それから弁護士さんですとか、そういった人、あるいはいろんな人がいると思いますが、病院の中に入っていくことをぜひとも担保していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  98. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 精神障害者の方々は判断能力がないとかいろいろそういう特殊な条件がありますから、精神病院等におきまして通常の病院と異なる規制をやっている、これはある意味で私は合理的だと思っています。ただ、今、委員の御指摘のように、無用に閉鎖的な、何か暗いイメージで中を見せないというようなことがあってはいけないと思います。そういう意味で、必要な方々が病院を訪ねたときには、それ相応の情報開示といいますか情報を提供し、ごらんいただくというくらいの公平なオープンな形がないと、人権擁護といっても実効性が担保されないかもしれません。  そういう意味で、基本的に私は考え方はよくわかりますし、そういう方向であるべきかなと思いますが、その判断はやはり医学的な、あるいは入院されている精神障害者の方々の医者がどう判断するかという点もございますから、その病院長なり管理責任者の合意のもとにやる必要があると思います。しかし、余り制限的、閉鎖的に門前払いをするというようなことがもしもあるとすれば、これは是正するように指導していかなければならぬと思っております。
  99. 堂本暁子

    堂本暁子君 ぜひともよろしくお願いいたします。  やはり、ドクターの判断がすべてであるということが人権侵害につながっていくということがありまして、メディカルモデルが強過ぎる。やっぱりそこにもう少しリーガルモデルと申しますか、そういった領域が担保されませんと、なかなか人権問題は進歩しない。  例えば、だれだって人間ですから好き嫌いがあるわけで、ドクターやナースからにらまれることが一番怖いと言った患者さんもおられました。そういったことが拘束につながったりするわけで、やはりそこに第三者の公正で公平な目が私は必要だというふうに思っております。  次の質問に移らせていただきます。  例えば、権利擁護のための機関として今精神医療審査会がありますけれども、そういった精神医療審査会だけではなくて、東京都の場合は第三セクターとして「すてっぷ」というのができたそうですが、国のレベルでそういったような人権センターをおつくりいただくことはできないでしょうか。
  100. 今田寛睦

    説明員今田寛睦君) 障害者の皆さん方が判断能力の問題あるいは自分の意思を必ずしもうまく伝えられないといったようなこと、このようなことから本人の意思に反した処遇が行われるようなことがあって権利の侵害となるおそれも多分にあるわけでありますので、そのためにこそ権利擁護の制度は大変に重要だろうと思います。  今御指摘の現在の制度におきましては、精神医療審査会における対応一つの大きな軸となっております。さらに、社会復帰施設等の皆さん方あるいは地域の皆さん方には、現在、障害者一一〇番事業でありますとか、あるいは地域生活支援事業などにおいての苦情相談、こういったところで取り組んでいるところであります。  今回の改正におきまして、審査会の強化でありますとか、あるいは地域生活支援事業を法定化してその促進を図るとか、こういったことを盛り込んでおるわけでございますけれども、そのような公的な、あるいは行政としての権利擁護のための取り組みについて、御指摘の「すてっぷ」の活動などは大変参考になると思います。  そういった面も十分に参考にさせていただきながら、引き続いて権利擁護のための取り組みに力を注いでいきたいと思います。
  101. 堂本暁子

    堂本暁子君 次に、やはり今まで同僚議員からたくさん出た質問ですけれども、身体障害者施設に比べて精神障害者施設への補助金というのは大変少ない、大体半額から六〇%と言われております。それを何とかふやしていただきたいというお願いをぜひしたいと思います。  それから、他の障害施設と違うことは、民間の給与改善費といったものが施設が開設されてから年数ごとに加算されないというふうに聞いています。これもきちっと加算しないと、大変差が出てきてしまう。  それからもう一つは、大変長い入院が多いんですが、北海道の場合なんかは、冬になると入院の患者さんがふえるとこの前伺ったときにおっしゃっていました。暖房費なども加算されない。細かいところですけれども、そういったところへの加算が大事だというふうに思います。  それから、作業療法士もなかなか採用されない。いろいろ病院の中でも作業されておりますので、そこへの補助金の加算はいかがなものでしょうか。
  102. 今田寛睦

    説明員今田寛睦君) 精神障害者のための社会復帰施設について、身体障害者等と比べておくれをとっているというか少ないんじゃないかという御指摘がございます。  もちろん、これらを積算する上では施設当たりの職員数等を勘案するわけでありますが、現在は比較的自立度の高い精神障害者に御利用いただくものとして職員数を積算している関係もあって、結果としてその施設当たりの補助金が低くなっているということは事実でございます。そうは言いながらも、若干ではございますが十一年度予算では宿日直手当の計上等も努力はしているわけでありますが、今後もそういった意味での予算の確保は努力したいと思います。  特に、長期入院患者社会復帰という観点から、今私どもが設けている施設基準、人的基準よりももっと多い職員を配置したような施設体系、そういったものについても必要ではないかという意見がございます。そういった観点から、今後、長期在院患者対応も含めて社会復帰施設あり方を議論する中で検討していきたいと思います。
  103. 堂本暁子

    堂本暁子君 一見すると、御自分で歩いたりなされる、車いすには乗っていない、外から見たらそうです。でも、私はいろんなところで直接御本人たちから言われたことですけれども、もっと人間らしく生きたいと。人間にそう言われたときにどれだけこちらがショックを受けたかということは、今もはっきりその感覚を覚えていますけれども、やはり人間が人間扱いをされていないということなんですね。それはまたそのメンバーの方たちの言葉で表現させていただけば、もっと人が私たちを面倒見てくださればあの格子は要らないんですというふうにおっしゃっていました。人がいないから格子で私たちを縛っていると。  事によったら拘束着などを着せられて動けなくしたり、実際に縛られている方も私は見ましたけれども、そういった拘束すら行われていた。今、実際にそういう着る物での拘束がなされているかどうかは存じませんけれども、急性期の非常に激しいときならいざ知らず、ああいった処罰のような拘束などというのはやっぱり絶対に人間にしてはいけないことだと思います。  一人の方がおっしゃったのは、お互いに患者さん同士が旅をしている途中で大変ぐあいが悪くなってしまったときに、周りの病気の仲間がみんなで押さえてくれたと。もし、これが病院にいたら私は保護室に入ったのだけれども、たまたま外だったから人間の温かさでその時期を通り過ごすことができたということをおっしゃいました。  おととい、参考人の中でも谷中参考人が、一番適しているのは同病者が面倒を見ることだ、社会復帰にとってもそれが一番いいということをおっしゃって、私も現場で非常にそれを強く感じたりもいたしました。しかし、その場合にも、健常者という言葉がいいのかどうか、一緒にそこで生活したり食事をしたりする方たちの役目は非常に大事だというふうに思っています。そういった意味でPSWが制度化されたということは大変歓迎したいというふうに思っております。  やはり一番大事なのは、ただいま部長がおっしゃったように、自立できるからということですが、でも心は車いすに乗っているというふうに私は思います。外見で判断されてこういう薄い補助金というのはやはり大変な不公平があるというふうに私は認識していますので、そのことを申し上げたい。  それで、PSWができて大変よかったと思います。第一回の国家試験で四千三百八十八人の方が合格され、これからますます社会復帰のためにも精神保健福祉士の制度は大事だと思いますが、本来受験資格のない方たち、または主たる業務としていないような方たちが、施設長の証明だけで受験資格を得られるということが今問題になっているそうです。  やはり、大変大事な仕事ですので、資格のための資格というようなことではなくて、厚生省は各団体や都道府県に法の趣旨をしっかり徹底して、きちっと資格のある方たち、今そこで仕事をしている方やそういう資格のある方たちが試験を受けるようにということをぜひ徹底していただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  104. 今田寛睦

    説明員今田寛睦君) このたび、合格者を初めて出したということで関係者も大変喜んでいただいているわけでありますが、その受験資格につきましては、できるだけこの制度ができたことによって離職することなくそれまで培った資質の向上が図れるというようなことで特例措置を設けているわけでございます。平成十四年度までは、現任者講習会の受講者に受験資格を与えることとしております。  御指摘のように、その場合に、一つは法施行の際、つまり十年四月一日でありますが、厚生省令で定める施設において相談援助事業に従事していたこと、相談援助事業の実務経験数が延べ五年を満たしていること、この二つが要件となっております。  この要件の把握でありますけれども、実務経験の証明はそれぞれの所属長の証明書が必要でありますし、その審査については講習会を実施している団体で厳重に行われておりまして、必要に応じて厚生省とも連絡をとるという仕組みにはなっております。万一、実務経験の証明が不正な事実で行われていたということになれば、当然その資格の取り消しを行うなどの厳正な措置は講じるつもりでございます。
  105. 堂本暁子

    堂本暁子君 盛んに判断能力がないというような御答弁が出るんですけれども、二百十七万人の方の中で一時的にはそういう時期があったり、それから大変重篤な方もおられますけれども、多くの方はやはり社会生活できる方なので、できるだけ私たちと同じような生活ができるようにぜひとも政策を立てていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  106. 西川きよし

    西川きよし君 私の方からは、本日は老人性の痴呆疾患対策についてお伺いをいたします。  先日も、集中審議の際ですけれども質問をさせていただきました。いかに初期の対応が大切であるか、私も介護をする一人の子供として、そしてまた家族として本当に大切だなと。  そこで、相談窓口の強化に今後も一層力を入れていただきたいなと、こういうふうに思うわけですけれども、平成元年から行われております老人性痴呆疾患センターについて、まずお伺いを申し上げます。  このセンターの趣旨、そして現在の整備状況などをお伺いできればと思います。
  107. 今田寛睦

    説明員今田寛睦君) 老人性痴呆疾患センターにつきましては、老人性の痴呆患者の皆さん方に関しまして保健医療、福祉サービスの向上を図るという目的におきまして、まず老人性痴呆疾患患者医療的な相談を行う、それから一床以上の空床の確保をお願いしておりまして、いざというときの痴呆疾患患者の救急対応にも資する、それから関係機関との連携あるいは福祉関係者との連携を行う、あるいはそれらに対する技術援助、こういったことを目的として設置しましたのがこのセンターでございます。  平成元年度から、精神科を有する総合病院などの中から指定をしておりまして、十年度末で四十六都道府県百四十二施設となっております。
  108. 西川きよし

    西川きよし君 昼夜を問わず二十四時間体制ということで皆さん助かっておるわけですけれども、実は日精協の雑誌で、ことしの三月号ですけれども、この中で千葉先生という方がこういうふうに書いていらっしゃるわけです。  各地の老人性痴呆疾患センターが、本来期待された機能を果たしていない。地域に密着した身近な痴呆診断と治療の初期対応施設および痴呆疾患に対する諸々の支援を行う、いわば「痴呆疾患の最前線であり駆け込み寺」であることの役割を担ってスタートした老人性痴呆疾患センターが、見渡せばほとんど有名無実となっている。一方では、高齢化に伴い痴呆の問題はより顕在化し増大し続け、精神科医療現場でも老人保健施設などでも痴呆疾患を取り扱う状況は日増しに増えていくばかりである。全体需要は確実に増えているにもかかわらず、老人性痴呆疾患センターの実績が上がらないのは何故だろうか。構造的な問題はないのか あるいは運用上の問題なのか こういうふうにこの先生は記されておるわけですけれども、センターの現在の例えば問題点がありましたら、そしてまた課題がございましたら、ぜひ御答弁いただきたいと思います。
  109. 今田寛睦

    説明員今田寛睦君) 老人性痴呆疾患センターの活用の実態に対しまして一部御批判があるというように理解をさせていただくわけですが、センターといたしましては、民間の精神病院から大きな大学の附属病院までさまざまなところがこのセンターの指定を受けているわけでございます。  そのこともあわせまして、一つはセンターの重要性というものが関係者あるいは地域の皆さん方に十分認識されていない、理解されていないんじゃないかというような御指摘。それから、いわゆる地域に密着した活動をしている民間病院先生がやっていらっしゃる痴呆疾患センターの運営の仕方と大学病院のようなところで運営していらっしゃるのとでは多少中身が違うのではないか、もっと役割をきちっと分ける方がいいんじゃないか、こういうような指摘もお聞きしているわけです。  いずれにしても、このセンターの目的は痴呆疾患患者である本人、その御家族、あるいは関係者のために利用されてこそ意味があるわけでございますので、その趣旨にかんがみまして、こういった批判がいみじくも出ないようにこれからも有効な活用のための努力はしていきたいと思います。
  110. 西川きよし

    西川きよし君 ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。  こんなすばらしいところがあるにもかかわらず、本当に今おっしゃいましたように、地域の方々は知らない。お伺いいたしましても、知らない方々が余りにも多いようですから、またPR等々にも努めていただければと思います。  このセンター、そして同じく痴呆の方の相談機関として在宅介護支援センターの整備も進められているわけですけれども、両機関それぞれの役割というんでしょうか、この在宅介護支援センターとの役割の関係を御説明いただけたらと思います。
  111. 今田寛睦

    説明員今田寛睦君) 老人性痴呆疾患センターは、今申し上げたように、どちらかというと医療機関にこれを置いて、医療的なことを中心に、あるいは保健という目で痴呆をとらまえた形で福祉の方々と協力をして推進していこう、こういう位置づけであります。  一方で、在宅介護支援センターにつきましては、各中学校区に一カ所を目標として設置が進められております。痴呆であるかどうかということじゃなくて、在宅での介護が必要な高齢者という方々を対象に身近な課題についていろんな相談あるいはサービスの調整に応じる、こういう目的になっております。  したがって、当然痴呆の方々もそういう介護等の相談の一つとしてあり得るわけでありますけれども、痴呆の方がただ介護だけで完結する、あるいは福祉だけで完結する場合にはその人たちとの連携をとるでありましょうし、一方で医療というものとのかかわりということになると、この支援センターは疾患センターの方とも連携をとらなければならないという意味で、それぞれ福祉的な部分と医療的な部分という、大ざっぱに言えばそういう分け方の中で協調して痴呆性の方々に当たろうということで、連絡調整などを行うことといたしております。
  112. 西川きよし

    西川きよし君 この二つが連携すれば、双方とも二十四時間体制ということで本当におうちの方々は助かると思います。我が家もみんな時間割りをつくってそれぞれお世話するわけですけれども、この二つの連携がうまくいけば地域の皆さんは本当に喜ばれると思います。  数字的に見ましても、在宅介護支援センターにつきましては今年度で目標値の一万カ所が整備される。それから、痴呆疾患センターについては今年度の予算で百三十四カ所。毎日の生活の中ではどうしても在宅介護支援センターの方が身近に感じてしまいますし、もちろん古い歴史もあるわけですけれども、相談機関になってくると思います。その場合にやはり大切なことは、この両機関の今もおっしゃいました連携、島と島とに大きなすばらしい橋がかかるようなそんな思いでやっていただければと思います。  この点について厚生省ではどういうふうに考えて対応されるのか、また今後どういうふうにされていかれるのか、一点だけお伺いしたいと思うんです。  老人性痴呆疾患センターについては、精神保健福祉の管轄から老人保健の管轄に移管させることが検討されているということをお伺いしたんですけれども、この点について一言お伺いしておきたいと思います。
  113. 今田寛睦

    説明員今田寛睦君) まずは在宅介護支援センターと老人性痴呆疾患センターがこれまで以上に連携をとって適切なサービスが提供できる、あるいは適切な相談ができるようにすべきだという観点に立って、この連携の強化には努めていきたいと思います。  それから、当然それぞれの分野で努力をしておりますし、今後ともこうした連携を強化するということを推し進める覚悟でございますので、その所管について何らそういうことを考えてはおりません。
  114. 西川きよし

    西川きよし君 では、移管させるというような検討は結果的にはございませんということですか。
  115. 今田寛睦

    説明員今田寛睦君) そういうことは全く検討いたしておりません。
  116. 西川きよし

    西川きよし君 かしこまりました。  では、次に移らせていただきます。  今度は、重度の痴呆疾患デイケアの介護保険の取り扱いについてお伺いしたいと思います。  介護保険検討の中で、精神科デイケア、そして精神科訪問看護など、精神科専門療法については基本的に医療保険に残す、ただしこの重度痴呆デイケアについては介護保険認定を受けた者に関して介護保険対象とするかどうかという検討をされているということです。この点については支給限度額の問題等々もあると思います。ぜひ御答弁いただきたいと思います。
  117. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 重度の痴呆患者デイケアの関係でございますけれども、これは診療報酬上に設けられた概念でございまして、精神症状と行動異常が著しい痴呆患者の心身機能の回復とか維持を図るために、精神科を標榜いたします保険医療機関におきまして診療報酬の点数が算定できる、こういうものでございます。  これは非常に専門性それから密度が高い医学管理を必要とするということにかんがみまして、この実施医療機関になりますためには精神科を標榜している病院の中で一定の人員とか施設設備を持っているところ、こういったところが実施機関になれるわけでございます。  したがいまして、高い医学管理を必要とするということでございますので、介護保険施行後におきましても医療保険によります給付の対象とする方向検討いたしているところでございまして、まだ決定はされておりませんけれども、介護保険の一応外だ、こういうふうに私どもは理解して検討を進めている、こういうことでございます。
  118. 西川きよし

    西川きよし君 あと三分しかございませんので、次に精神障害者に対するホームヘルプサービスについてお伺いいたします。  その中でホームヘルプの講習が九時間となっておりますけれども、この九時間は二級のヘルパーさんなのか、一級のヘルパーさんなのか、それともベテランのヘルパーさんを想定されておられますのか。  それから、続けて御答弁いただきたいんですけれども、二級のテキストの中に高齢者精神障害者の娘さんの事例も載っておるわけですが、精神障害者に対するヘルパーの研修、そういう専門的な研修の内容等もあわせてお答えいただければと思います。
  119. 今田寛睦

    説明員今田寛睦君) 現在、一般高齢者あるいは障害者に対します派遣に係りますホームヘルパーに対して、ヘルパーにはいろいろ等級があるわけでありますが、それらは必ずしも限定をして派遣されているということにはなっておりませんし、精神障害者へのホームヘルパーの導入に当たっても、特段そういう級の問題として差をつけた対応をとるということは考えておりません。  ただ、問題なのは、精神障害者に対するホームヘルパーの役割が、一般の身体障害、知的障害のような方へのアプローチと比べ、これまで経験したことがないという分野において特殊であることから、そういう面でヘルパーの皆さん方に保健所を通して、どういう接し方をし、どういうサービスをすることがサービスを受ける方に最も満足いただけるかという研修をしっかりしていただいて、その上でヘルパーの皆さん方を現実に派遣するように、十四年まで大いに努力をしていきたいと考えております。
  120. 西川きよし

    西川きよし君 そこで、高齢者に対するヘルプサービスの中に、介助者への支援として実際に精神障害者へのサービスが行われているわけですが、この点について、専門家の間でも二級のヘルパーの対応では難しいのではないかと。二級のヘルパーが能力を身につける必要がある、このような検討内容も紹介をされておるわけですけれども、これを最後の質問とさせていただきますが、一般ヘルパーの研修の中にももっと組み込む必要があるのではないかと思うんです。いかがでしょうか。
  121. 今田寛睦

    説明員今田寛睦君) 今の二級のままのヘルパーの方々が即精神障害者への対応にうまくフィットするかどうか、これは内容を見てみるなり評価する必要がありますが、少なくとも新たにかかわっていただくわけでありますので、従来の研修に加えて精神障害に関する専門研修を実施する必要がある、このように考えております。
  122. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。
  123. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時八分散会