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1999-07-06 第145回国会 参議院 国土・環境委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年七月六日(火曜日)    午前十時四分開会     ─────────────    委員異動  六月二十九日     辞任         補欠選任         加納 時男君     田村 公平君  七月一日     辞任         補欠選任         山本 正和君     大渕 絹子君  七月五日     辞任         補欠選任         田村 公平君     上杉 光弘君  七月六日     辞任         補欠選任         上杉 光弘君     岸  宏一君      佐藤 雄平君     谷林 正昭君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         松谷蒼一郎君     理 事                 太田 豊秋君                 小川 勝也君                 福本 潤一君                 緒方 靖夫君     委 員                 上野 公成君                 岸  宏一君                 坂野 重信君                 長谷川道郎君                 山下 善彦君                 脇  雅史君                 岡崎トミ子君                 北澤 俊美君                 谷林 正昭君                 弘友 和夫君                 岩佐 恵美君                 大渕 絹子君                 泉  信也君                 奥村 展三君                 島袋 宗康君    委員以外の議員        発議者      清水 澄子君    衆議院議員        修正案提出者   大口 善徳君    国務大臣        国務大臣        (環境庁長官)  真鍋 賢二君    政府委員        防衛施設庁施設        部長       宝槻 吉昭君        環境庁企画調整        局長       岡田 康彦君        環境庁水質保全        局長       遠藤 保雄君        外務省北米局長  竹内 行夫君        厚生省生活衛生        局長       小野 昭雄君        通商産業大臣官        房商務流通審議        官        岩田 満泰君        通商産業省基礎        産業局長     河野 博文君        通商産業省生活        産業局長     近藤 隆彦君        自治省財政局長  二橋 正弘君    事務局側        常任委員会専門        員        八島 秀雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 〇特定化学物質環境への排出量把握等及び管  理の改善促進に関する法律案内閣提出、衆  議院送付) 〇化学物質に係る環境リスク対策促進に関する  法律案清水澄子君外六名発議) 〇議案の撤回に関する件 ○国土整備及び環境保全等に関する調査  (ダイオキシン類対策特別措置法案に関する件  )     ─────────────
  2. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) ただいまから国土環境委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る六月二十九日、加納時男君が委員辞任され、その補欠として田村公平君が選任されました。  また、去る一日、山本正和君が委員辞任され、その補欠として大渕絹子君が選任されました。  また、昨五日、田村公平君が委員辞任され、その補欠として上杉光弘君が選任されました。     ─────────────
  3. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 特定化学物質環境への排出量把握等及び管理改善促進に関する法律案及び化学物質に係る環境リスク対策促進に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 小川勝也

    小川勝也君 民主党新緑風会小川勝也でございます。  当委員会では、重要な法案あるいは大事な法案ということになりますと、十分な審議時間を与野党の話し合いによって確保するといういい慣習といいますか内容を誇っております。本法案PRTRに関する法案に関しましては、四時間の質疑、そして六時間の連合審査、そしてきょう残りの四時間の質疑ということになります。  質疑時間とともに重要なのが、日を分けて質疑を行うということであります。さまざまな委員がさまざまな観点から問題を提起し、政府案のどこに問題点があるのか、時の経過とともに浮き彫りになってくる、そういう内容が日を置いて審査をするということに込められていると思います。  先般の連合審査会も、大きな委員会室で行われましたが、非常に重要なためになる内容が盛り込まれ、当委員会のよき慣習がそのまま審議にあらわれてきている、そのように自負するものであります。そんな中で、まだまだ解明をされていない幾つかの問題点を含め、最後の質疑になると思いますが、行わせていただきたいと思います。  まずは、衆議院からお越しをいただきました大口先生にお伺いしたいと思いますが、何点かの衆議院の重要な修正の中で、見直し条項が十年から七年、このような内容が盛り込まれております。十年から七年にした意味についてお伺いをしたいと思います。
  5. 大口善徳

    衆議院議員大口善徳君) 参議院の御熱心な御審議に私も大変敬意を表したいと思います。  今、先生からございました見直し条項、十年を七年にしたその意義でございますが、今回、私どもは五項目にわたって重要な修正をさせていただきました。とにかくこのPRTRというものを何とか出発させたい、しかしながら都道府県知事の問題がある、そんなことで重要な修正に努力させていただきました。現時点におきましては、私は修正案とあわせてかなりいいものになったんじゃないかな、こういうふうに思っております。これは民主党の現場の先生にも御理解いただきました。  ただ、これは現時点のことでありまして、これからPRTR制度が実施されていく中でデータの蓄積がなされていきます。そういう中で、このPRTR制度というものが進化していかなきゃいけない、その進化はやはり早目早目に見直すということも考えていかなきゃいけない、そういう点で十年を七年にした、こういうことでございます。
  6. 小川勝也

    小川勝也君 原案では十年という数字をもって見直しということで書かれておったわけでございますけれども政府としてはどんなところを見直すことになるであろうということを想定して十年という条項を盛り込んだのか、お答えをいただきたいと思います。
  7. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) お答え申し上げます。  附則の見直し条項につきましては、制度運用状況を見まして、実際の運用に問題があるかないかにかかわらず、施行後、当時としては十年、今は七年ということになっておりますが、経過した時点では見直し検討を行う、要するに柔軟性を持って臨むということに本来の目的がございました。したがいまして、現段階で本法律案は特段どの点を見直すんだというようなことを想定しているわけではございません。  ただ、付言させていただきますと、今柔軟性を持って対応するということをちょっと申し上げましたが、制度施行状況を見まして実際の運用に問題があれば、十年あるいは七年を待たずして見直しを行うのはもちろん私ども行政責務であるというふうに考えています。  また、さらに申し上げれば、対象物質選定につきましては、法案の十八条にもありますように、これは適宜見直しをし、政令改正をするということで、これももちろん柔軟に対応していく、こんなふうな取り組みをさせていただきたいと思っているところであります。
  8. 小川勝也

    小川勝也君 やってみなきゃわからないことというのがたくさんあると思いますが、今局長から御答弁があったとおり、都道府県がどのようにこのPRTR法案を具体的に自分のものとして、いわゆるつかさつかさ仕事をうまく充実した形で行っていけるかどうか、ここが一つ大きなポイントになると思います。  後で触れてまいりますけれども、まず今回のPRTR法案に限らず、我々もいろんな問題をこの国会で審議いたします。そして、多くの法律案法改正の中で、都道府県役割はこうだ、都道府県にはこういうことをやってもらいたいということを盛り込むわけであります。  実はこのPRTR法案届け出都道府県になったのは衆議院での修正が行われた段階でございますので、都道府県でもどんな仕事自分たちがしなければならないかということがまだがっちりわかっておる段階ではないと思いますが、想像するに大変な仕事だろうと思います。知識も必要でありましょう。そんな中でこのかなめの部分都道府県がどんな仕事をするかということでこれから都道府県にいろんなことをやっていただくわけですけれども、その都道府県仕事がうまくいくように環境庁としてはどんな支援をするのか、お答えをいただきたいと思います。
  9. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) お答え申し上げます。  衆議院修正によりまして、制度運営に当たりまして都道府県がより主体的に参画することとなったわけであります。また衆議院附帯決議においては国と都道府県連携強化が求められているところでもあります。  それを受けまして、私ども環境庁としても、都道府県との連携強化を図るとともに、都道府県が必要とする支援を行うように努めてまいりたいと思っております。現時点では、例えば都道府県事務負担を軽減するために、電子情報処理組織導入のためのソフトウエアの開発提供あるいは講習会資料作成提供技術指導のためのマニュアル作成提供につきまして、関係省庁連携してどのような支援が可能か検討を始めたところであります。  さらに付言させていただきますと、先般六月末に都道府県環境担当課長会議がございましたので、その席上、衆議院における修正内容等につきましても周知、協力方お願いしたところであります。
  10. 小川勝也

    小川勝也君 このPRTR制度というのは、我が国にとっては新しい制度ですし、地方における認知度というのはまだまだ低いと思います。都道府県が関与するということは、その地域の環境意識を高めるという意味でも非常に重要なセクションでございますので、特に環境庁においては、情報都道府県に提供する、あるいはマニュアルづくり協力するといった幅広い環境庁としての役割を果たしていただきたいと思います。  地方も大変な財政の問題を抱えながら、一生懸命都道府県での仕事をやっておる時期だと思います。いろんな専門分野の人をそろえてみたいとか、この分野にはもっと厚く予算を配分したいとか、都道府県の悩みも尽きないところでございますが、そんな折、このPRTR制度導入によっていわゆる都道府県事務的負担人的負担がふえるわけであります。  自治省としても、作業はこれからだと思いますけれども都道府県に対して予算あるいは人を育てる部分にどんな支援考えておられるのか、答弁お願いしたいと思います。
  11. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) このPRTR法施行に伴いまして、第一種指定化学物質の国への届け出都道府県を経由するということになりました。それに伴いまして、今お話しございましたように、都道府県において新たな事務が発生することになるわけでございます。  私どもといたしましては、これらの都道府県事務に要する経費あるいはその他の支援につきまして、環境庁初め関係省庁と協議しながら、都道府県におきます円滑な事務執行ができますような必要な財政措置検討してまいりたいというふうに考えております。
  12. 小川勝也

    小川勝也君 都道府県関係者もその辺を非常に注意深く見守っておりますので、このPRTR制度がうまくいくかどうかというのも都道府県がしっかりとした仕事をしてくれるかどうか、ここにかかってくるわけでございますので、自治省としても特段の御配慮お願いしたいと思います。  さてこの法案に当たりまして、我が民主党といたしましては衆議院で独自の案を提出いたしました。原案との差異がたくさん盛り込まれている案であります。参議院に参りましてから、審議を通じまして各委員が共通して考えている問題点というのが浮き彫りになってまいりました。その中で大きな二つのことを中心に我々はこの参議院において修正をしよう、そういう考えでございます。  その二点と申しますのは、一つ都道府県を経由して届け出られる事項を各業所管官庁を経由するのではなくて環境庁通産省によって担当される部門に直接届け出が行われるようにしたい。もう一点は、情報開示部分で、請求をしてからその情報をもらうのではなくて最初から公表、こういう形にしたい、その二点であります。  先般の連合審査会でも、多くの時間がこの二つの問題に費やされました。そんな中で、我が党の福山哲郎委員与謝野通産大臣とのやりとりがあったわけでございますけれども与謝野通産大臣は、その情報公開のところは情報公開法にのっとってPRTR制度法律案の中に盛り込んだのだと、こういうお答えでございました。そこで福山委員指摘したところは、情報公開法における請求というのは請求後の審査を経てその請求を受けるか受け付けないかを判断する内容である、しかるにPRTR制度における請求においては審査が行われずすべて開示をする、そこが大きな差異である、したがって本法案においての請求制度はなじまない、このような論評でございました。  環境庁長官のその公開に関する現在のお考えをお伺いしたいと思います。
  13. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 開示請求という方式は、さきに成立した情報公開法考え方に沿うものであります。事業者それぞれが創意工夫をして、化学物質管理に関する情報を主体的に国民に提供し国民理解を深めるための努力をしてもらうには私はいい方式だと考えております。  そこで、この制度では開示請求される情報はあらかじめ電子情報になっていますから、情報公開法に基づいて開示される場合と比較して時間的にも経費的にもはるかに利便性が高くなっておると考えております。その上、電子情報化という時代にふさわしく電子情報による請求開示を可能にする規定を盛り込んであることなど、現時点では最も進んだベスト法案であると考えておる次第であります。
  14. 小川勝也

    小川勝也君 ベスト法案であるなどというのは、だれかに言えと言われたみたいな言葉ですけれども。今言った点をちゃんと御理解していただいているかどうかということなんです。(図表掲示)  情報公開制度にのっとっての請求というのは、ここでこの情報開示していいのかどうか審査をするという内容なんです。ところが、今回の制度はその情報公開部分をもらってくっつけたわけですけれども、このPRTR制度においては情報開示請求をして主務大臣が断ることがないんです。断ることがないのに何で請求をしなきゃいけないのか、ここを申し上げているわけであります。広く当委員会委員についてもこの点は御理解をいただけると思います。  それでは、もう一点の大事な問題に移りたいと思います。  私どもが訴えているもう一つ修正点は、この都道府県を経由したというのは大口先生初め衆議院で御苦労いただいた修正点でございます。高く評価をいたしております。ところが、原案で言いますと届け出内容主務大臣を通っていくわけです。例えば農薬メーカーであれば農林水産大臣製薬メーカーであれば厚生大臣。私たちは、この前の委員会でも諸外国におけるPRTR制度がすべて環境所管官庁で行われているということを指摘いたしました。百歩譲って、化学物質担当している通産省協力してもらって環境庁が二十一世紀我が国PRTR制度を所管する、結構でしょう。しかし、なぜここに主務大臣主務官庁が介在するのか。これは、私は、二十世紀型の日本のおくれた省庁縦割りの弊害を二十一世紀に持ち込むものだ、このような指摘をさせていただきました。  そして、各役所方々局長からも御説明をいただきました。法案を作成するときにさまざまなほかの通産以外の官庁協力を得なければならないので、こういった形で御協力をいただいてきたのでこのままで法律にしてほしいんだと、こんなお話でした。また、別な説明では、ここにも御協力をいただいてきたし、届け出がこの官庁を経由することによってこの役所化学物質に対する考え方環境に対する考え方が強くなるので望ましいことだと、こういう御説明もいただきました。  しかしながら、この届け出情報はどこかで加工されるものではありません。ここを経由しても、ここに上がった情報共有したり、あるいは所有したり見せてもらったりすることによってその説明は全く意味のないものになってしまいます。いわゆる都道府県からどういう順序でこの環境庁通産省あるいは業所管官庁情報を入手しようとも、大して意味のあることではありません。私が言ったとおり、永田町あるいは霞が関の古い慣習、あるいはほかの省庁の権益になるべく立ち入らないという霞が関町内会配慮を優先させた結果だ、このように思うわけであります。  しかしながら、我々が訴えている、業所管官庁を経由させずに環境庁に、あるいは通産省環境庁にその届け出を上げることにしたときには大きなメリットがあるんだ、このことを主張しております。  それは、先ほど岡田局長からもお話がありましたとおり、全国環境課長会議を開催した、こんなお話がありました。私は国土環境委員でございますので、都道府県における環境セクションが今よりももっと力を発揮してもらいたいし、優秀な人材も集まってほしいし、あるいは苦しい中でやっておられる環境行政、もっと予算配慮があってもいいと思う。  このPRTR制度というのは、都道府県における環境部局にとってはまさに非常にありがたい法案、これをチャンスとしてとらえなければいけない法案なのであります。先ほど自治省にもお願いを申し上げました。PRTR導入されることによって都道府県自治事務が大変になってくる、仕事が大変になってくる、あるいは少しずつでしょうが、いろんな配慮がなされるでありましょう。私は、その配慮がなるべくならば都道府県における環境セクションにいくようになったらいいなと思っております。  私たち考え修正が行われることにより、届け出先環境庁ということになればうまくいくかもしれない、この環境部局届け出担当になるので、都道府県の中での環境部局がさまざまな準備をし、人材を集め、あるいは予算を獲得して、都道府県における環境行政の地位を一歩上げることができる、だからこのことにこだわっているのであります。  このことについて、大口先生、いかがでしょうか。私の意見は間違っていますでしょうか。
  15. 大口善徳

    衆議院議員大口善徳君) 先生からこの衆議院における修正案について、大変高い評価をいただいたことをまず感謝申し上げます。  私どもも、都道府県が主体的に参加していかなきゃいけないという思いで今回の修正を出させていただきました。  今回の都道府県経由ということによりまして、都道府県が窓口になる。事業者都道府県連携をとって正確にその届け出をする。そしてもう一つ大事なことは、事業者が主体的に化学物質排出量を把握して、そしてその工業プロセスあるいは化学物質取り扱いについて絶えず改善していくということが大事だと思います。そのときに、事業者都道府県にいろいろ相談をします。それに対して、工業プロセスあるいは化学物質取り扱いについて専門的な知識も要ります。そういう点で主務官庁とも連携を密にしてやっていくというのがこれからスタートしていく段階において大事なのかと。  確かに、先生のおっしゃることもそれなりにお考えになったことだと思うんですが、これからスタートしていくに当たっては、むしろ事業者の自覚をしっかり促す、そしてまた工業プロセス等改善する、そういうことによってスタートさせていくのがいいのではないか、こういうふうに考えております。
  16. 小川勝也

    小川勝也君 表現は違うかもしれませんが、衆議院でもこの届け出先をいわゆる環境庁プラス通産省にすることも多分お考えになられたと思います。表現に誤りがあると申しわけありませんが、そこまで模索したけれどもそこまで到達できなかった、こういう表現大口先生以外の方々から聞いております。何とかこの良識ある参議院で、衆議院修正を加えられて参議院に送られた法案でありますけれども国民代表参議院ここにありという、そんな態度を我が国土・環境委員会で示すことができたら大変にうれしいと思います。  これは法案関係ないことでありますが、衆議院修正された法案参議院修正しちゃいけないというような風潮が最近はびこっているように思います。この考えが定着することはまさに参議院の自滅であり、二院制そのものを危うくする考えだと思います。国民代表として、一歩でもすばらしい法案に近づくように参議院で再度の修正を求める提案をして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  17. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 続いて民主党新緑風会岡崎でございます。よろしくお願いします。  前回の質問長官答弁について、一点確認をしたいと思います。  リスクコミュニケーションの推進は目的に明記はされていないけれどもそれも含まれるといった趣旨の答弁と受けとめました。国民理解増進を規定していることをもってリスクコミュニケーションが含まれる根拠とするということだったというふうに思います。リスクコミュニケーションで大事なのは、情報共有化学物質管理の進め方に関する話し合いを深めるという、この二つだというふうに思っております。  改めて伺いますが、この場合、国民理解増進には情報共有話し合いが含まれると考えてよろしいでしょうか。
  18. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) お答え申し上げます。  事業者化学物質管理状況排出量情報共有することや話し合いを進めることが、国民理解増進のための一つの大きな方法であると考えております。  本法案では、利用者国民理解を深める責務とともに、国、地方公共団体もそれに努めることなどを定めておりますから、御指摘のようなことも含めましてリスクコミュニケーションについてさまざまな取り組みが行われるようになるものと考えております。
  19. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 一方通行ではいけないと思います。双方向であるということで理解を深めるということになると思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。  次に、審議会についてお伺いしたいと思います。  対象物質を定める等の役割を担う審議会ですけれども、あるいはまた合同審議会も含まれると思いますが、ここにNGOの参加と議事録公開会議公開と傍聴は認められますでしょうか。
  20. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 本法律案対象物質選定に当たりまして意見を聞く審議会審議及びその内容公開で行われることになっております。また、対象物質を指定する政令の制定に当たりましては、閣議決定にのっとりましてパブリックコメント手続を行います。また、広く国民NGO産業界学識経験者等意見を踏まえまして、政府全体として政令を制定することとしております。
  21. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 今触れてくださいました、対象物質選定の際にパブリックコメント制度が活用されるということで、これは受け付けた意見を考慮して政策案修正等を含めて政策検討を行うという、この点はしっかり生かされるわけですね。
  22. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) もちろんパブリックコメント手続目的と申しますのは、規制の設定あるいは改廃に伴いまして政令、省令等を策定する過程におきまして、国民等の多様な意見情報、専門的知識を行政機関が把握するとともに、その過程の公正の確保と透明性の向上を図ることであるというふうに考えております。  本法案におきましても、この趣旨にのっとりまして、対象物質につきまして提出された国民NGO産業界学識経験者等意見を踏まえて、政府全体として政令を策定してまいりたいと考えております。
  23. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 OECDの原則にも、何事も参加で決めることになっております。この制度の実質はこれから審議会で決める部分が多い、見直しもそうだ、もう大体そういうことなんですけれども審議会が幅広い意見を集約する場になるためにも構成を含めてぜひ検討してほしい、ここにはNGOの参加が大変大事だということを踏まえていただきたいというふうに思っておりますが、いかがですか。
  24. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 私どもが今まで直接いろいろの諮問をし審議お願いしているのは中央環境審議会でございますが、中央環境審議会委員の構成メンバーを見ましても、各界各層を代表する方々に参加していただいておるというふうに考えております。
  25. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 各界の代表の中にぜひとも市民の、NGOの最もこの問題について関心のある、しかも研究も深めている人たち代表が入るということを構成を含めて検討していただきたいと思います。  次に、対象物質について伺います。  政府答弁は、内分泌攪乱作用について、それだけでは対象物質とする理由にならないという点で一貫しております。科学的知見が不十分だからだというわけなんですけれども、前回の質問でも取り上げましたSPEED98は、内分泌攪乱物質の疑いがある物質のリストを掲載しておりました。内分泌攪乱物質である疑いがあるということは、人の健康や生態に対して有害であるおそれがあるということではないでしょうか。疑いがあるというのとおそれがあるというのはどういうふうに違いがありますか。
  26. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 私ども環境ホルモン戦略のSPEED98でリストアップしました六十七の物質につきましては、もちろん各国からいろいろ出ている研究論文等を専門家にきちっと原典に当たってもらいまして、これはそういうことでとりあえずその対象として物を考えておく必要があるだろうというものにつきましてリストアップさせていただきました。それが六十七物質でございます。  ただし、この中にも書いてございますように、いわゆる環境ホルモンあるいは内分泌攪乱作用については、どれぐらいの物質にそういう作用があるのかということがまだ十分わかっているわけではない、また六十七物質の中においても強弱、ほとんど結果的には空振りだったというようなものもあるのかもしれない、そういうようなものだという位置づけの中でのとりあえずの六十七物質だということです。したがって、そういう疑いがあるという状況で、まだおそれまでも行っていないような状況です。  問題は、おそれがあるかどうかのところをこれからさらに知見を深めていきまして、さらには内分泌攪乱作用が具体的にあるということがわかれば直ちに対象物質に入れていこうという構えで、早く試験方法を確立し、その作用についての調査、検査ができるような体制をつくりたいというふうに考えているところであります。
  27. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 このパイロット事業というのをやはり私たちはいろいろ参考にしていかなきゃいけないと思います。このパイロット事業評価報告書でも生態毒性には内分泌攪乱作用を加える方向で検討すべきだというふうにしておりますけれども、何回も御答弁を伺っておりますと、どうやら政府はどうしても環境ホルモンは入れたくない、こういうふうに思っているようなんです。これはまた、いずれ深めていかなければならない問題だというふうに思っております。  次に、温室効果ガスですけれども、これは入れないんでしょうか。
  28. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 温室効果ガスにつきましては、地球温暖化対策推進法におきまして対策が講じられておりますので、PRTRの対象とすることは不要だというふうに考えております。
  29. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 この第二条におきまして、第一種指定化学物質に指定する場合の条件を定めております。「人の健康を損なうおそれ又は動植物の生息若しくは生育に支障を及ぼすおそれがあるもの」というふうにあります。温室効果ガスは、温暖化効果を引き起こすことによって人の健康を損ない動植物の生息もしくは生育に支障を及ぼすおそれがある、こういうふうになっているわけです。  もし直接の影響ではないということが正当な議論であるとしても、オゾン層を破壊する物質と同じようにそれを明記すればいいんじゃないでしょうか。対象としない理由がわかりません。もう一度大臣の方から御答弁を伺いたいと思います。
  30. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) お答え申し上げます。  二点申し上げたらいいかと思います。  一つは、もちろん今先生がおっしゃいましたようなことで、例えば炭酸ガスの場合を考えてみますと、これは逆に一方では植物の生育にはどうしても必要なものでありまして、ここで私どもが言っておりますPRTR、この法案で対象として物を考えていこうというときとは本来その性格が若干違うという面がもともとございます。  他方で、先ほど来申し上げておりますように、温室効果ガスにつきましては地球温暖化対策推進法におきまして国が我が国の総排出量を算出することとしておること、それからまた事業者には別途排出抑制計画等を策定してその実施状況を公表するように努める旨がもう規定されております。  こういうことから、国が排出量等を把握し事業者が抑制する体制が整備されておりまして、重ねてこれをPRTRの対象とする必要はないというふうに考えている次第であります。
  31. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 京都議定書で対象となりました六種類の温室効果ガスは、地球温暖化対策推進法で対応することになっているので今回の対象からは外すということだろうと思いますけれども、温暖化対策の制度とは違うと思うんです。ほかの法律で規定されております物質もたくさんこのPRTR制度対象物質になっております。これは、PRTRにはPRTR制度の意義があるからだというふうに理解をしているわけなんです。  PRTR対象物質でないのであれば、地球温暖化対策推進法ではどの程度情報公開がされますでしょうか。事業所ごとの排出量などを開示する方向で制度設計されていくと考えてよろしいでしょうか。
  32. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) まず、地球温暖化対策推進法では、法十三条におきまして、政府は毎年我が国における温室効果ガスの総排出量を算定し公表するということになっております。一方で、事業者に対しましては、みずからの事業活動に関し温室効果ガスの排出の抑制等のための取り組み等につきまして計画を策定し公表するとともに、計画に係る措置の実施の状況を公表するように努めることを求めております。  このように、地球温暖化対策推進法では温暖化対策推進に関する計画の策定とその実施状況の公表を事業者の努力義務として位置づけているところでありまして、努力義務ではありますが、昨今の各事業者環境への取り組みの姿勢から見まして、積極的に取り組んでいただいているところは環境報告書などの形でもう既に出していただいておりますし、こうした国民の目に見える形で事業者の間に積極的ないい意味での競争が起こり、創意工夫を凝らした計画の作成や公表の動きが広がるものと期待しておるところであります。
  33. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 どういう考え方対象物質を決めていくのか、その手がかりとして伺いたいと思いますが、通産省お願いをいたします。  化学物質審査及び製造等の規制に関する法律、化審法で規制対象になっております物質はどのくらいになりますでしょうか。
  34. 河野博文

    政府委員(河野博文君) 化審法で規制されておりますいわゆる第一種特定化学物質といたしましては九物質、それから第二種特定化学物質といたしましては二十三物質でございます。
  35. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 次に、環境庁にです。  大気汚染防止法の低濃度でも長期暴露による汚染が懸念される二百三十四物質、それから水質汚濁防止法の調査項目三百はPRTR法の対象にはなりますでしょうか。
  36. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) お答え申し上げます。  PRTR対象物質につきましては、先ほど来先生もお触れになっていますが、人の健康や生態系への有害性についての動物実験等によりまして一定の科学的根拠が得られており、その製造、使用等の状況から見まして広く環境中に存在していると考えられる物質を政令選定することといたしております。  一方、御指摘の有害大気汚染物質に該当する可能性がある二百三十四物質や水の要調査項目として掲げております三百物質につきましても、その有害性や製造、使用の状況など、本法案に定める要件に照らしまして改めて精査いたしましてPRTR対象物質選定を行ってまいりたいと考えております。
  37. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 対象物質はなるべく広くとった方がいいということをずっと主張してまいりました。無用な心配を招かないために広く対象とはしないんだというお考えだと思いますけれども、むしろ狭く対象としてしまうことによってPRTR対象物質はみんな危険だという認識が広まるおそれがあるのではないかというふうに思うんです。  広く対象にした方が、PRTRは未然防止のために直ちに危険ではないものまで含めて対象としていることがわかって無用な心配を避けることができるのではないかと思いますけれども長官いかがですか。
  38. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) お答え申し上げます。  この法律案では、環境保全上の支障の未然防止を図るという、まさに先生がおっしゃるような観点から、人の健康等との因果関係がたとえ不明であったといたしましても、人の健康等への影響が確認されれば、すなわち先ほども申し上げた動物実験等によってそういう有害性があるということが確認されておりますれば、環境中に広く存在していると考えられる物質について幅広くとらえて対象を選定していきたいというふうに考えているわけであります。こうした考え方につきましては、広く周知を図ることによりまして国民の不安がないように、生じないように努めてまいりたいと思っています。  ただ、他方、対象物質選定に当たりましては、もちろん先ほども申し上げましたように、あらかじめいろんな方の御意見も伺いながら政府全体として制度を策定していこうとしているわけでありますので、そうした努力を積み重ねることによりまして国民の不安が生じないような方策を考えていきたいと思っております。
  39. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 次に、すそ切りについて伺いたいと思いますが、報告義務を課する事業者の判断基準、いわゆるすそ切りについて伺いたいと思います。  中小企業基本法の中小企業の定義に従って従業員二十人程度をベースと考えているというふうに伺いました。また、取扱量も考慮して決めるというふうに言われております。  通産省に、この基準でカバーされる割合は事業者数ベース、対象物質の取扱量ベースでどのくらいでしょうか。パイロット事業ではどの程度カバーされたのかも伺いたいと思います。
  40. 河野博文

    政府委員(河野博文君) このすそ切り要件は、おっしゃいましたように、環境への排出が見込まれる第一種指定化学物質及び当該物質を含有する特定の製品に関しまして環境への排出が見込まれる取り扱いを行っている事業者を幅広く指定する一方で、規模の小さな事業者にとって過剰な負担にならないように今後政令で決定をいたすことになっております。  具体的には、環境庁のパイロット事業の結果あるいは経団連等の産業界の自主的な取り組みを通じて得られた情報、さらには今後実施する予定の化学物質取り扱いに係る詳細な調査結果をもとに、欧米の制度におけるすそ切りも参考にして設定する方針でございますが、今御指摘のありましたような考え方を仮に導入するというふうに考えまして、やや概数でございますが、対象事業者数といたしましては二ないし三万程度になるのではないかというふうに考えております。  それから、カバー率といたしまして、その化学物質を使用している事業所がどの程度その化学物質を使用している事業所全体の中でカバーされるかというようなことを、これも非常にラフな推計でございますが推計させていただきますと、ちなみに環境庁のパイロット事業の場合には推定カバー率としてたしか六〇%程度の御報告があったというふうに思っております。それから、経団連の取り組みの場合、これはカバー率が約二千五百社で八〇%ぐらいという推計の報告があったというふうに思っております。  御指摘のように、仮に二十人の従業員規模ですそ切りをするというふうに考えました場合には、対象化学物質の取扱量ベースではこれら以上のカバー率になるのではないかというふうに推測をいたしておるところでございます。
  41. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 すそ切りをするのであれば、どの程度のカバーをすればこの制度目的、三つ挙げますけれども事業者による化学物質の自主的な管理改善促進すること、環境保全上の支障を未然に防止すること、そしてリスクコミュニケーション促進が有効に進められるか、そういう観点から適正なすそ切りのレベルを決めるべきだというふうに思っております。  対象事業者選定に当たりまして、対象物質を大量に扱っていても従業員が少ないために対象とされない、そういう事業者が多くなりますと、排出される物質の排出量等の正確な把握ができないのではないかというふうに考えます。  負担を考えて限られた数の事業者を対象にするのではなくて、原則としてすべての事業者を対象とした上で何らかの支援を行う。それでも負担に耐えられないところ、全体の推計のためのデータとして重要性の小さなところを除外するというのが本筋と考えますけれども、どうでしょうか。
  42. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 対象物質を製造しているあるいは原材料や洗浄の処理剤等として使用していることなどによりまして、対象物質環境に排出する可能性のある事業者を広く対象とすることをまず基本としたいと考えております。そうしながらも、事業者の負担が過重とならないようにする。これは義務づけということが一方についているものですから、事業者の負担が過重とならないようにするという観点から、規模の小さな事業者対象物質を少量しか扱っていない事業者は対象から除く必要もこれまたあるんだろうと考えております。  こうした部分につきましては、提出していただいたデータ等と突き合わせまして、別途非点源での推計の対象としてそこはカバーしていきたいというふうに考えております。
  43. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 事業者の負担ということを考えて決めるということをたびたび伺っているわけですけれども、大臣は二つ目的は一体のものでどちらも大事といったことを前回もおっしゃっておりますので、誠実な対応を大臣にも求めたいと思っております。  二つ目的は一体のものでというふうに前回の一番最初のところで答弁を求めましたけれども、ぜひその誠実な対応を求めたいと思います。そうでないと、この間言った言葉が疑われてしまいますので、お願いします。
  44. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 広範にわたる問題でございますし、その御趣旨に沿って実行できるようにしてまいりたいと思っております。
  45. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 次に、対象施設等に清掃工場、ゴルフ場、農場、廃棄物処分場、病院、大学、研究所、ごみ固形化燃料を燃すような施設、これは入りますでしょうか。
  46. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 本法案に基づきます対象業種につきましては、パイロット事業の結果であるとかあるいは経団連でもPRTRに係る産業界の自主的な取り組みを通じて得られた情報がございます。こうした情報を含めまして、対象物質取り扱いの状況、環境への排出等の実態について再度精査をした上で、閣議決定にのっとったパブリックコメント手続を経て政府全体として対象業種についても政令で定めたいというふうに考えております。  したがいまして、今ここでどの業種が入ってどの業種が入らないんだということを明確に申し上げるわけにはまいりませんが、御指摘の施設等につきましても、環境庁の実施したパイロット事業においては廃棄物焼却施設、倉庫、大学、研究所については対象事業としたところでございます。  いずれにせよ、先ほど来申し上げているような検討を行った上で判断してまいりたいと考えております。
  47. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 このパイロット事業評価報告書には、追加検討業種としてゴルフ場を挙げております。具体的に排出量調査が容易なので点源の報告対象業種とするべきであるというようなことで書いてありますけれども、そういう方向だろうと私は思います。  今、一つ一つ業種を挙げておっしゃらないということでございましたけれども、ぜひこれは入れていただきたいというふうに強く要望しておきます。  政令の基準について具体的におっしゃっていただけますでしょうか。基準がありますでしょうか、政令の基準。
  48. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) まだ対象業種等につきましては、先ほどもお答え申し上げましたように、対象物質をどれぐらい扱っているかとか環境への排出等の実態につきまして再度精査した上で、これらの業種につきましてもきちんとパブリックコメント手続等を経まして政府全体で政令として定めていきたいというふうに考えております。
  49. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 従業員の数とか取扱量で一律に決めるのではなくて、事業能力の程度とか対象となる化学物質の性状に応じたきめ細かなすそ切りの設定を行うべきだと考えますが、この点は通産省にお伺いしたいと思います。
  50. 河野博文

    政府委員(河野博文君) 今、環境庁の御答弁がございましたけれども、最終的には政令で決定することになるわけでございますけれども、大きなくくりといたしましては三つの要素を考えているところでございます。  第一番目は、化学物質を取り扱う蓋然性の高い業種、第二番目は、企業の規模といたしまして、これは主として従業員の観点から、それから三番目には、指定化学物質を実際に取り扱います量を念頭に置いているということでございます。
  51. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 環境庁、少なくともパイロット事業の基準を下回らない、これは最低基準だと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。
  52. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 私どものパイロット事業では、例えば従業員規模は百人であるとか三十人だとかということでやっておりました。  それは一つの私どもの今までの蓄積でございますので、それはもちろん参考とさせていただきますが、先ほど来申し上げておりますように、事業者にそんなに過重な負担になってどうにも無理だと、客観的にも考えられるような方までお願いするのは無理だと一方では思っていますが、他方で、できるだけ多くの方に協力もしていただかなきゃならぬとも思っておりまして、その辺はむしろできるだけ多くの御協力をいただけるような方向で考えていきたいと思っております。
  53. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 その際、少なくともパイロット事業の基準を下回らない、これは最低基準と思いますけれども、それでよろしいでしょうか。
  54. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 先ほど来申し上げておりますように、これから決めていこうということでございます。  それで、こういうふうに申した方がいいかと思います。一方で、どれぐらいの企業が対象になるのであるかという先ほど来の御質問がありますが、それにつきましても、私どもあくまで仮定の試算ではありますが、例えば中小企業基本法では、従業員規模二十人以下というのが一つあるとか、そんなことも考えて、そういうものを一つ置いて仮定計算をしておるというあたりもお含みいただければと思います。
  55. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 必要に応じて、できるだけ柔軟にすそ切りの変更ができるようにしておくことも必要と考えますが、この点はいかがでしょうか。
  56. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) これは制度的には、先ほど来申し上げておりますように今後考えていくことでございますから、しかも別に政令で定めていくということでございますので、弾力的な対応には努めてまいりたいと思います。
  57. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 次に、排出量の公表なんですが、非点源からの排出量の公表に当たっては、推計結果だけではなくて、推計の方法と推計のもとになったデータを公表するのが当然だと思いますが、これはどうでしょうか。
  58. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 非点源からの排出量につきましては、パイロット事業等の経験にも即しまして、対象物質ごと、地域ごとの算出をして、その結果を公表したいと考えております。もちろん、その際には排出量の算出に使用した統計情報の出典や推計方法などにつきましてもあわせ明らかにしていきたい、そういうふうに考えております。
  59. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 リスクコミュニケーションを進めるためには、数字をただ出すということでなく、今、統計のお話もありましたけれども、その数字の意味、それから正確さということを含めまして、いろんな立場の人々が議論することができるようになっている必要があると思いますが、その前向きの検討を求めておきたいと思います。  次に、リスクコミュニケーション促進についてなんですが、これは提案なんですが、すべてのデータを研究者やNGOがメディアが使いやすいようにそのまま公表することは大事なんですけれども、それに加えて、毎年テーマを決めてデータで何がわかるのかをさまざまな角度で公開することがリスクコミュニケーションの上で大変効果的なのではないかというふうに思っております。  アメリカのNGOがやっておりますように、地図に落としてみたり、あるいはいろんな使い方があると思いますが、継続的な蓄積も必要ですから、基礎的なデータも含めて、それを巻末にまとめたPRTR白書のようなものを出版することを提案したいと思いますけれども、それはどうでしょうか。
  60. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 私どもも、PRTRデータにつきましては対象物質ごと、地域ごと等に集計することに加えまして、対象物質排出量の経年的変化等のデータあるいはその分析結果等を加えまして、毎年度集計結果を公表することを考えております。その際に、できるだけわかりやすい形にしたい、そういう工夫もしたいというふうに考えております。  環境庁といたしましても、既にパイロット事業等の実施を通じましてPRTRデータのわかりやすい取りまとめ方法をいろいろ検討しているところでございまして、御提案の趣旨も参考にしながら、集計結果が事業者及び国民にとってわかりやすく活用しやすいものになるように、今後ともさらに検討を深めてまいりたいと思っています。
  61. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ぜひPRTR白書のようなものを出版することをお願いしたいというふうに思います。  次に、MSDSについて伺いたいと思いますが、MSDSはPRTR法の一部として提出されてきましたけれどもPRTR制度そのものとは異質な制度が同じ法律に組み込まれているという印象を受けております。この部分だけ所管が通産大臣単独での所管というふうになっておりますが、なぜMSDSがPRTRに組み込まれたのか、PRTRとMSDSとの関係についてお伺いしたいと思います。
  62. 河野博文

    政府委員(河野博文君) 御指摘のとおり、この法案におきましては、対象化学物質を取り扱う広範な事業者による化学物質管理改善促進するということでございます。  事業者方々の中には、化学物質管理や使用の合理化の方法について必ずしも十分な情報を有していない方々もおられるというのが実態であろうと思っております。このために、MSDSの提供を義務化することによりまして、化学物質の成分情報あるいは管理に際し注意すべき事項等が使用する方々に提供されることになりますので、化学物質管理改善促進に役立つことはもちろんでございますし、また、化学物質を受け取った事業者PRTR制度に基づく排出量等を把握する上でも有用であろうというふうに考えまして、MSDSとPRTRとを一体的に法制化しようということになったわけでございます。  MSDSにつきましては、基本的には化学物質を製造した人を主として対象といたしまして、その流通過程における情報提供という観点でございましたので、通産省が主として責任を持ってやらせていただくということにしたわけでございます。
  63. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 MSDSにおける第二種物質は、条件によっては第一種に指定がえになり得るでしょうか。
  64. 河野博文

    政府委員(河野博文君) 第一種指定化学物質と第二種指定化学物質は、ともに動物実験結果などの評価をもとに、人の健康あるいは生態系への有害性に係る一定の科学的知見の得られている物質ということで、その点においては共通でございます。  一方、第一種指定化学物質は、当該化学物質の分解性、揮発性といった物理化学的性状あるいは製造量や使用の状況、さらに環境モニタリングの結果などから見まして、相当広範な地域の環境に現に継続して存在すると認められる化学物質ということでございます。  他方、第二種指定化学物質は、現状では相当広範な地域の環境に継続して存在するとは認められていないものの、物理化学的性状から見て今後例えば製造量が増大いたしましたり、あるいは開放系の用途で増加する等によりまして、相当広範な地域の環境に継続して存在することとなることが見込まれる化学物質であります。すなわち、PRTR対象物質は、MSDS対象物質のうち相当広範な地域の環境に継続して存在すると認められる化学物質であるということになるわけでございます。  なお、二種指定化学物質でありましても、その後の事情の変化、例えば製造量あるいは輸入量が増大する等によりまして相当広範な地域の環境において継続的に存在すると認められるような場合には、随時審議会の御意見を聞き、また所要のパブリックコメント等の手続を経て、政令によりまして第一種指定化学物質、つまり御指摘PRTR対象物質として指定することになるというふうに考えております。
  65. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 MSDSがPRTRの実効性を高めるために不可欠な制度であるとすれば、なぜこの法律中にこの部分だけ通産省だけが所管することになるんでしょうか。
  66. 河野博文

    政府委員(河野博文君) MSDSに関連いたしまして国が行います仕事といたしましては、対象物質選定、それから提供方法あるいは様式等を定めること、さらには違反者に対して勧告、公表、報告の徴収等を行うということになるわけでございます。  これらの事務のうち、御指摘のようにMSDSの提供方法あるいは様式を決めること、それから個々の事業者に対します勧告等につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように化学物質事業者間の取引にかかわるということで、化学物質一般の生産、流通、消費に関する責任大臣ということで通産大臣がやらせていただくということにしたわけでございますが、他方、MSDSの対象物質政令で定めるということでございますので、これは政府全体で定めるということになるのでございます。
  67. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 私が受け取る印象では、通産省というのは事業者への勧告あるいは企業間の取引に関するルールを規定するものだから、従来の縦割りの縄張り意識を引きずった答弁だなというふうに私自身は思うんです。  企業間の取引につきましても環境配慮しなければいけないと思いますし、特にこの制度リスクコミュニケーション促進とか環境保全上非常に未然に防止するために必要なんだという、こういう制度で出てきたものであれば当然に環境庁もここは共管すべきだというふうに思いますけれども、この化学物質管理指針の策定につきましてMSDS部分環境庁が関与すべきだと考えますが、環境庁いかがですか。
  68. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 先ほど来通産省局長の方から答弁がありますが、私どももMSDSの対象物質をどうすべきかというようなときには、ある意味では第二種指定化学物質、これはMSDSの対象物質の中のうちのPRTR届け出対象物質を除く部分になりますが、それらについて物質選定上はいわば予備軍ともいうべきものでありますから、我々も当然一緒になって参画していくと。  一方で、流通規制的な意味合いの領域についていえば、結果的にそれがPRTR制度に役立つことは確かですので、この法案の中に埋め込んで法案とすることについては我々も議論の中で了といたしましたし、また一方で流通上の規制の側面に関しては、これは通産大臣の所管でやっていただいて特に問題はなかろうという判断をした次第であります。
  69. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 中央省庁等改革関連法案審議の際にも実は私は訴えたことなんですけれども、これからはすべての政策の基盤に環境配慮がなければいけない、大臣もそれについて御答弁をしてくださいまして、それを担保するための役所として環境庁環境省には積極的な役割を果たしていただきたいということで、それにも大臣は答えてくださったというふうに思うんです。  そうしますと、その企業間のルールですとか事業者への勧告は通産省というふうに言っております。そこだけでやるのではなくて、MSDS情報は広く知らされるべきものであろうというふうに思いますが、表示すべきという意見もあります。通産省いかがでしょうか。
  70. 河野博文

    政府委員(河野博文君) この法案におきますMSDSは、指定化学物質などを譲渡する事業者から相手方の事業者へ提供する義務を定めたということでございまして、それ自身を開示するという規定があるわけではございません。ただ、化学物質の性状あるいは取り扱いに関する情報につきましては、これまでも政府として各種文献調査はもちろんでございますけれども、昭和四十九年からの既存化学物質の安全性試験を実施するなどでさまざまな情報の収集努力をいたしております。  こうした情報につきましては、国民の皆さんあるいは事業者方々に対して化学物質の性状、取り扱いにかかわる情報をわかりやすい形で提供して、情報供与を図っていくということが必要だという認識で、この法案第十七条におきましても、国はそのためのデータベースの整備及びその利用の促進に努めるということがうたわれているわけでございます。実際、私どももこういった化学物質に関しますデータベースを構築中でございまして、できれば今年度中にインターネットで公開していくということも考えているところでございます。  今後、法制化されましたMSDSの対象となった化学物質につきましては、その対象物質として選定した根拠にかかわる情報も含めまして、MSDSに記載されているような情報について、こうしたデータベースを通じまして、国民あるいは事業者の皆さんにわかりやすい形で広く公表してまいりたいというふうに考えております。
  71. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 時間なんですが、一点だけ確かめたいと思います。  中央省庁の行革論議のときにも私は申し上げたんですけれども、具体的な議論になりますとこれはまだ政令だということで、これから決めるというふうに言われてしまうんです。これから決めるといったときに、国会が参加できるかというと、その参加の仕方は限られてしまいますけれども、大臣は国会議員として国会から送り出されている官庁を指揮している大臣として、政令で決めるということに関してどのような御意見をお持ちでしょうか。
  72. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 対象物質や対象業種の指定などは政令にゆだねることになっております。科学的な知見の内外の動向や化学物質取り扱いの実態に十分配慮して、そして機動的に対応できるようになっておるわけでありまして、この法案としては私はいい考えである、こう思っておるわけであります。  やはり政令閣議決定にのっとって、そしてパブリックコメントとかの手続をした後で広く国民NGOや学者や学識経験者等々の意見を聞いて、そして政府全体として策定をしておるわけであります。ですから、先生指摘のようにこの政令に対する取り組む姿勢は毅然としてやっていかなければならない、こう思っています。
  73. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 私は、技術的なこととかが政令で決められていくといいますけれども、この制度そのものの意義を決めるときに、政令で全部定められてしまうのでは内容が本当に明らかにならないというふうに思うんです。明らかにするためには、やはりここで議論をしてそして決めるべきだというふうな意見を添えたいというふうに思っております。  ありがとうございました。
  74. 福本潤一

    ○福本潤一君 公明党の福本潤一でございます。  今回のPRTR法案に関しましては四日目の審議になります。参考人の質疑に三時間、また国土環境委員会で四時間、連合で六時間、さらには今回締めくくりとして四時間しておるわけでございます。  さまざまな意見があったときに、環境庁長官PRTR法案は小さく産んで大きく育てるんだと言っておられました。私の方からは適切に産んで大きく育てていただきたいというお話をさせていただきましたけれども、今回、質問の中にも、また参考人の御意見にもありました届け出先の観点、その参考人の御意見の中に、中西準子先生は特に届け出先都道府県にした上で関係業種間、官庁も含めて意見を聞くのがむしろ望ましいというようなお話もされたりしたわけでございます。ここの問題点衆議院では修正が、届け出は最終的には環境庁また通産省の管轄でやるという話で、むしろいい方に評価をしていたというのが私にとっては印象深かったわけでございます。  と同時に、もう一個、このPRTR法案が通ることによってインナープロダクション、これがクリーナープロダクションとして生産過程がよくなるという御意見がありました。と同時に、エコビジネスの発展にも結びつくのではないかということもありました。  最初に環境庁長官から、今回のPRTR法案が通ることによってエコビジネスにどのように結びつき、また生産過程におけるインナープロダクションの改善にどういうふうに役立つと思っておられるか、その点を最初にお伺いしたいと思います。
  75. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 近年、不況の折から、いろんな雇用の創出を図らなければならないわけであります。それがために政府といたしましてもいろんな対策を講じておるわけであります。産業戦略会議におきましても、七十万の雇用創出ということで力を入れておるところであります。環境庁といたしましても、このエコビジネス創出ということについて力を入れて、提言もさせていただいておるところであります。  そういう関係からいうと、今回のPRTR法案の成立によりまして、その仕事の量が生み出され、また多くなることを期待いたしておるわけでありまして、先生指摘のように、このエコビジネスの創出ということについて、このPRTR法案を活用して、ぜひよりよきものにしていきたい、こう思っておるわけであります。
  76. 福本潤一

    ○福本潤一君 一つの移動登録の制度があることによって、OECD二十五カ国のうち最後に当たるような形で生み出されるものが一つの最善の形に持っていけるかどうかの形が衆議院であってこちらへ来ておるわけでございます。ぜひともこの法案を生み出すときに死産でないような形で私どもはやりたいというふうに考えておりますので、むしろ適切に産んだ法案をいかに大きく育てるかという形の意識でこの法案を役に立てていただけるような方向で進めていただければと思います。  と同時に、私も、これは昨年の十月六日に環境庁を含めて政府質問主意書を出させていただいて、さまざま質問をさせていただきました。その趣旨も入っている側面、入っていない側面はありますけれども、今回のPRTR法案が日本でおくればせながら通ることによって、ある意味では有害化学物質関係また化学物質全般、きょう採決されるダイオキシン法案とともに二つの柱となって推進されていくだろうという流れになっております。  特に、PRTR法案はまた細かいことは別個で質疑させていただきますけれども、きょう採決されるダイオキシン類対策特別措置法、これに関しましては、かかわった人、さまざまな思いで今日まで鋭意努力された、その結果が本日実ったということでございます。私自身も、このダイオキシン類対策特別措置法案に関しましては、昨年十二月、公明党の原案ができ上がった上、十数回にわたる各党の協議、また本日採決に至ったということで、昨日、原案ときょう提出される全党合意の案の比較を若干してみたりしたところでございます。  この国土環境委員会では委員会質疑はしないまま採決される見込みということになっておりますので、私自身、民主党の御意見、また自民党の御意見、さまざまな党の御意見がありましたのを比較した上で、どこが違ったのか、フレッシュアップされたのかというのを見ますと、原案の方では法が四十四条、また附則が十一条という構成になっておりまして、それが全党案は四十九条、附則十二条で、五条追加されて附則が一条追加されている。  その追加されているところを先に見ていきますと、三条に「国及び地方公共団体責務」ということで各自治体の責務が書かれております。四条で「事業者責務」という形で事業団体、事業者の責任が明確になっている。五条で「国民責務」。これが総則の中で三条追加されているという形になっておるわけでございます。さらには、雑則のところに一条加わっている。この雑則で加わっているところは、まさに環境庁長官の使命、役割を明示されたものがこの雑則で加わった条文であります。  加わっていない条文ですけれども、三十四条には「都道府県は」といって置いた特定施設に対する検査関係が「環境庁長官又は都道府県知事」という形になっていますので、条文がふえていない中にも環境庁長官役割、責任は重くなっております。  さらには、三十七条では「環境庁長官の指示」という項目を一項目設けて、環境庁長官が大気、水質または土壌のダイオキシンによる健康にかかわる被害が生ずることを防止するために必要あるときは都道府県知事また政令で定める市の長に対して必要な指示をすることができるということで、環境庁長官、二〇〇一年からは環境大臣という形で条文がまた変わるのでございましょうけれども環境庁長官役割、使命が非常に大きくなっているのが今回の法案の特徴でございます。  さらには、附則で加わった一条は何かといいますと、小型焼却炉また野焼き、ここの関係が、公明党の原案では政令に任せていたのが、民主党意見も大きく取り入れて、小型焼却炉また野焼きに対する対応もできたという形で、原案に関してもかなりダイオキシン対策ができるような形になっていたものが、環境庁長官また住民の役割、こういうさまざまな形で強い対応ができるような形になっている。  新聞にも新しい条文の文面の意義は書いておりますけれども、特に住民、市民にとっては、この法案よりさらに厳しい条例もつくることができるような制度になっております。  注目だったTDIの四ピコ以下という値も、当初原案では一ピコという原案で出させていただいたのが、四ピコ以下で政令で定めると。四ピコ以下となりますと、〇ピコから四ピコの間ということになります。WHOは、究極の目標は一ピコ、当面の目標は四ピコ以下で、これも政令で定めるという形になると環境長官の使命は大きい。  とはいえ、四ピコ以下ということの、〇ピコから四ピコになったところの意義がやはり全党で共通で通すときには必要であったという現状があると思います。質疑では私どもの方がむしろ、委員長小川さん等々が質疑を受ける側になる法案でございますが、環境庁長官議員立法も望ましいという御意見がありましたので、今回法案が採決に至った日に当たりますので、最初ぜひとも、新しく全党で今回採決されることになった法案について、さまざまな方、思い入れは深いと思いますけれども環境庁長官もひとつ御意見をいただければと思います。
  77. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 国民の健康をダイオキシンから守っていこうという各党各派の皆様方の真摯なこの法案取り組みによりまして、今回、ダイオキシン類対策特別措置法が提案される状態になったわけであります。私は、皆さん方の御努力、御苦心に対しまして、心から感謝をいたしておる次第であります。  法案が衆参で通過した折には、この法案を大切に育ててまいらなければならないと思っております。先生が先ほど来、お話の中にもありましたように、産むはやすしということで育てるのが難しいぞというような御意見であったわけでありますが、まさに大切なダイオキシン法案でございますので大切に育ててまいりたい、こう思っておるわけであります。それがためには、環境庁としては、環境行政の中で権威ある対応がとれたというふうな評価をいただくように私は頑張っていかなきゃならないと思っております。  例えばTDIの問題にしてもしかりでございまして、最近、環境庁の専門家また厚生省の専門家がWHOの方に参りまして、その決定ストーリーというものについて深く立ち入り、そして検討をさせていただいたわけであります。その報告を見ますると、まさに四ピコ以下である、その一の根拠についても、またゼロの根拠についても、しかとした権威を持った研究がなされておる。日本のまさに環境ホルモン、いわゆるダイオキシンがそういう形で数値的にも示されることで世界に発信する数値になっていくようにしていかなきゃならないと思っております。  国立環境研究所においても、昨年暮れの予算の通過によりまして新しい棟が設立されておるわけでありまして、その設立と相まって、それにふさわしい対策、評価ができるようにしていかなきゃならない、こう思っておるわけであります。  今日まで各先生方の賜りました御尽力に改めて心から感謝、お礼を申し上げると同時に、環境庁のそのダイオキシン類に対する気概を述べまして、大臣としてのごあいさつにかえさせていただきます。ありがとうございました。
  78. 福本潤一

    ○福本潤一君 環境庁長官が従来の長官以上に現地の問題点を探るためにさまざまな現場、現地に行かれておるということも知っております。ただ、環境行政に限らず日本の行政というものはどちらかというと後手後手で、公害問題でも水俣病、またイタイイタイ病、さらにはカネミ油症事件、油症の事件に関しましては、ダイオキシンでもベルギーの方で国際的な事件になって、二大臣が引責辞任ということまで起こっておるわけでございます。後手後手に終わるのを未然防止、予防原則で対応していくということが必要になってきておるわけでございますし、法律に今回具体的な四ピコ以下という数値が入ったというのは、公害問題、環境対策の問題で初めてのことだろうと思いますし、これはある意味では議員立法でないとできなかったことだろうと思います。  ですから、行政の限界、先ほど小川委員からも乗り越えるぐらいの勢いで環境庁環境省に迎えるに当たって公害行政、環境行政に取り組んでいただきたいというお話がありましたので、最初そういうお話を聞かせていただきましたので、ぜひともこのダイオキシン対策も全力で取り組んでいただきたいと思います。  と申しますのは、日本ではまだ被害は起こっていないという形で、これはどういうことかというと、むしろ厚生省、環境庁が認知していないというだけで、具体的にベトナムで起こったベトちゃん、ドクちゃんのあの奇形児発生、そのビデオ、スライド、脇本先生はかなり事件発生当時から現地に行かれて、ツーズー病院の奇形児発生は数千から万にわたるぐらいの奇形児の状況が出てきております。具体的に私も写真を見せていただいて、ある意味では産婦人科のお医者さんに聞くと、はっきり言ってもう現実に起こっていると、日本の社会では隠しますから。そういう形で起こっているような状況に関しても、ダイオキシンが未来世代にわたって影響を与えるならば、目をふさぐのではなくて本気で取り組んでいかないと。  さらには、環境ホルモンはこれからの課題になっていくと思いますけれども、ぜひとも有害化学物質の問題は、農薬も含めて大きな文明構造の基底部を変えなければいけないぐらいの大きな問題だという認識に立っていただければと思います。  といいますのは、農薬化学肥料に関しましても、ダイオキシンはかなりたくさん水田、畑に混在しておる。特に、横浜国大の益永先生のデータによりますと、焼却灰、焼却炉からの排出よりもダイオキシンの不純物はかつて使われた農薬の中にはるかに数倍のオーダーで発生しておるというデータが出ておりますから、そういう意味ではストックされたダイオキシンという問題がむしろ法律が通った後は問題になるんだろうというふうに思います。  焼却灰、焼却炉は今後厚生省、環境庁も九割削減していくんだと新聞紙上に格好よく躍りますと、九割は削減されてもうほとんど問題はないんだなというふうな錯覚に陥るところがありますので、ストックされたダイオキシン、農薬、また東京湾の海底の底質、瀬戸内海の方にもかなりあります終末処理場、土壌、こういった関係に対する対応策を法案通過後もさらに追及していかなければいけないと思いますので、どういうふうにこの対策を考えておられるか、これをお伺いしたいと思います。
  79. 遠藤保雄

    政府委員(遠藤保雄君) 先生指摘のストックされたダイオキシン汚染の問題にどう対応するかということでございます。  それぞれ対応因子、誘因に着目しながらお答え申し上げたいと思います。  まず第一に、農薬でございます。これにつきましては、過去にダイオキシンを含む農薬が農用地に施用されていたとの指摘がございました。しかし、土壌中のダイオキシン類につきましては、まず第一に、農用地のダイオキシン類による汚染の実態が十分把握されていないということ、こういう実態にございます。また第二に、農作物に実際に吸収されるのかどうか不明だという点がございます。三番目に、土壌粒子に吸着したダイオキシン類が河川あるいは海域などの公共用水域にどのように移動するのか、これも不明でございます。  このため、環境庁では平成十年度から農用地を含めました土壌あるいは河川、海域などの環境媒体の総合モニタリング調査、これを実施してきているところでございます。こういう調査を踏まえて基礎的なデータを蓄積いたしまして、そして科学的知見の充実を図る、その上で適切な対応を検討していく、こういう方針でございます。  次に、先生指摘の最終処分場の問題でございますけれども、この最終処分場につきましては、一番問題なのは飛灰とかあるいは焼却灰についてだと思いますけれども、こういうものが公共用水域とかあるいは地下水を汚染しないようにするということが非常に重要だと思います。したがいまして、現在、遮水シートとかあるいはその遮水シートを敷いたところから浸出してくるところの水、これをきちんと処理するような設備、これを最終処分場を設置する際に義務づける、こういう形で対応しておるところでございます。  このように、飛灰とか焼却灰は最終処分場に封じ込める、いわゆる一般環境からきちんと遮断する、こういうような形での対応というのが非常に重要だと考えております。  以上でございます。
  80. 福本潤一

    ○福本潤一君 そういう意味では、今農薬の実態把握もまだ進んでいない。またさらには土壌、さまざまな形で現場では、大阪の能勢町、大きなデータが出たところでは環境庁長官のおひざ元の瀬戸内海の香川県豊島、さらには龍ケ崎の城取焼却場、こういう大きな値が出たところはそれだけで住民は不安になっておるわけでございます。さらには母乳、脂肪に溶けるということで、母乳に出るということで、家庭内でおばあさんが母乳を飲ますなんてというような形で不安を感じられたり、ただ、これは実態的には、未来世代にわたるということになりますと、出生した子供以上に胎児、一カ月から三カ月、四カ月未満のおなかにあるお子さん、胎児の方が一番問題が大きいというようなことが現実にあります。  私も、ベトナムのそういうツーズー病院のホルマリン漬けになっている現実の、生まれたときはもう死んでいた、もしくは死産だったというような形のお子さんなどを見ますと、ある意味では、一つの目になっていたり体が一つの体にのめり込んでいたり、まだベトちゃん、ドクちゃんというのはかなり軽い方なんだなというのを感じておるぐらいの大変な状況でございますので、実態把握ということ、まだこれからするというようなことじゃなくて、法的整備はされる、ただ、もう既に技術的な整備、対応策を考えないと、例えば毒が体に入ったときには体外排出というのは図れますね、虫に刺されたら血清で対応するとか。そういったような体外に排出するようなことも含めて、農薬も、今までの農薬に関しては混入していたということもあるわけでございますが、そういった対応策が、私の方の党でダイオキシン対策本部をつくっていると、二百種類ぐらいやってきて、私としては、超臨界水やなんかの物理的な方法とか化学的な方法より微生物のような方法がいいなというふうに思っているところでございます。  ぜひとも日本で化学肥料、農薬漬けになった農業の対応策も含めて技術的な方策、どういう形で厚生省また環境庁は掌握して対応していこうとされているか、そちらの側面のお話もお伺いしておきたいと思います。
  81. 遠藤保雄

    政府委員(遠藤保雄君) まず、農薬についてでございますけれども、安全性の問題については、過去から繁殖試験あるいは催奇性試験というもの、いわゆる繁殖能力にいろいろ影響を及ぼす因子が入っているかどうか、あるいは胎児に奇形を起こすような性質がないかどうか、こういうものについては過去からきちんと農薬を登録する際に安全性評価をしてチェックしてきております。  今後は、こういう側面の拡充というもの、いわゆる環境ホルモン、単にダイオキシンだけじゃなくて環境ホルモンなんかも念頭に置きながらこういう側面の拡充というのが必要だと、こう考えております。  次に、農薬につきまして、化学的な物質、農薬だけじゃなくて、もっと自然にマッチした、あるいは自然に優しいいろんな農薬の使い方はないかという点でございますけれども、こういう問題につきましては、バイオレメディエーションなどというものに代表されますように、自然生態系に即した微生物を使った対応等々、今後これからそういう側面は追求していかなきゃいかぬ重要な課題であると考えております。
  82. 小野昭雄

    政府委員(小野昭雄君) 微生物を用いましたダイオキシン類の処理技術につきましては、先生今御指摘のございましたように、これまでに研究者によりましてさまざまな研究結果が報告をされているところでございますが、廃棄物処理の分野でこれらの技術を実用化いたしますためには、高濃度のダイオキシンが含まれます廃棄物の飛灰等の中におきまして微生物による分解が本当に有効に行われるか否かといった点につきまして、なお調査研究が必要であるというふうに認識をいたしているところでございます。  このために、厚生省といたしましては、平成十年度から厚生科学研究によりまして、微生物によりますダイオキシン類の処理技術について研究を行っているところでございまして、引き続きこれらの調査研究を進めまして、その成果が得られれば、廃棄物処理におきます技術の応用につきまして順次採用できるものは採用してまいりたい、このように考えております。
  83. 福本潤一

    ○福本潤一君 予算委員会等を含めて質疑した中で、焼却炉に対する予算が平成十年度の補正予算だけで千百五十億円ついて、二省庁だけじゃなくて全省庁において焼却炉千百五十億円の予算がついて、焼却炉業界が非常に活性化したという現実はあります。ただ、活性化したところで日本社会的に談合絡みのことが起こってきて嫌疑がかかっているということもあります。こういう大きな予算がついたときに各地で溶融炉を適用するといいということで、何カ所か溶融炉ができています。  私も、溶融炉の現場を見ますと、もうプラスチックがあろうと何があろうと全部一斉に焼却しても、ダイオキシン対策でない焼却炉ではかなり発生しますけれども、と同時に、その発生する熱で発電もし、なおかつ出てきたものを新たな建設資材に使ったり、ほとんど分別収集も必要でないのかなというぐらいの大変なエネルギー源とともに、ごみの焼却施設でできるということが起こっています。  ただ、具体的にそういう焼却炉問題、現場では分別収集したのに具体的には分けて焼いていない、それぞれを一斉に、ダイオキシン対策でないところの質問を前回やらさせてもらいました。城取町でもそうでしたし、この前の東長崎等々の焼却炉、四市がやっている焼却炉もそういうことが起こっていましたので、具体的に焼却炉だけの対応策では今後うまくいかない。  さらには、今回、原案と違った法案の中に、百トン未満、小型の焼却炉、例えば離島とか僻地、半島、例えば沖縄やなんかの一つの島とか瀬戸内海の一つの島になると、溶融炉をそこでつくるというような形にはまいらないわけで、そういう野焼きとか小型焼却炉由来のダイオキシンというのがダイオキシン対策になった焼却炉よりはるかに現場では大きな問題になっているということがございます。  この小型の焼却炉とか野焼き由来のダイオキシン、これに対してはどういうふうに対応されるか。法案が通っても残る問題でございますので、聞いておきたいと思います。
  84. 小野昭雄

    政府委員(小野昭雄君) 厚生省におきましては、ダイオキシン対策等の観点から、市町村の焼却施設を可能な限り集約いたしまして、処理能力が一日当たり百トン以上の施設整備の促進を図っているところでございます。しかしながら、今御指摘のございましたように、全国的には離島など大型の焼却炉を導入することが困難な地域もございます。そういった地域におきましては、処理能力が一日当たり百トン未満の中型あるいは小型の焼却炉におきますダイオキシン類排出の削減対策も非常に重要な課題だというふうに認識をいたしております。  厚生省におきましては、これまでに厚生科学研究によりまして、新しい焼却技術でございます御指摘のございました各種のガス化溶融方式あるいは活性炭吸着によります排ガス中のダイオキシン類の処理技術について評価を行ってきているところでございまして、これらダイオキシン類排出削減対策に関します調査研究を推進する中で、中型あるいは小型の焼却炉に適用可能な新しいダイオキシン削減技術の実用化の可能性についても検討いたしているところでございます。  加えまして、本年度より次世代廃棄物処理技術基盤整備事業という事業を創設いたしまして、環境事業団におきまして、民間企業等が行います先進的な廃棄物処理技術の実用化に向けた開発技術に助成を行うこととしておりまして、中小規模の廃棄物焼却炉におきますダイオキシン類の発生あるいは排出を効果的に抑制する技術につきましても支援対象とすることとしております。  厚生省といたしましては、これらの調査研究等の成果も踏まえつつ、生活環境審議会廃棄物処理部会のダイオキシン対策技術専門委員会におきまして新たなダイオキシン類低減化技術等について検討を行いまして、その成果も踏まえてダイオキシン対策技術に関します情報を体系的に整備し、中小規模の廃棄物焼却施設に関しますダイオキシン対策技術の開発普及につきまして積極的に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
  85. 福本潤一

    ○福本潤一君 積極的に取り組むというのはある意味では決まり文句になっているわけでございますが、具体的にやはり今、小型、僻地各地にある、特にガス化溶融炉で対応していく。これからダイオキシン対策可能な焼却炉等々の対応でやっていくのでございましょうけれども、もう既存の焼却炉でもダイオキシン対策になるというような方策をとらないと、今後、大型で言うと、溶融炉またガス化溶融炉を小型ではやってというような形で対応するだけではなくて、現実にダイオキシン対策、ダイオキシンの分解、ダイオキシンを食べるキノコとかいうのまで現実に愛媛大学の橘先生などが言っておるわけでございますが、最終的に分解しないと、CO2、H2O、HClまで持っていかないと難しいと思います。  私としては、農薬も含めて微生物の関係の問題はきちっと早急にフォローして、すぐやる課というのが松本何とかという人が松戸市でやっておったようでございますが、対策対策と言いながら、結局は因果関係不明というのが過去の公害問題の教訓でございますので、速やかな対策を対応としてはやるんだと。これはまた環境ホルモンまで発展していく問題になるわけでございますので、ぜひとも本気の対応をお願いしたいと思います。  PRTR法案の絡みの質疑が少ないなということもあるかと思いますので、若干そちらの方の質疑をさせていただければと思います。  今回、PRTR法案が通ったときに、届け出先の話を一番最初にやらせていただきましたけれども、具体的にどういうところがどういう形で掌握して届けるのかというので、私もフォローしてパイロット事業でやったところの案件をずっと読ませてもらいました。そうしますと、例えば病院とか、あと一般廃棄物、また産業廃棄物、下水処理場、こういうところも届け出先の事業所に入っているということでございます。  そうしますと、我々が一番気になるのが病院でございまして、さまざまな化学物質が使われている。病院とか学校や何かも、化学実験をやるところは使っておるわけでございます。特に病院内の小型焼却炉で、プラスチック製品、かなり医療廃棄物は多くございますので、病院での届け出がどういうふうになるのかというのを具体例として聞かせていただければありがたいなというふうに思います。  まず、全般的な話、病院の今回のPRTRで最初県に届けるという具体例を、中身も含めて、これはこういう形で届けるというのを教えていただければと思います。
  86. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 先ほど来御答弁申し上げておりますように、PRTR届け出の対象事業者政令で定めることとなりますので、対象化学物質取り扱い環境への排出等の実態について検討をした上で対象業種とするかどうかについて検討をしてまいるということがまず原則でございます。  ただいま先生の方で病院を例に具体的に述べてみろ、こういうお話のようでしたので、一般的には申し上げたとおりなんですが、要は、届け出に係る技術的な対応可能性や排出の実態について検討を要することから現時点で確たることを申し上げることはできないわけでありますが、仮に病院が届け出事業者となった場合に想定されるものについて申し上げれば、排出量としては、例えば殺菌剤の使用等に伴いまして公共用水域に排出する対象化学物質の量が考えられます。  それから一方、手術後の臓器自体なんかはどうだろうかと考えてみたんですが、これは恐らく本法で定義する第一種指定化学物質等に該当するとは考えられませんので対象外になるであろう。それから、人に直接投与される医薬品等については、その投与の際に環境中に排出される可能性はほとんどないだろうということで、恐らく届け出対象外ではないか。また、病院で生じた対象化学物質を含有する廃棄物をその病院外に搬出し処理するような場合には、対象化学物質の移動量を把握してもらうことになるだろう。対象化学物質を含む排水を病院内の排水処理施設で処理するような場合には、またその放流水についても排出量の把握の対象となるだろう、こんなふうに考えております。
  87. 福本潤一

    ○福本潤一君 今のを確認しますと、摘出臓器は入らない、医薬品は入らないと聞いたように思ったんですけれども、それもちょっと確認します。あと、化学物質のうち下水処理に排水したもの、これは入るというふうに答えたというふうにお伺いしますけれども、特に医薬品に関しては入らないと言われたのか、そこのところを確認します。
  88. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 先ほど答弁申し上げたのはそのとおりでございまして、人に直接投与される医薬品については、投与の際に環境中に排出されるということがその可能性として余りないんではないかということから先ほどそのようにお答え申し上げました。
  89. 福本潤一

    ○福本潤一君 特に今回、病院で医薬品というのが具体的に入ってこない。ただ、医薬品や何かでも環境ホルモンとよく言われますけれども、具体的には例えばピルや何かを使い出すと、そういった化学品が下水処理場へ流れ込んでいってということがありました。そういう形での影響もかなり大きいんではないかということもありますので、では下水処理場での届け出するもの、これも事業者として入ってくるということでございますけれども、それも具体的にお伺いさせていただきます。
  90. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 下水道処理場それから廃棄物処理場等についても当然具体的に検討対象として考えてまいるわけでありますが、今現在、それぞれの分野について具体的に、今の病院の例の投与のように一つ一つについての検討まではまだ進んでおりません。申しわけありませんが、具体的に申し上げる段階までは来ていないというふうに申し上げざるを得ません。
  91. 福本潤一

    ○福本潤一君 ただ、パイロット事業ではさまざまな形での具体例を通してのアンケートもとっているようでございますし、きょうは具体的には聞いていないんですけれども、産廃業者も具体的に届け出を移動登録も含めてするということになっていきます。そうしますと、これは実質上、小川委員の方は若干届け出先等々の不満があるとはいいながら、これが現実に適用されたときにはPRTR法案も大きなデータ、成果として、インターネットで公表されればさらに多くの人が分析することはやってくれるという形で生かされていくと思いますので、ぜひともこのPRTR法案が通り、また現実に化学物質対応策が国民にとって明白な、白日のもとにさらされるという運用をしていただくことを期待いたしまして、環境庁長官、この修正案で本気で取り組んでいくんだという決意を伺わせていただいて、私の質問を終わろうと思います。
  92. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 数々の御指摘をいただいたわけであります。まだまだその他の問題もいろいろと続出してくるものと思います。それらに対応するべく、環境行政をしっかりと受けとめまして頑張ってまいりたいと思っております。より一層の御指導をお願いいたしたいと存じます。
  93. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 有害化学物質環境に出ていく、そういう量をいかに減らしていくか、こういう法律は、言うは易しいけれども非常に大変な仕事になるというふうに思います。その場合に、国が総力を挙げてこれに取り組む、当たり前のことですけれども、やっぱり事業者協力、あるいは学者の皆さんの協力、そしてNGOや住民の皆さんの協力というのがなければこのPRTR制度が本当に有効に働いていかないというふうにこの参議院審議を通じて私はつくづくそう思いました。  確かに、審議会とかあるいは別の協議会だとか、そういう場で住民の意見を聞きました。あるいは学者やNGO意見も聞きました。あるいはインターネットで幅広く皆さんの御意見を伺うそういう機会も設けますというやり方というのはあると思うんですけれども、私が考えているのは、やっぱりもうちょっと違っていて、例えば対象物質をどうするのかというそういう問題だとか、あるいは対象事業所の選定についてどうするのかという、さまざまこのPRTR制度を動かしていく上で非常に重要な問題、事柄について、ではそれぞれの立場にある人たちはどう考えるのかというのをざっくばらんに意見を出し合える、そういう場が必要だと思うんです。  例えば、今度の場合、省庁間では何か確認書が交わされていると。それは当初、NGOだとか住民の皆さんには知らされていないで確認書が交わされている。その省庁間、あるいはそういう事業者の意を受けての行動だと思いますけれども、そういうことだけが進んでいくんでは私は制度に対する信頼性というのが担保できないというふうに思うんです。  ですから、何々審議会でもう決められた委員意見を言うということだけではなくて、いろんな場面で住民の皆さん、NGOの皆さん、学者の皆さん、事業者の皆さんが平らに話し合えるようなそういう場を確保していくということに積極的に取り組んでいくことが求められる。この新しい法律を本当に効果的に発効する、そのためには新しい考え方が求められるんではないかというふうに思うんです。  いつも時間切れで大臣の答弁が伺えないので、きょうは冒頭にその基本姿勢について伺いたいと思います。
  94. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) PRTR法案審議に当たって、先生の基本姿勢を今お述べいただいたわけであります。私も同感でございます。ただ、むやみに審議会意見だけ聞き及んで事の処理に当たるというのはもう旧来の方式でありまして、新しい方式では、先生が今御指摘になられましたNGO関係の皆さん方の考えやまた動向というものに重点を置いていかなきゃならないと思っておるわけであります。  私が考えるのに、やっぱりそういう方々が活動できる体制を政府としても行政面からも取り上げていかなきゃならないんじゃないだろうかと思っております。国民事業者や学者やNGOの皆さん方が一体になってこの処理に当たっていくということは私は非常にいい意見だと思うわけでありまして、その方向で環境行政の処理にも当たっていきたいものと考えておる次第であります。
  95. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 もう一つ長官に基本姿勢について伺っておきたいんですが、年間数億トン、十万種に及ぶ化学物質が大量に使用されるようになった二十世紀後半以降、現在では、がんの発生、アレルギー疾患、化学物質過敏症などが増加して、野生生物の世界でも生殖異常など従来気づかなかった異常が目立ってきています。これらの原因や因果関係というのはまだ十分解明されていません。しかし、人工的な化学物質による影響を示すさまざまな報告が出されている、そういう状況です。  化学物質による環境リスクの低減を図るPRTR制度運用上、化学物質の有害性を厳格に評価して対象物質を狭く限定する、こういうやり方では私は従来の規制法的なやり方と変わらないものになってしまうというふうに思います。ですから、人や生態系への影響について明確な因果関係が確認されていない灰色物質もなるべく広くとらえて、逆に言えば安全性が確認されたらその段階で対象から外せばいいわけですから、かなり濃厚だといっても安全だということがわかるかもしれない、そうしたら外していけばいいわけですから、できるだけ幅広くとっていくという基本的な考え方、柔軟な考え方が必要なのではないかというふうに思いますが、長官のお考えを伺いたいと思います。
  96. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 例えば、水銀禍の問題もそうだと思うわけでありますけれども、昭和三十一年ですから、四十年前にこのPRTR法案ができておればそれを未然に、また事後処理もいち早くできたんじゃないだろうかと思うわけであります。しかしながら、時代的背景がありまして、そのような対策は講じられなかったということは、私はまことに残念だと思うわけであります。  ようやくにして日本もこのような法案が提出されて、先生今御指摘のような問題処理ができるという段階になってきたわけでありまして、私は、遅まきながらですけれども、歓迎してこの法の運用に当たって立派にやっていかなきゃならない、こう思っておるわけであります。御指摘をいただきました数々の問題について、積極的に取り組んでいく決意を申し述べたいと思います。
  97. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 日本のダイオキシン対策は欧米に比べて十年おくれたと言われています。環境ホルモン対応ではぜひ頑張りたいと、環境庁長官は何回かこの委員会でも決意を表明されています。  PRTR制度で内分泌攪乱作用が疑われる化学物質についてどう対応するかが問われていると思います。ですから、委員の皆さんもこの問題についてかなり質問をされていると思います。  環境庁のパイロット事業では内分泌攪乱作用による物質選定はしていないのですけれども評価報告書では、「物質選定の際に考慮する有害性のうち、「生殖毒性」には「内分泌攪乱作用」も加える方向で検討することが適当である。」、こう指摘をしているのですけれども、この点、どう考えますか。
  98. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 先ほど来御答弁も申し上げておりますが、化学物質の中には人や野生生物の内分泌機能を攪乱し生殖異常やがんなどを生じさせる作用、すなわちいわゆる内分泌攪乱作用も持つものがあるという指摘がございまして、私どももそれなりに意欲的に取り組みをしておるわけであります。先ほど先生からも御指摘いただいたとおりであります。  しかしながら、現時点では、それらの物質と人の異常との因果関係や作用メカニズムなど不明な点が非常に多くございまして、内分泌攪乱作用の有無及び強さを確認するための試験方法もまだ確立されていない状況にございます。  現在、私ども化学物質の内分泌攪乱作用の有無を判別するための試験方法の早期確立に向けまして、関係省庁協力して、OECDを中心として行われる国際的に統一された試験方法の開発に私どもも一定の分野を分担することによって積極的な貢献をしているところでございます。  政府としては、こうした点を考えて、できるだけ早く取り組みを進めることによりまして、内分泌攪乱作用が一定の科学的根拠により確認され次第、速やかにPRTR制度対象物質に加えたいと考えております。
  99. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 その答弁は耳にたこができるぐらい伺ったんですが、ちょっと別の聞き方をさせていただきたいと思います。  環境ホルモン戦略計画は、指摘されている約七十物質等を優先的に調査すべきとして、生産・使用量、環境への負荷源や負荷量、環境中での分解、合成等に関する調査を実施する、調査の実施に当たっては、民間企業、団体が有する関連データや情報の積極的な提供等を求めるとしています。  有害性が科学的に確認されてから排出量を調査すればよいというものではないと思います。優先的に環境への負荷量などを調査しなければならない、これが七十物質なのではないかと思いますが、その点の御認識はいかがですか。
  100. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 私どもは、対象物質と申しておりましても、実はわかっていない分野がまだたくさんあるかもしれないし、今六十七物質の中でもどの程度のものが本当にそうなのか、あるいはその強弱がどうなのかということもこれから解明しなきゃならぬ点でありますし、また排出それから排出経路、それからそれがどういうふうに人間に暴露の可能性があるのか、こうした基礎データをまず集めることはもちろん大事だと思っています。その取り組みはいたしてまいります。  ただ、そのこととPRTR対象物質とするかというのはまた別だと考えております。
  101. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 環境庁が七十物質というのを指定したわけですから、それはそれできちっと責任を負っていかれるのが必要だということを言っているわけです。  厚生省に伺いたいと思うんですが、内分泌攪乱作用は急性毒性と違って遅発性が特徴です。相当時間がたってから影響があらわれると言われています。例えば、胎児期に母親が摂取した物質の影響を受けた子供が成長後に体の機能に異常を起こす可能性も指摘されています。有害性を立証しようとすれば、こういう観点から見ると数十年かかってしまいます。  厚生省の内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会中間報告に書かれている対応方針では、内分泌攪乱作用が指摘されている化学物質について、既存情報の収集、暴露経路調査の実施、代謝試験、多世代繁殖試験をした上で危険性の評価を行うとしています。これらのすべてをやらないと、PRTRの対象とするかどうか、そういう判断はできないということなのでしょうか。
  102. 小野昭雄

    政府委員(小野昭雄君) 内分泌攪乱化学物質の基本的な認識につきましては先ほど環境庁の方から答弁があったところでございますが、厚生省といたしましても、人の健康影響ということにつきまして、それを解明いたしますためには、国際的な動向も踏まえながら総合的な調査研究が必要ということで取り組んでいるところでございます。  具体的には、人の各種の疫学調査、これは人を対象にした調査もやっておりますし、それと同時に先生指摘のように非常に影響が長年にわたり、また世代間を越えて出るおそれがあるということから、妊娠中の実験動物にいわゆる各種の化学物質を投与いたしまして、できた子供にどういう影響があるかといったようなことの動物実験も行っているわけでございます。  そういった結果を踏まえまして、例えば動物実験で、重大といいますと定義は非常に難しいわけでありますが、かなり問題のあるデータが出てくるということであれば、複数の実験結果を踏まえまして、それは人にも起こり得るという判断がなされれば直ちにそういった物質に対する規制というものをしなければならないことは当然だというふうに考えておりますが、ただ、物質は極めて多岐にわたっておりますし、それからどういうクライテリアで順次やっていくかということにつきましては、OECD等でもいろんな議論がございます。  そういった議論を踏まえながら、これは計画的に、しかも長い取り組みが必要だというふうに考えておりまして、そういった取り組みも進めてまいりたいと考えております。
  103. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 厚生省の中間報告では、人への影響がまだ確認されていないけれども、急いで解明しなきゃいけないというふうに書かれています。  今お話があったことについて、人への影響が確認されていない段階でも、環境庁等のあるいは国際的な調査で生態系への影響が確認されればそれをPRTR対象物質とするというのは当然のことであるという考えでよろしいわけですね。
  104. 小野昭雄

    政府委員(小野昭雄君) しつこいようでございますけれども、いわゆる内分泌攪乱化学物質と言われている物質につきましては、その健康影響についてまだ未解明な部分がかなりあるということでございますので、確定的なことを申し上げるのは現段階では差し控えさせていただきたいと思いますけれども、いわゆる国際的な枠組みあるいは他省庁との連携のもとでさまざまな調査を進めまして、御指摘のような健康への影響がある、おそれがあるというふうに確認された段階では当然制度の対象とすべきものというふうに私どもとしても考えているところでございます。
  105. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 そこで、環境庁に伺いたいんですが、SPEED98で列挙している六十七、七十とも言われています、二十七物質は生産使用実態がないというふうに言っておられますけれども、そのうち約半分の十三物質は環境庁環境調査で検出をされているんです。  PRTRの対象にはならないとしても当然監視は必要だと思うんです。さっきの七十の話とダブってくるんですけれども、その点はちゃんとやられていくわけですね。
  106. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) お答え申し上げます。  私どもの調査は、実はまだこうしたSPEED98が掲げられる前からクロホン調査という形で意欲的にやってまいりました。そしてまた、昨年、十年度の補正予算で手当てもいただきましたものですから、さらに一層、六十七物質も対象にして現在まさにモニタリング調査をしておりまして、この点もできるだけ早くまとめて公表したいと思っております。
  107. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 それ以外の四十物質のうち、ノニルフェノールやビスフェノールA、一部のフタル酸エステルなど十七物質はパイロット事業で対象になっているんです。これらはPRTRの対象とする方向で検討されている、そう考えてよろしいのでしょうか。
  108. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 先般もお答えいたしましたが、パイロット事業の対象物質選定するときにはまだSPEED98の取りまとめがされる前でございました。その前にも、そうした別途の発がん性であるとか生態毒性などの有害性ということに着目して選定いたしました。結果的にその後の六十七物質の中に入っていたのが十七物質だということでございます。そういう選定過程からお考えいただければよろしいかと思いますが、対象物質そのものはこれから決めるのでありますが、そういうような事績があるということについては私どもまず冒頭申し上げ得ると思っています。
  109. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 他の法令で何らかの有害性の調査が行われているあと十七物質がありますけれども、それについても今の基本的な考え方で臨まれるということなんでしょうか。
  110. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 御指摘の十七物質については何らかの有害性の評価がもう既になされておりますので、あとはその強さ、程度が今後の判断のかぎだと思っています。
  111. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 残る六物質なんですけれども環境庁で内分泌攪乱作用について調査研究はされていくんだと思いますが、東京都の調査では、スチレン二量体、三量体、スチレンダイマー、スチレントリマーが水質や底質で検出をされています。厚生省もポリスチレン食器等からの溶出に関する調査研究を行っているわけですが、環境庁として内分泌攪乱作用の検証を急ぐとともに、環境の汚染の実態、汚染経路などについて早急に実態をこの物質については把握する必要があるというふうに思うのですけれども、その点いかがでしょうか。
  112. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) その点は先ほど答弁で申し上げたとおりでございまして、これまでも継続的にやっていたものもございますし、発生源から暴露経路等々を中心にさらに早急に調査をしていきたい。先ほども申し上げたように、十年度の補正予算等もフルにそのために使っているわけでございます。
  113. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 最後に、この環境ホルモンの問題で長官にもう一度伺っておきたいんですが、これは八カ国環境大臣会合の宣言にあるんですが、内分泌攪乱物質は子供の健康への差し迫った脅威であるというふうに指摘をされています。環境庁環境ホルモン戦略計画、SPEED98でも、科学的に不明な点が多々残されているけれども、これまでの科学的知見が指し示すように、人間及び生態系に取り返しのつかない重大な影響を及ぼす危険性をはらんだ問題である、そう警告をしています。  私は、取り返しのつかない重大な影響を及ぼす、そういうことがないようにしっかりとやっていただきたい。科学的にまだ判明していないからということで先送りするのではなくて、やっぱりこれはグレーゾーンの問題ですから、そういう問題についても本当に真摯に取り組んでいただきたいというふうに思うのですけれども長官、いかがでしょうか。
  114. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 先般も申し上げたように、日本におきまして去年の十二月に世界環境ホルモン会議がとり行われたわけであります。その議論を私も終始聞いておりまして、環境ホルモンの知見というものはいかにして集約するかということが大切なことだということを感じたわけであります。  そこで、第二回の集いも予算を計上しまして日本国で開催することになったわけでありますが、そのようにして世界のトップランナーであります学者にお出ましをいただいて、そして日本発の環境ホルモン対応というものを早急に取りまとめていきたい、こう位置づけておるわけであります。決して後追いの行政ではなくて、世界に先駆けた積極的な取り組みでこの環境ホルモンというものに取り組んでまいるつもりでございます。  そのようなわけでございますので、いろんなところから私は科学的知見をちょうだいいたしたいと思っておるわけでありますけれども、それがためにいろんな対策を講じていかなければならない、こう思うわけでありまして、きょう御出席の各先生方を初めといたしまして、多くの皆様方からそのような趣旨に沿った協力をいただきたいものと考えておる次第であります。
  115. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 通産省に表示の問題で具体的に伺いたいと思います。  パイロット事業の中間報告では、家庭からの非点源の推計について、塗料、殺虫剤、衣類防虫剤、エアゾール製品溶剤、接着剤、水道、洗浄剤、電池、照明器具等に分類して行っています。ところが、住居用殺虫剤は推計に必要な用途別使用量が得られなかったため推計できなかったとあります。また、可塑剤等のプラスチック添加剤は需要配分が困難であり、家電製品は対象物質別の含有量の情報が得られず、推計できなかったというふうに報告にあります。  家庭用の防虫剤、殺虫剤の安全性については大変大きな問題となっています。九七年三月の国民生活センターの報告によれば、シロアリ防除剤による事故が急増しています。ところが、家庭用のシロアリ防虫剤の毒性情報、これは一〇%の商品にしか記載されていません。毒性情報が十分開示されているとは言えません。しかも、シロアリ殺虫剤は化学品または雑貨品の扱いで、医薬品のような承認や認可、あるいは農薬のような登録制度も適用されないのです。業界の自主的な認定制度のみで運用されている。そういう状況のもとで、消費者に対するきちんとした安全対策が必要だというふうに思いますが、通産省いかがでしょうか。
  116. 河野博文

    政府委員(河野博文君) 御指摘の家庭用の防虫剤あるいは殺虫剤のうち、ハエあるいは蚊などのいわゆる衛生害虫を対象とするものにつきましては、薬事法に基づきまして、その成分、取り扱い上の注意などについての表示が義務づけられているということでございます。  この薬事法の規制対象外のものにつきましては、先生から不十分であるという御指摘がございましたけれども、それぞれの関係業界が自主的なガイドラインを策定することなどによって、成分あるいは取り扱い上の注意の表示を実施しているというふうに承知いたしております。  また、家庭用のシロアリ防除剤に関しましては、一部の家庭用のアリの防除剤がシロアリ防除用としても販売されているということでございますけれども、これについても同様に業界の自主的なガイドライン等により表示が実施されているという報告を受けておりますけれども、御指摘でございますので、この防虫剤等の表示の実態が安全対策上十分か否か検討してまいりたいというふうに思っております。
  117. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 国民の日常生活用品の中には有害化学物質が含まれているものがたくさんあります。例えば、最近ふえている抗菌加工商品です。前回の国土環境委員会でも指摘がありました。抗菌加工には溶質性のもの、皮膚への影響が大きいものもあって、皮膚のかぶれなど、国民生活センターへの相談もふえているといいます。また、皮膚を保護している皮膚常在菌のバランスが崩れて二次感染を起こすおそれがある、あるいは耐性菌があらわれる、廃棄後の環境への影響など未解明の問題も多いんです。  ところが、繊維製品以外の抗菌加工商品は民間の基準もありません。抗菌剤の表示もほとんどされていません。国民生活センターが九四年に行った調査では、東京で売られていた八百三十四品目のうち、抗菌剤の名前が表示されていたのは衣類などを中心に三分の一にすぎなかったということです。九七年に行った水周りの抗菌加工商品の調査では、抗菌剤について何らかの表示があったものは二十三銘柄のうちわずか六銘柄、それも抗菌剤の名称ではなかったということです。しかも、抗菌加工プラスチックメーカー六十社へのアンケート調査によると、三十五社から回答があったけれども、使われている抗菌剤については、回答がなかったり、公表できないとするところが多かったということです。  抗菌加工は家電製品にも広がっています。抗菌商品がいいのか悪いのかという議論もあると思いますけれども、そこはそれとして、抗菌剤の使用商品がこれだけ広がっているわけですから、種類を明記させる、あるいは使用上の注意をきちんとさせるということが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
  118. 近藤隆彦

    政府委員(近藤隆彦君) 御指摘のとおり抗菌加工製品は随分ふえてきておりまして、かつ表示の方法とか情報の提供が必ずしも十分じゃない、あるいは抗菌の定義もまちまちであるといった問題があったわけでございます。そういう状況を踏まえまして、昨年の十月に、多くの関係者の方々、特に消費者関係方々も入っていただきまして委員会をつくりまして、十分議論をちょうだいいたしました結果、通産省の責任で抗菌製品に対しますガイドラインをつくったわけでございます。  このガイドラインの中で表示のあり方等につきまして提案をしておりまして、具体的には、抗菌加工の有無、それから抗菌の効果、抗菌剤の種類、それから抗菌加工製品の安全性、さらに抗菌効果を発揮させるための使用方法、それから取扱注意、そういったことにつきまして、製品そのもの、ないしは取扱注意書等で十分にわかりやすく説明するようにというふうなことを提案しております。  このガイドラインにおきまして、現在、関連業界で自主的なルールづくりを進めておりまして、それが順次実現されるべく今説明会等で周知徹底を図っておりますので、おいおいこのような方針に基づきまして、例えばこの中でも、抗菌加工の有無、存在につきましては最低限製品に書くとか、そういった具体的な実は御提案もしておりますので、それを踏まえた自主的ないろんなルールが逐次業界の方で出てきておるものと思っておりまして、これを引き続き推進してまいりたいと思いまして、これを通じまして消費者に対します抗菌加工製品の情報の適正化を図っていきたいというふうに考えております。
  119. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 もう一つ事例があるんですが、家庭用品中のホルムアルデヒドです。家庭用品規制法では規制対象が定められています。その種類ごとに検出基準が定められています。例えば衣料品については、乳幼児製品は検出しないこと、大人の衣料品は下着など肌に直接着るものは七五ppm以下。また、ホルマリン樹脂加工についての通産省の通達があって、これではワイシャツなどの中衣類、真ん中に着るもの、これは三〇〇ppm以下、上着類は一〇〇〇ppm以下。このホルムアルデヒドの家庭用品の規制をいろいろ調べていったら頭がこんがらかっちゃって、何でこんなに細かく対象商品ごとに残留量を決めなきゃいけないのかというのは本当に思ったんです。  東京都立衛生研究所の調査によりますと、形態安定加工表示のある繊維製品の九三%からホルムアルデヒドが検出をされて、三割は下着などの、さっきの許容値七五ppmを超えて、最大三〇五ppm検出されているということです。壁紙、ふすま紙ではそれぞれ七五%、八〇%から検出され、マット、カーペット類では三二七ppmを最高に四検体全部から検出され、カーテンでも一検体から三一一ppm検出されたということです。エアゾール製品では二〇五七ppmというものもあったということです。  調査報告書の最後に、これらの結果は、室内環境、人の健康に大きな影響を及ぼす危険性を示唆していると思われる。したがって、今後、規制対象外の家庭用品にあってもホルムアルデヒド使用に対して何らかの規制が必要ではないかと考えられる、こう指摘をしています。  私は、規制というよりも、もちろん規制なんですけれども、これは私たちが、消費者がどんなものを日常的に使っているのかということをやっぱり知りたいという、国民の知る権利の面からいっても、規制と同時に表示というのが欠かせないというふうに思うのですけれども、その点いかがでしょうか。
  120. 近藤隆彦

    政府委員(近藤隆彦君) 今いろいろの例をお挙げでございますけれども、繊維製品につきまして申し上げますと、形態加工シャツということで最近随分注目されておりますが、これにはもちろんホルマリン加工がなされております。実は、ホルマリン加工は相当前からしわの防止等で行われております。したがいまして、人体に対する影響もつとに調べられてきておりまして、例えば一〇〇〇〇ppmとか二〇〇〇〇ppmというそういったレベルで実験をしておりまして、そういったものに比べますと非常に低い基準でつくっているというふうに考えております。  それで、こういったことを今までずっとやってきておりまして、消費者の方から、具体的な影響につきまして、特段の被害という格好ではなくて、御心配いただいておりますけれども、安全性としては数値からいいましても大丈夫じゃないかというふうに考えております。  ただ、今後につきましても、なお一層こういうことにつきまして注意しまして、消費者からの声も十分聞きながら適切なことを考えていこうと思っている次第でございます。
  121. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 次に、対象物質のすそ切りの問題について伺いたいと思います。  指定された有害化学物質届け出やMSDS、これが義務づけられることになります。有害物質を含有する製品、これを取り扱う事業者はどの程度の含有率の製品を取り扱っている場合に届け出あるいはMSDSが義務づけられるということになるのでしょうか。  パイロット事業では一%以上のものを対象にしていますが、一%というと小さいようでも一万ppmです。パイロット事業評価報告書は、混合物の含有率のすそ切りは原則として一%以上とし、毒性の強い物質、例えば金属類は〇・一%程度まで下げる方向で検討することが適当である、そう述べていますけれども、当然私はそのレベルまで対象にすべきだと思いますが、その点いかがでしょうか、通産省
  122. 河野博文

    政府委員(河野博文君) 御指摘届け出の対象事業者のある種のすそ切りでございます。対象物質の製造、使用、その他の取り扱いを通じまして、その物質を環境に排出する可能性がある事業者を対象とするということを基本としながら、過度の負担にならないようにということで、混合物のような製品に含まれる対象物の含有率についてもすそ切り基準を考えるということでございますけれども、具体的なすそ切り基準につきましては、やはり有害性の内容、程度、実施可能性を踏まえまして、また欧米の含有率あるいはパイロット事業の事例を参考にしながら今後具体的な数字を検討させていただきたいと考えております。
  123. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 MSDSで提供する性状や取り扱いに関する情報には指定化学物質の含有量も含めるのでしょうか。また、MSDSが義務づけられる事業者は取扱量によるすそ切りはないというふうに確認してよろしいのでしょうか。
  124. 河野博文

    政府委員(河野博文君) MSDSの対象となります情報の種類でございますけれども、成分情報は当然含まれるということでございます。  それから、MSDSの提供が義務づけられます事業者でございますが、これは法律案第二条の第六項でございまして、ここでは特定のすそ切りを設けておりませんので、こういった考え方に沿って運用させていただくことになると思います。
  125. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 環境庁に伺いますが、事業所の規模や取扱量によるすそ切りについて、岡田局長は、事業所当たりとりあえず従業員数で二十人程度、事業所当たりの年間取扱量で五トン程度ということを想定して二万程度、先ほど通産省は二万から三万と言われましたが、いずれにしてもそういう事業所を想定していると答弁をしておられます。諸外国では十人以上の事業所を対象にしているところが多いのですけれども、事業所にいる従業員は少なくても事業所の数が多くて全体として取扱量が多いというところもあると思うんです。従業員と取扱量の両方の基準をそれぞれ超えていなければ対象事業所とならないということなんでしょうか。
  126. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 先般来お答え申し上げているとおりでございまして、まず私が答弁した中で二万と申し上げたとすれば二万ないし三万と言うべきものだと思っております。それは先ほど先生が御指摘のような仮定のもとに試算をしてみました。  それから、今の御指摘の点は、すそ切りの仕様として従業員数と対象化学物質の取扱量を用いることを基本として考えておりますので、先生の御指摘のような物の考え方考えることになります。
  127. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 そうすると大変問題になってくると思うんですが、純物質換算で五トン以上ということは、混合物の対象含有率を一%とした場合、混合物を五百トン以上扱わないと届け出義務がなくなるんです。これでは大変緩過ぎると思います。特に毒性が強い物質の場合、対象含有率を厳しくする必要があると思います。〇・一%だと五千トン以上扱う事業所だけしか対象にならないということになるんです。パイロット事業では有害性Aランクの物質は年間〇・一トン以上、Bランクで一トン以上、Cランクで十トン以上の事業所を対象としています。一律五トン以上とするとパイロット事業よりも十ないし五十倍も緩い基準になってしまいます。対象物質百七十八物質の半分以上はA、Bランクなんです。Aが十二、Bランク七十八なんです。有害性の強い物質については対象事業所の取扱量の下限を引き下げるべきだと思いますが、いかがですか。
  128. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 具体的なすそ切りにつきましては、なお今後検討させていただきたいと思っております。  先ほど来申し上げているとおりで、最終的には政令において決定したいと考えているわけでありますが、その際、パイロット事業と同様に有害性の高い物質についてはすそ切り値を小さくすべきとの御指摘をただいまいただきました。具体的な数値の検討に当たってはその点も参考にしてまいりたいと思っております。
  129. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 終わります。
  130. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 午後一時二十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時二十五分休憩      ─────・─────    午後一時二十一分開会
  131. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) ただいまから国土環境委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、佐藤雄平君が委員辞任され、その補欠として谷林正昭君が選任されました。     ─────────────
  132. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 休憩前に引き続き、特定化学物質環境への排出量把握等及び管理改善促進に関する法律案及び化学物質に係る環境リスク対策促進に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  133. 大渕絹子

    大渕絹子君 大渕絹子です。どうぞよろしくお願い申し上げます。  質疑が大分経過をしてまいりまして、質疑内容も重なっておりますけれども、よろしくおつき合いをいただきたいというふうに思います。  法案審議の過程で明らかになりました、いわゆる地方自治体の窓口がどこになるのかがわからない、あるいは報告先の窓口が事業所管庁になるということで、その報告自体が非常に分散をされる可能性もあり、また事務も煩雑化をされるのではないかという懸念が指摘されてきたところでございますけれども、これをどう克服していくのか、具体的な政策というか対策について、まずお聞きをしていきたいと思います。  都道府県担当窓口、報告を受ける事業所管庁の窓口、企業秘密に関する判断をするところ、それから通産省環境庁の窓口の一本化についてお答えをいただきたいと思います。
  134. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) お答え申し上げます。  まず、都道府県との関係でございますが、もともと修正案衆議院で出る前から知事会議事務局等とは既に連絡をとり合っておりまして、いずれこの法案が成立した暁にはいろいろと運営面で御協力いただかなきゃならぬということで、既に連携強化の道筋をつけるべく努力しておりました。その後、さらにこうした修正をちょうだいしたわけでありますので、それに基づいて一層今後連携強化を図っていく、また支援策も先ほど来御答弁申し上げておりますように強化していく、こんなつもりでおります。  もちろん、地方分権という制度の建前の世界からいきますと、これは経由受付窓口は都道府県に決めていただくということになりますが、そこで混乱が起こらないような工夫は幾つかいろいろしていきたいというふうに考えております。  それから、関係省庁との連携でございますが、これもある意味では関係省庁に参加していただくことにより、推計マニュアルをつくるのを手伝っていただくとか、そうすることによって全省庁的にPRTR制度をバックアップしてもらう、それできちんと環境庁通産省が真ん中に立ってその取りまとめをしていく、責任を持った体制をつくっていく、こんなことで既に関係省庁との連絡協議会的なものを始めております。  そんなことで、一見複雑な経路には見えますが、それぞれの部署に参画意識を持っていただいて、きちっとスムーズに対応していただけるようにいろんな工夫をしていきたい。例えて言いますと、今後事業業種ごとのコード番号を振って、こういうコード番号の利用についてはこういう経路で流れればいいというような仕組みもつくってまいりたい、そんな努力をこの後続けてまいりたいと思っております。
  135. 大渕絹子

    大渕絹子君 企業秘密を判断する機関としてはどのようなものを考えておりますか。例えば農薬とか医薬品などをつくる場合に、企業はそれを特許として申請する場合は特許庁に申請をし、その特許庁に申請されたデータについてはその企業の固有のものとして一般に公表される制度というのが確立をしておりますけれども、これと同じような仕組みで、企業秘密を判断する特別な第三者機関みたいなものをきちんとつくって保護する仕組みが必要ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  136. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 法案にも掲げましたように、基準を明確化することによりまして、いわば事業所管省庁が第三者機関的な立場において営業秘密の判断をしていただくということで、それで十分機能していけるものだと思っています。  ただ、各省庁間で物の考え方とかにばらつきがあると困りますので、この点は先ほど申し上げましたことと同じことになりますが、その点についても私ども通産省が中心になりまして、関係省庁間での取り扱いが区々にならないように、そこの連絡調整はきちっとやっていきたいと思っております。
  137. 大渕絹子

    大渕絹子君 覚書というのがございましたね。この法律をつくるのに当たって関係省庁間の局長レベルでの話し合いが持たれて覚書が交わされておりますけれども、この環境庁通産省の窓口一本化については覚書の三というところで書き込まれておりますので、先ほど局長答弁になったように、窓口の一本化をできるだけ進めて、事業がスムーズに行われるような取り扱いが当然できるものというふうに承知をしております。  そこで、通産省環境庁が一体としてPRTR対策室というようなものをつくるとすると、各事業所管庁から担当者が同じフロアにテーブルを設置する、そして全体としてそこに寄せられた報告はそのフロアで一括、どこにも流出をしないで、分散をしないで集計作業や分類がスピーディーに行われるような体制がつくられたらもっといいのではないかというふうに私は思うのです。  そのことについて御検討いただけるかどうか、通産省にお聞きをいたします。
  138. 河野博文

    政府委員(河野博文君) 先生指摘のように、たしか建設省との覚書で、事業所管庁から両省に出されます届け出が二重の手間にならないようにということで一本化の要請を受けておりまして、これは私ども受けるつもりでお約束しているわけでございます。  具体的なあり方については、今後環境庁とじっくり相談をしてまいることになりますけれども、例えばコンピューターの活用などもむだにならないように共用といいますか、そういった格好でむだを省いて効率的に、また一体として運用ができるように考えてまいりたいというふうに思っております。
  139. 大渕絹子

    大渕絹子君 さきの連合審査のときにも指摘をいたしましたけれども、各業所管庁におきましても、今のところ企業秘密にかかわる判断について的確にできる人材が存在をしているかというと、これからの課題だと答えておられるわけですから、この際思い切った抜本的な提案をしながら、本当に一体的に取り組める体制づくりをしていったらこの法案の趣旨がより生かされるのではないかと思いまして、御提案をするところでございます。  また、先ほど岡田局長は、それぞれの省庁で企業秘密に関する判断ができるということをお答えになっていましたけれども、農水省が農薬についての判断をするということになると思いますけれども、この農薬の扱い方が極めて今までずさんであったと指摘せざるを得ないと思います。当委員会におきましても、CNPの問題やDDTの問題などについては多く指摘がございました。そして、さらに今松枯れ対策として使われておりますスミチオンの毒性データの公開などにつきましても、生産工場では企業秘密だと言い張っているわけですけれども、実際にはデータは閲覧ができる状況になっており、これは企業秘密扱いにはならないということを裁判所の判決で決定されて初めて認めるというような状況が起こっているわけです。  こういうことが日常茶飯的に農水省では今まで行われてまいりました。毒性が判明をして、三十年も四十年もたってようやくその登録を生産工場が自主的に取り消す。農水省が取り消し命令を出すんじゃないんです。ナックにしろCNPにしろ、生産者側が自主的にもう生産を中止いたしましたということで登録を外すというような、こういうまやかしの手法で登録が外されてくるというようなことが農水省にはかつてありました。  こういう省庁がこの事業所管庁として本当に農薬の安全性について管理ができる体制にあるかといえば、ここはやっぱり企業側とそれから農業とのはざまに立つ、いわゆる農業者は農薬を使わなければ生産が上がらないというところがあるわけで、非常に微妙な立場に立って、農水省自身がその判断を見間違うということが私は往々にしてあると思うんです。  ですから、事業所管庁がきちんと管理をすると言いますけれども管理できない状況に置かれている官庁もあるということを踏まえて、農薬等の管理におきましてはさらに厳重なものが必要だと思います。  それに、環境庁通産省がこのPRTRの主管省庁となるというのであれば、農水省とのこの第十号の覚書の規定の中で、既成の今の法律だけでPRTRの報告義務はないというようなことが取り交わされていますけれども、こんなことが許されるのかどうかというのはもう一度検討する必要があるのではないかと思います。これは通告しておりませんでした。随分と重なってしまったので通告していない質問ですけれども、ぜひ通産省環境庁お答えをいただきたいと思います。
  140. 河野博文

    政府委員(河野博文君) 農水省との覚書でございますが、御指摘の覚書は、もし私の理解が正しいといたしますと、指定物質を指定する際、審議会に諮る前にあらかじめ農水省に協議をするといった趣旨の覚書があったと思います。  その点の御指摘でありますと、これは私も実際に農水省と各省折衝といいますか、そういうプロセスを行った者から報告を受けておりますけれども、やはり農薬についての知見のある農水省の知見を拝借して審議会に諮問するデータなどについて充実を図るという趣旨で御相談申し上げる約束をしているというふうに聞いておりますので、その趣旨を外れるものではないというふうに思っております。
  141. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) お答え申し上げます。  今、河野局長の方から御答弁申し上げましたように、生態系への影響といった面で農水省には農水省の知見がある。この知見も我々は役立たせていただきたいという気持ちがありまして一方であれしていますが、私どもは私どもで農薬についての勉強もそれなりにさせていただくことによって、それぞれの知見が相まってきちっとした制度運用できるようにしていきたいと思っております。
  142. 大渕絹子

    大渕絹子君 この覚書の二項のところに、「事業者への二重負担を回避する観点から、当該情報提供措置をもって法第十四条の措置を果たしているものと見なす」という旨が書かれていますけれども、そこについて聞いているわけですが。
  143. 河野博文

    政府委員(河野博文君) 失礼いたしました。  御指摘の点は、MSDSの提供義務との関係であろうと思います。農薬取締法におきましても成分表示が相当広範にわたって義務づけられているということでございましたので、同等の成分表示の情報提供が行われているということであれば、MSDSの義務はそれで果たされているというふうに考えるということを双方了解した次第でございます。
  144. 大渕絹子

    大渕絹子君 農家が農薬を使用する数量などの把握はすべて推計で行われますね、この法律ですと。松枯れ対策で使われるものなんかもそうだと思います。環境に一番負荷を与えているのは農薬なんです。その農薬がPRTRの重要な対象から外れるということであっては、この法案意味するものがまことに少なくなるというふうに思いますので、ここは環境庁長官に私は連合審査でも申し上げましたけれども環境ホルモンの疑いのある物質が含まれるものは農薬が五割を超えているんです。そういう状況の中で、本当に疑いのあるものについては農薬の使用をする観点からもきちっと見張っていくことが必要だろうと思います。  環境庁長官に、農薬の排出量とか移動量の把握というようなことについて、この制度をどう生かしていくかということをお聞きしたいと思います。
  145. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 先ほどちょっと答弁の中でも触れさせていただいたんですけれども、私から答弁させていただきます。  先ほど、農薬についても私どもも知見を高めていきますと申し上げました。内分泌攪乱化学物質問題につきまして、環境庁は、内分泌攪乱作用を有すると疑われますところの農薬を含めた化学物質について、水や土壌等環境中での存在に関する緊急全国一斉調査を行っております。この点は、十年度補正でやっておりますというふうに先ほども申し上げました。  農薬については、既に催奇形性等の繁殖への影響を含めた安全性評価が行われておりますが、内分泌攪乱化学物質問題に対する知見が限られていることから、内分泌攪乱作用に着目した二世代繁殖試験等、毒性評価試験法の見直し等の調査研究を進めておるところであります。
  146. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 岡田局長、もう少しゆっくり説明してください。
  147. 大渕絹子

    大渕絹子君 長官、どうぞお願いします。
  148. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 農薬問題について先生の知見をお聞かせいただいたわけでありますけれども、私も例えば松くい虫なんかの対策におけるスミチオンのありようなんというようなことについては、常日ごろから懸念をするところであります。  やはり農薬もその対象に入れて、これからしっかりと対策を講じていくようにしなければならないと思っておるわけであります。
  149. 大渕絹子

    大渕絹子君 ありがとうございました。  長官は、この間、佐渡にトキの優優を見に行っていただきました。私も一緒に参りましたけれども、そのときに佐渡にトキが舞えるような日をというふうに願ってごあいさつされたことを非常に感銘深く聞いたわけですけれども、残念ながらあのトキを育成している周辺でも、松枯れ対策と称していまだにスミチオン散布が堂々と行われておりまして、まだまだトキの里にはほど遠い現実があるということをぜひ御理解いただいて、無用なもの、対策に全く役に立たないものが引き続き行われていくようなことがないように、この法案審議に当たり強く要求をしておきたいと思っております。  それから、第十八条の三つの審議会のあり方、開催のされ方について細かくお聞きをしていきたいというふうに思います。  政令を決めるために三つの審議会が合同で開催されると答弁されておりますけれども、何人ぐらいで構成をされていくのか、その参加の比率は何対何対何なのか、会長は輪番制をとるのかどうか、あるいは国民からの直接意見聴取というのはどんな形でするのか、対象物質や対象事業所について一つ審議会から提案がなされたら、PRTRの本質に沿ったら、一つ審議会の提案であっても当然それは対象とすべきであるというふうに思いますけれども、これらについてお答えをいただきたいと思います。
  150. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 審議会の議論の場のつくり方といたしまして、先般来、三つの審議会がそれぞればらばらにやるのではなかなか大変ではないか、その場合にどういうふうに関係づけるんだというような御質問がございました。  それに対しまして、私の方では、今後の検討課題ではあるんだけれども、できれば合同でやる等によりましてばらばらに何度も手間暇がかかるような仕組みを避けるような努力をしてみたい、工夫をしてみたいというふうに申し上げました。したがって、そんな方向で工夫をさせていただこうと思っておりますが、今のところ御質問にありましたような構成をどうするかとか、あるいは座長を輪番にするかとかいうことまでまだ具体化しておるわけではありません。この後詰めてまいります。  ただ、これまで実際に幾つか合同で審議会をやるというケースを最近いろんな機会にやっております。例えば、TDIの設定に当たり、厚生省の方の審議会環境庁の中央環境審議会からそれぞれ委員先生を出してそこで審議していただいたとか、あるいは本PRTRについても、最後の段階でありますが、中央環境審議会と化学品審議会で合同でそういう取りまとめ結果を報告したとかということを幾つかやっております。したがって、そういう経験をもとに今後具体的な検討をしてまいりたいと思っております。
  151. 大渕絹子

    大渕絹子君 国民からの直接の意見の聴取というのはどんな形で。
  152. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 中央環境審議会環境保健部会におきましてPRTR制度のあり方について議論をお願いしたときにも、インターネット等を通じましてそれまでの議論を全部公開するとともに、国民意見の聴取をしたところでございます。  国民意見の求め方については、さらに工夫をしまして、できるだけ多くの方から意見が求められるように工夫してまいりたいと思っております。
  153. 大渕絹子

    大渕絹子君 三つの審議会は、それぞれの省庁にとっては大変貴重な意見を提言いただける大変大切な審議会です。その一つ一つ審議会で提案をされたものとしては、それは本当に厳粛に受けとめる内容であるというふうに私は思うんです。  ですから、三つの審議会意見が一致を見なくても、一つ審議会で提案をされたことに対してはお互いに容認していく、PRTRの対象にしていくというような運営がなされない限りこの法律の趣旨というのは生かされないと思いますが、通産省はどのように考えますか。
  154. 河野博文

    政府委員(河野博文君) 今、環境庁から御答弁がございましたように、PRTR法案も最終段階ではございましたけれども、中央環境審議会と化学品審議会の合同審議お願いいたしました。そこでも基本的な意見といいますか、先生方の御意見は一致をして支持をいただいたというふうに思っております。  物質の選定に当たりましても、それぞれの審議会に諮るか、あるいはまた意見が違うような場合があれば、環境庁局長の御答弁にありましたように合同でやるというのも一つの知恵だというふうに思っておりますけれども、それぞれの専門の方が大勢入っておられますので、科学的知見に基づいた議論をしていただければ大きく意見が違うということを正直言って余り想定はしておりません。  ただ、仮に意見が違いました場合には、むしろそういった議論の過程は公開いたしますし、それに対する国民の皆さんからの御批判を仰ぐという意味でもパブリックコメントといったような仕組みをもちろん導入してまいりますし、そういったプロセスを経ることによって議論が収れんしていくのではないかなというふうに思っております。
  155. 大渕絹子

    大渕絹子君 通産省に対象物についてお聞きをしていきたいと思います。  対象物質の特定ですけれども環境庁が行ったパイロット事業では一%、いわゆる一〇〇〇〇ppmを含むものを取り扱っている事業者のみが対象になりましたけれども、物質によっては、例えば第一種特定化学物質、水銀、カドミウム、鉛、クロム、砒素などの重金属などは少なくとも〇・一%、一〇〇〇ppm以上の含有量のあるものは報告をさせるべきだと思いますけれども、これはいかがでしょうか。
  156. 河野博文

    政府委員(河野博文君) 対象物質のすそ切りといいますか、そういったことにつきましてはこれから検討させていただいて決めてまいるわけでございますけれども、パイロット事業で御指摘のような一つの一%あるいは〇・一%といったようなすそ切りが既に活用されているという経験がございますので、こういった経験も念頭に置きながら、環境庁と相談をしながら決定していきたいというふうに思っております。
  157. 大渕絹子

    大渕絹子君 そういう重金属とともに、純物質換算でも百キログラム以上取り扱っている場合には報告をさせる必要があると思いますけれども、これについても検討していただきたいと思います。また、第二種の特定化学物質につきましても一トン、一%を含むものでは百トン以上扱っている場合には報告をさせる必要があると思います。  これらについて、対象物質のすそ切りのときに緩やかなものにならないように、パイロット事業で行った対象だけでも私は緩いと思っています。特に毒性の強いものに対しては、すそ切りが緩くなることのないように強くお願いをしておきたいと思います。  そしてさらに、本法案では、事業者の報告義務の対象は環境への排出物と廃棄物としての移動量のみで、取扱量とか貯蔵量は対象とされておりませんけれども、当然パイロット事業ではこれらについて報告をしていただきました。また、その報告について何ら異論がなかったという企業者からの答えも来ているわけでございますから、この取扱量や貯蔵量についても参考値として報告書にきちんと書き込まれる欄をつくっていただきたいと思いますけれども、あわせて御答弁いただきたいと思います。
  158. 河野博文

    政府委員(河野博文君) PRTR届け出対象、そしてMSDSの提供義務に関するすそ切りの御指摘につきましては、御指摘の趣旨を踏まえてこれから検討させていただきたいというふうに思っております。  取扱量、貯蔵量等につきましては、これは累次御答弁申し上げましたように、この法律におきまして罰則を担保して報告を受ける対象としては移動量及び排出量ということでございます。具体的なフォーマットの中に記するというのは、御指摘ではございますが、今私どもはそこまで検討を進めていないというのが実態でございまして、今後検討させていただきたいと思います。
  159. 大渕絹子

    大渕絹子君 参考値の欄という形で、書いても書かなくても企業者の自主的な判断に任せるということの選択もできると思いますので、ぜひ御検討をいただきたいというふうに思います。  最後に私は、この委員会質疑を通じながら、私たち社会民主党PRTR制度導入については積極的に推進をすべき立場で対案も出し、この法案づくりにかかわってまいりました。そして、少し修正をすれば全会一致で本当にPRTR制度そのものを導入することができる局面にもかかわらず、法案をつくる立場の皆さん方の御努力は私は不足していると思います。  そういう意味で、局長同士お互いに話し合いながら、もう少しよりよいものにしていったら全会一致になれるという、そこをなぜ踏まえることができなかったのか、非常に残念でたまりません。そのことを申し上げまして、質疑を終わります。(拍手)
  160. 泉信也

    ○泉信也君 今、大渕先生から大変厳しい御意見がございました。  確かに、この委員会の議論を通しても、さらにこれから修正をしていく、よりよいものにしていく余地があることは事実だと私も思います。しかし、第一歩だということを考えますときに、この法律を早く成立させて運用が一日も早く図られるようにすることも大切なことだというふうに思うものです。  そこで、第三条の化学物質管理指針のことについてまず少しお伺いをいたしたいと思います。  この指針というのは、環境庁あるいは通産省その他多くの関係省庁が関連をしながらつくり上げていくものではないかというふうに私は思うわけですが、策定の過程ではどういう段取りでおつくりになるのか。その指針の内容が第二項に書いてございますけれども、実態上つくり上げる過程を少しお聞かせいただけますでしょうか。これは通産省の方がよろしいでしょうか。
  161. 河野博文

    政府委員(河野博文君) この指針は、法律にもございますように環境庁と私どもが共同して作成していくということでございますけれども、さまざまな知見をこれから集積していくということでございます。  御案内のように、第三条の第二項におきましては、第一号で具体的な排出抑制につながるような技術的な内容をガイドラインとして示すことを考えております。それから第二号におきましては、化学物質の使用量そのものを合理化するといいますか、回収したりあるいは再利用したりすることによって合理化をしていくということを考えているわけでございます。  こういった知見をそれぞれの両所管の大臣からも提供していただき、また私どものこれまでのさまざまな知見といいますか、そういったものもそれに加え、そして産業界がこれまで幾つかの努力をしてきておりますから、そういった実績も提供してもらって、環境庁と私ども原案のようなものをつくりまして、第三条にもございますように関係行政機関の長に協議をしてまいりたいと思います。そのプロセスでまたさらに関係行政機関の長の皆さんから具体的な知恵を授けていただければ、そういったものも織り込んで策定していくということを考えているのでございます。
  162. 泉信也

    ○泉信也君 この法律に規定されておることを今局長お答えいただきましたけれども、例えばその過程で、ある種の審議会みたいなものを、局長の諮問機関と言ってはちょっとよくないのかもしれませんが、そういうものを活用されるというようなお気持ちはございますか。
  163. 河野博文

    政府委員(河野博文君) 正直に申しましてそこまで検討しておりませんでしたけれども、今後どのようなプロセスが必要か、検討してまいりたいと思います。
  164. 泉信也

    ○泉信也君 この一つをとりましても、環境庁通産省が中核になってPRTRの実行を図っていかなきゃならないということになるわけです。  そういたしますと、言葉がちょっと悪いんですが、今まで環境庁環境の立場から、通産省は産業の育成という立場が大変強かったと思います。今は必ずしもそうではありませんけれども、結果として環境庁側が、あるいは環境省がこれまでと違ってもう少し、従来の言い方をしますと通産省の領域に踏み込んでいく、そういうことが恐らく避けられないんじゃないか。化学物質管理あるいは改善環境庁が指導するというような事態が起きてきてもやむを得ないというか、当然だろうというような思いもしますが、そういうことについては通産省はあり得るというふうにお考えでいらっしゃいますか。
  165. 河野博文

    政府委員(河野博文君) 御指摘のように、化学物質管理指針という条文は、具体的な製造プロセスを念頭に置きまして、もちろん業種ごとというよりは反応装置系統でありますとか、そういったプロセスごとに技術的なガイドラインを定めていくということを念頭に置いているわけでございます。  これは環境庁が御答弁なさるべきかもしれませんが、従来の環境行政で製造プロセスまで立ち入ってガイドラインをつくるというようなケースは余り見受けられなかったようにも思っております。この法案では、私どもは製造プロセスに関しますガイドラインも環境庁協力してつくっていこうということでございますので、あるいは御指摘のようなことかもしれません。
  166. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 私の方からも若干のお答えをさせていただきたいと思います。  環境庁自身といたしましても、これまでも化学物質環境中の存在状況や環境中における挙動の調査、あるいは先ほど来も出ておりますが、ダイオキシン類や環境ホルモンに関する調査研究あるいはPRTRパイロット事業などに取り組んできておりまして、それなりの蓄積は持っているつもりでございます。  そこに加えまして、さらに化学物質に関する環境規制につきましては、今般の行政改革基本法で、化学物質審査及び製造の規制についても環境省が他省とともに共管するというふうになってきておりまして、そういう意味では法的根拠も持って化学物質に対応できる仕組みに、現時点環境省になる状況にあるという状況も御理解賜りたいと思います。
  167. 泉信也

    ○泉信也君 行政の縄張り争いがいつも悪く言われます。それは確かにそうだと思いますが、通産省環境庁も、あるいは環境省も、それぞれの分野のプロがお考えいただくわけですから、あるときには他省庁には発言をさせないくらいの自信と英知と知恵を集めて議論していただきたい、そして結果としていいものをつくっていただきたい、私はそのように思っております。  これまでのそれぞれの省庁の蓄積もありますでしょうから、また得意とする分野もございますでしょうから、それを出し合って、いい環境行政と申しますか、この法案を実施に移していただきたいと思います。  それから、けさほど来の同僚議員質問の中にもございましたMSDSのことについて、少しお尋ねをさせていただきたいと思います。  これは、この法律全体の中で、十四条から十六条までですからわずか三条に書き込まれておるわけです。若干据わりが悪いかなという思いが一つと、この三条で所期の目的を達成できるのかなという非常に複雑な思いを持っております。諸外国で既にこの制度が動き始めておりますし、日本でもこのことをきちんと定着させることが重要だというふうに思う中で、一つ二つお尋ねをさせていただきます。  恐らく、これまでの議論の中でMSDSについては、消費者に渡る商品についても何らかの表示をすべきではないかというような議論があったのではないか、こんな思いを私は持つわけです。一般的に、そんな細かいことをこういう制度にのせても消費者がわかるわけではありませんけれども、場合によってはそういうことが必要ではないかというふうに私は思っております。  通産省としては、今後を含めて消費者との関係についてはどんなお考えでいらっしゃいますでしょうか。
  168. 河野博文

    政府委員(河野博文君) このPRTR法案の中でMSDSを位置づけましたのは、累次御説明申し上げましたけれどもPRTRを実施するために、化学物質の組成等々をユーザーの皆さんによりよく把握していただくということが主たる目的でございまして、この法律の中で一体的に措置をしたということでございます。  また、そういう目的でございますので、MSDSの提供義務も事業者間取引ということが念頭に置かれております。また、具体的に表示をしていただくことも、ある意味ではビジネスといいますか、そういった専門家が使いやすいようなデータになりがちだというふうには思っております。  そこで、消費者の皆さんに化学物質の組成等をどのようにお知らせするべきかというのは、きょうも若干御議論いただいたような点があったというふうに記憶しておりますけれども、消費者用の品質表示法という法律もございまして、こういった法体系の中でどのような表示がわかりやすいかといったことを念頭に置きながら検討していくべきかなというふうに思っているところでございます。
  169. 泉信也

    ○泉信也君 先ほどこの十四条にかかわる話の中で、二条の六項を引用されて、足切りはないというようなことを局長答弁されたと思います。  それは大変結構なことだと思いますが、この仕組みを周知徹底させる方法、逆に足切りがないがために、末端まで行き届かせるためにはどういうことをお考えになっておられるんでしょうか。
  170. 河野博文

    政府委員(河野博文君) MSDSの法制化に際しまして私ども参考にしてまいりましたのは、実はたしか平成三年からだと思います。日本化学工業協会が、私どもも御協力申し上げながら、ある種自主的な取り組みとしてMSDS制度を発足して積み重ねてきております。ただ、これもやはり自主的な制度ということでそれなりの限界があるということが私どもの調査結果で分かっているわけでございます。  このMSDSの提供義務は、主として化学物質の製造に携わる方々ないしはそれに準ずる方々ですので、比較的義務を負う皆さんの対象範囲はPRTR全般に比べれば限られているようにも思います。そういった皆さんに対して、できるだけこれから業界団体の皆さんにも協力していただきながら周知徹底を図っていくというのが私どもの務めだというふうに思っております。
  171. 泉信也

    ○泉信也君 十五条は、通産大臣が勧告をする、そしてなおそれに従わない場合には公表するという形で関係者に対してこの法律の遵守を積極的に取り計らおうという仕組みですが、諸外国もやっぱりこの程度のことで規定がされておるんでしょうか。  罰則ということまで私は申し上げるつもりはありませんけれども、この程度の規定でうまく外国も事が運んでおるということなんでしょうか。
  172. 河野博文

    政府委員(河野博文君) 現在、手元に諸外国のMSDSの制度の罰則まで持参しておりませんで大変申しわけございませんけれども、通常こういった資料添付あるいは情報提供義務に際しまして用いられますある種のペナルティーと申しましょうか、こういったものでは、まず勧告を行い、そしてその勧告に従っていただけない場合に業者の方の名前を公表させていただくというようなことで、おおむね担保されているように理解しております。
  173. 泉信也

    ○泉信也君 公表とかあるいはそれ以上のことがなされなきゃならないことを私は期待しておるわけでもありませんし、関係業界の方々にぜひ御協力をいただく、当然の義務としてその責務を果たしていただきたい、こんな思いでおります。  そこで、最後に環境庁長官一つだけお尋ねをさせていただきますが、再三再四にわたって長官のこの法律運用あるいは実行に当たっての決意をお伺いしてまいりました。多くの委員からもそうしたことのお尋ねございましたけれども、この法案が成立後実施に移される中で、こんなことが長官として特に気をつけていかなきゃならないな、あるいはこれからこの委員会の議論を踏まえて長官がどんなお考えをお持ちいただいておるのかを御披瀝いただき、これを最後に質問を終わらせていただきます。
  174. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) PRTR法案をまとめるに当たりまして、主管庁であります環境庁通産省の間で長時間にわたって意見を交換してまいったところであります。  まず、この調整が難航いたしましたけれども、何としても早期にこの法律案をつくらなきゃならないという最終目的で両省とも一致した体制の中でこの法案がようやくにしてでき上がりつつあるわけであります。運用に当たっては、まさにこの両省間でいろいろ問題になった点に留意しながら立派な運用に努めていかなきゃならないなと思いますけれども、各党間での調整にもいろんな意見がありましたように、まだこの運用に当たっては問題点が多々出てまいるものと思っておるわけであります。  先ほど来の御審議の中でも、七年を待たずしてでも見直してみようというような意見もあるわけでありますから、私は至らない点は早急に問題処理ができる対策を講じていかなきゃならぬ、こう思っておるわけであります。決してこれが最高のものであるとはなかなか言えないわけでありますけれども、出した以上はベストなものであると、こう言い切ってきたわけでありますので、そういう点に留意しながらやってまいりたいと思っておるところであります。(「ベストと言ったじゃないか」と呼ぶ者あり)ベストと今も言っています。
  175. 泉信也

    ○泉信也君 ありがとうございました。
  176. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 私は、本案に関連して、沖縄の米軍基地の問題で質問をさせていただきたいと思います。  まず、在日米軍基地絡みの環境汚染事故は、復帰後現在まで何件発生しているか。ごく最近でも嘉手納弾薬庫の一部返還地域から鉛が検出されております。そのほかにも、PCBや劣化ウランによる環境汚染などが数多く発生しているわけでございます。  そこで、こういった事例について、復帰後の米軍基地による主な環境汚染問題について、その概要を説明していただきたいと思います。
  177. 遠藤保雄

    政府委員(遠藤保雄君) 現在使用されております在日米軍基地における主な環境汚染問題といたしましては、種々ございますけれども、例えば平成五年三月に発見されました嘉手納飛行場内の井戸の燃料油汚染問題、あるいは一九六〇年から七〇年代にあったとされ、昨年八月に報道されました嘉手納飛行場におけるPCB含有廃油投棄問題、こういうものが挙げられると思います。
  178. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 劣化ウランの問題については、そのほかに外務省は何か御存じないですか。
  179. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) 米軍による劣化ウラン弾の使用という問題がございました。  これにつきましては、日本側におきましても現地の調査を行ってきたところでございます。ことしの五月でございますけれども、米軍による鳥島射爆場におきます環境調査等が実施されて、日本側同行団が現地で米側の作業を観察したというような作業を行っているところでございます。
  180. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 このような、復帰後でもたくさんの環境汚染が米軍基地絡みで発生しております。米軍基地内の環境汚染事故に関しては、日本側がいわゆる立入調査するというふうなことはできるのかどうか、その辺の地位協定の問題について、法令等に関連して今どういうふうな状況になっているか、説明願いたいと思います。
  181. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) 先生御案内のとおり、在日米軍の施設・区域への立ち入りにつきましては、日米地位協定の第三条に基づきまして、米軍が施設・区域の管理及び運営の権利を有しております。そこで、施設・区域の管理をこのように行います米軍との調整を経た上で立ち入りが行われるということが原則でございます。  具体的には、これも先生御案内のとおりでございますが、個々の立ち入りに当たりまして、施設・区域の立入許可手続に関します日米合同委員会合意がございまして、これに従いまして米側の個別の同意を得て実施してきているというところでございます。  なお、環境に関連して具体的な問題が生じたという場合には、問題が生じましたその米軍の施設・区域への立ち入りの問題も含めまして日米合同委員会の枠組み、特に合同委員会のもとに設けられた環境分科委員会等を活用して対処してきているところでございまして、かかる手続を通じましてこれまでも我が国政府当局、また関係地方自治体が立入調査を行ったという事例もある次第でございます。
  182. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 いわゆるSACOの合意によってしか立入調査ができないというふうなことからすると、日常的なそういった環境問題についての基地内における日本政府のいわゆるPRの問題も含めて、やはり基地内の問題については、こういった法律ができるわけですから、基地内であっても属地主義でちゃんとやるべきじゃないかというふうに私は思うわけであります。  先ほどもあったように、いろんな意味で米軍基地絡みの環境汚染問題が出ているわけですから、それはやはりこの法令に基づいて、日本政府としては、当然民間と同様な立入調査が実施されてしかるべきじゃないかというふうに私は思っているわけですが、外務省にその辺についての問題整理について、御説明願いたいと思います。
  183. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) 米軍施設におきます環境の問題、これは私どもも非常に重要な問題と考えている次第でございます。  地位協定上の仕組みと申しますのは、先ほど御答弁申しましたようなことになっているわけでございますけれども、特に具体的な問題が生じますと、そういう手続が非常に重要になってくるわけでございます。  日米間には日米合同委員会というのがございまして、そこで環境の問題について日米間で情報交換、協議を行うための特別の小委員会といたしまして環境分科委員会があるわけでございます。ここにおきまして、日米間におきましていろんな情報を交換するとともに、我が方からの必要に応じての申し入れを行ったり、米側の回答、説明を求めるというようなことをやっているところでございまして、こういう協議手続を通じまして米軍の施設・区域における環境問題に対処しているというところでございます。
  184. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 先ほど嘉手納飛行場内におけるPCBの問題で、池を掘ってそこにPCBを埋めたというような新聞報道もあったわけであります。それが、アメリカのいわゆる環境調査団によって調査が実施されたわけでありますけれども、そのときには外務省も立ち入りされたと思います。  その辺のPCBの汚染の状況について、どういうアメリカ側の調査結果が出たのか、あるいはどういう報告があったのか、御説明を願いたいと思います。
  185. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) 御指摘の嘉手納飛行場におきますPCBの汚染の問題についてでございます。  御指摘のような件についての報道がございました。そして、昨年の十月から十一月にかけまして、米国側におきまして専門家から成る環境調査団を同飛行場に派遣いたしまして調査を行ったところでございます。この調査結果に関します米国政府としての最終的態度はいまだ固まっていないというふうに承知しておりますけれども政府としましては、我が方といたしましては、この調査結果に関する米側の最終的態度を見きわめた上で対応ぶりを検討したいと考えているところでございます。
  186. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 もう約一年も調査してからたつと思うんですけれども、いまだにその調査結果が出ないということはちょっと理解しかねるんです。いつごろそういった調査の結果が出るんですか。
  187. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) 私どもといたしましても、できるだけ早く調査結果が公表できることになるように努力をいたしたいと思っておりますけれども、ただいま申し上げましたとおり最終的態度はまだ固まっていないと承知しておりますので、これからも米側と鋭意協議、折衝をしていきたいと思います。
  188. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 この件については住民が非常に関心を持っておりますから、ぜひ早目に調査結果を発表して、そして遺憾のないようにしていただきたいというふうに要望しておきたいと思います。  そこで、在日米軍基地内で発生した環境汚染事故について、関係都道府県及び基地所在市町村にはどのような権限が及んでいるのか、その辺を具体的に説明願いたいと思います。
  189. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) 私の方からまず御説明いたしますが、先生御関心と思われます立ち入り等の調査の権限等との関係地方自治体に関してもあるかと思います。  関係地方自治体が環境調査のために施設・区域に立ち入りということを行う場合につきましても、先ほど申し述べました政府による立ち入りの場合と同様でございまして、米軍とその地方自治体との間での調整を経て行われるということが原則でございます。したがいまして、具体的には、個々の立ち入りに当たりまして、施設・区域の立入許可手続に関する合同委員会合意に従いまして、米側の個別の同意を得て実施されるということでございます。  また、米軍といたしましては、環境に関連して具体的な問題が生じた場合に、周辺住民の不安を解消して米軍による環境保全措置や事故処理に関する地元の理解促進するとの観点から、問題が生じた施設・区域への立ち入りを含めまして、関係地方自治体からの要請に対し、現地米軍部隊において可能な限りこれにこたえるべく努力をする、配慮をするというふうな方針であると承知いたしております。  なお、関係地方自治体の方から施設・区域内において発生いたしました環境上の事故等に関しまして米側に照会を行うという場合には、米軍としましては、広報を担当する部局を通じまして適宜説明を行っているところであるというふうに承知いたしております。  これまで、現実に地方自治体が立入調査を行った事例というのも、先生御承知のとおり数例ございます。全部は申し上げませんけれども、例えば平成八年十一月、キャンプ瑞慶覧におきますPCB漏出事故というのがございましたけれども、その際には、沖縄県北谷町等の地元関係者が米軍によります除去作業に立ち会いまして、また沖縄県はその地点におきまして地下水等の調査を実施しているということもございます。また、平成十年十二月及び平成十一年三月に、これまたキャンプ瑞慶覧におきまして油まじりの排水が漏出したということがございました際には、那覇の防衛施設局とともに北谷町の関係者が立ち入りして調査に参加しているということがございます。
  190. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 要するに、私が申し上げたいことは、疑わしい環境汚染の問題について即刻調査に入っていくという市町村の権限そのものが全く与えられていないんじゃないか、環境汚染が発覚をしてから調査に入るというふうな状況ではそれはおかしいんじゃないか。  このPRTRの問題においても、事前にそういった企業から報告があってそして適切に処理するというふうなものが法案内容でありますけれども、この沖縄の基地問題については、汚染されて発覚して初めて基地に立入調査するという内容になっているんじゃないかというふうに私は思っておるわけであります。  そこで、在日米軍基地内の環境法制上、米国法上の地位も非常にあいまいであると私は思います。日本の法令の直接的な適用もなければ、在日米軍基地内は環境法制上、全くの真空地帯となっておる状況ではないかと思います。関係自治体としては、その面について大変困っているわけであります。私は、米軍基地に対しても我が国環境法令の網をかぶせるべきであるというふうに思っておりますけれども環境庁及び外務省はどのように考えているのか、お聞かせ願いたいと思います。
  191. 遠藤保雄

    政府委員(遠藤保雄君) ただいまの問題につきましては、すぐれて外交・防衛上の問題に関連してまいりますので、環境行政担当する部局といたしましてはちょっとコメントを差し控えさせていただきたいと思います。  なお、米軍基地自身が環境問題で真空地帯であるかどうかということにつきましては、先生御案内のとおりJECS、いわゆる日本環境管理基準というものを在日米軍が定めておりまして、それに基づいて、米国法はもとより、日本国内の法令も尊重しながら環境問題に対処しておるということでございます。  そしてまた、そこの基地内のいろいろ環境問題で問題が生じた場合には、日米合同委員会のもとに置かれておりますところの環境分科委員会、これは環境庁担当課長が議長をしておるのでございますけれども、その枠組みにおきましていろいろ先方と協議し、対応を図ってきているということでございます。
  192. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 私は、この法令に基づいて米軍基地内においても網をかぶせるべきじゃないかということを問うているのであって、全く関係ありませんと言われたら、味もそっけもないじゃないですか。やはりそういうふうな努力をしていくと言うとか、あるいは日米合同委員会でそういった問題を取り上げていくとかというような前向きな姿勢があってしかるべきだと思いますけれども、もう一度御見解を賜りたい。
  193. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) まず、在日米軍でございますけれども、これは御承知のとおり、一般国際法上も駐留を認められた外国軍隊には特別の取り決めがない限り接受国の法令は適用されないということが原則でございまして、このことは我が国に駐留いたします米軍についても同様でございます。したがいまして、このPRTR法につきまして国際法という観点から申し上げますと、この法律我が国の法令に服するものを適用の対象としているものでございますので、在日米軍はこの法律の適用対象として想定されていないということになるわけでございます。  他方、環境の問題は、在日米軍基地におきましても非常に重要な問題でございまして、これは我々日本政府のみならず、米側においても認識しているところであると承知いたしております。そして、在日米軍におきましては、みずから厳格な環境管理行動をとっております。これは、一つには日本の国内基準及び米国の基準を参考にいたしまして、環境管理行動のための基準というのを米軍において作成いたしまして、それに従った環境管理行動をとって我が国環境の保全に努めているということが一つございます。  それは米側における措置でございますけれども、同時に、先ほど来申し上げておりますとおり、日米合同委員会の枠組みにおきまして日米間で環境上の問題に関して必要な情報交換や緊密な協議を行っているところでございます。この緊密な協議の中には、今申し上げました環境管理行動のための基準の作成に当たりまして、日本側においてこの基準が我が国の基準との関係で問題がないかどうかというチェックをしているというようなこともございます。  いずれにいたしましても、このPRTR法は在日米軍に直接適用されるというものではございませんけれども、我々といたしましては、米軍による自主的な環境管理行動や合同委員会の枠組み等を通じまして、米軍による環境管理行動が適切なものであるよう一層努力をしてまいりたいと思います。今後、またこの法案が成立いたしました際には、日米合同委員会の枠組みを通じまして、米側に対しましてもこの法律の趣旨についても説明をしていきたいというふうに考えているところでございます。
  194. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 今のような説明であれば少しは理解できますけれども、全く関係ないという話になりますと、もう何のためにこういった環境問題を重視して法律をつくるかということがはっきりしませんので、その辺は今外務省が答弁されたように、ぜひ御努力をいただきたいというふうに思っております。  そこで、質問事項にはなかったんですけれども、せっかくお見えでありますのでちょっとお尋ねいたします。  例の日米特別行動委員会ですか、SACOの合意によって二〇〇二年までに北部の訓練場が一部返還されるということになっております。その返還に当たって、新たにヘリパッドを七カ所つくるというふうなことがございます。そのヘリパッドを七カ所つくる場所というのは、これはもう東洋のガラパゴスと言われているような大変な希少動植物が生息している北部の地域でございますけれども、そこに七つのヘリパッドをつくるというふうな状況です。今、環境調査していると思いますけれども、その辺について外務省、防衛施設庁、環境庁、それぞれの立場でどういうふうになっているか、説明いただきたいと思います。
  195. 宝槻吉昭

    政府委員宝槻吉昭君) 今、先生指摘になりました北部訓練場の一部返還に伴います、返還地に現在ございますヘリパッドを返還されない部分のところに七カ所移設するというSACOの合意につきまして、今防衛施設庁の方で七カ所の移設する際の環境に与える調査を実施しております。  この調査につきましては、昨年の十二月から始まりまして一年間をかけまして、一年間の季節を通して生態系あるいはその他環境に与える影響につきまして調査しているところでございます。この一年間の調査をまとめまして、それでさらに分析いたしまして、我々としてはこの移設が北部の環境に大きな影響を与えないように措置してまいりたいというふうに考えておるところでございます。  いずれにしましても、この結果については環境の影響調査を踏まえて検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  196. 遠藤保雄

    政府委員(遠藤保雄君) 今、防衛施設庁の方で御答弁されましたように、環境調査を実施しておるところでございますので、その結果を踏まえて防衛施設庁の方からいろいろ要請があれば、環境庁といたしましては技術的助言等をしてまいりたいと思っております。
  197. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) 北部訓練場の早期返還の実現ということも非常に重要なことでございます。現在行われております調査の結果を見まして、環境とも調和を保ちつつできるだけそういうことができるように、早期の返還ということが実現できるよう努力をしてまいりたいというふうに思います。
  198. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 このヘリパッドは七十五メートルの四角です。北部のやんばるで七十五メートルのヘリパッドを七カ所つくる、しかも三・八メートルという誘導路を六キロに及んでつくるというふうな実態。本当に皆さん方、自然の豊かな東洋のガラパゴスと言われているあのやんばるの自然を破壊してまで米軍に提供していかなくちゃいけないか。それこそ私は国民の総反発を受けると思います。  県民が本当にこれは大変だというふうな大きな関心を持っておりますので、むしろ私はこのことについてはぜひ中止していただきたい、そう思います。今皆さん方が計画されている、そこは分水嶺からちょうど海までずっと森林が続いているわけです。もう沖縄はそこしかないんです。それをあえてヘリパッドをつくって誘導路をつくって、これはもう大変な自然破壊につながります。  そこで、ちょっと時間がありますから私は申し上げておきたいんですけれども、琉球大学の岩橋農学部の教授が、やんばるは世界遺産に登録されるすべての基準に合致するすばらしい自然を残している、そしてこういった自然の豊かなところにこれが建設されると周辺の絶滅のおそれのあるノグチゲラなんかが必ず影響を受ける、こういった環境破壊あるいは生息動物が非常に大きな影響を受ける、あるいは絶滅するかもしれないというふうな報告をなされているわけです。県民だれしもそういったふうなことを考えます。  ですから、これはぜひ慎重に調査をされて、もしいささかでもそういった環境を破壊し向こうに生息する動植物に大きな影響を与えるというふうなことがあれば、即刻これは改めて、提供しない、つくらないと。七十五メートルの幅を持ったヘリパッドを七カ所もつくる、そういうふうな状況は、絶対やんばるでは恐らくこれはできない。あるいは環境破壊につながるというようなことですから、我々環境委員会としては本当に現地でも調査して、そのことについて真剣に、今の計画を私は中止させる方向で環境委員会としても検討していかなくちゃいけないんじゃないかというふうに思っております。  そこで、もう一つ、沖縄のこういった米軍基地そのものから派生するいろんな環境問題、いわゆるPCBの問題でも、恩納通信所のPCBの毒物でも、今、恩納駐屯地に七百本近いドラム缶で保管されているわけですね。その辺の処理についても、外務省あるいは防衛施設庁、いつまであのようなことで保管しておくのか。もう本当に大変なんです。そういうふうな状況の中で、そういったヘリパッドをつくるというふうなことであっては、私はもう絶対納得しがたいというふうに思っておりますので、もう一度御答弁お願いしたいと思います。
  199. 宝槻吉昭

    政府委員宝槻吉昭君) まず、御指摘ございました北部訓練場のヘリパッドの件でございます。  先ほど答弁申し上げましたとおり、今後詳細な生態系を初めとする環境の影響についての調査をしまして、その結果につきましてやはり関係機関、環境庁あるいは沖縄県当局等々を含めまして、私どもとしてはそういった協議を踏まえて適切に対応してまいりたい、こういうふうに考えておりますので御理解願いたいと思います。  それから、二点目の恩納通信所の返還に伴いましてございましたPCB及び水銀の汚泥の問題でございます。これにつきましては、処理をいたしまして、現在航空自衛隊の恩納の分屯基地内に関係法令に基づいて設置した保管施設に厳重に保管してございます。これの処分につきましては、まだ確立された技術がないものですから、これの技術の解明につきましても防衛施設庁としてもいろいろと研究しているところでございますけれども、その技術解明された段階で適切に処分してまいると、それまでは現在の状況できちんと保管してまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  200. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) 北部訓練場の返還と環境の問題の関係につきましては、先ほど来防衛庁の方から御答弁をいただいているとおり我々も考えておりまして、SACOの最終報告書の実施という観点だけでは、それは非常に重要なことでございますが、当然環境の問題ということについても検討を加えて、それが早期に実現されるということが必要と考えております。  そのようなことで関係省庁ともども努力、協力してまいりたいと考えております。
  201. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 環境問題については。
  202. 遠藤保雄

    政府委員(遠藤保雄君) 基地関係環境問題につきましては、私どもその周辺環境につきましては環境庁がきちんと責任を持っておるということでございますが、基地内の問題につきましては、日米合同委員会のもとにおきます環境分科委員会におきまして問題を提起し適切に今後も対応していきたい、こう考えております。
  203. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 ヘリパッドの問題について。環境でのこうした問題がどうなるかということを。
  204. 遠藤保雄

    政府委員(遠藤保雄君) ヘリパッドの問題につきましては、候補地につきましては環境に与える影響調査を実施中と聞いておりますので、関係当局においてこれらの豊かな自然環境の保全が十分図られるよう適切な配慮がなされるものと認識しております。  いずれにしましても、環境庁といたしましては、関係当局からの要請に応じまして自然環境の保全のために必要な助言、これをしてまいりたい、こういう立場でございます。
  205. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 終わります。     ─────────────
  206. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、上杉光弘君が委員辞任され、その補欠として岸宏一君が選任されました。     ─────────────
  207. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) この際、議案の撤回についてお諮りいたします。  化学物質に係る環境リスク対策促進に関する法律案について、発議者清水澄子君外六名から撤回の申し出がありました。  本案の撤回を許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  208. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 御異議ないと認めます。よって、化学物質に係る環境リスク対策促進に関する法律案は撤回を許可することに決定いたしました。     ─────────────
  209. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 特定化学物質環境への排出量把握等及び管理改善促進に関する法律案を議題といたします。  本案の質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  210. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 御異議ないと認めます。  本案の修正について小川勝也君及び岩佐恵美君から発言を求められておりますので、この際、順次これを許します。小川勝也君。
  211. 小川勝也

    小川勝也君 私は、特定化学物質環境への排出量把握等及び管理改善促進に関する法律案に対しまして、民主党新緑風会、社会民主党・護憲連合を代表いたしまして、修正の動議を提出いたします。修正案はお手元に配付してありますので、案文の朗読は省略させていただき、その趣旨について御説明申し上げます。  第一に、第一種指定化学物質取扱事業者が行う第一種指定化学物質排出量及び移動量に関する届け出については、営業秘密に係る場合を除き、都道府県知事を経由して環境庁長官及び通商産業大臣とすることであります。  これは、参議院での質疑を通じて明らかとなった点を修正するものであります。衆議院修正により、営業秘密に属しない事項については、都道府県知事を経由して、業所管官庁を通って環境庁及び通産省情報が流れるようになりました。ところで、データの流れという意味だけで言えば、業所管官庁が行う事務は全くなく、法律上も営業秘密に属さないデータについて何らかの措置が予定されているわけでもありません。とすれば、環境庁通産省にデータを集中させた方が効率的であります。  第二に、届け出事項の記録及び公表等に関しては、環境庁長官及び通商産業大臣は、営業秘密に係る場合を除き、届け出られた事項を電子計算機に備えられたファイルに記録し、記録した事項及び集計した結果を主務大臣及び都道府県知事に通知するとともに、これらを公表することとし、開示請求権及び手数料の規定を削除することであります。  この点については、政府案が当初から抱えていた問題点であります。請求ベースの情報開示は、情報公開法と同じであると政府説明しておりますが、情報公開法では請求の後、開示か不開示かの判断すなわち行政処分があり、行政処分に不服があれば、第三者機関による不服審査が行われるのであります。  一方、当法案請求は、請求すれば不開示という判断はあり得ず、行政処分が予定されていない請求であり、同じ請求という文言であっても、その法律的な意味は全く違うものとなっております。しかも、請求によって開示していたのでは行政側の負担もふえ、国民手続的負担もふえるなど各主体の負担ばかりがふえるだけで、何らメリットがありません。また、営業秘密以外のデータを公表することとしても、実費などの手数料を徴収することは可能であることは言うまでもありません。したがって、すべてのファイル記録事項をインターネットの手段も併用し、これを公表することとしたところであります。  以上が修正案を提出いたしました趣旨と内容であります。  政府案が論理的に考えて明らかにおかしい部分に絞って修正案を作成させていただいており、御理解いただける内容であると確信をしております。  何とぞ、委員各位の御賛同を心からお願い申し上げます。
  212. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 次に、岩佐恵美君。
  213. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 私は、日本共産党を代表して、議題となっております特定化学物質環境への排出量把握等及び管理改善促進に関する法律案に対し、修正の動議を提出いたします。  本法案は、人の健康を損なう物質だけでなく、生態系への支障も含めて、そのおそれのある化学物質の排出、移動の実態を明らかにし、化学物質による環境汚染を防止しようとするものであり、積極的な意義があります。そのためには、環境庁が主体的な責任を果たすとともに、市民にすべての情報を明らかにし、その自主的な活動を通じて、化学物質の大量使用に頼らない経済社会への転換を図っていくことが大切です。しかし、衆議院からの送付案は、国民の知る権利や環境への負荷の低減を明記していないこと、届け出の受理や営業秘密の判断を業所管大臣が行うこと、個別事業所データは請求に基づく有料開示であることなど不十分な点があります。こうした点を改め、より効果的なPRTR制度を確立するために本修正案を提出するものです。  次に、修正案の要旨を御説明いたします。  第一に、目的規定に、「国民に対し環境に影響を及ぼすおそれがある化学物質の状況等に関する十分な情報公開が保障され、化学物質に係る環境の保全に関する活動が促進されることの重要性」をうたい、「国民の知る権利に資する」ことを明記しています。  第二に、指定化学物質の定義に関し、有害性についてはその「疑いのあるものを含む」こととし、環境中の残留要件については「相当広範な地域」との限定を削除しています。また、指定化学物質を定める政令の制定に際し、審議会に諮るだけでなく、「国民意見を聴く機会を設ける」ことを明記しています。  第三に、排出量等の届け出先都道府県知事や指定都市等の市長とするとともに、知事等が指定化学物質取扱事業者に対する指導や届け出事項の調査、資料請求などを行えることとしています。また、届け出事項には貯蔵量や取扱量も加えることとしています。  第四に、営業秘密の判断は、特定化学物質情報公開審査会の議を経て環境庁長官が行うこととしています。また、環境庁長官届け出事項の記録、集計を行い、通産大臣等に通知することとしています。  第五に、環境庁長官及び通知を受けた大臣等は、個別事業所データを含む電子ファイル記録事項を公表することとし、公表については電子情報処理組織の使用による方法を併用することとしています。  第六に、地方公共団体が、第一種指定化学物質以外の化学物質や指定化学物質取扱事業者以外の事業者についても、排出量の把握及び届け出を条例で義務づけることができることとしています。  以上が本修正案を提出する理由及びその要旨です。委員各位の御賛同をお願いして、趣旨説明を終わるものであります。
  214. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) これより原案及び修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  215. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 私は、民主党新緑風会代表して、ただいま議題となりました特定化学物質環境への排出量把握等及び管理改善促進に関する法律案原案に対して反対、社会民主党・護憲連合、民主党新緑風会提出の修正案に賛成の立場から討論を行うものであります。  この特定化学物資の環境への排出量把握等及び管理改善促進に関する法律案について、衆議院でさまざまな議論の末、修正が行われました。その修正は、営業秘密に該当する場合を除き、都道府県知事を経由して国に情報が流れるということをその主な内容とするものでありました。  衆議院において、私たち修正案に対して一歩前進ということで評価をしながら、あるべき姿にほど遠いということで反対の立場をとりました。参議院審議では、衆議院での修正によって明らかになったこの法案の矛盾点について、理論的に議論を進めてまいりました。そして、質疑の中で、だれが考えても論理的ではない点が明らかになったのであります。  その第一は、営業秘密でない事項についても業所管官庁を経由して届け出ることであります。修正された法律案では、業所管官庁は営業秘密でない事項について何もすることがないのであります。政府は、PRTR事務政府が一体となって取り組む必要があり、業所管大臣の協力が必要であると主張しておりますが、そのことと業所管官庁をデータの届け出先とすることは全く関係がありません。私たちは、業所管大臣が法律を補完するルールを定めるのに参加することを否定するものではなく、あくまでも都道府県を経由したデータを直接環境庁通産省に流す方が行政効率もよく、国民からもわかりやすい制度だということを主張しているのであります。  ましてこの法案では、業所管大臣は化学物質の自主的な管理改善環境の保全上の支障を未然に防止することに関する指導、勧告などの権限は一切なく、単なる経由機関としての手間暇をふやしているにすぎないのであります。このような非効率的な行政により、国民の税金がむだに使われることを認めるべきではありません。  第二に、ファイル記録事項について請求ベースの公表となっている点であります。この点については当初から問題だと指摘されておりましたが、修正によってさらに問題点浮き彫りになりました。政府は、これを情報公開法と同様の手続であると主張しておりますが、情報公開法の場合には請求された後、当該情報公開するかどうかという行政処分がなされ、第三者機関による不服審査も予定されております。一方、この法案の場合には、請求された情報はすべて公開することが決まっているのです。このように、情報公開法とこの法案では請求意味が全く違うにもかかわらず、同一だという説明は無理であると言わざるを得ません。  また、一々請求によって情報公開していたのでは行政のむだが増加するだけではなく、国民にとっても手続事務が増加するだけで、だれにもメリットがありません。なぜ、だれにとってもメリットがなく、むだの固まりみたいな制度の維持に固執するのか、理解できません。  さらに、手数料の徴収についても、全面公表であっても実費分の手数料を徴収することは可能であり、理由になっておりません。  以上の論理的な矛盾から、原案には賛成できません。  社会民主党・護憲連合、民主党新緑風会提出の修正案は、以上挙げた本法案の重要な欠陥を正すための必要不可欠な修正を加えるものであり、賛成をいたします。  私たち修正案は、だれが見ても論理的におかしい、修正すべきであるという点に限定したものであります。このような要求が受け入れられないとすれば、国会は立法府の役割を放棄していると言わざるを得ません。政策的なよしあしについてはさまざまな議論があり、さまざまな選択の幅があるものだと思います。私たち衆議院において、私たちなりの政策を提言し、その実現に努めてまいりました。しかし、参議院での修正の要求は政策の変更ではなく、論理的におかしく、全くむだな状態になっている部分修正を求めているにすぎません。  政治的な思惑を先行させる余り、国会としての役割を忘れてはならないと思います。委員会審議を通じて明らかになった矛盾点を修正できないようなことでいいのでしょうか。このような国会を国民が信頼するでしょうか。  純粋に矛盾した部分以外にも、私たちとしては政策的に変更すべきと考える点が多数あります。  例えば、対象物質について拡大すべきであるとか、届け出事項については取扱量も含めるべきとか、帳簿の備えつけや立入検査、罰則の強化など数えれば切りがありません。したがって、この最小限の修正が認められない以上、この法律案に反対せざるを得ないことを申し上げて、私の討論を終わります。
  216. 大渕絹子

    大渕絹子君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、政府提案の特定化学物質環境への排出量把握等及び管理改善促進に関する法律案に対する反対討論を行います。  その前に、我が党が提出をした化学物質に係る環境リスク対策促進に関する法律案が、この委員会審議を通じてPRTR制度の本来のあるべき姿として、政府案よりも高く評価をされていることをまず明確にしておきたいと思います。  反対の理由を申し上げます。  第一は、企業秘密に係る化学物質以外の届け出都道府県を経由して主務大臣に行われることであります。もともと主務大臣役割は企業秘密の判断だけであり、企業秘密に該当しないものは主務大臣を通過するだけであります。したがって、主務大臣届け出を受理する意味は全くありません。  また、政府答弁では、自治体の窓口は自治体の判断にゆだねる、すなわちどこでもいいということですが、自治体に縦割り行政の弊害が持ち込まれ、自治体の事務が煩雑になり混乱することは明らかです。したがって、自治体の窓口は環境部局担当することを明確にし、届け出環境庁長官通産大臣へ流れていく仕組みとすべきです。  第二の理由は、政府案では個別事業所のデータが請求開示であり、国民の知る権利に全く配慮していないことであります。衆議院における修正で、企業秘密にかかわるものは主務大臣届け出ることでその秘密が確保されます。都道府県届け出る物質は、そもそも事業者が企業秘密ではないと判断したものであり、それを即時公開することに何ら支障はありません。しかも政府は、開示請求されたものについては何の判断もなしに開示するとしています。そうであるなら、そもそも開示請求にする意味も必要もないのであります。仮に、請求ベースで手数料を徴収するにしても、NGO等が手数料を払って得たデータをインターネットを通じて無料配信すれば、政府の徴収制度は根底から崩れることになります。したがって、都道府県へ届けられたデータは、個別事業所を含めてすべてインターネット等を通じ即時無料で公表すべきであります。  さらに、政府案は、環境ホルモンなど人の健康や生態系に悪影響を及ぼすおそれのある化学物質が対象となっていませんし、消費者への表示も盛り込まれていません。届け出事項は排出量と移動量だけであり、製造量、取扱量、保有量が入っていません。まさに欠陥の多い法案です。  私たちは理不尽な要求をしているのではありません。こうした方がよりベターであり、運営もスムーズだと主張しているのであります。この当然の主張をかたくなに拒否する理由は一体何なのでしょうか。官僚の権益擁護以外の何物でもないと言わざるを得ません。  以上の理由により、社会民主党・護憲連合は、この政府提案の法案には反対し、民主党提出の修正案に賛成することを明言いたします。
  217. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより特定化学物質環境への排出量把握等及び管理改善促進に関する法律案について採決に入ります。  まず、岩佐君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  218. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 少数と認めます。よって、岩佐君提出の修正案は否決されました。  次に、小川君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  219. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 少数と認めます。よって、小川君提出の修正案は否決されました。  それでは、次に原案全部の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  220. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  福本君から発言を求められておりますので、これを許します。福本潤一君。
  221. 福本潤一

    ○福本潤一君 私は、ただいま可決されました特定化学物質環境への排出量把握等及び管理改善促進に関する法律案に対し、自由民主党、公明党、日本共産党、自由党、参議院の会及び二院クラブ・自由連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     特定化学物質環境への排出量把握等及び管理改善促進に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一、本法における都道府県の果たす役割の重要性にかんがみ、都道府県との連携を強化し、届出・受付事務が円滑かつ的確に行われるよう体制整備を図り、技術的な指導助言を行うとともに、人材の育成等が図られるよう支援すること。  二、対象物質選定に当たっては、内分泌攪乱作用など化学物質排出の環境への影響を未然に防止するという衆議院修正の趣旨を十分に踏まえるとともに、広く関係者からの意見を聴取する機会を設けるなどOECD原則に沿った方法とすること。  三、化学物質排出の環境への影響を未然に防止する観点から、排出量等を適切に把握できるよう届出対象事業者等の種類、範囲を定めること。    特に、有害性の強い指定化学物質については、含有率や取扱量の下限を小さくするよう配慮すること。  四、非点源からの排出量を的確に把握するため、基礎となる資料について関係省庁事業者団体等の積極的な協力を求めるとともに、移動体の種類ごとの内訳がわかるように推計量を算出するよう努めること。    また、推計の資料、推計式などを都道府県に提供するとともに公開し、地方公共団体等による化学物質環境汚染対策に資すること。  五、営業秘密の審査に当たっては、諸外国の実情を勘案し、厳格かつ公正に行うとともに、環境庁長官又は都道府県説明要求に対しては、事業を所管する主務大臣は十分納得できる説明を行うこと。  六、情報共有が本制度運用の前提となるため、特に大量に請求する場合を中心に手数料をできる限り低廉なものとするとともに、利用者利便性を勘案したインターネットの利用など幅広い情報提供手段を活用すること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ御賛同いただきますようお願い申し上げます。
  222. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) ただいま福本君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  223. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 多数と認めます。よって、福本君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、真鍋環境庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。真鍋環境庁長官
  224. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重して努力いたす所存でございます。
  225. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  226. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  227. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 国土整備及び環境保全等に関する調査のうち、ダイオキシン類対策特別措置法案に関する件を議題といたします。  本件につきましては、理事会において協議いたしました結果、お手元に配付いたしております草案を提出することとなりました。  まず、草案の趣旨及び内容について御説明申し上げます。  本年二月の埼玉県所沢市のダイオキシン類による野菜汚染騒動は大きな社会的関心を呼び起こし、それまでも同市の産業廃棄物焼却施設群からの排出問題、茨城県新利根町のごみ焼却施設周辺住民の健康問題、大阪府能勢町のごみ焼却施設周辺土壌の高濃度汚染問題などがあり、ダイオキシン類対策の充実強化は緊急の課題となっております。  本案は、このような状況を踏まえ、ダイオキシン類が人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある物質であることにかんがみ、ダイオキシン類による環境汚染の防止及びその除去等をするため、ダイオキシン類に関する施策の基本とすべき基準を定めるとともに、必要な規制、汚染土壌に係る措置等を定めることにより、国民の健康の保護を図ろうとするものであります。  次に、本法律案の草案の内容について、その概要を御説明申し上げます。  第一に、国及び地方公共団体が講ずるダイオキシン類に関する施策の指標とすべき耐容一日摂取量は、四ピコグラム以下で政令で定める値とすることとしております。  第二に、政府は、ダイオキシン類に関する大気、水質、土壌についての環境基準を定めることとしております。  第三は、排出ガス及び排出水に関する規制についてであります。  まず、ダイオキシン類の排出基準は、排出ガスまたは排出水に含まれるダイオキシン類の削減に係る技術水準を勘案し、総理府令で定めることとし、都道府県知事は、排出基準のみでは大気についての環境基準の確保が困難である地域について、大気中に排出されるダイオキシン類についての総量削減計画を作成し、これに基づき総量規制基準を定めることとしております。  さらに、一定の猶予期間経過後は、排出基準または総量規制基準に違反してダイオキシン類を排出してはならないこととし、知事は、これらの基準に違反して継続的にダイオキシン類を排出するおそれがある者に対し、施設の構造の改善等を命ずることができることとしております。  また、排出の制限、改善命令等に違反した者についての罰則を設けることとしております。  第四に、廃棄物焼却炉から排出されるばいじん及び焼却灰その他の燃え殻に含まれるダイオキシン類の濃度基準を厚生省令で定めるとともに、廃棄物の最終処分場の維持管理基準を総理府令、厚生省令で定めることとしております。  第五に、知事は、大気、水質及び土壌のダイオキシン類による汚染の状況について常時監視し、調査測定を行うこととし、排出基準適用施設の設置者は、ダイオキシン類による汚染の状況を測定し、知事に報告するとともに、知事はそれぞれの測定の結果を公表することとしております。  第六に、知事は、土壌についての環境基準を満たさない地域を対策地域として指定し、ダイオキシン類により汚染された土壌の除去等を内容とする対策計画を定めることとしております。  第七に、内閣総理大臣は、ダイオキシン類の量を削減するための計画を作成することとしております。  第八に、住民は、知事が総量削減地域の指定の申し出を内閣総理大臣に行うよう知事に申し出ることができ、総量削減計画、土壌汚染除去等の対策計画へは公聴会を通じて参加できることとしております。  第九に、ダイオキシン類に係る健康被害の状況及び食品への蓄積の状況を勘案して、その対策については科学的知見に基づき検討が加えられ、その結果に基づき必要な措置が講ぜられることとしております。  第十に、政府は、小規模施設及び廃棄物焼却施設によらない破棄物の焼却の規制のあり方について、検討の上必要な措置を講ずることとしております。  なお、施行は原則として公布の日から起算して六月を超えない範囲内で政令で定める日からとしております。  以上がこの法律案の草案の趣旨及び内容の概要であります。  何とぞ、委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。  本草案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本草案に対する意見を聴取いたします。真鍋環境庁長官
  228. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) ダイオキシン類対策特別措置法案に対する内閣の意見を申し上げます。  ダイオキシン類対策特別措置法案については、政府としては異議はありません。
  229. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) それでは、本草案をダイオキシン類対策特別措置法案として本委員会から提出することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  230. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、本会議における趣旨説明内容につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  231. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四分散会