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1999-06-29 第145回国会 参議院 国土・環境委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年六月二十九日(火曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  六月二十八日     辞任         補欠選任         田村 公平君     加納 時男君  六月二十九日     辞任         補欠選任         大渕 絹子君     山本 正和君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         松谷蒼一郎君     理 事                 市川 一朗君                 太田 豊秋君                 小川 勝也君                 福本 潤一君                 緒方 靖夫君     委 員                 上野 公成君                 加納 時男君                 坂野 重信君                 長谷川道郎君                 山下 善彦君                 脇  雅史君                 岡崎トミ子君                 北澤 俊美君                 佐藤 雄平君                 岩佐 恵美君                 大渕 絹子君                 山本 正和君                 泉  信也君                 奥村 展三君                 島袋 宗康君    委員以外の議員        発議者      清水 澄子君    衆議院議員        修正案提出者   大口 善徳君        修正案提出者   福留 泰蔵君    国務大臣        国務大臣        (環境庁長官)  真鍋 賢二君    政府委員        環境庁企画調整        局長       岡田 康彦君        厚生省生活衛生        局長       小野 昭雄君        通商産業省基礎        産業局長     河野 博文君    事務局側        常任委員会専門        員        八島 秀雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件特定化学物質環境への排出量把握等及び管  理の改善促進に関する法律案内閣提出、衆  議院送付) 〇化学物質に係る環境リスク対策促進に関する  法律案清水澄子君外六名発議)     ─────────────
  2. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) ただいまから国土環境委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二十八日、田村公平君が委員辞任され、その補欠として加納時男君が選任されました。     ─────────────
  3. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 特定化学物質環境への排出量把握等及び管理改善促進に関する法律案及び化学物質に係る環境リスク対策促進に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 山下善彦

    山下善彦君 おはようございます。自由民主党山下善彦でございます。今回提案されております法案について、数点質問させていただきたいと思います。  まず最初に、PRTR制度と現在あります環境規制法との違いについて確認させていただきたいと思います。  化学物質は、現代の社会生活経済活動に必要欠くべからざるものとして広く用いられておるわけでございまして、例えば衣類、医薬品、電気製品、車の燃料など、日常我々が生活に欠かすことのできない製品化学物質でつくられているわけでございます。そのような製品製造過程、我々がこれらの製品を使用する際など、さまざまな場面で多かれ少なかれ化学物質環境排出されているわけでございます。  これまで、有害な化学物質については大気汚染防止法水質汚濁防止法などによっていろいろ排出規制が行われてきておりまして、その対象物質は真に規制が必要なものに限定されてきていると思います。  今回のこのPRTR法はこれらの規制法とは異なり、多数の化学物質をその対象とする手法だということを理解しておりますが、そのような観点から、大気汚染防止法などの規制法との考え方の違いをできるだけわかりやすくまず御説明していただきたいと思います。
  5. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) お答え申し上げます。  大気汚染防止法等環境規制法では、大気や水などの特定環境経路への排出規制を行うことを主な手法としておりまして、排出規制対象物質環境を通じて人の健康等悪影響を与える因果関係があるものに限られております。  これに対しまして、PRTR規制を目的としたものではございませんので、その点は先生まさに今御指摘のとおりでございまして、事業者みずからが排出量把握すること自体を通じてまず自主的に化学物質管理改善を促す、と同時に行政としても化学物質環境への排出の全貌を把握する、こうした仕組みでございます。また、そのデータはさらにさまざまな取り組み基礎資料となりまして、環境保全上の支障未然に防止するための対策が進むという柔軟性がある効果的な対策であると考えております。  すなわち、PRTRにおきましては、有害性がある化学物質であれば、環境を通じて悪影響を生ずるという因果関係が科学的に立証されているか否かを問わず幅広く対象物質とすることなど、従来の規制法にはない特徴があると考えております。
  6. 山下善彦

    山下善彦君 今、局長さんの御説明のように、PRTRは従来の規制法とは基本的に違う、こういうことで御説明をいただいたわけでございます。  多くの化学物質の多様な取り扱い状況に応じて環境汚染未然防止を図るには、その化学物質を取り扱っている事業者自身創意工夫をしながら管理改善を図っていかなければいけない。化学物質排出量事業者把握して、その結果について国民理解を得ていくという今回のPRTR法だと理解しているわけでございます。  そこで伺いたいのは、事業者化学物質自主管理をこれから徹底していくのにいろいろ設備投資が必要になってくる。一つの例で、コンピューター管理をするのにコンピューターなどの情報化投資が必要となってくると思われるわけでございますが、今日のように景気が低迷している中で環境問題まで投資をしていくのはいかがなものか、非常にその辺は各企業がそのような気持ちを持っておられるのではないか、そんなような状況ではなかろうかなと思うわけでございます。特に中小企業にこの気持ちが多いということを、私も自分の地元にメッキ屋さんだとかプレス屋さんだとか中小企業がいろいろあるわけでございますが、こういう中小企業について今申し上げているような投資を行うに当たっての財政上の支援、これが必要であると思われるわけですが、具体的にこの辺についてはどのようにお考えなのか、その点について伺いたいと思います。
  7. 河野博文

    政府委員河野博文君) お答え申し上げます。  このPRTR制度におきましては、化学物質を少量しか扱っていない事業者あるいは排出量等把握届け出義務をかけることが過剰な負担となり得るような小規模事業者を除いて、中小企業皆さんといえども対象事業者になっていただくことを考えているところでございます。  こうした中小企業皆さんに対しましては、今後環境庁と私ども一体となりまして、例えば排出量推計方法に関しますマニュアルあるいは推計のソフト、そして届け出様式等を作成いたしまして、地方公共団体はもとより中小企業団体あるいは業界団体等協力を得まして、中小企業を含む対象事業者皆さんに対してきめ細かな周知徹底あるいは技術指導を行ってまいりたいというふうに考えております。  特に、御指摘中小企業に対しますPRTR制度導入等に関連した情報化投資などに関する支援策といたしましては、新たに中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫の政策金融制度を創設することといたしておりまして、化学物質管理改善のための情報化投資を含めた設備投資に対する低利融資を行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  8. 山下善彦

    山下善彦君 低利融資等を行っていただけるということでございますが、冒頭申し上げましたように、特にこういう時代でございますので、中小企業も手が出る気持ちはあれどなかなか手が出ない。非常にその辺はシビアなところがあろうかと思いますが、ぜひ手厚い援助の手を差し伸べていただきたい、こんなことをお願い申し上げます。  次に、この法案について幾つか具体的な内容について伺っていきたいと思いますが、第一点目はPRTR制度における各地方自治体役割、これについて伺いたいと思います。  このPRTR制度全国統一のルールのもとで我が国全体の化学物質排出量把握するということでありますから、国の責任のもとで国の事務として実施すべきであるということは言うまでもないことでありますが、一部の先進的な自治体におきましては、既にもう化学物質管理指針策定などが実施されているところがあるわけでございます。PRTRによって得られた排出量データはこのような地域化学物質対策環境保全対策に有効に活用されるように、その密接な連携が必要となってまいるわけでございます。また、法案においては、国のみならず各自治体においても事業者に対する技術的助言国民理解を深めるための措置を実施する責務が規定されております。さらに、衆議院におきまして修正をされた、事業者からの届け出窓口を各都道府県が実施することになったわけでございます。  このように、本法案には地方自治体主体的役割規定をされておるわけでございますが、具体的にどのようなことを地方自治体に期待されておられるのか、その点について伺いたいと思います。
  9. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) お答え申し上げます。  私どもの本法案におきましては、都道府県個別事業所排出量データや集計結果等を提供いたしまして地域のニーズにおいて自由にそれを活用していただく、そういう意味でファイルをそのままそっくりお渡しするということをまず柱に掲げております。  また、都道府県に対しましては、今既に先生の御指摘のとおり十七条を中心といたしまして、事業者に対する技術的助言をしていただくだとか、環境教育等による化学物質に係る国民理解増進を図るのに協力していただくだとか、あるいは必要な人材の育成、それから国がモニタリング調査を行うことを予定しておりますのでそれに対してその地域からの具体的な意見具申等をしていただく。例えばオールジャパンで見た場合には、それほど大したことでなくても特定地域に特化しているのでそれもモニタリング対象にしてくれとか、こんなようなことが一つ考えられると思いますが、そうした意見具申をしていただくとか、あるいは環境保全対策企画立案、実施をしていただく、それからPRTR制度そのもの周知徹底普及啓発にも協力していただくといったような重要な役割を期待しているわけでございます。  さらに、今先生もお触れになりましたが、衆議院におきまして届け出都道府県経由とされたということで、都道府県届け出記載方法等についての事業者からの問い合わせへの対応をしていただけるとか、あるいは届け出督励等をしていただく等々によりまして事業者による届け出義務の着実な履行の確保に資する事務を行っていただけるということで、より主体的に制度運営に参画していただけるものというふうに確信しております。
  10. 山下善彦

    山下善彦君 実は、この法案が出る前に私ども議員のところに、恐らく皆さん方のところにも行っていると思いますが、各都道府県知事会ですか、一つ分科会のような委員会があるわけですが、そちらからもこの法案に関連してぜひその辺の窓口をしっかり指導いただきたい、こんなような文書も回ってきた記憶があるわけです。  いずれにしても、今局長さんから御説明がありましたように、できるだけその辺の具体的なものを各都道府県にきっちり御提示いただきたい。これは、私も今回この質問に当たって、自分の県の方の担当の責任者からもそんな意向もあったということをつけ加えさせていただきながら、そのように処置をしていただきたいと、こんなふうに思うわけでございます。  続きまして第二点目は、PRTR対象事業者、これの範囲について伺いたいと思います。  第五条の排出量及び移動量届け出義務は、第二条第五項の政令で定める要件に該当する第一種指定化学物質等取扱事業者、こういう形になっているわけでございますが、国民理解を得るためにも、また化学物質による環境汚染未然に防ぐためにも、より多くの事業所をこの届け出対象としていく必要があるのじゃないか。一部の事業所だけを指定して、まだまだすそ野が広い、そういう中で届け出がされていない、これではせっかく今回この法案を上げた意味もありませんので、ぜひその辺は多くの事業所届け出対象としていただきたいと、こんなふうに思うわけでございます。  そこで、この政令で定める要件に該当する事業者とは具体的にどのように考えておられるのか、伺いたいと思います。
  11. 河野博文

    政府委員河野博文君) 御質問の第一種指定化学物質取扱事業者でございますけれども、これは環境への排出が見込まれます指定化学物質及び当該物質を含有する特定製品に関し、環境への排出が見込まれる取り扱いを行っている業種をできるだけ幅広く指定するということでございますが、同時に、規模の小さな事業者にとって過剰な負担とならないように、事業者規模等につきましてすそ切り要件を設定するということを考えているわけでございます。  具体的には、業種につきましては、対象物質製造する事業者だけでなくて、原材料あるいは洗剤、処理剤等として対象物質を使用しております化学工業などの製造業、あるいは廃棄物処理業などのサービス業など対象物質環境排出する可能性がある業種が考えられるというふうに考えております。  今後、環境庁が実施いたしましたパイロット事業の結果、さらには経団連などのPRTRにかかわる産業界自主的取り組みを通じて得られました情報を含めまして、対象物質取り扱いあるいは環境への排出等実態について精査した上で、政令によりまして所要の手続を経て対象業種を指定していくということになっております。  また、すそ切り基準につきましては、これまでに実施されましたPRTRパイロット事業を含む化学物質取り扱いに関します実態調査、あるいはまた制度運用開始までにさらに詳細な調査を行う予定でおりますけれども、こうした結果を踏まえまして、また欧米の制度におきますすそ切り基準参考にいたしまして、従業員規模あるいは対象物質取扱量に着目したすそ切り要件等をこれまた政令で設定させていただきたいというふうに考えているところでございます。  ちなみに、例えば我が国小規模企業、これは中小企業基本法で決まっているわけでございますけれども従業員規模は二十人以下ということになっておりますので、そういった点も参考になろうかというふうに思っております。
  12. 山下善彦

    山下善彦君 次に第三点目には、法案の第三条に規定をされています化学物質管理指針、これについて伺いたいと思います。  事業者化学物質管理改善がより促進されるように、化学物質管理指針というガイドライン環境庁並び通産省で設定されました。これのみならず、関係省庁との協議を経て策定するということが今回の法案PRTRの特色の一つであろうかと、こんなふうに思うわけでございますが、この第三条に規定をされております化学物質管理指針によって、どのように化学物質管理改善促進されていかれようとしておられるのか。例えば、排出管理目標という具体的なものを設定でもするのかなと、こんなふうに思うわけですが、その点について伺いたいと思います。
  13. 河野博文

    政府委員河野博文君) 御指摘のこの法案におきます化学物質管理指針におきましては、事業者によります化学物質管理改善促進し、環境保全上の支障未然に防止するために留意すべき事項ガイドラインとして提示することによりまして事業者によります自主的な化学物質管理改善が効果的、効率的に促進されることを意図したものでございます。  具体的には対象化学物質取り扱い実態などを勘案して定めてまいるわけでございますが、例えば洗浄工程あるいは反応工程といった主要なプロセスごと設備改善管理方法に関する技術的な指針あるいは留意事項、また回収、再利用の方法などについて策定をしていく予定でございます。  例えば第三条第二項の第一号では、結果的に排出抑制に寄与するような事項を定めていくことになろうと思いますし、第二号におきましては、原材料等の使用の合理化あるいはリサイクルを通じて結果的にこれまた排出が減少するような参考になるべき事項が定められ得るというふうに思っているところでございます。  ただ、これは削減目標とかあるいは排出管理目標といったようなものを想定しているということではございません。
  14. 山下善彦

    山下善彦君 この辺は、具体的にどういうふうに進めていくかというのが本当の当事者になりますとなかなか理解しにくい面もありますので、ぜひ管理目標というものをできれば示していただきたい。こんなことを要望させておいていただきたいと思います。  次に、四点目に入りますが、事業者による対象化学物質把握の仕方について伺いたいと思います。  環境庁パイロット事業においても、事業者が扱っている原料や製品の中から対象化学物質特定することが一番骨が折れた、こういうようなことをお伺いしているわけでございます。また、本法案においても、製造プロセスにおきまして副次的に生成する物質についてもPRTR対象にするという進んだ考え方になっておるわけでございますが、果たしてすべての事業者がこのような副次的生成物質について現実に把握ができるのかどうなのか、この辺の疑問があるわけでございます。  事業者がこのような対象物質把握に混乱が生じないようにするためにどのような措置を講じていかれるのか、その点についても伺いたいと思います。
  15. 河野博文

    政府委員河野博文君) この法案におきましては、第三章にMSDSに関する規定を置いているわけでございますけれども、このMSDSを通じまして、事業者皆さんに対しましては対象物質を譲渡または提供する相手方に化学物質名やその性状あるいは取り扱い上の注意に関する情報を提供することが義務づけられているのでございます。  こういったMSDSPRTR一体化した法制も本案の特徴でございますけれども、この規定によりまして、化学物質を受け取った事業者が取り扱っている化学物質名やその量等把握することがかなり可能になるというふうに考えております。  また、事業者副次的生成物質把握を容易に行えますように、国が定めますPRTR算出法マニュアルにおきましてもできるだけ副次的生成物質生成プロセスを示しまして、生成量算出法を示すなどの措置を講じてまいりたいというふうに考えております。  またさらに、事業者皆さんからの問い合わせに答えるためにも、届け出先になります事業所管省庁等所要専門的助言を行ってまいりたいというふうに考えております。
  16. 山下善彦

    山下善彦君 ありがとうございました。  最後に、PRTR法制化に向けました真鍋環境庁長官決意を伺って、質問を終わります。
  17. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) PRTR法法制化に当たりましては、各省庁との調整が長時間にわたって論議されたわけであります。一省だけの意見でなくして他省庁間にわたりましたので、その調整に難航いたしたわけでありますけれども、ようやくにして今回でき上がったのがPRTR法案であり、法案としては確かに画期的なものであったと私は自負をいたしておるわけであります。  事業者による化学物質自主管理改善、先ほど来申しておるように、この改善促進排出抑制環境保全対策一体として推進していきたい、こう思っておるわけでありまして、この法制化によりまして早く本制度運用が開始されることをこいねがっておるわけであります。  これがためにということで、国内の整備はもちろんでございますけれども、国際的にも期待をされておるところでありまして、OECDから勧告を受けてもう三年余りになるわけでありまして、早く法制化して先進諸国に負けない法整備をしてまいりたい、こう思っておるわけであります。  一層の御協力をお願いいたしたいと思う次第であります。
  18. 脇雅史

    脇雅史君 自由民主党脇雅史でございます。  ただいま環境庁長官から御決意がありましたが、ある意味では待望久しい法案が出てまいったわけであります。これまでにいただいた御労苦に対して感謝を申し上げたい。通産省環境庁はもちろんでございますが、関係方々感謝を申し上げたいわけであります。  若干細かいところをつかまえて文句を言うようで恐縮なんですが、過日の環境庁長官からの提案理由説明をお伺いしておりまして、若干の物足りなさといいましょうか、こう言っては失礼なんですけれども長官の大変な御決意があることは言葉の端々にわかるわけでありますが、文意を見てみますと、例えば社会的な関心が高まっているから出すんだとか、国際的にほかの国ではやっているから出すんだとか、周辺状況が高まってきたから、ようやくやれるからやりますと。  まさに正直なお話なんでしょうけれども環境庁、これはもうしばらくすると環境省に間違いなくなっていくと思うんですが、そのときの心構えとして、国民の健康、安全、国土環境を守るという立場からすれば、たとえ外国がどうであろうと国民理解がまだ得られない場面であろうと、勇猛果敢に必要なことは必要だというふうに声を上げていくのがそもそも環境庁の役目だと思うわけです。  そういう意味では、少しこれまでの伝統的な役所の力関係の中に埋もれてといいましょうか、若干環境庁方々の心情がにじみ出過ぎているなと。これからはもうこういうものはやめて、勇猛果敢に先頭に立って、世界に例のないことでも必要であれば始めていただきたい。二十一世紀に向かって我が国環境についてまさに世界をリードする国にならなければいけないわけでありますから、ぜひともそのようにお願いをしたいと思うわけであります。これは注文でございますので、後でまたまとめて感想をお聞かせいただければ結構であります。  そして、この法案を進めていくに当たって、ある意味では日本人の最も不得手な部分を含んだ法案かなと思うわけであります。何かと申しますと、これは非常に科学的に進めなければいけないものなんです。だれかが危ないぞと言うとみんな危ないというようなことでは困るわけです。ところが幸か不幸か、日本人はという言い方は余り好きではないんですが、我々はどうしても何かマスコミでこう言われるとその気になってしまって、おかしいおかしいと言いながらもどんどんそっちへ行ってしまう。全然関係ありませんが、サッチー騒動なんというのはまさにそういうところがあるわけでありますが、非常に風評に惑わされやすい国民性というのを持っているわけで、それは我々一人一人が心しなければいけないわけであります。技術的に科学的に知見をうんと積み重ねていって、そして危なげのない判断をしていかなければいけない。  この法案は、危ないと思われるものは対象にしますというわけですが、危ないと思うか思わないかという部分が非常に大事です。それは、そこを判断するために地道な非常に長い努力が必要なわけで、そういう意味我が国にとっては、我が国民にとっては運用が非常に難しい法案だと思うわけでありますが、心してやらなければいけないなということを感じます。  そういう意味で、これも過日の某テレビ局の報道でダイオキシン騒動がございましたが、非常に国民の間で環境ホルモンについて関心が高まっているわけであります。この環境ホルモンについて、これも外国の方がうんと出足が早かったのだろうと思いますが、国内、国外問わず科学的知見の充実を図っているというふうに聞いております。我が国でもやられているのではないかと思うわけでありますが、具体的にその内容がどんなものなのか、お伺いをしたいと思います。
  19. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 御質問にお答えいたします。  まず、環境ホルモンにつきましては、率直に言いまして、いわゆる内分泌攪乱作用を持つ物質について幾つかの指摘がありまして、私どもも専門家に世界的に文献を当たってもらって、それなりの根拠があるというもの六十七物質をもう既に列挙させていただいているわけでありますが、その六十七物質について具体的にどれぐらい、どういうような内分泌攪乱作用があるのかということについては必ずしもまだ確かではありません。その六十七物質につきましても、こうした物質は今後の調査研究の過程でさらにふえていくことが予想され、また今後の調査研究の推進によって攪乱作用の強弱あるいは有無が一層明らかにされていくものと期待されると、このような形でまとめさせていただいている次第であります。  実は、内分泌攪乱作用の有無及び強さを確認するための試験方法も確立されていない状況にございます。そのためにOECDを中心といたしまして行われています国際的に統一された試験方法の開発に積極的に貢献するとともに、内分泌攪乱作用が疑われている物質の作用メカニズムの解明や因果関係の究明のための研究、それらの環境中の存在状況に係る実態調査等を鋭意進めているところでございます。  具体的にちょっとOECDのことを言いますと、日本、米国、欧州等で分担してまずスクリーニング手法そのものを考えていこう。これは、簡単にある特定物質についてまず内分泌攪乱作用があるかないかをチェックする方法を具体的に考えようということで、日本では一つ齧歯類の子宮増殖アッセイというのを中心的に分担しよう。これはラットに特定物質を与えまして、それによって子宮増殖、子宮が大きくなるというようなことがあるかどうかというのを一つのチェック項目として考えよう。もちろん、それ以外にもいろいろと同じような齧歯類で雄の生殖機能低下というのがある。これは、例えばアメリカが中心にやろうとかそんなふうにいろいろ分担をして、まずスクリーニング手法のところから今現在取り組みに入っているところでございます。
  20. 脇雅史

    脇雅史君 どうもありがとうございました。  お話を伺っていますと、疑わしい物質は数多くあって、それが実態的にどんなものなのか調査中だということで、どのくらい疑わしいかどのくらい危ないかということがわからない状態ですから、余りいたずらに騒ぐのはどうかなという感想を持つわけでありますが、決して油断はできないわけで、着実にその中身について試験研究を進めていかなければいけないというふうに思います。  私は、こういう話をしていると頭に浮かぶことがあります。環境ホルモンは危ないかもしれない。ところが、杉花粉なんですけれども、杉花粉というのは毎年何百万人、一千万人ぐらいいるかもしれません。春先になるとみんな鼻をぐじゅぐじゅして、ひどい人は寝込んでしまう、大変な被害を受けているわけです。それは、ダイオキシンの物質も大事なんです。花粉症で死ぬ人はいないからいいのかどうかわかりませんが、国民の大多数が、ある意味ではこれも環境問題だと思うわけであります。そういったことについて我が国においてだれがどう考えているのか。厚生省なのかもしれませんし、そういった抗アレルギー剤みたいな対応もあるんでしょうし、杉花粉そのものをどうしていくのかという問題もあるんでしょうが、現実に国民が被害をこうむっている。これはあやしいという段階じゃないんですね、既に現実に被害が出ている。  そういったことについて研究なされているかどうかわかりませんが、ただ手をこまねいて見ているというのは、これは行政の立場としてはおかしいのじゃないか。やはりそういうところに非常に鋭敏であってほしい。困る人が将来出るかもしれないからやるというのも大事ですけれども、そうではなくて、現実に困っている問題があればそれを取り上げてやるような、そういう感度を持った役所でなければいけないと思うわけであります。  そういう意味でますます前向きに、この場で杉花粉をどうするんだということを質問する気はございませんが、一つの例として本当に困っている人がいる場面ではどんどん進めていただきたいと思うわけであります。  環境ホルモンに話を返しますと、非常に中身が難しそうなんですが、先ほどお話をいただきましたけれども、もう少し具体的に現在使われています環境庁や他省庁における予算とか組織体制、わかる範囲でどんなものなのか、教えていただきたい。
  21. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 環境庁取り組みについてまず御説明申し上げたいと思いますが、環境ホルモン対策関係予算でございますが、平成十一年度約十六億円を予算計上させていただいています。  その内訳といたしましては、まず先ほども申し上げましたが、内分泌攪乱作用の試験法の開発というのを中心に三億五千万ぐらいのものを予定しています。それからまた生態影響、健康影響、環境中の挙動等に関する調査研究に七億円余を予定しております。それから、国立環境研究所におきます基礎研究及び研究施設の整備等で五億五千万ほどのものを予定しております。それから、もちろん関係省庁間で重複が起こらないようにということで連絡会議を持っておりまして、それぞれの分担をしながらやっております。  それから、各省庁の予算でございますが、全体的には私どもの十六億を合わせましてトータル七十三億九千万、七十四億弱ぐらいのものになっております。大どころで申しますと、科技庁であるとか厚生省であるとか農林水産省でございます。  それから、組織体制でございますが、私どもの部内では企画調整局の中に環境保健部というのがございますので、その保健部が中心となりまして、大気保全局、水質保全局、自然保護局及び国立環境研究所が一丸となって環境ホルモン対策に取り組んでいる状況にございます。
  22. 脇雅史

    脇雅史君 直接的に十六億円、全部合わせて七十四億円というようなお話でしたけれども、こういう予算は急に倍にしろと言っても、人の問題もありましょうし、なかなかそれが適切かどうかわかりません。ただ、我が国の置かれた立場からすればもうちょっとやってもいいのではないかという印象を持つわけであります。少し将来を見据えて、環境庁は省になるに当たって人員増も頑張るということでありますから、その辺もひっくるめて予算もふやすようにすればいいと思うんです。  今までの役所の体質でありますと、大蔵省のおかげでといいましょうか大蔵省が予算全体を見るということで、そこからなかなか抜け出せないという部分が現実の問題としてあるのだと思うんです。これはただ一概に大蔵省を責めればいいという話ではないんですが、現在の行革の中でいろいろ省庁再編が行われておりますが、予算編成のあり方についても若干は変わっていくのではないかなというふうに思っております。  大枠のところは大して変わらないようにも思いますが、いずれにしても政治主導で少し予算のあり方についても踏み込んでいこうという方向のようでありますから、環境に関する予算の獲得ということについては、この委員会皆さんほかの場面でもございましたが、みんなで力を合わせて必要なものはとろうということでありますから、余り遠慮なさらずにどんどんこれもまた進めていただきたいというふうに思うわけであります。  この法案をやっていく中で、PRTR対象物質環境ホルモン関係をどうするかということもひっくるめまして、先ほど山下委員からもお話がございましたが、再度で恐縮でございますが、長官の所信をお伺いしたいと思います。
  23. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 環境ホルモン問題につきましては、現在大きな政治課題、また社会問題でもあるわけでありまして、これらに適切に取り組んでいかなければならないということで、昨年末、京都におきまして世界環境ホルモン会議を開催させていただいたわけであります。  我が国が開催地であるということで、世界各国から多数の皆さん方の御参加をいただきましていろんな意見をちょうだいいたしました。しかしながら、概して、意見の相違は大きくまとまりがないというのが現実の結論であったわけでありまして、それではまかりならぬということで、実は平成十一年度予算の中でも世界大会の第二回会合を日本で開催していただくべく手配いたしたところであります。今年の十二月九日、十日、十一日と三日間を予定させていただいておるわけでありますが、その場におきましても、世界の知見者を集めまして、環境ホルモンの問題ならば日本に来れば大丈夫だ、日本国から発進するんだというような意気込みを持ってこの会議を開催させていただこうと思っておるわけでありまして、先般開かれましたG8の環境大臣会合におきましても、その意を世界各国の皆さん方にお訴えさせていただいて、ぜひ協力をお願いしたいと申したところであります。  そんなことで、我が国の受け入れ態勢としましても、この平成十年度補正におきまして、約四十億をかけまして環境等と申しましょうか、環境ホルモン等をつくばの方に設置するように予定いたしておるわけであります。  それがためにということで、私も現場を視察したわけでありますけれども、まだまだ人手不足でございまして、研究者を早急に集めなきゃならないと思っておるわけであります。反対に研究者が引き抜かれるような状態になってしまっておるわけでありまして、これらの問題についても検討しなきゃならないわけでありますけれども、そういう準備を整えておるわけであります。まさに先生おっしゃるように、環境省になった以上はどこの国にも負けない対策を講じていかなきゃならない、こう考えておる次第でありまして、より一層の御支援をお願いいたしたいと思っておる次第であります。  また、PRTRに関しても、試験方法が定まり、内分泌攪乱作用が一定の科学的根拠により確認され次第、速やかに対象物質を加えていきたいという考えでありまして、これらに関しましても、ある意味においてはまだ試行錯誤の発進でありますけれども、でき上がった以上は先進国に負けない対策を講じていきたいと思っておるわけでありまして、よろしく御指導をお願いしたいと申し上げます。
  24. 脇雅史

    脇雅史君 どうもありがとうございました。  長官の意気込みはかねてより重々承知をしておるところでありますが、意気込みが環境庁職員の方々の隅々まで行き渡ることを希望いたしたいと思います。  さて、この法案運用上非常に大きなポイントとなると思われるところ、法案の第二条、これは「定義等」でございますが、その第二項第一号で、「人の健康を損なうおそれ又は動植物の生息若しくは生育に支障を及ぼすおそれがあるものであること。」というふうな規定があるわけでありますが、ここの部分の判断をどのようにしていくのか。先ほどもちょっと申し上げましたが、ここに至るまでに相当幅広い、すそ野の広い試験研究部門がなければいけないと思うわけでありますが、具体的にどんな状況になったらどういう判断を下すのか、産業界の意向を受けて少し判断が後ろ向きになっていくのじゃないかというようなおそれを持っている方も相当いると思うんです。  そういうおそれを払拭していただくということが非常に大事だと思うわけでありますが、科学的知見に基づいて厳正に選定が行われるということが極めて大事なわけでありますが、今どのぐらい具体的にできているのか、お伺いをしたいと思います。
  25. 河野博文

    政府委員河野博文君) 対象化学物質につきましては、御指摘のとおり人の健康あるいは生態系の影響、こういったこととの因果関係の判明の程度にかかわりませず、動物実験等によってこれらの有害性について一定の科学的知見が得られておりまして、その製造、輸入、使用または生成の状況などから見て、環境中に広く存在していると考えられる物質につきまして、化学物質管理改善促進環境保全上の支障未然防止の観点から選定をするということでございます。  具体的には、内外の化学物質に関します科学的知見を収集いたしまして、また他国のPRTRの施行状況等も当然参考にいたしまして、法案第十八条の規定に従いまして、専門的知見を有します方々によって構成される審議会の意見を伺い、またパブリックコメントなどの手続に従って広く国民皆さん一般の意見を求めた上で政令によって定めるということでございます。  したがいまして、御指摘がありましたような産業界もその一例かと思いますが、特定の利害関係者の意見が優先されるということではなかろうというふうに思っております。
  26. 脇雅史

    脇雅史君 ぜひそのように運用をしていただきたいと思うわけでありますが、実際の運用で大事なことは、今言われたようなことが国民の間に情報として出されることだろうと思うんです。  どの物質がどの程度危ないか、どこまでわかってきたのか、どんな審議がなされてどういう結論が得られたのか。リスクコミュニケーションという言葉がありますが、余り英語にするとよくわからないので、私はそういう情報を、情報公開といいましょうか必要な情報国民の前に出すということだろうと思うわけでありますが、そういったことについて国や地方公共団体あるいは産業界に対して、この法律でどのようなことを考えていて、どのような工夫をしようとしているのか、現実にその法運用に当たってどんなことを考えておられるのか、通産省環境庁の両方からお伺いをしたいと思います。
  27. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) まず、私の方からお答えさせていただきます。  PRTR制度を円滑に運用していくためには、事業者化学物質管理状況PRTRによって得られましたところの排出量情報などを国民にわかりやすく説明し、理解の増進を図ることが極めて重要なことだというふうに考えております。したがいまして、本法案では、まず事業者自身化学物質管理状況に関して国民理解を深める責務を規定しております。その際、事業者が留意すべき指針を国が定めて公表するというような工夫をしているわけであります。  また、国、地方公共団体措置といたしまして、事業者に対する技術的助言等の措置を講ずるとともに、化学物質の性状、排出量及び管理状況について国民理解を深めるよう努めること、それらに必要な人材を育成すること等を定めております。  また、御指摘のように、国民事業者地方公共団体などが化学物質に関するさまざまな情報を共有できるということが大事であると思っておりまして、国が化学物質に関するデータベースを整備し、その利用促進を図ることを規定しているところでございます。
  28. 河野博文

    政府委員河野博文君) この法律が施行になりますれば、私ども環境庁と全面的に協力をしながら進めることでございますので、やや重複したお答えを申し上げることになるかと思いますけれども、御指摘のとおり化学物質に関する国民理解の増進は重要な課題であると私どもも認識しているところでございます。そのため、事業者皆さん国民皆さんに対して行いますリスクコミュニケーション活動、情報提供活動でございますが、地方公共団体等とも連携しながら支援をしてまいりたいというふうに考えております。  具体的には、リスクコミュニケーションが円滑に実施されるための基盤的なものを整備する一環といたしまして、化学物質に関する有害性データベースの整備、国や中小企業団体による中小企業に対する人材育成を通じて事業者皆さん化学物質全般に係る情報をわかりやすい形で提供できるようにする。また、例えば事業者からの要請があれば、リスクコミュニケーションの場に専門家を派遣するなども含めまして、地方公共団体などとも連携を図りながら事業者の活動を積極的に支援してまいりたいというふうに考えております。
  29. 脇雅史

    脇雅史君 大変優等生的なというか立派なお答えをいただいて、そのとおり運用されれば間違いないというふうに確信をいたします。  いずれにいたしましても、相手は目に見えない化学物質でございますし、この問題だけに限らず、環境行政なるものが国民皆さんの信頼を得る唯一の方法は、やはり得られた情報をきっちりと公開して、その情報をもとにどんな判断をなされたか、判断過程までお示しすることは難しい場面もあるかもしれませんが、そういうことを明らかにしていくことだろうというふうに思いますので、これからも今のお答えどおりに進めていただきたいというふうに思います。  例えば無菌グッズというのがありますが、無菌の机とか無菌のボールペンというのがあるかどうか知りませんが、菌のない状態が環境にとっていい状態だ、人間にとっていい状態だというような誤解が国民の間にはあります。人間の体には、聞くところによると、うそか本当か知りませんが二兆ほど細菌がいるそうですけれども、細菌と一緒に住んでいるのが通常な状態ですから、そういう間違った認識も正しながら、環境行政というものを正しく的確に今後とも進めていただきたいということをお願いいたしまして、終わります。
  30. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 よろしくお願いいたします。  今、脇議員が、大変前向きに、このPRTR法というのが信頼できる、そして本当に新しい画期的な法律になるようにという意味も込めて質問をされましたけれども、私も同じようにそういう観点から質問をしていきたいというふうに思っております。  といいますのは、この国会での審議を通してNGOの方がこんな感想を持たれたんです。制度をつくってきた人たちが後ろを見てつくっているから議論が大変後ろ向きばかりではないだろうかということなんです。そして、こんなふうに表現されました。二十一世紀に向けた新しい制度だと思って議論してきたのに、生まれてきた子供を見たら年寄りの子供だった、こんな感想を持たれたわけなんです。ですから、本当に新しい制度なんだ、画期的な制度になるんだということを込めてお答えもいただきたいというふうに思っております。  最初に、目的のことについて触れたいと思いますが、この法案の目的は、「事業者による化学物質の自主的な管理改善促進」すること、及び「環境保全上の支障未然に防止すること」となっております。衆議院での審議とか先日のこの参議院の参考質疑を振り返りますと、二つの目的のうちどちらを重視するかで立場が分かれているように私は思いました。  長官に、まずこの二つの目的の関係をどうとらえていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
  31. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 岡崎先生の御指摘でございますが、生まれる子供に大きな期待を寄せるのはどの親心も同じだと思うわけであります。年寄りの子供を産むなんというような考えは一切ございませんで、前向きに、子供を産めば早く成長してほしい、元気な子であってほしいと願っておるのがこのPRTR法案でもあるわけでありまして、その面においてはより一層の御協力をお願いいたす次第であります。  また、本法案においては、事業者による化学物質の自主的な管理改善することと、環境保全上の支障未然に防止することの二つの目的を有しておるわけであります。事業者による化学物質の自主的な管理改善促進を図ることは、環境保全上の支障未然防止につながる有力な手段であり、これらを一体のものとしてとらえていきたい、こう考えておる次第であります。
  32. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 自主的な管理を重んじるばかりに、企業が嫌だということについては何もやらないようでは実効性が損なわれますし、法の信頼性というものについてもマイナスになるというふうに思うんです。事業者自主管理の強化を通じてこそ環境保全上の未然防止の目的が達成されるというようなことでは、本当に制度の一面性だけということになってしまいますので、この制度の設計、運用に当たって自主的な管理改善を理由にして未然防止をいささかでも危うくするようなことはないと、ぜひ万全を期していただきたいと思います。  いま一度大臣に対して、一般論としてでいいわけなんですけれども、これから審議を重ねる中でもっともっと具体的に議論されることになると思いますけれども、もう一度、本当にこれが片方だけ重視されるということは絶対ないということでよろしゅうございますね。
  33. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 先生の御指摘のような強い決意を持って事に処していきたいと思っております。
  34. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 地域住民の知る権利ですとかあるいは環境リスクの低減、リスクコミュニケーションの推進を目標に盛り込むということで、私はこの法案が積極的で、そして明確な性格を持たせることができたというふうに思うんです。  例として、このリスクコミュニケーションがどうして盛り込まれなかったかなということについてお聞きしたいんですが、このリスクコミュニケーションの促進という文言がないかわりに国民理解の増進を図る、この規定がありまして、これはリスクコミュニケーションを含んでいるんだということなんです。  このリスクコミュニケーションというのは、PRTRパイロット事業評価報告書によりますとこんなふうにあります。「化学物質環境リスクに関して幅広い人々が認識をもつことが、化学物質環境保全上適切な管理を進めるために不可欠であるとの考え方に基づき、関連する正確な情報を行政、事業者国民、NGO等のすべての関係者が共有しつつ、環境リスクへの認識を深め、また環境リスク管理の進め方について話し合いを進めること。」というふうにあるんです。  「国民理解の増進」というかたい言葉の中にこれが含まれるということなんですけれども、どうでしょうか、やっぱり知る権利を明記することとかリスクコミュニケーションの推進を目標に盛り込むとか、具体的にはっきりさせるということが一番わかりやすいんじゃないでしょうか。
  35. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 本法案におきまして、事業者に対する化学物質管理指針におきまして、「国民理解の増進に関する事項」を定めておる点、それから、化学物質管理状況に関する国民理解を深める努力を事業者の責務として規定していること等々は先ほどお答え申し上げたとおりでございます。  また、国、地方公共団体が教育活動や広報活動等により国民理解の増進を図ることを規定した点が、先生指摘のように、私ども事業者及び国、地方公共団体によるいわゆるリスクコミュニケーションの増進を図ることとしているところのまさに根拠でありまして、私どもはこれをもとにリスクコミュニケーションに積極的に取り組んでいこうと思っております。  ただ、いわゆる知る権利につきましては学説上諸説存在しまして、その概念がなお固まっていないというふうに私どもは承知しております。
  36. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 「国民理解の増進」の中にこういうことが含まれるということで、どんなふうにしてわかりやすく説明しようとされていますか。
  37. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 実は、私どもも今、リスクコミュニケーション手法についての開発と言ってはちょっと言葉がこれもかたいし、開発なんというものかよというふうな御指摘も受けそうですが、どうしたらリスクコミュニケーションがうまくいくかということについていろいろと事例等も集めて勉強しております。これはいずれガイドブックにしてきちんと表に出していこうと思っております。  要するに、化学物質に関する情報国民にわかりやすく提供すること、それからもう一つは、地域住民の過剰な反応を恐れる事業者と、今度は逆に事業者、行政の情報隠しを疑う住民との間で冷静なコミュニケーションをどうしたら図っていけるか、この点について、私どもが先ほど申し上げましたように今現在いろいろな事例を集めて具体的にコミュニケーションガイドというものにまとめていこうとしているわけであります。それを皆さん方に活用してもらうと同時に、我々行政府、行政府の中にはもちろん国だけじゃなくて自治体も入るわけでございますが、それから事業者、それから住民との間でリスクコミュニケーションが図れるような努力の積み重ねをしていきたいと思っております。
  38. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 そのガイドとかパンフレットというのは、この法律ができましてからどのぐらいの期間にでき上がってきますでしょうか。
  39. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 実は私ども、先ほどの御質問にもあったんですが、急にこの法案をつくったというよりは、PRTR制度につきましては、パイロット事業をやってきたり国際的なシンポジウムを開いたり、いろんな蓄積をしてまいりました。  そういう中でリスクコミュニケーションが必要だということについても十分考えていましたので、実はもう二年がかりでやってきておりまして、今年度何とかまとめたいというふうに考えております。
  40. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 よろしくお願いをいたします。  次に、対象物質の選定について伺いたいと思います。  これまでの審議で繰り返し指摘されておりますけれどもPRTR制度排出規制を行うものではない、化学物質環境への排出把握して、そして情報を皆と共有するための制度だというわけなんですが、その未然防止という観点から、将来、汚染被害が起こってしまった場合の原因究明に資する情報を幅広く収集していくためには、対象物質はできるだけ広く指定する必要があるというふうに私は思うんです。制度運用開始の段階でどれだけの物質対象にしようと考えているのか、改めてお伺いしておきます。
  41. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 具体的な対象物質につきましては、有害性についての国際的な評価や物質の使用状況等を踏まえまして、専門家の意見等も伺いながら検討した上で政令で定めることにしておりますが、現時点ではおよそ二百ないし三百種類程度の物質になるのではないかと考えております。
  42. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 対象物質の選定はどのような手順で行われますでしょうか。
  43. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) これは先ほども申し上げましたように専門家の意見等も伺いながらやるわけでありまして、法十八条に掲げてございますが、究極は、中央環境審議会を初めとする環境庁、それから厚生省、通産省がそれぞれ審議会を持っておりますので、審議会の意見を聞いて、それから物質を選定して政令にしていく、その段階ではもちろんパブリックコメントみたいな手続もとりたいと考えております。
  44. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 パイロット事業では有害性と暴露可能性を考慮してランク分けを行って、これをもとに基本的な対象物質の選定を行っております。そして、国際的なというか世界的に使われている基準ということでは、発がん性、変異原性、慢性毒性、生体毒性、生殖毒性、こういうことについて毒性等を判断している。こういう手法では、内分泌攪乱物質とか現在の科学的な知見によっては毒性が十分明らかにされていないもの、これが抜け落ちてしまいますけれども、どうでしょうか。
  45. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 先ほどもお答え申し上げましたように、内分泌攪乱性というものについて、そもそもまだ現在、強弱あるいはどの程度の影響があるかということも十分わかっていない状況なものですから、知見方法を確立することに現在真剣に取り組んでおります。したがって、そういう意味からいきますと、ホルモン作用があるないということについてまだこんな状況のもとにありましては、いわゆる環境ホルモンを対象物質とするということは現時点では難しい。先ほど大臣がお答え申し上げましたように、早く知見を固めて具体的に作用がはっきりしてくれば、これはできるだけ早く対象物質にしていきたいと考えております。  ただし、実際問題としましては、特定化学物質の中には、内分泌攪乱作用が疑われている物質の中にももう明らかにほかの毒性で明確にわかっているものもございます。そういうものはできるだけ広くとっていこうというふうに考えておりますので、私どもが六十七物質をSPEED98の中で挙げておりますが、その中のうちの十七物質は既に対象に選定して実際にパイロット事業をやってきているという実績がございます。
  46. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 今おっしゃったパイロット事業では十七しか対象物質にならなかった、ここにこうあるんですけれども、これは全部理由を見てみますと、内分泌攪乱物質というそういうような理由にはなっていないです、ほかの作用ばかりです。どうしてこれが全然なっていないんでしょうか。これに関連するものは随分あるだろうというふうに思うんですけれども
  47. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) まずこういうふうに申し上げたらいいかと思います。  一つは、内分泌攪乱作用についてはまだはっきり必ずしもわかっていないというふうに最初に申し上げました。その点が一点でございます。  それからもう一点は、実はパイロット事業の方が先に走っておりまして、後からSPEED98で私どもが六十七物質というものを先ほども申し上げた外国の論文等から全部渉猟いたしましてリストアップしたということでありまして、前後は、むしろ後から六十七物質が出てきているという点が二点目でございます。  それからさらには、実は六十七物質の中には現在日本で使われていないものというのが二十七物質あります。そんなことで、いわばおのずから外れていくというものもございます。
  48. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 社民党にお伺いいたします。  社民党案では、例示として内分泌攪乱物質が挙げられておりますけれども、その理由は何でしょうか、教えていただきたいと思います。
  49. 清水澄子

    委員以外の議員清水澄子君) 内分泌攪乱作用、いわゆる環境ホルモンは、やはり岡崎議員御承知のように生物の生殖機能に影響を及ぼすおそれのある物質でありまして、事は人類を初めとする生物の未来にかかわる問題であります。とりわけ環境ホルモン作用は女性や胎児期、乳児期に大きな影響を与え、人が人として成長する可能性を奪い、次の世代を破壊する危険性のあるもので、人々の不安を非常に高めておる物質だと思います。  そこで、対象化学物質として環境ホルモンを明記する必要があると考えました。法律に環境ホルモンを明記すれば、対象物質を定める際に化学物質環境ホルモン作用について政府はさまざまな意見を踏まえて広く検討しなければならないことになり、説明責任を負うことになります。  社民党は、現在議員立法で準備されておりますダイオキシン特別対策法案とこの化学物質環境リスク対策促進法案一体のものとして成立させることによって、国民の不安が高まっているダイオキシンあるいは環境ホルモン問題に迅速に対応するとともに、二十一世紀の化学物質対策の基盤を形成することができると考えているわけです。  特に、今環境庁の方から内分泌攪乱物質はまだはっきりわかっていないというふうな答弁をされておりましたけれども、科学的知見が明らかになった段階では非常に問題が大きくなると思うわけです。ですから、潜在的な危害のおそれがある物質対象とするというのがOECDの原則でございます。国民の不安というのは、現在有害性が明らかでなくても将来にわたって安全であり何の影響もないという点がやっぱり大事だと思います。  それで、これまでのやり方は、ある物質有害性が疑われても、まず科学論争に長い時間が費やされ、科学的知見が確立して初めて規制されるというものでありました。それによりこれまで水俣病初め多くの苦い経験を繰り返してきているのは御承知のとおりだと思います。  PRTRは、規制をする制度ではなくて、化学物質による被害を未然に防止するために幅広く情報を集めて共有するためのものでございます。したがって、従来の規制のやり方のように科学的知見によって有害性が明らかになってからPRTR対象とするというのは、やはりそれは本末転倒であると考えております。
  50. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 本当にそうだと思うんです。ありがとうございました。  脇議員も、関心が高いから検討するということだけではだめだと環境庁に先ほど申し上げて、長官も力強く答えていただいたわけなんですけれども、関心が高い物質については排出状況実態をきちんと調べてそして公表するという観点からも、関心が高いから対処をするということがあってしかるべきだというふうに思うんです。実態をすぐにそこから始めていくという意味では、本当にそういうものを対象物質にすべきだ。環境ホルモンは今最も注目を浴びている物質ですから、ぜひやっていただきたいというふうに思います。市民参加で決めるべきだというふうに思います。  パニックの問題についても、参考人の方々も触れてくださいましたけれども、パニックについては情報を公開することによって抑えられますし、また隠されているのではないかという心配の方がパニックに私はつながっていくのではないかというふうに思うんです。技術的な基準ですとか専門的な判断という言葉をよく聞きますけれども参考質疑を通して、それはもっともな議論だというふうに思いました。それでも、PRTRの意義を真に発揮しようというふうに思いますときに、市民の関心、心配、もっと通じやすい言葉でいいますと国民の関心という観点からそういう判断基準が導入されてもいいというふうに思いますが、長官いかがでしょうか、国民皆さんの関心という観点から判断をすると。
  51. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 疑わしきは罰せずというようなことわざがございますように、何でもそこのところに集積してという意見ではないわけであります。ですから、我々が考えますのは、先ほどしっかりいい子を産んでくださいというように、いい子を小さく産んで大きく育てるという信念がそこに私はみなぎっておると思うわけでありまして、決して最初から大きくして、それでそれらを対象にして審議するというのではなくて、慎重な審議の中にも知見度の高いものにしていこうというのが今回の法のねらいであるわけであります。  情報公開はもちろんすべきでありまして、それによってパニック状態になるようなことは、これは法案の趣旨からいって慎んでいかなきゃならないと思いますけれども、その情報公開の趣旨だけは我々としてもぜひやっていこう、こう思っておるところであります。
  52. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 小さく産んで大きく育てるとなるとこれまでの手法と何ら変わりがなくて、やっぱりこれを画期的な法律にするためには、本当に皆が心配している問題ですとか今本当に問題とされている問題にきちんとこたえてこの法律を生み出していかなきゃいけないというふうに私は思います。少なくとも本当に柔軟に加えるシステムでなければいけないというふうに思うんです。  そこで、審議会の開き方についても伺いたいと思うんですけれども環境庁長官、厚生大臣、通商産業大臣に聞かなきゃいけない、審議会の意見を聞くというふうになっておりますけれども、開き方について、いつ開くのか、だれの判断で開かれるのか、世論の高まりに応じて開かれるのか、お伺いしたいと思います。
  53. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) お答え申し上げます。  具体的な対象物質の選定に当たりましては、一つは、まず衆議院の方で若干の修正をいただきまして、第二条第四項に規定するように、「環境保全に係る化学物質管理についての国際的動向、化学物質に関する科学的知見、化学物質製造、使用その他の取扱いに関する状況等を踏まえ、化学物質による環境の汚染により生ずる人の健康に係る被害並びに動植物の生息及び生育への支障未然に防止されることとなるよう十分配慮」するということにされておるところでございまして、専門家の審議会における審議もこのような観点から行われることになるというふうに考えております。  物質指定に当たりましては、先ほども申し上げましたが、パブリックコメント手続も行い、広く国民、NGO、産業界、学識経験者等の意見を踏まえて政府全体として政令策定することとしております。  実は、どういう形でやるかにつきましてはまだなおこれから協議してまいりますが、もちろん審議会でございますから、私ども基本的に公開でやってきていますからそういうのは踏襲したいと思いますし、三つの審議会がばらばらでやるというのもなんですから、そこをどうしたらうまくできるか。例えば合同でやるのがいいのか、あるいは専門家グループをつくって作業グループをつくるのがいいのか、その辺は早急に詰めていきたいと思っております。
  54. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 社民党に伺いたいと思いますけれども、政府案では三つの審議会の意見を聞くことになっておりますが、社民党案では中央環境審議会のみになっておりますけれども、その理由をお聞かせください。
  55. 清水澄子

    委員以外の議員清水澄子君) 対象物質の選定でございますから、PRTR化学物質による人の健康と生態系への被害を未然に防止するための環境法制であると思います。ですから、環境庁長官が一元的に所管して、そしてその物質の選定についての意見を聞く先も中央環境審議会とすることが最も適当であると考えております。  三つの審議会の意見を聞くことで対象化学物質が幅広く柔軟に選定されるのであればいいのですけれども、そうではなくて、審議会の一つでも反対した物質対象としないということになれば狭い範囲の物質しか対象になりません。ですから、政府案の仕組みでは人の健康と生態系の保護よりも産業が優先されることとなるのではないかという懸念を覚えます。
  56. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 そこが本当に心配なところなわけなんです。この三つの審議会の関係で、今合同になるのかあるいは個別に開催するのか、これから検討されるということだったんですけれども、私はやはりそれぞれの観点をもし生かすのであれば、私は中央環境審議会のみにすべきだと思います。それぞれがきちんと個別に開催してそれなりの結果を出した後に突き合わせして、議論を公開して、外される物質があったらば納得できる理由が公表されなければいけないというふうに思うんです。  もう環境庁長官に最後にお伺いする時間になってしまったと思うんですけれども、ほかの審議会、厚生省の方の審議会はやはり人の健康を損なうことがあってはならないという意味からここは聞いてもいいかなというふうに、百歩譲ってそういうふうに思う面ももちろんあるんですけれども、ほかの審議会の拒否権発動というようなことを決して認めることがないように、環境庁がしっかりと主導もする、そしてほかにも影響を与える。何かがあっても、環境庁が言っている、絶対中央環境審議会が大事にされる、そういう御決意も含めてお伺いしたいというふうに思います。
  57. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 今、先生の御指摘をいただきました点がこの各省庁間で話し合いをするところで難しいところであったわけであります。やはり、今までの審議会といえば専門的な知見を得られる最高の機関であるわけでありますから、各省庁の審議会を通して判断をゆだねなきゃならないと思っておったわけでありまして、そういうところのメンバーを一カ所に集めて中央環境審議会の中で審議できる体制ができれば私は将来的にはいいなと思うわけでありますけれども、今の段階では三省庁にゆだねて意見を集積してもらわなければならない、こう思っておるわけであります。先ほど局長の方からもお話をいたしましたように、先々に対してはそういう強い期待を持っておりますけれども、今の段階でこういう状態であるということで御理解をいただきたい。  環境庁としても決して手抜きなんかするわけではございませんし、できれば環境省になったときにはその体制を十分つくりたいと思っておるわけでありますけれども、これから各省庁間でよりよく話した上でそういう体制をつくっていきたいと思っておる次第であります。
  58. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 そういう検討とか努力だとかではなくて、やっぱり最後の決意としては、ほかの審議会が反対したからといって入らないというようなことは絶対にない、拒否権発動はないのだという御決意を最後に本当に一言伺いたいんです。
  59. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 言葉の結論でなくて、今の段階からそういうふうな状態にしていきたい。ここはやっぱり各省庁おられるわけでありますから意見をまとめなきゃならないわけでありまして、本当はそういう気持ちを出したいわけでありますけれども、この法案を作成し、またこの法案をよりよきものとして育てる上においては今各省庁間の協力が必要であるということを申し上げたわけでありまして、その最終的な結論でやりたいという気持ちは変わらないわけであります。
  60. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ありがとうございました。
  61. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 佐藤雄平でございます。  まさに今の長官の言葉どおり、なかなか共管というのは難しいところがあるのかなと思いながら今聞いていたところであります。  このPRTR法案が上程されてから、おのずとそれらしき記事に実は目が行くようになってまいりました。そんな中で、ちょうどこれは我が県、福島県でありますけれども、福島県で、化学物質保安工場、事業所、県が立ち入り調査、三年間で六百カ所、排出量管理チェックという記事が載っておりました。そういうふうな中で、自治体が昨年、化学物質の適正管理等の条例を決めて既に始まっているときに今また国がこうしてPRTR法案というのを、ある意味では自治体の方が先行しているのか、国が遅きに失しているのか、そんなことを思いながらも、しかしそれぐらいまた大変な法案でもあるのかな、そんな感じを持っておるところでもあります。  人の生活、社会の中で特に戦後五十二年間をいろいろ振り返ってみますと、産業経済の活動があり、それが今日の日本の生活、経済をつくっている。その背景となっているのは、ある意味ではまた化学物質も人の生活に大変な貢献をしているのかなと思いながらも、しかしながらその裏には環境の問題、健康の問題もついてきているんだな、そんな思いでもあります。  人類、世の中を長い目で見てみますと、経済活動がこのときは大事であるな、さらにまた、経済活動というのは人の生活、ある意味では快適さ、ある意味では合理的な、こういうふうな追求もあるでしょうし、しかしながら基本的には人が生きていくということに根源があるのかな。そういうふうな意味から申しますと、化学物質で合理的な機能的な生活をしていること自体が人の健康にもまた環境にも差しさわりが出てくるということであれば、これは一つの長い歴史の中でのめり張りが必要であろう。いろいろ聞いている中で、今回の法案はここに至るまで本当に御苦労があったと聞いております。  そういうふうな中で、私は二十一世紀に向けた人の健康を考えたときに、環境庁通産省が何で共管になるのか、しかも環境庁が中心にパイロット事業をしてきたという経緯を見ても、さらにまた諸外国では環境庁が中心になって特定化学物質管理等については行っているということを聞くと、今日に至るまでどういう経緯があったか、どうしてもその辺をお尋ねしなきゃいけない、そんなふうに思っているところでありますけれども、まずここに至るまでの経過等について環境庁通産省にお尋ねしたいと思います。
  62. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) お答え申し上げます。  本法律案につきましては、昨年九月にまず通産省の化学品審議会が事業者によります化学物質管理に関する中間報告を出されました。それから、一方、昨年十一月には環境庁の方の中央環境審議会からPRTR制度の導入についての中間答申をいただきました。これらを踏まえまして、両省庁が共同して事業者による化学物質管理改善促進環境保全上の支障未然防止一体とした法案として取りまとめたものであります。  我が国におきましては、PRTRの実施を通じまして、事業者による化学物質管理改善促進環境保全上の支障未然防止するためには、事業所省庁協力を得つつ、環境庁通産省が中心となってそれぞれの有する知識や能力を合わせることが最も適当であると考えた次第であります。
  63. 河野博文

    政府委員河野博文君) 長い間共同で作業してまいりましたので、答弁が重複することをお許しいただきたいと思います。  この法案は、PRTR制度にかかわります産業界の自主的な取り組みの実績と環境庁が行われましたパイロット事業の経験、そしてこれらをもとに審議された化学品審議会そして中央環境審議会の報告及び答申を踏まえまして、事業者による化学物質管理改善促進することが環境保全上の支障未然に防止することにつながるという考え方に基づいて作成してまいったものでございます。  こうした認識に立ちまして、この法案では化学物質管理改善促進環境保全上の支障未然防止の二つを、先ほど来御説明申し上げておりますように、表裏一体の目的というふうに設定しているわけでございます。そこで、環境保全行政に責任を有する環境庁化学物質管理に関します責任を有する通産大臣とが事業所管大臣との協力を得ながら政府一体となって取り組むということでこの制度を構想したものでございます。
  64. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 取り組んできたことについてはわかりました。しかしながら、この法案ができて、それから施行していく、そのとき、私はある意味では霞が関の縦割り行政ということを容認するところもあります。  そういうふうな中で、環境庁の与えられた役割環境庁のなすべきこと、さらにまた通商産業省のなすべきこと、ある意味では相反するところがあるかもわかりません。それは、先ほどの話の中でもそうなんですけれども、いわゆる環境行政、人の健康に影響する行政を先行して、先んじてやっていくというのが環境庁であろうと思うし、また通商産業省はいわゆる産業振興、人の経済活動についての大事さ、これも相まってあるわけであります。そういうふうな中で、今後その事案が都道府県から上がってきたときに、通産省の所管のところに、また環境庁がこれはもっと聞いてみたいなと思うようなことが当然出てくると思います。  そういう中で、いわゆるPRTR法案を施行していく中で、環境庁と通商産業省の一つの仕事の分け方というか、これはなかなか一緒にと言っても大変なことであろうと思いますし、それぞれの省庁の力点、力の入れどころというのもまたあると思います。そういうふうな中で施行するについての環境庁通産省のそれぞれの役割、この辺をそれぞれの省庁にお伺いしたい。
  65. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 本法案の施行に当たりましては、環境庁はもちろん環境保全を所管する立場から、それから通産省は化学物資の管理を所管する立場から、両省庁がそれぞれの知識や能力を生かしつつ制度全体に責任を持って一致協力して取り組んでいこうというふうに考えている次第であります。    〔委員長退席、理事太田豊秋君着席〕  したがって、両省庁ではPRTR対象物質の選定であるとか、あるいは排出量等把握届け出、公表といった制度全般の企画立案に共同で取り組んでまいります。もちろん、その際に全く単純事務を二つでやる必要はないわけでありますから、それぞれの分担ということは考えてまいりたいと思います。  例えば、環境庁地域別の集計、公表をするとか、あるいは通産省業種別の集計、公表に係る企画立案を行う等の役割分担は考え、効率的な法の運用を図っていきたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、要は共同して取り組んでいくということがこの法案の我々が取り組んだところの骨格になっております。
  66. 河野博文

    政府委員河野博文君) 通産省も今の環境庁の御答弁と全く同じように考えております。
  67. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 次に、指針づくりになってくるわけですけれども、これも両省庁でそれぞれの管理改善等の指針をつくっていくということであります。その中で今ある程度のガイドラインはできているのかなと思いますけれども、これは具体的に数値的なものを挙げながら指針をつくっていくのか。  例えば健康を害する、先ほどダイオキシンの話も環境ホルモンもありましたけれども、もう具体的に数値を挙げて、これぐらいのパーセントであればそれを特定化学物質ということで指定していくというような、そんな形でその指針をつくっていくのか、その辺の方針についてお伺いしたい。
  68. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 先ほど河野局長の方からの答弁に既に一部あったわけでありますが、この指針は法対象の多数の化学物質あるいは広範な利用者を対象に汎用性が高いものとして策定したいというふうに考えております。  したがいまして、個別物質に着目した削減目標等の定量的な数字を定めることを想定いたしてはおりませんで、化学物質取り扱い実態等を勘案しつつ、例えば洗浄工程であるとか反応工程といった主要なプロセスごと設備改善管理方法に関する技術的な指針留意事項や回収、再利用の方法等について策定することを予定しております。
  69. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 これはちょっと質問が前後するんですけれども、いわゆる指針づくりの中で三条二項四号というのが法案の中であります。この中で「指定化学物質等の性状及び取扱いに関する情報の活用に関する事項」、この指針は基本的には環境庁と、先ほどからも聞いておりますけれども通産省でお互いに協議しながらつくっていくということになっておりますけれども、どうも聞くところによると、環境庁はここにまざることができないというか、通産省が中心でやっていくというような話も聞いております。  こういうふうなことを考えると、これは何か両省庁でやっているまさに共管というふうなことでなくなってしまうのじゃないか、そんな思いがするわけでありますけれども、この三条二項四号についての御説明を願いたいと思います。
  70. 河野博文

    政府委員河野博文君) この法案におきましては、第三章で「指定化学物質等取扱事業者による情報の提供等」ということでMSDSに関する規定を設けているわけでございますけれども、このMSDS自体は化学物質の性状、取り扱いに関する情報事業者間の取引においてどのように渡していくかといったことを定めるということでございますので、事業者間の取引という点に着目をいたしまして、このMSDS制度については通産省が中心となって、もちろん指定物質等々は各省間で連絡調整の上行うわけでございますけれども、具体的な運用については通産省がそういった取引のことであるということで責任を持たせていただいているということになっております関係上、この第三条第二項第四号におきましても、「指定化学物質等の性状及び取扱いに関する情報の活用に関する事項」という、MSDS情報の活用といった点は通産省が主体となって管理指針を定めるということで整理をされているわけでございます。
  71. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 例えば環境庁の方で開示してもらいたい、そんなことで環境庁の方からのいわゆる問い合わせというか開示の要請があった際というのは、それはもう通産省としても開示するということの理解でよろしいですか。
  72. 河野博文

    政府委員河野博文君) 御指摘の点は、例えばMSDSというのはかなり多くの物質につきまして製造業者がユーザーの皆さんに対してさまざまな化学物質情報を提供するということになりますから、この情報自身がある意味ではデータベースのもとになるような情報として意味があるというふうに思っております。  これは、もちろん環境庁皆さんからの御指摘をまつまでもなく全面的に提供していくことでございますし、またさらに国民皆さんにも提供できればいいというふうに思っているところでございます。
  73. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 営業秘密、これもいろいろ出てくる話かと。資本主義、自由主義経済の中でいろいろ経済活動をやっておりますから、これは何も化学物質でなくともそういうふうなことがあり、一つのこれは大きなある意味ではハザードになってしまうのかな、それによって商売をやっている人もいるというふうな理解をという点からすれば。しかしながら、今回の法を施行して効果あるべきものにするということであれば、常にこの壁にぶつかってしまうのかな。    〔理事太田豊秋君退席、委員長着席〕  その中で、営業秘密という判断、これはどこでだれがやるのか。これも直接環境庁とか通産省にすべて上がってくればそれぞれ解読できるのでありましょうけれども、しかしながら県に上がって省庁に上がってそれがまた通産省それから環境庁に来るということでもあります。  この辺のいわゆる営業秘密についての指導というか開示というか指針というか、この辺については両省庁の中で他省庁に対して、また都道府県に対してどういうふうな指導をしていくのか、お伺いしたい。
  74. 河野博文

    政府委員河野博文君) この法律案におきましては、第六条に営業秘密に関する規定があるわけでございます。この条文を作成するに際しまして、環境庁とも十分相談をいたしまして、これは国際的にもまた国内の不正競争防止法等の法令によりましても、営業秘密というものがどのような要件を備えている場合に客観的に営業秘密と認定し得るものかという点を議論した上で、三つの要件を考慮しておりまして、秘密性あるいは有用性それから非公知性といいますか、そういった三要件を法文上明記をした上でこれを判断するというふうにしたところでございます。  具体的な判断の主体は、こういった競争に関することでございますので、その技術上の情報がどの程度競争場裏におきまして有用性を持つか、あるいは専門的な技術的な観点から見てどういうものであるかということが判断し得るということで事業所管大臣というふうに考えているところでございます。  ちなみに、届け出の形態につきましては、衆議院での修正をいただきまして、都道府県知事経由という届け出対応でございますが、営業秘密関係情報は、請求も含めて直接事業所管大臣ということになっておりますので、そういった対応をしてまいりたいというふうに考えております。
  75. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 その点はうんと大事なところであろう、そんなことを思いますので、それぞれまた事業所管大臣等に、両省間の中でよく今の三つの基準また諸外国等の例を踏まえながら御指導を願いたい。  今、修正になった届け出先に今度は各都道府県がなったということで、ある意味では一歩前進であるかな、そんな思いもするところでありますけれども、また都道府県でもそれぞれ、先ほどの福島県の例じゃありませんけれども、まちまちのところもあるのかと、環境行政について。そういうふうな中で届け出を受けるわけでありますけれども届け出を受ける際に、先ほどの縦割り行政じゃありませんけれども、いわゆる農薬をつくっているところは農林水産部とか、またその他の化学については商工部とか、そういうふうな形の届け出先都道府県の部局を指定、指示するのか。それとも、ほとんどの県が環境部というところはあると思うんです。この法案の趣旨からいえば、本当はその自治体環境部が一括してということの方が私はこの法案の整合性があるのかなと思うんですけれども、これについて各都道府県にそれぞれ部局等の指導、指定というようなことをするのかどうか、この件についてお伺いしたい。
  76. 河野博文

    政府委員河野博文君) 都道府県の内部におきます事務分担がいかがなものになるか、それはそれぞれの都道府県において決定される事項だというふうに考えております。  ただ、一般的に申しますと、例えば各業種に属する事業所の存在状況あるいは事業業態、こういった情報につきましては事業所管部局が、また特定化学物質排出状況あるいは地域におきます環境状況については環境部局がそれぞれ知見を有しているということは言えると思います。  国といたしましては、事業者届け出義務が着実に履行されることとなるように各都道府県におきまして適切に経由窓口を決定していただくことを期待しているところでございまして、具体的に窓口を国が指示するということは考えておりません。  また、法案成立後、事業所管大臣の協力も得ながら環境庁通産省が中心となりまして都道府県との連絡、連携体制の整備を図ってまいりたいと思っておりますし、PRTR制度周知徹底のための講習会の資料提供ですとか、あるいは都道府県の実務担当者を対象とした講習会などを実施するように考えておりまして、こうした取り組みによりまして都道府県において事業者による届け出義務の履行の確保などの経由事務を的確に行っていただくことが可能になるのではないかと期待しているところでございます。
  77. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 ありがとうございました。  次に、化学物質の運搬というか運送というか、私は高速道路に乗っていて、渋滞して前にタンクローリーの毒物なんというのがもし火災になったらどうしようとか、またトンネルの中で渋滞になったらこれはもう壊滅してしまうんじゃないかと思うような危惧というか怖さを何回か自分自身が感じたことがある。これは皆さんもそんなことの経験があるんじゃないかと思うんです。  せっかくこのPRTR法を今審議しているわけでありますから、これは運輸省の所管であるということは重々承知の上で質問させていただくんですけれども、せっかくこの法案が今審議されて、施行されていくであろうと思いますけれども、そのときに運送等についてやっぱり運輸省に、また担当の局を通しながらもきちっとした特定化学物質の運搬、運送面についての留意というか注意、こんなことも改めてお願い申し上げておきたいと思います。  いずれにしても、人の生活、それと環境、健康、これはもうそれぞれ相まっている中であり、そしてまたある意味では画期的な法案という、これが事業者産業界の方から自主的に出してくる法案でありますから、これはある意味では評価しなきゃいけないと思いますけれども一つの世の中の流れ、百年、二百年、五百年、一千年、そういうふうな大きい流れの中で、今まさに環境問題、先ほども脇同僚議員から環境庁環境省になるということになって国民の意識というのは非常に上がっているわけでありますので、そういうふうな中でそれぞれ両省が協力し合いながら一生懸命頑張っていただきたい、そんなふうに思いながら、質問を終わらせていただきます。
  78. 福本潤一

    ○福本潤一君 公明党の福本潤一でございます。  環境庁長官から、小さく産んで大きく育てるんだと。今回、公明党が修正いたしまして、死産ではまずいですから、適度に産んで大きく育てるという形になれば一番望ましいと思うわけでございますが、私自身もこれは本会議で質疑させていただきました。  その修正案の中身、前回、大口修正案提出者から具体的に趣旨説明を聞いたわけでございますが、今回修正した中身、修正のポイントとそれの意義、また第二条第四項の修正の趣旨、この点について、よりポイントを絞った形でお伝えいただければと思います。
  79. 大口善徳

    衆議院議員(大口善徳君) まず、今回二条の四項、五条の三項、六条の三項、七条の五項、主にこの条文を修正させていただきました。  まず、二条の四項でございますけれども、これは指定の化学物質を定める政令について配慮条項があります。この配慮条項の中に、科学的な知見だとか化学物質製造とか使用その他の取り扱いについての状況等を踏まえるとともに、化学物質による環境の汚染により生ずる人の健康に係る被害並びに動植物の生息、生育への支障未然に防止されることとなるよう十分に配慮するものと、こういうふうに環境影響に対して未然にこれを防止するという配慮条項がまずつきました。  それから、五条の三項におきまして、事業者からの届け出は、営業秘密に係る請求がある場合を除き都道府県知事を経由しなければならない、そして都道府県知事はその場合、国にこれを届け出るわけでありますけれども意見を付すことができるものとするということでございます。  三番目に、七条の五項でございますけれども、これは都道府県知事が必要があると認めるときは、主務大臣に対し、営業秘密が認められた届け出事項にうち、当該地域都道府県に係るものについて説明を求めることができるものとする、これが入りました。  そして、附則の三条に、法律の見直しに係る期間を十年を七年にする。それと、六条の三項は、これは事業者から主務大臣に対して化学物質分類名による請求が行われた場合、遅滞なくその請求に係る届け出の内容について都道府県に通知をするものとする、こういうことが主な内容でございます。  そして、その中で二条の四項についての趣旨でございますけれども、これは修正前は非常に純粋、技術的な事項を掲げていたわけでございますけれども、今回この二条の四項に、さらに本法の目的であります人の健康に係る被害並びに動植物の生息あるいは生育への支障未然に防止すると、こういうこの法案の目的を盛り込んだ、それによって科学的知見を早急に高めて、そして指定を未然防止という観点から素早くやっていこうということが込められておるわけでございます。
  80. 福本潤一

    ○福本潤一君 ポイントを絞って修正点を言っていただいたわけでございますが、この数点ある修正点の中で、特に二条の四項で、衆議院の審議の中では、先ほどもさまざまな形で環境ホルモンの問題についてありましたけれども、六十七物質のうちに具体的に数値を挙げて何物質はこの届け出物質になるというようなお答えを伺えたというふうに聞いておりますけれども、こちらでは聞いておりませんので、確認の意味で、何物質届け出物質にしたかということをお伺いしたいと思います。
  81. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 政府といたしましては、法第二条第四項の修正の趣旨を重く受けとめておりまして、先ほども御答弁申し上げましたように、試験方法が定まり、内分泌攪乱作用が一定の科学的根拠により確認され次第、速やかにPRTR制度対象物質に加えたいと考えているところでございます。  一方、環境庁といたしましては、先ほど来御答弁申し上げておりますように、環境ホルモン戦略計画SPEED98におきまして内分泌攪乱作用を持つと疑われている六十七の物質を列挙させていただいておりますが、そのうち二十七物質は現在我が国での生産、使用実態がない物質でございます。一方、先ほども申し上げましたが、十七物質については発がん性や生体毒性などの有害性の観点から、既にパイロット事業対象としたところの物質でもございます。  それ以外の二十三物質のうちの十七物質につきましては、発がん性など何らかの有害性の評価が行われておりますので、対象物質とするか否かはその有害性の程度により判断し得る物質でございます。  残りの六物質については、科学的知見が不十分でありますので内分泌攪乱作用に関する試験をこれからこれらの物質について優先的に実施することなどによりまして、有害性の評価を早急に行うことが必要であるというふうに考えております。それによりまして、内分泌攪乱作用などの有害性が一定の科学的根拠により確認され次第、速やかにPRTR制度対象物質に加えたいと考えているところであります。
  82. 福本潤一

    ○福本潤一君 具体的に、二十七物質の残りの四十物質のうち二十三物質は発がん性が認められるからということで規定されたということでございます。  環境ホルモンは日本でつくられた言葉でございますし、まだ知見がそろっていない面はございますが、未然防止の観点というお言葉もありましたので、今後この対象物質、現実に危険性が認知された時点で加えていただくように進めていただければと思います。  さらに修正点で、営業秘密という具体的な問題、先ほどからも審議がありましたけれども都道府県説明請求権がついたということでございますが、これは具体的にもう既にPRTRが勧告されて三年目にして日本は閣法として出てきたわけでございます。米国やカナダは実績がありますが、米国、カナダで具体的に届け出物質のうちどの程度が営業秘密とされたのかという数をお伺いしたいと思います。
  83. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) アメリカとカナダにおきましては、それぞれの報告書におきまして営業秘密として取り扱われている実績が明らかになっております。  アメリカの例で申し上げますと、一九九五年の届け出件数約七万三千件のうち、公表に当たりまして営業秘密の扱いを受けているものは十三件でございました。一方、カナダでは若干制度が違いまして、届け出施設数千八百十八施設のうちで公表に当たって営業秘密の扱いを受けている施設が六施設であったと、こういうふうに承知をしております。
  84. 福本潤一

    ○福本潤一君 米国とカナダを聞かせていただきました。  これは、日本で具体的にこの営業秘密、都道府県説明請求権もあるということでございますが、具体的にどういうふうになるかというときにパイロット事業を行ったようでございますが、そのときのパイロット事業対象になった事業者にアンケートをとったところ、五百六十六件のうち五十九件は営業秘密という形でアンケートの希望を答えておるようでございますが、先ほどの米国の場合はパーセントにすると約〇・〇二%というほとんどゼロに近い形が営業秘密、カナダでは〇・四四%。日本のパイロット事業にかかわった事業者が言っているのは一〇・四%という形で、大変多くの化学物質を営業秘密としたいという志向性があるようでございます。  オーダー的に言うと、米国と日本のパイロット事業でやったときとは約三オーダー違う。かなり差があるわけでございますが、こういう形で具体的にパイロット事業をしていたような状況とは違うかもわかりませんが、営業秘密としたいというものが具体的に出てきたときに、かなりその当事者とそうさせない、そうするという形で出てくると思います。そこらは具体的に法案が通った後その対応をしていかれるにしても、環境庁として具体的にこの営業秘密を認めるかどうかの対応をどういうふうに考えておられるか。通産省でもよろしいですけれども、お答えいただければと思います。
  85. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) パイロット事業に関連した部分について、私どもからお答えしたいと思います。  パイロット事業では、そもそもが個別のデータは公表しないという形でやりましたものですから、実は営業秘密であるかどうかということの報告は求めていないところであります。もちろん、先生指摘のようなアンケートの調査はさせていただきました。ただ、そのときアンケートの調査も、実を言いますと今回の法案のように具体的な基準というのを示していなくて、言ってみると対象事業所の主観的な意見を聞いたにとどまっております。  私ども法案におきましては、先ほど来通産省局長の方から答弁しておりますが、秘密性であるとか有用性あるいは非公然性である等々の基準を明確にしておりますので、またおのずから違った結論になるのではないかと思っています。
  86. 福本潤一

    ○福本潤一君 アメリカは情報公開がかなり進んで、民間事業者にとっても情報公開というのがスムーズにいくような形で運用されているようでございます。これは現実に大きく育てるということでございましたので、その営業秘密をどういう形でやるかというときに、ある意味では事業者の立場だけじゃなくて住民の環境を、また環境汚染になるような物質に関してはきちっとした適切な対応をするということを今後の行政に当たっても望んでおきたいというふうに思います。  衆議院からわざわざ来ていただいて、いていただいてもよろしいですし、また時間等ありましたら。修正案に関するのはこれぐらいにさせていただきます。ありがとうございました。  具体的に事件が起こったときの対応の問題、これを引き続いてお伺いさせていただきたいと思います。  日本では、所沢のホウレンソウの問題等さまざま起こりましたけれども、今、国際的にベルギーの事件が起こっております。ベルギーでダイオキシン汚染というのが報道される。そういうときに、ベルギーは先進国でございますので、OECDのPRTR制度を早目につくっているだろうと思いますので、ベルギーの事件またベルギーのPRTR制度は現実にどうなっておるのか、これを最初にお伺いさせていただこうと思います。
  87. 小野昭雄

    政府委員(小野昭雄君) 今回のベルギー産の鶏肉等のダイオキシン汚染事件の経緯についてのお尋ねでございますが、本年五月二十八日、ベルギー政府が同国産の鶏肉及び鶏卵の高濃度のダイオキシン汚染を発表いたしまして販売禁止等の措置を講じたものでございます。  厚生省といたしましては、直ちに情報収集に努めますとともに、ベルギー産の鶏肉等につきまして、検疫所及び輸入者に対しまして輸入手続の保留及び販売自粛等の措置を指示あるいは指導したところでございます。  その後、欧州委員会の発表で、オランダ及びフランスにつきましてもベルギーからダイオキシン汚染の疑いのある飼料等が流通していたことが明らかになりましたことから、六月三日にオランダ及びフランス産の鶏肉等につきましても同様の措置を講じたところでございます。  なお、その後、オランダ及びフランス産の鶏肉等につきましては、両国政府の調査の結果、安全性が確認されましたのでこの措置を解除いたしまして、ベルギー産につきましてのみ現在も措置を継続中でございます。  なお、今回の汚染原因についてでございますが、ベルギー政府及び欧州委員会によります調査が行われているわけでありますが、いまだ全容の解明には至っていないと承知をいたしております。これまで発表された情報をもとにいたしますと、家畜飼料にダイオキシンが混入していたものでございまして、ベルギーのフォグラ社という会社が供給いたしました油脂が何らかの原因でダイオキシンに汚染され、これが各地の飼料メーカーに納入されて家畜飼料の汚染を引き起こしたものというふうに聞いているところでございます。
  88. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 後段の御質問についてお答えさせていただきます。  ベルギーではPRTR制度はあるのかという御質問でございました。ベルギーでは、国としてのPRTR制度はございません。ただし、地域レベル、フランドル地方では、一定の操業許可の対象になる事業場が一定の対象物質について大気または水への排出量を地方行政庁に報告する制度がございます。
  89. 福本潤一

    ○福本潤一君 ベルギーは、国としてはなくて州によってはあるということでございます。  PRTRが国として整備されていなかったからこういう事件が起こったということがないように、我が国はおくればせながら法案が国会を通れば具体的な形で運用していくわけでございますので、適切な運用をお願いしたいと思います。  と同時に、このベルギーの原因はある意味では油脂に混入したダイオキシンということでございますが、この油脂に混入したダイオキシン、日本でカネミ油症事件というのがありました。あれもPCBだとは言われながら、最近の研究ではコプラナPCBではないか。コプラナPCBということになると現在日本はダイオキシンに入れていませんけれども議員立法で出している法律が通りますとコプラナPCBもダイオキシンという形になっていくと思います。  ですので、このベルギーの事件というものが、政治的には二大臣もある意味では辞職に追い込まれるぐらいの対応になっていったということになりますと、カネミ油症事件も経験している日本人としては、この事件からの教訓はたくさんあるのではなかろうかというふうに思います。  したがって、この事件の具体的な背景、ダイオキシンといっても、具体的にフランなのかダイオキシンなのかコプラナPCBなのかという関係をどういうふうにとらえておられるかというのを最初に伺います。
  90. 小野昭雄

    政府委員(小野昭雄君) ベルギーの案件につきましては、先ほどお答え申し上げましたとおり原因解明なり具体的な混入のプロセス、それからどういう種類のものがどの程度入っているのかという点につきまして、まだ十分な情報が得られておりません。現在、解明中というふうに聞いております。  ただし、汚染濃度についてでございますが、ベルギー政府から得ました情報によりますと、汚染飼料が与えられた鶏の中で脂肪一グラム当たり九百五十八ピコグラムのダイオキシンを検出したものがあったというふうに聞いておりますが、それ以上の詳細は現在情報収集中でございます。わかり次第公表いたしたいというふうに考えております。
  91. 福本潤一

    ○福本潤一君 原因はともあれ、九百五十八ピコグラム・パーグラムのダイオキシンが検出されているということでございますので、量としては大変なデータだと思います。  これは質問で投げておったわけですが、ダイオキシンは水に溶けないけれども油に溶けるということで、特に人間の体内の脂肪分のところにたまるわけでございます。日本のカネミ油症事件、具体的に深刻な公害事件として、公害というよりも私害事件として起こったわけでございますけれども、あの原因は具体的に何だったかというのは明確にされておるんでしょうか。
  92. 小野昭雄

    政府委員(小野昭雄君) カネミ油症事件についてでございますが、昭和四十三年十月、西日本を中心に広範囲にわたりまして発生いたしました米ぬか油、いわゆるライスオイルによる食中毒の事件でございます。  この事件につきましては、カネミ倉庫株式会社のライスオイルの製造工程で、脱臭のために熱媒体として使用しておりましたPCBがパイプから漏出いたしましてライスオイル中に高濃度に混入したことが原因で発生したものでございます。  なお、原因物質でありますPCBにつきましては、その後、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律第二条第二項に規定されます第一種特定化学物質に指定をされまして、その製造等は現在禁止をされているところでございます。
  93. 福本潤一

    ○福本潤一君 PCBは製造中止になっておりますけれども、その残存PCBが多く問題になっておるわけでございます。  今回、原因は、ベルギーの方はわからないにしても、日本のカネミ油症事件では油に混入したコプラナPCBですとダイオキシンということになりますので、またこの問題、多くの悲惨な事件を起こしていることにかんがみて、ベルギーではPRTRが州では施行されているということでございましたので、具体的にこの製造会社、名前も聞いておりますけれども、こういう会社はPRTR法に基づいて届け出して、そのデータが公表されていた状況なのかどうかということはどうでございましょうか。
  94. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 実はそこまで十分わかっておりませんが、先ほども申し上げましたように、フランドル地方では一定の操業許可の対象となる事業場が一定の対象物質について大気または水への排出量を地方行政庁に報告する制度があるということは申し上げました。  それで、具体的にこのフォグラ社というのがまさにゲントに所在すると聞いておりますので、恐らくその対象地域にはまっておるはずであります。  そこまでは調べてございますが、それ以上のことについてまだ調べが行っておりません。
  95. 福本潤一

    ○福本潤一君 油脂会社は日本にも、東京都にも足立区また墨田区にたくさんございますけれども、特に中小の方ほど、ホウレンソウのときも風評被害という形でありましたけれども、具体的に、いや、うちの油脂会社も困ってきましてねということで、国際的なニュースが入る途端に影響を受けるような現実が、日本だけではないんでしょうけれども起こっております。  それから、ベルギーの事件というのは別に風評被害ではなくて具体的な事例でございますけれども、具体的な事例が起こると必ずそのとばっちりとまで言わないでも、起こるところは起こる。所沢のホウレンソウはかなり売れなかったので大きな問題になりましたけれども、と同時に、これは瀬戸内海で、愛媛県、最初にダイオキシンが焼却炉で検出された県でございますが、研究者はいっぱいおりますから、魚のデータをとって値を出した。これは風評じゃなくて正確な値、データを地元新聞に公表した。公表した途端に魚が売れなくなって、そこの川之江のあたりの漁民が大学まで押しかけてきたという、もう一九九二年ごろに起こっておるわけです。  ですので、具体的なデータが正しいときにでも売れなくなるということは起こるわけです。そうしますと、瀬戸内海のそういう漁業のときでも、それに伴って会社側が原因は何かということで、東予のパルプ製造会社ですけれども、具体的には塩素漂白していたのをチェンジして酸素漂白に変えたという形で、具体的に会社側の製造過程を変えるというケースが起こっておるわけです。  こういう具体的なデータが公表されたときの付随的な問題も、民間ですらきちっと対応しているということになると、今度は焼却炉関係も、きちっとダイオキシンの正確なデータを出しても、その農作物が売れなくなるということが起こるわけです。だから、テレビ朝日の報道がミスったということだけじゃなくて、具体的には発生源を変えていかなければいけないというふうな問題が起こってくると思います。  ですので、このベルギーの一件はもっとより精査に事態を調べていただいて、今後の日本で起こり得ることの教訓に、PRTR制度も含めて対応していただければというふうに思います。油脂会社がどの程度届けたというのがはっきりわかっていないようでございましたけれども。  日本の話で、一般焼却炉また産業廃棄物の焼却炉、この業者、また市の経営者等々おります。そういう焼却炉関係の場所はこのPRTR届け出業者になるのかならないのか、これを一番最初に日本のケースとしてお伺いしておきたいと思います。
  96. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) PRTR届け出義務がかかる対象業種といたしましては、法案の第二条第五項第二号に示すように、「事業活動に伴って付随的に第一種指定化学物質を生成させ、又は排出することが見込まれる者」も対象とする考えでございます。一般廃棄物や産業廃棄物の処分等を行うことにより対象物質排出することが見込まれる事業者も含まれ得ると考えております。  これは、最終的にはもちろん政令で指定することでございますが、廃棄物処理業環境庁パイロット事業におきましても対象としたところでございまして、そのようなことも踏まえて、本法案に基づく対象業種として政令指定の検討を行ってまいりたいと考えています。
  97. 福本潤一

    ○福本潤一君 そういう廃棄物処理の業者、またさまざまな最終処分場の問題が起こっておるわけでございますが、最近出た新聞に、焼却場、これは一般焼却場でございますが、市民に分別収集を課してプラスチックを分けて、分別収集、回収していた。  私も全国いろいろな焼却場を調査に行ったときに、龍ケ崎の焼却場で、管理者に問い合わせするときちっとやっていますと言うので、きちっとしているかなと思ったら、分別収集したものを集めて、処分するときにダイオキシン対応になっていない焼却場でそのまま処分していたのが長年続いていたと。所沢よりある意味ではすごいデータが出ておるわけですから、これはおかしいなと。それで現場へ行くと、もう物すごいすえたようなにおいがしますので、これは所沢どころじゃない、尋常じゃないなと思っていたら、分別して集めたものをそのまま同じところで焼くというのがあった。  最近、東京都の東久留米、清瀬、保谷、田無の四市でつくる焼却場が、分別をしてあるにもかかわらず、それを集めて一緒に焼いている。何のために分別収集で大変な思いをしていたのかという具体的な大きな問題が起こっています。こういう現実が起こったときに、一廃、産廃にしても、届け出るとはいいながら、こういう具体的な事例に対して厚生省が監督官庁でございますので、どういうふうにとらえられて、どういうふうに対応されるのか、これもお伺いさせていただければと思います。
  98. 小野昭雄

    政府委員(小野昭雄君) 御指摘の事実経過につきまして東京都に確認をいたしましたところ、田無、保谷、東久留米及び清瀬の四市によりまして設けられました一部事務組合の柳泉園組合というのがございますが、昭和四十三年からごみの中のプラスチック類の分別収集を開始いたしまして、これらを燃やさずに埋め立てていたわけでございますが、昭和五十年代前半から、最終処分場に埋め立てる廃棄物の減量化のために分別収集いたしましたプラスチック類のうち、ペットボトル等を除きました残りを焼却施設において焼却していたということでございます。  同組合におきましては、本年六月二十三日に当面の対応方針を決定いたしまして、これまで分別収集に協力をしてきた市民や市民感情を考慮いたしまして、当面プラスチック類の焼却を中止いたしますとともに、現在建設中の新しい焼却工場の稼働後、その稼働状況を勘案しながら改めて対応を検討することとしたというふうに聞いているところでございます。  いずれにしましても、一般廃棄物の処理は市町村の固有事務でございますので、その収集、運搬、処分の方法は市町村の判断によって決定されるものでございます。そういった意味で、こういった焼却をするかどうかにつきましても、柳泉園組合の判断において決定されるものというふうに承知をいたしております。  いずれにいたしましても、今御指摘のように収集されました廃棄物の処理方法につきまして、地域住民への説明が十分ではなかったために誤解を生じるというふうなことで、ごみ処理がうまくいかないといったことが生じることがあってはならないわけでございます。そういう意味での住民の信頼感を損なうことがないように、地域住民に適切に情報提供を行うように東京都を通じて要請してまいりたいと考えております。
  99. 福本潤一

    ○福本潤一君 そういう意味では、今後ドイツ並みとは言わないまでも環境教育をして、さまざまな形で市民生活環境対応している、それがまた生きる形で具体的に指導を含めて対応していただかないと、ペットボトルだけはのけたけれどもほかのものは全部焼いていたというのでしたら、むしろ全部一斉にごみを出させた方が、溶融炉で対応すればまたできるんでしょうけれども、現在の焼却炉では難しい。  と同時に、あと質問時間も余り多くなくなったのでできませんが、病院の焼却炉関係もかなりプラスチックが多いということで、対応も含めてPRTR対象になるんでしょうけれども、よろしくお願いします。
  100. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 時間です。
  101. 福本潤一

    ○福本潤一君 十一分ですね。  環境庁長官に、届け出都道府県に行われることが適切に運用されるように、今後法案に関してはどのようにやられるか、決意をお伺いさせていただいて、質問を終わりたいと思います。
  102. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 簡単に。
  103. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 法案修正によって都道府県がより主体的に参画することになりまして、国と都道府県が連携強化を確保されることになったと考えておるわけでありまして、この強化策をぜひ生かしていきたいと思います。  簡単でございますが。
  104. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 午後一時十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時十二分休憩      ─────・─────    午後一時十一分開会
  105. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) ただいまから国土環境委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、大渕絹子君が委員辞任され、その補欠として山本正和君が選任されました。     ─────────────
  106. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 休憩前に引き続き、特定化学物質環境への排出量把握等及び管理改善促進に関する法律案及び化学物質に係る環境リスク対策促進に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  107. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 まず長官にお伺いしたいと思いますけれどもPRTR制度は有害な化学物質排出移動量を減らし、環境への負荷を低減することを目指す制度です。OECDのPRTRの実施に係る理事会勧告は、「潜在的な危害をもつ環境汚染物質排出移動量を削減することが、持続可能な開発を達成する基本である」と述べています。さらに、中央環境審議会の中間答申も、有害性がある化学物質による環境への負荷を可能な限り低減すべきであるということを今後の化学物質対策の基本的な方針の第一に掲げています。  ところが、本法案の「目的」は、化学物質環境への負荷の低減ということではなくて、「事業者による化学物質の自主的な管理改善促進し、環境保全上の支障未然に防止すること」となっております。なぜ目的に化学物質環境への負荷の低減、これを掲げなかったのでしょうか。
  108. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 政府案においては、先生今御指摘環境負荷の低減という言葉を用いていないのでありますけれども、これは法文上の表現を検討した結果使わせていただいたわけでありまして、環境保全上の支障未然防止という広い概念を採用することとしたからであります。
  109. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 私は、事業者化学物質の自主的な管理改善をすればその結果として環境が守られるという、こういう法律の考え方で本当に化学物質を低減できるのかということを非常に疑問に思います。  例えば、有害物質排出量等の届け先が業所管大臣となっているわけですけれども、すべての環境媒体を全体的に見て対策を立てるべき環境庁長官がこれできちんと役割を果たすことができるのだろうか。環境全体を見渡して必要な手だてをとるためにも、本来なら届け出先環境庁長官とすべきだというふうに思うのですけれども環境庁、いかがですか。
  110. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) お答えいたします。  届け出は、全国統一的なルールのもとで、業種ごとの技術状況であるとか競争環境に最も精通して営業秘密の判断を行うことができる事業所管大臣あてに行う仕組みがよいと考えているところであります。もっとも、修正によりまして届け出を経由することになりました都道府県事業者からの問い合わせへの対応等を行うに際しまして、工業プロセス化学物質取り扱いに関する事業所管官庁の専門的立場からの責任ある対応を確保するといった観点からも、届け出先事業所管大臣とすることが必要であると考えております。
  111. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 衆議院修正都道府県知事を経由して届け出ることになったわけですけれども窓口機能も都道府県が果たすことになります。営業秘密にかかわる場合は、直接業所管大臣に請求をしてそして届け出をするということになっているわけです。そうなると、あと残りは一般的な届け出事項のみですね。複雑な判断が求められるものではないと思います。  ですから、都道府県知事を経由して届け出るということが行われる修正になっているわけですけれども、そういうふうに考えてくると、何でその知事経由の届け出先を業所管大臣としなければいけないのか、そういう必要性はなくなったんじゃないかというふうに思うんですけれども環境庁、いかがですか。
  112. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) この点は先ほどお答えしたことと同じことを申し上げることになるのでございますが、要は届け出は全国の統一的なルールのもとで行う、それから業種ごとの技術状況とか競争環境にも最も精通している事業所管大臣あてに行う仕組みがよいというふうに考えておりまして、これは衆議院における修正後も基本的に変わっているわけではございません。  御指摘のように、窓口、経由をするところが都道府県になった、それで都道府県にも実際問題としていろいろの事業者からの照会に対して答えていただけるとか、あるいは実際に提出の督促をしてもらえるとか、そういうことで一緒に協力していただける度合いが強くなったとは思っておりますが、構造そのものは原案と余り変わっていないと考えております。
  113. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 届け出先を業所管大臣とする理由について与謝野通産大臣は、届け出全国統一ルールで行い、集計の迅速かつ効率的な実施を確保する、そういうふうに答弁をしています。  法案では、知事を経由して業所管大臣に届け出る、そこから環境庁長官と通産大臣に通知して集計する、その集計結果を業所管大臣と知事に通知する、そういう非常に回りくどいやり方になっているわけですね。それより知事経由で直接環境庁長官届け出る方がずっと迅速かつ効率的に実施できるんじゃないか、素直に考えるとそう思うんです。  それで、長官衆議院で、今後ということですが、「できれば一省に統括していきたいものだという考えを持っております。」、そう答弁をしておられます。事業所からの排出量把握についても、業所管庁任せじゃなくて、本来私は環境庁環境への化学物質全体の負荷を低減する、そういう立場からきっちりと責任を持って行っていく、これが一番妥当な姿だというふうに思うのですけれども長官、いかがでしょうか。
  114. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 前段省略させていただきますが、要は前段として申し上げたいことは先ほど来と同じことになります。  環境庁としては、環境保全上の行政を責任を持って進める立場にございますので、本法案におきまして通商産業省とともに中心的役割を果たして関係する事業所省庁も含めて政府一体とした取り組みを進めてまいる、その場合も当然リーダーシップを持って対応していきたいと考えております。
  115. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 諸外国では、届け出先と同時に営業秘密の判断についても環境担当の行政庁が行っております。第三者機関の審査を経て環境庁長官が判断する、これがやっぱり素直な考え方だと思うんですけれども、なぜ環境庁長官でなく業所管大臣になったのでしょうか。
  116. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) お答え申し上げます。  事業所管大臣は、企業を取り巻く競争環境であるとか技術状況等を熟知しているとともに、本制度において第三者的な立場にある行政機関であると考えていまして、営業秘密について中立かつ厳格に判断できる能力を有する機関であるため、営業秘密の判断をお願いしようと考えたところであります。
  117. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 通産省に伺うという予定はなかったんですけれども通産省として環境庁に任せられない、やっぱり企業秘密については私のところでやらなきゃいけないんだという何か理由があるんでしょうか。
  118. 河野博文

    政府委員河野博文君) 環境庁の御答弁と重複いたしますけれども、営業秘密の判断要素は既に法律上三要件が明記されているわけでございます。この三要素を判断するに当たりまして、その業全体、これは国内全体であると同時に場合によっては国際的な競争環境ということも考慮せざるを得ないと思いますけれども、そうした競争環境の現実、そしてその中で技術が持つ競争上の有用性、そしてまた企業自身がどのように秘密として管理しているか、そういった実態に照らしてこれを判断するのが適当だというふうに考えたわけでございまして、そういう諸要点を考慮いたすには業所管大臣が適切な立場にあるというふうに考えたところでございます。
  119. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 営業秘密については、要件がきちんと法律にも明記をされているわけです。ですから、そこから外れるというようなことも考えにくいわけです。  それで、業界と業所管庁との間ではこれまでもいろいろな癒着関係というのが指摘をされています。例えば、私も現にこの分野で仕事をしたことがありますけれども、厚生省薬務局と製薬会社の癒着という、そういう問題等があります。天下りもあるわけです。だから、環境庁で本当に第三者的に判断が可能であれば、営業秘密の審査の公正さを疑われないためにも私は業所管庁ではない方がいいというふうに思うんです。  この間も参考人の皆さんが言っておられましたけれどもデータについて一番大事なのは信頼性の問題なんだ、信頼性が高くなければデータが幾ら出されてもこれは役に立たないんだという、そういう趣旨のことを言われた方がかなりおられたんです。そういう意味で、私は環境庁がきちっとやっていった方がいいというふうに思うんですけれども、それでも局長、やっぱりいやいやだめだということなんでしょうか。
  120. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) お答え申し上げます。  そういうお考えがあるということは私ども自身も承知しています。だから、そういう議論もあり得ると思います。  ですが、今回我々が考えましたのは、いわば日本型とでも言ったらいいんでしょうか、関係する省庁みんなに協力をしてもらってPRTR制度をつくり、かつ定着させていこうという、これは連帯的な取り組みをしていこうという枠組みの中で環境庁通産省が中心的役割を担っていこう、こういう構造にしておるということも御理解賜りたいと思います。
  121. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 各省庁協力をいただくというのは、これは当然なければならない話ですけれども、どうもこの法律を読ませていただいた限り、中心にしっかり環境庁が座っていないのが気がかりで仕方がないんです。  次に、通産省に伺いたいと思いますけれども、先ほどから出ている営業秘密のことです。  与謝野通産大臣も衆議院の本会議で、我が国と同様の判断基準を採用しているアメリカの例を引いて、「一九九五年の届け出数七万三千件のうち、営業秘密に限定されたものはわずか十三件、すなわち〇・〇一八%にすぎず、我が国においても、営業秘密の件数が極端に多くなることはないと考えております。」、そういう答弁をしておられます。パイロット事業では一割の事業者が、企業秘密が含まれている、そう答えているわけです。  アメリカの実績とは、午前中の質疑でもありましたように三けたの開きがあるということですけれども、日本でも営業秘密の件数というのは間違いなくアメリカと同様に大体〇・〇一%台におさまるのかどうか、伺いたいと思います。
  122. 河野博文

    政府委員河野博文君) お答え申し上げます。  制度実施前でございますので具体的な細かい数字までどのぐらいになるということを申し上げることはできないと思いますけれども、通産大臣が衆議院において御答弁申し上げましたように、米国の営業秘密の概念といいますか考え方とこの法律で私どもが提案させていただいております営業秘密の概念は基本的に同じでございます。  そういう意味で、数字が極端にかけ離れるということはないというふうに思っていることを大臣が御答弁申し上げたとおりでございます。
  123. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 業所管庁の知見を活用するということはそれはそれとしても、最終的な判断はやっぱり環境庁長官が行っていくべきだというふうに思います。  法案では、環境庁長官説明を求めることができるだけなんです。意見を述べるという規定がないんです。営業秘密の件数が今通産省は大体アメリカ並みだというふうに言われたと思うんですけれども、もし極端に多くなった場合など、あるいは何か問題があるなというふうに思った場合に、せめて必要な場合に環境庁長官として、説明を求めるだけじゃなくて、これは再検討していただきたいというふうなことを言ってしかるべきではないかというふうに思うんですけれども、いかがですか。
  124. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 各事業所管大臣が営業秘密として仮に判断したという場合に、その件数はもちろんオープンになりますし、それから開示請求の仕組みの中で、およそ空欄になるのではなくて、いわば中分類といいましょうか、分類のもう少し大きな形の中での表示はされるわけでございまして、ああ、そうするとこの部分企業秘密になっているんだなということがわかる仕組みになっているわけでして、今通産省の担当局長の方からも答弁申し上げたようなことで取り組んでもらえると思っていますから、そんなに私は心配はしておりません。  仮に御心配のようなことがあるとすれば、この制度そのものを中心になって企画、運営していくのは私ども環境庁通産省でございますので、そこはきちっと制度的に相談をしながらうまく機能するように当然対応できるものと思っています。
  125. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 次に、修正案の提案者に伺いたいと思います。  衆議院修正で、都道府県知事を経由して届け出ること、そして知事は届け出事項を国に通知する際に意見を付すことができるということになったわけです。与謝野通産大臣は、地方自治体について、排出量届け出についての個別事業所に関するフォローアップといった重要な役割を期待しておりますと地方自治体役割について答弁をしておられます。  衆議院修正は知事にどのような役割を期待しているのでしょうか。届け出をしていない対象事業者届け出を求めたり、あるいは届け出事項をチェックして届け出者に内容をただしたりする、そういうこともできるのでしょうか、その点について伺いたいと思います。
  126. 大口善徳

    衆議院議員(大口善徳君) この五条の三項につきましては、都道府県知事というのはその地域化学物質管理また環境保全に対して責任を持っておるわけでございます。パイロット事業におきましても、愛知県でもあるいは神奈川県でもやりましたけれども、やっぱり事業者に近いところの都道府県が経由する、窓口をやる、指導をするということが大事だろう、こう思っております。  そういう点で、都道府県知事にはそこら辺を自覚していただいて、とにかくPRTR制度に主体的に参加していただく、そして地元の中小企業等の便宜を図ったりあるいは届け出の確保等について働いていただく、こういうふうに思っています。  また、届け出がなされないような場合、あるいは届け出が不備であるというような場合につきましても、都道府県は国と連携を密にしながら、情報交換をしながら、事業者からの問い合わせに対して対応したり、そして届け出をしていない場合は届け出義務がありますよということで注意を喚起したり、あるいは届け出の記載内容のチェック等、こういう指導業務というものを実行されることが私は期待できる、こう思っております。  また、経由するときには意見を付することができますので、この届け出状況について、履行状況がどうなっているのか、あるいはある企業において届け出がなされた、これが例年より急速に突出して増加しているとか減少しているとか、そういうことで届け出内容の正確性の確保を判断するというようなことについても意見を述べることができる。そういうことで、届け出についてきちっとやるように、そしてまたその正確性を確保するという点においても都道府県知事の役割は極めて大きいと思いますし、今回の修正における大きなポイントの一つであろう、こういうふうに思っております。
  127. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 東京都は、中央環境審議会からの意見照会に対して、地域による特性を考慮して対象物質対象事業所の選定について地方公共団体が追加できるシステムを求めています。例えば、対象物質対象事業所の選定に当たって上乗せ、横出しが可能とする制度とする、そういうことを求めているわけです。  例えば、対象事業所規模は、午前中の答弁にもありましたけれども、大体従業員二十人程度以上ということを想定しているわけですが、クリーニング業だとか印刷業などは八、九割が従業員十人未満の零細事業所だということです。しかも件数が多くて取扱量はかなり多い。全体としてはこういう事業所は非点源として推計をするということになるんだと思いますけれども、これらの事業所について、単純な非点源扱いではなくて、その自治体ごとにある程度工夫してより正確につかむという努力をしたいと考えた場合、自治体独自の取り組みというのは当然尊重されんるだろうというふうに思うのですけれども、その点についていかがでしょうか。
  128. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 地方自治体が国が定めますところのすそ切り未満の事業者に対しまして一定の報告を求めるなどの自治事務としての取り組みをすることについていかがか、こういう御質問でございます。  法文上は制限をしておりません。したがって、論理的に言えば形式的に禁止されていないということになりますが、他方、法案すそ切り要件を設けることとした趣旨や技術的な対応可能性ども十分踏まえていただくことが必要だろうと考えております。
  129. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 次に、非点源について。  例えば、東京や大阪などの大都市では自動車の排ガスが非常に多い、また港湾がある地域では船舶の寄与度が高い、これはよく知られた事実です。地方では、農薬の使用が多いところもあります。かなり地域的に汚染の差があります。また排出源も違います。各地域で特性をつかむということが環境汚染のリスク対策として重要だと思います。  ところが、非点源の排出量についてはデータ都道府県に通知する規定がありません。算出の基礎となったデータや算出方法ども含めて都道府県への通知を行う、都道府県、市町村レベルでの集計あるいは分析ができるようにするのが望ましいというふうに思いますけれども、その点いかがでしょうか。
  130. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) いわゆる非点源からの排出量につきましては、事業者からの登録の届け出を受けたものをファイル化して市町村にお渡しするというような形と同じレベルのものにはならないと思いますが、私どもといたしましても、パイロット事業の経験等をもとに、対象物質ごと、地域ごと等の集計を検討していきたいと考えております。  その集計結果につきましては、届け出義務者の排出量とあわせて環境庁長官及び通商産業大臣が公表することとしているところでございますので、その際に都道府県等の利用しやすいような工夫をしたいというふうに考えております。  具体的には、非点源からの排出量の算出に使用した統計情報の出典であるとか推計方法などについてもあわせて明らかにしていくことによりまして、それを利用して都道府県等がさらに必要な検討を行うことは可能になるというふうに考えています。
  131. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 PRTRで得られたデータは、市民が化学物質による地域の汚染状況を知り、またリスク対策に生かされるものでなければならないと思います。そうすれば、化学物質の低減効果が上がります。  法案では、開示請求に応じて有料で情報を提供することになっていますけれども、インターネット等で自由にアクセスできるようにすべきだと思います。アメリカでは、国が公開したデータ環境保護基金などのNGOが加工して、だれでも瞬時に知りたい地域データを見られるようにしています。例えば、地図上で地域を指定すれば事業所の一覧が示され、指定した事業所から排出されている環境汚染物質の種類と量、推移がすぐわかる、煙突やバルブ、排水や土壌など、排出経路別の量も示されているわけです。日本でもこのようなことができるようになるのでしょうか。
  132. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 私どもが今考えていますのは、もちろん業種別、地域別等に集計されたデータについては公表する、それから個別事業所データについても開示請求の手続を通じてだれでも入手できることになる、こういうことを考えております。  さらに、仮に入手をした方がそのデータをどういうふうに使うかというところについては、集計データについても個別データについても特段の法律上何ら制約、制限があるわけではございません。
  133. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 環境汚染物質のリスク対策、これは国民やNGO、産業界、行政、専門家などが共同で取り組むべき課題だと思います。PRTRも同じです。対象物質対象業種の選定、営業秘密を保護する場合の条件、情報公開の方法などについて、市民、NGOも参加して共同で合意を形成していくべきだと思います。  国民やNGOなどの意見あるいは審議会以外の専門家の知見をどう反映させるのか。仮に、指定を要求する意見があったそういう物質を指定しなかった場合、その物質有害性等について検討した知見や情報、その評価、指定しない理由などについてすべて公表するのでしょうか。
  134. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 午前中もお答え申し上げましたが、もちろん政令物質を定めるということになるわけでございますが、それに先立ちましてもちろん専門家の意見を伺う、それからいわゆるパブリックコメント手続に関する閣議決定を受けまして、対象物質対象事業者を選定する際に専門家を含めた国民からの意見情報を考慮して意思決定を行うことになると考えます。  その際に、今の具体的なお話の中で、例えば意見があったけれども対象物質とならなかったというような場合にどうかというお話がございました。個々のものについてどうかということについてはございますが、政府の考え方を取りまとめその意見等とあわせて公表することとしているパブリックコメント手続の中にあるわけですから、公表の際に一定の根拠をお示しできるのではないかと考えております。
  135. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 私は、一方通行のパブリックコメントでは不十分だというふうに思うんです。  化学物質のコントロールにおいて、生産者とともに消費者、使用者が特に大切な役割を果たすと思います。公開されたPRTR情報によって、みずからの地域の汚染の実態に目を向ける、そしてその原因が必ずしも生産者だけの責任とは言えない、消費者、生活者みずからの生活スタイルにあるということにも気づいていくはずだと思うんです。  特に商品選択の場合、次の委員会で少し立ち入って質問したいと思っているんですが、消費者ができるだけ化学物質を使っていないものをということを基本にすれば、低化学物質の商品が普及して、結果として化学物質の総量が低減される、そういう効果が期待できると思うんです。  いずれにしても、化学物質を減らしていくためには、事業者にだけ任せるということではなくて、消費者との連携協力が欠かせないと思います。そのためにも、正確な情報を敏速に消費者にどう伝えるかというシステムを構築することが大切だと思います。情報公開がその一つなんですが、私はそれとあわせて地域とか全国レベルで住民、NGO、業者、行政、専門家が参加する協議会等をつくるということも考えていくべきだというふうに思います。  いずれにしても、この法律が本当に国民全体のものとしてうまく機能していく、そのことを真剣に考えていただきたいというふうに思うのですが、最後に長官のお考えを伺いたいと思います。
  136. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 事業者がみずからの化学物質排出量把握し、自主的に管理改善を図ることや、国民化学物質に関する理解を増進することは極めて重要なことであると考えております。  環境庁としては、PRTRによって得られたデータを集計、そしてまた公表することや、化学物質に関するデータベースを整備しその利用を促進すること、環境教育等を通じて国民理解を増進することなどによって、化学物質に関する情報公開に積極的に取り組んでいきたいと思っております。
  137. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 時間なので終わりますけれども、今の答弁は従来型の答弁なんです。私がいろいろと提案したことには余り真っ正面に答えていただいていないのですけれども、きょうは時間ですので、これで終わりたいと思います。
  138. 山本正和

    山本正和君 環境委員会で今度の法案をずっと審議されておられるのを私もちょっと勉強させていただきまして、本当に委員長以下の委員の皆様の大変な御努力に心から敬意を表したいと思います。  また、環境庁の悲願と言ったらしかられますけれども、前から取り組んでおったものがやっと政府案として出てきた。これもなかなか大変なことだっただろうと思いますし、どうしても業界等のいろんな利害がありますから、その中でこの法案をつくるについての御苦労も大変多かっただろうと思います。しかし、ここまで来た。ですから、流れとしては私はいいことだというふうに思っておりますが、まだやっぱり足りない部分といいましょうか、今後ぜひ御検討いただきたいという観点から、我が党からもひとつそういう形で修正案というか対案を出しておりますので、絡めて質問をさせていただきます。  ちょっとその前に、環境庁、このPRTRというのは正確な英語で直訳するとどういうことになるか、聞かせてください。
  139. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) ポリュータント・リリース・アンド・トランスファー・レジスター、いわば化学物質なりの排出・移動登録と申し上げたらよいかと思いますが、要は排出と申しますのは大気中だったり空気中に排出すること、それからトランスファーは移動、ごみならごみとして外に出されること、そうしたものを登録していただく仕組みだと、こういうふうに考えております。
  140. 山本正和

    山本正和君 実は、私も昭和二十四年から十年間ほど高等学校の化学の教員をしておったものですから、化学物質化学物質というとみんなもう犯罪人みたいに言われるので、ちょっと自分としては余り納得できないんですね。化学物質というのは本来表現がおかしいので、この世の中のありとあらゆるものはみんな化学物質なんです。原子と原子の組み合わせで生まれたものをみんな化学物質と言うのですから、簡単に言えば。  何か日本語の使い方がどうも余り気に食わないので、今のポリュータント・リリース・アンド・トランスファー・レジスターですか、これの訳でも、もう少し国民みんながわかりやすい日本語で訳せないものだろうか。要するに、人間が生きていく上で、生きていくのに妨げとなるさまざまな物質、こういうものが出てくることをどういうふうに制御し抑えて、そしてそういうものが出ないようにちゃんと登録する、登録するというかこれをちゃんと監視する、そういういい言葉を本当は環境庁も考えていただいたらいいのじゃないか、こう思います。ちょっと感想だけ申し上げておいて。  この法案の中で、ただ私が心配しますのは、私の教えた子がもう大学院や医者にも大分なっていまして、偉そうな顔をして、大病院の院長もおるんですが、そいつが来たらたばこを吸いまくるんです、同窓会で。おまえ、医者のくせになんだとこう言ったら、先生、私はいつも言うんだと。大体たばこを吸ってけしからぬけしからぬとみんな言われるけれども、おまえ車に乗っているだろう、おまえ自分の自家用車を持っているだろう、自家用車で一発エンジンをかけてぷっとやったらどれぐらい人間への有害物質を出すか知っているかと、こうやっていつもやるんだと言うんです。  それぐらい今の文明社会の中では、人体あるいは環境にさまざまな悪影響を与えるものを我々はつくっているわけです。そういう意味で言ったら、本当の話はもっとそういうこと全体をみんなが考えるような格好での法案説明というか、これがぜひ必要だろう、こういうふうに思います。  ただ、我が党から出しておるのは、政府案に比べて、さらにそういうさまざまないわゆる有害物質化学物質ではない有害物質に対して、これを何とか未然防止したいという意図からこの法案をつくった、こういうふうに言っているんですが、清水議員にひとつその未然防止という観点についてこれが政府案とどこが違っているのか、御説明願いたいと思います。
  141. 清水澄子

    委員以外の議員清水澄子君) 現在大量に出回っております化学物質の安全性を明らかにしていくということには極めて長い時間がかかり、そして有害性が判明した物質に対する従来の手法では被害の未然防止を図ることはできません。  例えば、化学物質の内分泌攪乱作用いわゆる環境ホルモン作用は、多くの調査研究の結果が示されてはおりますものの、科学的にはまだまだ未解明なものが多く、調査研究が必要な分野でございます。しかし、科学的に環境ホルモン作用が確認されたときには、その物質は既に環境中に大量に排出、蓄積され、回収できない状況に至っており、その被害は非常に甚大となるおそれがございます。  ですから、化学物質の有用性という産業優先の思想からではなく、人の健康の保護と生態系の保全の視点から、安全性が確認されていない化学物質を絶えず監視し、そしてその化学物質がもたらす環境リスクをできる限り小さくしていく知恵を現実の法制度の中に組み込んでいくべきだと考えております。これまでのような行政による規制とか事業者による自主的管理だけでは十分に対応できなくなっておりまして、国、地方公共団体事業者、研究者、NGO及び市民が幅広くこの情報を共有して、それぞれが主体的に役割を果たすことで環境リスクの低減を社会全体として行っていくという、そういう考え方に基づいております。  そこで、社民党案では、OECDなどの国際原則にのっとりまして、潜在的に有害性の疑いがあるものを含む広範な化学物質対象として、人の健康や生態系への被害の未然防止の観点から環境リスク対策促進することといたしました。さらに、国民の知る権利に資する公表制度といたしておりまして、社会全体で正確な情報を共有して、相互に意思の疎通を図る環境リスクコミュニケーションの促進のための措置規定したところでございます。
  142. 山本正和

    山本正和君 説明をもう少しわかりやすく国民皆さんにはやっていただきたいと思いますが、いずれにしても、今の現代文明の中でさまざまな物がつくられる、その中からいろんな有害物質が出てくる。そういうものを、ただし、それでは一番危険なことは何かといったらみんな知らない。知らないという中で出てくる。例えば今の話で、汚染をし、人体に有害である、あるいは環境に対して非常に悪影響を及ぼすというふうな化学物質、こういう表現だけれども、どうもその化学物質と言われるのが私は頭に来るんだけれども、そういうものをいずれにしてもさまざまな形で調べた、あるいは実験した、そういうふうな経過を含めて公開する。  要するに、企業はいろんな物をつくっていく。例えば、DDTなんといったら昔は、戦争に負けて日本じゅうがノミとシラミだらけのときに大変に喜ばれたんです。私らもDDTを頭からかぶって、そうしたらこれがとんでもない有害物質だというのが後で出てくるわけです。  そういうふうにいろんなものが出てきたときには有用だということで使われるわけですから、それをどうするかということでいった場合には、きちっとそういうものをこうやってつくってきましたよというデータの公開があったら何か起きたときにはすぐわかる、こういうふうに思うんです。  そういう意味で、一体どういうふうにそういうものを管理していくか、またその情報をどういうふうにきちっと押さえていくか、この辺が政府案と社民党案で違っているのならばそこのところを説明してください。
  143. 清水澄子

    委員以外の議員清水澄子君) もちろん、このPRTR法というのはやはり情報の公開であると思います。しかし、現実に今法律の中では、やはり政府案では科学的知見とか有害性が判明した化学物質だけに対象を限っておりますし、それからそういう意味では被害の未然防止の観点からはやっぱり有害性の疑いがあるという化学物質対象とすることが必要だと考えているわけです。ですから、当然環境ホルモンにつきましても、そのおそれがある化学物質も私どもの案では明記をしておるわけです。  しかし、午前中からの政府の御答弁を伺っていましても、環境ホルモンについてもやはり科学的知見の確立を急ぎます、そして環境ホルモン作用が科学的に明らかになったら対象として加えますと答弁をされているわけですけれども、先ほど申し上げたように、それが明らかになってからでは遅過ぎると思います。ですから、やはり環境ホルモン作用が疑われる段階から柔軟に対応できる仕組みが大事なんだと思います。  そして、さらに政府案では、相当広範な地域環境において継続してそういう有害性が認められるときの化学物質というふうに限定をしておりますが、環境リスクを減らすためには局所的に存在する段階から把握する必要があると思います。また、局所的であっても、その地域の人々や生態系にとってはまさにそれは差し迫ったリスクでありますから、このような地域限定をつけている法律というのはやはり問題があると思います。  ですから、社民党案は当然このような地域限定はつけておらない。それは、やっぱり被害の未然防止という観点から、早く情報を知って、そして早く対応するということに力点を置いております。ですから、政府案では当初想定されます対象化学物質の数は二百から三百という御答弁がありますけれども、社民党案では四百から六百程度になると考えております。これは、六百五十物質対象としておりますアメリカと同じ水準でございまして、社民党は、政府案のように初めから間口を狭めておくというのではなくて、幅広い意見を反映していく、そういう対象物質を定めるやり方をここに提案をしております。
  144. 山本正和

    山本正和君 有害性が判明したというのが政府案で、清水案は有害性の疑いがあるというところまで含めよう、こういう違いだということです。  そこで政府の方にお聞きしたいのは、有害性が判明したという基準をつくるについては大変これは苦労が多いだろうと思います。その辺のことは、これは細かいことは聞かないでいいんですけれども考え方として、さまざまな報告がなされる、その報告の中で、例えばこういう危険なことが証拠が出ましたということをもって有害性が判明したといくのか、あるいはもう次から次にいろんな方からどんどん出てきて、ここでも出た、ここでも出たとならなければ有害性が判明したと言わないのか、その辺のことに対する懸念が皆さんの中にあるだろうと思うんです。  ですから、その辺は環境庁としてはどういうふうにお考えなのか、有害性が判明したということについての考え方を聞かせてほしい。
  145. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 端的に申して、人の健康への有害性は動物実験等による慢性毒性や発がん性などの結果等により、また動植物の成育等に係る有害性につきましては魚などの生態系毒性試験結果等により有害性があることが科学的根拠により確認されれば、その物質環境中の存在状況と人の健康等への悪影響との間の因果関係の判明の程度を問わず、幅広くとらえて対象物質と選定することとしたいと考えております。  もう一点だけつけ加えさせていただきますと、私ども法案におきましても、人の健康を損なうおそれまたは動植物の生息もしくは成育に支障を及ぼすおそれがあるものと規定しておりまして、発がん性であるとか生殖毒性であるとか慢性毒性であるとか、あるいは知見が確立されれば内分泌攪乱作用であるとか等々の性状を広く対象とし得るものとなっておると考えております。
  146. 山本正和

    山本正和君 要は、政府の方は、この判明したということについての判断をするに当たっての行政の姿勢が非常に重要だろうと思うんです。その辺のことは今後の運用の中では、仮に我が党の案が通ってくれたら一番いいんだけれども、通らなくて政府案で実施されるについても、そのことは十分ひとつ行政の責任としてさらに積極的な取り組みをするようにこれは要望しておきたいと思います。  清水先生にもう少し質問しておきたいのは、やっぱり地方自治体役割です。要するに、さまざまなものが起こるのは地方で全部起こるわけだから、まず地方自治体にそれについての責任を持たせよう、こういう格好で法案が成っているようですけれども、それについてもうちょっと説明していただけませんか。
  147. 清水澄子

    委員以外の議員清水澄子君) 化学物質に対する国民の不安は、ダイオキシン問題にあらわれておりましたように、やはりまず地域において顕在化してまいります。ですから、化学物質が人の健康や生態系にどのように影響を与えるかについては、やはり地域ごとの特性を考慮していくということが非常に必要だと思います。また、事業者からの正確な届け出を確保したり、または非製造業を含む中小の事業所、または家庭とか車等の非点源からの排出量等をきめ細かく把握するためには、国が一元的に対応することには限界があると思うわけです。  そこで、社民党案では、地域の実情に最も詳しく、また化学物質環境リスクからその地域の住民の健康やまた生態系を守ることは都道府県の固有の役割でもありますことから、都道府県知事を中心とする制度としております。  さらに、PRTRは人の健康や生態系に対する被害を未然に防止する制度でありまして、決して事業者を指導監督するものではありません。ですから、国においては環境庁長官が一元的に所管することとしておりまして、都道府県でも環境部局が担当することを想定しております。既に導入されている諸外国でも、当然のこととして環境省等が所管をしております。政府案のように、業所管大臣が主務大臣として届け出の受理や営業秘密の判断を行うということは、これは情報の流れや事務処理が非常に煩雑になるのみならず、チェック・アンド・バランスの観点から大いに問題があり、制度に対する信頼を損なうものだというふうに考えております。
  148. 山本正和

    山本正和君 それから、製品の成分表示の問題です。これが政府案と違うんだ、こういう形でいって法がつくられている。これはヨーロッパでもアメリカでも製品の成分表示というのはほとんど常識化されていると私は思うんです。  今度の政府案と社民党案との違いで、なぜそこが片方は全面表示という形になったのか、その辺のことを説明してくれますか。
  149. 清水澄子

    委員以外の議員清水澄子君) 政府案は、MSDSについては入っているんですが、この制度事業者事業者物質を移動したときにその情報は届くわけですけれども、消費者には届くシステムではないわけです。  しかし、消費者にとりましては、日常使っている製品にどんな化学物質が含まれているかという情報を知るということはみずからの健康と安全にかかわるものでありまして、それを知ることはやはり当然の権利だと思うわけです。また、そういうことを知ることによって、消費者が自分の使っている化学物質を選択することができますし、それからまたその製品を廃棄するときにどのような処分の仕方が必要なのかということをやっぱり判断することができます。  ですから、製品に表示をすることによって消費者の意識を高めることと、それから事業者がよりリスクの低い製品の開発を促していくという、そういう両面の効果があるという考えから、製品への表示を義務づけたわけでございます。
  150. 山本正和

    山本正和君 政府案と著しく相矛盾する、反する法案ではないと私は思います。  最後に一つだけ環境庁長官に御要望だけ申し上げておきたいのですけれども、いずれにいたしましても二十一世紀の人類の課題がこの問題だろう、こう思いますから、この法案が成立後もさらに、本当にこの国が安全で住みやすい国になるための一層の努力を、また法案に対するさまざまな問題が出てまいりますから、その段階では十分即時対応できる体制をつくっていただくことを要望したいと思います。  もし御所見がありましたら、一言お願いいたします。
  151. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 先ほど来、社民党さんからの政府に対する対案等々の御説明もございました。将来的にはそうあるべきだという認識を私もいたしたわけでありますけれども、今の段階的な事柄からいえば、順序をひとつ踏まえていっていただけないかと。先ほど来、小さく産んで大きく育てると言ったんですから、小さく産んで健全に育てるというような形でこの法案の処理に当たってまいりたいと思います。  いずれにいたしましても、人の健康そしてまた我々の平和や安心をかち取る意味において、この法案が有用な法案として活用されんことを望んでおるわけであります。
  152. 奥村展三

    ○奥村展三君 今回のこの法案に対しましては、国民皆さん方の関心も非常に高うございます。化学物質管理あるいは環境保全という観点から、いろんなところで私もよく聞かれるわけであります。  同僚議員から既に幾つか重複する質問も出ておるわけでございますが、ダイオキシン等もそうでありますが、私は真鍋長官に十六日にもお伺いをし、それ以前に総理から、今後環境庁から環境省になるわけでございますが、そうした流れの中に化学物質だとかダイオキシンだとかいろんな問題があって、環境省ができるときには内容もそしてまた組織もあらゆるものを何としても充実していただきたい、そんな思いから質問させていただいて、省にふさわしい体制を整えていきたいというように御答弁いただきました。長官も再三いろんなところで組織の充実、あるいはまた体制等についても御答弁をなされ、お考えの発表もなされておるわけでございます。  たまたまでございますが、きのうも行政改革の中央省庁再編の中で質問をさせていただきました。具体的に、今何人の省庁でスタートだというふうなことはなかなか総理も御答弁ができなかったようであります。しかし、私も海外の例を出したり、韓国は今千六百人ぐらいの組織でおやりでございますが、せめてもそれぐらいの組織にしてはいかがですかというようなことを意見を述べながら申し上げたわけであります。  今回のこの法案にしましても、いろいろと審議させていただく流れの中で新しい省としてのスタートを切られるわけでありますから、ぜひこういうような法案と同時に中身も充実をしてほしいなという願いでいっぱいでありますが、長官の所見をここでもう一度お伺いさせていただきたいと思います。
  153. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 奥村先生には環境行政に対する御理解を深めていただき、いろんなところで御質問、応援をいただいておることに感謝申し上げるわけであります。  中央省庁の再編成の中で環境省に昇格するわけでありますから、その前提を踏まえながら対処してまいりたいと思っておるわけであります。  例えば、国立環境研究所の専門研究者を増員しようと思っても、新規採用というのはほとんどないわけでありますから、それらをどのようにして確保するかということで他省庁との融通をしてこなけりゃならないと思っておるわけであります。できますれば、他省庁に行っておる方が環境庁に来れば、環境省に昇格した折にはもう環境マンでずっと継続して仕事をやっていくんだという気概を持った人たちを環境省としては採用したい、こう思っておるわけでありまして、その点についていかようにすべきかということで今省内でも検討を急いでおるところであります。でき得ることなら、若い優秀な方々によってそういう体制ができれば将来にわたっての環境省というものが期待できるのじゃないだろうかと思っておるわけであります。  いずれにいたしましても、環境ホルモン、ダイオキシンその他多岐にわたっての環境行政でありますので、採用即戦力というような形にもなかなかならないわけでありますけれども、それを何とか活用できる人材として登用していきたい、こう思っておるわけであります。  人数の点に対しましては、いろいろ試算いたしておるわけでありますけれども、今の状況ではとても足らないわけでありまして、先生から御指摘いただいた韓国等の例にもありますように、その前後までは何としても確保していかなきゃならないのじゃないだろうか、こう思っておるわけでありまして、ひとつより一層の御支援をお願いいたしたいと思う次第であります。
  154. 奥村展三

    ○奥村展三君 長官が今希望、思いを述べられたわけでありますが、できてしまってから、立ち上がってから充実をさせていくというのは大変至難なことであります、いろんな場合もそうでありますが。それまでにしっかりとした基盤をおつくりいただいて、真鍋長官のときにぜひリーダーシップをとっていただいて、立派な省になってスタートを切っていただけることを大きくまず期待させていただきたいと思います。  それで、重複しているところもございますので、簡単にお聞きをいたしたいと思います。  対象物質の選定についてでございますが、中央環境審議会は環境庁でございます。生活環境審議会は厚生省、化学品審議会は通商産業省等でございますが、この意見を聞かなければならないとあるわけであります。この三審議会で意見がまとまるのかどうか、ちょっと不安な感じがするわけでございますが、一本化するか、あるいは国会を通す必要がないだろうか、そんな思いであります。そしてまた、審議会からだけではなくて、多くの国民意見を聞く必要はないのかというようなことについてちょっと私は不安を持っておりますので、お聞かせをいただきたいと思います。
  155. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) お答え申し上げます。  対象物質の選定につきましては、制度運営上重要な事項でございますので、幅広い分野の専門的、技術的な識見を得るため、今先生指摘のような三審議会の意見を聞くことと法案上もさせていただいておるところでございます。  これらの審議会は、いずれも化学物質による環境の汚染により生ずる人の健康に係る被害や動植物の生息、生育への支障未然に防止するという法文上明記されておりますところの共通の基本認識のもとで物質選定を審議することになっておりますので、技術的に細部の意見が相違することはあり得るかもしれませんけれども、指定が困難になるような根本的な相違が生ずるとは考えられませんし、また政府が恣意的に選定し得るものでもないというふうに考えております。  なお、審議の効率的な運用あるいはさまざまな科学的な知見を一堂に会することの効果ということも考えられますので、これらの審議会を合同で開催することなどの工夫についても関係省庁ともよく相談してまいりたいというふうに考えております。  それから、先ほど来お答え申し上げていますが、本年三月二十三日に閣議決定されましたいわゆるパブリックコメント手続に従いまして、広く国民、NGO、あるいは産業界、学識経験者等の意見を踏まえ、最終的に政府全体として対象物質を判断する考えでございます。
  156. 奥村展三

    ○奥村展三君 今お述べをいただきましたように、ぜひ連携をとりながらしっかりと審議会そしてまたいろんな立場の方々の御意見もお聞きをいただくようにお願いしておきたいと思います。  今、参議院では地方分権等いろいろ審議をいたしているさなかでございますが、先ほども出ておりましたが、営業秘密についていろいろと都道府県知事等を経由して主務大臣に届け出ることになっているわけでありますが、どうも私が思うのに、国は中央省庁の再編をやっていろいろ流れをつくっていくわけでありますが、まだ地方におきましてはやっぱり縦割りのそういう従来の流れがすぐには改革できないというように思うわけであります。  そういうことを考えますと、地方自治体窓口にされたということに対しては評価させていただきたいと思うんですが、この窓口をやっぱり環境部局の方へ一本化する必要があると思うんですが、いかがでしょうか。
  157. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 都道府県内部におきますところの事務分担につきましては、それぞれの都道府県において決定していただくことだというふうに考えております。  ただ、一般的に考えてみますと、各業種に属する事業所の存在状況だとか事業実態というのは事業所管部局が強いと思いますし、また特定化学物質排出状況であるとか地域における環境状況については環境部局が当然それは知見を有している、こんなふうに思いまして、その辺につきましては適切に各都道府県において経由窓口を決定していただくことを期待しておるところでございまして、具体的に窓口を国が指示することは考えていないところでございます。
  158. 奥村展三

    ○奥村展三君 まず指示は考えていないということでありますが、混乱が起きないようにぜひそこの調整をやはり環境庁がおやりになることが大変大事であろうと思います。  次に、情報公開についてお伺いをいたしたいと思います。  衆議院の方で附帯決議もなされているようでございますが、今回のこのPRTR制度の意義を考えますと、国民がそれぞれお互いに情報をチェックし合うこと、そしてまた企業等につきましては報告の義務ということがあるわけでありますが、コストをできるだけ下げるといいますか、かからないようにすることが大事ではないかと思うわけでございます。  すべての対象物質を開示請求した場合、非常に手数料がかかるかもわからないという不安をよく聞くんですが、アメリカやイギリスのように低料金で何とかこれが提供されることが望ましいと思うんですけれども、すべての対象物質を請求した場合どのぐらいかかるのか、試算なされていたらお聞かせをいただきたいと思うんです。
  159. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 今直ちにすべての対象物質データを必要とする方に対しての開示の際の手数料がどうなるかということについての試算をしてはございません。ございませんが、もともと情報公開法と同様に、郵送代や封筒代等の実費の範囲内で徴収することが妥当だと考えておりますので、その範囲内での費用負担を求めることとしているわけでございます。いずれにしましても、政令策定段階で検討していくことになりますが、可能な限り開示請求者にとって利便性が高く負担のかからないものにしていきたいというふうに考えております。  いずれにしましても、手数料が対象物質データ数に比例するというようなことにはならないと思っております。したがって、仮に御指摘のようなすべての対象物質データを必要とする者がございました場合にも、余り過剰な負担を強いることなく開示請求にこたえることができるようになると考えております。
  160. 奥村展三

    ○奥村展三君 金額がどれだけがいいかはわかりません。私は、すべての対象物質データをおとりになる請求を出されても、やっぱり一万円以内ぐらいでおさめられるのがいいのではないかなというように思います。ぜひそういうようなことでお進めいただければというふうに思います。  冒頭にも、真鍋長官にもいろいろ今後の環境省のあり方についてもお伺いをいたしました。国民の最大関心事でもございます現在のこの問題等につきましてもしっかりと議論をしながら、この法案がすべてのこれからの環境行政に大きく寄与できますことを思い、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  161. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 ようやくこの特定化学物質環境への排出量規制問題で議論することができまして、遅きに失したというふうな感じもありますけれども環境庁が本当に真剣に取り組んでいただいたおかげでこういったものが今法案として提出されていることに対して敬意を表する次第であります。  ところで、最初に申し上げておきたいんですけれども、いわゆる政府案では米軍基地やその関連施設からの排出量等届け出対象となるのかどうか、その辺をまずお伺いしておきたいと思います。
  162. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) お答え申し上げます。  本法案我が国の領土全般に適用されるものと考えておりますので、地域的な理由で米軍基地が適用除外されるものとは考えておりませんが、一方、我が国の法令の適用について国際法上の議論があることも事実でございます。国際法にかかわる極めて外交的な問題でありますので、環境庁といたしましては本法案の適用関係について外交当局と連絡をとってまいりたいと考えております。
  163. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 今連絡をとってやるというふうなことで非常に抽象的なことでありますけれども、九条による届け出られた排出量以外の排出量の算出の対象になるのかどうか、その辺について再度御質問させていただきます。
  164. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) この点につきましても、米軍基地への本法案の適用の問題でありますので、先ほど申し上げましたように国際法にも絡むということで極めて外交的な問題でありますので、外交当局と連絡をとって調整してまいりたいと考えております。
  165. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 それでは、自治体で条例を定めて独自に届け出対象にすることができるのかどうか、その辺についてはお考えになっているかどうか、お伺いします。
  166. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 自治体の条例により独自に、例えば今のお話ですと米軍基地からの排出について届け出をするあるいは排出量の算出をするということだと思います。この点につきましても、申しわけございませんが今現在私の方でお答えできることは、外交当局と連絡を取り合って調整をしてまいりたいということにとどめさせていただかざるを得ないと考えております。
  167. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 沖縄にとっては第一次産業が非常に乏しいために、むしろこういった化学物質が出る工場等企業は非常に少ないんです。ただ私が心配しているのは、米軍基地の問題について真剣に取り組んでいただきたいということは、ごくきのう、きょうの問題でありますけれども、読谷村のいわゆる嘉手納弾薬庫の一部返還がされるわけでありますけれども、そこに六価クロムが発見されて、除去したというふうな防衛施設庁の説明がなされているのですけれども、地主の側からすると全般的にそういったふうなものが本当に除去されたのかどうかというようなことを非常に心配されて、実は防衛施設庁の関係でありますけれども、非常にトラブルが今起きているわけです。  御承知のように恩納通信所が返還されまして、その浄化槽の中にPCB等の有害物質がドラム缶七百本も放出された。今その処理の方法がないものですから、恩納分屯地にドラム缶がずっと保管されてそのままになっているわけです。  だから、そういうふうなことで、返還された米軍基地でこのように非常に汚染された物質が現在も発生しているというふうな状況からすると、これは防衛施設庁だけで手に負えない話じゃないか。やっぱりふだんからそういった環境問題について真剣に取り組んでもらわないと大変なことになるんじゃないかと思う。御承知のように、嘉手納飛行場の中においても、池を掘ってPCBがそこに埋められていたというような情報もあるわけです。そういったふうなことで、沖縄では今環境問題で住民が非常に困っているわけです。だから、もっともっとこういった米軍基地に対して、外交的な問題も絡んでおりますけれども、真剣に取り組んでいただきたいなというふうに思います。  御承知のように、自衛隊もあるわけですから、基地に対する取り組みについては自衛隊も含めて、自衛隊は我が国の軍隊ですから外交上は問題なく解決できると思いますけれども、そういうもろもろのことについて、沖縄の立場からすると環境問題というのは非常に重要であると認識していただきまして、ぜひそのことを真剣に、解決の方法、糸口を見出して、そして地方自治体にある程度権限を移譲した形でそれを管理あるいは監視していくというようなことまでも含めてやっていかないことには、本当に基地内の問題については、返還された後からとんでもない物質が検出されるというふうな状況では、これは後追い的なことになるので気をつけていただきたいというふうに思いますので、私としては意見として申し上げておきたいというふうに思います。  それで、先ほども申し上げましたけれども地方自治体は住民の健康や地域の生態系を守るために重要な役割を果たしております。地方分権を踏まえ、このPRTRでも自治体が主体的な役割を果たせるような仕組みに持っていくべきじゃないか、自治体が権限を持つようにすべきであるというふうに私は考えるわけでありますけれども、社民党案では都道府県知事が制度運用の主体となっている。これに対して政府案は、国が主体であるが、衆議院修正により届け出都道府県知事を経由して行われることになっておりますけれども、社民党はこの修正についてどうお考えになっているか。
  168. 清水澄子

    委員以外の議員清水澄子君) この修正都道府県知事が関与できることになったという点は、一歩前進として非常に評価をしております。しかし、対象化学物質の枠は別に広がってはいないわけです。そして、私は、未然防止が入ったわけですから、対象物質の枠にそれをきちんとあらわしていくということをぜひ御努力いただきたいと思います。  そして、制度といたしましては、まず第一に、都道府県知事の権限が明文化されておりません。社民党案では、都道府県知事が届け出の受理、公表を行うこととしております。そしてさらに、知事は正確な届け出を確保するための報告徴収も行える旨を規定しております。  第二点は、都道府県の担当部局が明らかでないということです。今も御説明がありましたけれども、それは県ごとに決めるとおっしゃいますが、届け出先が主務大臣となっているために、都道府県窓口では商工部局とか厚生部局とか農林部局というように、これはもうほとんど縦割りになる可能性があります。これでは、環境保全のために地域に根差した取り組みをしてきた都道府県環境部局がその役割を十分に果たせない、せっかくの制度が生きないという可能性があると思います。  第三に、営業秘密にかかわる届け出は直接主務大臣が受理することとなっており、営業秘密の判断も主務大臣が行うことに変わりがないことです。したがって、社民党案のように、都道府県では環境部局、国では環境庁が担当することをはっきりさせるべきであると考えております。
  169. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 環境庁長官は五月二十六日の本会議で、「修正により、都道府県がより主体的に制度運営に参画することになりました。」「届け出のない事業者への指導や記載ミスの書きかえの指導など、届け出義務履行の確保に責任を持っていただくことを期待しております。」というふうな答弁をされております。しかし、法案では届け出義務履行の確保について都道府県に権限を全く与えられていない。  この答弁で言われたことは法律的に何か根拠があるのかどうか、その辺について御説明願いたいと思います。
  170. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 法案作成時におきましては、関係省庁とすり合わせをいたしまして、衆議院で答弁させていただいたような法案であったわけであります。その後、衆議院におきまして修正されたわけであります。私は、修正された意見は真摯に受けとめてそれを遵守してまいらなきゃならないと思っておるわけでありまして、この改正ということについてその意義を求めていかなきゃならないと思っております。参議院段階で再度認識を新たにしていただきまして、いい法案をつくっていきたいものと思っております。  先ほど来、社民党さんの方の縦割り行政というような御意見もございますけれども、現段階でできる範囲の最高の力を振り絞っての法案であるわけであります。最初からこれが完璧だというものはなかなかできにくいと思いますけれども、その目的に向かってこれからの努力を重ねていって将来的にはいい法案にしていきたい。今の段階では私はこの提出法案というものがベストではないだろうか、こう思っておる次第であります。
  171. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 社民案の対象化学物質考え方はどのようなものであるか、政府案とはどう違うのか、御説明をしていただきたいと思います。
  172. 清水澄子

    委員以外の議員清水澄子君) 先ほどからもいろいろ答弁いたしましたけれども国民の九割近くがダイオキシンや環境ホルモンなどの化学物質に対して不安を抱いているという結果が出ております。私たちは、まずこのような国民の不安にこたえる義務があると思うわけです。  したがいまして、社民党では、やはり将来有害性が判明することもあるということを考慮いたしまして、被害の未然防止を図る観点から、有害のおそれのあるもの、疑われるものを含めてできるだけ多くの化学物質を幅広く対象としている、こういう点が違っております。これはOECDの定義に沿っておりまして、その定義では潜在的に有害な物質の目録もしくは登録簿となっております。社民党案はそのOECDの定義の原則に沿っております。  有害性が判明してから対処するという従来の規制手法では、これだけ何万という多くの化学物質が存在するときにはもうそれでは追いつかないということからこのPRTR法が今つくられようとしているわけですから、ぜひ私は、有害性の判明した物質のみを対象とする政府案とは違った、本当にこのPRTR法の趣旨に沿った内容にされることを願っております。
  173. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 例えば、農薬では有害性が判明した場合に販売禁止となるが、有害性が疑われる時点では自由に使用され、その把握も全くなされない。水田の除草剤であるCNPは、一九六五年に製造が開始されたわけですけれども、胆のうがんの原因ではないかということなど、早くから有害性の疑いがあることが指摘されてきました。しかし、有害性が判明したとしても、使用が中止されたのは製造開始から三十年たった一九九四年だったわけでありまして、それまでCNPの流通は野放し状態であった。いまだにどこでどれだけ製造され散布されたかがわかっていない。  もしPRTR有害性が判明した物質だけを対象とするのであれば、被害の未然防止のために化学物質排出量等把握対策に役立てるという本来の趣旨が損なわれるのではないか。こんなことでは規制手法の限界を踏まえて予防的手法をとるということの意味がないと考えるが、認識をお伺いしたいと思います。
  174. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 私どもの方の法案におきましては、環境保全上の支障未然防止を図る観点から、人の健康等との因果関係がたとえ不明でありましても、人の健康等への有害性が確認されれば、環境中に広く存在していると考えられる物質について幅広くとらえて対象に選定することとしているところでございます。  なお、有害性についていろいろお話があるわけですが、有害性が確認された物質対象とすることにつきましては、これは罰則により担保される届け出義務事業者に課する本法案PRTRにおきましては必須だと考えております。また、科学的知見に基づくリスクコミュニケーションを実施する上でも不可欠ではないかというふうに考えている次第であります。
  175. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 社民案に倣って、有害性の疑いがある化学物質も明確に対象とすべきであると思います。  ところで、衆議院における指定化学物質政令の配慮事項修正により、指定化学物質の定義の範囲内ではあるが、未然防止の観点が発揮されたと考えます。また附帯決議では、「いわゆる環境ホルモンの取扱いについては、人の健康及び生態系への重大な影響を与える可能性にかんがみ、内外の動向等を踏まえて迅速かつ適切に対処すること。」とされております。  そこで、環境ホルモンに迅速かつ適切に対処するためには、環境庁のSPEED98、環境ホルモン戦略計画に示された六十七物質も、もちろんSPEED98でも今後の調査研究の過程でさらにふえていくことが予想されるとなっていることを踏まえ、新たに知見が得られた物質PRTR対象としていくと理解していいのかどうか、その辺についてお伺いしたいと思います。
  176. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) いわゆる環境ホルモンにつきましては、現在、内分泌攪乱作用の試験方法の早期確立に向けて関係省庁協力してOECDを中心として行われていますところの国際的に統一された試験方法の開発に積極的に貢献していることにつきましては、午前中来の答弁で何度か申し上げているところでございます。政府としては、試験方法が定まりまして内分泌攪乱作用が一定の科学的な根拠により認知され次第、速やかにPRTR制度対象物質に加えたいと考えているところであります。  環境庁といたしましては、先生指摘のSPEED98で掲げました六十七物質の検討を優先したいと考えておりますが、内分泌攪乱作用に関する試験方法が定まればそれ以外の物質についても順次試験を広げてまいりたいと考えております。
  177. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 もう時間がないですけれども、あと一点で質問を終わりたいと思います。  政府案では、指定化学物質政令の制定または改正の立案に当たってはあらかじめ三審議会、環境庁中央環境審議会、通産省化学品審議会、厚生省生活環境審議会の意見を聞くことになっているが、法案十八条の政令指定が審議会、業界主導となるおそれが高く、第十八条は極めて問題である。諸外国では、試験方法などの専門家が議論する一方で、どの範囲の物質対象にするかは市民が参加して議論している。幅広い物質対象となるよう、政令指定が機動的かつオープンに行われるような手続を設定すべきではないか。  以上、お伺いします。
  178. 岡田康彦

    政府委員岡田康彦君) 先ほど来お答え申し上げておりますが、三審議会の審議及びその内容につきましては基本的に公開でなされると考えておりますし、さらに本年三月二十三日に閣議決定されましたいわゆるパブリックコメント手続に従いまして、広く国民、NGO、産業界、学識経験者等の意見を踏まえ、最終的に政府全体として対象物質を判断してまいる考えでございます。
  179. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 終わります。
  180. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 本日の審査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後二時三十五分散会