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1999-06-01 第145回国会 参議院 国土・環境委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年六月一日(火曜日)    午前十時二十分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         松谷蒼一郎君     理 事                 市川 一朗君                 小川 勝也君                 福本 潤一君                 緒方 靖夫君     委 員                 上野 公成君                 坂野 重信君                 田村 公平君                 長谷川道郎君                 山下 善彦君                 脇  雅史君                 岡崎トミ子君                 北澤 俊美君                 佐藤 雄平君                 弘友 和夫君                 岩佐 恵美君                 大渕 絹子君                 泉  信也君                 奥村 展三君                 島袋 宗康君    国務大臣        建設大臣     関谷 勝嗣君    政府委員        建設省建設経済        局長       木下 博夫君        建設省住宅局長  那珂  正君    事務局側        常任委員会専門        員        八島 秀雄君    参考人        住宅都市整備        公団総裁     牧野  徹君        住宅都市整備        公団理事     今泉 浩紀君        住宅都市整備        公団理事     平岡 哲也君        住宅都市整備        公団理事     島崎  勉君        住宅都市整備        公団理事     荒田  建君        住宅都市整備        公団理事     増山 雍二君        住宅都市整備        公団理事     福田 秀文君        住宅都市整備        公団理事     下田 公一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 〇都市基盤整備公団法案内閣提出衆議院送付  )     ─────────────
  2. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) ただいまから国土・環境委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  都市基盤整備公団法案審査のため、必要に応じ住宅都市整備公団役職員参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 都市基盤整備公団法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 山下善彦

    山下善彦君 おはようございます。自由民主党山下善彦でございます。  都市基盤整備公団法案について、数点質問させていただきたいと思います。  最初に、今日まで住宅都市整備公団が果たしてきた役割についてどのように評価をされているのか、まず伺いたいと思います。
  7. 牧野徹

    参考人牧野徹君) 私ども住宅都市整備公団は、先生も御案内のとおり、世帯数に対して住宅数が約二百七十万戸足りないという昭和三十年に日本住宅公団として発足いたしました。以来四十四年たつわけでございますが、この間におきまして、ほとんど日本で言えば初めてと言われるような集合住宅の良質な耐火構造のものを提供してきた。そういうことによりまして、例えば二DKという言葉もございましたけれども、それに代表される団地生活というものが、当時におきましては言ってみれば庶民のあこがれの的になった。昭和三十五年でございますが、現在の天皇陛下が皇太子のころ、たしかひばりが丘団地を、アメリカを訪問される前に日本の勉強の一つだということで私ども公団を御視察いただいたこともあるぐらいでございます。  そういう意味で、私どもは、都市における新しいライフスタイルのパイオニアを任じてきたというふうに認識をしております。  そういうことで、全体で申し上げますと、四十四年間に約百四十四万戸の住宅を、これは賃貸、分譲合わせてでございますが、供給してまいりました。現在は、約七十三万戸の賃貸住宅を管理しておりますとともに、多摩ニュータウン等に代表されますけれども、三万八千ヘクタール以上のいわゆる面的都市整備を行ってまいりました。それから、もろもろの再開発等も行ってまいりましたが、そういうことで国民生活安定、向上一定役割を果たしてきたところだと考えております。  さらに、最近で申し上げますと、阪神・淡路大震災の復旧・復興事業でございますとか、あるいは土地有効活用事業等について、政府の方の御指示によってそれぞれ体制をつくって懸命の活動をしたところでございます。  そういうことで、私ども一定の成果を上げてきたとは思っておりますけれども、やはり発足以来四十四年が経過し、社会の情勢が余りにと言っていいほど激変したということで、今までどおりではいけないというふうなことで今回この法案の審議をいただいているというふうに認識しております。
  8. 山下善彦

    山下善彦君 ただいま公団の方から御説明をいただきました。私自身も、この住宅都市整備公団につきましては、いろいろ地域の中で今日まで大変大きな役割を果たしてきた、そういうことを評価している一人でございますが、分譲住宅業務のような民間で行われている仕事を公団が行うことについては、民間業者等業務の圧迫になるのではないか、こういったような生の声を実は聞くわけでございます。  今回のこの公団改革は、我々自由民主党平成九年三月に決定をいたしました特殊法人整理合理化案、それから平成九年六月の閣議決定を受けて今回の法案が進められてきたものと承知しておりますけれども行政改革の原則である民間でできるものは民間に任せるというような、こうした決定内容が今回のこの法案にどのように反映をされているのか。具体的に、組織それから定員業務内容について教えていただきたいと思います。
  9. 那珂正

    政府委員那珂正君) 本法案は、ただいま先生指摘になりましたように、民間でできるものは民間にゆだねるという行政改革基本方針にのっとりまして、かつ、御指摘ございました平成九年六月の閣議決定内容を実現しようとするものでございます。  具体的には、新公団業務について、現在我が国が大変重要な課題として抱えております都市開発・再開発、あるいは国の政策上特に必要な賃貸住宅供給という二本柱に公団業務重点化いたしまして、あわせて地方公共団体民間事業者等々の協力あるいは役割分担のもとに事業を進めていくということとして、分譲住宅業務からは再開発等に伴うものを除き原則撤退するということを法案の骨子としているわけでございます。  また、お尋ねの組織定員についてでございますが、理事の定数を十四人から十人に削減、組織についても業務内容スリム化に即して再編することといたしまして、事業執行機動力を強化して再編することとしております。  また、定員につきましても、向こう十年間で全体定員の一〇%を超える約五百人、そのうち大半の四百人を平成十五年までの前半五年間に前倒しして縮減することを目途に努力しようとしているところでございます。
  10. 山下善彦

    山下善彦君 先ほども公団の方から答弁をいただきましたように、昭和三十年の日本住宅公団の設立以来、戦後の住宅の絶対的な不足に加えて、人口の急激な大都市への集中によって、そういう住宅難を解消するために住宅住宅地供給されてきた、大変重要な使命を担ってきておると私は認識しております。  今回のこの都市基盤整備公団は、大都市地域などにおける健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動基盤整備を図ることを目的とするというふうにうたわれておりまして、これによって公団の性格というものは、量的な拡大から都市質的向上への転換を図られるということになるわけでございます。都市質的向上を図るということは重要な問題ではありますけれども、一方、行政改革趣旨を徹底しながら特殊法人整理合理化を進めるのには、業務を絞って重点的に展開していく必要があるのではないかと思うわけでございます。  そこで伺いたいと思いますけれども、新公団では具体的にどのように業務重点化を図っていこうとされておられるのか。また、行政改革地方分権が叫ばれている中で、新公団法の第一条で、地方公共団体民間との協力及び役割分担のもと業務を行う旨を明記されております。非常に結構なことだと思います。その具体的な内容についてわかりやすく教えていただきたいと思います。
  11. 今泉浩紀

    参考人今泉浩紀君) お答え申し上げます。  ただいま御質問は二点あったわけでございますが、第一点の業務重点化というところでございます。  これにつきましては法案趣旨説明大臣からも御説明があったところでございますが、改めて御紹介申し上げますと、新しい公団業務重点でございますが、住宅宅地大量供給から大都市地域等都市基盤整備にシフトいたします。今後はそういったことで、公共団体あるいは民間のみでは十分な整備ができないところにつきまして業務重点的に実施してまいりたいというふうに考えております。  具体的なものをちょっと申し上げますと、民間によりまして供給が見込まれます分譲住宅業務でございますが、これにつきましては、再開発に伴う必要なものを除きまして撤退いたすということにいたしております。  また、新たに行います賃貸業務賃貸住宅建設でございますが、これにつきましても、民間によって十分な供給が困難な都心居住住宅とか、再開発の一環あるいは建てかえ等で供給される住宅等重点的に絞って供給をしてまいりたい、このように考えております。  また、都市開発事業でございますが、これにつきましても、宅地大量供給目的としたような事業はやめていくという考え方でございます。  また、鉄道業務があるわけでございますが、現在千葉ニュータウン公団鉄道を経営しているわけでございますが、これにつきましても、この鉄道に限るという形に重点を絞っておるわけでございます。  それから、二点目でございますが、公共団体民間との協力及び役割分担の具体的な内容はいかがかという御質問でございました。  この考え方でございますが、冒頭申し上げましたが、民間あるいは公共団体でできるものについては、お任せできるものについてはお任せをしたいということでございます。それ以外に、例えば公団が一部事業を行いましてあと公共団体民間にお任せするというもの、あるいは公共団体民間の方を御支援申し上げるもの、それから公共団体あるいは民間と共同して事業を行うものといったものがあります。  具体的に申し上げますと、例えば一部公団が行い、あと公共団体民間に任せるもの、この典型的なものが、現在やっております土地有効利用事業でございます。公団は、土地情報がありました土地を取得いたしまして、一定整形整序をいたしまして、それを民間にもう一回お譲り申し上げて民間創意工夫事業をやっていただく、こういったものが一つあるわけでございます。また、公共団体民間を御支援するというものにつきましては、公団が今まで培いました技術的なものを含めたノウハウをコーディネートするような形で一緒知的協力を申し上げるというものもございます。それから、共同で事業をするということで一つの典型的な例でございますが、例えば、公団賃貸住宅建てかえ等におきまして公営住宅と併設するということがございます。  こういったもので、いわゆる役割分担を明確にしながら、また役割をお互いに協力し合いながらやってまいる、こういうような考え方でございます。
  12. 山下善彦

    山下善彦君 御説明ありがとうございました。  続いて、新公団の主な業務内容について伺いたいと思います。  まず、新公団法第一条の「目的」で、大都市地域などにおいて都市活動基盤整備として居住環境向上及び都市機能の増進を図るための市街地整備改善を中心とする、業務をそのようにうたっておられますけれども、この市街地整備改善言葉では「市街地整備改善」とはなっておりますが、どんなものか、どのような役割公団が果たしていくのか、なかなか具体的なイメージというか、そういうものがわいてきません。  そこで、この新公団の柱となる業務であります市街地整備改善とはどのような地域対象としていくのか、それからどのような事業展開を図っていくつもりなのか、典型的な一つイメージを挙げていただいて、国民にわかりやすく御説明をしていただきたいと思います。
  13. 那珂正

    政府委員那珂正君) 新公団法第一条の「目的」に明記されております市街地整備改善業務でございますが、これは同じ一条「目的」に書いてございますけれども人口や産業が大都市に集中した結果、都市機能都市基盤の秩序ある整備が十分でないままそういう都市地域が拡大してしまった、そういうような大都市地域その他の都市地域について市街地整備改善を行うということとしているわけでございます。  まず、その地域でございますが、具体的には、三大都市圏あるいは政令都市あるいはその他の通勤圏内人口五十万以上の都市等を念頭に置いております。  これらの地域において、市街地整備改善ということで具体的にどんなことをやるかということでございますが、一つは、先ほどの御質問公団理事からお答えがありました土地有効利用事業でございます。  すなわち、都心に非常に虫食い地が散在しているようなところ全体を買い上げる、あるいは共同化すること等によって敷地集約化統合化を図って、これを民間建築活動として使いやすいような形にして売る、場合によっては公共施設整備することもあるかと思います。それが一つでございます。  一方、都市生活ということを考えますと、やはり都市居住者住宅立地の問題にどうしても入っていかなければいけません。そこで、「目的」でもそういうような趣旨で、住宅立地改善という観点から、例えば都心居住の促進と言っておりますけれども都心居住あるいは職住の近接のための住宅市街地公団が用意する。  具体的にどういうことかといいますと、そういう立地のいいところに居住環境のすぐれた住宅市街地整備していく。その整備の仕方については、先ほど来御説明しておりますように、公団が例えば分譲住宅のようなものはもうやらない。それは、公共施設整備あるいは敷地整備をした上で民間分譲住宅を誘致する、誘導するということも一つの方法でしょう。また、賃貸住宅については民間ではなかなか供給されないということから、そういう地域では公団みずから賃貸住宅供給するということもありましょう。そのようなことで、住宅市街地として都市の内部の既成市街地を再整備していくということも、この市街地整備改善業務の大きな柱でございます。  また、よく話題になりますが、非常に災害の危険性の高い木賃木造賃貸住宅密集地域など、その解消を図るためにいろいろな再整備をしていかなければいけない。住宅を地主さんと一緒建てかえたり、あるいは公団がかわって賃貸住宅建てたり、あるいは敷地民間分譲事業者に仲介したりというようなことを進めていかなければいけないわけですが、そういういわゆる木賃密集地域の再整備というのもこの市街地整備の大きな柱の一つだろうと思います。
  14. 山下善彦

    山下善彦君 御説明どうもありがとうございました。  今、那珂局長からもお話がございましたように、いろいろ具体的な説明をいただきました。我が国都市防災性向上土地利用転換を図る、そういうために再開発等を行ってその問題の解決をしていく、大変重要なことであると認識をしております。  ただ、再開発は、今度新公団がこういう形でできた、その公団だけで解決が決してこれはできるものではない。都市開発法の改正のときにも指摘をさせていただいたわけですが、こういう再開発問題は、非常に多くの関係者が関与をされていろいろの調整に大変な時間と労力をかけておられる。事業着手から完成まで五年、十年という長い年月がかかってしまうという大変複雑な難しい事業であると思います。  また、再開発地域町づくりに密接に関係しているので、地方公共団体の果たす役割、そういうものもあるわけでございまして、この法案の第一条の中で、しっかり地方公共団体と連携をとっていく、そのような趣旨の条文があるわけでございますけれども、この地方公共団体からの再開発に対する要望がまだまだ非常に多いわけでございます。こうした多くの期待にこたえていくために今度の新しい公団ではどのような仕組みを講じていかれるのか、その点について伺いたいと思います。
  15. 那珂正

    政府委員那珂正君) 公共団体との協力といいますか役割分担というのは、民間ともそうでございますが、新公団のいわば基本理念一つでございます。  法律に基づく市街地開発事業、ほかのいわゆる再開発事業全般を含めて、これは基本的には公共団体の主導といいますか発意といいますか、そういうものはいろいろな意味で不可欠であるわけでございますが、やはり技術上あるいは財政上、そういうような観点からなかなか地方公共団体だけではどうも再開発を進めにくくなっているという現状が実際にございます。  そこで、先生指摘のように、現公団に対しても大変いろいろな場面で協力要請があるわけでございます。公団としても、これまで現公団法の範囲内でいろいろな事業公共団体の実質的な要請にこたえて対処してきたわけでございますけれども、新公団におきましては、そのことをより明確に法律上位置づけることとしております。  具体的に申し上げますと、都市計画事業であります市街地開発事業については、地方公共団体の意見を聞いたりあるいは要請に基づき行うことということで、しっかりと地方公共団体の意思を反映するという形をとっております。また、実際に公共団体が広い意味の再開発を進める際にはいろいろな構想を立てたり計画を立てたりするわけでございますが、そういうような計画あるいはその前提となる調査等につきましても、公団要請によりこれを受託して、かわりに技術提供という形でいろいろなことをしていく、これも二十八条でございますが、新公団法業務に具体的に列記させていただいているところでございます。
  16. 山下善彦

    山下善彦君 先ほども新公団業務の御説明をいただいたわけでございますが、今日まで旧公団というか、公団供給されてきた七十三万戸の賃貸住宅の管理に関する業務も新公団においては大きな柱となるわけでございますが、この公団の管理する住宅のうち、最初建てられたものがもう既に老朽化しておるわけでございます。  こういう老朽化したものについては、良好な居住環境を確保して、また敷地高度利用による都心居住に対応するために建てかえが現在進められているわけでございますが、今後もますますその必要性は高まってくるのではないかなと承知をしております。  一方、高齢化社会本格化によりまして公団住宅にお年寄りの居住がふえてきて、こうした方々は、建てかえによって住んでいる家賃が上がるのではないか、こうした不安を持っておられると聞いておるわけでございます。  今後、町づくりや良質な賃貸住宅供給を図っていくために、建てかえを行う際にこうした方々に対しての十分な配慮も不可欠であると私は思いますけれども、新公団ではこの点についてどのような措置を講じていかれるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  17. 那珂正

    政府委員那珂正君) 公団住宅建てかえに当たりましては、先生指摘のように、現居住者居住の安定には十分に配慮していくことは必要だろうと思うわけでございます。このため、現公団法には建てかえに関する規定が不十分であったわけでございますが、新公団につきましては、建てかえに関して手続等を含め法定することにいたしまして、そういう建てかえをスムーズにできるように措置したところでございます。  具体的に申し上げますと、建てかえによって新たに建設される住宅に再入居される方については一定家賃減額措置を講じることとしておりますし、また今御指摘高齢者の方ですが、公営住宅入居基準に該当する高齢者世帯心身障害者世帯母子世帯生活保護世帯対象財政支援も導入して特別の減額を行うなど、居住の安定には特に配慮をしていきたい、こう思っております。さらに、法案においては、建てかえの際にデイサービスセンターなどの社会福祉施設あるいは公営住宅などを併設することを促進することといたしまして、公営住宅への住みかえ希望者の優先的な入居についても公団一定の努力をすることを義務づけております。  そういうことで、いろいろな面から現居住者居住の安定には十分な配慮をしていくつもりでございます。
  18. 山下善彦

    山下善彦君 ありがとうございました。  今御説明のありました点は、やはり現在居住されている対象となられる方々にしっかり御説明をしておいていただきたいな、こんなことを要望させていただきたいと思います。  次に、土地の流動化問題について伺いたいと思います。  なかなかバブルが崩壊してそのショックから立ち直れない我が国でございますけれども、現在、東京都心部等においても再開発中で挫折をした虫食い地が非常に多く点在をしておる、こういう現状でございまして、このような土地整形集約化してその有効活用を図っていく、これが今回この新公団における一つの重要な業務であろうかと思うわけでございますが、平成十年三月に、我が党が土地債権流動化トータルプラン、こういうものを策定して、公団を活用した土地有効利用事業を提案しておるところでございますけれども、これまでの本事業実績、これがありましたら教えていただきたいと思います。
  19. 今泉浩紀

    参考人今泉浩紀君) 御説明申し上げます。  ただいま先生トータルプランというお話がございました。昨年三月のトータルプラン、またその後四月にできました総合経済対策の中で、私ども公団におきまして土地有効利用事業を行う役割が与えられたわけでございます。それを受けまして、昨年六月二十二日でございますが、総裁本部長といたします土地有効利用事業推進本部を設けまして、本格的な土地有効利用を始めたところでございます。  ちょうど十一カ月たったわけでございますが、具体的にいろんな皆さんから土地情報を受けまして、その中でいろんな審査をいたしまして交渉対象土地を選定しまして、その中から具体的に、昨日現在でございますが、土地取得のいわば契約ができましたものでございますが、六十四地区七十九件、面積的には二十八ヘクタール、金額ですと千三百十四億円ということになっております。  ちなみに、先ほど土地情報と申し上げましたが、私ども本部に寄せられました土地情報の総件数でございますが、四千四百二十件、面積的には千六百五十ヘクタールという大きさになっておりまして、その中から土地有効利用に見合うふさわしいものを交渉対象とするわけでございますが、現在百九十三地区、五十三ヘクタール、おおむね三千五百億円余のものについて交渉を行っているわけでございます。そういった中から、先ほど申し上げました千三百十四億円の実績になったということでございます。  この土地有効利用事業でございますが、これは土地を取得するだけにとどまるものではございませんで、例えば虫食い土地あるいは細分化土地と言っておるわけでございますが、その買った土地に、周りにありますあるいは中にございます土地につきましても追加取得をする、あるいは共同で事業をするといった形で敷地整序整形してから初めて有効利用が成るわけでございます。そういった意味合いでは、今取得をしたというのはステップに立ったということでございますけれども実績という面ではただいま申し上げた数字でございます。
  20. 山下善彦

    山下善彦君 実績についてはわかりました。  本事業に対しての民間の期待は大変大きなものがある、土地の流動化を定着させていくためにも今後積極的に推進していかなければいけない、こう考えるわけでございますが、新公団では、本事業をどのような形で今後展開していくつもりなのか、新公団法における位置づけとあわせてお伺いしたいと思います。
  21. 今泉浩紀

    参考人今泉浩紀君) ただいまの御質問でございますが、新しい公団法におきましては、二十八条の第一項第一号におきましてこの土地有効利用につきましての位置づけがされてございまして、公共施設整備や細分化された土地の統合に伴う建築敷地整備のための業務といったものが位置づけられているわけでございます。  この土地有効利用でございますが、一つトータルプランの中でもございましたが、土地の流動化の促進ということと、それから土地の有効利用、それがひいては都市の再開発あるいは活性化、町づくりといったものに寄与するものでございまして、私ども、この土地有効利用はそういった意味合いから極めて大きな意義があるというふうに考えております。私ども、この事業につきまして今後とも積極的に努力してまいりたいというふうに考えております。
  22. 山下善彦

    山下善彦君 ありがとうございました。  土地有効利用事業には、昨年四月の総合経済対策によって出資金二千億円、財投で一千億円、計三千億円の国の資金が投入をされているわけでございますけれども、この事業によって公団が不良債権を抱え込んでしまうのではないか、また地上げの後始末をするだけではないか、こういったような批判の声も聞こえてくるわけでございますが、国の資産をむだにすることのないように、土地債権流動化トータルプラン趣旨をしっかり踏まえて、二十一世紀に向けた都市の再生にも大きく寄与するために、本事業のあり方や資金の使われ方について国民に対してきちっと説明をし、理解をしていただく必要があると思います。  そこで伺いたいと思いますけれども、本事業はどのような土地を取得の対象にしているのか、また、その取得価格はどのような形で判断をして価格をどういうふうに決めるのか、また、取得した土地についてはその土地をどのように事業化を図っていかれるのか、また、国民に対しての情報開示についてはどのように考えておられるのか、この点について伺いたいと思います。
  23. 今泉浩紀

    参考人今泉浩紀君) お答え申し上げます。  ただいま四点の御質問があったわけでございます。  まず最初に、どのような土地を取得の対象にしているかということでございます。これにつきましては、土地有効利用は、民間単独では事業化が困難な土地対象としております。具体的に申し上げますと、都心部の細分化土地、虫食い土地とも言うわけでございますが、細分化土地等で単独で利用することが著しく非効率なもの、あるいは開発に際しまして容積率等の法的な条件の変更によりまして格段に有効・高度利用が図られるものといったものを対象に、関係権利が整理されていることを前提に事業化を見定めて取得をいたすということにしております。  それから、その取得価格がどういうふうになっているかということでございます。これにつきましては、収益還元的な価格をベースとした価格ということでやっておりますが、この価格の算定の仕方につきましては、外部の専門家の先生方で構成されております土地評定等審査会でその算定方法につきまして方向づけをいただき、またその個々の案件につきましても、審査をいただいた上で決定いたしたところでございます。  それから、取得した土地につきましてどのような形で事業化を図るかということで、一つは、先ほどから言っておりますが、公団におきまして土地を取得し、その周辺を含めた土地整形整序して民間にお譲りする、それで民間創意工夫の中で土地有効利用を図っていただくということが大きな基本的なスキームでございますが、それ以外に、例えば法定再開発あるいは区画整理といった形で規模の大きなものをそういった形で処方する方法もございます。そういったことで、いろんな手段を設けましてこの土地有効利用に役立てたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、情報開示についてどうかという御質問でございました。これにつきましては、先生も御質問でございましたけれども、まさに国民の理解と協力ということが極めて大事だというふうに考えております。そういった意味合いで、私どももこういう土地があるよといういわゆる土地情報を受け付けているわけでございますが、その土地情報を、先ほどちょっと数字を申し上げましたけれども、そういった情報につきまして受け付け件数あるいは面積といったもの、それから交渉に入る土地につきましてもその件数、面積それから金額といったものを定期的に情報公開しております。また、個別に土地が取得できたものにつきましては、その所在地、面積それから用途地域の別、整備の方向といったことも公開しております。また、契約の相手方さんの御同意がいただければ、その企業名、法人名といったものも情報公開をいたすということにしております。  そういった意味合いで、私ども情報開示につきましてはできる限りの努力をいたしておるというところでございます。
  24. 山下善彦

    山下善彦君 ありがとうございました。  最後に、この新公団によります二十一世紀の町づくりに向けた関谷建設大臣の決意を伺いまして、質問を終わらせていただきます。
  25. 関谷勝嗣

    ○国務大臣(関谷勝嗣君) 先生るる御指摘がございましたように、今の都市においては、やはり低未利用地であるとか、あるいは密集市街地がありますし、また大きな問題ではございましょうが、職場と住宅が非常に遠い、通勤時間が何時間もかかるというようなこともございましょうし、あるいはまた中心市街地が空洞化をされておるというような、そういうようないろいろな問題がございます。そういう問題をこの新公団のもとで払拭をしていただいて、本当に国民の皆様方が生活の潤い、豊かさというものを感ずることができるようにやっていきたいというようなことが、今回の新しく公団に移行することだろうと思うわけでございます。総裁の方から、今の住都公団がどういう状態の社会情勢のもとで対処してきて、国民に少しでも良質で廉価な住宅を提供してきたかというようなことがございました。  そういうようなことで、戦後五十四年たった今日においてこういうような新しい公団としてやっていくということでありますから、これからは新公団の役員といいましょうか、あるいはもちろん職員の皆さんも、まず私はそういうようなことで法律改正をいたしますが、それを実際に扱います総裁初め職員の皆さん自体が意識改革というものをやらなければ、これはもうすばらしい法律ができても宝の持ちぐされになってしまうのではないかなということを思うわけでございまして、今後の総裁初め皆さんの意識の改革が私は重要なことであろうと思っております。
  26. 小川勝也

    ○小川勝也君 民主党・新緑風会の小川勝也でございます。  本会議での質問に引き続きまして、幾つかの質問をさせていただきます。  今回の新しい法案でございますが、住宅都市整備公団から都市基盤整備公団に変わるというそんな法律であります。さまざまな観点から住都公団のあり方、その経営が批判をされてまいりました。あるいは、行政改革特殊法人改革、天下り、さまざまな観点から今回の法律が必ずしも満足のいくものではないということを冒頭申し上げたいと思います。  さて、それはそうといたしまして、住都公団の果たしてきた役割は非常に大きなものがあり、その中の大部分は評価されてしかるべきと考えます。  先日も、この法律案の審議をめぐりまして、住都公団の団地にお住まいの方々からさまざまなお話を聞く機会がございました。そんな中で、住んでいてよかった、これからも住み続けたいという意見が非常に多うございました。当然、建物がいいとか管理がいいというのもあるでしょうけれども、その一つの理由は、地域コミュニティーが非常にすばらしいということ、そしてもう一つは、民間にはつくれないような周りを含めた環境だと、こんなお話がございました。これは賃貸、分譲とも共通していることだろうと思います。財政投融資の資金を使いながら少し未来を見据えた住宅のあり方、都市のあり方を希求してきた結果だろうと思います。そんな観点から見過ごせない情報が入ってまいりましたので、まずそのことからお伺いをしたいと思います。  質問をいたしますのは、北総開発鉄道線の千葉ニュータウン中央駅に隣接しております白井町の桜台団地でございます。  私は訪れたわけではありませんのでわかりませんけれども、話によりますと、非常にすばらしい町並みで、アメリカから来たお客さんが、アメリカがいいというわけじゃありませんけれども、私のふるさとによく似ていると。公団としても自慢の都市計画町づくりができた場所ではないかな、そのように思っております。ここは、県の企業庁とか住宅生協とかさまざまに手分けをいたしまして、高層住宅、戸建て住宅あるいは低層住宅、中層住宅町づくりを進めてきたということであります。  それで、問題点はどこにあるかといいますと、公園に隣接する狭隘な土地に、公団が手を離したところに民間が参入をして当初の予定を変更して高い建物を建てようとしている、そのことが住民とのトラブルになっているということであります。  話をお伺いいたしますと、この桜台地区のど真ん中にあります十余一公園、現況を生かしながら、雑木林を残しながら、少し谷地になっている、調整池を兼ねているすばらしい公園であり、この町のシンボルでもある公園だということであります。そこに、少し斜面になっている、いわゆるレンズ型と申しましょうか、両端が細くなっていて真ん中だけちょっと膨らんでいるという狭い土地、ここには当初、その地形を生かしながら低層のテラスハウス的なものが建つのではないか、あるいは建つだろう、こんな住民の気持ちがあった。ところが、いつしか公団からコンペティションが行われ、そのコンペに勝った一つの企業、これは一社だけが募集に参加したらしいんですけれども、ちょっと見えるかどうかわかりませんが、その斜面の非常に狭い土地に建つということで、三階建てでおおむね二十戸ぐらいの住宅かなと思われたところに、見えませんでしょうけれども、このレンズ型の土地に一、二、三、四と五十五戸を建てるという計画を持ち込んできた。  これは、桜台団地のこのことがどのようにどうなったのかということは私はわかりませんけれども公団であればゆったりと町づくりができるところを、民間というのは、言わずもがなでございますけれども利潤を追求するのが仕事でございます。土地が限られているとすれば、高い建物を建て、一戸でも戸数をふやし、売却価格を上げて、そして利益を上げる、これが使命であろうと思いますのでこういうふうになってしまうのかな。これは、公団がこれからやっていこうとする仕事にも非常に関係をしてくる。公団にはできるけれども民間にはできないこと、あるいは公団から民間に移さなきゃいけない仕事、あるいは公団が守ってきた秩序をどう民間に生かしていくのか、大きな問題を含んでいる問題だと思います。  この白井町の桜台団地の件について、私からの状況説明、事実経過、間違いがあるかもしれませんし、あるいはお答えがあるかもしれません。まずお伺いをしたいと思います。
  27. 福田秀文

    参考人(福田秀文君) 千葉県白井町における住宅建築についてのお尋ねでございます。本件建築にかかわる土地でございますが、この土地は、千葉ニュータウン事業の共同施行者であります当公団と千葉県の企業庁が民間住宅事業者向けの住宅用地として平成九年十二月に募集をいたしまして、選考の結果、翌十年三月に譲渡したものでございます。面積はおおむね四千平米ございます。  この民間住宅事業者の建築計画によりますと、この建物は、一部四階建ての五階建て中層住宅を五十五戸建てることになっておりまして、延べ床面積にいたしまして六千三百平方メートルでございます。十年五月にこの住宅建築計画が公表されましたところ、周辺の住民の方々から、路上駐車とか日照が阻害されるとか、そういうことを理由といたしましてこの住宅建築計画を見直すよう求められております。  このために、この民間住宅事業者は、その後、継続的に回を重ねまして説明会等を催しております。その説明会等には、地元の白井町それから千葉県の企業庁、それに公団も参加をいたしまして住民の皆様方の御理解を得られるように努めてきておるところでございます。  この説明会等におきましては、民間事業者の側からは、例えば路上駐車の対策としては駐車場の増設を図るとか、あるいは環境をよくするということで敷地内の植栽を拡大するとか、そういう御提案を申し上げまして住民の方々の理解を得られるよう努めておるところでございまして、現在も話し合いをしている最中でございます。
  28. 小川勝也

    ○小川勝也君 駐車場の問題なんて一言も聞いていないんですけれども、三階建てのテラスハウスがなぜ、一部五階というか、おおむね斜面に建っていますので六階になるんですね。それから、駐車場の問題だけではなくて、いわゆる緑道という公園内の道、そこから建物までの距離が一メートル五十センチしかない、落下物が落ちてきたらどうするんだと、このことが非常に大きな問題となっているわけであります。  私は、何もこの紛争の当事者ではありませんので細かいことを申し上げるつもりはありません。なぜ三階だと、これは三階建て計画というのが発表されたのか認知されたのかわかりませんけれども、この地域のさまざまな分譲のパンフレットにこの公園が使われておる、あるいはイラストなんかにもこの部分には低層の住宅が建っているように見せかけている、そんなこともあって住民が安心したのかもしれません。あるいは、地区計画によってもこの地域は低層という指定があったと、その辺の関係をお伺いしたいと思います。
  29. 福田秀文

    参考人(福田秀文君) この土地にかかわる都市計画でございますけれども平成四年八月に千葉ニュータウン全体の都市計画変更がございまして、その一環といたしましてこの地区につきましても都市計画の変更が行われまして、第一種住居専用地域から第二種住居専用地域への変更が行われております。建ぺい率が四〇%から六〇%に、容積率が八〇%から二〇〇%にというふうに変更をされてきておりまして、低層住宅地から中高層の住宅建てられる地区に変わっております。
  30. 小川勝也

    ○小川勝也君 白井町における地区計画はいかがでしょうか。
  31. 福田秀文

    参考人(福田秀文君) 白井町における地区計画におきましても、ここの地域は、当初の低層住宅地から平成四年の地区計画では中高層の住宅建てられる地区になっております。
  32. 小川勝也

    ○小川勝也君 今、町長さんも、これはやっぱりおかしかったということで、この建物が建たないようにというように陳情している、そんな情報もあります。これは、そのことを深く追及するつもりはありません。  公団のあり方として、大きな団地を開発して、斜面の非常に狭隘な開発にとってはおいしくないところ、邪魔なところを、民間の活力を引き出すとか、ここは民間にやらせてみようとかいうのは非常に汚いやり方だと思います。民間は三階建てよりも六階建て建てたい。住民の知らないところでそういう計画が変更されている、そんなやり方は非常に許せないと思います。  私も事実関係をすべて把握しているわけじゃありませんけれども、何となくぴんとくるものがあるんじゃないかと思いますが、もしこういうようなことが、ここだけじゃなくていろんなところで行われているとしたら非常にぞっとする思いがいたします。きれいごとを言うわけじゃありませんけれども、私は、このことに一番悲しい思いをしているのは、特に公団の中でこの都市計画町づくりを設計した人だと思います。  それで、町全体というのを考えて、その町の中心とする憩いの場である公園を設定して、そこの斜面にいつの間にか変更された、低層地域から中層地域になって民間に売却されて六階建て建てますというふうに言われ、住民は大変な反対運動をしております。  建設大臣、何か御感想があればお伺いをしたいと思います。
  33. 関谷勝嗣

    ○国務大臣(関谷勝嗣君) 大変難しい状況だろうと思うわけでございますが、一般商法的に言えば、そういうふうに法律は改正された、その以前は低層住宅であった、そういう状態の中で入られたわけですから、その後そういうようなことが改正されて高層のものが建てられるようになったというようなことでございますから、そのこと自体は今の法制度においては違法なことではないわけでございますが、先生指摘のような住民の方々のお気持ちということもまた理解はできるわけでございます。  公団も、地元の地方公共団体とともに入っていろいろ協議、努力はしておるようでございますから、その点はぜひ前向きで協力をしていただきたいと思いますので、私から指名で、総裁考え方をここでひとつ述べていただくということがいいのではないか。彼の方が近い立場にありますので、総裁、ひとつ答弁を願います。
  34. 福田秀文

    参考人(福田秀文君) 委員長、その前にちょっと一カ所訂正させてください。  地元白井町の地区計画でございますけれども平成四年に決められております。そのときには、既に第二種の地域に変わった後でございます。先ほどちょっと正確さを欠きましたので、訂正させてください。
  35. 牧野徹

    参考人牧野徹君) 大事なところは大臣がすべておっしゃいましたが、小川先生の御質問の中で、もしかすると住都公団が自分でつくらずに民間に任せて、どういう御発言だったかちょっと不確かですが、言ってみれば、うまいようにやらせるというふうな趣旨のことがございましたが、私どもは、一般的に面開発事業をやりながら自分でももちろん必要なものは建てますし、やっぱり民間のお力もかりてという場合に、そういうへた地とかだめなところだけということは決してございませんので、ここはぜひ御理解いただきたいと思います。  そういう場合に、当然、先生おっしゃったように、私どもがせっかく面開発をした土地を全体としていい町づくりをするわけですから、その点は民間の方にも十分協力してもらうように、民おろしをする際にもきちんと審査しておりますから、間違ったことにならないように公団としても十分努力をしていきたいと思っております。
  36. 小川勝也

    ○小川勝也君 これはどうも間違った方向に行っている問題だと私は思います。  それで、つけ加えさせていただきますと、我々も、公団が公という名前がついていながらも民間の経営感覚を見習うべきだ、こんな考え方も示しております。そのはざまに立って、非常に公団としても苦しんでおるんじゃないかなというふうに思います。  例えば、公団がみずからここに六階建て建てて憩いの公園に壁をつくるようなことをすると公団自身がもろにその風当たりを受けなきゃいけない、だからここは民間の手法をうまく利用してなどということで、やりにくいところだけは民間に任せる、こんな考え方が後々までいくと大変なことになってしまうということを懸念しております。  それから、つけ加えさせていただきますと、例えば都市計画法の審議のときにもいろいろと住民の参加の問題を審議してまいりました。しかしながら、一般の住民からいいますとまだまだ遠い話でございます。そして、例えば建設省と住都公団と県がぐるじゃないかと住民が思っても、僕はまだ仕方のない現状だと思います。そんなことも、李下に冠を正さずということもございますし、住民の方々から不信を抱かれないような細心の注意を払った運営が必要であろうと思います。  一つは、このようなケース、例えば容積率の問題でありますとか日照の問題、これは全国各地で起こる問題でありましょう。全国に今私が指摘した白井町の問題のような点が存在しているのかどうなのか、率直にお答えいただきたいと思います。
  37. 福田秀文

    参考人(福田秀文君) いわゆる民おろしでございますけれども民間事業者に私ども土地を譲り渡して、そこで民間事業者が建物をお建てになって、それでエンドユーザーに売り渡していく、この制度を活用して今広範囲に行われておりますけれども、その件に関して特段の支障が生じてきているというような事例は目下のところ私どもは聞いておりません。
  38. 小川勝也

    ○小川勝也君 先ほど総裁からもお話がありましたけれども、私は逆に、何らかの理由で住民の方々に深い御理解をいただかなきゃいけないというような物件は公団みずからやればいい、民間には地域から歓迎され、愛されるような仕事をやらせればいい、そう思います。こういう一部特定業者が住民の非難の盾となるようなやり方は非常に許せないと思います。  実は、この問題というのは、公団がこれから大きな仕事としてやっていこうとしております都市の再開発にも当てはまっていくと思います。  例えば、今申し上げました容積率、日照の問題、さまざまな問題はどこの地域にも起こってまいります。公団がどの程度まで青写真をつくるのか、あるいはそれは民間のやり方に任せるのか、この辺の工夫の仕方というのが非常に難しいなと思いますし心配であります。この辺の考え方について、建設省にお伺いしたいと思います。
  39. 木下博夫

    政府委員(木下博夫君) 先ほど先生のお言葉の中に、公団と建設省が結託してというお話がございました。改めて申し上げることはないのでありますが、この事業について私の理解は、昭和六十一年に当初の用途地域の変更をしておりますが、その後に、先ほど公団の方から参考人が答えましたように、平成四年に用途地域の変更なり地区計画を決めさせていただいております。この段階では当然、県レベルで、あるいは公団の意向もあったかと思いますが、そういう協議をしたわけでございます。今問題になっておりますこの地区につきまして、それを前提として地区計画が進んでおるわけでございます。  重ねて申し上げますが、現在地元でいろいろもめております内容については、当然公団としては真摯に対応しなきゃいけないと思いますが、実は県の公社の分譲した隣の住宅平成五年でございますから、そこに入居する際には既に用途地域の変更があったということをもう一度確認的に申し上げたいと思います。  さて、お話のございました再開発もそうでございますし、このような地区計画でございますが、先ほど来申し上げておりますように、これからの都市づくりというのは、従来の外延する、どんどん延びていく都市から内部のいわば再整備の方向へ向かっていくと思いますが、その過程におきまして今回は千葉ニュータウンという新しい町づくり一つの典型が出てきたわけでございます。これはどちらかといえば従来型と申していいかもしれませんが、そういう都市づくりをやった中に起こった事案でございます。  私は、先生から御質問があるのでいろいろ調べさせていただきましたが、都市計画の上では当然地元の御意向も聞いているわけでございますから、そこについては手続上、大臣からもお答えしたように問題はないと思っております。  問題は、その間におきまして、図面等にも十分な注意喚起をして、この地区がそういういわば用途が変更になったり、あるいは中高層の建物が建つということについて、既に入っておられる方々に十分な御説明をしてこなかった点はいささか足りなかったかもしれませんし、それから既に、例えばその公園用地なり、斜面とおっしゃいましたが、そういう土地を地元の方が御利用なさっている過程におきまして、ここは将来そういう土地の利用方がされるとか、あるいは通行路として使うことが将来はなくなりますよということの、いわば一つの具体例で申し上げると、立て看板などを立てて十分地元の方に御理解いただくようなことも努力としては、過去のことでございますが、一つあったかと思います。  したがいまして、土地そのもののいろいろな利用の仕方について、業者に一方的に利潤を得るための行為なり営業をさせたということではなく、先ほど総裁もお答えしましたように、しっかりとした内部の審査、あるいは建設省もその辺についてのプロポーザルした内容については御報告を受けておりますから、これは両者できちっと審査をさせていただいております。  問題は、地元でそういうことで新たに中高層が建つ、これは五階建て、おっしゃったとおりでございますが、そういう計画になっておりますから、その建て方、あるいはお答えも既に終わっておりますが、駐車場の整備、公園の整備、こういうものについてどういう形で地元に納得いただくかはさらに私は協議を綿密にやるべきだと思っております。
  40. 小川勝也

    ○小川勝也君 それでは、この件についてはもう少し調べたいと思います。  私が問題にしているのは、住民が三階建てが建つだろうと思っていたのが六階になったということであります。だから、住民の意見がどこまで反映されて都市計画が変更されたかはわかりませんけれども、おおむね三階建てが建つなと思っていたところが六階になるということ、公園のすぐわきに建つということが、六階建て都市計画でどうなっていようと、ふさわしいのかどうなのか。当初、住都公団町づくりをしたときには、ここに六階建てが、五階建てが建つということは念頭になかったということはあくまでも事実だと思います。また別な機会にこれはやりたいと思います。  多くの入居者にとっても、今回の法律案は非常に関係の深い心配な点でございます。まず最初に、名称の問題をお尋ねしたいと思います。  本会議の質問でも、例えば「まち造り公団」というのはいかがでしょうかと大臣にお尋ねをいたしました。私どもは、この委員会において新公団の名称について修正案を出すということも考えたわけでございますけれども、実はいろんなアドバイスもありまして、例えば職業安定所はハローワークになりましたよと、こんなお話もありました。事実上、新しい公団の仕事は都市基盤整備に傾注していくことでありましょう。しかしながら、七十三万戸、全国の公団にお住まいになっている方々は、例えば都市基盤整備公団に住んでいると言うと土管に住んでいるように思われるから嫌だと、こんなお答えもあります。  広く公団入居されている方々からいろんな意見を聞いて、例えばこの公団都市基盤整備公団であっても、既存の建っている住宅についてはもっと地域住民からも親しまれる、いわば愛称のようなものを考えることはできないだろうか。これは、名は体をあらわすということもありますし、非常に大事なことだと思います。この点、何かいい考えはないのか、それとも絶対検討しないのか、お答えをいただきたいと思います。
  41. 関谷勝嗣

    ○国務大臣(関谷勝嗣君) そのことは先生から本会議場でも御質問いただきまして、その後、どういうような流れがあるか伺ってみたわけでございますが、現在、公団におきましては、そういう愛称であるとか、また理念のスローガン等などの検討を行っているというようなことを伺っております。  確かに、名は体をあらわす云々はあります。今は全く雇用状態が悪いわけでございますが、雇用状態が非常に緩やかでいい状態のときには古い企業名で優秀な新入社員を採ろうと思うとなかなか来なかった、ところがそれを横文字にすると希望者がすごく多くなった。これは私の友人からも聞いた話でありますが、やはりそういうネーミングというのは非常にいいのだろうと思うわけでございます。  ですから、先生から本会議で質問をされまして、あのとき本会議で答弁をしようかなと思ったんですけれども、本会議で答弁をすると余りに、ああいう恐ろしい場所でございますから、この委員会ならいいと思いますが、私はハッピー公団なんというのもいいんではないかな、そんなことを思っております。ですから、これは公団でもいろいろ考えておるようでございますから、いずれまたそういうすばらしいことが起こるんじゃないかなと期待をいたしております。
  42. 小川勝也

    ○小川勝也君 ハッピー公団でもいいかもしれませんけれども、とりあえず住んでおられる方が満足できるようなさわやかなネーミングを期待したいと思います。  そして、逆にこの新しい法律になって、むしろそういうところに住んでおられる方をどちらかというと軽視して、新しい再開発とか新しいターゲットに目の色を変えて向かっていくというイメージが少しいたします。そして、そのイメージを推し進めるように「目的」の条項から「福祉の増進」というのがなくなってしまいました。これは一体どういうことなのか、お答えをいただきたいと思います。
  43. 那珂正

    政府委員那珂正君) 御指摘の福祉の増進という考え方は、大変重要な課題であると思っております。本法案におきましても、例えば高齢者等のための家賃の減免措置とか、建てかえに際しての公営住宅社会福祉施設の併設促進などの規定を設けて、福祉の増進という観点を大いに盛り込んだつもりでございます。  新公団におきましては、少子高齢化社会等経済社会の大きな変化を踏まえて、安全、安心かつ快適な居住環境を備えた住宅市街地を形成することを目指して今後の事業展開をしようというものでございまして、より広い概念として「国民生活の安定向上」を「目的」に掲げようとしているものでございます。その中には福祉の増進という概念も含まれるという考え方を持っておりまして、これによって健康で文化的な都市生活を目指すことができるというふうに考えております。  くどいようでございますが、そういう趣旨から、従前ありました「国民生活の安定」という表現に対しては、それにとどまらず「国民生活の安定向上」という語句を使用したところでございます。
  44. 小川勝也

    ○小川勝也君 それでは、私が今まで住んでおられる方を疎外しているんじゃないかという懸念を持っておったのは杞憂だということで理解させていただき、「福祉の増進」は削ったけれども、その理念はますます強くしたと、そのように受けとめさせていただきたいと思います。  そして、新しい公団になりましてから運営委員会という制度が設けられると思います。これは世の中の流れでもありますし当然のことだと思いますが、幅広い各界各層の方々の意見を聞きながら、自分たちの内輪で何かごそごそやるんではなくて、開かれた委員会にしていかなきゃいけないと思います。まだ決まっていない部分もたくさんあるかと思いますけれども現状での見通しといいますか、運営委員会の構成、どんなふうに考えておられるでしょうか。
  45. 那珂正

    政府委員那珂正君) 運営委員会は、現公団におきまして管理委員会が所掌しておりました予算、事業計画及び資金計画、さらに決算の議決に加えまして公団業務全般につきまして重要事項の調査審議を行ってもらう機関として位置づけております。でありますので、非常に公益的な観点で公正かつ客観的な判断をすることができる有識者の方々から選任したいというふうに考えております。  具体的には、法文上、運営委員七人と決めておりますが、そのうち二名については出資地方公共団体の共同推薦した者のうちから任命することとなっておりまして、残り五人につきましては、先生おっしゃるように、幅広く学界でありますとか言論界でありますとか経済界等の有識者の方々の中から任命する予定でございます。
  46. 小川勝也

    ○小川勝也君 住んでいる人の代表なんかも入れたらいかがでしょうか。
  47. 那珂正

    政府委員那珂正君) 現に居住されている方の代表の方は、公団との間において直接的な利害関係、契約当事者でございますので、委員をお願いすることは想定しておりません。
  48. 小川勝也

    ○小川勝也君 あと、冒頭に申し上げたとおり、公団住宅にお住まいになっておられる方は、そこのコミュニティーが非常にすばらしいんだという感想をお持ちでございます。懸念は何かといいますと、建てかえのときに家賃が高くなってばらばらになってしまうんじゃないかということが非常に大きな懸念だというふうに伺っております。古い物から逐次建てかえをしていくのでありましょうけれども家賃設定が大きく変わるようですとその場所に住んでいけなくなるような方も出てくるかもしれません。  例えば、これは一案ですけれども、その近くに、別棟でも同じ建物でも構いませんけれども、少ない家賃で住めるような、面積を工夫するとか、さまざまな工夫がなされることも可能ではないかなというふうに思います。  長年培ってきたコミュニティーを守っていくという観点から、建てかえのときにどんな工夫ができるのか、今考えていることをお答えいただきたいと思います。
  49. 荒田建

    参考人(荒田建君) 建てかえとコミュニティーの維持発展というようなことかと思います。  私ども建てかえは昭和三十年代の古くて狭い団地を中心に現在まで七万戸ぐらい着手してきておりますけれども、その際には居住者方々から十分に御理解と御協力をいただかなければなりませんので、相当綿密に、例えば事務所を設置し、そして居住者方々からの要望、いろんな要望がございますけれども、自後に建つ新しい住宅の規模だとか間取りだとか、そういったいわゆる住戸に対する要望も含め、そしてこれまで培ってこられたコミュニティー活動について、例えばその場であります団地内の環境、具体的には、これまで営々として育ててきた桜だとか、いろんな地域の名所になっているような植栽がもう亭々として茂っている、そういったものはできるだけ保存する。あるいは、だんだんこういう団地が何十年かたつうちに、どうしても高齢化が進んでまいりますと、当然高齢者に対する福祉施設等々も必要になってくる。あるいは、当然公団住宅でありますから、基本的に制度運営上の制約がどうしてもありますので、公営住宅にお入りになりたいという方に対しては、もちろん公共団体にお願いした上での話でございますが、公営住宅も併設するというような形で、要はその地域でこれまで培ってきたコミュニティー活動というものを、建てかえを機にそこでそれが切れてしまわないように最大限居住者の要望をお聞きしながら公団としても努めているということでございまして、今後ともそういう方向は強めてまいりたいというふうに思っております。
  50. 小川勝也

    ○小川勝也君 新しい公団になりましてもしっかりと御努力をいただきたいと思います。  この公団法の審議に当たりましてさまざまな勉強もいたしましたが、非常に難しい問題が多数ございました。  先ほど来問題にしておりますように、公という名前のつく公団役割、あるいは民間が利潤を追求しなきゃならないということ、それぞれの仕事の役割分担、将来の住宅政策のあり方あるいは公営住宅の政策的な考え方、私の中でも結論があるわけではありません。  そんな中でちょっと気になる点があります。それは、本会議の質問でも申し上げたとおり、我が国の中で、特にサラリーマンと呼ばれている人たちの中で住宅ローンが非常に重荷になっているということ、そして住宅建て、また廃棄するということの環境に対する負荷が非常に大きいということ、これは具体的な考え方とか政策とか、こうするべきだということを持っていることではありませんけれども、そんな二十一世紀型の新しい住宅政策というのはないだろうかな、あるいはヨーロッパの古い伝統に根差した住宅政策のあり方で見本にできることがないだろうかなと私なりに考えておりましたところ、公団でも何か研究をしているという情報がございました。  時間がございませんので、少しではございますけれども公団のやっている試みについて、PRの時間ということで結構でございますので、未来につながる住宅政策、どんなことをやっているのか、お答えをいただきたいと思います。
  51. 増山雍二

    参考人(増山雍二君) 御質問は、公団におけるこれからの先導的な役割というような御趣旨かと思います。  御承知のように、公団におきましては、昭和三十年以来、住環境のいい中高層住宅の建設とか、それから住戸内の設備につきましては、これは有名なんですけれども、システムキッチンの開発とか、さらには安くつくるという趣旨から工業化工法の開発とか、またいろいろな方が住むわけですから、ライフスタイルに対応したいろいろな住宅型式、例えばLDKの型式を普及させるとか、いろんなことをやってまいりました。  そういう中で、これからの公団の二十一世紀の都市住宅づくりというようなことでありますけれども、やはり環境問題というような政策課題が非常に大きい問題だと考えております。そのために、環境問題に配慮したゆとりある住生活の実現というのが大変重要であろうかと思います。そして、そのために良質な住宅ストックを整備していくということが大変な課題であろうかと思います。  このために、建設省におきましても総合技術開発プロジェクトということを設けまして、これらに連携して住宅の耐久性を高めるという研究をいろいろしてまいりました。この構想は、いわゆる住宅の躯体と内装を分ける、躯体部分をスケルトン、内装をインフィルと言っておりますけれども、そういった建築システムをこれからどうやって開発していったらいいのかということのいろいろ検討を進めている最中でございます。  先般、公団におきましては、八王子に建築技術試験場という試験場がございますけれども、そこにスケルトン、インフィルの実大実験住棟というのを、実大といいますのは実際に住んでいただくのと同じような大きさのということでございますけれども、このモデルを民間方々と共同で開発してまいりました。  そういうようなことをやることによりまして、できるだけ早くこれを実用化させようということを考えておりまして、そして耐久性の高い長寿命の住宅開発そして普及、場合によってはそれを産業化していくというようなことを図ることによりまして、より先導的な役割を果たしてまいりたい、そのように考えております。
  52. 小川勝也

    ○小川勝也君 先進的な新しい技術、特にこれからはソフトウエアの部分も大事だと思っています。特に、若年にとっては家賃も大変な負担でございます。それに、ライフスタイルの変化に伴いまして住宅に対するニーズも変わってくるでありましょう。二十一世紀型のそういう生き方と住居という関係を含めて御検討いただき、そして、いいものができれば必ず評価される、これが世の中でございます。もしこの法律が通りましたら、しっかりとその役割を果たしていっていただければと思います。  質問を終わります。
  53. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 岡崎トミ子でございます。  きょうの法案の審議に入ります前に、一つ大臣にお伺いしておきたいこともございます。よろしくお願いをいたします。  きのうの日経新聞に、自治省は住民投票の制度化について検討に入ったという報道がございました。政策決定への住民参加の機会を広げていくのか、あるいはまた対象を絞り込んで住民の意思表示の機会を制限することになっていくのか、論議を呼んでいくものと思っております。  住民投票ということになりますと、吉野川第十堰の問題ですけれども、ここで民主主義が揺らいでいるという危機感を感じております。さきの統一地方選挙で住民投票派が過半数を占めたころから、大臣の発言が変わったということもございました。また、その動機の一つに、住民の命を粗末にしてもいいのか、少数を犠牲にしてもいいのかという主張もございました。  私たちの社会にはいろんな考え方や主張がありまして、さまざまな意見や議論を続けていくことによって、お互いの主張を理解し合ってよりよい結論を導いていくというのが民主主義であるというふうに私は理解をいたしております。  ところで、この第十堰の問題はこうした経過をたどってきているのではないでしょうか。長い間建設省との話し合いを続けた結果、可動堰の根拠となっている洪水の危険性についての水量計算は、質問主意書に対する答弁書で、絶対的なものではないという回答ではなかったでしょうか。そして、その後の新しいデータや必要性についての根拠は示されないままになっているのではないでしょうか。そうした経過を市民が知ればこそ冷静な判断をしたというふうに私は思っております。  大臣は、この委員会でも、可動堰が必ず勝つ、正しいものが勝つというふうな発言をされました。こういった経過全体を見ますと、以前も同じような懸念から伺ったこともありますけれども、その点について大臣、住民は冷静な判断や能力がないんだ、そんなお考えはないと思いますけれども、時間が余りありませんので、やはりさきに、非常に選挙の重みというか神聖さ、そのことを踏まえるという委員会での御発言もありましたので、そのことについて伺いたいと思います。
  54. 関谷勝嗣

    ○国務大臣(関谷勝嗣君) この問題は、短時間ですべてを語れということは本当に私は難しいと思うぐらい、あの第十堰のことを発言いたしましてからいろいろな方の御意見もいただきましたし、また自分もいろいろ考えさせてもいただいたわけでございますが、物事には、いわゆる右から見るのと左から見るのと両面が必ずあるわけでございますから、そこに難しさがあるんだろうと思います。  それで、一番最初のスタートといいますのは、閣議の後の記者会見で、ある方が、そういうようなことで、今回の統一地方選挙で徳島の市会議員の構成が、定員が四十名であるが、その中の二十二名が可動堰反対という結果になった。もしも、これでそういう住民投票条例というものが再度提出されてそれが可決された、そのときの住民投票で過半数が反対ということになった場合はどうなるのかという質問がありましたから、私は、いわゆる議会制民主主義というものにおいては、住民の反対が半分ということであるならば、学問的と言うとおかしいのですが、私たちが教育されたのでは、いわゆる多数決の原理というもの、その多数決の採決をするまではいろいろな方の御意見を聞いて、そして最終的に投票して多数決の原理で多数の方に従うというのが私の教育された感覚でございますから、そういうときであれば当然中止になるでしょうというお話をしたんです。  それがまず第一歩であって、それからいろいろな方々のいろいろな御意見もいただき、論議をされておるのが現状であるわけでございまして、その中で脇先生にも説諭されたわけでございますが、そういうことでは、いわゆる国民の生命、財産、安全を守るためにはこの可動堰以外にないというところであるのに、それであなたがそういうことを言うのは、それは建設省の責任逃れではないか、すなわち国の責任逃れではないか、こういう生命、財産に関することは住民投票ということにはなじまないのではないかというふうにおっしゃられまして、私も全くそれもそうだなと思ったりしたところでございます。私の地元の新聞では、大きく一面で関谷迷走と書かれましたが、そういうふうに迷走と言われれば迷走なんでしょうけれども、確かにそうなったら責任逃れをしておるように私も正直感じたところでございます。  そういう中にあって、私は、今までは反対の方々だけのことがニュースとして伝わり、またそういう運動が大きくなった、だから、これからは推進派の方々もそういうことをきちっと皆さんに説明し、そういう一大市民運動を起こしていただいて理解をしてもらわないといけないのではないか、それだけのことをやれば、必ずそちらの投票の方が大きいものになると私は確信をいたしておりますということをお話ししておるわけでございまして、第十堰の関連の方々、推進派の方々も、それでは理解をした、なお私たちが市民の皆さんにその必要性の理解をしていただくための努力をいたしますと、こういうようなことでございます。  今までの流れがそういうようなことでございまして、先生の最後の御質問でございまして、住民がそういうようなことを判断する能力がないといったような意味でおまえは言っておるのではないかというようなことがございましたが、決してそんなことはございません。
  55. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 それでは、選挙結果というものをやはり真摯に受けとめるべきだというふうに思いまして、勝ったのは住民投票派でありまして、住民投票派が正しいというふうに私自身は思います。私たちがここにこうしていることも選挙結果を経てきたものでありまして、国会の存在を否定するような、あるいは議会制民主主義を否定するようなことにならないように私たちは努めていかなければいけないというふうに思います。  命、人命ということを私も大変深く受けとめます。しかし、はっきりしていない洪水計算に基づく人命の危険性など、本当に不安をあおるようなことになってはならないというふうに私は思いますし、また、正しい認識と客観的判断のもとで説明をして、疑問にも明確に答えていった上で主張をすべきだというふうに申し上げたいと思います。  最初に触れました住民投票の制度化ですが、野田大臣が住民投票になじむこととなじまない事項の整理を進める。なじまないことを、もしかして形勢が不利になると方向を変えるというようなことにならないようにと強く心から願っております。  そういう観点から考えますと、建設省が八月をめどに土地の流動化を促進する都市再生対策ですか、これをまとめるということや、あるいは三十年ぶりの全面改正に向けた都市計画制度の改正という作業も進められているんですけれども、住民参加の規定が強化されるようなことも言われておりましたが、報道によりますと、やはり改正の柱は、時間がかかる都市計画の変更手続なしに工業地域あるいは住居地域などの用途指定を変えられるようにする市街化区域内の用途地域の規制の弾力化だ、市街地の一体開発を簡単にするようにするというようなことが書いてありました。やはり、町づくりの担い手という観点から見ますと、都市計画の権限は市町村に帰属するという基本に立ち返っての議論がないようなんですね。  日本都市計画制度は、都市計画の根元、源は用途地域の指定などの建築規制によって私権を制限するので国にあるんだという、こういう考え方に立っておりますけれども、私は都市計画は住民たちと一緒になっての仕事をする自治体の仕事だという考え方転換すべきだというふうに考えております。とにかく住民と一緒になっての生活の場、そして町づくり、そういう視点を大事にしながら今回の法律も考えていきたいというふうに思っております。  今度の法律の中の最初のところなんですけれども、従来、「福祉の増進」が「目的」にあったことで具体的には何がされてきたのか、「福祉の増進」がなくなることでどのように変わっていくのか、まず質問したいと思います。
  56. 関谷勝嗣

    ○国務大臣(関谷勝嗣君) 先ほどの小川先生の御質問のときに局長から答弁をいたしたとおりでございまして、「福祉の増進」という言葉が削除されて、そういうようなことを削除、内容自体を、福祉というものを削除したんではないかというような御質問でございましょうが、「国民生活の安定向上」という文章をきちっと入れておるわけでございまして、その中に福祉の増進というものも含まれるというふうに認識をいたしております。決して、福祉の増進というものを削除したわけではありません。
  57. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 これまでにも良質な住宅供給ですとか高齢化社会への対応の先駆けという成果を上げてきたと思うんです。福祉の増進というのはこういう形で反映されてきたというふうに思っておりまして、賃貸住宅部門、これを新公団業務として残すわけですから、今後はますますこうした取り組みを強めていかなければいけないというふうに思うんです。  今の御発言ですと、やはり国の福祉政策の一翼を担うという位置づけで公団はやってきたわけですから、そして公的資金を使うということも含めてこのことは考えなければいけないと思うんですけれども、「目的」に福祉を残すべきだと思うんですが、大臣、それを再度書いてください。
  58. 那珂正

    政府委員那珂正君) 今、大臣からも御答弁申し上げましたように、福祉の増進というのは私どもとしても大変重要な課題だと認識しております。  文言上についても、「国民生活の安定向上」ということの中に十分福祉の増進という概念が含まれているものと理解しておりますし、むしろそういう時代の変化に応じて、本当の住宅政策としても、いろいろな安全とか快適とか、こういう新しい概念も目的の中に取り入れるような、そういう目的変更の方が新しい公団目的としてふさわしいというふうに思ったわけでございます。  また、法案の中身におきましても、先ほども御説明いたしましたけれども、例えば高齢者の方のための家賃の減免とか、建てかえ時における公営住宅社会福祉施設の併設促進とか、こういう規定も十分盛り込んでいるつもりでございます。  そういうことで、私どものこの法案考え方をぜひ御理解いただきたいと存じます。
  59. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 やっぱり、この基盤整備というところにその視点が置かれて福祉が抜けた、言葉で語ってもきちんと文字として残して、みんなが本当に、このことについて住民の方たちが大変不安としている点なんだということも踏まえて、再度私は福祉を目的に残すべきだということを主張しておきたいと思います。  今回の住都公団の廃止と新公団の設立、特殊法人改革という点について、ほかの方々も触れられましたけれども、この一環であるというふうに考えているわけなんです。そして、この点で批判が大きかったのは、やはり特殊法人が赤字に苦しむ中で、省庁や特殊法人のOB出向を受け入れる関連会社が大きな利益を生む構図だったというふうに思います。この子会社とか関連会社に公団住宅の修繕工事、建設のコンサルタント業務、こういったことを随意契約で発注して大きな利益を上げて問題になった点も批判がございました。  新公団も、業務の運営の効率化等を図るため特に必要がある場合に、大臣の認可を受けて市街地開発事業によって建設された施設の管理に関する業務を行うこと、ここに投融資することができるとされております。  そこでお伺いしたいんですが、入札制度の見直しの分野で住都公団はこれまでどのような成果を上げてきたのか、また新公団に移行することでどのような飛躍的な改善が行われるのか、伺いたいと思います。
  60. 平岡哲也

    参考人(平岡哲也君) 公共工事に関する入札・契約制度につきましては、平成五年の中央建設業審議会の建議及び平成六年の公共事業の入札・契約手続の改善に関する行動計画におきまして、透明性、客観性及び競争性を高めるとともに、国際的にもなじみやすいものにするとの方針が示されたわけでございます。  これらを契機といたしまして当公団におきましても改善を行ったわけでございまして、これまでに一定規模以上の工事の契約は一般競争入札に付することとする制度の導入、あるいは公募型の指名競争入札制度の導入、さらには建設コンサルタント業務におけるプロポーザル方式の活用など、種々の改善を行ってきたところであります。  新法人におきましても、引き続き競争入札を原則といたしまして随意契約の適用を厳格化するなど、入札・契約手続に係る透明性、競争性それから客観性を一層高めてまいりたい、そんなふうに考えております。
  61. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 三つの大きな目的があって、ぜひ透明性、公開性ということをきっちり高めてやっていただきたいというふうに思います。  次に、法案の二十九条について伺いたいと思います。これは基本方針ですね。  公団業務は、建設大臣が定める基本方針に従って実施されなければならないものとされております。この基本方針は、公団業務の運営に関する基本的事項として、定員組織の合理化そしてコストの削減、運営委員会の活用、事業の評価・再評価の的確な実施と公表、関係会社の改革等があるというふうなことが書かれておりまして、運営に関する基本的事項として挙げられている事項を見ますと今のようなことが挙げられておりまして、いずれも特殊法人の改革の観点から大変重要だというふうに思います。ここに挙げられました事柄について実効性ある措置がとられさえすれば、特殊法人改革は相当に進むだろうというふうに思うんです。  先ほども、定員組織の合理化というかコストの削減などについてもちょっと触れられていたというふうに思いますけれども、そのほか、運営委員会の活用や事業の評価・再評価の的確な実施と公表、関係会社の改革についてどの程度具体的な目標が盛り込まれるのか、お伺いしたいと思います。
  62. 那珂正

    政府委員那珂正君) ただいま先生が御指摘になりました基本方針内容の案をごらんいただいていると思いますが、これにつきましてはそもそもの趣旨が、新しい公団市街地整備改善業務と政策的に必要な賃貸住宅供給、これらの業務についてより重点的に、より効率的に業務運営を行わせるために建設大臣基本方針を定める、こういうことでこういう規定を置かせていただいているわけでございます。  その記載事項でございますが、ただいま先生が例示として挙げられたほかにもいろいろ考えておりまして、そもそもの業務の範囲をどういうふうに考えるかというようなことについても、例えば都心居住とか防災性向上とか、拠点市街地の形成あるいは既存賃貸住宅の適切な管理等とか、そういうようにそもそも業務について重点的に絞ること、それから、そういう観点から、今先生がお取り上げになりました業務の運営方法についてどういうふうに絞っていくか、さらにその際いろいろ業務を進める上で配慮すべき点、例えば関係権利者への配慮とか環境への配慮とか、こういった新しい時代の特殊法人としてとるべき運営、業務の際の配慮方針など、全般にわたって記載していこうと思っております。  先生が今御指摘になられたような事項のさらにその先はまだ詰め切っておりませんけれども、これは本法案が通りまして施行されましてから、これまでの国会でのいろいろな御審議あるいは世間からのいろいろな御意見、あるいは住民の方々からのいろいろな御意見等、これまでもちょうだいいたしましたけれども施行までの間にもいろいろとちょうだいすることになると思いますが、それらを勘案して策定していきたいと思っております。
  63. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 今は大変重要な内容について触れられてあるわけなんですけれども、そういったことは法文に書き込むべきではなかったかなというふうに思うんです。今度新しい役割公団に与えられて、そうした役割をどう使うかによって、その方向性を示すのが基本方針役割だというふうに思うんです。業務に関する基本的事項として挙げられている大変重要なものがあるんですけれども、それは何を意味して、どう実現しようとしているのか。公団の評価とか都市政策の評価、これが本当に変わってきてしまいますので、そこが大変重要なんです。  今おっしゃった防災性向上ですとか土地利用整序、これについては九七年二月の新総合土地対策要綱以来、土地の流動化を最優先する政策の流れということを考えますと、大変不安なものなんです。配慮すべき事項の中にも、いたずらな規制緩和による乱開発等を防ぐという問題意識を盛り込むべきではないかというふうに思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
  64. 那珂正

    政府委員那珂正君) 業務の実施に当たって配慮すべき事項として、先生が今御指摘になったことも含めまして、いろんな観点で新しい公団は二十一世紀にふさわしい業務の進め方をしなければいけない、こう思いますので、先ほども申し上げましたけれども、国会のいろいろな御審議等、あるいはこれからのいろいろの御意見を伺いながらさらに検討してまいりたいと思います。
  65. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 現在住んでいらっしゃる住民の福祉や、どういう住宅供給していこうとするのか、家賃設定が盛り込まれておりませんが、この基本方針内容いかんで新公団の性格が全く違ってしまいますので、都市政策、これの議論をしっかりしていただいて基本方針をつくるべきだというふうに思っております。  とにかく、あいまいな余地を残さずに条文に明記すべきだったのではないかということを問題提起しておきたいと思います。  次に、運営委員会のことについて触れたいと思いますが、住都公団の現在あります管理委員会の機能を拡充して、予算、事業計画の議決それから調査、総裁への建議を行うというのがこの運営委員会で想定されております。この目的を考えますと、総裁がいらしておりますけれども総裁が構成メンバーとなるのは私は望ましくないと考えるのですけれども、いかがですか。
  66. 那珂正

    政府委員那珂正君) 当運営委員会は、現在の公団の管理委員会と形式が似ておりますが、予算、決算の議決をすることになっておりまして、言ってみれば、公団業務運営に関する大変重要で最終的な意思決定機関とも言うべき権能を有しております。  したがいまして、公団のそういう重要かつ最終的な意思決定と実際の業務執行、これは密接に整合がとれなければいけませんので、従来もそうでありましたけれども、執行機関の長たる総裁を委員会の構成員としたところでございます。
  67. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 その際に、住民の皆さんや居住者の皆さんの意見や都市計画全体に目配りをする視点を反映させるような人選というのが大変仕組みを充実させることになると考えますけれども、こういった皆さんのことについての配慮はいかがでしょうか。
  68. 那珂正

    政府委員那珂正君) 先ほども御説明申し上げましたけれども、新しい公団業務運営に関し、公益的な観点で公正で客観的な判断ができる有識者の方々から任命するということを考えております。したがって、居住者の代表ということにはならないと思いますが、おっしゃるように、都市計画のこともわかるようなそういう方も有識者の任命すべき候補の一人だと存じます。  なお、居住者の方はどうか、こういうお尋ねだとすれば、先ほどもお答え申し上げましたけれども、やはり公団との間において直接的な利害関係を有する契約当事者でございますので、契約当事者の代表でございますので、こういう形の委員をお願いする考えはございません。  ただ、実際問題は、公団としては現公団、従来から居住者のいろいろな方々の意見を反映するために適宜、懇談会等の形式によって意見をいろいろお聞きしているということでございますので、新公団におきましても、実際問題、そういうことを引き続いてきちっとやってもらおうと思っております。
  69. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ぜひ住民の皆さん、居住者の皆さんの意見が反映されるように引き続きお願いしたいと思います。  先ほど小川議員も、建てかえでは何が考えられるのか、これまでつくり上げられてきましたコミュニケーションの活動、このコミュニティーを大事にしていくんだということの観点から、そちらでも答弁もございましたけれども建てかえというのは、老朽化したりニーズに対応できなくなった公団を建設し直すものでありまして、居住者の犠牲のもとに行われるべきではないというふうに思うんです。  戻り入居という問題について伺いたいんですけれども、これは希望するすべての従前居住者にそれを保障する家賃設定がされなければならないというふうに思うんです。戻り入居を希望しないという従前居住者についても、その住む権利が損なわれないように、生活の安定が損なわれないように配慮がされなければいけないというふうに思います。  家賃の額を変更する際、近傍同種の住宅家賃、変更前の家賃の額、そして経済事情の変動、住民の経済状況等を総合的に勘案することになっておりますけれども、その近傍同種の住宅家賃の定義と計算方法についてお伺いしたいと思います。
  70. 那珂正

    政府委員那珂正君) 新公団法三十三条に家賃決定方法を書いております。この中で、「近傍同種の住宅家賃」というのが一つの目安として基準となっておりますが、それについてのお尋ねでございます。  「近傍同種」のまず「近傍」という意味でございますけれども、これは不動産鑑定実務上の近隣地域、例えば同一町内とか同一の用途区分内、こういうこととか、あるいは同一駅勢圏、対象となる公団住宅に一番近い駅とか、あるいは最寄りの近い駅の駅勢圏にある似たような地域をいうというふうに思います。それで、「同種」というのは、規模とか建設年代あるいは構造などが類似した住宅を指すというふうに考えております。  それで、具体的には、家賃設定をしようという公団住宅と類似した賃貸住宅の事例、賃貸事例をいろいろ集めて整理いたしまして、それで当該公団住宅と比較しまして、必要に応じて、例えば構造の違い、規模の大小の違い、年代の違い、それから駅への近接性の違いなどの立地条件の違い、あるいは共益費の有無など賃貸条件の違い、これらを総合的に見て適切な補整を行って家賃を決める、こういう考え方でございます。
  71. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 初期に建設された公団は大変地価の高いところに建設されております。戻り入居ができないということになりかねないんですね。ですから、ぜひ納得できるような算定基準を計数等まで含めて公開してほしいと思いますけれども、いかがですか。
  72. 那珂正

    政府委員那珂正君) 建てかえの際の戻り入居の方に対する一定家賃減額措置等につきましては、今の近傍同種の住宅を上限として云々という計算方式に加えまして一定措置をすることとしております。それらも含めまして、現在、住都公団のいろんな懇談会等におきまして種々その方式を検討してもらっているところでございます。  それが決まりましたら、新しい家賃設定、家賃方式を施行するまでの間に決めなきゃいけないわけですが、決まりましたら当然それは公開して、居住者方々にもよく、いわゆる透明性が確保されるようにきちっとしたいと思います。
  73. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 確認しておきたいと思いますが、継続家賃の変更については、居住の安定に配慮して入居者の負担能力の実態を勘案して定めるということを明記すべきと考えますけれども、この点はいかがですか。
  74. 那珂正

    政府委員那珂正君) いわゆる継続家賃決定方法については法律でも明記してございますが、三十三条二項で、近傍同種の住宅家賃の額と変更前の家賃、変更前というか現在の家賃の額、経済事情の変動等を総合的に勘案して定めること、こういうことで、さらに、変更後の家賃の額は近傍同種の住宅家賃の額を上回らないように定めなければならない、こういう規定の仕方をきっちりとしているわけでございます。  居住者家賃の支払い能力というようなお尋ねだったと思うんですが、支払い能力に応じたものとすべきだ、こういうお尋ねだったと思いますけれども、それは御案内のとおり、公営住宅においては低所得者向けにそのような家賃制度を前提として組み立てられておりまして、そういう供給を行っているわけでございまして、新しい公団賃貸住宅はそれとは役割を分担して位置づけられているものと思っております。  大都市地域において、大変職住が遠隔化しているとかオープンスペースが少ないとか、そういうような住宅市街地整備改善を進めながら賃貸住宅供給していく、そういうファミリー向けの賃貸住宅供給していくということが公団賃貸住宅の使命でございまして、先ほど申し上げましたような公営住宅役割とはやはり分担すべきものだと思います。
  75. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 建てかえの場合の家賃減額制度、先ほどから触れてくださっておりましたけれども、これは評価しておりまして、住民の方たちも声明を出したほどなんです。  問題は、説明会時点で五十五歳以上だった方に限定している点なんです。ここが問題なんです。生活設計に大きな影響を及ぼされることは変わらないので、もう少し広い年齢層の方々に対して決まった年齢層に達した段階で適用すべきではないかと思うんですけれども、これはどうでしょうか。  それともう一つ、一部経過措置があるんですけれども、一九九八年着手の公団に限って適用されているけれども遡及して適用してほしいというふうに思うんですが、これはどうお考えになりますか。
  76. 那珂正

    政府委員那珂正君) 基本的には高齢者の方を対象にするということで、高齢者の方、六十五歳以上というわけでございますけれども、ただ、建てかえ事業というのは、御案内のとおり説明会の始まりから住宅が建ち上がるまで相当期間を要するということで、五十五歳、つまり六十五歳以前十年ぐらい前の人、五十五歳以上の方にとってはやはりなかなか生活スタイルも変えにくいということもあって、六十五歳以上の人と少なくとも資格的には同等だと。実際その家賃減額措置が始まるのは、仮に建てかえ事業がもう少し早く終わったとしても六十五歳以上から適用するというふうに考えておりますけれども、そういう意味で、五十五歳未満の方はやはり一般的には高齢者という範疇には入らない、こういうふうに理解すべきものと考えております。  また、直接家賃減額措置ということではありませんけれども、そういう例えば今五十四歳の方が建てかえ後までずっといらして六十五歳以上になったらどうなるのかというようなことがあるとすれば、それは今回予算措置でございますけれども、既存の公団ストックを有効活用する形で、高齢者向けにバリアフリー改造等を施した上で安い家賃でお貸しする、賃貸供給するということを予算措置でいたしましたけれども、こういう制度を活用して、公団の当該団地内入居者も十分入れるような、そういうような措置公団として事業の一環として進めていく道が、工夫が施されておりますので、ぜひそういう進め方をしてもらいたいと思います。
  77. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 聞いているうちにだんだんわからなくなってきてしまったんですけれども、残り時間が少ないのにちょっと先に進まなきゃいけないんですけれども、経理の明瞭化についても伺っておきたいと思います。  法案には、従来の公団法にあった区分経理についての規定がなくなっております。従来は鉄道部門のみ区分経理だったのですけれども、今回は実質これを切り離すための措置なんでしょうか。賃貸部門と基盤整備部門の区分経理が必要だというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  78. 那珂正

    政府委員那珂正君) なくなったとおっしゃる意味は、鉄道事業が本則から附則に位置づけられたということで、区分経理というのは形の上でなくなった、本則上はなくなった、こういうことでございます。  そういうことでございますけれども、今お尋ねの賃貸住宅業務について区分経理したらどうかというようなことだといたしますと、それは、特に賃貸住宅の損益というのは大変重要な事項でございますので、損益計算上、賃貸住宅に関する勘定について新公団の他の業務と区分する方向で処理できないかどうか、今検討を進めているところでございます。
  79. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ぜひとも、収益を上げている事業とそうでない事業を明らかにした上で、採算事業とまた政策的事業の整理など、議論の整理には大変有効で、住民の皆さんや一般納税者の理解を得る上では不可欠ではないかというふうに考えておりますので、実のある行政論議のためにも必要だと考えておりますので、よろしくお願いをいたします。  それでは最後に、これは埼玉県桶川市の方からの質問なんですけれども、現在、公団所有の遊休地は六百三十六ヘクタールありまして、この中には更地で売却するものもあると思います。土地の取引はオープンで納得いくものでなければいけないと思いますので、譲渡価格の問題について質問をしたいと思います。  九二年十二月、菅直人衆議院議員より提出されました質問主意書、「「第六期住宅建設五ケ年計画」及び「住宅都市整備公団の使命と姿勢」」に関して出されたものがございます。  公団土地を二つに分割して、一方の譲渡価格が他方の二倍になった事例なんですけれども、安かった方の土地が時価の半分以下で譲渡された。この理由を問いただすもので、これは大変新聞にも大きく取り上げられたのですけれども、この質問主意書に対する答弁書では、市の開発指導要綱に基づく公団の負担を勘案したと答えているんです。  当時、建設省が出した資料では、評価額が五十万円から、開発指導要綱に基づく小学校、中学校の用地と公園の負担部分を差し引いた金額が原価よりも安くなってしまった、そこで原価で譲渡したと、そう説明しているんですけれども、これに対して住民百十二人が、原価を割った開発負担金部分の損失を返せ、こういうことで当時の市長に住民訴訟を起こしているんです。  この資料を見ますと、公団は損をしなかったけれども市は明らかに損失をこうむった。このことからも、公団は非常に強引だという当時の批判がありまして、公団は自分の利益だけ考えて原価を切ってしまうという批判がありますので、こういうことで公団はもうけたことがあるのか、ぜひ明確に答えていただきたいというふうに思います。
  80. 島崎勉

    参考人(島崎勉君) ただいま桶川の住宅団地開発の件でございますが、公団住宅等建設用地の譲渡につきましては、原則といたしまして、不動産鑑定価格を基準といたしまして近傍類似の地価等を勘案して時価で行うということにしてございます。ただ、公共公益施設に要する用地でございまして、事業の運営上特に必要がある場合にはこれより低い価格で譲渡できるということにしてございます。  その意味では、桶川市の市民ホール用地につきまして、桶川市の開発行為等に関する指導要綱に基づきまして公団のいろんな負担金相当額、そういうもの、ないしは原価相当額、そういうことを総合的に勘案しまして、桶川市に対しまして市民ホール用地を時価で譲渡したものでございます。  一方、同時に県立文学館というものに対しまして公団が譲渡してございます。先生がおっしゃいましたように、確かにそこにつきましては譲渡価格の差がございますが、県立文学館につきましては、相当広域的な地域対象としてやるというような施設でございますので、公団といたしましては原価で譲渡したということでございまして、その関係で譲渡額の差が出ているということでございます。
  81. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 これは話し合いで決まったんですね。勘案したということで何か決まっちゃったんですけれども、明確な基準に基づいて価格が決められるべきだというふうに思います。  公的な資金を投入している公団ですから、そしてまた相手が自治体であればなおさらだというふうに思いますので、これから情報をやはりしっかり公開して、納得いく契約をしていただきたいということを申し上げたいと思います。  最後に、一つ地元からの要望なんですけれども、自治協の皆さんたちもこれまでもアンケートをとりまして、これからも住まいをもっともっと住みやすいものにということで、たくさんいろんな意味でのアンケートをとられております。  私の仙台からも、アルミサッシをかえる問題ですとか、洗濯機用排水口の設置要望ですとか、あるいは結露対策の要望なども来ておりますので、ぜひともこういう点について最後に一言具体的にお答えをいただいて、質問を終わりたいと思います。
  82. 島崎勉

    参考人(島崎勉君) 先ほどの御答弁で、桶川市市民ホールに対しまして時価というようなちょっと誤解を与えるような内容があったと思いますが、これにつきましては原価相当額でございまして、埼玉県の県立文学館につきましては時価で譲渡したということでございます。
  83. 荒田建

    参考人(荒田建君) 具体の地域ごとの団地におきますいろんな居住者方からの要望、私どもは本社レベルでも、支社レベルあるいは営業所レベルでも、居住者団体の方々といろいろ意見交換をしておりますし、そういった中で、個別にも居住者の方から水漏れですとかアルミ化の話ですとかいろんな話が出てまいりまして、私どもも皆さんの要望を一〇〇%満足できるだけの財源的な余裕があれば結構なんですけれども、なかなかそうもまいらないということで、場合によっては待っていただくということもあるわけでございますけれども、水漏れ対応とかそういった緊急に必要なものはできるだけスピーディーに対応するという形でやっておるところでございます。  先生の御地元のお話につきましても、いろいろ地元で御要望を聞いていると思いますので、そういった姿勢できっちりした賃貸住宅の管理をしていきたいというふうに考えております。
  84. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 そうしますと、今その窓口がどこなのかがしっかりしていないので、ずっと悩みっ放しで裁判にまでなってしまったということがありますので、苦情処理機関をつくるべきだと。  というのは、前の桶川の場合でも、住宅公団の方の住民の皆さんに対する説明の態度が非常にひどくて、その暴言集というのがここにあるんですよ。全部公団の方がしゃべったことをテープで起こして、本当に悔しいという思い、これ全部そうなんですけれども、読み上げている暇はありませんでしたので……
  85. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) もう時間です。
  86. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 わかっておりますが、そういう態度とそういう人たち、何か苦情があったらそこに行けるというものをぜひつくっていただきたいと思います。  最後にぜひともそこを答弁していただいて、終わりたいと思います。
  87. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 時間ですから簡単に答弁してください。
  88. 荒田建

    参考人(荒田建君) 常日ごろ、そういう窓口は、管理レベルですと営業所やサービスセンター、現場の団地の中に置いてあるセンターで承っております。職員がそういう相手方に不愉快あるいはその他の思いをさせるような発言をしたとすれば、大変残念なことでございます。  これからの公団を考えますときに、そういった居住者の信頼あるいは地元の方々の信頼を損なうようなことがあってはならないと考えておりますので、その方向で私ども今後姿勢を正してやっていきたいというふうに思っております。
  89. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 本日の審査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後零時三十六分散会