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参考人(
平山正剛君)
平山でございますが、本日は意見を述べる機会を与えていただきまして感謝いたしております。座ったままでやらせていただきます。
以下、本
法律案ということで申し上げたいと
思います。
〔
委員長退席、理事太田豊秋君着席〕
私は、
基本的には高くこの
法案を
評価いたしまして、賛成する立場から意見を申し上げたいと
思います。
ただ、本法が十全に
機能し、立法目的を達成するためには、本法の成立後
施行までの間に、また
施行後の実際の運用を通じまして後述のような、私が申し上げますような解決しなければならない
幾つかの問題があると
思いますので、そのことも申し上げておきたい、こういうふうに
思います。
そこで、私といたしましては、まず本
法律案の
評価につきまして若干のことを申し上げまして、その後に日弁連が紛争解決
機構につきまして協力をしたいということを申し上げたスタンス等について御説明いたしまして、そして最後に
要望事項を申し上げておきたい、こういうふうに
思います。
まず、本
法律案の
評価でございますが、御案内のように、この
法案は三つの目的を持っているわけであります。
品質確保の促進、それから
住宅購入者、注文者の利益の保護、それからこの紛争を迅速かつ適正に解決するということでありますが、そのためのシステムといたしまして、
住宅性能表示制度が
一つ目、それから
瑕疵保証制度が二つ目、三つ目が紛争処理の機関の創設であります。
そこで、この三
制度につきまして我々が今どういう
評価をしているかということを簡単に申し上げておきたいと
思います。
第一の
住宅性能表示制度は、私は四つの点において
評価できるというふうに考えております。
第一は、
設計段階、
工事施行の途中の
段階、それから完成引き渡しの
段階を通じまして、第三者機関である
評価機関が数回にわたりまして
検査を行う予定であります。したがって、
欠陥住宅の発生を未然に防止できる働きをするであろう、そういう
意味で我が国における
住宅のレベルアップに間違いなく貢献できるというふうに考えるのが第一点であります。
二つ目は、建物が完成いたしました後に、これを取り壊しまして
検査することは事実上経済的にも不可能であります。そこで、今回の案のように
設計施工の
段階の
評価資料が第三者機関であります
評価機関で保存されることは、後日の紛争防止あるいは問題解決のために極めてすぐれた
制度だというふうに考えるわけであります。これが二番目であります。
第三番目には、
住宅の取得者や発注者にとりましては、
自分が今契約せんとしている
住宅が他の
住宅とどういうふうなレベルにあるかという相互比較が可能になってまいります。そういう
意味で、契約の締結がしやすくなるというのが第三番目のすぐれている点だというふうに
思います。
そして、最後に、
住宅性能に関する契約内容が明確化された。特に、第六条によりましてみなし規定等がありまして、契約内容が非常に明確になってきた、こういうことが言える。これが
表示制度に対する
評価であります。
二つ目は、
瑕疵保証制度でございます。これは、御案内のように
消費者保護のために
法律上の
瑕疵推定規定を導入しようということが最初に
検討されました。しかし、諸般の事情によりまして実現できませんでした。このことの理由等につきましては今時間がございませんので割愛いたしますが、私は現時点ではやむを得ないというふうに考えております。今後、研究等が重ねられまして、将来は別といたしまして、現在はなるほど難しい面があるというふうに考えているわけであります。
そこで、それではこの
瑕疵保証制度については何の前進もないのかといいますとありまして、
法律案の第七章の
瑕疵担保責任の特例の規定が設けられました。これによりまして
消費者の保護はかなり前進するということは確実であります。民法の
瑕疵担保の規定より、以下のような点で
強化されております。
請負契約の場合の民法六百三十四条の特例が設けられまして、
基本構造部分につきましては十年間の
保証制度が導入されて、しかも不利益特約の禁止条項が設けられたというのが一点であります。
二つ目は、売買契約の場合でありますが、やはり民法五百七十条、五百六十六条の特例が設けられまして、十年間の
保証制度が導入されました。しかも、ここでは
瑕疵修補
制度が明文化されたわけであります。現行法では明文がございません。そういう
意味で、しかもこれにつきましても不利益特約の禁止条項が設けられましたので、かなり
消費者の保護に前進したということが
評価できると
思います。
三つ目といたしまして、
基本構造部分以外も含めまして、任意規定でございますが、担保
責任を二十年まで伸長できるという規定も九十条で設けられておりますので、そういう
意味で、この
瑕疵保証制度についても前進しているというふうに
評価をいたしているわけであります。
最後に、紛争処理機関についてでありますが、これは我々が深く関係する
ところでございますが、六十二条から七十七条に規定があります。これの一般的な
評価でありますが、紛争解決の最後のとりでは裁判
制度であると、これはもちろんでありますが、裁判に時間と費用がかかり過ぎるということで、ADRによる紛争解決、迅速かつ適正な紛争解決という
制度を設けようという意図は
評価できるというふうに考えております。一般的にも世界的に法的紛争を裁判
制度以外の
制度も利用するということが趨勢でありますから、そういう世界的趨勢にもかなうものだというふうに考えております。
また、ADRの中でいわゆる
民間の中立公正型のADRであります。公益
法人が主体になるということでありまして、これまでの行政のADRあるいは業界だけのADRとは違いまして、裁判を受ける権利あるいは司法権の独立の問題とも抵触がないということで
評価できるというふうに考えているわけであります。
そして、我々にとりましては、仮に
弁護士会が
指定を受けた場合に、
弁護士法七十二条の問題もクリアできるというようなことで
評価しているわけであります。これが一般的な私の方のこの
法律案に対する
評価であります。
そこで、二番目に、我々が
指定住宅紛争処理機関、これまで我々は
住宅紛争審査会という仮称で呼んでまいりましたけれども、これに協力するように考えている理由は以下のとおりであります。
第一には、
審査会への
弁護士、
弁護士会の関与を公益活動としてとらえるということであります。第二に、
民間の中立公正な公益
法人が主体となるADRとしてとらえることができる。そして三番目に、本法を
消費者のために有益な
制度としてとらえているという
ところであります。
ただし、我々は受け入れに整備されることを望んでいる三つのことがありまして、
弁護士自治が維持できること、本来の
業務に
指定を受けることで干渉があっては困るわけであります。それからまた、高い水準に
表示制度、
保証制度が維持されて、
消費者の利益になることを願っているわけであります。そして三つ目に、
審査会の運営が
弁護士会の自主性あるいは独立性を尊重していただくということが条件として受けるようにしたわけであります。
最後に、
要望事項でございます。
今申し上げましたすぐれた
制度ではありますが、なかなか
住宅性能表示制度と
保証制度を分けて理解することに難しさ等がございますので、ぜひその広報、啓蒙に努めていただきまして、本
制度が利用されるようにお願いしたいと
思います。
それから二番目には、例えば
評価基準のレベル、第三条、それから技術
基準の第七十条等が政省令に任されております。内容はこれから盛るということになる面が多うございますので、その定め方によりましては、この
制度が生きるか死ぬかという問題に逢着するわけです。特にこの
制度は任意の選択
制度でありますから、だれも見向きもしないということでは困るわけでありまして、ぜひそのことに意を用いていただきまして、みんなが納得できる政省令をおつくりいただくということが必要であるというふうに考えております。
最後に、
指定住宅紛争処理機関について、報告徴収の七十四条とかあるいは
業務改善命令の七十五条等、それから両罰規定が出てきたりいたしまして、大変我々としても自主性、独立性ということで考える
ところがありますが、この
制度を十全に生かしていくために忍ぶ
ところは忍びたいと思っておりますけれども、どうぞその我々の立場を尊重いただきまして、今後の
法案ができました場合の運営等がなされることを期待しているわけであります。
いろいろ申し上げたいことがありますが、私のお願いしたいことは以上であります。終わります。