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堂本暁子君 私は、鋭意ではなくて、即刻決めていただきたいというお願いをあえてきょうはさせていただいております。
なぜならば、ロシアへ戻るはずのオオワシが現時点で
北海道の東部にまだ数十羽も残っている。結局飛べないんです、中毒になっちゃったら。もう本当にふんが青いような色になっちゃうんですが、それはだからワシを見る人はすぐわかるんですね、
専門家は。
非常に興味を持ちましたのは、斜里町というところは禁猟しているんです。だから、私たちは車で行っても斜里町まではみんな
シカはばっと逃げますけれ
ども、斜里町に入るとみんな
シカはこうやって人の顔を見て、すぐそこまで来ます。そして、斜里町はじっと我慢して、
シカがふえたらふえっ放しにしている。さっき地元出身の
小川さんからも話がありましたけれ
ども、雪で死ぬわけです、
シカの子供が。そうすると、そこへもまたずっと寄ってきて、これは鉛じゃないから、これは自然の食物連鎖なんです。そういうところで食べる分にはいい。しかし、オオワシは飛べますから、奥の方で、斜里町以外のところで銃が撃たれればそっちへ移動しちゃうわけです。
だから、みんなどんどん
北海道の内陸部へ行ってしまって、そしてきょうずっと
答弁のあった六万頭もの
シカを撃っていれば、わずか千五百羽しかいないと言われている、絶滅に瀕している、そして
環境庁の種の保存法でも
希少種に指定されているオオワシを守る責任が
環境庁にある。これは、きょうは農水の方がいろいろいらっしゃいますけれ
ども、農水省でもどこでもない、
野生生物の保護は
環境庁以外にどこにも我が
日本国においては所轄している役所はないんです。
だから、これは
環境庁以外のどこの役所にもできない仕事なので、
環境庁がやらなければいけない。しかもそれが、例えば日光ですとか岩手県の五葉山とか、そこでもみんな
シカをワシ類が食べている。そして、その緑便の報告があるということで、これは一
北海道の問題だけではありません。そして、鉛は有害物質ですから、
人間については明確な
環境基準があるわけなんです。
人間についてでも慢性の神経障害が起こる、それから生殖機能も障害を受けるということで、今シベリアでのワシの生まれ方がどんどん減ってきていると言われています。
〔理事太田豊秋君退席、
委員長着席〕
それから、飛べなくなるのは、そういった神経障害を受けるためにワシは飛べなくなるわけです。ですから、遠くへ行かれなくなってしまう。
人間についてはこれだけきちっと厚生省で
環境基準をつくっていながら、こうやって鉛を食べなさいというような形の法
改正が一方で行われているということは余りにも大きな矛盾があるというふうに私は思います。
ですから、いろいろ
計画の問題その他がありますけれ
ども、こういった
改正を国として、特に閣法として
環境庁がお出しになるのであれば、少なくとも鉛弾を使わないということだけはきっちりした上で
改正案を出すべきだというふうに私は思います。
二月以降は、
北海道の有害
駆除で、釧路付近では三百メートルの間に二十九頭ものエゾ
シカの死体があったそうです。この死骸をちゃんと片づけるのが仕事だと決められているんですけれ
ども、年をとった猟師さんたちがこの重い、私も重いんですけれ
ども、私の倍ぐらいありますこの重い
シカをえっちらおっちら担いであの雪の山の中をどこか燃やすところまで持っていくなんということはできない。ましてや猟期の間だけしかあけていないとか、もう本当に矛盾だらけです。これではワシはどうにもならないんです。
私は、どういうふうに
環境庁が
お答えになるかということも大体わかっているような気がしますので、これは行政的に言えば運用でできるというふうにおっしゃるんですが、運用で六年間やっていましたら、その間にワシは絶滅してしまう。総理
大臣がおっしゃったように、ロシアから来たワシを
日本では絶滅させないという総理の
答弁に私は反すると思うんです。だから、少なくとも行政庁としては、きちっと総理の
答弁を実行するその責任が私は
環境庁にあると思います。
ですから、
環境庁がおっしゃるのは、私が聞いた説明によりますと、銅弾を使うためにはライフル銃を買いかえなきゃいけないそうなんですが、そんなことはないんです。アメリカでは銅弾というのは、これは銅弾ですが、もうできています。それで買いかえなくてもいいと、どうやって輸入するかという問題です。ですから、例えば十六億もの農水省の予算というものを伺いますと、
農業被害のためにはそれだけの私たちの税金を使いながら、一方でワシのためには使わない。でも、ワシのために使わないということは、結局私たち
人間のためでもあると思っています。
アメリカのバーンズ社は、全銅製弾と言うそうですが、銅でできた弾というのを提供することができる、そして火薬類もセットされている、こういうのがあるわけなんです。こういったウインチェスター社はいずれも
日本向けにバーンズ社製の弾を供給するといって、そう
答えているそうです。これはきちっと私はやるべきだというふうに思っています。
そのことで、もう御
答弁をいただくということの
意味は私は余りない。なぜなら、ずっとこの間、附帯決議ぐらいでおっしゃっておいてください、これは
法律には入れられませんということをずっとこの一週間言われているので、同じ
お答えしか
環境庁からは出ないというふうに思っております。できることなら、本当はこの
法律が通らないで、むしろ
先ほどからおっしゃっていたように
野生動物の保護とそれから
狩猟法というのは
法律を分けるべきだ。相矛盾するものが入った
法律というのは非常におかしな
法律なので、本来なら
日本の
法律としてはそれを分けるべきだというふうに考えますが、
日本の政治というのは不思議な政治で、これが通ってしまうかもしれない。
そうしますと、その場合に私がぜひとも
法律に書き込んでいただきたいのは、「鉛弾を用いる銃猟その他の
鳥獣の保護蕃殖に重大なる支障があるものとして
環境庁長官が定める猟法によって
狩猟鳥獣の捕獲をすることができないものとすること。」、これは要するに鉛弾を使わないということです。どうしても
法律に書き加えることができないとおっしゃるのであれば、附則として、「政府は、この
法律の施行後二年以内に、銃猟により
鳥獣を捕獲する場合における鉛弾の使用に関する規制の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。」ということをぜひとも入れていただきたい。
附帯決議などでは私はだめだと思います。今までにも何度も
環境の
法律で附帯決議の中に入れても、六年と五年、結局は実行されないケースがありました。
私は、
温暖化の場合でも思うのですけれ
ども、カリフォルニアでCO2をゼロにしなきゃいけないという
法律ができて、そしてトヨタは逆にハイブリッド車をつくったということがあるわけですね。
法律が先か、それから
調整が終わってから初めて
法律に書くのか。後者は
日本の
やり方です。しかし、
生態系を保全するとすれば、どうしてもこれは
法律を先につくること、附則に入れるということはそんなに難しいことではないと思います。二年というのも長過ぎると思っておりますけれ
ども、
環境庁は二年あれば
調整がつくというふうにおっしゃっているので、その二年というスパンを置きましてやるということだったら余り無理ではない。しかし、それが書き込まれなければ、二年ではなくて、これが散弾と同じように三年、四年、五年、六年となっている間に、このワシたちはわしは待っちゃいられないということで絶滅してしまうかもしれない。
ですから、私は、ここは
長官に御
答弁というとまたネガティブな御
答弁なのであえて
答弁を求めないことにいたします。一方的にここは高圧的な
やり方ですけれ
ども、一
国会議員としては、やはりワシだけではなくすべての生物たちと
人間が共生をしていくことの重要性を考えたならば、どうしてもここのところではこういった
法律の修正なりそれから附則をつけるということでやっていただきたい。さもなかったら、私は本当に
北海道で見たあの光景、
北海道出身の方はよく御存じですけれ
ども、それを思うと、東京でそのことをきちっと主張することが私の責務だというふうに思っております。
斜里町がえらいのは、小さい町ですけれ
ども、保護員のような獣医さんを二人と、アルバイトの人も結構いましたけれ
ども、そういった自然の
保護管理をする人を町の予算の中できちっと雇っている。だから、あそこの町はそれが可能なわけです。知床の森を守った続きでそれをやっているわけなんです。ですから、やろうと思えば道の単位でも国の単位でもできないはずがない。それは町長の決心であると同時に、やっぱり私たち
国会議員一人一人の決心の問題ですし、それを受けてどれだけ役所がやってくださるかということです。
総理
大臣がこれだけ前向きの
答弁をなさった以上は、
環境庁長官に
答えてくださいというのは大変しんどい立場でいらっしゃると思うけれ
ども、
答えてくださるのはうれしいですけれ
ども、私としては、
委員長、この
委員会は本当に大事な曲がり角だと思うんですね。小さいことのようですけれ
ども、やはり世界が見ています。国際的に、オオワシを
日本で絶滅させたと。しかも、こういった
お金のかかるとか、十六億に比べたら本当に比較できないほど小さなけたの予算です。
総理官邸へ行くと、正面にばんとオオワシの絵がありますね。この間、総理に申し上げた。総理
大臣、オオワシが官邸の正面にあるじゃないですかと、そうなんだ、あれは横山大観かだれかが書いたそうだと。そのオオワシが、横山大観の
時代には存在しても私たちの世代で
日本からいなくなったということは、私たち一人一人の
国会議員にとって物すごく恥ずかしいことです。
やはり、そのようなことが、すべての
人間とそれから生物、自然との共生という本当に大事な、これから二十一世紀に向かっての政策の中できちっと決められていくことが、小さいようですけれ
どもとても私はここは大事な局面だと思いますので、もし
長官から前向きの御
答弁をいただけるならいただきたいし、そうじゃなかったらもうこれで結構でございます。