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1999-03-30 第145回国会 参議院 国土・環境委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年三月三十日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月二十四日     辞任         補欠選任      阿曽田 清君     泉  信也君  三月三十日     辞任         補欠選任      山下 善彦君     森山  裕君      北澤 俊美君     小川 敏夫君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         松谷蒼一郎君     理 事                 市川 一朗君                 太田 豊秋君                 小川 勝也君                 福本 潤一君                 緒方 靖夫君     委 員                 上野 公成君                 坂野 重信君                 田村 公平君                 長谷川道郎君                 森山  裕君                 脇  雅史君                 小川 敏夫君                 岡崎トミ子君                 北澤 俊美君                 佐藤 雄平君                 弘友 和夫君                 岩佐 恵美君                 大渕 絹子君                 泉  信也君                 奥村 展三君                 島袋 宗康君    国務大臣        建設大臣     関谷 勝嗣君    政府委員        人事院事務総局        職員局長     佐藤  信君        総務庁長官官房        審議官      西村 正紀君        総務庁行政監察        局長       東田 親司君        国土庁土地局長  生田 長人君        国税庁課税部長  森田 好則君        中小企業庁次長  殿岡 茂樹君        建設大臣官房長  小野 邦久君        建設大臣官房総        務審議官     小川 忠男君        建設省建設経済        局長       木下 博夫君        建設省都市局長  山本 正堯君        建設省住宅局長  那珂  正君        自治省税務局長  成瀬 宣孝君    事務局側        常任委員会専門        員        八島 秀雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 〇都市開発資金の貸付けに関する法律等の一部を  改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) ただいまから国土・環境委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十四日、阿曽田清君が委員辞任され、その補欠として泉信也君が選任されました。     ─────────────
  3. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 都市開発資金の貸付けに関する法律等の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 おはようございます。自由民主党の長谷川でございます。  きょうは、前半は事業用地適正化計画認定についてお伺いし、後半は先般の本委員会質疑議題になりました民都機構について、この二点で質問をさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。  事業用地適正化計画認定というのは、前回の質疑でも御答弁がありましたように、隣接する土地所有権借地権等整理し、一つのブロックとして土地を確定し面積を適正化する計画建設大臣認定するというシステムなわけでありますが、今、都内にも散見されますように、虫食い地上げ跡地が惨たんたるありさまで残っているわけです。その開発能力を失った土地所有者にかわって事業を立ち上げるためのバックアップシステムということであろうと思うわけであります。  まずお伺いいたしたいのは、要件として、権利関係者同意、それから取得時期並びに方法明示、この二点が認定を与える際の要件となっておりますが、この同意というのはどの程度の同意意味するのか。例えばもう契約書がきっちりできている以上の状態であるのか、それとも同意書とか念書とか、よくある土地区画整理組合連判状といったようなものであるのか、それについてまずお伺いいたしたいと思います。  というのは、契約書が調って、同意書であってもいいんですが、権利者同意が調い、かつその取得方法、時期まで明示をされているということになると、もうこの事業現実に九九%終わったようなものでありますので、なぜあえてそこでこういう規定になっているのかということをまず冒頭お伺いいたしたいと存じます。
  5. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 事業用地適正化計画は、先生今御指摘のとおり虫食い地の低未利用地につきまして有効活用していこうということで、集約した上で民間都市開発事業を行おうとする民間事業者の取り組みを税制面等支援するということで計画を立てるわけでございます。  その際、先生おっしゃいますように、申請者は、土地については所有権借地権等使用収益権を有する権利者、あるいは事業用地内の建物建築物につきましては所有権あるいは借家権抵当権等を有する権利者、それぞれの同意を得なければならない、こういうことになっておるわけでございます。  認定申請に当たりましては、これら関係権利者から事業用地適正化計画に対する同意を得たことを証する同意証書申請書に添付していただくということになっております。したがいまして、同意証書をきちっとつくっていただいて、それを申請書に添付していただく、こういう格好になっておるわけでございます。
  6. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 その同意証書というのは、例えば公正証書だとか売買契約書といった印紙が張ってあってきちんとした売買契約というようなものでなくて、いわば一般的な念書といったようなたぐいのものでいいわけですか。
  7. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 正式の文書でございますので、印紙がきちっと張ってある証書でございます。
  8. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 現実虫食い土地がああいう状態になっているというのはいろんな理由があるわけでありますが、一つには権利関係が非常にふくそうしておるということ、もう一点は、土地所有者権利者というか開発会社がその事業を立ち上げる能力を失ってしまった、もしくは意欲を失ってしまったということもあるわけであります。  もう一つには、現実にはよくあるケースだと思うんですが、御先祖様の土地はおれの目の黒いうちは絶対人様に渡さないという、例えばバブル期地上げ攻勢にかかって、何億、何十億と札束を積まれても絶対オーケーと言わなかったという人たち。さっき申し上げたようなおれの目の黒いうちはという方でありますので、そういう人たちに今改めて、七、八年前のバブルのころ、九億、十億というお金を持ってお願いに行ったのに、今手ぶらで行ってお願いしますよと言った場合、なかなか難しいというような感じがするわけです。その場合、即だめだよ、おれの目の黒いうちはともう一遍頑固おやじに言われた場合、一瞬にしてこのプランは消し飛んでしまうわけでありますが、こういうことに対しては、もちろん強行法規というようなことは考えられません。  そういった頑固おやじというような場合もありますが、冒頭申し上げた権利関係がふくそうしておるような場合、例えば住宅金融債権管理機構債権買取機構権利関係が解きほぐしてあれば、権利関係がシンプルになっていれば問題はないんでしょうけれども、極めて複雑な権利関係を持つ土地であり、かつ、そういったおれの目の黒いうちはというような特殊な事情のある土地取得に対して、建設省がそこまで踏み込んでこの仕事のお手伝いができるものかどうか、ちょっとお伺いします。
  9. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 先ほど、答弁について不十分でございました。ちょっと補足させていただきます。  先ほどの同意証書でございますけれども、印鑑をきちっと押してあって正式のものであることが必要であるということでございまして、印紙については特に必要ないということです。恐縮でございます。失礼申し上げました。訂正させていただきます。  今の先生の、権利関係が非常に複雑であるということで、そういうようなものについてきちっと整理する必要があるんではないか、そういうような制度建設省としても検討して考えていく必要があるんじゃないか、こういうことでございます。  先生の御指摘のように、虫食い地整形集約化するに当たっては土地交換等税負担が非常に大きな障害になっている、こういうことで、本制度は、こういう認識に基づいて税制上の特別の措置を講じる、民民契約の中で、そういう格好で主な内容として創設されたものでございます。  先生指摘のように、まず権利関係整理することが必要でございまして、個々の土地によって権利関係が複雑に絡んでおるということでこういう権利関係整理しなきゃならぬ場合もございますが、こういう関係整理は、基本的には民民の私法上の問題であろうかと思っております。  ただ、土地流動化に積極的に取り組むためには、さきの国会に提出をされました臨時不動産等権利調整委員会法のような権利関係整序の仕組みといったようなものの必要性につきまして、今後幅広い議論をしていただくことが必要であろうかというふうにも考えております。
  10. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 今御答弁でありましたように、権利関係というようなことはもちろん民民関係でありますので、建設省が踏み込むべき問題じゃないと思う。ただ、今までディベロッパーはこの権利関係を解きほぐそうとしたわけでありますが、これがなかなかできない。今までだれがやってもできなかったわけです。そのだれがやってもできなかったことを今回この法案でやろうとするわけでありますから、よほどのインセンティブがないと、先ほど申し上げた十億積まれても二十億積まれてもオーケーと言わなかった人たちに対するインセンティブというのは非常に難しいと思うのでありますが、この認定制度税制上の特例措置、さっきお触れになりましたが、その特例措置について具体的に教えていただけますか。
  11. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) この建設大臣認定を受けました事業用地適正化計画に基づきまして虫食い隣接土地認定事業者事業用地外に所有する土地建築物等交換されるといったような場合には、その虫食い地所有者等につきましての税制上の特例措置があるということでございます。  一つは、その土地の譲渡、交換がなかったものとみなして所得税及び法人税課税を一〇〇%繰り延べる、そういう措置を講じるというのが一点でございます。それから二つ目が、交換先不動産取得する場合、それの登録免許税の税率を通常の千分の五十のところを千分の三十に軽減する、これは国税関係でございます。  それからもう一つは、交換先不動産取得する場合の不動産取得税課税標準、これを十分の一控除する、これは地方税でございますが、それが講じられることになっておるところでございます。  それから、虫食い地所有者等がこういったように民間都市開発推進機構の有する土地代替地として取得する場合、三角トレードといいますかそういう格好には、認定事業者が有する土地等との交換と同様に、今申し上げましたような所得税法人税課税繰り延べ措置が講じられる、こういう税制上の特別措置を今回講じることとさせていただいているところでございます。
  12. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 私の調査ミスかもわかりませんが、該当する面積がそんな膨大なわけじゃありませんから地価税が該当しているところはないと思うんですが、地価税についてはどうですか。
  13. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 地価税につきましては、特に対象措置をしておるわけではございません。また、先生おっしゃいましたように、地価税のような大きな土地余り法対象になるところはないのではないかと思います。
  14. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 それじゃ、今途中で、交換あっせんというようなお話があったわけでありますが、同じくこの法案概要の中で、民都機構による支援ということがございます。この民都機構業務による支援措置を講ずる制度を創設するという一項があるわけでありますが、この民都機構業務による支援というのは具体的にどういうことをお考えになっていらっしゃるのか、それについてお伺いします。
  15. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) この事業適正化計画に基づく特別措置として、税制上の措置と、それから民都機構支援措置と両輪を考えておるわけでございます。  民間都市開発推進機構が、認定を受けました事業用地適正化計画目的が達成されるように、建設大臣の指示を受けまして、認定事業者事業用地整形集約化を行うために必要な資金、これについて民都機構あっせんをする、こういう措置一つでございます。それからもう一つは、認定事業者虫食い地隣接土地地権者に対しまして民都機構が必要な土地あっせんをする、こういうのが二つ目でございます。  その他、事業用地において行われます民間都市開発事業調整といいますかコーディネートといいますか、そういうようなことも行うこととされておるところでございます。また、当該虫食い地等所有権取得を促進するために、認定事業者の申し出に応じまして民都機構が所有する土地代替地として譲渡することができるということもされておるわけでございます。  こういう支援措置がございますので、そういう支援措置活用しながら、民都機構としても事業用地適正化計画目的達成のために積極的な支援をしていこう、こういうことでございます。
  16. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 民都機構につきましてはまた後半で申し上げますが、この制度は非常に大切なというか、今非常に大きな意味のある制度であると思うんです。したがって、この制度をぜひ大事にというか大切にしていただきたいと思うのであります。  先ほど申し上げましたように、非常に複雑な権利関係が絡み合った土地がほとんどであり、かつ民間ディベロッパーがもう手を上げてしまったというようなそういう極端な例があるわけです。もう一つは、当時バブル期に十億、二十億積まれても動かなかった人がいまだに残っていらっしゃる、そういう方たちが今この制度によって、よしわかった、協力しようということになるかというと、なかなかそう簡単ではない。  今御説明いただいた税制上の特例措置それから民都機構による支援、その他もろもろのバックアップの体制が本当にこの認定制度インセンティブになるかどうか。これは実はこの制度はこれから始まるわけでありますので、私もいろいろ調べさせていただいたのですが、なかなか制度自体がまだ周知をされていないということもあって、これに対する専門誌業界誌での評価というのが余り多く目にすることができなかったのですが、多分民間ディベロッパー不動産会社さんは相当注目していらっしゃると思うのです。  今現在、まだ始まっていないわけですけれども、これから始めるとして、民間の皆さんはどういうふうにこれを見ていらっしゃるのか、何か御承知のことがありましたらお伺いいたします。
  17. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) この大臣認定制度は、先ほど申し上げましたように、民間事業者都市開発事業を行うために必要な土地整形集約化支援していくというスキームでございまして、民間事業者がその事業化に取り組む意欲能力を有している、そういう民間事業者が非常に積極的にこういう制度活用していただくということが大前提になっておるわけでございます。  先生指摘のとおり、現在、民間事業者事業意欲といいますかそういうものがやはり落ち込んでおる、若干冷え込んでおるというのも事実でございますので、こういう法案内容が明らかになり、あるいは特に税制上の特例措置が働くということがだんだん理解をされつつあるという状況でございまして、建設省、私どもの方には、本制度活用について大変強い関心を有している企業等から問い合わせが数多く今寄せられておる状況でございます。本制度が成立すれば、実際に活用されるという期待が大変大きいというところであろうかと思います。特に、都心居住のためのマンション用地を確保したり、そういったような用地の確保として活用されることが想定されるということであろうかと思います。  現在、私どもとしてこういう民間事業者意欲の低下にかんがみまして、建設省としても、本制度だけではなくて建築物整備について、例えば民間都市開発推進機構参加業務でありますとか融通業務でありますとか、あるいはまた開発銀行融資制度でありますとか等々の制度活用いたしまして、総合相まって積極的な支援に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  18. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 今、確かに虫食い土地、未利用地を持っているディベロッパー不動産会社というのは、それはもちろん使いたいのはやまやま、活用したいのはやまやま、だけれどもなかなかということなのでありましょうが、これらがインセンティブになりますように、ひとつこの制度でどんと背中を押してやるような、そういうことにしていただきたいと思うわけであります。  その背中をどんと押す一つ措置として、この法案では容積率については触れられておりませんが、いずれ整理をされた未利用地活用するためには、容積率ボーナスといいますか、容積率のおまけといいますかが必要じゃないのかなというふうに考える。  区画整理組合にしても単独方式にしてもそうですが、再開発をする場合、最終的に建設資金を捻出するのは大概保留床を売却するということなんですが、例えば今容積率が二〇〇%の土地で二〇〇%の建物ができている、そこに同じ二〇〇%の建物をつくったのではもちろん容積率の利益がないわけです。保留床ゼロでありますから、建設費の捻出なんということはもちろん考えられない。ですから、今いろいろ制度バックアップするというお話でありましたが、例えば容積率特例考えられないのかなという気がいたすわけです。  というのは、今都内でもいろいろなところで区画整理をやっておるんですが、本当に区画整理をしなければいけないところをやっているということではないわけです。可能性のあるところをやるのであって、本当に必要とされているかどうかというのは二の次。その可能性というのは、容積率に余裕がある、例えば四〇〇%なら四〇〇%の土地に一五〇%の建物しかない、残りの容積率ボーナスがあるわけですから目いっぱいの建物をつくれば保留床がどんと出る。その保留床建設資金を捻出するということなんですが、今この制度の場合だと容積率については触れられておりません。  この際、容積率についてこの法案の関連でお考えになるようなことがあるかどうか、これについてお伺いします。
  19. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) この事業用地適正化計画は主に、先ほど申し上げましたように、税制支援措置によって今のような虫食い状態を解消し、民間の再開発事業民間都市開発事業が立ち上がっていくということを整備しようということを目的にして仕組まれた制度でございまして、先生御案内のとおり、建築物整備についての容積率特例というふうな措置をこの法律では講じられていないわけでございますが、実際には、虫食い地でなかなか利用が難しかったという土地整形集約化されることによりまして整形になるということで、容積率を有効に活用することができるようになるということであろうかと思います。  さらに、整形化された後、そこに建築物を建てるためのいろいろな制度活用、例えば総合設計制度でありますとか、そういうような既存の特例制度も非常に活用しやすくなるということでございますので、これらを活用した土地高度利用が図られていくということが大変期待されるということであろうかと思っております。
  20. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 今までいろいろくどくどお伺いしたのは、今お話のありましたように、土地整形化効率化によってより容積率が効率的に使えるようになるのではないかというお話でございますが、先ほど御説明のありました税制上の優遇措置それから民都機構支援措置、これも確かに必要なことであり、有効なことではあると思うんですが、やっぱりパンチがないと思うんです。今困っている民間不動産所有権者それからディベロッパーは、もうちょっとパンチのある支援措置といいますか、インセンティブがないとなかなか動き出してこないんじゃないかなというふうな感じがいたしましたのでお伺いいたしたわけであります。  次に、これは民間事業用地事業対象にするということでありますが、この場合の民間事業というのはどういう事業を想定していらっしゃるのか。ちょっと次の質問でこのことをお伺いしますので、まず冒頭民間事業というのはどういう事業を想定していらっしゃるのか、これについてお伺いいたします。
  21. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) この民間事業として、その内容等については政令、省令で条件等について詳しく定めることになっておるわけでございますが、形態といたしましては、都心居住に資するマンションなどの住宅でありますとか、中心市街地においてにぎわいを生み出す商業施設でありますとか、あるいは都心都市内の業務施設でありますとか、そういうようなものが形態としては考えられるということであろうかと思います。  それらの形態につきまして、規模等につきましては政令で定めることにしておりますが、例えば敷地面積が五百平米以上でありますとか建築物延べ面積が一千平米以上というようなことを定める予定でございます。そういう規模等のところ、そういうものについて、今申し上げましたような用途についてのものが考えられるということであろうかと思います。  私どもとしましても、地域の特性に応じたいろいろな事業が行われるということで良好な市街地が形成されていくということ、この制度が積極的に活用されることを非常に私どもとしては期待しておる、こういうことでございます。
  22. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 今の質問意味は、私は、この土地公共用地として取得できないかなという意味でお伺いをいたしたんです。多分、公共用地としての取得についてはお考えになっていらっしゃらないと思うのであります。  先般の当委員会質問公共事業についてお伺いいたしました際にもお話が出ましたが、日本都市インフラがおくれているということがよく言われているわけです。したがって公共事業が必要だということなんですが、しかし、都市インフラといっても、日本は例えば東京都市を百年間続けているわけでありますので、百年かかっても世界に追いつけないというのは、やはりどこかマネジメントの悪いところがあったんじゃないかなというふうな感じがいたすわけです。マネジメントといいますか、これは生活のスタイルというか哲学なんでしょうけれども。  それで、都内虫食い利用地を今回こういう形で整理するとしたら、例えば住都公団やなんかの住宅用地、今ちょうど都内の一等地にそういう土地がいっぱいあるわけですから、例えば公園用地にするには絶好のチャンスだと思うんです。東京関東大震災都市開発チャンスを一回逃している。もう一回は第二次世界大戦後、焦土になった東京を再開発するというチャンスも逃しているわけです。もちろん予算上の問題、お金の問題はまた別ですよ。別でありますが、今あいている土地があるというこのチャンスはもう千載一遇のチャンス。後、次は第二次関東大震災でも待たない限りこんなチャンスは二度と訪れない。  例えば、かつてのバブルのようなことがあるかどうかわかりませんが、あの当時、都内で公園緑地用地を求めようなんといったってそれは一〇〇%無理だったわけです。今、幸いか不幸かわかりませんが、都内にはそういう土地がたくさんある。この土地を今公共用地として取得するという絶好のチャンスであると思うんです。この土地取得して都内に公共住宅や公園、それから道路もありますが、このチャンスを今、関谷建設大臣がお考えになれば、いずれ何年か後には建設大臣の銅像が東京駅前にできると思うんです。  ニューヨークのマンハッタンのちょうど真ん中のビジネス街というのは二十六ヘクタールしかないんだそうです。あそこはニューヨークの中心部でも人がいっぱい住んでいますから、一ヘクタール当たり人口密度は二百人。マンハッタン島というのは、おいでになった方はおわかりのとおり、真ん中から、ミッドから上に行っても下に行っても、一番端っこまで車で二十分ぐらいで行けるんです。本当に狭い面積の間であれだけの都市の集積をやっている。東京では千代田、港、中央三区で四十二ヘクタールでありますが、一ヘクタール当たりの人口は六十三人。さっきのニューヨークは二百人でありますから、ニューヨークの三分の一しか都心に人が住んでいない。  ですから、さっき申し上げた今の未利用地バブル崩壊後の空き土地の問題は、都心に人口を呼び戻す最大の、恐らく最後のチャンスになるんではないかと思うのであります。  お伺いしたいのは、先ほど民間事業用地は何を具体的にお考えかという質問をさせていただいたんですが、それに関連して、公共用地として何とか取得するようなお考えにはなれないかどうか、それについてお伺いします。
  23. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 今、先生が御指摘のとおり、都心部に多くの低未利用地が散在しておる、こういう現状でございます。そういう意味からいえば、都市整備の絶好のチャンスであるということも一つ言えるかと思います。  こういうような低未利用地を有効利用して公園でありますとか住宅用地として整備するということは、これは景気対策はもちろんでありますけれども、基本的には長期的な町づくりを進める上でも極めて重要なことであるということであろうかと思います。  私ども、こういう意味からも、去年の四月の総合経済対策に基づきまして、例えば住宅都市整備公団に対しまして二千億の出資金並びに財投の一千億ということで三千億の予算をちょうだいいたしまして、虫食い地取得して整備し、街路等公共施設を整備して民間に譲渡するといったような事業をスタートさせたといったようなこともございますし、また民間都市開発推進機構活用した今のような土地の有効利用のための事業を推進するということも一つ方法でございます。  あるいはまた、公的な土地需要に積極的に対応するために、例えば防災性の向上に資するような公園緑地というものを積極的に事業を推進するといったような格好で、グリーンオアシス緊急整備事業に要する用地取得といったような公的な用地取得などに積極的に取り組んでいるところでございます。  そういう民間の再開発と同時に、公的な主体による土地取得によりまして公園とかそういう公共的なものを整備していくというのが、現在低未利用地が散在する状況の中で、都市整備を積極的に推進していく時期であろうかと、こういうふうに考えているところでございます。
  24. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 今、局長の御答弁の中で住都公団のことに触れられましたので、私の質問はこの項目については終わります。  住都公団は今度都市基盤整備公団に改編されるわけでありますが、この施策の一つの柱として、職住近接、都市居住促進といった政策的に必要なものに限定して賃貸住宅供給を業務とするということになっておるわけであります。住都公団は二回も三回も組織が変わりましてちょっとお気の毒だという感じがするのですが、今まで売れない土地や売れない分譲住宅や高い賃貸住宅だといって高名をはせた住都公団であります。局長お話しのように、直ちに政府が公共用地をこういう形で取得するというのはもちろん難しいことでありますが、公団に御指示をいただいて、そういう面でもぜひこの未利用地についてはお取り組みをいただきたいというふうに思うわけであります。  続きまして、民都機構について何点かお伺いさせていただきます。  先般の本委員会質疑で、民都機構にゼネコンから五十八名の出向者がいる、これは緒方委員の御指摘でありまして、民都機構とゼネコンが癒着をしているというお話がありました。私は癒着しているかどうかはちょっとわかりませんが、多分民都機構というのは民間のノウハウを極めて必要としていると思うんです。それは私は中身はわかりませんけれども、多分民都機構の方からお願いをしたんじゃないかなと思うのでありますが、この間、住宅金融債権管理機構の中坊さんがおっしゃっていたことがありまして、おもしろい話があったんです。  今、空き物件のビルにテナントを呼び込むとき、いろいろお客さんが見学に来られる。そうすると、薄汚れたビルですともちろんお客さんがつかないわけです。そのときにどうするか。お役人と言っては失礼でありますが、お役所の皆さんではなかなかこういうノウハウをお持ちじゃないだろうがということでお話しになったんですが、薄汚れたビルにテナントを呼び込む場合、一階部分だけをきれいにする。一階をすかっときれいにしまして、来たお客さんに、いやもう二階も三階も次から次へとこういうふうにきれいになりますよと言うとお客さんがつくんだそうです。ところが、その建物を全部一気にきれいにしてしまおうと思うとなかなかそんなわけにいかない。こういうことで中坊さんは、やっぱり民間のノウハウというのはすごいんだなというふうなお話をされておりました。  今、民間の方が民都機構に出向されていらっしゃるという話でありますが、私は多分泣く泣く行かれたんだと思うんです。これからの民都機構の仕事はそう楽な仕事ではない。恐らく血を吐くような思いをすると思うんです。ですから、こんなつらい仕事をするのなら民都機構には行きたくないという方がほとんどだと思うのでありますが、それはともかくとして、さっき申し上げたように、民間のノウハウを持った人材を新たに養成しようとしたら、これはまたすごい長い時間と経費がかかるわけです。そういうことではなかったのかなということで、僣越ながら都市局長に成りかわりまして私から御説明を申し上げました。  民間のそういうノウハウ、ノウハウと言えば品がいいんですが、手練手管です。これはすごいものだと思うんです。皆さんも東京ではお一人住まいですので、女性の方は御存じですけれども、スーパーで食品を買われるとき、例えばスーパーで牛乳を店頭に陳列するとき、古い商品を前に置いて新しい商品を後ろに置いておくということになっておる。それで、皆さんスーパーで牛乳を買われるときは一番後ろからとられますね。一番後ろからとられるときに日付なんか恐らく確認されないと思うんです。最近は古い商品を後ろに置くんです。とられたお客さんは無条件にこれは新しいと思っている、というぐらい民間のそういうビジネスのノウハウというか手練手管というのは大変なものなんです。  ちょっと私の体験から申し上げますと、役所の皆さんにはノウハウがないわけです。役所の皆さんのノウハウというのは法律なわけです。したがって、法律というノウハウからは一歩も外れることができない。これを世間ではお役所仕事と言うんですが、それはそれでしようがないと思うんです。役所の皆さんが、法律はこうだけどうちはこうやりますよなんということを言えるわけはありませんから。したがって、私のささやかな体験から言いますと役所をだますのは一番簡単なんです、本当は。建設省以外ですよ、建設省はそんなことはありません。そういうことでありまして、民間のノウハウと言えば品がいいわけでありますが、手練手管というのはすさまじいものがある。そういったことではなかったのかなという感じがいたすわけです。  さてそこで、先ほどの認定制度がこれは大切な制度であるというふうに私は申し上げたことでありますが、今、金融機関に対して膨大な公的資金が投入され、金融機関が再生しつつBIS基準をクリアしつつあるわけであります。これはやがて償却の余力が出てくるわけでありますので、今後、金融機関は今塩漬けになっている担保不動産を大量に市場に放出する。そうしますと、不動産に関しては極めて供給過剰な状態が発生するわけです。金融機関としては、償却力さえあれば、たとえ損をしたって早くしこりを断ち切ってしまうということでありますので、どんどん不動産を売却にかかってくる。したがって、ここで今、政府が何らかの形でもって調整をしなければ大混乱に陥る。このままほうっておけば一気にまた土地が暴落をして、とめどもないクライシスに落ち込むという危険があるわけです。  そういった意味も込めて、民都機構や住都公団でおやりになるお仕事は建設省版のRTCだと思うのでありますが、このRTCをバックアップするのがこのシステムなわけです。よもやこの認定制度が不良債権飛ばしに使われるとは思いませんが、ひとつ慎重にお取り組みをいただきたいと思うわけであります。  まず第一点、民都機構についてでありますが、現在までの土地取得の実績についてお伺いいたします。
  25. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 民都機構が平成六年三月に土地取得業務について開始をいたしましたが、ことし一月末までに件数にしまして百十一件、総面積で百五十二・九ヘクタール、総額約四千九百五十億円の土地取得したところでございます。これは一月末現在でございますので、まだ若干集計がおくれておりますが、これに上乗せして現在さらに取得をしつつあるという状況でございます。
  26. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 九八年の補正予算で政府保証枠を追加したと思うのでありますが、今まだ五千億程度の取得。多分、政府保証枠は一兆五千億あったと記憶しておりますが、民都機構は保証枠を使い切って追加が必要であるというような報道もあったんです、これは全くの間違いだというふうにわかりましたが。  今後の追加取得計画もしくは方針についてお伺いいたします。
  27. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 先生先ほど御指摘をいただきましたように、平成十年度の第一次補正によりまして五千億の政府保証枠の取得枠の追加をされました。その結果、現在総額一兆五千億の政府保証枠の取得枠が設定されておるわけでございます。  これまでの取得実績は、先ほどお話申し上げましたように四千九百五十億円、一月末現在でございます。今年度末、二月、三月ということで積極的に現在土地取得をやっております。あるいはまた、審査会を経たものについて契約をやりつつある、こういう状況でございまして、今年度末ぎりぎりまでに集計をいたしますが、約七千億程度となる見込みでございます。  したがいまして、来年度以降の取得枠は一兆五千億の差、八千億円程度、こういうことでございます。この取得枠八千億の中で、私ども、今後土地取得を推進していこう、こういうことでございます。
  28. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 済みません。ちょっと細かい話なんですが、今ちょっと興味があったのでお伺いいたします。  一兆五千億の政府保証枠があって、今現在五千億を取得している。今後、大体七千億くらいまで行くということで八千億程度の保証枠が余るということなんですが、これは取得がおくれている、もしくは困難である、何か心配があるということで保証枠を使い切っていないんですか、それとも通常のレベルの話なんですか。
  29. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 先ほど申し上げましたように、平成六年から土地取得業務をスタートさせたわけでございますが、虫食い地等に対する取得必要性が非常に高い、景気対策あるいは都市開発必要性が非常に高まってきておる、こういう状況で、ここ一、二年、取得を促進いたしております。そういう意味で、私どもとしましては、特に去年末からことしにかけまして積極的に取得をしておる、こういう状況でございます。私どもとしては、景気対策の上からもできるだけこの枠の中で積極的にやっていきたいということでございます。  全体の枠といたしまして、私ども、五千億去年追加をさせていただいたわけでございますけれども、これも単年度といいますか十年度末までの枠ということではなくて、今後引き続き三年内の枠として基本的には今後の枠としても設定されておる、こういうことでございます。  したがいまして、私ども今回、土地取得業務につきまして三年間延長をお願いしておるわけでございますが、その三年間の延長の中で、今申し上げました一兆五千億の中の残り八千億について順次取得に努めていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  30. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 民都機構や住都公団で土地取得するというこのシステムは、さっき申し上げました建設省版RTCだと思うのでありますが、今このRTCは極めて緊急的に出動することが要請されていると思うのでありまして、土地取得の実績を今お伺いしますと、はかばかしくないというほどではありませんが、私が思っていたよりも割合低いレベルであります。これはアナウンス効果もありますので、ぜひひとつ積極的にお取り組みをいただきたいというふうに思います。  次に、民都機構土地取得するだけじゃなく、その土地を使ったプロジェクト、事業を展開するということになっておるわけでありますが、既に展開された事業の件数並びに幾つかの具体例として状況をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  31. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 土地取得業務によりましてことし一月までに取得した百十一件のうち、事業化をしておりますのが二十三件でございます。その中で工事が竣工した件数が七件でございます。さらに土地を既に譲渡したという件数が二件でございます。  既に竣工をいたしております中では、いろんな事業が立ち上がって事業が行われておるわけでございます。例えば高知の中心市街地のひろめ市場といったようなものが既に完成をして、いろんなイベント市場として非常に大きな集客力を有する施設として活用されておる、こういう状況でございます。例えばオープンの直後には、土日には七万人とか八万人といったような多くの方を集めているといったようなイベントをすることによって、非常にそういう格好でのプロジェクトとして成功しておるというのも相当数あるということでございます。
  32. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 百十一件の用地取得に対して二十三件が事業化する。四分の一ですね、事業化されているのは。ちょっと私はそこまで行くとは思っておらなかったんですけれども、非常にいい成績だと思うんです。中には失敗した例もあると思うんですけれども、今こういう時期でありますので、今の経済状況の中で全部が全部すんなりと成功するとは限りません。中には失敗した例もたくさんあると思うんですが、きょうはその失敗した例についてはお伺いしませんが、非常にいい成績を上げていらっしゃるなという感じがいたしました。  次に、それじゃ民都機構事業を展開するというこのスキーム、プロジェクトの一番最後の終着点は、その取得した事業用地を買い取っていただくというのが最終的な着地点というか終点になるわけです。今二十三件、完工が七件とおっしゃいましたでしょうか。七件の完工のうち、さっき二件とおっしゃったような気がするんですが、最後の終着点まで行って事業が終了した事業というのは幾つぐらいありますか。
  33. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 工事が竣工した件数が七件でございます。工事が竣工いたしますと、基本的にはその建物民間の者でありますが、その土地は民都機構から事業者に譲渡する、こういう格好になっております。途中で譲渡するものもございますけれども、そこの土地の譲渡をした件数が二件ということでございます。  したがいまして、工事が竣工し、土地を譲渡したというのが二件ということでございます。
  34. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 それで、私が思ったよりもいい成績を上げていらっしゃるような感じがいたしたわけでありますが、もちろんこの機構で今やっていらっしゃるお仕事の最大の任務は、不良土地債権処分がメーンだと思うのでありますが、しかし、かといって一定のバランスシートも当然のことながら考えなきゃいけない。  さっき申し上げたように、今こういう時代ですから恐らく失敗したプロジェクトもたくさんあると思うんですが、さっきの二十三件、一千九百億とおっしゃいましたか、事業化したプロジェクト。ここら辺の経済効果はどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、それについてお伺いいたします。
  35. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 二十三件で、その土地取得額が約一千億でございます。  これらの土地で具体的に建築のプロジェクトが行われておりますが、その建築費が約一千九百億円のプロジェクトが行われておる、こういうことでございまして、産業連関の係数から算出した建築費に対する波及効果を含めますと約三千六百億円程度の経済効果がある。土地は別でございますが、建物及びそれに伴う波及効果は三千六百億円ぐらいの効果がある、こういうふうに思っております。  その経済効果といえば、具体的な数字だけではなくて、先ほど申し上げましたような定性的な効果も、あるいはまた心理的な効果も大変大きいということであろうかと思いますので、地域経済の振興に大変役立っておる、寄与しておる、こういうことではないかというふうに思っております。
  36. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 今、最後におっしゃった心理的な効果というのは私は一番大きいと思うんです。申し上げましたように、今不良債権処理が最大の国家的な緊急課題になっております。そういったことで、ぜひ積極的にお取り組みをいただきたいと思うのであります。  次に、住都公団の事業と民都機構事業との整合性もしくは違いについてお伺いしたいと思うんですが、住都公団では昨年六月、土地有効利用事業本部を発足された。さっき違う質問での御答弁にありましたが、三千億の保証枠、これは金融対策トータルプランの中で出てきた三千億でありますが、その三千億の予算枠で土地取得するということになっておるんです。これは私はちょっと中身を知りませんので正確かどうかわかりませんが、今までお話しになりました民都機構事業と完全に重複するような事業ではないかと思うんですが、民都機構のきょう話題になっております土地に関する事業、住都公団の土地有効利用事業本部の違いと整合性についてお伺いいたします。
  37. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 先ほど来申し上げておりますように、民都機構による土地取得業務につきましては、基盤整備を必要としない、あるいは民間事業者によって基盤整備が行われることが可能なといったような、要するに低未利用地を民都機構取得をし保有をする。そして、建築物を建てるプロジェクトについての企画、調整を行うということで、プロジェクト自身を立ち上げるのは民間事業者、事業予定者なり売却した事業者がプロジェクトを立ち上げる、こういうものでございます。したがいまして、民都機構としては土地取得、保有してプロモートし、建物が建ったときに民間事業者に譲り渡す、こういう事業でございます。  後段の方の住都公団の土地の有効利用事業、これは三千億で今土地取得しておるわけでございますけれども、これは住都公団がいわゆる技術的なノウハウを非常に持っておる、こういうことで、虫食い地とか公共施設が十分でない、不十分な低未利用地、現状では民間事業者による都市開発事業ができないような困難なものについて、これを住都公団が取得して公団みずからが整形集約化する、あるいはまた公共施設の整備等、基盤施設整備を行った上で民間事業者に譲渡する、あるいは自分がみずから利用を行うということの事業でございます。  したがいまして、民都機構が行う事業と公団の事業とは、対象となる土地それから事業のノウハウを持っているか持っていないかといったような点からそれぞれの役割分担が異なっておるわけでございまして、その適切な役割分担に基づきまして、それぞれの特徴を生かしながらそれぞれが低未利用地を有効活用し、民間都市開発事業に有効利用を進めていこう、こういうことでございます。
  38. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 民間に任せられない土地を一言で言えば公団でやるということなんでしょうが、ここで住都公団をまた整理統合したらもう三回目ですから、恐らくそうもいかぬでしょうけれども、ちょっと何かお考えいただいてもいいんじゃないかなという気がいたします。  最後に、公団や機構事業整理後の土地を数年後に売却するという、そういうスキームになっておるんですが、その売却の価格を収益還元価格でするという報道があったんです。収益還元価格というのはまだ日本では確立をされた概念じゃないと思うんですが、収益還元価格で売却すると取得価格とのギャップが当然出てくるわけです。しかし、日本土地の取引が収益還元価格でできるようなことになれば革命的なことですので、多少税金を使ってもいいかなという気がするわけでありますが、収益還元価格で売却をするという報道がありましたことについてはいかがでしょうか。
  39. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 民都機構取得しました土地の譲渡の価格につきましては、これは省令で書くことになっておりまして、現在、鋭意最終的に検討中でございますけれども、当該事業見込み地の類地の時価並びに取得、管理に要した費用の額を考慮して算定した適正な額とするというふうにしたいと思っております。  原価をベースとして、譲渡時点の時価水準を総合的に判断して民都機構の全体の収支もにらみながら最終的な譲渡価格を決める、こういう格好になろうかと思います。その際、不動産鑑定士等の方々がお入りになっておられます価格審査会の議を経て適正な価格に決定する、こういう格好になろうかというふうに思っております。
  40. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 終わります。(拍手)
  41. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 前回、三月二十三日の審議の終わりに、住民参加の町づくりが大事であり、住民の意思を反映させるための手続面の強化とワンセットで行うのが当然と申し上げまして、大臣は次の課題として最大限努力するとお約束いただきました。このお約束が言葉だけで終わらないために、住民合意がいかに大切かについて具体的に住民の意思を反映させるための手続として問題点を申し上げて、真の公共の福祉に寄与する法律として整備することにつなげたいという観点に立って質問をさせていただきます。  まず、実態からお伺いいたします。  再開発事業区画整理においては、行政処分が出たときに審査請求ができることになっています。しかし、住民にとっては法的手段に訴えて争うということは時間的にも経済的にも難しいと言われています。明らかに手続に瑕疵があったり不法であることの立証がない限り、そのほとんどが却下されているという状況でもございます。  それでもなおかつ、都道府県や建設省に対して行政不服審査法に基づく審査請求が出されているケースも数多いと聞いております。例として区画整理事業ですが、再審査請求として建設大臣に出されておるものはどのぐらいありますでしょうか。
  42. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 建設大臣あてに提起をされております区画整理事業に関する不服申し立ての件数でございますが、これは平成十年では百四十一件でございます。
  43. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 この数について、どのように受けとめていらっしゃいますでしょうか。
  44. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 区画整理事業と申しますのは、先生もう御案内のとおり、一つ区画整理事業についての権利者が大変多うございます。それと同時に、また区画整理事業につきましての処分といいますか手続というのが、権利を調整し権利を動かすという点から非常に詳細ないろいろ細かい手続がございます。仮換地でありますとか換地計画でありますとかいろんな手続がございます。そういう処分の数が多いということも含めまして、全体としては不服審査の対象となる方、あるいはまた対象となる処分というのが非常に多いということであろうかと思います。  そういう点から申し上げまして、この件数につきましては、必ずしも多いというようなことではないのではないかということであろうかというふうに思っております。
  45. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 多いという、そういうようなことで受けとめていらっしゃるということだとすれば、そのことについて十分こたえていかなければならないことをぜひ踏まえて、細かくその中身について、なぜ住民合意がとられていないのかということについて把握すべきだというふうに思います。  それは後の議論といたしまして、これは平成十年三月三十一日現在での土地区画整理事業ですが、事業中のもの二千百三十三件ありまして、建設大臣あてに現在施行中の約七%、百四十二件出されております。これは人数ではありませんから、都道府県に対して出されているものはかなりの数に上るだろうというふうに思います。  審査請求を出しましてから何らかの回答が出たり、まれに問題の解決に至ることがあるそうなんですが、それはもうかなりの年数を要するというふうに聞いています。住民にとって最後の頼みの綱として建設大臣に訴えるわけですが、実態を踏まえた丁寧な審査をしてほしいというふうに思います。  現地調査、事情聴取などはしていらっしゃいますでしょうか。また、これにかかる人員、体制はどうなっておりますでしょうか。
  46. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 不服申し立ての審査の体制といいますか手続でございますが、行政不服審査法の手続にのっとってやっておるわけでございますが、不服審査の申し立てが提起されますと、私どもでは不服申し立て書に必要な記載事項がすべて記載されているかどうかといったような形式的な審査がまずございます。そこで不備であれば、補完をさせるなりあるいは却下をさせるなりという格好になるかと思います。  その後、施行者へ不服申し立て書の副本を送付いたしまして弁明の提出を求めるということでございます。弁明書の提出がなされますと、不服申立人に副本を送付いたしまして反論書の提出を施行者に求める、こういう格好になります。  不服申立人の申し立てがあった場合には、私ども当省職員が不服申立人による口頭の意見陳述の聴聞を行うという格好になっております。申し立てがなければないわけでございますが、申し立てがあれば私どもの役所の中で口頭意見陳述の聴聞を行うということでございます。  現地調査につきましては、それぞれ個別の状況になるわけでございますけれども、必要があればやるということもあり得る、こういうことでございます。
  47. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 人数、体制について。
  48. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 失礼しました。  建設省では、私どもの局の中に区画整理課というところがございます。その中で訟務対策官というものがございます。そこを中心にいたしまして、区画整理事業に専門的な者が口頭意見陳述をする、あるいは必要があれば現地に行く、あるいはそれぞれの都道府県から上がってくるとき都道府県といろいろ打ち合わせをする、こういう体制になっておるところでございまして、専任でやっておりますのが訟務対策官以下三名、併任でやっておりますのが六、七名ということで、約十名の体制でやっておる、こういうことでございます。
  49. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 とても本当に皆さんの不服審査にたえ得るという人数の体制ではないということがそれでわかるわけなんですけれども、これは本当に丁寧にやっていただきたいという観点から体制がどうなっているのかが心配でお聞きしたわけなんですけれども、本来は行政不服審査というのはなければない方がいいわけなんです。それよりも、事業の立ち上げ及び進行中の住民合意を十分とっていくことの方が大切だというふうに思っております。いずれにしましても、これだけの数の審査請求が出てくるということは、何らかの問題点があるんだということだというふうに思います。  そこで、住民に対する認識ですけれども、大臣、先週、住民の意見を聞くべきではないかということについてお伺いしましたときに、そういう方向に進んでいる、聞くべきだということを認めた上で、住民の考え方、対処の仕方が十分に確立されていないというふうにおっしゃいました。大臣には御自分の問題認識、悩みというものについて率直に語っていただいたわけなんですけれども、この言葉の意味は、町づくりに参加する住民にはまだ責任とか能力がついていないという、こういう意味なのかどうなのか伺います。
  50. 関谷勝嗣

    ○国務大臣(関谷勝嗣君) この不服申し立てでございますが、建設省に私あてに正式に提起されますものがそういうようなことで平成九年で百四十二件あったわけでございますが、それ以外に私個人あてに、るるこういうようなことで困っておるという私信的といいましょうか、いわゆる正規の不服申し立てのルールに乗ったものではなくして個人的に、全くこの整備事業だけではなくして個人的なことが私のところに結構たくさん来るわけでございます。そういうことはその文書を私が読みましてから担当の部署へおろしまして、自慢するわけではありませんが、よくぞ対処してくれたというお礼の手紙もいただいたりしておるところでございます。  ですから、正式のルートのこれを認容するとかあるいは棄却するというようなことは、それはルールにのっとってきちっとやっておると思うわけでございまして、その対策、それと先ほど先生が述べられましたように、いろいろなそういう事業に対しては前もってアカウンタビリティーというか、十分に説明責任を達成しておくということをやっていかなければならないと思います。  それと、今の先生の御質問は、今度は受ける側といいましょうか、地権者の方々もそういう意味においてもちろん不服審査をする権利もあるわけでございますが、それプラス、やはり河川であるとか道路をつくるということはその地域の方々の利益になるわけですから、そのことに対していささかの前向きの感覚というものも持っていただきたいという意味で述べたわけでございまして、決して地権者の方々がまだそういう感覚を持っていないという意味で言ったわけではありません。
  51. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 本当に不服審査とかそういうことをされた方に大臣は直接答えられて、答えるということの大事さを実感されたというふうに思うんです。  今おっしゃってくださったように、町のつくり方ということについては十分に研究してしっかりした考え方を持っていらっしゃる、参加の覚悟を持った人たち、私たちが描いております市民のイメージを地でいく人たちというのがたくさんいらっしゃるわけで、私もいろいろとインターネットなど、あとはいろんな情報などで伺いましたところでも、例えば小樽では旧国鉄の遊休地の活用の仕方について小樽まちづくり協議会をつくったとか、あるいは秋田県でも鷹巣町のワーキンググループは町営スキー場の運営の仕方について約一年かけて住民がスキー場の運営全般を考えるワーキンググループをつくったとか、北海道のニセコでもまちづくり懇談会という試みをしていたり、あるいは鹿児島でも川の護岸に遊歩道をつくった例があって、市民による市民のための公共工事というようなことをきちんとやっていらっしゃる方があって、自分たちで頑張っている例というのがたくさんあるわけなんです。  九二年の都市計画法の改正では、都市計画マスタープランを法制化して、その策定に当たっては住民参加を十分盛り込むというのが建設省の方針だったはずであります。そういう意味では、まず最初に住民を信用して、意欲能力のある住民とともに町づくりをしていくという姿勢を持って、そのことが市街地開発あるいは土地区画整理にも反映されていかなくてはいけないというふうに思っております。責任感も能力もある住民の人たちが積極的に勉強して努力をしているということでいろいろと問題を指摘されたという例もございます。  今回、一組合を例にかなり詳しい具体例を挙げたいというふうに思いますが、ほかの多くの事業とも共通の問題を抱えているということを前提にお話しして質問をいたします。  埼玉県桶川市の下日出谷東特定土地区画整理組合というのがあります。桶川市は人口七万四千の町で、この中に区画整理事業が組合施行で六つ、市の施行で一つ進行中で、二つの組合、一市施行の三事業が終了しております。全市で十事業です。国で最も区画整理事業が多い自治体で、一面模範的だとも言われております。それは、住民が町づくりを負担するという意味で模範的だということなんです。しかし、その裏には、多くの住民の協力がある一方で犠牲も伴っているということがわかってきました。  事業計画の変更認可がことし二月に出されております。その際に、事業計画の中身として道路や換地計画の一部が変更されました。そうした事業計画の変更に伴って当然予算も変わっているわけですけれども資金計画案の変更というのは一切示されませんでした。計画が変更されるというときに設計の概要のみが示されて、施行期間、資金計画については全く示されておりません。また、現在の進捗率が約六%でありながら、二年後の二〇〇一年には完成予定となっておりまして、住民がこの事業計画を不安に思って、かつ信用できないと感じているのは当然のことだというふうに思います。  先日、私のところにこの組合の方々がお見えになりました。ほとんどが数十軒のミニ開発をした小規模の地主の方々でしたが、主にそういう方々を中心に六百軒近く、約六割が移転いたします。地権者が設立時で九百三十六軒だというふうに伺っておりますが、設計の概要だけでなく施行期間や金額、実現可能な事業計画を示してほしいという住民の要求は、ごく当然のことだというふうに思います。住民たちが担っていく事業であるのに、基本的なデータも示されないのは非常におかしな話だというふうに思いますが、これはどのように思われますでしょうか。
  52. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 桶川市の土地区画整理事業、先ほど先生がおっしゃいましたように、大変多くの地区でやっておるわけでございますが、全体といたしまして大変事業がおくれておるということで、現在事業の再評価を実施しておるところでございます。  今、先生おっしゃいましたような点につきましても、仮換地指定後には事業資金計画を変更しようという予定にしておるようでございます。現在、事業計画の変更で施設配置の見直しを行った段階だと、こういうふうに承知をいたしておるところでございます。全体といたしまして、地域住民の皆さん方と、反対の方も中におられるということもございまして、全体の事業が進捗がおくれておるというふうに承知をしております。
  53. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 情報が非公開なんですよ。やっぱり住民を軽視した話からそんなふうになっているのだと思います。  まだ問題があります。事業計画が変更されて事業費用が約二割膨らんでしまったということです。この不況下、非常におかしな話だと思いますが、昨年の夏、建設省が実施しました都道府県の区画整理事業担当の主管課長会議を行いまして、その中でこんなふうに指導をされているんです。組合事業は保留地処分金など開発利益により事業費を確保する事業であるが、近年の経済情勢等から、大都市圏を初めとして、事業費の確保等に課題を抱えている例が見られる。その原因としては、保留地処分金の減少、移転補償費の増大等による支出の増大などが考えられる、その円滑な推進が求められるということで、項目が幾つか挙げられているわけなんですけれども、こういうことで出されております。  そこで、参考にしたいんですけれども、この中身と指導に至った経緯と理由、あわせてお聞かせをいただきたいと思います。
  54. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 平成十年の主管課長会議で、私どもが組合施行の土地区画整理事業について指導といいますか各都道府県にお願いをしたところでございますが、一つは、設立時における適切な資金計画をきちっと立案しなさいと。先生が先ほどおっしゃいましたように、資金計画を十分見直していないといったようなこともございます。そういうような適切な資金計画をきちっとつくりなさいということ。それから、事業途中における事業内容の見直しをきちっと図る必要があるということ。それから、保留地処分上の工夫をいろいろする必要があると。例えば保留地を一カ所にまとめるとか売却するとか、そういうふうに地元の皆さん方がうまく保留地を売ることによって事業費をきちっと捻出するといったようなことのいろんな工夫をすることによって事業の円滑な推進を図っていくことができないか。あるいは業務代行方式の活用でありますとか、そういうようなことについて組合事業をうまく円滑に行っていくように依頼をしたところでございます。  ただ、組合に対しまして直接の指導、認可、監督をいたしますのは都道府県知事でございます。したがいまして、私ども建設省といたしましては、全国の区画整理関係担当者を集めて、こういう例がある、あるいはまたこういうようにこういう制度活用したらどうだといったようなこと、あるいは都道府県に対しまして、こういうふうに組合に対して指導助言したらどうだ、監督したらどうだ、こういったようなことを間接的に、私ども、組合に対していろんなアドバイスを行うということであろうかなというふうに思っております。  そういう主管課長会議あるいはまたいろんなところを通じまして、私ども積極的にそういう格好での助言、支援をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
  55. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 バブルがはじけて、保留地の処分をしても全体の事業費の採算がとれないのも、これが全国の実態だというふうに思うんです。足りないから補助金をふやすことにはならないと思います。事業のチェックが必要だと思います。  この指導の中身については私は評価したいと思います。ただし、これを現実に反映させるためには、バブル時代の町づくりの考え方そのものを変えなくてはならないというふうに思います。また、公共事業改革の議論の中で、せっかくの見直しの機運が景気対策ということで消えてしまったという指摘も一方でなされているわけなんですけれども、同じようなことがこの区画整理事業の見直しについても言えるのではないかというふうに心配いたします。  昨年の末には景気対策、六百から七百億円投入されたということなんですけれども、この不況の中、このお金が有効に使われてほしい、そのためには適切な見直しが徹底されることだというふうに思います。この趣旨なんですが、実際の事業には生かされましたでしょうか。
  56. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 今、先生がおっしゃいましたものについて、私どもとしても積極的に生かしていっている、こういうことでございます。
  57. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 実態としては余りきちんと把握されていないというふうに私は思うんですが、法がどの程度機能しているかについても含めて、実態を把握する必要があるというふうに思うんです。  事業計画の見直しが必要な事業がどれぐらいあるのか、長期的に停滞してしまった事業がどのぐらいあるのか、またその事業がスムーズに進んでいるかの視点から審査請求の状況についても調査しておくべきだというふうに思いますけれども、それはいかがでしょうか。
  58. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 区画整理事業全体で、現在二千二百カ所ぐらい事業施行中でございます。そのうち、組合施行が約一千件でございます。そういう点につきまして、全体としてどういう進捗状況であるか、事業計画がどこまで進んでおるかといったような点についても都道府県を通じていろいろ把握をし、そういう進捗について支援する必要があるものについては、私ども積極的に支援していきたいというふうに考えておるところでございます。
  59. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 やはり法改正の際にきちんと説明できる資料というのもそろえておくべきだというふうに思うんですが、実際に今紹介しました下日出谷東のケースでは、当初百四十五億の事業費が、総代に対する勉強会を組合が実施したときには費用が百七十五億円になるというふうに示されております。  もう一つバブル的な発想から抜け出せていないことを示す例をお話しいたしますと、区画整理は引き家移転が原則です。つまり、なるべく従前の住居に近いところへ移転が原則というふうに聞いておりますけれども、最近の換地計画の中では飛び換地、玉突き換地が多いと聞いておりますが、大臣、玉突き換地を御存じでしょうか。
  60. 関谷勝嗣

    ○国務大臣(関谷勝嗣君) 局長答弁をいたします。
  61. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 飛び換地というのは、先生おっしゃいますように非常に遠いところに換地計画を立てるということでございますが、玉突き移転というのは、一つのところとほぼ同位置に新たな換地先の指定を行うということで、住宅等が連檐して既成市街地化したような住宅地におきましては、従前の宅地と新たな換地とが連担した住宅地を順次入れかえて、玉突きという格好で移転するというのが玉突き換地ということでございます。今回のように住宅地が連担しておりますようなところについては、そういう玉突き換地という例も見られるということでございます。  この点につきましても、区画整理事業でございます換地でございますので、当然のことながら照応の原則を踏まえて事業の施行上の必要性から行われているということで、事業費のむだだとかというようなことは一概には言えないというふうに考えておるところでございます。
  62. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 それでは、少し私の方でわかりやすく御説明しようと思います。(図表掲示)  大臣、これが玉突き換地です。現在のところ、赤い家、青い家、ピンクの家、緑の家とありまして、この道路を拡幅ということのために、これがほかから移転してくる人も含め、玉突きというのはビリヤードのことを考えていただくとわかるんですけれども、ほかから黒が入ってきて、これが赤、青、ピンクと動いて、この緑は数百メートル先へ移転するという、こういうふうにどんとなるんです。  これは動かしますと、大体最低でも一千二百万円から二千万円というふうに言われておりまして、本当に五、六カ所こういうのがあると億のお金になって、そして全国に玉突き換地がありますので、今度数十億とか何百億とかそういう形になりかねない。非常にむだなことになってしまうのだというのがこの仮換地案、こういうことになっているわけなんです。  非常にむだが多いわけで、これを見て率直な御意見を伺いたいと思います。今の局長答弁だと、一概にこれがむだだと言えないというふうにおっしゃいましたけれども、むだです。
  63. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 今の例でいろんなケースがあろうかと思いますが、一つの公共施設、公園とかそういうようなものが参りますと、そういうときには一つずつ換地をやっていくと、玉突きの格好での移転をやるといったようなことも起こるわけでございます。  いろんな具体のその土地状況等によってそういう玉突きのやり方、あるいは最後の方につきましては最終的には相当遠いところに換地がなる、こういうことになるわけでございまして、その地域の状況によって玉突き換地であるとか、あるいは非常に飛んだ換地であるとかというようなことが起こり得ると。ただ、それは少なくともいろんな意味で照応の原則には適合している必要がある、こういうことであろうかと思います。
  64. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 今、この周りからでもこの黒だけ別なところに行けばここの人たちが動かなくていいのにという、だれでもわかることをおっしゃったわけなんですけれども、当然のことなんです。こういうふうにして移転家屋が多くなって、住民の生活設計が完全に狂わされているという現状があるわけなんです。  土地の価格だけを基準に設計するので、例えば静かな環境のところ、あるいはきれいな空気を求めて引っ越してきた住民の価値観を反映しない換地が行われることになってしまいます。静けさを重視する方の家が交通量の多い場所に移転させられたりするわけで、あげくの果てに固定資産税も上がるということなんです。  それで、年金生活をしている方たちは、飛び換地で移転を余儀なくされて、そしてローンが組めずに不安で眠れない夜を過ごしているという真剣な話も伺いました。新築移転して五年から六年でローンがほとんど残っているというお話もありまして、これは当然納得できない当たり前のお話なわけなんです。  また、もう一つ、私は環境委員としては、地球環境を守らなければならないというときに、移転のために十分住める家が壊されて廃棄物も大量に出るということも、これも考えなくてはいけないというふうに思います。  大臣、今のお話で、飛び換地のこととか現状を少し把握していただけましたでしょうか。
  65. 関谷勝嗣

    ○国務大臣(関谷勝嗣君) これはもうあらゆることが関連していると思うわけでございまして、そういう公共事業あるいは区画整理、いろいろなことでその過半数と言いましょうか、多数の方がそういうようなことを受け入れないということになるならば、その区画整理ということは当然やめるべきことだろうと思うんです。ですから、今のそれぞれの国民の皆様方の考え方で、当然行政の事業というのは行われるわけでございまして、皆さんの理解がなければ何事も進めていくことはできないわけでございますから。  私は、行政の方の立場からいえば、その地域を区画整理してすばらしい町づくりをしていこうという基本的な考え方からスタートしておるわけでございますが、片やいろいろなそういう換地の問題等々で大部分の方が反対ということであれば、それは私はその事業をやめればいいんだろうと思います、それはもう百人が百人の同意を得てそういうことがやれるものではありませんから。私は、何も無理してそういう区画整理はやっていく必要はない、まだ今の状態であるならばやれませんから。  ですから、このことにおいても、七年間か事業はとまっているわけでしょう。七年間実施していないということでございますから、今のダムなどでも中止とかあるいは休止などをやっておるわけですから、そういう反対の方々の意見が強いものであるならば、それはもう私はやむを得ない、やめればいいことだろうと思います。
  66. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 今回の法改正の趣旨が今おっしゃったように事業を円滑に進める、早く終了するということが目的になってしまって、根本的な事業の見直しをやるべきだと。今、大臣がお答えになったことは、そのあたりの努力をきちんとしていくというふうにも受け取ってよろしいわけですね。
  67. 関谷勝嗣

    ○国務大臣(関谷勝嗣君) 私は、そういう意味におとりになっていただいていいと思うわけでございます。  ただ、今公共事業を行うときには、まず最初から、果たしてこれが本当に進むことができるのかどうかという、まず当初から恐怖心を抱いてスタートしているような状態であると思うわけでございます。そういうようなことがいつまでも続くのであるならば、今後から公共事業などはやっていくという地方公共団体もだんだん減ってくるのではないかという私は気がするわけでございます。  そこで、私が言わんとするのは、我々国民はその地域の発展のためには、いわゆる私権というものもいささか抑えるという感覚がなければ、今後の公共事業なんというのは一切できないと私は思っておるんです。ですから、そういうことはだめだという方が大部分であるならば、もう今後一切公共事業はなくなっても私はやむを得ないと思います。それは国民の皆さんが選ぶ道でございますから、それはそれに従わなければならない、私はそのように思います。
  68. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 今の話も、それから先ほどのむだなということは、自治体が非常に財政的にも圧迫されて国も当然そういう影響を受けることになるわけですけれども、この区画整理事業法律に基づいているものですから、事業全体がもし赤字になるようなことがあれば、その負担は住民だけでなく自治体が担っていくということになるわけなんで、やっぱり本当に考えなければいけないというふうに思うんです。  先ほどの住民の責任感の話なんですけれども、地域の特性を物理的にも社会的にも熟知していて自分の町を愛する、何とかしたいというふうに考えている方々がたくさんいらして、こういう方たちが再開発区画整理制度に悩まされているという状態はやっぱり間違っているというふうに思うんです。こういう方たちがどんな声を持っているのか、その力というものを積極的に生かしていくことこそ活力のある都市づくりの根本だというふうに私自身も思います。  まだその考え方、対処の仕方が十分確立されていないということではないというふうに私も今、大臣の答えでよくわかりましたけれども、やはり町づくりは皆さん自分の問題としてとらえている、しかも反対、賛成があっても実践する中で身についていくものだというふうに思っておりますので、ぜひ住民の意見を十分に反映していくべきだということで、大臣、その辺の今までのところのまとめの答弁をお願いしたいというふうに思います。
  69. 関谷勝嗣

    ○国務大臣(関谷勝嗣君) 岡崎先生の述べられたことはそのまま私も賛成でございます。  ですから、ある委員会で私は述べたんですけれども、これから公共事業というのはそっくりその地域の関連の方々に頭から全部お任せする。そして、法律的なこと、税制のことあるいは融資のこと、そういうことでおわかりにならない場合は、その担当の部署にどうぞお聞きくださいというぐらいのことをやっていかなければ、なかなか今後進めていくことはできないんじゃないかと正直私は思っておるわけでございます。  ですから、住民の方々といろいろ論議をし合う、情報はもちろん第一歩から交換し合っていくということを徹底していかなければならないと思っております。
  70. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 大臣は先ほど、法改正を急いできちんと円滑に図っていかなければいけないということについての趣旨をおっしゃいました。先週のちょっと繰り返しにもなりますけれども、さまざまな制度で誘導して事業を早めることが、かえって問題点を先送りあるいは深化させて、結局事業をさらに長引かせる、あるいは住民の間のあつれきを深めてコミュニティーの破壊をもたらしてしまうという、それがもう回復できなくなるというおそれもあるわけなんです。  住民の意見はその時々で適切に反映されていくことが望ましいわけなんですが、区画整理事業の場合、現行では、事業計画案に対して行政施行では当該行政に、組合施行では都道府県知事に対して意見書を出せることになっております。しかし、これも審査請求と同様にほとんど却下されてくるというふうに聞いております。事業を施行したり許認可をおろす主体に対して意見書を出す制度になっておりますので、認可をするのも意見を聞くのも同じ、いわば行政と裁判所が一つになったようなものなんです。意見に対する判断もやはり審査請求と同様ということになりますと、私は、客観的な立場で住民の意見に対して審議をしたり苦情処理をする町づくりオンブズマンなどの制度が必要なのではないかと思いますけれども、この点に関してはいかがでしょうか。
  71. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 事業計画に対する縦覧、意見書の提出といったような区画整理法上のいろんな住民の意見を聞く、あるいはそういう手続が定められておるところでございます。  そういう手続についても、私ども区画整理を担当する部局として、いろんな皆さん方の御意見あるいはまたどういう手続があるのかといったような点についての相談の窓口、とりあえずの苦情の窓口といったようなものについては、私ども、本省あるいは都道府県あるいは市町村等々で事業をやると同時に、そういう相談に乗るような体制をやはり整えておく必要があるというふうに感じておるところでございます。  私どもの本省でも、そういういろんな苦情がありました場合には、まちづくり相談室といったようなものもつくっておりますし、区画整理課の中の担当がそういう苦情についていろいろ御相談に乗るといったような体制もとらせていただいておるところでございます。
  72. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 法律上非常に民主的にやっていくという意味では、事業者と住民との橋渡し、クッションとして勧告という立場ででもできるわけでありまして、先ほどの玉突き換地あるいは飛び換地、資金計画案の見直しなど、今ここにあります例は六十六通りの意見が出されているんですけれども、これ全部却下されているんです。事業計画変更案とともにむだな事業について見直してほしい、資金計画の伴わない事業変更はおかしいと、当然の意見が出されているというふうに思うんです。  これは県知事に対して六十六通りの意見書を出した中身ですけれども、その却下のされ方がすごいです。これ三ページにわたって書いてある意見書なんですけれども、回答はこれだけです。「本意見書に係る意見は不採択といたします。」、これはたった一行なわけなんです。これだけで六十六通りすべてが却下されるという回答の出され方、八カ月もかかっているんです。こういう状況についてはどう思いますか。
  73. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 今のお話は、都道府県知事の意見書の処理で、理由が示されず不採択あるいはまた非常に時間がかかったにもかかわらず理由を示していない、こういうことであろうかと思います。  法律上は、そういう意見書を提出した者に採択するかどうかということの通知をしなきゃならぬとか書いてあるだけだということでございますが、理由を示してなお一層の事業への理解を求めることも全体の円滑な事業の進捗のために大変重要なことであろうというふうに思うわけでございます。  私どもとしましても、できる限りこういうふうなところに、通知に理由を付すように都道府県にもそういう話をしていく必要があるというふうに思っておるところでございます。
  74. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 だめ押しをするわけじゃないんですけれども土地区画整理法の第二十条に、事業計画の縦覧及び意見書の処理というところで、二十条の一項には、二週間公衆の縦覧に付す、そして二項目のところで、縦覧期間満了の後に都道府県知事に対して意見書を提出することができる、三項目のところで、事業計画に必要な修正を加えるべきことを命じて、その意見書に係る意見を採択すべきでないと認めるときには、その旨を意見書を提出した者に通知しなければならないというふうにあるわけですから、私はここに、意見書には理由を付して回答しなければならないという一文をつくればいいんじゃないかと思うんですが、大臣、いかがですか。
  75. 関谷勝嗣

    ○国務大臣(関谷勝嗣君) このことは私もそのように思いますので、各都道府県に、却下をする場合にはどういう理由であるということはきちっと明記をしていくべきだろうと思いますので、私の立場で指導ができるものなら文書も流したいと思います。
  76. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 大臣、ありがとうございます。  ぜひそういうふうにして、これだけ真剣に検討して六十六通りも出したことについて一行で答えることのないように御指導、そして徹底していただきたいというふうに思います。審査請求の場合には最低五、六年が常識で、もっと時間のかかることが多いというふうに聞いております。今回の法改正の趣旨にも反するということになりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  あわせて、住民合意のとり方なんですけれども都市計画法では、都市計画の決定に当たって公告、縦覧、意見書、公聴会などの住民参加の手続を不十分ながら保障をしております。まず、住民参加を促して地域全体で町づくりをするために、区画整理事業の認可前に事業計画案の概要を示して、公聴会などを実施して幅広い意見を聞いて議論を深めた上で組合を設立する仕組みをつくるべきで、その際の事業計画というのは、仮換地案の概要程度まで住民にわかるように示すくらい丁寧なものにすべきだというふうに思いますが、この点はいかがでしょうか。
  77. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 組合の設立に当たりましては、定款とか設計の概要、事業施行期間とか資金計画を明らかにした事業計画を定めることとされております。ただ、この段階においては、換地計画はこれから詳細にいろいろ詰めていくという段階でございますので、換地計画の作成は特に必要とされていないわけでございます。  これは、換地を定めるに当たりましては、区画道路の配置とかに対して地権者間の合意が図られていることが必要であるということで、それらを事業計画において確定した上で、一定のいろんな資金等を必要とする換地の設計作業あるいはまた権利者調整を行っていくということが合理的であるということで、そういう格好事業計画の段階では換地計画の作成をやっていない、こういうことでございます。  今回の事業の前倒しといったような点につきましても、そういう事業計画がきちっとできる段階ではしかるべき事業の縦覧等をやっていく、こういうことの手続はきちっととっていく、こういうことであろうかと思っております。
  78. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 大体、説明会は全体で一回というのがありますし、ひたすら判こをもらうというのが非常に多いわけなんですね。やっぱりみんなで問題の認識を深めていくまでには時間がかかるということだと思います。  もう一つ提案したいと思うんですけれども、今回の法改正案では、事業計画を認可する前に設立を認めるということが定められておりますけれども、むしろ設立の際には換地計画案まで示した後の同意を条件にすべきではないかと思いますけれども、それはいかがでしょうか。
  79. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 先ほども少し申し上げましたように、前倒しで設立の認可をやるときには、換地計画そのものがまだ調整が十分に済んでいないということでございますので、その段階ではまだわからないということで、今申し上げましたように、事業計画をきちっとやった段階で手続をきちっと進めると、こういうことであろうかと思っております。
  80. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 合意ができるまでには時間がかかるかもしれませんけれども、一たん組合が設立されれば事業はどんどん進んでいっちゃうというふうに思うんです。  これはアメリカの例ですけれども、オレゴン州のポートランドのメトロポリタン計画委員会、大変有名なわけなんですけれども、二十一年もの間、州政府、大学、住民を巻き込んだ議論をしました。その結果、広域行政体メトロがつくられて以来、町づくりが着々と進んだと。今でも五十年後の町づくりを見据えて、徹底した情報公開と住民投票を重ねながら慎重に問題を解決して町づくりを進めているということなんですね。民主主義の先駆者として、こうした事例に学ぶところが非常に多いというふうに思いますが、一歩ずつでもこうした町づくりに近づくために丁寧な合意形成はあってしかるべきだというふうに思います。  換地計画についても一定程度の権利者の合意を義務づけてはどうかというふうに思います。組合の設立と同様に、三分の二を義務づけるのに何の不自然もないというふうに思うんですが、これはどうでしょうか。
  81. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 区画整理組合における換地計画につきましては、現在、一般の議決事項といたしまして単純多数決で決するという格好にしておるところでございます。区画整理事業につきましては、事業を始める場合あるいはまた事業をやめる場合には三分の二の合意を必要とするということでございますが、事業中の一般の手続については単純多数決ということでございます。  こういう要件によりまして、区画整理事業の換地計画の議決についての手続を進めておる、こういうことでございます。それによりまして住民の合意形成を図っていっている、こういうことでございます。
  82. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 何かはっきりしなかったんですが、組合の設立と同様に換地計画についても権利者の合意を義務づけるという、その三分の二の義務ということについて今どのようにお答えくださったんでしょうか。
  83. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 今の区画整理組合における換地計画につきましては、先ほど申し上げましたように、単純多数決で決するということにしておる、こういうことでございます。先生の御指摘は、三分の二以上の特別の議決、同意を必要とするようにすべきではないかと、こういう御趣旨の御質問かというふうに理解をしましたが、今申し上げましたように、組合の設立とか事業を始めるとかやめる場合には三分の二の合意が必要だと、こういうことでございますが、換地計画の議決については過半数で決める、こういう手続を今とっておる、こういうことでございます。
  84. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 その御意見にも異議ありということなんです。本当に三分の二でも三分の一は反対しているということですから、九百世帯の三分の一は三百世帯です。ちなみに六百世帯が移転ということで、先ほどの例で言いましたら二百世帯がこれ反対ということになりますから、非常に事業が難しいということになるわけなんです。  ぜひ、そういう意味では、今後ともより多くの人たちの町づくりに対する意見をきちんと聞くという姿勢で対処していただきたいというふうに思うんです。  この下日出谷東区画整理組合に対しては、できるだけ民主的な運営が図られますように、またスリムな計画の見直しができるように、建設省としても適切な助言をして見守っていただきたいというふうに思いますし、同様な例がありましたら、建設省としては可能な努力をしていただきたいというふうに思います。  法律は生きている住民のために、そしてよりよい町づくりのためにという、この両方が生かされない限りは法律の存在価値が問われます。それを頭に入れてぜひ努力をしていただきたいと思いますので、大臣に最後に言葉をいただきまして、質問を締めくくらせていただきます。
  85. 関谷勝嗣

    ○国務大臣(関谷勝嗣君) ですから、時間はかかるということをその地域の方々が御理解をするならば、私はそれでいいと思うんですが、片や、公共事業が余りにも時間がかかり過ぎるじゃないか、早くて十年、長いのは二十年以上やっても全然進まないというような声もあるわけでございますから、そこの折り合いというものをどうすべきであろうかと私は正直のところ思うんです。  いずれにしましても、そういう反対の方が大勢いらっしゃるならばそれを進めていくことはできないわけです。ですから、今後の私の基本的な考え方とするならば、当初からお互いに、十分なる条件なりあるいは区画整理内容なりを十分に話し合っていく、そしてその大部分の方の御理解をいただくまでは時間がかかろうがそれはやむを得ないという感覚、それだけその区画整理がおくれてもやむを得ないということが世間の常識となるならば、私はもうそれでやっていったらいいんだろう、そのように思います。
  86. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 終わります。
  87. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十二分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  88. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) ただいまから国土・環境委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、都市開発資金の貸付けに関する法律等の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  89. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 佐藤雄平でございます。  先週、今週とそれぞれ同僚議員の本法案についてのいろいろ質疑がありますけれども、基本的には、私はやっぱりその地域、その場所における町づくりをどういうふうにしていくのか、そこに帰するかなと、そんな思いであります。  その中で、私は昨今のいろんな青少年の問題、社会問題、こんなことを考えていくと、やっぱり一つの背景として町づくりもうんと大事な、青少年の動静についても影響しているかなと。そういうふうな中で、今度の法案そしてまた行政については、一つは合理性それから機能性、こういうふうなことを求めていくと思うんですけれども、それと同時にもう一つある意味では心の、いわゆるソフト面での、青少年、地域社会そしてまた共生意識というか共同体意識というか、そんなことを醸し出すような一つの町づくり、こんなこともうんと大事なことであろう、そんなふうに思うんです。  まず、基本的な再開発も含めた町づくりについての大臣の考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  90. 関谷勝嗣

    ○国務大臣(関谷勝嗣君) 午前中の質疑でもございましたが、これからのいわゆる地域づくりというものが本当に大きな曲がり角に来ておるのではないかと思うわけでございまして、今、委員のお言葉の中にございましたように、やはり共生という意識がなければ今後の事業というのはスムーズに進まないんじゃないかなという感じを私は抱いております。  話は別になりますけれども、先般私は、地元である町のいろいろな総合事業、例えば庁舎であるとか保育園であるとか学校の校舎の整備であるとか、そういう総合の落成式がありまして、そのときに、今、地方分権地方分権と言っておるけれども、そういうのもやっぱり地方の方も真剣に、ただ権限が移譲されるからといって喜ぶだけではなくして、それだけの努力もしないといけないし、意識も持たなければいけないし、それだけの人材も出てこなければそんなことはどうにもなりませんよ、そういう状態でないところに分権されたのでは町民に迷惑がかかる話ですよというようなことをお話ししたのでございますが、そういうふうに町民というか市民というか、総ぐるみで町づくりをやっていく。ですから、当然、透明度というか、話し合いというのは当初から徹底的にやっていくということをやっていかなければならないと思うんです。  そして、そういう中にあって、今までのような道路であるとか下水道であるとか公園というようなもの、そういう水準も当然引き上げてはいくわけでございますが、そういうことも含めて文化だとか安全であるとかにぎわいであるとか交流であるとか、そういう本当の心のと言いましょうか、ソフトと言うとそれが的確な言葉かどうかわかりませんが、今までのようなハードのものだけの整備というのではなくして、これからはソフトの、心の、そして人間の日々の生活そのものに温かいものが当てられていく、あるいは予算もそちらの方向に持っていくというようなところに来ておるのじゃないかなと思うんです。  ですから、午前中の岡崎先生質問のときにもお答えしたんですけれども、とにかくそういうことで、公共事業は余りに時間がかかり過ぎるというのであるのならば、それなりのやっぱり共生意識で皆さんに協力してもらわないと全然私はやっていけないと思うんです。  ですから、公共事業を早く完成しろと言いつつ、百人の方が了解されなければならないというようなことをおっしゃられたらそれはもう何もできぬわけですから、世論が、公共事業というのはそういうようなことで五十年かかろうが六十年かかろうが結構だというのであれば、何も私たちもそういう焦った、焦ると言うとおかしいんですが、そういう動きをする必要はないわけですから、これからはもうどちらの方向に行くにしても住民参加、住民が第一人者、それを行政者がフォローアップするといいましょうか支援をしていくという、そういう都市あるいは地域の再開発ということになってくるんじゃないかなと、私はそんな思いをいたしております。
  91. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 二、三日前に、あれはたしか日経新聞か何かで、まさに今、大臣の話で住民参加、あれは総武線か中央線のある都下の都市開発ですか、そこでまさに文化という点から取り上げて団地の中に小劇場をつくったと。そうしたら、たまたまそこに脚本家がいて、改めて町同士で何か公演をしてみようかなんという話になって、その地域の人がみんな参加できるようなシアター、百人ぐらいの小さな劇場だそうですけれども、そんなことも住民が納得するある意味では一つ都市開発かなと、そんな思いをしたわけであります。  次に、再開発事業の中で、どうしてもやっぱり時間がかかる。これは、ある意味では行政的にも今までは問題があったのか、また地権者のその土地についてのこだわりがあったのかなと、そんな思いがするところであります。  その中で、これは今まで同僚議員から何回か出ている話でありますけれども、今回のいわゆる都道府県知事からの長期化解消のための認可の簡素化という点では非常によろしいんですけれども、やっぱり地域の方の意見をまさに今、大臣が言ったような話の中でどういうふうにして取り上げるかということだと思うんです。  事業主体それぞれあるにつけても、補助金面でのいわゆるトップ行政、こういうふうなところへなかなか対等というか直接的に物を言えるような状況でないというのが現況であるかと思うんですけれども、その地域の方が、また周りの商店街の皆さん方も、それから周りの直接かかわりある人じゃない人もいろいろ意見を言うことのできるような情報収集機関というか、そんなことが何らかの形で整えられるような方法というのはありませんでしょうか。  その辺についての一考をお願いしたいと思います。
  92. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 先生おっしゃるように、町づくりは、住民主体で地方の特性を生かした町づくりをやっていくということが非常に重要なことであろうと思っております。地方公共団体あるいは住民あるいは民間事業者が有機的な連携を図りながら地域の特性に合った町づくりをやる、市街地開発事業もそういう格好でやっていくことが大変重要であろうというふうに思っております。  その際に、地域の住民が主体的に計画的な町づくりに参加しながら実情に応じた事業を進めていくというために、例えば町づくりセンターでありますとか町づくりの活動の支援でありますとか、あるいはコーディネート業務をやるようなものに対する補助制度でありますとか、そういう制度を創設いたしまして、地域住民の意向を反映した計画づくりをまずやって取り組みを強化していくということが非常に重要であろうかと思っておりまして、住民の意向を適切に反映しながら事業を推進していくということであろうかと思っております。  今回の措置も、そういう観点から種々いろいろな点についての住民の意見をくみ上げ、官民の役割分担を図りながら、民間事業あるいは地元の意思を尊重しながら民間活力を活用した都市開発を促進していこうという趣旨というふうに考えておるところでございます。
  93. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 局長、これは河北新報がずっと何かシリーズでやっておりまして、本当にこれを見ると、事業主体を三セクでやって売れないところがあったりして、結局その管理する法人を三セクでつくっている。せっかく商店街近代化振興計画でやったんだけれども、しかしながら、その地域の人、いわゆる周りの商店街の人は、何で我々が売れなくなってしまったといって、これは通産省の事業なんでしょうけれども、売れなくなってしまった。しかも、その商店街もその地に合った商店街づくりができなくて、これを読んで見ると、コンサルタントが地域性をよく考えなくてつくってしまったからこんなことになってしまったんだ。みんなそれぞれ、やっている事業者も被害者であるし、また周りの人も被害者であるし、やっぱり精通していない問題がいろいろあった。  そんなこともあるものですから、そこをいわゆる市、県、国それからまた事業主、この辺が本当によく連絡をとり合うような形をそれぞれ行政サイドの方から指導するべきであろう、そんなふうに思っているところでもあります。  次に、今の景気を考えると、まさに土地の流動性が滞っておる、土地が動かないことが一つの大きな不景気の原因にもなっているのであろう。そんな中で、本法案についてはまさに土地の有効利用ということをうたっているわけでありますけれども、この法案も出るであろうということで、それぞれ関係者はもうそろそろ熟知しているかなと。このお題目の土地の有効利用、さらにまた土地の流動性等については、今の段階で関係者、事業者あたりからいろんな話が出てきているのかどうか、その辺についてお伺いしたいと思います。
  94. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 今回の法律の改正によりまして民間事業による再開発を推進するということで、税制、予算あるいはまた事業資本の改善といったようなことを盛り込んだわけでございますけれども、そういう今あれしております内容につきまして、公共団体や再開発の地区内の地権者等も大変大きな期待を持っていろんな点について私どもに照会やら、あるいはまた、いろいろ事業の準備をしたいといったようなことで話を持ち込まれているところが大変多うございます。  具体的には、市街地開発事業の無利子貸し付け、例えばそういう点につきましても今約二十、少なくとも最初のそういう地区においても制度活用が早速図られる見込みでございますが、それを上回る照会が非常にいろんなところから、事業をやりたいという方あるいはまた事業を実施しておられる方々についてもそういう照会がございます。  そういうことから、私どもといたしましても、この法律の制定につきまして周知徹底を図ると同時に、そういう制度の施策充実に努めていきたいというふうに考えているところでございます。
  95. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 大規模再開発事業、これについて今までいろいろ聞いておりますが、その中でどうしても保留床が大量に残ってしまうというのが本当に大きな問題になっておって、そのために保留地の管理法人をつくったりして、三セクあたりは、それでまたその地域からは税金を使っているんじゃないかなというふうなことで責められている。これは本当にどういうことなのか。  それはもう当然、私は余りにもその再開発の中で、いわゆるかつての右肩上がりの経済のときにやってしまったことがこの状況を招いてなかなか売れないというのが大きな原因ではないか。現実問題として、今までそこにいた住人さえも、もうとても管理費とか家賃等でとどまることができずに外へ行ってしまう。そうなると、再開発意味というのが、何かそこの文化も地域性も失われてしまう、そんなことも結果として現象として出つつあるのかなと。  そういうふうな中で、これからの再開発土地区画も含めてであると思いますけれども、今までとは違った、今まではどちらかというと高層建築、これが何となく一つの再開発のシンボルであったわけですけれども、そういうふうな中で今後の再開発については、本当に土着した、先ほどのお話じゃありませんけれども、文化をも含めたそんなものに切りかえなきゃいけないのではないだろうか、そんな思いがするところでありますけれども、その辺の所見についてはいかがでございましょうか。
  96. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 再開発事業区画整理事業も含めまして、現在、保留床、保留地の売却により事業費を捻出するというのが基本の手法であるわけでございますけれども、今先生指摘のように、保留地、保留床の処分が大変難しくなってきておるという状況でございます。そのために事業が長期化する、あるいは資金の調達が非常に困難になっている、こういう状況でございます。そういう中で、大口取得者の需要が減退してきておる、景気が停滞しておるということも一つの原因かと思っております。  そういう中でこの再開発事業を推進していくためには、保留床について管理する保留床管理法人というものをつくりまして、長期の賃貸経営によって事業資金を回収していくといったような新たな方式を採用していくということも、非常に大きなメリットがあるということで有効であろうというふうに考えておるところでございます。そのために、十一年度からは保留床管理法人というものを位置づけまして、その保留床管理法人に対します無利子貸し付けについても対象にして支援をしていくというような制度を創設していきたいということでございます。  その際、先生が先ほどおっしゃいましたように再開発事業が、保留床、保留地を事業費の確保のために大きく取るということで高層の建物をつくるといったようなことがややもすると今まではあったわけでございますけれども、そういうことだけではなくて、いろいろなその地域、その地区のニーズに合った規模の、ニーズに合った用途についての事業として成立させていくということが大変重要であろうと思っております。  そういう意味でも、比較的現在堅調な床需要が存在いたします住宅整備をあわせてやるといったようなものでありますとか、あるいは地域として大変必要な福祉施設とか文化施設といったような公益施設を再開発事業の中で導入していくといったような社会ニーズ、地域の実情に合ったさまざまな工夫を行っていくことが大変必要であろうというふうに思っております。  そういうような私ども制度上の優遇措置を講じたところでございまして、今後とも、そういうようなきめ細かい市街地開発事業の推進を図っていきたいというふうに思っているところでございます。
  97. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 今度のこの法案については、ややもすれば大都市の再開発というふうな受けとめられ方をしないでもないんです。地方都市はそれぞれまた駅前の再開発事業なんというのをやっているんですけれども、将来的に、最近Uターン現象みたいなのが起こっており、特に第一線で活躍した人がいずれふるさとに帰ろうか、そんな気持ちの中でリタイア組の方がそれぞれ生まれたところに帰る、そんな現象が出つつあるかなと、そんな思いであります。  私は、そのときに地方都市における再開発事業、ややもすれば今、新幹線に乗っていってもどこも何か同じような光景に映ってしようがないのでありますけれども、そういうふうな中で、今後の地方の再開発事業の場合、大きな何かその地域ごとのテーマを決めながらやってみるのも一つの手かなと、そんな思いでもあります。  再三繰り返すようでありますけれども、その地域の特質を生かした一つのまさに土着した都市開発事業、そんなことをぜひ念頭に入れていろいろ進めていただきたい、そんな思いでありますけれども、その件についてはいかがでございましょうか。
  98. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) ただいま先生がおっしゃいましたように、市街地開発事業は、都市の拠点整備を担っていくという点から、大都市における再開発都市の再構築といった面と同時に、地方の中心市街地等について事業の推進を図っていくということも大変重要になってきておるということであろうかと思います。  先生御案内のとおり、中心市街地活性化法も去年成立をいたしまして、現在各地域で基本計画がつくられつつある。今年度末で約百を超える市町村が基本計画をつくり、公共事業と同時に商店街の振興もあわせて商業政策といいますか、産業政策と同時に町づくりを総合的にやっていこうという試みが進められているところでございます。  私どもも、そうした地方の中心市街地整備に当たりましても、私どもの持っております区画整理事業市街地開発事業についてもより一層きめ細かいそういう対策、そこでの事業の推進といったようなものが先ほども申し上げましたように必要になってきておる、こういうことであろうかと思っております。
  99. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 あと、再開発組合に対する予算的な措置、これは前もお話が出ましたけれども、十七億円というのは余りにもけたが違うんじゃないかと思ったんですけれども、今後この貸付金というか予算的な措置というのはどんなふうにお考えですか。
  100. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 市街地開発事業につきましては限られた予算の中で、平成十一年度の予算につきましては十七億円の確保が図られたわけでございます。  この無利子貸付金制度につきましては、先生御案内のとおり、再開発に係ります事業に対しましては、補助制度でありますとか低利の開銀の融資でありますとか、そういったような制度に加えまして、資金調達が難しくなってきておる、あるいは事業期間が長期化してきておる、こういったような状況に対処することを目的にして無利子貸付制度を創設したという経緯でございます。総合的な組み合わせの中で有効に市街地開発事業の無利子貸付制度活用していきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。  十七億円につきましては、私どもできるだけ有効に活用していきたい。例えば、事業の認可前の準備組合に対しまして無利子貸し付けを行うということになりますと、無利子貸し付け一件当たり準備段階で約二、三億円かかるということになれば、二、三年かかるということになれば一年に一億円、その中でいろいろ先ほど申し上げましたような開銀融資等々の足らないところを無利子貸し付けで行うということになれば、一地区当たり一千万とか二千万とかの無利子貸し付けで対応してやっていく。あるいは事業そのものにつきましても、保留床の処分でありますとか補助でありますとか融資でありますとかの足りないところの無利子貸し付けをやるということでございますので、一地区当たり数億円のオーダーで何とか無利子貸し付けの対応ができるんじゃないか、こういうふうに考えておるところでございます。  決して多いという数字ではございませんけれども、とにかくこの無利子貸付制度をスタートさせていただいて私どもとしては最大限効率的にやっていきたい、こういうことでございます。
  101. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 土地区画整理事業なんですけれども、組合でやっている土地区画整理事業の中で保留地の処分金というのを非常に組合というのは当てにしているんです。バブルのときに組合の設立が始まって、それで今日まで来ている。保留地の処分金を当てにしていたんだけれども、それがバブルのときと今ではもう全くそのけたが違うぐらいになってしまった。そのときの組合の中で、公共施設をその処分金の中でつくっていこう、それを一つのうたい文句にしておりまして、それが結果的にはできずじまいになっている。そのために、ある意味ではまた売れないというふうな状況もあるんです。  しかし、結果的には今の状況ではとても公共施設、これはあえて申し上げると集会施設みたいな、区画整理事業をした後に立派なものをつくるというふうな前提でやっていたにもかかわらずその処分金がうまくいかなくてできないでいるんですけれども、こういうふうないわゆるお題目の公共施設、こんなものをお手伝いできるというような方法は何かありませんでしょうか。
  102. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 先生指摘のように、区画整理事業では、道路、公園等の施設に加えまして集会所等の公共施設等の土地利用の促進のために必要な物件の設置を区画整理事業の方に含めて行うことができるということになっておりますが、保留地処分金の収入が予定を下回るといったようなときには、集会所の整備は道路、公園に比べて取りやめられるというケースがあるというふうにも聞いております。  そういう場合には別事業としてやらざるを得ないということになりますので、例えば地権者等から負担金を取るとか、あるいは地方公共団体が予算を確保するとかというようなことが一般的になるわけでございますけれども、私ども建設省といたしましても、例えば街並み・まちづくり総合支援事業といったような事業制度もございます。あるいはまた、他省庁の文部省とか自治省の起債の制度でありますとか、そういう制度等の活用が可能であれば、そういうことにつきましても幅広い各種補助制度対象に検討するように私どもとしても指導していきたいと思っておりますし、私どもとしても街並み・まちづくり総合支援事業制度活用をできる限り図っていきたいというふうに考えておるところでございます。
  103. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 都市の再開発事業また区画整理事業、これが一体になっているケースもいろいろあります。私は、ずっとその実態を見ていますと、帰するところは自治体の動静だと思うんです。片方で区画整理事業が進んで、片方で河川事業がちょっとおろそかになって、また街路事業も別途おろそかになっているようなところもしばしば見受けるんですけれども、やっぱり今後一つ事業主体、これは場合によっては町であり市であり組合であるかもわかりませんけれども、そういうふうな中で完成年次が一緒になるというようなお互いの計画のすり合わせというか、そんなことをしながら、結果的に総合的ないいものができたという形になるような一つの行政指導というか、思いをそれぞれ相談に来る皆さんがいると思いますが、そんな指導を進めていっていただきたい、そんな思いであります。その件について、これで最後になりますけれども、御所見を願います。
  104. 関谷勝嗣

    ○国務大臣(関谷勝嗣君) 確かにおっしゃるとおりだろうと思いまして、いろいろな分野を総合的に開発また整備していくということでいかねばならないと私も思います。
  105. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 ありがとうございました。
  106. 弘友和夫

    弘友和夫君 私は、先日の委員会でも、またけさもいろいろ論議になっておりました財団法人民間都市開発推進機構、いわゆる民都機構について少しお尋ねしたいと思うんです。  民都機構の行う土地取得・譲渡業務というのは、今回の法改正でさらに三年間延長するということでございますけれども、平成六年にこれは始まったわけです。  この業務が追加されたのは、平成六年二月八日に出されました総合経済対策におきまして、民間都市開発事業による土地の有効利用の促進のため、民都機構において民間都市開発事業の用に供する土地の先行的な取得を行う制度を五年間の措置として創設する、こういう施策が打ち出されまして、それによって法改正をして土地取得・譲渡業務というのが追加された。だから、この土地取得・譲渡業務というのは、民都機構の本来的な業務である参加業務とか融通業務、そういうものじゃなくて、あくまでも臨時かつ緊急の措置として導入されたということで認識しているんです。  今回、これを五年間からさらに三年間延長しようということに至ったことに対しまして、どのような認識、背景、また必要性があるのか、まずそれをお尋ねします。
  107. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 民間都市開発推進機構は、御案内のとおり六十二年にできたわけでございますけれども、その後、平成六年に土地取得業務が追加されたわけでございます。  平成六年当時、土地市場全体が低迷をしておるという中で、都市部を中心に有効利用されないまま放置されて低未利用地が発生しておる、こういう状況を放置すると、良好な町づくりにつながる民間都市開発事業の種地が細分化したりスプロール化されるということが大変懸念をされたということでございます。こういうスプロール化することを防止するために、公的主体によって事業用地を先行的に取得して、一定期間用地を確保するという制度が必要であるということで創設されたわけでございます。  したがいまして、その際にも、土地市場が回復をいたしまして、民間ベースで土地都市開発事業用地として適正に供給されるようになるという状況になった場合にはそういう特別な仕組みが必要であるということではないだろうということで、五年間の時限の業務という格好で創設されたということであろうかと思います。  今現在五年間たったわけでございますけれども、その経緯から見てまいりますと、依然として土地市場は低迷をしておるという状況であろうかというふうに認識いたしておりまして、土地取得業務を必要とする状況は続いておるということで土地取得期限の延長をお願いしておるものでございます。  速やかな経済の再生を図るという政府全体の目標がございますので、延長期限につきましては、さらに一定の期間の時限という格好でお願いをしたいということで今回お願いを申し上げておるところでございます。
  108. 弘友和夫

    弘友和夫君 私は、民都機構のそもそもできたというか、それをお聞きしようと思ったら時間がありません。これは中曽根民活路線のときに、バブルのときに、民間のそうしたものを使って都市の町づくりをやろうというようなところから始まっているわけです、御承知のように。  ところが、土地譲渡業務を導入したときと民都機構ができたときと状況が全く違うわけです。民間の力を利用してというよりも、民間土地が動かない、不良債権を抱えている、いろいろなものを国が動かしてやろう、少し助けてやろう、こういうことなわけです。だから、全然意味が違っている。それを同じ民都機構がこの業務をずっとまた三年間延長してやってもいいものかどうか、ちょっと性格が違うのじゃないかという認識がまずあるわけなんです。  これは財団法人ですから、例えば先日からの議論で、非常に内容的にわかりにくい、どこから土地を買ったのか、幾らで買ったのか、何をしようとしているのか、これを情報公開せいと、こういうお話がございました。それはきちっとやっておりますというようなお話でございましたけれども、政府がやる、または特殊法人が、特殊法人もいろいろ問題はありますけれども、しかしある程度このごろはオープンにしていかなければならなくなった。ところが、財団法人であるということで、法律でこういう一兆五千億の特別枠をつくってどんどん政府が公的資金を注入している。その割には、先日も大臣が答えられておりましたけれども、公的資金の投入というのは、銀行はいろいろなそういう監視体制ができてきた、だけれども少し弱いかなというようなお話がございました。  私はまさしくそういう部分が、例えばこの委員会にも、普通であれば、住都公団であれば委員会に来てくださいと言ってもすぐ来られるんですけれども民間ということで理事会に諮ったりとかなんとかしなければ気軽に来ていただけないということもあるわけです。だから、そういう機構が弱い、そして一兆五千億、今半分近くでしょうけれども消化しているというところに少し問題があるのじゃないかという気がいたしております。  せっかく総務庁、人事院の方が来られていますのでお尋ねしますけれども、この間、総務庁に土地区画整理士のときにお尋ねしたように、総務庁が行政監察に入られて、この民都機構の役員は、常勤役員中いわゆる天下りが何人なのか、指定法人全体の平均の数字はどれぐらいであるのか、ちょっとお願いします。
  109. 東田親司

    政府委員(東田親司君) お答え申し上げます。  指定法人等の指導監督に関する行政監察というテーマで平成九年九月に勧告しております。  お尋ねの役員でございますけれども、まず指定法人等の役員の総数は、非常勤の方も含めまして全体で一万七千九百十三人でございました。このうち常勤の役員が千五百五十人でございまして、さらにその中で元公務員であった常勤役員が五百九十四人ということで、常勤役員の三八・三%になります。これがまず全体の状況でございます。  それから、お尋ねの財団法人民間都市開発推進機構の役員はどうなっているかということでございますが、私どもの調査では、平成八年度の実績でございましたが、役員総数が三十三人いらっしゃいまして、うち常勤の役員の方は八人でございました。この常勤役員八人の中で元公務員の方が五人、六二・五%、こういう実態でございました。
  110. 弘友和夫

    弘友和夫君 指定法人全体の常勤役員に占める公務員の数というのは、今三八・三%であると。民都機構は八人中五人ですから六二・五%、圧倒的に多いわけですね。  それともう一つは、給与というか指定法人の常勤役員報酬の平均値。それから、人事院の方にお聞きしたいんですけれども民間企業への天下りをされたその平均年収、わかる範囲で結構ですけれども、一言で。
  111. 佐藤信

    政府委員佐藤信君) 私ども人事院では、営利企業への就職承認の申請の際に参考までに予定年収額をお聞きいたしておりますけれども、これは実際の確定的な額を把握しているわけではございません。  そのような前提の上で申し上げますと、相当なばらつきがございますけれども、平成十年の場合、平均で約千二百五十万円でございます。
  112. 東田親司

    政府委員(東田親司君) 先ほどの指定法人の調査の結果におきまして役員の給与の状況がどうなっているかということでございますが、回答に御協力いただきました法人の役員の千百八十二人についてお答えをいただきました。  ただ、その際、絶対額ではなくて階層別に私ども集計させていただきまして、その結果、一番多い階層が一千万円を超えて一千五百万円以下、これが三百十四人ということで二六・六%、次いで五百万円を超えて一千万円以下が二百九十八人、二五・二%、三番目が一千五百万円を超えて二千万円以下の者が二百十八人で一八・四%、こういう実態でございました。
  113. 弘友和夫

    弘友和夫君 では、民都機構の常勤役員の平均年収は幾らですか。
  114. 東田親司

    政府委員(東田親司君) 先ほど申し上げましたように、個別の法人の役員の給与額につきまして御協力いただいたものですから、階層別の集計ということで公表いたしております。  それで申し上げますと、平成八年度の調査時点の実績は、先ほどの階層別分布状況では千五百万円から二千万円の階層に役員の方々の給与が入っていたという状態でございました。
  115. 弘友和夫

    弘友和夫君 天下りだとかこういうことは、公務員制度全体のことについて一回ちょっと検討しないと、ここだけやっても難しい部分があるんですけれども、ただ、平均が一千万前後、この間お聞きしたのでは民都機構は二千万ぐらいだと、こういうふうなことで、その中にあって、ではどういうことをやっているんだというのが明確であればどんな高給を取っても私は構わないと思うんだけれども、非常に不明確な部分がある。  適正にやられているとこの間から言われている。そうだろうと思うんです。ただ、今まで百十一件ですかある中で一つだけ、長銀を例にとっても、平成十年の三月に買い取りをしましたですね。そのときに価格審査会があって、適正に合っている。ただ、その価格審査会の中には長銀の方も入っているわけです。だから、自分のところの土地を買うのに自分がそこに入っていたのでは、それは適正にやられているのかなという気がします、そのときはどこかに席を外したのだということでしょうけれども。  だから、そういうことを適正にやられたにしても、全部明らかにされないと適正なのかどうなのかということもわからない。今までやった分についてはそういう約束じゃないわけですから、どこから買ったというのも公表しないということになっている、価格も公表しない、またどういうことをやるかも計画の変更があるからしないというのであれば、今までのは今までである程度はいたし方ない部分があるかもしれない。ただ、今から三年間延長しますよということであるのだったら、これはやはり情報公開をきちっとやるべきじゃないか。情報公開をきちっとやりさえすればそういうことは言われないわけですから、ぜひこれはやるべきじゃないか。  何でしないのか。今百十一件といっても、今までに千二百件ぐらい土地を買い取ってほしいという要望があるわけでしょう。だから、全部公表しますよと言ってオーケーをとったところを買えばいいんですよ。無理に何も公表してもらいたくないというようなところから買わなくたって、いっぱい要望は僕はあると思うんですね。  なぜ公表をしないといけないか。それは、今後の事業に影響があると言われるけれども、本年一月十三日、土地政策審議会、後で公示価格の問題をやるんですけれども、意見を取りまとめられていますね。これは、信頼ある精度の高い地価の算定には、その材料となる不動産の取引価格、支払い賃料等の情報を市場から入手し判断する必要があると、必要な情報開示のおくれや情報開示のための仕組みの構築について指摘がされているわけです。「情報の開示が不十分な場合、投資リスクが増大し、価格自体が低く評価され、国際的にも市場から取り残されるおそれもある。」云々というのは、これはことしの一月に土地政策審議会がそういう意見を出しているわけです。  だから、どれぐらいの価格で土地が取引されたのかという情報もきちっと出していくというのが今からの流れだと思うんです。それを、政府が政府保証一兆五千億円やって、政府がやるわけじゃないんだけれども、そういう事業に対して、その価格も情報も出されません、どこから買ったのか言えません、何をするかも言えませんというのでは、これはいかぬのじゃないかと思う。だから、今後新たに三年延長するに当たって、ぜひ、これは公表しますよ、いいですよと言ったところから買っていくと言うべきだと思う。  それと、事業をやりますというと、先ほどから町づくりの話がありましたけれども、周囲は、では一体何ができるんだろう、どうなるんだろうと不安でたまらないと思うんですね。ある程度途中で変更があるにしても、こういうことをやるんですよというのは当然公表してしかるべきだと思いますけれども、いかがでございましょうか。大臣、どうですか。
  116. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 先生のおっしゃるように、情報公開をすべきじゃないかと、こういう御議論でございます。  私ども、できるだけ情報公開の趣旨に沿って各行政について努めてまいりたいというふうに思っておるわけでございますが、民都機構取得いたします土地につきましては、従来から土地の所在でありますとか契約年月でありますとか、取得面積でありますとか事業目的でありますとか、そういったようなものについては公表をさせていただいてきたところでございまして、また、ことし二月からは、同意のある物件については企業名も公表をさせていただいた。順次そういう格好で情報公開の方向に沿って対応してきておるということでございます。  ただ、しかしながら土地の価格につきましては、先生いろいろ御議論がございますけれども一つには、売り主の資金事情が明らかになるということによりまして売り主に不利益を生じさせるおそれが大きいといったようなこと、さらに加えまして、民都機構にとってみれば、近傍類地の以後の価格交渉に支障を来すおそれがあるといったようなことから公表は差し控えさせていただいておるところでございます。  事業内容等につきましては、先生が先ほどおっしゃいましたように、そういう企業名を公表することを前提に買ったらどうだという御議論等々もあろうかと思います。私ども事業内容等については、今後どの段階でどの程度のことが公表できるかといったようなことについて早急に前向きに検討していきたいというふうに思っておる次第でございますが、価格につきましては、例えば一般的に公共用地など他の公的機関が行う土地取得につきましてもそういう同じような取り扱いをさせていただいておるということでございますので、ぜひそういう格好での御理解をいただきたいと思っております。
  117. 弘友和夫

    弘友和夫君 大臣、国土庁長官として、この土地政策審議会の意見、要するに情報開示が不十分だったら投資リスクは増大する、いろいろ言われている、情報開示すべきだと。これは国土庁の中で、土地政策審議会でそうした意見が取りまとめられているわけです。片一方で、政府が肩入れをしてやっている事業で、それは公表しませんよというようなことでは整合性がないんじゃないかなと思うんです。  だから、今までのはそういう約束じゃないからいいです。今から三年間延長するわけですから、そういうことも考慮してぜひ前向きに答弁していただきたい。
  118. 関谷勝嗣

    ○国務大臣(関谷勝嗣君) 私も委員のお考え方にもう九九%近いのでございます。九九%近いのでございますが、一つのケースとして役所から説明されたのは、例えばある企業がその土地を売った、それを公表されると、もうあの企業は土地も売らなければならないほど大変な財政状況かというふうにとられるようなことだってありますよというようなこと、それを伺ったときはなるほどとは思いました。  ですから、いずれにしましても、もう大体、例えば事業内容などは同意がなくとも事業計画後には公表するというふうになっておりますし、そういうようなことで今後新たに公開する項目というのがいろいろできてきております。事業計画熟成前におきましても今後は事業内容を公開するようになっているとか、あるいは事業予定者名というのも同意がなくても今後は公開する方向に今進めていきよるわけでございまして、御指摘のように私はいずれなってくると思います。これは、すべて公表するというところに、もう一歩手前まで来ておると思いますのでいましばらくお待ちを願いたい、そのように思います、この一覧表を見ていただいたらおわかりですけれども
  119. 弘友和夫

    弘友和夫君 九九%のあとの一%が大事なんです。だから、今までのはいいですよ、もうこれは約束じゃないんだから。この三年間、千何百件も要望があるわけです。そういう条件で公表しますよ、それでいいのだったら買いましょうと、それでも十分に買ってくれというのはあると思いますので、ぜひそういう方向でやっていただきたい。
  120. 関谷勝嗣

    ○国務大臣(関谷勝嗣君) 今の最後の先生の御意見、私も大変うなずけることでございます。  今まではこのルールで来ておるわけですから、今後のものはそういうふうにするという方向でやっぱり私もやるべきだと思います。
  121. 弘友和夫

    弘友和夫君 あと住都公団と一緒にしたらどうかとかいろいろありましたけれども、時間がありませんので、今度別の機会にやりたいと思います。  次に移らせていただきますけれども、今、土地流動化云々ということがございました。それと同時に、貸し渋り対策で公共事業の前倒し、追加の対策だとかいろいろということで、要するに中小企業向けの特別信用保証枠二十兆、今十四兆ぐらい使われているそうですけれども、また八月ぐらいにそれが終わったらあと十兆ぐらいやろうと、こういうことを今景気対策でやっています。それと、土地が動かなければならないということでこういうことをやっているわけです。  ところが、相当矛盾している部分がございまして、不動産業者に対して保証協会保証づきの融資が受けられないという実態があるわけなんです。こんなばかなことはないんじゃないかと調べてみたら、実際そのとおりになっている。  それは何でかといいますと、「不動産代理業・仲介業、不動産管理業の保証取り扱い要領」、これは全信連ですけれども、全国の信用保証協会に回っている資料です。それには「登録・団体加入等」「不動産代理業・仲介業」という項目がありまして、それともう一つ不動産管理業」、これには「昭和六十年八月五日・建設省告示一一一五号の登録を行っている者。」、こうあるわけです。  まずお聞きしますけれども不動産業というか、全国そういう不動産・宅建業という免許を持っておる方は何人、何社ぐらいあるんですか。
  122. 木下博夫

    政府委員(木下博夫君) 御質問の免許ということは、宅地建物取引業でございますが、これで免許を取っておりますのが全国で十四万一千ございます。  ちょっと念のためでございますが、不動産の場合は、管理をするものとか取引をするものとかいろんな分野がございますから、そういう意味では、例えば法人統計とか企業統計などではもう少し大きな世界が業界にあるということは申すまでもないことでございますが、そういう状況でございます。
  123. 弘友和夫

    弘友和夫君 十四万一千の不動産代理業・仲介業、全部が管理しているわけじゃないけれども、やっているわけです。その町の不動産屋さんが、マンションだとかアパートだとかの管理を頼まれて管理している。ところが、銀行に行って保証協会保証づきの申し込みをしたら、決算書を出したときに、そういう管理をしているじゃないかと、ではあなたは中高層分譲共同住宅管理業者登録規程という資格を持っていますか、持っていなければまず最初からだめですよと、こうなっているわけです。  では、この資格というのは全国で何社ぐらいありますか、現に。
  124. 木下博夫

    政府委員(木下博夫君) 御質問の御趣旨は、昭和六十年に建設省で告示を出しておりまして、中高層分譲共同住宅管理業者登録制度、ちょっと長くなりますが、これは要は共同住宅といいましょうかマンションなんかを管理しておりまして、申すまでもなく管理業者の育成が結果的にはそこにお住まいの方々にとってプラスになる、あるいはマンションの多くの場合は管理業務を委託いたしますので、その際入居者が管理組合をつくりますので、その方々に情報を提供させていただくことが結果的にプラスになるであろうということで、全国で現在四百九十八の業者がございます。  ちょっとつけ加えて申し上げますと、先ほどの十四万一千というのは、くどいわけですが、先生もおっしゃられたように、取引とかいろんな仲介をいたしまして、いわば管理業になりますともう少しその中で内訳、免許は直接関係いたしませんが、二万四千社ぐらいがいわば不動産の管理をやっている、こういう世界でございまして、ちょっと回りくどい説明をいたしましたが、状況はそうなっているところでございます。
  125. 弘友和夫

    弘友和夫君 ですから、賃貸、管理は一緒になっている。賃貸もあるわけですね。賃貸、管理をやっている。要するに、中高層分譲共同住宅管理業者、この登録をしていなければ、決算書に管理とかいうものが入っていたら借りられないわけです、最初から。だから、今言われたように、この資格というのは全然趣旨が違うんですね。そうでしょう。趣旨が違うから、十四万の、その中で二万幾らと言ったけれども、もっと僕はあると思うのです、賃貸、管理というものを含めてやると。そういう人は最初から門前払いされる、この項目があるがために。だから、これは趣旨が違うんじゃないかと思う。  この実態を、通産省来られていますか。
  126. 殿岡茂樹

    政府委員(殿岡茂樹君) 今お尋ねの信用保証協会の保証業務の範囲でございますけれども不動産業につきましては、不動産業を取り巻く状況でございますとか地価に与える影響等につきまして、関係機関と協議してその範囲を定めているというふうな状況でございます。  現状を申し上げますと、投機を目的とした土地売買業以外は対象とするということになっておりますけれども、一部の業種につきましては、信用保証協会のサイドで対象者の要件というのを設定しているということがございます。先生指摘のように、不動産管理業につきましては中高層分譲共同住宅管理業者登録規程の登録を行っている者について対象とするということになっておりまして、この結果として御指摘のような状況があることと承知しております。
  127. 弘友和夫

    弘友和夫君 今、保証協会がそうしているんですよと言われたけれども、それは違うんです。建設省なり通産省なりがこの項目がないといけませんよと言わなければ、そんなものは保証協会が入れるわけはないんです。どうですか。どっちがこれを入れるように言ったんですか。
  128. 木下博夫

    政府委員(木下博夫君) これは基本的には通産省がお答えいただくことで、私が先にお答えするのはいささかあれかと思いますが、お話しのございましたように、共同住宅を中心とした管理業というのは、狭いといいましょうか限定されておりますから、それだけを要件にするというのは、おっしゃるように今日時点においてもう一回検討する必要があろうかと思います。  ただ、当初はいろいろ経緯がございまして、言うまでもないことでございますが、今の経済状況では、土地とかそういうものを取り扱う者に対して積極的に信用保証をしてバブルがまた復活する状態ではいけないということで、むしろ不動産そのものは比較的慎重であったと私は理解しております。  ただ、業者の中には今おっしゃったようにいろんな業態がございますので、すべてこの中高層分譲共同住宅管理業だけで不動産管理業を取り扱うにはいささか要件的には限定され過ぎているという感じは持っておりますので、当時、信用保証協会なりができるだけ信用のおける企業を選ぶという意味一つの尺度として選ばれたと私は承知しておりますので、今後通産省ともよく御相談していきたいと思っております。  お答えがずれたかと思いますが、指示をしたということはございません。
  129. 殿岡茂樹

    政府委員(殿岡茂樹君) ただいま建設省の方からお答えがございましたけれども土地をめぐりましたいろいろな御議論の中で、この保証協会の業務につきましても現在のところこういう状況となっていると。その過程におきましては、先ほども申し上げましたけれども、私ども中小企業庁と関係省との議論の上でこういうガイドラインを設けたということでございまして、状況の変化に応じて見直すべきことがあれば見直していくということで建設省の担当部局とも御相談をしているところではございます。  ただ、全体の仕組みを改めて申し上げますと、不動産業につきましては、冒頭申し上げましたように、土地投機を目的とする者以外は対象にするということで、かつ全国信用保証協会連合会というところで一応のガイドラインをつくっております。これに基づいて個々の信用保証協会が御判断をするというときに、やや信用保証協会ごとに厳格な適用あるいは緩やかな適用といった差があるような状況もあるようでございます。
  130. 弘友和夫

    弘友和夫君 要するに、四百九十八社しかない。全然別の角度からの資格なんですよ。土地の投機をあれするといったって、土地の売買までいいですよということを追加して大蔵省は通達を出したでしょう。だからそういうふうになっているわけです。要するに、こういうものがある。これは意図されたものじゃないわけです。建設省でも意図していないんです。全然違うんです。だから、これを撤廃すべきだ、そういう状況じゃないかということを今言っているわけです。どうですか。
  131. 殿岡茂樹

    政府委員(殿岡茂樹君) ただいま申し上げましたように、土地をめぐる状況というものも変化してきておりまして、これを踏まえた適切な保証範囲の策定ということが必要な状況に来ているというような認識のもとに、現在、建設省の担当部局と具体的な御相談を申し上げているところでございます。  先生おっしゃるように、この制度を設定した者が先ほどおっしゃったような状況まで排除するつもりでつくったのかどうか、そこのところについても必ずしも明確ではございませんで、先ほども申し上げましたように、協会ごとにこれの解釈をめぐって若干取り扱いに差があるのも事実でございまして、問題のないものであればそういう方向に直すべきものと考えております。
  132. 弘友和夫

    弘友和夫君 建設省はどうですか。
  133. 木下博夫

    政府委員(木下博夫君) 今の中小企業庁のお答えで足りていると思いますが、ちょっとつけ加えさせていただくと、先生おっしゃったように、管理業ということでの一つのグルーピングがございますのは、その業者の方は例えば不動産の代理業とか仲介業もあるわけでございますので、そういう意味ではいろんな顔を持った業者をどう評価するかというのも、これは実は保証する際に見分け方もあろうかと思いますので、現場は現場なりにいろいろな目安がないと、なかなか貸すかどうかということに対しての判断がしにくいことがあってそういう一つ要件を決めていると思いますが、今お話しありましたように、これからも両省でよく御相談をさせていただきたいと思います。
  134. 弘友和夫

    弘友和夫君 最後に変なことを言うから、また言わぬといけなくなる。  要するに、代理業・仲介業があって管理業があるんです。では、代理業・仲介業だけで出したらどうですかと、こう言ったって、決算書を出したら管理も入っているわけですから、あなたは管理もやっているじゃないかと、こうなるわけです。だから、これについては建設省として、通産省、中小企業庁にこの趣旨は違いますよと言うのか。そしてまた、中小企業庁も実態に合っていない、それぞれの保証協会の解釈が違うようなことじゃ困るわけですから、それはきちっとなくしてしまえば一番いいということですから。  もう一回、いろいろ言わないで、そういう方向でやるかやらないかだけ。
  135. 木下博夫

    政府委員(木下博夫君) おっしゃられたように、管理業について大変幅広い業態があるということは十分我々承知していますので、その辺を十分しんしゃくしながら通産省とも御相談をしていきたい。  積極的な貸し渋り対策を政府として打っているわけでございますから、その趣旨をいわば損ねるようなことではいけないと思っております。
  136. 弘友和夫

    弘友和夫君 要するに、そういう方向でやっていただくということで解釈をいたします。  余り時間がございませんけれども、そういう問題と関連して地価公示のあり方について、先日、三月二十五日付で地価が発表されました。八年連続下落して、全国平均の数値で商業地八・一%、住宅地が三・八%、そういう大幅に下げ幅が拡大した、このような報道がございますけれども、こうした現状に対する背景をどう認識されているか。大臣、あれでしたら伺いたい。
  137. 生田長人

    政府委員(生田長人君) 今回の地価下落の背景ということでございますけれども、基本的には、昨年一年間の景気の低迷というのは需要の減少という形を通じまして地価に影響を与えた面が大変大きい、このように考えているところでございます。  特に住宅地につきましては、景気の悪化に伴いまして雇用の問題であるとかあるいは将来の所得の不安であるとか、こういったものが大変大きな影を落としたということ、それから商業地につきましては、消費が冷え込んだということもございますのと、企業のリストラに伴いましてオフィス需要が減少したといういわば需要面からの下落要因が一段と強まったということが大きな原因ではないかというように考えております。
  138. 弘友和夫

    弘友和夫君 それで、土地の価格というのは、今回発表された地価公示、それから相続税法による相続税評価額と地方税法の固定資産税評価額、それから国土利用計画法による基準地価格と、同じ土地で四つ価格がついて一物四価と、これはいろいろ指摘がされているわけです。  順番に簡単にお答えいただきたいのは、公示価格、これを調査するとき何地点で費用がどれぐらいかかったのか、それから国税庁は、何地点調査をしてどれぐらいの費用がかかったか、それから自治省、市町村がやっているので自治省はどうなのか、簡単にお答えください。
  139. 生田長人

    政府委員(生田長人君) 地価公示についてお答えを申し上げたいと思いますが、今回の地価公示は全国で三万八百地点の標準地について行っておりまして、総費用額は約四十四億円でございます。  それから、都道府県の地価調査でございますが、これにつきましては、平成十年度、昨年の地点でございますが、三万五百地点でございまして、費用は都道府県の分も合わせまして約二十二億円でございます。
  140. 成瀬宣孝

    政府委員(成瀬宣孝君) 固定資産税につきましては、宅地だけでも全国約七千万筆の評価を行う必要があるわけでございますけれども、その代表的な標準宅地として、例えば平成九年度の評価がえにおきましては約四十一万地点を選定しておりまして、このうち地価公示や県地価調査との重複地点を除きました必要最小限と考えられます約三十八万地点につきまして市町村が独自に鑑定評価を行っております。  また、これに要しました鑑定費用でございますが、特に調査はやっておりませんけれども、標準宅地一地点当たりの鑑定評価に要します費用を約六万円程度と仮定いたしまして試算をしますと、およそ二百三十億円が三年に一回の評価がえにおいて鑑定評価に要した費用となるものと推計されます。
  141. 森田好則

    政府委員(森田好則君) お答えいたします。  相続税評価におきます標準地でありますが、全国の民有地について評価する必要がございますので、宅地のみならず農地、山林等についても広範に標準地を設定しているところであります。  調査地点につきましては、その地域の路線の状況、地価事情を勘案いたしまして、その付近の最も標準的な画地を選定し、不動産鑑定士による鑑定評価のほか、地価事情に詳しい精通者の意見も求めているところであります。  十年度でありますが、標準地数を言えば約四十五万地点、調査費用は約三十億円ということになっております。
  142. 弘友和夫

    弘友和夫君 三十億。
  143. 森田好則

    政府委員(森田好則君) 三十億です。
  144. 弘友和夫

    弘友和夫君 それぞれがそれをやっている意味というのがよくわからないんですね。意味といえば、それは税金を取るためにやるんですけれども、国土庁は三万八百地点ですね。それぞれ四十一万、それから四十五万。国税庁の三十億というのはちょっと少ないんじゃないかと思うが、それはあれですけれども。要するに、そういう費用をかけて何でばらばらにやらなければならないのか、その意味がよくわからない。  やった結果どうなっているかと言ったら、要するに、相続税だったら地価公示価格水準の大体八割程度、これでやりなさいよ、こうなっているわけです。固定資産税だったら七割程度を目標に、こうなっているわけです。ばらばらに調査をしておいて、結果は公示価格の八割程度それから固定資産税は七割が目標値、どういう意味なのかよくわからない。  もう時間が余りありませんけれども、一言ずつどういう意味なのか答えてください。
  145. 生田長人

    政府委員(生田長人君) 地価公示価格について簡単にコメントさせていただきます。  地価公示価格といいますのは、基本的に目的が、公共事業用地取得するに当たりまして正当な補償のために、その補償金を算定する基準としての役割を果たさせていただいているわけでございます。そのほかに、一般の方々が土地取引を行う場合の指標にしていただく、それから不動産鑑定士の方が鑑定評価を行う場合の基準にしていただくということを目的としてございます。それから、先ほどの相続税あるいは固定資産税の評価を行うに当たっての目安としての位置づけを与えられている、こういうことでございます。
  146. 成瀬宣孝

    政府委員(成瀬宣孝君) 固定資産税におきます宅地の評価を地価公示価格の一定割合としておりますことにつきましては、平成元年に制定されました土地基本法におきまして公的土地評価相互の均衡と適正化を図ることとされたこと等を踏まえまして、政府税制調査会などにおけるさまざまな議論を経まして政府の方針として決定されたものでございます。  この一定割合の具体的数値につきましては、固定資産税の性格と地価公示制度の趣旨との相違、あるいは昭和五十年代の地価の安定期におきます地価公示価格に対する固定資産税評価の割合等から七割としたものでございます。また、この三割の開差というものは、価格調査基準日と賦課期日との間のタイムラグによる地価の変動を調節する機能をも持っているものというふうに考えております。
  147. 弘友和夫

    弘友和夫君 もういいです。大体言うのはわかってきた。  いろいろ理由を言ったって、要するに最後は七割。タイムラグと言ったってどうせ一年に一回しか、三年でしょうけれども、地価の場合は、相続税は一年に一回。相続時点の価格とか言ったって、ではそのたびに物件ごとにやるんだったらいいですよ。そうじゃないんですから。そして七割程度、こうなっているわけですから。それだったら、最初から地価は国土庁なら国土庁が調べて、税金であればそれに税率を変えて掛ければいいんであって、わざわざ別々に調査をやる必要はないんじゃないかと思う。  あとまだ、どういう評価方法をしたらいいかというのは、もう時間がないからまた別の機会に譲りますけれども、何でばらばらにするのか、今理由を聞いてもよくわからない。  大臣、どう思われますか、国土庁でやっている地価公示。
  148. 関谷勝嗣

    ○国務大臣(関谷勝嗣君) 先生の理屈が通っているようでもあるし、さりとて今の私の知識では、やはり相続税というものの考え方と固定資産税、確かに八割、七割にやるんですから公示価格があれば足りるといえば足りるんだろうと思いますが、しかし私は、まだ何かどこか必要なんじゃないかなという、ちょっと答えが出ないんですけれども、経済局長答弁させますから。
  149. 生田長人

    政府委員(生田長人君) 地価公示価格と、相続税あるいは固定資産税の場所の違いがあると思います。公示価格の場合には、極めて近傍類似の代表的な地点を選びまして、そこの代表地点のものを出すわけでございますけれども、それの関連で、それとは違うところを基本的にやっていただくということになっておりますので。
  150. 弘友和夫

    弘友和夫君 だから、私はさっきから言っているんです。三万カ所でしょう。片一方は四十何万カ所をやっているわけだから。また四十何万カ所をやっている。それだったら、国土庁で八十万カ所やったって同じ費用でできるわけですから、そっちの方がよっぽど公示価格地点をたくさんして、同じ価格が出るじゃないですか。  だから、三万地点だから、地点が違うと言うんだったら、そういうことで同じ費用でもできるわけです。それは理由にはならないということを申し上げまして、時間が来ましたので終わります。
  151. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 前回に続きまして、民都機構について質問させていただきます。  私は前回の審議で、独自の調査をもとにして、民都機構土地取得業務が、経営危機に直面した企業の救済とか業績不振企業の資金繰り、決算対策に使われているのではないかと指摘いたしました。また、ゼネコン、不動産、銀行、製鉄会社などから派遣されている職員らが派遣元企業の意向で、所有物件や関連企業の物件の購入決定とか価格査定で有利になるように活動しているのではないか、そういうことを指摘いたしまして、現在五十八名いるその出向職員の派遣元企業、これの人数を公表するよう要求いたしました。  本日、理事会に、ここにあります配付資料が出されたわけですけれども、出向元企業の業種別の内訳を人数が多い順に挙げていただきたいと思います。
  152. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 先ほど提出させていただきました集計でございますが、適宜私どもの方でくくったくくり方で恐縮でございますが、建設関係が十八名、それから金融関係が十六名、それから公的機関が十名、それから不動産関係が六名、その他、商業等が入っておりますが八名ということになってございます。
  153. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 このリストを見ますと、鹿島、大林、大成、竹中、熊谷組など大手ゼネコンがずらり名を連ねているわけです。  土地取得契約企業と出向職員の受け入れとの関連について独自にちょっと調べてみたわけですけれども、例えば熊谷組の場合には、これまで少なくとも四つの所有物件を買い上げてもらっている。こういう形で出向職員の派遣元企業の物件を優先的に取得していると指摘されても仕方がない実態があるのかなと、そういうふうに思うわけです。不動産業でも、福岡地所の所有物件を少なくとも三件取得している。これはどういうことになるのか、そう思うわけですよ。また、銀行の場合、民都機構土地取得のために政府保証融資を受ける協調融資団にすべて加わっているわけです。  そこで大臣、悪いところばかり見ていると言われるかもしれないけれども、しかしこういう実態をもって、やはり官民の癒着と言われても仕方がない、そういう実態があるんじゃないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。
  154. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 先ほど御説明申し上げましたように、五十八名の職員が建設業、金融業、不動産業あるいは公的機関から来ているわけでございますが、この民都機構業務そのものが民間都市開発事業への支援事業目的といたしておるわけでございまして、業務のスムーズな実施を図るためには、プロパーの職員だけではなくて専門性を持った、例えば金融機関、金融関係に非常に詳しい方、あるいは用地交渉とかそういう不動産あるいはゼネコン、建設業の関係に非常に詳しい方々が官民一体となってこういう民間の再開発取得業務に当たるということが一つのやり方の典型ではなかろうか、非常にスムーズにいく典型ではなかろうかと私ども考えておるところでございます。そういう趣旨から、私どもは、民都機構にそういう幅広い分野の関連の深い専門性を持った方々の出向がなされておるというふうに考えておる次第でございます。  そういう観点から申し上げますと、これも土地取得業務取得する対象になります土地も全国いろんなところにあるわけでございます。それの所有者が、金融機関もありましょうし、あるいは建設業、当然のことながら不動産業の方も持っておられるわけでございまして、そういう方々から取得をする。そういう中で、幅広くプロパーの方以外のところから出向されている方々の企業とそういう土地取得対象のところがたまたま一致するものがある、こういうことではなかろうかと思っております。
  155. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 官民一体が過ぎて、癒着になっているのではないかということを述べているわけです。  一つ例を挙げましょう。民都機構が九五年七月に、日債銀の関連企業であるアサヒ都市開発から六十三億六千七百万で買い上げた千葉県船橋市の四千八百平米の物件、これがどうなっているか。  私は、ここに民都機構取得土地事業化状況をまとめた内部資料を持参いたしました。この資料を見るとわかるんですけれども、当該事業は、売却元のアサヒ都市開発事業主として昨年三月に起工式が行われて、来年三月に竣工予定となっているわけです。総事業費七十四億円を費やして、店舗、スポーツジム、オフィスなどが入居する地上十階、地下二階の施設をつくる計画になっているわけです。しかし、売却元のアサヒ都市開発は先週二十六日に倒産しちゃったんです。四日前です。やはりこういうことが起こる。  これは、やはり倒産すれすれの企業を救済するために民都機構がそういうところの土地を買い上げてやっているんじゃないか、そう言われても本当に仕方がない事態であると思うんです。何でこういうことになるんですか。
  156. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 今お尋ねの船橋の土地の件でございますが……
  157. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 簡潔で結構です。
  158. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) はい。  アサヒ都市開発は、現在自己破産申請をしているという状況というふうに聞いております。  私どもといたしましては、今後どういうふうにアサヒ都市開発がやっていかれるのか、その中でなおかつ事業を継続されるのかどうかというのを今現在見守っておるという状況でございます。
  159. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 ですから、こういう事態のことで民都機構の責任が問われているわけです。  特に、アサヒ都市開発は負債総額が一千億円を超える企業で、以前から経営が危ないと指摘していたところなんです。それを知ってか知らぬか、こういう事態になってきたわけですけれども、私は民都機構は非常に重大な責任を負わなきゃならない、そういうふうに思うわけです。  アサヒ都市開発にかわる新たな事業施行者が見つからない場合、どうなるんですか。結局、返済不能になった政府保証融資を国民の税金で穴埋めする、そういうことになるんじゃありませんか。
  160. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) この事業の推進に当たりまして民都機構土地取得をしたわけでございますが、その際には、十分な採算性があるということで事業の買い戻し特約をつけて用地取得したわけでございます。  現在、その事業予定者でありますアサヒ都市開発事業の途中でそういう格好で自己破産になったわけでございますが、新たな事業予定者をどうするかということについて、また工事中の土地の工事が継続されるかということについて、機構と破産管財人等と金融機関との間で今後調整していくということになろうかというふうに思っております。  仮に、他に土地を売却するということになりますと、そこのところの土地の価格をいかに売るかということであろうかと思います。取得した価格に用地管理費用等々を踏まえました価格で新たな事業予定者を探すということも一つ考えられることかと、こういうふうに思っておるところでございます。
  161. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 やっぱり非常に見通しが甘いということを、そういう経営状態が危ない、そういうところの土地を買い上げ、しかも事業を進めるという、それがいかに危ないことなのか。しかもこれには税金が使われているわけですから、やはりその点で責任が重大だ、そのことを指摘しておきたいと思います。  特に、土地取得業務というのは不良債権を抱える企業を公的資金で救済するバブルの後始末のシステム、はっきり言って私はそうだと思うんです。だから、こんな業務はやっぱりやるべきじゃない、そして延長すべきではない、このことを指摘しておきたいと思います。  そして、私は前回の審議でも聞きましたけれども、民都機構が九七年に発行したパンフレット、十周年記念の特別座談会の中で、一つは、出向職員の依頼は建設省でポスト割り当てが行われている、こういうこと、それから二番目に、民都機構設立に当たって建設省都市政策課に出向した日本開発銀行の職員が国会審議の段階で想定問答づくりや答弁内容の下書きづくりを任されていたと述べているわけです。この中に書かれている、パンフレットの中に。  こういうことについて、これが事実なのかどうか、再度確認したいと思います。
  162. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 御指摘の座談会につきましては、当時の担当者が個人の資格で参加をし、その当時のことを回想風に述べている、こういうことであろうかと思いますので、私ども建設省として一つ一つコメントする立場にはないというふうに思っております。  あえて先生の御指摘についてでございますが、建設省がその機構の出向職員のポストを割り振ったとかということにつきましては、設立当初、建設省が出向者の確保についての準備をいろいろやっていくという中でお手伝いをしたのではないかということを言っておられると思いますが、現在は機構の判断で人事はもちろんやっておるわけでございます。当時について私どもがどういう格好でタッチしたかということについては、私どもとしても今把握する状況にはないということでございます。  それから、国会答弁をつくって開銀、民間の人が手伝ったというような御指摘がございました。  民都機構が政府提案で、私ども建設省法案の事務や国会答弁を作成することをやっておったわけでございまして、建設省としては、金融の専門家、プロパーの金融のノウハウということもございまして、そういうことに非常に精通しておられる方に応援をいただいたということをそれは言っておられるのだと思います。そういうことも私どもはなかったと言うことはなかなか難しいと思いますが、私どももこれについても事実関係については十分把握しておるところではございません。  いずれにいたしましても、個人の資格で当時を振り返っての回想録であったというふうに考えておるところでございます。
  163. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そこに出ている方は建設省の現役の役人の方とOBの方なんですね、個人の資格とはいえ。今いずれにしても局長は明確な否定はされなかった、わからないとかそういうことは言われたけれども。そしてまた、そういうこともあり得るということも示唆されたと思います。ですから、やはりこういう経過をたどってきたということ。  それと、私がもう一つ指摘したいのは、やはり政治との絡みなんです。このパンフレットを見ますと、その中には政界との関係についていろいろ述べられています。例えば、民都機構の誕生が当時の金丸副総理の政治的な影響力でスムーズに運んだこと、これが述べられていますでしょう。金丸氏の秘書官であった近藤国土庁事務次官からの指示で、都市局長出身の牧野住都公団総裁とか北村阪神高速道路公団理事長、都市総務課長であった黒川日本道路公団理事らが動いたことまで書かれておるわけです。まさに民都機構は、そういう意味で言うと官民だけじゃない、政官財の癒着の産物ではないかと、私はこういうことを経過を見て率直に思うわけです。  そこで、最後にお尋ねします。大臣、こういうあり方、このことについて私はやっぱり重大な問題点があると思いますけれども、大臣はそのことについてどのように考えられるか、お尋ねいたします。
  164. 関谷勝嗣

    ○国務大臣(関谷勝嗣君) そのことは私は存じませんので、今お聞きしたところだけでございますから、論評はできません。
  165. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 終わります。
  166. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 まず最初に、事業用地適正化計画について伺いたいと思います。  民間都市開発法に新設されます事業用地適正化計画ですけれども、この制度は自分の土地と隣の土地、他人の土地をまとめて都市開発事業を行うのを支援しようとするものです。  認定基準では、更地だけではなくて低利用土地認定できるというふうにしていますけれども、どういう場合を想定しているのでしょうか。
  167. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 低未利用地ということを規定しておるわけでございます。この低未利用地要件でございますが、住宅の用等に全く供していないいわゆる未利用地のほかに、今御指摘の低利用の場合の基準を定めておるということでございます。  御指摘の基準につきましては、具体的には建築物が存してはいるものの、その建築物が仮設であったり一時的な使用に供されているといったようなものが典型的でございますが、その他容積率にあらわれますように、周辺と比較して利用の程度が著しく低いというような場合もこれに当てはまる、こういうことを総合いたしまして低未利用地ということで基準、要件を規定しようということでございます。
  168. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 住居地域、近隣商業地域、準工業地域などは比較的高い容積率が指定されているわけですが、現状では古い木造住宅どもたくさんあります。それが土地利用程度が劣っていると評価されることになりますと、高齢者などの追い出しに法律でお墨つきを与える、そういうことになりかねないと思いますが、そのおそれはないのでしょうか。
  169. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 今御指摘のような高齢者の居住する木造住宅が存する区域といいますかそういう地域というのは、大きな広がりを持つのか、あるいはまたそうでないのかというのもいろいろございますが、区域の一部が住宅として利用されているような場合であって、当該住宅が低層の木造賃貸住宅であるといったような、先ほど申し上げたように、土地利用の程度が周辺の土地利用に比べて著しく劣っているといったような場合にはこういう制度対象になるということでございます。  事業用地適正化計画認定につきましては、法律上、土地使用収益権者及び建物に関する権利を有する者の同意が必要でございます。高齢者の方々が居住されております、適法な賃貸借契約に基づいて居住されておられますような借家人につきましては、その同意が必要でございますので、意に反して追い出されるといったようなことにはならないということであろうかというふうに思っております。
  170. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 大臣、私は地上げのあの実態というのをちょっと見てまいったんです。それで、今説明にあるように、権利者同意が必要だ、要件だといってもなおかつ追い出されるというような事態がありました。ですから、同意の実態をきちんとチェックしないと、悪質な地上げを建設省あるいは建設大臣が後押しするというようなことにもなりかねないわけです。  認定に当たって同意が必要というのを形式的に片づけるのではなくて、本当にそのチェックをしていくということが必要だと思うのですが、大臣、きちんと約束をしていただけますでしょうか。
  171. 関谷勝嗣

    ○国務大臣(関谷勝嗣君) 確かに、そういうことはしかとした書類であるとかそういう答えをいただいた上でのものでなければ、この法案が御指摘のように悪用されたのでは大変なことでございますから、そういうようなことは特段に注意をしていきたいと思っております。
  172. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 次に、土地区画整理法と都市開発法について伺いたいと思います。  この事業は、面的な市街地整備の手法として使われていますが、自治体や有力な地権者開発業者などの意向で幹線道路などの整備土地高度利用が優先され、零細な権利者の多くが営業や生活を続けられなくなり、結局地域から出ていかざるを得なくなるという事例が少なくありません。事業が構想される早い段階から情報を公開し、地域の町づくりの方向について広く住民あるいは権利者の協議を行って、市民的に市街地調整計画を練り上げていくということが重要だと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  173. 関谷勝嗣

    ○国務大臣(関谷勝嗣君) それは確かに、そういうことの事業を起こす人もまた地権者の方も、そういう意味での地権者としての責任もあるわけですが、そういう認識は非常に進んできておると思いますから、私はいい方向に今後は進んでいくのではないかなと期待をしておりますし、その方向に我々は我々の立場で指導をしていきたいと思っております。
  174. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 今回の改正は、情報を公開し、地域住民の町づくり協議を進めるという方向ではなくて、施行者にとって事業を推進しやすくなるということに主眼が置かれているというふうに思えます。  第一は、事業計画なしの組合設立認可の問題です。  現行法では、組合を設立する場合には、定款と事業計画について地権者の三分の二以上の同意を得て知事に認可を申請することになっていますが、改正案では、定款と事業基本方針だけでよいということになります。組合が設立されれば、施行地区内の地権者事業の賛否にかかわらず自動的に組合員になり、具体的な事業内容がわからなくても事業への参加を強制されることになります。  事業計画で明らかにされることで事業基本方針ではわからない、そういうものがありますが、どんな内容でしょうか。
  175. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 事業計画の準備段階、早期段階から設立をして事業の執行を円滑にやっていくということでございますが、その際に定款と事業基本方針を定めるわけでございますが、事業基本方針で、例えば平均減歩率でありますとか保留地の予定地積でありますとか、大きな概要程度は明らかになるわけでございます。  ただ、先生指摘のように、事業計画の段階は非常に詳細な計画をつくるわけでございますので、事業計画の段階で明らかになるけれども今申し上げました事業基本方針の段階では明らかにならない、まだわからないというようなものにつきましては、例えば区画整理事業でいきますと、公共施設の設計でありますとか具体の配置でありますとか事業全体の詳細な資金計画といったようなもの、あるいは市街地開発事業もほぼ同様でございますけれども建物を建てるということでございますので、施設建築物の各階の平面図などの具体的な設計といったようなもの、あるいはまた事業全体の資金計画といったようなものにつきましては事業基本方針の段階ではまだわからない、こういうことでございます。
  176. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 土地区画整理事業では、どこにどんな道路や公園ができるのか、住宅地や農地はどのくらいになるかなど、事業施行後の地域の姿が具体的にはわかりません。市街地開発事業では、再開発ビルの平面図や立面図もわからない。これでは、地域の町づくりとしてその事業を行うことが適切かどうか、再開発ビルに入ってこれまでのような営業が続けられるのかどうか、そういう点について一般の住民、地権者は判断できないのではないかというふうに思いますけれども、どうでしょうか。
  177. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 事業基本方針というのを先ほど少し御説明申し上げましたが、確かに、事業計画の段階で公共施設の設計でありますとか配置は厳密なものが決まるわけでございますけれども、前段階の事業基本方針につきましても、平均減歩率でありますとか事業の予定期間でありますとか事業計画決定までの具体的な資金計画でありますとか、そういったようなものについては方針が示されるわけでございます。そういう意味で、当然のことながら全体としての事業目的あるいはその概要ということがわかるわけでございます。  そういうことからいいますと、当初の段階からある程度の中身、概要がわかるということで、地権者あるいは地元の関係の方々は、そういう事業に参画するかどうかといったようなことについての基本的な御判断はおできになれるのではないかというふうに考えておるところでございます。
  178. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 例えば減歩率について見てみると、おおむねの平均減歩率が示されるということですけれども、その算定根拠となる減歩率計算表、これは示されないわけですね。土地の種目別の地積もわからない。保留地や宅地の価格が事業でどうなるかも示されない。これでは、予定減歩率が妥当なのかどうかということも判断できないのではないかというふうに思います。  ですから、結局、示されたものをただうのみにして賛否を決めるしかないということになるのではありませんか。
  179. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 今、先生がおっしゃいましたように、例えば減歩率にいたしましても、厳密な意味でのあれが示されないわけでございますけれども、平均の、概算としてあらかたの減歩率が示されるわけでございます。これは、例えば近傍の区画整理事業をやっておるそういったようなところとある程度整合性を保ち、それを参考にしながら決めていくわけでございます。最終的には、事業計画で再度現行と同じものについて詳細な減歩率が示されるわけでございまして、そのときにも住民合意が必要になるわけでございます。  したがいまして、詳細な点については不明ではございますけれども、概要について大体わかるということで事業の執行の判断ができるのではないか、こういうことでございます。
  180. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 現行法では、組合設立の認可申請があった場合には知事は事業計画の案を縦覧させます。住民の意見書を審査した上で、必要があれば事業計画を修正させて認可する、そういう手続になっているわけですが、今後はそういう手続なしに組合が設立できるということになるわけです。その後で事業計画を決めるということになるわけですが、事業基本方針に即しているということが認可の条件の一つになっています。  事業計画案の縦覧で事業基本方針と違う意見が出てきた場合、どうなるんでしょうか。基本方針と違う意見書は門前払いということになると問題だと思いますけれども、意見の内容によっては事業基本方針の見直しをする、そういうことはあるのでしょうか。
  181. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 事業基本方針を策定された後に正式の事業計画が策定前に事業を変更するといったような場合、あるいは事業計画の決定段階で事業を変更しようとする場合、いろいろなケースがあろうかと思いますが、事業基本方針策定後であって事業計画の策定前に事業を変更しようという場合には、総会の議決を経まして事業基本方針を変更することが可能でございます。事業計画決定段階で事業を変更しようとする場合には、今、先生が御指摘いただいたように事業計画事業基本方針に即したものでなければならない、こういうことになっておりますので、まず事業基本方針を変更した上でこれに即した事業計画を定める、こういう手続になるということであろうかと思っております。
  182. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 結局、手続的に言うと、最初の段階で事業の具体的な内容を明らかにして公告縦覧、意見書の集約をした上で判断する方が合理的なんじゃないかというふうに思うわけですけれども、今回の改正で、事業計画改定前の組合にも事業資金貸し付けができるようになります。  これまで立ち上がり資金は保留地や保留床取得する企業が先払いする場合が多かったわけですが、バブル崩壊後、保留床などを取得する企業が見つからない、事業が行き詰まる事例、これが多発している、そういう状況です。それほど大企業でも事業の見通しを立てるのが困難でリスクを負えないという状況になっています。そういう状況のもとで、事業計画もできない段階から組合が資金調達をする、あるいは組合員の出資法人が保留床等を取得するというのは過重なリスク負担になるおそれがあるのではないかと思いますが、どうですか。
  183. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 今回の法律の改正の趣旨が、事業準備段階でも組合を設立するということに、したがって信用力等がない方に対して資金調達が困難だということに問題があるということで、そういう方にも早目に事業組合を設立し、資金の無利子貸し付け等を行おうということを考えておるわけでございます。そういう意味で、そういうところにも国の資金が投入されるというわけでございますけれども、そういうことに伴うことにつきましては、可能性が高いと判断したときに初めてそれに続きまして組合設立の認可を行う。  さらには、貸付金が回収となるような事態が起こり得るかということでございますが、貸し付けを受けた組合が事業認可に至らずに解散ということも制度上は規定しておるわけでございます。万一その場合には、事業認可に至らず解散するということになった場合でも担保を設定するといったことを考えているわけでございまして、そういう前倒しで設立された国の貸付金が不良債権化したり、あるいはまた保留床の場合に、先ほど先生がおっしゃいましたような不良債権化するといったようなおそれは少ないというふうに考えております。
  184. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 実際に問題になっているところでは、夜討ち朝駆けで同意が迫られる、地域にいたたまれない状況に追い込まれる、そういう訴えが随分あります。これまでも十分な情報が明らかにされないで、一般の住民や権利者には本当の姿はなかなかわからない、そういう実情なんです。  例えば、静岡県浜松市志都呂の土地区画整理事業では、事業計画を見せないで同意書を集めたということで訴訟になっています。この法案によって、これまで以上に情報が不明確なまま組合の設立を行おうとすれば、権利者の期待と不安が渦巻いて、あれこれ権利者同士の間で対立が起こる、あるいは分断させられる、町のコミュニティーが破壊される、そういう事態が広がることが懸念されるわけです。  ですから、大臣、そういうことが起こらないように、この法律によって無理に事を進めるというようなことがないようにしていかないと重大な事態になるのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  185. 関谷勝嗣

    ○国務大臣(関谷勝嗣君) 私は、今のいわゆる権利者地権者の方々も本当に理解なくしてそれに賛同するというようなことは行わないと思いますし、また、そういうときには提訴することもできるわけです。今までは確かにいささか強引なことがなされた、そして泣き寝入りをされたケースもあったというようなことも私も伺ったりしておりますが、今後は、そういうことは国民の意識として、そういうことに対してどう対処していくかということは皆さん御存じですから、正直のところ私はそんなことはとてもできるものではないと思っております。  ですから、組合の前倒しの設立にいたしましても、事業基本方針というのは前もって判断の材料として提出するわけですし、それから前倒しの設立に当たっても、これは現行制度同様に地権者の三分の二以上の同意が必要というふうに縛りもできておりますから、それは私は心配することはないと思います。ただ、私とすれば、あるいは建設省とすれば、そういうことは絶対なさらないように指導はもちろんやっていきます。
  186. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 今、大臣いみじくも言われましたけれども、これまでがそういう実態だったものですから、法律がもっと厳しいものになっていくというのであれば私たちもこういうことは言わないのですけれども、逆に今までよりももっと緩められるということですから、そんなに急に変わるのだろうかということで心配が払拭できないという状況にあるわけです。  次に、土地区画整理事業市街地開発事業の合併施行の法制化について伺いたいと思います。  合併施行となれば、単純な土地区画整理事業以上に町の姿が大きく変わります。再開発を行う区域への寄せ換地も行われ、住民生活への影響も大きくなるわけです。高齢者や零細な小売業は再開発ビルに入るのは困難、かなり合併施行の場合はもとに戻るというのが困難な事例を聞いております。特に借家契約、これはもうほとんどの場合継続ができないというのが実態です。そこで営業や生活を続けることはできなくなってしまうわけです。  ですから、合併施行の場合は、普通の土地区画整理事業以上に住民の意向に配慮をするということが必要だと思いますし、また合意を得る努力が大切だと思いますけれども、いかがでしょうか。
  187. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 区画整理事業や再開発事業、それぞれにつきまして事業に対する同意を得るようにいろんな手続が法制上もあるわけでございまして、私どもとしても、関係者間で努力していくことは大変基本の問題であるということでございます。二つの事業を一体的に施行するというのに当たりましてもこれは同じことであろうというふうに思っております。  今回制度化いたしますのは、現行法上、合併施行に関する明文の規定がない、事実上いろいろ合併的な施行をやっておるということで、事業に関する手続面の不備でありますとか、あるいは登記に関する規定が整備されていないために第三者に対して取引の安定性が確保されないという実務上の問題が非常に大きいということから、規定の整備を行うことによりまして市街地整備の円滑な推進が図られるようにするものでございます。  したがいまして、それぞれの区画整理事業や再開発事業において住民、権利者の合意を得る、住民、権利者の御意見を十分尊重するといったようなことは当然でございますが、登記をきちっとできるようにする、手続をきちっとすることによりまして取引の安定性なり権利者の保護も図っていくという、そのことも十分考慮しながら事業が進められていくということになろうかというふうに思っておる次第でございまして、今回の合併施行によりまして権利者の合意が難しくなる、あるいは権利者の権利といいますか、それの保護が難しくなるといったようなことは全くないというふうに考えております。
  188. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 これまでも合併施行は行われているわけですけれども、原則どおりではないので、都市開発法第百十条を使って権利者全員の同意による権利変換をしているわけです。今回の改正で合併施行の制度が定められますと、百十条を使わずに合併施行ができるようになるのではありませんか。
  189. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 今回の制度創設の趣旨を先ほどもるる申し上げましたけれども事業者のリスクや登記ができないことによる取引の不安定性といいますか、そういうものを避けるために仮換地の段階で再開発事業の権利変換の手続ができるように担保措置を置くということを考えております。あるいはまた、これに伴います登記を可能とするといったような第三者の対抗要件を備えさせるといったような制度的手当てを行うものでございます。  つまり、登記ができないので現在の段階では具体的な合筆ができない。その上で、上にビルを建てられないといったようなこと。したがいまして、従来は、先生がおっしゃいましたような百十条の全員同意でもって、その合意を得た上でいくしかない。相続とかいろんなその後の変更によりまして、一人でも同意がなければ登記もされていない、手続も十分でないわけでございますので不安定な状況になるといったようなことでございますので、百十条の全員同意でいくしかない、こういうことでございます。  そういうことでございますので、強制的にその事業を進めるといったようなことではなくて、今回の合併の制度化後も従来と同様に、例えば地区外に転出を希望される権利者につきましては土地区画整理事業と合併でやるわけでございますので、土地区画整理事業の換地によりまして近傍の土地で従来どおり生活を営むことが可能になる。しかも、法律上手当てをするわけでございますので、登記もきちっとやるわけでございますので安定性が確保されるといったようなことでございまして、そういう再開発事業を単独で施行する場合よりも地権者にとって選択の幅が広く、あるいはまた取引の安定性、自分の権利の保全にもつながるという制度であろうかというふうに思っておるところでございます。
  190. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 事実問題として、全員同意でやるといっても、結局反対の人は再開発事業の施行地区から外に出されて、賛成の人だけが残って全員同意になるということなんです。  土地区画整理事業の仮換地の指定は、飛び換地でなければ地権者同意を得ずに行えます。再開発法百十条の全員同意条項を使わずに合併施行ができるとなれば、その伝家の宝刀を背景に同意を強要するという事態も予想されるのではないでしょうか。そういうことは絶対に起きないと断言できるのでしょうか。
  191. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 今の制度につきましては転出者を含む関係権利者同意があるわけでございますので、強制的な事業の中に繰り込んでいくというようなことはないというふうに思っております。
  192. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 大臣、大手ディベロッパーからは、全員同意を邪魔者扱いする、そういう主張が表明されているんです。例えば森稔、森ビルの社長ですけれども、この方が、再開発は再開発法によって都市計画決定がなされ、公共性や公益性があると判断されたわけだから、これに従わない人に対しては本来代執行や強制収用もやむを得ないはずだ、こういうふうに公然と主張しておられるわけです。これはもう本当にとんでもないというふうに思います。  町づくりの主人公は地域の住民だと思います。もうけ本位の都市改造事業のために住民の意見を強制収用などというように、代執行や強制収用でもって抑えつけようなどというようなやり方は到底許されないというふうに思いますけれども、しっかりと指導していくことが求められていると思いますが、いかがでしょうか。
  193. 関谷勝嗣

    ○国務大臣(関谷勝嗣君) そのことは、先ほど答弁させていただきましたように、もうそんなことが通用する世の中じゃありませんから、そういうことに対してはあらゆる方法、手段でもって対峙していくことはできますから、私はそんなことは何ら心配することはない。ましてやそういう強制収用なんというのは、それはもう本当に一笑に付されるような表現でもありましょうし、そんなことは今後ありません。ましてや、私の立場としてはそういうことは起こらないように強力に指導をしていくということでございます。
  194. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 法案審査させていただいて、やっぱり疑念が残ったままでありますけれども、しっかりとやっていただきたいということを要望して、この間ちょっと時間が延びましたので、きょうは少し早目に終わらせていただきたいと思います。
  195. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 都市の再開発には、虫食い状態になった土地の収用ということが大変重要な課題ですけれども、最近、外資系の企業が日本不動産を購入するという動きが顕著だというふうに報道されております。地価税の凍結とか、不動産取得や保有に係る税制度の改正が行われ、さらに日本土地不動産が底値に来ていると見ているということもあるんでしょう。さらにまた、金融機関の担保不動産を一括購入するというような動きが出てきておりますけれども、これらの動きに対して政府はどういうふうに対応していくのかというのをお聞きしていきたいと思っています。  それは、この間も金融再生委員会の場所で、銀行が抱えている不良債権の扱い方について、アメリカなどでは大変熟練したサービサーなどが一括購入をしながら土地有効利用を図っていく制度がもう何年も前から確立をされておるというふうに聞いているわけです。日本の場合は、とかく不良債権というと社会の常道から外れたような人たちのエリアだということで、少し違う方向で取引をされてきている状況があったように思うんです。このままの状況でいきますと、日本土地に介入をしながら外国の資本がそこを買い上げる、そしてさらに再開発などで必要になったところをそこの外資系の企業からまた日本が買い取らなければならないというような状況があり、日本土地を媒体としながら日本お金がどんどんと海外に流れていくという心配をされるわけです。  こういうことに対応するためには、その専門官をしっかりと育て上げていくということが必要なんじゃないかというふうに思いますけれども、大臣はどういうふうに対処をしていかれたいと思っていますでしょうか。
  196. 関谷勝嗣

    ○国務大臣(関谷勝嗣君) 御指摘の外国資本、銀行等の有する不動産担保つきの債権の買収が行われたということは、これは過般の平成十年四月十日の日経新聞などでも報道をされておりました。ただ、最近ではこのような事例は私は承知していないのでございますが、いずれにしても、かつてそういうようなことがあったということは事実でございます。  それで、民都機構土地業務との関係では、担保権のついていないもののみを対象とするとともに、価格についても審査会の審議を経て適正な価格で取得するということにされておりますから、先生指摘の、いわゆるああいう金融関係ほどの厳しい監督体制がないのじゃないかということも言外におありだろうと思いますが、私も確かにそれはそうだと思うわけでございまして、そういう外資系に凌駕されるということのないようなことは十分頭に置いてこの法律も運用していかなければならないと思っております。  ですから、この外資系が買っておったものを買い戻すというようなことは、過去に買われたものをまだ持っていて、そういう土地を買い戻すということになれば確かに円が海外に流れるという結果にはなるわけでございますが、いずれにしましても、そういうようなことが引き続き起こらないようなやっぱり対策ということをやっていかなければならない。  ですから、今回のバブルのはじけた後の大手術というのは、金融関係不動産関係の不良の不動産をどのように処理をしていくか。ましてや日本のように領土の非常に狭いところにおきましては、土地というものに対します我々国民一人一人の感覚も諸外国とはもちろん違うわけでございまして、我々日本人は、特に土地というものに対します愛着といいましょうか財産としての価値とする感覚が非常に大きなものでございますから、この土地政策というのは、こういう法案も通してしっかりとしたものに私はこのときにしておかなければならないなと、そんなことを思っております。
  197. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 外資系の攻勢ということでも、一つ汐留の国鉄跡地、そこは三井不動産がビルは建てるわけですけれども、その出資金の大半がシンガポールの政府系の資金によって建てられると。そこを資金回収のために債券化をする。今この法案でも言われていますけれども、債券化をしてできるだけ早く、二千億ぐらい出資するんでしょうかね、その出資したお金を回収する方法をとるんだというようなことも具体的に出ているわけでございまして、非常に外国は積極的に日本に対する投資を多くしてきているんじゃないかなというふうに思いますので、ぜひ日本でも頑張っていただきたいというふうに思います。  それで、法案の方に入るわけですけれども、この法案、四つの法案がそれぞれ改正をされるということで、関連があるといえばありますけれども、同僚委員の御指摘にもありますけれども、やはり再開発事業を進めていく中で、何か問題にぶつかると、この問題を解くにはこういう法律がないとだめじゃないかということで、いわゆる対症療法的に網羅されてつくられてきているんじゃないかというふうに思います。これは毎年と言っては語弊がありますけれども法案改正をしなければならない事態というのは、再開発事業がおくれているものと合わさるというふうに思うんですね。そういう状況の中で、今回の法案も非常に多岐にわたって細かく複雑に絡み合っておりまして、わかりづらいようになっているというふうに思いますけれども、そういうふうな理解でよろしゅうございますか。  今回もそういう法案、そういう対象、いわゆる問題にぶつかって、その問題を解くために必要な法案として出てきたというふうに思ってよろしゅうございますか。
  198. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 今回、法案を改正させていただきます状況でございますが、もう先生申し上げるまでもなく、今現在、都市市街地というのがまだ環境が良好な環境になって整っていない。防災の問題、環境問題、交通問題、いろんな点で課題が山積しておるというような中で都市の再構築を進めていかなきゃいかぬ。一方また、都心部の低未利用地とか虫食い地が残っている。これは土地流動化を図っていかなきゃいかぬ、景気対策もやっていかなきゃいかぬ。最終的には都市の再開発を促進する、民間主導の都市の再開発を促進していくということが現下の私ども政府の最大の課題の一つであるという認識でございまして、そのためには、私どもが持っております法案のできるだけあらゆる手段を駆使してその制度改正につなげていきたいということで、税制の問題あるいはまた予算の問題、さらには手続の問題等々について総ざらいをいたしまして、そういう関係する法案について一括して法案にしましょうということでございまして、そういう同じ目的を持ち、密接に関連するものについて四法一括して改正させていただくということでございます。
  199. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 それで、都市開発資金の貸付けに関する法律の第二条の九項の関係ですけれども民間都市開発機構に対する貸付金で参加業務に要する資金に係るものについて、民都機構が「当該貸付金を充てて負担した費用の償還方法を勘案し特に必要があると認めるときは、」とございますが、この「特に必要があると認めるとき」というのはどういうときかというのをお答えください。
  200. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 今回一つの大きな柱でございますが、民都機構が行います参加業務不動産の証券化の事業、証券化による取得考えておるわけでございまして、そのことを指しておるということでございます。
  201. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 さらに附則第九項で貸付制度特例制度を設けておりますけれども、一年間の延長ということで、なぜこれは一年なんでしょうか。
  202. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 一年延長といいますか、十一年度に限って国の負担割合を全額国が無利子貸し付けを行う、全額貸し付けることができるという規定でございます。  平成十一年度は五兆円を超す地方財政の欠陥が出ておるわけでございまして、国も大変厳しい状況ではございますけれども、地方財政大変厳しい状況の中で、基本は貸し付けが地方公共団体が貸し付けることに対する二分の一、半分国が貸し付けをするという格好になっておるわけでございますけれども、十一年度に限りましては全額国が貸し付けるということで特例を設けておるところでございます。
  203. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 そこで、先ほどの具体的な例とリンクしているんじゃないかというところに来るわけですけれども、これがことしじゅうに、今年度じゅうに解決しなければならない事例がたくさんあって、ことし一年間はその地方自治体の部分も国が貸しましょうというようなことになっているのかどうかということなんですけれども
  204. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 今申し上げましたように、十一年度が大変地方財政厳しいということで、私ども今年度一年に限る暫定措置という格好で、限定措置という格好でやらせていただいているわけでございまして、具体的なプロジェクトでありますとか具体的な事業が十一年度は非常に多くて、それのためにということを特に考えているわけではございません。
  205. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 それでは次に、これは民間都市開発の推進に関する特別措置法案の第十四条の二の第三項ただし書きに、「その権利をもつて計画認定申請しようとする者に対抗することができない者については、この限りでない。」、この者とはどういうものですか。
  206. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 非常に細かい話で恐縮でございますが、例えば建物についての抵当権を設定したけれどもまだ未登記であるという場合の抵当権者、そういうようなものがこの対抗的な者に当たるというふうに考えております。    〔委員長退席、理事太田豊秋君着席〕
  207. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 不法に滞在をしているような人も当たりますか。
  208. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 不法に滞在云々という方については、特に当たらないというふうに考えております。
  209. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 当たらない。
  210. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 要するに、単に不法に滞在しているという趣旨でございますか。そういう方については、対抗することができないという意味で、できない者ということで逆に当たるということでございます。失礼しました。
  211. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 ここにわざわざこうしてただし書きを書いているということは、恐らく実際の具体的な事案の中にそういう事例があると私は思うんです。  例えば、再開発をしようというところにホームレスの一団の皆さんがもう既に住居として夜は住むというようなことが行われている場合に、ここに当たってその人たちは権利を有しないんだから強制的に排除できるというように読めるわけです。この法文はそういうことなんでしょう。
  212. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) そもそもこういう同意を得るべき者には、そういう不法に滞在している人は当たっていないということでございます。
  213. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 その次、それでは、その隣の四項の最後のところの三行、「以外の者を確知することができないときは、確知することができない理由を記載した書面を添えて、計画認定申請することができる。」というふうに書いてあります。ここはどういうことですか。
  214. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 「確知することができない」という用語の使い方は非常に法律的な用語の使い方でございますけれども、例えば権利者が行方不明である、かつその権利者法律上かわるべき者がいない、あるいは法定代理人でありますとか相続人でありますとか、そういう権利者法律上かわるべき者もいないといったような場合には確知することができないという趣旨であろうかと思います。
  215. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 「以外の者」とはどういうものかと聞いているんです。  だから、具体的にどういう事例のところでこういう文面になったの、きのう通告してありますよ。
  216. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 今申し上げましたように、確知することができないという場合ということでございます。  確知することができないというのは、権利者が今申し上げたような法律上かわるべき者もいないというようなそういう場合に、連絡方法もないというようなときについてでございまして、いずれにしてもこの規定そのものは民間都市開発事業の施行を円滑に行うために同意を要するということでございまして、認定に当たって同意状況等をきちっと厳正に判断するということでございます。今、者ということでございますが、そういう対象になりますのは借家権者と抵当権者、先ほど申し上げましたようなそういう……
  217. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 それは違うんじゃないですか。
  218. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 失礼しました。
  219. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 その権利のある方はその前段のところに皆書いてあるんです。羅列がされているんです。権利はないんだけれども認定書に添えなければならないという人たちはどんな権利を持っている人かなと思って、そこをわからないので聞いているんです。
  220. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 今のお話でございますが、法定相続人とかそういうようなものが今おっしゃっている者に当たるということだというふうに解釈しております。
  221. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 それでは、次に行かせていただきます。  機構土地取得・譲渡業務の延長ということで十一年三月三十一日から十四年三月三十一日まで三年間延長するんですけれども、平成六年に五千億円の枠でスタートし、十一年度には一兆百五十四億円の政府保証枠を設定したということですけれども、今までの土地取得実績、そして今後三年間延長することによってどこまで取得をしていく計画なのかということです。そして、三年間でその目標を終了させることができるのかどうかというところまでお聞かせください、三点。
  222. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 土地取得業務お話でございますが、一月末現在でございますが、百十一件の約五千億を取得したわけでございます。それの政府保証枠につきましては、去年四月の総合経済対策によりまして五千億追加して一兆五千億という枠がございます。それを、一月末現在で五千億でございますけれども、三月末現在で約七千億まで買い進んでおります。したがいまして、三年間延長であと約七、八千億の枠があるということでございまして、年間二千ないし三千億のペースで土地取得業務を推進することによりまして三年間で土地取得業務を推進したい、こういうふうに考えておるところでございます。
  223. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 改正案では、十月に都市基盤整備公団に移行をする住宅都市整備公団に対しても無利子融資制度を創設する。何かここは非常にちぐはぐじゃないかなというふうに思うわけですけれども、これが創設をされた意味は。
  224. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 住都公団につきましても、従来から都市開発事業をやってきておるわけでございます。そういうような観点で、住都公団につきましてもそういう土地取得業務が推進されていくということであろうかと思っております。
  225. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 予算書の中に、「公団が行う面的整備事業に要する工事費等の費用に対して、都市開発資金融通特別会計による長期据え置き無利子貸付制度を創設」というふうに書いてあるんです。長期据え置き無利子貸付制度ということになりますと、住都公団に対して、新しい公団に移っていく中で据え置いておかなければならない、いわゆる残務整理として残しておかなければならないようなものが存在をするのかなというふうにも思えるんですけれども、そういうことではないわけですね。  あわせて、都市居住環境整備推進出資金の創設という形で三百八十六億円、住都公団の予算としてこれは計上されています。これは本法との関係はないわけですけれども、これだけ巨額な予算が住都公団に計上されているわけですけれども、この関連とあわせてお話をいただきたいと思います。
  226. 那珂正

    政府委員(那珂正君) 住都公団につきましては、ただいま先生指摘のとおり、平成九年六月の閣議決定以来、鋭意その改革に取り組んでいるところでございます。  その具体の業務につきましては既に御案内のとおりでございますが、分譲住宅からは撤退するということとともに、公共団体や民間だけでは実施が困難な土地の有効利用とか、市街地整備改善だとか、あるいは政策的に必要な賃貸住宅の供給とか、こういう新しい業務に重点を置いて仕事をしようというふうな方針でございます。  このような改革の方向を踏まえつつ、しかしながら、現下の大変厳しい経済環境下にあっていろいろ重要な課題がございますので、こういう課題に可能な限り速やかに対応したいということで、十一年度予算をもって、今申し上げましたような幾つかの業務に必要な用地の確保、用地取得のために総合的な出資金である都市居住環境整備推進出資金制度を創設したわけでございます。  以上でございます。
  227. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 最後に、新しい都市計画法の抜本改正ということで計画、予定をするということで、その検討の小委員会をつくるというようなことが報道されていますけれども、その内容についてお聞かせをいただきたいと思います。
  228. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 現行都市計画法が施行されまして三十年を経過してきておるわけでございますが、三十年前に、人口集中が非常に厳しい、あるいはまた市街地の郊外部への無秩序な拡大が非常に厳しかったという状況から一転して沈静化してきておる、こういう状況であるわけでございます。そういうことを踏まえまして、都市計画制度全般について、例えば線引き制度を初めとした全般的な見直しが必要になってきておる、こういうことでございます。  そういう中で、今回、都市計画中央審議会に計画委員会というのを設けまして、都市計画法の体系、都市計画法全体についての抜本的見直しに着手をしたところでございます。
  229. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 そのときに、抜本改正というならば、今回、法案改正になっているような都市計画法の下にある法案についても全体的な見直しが行われるのでしょうか。
  230. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 今回の法改正は、先ほども御説明申し上げましたように、現下の緊急の課題に対応して改正をさせていただいているということでございます。一方、都市計画法につきましては、土地利用規制の内容を中心にいたします都市計画法でございますので、土地利用の規制のあり方を中心に今回検討を進めようと。すなわち、線引きでありますとか容積率の問題でありますとか、土地利用計画でありますとか市町村のマスタープランでありますとか、そういったようなものについてのあり方を検討しようということでございます。  当然のことながら、それを踏まえまして、また事業に関連するようなものについても必要に応じてその見直しの検討をしなきゃならない、こういうふうに思っております。
  231. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 本当に抜本改正をするのであれば、全体の法体系を見直していただいて、もっと使い勝手のいいわかりやすい法体系をつくり上げていくともう少しいいのではないかなというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げます。  ありがとうございました。終わります。
  232. 泉信也

    泉信也君 今回の法改正が、民間事業者が行う再開発事業に対して無利子の融資を制度化しようということですから、ある意味では大変思い切った政策だというふうに思います。  こうした制度を導入するにはそれなりの背景があったと思いますが、再開発事業がいわゆる難航しておる、その要因というものはどんなものがあるというふうに分析をしておられるんでしょうか。
  233. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 再開発事業は、基本的には保留床を売却することによりましてその事業費を捻出していくというのが基本でございますが、基本的には現在の体制で保留床の処分がなかなか難しくなってきているという点、あるいはまた権利の調整が非常に難しくなってきているということで、事業の長期化でありますとか資金の調達が非常に困難になってきている、こういう状況にあるわけでございます。そういうことで、最近、例えば五年間での事業化につきましても一年以上延びておるといったような状況にあるわけでございます。  そういうことを踏まえて、資金の調達あるいはまたいろんな事業の改善、手法の改善等について制度改正をさせていただこうということでございます。
  234. 泉信也

    泉信也君 保留床の売却による利益を当てにして再開発事業を進めていくというこの考え方は、まさにこれまでのような経済成長のあり方の中では成り立ち得た方法だというふうに私も思うんです。  こういうやり方で賄われておるというこれまでの事業、いわゆる保留床の売れ行きというか、それはどんな状態になっておるんでしょうか。
  235. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 御案内のとおり、景気が大変低迷をしておる状況が続いてきた、こういうことがございまして、したがいまして土地価格も低迷してきている。こういう状況で、保留床の処分先の確保が困難になってきておる。大口の例えばデパート、スーパーでありますとか、あるいはまた具体的な商業テナントが入るのがなかなか慎重になってきている、こういう状況になってきておるわけでございます。  したがいまして、そういう点で保留床の売却収入を前提としている事業そのものについて、そういうことだけではなくて、保留床の処分のみに依存しない、あるいは保留のところを賃貸の収入によって長期的な事業費の回収を図っていくといったような方式等、資金調達の円滑化を図っていくいろんな制度の改善が必要ということであろうかと思っております。
  236. 泉信也

    泉信也君 先ほど大渕先生のお尋ねにもございましたが、非常にこの法律が私にとってはわかりづらいんです。  余談になりますが、金融機関が破綻をするというおそれがあるときに、特定銀行を想定して救済策を法律化しようとした時期があったと私は思うんですが、この再開発事業も幾つかそういう類型別に分けて整理をしておられるだろうとは思うんですが、屋上屋を重ねていくと、新しい事態が出てくるとそれに手当てをするというような感じが私はするんです。  ですから、オーバーオールな法律というのをつくっていく必要があるとは必ずしも思いませんけれども、もう少し再開発事業を着実に進めていくような方法考えるべきではないか。こういうある事例を踏まえながら、今、局長が御答弁になりましたように、保留床の売却によって利益を上げられない事態が出てくると別の考え方を持ってくる。それも必要なんですけれども、もっと根本的な再開発事業推進の方策というのは考えられないんでしょうか。
  237. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 再開発事業につきましては、いろんなやり方があろうかと思います。  再開発事業に当たりましては、一般的に商業施設あるいは住宅を入居させるというだけではなくて、福祉施設でありますとか公共団体の施設を入居させる手段でありますとか、あるいは広場とか、そういう公共交通機関の整備との連携をいろいろ図っていくような事業をやるとか、再開発事業につきましてもいろんな工夫といったようなものが考えられるんではないかというふうに思っているところでございます。  事業そのものについて、今までのような手段で、今までのような規模でやっていくということはなかなか難しくなってきている。それぞれの特性に応じてそれぞれの規模でやっていく必要があるということではないかというふうに思っております。
  238. 泉信也

    泉信也君 もう一つ先に進めますと、今回の事業手法の改善で特定建築者制度の拡充というのを挙げていただいているわけですが、これは現行制度で特定建築者制度を非常に限定的に活用しようとした経緯があると思うんです。それがなぜだったのか。そして、その不都合が今回の改正に当然結びついたんだと思いますが、なぜスタートの時点でそういう限定的にという枠をはめてのスタートになったのか、お尋ねいたします。
  239. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 特定建築者制度は五十五年の改正で導入されたわけでございますが、本来、再開発事業を行います場合には、例えば公共団体が再開発事業を施行するという場合には、そのビルを、下の敷地の整序からビルを建てるまで公共団体施行者が全部一括して基本的にはその事業を実施する、したがいまして保留床も権利床も一括したビルとして全部建てるということが基本であったわけでございます。  五十五年には、施行者にかわって計画、建築させることによって民間のノウハウを引き出していこう、活用しようということで考えたわけでございますが、その場合にも、権利床につきましてはみずからが入るということで地方公共団体がつくりますけれども保留床は売るものでございますから、そこに入る人が特定建築者として建てていいじゃないか、こういう制度を導入したわけでございます。  ただ、これでございますが、今回保留床だけから成る建物に限定されておるわけでございまして、混合で建てるといったようなところについてはやはり特定建築者制度が使えない、民間のノウハウを活用できないといったような欠点がございましたので、今回、民間活力を活用しようという観点から、保留床も権利床も両方一体となって建物を建てる場合でもこういう格好民間の活力を活用するということで拡充をした、こういうことでございます。
  240. 泉信也

    泉信也君 このような制度を導入するに当たって、民間事業者にとってはなかなかわかりづらい、先行きがわからないところがある中で参画をするということになるんだと思うんですが、今回の改正が民間事業者にとってどういうメリットをもたらすことになるのか。  民間事業者が必ず積極的に、必ずというと言い過ぎでしょうか、積極的に参加してもらえるというふうにお考えですか。
  241. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 今回の改正でございますけれども民間事業者にとりましては、施行者が権利調整を一応済ませた段階で事業に参画することができるという格好になるわけでございますので、低コスト、短期間で自分のノウハウを生かして自分のところの良質な建物整備して取得することができるという格好になろうかと思います。最初から行うということになれば、権利調整とかそういう非常に難しいところを民間事業者がやるということは事業期間なりコストの面からもなかなか難しいということでございますので、そういう観点から、今回民間事業者にとって大変メリットがあるということであろうと思います。
  242. 泉信也

    泉信也君 この点については、衆議院の附帯決議の中にもこのことは慎重にやってほしいというようなことが出ておるわけでございまして、ぜひ附帯決議を体してさらに扱いに配慮をしていただきたいというふうに思います。  今度はちょっと観点を変えてお尋ねをいたしますが、今回の法律の百十七条の三という「建設大臣の技術検定等」ということについてお尋ねをいたしたいと思うんです。  総務庁、おいでいただいていますか。きょう閣議で多分決まっただろうと思いますが、規制緩和推進三カ年計画という中に「資格制度の見直し」という項目があるわけです。世の中にたくさん資格があるわけですが、業務独占資格というものはできるだけ、これは一応必要なものは置くということになっているようですが、あと必置資格とかあるいは名称独占等資格というものについての整理をするように、いわゆる規制緩和の一環としてこういうものをもっとオープンにしろということだと思います。  総務庁としては、こういう資格の扱いについてはどんなお考えでございましょうか。
  243. 西村正紀

    政府委員(西村正紀君) いわゆる公的資格制度でございますが、昨年十二月に、政府の行政改革推進本部のもとにございます規制緩和委員会から公的資格について見直しの指針が示されるとともに、見直しを進めるようにという見解が出されました。  政府は、まさに委員言われましたように、本日、規制緩和推進三カ年計画の改定を閣議決定いたしました。この中で、各省庁において業務独占資格を中心に、もちろん必置資格等も含めてでございますが、国民生活の利便性の向上、またその当該業務サービスにかかわる競争を活性化するというような観点から、業務独占規定、資格要件業務の範囲等について二年間、規制緩和推進計画はあと二年ございますが、この二年間で各省庁で見直していただき、所要の措置を講ずるということを決定するとともに、また規制緩和委員会においても、各省庁の見直し作業と並行いたしましてこれら資格について見直しを行うということを決めたところでございます。    〔理事太田豊秋君退席、委員長着席〕
  244. 泉信也

    泉信也君 規制緩和委員会の方向等については今、担当から御説明があったとおりでございますけれども土地区画整理事業における専門的な資格を与えようという法律が今回出てまいったわけです。これは、先ほどの業務独占資格とかという三分類でいたしますと何に当たるんでしょうか、建設省でお答えいただいても構いませんけれども
  245. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) ちょっと私どもの方では、総務庁さんでいろいろA、B、Cに分類をされておるというふうに思います。業務独占でありますとか、名称独占といいますか名称使用でありますとかという言い方の整理はされておると思います。  私ども区画整理士につきましては、業務独占ということでもございません、名称の使用の制限ということでもございません。という意味では、区分の仕方については私ども十分承知をしておるわけではございませんが、そういう性格のものであるということでございます。
  246. 泉信也

    泉信也君 ちょっとお尋ねの仕方が悪かったかもしれませんが、要は今回の法改正で換地計画に関する専門的技術を有する者の養成、確保をするということが法律に規定されておるわけです。建設省から教えていただきますと、建設省関係では約四十を超える資格を規定しておられるようでして、それに新たに一つの資格制度が加わるというふうになるんだと思うんです。  今回、法律で新しい資格を持った専門的な技術者を育てようという、この技術者の具体的な知見というか知識あるいは経験というんでしょうか、そういうものは既に何かお考えになっておられるんでしょうか。
  247. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 区画整理事業に関する技術検定につきましては、今回は現在あるものについてアウトソーシングしようということが中心でございます。  既に五十八年に区画整理事業に関する技術検定という格好でスタートをさせていただいておるわけでございますが、今現在やっておりますのは、建設省直轄で試験を実施しておるということでございまして、相当の業務量を有するといったようなこと、あるいはまた試験を受けられる方が、直轄でやっておる関係上二カ所ぐらいに試験会場がどうしても絞られるということで、地方から出てこられる方に不便を生じさせているというようなこと等がございました。  そういう格好で、現在の行政の簡素合理化の一環としましても、指定検定機関を指定いたしましてこれを行わせる制度を創設するということでございまして、先生御案内のとおり、区画整理事業というのは用地買収方式じゃなくて減歩、換地という独特の手法でやっておりますので、そういう専門的知識、専門的分野の人が大変必要であるという観点から、区画整理士としてアウトソーシングでやらせていただきたい、こういうことでございます。
  248. 泉信也

    泉信也君 いや、私はこういう専門的な知識を持った方を育てなきゃならない、それによって再開発事業区画整理事業等を進めていくということは全く必要ないということを申し上げるつもりはありません。ただ、余りにも細分化するというか専門化して、そしてよそ者を排除するというようなことになるとすれば、これからの時代にいかがかなというふうに思っておるわけです。  それでちょっと立ち入ってお尋ねをしますと、指定検定機関の指定というのを建設大臣がなさるわけですが、これは具体的にもうお決めになっておられるんですか。法律が通ったならばという前提で伺います。
  249. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) まだ最終的に決定をさせていただいているわけではございませんけれども、行政改革、事務合理化、簡素化の観点から、新たな法人をつくるのではなくて既存の財団法人にやらせたいと。一つ類例は、例えば全国建設研修センターといったようなものが任意でこういう区画整理に関する研修等をやっておるということもございます。  そういうことも踏まえまして、今後そういう方向、そういうことも一つの候補という格好で早急に検討して決めたいと思っております。
  250. 泉信也

    泉信也君 これは、このことだけに限って申し上げると非常に皆さん方に不快感を与えるかもしれませんけれども、この法律改正でこうした機関をつくって資格を与えるという仕組みが出てまいりますと、またかと、今までと同じような仕組みを一つ広げるのか、そういう思いを私は持つわけなんです。ですから、このことをおやりいただくならば、二つ私は申し上げてお尋ねをしたいと思うんです。  一つは、今まで行政機関独自でやっておられた大量のこの関係の仕事を民間にゆだねるというならば、まさに行革の一環として、今までこれに携わっておられた方々が言うならば手がすく、あるいは公務員の人数が浮いてくるという規制緩和と行革の本来の姿に結びつけて考えていただいておるのかどうか。それでなければ、従来の天下りとは言いませんけれども、そういう仕組みをまたもやこの時期になっても持ち込もうとしておるのではないかというふうに思うわけです。それが第一点です。  それからもう一点は、先ほど申し上げましたように、四十余りの建設省関係の資格一覧を見せていただきますと、本当にこんなに分けた資格が要るのかと。専門技術者を育成しなきゃならないということと、もっと幅広い分野の立場で仕事をやっていただくというようなことが必要なのではないか。整理をしていただけないか。これは、今まで日本の社会に何年もかかってできた制度ですからなかなか一度にはできないと思いますけれども、今申し上げましたように少し整理をしていただくという方向で取り組んでいただけないか。  この二点について、もしお答えをいただけるならばお願いいたしたいと思います。
  251. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 区画整理士の技術検定についてでございますが、この制度につきましては現在大体一千名ぐらいの受験者があるわけでございますけれども、一時期に大変集中をいたしております。そういうことから直轄でやっておりますけれども、専任の試験官なりそういう者を大変多く置いてということではございませんでして、一時期に集中してやるということで、手足はいろいろなほかのところを借りてきたり、あるいはまた補助職員を使ったり、こういう格好でやらせておるところでございます。  したがいまして、これが外部化されたということになりましても、直ちに大幅な手がすいて人数が削減になるかということについては、これはなかなか難しい面もあるか、こういうふうに思っております。ただ、先生おっしゃいますような行政の簡素化に努めなきゃいかぬということは、私どもも十分承知をしながら進めさせていただかなきゃいかぬと思っております。  それから、もう一つの四十幾つの資格があるということも、これは先生のおっしゃるとおりでございますが、区画整理事業といいますのは、手前みそかもしれませんけれども、やっぱり換地計画をつくったり減歩だとか、非常に難しいといいますか、本当の専門的な分野というふうにも私どもは思っております。  四十の中でいろいろ統合なりあるいはあれができるようなものがあれば、私どもとしてもまずは検討することにやぶさかではございませんけれども、いろいろ考えてまいりますと、幅広く総合的な士といいますか専門資格を与えるのか、あるいはもっと非常に狭く専門的に深く与えるのかというようなことからまいりますと、区画整理士というのはむしろ非常に専門分野に属しているんじゃないかなというふうに私ども考えておりまして、今後の検討課題かなというふうにも思っておるところでございます。
  252. 泉信也

    泉信也君 終わります。(拍手)
  253. 奥村展三

    ○奥村展三君 もう既に、幾つかの質問をさせていただくことにつきましては同僚議員、先輩議員からお聞きになっておりますから、簡単にお伺いをいたしたいと思います。  議論をずっとお聞きしている中に、非常に厳しい今日の経済状況の中でございます。こうしたときを考えますと、なかなかテナントにも入居されないのではないかなというような思いがあります。ビルを建築してもなかなかうまく経営が成り立っていくのかどうか、そういう問題もいろいろ検討はなされていると思うんですが、今回、特定建築者制度の拡充ということでいろいろ建設省の方でお考えになって進められていこうとするわけでありますが、既にお聞きになっていろいろ議論をされた中でございますが、この制度の拡充による効果、基本的なことでございますが、簡単に所見を伺いたいと思います。
  254. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 先ほど多少御説明申し上げましたけれども民間事業者がみずからのノウハウと費用負担によって施行者にかわって建物をつくる制度ということで、保留床プラス権利床のところまでできるということで、現在十数地区でしか活用されていなかったということでございますが、今回の改正によりまして、民間事業者の技術的能力とか資金力をさらに発揮することが可能になってきたということでございまして、公共団体が行う施行者と民間事業者の特定建築者が市街地開発事業を効果的に推進することができるということになってくるということであろうかというふうに思っております。
  255. 奥村展三

    ○奥村展三君 幾度も皆さん方からお話のあるように、やはり経済状況の中で公共あるいは民間がいかに誘導しながら再開発ができていくかというある意味では期待もあるわけでありますが、ぜひ基本に立ち返って、建設省がリードをされて進めていただくことを希望しておきたいと思います。  もう一点でございますが、事業用地適正化計画認定、これが創設されるわけでございますが、全国的視野から見ますと、この虫食い状況等、この土地を有効活用していこうということでありますから、どの程度低未利用地等あるのか、今回の創設で活用するとしたらどのぐらいのことを可能と見込んでおられるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  256. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 低未利用地の現状でございますけれども、全国では約七千ヘクタールというような数字もございますけれども、民都機構の調査によりますと、東京都二十三区におきましては約四千百ヘクタール、そのうち東京都心四区につきましては、これは粗っぽい調査でございますけれども、百七十七ヘクタールといったような数字がございます。また、低未利用地の中でもさらに不整形地というようなものも相当数あるわけでございます。  そういう低未利用地あるいは虫食い地等について、具体的にどの程度の要望が今後出てくるかということでございます。これはまた全体の要件面積でありますとか、そういう要件等を規定していく中で、その適合するような土地についてのまた要望があろうかと思いますけれども、これまで民間事業者虫食い地整形しようとするときにボトルネックとなっておりました税制面に、税負担についてこの制度優遇措置を講じていこうということによってボトルネックを解消していこうということでございまして、大変大きな効果があるんじゃないかなと。夏からの税制改正要望あるいは十二月のこの決定、あるいはまたこの法案の審議に際しましても、大変関心を持っていろいろ情報照会をされる方がおられるということでございます。  私ども建設省におきましても、相当活用されるのではないかというふうに今後期待をし、またしっかりと制度化の事業の推進に当たっていかなきゃいかぬなと、認定に当たっていかなきゃいかぬなというふうに考えている次第でございます。
  257. 奥村展三

    ○奥村展三君 不良債権や根抵当権の問題だとか、いろんな複雑なことがたくさんあろうと思います。ぜひ、先ほども申し上げましたように、今回の改正が大きく寄与して、これは都市計画だとか再開発事業は大都市だけのものではなくて、やはり当然地方にも推し進めていく、国土の均衡ある発展という基本に立ち返って推し進めていただきたいし、これからいよいよ地方分権という流れができ上がってきます。そういう独自性といいますか、地方それぞれの顔をつくりながら進めていくということで、今回の改正がうまく機能されますことを祈念といいますか、期待もさせていただいて、重複をいたしておりますので、以上をもって質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  258. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 私は、この改正法案に対して若干の質問をさせていただきます。  現在、民間都市開発推進機構参加業務に要する資金の貸し付け民間都市開発推進資金の償還期限を二十年均等半年賦償還となっているが、今般新たに十年一括償還の方法を追加することになっているが、その理由をお聞かせください。
  259. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 民都機構参加業務は、現在、長期延べ払いによって参加資金を回収してきたところでございますが、平成十一年度からは不動産の証券化、不動産証券の償還によって回収する方法も新たに認めたいということでございまして、これは不動産の証券化を活用して行われる都市開発事業を推進する観点から、証券化を行う民間事業者の取り組みを参加業務によって支援していこうということでございます。  この場合に、不動産証券の償還方法といたしましては、均等償還ということばかりではなくて一括払いということも当然ございますので、そういうような場合にも対応できるように、今回十年一括償還を償還制度等の中に加えさせていただいたと、こういうことでございます。
  260. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 この機構土地取得・譲渡業務のうち、事業見込み地の取得を行うことのできる期限を平成十一年三月三十一日から三年間延長し、これは大渕先生からも少し質問がありましたけれども、その三年間の延長した理由は何か、それで十分に目的が達成できるのかどうか、お伺いいたします。
  261. 関谷勝嗣

    ○国務大臣(関谷勝嗣君) これは判断することが大変難しい点でもあろうと思うわけでございますが、今、景気喚起をするといいましょうか回復するために、政府として、国としてのあらゆる援助策、刺激策、誘導策を打ち出してきておるわけでございます。  民都機構土地取得するという、こういうやり方も、私はいつまでも政府の手助けというようなことだけでは、いわゆる不動産土地流動化というのも、いつまでもこういうようなことだけを続けていきますと、そういうことをいつまでも続けなければそういう流動化がならないというようになる危険性も私はあるんじゃないかと思うんです。余りにも甘やかしてしまったのではいけないわけで、そういうところで私は三年という期限を切ったと思っておるわけでございます。すべてのいろいろな国の手助けというものは、やはり自由主義経済でございますから、民間主導のいわゆる景気浮揚のサークルに乗せておかなければならないと思うわけでございます。  ですから、これをまたまた延長しなければならないということになると、この不良不動産が解決できなかったということでもありましょうし、また日本の経済そのものがそれこそ大変なことになってしまうのではないか、そのように私は個人的に考えておりまして、この三年間というものが適当な時期ではないか、そのように判断をしております。
  262. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 機構土地取得・譲渡業務にかかわる土地取得資金の政府保証枠が、現在、累計で一兆五千億円ありますけれども、平成十年十二月三十一日現在における取得総額は四千七百八十億円となっております。実際の取得額は保証枠の三分の一弱にすぎないわけであります。それは一体どういうことか。取得額が少ないのではないか、こういうふうに思われますけれども、これはどういうことなんですか。
  263. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 十二月末現在で約四千八百億。三月末ぎりぎりの段階でまだ未集計でございますが、約七千億程度まで買い進むものというふうに考えております。  いずれにいたしましても、一兆五千億の政府保証枠がございます。そのまだ少し枠があるわけでございますが、これは低未利用地におきます民間都市開発を推進するということから事業見込み地の高い優良な土地を厳選して買っておった、しかも五年間の当初の間は非常に少なかったということでございまして、ここ一両年非常にそういう格好での土地取得業務がふえてきた、こういう状況でございます。  最近、そういうような意味で優良な土地の持ち込みがふえておるわけでございますので、これに対応して十年度は九年度の三倍程度の事業ペースで取得しているわけでございます。あと三年間延長ということでお願いをしておるわけでございますが、そういうニーズはさらに高まってくるであろうということでございます。あと三年間で、約八千億の取得額に沿いまして事業の推進を図ってまいりたい、こういうことでございます。
  264. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 八千億が予定されておるといいますけれども、いわゆる枠は一兆五千億あるわけです。これプラス残り、ちょっともう一遍。
  265. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 全体で一兆五千億ございまして、三月末現在で約七千億保証枠を使っておるわけでございまして、あと残り八千億という趣旨でございます。
  266. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 機構土地取得状況一覧表を見ますと、平成八年十月と平成九年六月に沖縄県那覇市における土地取得の事例が掲載されております。  この二件の事例について、その取得事業の経緯あるいはその状況をお伺いしたいと思います。
  267. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 沖縄の那覇で二件、民都機構取得をしておるということでございますが、平成八年十月に取得した物件につきましては約七千四百ヘクタールの土地でございまして、集合住宅の建設を行う適地ということで取得したというふうに承知をいたしております。現状は更地になっておるということで、現在、分譲マンションの立ち上げに向けて事業予定者と共同して計画を今進めておる、こういうふうに聞いております。  それから、平成九年の六月に取得した物件につきましては、同じように約八千平米の土地でございますが、これは混合、複合の施設で、商業、業務住宅といった複合施設の建設を行うということでございます。これは暫定的に駐車場として利用されておるということでございますが、この複合施設の立ち上げに向けて、現在またこれも計画を進めておる、こういうふうな状況であるというふうに聞いております。
  268. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 これは場所はどこですか。
  269. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 八年のところについては那覇市の首里ということだというふうに聞いております。二番目のところにつきましては那覇市でございますが、具体的にはちょっと私どもとしても承知をいたしておりません。
  270. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 それはわかりませんか。
  271. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 正式には、売り主の方がどこでどれぐらいのあれで買ったか、どういうようなものとして買ったかということについての同意が得られていないという状況でございますので、那覇市内の土地であるということで御理解を賜りたいと思います。
  272. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 機構は、融通業務において国から無利子借入金及び政府保証債の発行により調達した資金日本開発銀行、北海道開発公庫または沖縄振興開発公庫に寄託し、これらの銀行、公庫等はその寄託金とみずからの財投資金を原資として低利の資金をつくり上げ、それを特定民間都市開発事業を行う民間事業者に融資する業務を行っている。  そこで、機構創設以来、現在までの間に沖縄振興開発公庫に対する寄託金の年度別実績と累計額がどのようになっているか、お伺いいたします。
  273. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 民都機構が平成元年から寄託をしておるわけでございますが、平成元年が一億八千万、二年度が一億、三年度が一億二千万、四年度が一億、それから五年度が一億一千六百万、それから六年度が一億五千三百万、それから七年度が四千六百万ということになっております。累計で八億一千五百万ということでございます。
  274. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 八億一千万という累計額でありますけれども、有効に利用されているというふうに理解してよろしゅうございますか。
  275. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) それぞれ駐車場でありますとか、いろんなショッピングセンターでありますとか、そういうところに対して事業費として有効に利用されているというふうに聞いております。
  276. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 融通業務の実績額が、平成九年度において特に落ち込んでいる理由は何でしょうか。また、寄託額においては平成七年度、八年度において大幅に落ち込んでおります。平成九年度に至ってはゼロになっておりますけれども、その理由をあわせてひとつ説明願いたいと思います。
  277. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 民都機構融通業務につきましては、機構から開銀等への低利資金の寄託を通じまして民間事業を施行する者に対して資金融通を行うということでございます。六十二年度に創設されまして以来五百億円程度で推移してきておりますが、近年大変厳しい経済情勢のもとで民間都市開発事業が低迷をしておるということで、九年度の融通額が三百四十億円ということで減少したわけでございます。  この業務の寄託金は、開銀等が民間事業者に対して融通を行う公共特利と開銀等の調達特利である財投金利の差に充てるというものでございます。数十億円の寄託を行ってきたわけでございますが、低金利状態が非常に続いておるということは御案内のとおりでございまして、金利差が減少しておるということで徐々に減ってきておるということで、平成七年が九億七千万、八年が五億六千万ということで、平成八年十月以降は金利差がないという状況になってまいりましたので九年度は寄託が行われなかった、ゼロということになっておるということでございます。
  278. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 これは、都市開発あるいは再開発あるいは区画整理事業等において、もう全国でどこもかしこも虫食い状態都市が相当あると思いますし、また中心市街地が空き家状態が続いているというふうなことは全国各地にあると思いますけれども、そういった問題をこれからどう整理開発していくかということは非常に重要なことだと思います。  国としては、地方自治体にどのような指導をしてそういった再開発あるいは区画整理というようなことを進めていくお考えなのか、その辺をお聞かせください。
  279. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 区画整理、再開発事業につきましては、民間の再開発事業を促進するといったことが現下の大変重要な課題であろうというふうに思っております。  したがいまして、私ども国といたしましても、税制上の優遇措置あるいは金融面での優遇措置あるいは補助制度といったようなあらゆる制度を駆使いたしまして都道府県、民間企業を支援していくということであろうかと思います。また、その事業をおやりになる方々にとりましては、ただやみくもに大きな規模で大きな建物を建てる、あるいはまた大きな事業をやるということではなくて、それなりの規模でいろいろ工夫をしながらやっていただく。町づくりの非常に大きな手段でございますので、そういう意味での工夫をしながら、地域の町に合った開発をやっていただく、構想でやっていただくということは非常に重要であろうかと。  両々相まちまして、できるだけの支援をしていきたいというふうに私ども思っております。
  280. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 国としては、民間の主導でやった方がいいのか、あるいは地方自治体で取り組んだ方がいいのか、いずれの方法がいいとお考えですか。
  281. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 区画整理事業にしましても市街地開発事業にしましても、都道府県、公共団体の施行のものもございます、民間の組合施行、個人施行のものもございます。これは、それぞれがやはりその時々の状況あるいは資金状況、地域の状況等々を勘案しながらやっていく必要があるのではないかなというふうに思っておるところでございます。
  282. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 機構の予算額が、昭和六十二年の創設事業を別として、昭和六十三年度以来平成九年度まで百億円から三百億円台の水準を維持していたものが、平成十年度において八十八億円余に落ち込んだ原因は何か、お伺いしたいと思います。
  283. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 民都機構の予算の貸付業務かと思いますが、道路とか公園等の公共施設の整備を行う第三セクターとか区画整理事業に対しまして、NTTの売却収入を活用した無利子貸し付けを行う業務でございますが、その予算額は、先生今おっしゃいましたように三百数十億のところからずっと減少を続けてきておる、こういう状況でございます。  事業から収益によって返済を行うという制度でございますので、最近の大変厳しい経済情勢のもとで収益を生む事業の採算性が悪化しているということで、この貸付業務の実績が減少して、それに伴って予算額も減少している、こういう状況であろうかというふうに思っております。
  284. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 経済情勢が非常に逼迫している状況からやむを得ないと思いますけれども、これからそういった予算額をもっと確保して事業計画を立てて、そして先ほど申し上げましたあらゆる事業に取り組んでいくというふうなことが、結果的には国民の生活を保障していくというふうなことになりますけれども、その辺の決意のほどをお伺いしたいと思います。
  285. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 今申し上げましたように、そういったような三セクあるいは区画整理組合に対して無利子貸し付けを行うということでございますので、大変厳しい経済情勢のもとではございますけれども、その所要額については、私どもとしてもできる限りの努力をして確保してまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
  286. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 都市研究センターの業務の主な研究テーマの中に、二十一世紀型都市像の研究、都市景観に関する研究、諸外国の都市開発整備方策の調査、高齢化社会における都市像の研究等興味を引かれるものが含まれておりますけれども、これらの研究の現状について、その概要を御説明いただきたいと思います。
  287. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 民都機構は、今申し上げました参加業務とか貸付業務とかといったようなもののほかに都市研究センターというようなものを持っております。都市研究センターは、都市開発整備に関します総合的な調査研究機関として創設されたわけでございまして、現在まで約六十の調査を行ってきたところでございます。  今、先生が例示で御指摘になりました二十一世紀型都市像の研究といったようなものにつきましては、二十一世紀を見据えた高齢者に配慮した公共施設の整備、あるいはまた介護サービス等を兼ねた新しい都市ビジョンを提示したというような提言をいただいて研究されております。あるいは、都市景観に関する調査ということにつきましては、諸外国の都市、農村における都市景観とその整備保全の方向についての調査ということでございます。さらに、最後の諸外国の都市開発整備方策の調査ということにつきましては、諸外国の都市政策の課題でありますとか、私どもも検討を今後しなきゃいかぬと思っております都市計画制度の枠組みの問題でありますとか、都市開発制度の概要等について諸外国との比較研究を行ったというようなことでございます。  なお、高齢化社会における都市像の研究というのも行っておるようでございますが、高齢化社会における都市のあり方、新しいコミュニティーづくりの形成といったようなものについての現況の調査あるいは将来像についての調査研究を行ったというふうに聞いておるところでございます。
  288. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 諸外国の都市開発整備方策の調査というふうなことについては、日本にとってどういうことが参考になるのか、もし調査されておればお伺いしたいと思います。
  289. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) いろいろなことを調査してまいったわけでございますけれども、アメリカとかヨーロッパとかそういうところを調査したわけでございますけれども、例えばヨーロッパということになりますと、建築制限あるいは土地利用のあり方あるいは景観の問題といったようなものが今後の日本都市政策にとって非常に参考になろうかということであろうかと思います。  そういうふうな点についての調査を行ってこられたということでございますし、またそれらを私どもの非常に参考にさせていただいて、制度改善につなげていきたいというふうに思っておる次第でございます。
  290. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 諸外国の都市を見てきた場合、やはり建築物が二百年たったとかいろいろ大変な建築物でありますけれども、内部を改造して使っている。日本では全くこれは考えられないような状況ですね。  そういうふうなことからすると、外国のそういった建築物都市計画というものはかなりずっと以前から進んでいたんじゃないかというような気がしてならないんですけれども、諸外国のその辺を参考にして、これから本当に日本に取り入れられるようなものがあるのかどうか、その辺はどうでしょうか。
  291. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 日本では、いわゆる都市のスプロール、都市が郊外に広がっていくという時代から、都市の内部、都市中心市街地の再活性化を図るといったような都市の再構築を図っていかなきゃいかぬという新しい時代に入ったのではないかというふうに私ども基本認識をしておるところでございますし、また都市計画審議会でもそういう御提言をいただいておるところでございます。  そういうことを踏まえて、今先生おっしゃいましたような外国の都市計画制度土地利用制度というのは非常に長い歴史を持っておる制度でございます。そういう制度を私どもとしては非常に参考にさせていただき、日本として、木の文化といいますか、石の文化と違った木の文化ということもあるわけでございますので、そういうことも踏まえて、新たな私どもとしての独自の制度としての政策も検討しなきゃいかぬということであろうかと思います。  そういう意味で、諸外国の制度を参考にしながら、私ども、全体的な日本都市計画都市政策のあり方について今後とも進めていきたい、検討していきたいというふうに思っております。
  292. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 終わります。(拍手)     ─────────────
  293. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、北澤俊美君及び山下善彦君が委員辞任され、その補欠として小川敏夫君及び森山裕君が選任されました。     ─────────────
  294. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  295. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私は、日本共産党を代表して、都市開発資金の貸付けに関する法律等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  本案は、民間事業者による都市開発を促進するため、市街地開発事業に対する都市開発資金無利子貸付制度の創設、民間都市開発推進機構土地取得業務に係る取得期限の延長、土地区画整理事業市街地開発事業の一体的施行制度の創設などを行うものです。これは、昨年四月に閣議決定された総合経済対策などを受け、大手ゼネコンやディベロッパーなど民間事業者による虫食い地、低未利用地整形集約化と、都市開発土地区画整理事業を積極的に支援、促進する対策の一環として出されたものにほかなりません。  第一に、民間都市開発推進機構土地取得業務の延長、拡大や新たな無利子貸付制度の創設は、公的資金の投入による土地、債権の流動化と有効利用の促進であり、バブルに狂奔したゼネコン、銀行、不動産業者らの責任を免罪した上、公的支援でその救済を図ろうとするものであり、認められません。  第二に、土地区画整理事業市街地開発事業事業計画がないまま組合を設立することは、具体的な町の姿や減歩率の根拠、再開発ビルの設計も明らかにならないまま地権者同意を迫るものであり、賛成できません。こうした段階で組合が資金調達することは過大なリスクを負わせる危険があります。合併施行についても、地権者同意なしに強行できる制度には反対です。  日本共産党は、都心部にある虫食い地を有効に活用することは、町づくりの上で重要な課題であると考えます。しかし、本当に良好な町づくりを促進しようというのであれば、不良債権は、ゼネコンやディベロッパーの責任で処理させるとともに、住民参加のもと、民主的な都市計画に従って行われるべきです。これら法律案には、町づくりで一番肝心な住民の視点が欠落していると言わざるを得ません。  なお、指定検定機関制度の創設については、これ自体に反対するものではありません。  以上をもって、本案に対する反対討論といたします。
  296. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  都市開発資金の貸付けに関する法律等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  297. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  小川君から発言を求められておりますので、これを許します。小川勝也君。
  298. 小川勝也

    小川勝也君 私は、ただいま可決されました都市開発資金の貸付けに関する法律等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、社会民主党・護憲連合、自由党、参議院の会及び二院クラブ・自由連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     都市開発資金の貸付けに関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一、民間主導による都市開発を促進し、土地流動化を図るため、民間事業者、地方公共団体等に対する改正内容の周知徹底を図るとともに、今後とも制度の充実に配慮すること。また、都市計画事業制度都市政策のあり方については、その制度体系に関し一層のわかりやすさと利便性の確保を念頭に検討を進めること。  二、都市開発事業土地区画整理事業については、地方分権や地域住民の参加、地域社会の機能維持を基本としつつ、迅速な事業展開の方策を検討すること。  三、再開発事業等における施行者の資金能力事業の安定化を図るため、都市開発資金貸付制度の充実に配慮すること。また、まちづくりに係る補助金制度については、その統合化・簡素化を積極的に進めること。  四、民間都市開発推進機構が行う土地取得譲渡業務については、その業務が適正に遂行されるよう指導を徹底するとともに、一層の情報開示に努めること。また、同機構取得した土地については、事業化への検討を積極的に進め、譲渡等の促進を図ること。  五、事業用地適正化計画の建設大臣認定制度については、地方公共団体の意向にも十分配慮すること。  六、土地区画整理組合及び市街地開発組合の事業準備段階における設立に当たっては、地権者関係住民に対し、事業基本方針等についての十分な説明を行うなど、理解を得るよう努めること。  七、土地区画整理事業及び市街地開発事業の一体的施行に際しては、関係権利者の意向を十分尊重して事業を行うよう指導を徹底すること。  八、まちづくりに関する専門家の育成・確保等支援体制の強化に努めるとともに、土地区画整理事業に関する技術検定においては、指定検定機関による業務が適正に行われるよう指導すること。  九、再開発事業においては、権利変換をせずに転出を希望する権利者等の事業施行後における生活の安定・再建が図られるよう、補償金その他救済の措置について十分配慮すること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ御賛同いただきますようお願い申し上げます。
  299. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) ただいま小川君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  300. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 多数と認めます。よって、小川提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、関谷建設大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。関谷建設大臣
  301. 関谷勝嗣

    ○国務大臣(関谷勝嗣君) 都市開発資金の貸付けに関する法律等の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことを深く感謝申し上げます。  今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました都市開発の促進方策の充実、地域住民の意向も踏まえた迅速な事業展開の方策の検討、関係権利者の意向への配慮等の課題につきましては、その趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。  ここに、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。どうもありがとうございました。
  302. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  303. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十九分散会