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1999-03-23 第145回国会 参議院 国土・環境委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年三月二十三日(火曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  三月十六日     辞任         補欠選任      久保  亘君     北澤 俊美君  三月十九日     辞任         補欠選任      北澤 俊美君     久保  亘君  三月二十三日     辞任         補欠選任      久保  亘君     北澤 俊美君      泉  信也君     阿曽田 清君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         松谷蒼一郎君     理 事                 市川 一朗君                 太田 豊秋君                 小川 勝也君                 福本 潤一君                 緒方 靖夫君     委 員                 上野 公成君                 坂野 重信君                 長谷川道郎君                 山下 善彦君                 脇  雅史君                 岡崎トミ子君                 北澤 俊美君                 久保  亘君                 佐藤 雄平君                 弘友 和夫君                 岩佐 恵美君                 大渕 絹子君                 阿曽田 清君                 泉  信也君                 奥村 展三君                 島袋 宗康君    国務大臣        建設大臣        国務大臣        (国土庁長官)  関谷 勝嗣君    政府委員        総務庁行政監察        局長       東田 親司君        沖縄開発庁総務        局長       玉城 一夫君        沖縄開発庁振興        局長       襲田 正徳君        国土庁長官官房        長        久保田勇夫君        国土庁計画・調        整局長      小林 勇造君        国土庁地方振興        局長       中川 浩明君        建設大臣官房長  小野 邦久君        建設大臣官房総        務審議官     小川 忠男君        建設省建設経済        局長       木下 博夫君        建設省都市局長  山本 正堯君        建設省河川局長  青山 俊樹君        建設省道路局長  井上 啓一君        建設省住宅局長  那珂  正君    事務局側        常任委員会専門        員        八島 秀雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振  興開発特別措置法の一部を改正する法律案(内  閣提出衆議院送付) 〇都市開発資金の貸付けに関する法律等の一部を  改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) ただいまから国土環境委員会開会いたします。  奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案につきましては、去る三月十六日に質疑を終局しております。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  3. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 全会一致と認めます。よって、本案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  小川君から発言を求められておりますので、これを許します。小川勝也君。
  4. 小川勝也

    小川勝也君 私は、ただいま可決されました奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、社会民主党護憲連合、自由党、参議院の会及び二院クラブ・自由連合各派共同提案による附帯決議案提出いたします。  案文を朗読いたします。     奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の事項について、適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一、奄美群島振興開発計画の改定及び小笠原諸島振興開発計画の策定に当たっては、住民生活基盤強化福祉向上及び教育充実を図るとともに、地元市町村の意向を十分に尊重すること。    また、その計画進捗状況を把握し、本法有効期限以降の制度及び各種施策在り方について検討を行うこと。  二、振興開発事業については、沖縄との均衡を考慮しつつ補助率補助採択基準等について十分な配慮をするとともに、事業効率的展開に資するよう当該自治体基盤強化を図ること。  三、奄美群島の特性を生かした産業振興を図るため、大島紬等地場産業の育成に努めること。    また、農林水産業観光リゾート産業等開発推進及び流通の改善に資するよう農業基盤交通基盤等整備を強力に推進すること。    さらに、奄美群島振興開発基金については、出資業務在り方検討を含め、基金業務効率化を図るとともに、その充実強化に努めること。  四、小笠原諸島における産業振興を図るため、交通施設農漁業施設観光施設等整備に特段の配慮をすること。    なお、空港整備構想推進を図るため諸課題の解決に努めるとともに、自然環境の保全にも十分留意すること。    右、決議する。  以上でございます。  何とぞ御賛同いただきますようお願い申し上げます。
  5. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) ただいま小川君から提出されました附帯決議案議題とし、採決を行います。  本附帯決議案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  6. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 全会一致と認めます。よって、小川提出附帯決議案全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、関谷国土庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。関谷国土庁長官
  7. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことを深く感謝申し上げます。  本委員会における御審議やただいまの附帯決議において提起されました今後の施策あり方住民福祉向上教育充実自然環境への配慮等課題につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして法の運用を図ってまいりたいと考えております。  ここに、本法律案審議を終わるに際し、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対して深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。  どうもありがとうございました。
  8. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) なお、審査報告書作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  10. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 次に、都市開発資金の貸付けに関する法律等の一部を改正する法律案議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。関谷建設大臣
  11. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) ただいま議題となりました都市開発資金の貸付けに関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  我が国の市街地は多くの面で良好な都市環境を備えるにいまだ至っておらず、再開発により防災居住環境交通景観等の機能の充実改善を図り、都市の再構築を強力に進めていく必要があります。  また、現下の経済状況の中で、都市の再開発民間投資を誘発する効果も大きく、内需主導景気回復を図る上でも大きな役割を担うことが期待されているところであります。  以上のような観点から、国、地方公共団体一体となって民間事業者等が取り組む都市の再開発を積極的に推進するため、今般、本法律案を提案した次第であります。  次に、本法律案要旨を御説明いたします。  第一に、都市の再開発のための資金調達を円滑化するため、都市開発資金からの市街地開発事業に対する無利子貸付制度創設土地区画整理事業に対する貸付制度拡充等措置を講ずることとしております。  次に、土地流動化に資する虫食い地等の低未利用地有効利用促進を図るため、土地集約化に関する計画について建設大臣が認定を行い、これに対して支援措置を講ずる制度創設するとともに、土地市場の低迷が続く中、低未利用地における民間都市開発事業推進するため、民間都市開発推進機構土地取得業務期限を三年間延長する等の措置を講ずることとしております。  さらに、土地区画整理事業及び市街地開発事業を円滑に立ち上げるため、事業計画決定前の準備段階においても土地区画整理組合及び市街地開発組合を設立することができるようにするとともに、公共施設及び宅地の整備建築物整備があわせて行えるよう、土地区画整理事業市街地開発事業一体的施行を可能とする制度創設する等事業手法改善拡充を図ることとしております。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願いいたします。
  12. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十時九分休憩      ─────・─────    午後一時二分開会
  13. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) ただいまから国土環境委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、久保亘君が委員辞任され、その補欠として北澤俊美君が選任されました。     ─────────────
  14. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 都市開発資金の貸付けに関する法律等の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  15. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 岡崎です。よろしくお願いいたします。  余裕のある住環境の創出や防災都市バリアフリー化通勤ラッシュの解消、都市における資源の有効活用など、都市計画都市開発が重要な役割を果たすべき課題はたくさんあります。そうした中で、都市の再構築のために再開発が重要だという問題設定は私も理解できます。また、再開発事業土地区画整理に二十年も三十年もかかっている現状には問題が多いということも理解できます。しかし、そうした問題意識から出発して到達するべき答えが、今回提出されました再開発資金法等改正案のようなものでいいかといえば、これは大きな疑問を感じざるを得ません。  今回の法律案の内容はたくさんの項目にわたっています。ところが、四本の法律一括改正案として提出されておりまして、しかも日切れ扱いで短時間で審議をすると要請されておりますが、本来ならばこれはやはりじっくりと議論される必要があるというふうに考えます。  都市計画関連法律は、それぞれが難解な上に法律相互関係もとても複雑で理解が難しいと思います。ところが、難しいながら私たち市民生活から見てとても重要です。私たち生活の場である町の将来の姿を決めてしまい、またその地域に暮らす住民の現在と将来の権利を制限するものだからであります。また、文化という視点から見れば、市民生活の中で築かれてきた有形無形の過去の遺産を生かしもし破壊もするからであります。  この法案が扱っている課題がこのように重要な問題であることを政府は十分に認識されておりますでしょうか。まずそのことからお答えいただきたいと思います。
  16. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 先生、この法律改正に関しましていわゆる都市開発、あるいは住環境、その中でのあらゆる角度からの変遷ということを考えられていらっしゃるわけでございまして、そういうことで最後に、十分に考えておるかどうかということ。確かに日切れ法案ということもございますから十分な審議の時間がないかもしれませんが、逆に言いますれば、そういうような急を要することであるということで御理解をいただきたいと思うわけでございます。  それと、いずれにいたしましても、御指摘のようにこの法案ですべてががらりとよくなるわけではないわけでございまして、この都市開発資金の貸付けに関する法律ということでいささかたりとも都市開発を早く進めていくことができるように、そしてまた今地価下落をして不動産の流動化というのが進んでおりませんから、虫食い状態土地を買い上げて、それを整形してまた民間に提供するというようなことでございますから、御指摘のように一〇〇%のものとは思いませんが、いわゆる改善をしていくための法律改正というふうに私は理解いたしております。
  17. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 市民生活に非常に大きな影響を与えるこの法案はさまざまな側面から議論されなければならないわけなんですが、非常に一面的な問題意識で準備されたという印象を持たざるを得ません。都市計画には多くの利害関係者がおります。法案作成段階でどれだけ幅広い人々の意見を聞いたかが問題であります。  衆議院民主党山本譲司さんの質問に答えて、公共団体、学者、業界、知事会市町村長会意見を聞いたとおっしゃっておりますけれども、それでは、最も重要な主人公であります町の人たち生活のすべての側面にわたって最も大きな影響を受ける住民意見はお聞きになりましたでしょうか。
  18. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) この法案提出させていただくに当たりまして、去年の四月の総合経済対策におきまして、民間開発を円滑に進めるための方策を総合的に講じていく必要がある、そのための法制度についての検討をすべきだ、こういう御提言がございました。それを受けまして私ども民間活力を活用した都市開発を円滑に推進するためのあり方について、検討の場を設けて検討を進めてまいったわけでございます。先ほどお話ございましたように、学識経験者地方公共団体あるいは民間事業者、あるいは知事会市町村長会、あるいはそれぞれ常に私どもが接触させていただいております市町村の首長さんの方々等々との意見交換を行ってきたところでございます。こういう議論の要望をも踏まえまして、今回の法案として取りまとめさせていただいたところでございます。  住民の声を十分聞いたかと、こういう御質問でございますけれども地方公共団体からの要望を通じて住民皆さん方の御意見は十分反映されているというふうに考えているところでございますけれども、この法案以外にも予算あるいは税制等について、零細権利者生活再建のための措置充実を図るというような点からも措置をさせていただいておるところでございます。  今後とも、そういう観点での制度充実等について努めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  19. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 直接は聞いていらっしゃらないということなんですけれども建設省は、長良川河口堰などを通しまして、あの問題でも開発優先住民不在だというような世論の批判がありました。その反省もあると思いますけれども住民参加町づくり趣旨とした都市計画法改正も九二年に行っております。したがって、当然に住民意見を聞くべきだというふうに思うんです。殊に、反対運動をしている人たちにこそどうすればよいのかを聞くべきではないかというふうに思います。  意見を聞いたといいましても都合のよい部分だけを取り入れるのではなくて、例えば融資とか手続とか、総合的な町づくりをやりたいので、そのために補助制度予算税制等について大幅な制度改正をやってほしいというものがあったと、建設省自身衆議院審議の中ではそういうことをおっしゃっているわけなんですけれども、こうした地方分権視点からも抜本的な制度改正が必要だというふうに思うわけなんです。  こうした点は生かされないのかどうか、大臣にお聞きしたいというふうに思います。
  20. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 私もいろいろな公共事業の問題あるいはこういう開発事業の問題等々について悩むところがあるわけでございまして、岡崎先生指摘のような、いわゆる住民方々の御意見を聞くというのは今の制度では御要望の域には達していないというのが正直なところでございます。  ですが、そういうような方向に今は進んでおります。住民皆さん意見を聞くとか、あるいは情報公開をもっとやる、透明度を高めていくということでそういうことを進めていっておるんですけれども、言い過ぎになるかもしれませんが、そういうことを建設省あるいは国は行いますが、その住民方々といいましょうか、逆の受ける方の方々のそういうことに対しての考え方というか、対処の仕方というか、そういうものは正直まだ十分に確立されていないと思うんです。  ですから、直接関係のある方々の一人一人にお伺いをしていくということはもちろんやるべきですが、どのあたりで両方の分岐点を求めていったらいいのか、私は正直なところ非常に悩んでおるわけでございます。ただ、現時点におきましては、先生指摘のように、まだそういうものを十分に聞いていないということは反省をいたしております。ですけれども、そういうような方向に持っていきますが、ぜひ御関係方々もそういう論議をする、そして、そういう方々も責任を持って参加していただかなければ、逆にこういう再開発なんというのは時間がどんどん過ぎていくと私は思うんです。ですから、大いに意見を聞いて、論議をし合って、最終的にはやっぱり多数決の原理で決定をしていただいてその仕事を進めていくことができるように、ちょうど今緒についたという感じでございます。  先生指摘のように、御関係方々意見は最大限聞くということでやっていきたいと思います。しかし、今十分にやっておるかというと、十分ではないということは認めざるを得ないと思っております。
  21. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 総合的な町づくりのための制度改革自治体から出された意見ですから、これは生かされるべきだというふうに思います。よろしくお願いしたいと思います。  さて、再開発事業土地区画整理に時間がかかると言われて、今回の法改正中心として、事業促進観点から、都市開発資金からの無利子貸付制度創設拡充組合設立早期化、再開発事業土地区画整理事業の合併などが盛り込まれております。しかし、区画整理や再開発事業重要性危険性考えますと、問題点の把握なしにいたずらに促進策ばかり考えるのはいかがかと思います。また、時間がかかる本当の原因は何なのかという問いにも答えなくてはなりません。  土地区画整理や再開発事業制度そのものに対して批判が強いことを建設省十分御存じだと思いますが、まず第一に、住民生活の質、既存のコミュニティーを無視して再開発業者あるいは大規模地権者利害を反映して行われることが非常に多くて、結果的には小さな弱い地権者生活を破壊するという不信感を生み出してしまうことになります。実際に、再開発によってそれまであった商店が事実上追い出されるケースが多いという現実がございます。再開発を行っても町の活性化につながらなかったという事例もたくさんございます。  採算性考えましても、特に地価上昇が期待できない昨今、保留地保留床の販売に事業費を求める土地区画整理や再開発事業手法は、まず事業としての魅力が損なわれているのじゃないかなというふうに思います。特に高層建築に偏る再開発事業現状を見ますと、大規模開発事業者しかこうした事業を行うことができない、またでき上がった建築物には維持管理あるいは管理費がかかり過ぎ、もともとの居住者が入れないというような受益者に偏りがあることなど、多くの批判がございます。  こういった点については、建設省はどのようにお考えでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
  22. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 再開発事業につきましては、関係権利者が共同して地域生活環境改善するためのいろんな公共施設整備をすると同時に新しい再開発ビルを建築するといったようなものでありまして、都市にとっても関係権利者にとっても大きな効用がある事業であるというふうに考えております。  こういう事業を進めるためには、国や地方公共団体からの支援に加えまして、保留床を売却すること等によって事業費を確保するといったようなことが必要になってくるわけでございますが、今先生指摘のように、地価下落等によりまして保留床保留地等処分が難しくなっているとか、あるいは融資資金調達が難しくなってきているというようなケースがふえていることによりまして、事業期間が長期化しているということであろうかと思います。  そういうことに対応いたしまして、私どもとしては、迅速化を図るための制度改善を図ると同時に、先ほども御指摘ございましたように、零細権利者対策中心とした支援措置も十分に積極的に講じていく必要があるということであろうかというふうに思っております。再開発区画整理事業が行われる際に、その地区から転出される方、あるいは土地建物所有者借地人ともにかなりおられるわけでございますので、そういう零細権利者に対してのいろんな措置を講じていく必要があるということであろうかと思います。  具体的には、今回、十一年度の予算措置等によりまして、例えば再開発ビル等に入居が困難な借家人の受け皿として公共団体整備する施設に対する国庫補助対象として、住宅に加えて、従前営業者の方が転出される際に賃貸の施設補助対象にするとか、あるいは従前営業権利者零細商店方々が取得する権利床について大変固定資産税が高くなるといったようなことがございますので、そういう固定資産税軽減措置拡充措置等も講じておるところでございます。  引き続きまして、こうした関係権利者対策等充実には配慮しながら、事業自体魅力があり、あるいは住民合意を得て再開発事業が迅速に行われるように努めてまいりたいというふうに思っている次第でございます。
  23. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 問題点をそのままにして強引に事業促進考えていかないように、実態とは乖離がないようにぜひお願いをしたいと思います。  そもそも、事業が進まない理由、それもやはり制度そのものあり方にあると考えますけれども、なぜこの再開発事業が進まないと建設省はお考えでしょうか。制度そのものの問題だというふうにお考えではないでしょうか。
  24. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) ただいま申し上げましたように、再開発事業につきましては、基本的にはその場所の方がその場所整備をして建物を建てかえるということでございますので、保留床を売却してその費用によって事業費を賄うというのが基本でございます。その保留床を売却するというところで、地価下落等経済状況変化等によりまして保留床処分が非常に難しくなってきておる、あるいは場合によりましてはいろいろ権利調整をしなきゃいけない、関係権利者合意を得るためのいろいろ権利調整について時間がかかる、こういったような点がやはり一つの大きな課題ではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。  ただ、そういう手法を用いてやっておるわけでございますけれども、再開発事業そのものについては、そういうところに対する支援措置を講じることによりまして、制度そのものとしては地元の住民皆さん方でしっかりとそういう事業をやっていただくという意味での価値、効用は大変あるのじゃないかというふうに認識をしておるところでございます。
  25. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 衆議院での質疑の際に、こうした質問に対して関谷大臣は、土地所有者理解を第一に上げていらっしゃいます。これは大変正しい御認識だというふうに思っております。  区画整理事業の八割は組合か地方公共団体施行で行われておりますが、いずれの場合にも実態としては自治体主導になっているのがほとんどであります。補助金や制度そのものが複雑で、自発的に住民たちの間から事業を始めることは非常に難しいからです。一方、自治体にとってみれば、減歩によって事業費を生み出す区画整理事業は財政負担が少なくて済みますから、なるべくならやっていきたいというわけであります。  大規模土地所有者権利者が開発や売却を目的に区画整理を望む場合に自治体利害と一致して区画整理事業が可能になるわけなんですが、小規模宅地の住民区画整理事業を望んで自主的に設立する事業はほとんど皆無です。なぜならこれは減歩が伴う事業だからなんですが、よほどきちんと説明をして事業の意義を納得してから初めて事業に取りかかるようにしませんと、自分の権利がどんなふうに変わっていくのか、自分の町がどう変わるのか、具体的に納得するまでの住民合意は不可能であります。仕組みそのものを住民理解するだけでも時間と知識が必要だからだと思います。  こうした現実を踏まえますと、組合設立の要件を緩和することよりも、むしろそれこそ仮換地案、再開発案を住民参加でつくり上げて、地権者すべてが合意することを組合設立の要件に加えることが大切なのではないかと思います。  現在の手法の裏側には、多少の反対や不満は無視して事業を押し通して合意のとれた地権者土地から進めていけば、最後にはなし崩し的に合意させられるだろうという発想が感じられますけれども大臣、その辺の御見解、御認識はいかがでしょうか。
  26. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 先ほどちょっと触れさせていただきましたように、大変そのあたりは難しいことだと正直思っておるわけでございまして、事業関係者の方々が百人いらっしゃるとするならば、百人の方が全員合意するというのはなかなか難しい、逆に言えば不可能なことだろうと思うわけでございます。  ですから、これからは事業計画の当初から関係者には徹底して説明をし、話し合いをし、そして最後は、やはり大多数の方の賛同をいただいた場合には少しの反対の方はまた御理解をいただいてそれを進めていかなければ、百人いて百人の賛成がなければこれが進まないということであるならば、これはちょっと不可能なことになるわけでございます。  ですから、そういう意味において、これからは地権者方々も、こちらもオープンにいたしますしすべて説明責任ということも自覚して説明もいたしますので、十分にお話し合いをさせていただく、そして最後は、多数の方がそれに賛同した場合には不満もありましょうがその方々も賛同してやっていただくということでなければ事は運ばない、私はそのように思っております。
  27. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 最後の質問になるわけなんですけれども、やはり住民合意の形成の難しさについては私たちも大変難しいだろうなと。百人全体の意見をというよりは、私たちが申し上げておりますのは、一人一人というその気持ちも大事だけれども、例えば下から町づくり協議会のようなことで、住民合意住民参加町づくりという手法で、上からではなくてそこから出発するということがとても大事なんだということを申し上げておりまして、事業促進のための制度整備を行うのであれば、やはり住民の意思を反映させるための手続面の強化とワンセットで行うのが当然だというふうに考えるわけなんです。  ですから、ぜひぱしっと次の課題として具体的に検討をするということについて大臣に一言お答えいただいて、終わりたいと思います。
  28. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) それは最大の努力をいたします。
  29. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 以上です。
  30. 小川勝也

    小川勝也君 民主党・新緑風会の小川勝也でございます。  今、岡崎委員とのやりとりにもあったように、都市開発あるいは再開発という問題は非常に悩ましい問題であろうかと思います。いろいろ考えてみたんですけれども、例えば古きよき商店街がなくなっていって開発された美しい町並みができ上がる、しかしながらそれでよかったかどうかというのは後の判断を待つしかないという部分も含まれてまいります。  この種の法案が国会で審議される、これは一人一人それなりの考え方を持っていて非常に難しい問題であろうというふうに思います。また、そこに住む住人の方々もお一人お一人考え方が違う非常に難しい問題であります。しかしながら、説明資料にありますこの虫食いのところを何とかしよう、これは大きな説得力があります。  バブル時代、東京都中央区の一部でございますけれども、古きよき下町、そこにコミュニティーがあった、そんなところが次々に虫食いになっていくさまを見た私といたしましては非常に感慨深いものがあります。バブル経済が崩壊して、何とか景気を上向きにできないだろうか、もっともっと土地流動化させるべきだ、この委員会でも私もたくさんの発言をした一人でございます。  建設省も、難しい問題だということをわかっておりながら積極的にチャレンジしてきたと大きな評価をするものでありますが、だからといって問題点がなくなったわけではありません。そこに暮らしている人たちが何といっても一番の主役でありますので、そんな部分につきましてはただいま岡崎委員から質問がありました。私は、その経済効果の部分の方はいかがなものか、そんな観点から質問をさせていただきたいと思っております。  先ほども触れたように、もしこの法律がバブル崩壊直後であれば、少なくとも今よりももっと大きな拍手をもってこの法律の成立をこの委員会の場においても願ったでありましょう。なぜ今なのか、こんな疑問があります。  後でまた質問をいたしますけれども、時あたかもバブルの後の傷跡が金融業界、あるいはきょう議題となっておりますこの問題、多くのディベロッパーにも残っております。今、この法律ができたということで当初の目的どおりの効果が持てるのかどうなのか、今私が指摘しましたように法律によってインセンティブを与えられても民間業者がそれにこたえるだけの余力を持っているのかどうか、甚だ疑問に思うところであります。  まず、大臣のお答えをいただきたいと思います。
  31. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) この法律案のバブルの直後の提案と現時点ということになりますと、確かに効果は大分違うことであろうとは思います。  先生も御承知のように、今、ビッグバンといいましょうか、金融の再構築が一応国の資金の投入ということも終わりましてとにかくスタートしたわけでございまして、その関連で、正直申し上げましていわゆるゼネコン等々が抱えております不良の不動産、これをやはり処理しなければならないわけでございます。ですから、この銀行の再建に続いて今度はそういう不動産の流動化あるいは不良不動産を処理していく、いわゆる虫食い状態のものを整形化して、それをまた一般に売り渡していくというような時期に来ておると思うわけでございまして、それとちょうど、先生ども都市の議員でございましょうが、都市開発というタイミングが合ったときの今度は資金面でのバックアップをやっていこうということでございます。  私もこの法律が出てすべてがすべて急によくなるとは思っておりませんが、まず不動産関係の改正の第一歩、あるいはまた建設業界の構造改善にもこのことが一つの指針になるのではないか、そういうことも期待をしつつ今回この法律改正を行っておる、私はそのように認識をいたしております。
  32. 小川勝也

    小川勝也君 今回のこの法律の改正は、四つの法律が一緒になっているという形ですね。その中で、民間都市開発推進機構、これは平成六年に経済対策に基づく臨時の業務として創設された。今までいろんな業務を行ってきたわけでありますけれども、現在までどれぐらいの面積を取得したのか、あるいは金額に直してどのぐらいなのか、まずお伺いをしたいと思います。
  33. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 民間都市開発推進機構につきましては、先生指摘のように平成六年の経済対策によりまして土地取得業務が新たにつけ加えられたわけでございます。それ以降、一月末現在でございますけれども、件数にいたしまして百十一件、面積にいたしまして百五十二・九ヘクタール、総額約四千九百五十億円の土地を取得したところでございます。そのうち、二十三件の土地について着工がされておるということでございます。  今後、着実に事業化が進むというふうに考えているところでございます。
  34. 小川勝也

    小川勝也君 今、百十一件のうち二十三件が動き出したと。あとの土地はどういう状況になっているんでしょうか。
  35. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 百十一件取得をいたしましたが、その中身はここ一、二年で取得した件数が大変多うございます。したがいまして、現在、事業の着工に向けて準備をしておるという段階でございます。なお、また着工の準備に当たりましては、事業化構想を持っておるわけでございますが、事業化構想に従い、あるいはまた現在の状況について多少の再調整を図りながら二十三件以外のものについては着工の準備を進めておる、こういう段階でございます。
  36. 小川勝也

    小川勝也君 今、二十三件についてはどういう段階だというのをお答えできますか。
  37. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 二十三件について着工がされておるわけでございまして、そのうち二件については竣工いたしておるところでございます。二十三件につきましては現在、着工中ということでございます。
  38. 小川勝也

    小川勝也君 残りの二十三件以外のものがまだだということなんですが、これは例えば目的が決まってこれから動き出すところなのか、それとも何にしていいのかさっぱりわからなくて指をくわえている状況なのか、内訳をお聞かせください。
  39. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 土地を取得いたします場合に、事業の目的、それから事業の概要等について出させておるわけでございまして、それに基づいて事業の構想は既に現在あるわけでございます。  ただ、それにつきまして、構想に基づいて推進する準備をしておるという段階が基本でございます。
  40. 小川勝也

    小川勝也君 これだって、例えば経済効果ということであると、それは眠っている土地を買うわけですから期待できると思うんですが、やみくもに土地を買うというのはこれはおかしいことなんですね。この土地だったらこういう利用ができそうだと思って民都が買うというならわかるんですけれども、今その百十一件のうち二十三件しか動いていないということになると、その疑念が出てくると思うんですが、いかがでしょうか。これは何かやる目的があるというふうに目算して買うわけですね。
  41. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 民都機構の土地取得につきましては、優良なプロジェクトについて、優良なプロジェクトとしてその土地が活用できるという見込みの十分立っておるものについて取得をするわけでございます。  したがいまして、民都が買った土地につきましてプロジェクトを具体的に立ち上げる段階になりますと、その事業予定者も決まっておるわけでございまして、事業予定者が事業を始めるという段階になりまして、事業が完成いたしますと事業者の方に土地を戻すという格好になっておるわけでございます。土地の取得に当たりましては、優良なプロジェクトを具体的に決めたものについて取得し、事業化に向かって準備をしておる、こういうことでございます。
  42. 小川勝也

    小川勝也君 優良なプロジェクトができる優良な土地だということで買って、その中で百十一件のうち二十三件しかスタートしていないということですね。ほかの案件もすべてこういうプロジェクトだということが全部決まっているんだということですね。
  43. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 百十一件につきましては、事業の概要、事業のおおむねの施行期間、あるいは事業の構想、総事業費の概算等について決められております。これに基づいて、それが大丈夫だということで土地の取得をするということでございまして、それについては既に決まっておるということでございます。  なお、二十三件につきましては、その事業の概要、事業構想に基づきまして現在着工し、既に竣工しているものがある、こういうことでございます。
  44. 小川勝也

    小川勝也君 もし今のお答えがそうであれば、取得する段階ですべて目的が決まっておるというふうに理解をするわけでございますが、例えば百十一件のうちマンションを建てようと思っている土地が四十件、あるいはショッピングセンターにしようと思っている土地が十何件、オフィスビルにしようとする土地が何件と、内訳をお知らせいただきたいと思います。
  45. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 都市局長とすると立場上なかなか言いづらいんでしょうけれども、ここにその百十一件のものがありますから、これは公表にしてもいいことなんだろうと思いますが、確かに局長の答弁では何を言っとるやらわからぬので、確かにここにありますから、後ほど先生にお届けしますから、それで答弁にいたしましょう。
  46. 小川勝也

    小川勝也君 さっき岡崎委員とのやりとりを聞いていたんです。いろんな難しい問題が開発ということにはつきまといます。最後の一人まで納得して賛成してくれるかどうかというのは非常に難しい問題だし、かといって百人の人が賛成するまで再開発はできないんだ、こういうことでもないんだろうと思うんです。  そんな中で、やはり建設省が指導する立場にあると思うんですが、少しでも公が入っている機関というのは、私はだれから何を指さされても大丈夫なぐらい公正でなけりゃいけない、これが都市開発に求められている最も大事な部分だと思うのであります。  私がなぜそこにこだわったかといいますと、この土地取得業務、百十一件のうちどういう業界の人から何件買いましたという資料があります。例えば不動産業三十二件、建設業二十五件、流通業十七件、製造業十八件、運輸、金融その他十九件。  先ほども申し上げましたとおり、バブル崩壊後みんな不良資産を持っていました。どの会社もどの業界もみんな苦しんでいました。そんなときに、土地を買ってあげますよといって土地を買う。それは買ってもらった人は非常にうれしい。それは経済活性化にもつながっているでありましょう。どういう土地を買ったのかということが問題なのでありまして、買う側から見て前途有望な土地だから、利用価値があるから買いました、そういうことでなければ示しがつかないわけであります。だれかから頼まれて、どこどこ会社の土地を買ってやってくれないかということで買ったという事実があったら大変なことになる。そう思いませんか、大臣。  どの業界もどの会社も苦しかったときに、平成六年から今日に至るまでに百十一件の土地を買ったわけです。それが厳正に選ばれた土地でなけりゃいけないわけです。これは逆に、そんなんだったらおれの塩漬けの土地も買ってほしかったという人はたくさんいると思います。  これが、土地取得業務が一部企業に偏っていた、一部企業を支援することに結果としてなっているんだということをお認めになられますか。
  47. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 今の土地取得業務につきましては、民民の契約でございますので、申し入れに基づきまして民都機構が企業と交渉する、こういう格好になっておりますが、その交渉に際しまして、民都機構としましては、先ほどから申し上げておりますようにその土地がきちっとした、要するに虫食いとかあるいは担保がついているとか、そういうようなものではない、民間開発事業にプロジェクトとして立ち上げに十分な土地である、規模とかそういう条件をつけておりますから、そういう規模あるいは条件等に適合した土地である。その具体的なプロジェクトについても、事業の概要あるいは総事業費等々から見て優良なプロジェクトとしてその可能性が非常に高い、大丈夫だといったような土地について買収契約によって買収をする、こういう格好になっておるわけでございます。  したがいまして、民都機構が土地を取得いたしますときには、全体の取得面積でありますとか、どこの用途地域でありますとか、事業化構想はどういうことであるとか、事業の特性がどうであるとかというようなことについての公表もさせていただいておるところでございます。
  48. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 先生指摘のように、建設関係が二十五件、不動産関係が三十二件というようなことになっておりますので、土地の問題ですからどうしてもそういう関係のところのものが多いということは事実でございますが、ただ、決定をいたしますのには第三者から成る審議会の議を経ておりますから、そういうような特定の企業に偏っておるという意味ではないと思います。ましてや、公的な資金で買い取るわけでございますから、もしもそういう不正がありましたらいつでも御指摘をしていただいたら、それは私たちも直ちに調べてそういうことは罰するわけでございますから、そういう不正は私は伺っておりません。
  49. 小川勝也

    小川勝也君 私は個別の案件で不正があるというふうに指摘するわけじゃありませんので、もしそういう案件があったら、緒方理事の方から指摘していただくとして、私は公正であるべきだということを申し上げたわけでございます。  この虫食いのところの質問をちょっとさせていただきます。  虫食いの計画の認定が大臣なんです。私は関谷大臣は御立派だし、信頼を置いているんですが、四十七都道府県あって、その隅々までとは言いませんけれども、やっぱりどこが虫食いで開発に適しているかどうかというのは、大臣に任せなくても都道府県知事でいいんじゃないかと思うんです。ここのお答えをいただきたいと思います。
  50. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) このことは、この法律のスタートの時点でもございますし、本制度、これが貸付金のことでございますが、本制度が主に国税の特別措置であるということが一つと、それともう一つは、口幅ったい言い方でございますが、これは私がやらなければ立派なまず第一歩が示せないと自負をいたしております。  そういうようなことで、いましばらく私にやらさせていただいて、いずれ地方の長に任せたって私は結構であると思っております。その一つの道筋さえできれば、私は任せたいと思います。
  51. 小川勝也

    小川勝也君 口幅ったいことを堂々と言っていただいて、感謝申し上げます。今の大臣が言っていただいたことは大事だと思うんですね。最初はそうであれ、いつまでもということじゃないと思います。その税制の問題等もいろいろありましょうけれども、なるべく現場に近いところで判断が下されるようにさまざまな案件で御判断をいただければと思います。  それで、もしこの虫食いがうまくいって、今回の無利子貸し付けであるとか、いろいろなインセンティブが働いてできるものが床としてでき上がると思います。ちょっと思い出してみてください。例えば、民間のディベロッパーというのは開発して何ぼでございますので、当然仕入れ価格の高いときも物を建てております。ちょっと思い出すだけでも浮かんでくるんですけれども先ほど申し上げました都心やそれに近いところが地上げにあって虫食いになっていった。何のためにそれを地上げするかといいますと、きれいなものにしてそこに上物を建てたいためです。実は今でもその上物はたくさん建っております。  ということは、土地取得コストが高く、立ち退き料もたくさん払って建てた建物と、今度無利子貸し付け等の恩典を受けてでき上がる建物が、わかりやすく言えば隣に建つわけです。高い仕入れで建てたオフィスビルはそれなりの家賃を取らなきゃペイできません。しかしながら、今度新しくこの制度を利用して建ちますと、少しはインセンティブが働いて安くオフィス、床を貸したり売ったりすることができる。この両者の間でギャップができてしまうと思うんです。そして、今の環境そのものが大きなデフレスパイラルの中にある。値段が上がらない、むしろ値下げ傾向がいろんな分野で蔓延しておる。  それは、賃料やオフィスビルやマンションについてもそのらち外にはないと思うんですが、この賃貸や分譲を含めてその床を売買並びに賃貸するということに関して、その市況に与える影響は小さくないと思うんですが、そこのお答えをいただきたいと思います。
  52. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 今回の法律改正の主な目的でございますけれども先ほどから申し上げておりますように、事業期間が長期化するとか資金調達が非常に困難になってきておる、こういう状況に対応するために国として無利子貸し付け等の支援をやっていく、こういうことでございまして、事業そのものが成立しにくくなってきているということが不動産投資の低迷の一つの原因である、そういうことで事業そのものの成立に向けて支援をしていこうということでございます。  先生指摘の、大量の低コストの床が供給されるということで全体の市況に相当の影響を及ぼすのではないかという御指摘でございますけれども支援を受けました再開発事業による保留床は良質なもので価格は大幅な低価格というようなところまでは大変難しいんではないか。今回の措置は、先ほど申し上げましたコストの大幅低減ということではなくて、事業の成立を支援していくようなものであるということでございます。  したがいまして、付近のあるいは全体の不動産市場の値崩れとか、そういうようなものについてというよりも、住みかえとか買いかえ需要やそれぞれの目的に応じた利用の幅が広がるといったような流動化につながるものではないかと、こういうふうに考えております。  不動産市況全体に大きな影響を及ぼすというようなところはないと考えておりますが、いずれにせよ、今後そうした点にも十分留意していく必要があるというふうに考えておるところでございます。
  53. 小川勝也

    小川勝也君 今回の法律でどのぐらい虫食い地がきれいになって上物が建つのかというのは私はちょっと見えないんですけれども、例えば配られました資料に、東京二十三区内だけで約十万カ所、約四千百ヘクタールの低未利用地が存在すると、こういう資料をいただいているんですが、ここからは通告をしていませんけれども、例えば一年でこのくらい、あるいは五年でこのくらい、あるいは十年たったらこのくらいという、希望でも構いませんので、どのぐらいになるのかというイメージを数値で教えていただけませんでしょうか。
  54. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 今、先生がおっしゃいましたように、東京四区の低未利用地につきましては、例えば全体で四千カ所余りがあるというようなことでございます。ただ、その場合に、整形であったり不整形であったりいろいろするわけでございますので、その中のどの程度がこの認定を受けてくるかといったような点については、これからの運用あるいは皆さん方の申し出によるところであろうかと思います。  いずれにしましても、予算措置といいますよりも、これにつきましては税制上の特例措置でございますので、そういう税制上の恩典をぜひ受けたいという方がかなり多く出てくれば、それに対して大臣がきちっとした基準のもとに認定をするという格好になろうかと思います。
  55. 小川勝也

    小川勝也君 あと、無利子貸付制度というのは非常にいいインセンティブだろうなと、こう思うわけでございますけれども予算がたった十七億円なんです。たったと言っていいか悪いかわかりませんけれども、これは非常に少ない申請箇所を想定しているんじゃないかなと思わざるを得ないんですが、もしたくさんの申し込みがあった場合は、東京の地価水準から見て十七億円でどのぐらいの土地を再開発できるか、虫食い地を修正できるかと考えたときに、十七億円ではちょっとだけです。  ですから、この法律にどのぐらいの結果的な期待をかけているのかというのがこの数字で見えなくなっちゃうんですね。そのお答えをいただきたいと思います。
  56. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 市街地開発事業に対する無利子貸し付けについては、新しい制度ということで十七億円、先生の御指摘のとおりであります。区画整理事業につきましては四十二億五千万ということでございます。再開発事業につきましては、今回またお願いをしております、例えば準備組合の段階で、設計、調査あるいは事業計画をつくるためのいろんな業務、調査、コーディネート業務とか、そういう業務に対する支援ということになりますと、そういう支援業務については全体で二、三億円かかる。二、三年の間調査業務をやって、それから組合を設立する、それで事業計画をつくっていく、こういう格好になろうかと思います。  そうしますと、一年で一つの事業準備組合でいけば約一億円程度の事業費が要る。そのときには、例えば開銀でありますとかいろんなところの民間の低利の融資も受ける。その足らず前といいますか、足りないところを無利子貸し付けで補っていく、こういうことでございます。しかも、そのときに、十一年度は国が全体の特例措置で全額面倒を見ることにしておりますけれども、基本は二分の一、地方公共団体が無利子貸し付けをやるに当たっての二分の一を国が助成する、こういう格好になっておりますので、国が二分の一ということになります。  したがいまして、全体として一つの準備組合のときには二、三千万貸し付けをするということで、大体その事業がうまくいくのかな、こういうことであろうかと思います。  あるいは、組合事業そのもの、再開発事業そのものにつきましても、先生がおっしゃるように、平均で約数百億、二百億ぐらいの事業費がかかることは事実でございます。その中に補助金あるいは管理者負担金等がございますので、そのあとを抜いた保留床とか、あるいは事業の実際にその足らず前についての一部について無利子貸し付けをする、こういうことでございます。全体として、具体的には事業費のその足らないところの約六分の一の事業について無利子貸し付けをするということでございますので、一つの組合に対しまして、事業に対しまして、一億ないし二億ぐらいの無利子貸し付けの額で何とか立ち上げ、遂行に支障がなくなるのじゃないかということでございます。  例えば、ちなみに区画整理事業で同じような無利子貸付制度を現在既に一部やっておりますけれども、それにつきましても大体平均の無利子貸し付けの額は約一億円でございます。  あるいはまた、私ども予算に当たりまして各地方から要望をあらかじめ聞いておりますが、そういう要望につきましても、そういう本来の事業のときには一億円ないし二億円、それから準備組合的なものにつきましては約一千万から二千万といったような要望が多いというふうに把握をしておるところでございます。  したがいまして、これで十分かと言われれば、私どもとしてはなかなか答えづらいところがございますが、財政状況等で難しい点もございますけれども、私どもとしては精いっぱいこの予算でもって十分な効果を上げていきたいというふうに思っているところでございます。
  57. 山下善彦

    ○山下善彦君 自由民主党の山下でございます。  都市開発資金の貸付けに関する法律等の一部を改正する法律案関係について、数点質問させていただきたいと思います。  私のふるさとは、我が国の経済成長を担って発展してきたとも言えます太平洋ベルト地帯にあるわけであります。沼津、静岡、浜松、豊橋といったように、地方の中核都市が東海道新幹線沿いに切れ間なく続いているところでございまして、その一つの浜松で育ちながら、十五年間にわたって県議会で中小企業振興そしてまた都市開発等にもかかわってきた人間でございます。このような経験をもとに、私は、中小企業の振興なくして我が国の経済再生はあり得ないとの信念を持って国政に携わるようになりました。  私がこの委員会に所属させていただいたのは、火の消えたようになってしまった商店街、中心市街地に活気を取り戻して地方都市を再生させるために、地域の商業振興策と都市計画、再開発をどのように進めていったらよいのかというところにございます。バブル崩壊以降、大都市、中山間地域に加え、地方都市問題が今日浮かび上がってまいりました。中心市街地の空洞化がその特徴的な現象としてあらわれてまいっております。  都市を所管し国土庁長官も兼ねていらっしゃいます建設大臣に、このような現象をどのように思われておるのか、まずその所見を伺いたいと思います。
  58. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 戦後五十四年たったわけでございまして、その間、いわゆる地方の町村におきましてはもう地元の商店街というのは本当に火の消えた状態になっておるわけでございますが、いわゆる都市におきましても中心市街地が空洞化になっておる。それで中心市街地活性化法というのが今できておるわけでございまして、やはり本来日本のような自由主義経済社会においては民間主導の経済の発展というのが基本であるわけでございますが、先生指摘のように、もう虫食い状態といいましょうか歯が抜けたような商店街になってしまった。  やはり地域地域の顔というのは、何といいましても私は商店街でもあろうと思いますし、また中小企業の発展であろうと思うわけでございまして、そういう意味におきまして、この今回の都市開発という考えのもとでまた今度は資金的に融資をしていく、いわゆる国主導のものでなければ中心市街地をまた再活性化することはできないというときにありますからこういう法案が出てきた、そのように私は認識をいたしております。
  59. 山下善彦

    ○山下善彦君 ただいま大臣から所見を伺ったわけでございますが、所見を伺いながら今回のこの法律案について質問をしてまいりたい、こんなふうに思います。  今回の法律案は、民間事業者などが取り組む都市の再開発を積極的に推進するものと御説明もございました。これは大きく分けて、都市開発促進のために従来運用されてきたものに法的根拠を与えることを中心とした措置と、もう一つ土地流動化に資するための措置と、この二つの流れとして見ることができるのではないか、こんなふうに思うわけでございます。  まず、法律案のこの四本の法律をどういう理由で四本一括で改正されるのか、その点について伺いたいと思います。
  60. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 今回の法律の改正でございますけれども現状認識は大臣からもお話がございましたように、都市市街地、まだ都市環境整備が十分でないという状況を再開発によって防災とか交通環境とかの改善を図る、都市の再構築を図っていくということが大変重要な課題になってきておる。こういう認識のもとに、あるいはまたさらには都心部の虫食い状態土地、低未利用地の整形・集約化を進めて流動化を進めるといったような点、さらにはまた景気回復内需主導の上でも都市の再開発民間投資というのは非常に重要な効果がある、役割を果たしておる。こういったような認識のもとに、国、地方公共団体一体となって、民間中心になって民間主導の都市開発を積極的に進めていこうということを目的にして、私どもが所管しておりますもろもろの法律を駆使していこうということでございます。  したがいまして、内容につきましては、先生先ほど御案内のとおり、土地区画整理事業と再開発事業とを一体的に施行するというような問題、あるいは準備組合に法的な位置づけを与えるといったような法的な根拠を与えるような点の問題、あるいは土地流動化のための大臣の認定制度でありますとか土地の無利子貸し付け制度でありますとか、そういったようなものについての制度改正をする、こういうことで一体的、総合的にそういう施策拡充する、こういうことでございます。  その際に、私どもが持っておりますいろんな法律があるわけでございますけれども、例えば市街地開発事業土地区画整理事業一体的に整備いたしますには、都市開発法と土地区画整理法の両方の改正が一体的施行のために必要でございます。あるいは、民間都市開発推進機構が行います事業についても、無利子貸し付けを行うといったような点で都市開発資金民間都市開発推進法の改正が必要でございます。あるいは、市街地開発事業の組合あるいはまた土地区画整理組合に対します無利子貸し付けについても、都市開発資金の貸付けに関する法律を改正いたしまして、区画整理法あるいは再開発法の組合、準備組合その他組合に対する貸し付け対象にするといったような改正が必要でございます。  したがいまして、そういう四つの法律が共通の目的のもとに相互に関連しておるという関係から、今回、四本の法律を一括して改正するということでお願いしておるところでございます。
  61. 山下善彦

    ○山下善彦君 先ほどもどなたかの議員の御質疑の中にもございました、都市の再開発を行うための代表的な整備手法であります市街地開発事業土地区画整理事業に長年時間がかかってしまう、そんなようなこともございました。  私も、地方議会におりました当時、いろいろこういう地域区画整理事業に携わってやってまいりました。大変な時間と長い期間がかかってきております。事業に着手してから完成するには五年の計画のところが十年かかってしまう、こんなことも往々にしてあるわけでございますが、一つの計画段階から事業に着手するまでの準備段階まですべてを含めますと、今申し上げているような事業年数というのは大変な途方もない年月が費やされていくということになるわけでございます。  このように年月がかかると、計画を策定した時点から世の中の経済状況も大変な変化をして変わってくるでありましょうし、また当初事業がスタートする時点でこの事業には賛成しますよと言ったような地権者も、途中で非常に中途半端な状態に置かれてしまうようなことになるわけでございます。  そういう意味におきまして、市街地開発事業土地区画整理事業がなかなか進まない、どこにこの原因があるのだろうか、私もこんなことを思う毎日を過ごさせていただくこともございますが、どんなところに理由があるか、もしわかれば教えていただきたいし、また今回の法律案そのものがこういう問題に対して解決策を示しているのかどうなのか、その辺についてお伺いをしたいと思います。
  62. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 市街地開発事業土地区画整理事業がなかなか進まないという状況については、先生指摘のとおりかと思います。  現在、市街地開発事業に例をとってみますと、準備期間から非常に時間がかかっておるわけでございますが、例えば事業都市計画決定をされてから事業完成までの期間を見てまいりますと、最近五年間に完成したものの平均が約六・五年かかっております。平成六年から前の五年間に完成したものが平均五・二年ということでございます。この五年間でも一年以上事業が長期化している、こういう状況にあろうかと思います。  原因でございますけれども、これは御案内のとおり地価下落しておる現在の状況のもとで、こういう事業について売却する保留床あるいは区画整理保留地等処分先の確保がなかなか難しいということ、あるいは関係権利者合意形成のための調整、権利関係が非常に複雑化してきている。先ほどもお話がございましたように、相続の問題でありますとか関係権利者いろんな権利がございますので、合意形成が非常に難航しているといったようなことによりまして事業期間が長期化しているということが一点あろうかと思います。  それからもう一つは、ディベロッパー、金融機関が再開発事業へ参加するあるいは融資を行うということについて、貸すことについて非常に慎重になっているということによりまして資金調達がやはり困難になってきているケースがふえている、こういうことが主な原因であろうかと思います。  私ども、こういう点にかんがみまして、今回の法律改正におきましては、保留床保留地処分によって事業費を賄うだけではなくて、その後、例えば建物について賃貸経営をすることによって、その収益において長期間にわたって事業費を賄っていくというような保留床管理法人とか、そういった制度でありますとか、あるいは資金調達の円滑化のための無利子貸し付け制度でありますとかそういうふうなもの、さらには民間事業者のノウハウとか資金力の一層の活用を図っていくということが必要であろうかと思います。  そういう意味での今回いろいろな改正をさせていただくことによりまして、事業推進上のボトルネックを解消してその推進を図っていこうというふうに考えておるところでございます。
  63. 山下善彦

    ○山下善彦君 先ほども議論が出ておりました虫食い地の問題でありますが、都市の再開発を進めるに当たりましては、このような虫食い地を集約化して整理していかなければいけないことは、当然これは必要だと思われるわけでございます。  今回、事業用地適正化計画認定制度創設するという言葉が出ておりますが、この趣旨はどのようなものであるか、教えていただきたいと思います。
  64. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 事業用地適正化計画でございますけれども、御案内のとおり、都心部に今非常に散在しております低未利用地、特に虫食い地等有効利用することは町づくりを進める上であるいはまた流動化を進める上で極めて重要である、景気対策上も大変喫緊の課題である、こういうふうに考えておるわけでございまして、先ほどもお話がございましたように、東京二十三区で低未利用地四千ヘクタールを超えるといったようなこと、あるいは東京四区でも全体で百七十七ヘクタールが低未利用地になっている、こういうような現状もございます。  そういうような大量の虫食い地、不整形地等の有効利用を図るためには、こういう虫食い状態を解消するために土地集約化あるいは整形化を促進する必要があるということであろうかと思います。このため、虫食い地を集約化、整形化した上で民間都市開発事業を行うことによって先ほど町づくりを進めていくということでございまして、そういう集約化、整形化する民間都市開発事業を行おうとする民間事業者に対しまして、主に税制面で支援するということを目的といたしましてこの計画の認定制度をつくったところでございます。  具体的には、土地とか建物を交換する場合の所得税、法人税につきましての課税の繰り延べをやる、登録免許税の軽減を行う、不動産取得税の軽減を行うといったようなこと、あるいは民間都市開発推進機構がそういう土地についての民間事業者に対する資金のあっせんをするとか、そういったようなことを行うことによりまして町づくり推進していくための制度として今回の制度創設したということでございます。
  65. 山下善彦

    ○山下善彦君 次に、区画整理関係について伺いたいと思います。  私の地元でもあります静岡県でも、土地区画整理組合によります土地区画整理事業が非常に盛んに行われております。実際、先ほど申し上げましたように、私も地元浜松でこの区画整理事業にいろいろかかわってきておりまして、人と人の関係土地の問題ももちろんこれは大変な問題があります。大変な苦労があるなということを身をもって感じておるわけでございます。  このたび、事業計画作成前に土地区画整理組合が設立できることとなるということになっておりますが、これによって今までと違ってどのような効果が出てくるのか、またどのように事業が展開しやすくなるのか、その辺についてお伺いをしたいと思います。
  66. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 土地区画整理組合あるいは市街地開発組合の設立に当たりましては、事業計画の策定のための調査、測量あるいは設計業務等を行う必要があるわけでございますが、こういう業務につきましては、現在、発起人を中心にいたしまして設立されました準備組合あるいはまた個別の方がそういう業務を行っておる、こういう状況であろうかと思います。  そういう準備組合、個人が行う業務につきましては、事業計画作成後に設立される組合に比べまして法人格がないということで信用力等について必ずしも十分とは言えない、任意団体だということでございますので資金調達の面で個人の名前で資金を調達しなきゃいけない、あるいは資金調達がそういう意味での信用力がないためになかなか難しいというような問題等が生じておるわけでございまして、組合の立ち上げ自体について非常に慎重になる、支障になっておるというような面も見受けられるところでございます。  こういう状況にかんがみまして、事業計画決定以前に法人格が与えられるような組合の設立を可能とするということによりまして、その組合として資金を借り受ける信用力の向上資金調達を容易にするということによりまして組合事業の円滑な立ち上げを図っていくということが可能になる、こういうことであろうかと思います。  したがいまして、私どもといたしましては、準備段階において法人格のある組合の設立ができるような制度改正を行うということで考えておるところでございまして、また、準備段階に設立されたその組合に対しましても都市開発資金の無利子貸し付けによる支援措置対象にしていこうということでございまして、そういう制度が両々相まちまして準備段階での事業の円滑な立ち上げに努めていきたいというふうに考えているところでございます。
  67. 山下善彦

    ○山下善彦君 準備組合段階で法人化することで資金調達が円滑に進む、事業推進されるということは本当に結構なことであります。  また、これを地権者サイドから見てみますと、これまでは事業計画まで定めて初めて組合が設立されたわけですね。この改正後においては、基本方針だけで組合が設立をされて、地権者は自動的に組合員になるということになるわけです。  地権者がどのような事業が今後行われていこうとしているのか、また減歩率がどのくらいになるのかわからないうちに事業がどんどん先に進んでしまうということで、特に事業に反対をするような地権者権利の制限、こういうものを強めていくことにもなるのではないだろうか、そんな懸念をしておりますが、この点について御説明をいただきたいと思います。
  68. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) ただいま申し上げましたように、土地区画整理組合の前倒し設立は、先生おっしゃいましたように事業計画の策定前の段階ということでございますので、事業の内容とか資金計画についての詳細につきましては必ずしもまだ明らかになっていない段階であろうかと思います。  しかしながら、組合設立の際に定款とそれから先生おっしゃいましたように事業基本方針を定めなきゃならぬ、こういうことになっておりまして、その中には、地権者への適切な判断材料の提供を行うため、減歩率につきましてはおおむねの平均減歩率を定める、あるいは保留地の予定の地積の概算を定める、事業予定期間を定めるとか、そういったような点についての必要な事項を定めるようにいたしたいというふうに思っておるところでございます。  また、前倒し設立に当たりましては、当然のことながら現行制度同様地権者の三分の二以上の同意を必要といたしますし、また組合が設立された後、事業計画をきちっと策定するという手続も当然あるわけでございまして、事業計画の策定に当たりましては、事業計画の縦覧でありますとか意見書の提出といったような手続も実施されるということでございます。  そういうふうに現在の事業計画を策定するに当たってのいろんな手続、手順というものを踏んでいくわけでございます。ただ、事業準備段階のおおむねのいろんな必要な事項については、判断材料となるようなものについてはきちっと示すということでございまして、地権者権利を制限するようなことにはならないというふうに考えておりますし、またそういうふうにしていかなきゃいかぬというふうに考えておるところでございます。
  69. 山下善彦

    ○山下善彦君 前倒しに設立をされました土地区画整理組合について、無利子の貸し付け対象となるわけでございますけれども、この点について、こういった前倒しに設立された組合に貸し付けを行うことについて、心配し過ぎかもしれませんが若干の心配もあるわけでございます。つまり、これまでは組合がすべて事業計画作成した後で処理していたわけでございますが、今回のこの改正で事業計画作成されていない組合に貸し付けを行うことになるわけです。  国から無利子資金を借りて事業を行おうと思っていたけれども、実際に事業計画をつくろうとした、結局事業化には至らなかった、国へも資金を返すことができなくなってしまった、このような点が心配をされるわけでございますが、この点についてはいかがでございましょうか。
  70. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 区画整理法の改正によりまして、策定前に区画整理組合が設立をすることができるという格好になったわけでございますが、先ほど申し上げましたように、認可に当たりまして組合の定款及び事業基本方針を定めなきゃならぬ、こういうことになっておるわけでございます。事業基本方針は、先ほど申し上げましたように、平均減歩率とか予定地積を概算で記載しておるわけでございまして、そういう関係権利者の保護と同時に、その事業の可能性が非常に高いといったようなものをきちっと判断できるようなものでなきゃならぬというふうに思っております。  都道府県知事が当然その事業認可、組合の設立認可をやるわけでございますが、その知事の認可に当たりましても、事業達成の可能性が高いと判断して初めて組合設立の認可を行うということになろうかと思います。また、公共団体は、事業に関して組合に対しましていろんな技術的な支援でありますとか指導監督等を行うということにもなっております。貸し付けを受けた組合が、そういう格好で十分な知事の認可を受け技術的支援や指導監督を受けることによって、今、先生がおっしゃいましたような事態はないのではないかというふうに思っております。  ただ、そういう格好で貸し付けを受けた組合が事業認可に至らずに解散し貸付金が回収不能となるような事態は想定しがたいわけでございますけれども、万一その組合が事業認可に至らず解散することになったらどうだと、こういう御指摘でございますが、そういう場合には、都道府県の組合に対するそういう貸し付けの条件としまして担保を設定させることにしております。したがいまして、万一解散するということになりましても、そういう貸し付けの資金については回収が可能であるというふうに考えております。  したがって、トータルといたしまして事業計画決定前の組合といえども、きちっとした基準に基づき、きちっとした知事の判断に基づいて認可を行い、そういう万一の場合に備えても制度をきちっと整備をさせていただいているということで、資金回収が不安定になるというようなことは考えられないというふうに考えております。
  71. 山下善彦

    ○山下善彦君 次に、土地区画整理事業市街地開発事業一体的施行制度について伺いたいと思います。  土地区画整理事業施行地区内で同時に市街地開発事業施行するということでありますけれども、私の地元の浜松の駅前などは既にこのような工事が実際に行われているわけでございますが、これまでにどのぐらいこのような事例があるのか、教えていただきたいと思います。
  72. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) これまでに土地区画整理事業の地区内で市街地開発事業施行した事例は約四十件あるというふうに承知をいたしております。  現在、施行中のものも十三地区あるということでございまして、先生の地元の浜松市の東第一地区もその一つの例であろうというふうに考えております。
  73. 山下善彦

    ○山下善彦君 そういたしますと、これまでもこのような事業が可能であってただいま御説明いただきましたように全国で四十件実例もあるということでございますが、今回あえて土地区画整理法と都市開発法を改正することにどのような意味があるのか伺いたいと思います。また、あわせて、事業を行うに当たってのメリットはどんなところにあるのか、伺いたいと思います。
  74. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 土地区画整理事業市街地開発事業、それぞれの事業目的や特質を踏まえてそれぞれの事業を実施してきておるわけでございますが、合併施行につきましては先生指摘のように、これまで鉄道駅周辺でありますとかそういうところで基盤整備とあわせた土地の有効高度利用を図るための手法として活用されてきておる、今後もそういう格好で非常に有用な手段であろうというふうに思っておるわけでございます。  ただ、現在その合併施行法律的な規定がございませんが、そういう手続がないために、地権者合意形成に多大な時間と労力を必要としておるということ、あるいはまた区画整理事業において土地に関する権利が確定する前の段階で市街地開発事業を行わざるを得ない、仮換地の段階で市街地開発事業建物を建てていくといったようなことになるわけでございまして、そうしますとその登記ができないということがございます。登記等の面で取引上の安定性に欠けるといったような点が生じてまいります。そういうような問題点を解消いたしまして、区画整理事業における手続の進捗にあわせて市街地開発事業を迅速かつ円滑に進めることが可能となるように手続をきちっと法律上の整備をしたということでございます。  したがいまして、本来であれば区画整理事業が終わって換地計画が終わってそれから市街地開発事業建物を建てていくといったようなことから、仮換地の段階で法律的にも登記をきちっとして再開発事業が立ち上がれるということで、事業期間の短縮にもつながりますし、また登記による権利者保護にもつながってまいりますし、あるいはまた現在、再開発事業単独でまいりますと、再開発事業でそこを転出しなきゃいかぬ、自分はもう再開発事業に参加しないで転出しようといったような人が、区画整理事業と合併で施行されることによりまして区画整理事業の換地を受けるということで、そのすぐ近くに転出者が土地を求められるというようなこと、選択の幅が広がってくるというような点もあろうかと思います。  そうしたもろもろのメリット等があるというふうに考えておる次第でございます。
  75. 山下善彦

    ○山下善彦君 ありがとうございます。  今回の改正案を見てみますと、土地区画整理事業事業計画市街地開発事業区を定めて市街地開発事業に協力する地権者を集約する、こういうふうになっているわけでございます。当然、再開発事業を円滑に施行するためには地権者の同意というのが最も大切なことであると思われるわけでございます。  そもそも、市街地開発事業を始める前に事業賛成する者だけを集めてしまえば事業が非常に円滑に進められていくわけでありますけれども、一方でこの制度は再開発事業を行いやすくするために土地区画整理事業を使って市街地開発事業に反対する地権者を強制的に追い出してしまうことになってしまうのではないか、こんな危惧もされるわけでございますが、この点について伺いたいと思います。
  76. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 市街地開発事業の区域の合併施行制度によりまして区画整理事業によって地権者の入れかえを行うということがあるわけでございますが、その場合には地権者の申し出によって行われるということでございます。仮にその市街地開発事業に反対する地権者がおられたといたしましても、その方の意思に反して強制的に追い出しというようなことはできない制度になっておるわけでございまして、申し出に基づいて転出を希望されるあるいはそこに残られるという格好になるということでございます。  むしろ、再開発法に基づきまして、市街地開発事業の手続において先ほど申し上げましたように転出希望者につきましては補償金の給付を受けて地区外に転出されるということになるわけでございますけれども区画整理事業との一体的施行が可能になることによりまして、土地区画整理事業の換地によりまして近くの土地を得ることができるということで、従来どおりのコミュニティー、従来どおりの商業活動等が行える、生活を営むことも可能になるということでございまして、より地権者の選択肢を広げることが可能になるということであろうかと思います。  地権者を強制的に追い出すといったようなことにはならないというふうに私ども考えております。
  77. 山下善彦

    ○山下善彦君 恐らくそういうことにはならないだろうと私も希望をしております。なかなかその辺が、今日まで私も、くどいようでございますが、一番苦労するところはその点でございますので、しっかり目を配って頑張っていただきたいとお願いを申し上げておきます。  それから、次の質問に移らせていただきますが、土地区画整理事業につきまして無利子の貸付制度拡充だとか制度の改正がこういう形で行われるわけでございますが、何といいましても一番重要なことというのは、やはり人がいて、これに携わっている人が実際にこの事業をいろいろの角度で動かしていく、こういうことでございまして、地権者との調整だとか事業計画や換地計画作成など、専門的な知識を持った優秀な技術者をいかに確保するかが事業を順調に進めるための重要なファクターであると考えるわけでございます。  今回、土地区画整理事業に関連して専門的技術を持つ人の養成確保を図るための技術検定について制度改正を行う、こういうことでございますけれども、この技術検定について、これまでどのくらいの方が合格をされているのか、人数等もわかったら教えていただきたいと思います。
  78. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 土地区画整理事業の技術検定制度でございますが、これにつきましては昭和五十八年から実施をさせていただいている制度でございます。  当初、特別研修等によりまして合格者が相当多く出たわけでございますが、最近はおおむね三百人程度毎年合格者を出しておるわけでございまして、平成九年度までの合格者数の合計は九千五百十三名ということでございます。
  79. 山下善彦

    ○山下善彦君 ただいま、これまでの合格者数は九千五百十三名と伺ったわけでございますが、大体こういう試験は試験マニアみたいな人も中にはいまして、何の試験でもそうですけれども、合格をした、試験に受かりましたといっても、実際にそれに関連する仕事に携わらない人がいるわけでございます。  そういう意味で、今現在全国で二千地区以上で土地区画整理事業が行われていると思いますけれども、それでは、今言ったような何人かはここには携わっていない方もいるわけでございますが、現在の人たちで十分な仕事ができるのかどうか、その点について伺いたいと思います。
  80. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 区画整理事業の実施に当たりましては、町づくりあり方、コーディネートでありますとか、調査、設計あるいは換地計画といったような非常に町づくりの専門的な知識が必要であるということであろうかと思います。こういうために、区画整理事業の実施に際しまして、専門的知識を有する者にこれらの事務を依頼する等のことを事業の実施について行っておるわけでございますが、検定試験に合格したいわゆる土地区画整理士のみでなくて、こういう専門的知識を有するいろんな方も含めまして事業の指導、支援を行っておるところでございます。  今後、権利関係の調整等、一層区画整理事業に関し専門的知識が必要になってくるということも想定されるわけでございますので、私どもとしても一層専門的技術者の養成に努めてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。  なお、区画整理事業事業推進に当たりまして、これは区画整理士そのものが義務づけでいなければいかぬというようなことにはなっておりませんので、そういう点での全体の地区の数についての人数云々ということはなかなか言いにくいところがございますけれども、全体としてこういう区画整理士の試験に合格された方、一定の専門的知識を持っておられる方に大変期待しているところが大きい。今後とも、こういう格好での技術者の養成に努めていきたいというふうに考えているところでございます。
  81. 山下善彦

    ○山下善彦君 今御答弁にありましたけれども、専門技術者の養成に積極的に努めてまいりたいと。この専門技術者の技術認定についてでありますけれども、この技術認定については公益法人を指定してその業務を任せるということが説明に出ているわけでございますが、技術検定機関制度創設する理由について伺いたいと思います。
  82. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 現在、建設省におきまして処理しておる技術検定の実施に関する業務、これを建設省で直轄でやっておるわけでございますが、そういう技術検定の業務というのは相当の業務量を要しておるわけでございます。その内容は、受験申請書の配付、受け付けでありますとか、検定会場での試験監督でありますとか、多くが定型的な事務でございます。また、そういう関係から、国の行政機関の事務の簡素合理化の面からも指定検定機関を指定してこれを行わせるということが適当ではないか、こういうことであろうかと思います。  また、その具体的な試験会場が、現在、そういう直轄でやっておるということもございまして、東京、大阪の二カ所に限られておるわけでございまして、地方在住者、試験の受験者にとりましても負担となっておるというような、遠くから東京、大阪の試験会場に来なきゃいかぬというような負担となっておるということもございます。  こういう体制を考えた場合に、これ以上検定会場をふやしたりあるいは建設省直轄でこの試験を実施するのはなかなか困難な状況にあるということでございまして、検定事務を外部化することによりまして検定会場をふやし受験者にとって検定を受けやすくする、あるいは建設省としても外部化することによって事務の簡素合理化を図るということができるというふうに考えております。  こういう格好で、区画整理事業の技術者の一層の育成のために指定機関制度創設させていただきたいということでございます。
  83. 山下善彦

    ○山下善彦君 この技術検定については、御説明がありましたとおり業務を公益法人に行わせるということは、これはあくまでも建設大臣の名において合格者の判定をするということになるわけでございますね。そうしますと、例えば試験問題の作成、これまでは建設省の職員の方が行ってきたと思いますけれども、公務員については当然守秘義務がかかっているからこういう形でよいと思いますけれども、これをこれから民間の公益法人が行う場合、秘密の漏えいという点が心配になるわけでございますが、この点については問題はないのか、伺いたいと思います。
  84. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 今回の指定検定機関は建設大臣にかわってこれを行うということでございまして、また技術検定の実施に関する事務は大変個人のプライバシーに強くかかわるものでありますので、技術検定に関する情報の管理をきちっとする必要がある、万全を期す必要があるというふうなことであろうかと思います。  こういう観点から、試験問題の作成、採点につきましては、必要な要件を備えた検定委員が行わなきゃならない、こういうふうに条文上しておるわけでございます。また、この検定委員の選定につきましては、指定検定機関は建設大臣に届け出なきゃいかぬということで建設大臣の監督規定も置いておる、こういうことでございます。  また、先生先ほど指摘の指定検定機関の役員あるいは職員、これらの職にあった元職の人につきましては、そういう検定事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない、これに違反した場合は一年以下の懲役または三十万円以下の罰金に処するという規定も置いておるところでございます。また、指定検定機関の役員及び職員につきましては、刑法の適用については公務に従事する職員とみなす、みなし公務員ということでございますので、収賄等があった場合には当然のことながら厳罰に処せられるという規定になっておるところでございます。身分上もそういう格好でございますので、秘密漏えいについてはないということで整理、制度化されておる、こういうことでございます。
  85. 山下善彦

    ○山下善彦君 ただいま土地区画整理事業について質問をしてまいりましたけれども、この事業も含めて町づくりについて考えた場合、町づくりに対する専門家の育成ということは大変重要な問題ではないか、こんなふうに思うわけでございます。  制度を改正して財政的な手当てをする、もちろんこれは重要なことではありますけれども、本当に地域の人々のためになる町づくりをするためにはそれなりの専門的な知識を持った専門家の養成に国としてしっかり取り組んでいかなければいけないと考えますが、建設大臣のお考えをいただきたいと思います。
  86. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 御指摘の点から御答弁をいたしますれば、現在のところ、再開発プランナー制度であるとかあるいは区画整理士の制度などがあるわけでございます。  先ほど、るる大勢の委員先生から御指摘もございましたように、いわゆる地権者あるいは直接の関係者等々の協力がなければならないわけでございますから、そういうことも勘案いたしまして、資格制度整備あるいはまた関係団体と連携した各種研修の実施、あるいはまたアドバイザー派遣制度充実などを通しまして、現在、専門家の育成に努めているところでございますが、今後はそういうようなことで町づくり専門家の制度的な位置づけの明確化というようなこともやっていかなければならない、そういう時期に来ておると思いますので、鋭意前向きで進めていきたいと考えております。
  87. 山下善彦

    ○山下善彦君 次に移らせていただきたいと思います。  地方都市にとって、今回のこの改正によります民間都市開発機構の役割というものについて私自身大いに期待を寄せておるところでございますが、問題は景気対策としてどの程度の効果を見通しているかがはっきりしていない、こういうことでございます。景気対策として都市政策、住宅政策が重要視されて、都市政策の有効利用のために都市基盤整備による都市開発を図ることが必要とされてまいったわけでございますが、この関係の対策、それから審議会答申をざらざらっと見ただけでも大変な莫大な量になるわけでございます。この流れを追ってお話を聞いていくだけでも大変な作業になるわけでございます。  都市関係法律も毎年何らかの改正を行ってきたわけでございますが、毎年の改正内容を専門家の方でも本当に正確に把握できているのか、そんな気がするわけでございます。その割にはその効果が目に見えてきておらない。メニューがいっぱいあって、そのメニューを使いこなせなくなっている面はないのか、その辺について伺いたいと思います。
  88. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 町づくりにつきましては、いろんな観点からのいろんな制度、いろんな施策が必要になってこようかと思います。私ども建設省都市局の中でも、都市計画法を中心にいたします都市計画法体系、再開発法、区画整理法あるいはまたいろんなもろもろの法律、あるいはまた施設都市公園法でありますとか、あるいは事業関係の下水道事業法でありますとかいろんな事業関係法律、あるいは面的整備関係法律等々で、都市計画関係だけで少なく見積もりましても三十幾つの法律がございます。  あるいは、町づくりという観点になりますと、福祉の問題でありますとか教育の問題でありますとか商業、産業の問題でありますとか、そういうような関係法律とも関連をしてまいりますし、そういう観点からいえば町づくりにつきましてはいろんな法律があり非常に多くの関係省庁にまたがっている、こういう関係であろうかと思います。それをできるだけ簡明にわかりやすく説明し、わかりやすくするということが私どもにもまた必要であろうかと思っております。  そういう点で、それぞれの法律につきましても、都市計画制度あり方等について今後私どもとしても都市計画中央審議会で御答申をいただいて、都市計画制度全般についても中期的な観点から抜本的に見直しをする必要がある、こういう御指摘もいただいておるところでございますので、私どもとしましても、都市計画制度全般についてのあり方の中で法律制度あり方等についても検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  89. 山下善彦

    ○山下善彦君 次に、都市計画法の問題についてでありますけれども、今それに関連する法案を我々もこういう形で審議をしておるわけでございます。来年度の通常国会を目指して都市計画法の抜本改革を行うために、都市計画審議会においては計画制度委員会を設けて本格的な検討を始めたという報道が三月四日のここにある新聞に載っているわけでございますけれども、再開発促進するための制度の改正、こういう形になっているわけでございますが、検討のねらいは何なのか、教えていただきたいと思います。  そして、こういった制度改正も小出しに少しずつ出すのではなくて、もっときちっと整理をして一度にどんと出していただいて審議していった方がいいんじゃないか。せっかくの改正も小出しに出すことによって効果が上がらなくなってしまうんじゃないか。その点について伺いたいと思います。
  90. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) ただいま先生指摘のように、都市計画制度についての見直しを現在審議会において始めさせていただいたところでございます。  御案内のとおり、都市計画法が制定されましてちょうど三十年になるということでございます。その間都市を取り巻く状況というのは、外縁部へのスプロール現象から都市の再構築都市中心市街地の疲弊に伴う中心市街地の再活性化でありますとか、そういう点に重点といいますか状況が非常に変わってきておる。人口についても高齢化が進みあるいは人口の急増の圧力が減少してきておる、こういう状況でございます。  そういう経済状況あるいは社会状況が大変変わってきておるという状況の中で都市計画制度の抜本的な見直しを図っていく必要があるということで、今回三月三日の都市計画中央審議会の総会におきまして新規に計画委員会を設置することが了解されまして、三月十日に第一回の小委員会を立ち上げさせていただいた、こういうことでございます。  今回の都市計画制度あり方につきましては、例えばスプロール現象を防止するといったようなことを中心にして都市計画法については線引き制度が組み立てられておるわけでございますけれども、そういう線引き制度あり方が適切かどうかというような点、あるいは用途地域あるいはそういう地区計画等についての制度が適切かどうか、農業的な利用と都市計画都市あり方と利用についてどう分担関係をしていくのかといったような点、そういう点につきまして今回都市計画全般についての法を見直し、検討をやっていこうということを考えておるわけでございます。  ただ、今回四本の法律をお願いいたしておりますのは、現下の状況にかんがみまして民間主導の再開発事業が非常に喫緊の課題であるということから、これらにつきましてはぜひ今回の法律改正をやりたい、全体の抜本的改正を待たずにこの点については法律改正をお願い申し上げたいということで提出させていただいている次第でございます。
  91. 山下善彦

    ○山下善彦君 最後に、これは通告してあるかどうか。もし通告していない場合にはお許しいただきたいと思いますけれども中心市街地活性化法の状況の件でございます。  昨年度の通常国会で成立したこの法、最近の報道によりますと、三十自治体が基本計画提出された、そして年度末までに百を超える自治体が基本計画を策定すると、こういうふうになっておるわけでございますが、現状はどのような状況になっているか伺いたいと思います。  また、提出をされたこの基本計画の実施内容とか特色、これはまだ出たばかりですのでゆっくり読む時間がないと思いますけれども、傾向がわかればその辺について教えていただきたいと思います。
  92. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 中心市街地施行状況でございますが、三月十九日、先週末までに五十四の市町村から基本計画提出されておるところでございます。今現在まだ相当数の市町村が相談に参っておりますし、また年度末までにつくるというようなことを言っておるところが多数ございますので、累計で百を超える市町村から基本計画提出がなされるというふうに予想いたしておるところでございます。  各市町村自主性を持って多様な計画の内容になっておるわけでございます。全体をまだ詳細に分析したわけではございませんけれども、例えば市街地の区域のとり方一つとりましても、十ヘクタールぐらいの駅周辺とかそういう非常に小さい地域について対象にしておるところから、あるいは九百ヘクタールといったような町のある一定の区画について大きく中心市街地というとらえ方をして集中、重点的投資をやっていこうというようなところまで、区域についてもそういう幅がございます。  また、そういう小さい区域につきましては、商業施設とか文化交流施設、そういう機能が集中するコミュニティーの拠点をどうつくっていくかといったようなことを整備しようとしているというようなことがございますが、大きな例えばそういうところにつきましては、定住人口の回復をどう図っていくかというような点、施設だけの整備じゃなくて非常に幅広い機能を取り込んでいく、総合的な機能を取り込んでいくような構想によって活性化を図っていこうということを考えておるというようなところもございます。  また、そういうふうに全体として町づくりといいますか、人が生活をし育ち学ぶ働くといったような点だけじゃなくて、地域の自然でありますとか歴史でありますとか文化というような点についても取り入れてやっていくとか、あるいは景観とか環境との共生といったようなことを中心に環境共生地区みたいなことを中心のテーマに掲げておるとか、いろんな特色のある事業がそれぞれのところで計画をされておるということでございまして、これらに対しまして、私ども関係省庁十三省庁が連携をいたしまして重点的な集中投資、重点的な整備支援をしていきたいというふうに考えておるところでございます。     ─────────────
  93. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、泉信也君が委員辞任され、その補欠として阿曽田清君が選任されました。     ─────────────
  94. 弘友和夫

    弘友和夫君 先ほど来、岡崎小川、山下、それぞれの委員皆さんから、都市開発または区画整理事業等この法案の最大の目的である再開発町づくり現状、こういうものに対して非常に時間がかかり過ぎるというような、いら立ちといいますかそういう趣旨質問もございました。  私は北九州出身ですけれども、北九州で五十二年に議員になって、その当時から手がけられている再開発事業だとか区画整理事業はたくさんあるんですけれども、いまだに物になっていないというようなものがたくさんございます。  なぜこういう状況になるのかということで、まず大臣に、そうした都市開発現状、また大臣はどのような問題意識を持ち、実態をどのように認識していらっしゃるのか。それから、事業がはかどらない原因だとかスピードが遅いといったそういう問題について、まず基本的な大臣の御認識をお尋ねしたいと思います。
  95. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) これはいろいろな理由があると思うんですが、私はその根本には土地というものに対する我々国民の認識にも大きな原因があるのではないかと思うんです。土地は私有物である、財産であるというのが日本人の考え方なんですが、ある国におきましてはこれは公共のものである、国のものであるというような考えがございます。ですから、開発をするときには非常にその国での権限といいましょうか、権利というのは強いわけでございます。  日本におきましては、自分の私有財産ということでございますから、その私有権というものがあるわけでございまして、そこでなかなか話がまとまらないというのが基本にあるのではないか。逆に言えば、そういうようなことで、住民方々、その地権者方々の御理解をなかなか得ることができないということも私はあるのではないかと思います。  それともう一つ大きなことは、今まで何度となく述べさせていただきましたが、やはりその事業計画、それから実施に至るまでにおきましても、その住民方々と十分な前もってのオープンな公開の透明性の高いそういう話し合いがなされていなかった。最初からの、ボタンのかけ違いというような言葉がございますが、そういうようなこともあって、なかなかこのことに時間を要しておるというように私は認識いたしておるわけでございます。  ですから、そういうふうに今度はオープンで公開で相談をまず最初に行うということでスタートしていかなければならない。そして、その点におきましては、今度は金融、融資の問題も出てまいりましょう、あるいは税制の問題も出てまいりましょう。そういうようなことは、国の立場で援助し、いわば指導をしていくということでやっていけばいささか工事期間を短縮することはできるんではないか、そんなことを私は考えております。
  96. 弘友和夫

    弘友和夫君 もちろん、国民の皆さん土地に対する認識、今、大臣が言われたようにそういうこともあると思うんです。ただ、行政のあり方というか、それも大いに私は影響しているのじゃないかなというふうに考えているんです。  私は今回、建設省所管のこの委員会に初めて所属をさせていただいて、都市局長にきょう初めてお目にかかるんですけれども、それでちょっと勉強させていただいたんです。  行政機構図を見ましても、例えば都市局は、都市総務課、政策課、計画課、再開発、街路、区画整理、公園緑地、下水道とありますけれども、これの所掌事務を見ましたら、どこがどうなっているか、よくわからないわけです。都市局だけでも、一つの法律がそれぞれの政策課、計画課だとか再開発課だとかいろいろなっているし、またほかの局にもそうしたものがまたがっている。  ここに東京都がつくった「住宅町づくりガイドブック」というのがあります。町づくりと連動した住宅供給の部分だけですけれども、東京都もこれを受け入れ、いろんな法律がどうなっているのかというのを図式化してやっています。もう時間がありませんので余り言いませんけれども、東京都は、住宅に関連した、連動した町づくりだけでも六十一の事業があるわけです。  こんなのを見ると、地元にとって、市町村にとって、また再開発だとか区画整理町づくりをやろうという現場にいる者にとっては、何が何だかさっぱりわからない。どの法律を使ってどうやっていくかという部分というのがもうわからなくなるんじゃないか。失礼ですけれども大臣も、町づくりにどういう事業があるのかというのはわからないと私は思う。都市局長でもわからない部分があるし、またわかっていても、それぞれの局にまたがっているから口が出せない部分というか、そういうのもたくさんあるんじゃないかと思うんです。それと同じような事業がたくさんある。  では、一つだけお尋ねしますけれども市街地開発事業における特定民間開発事業というのがある。それからその次に、特定の民間開発事業というのがあるんです。「の」が入っているか入っていないか。どこがどう違うんですか、これは。簡単でいいですから一言。違うんでしょう、これは。
  97. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 特定民間開発事業と特定の民間開発事業、これは税制上の特例についての差がございます。一般的な再開発事業とそれから特定民間開発事業とについては、特定民間開発事業の方が税制上は優遇されておる、こういうことでございます。
  98. 弘友和夫

    弘友和夫君 いや、だから特定再開発事業と特定の再開発事業の違いです。違うんでしょうと言っているんです。
  99. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) ちょっと細かい話になりますが、敷地につきまして共同化されるかどうか、そういう点についての事業が行われているのが特定民間開発事業でございまして、これに対する税制が特典がある、こういうことでございます。
  100. 弘友和夫

    弘友和夫君 要するに違うんです。法律的というか、租税特別措置法から何からいろいろ違う条項で特定再開発事業と特定の再開発事業、「の」が入っているか入っていないかというような、そういう問題。  とにかく、一々挙げませんけれども相当ある。先ほど都市計画法では多分三十本ぐらいの関連がある。住宅だとか土地町づくりに関しては二百本ぐらいあるんじゃないかと言われています。  私は、まず基本的な町づくりという一つのしっかりしたものがあって、明確なビジョンがあった上でいろいろな法律を生かしていくということがなければ、一般の方は特に、地方公共団体の方でもこんなものはさっぱりわからない、何をどうしていいのかわからないというものになってくると思うんです。  今回のこの法案審議でも、町づくり都市局ですからと、こう言ったって、それでは全部都市局長が答えられるのか。ほかの局に関連する法案だってたくさんあるわけです。所管外のことを局長は答えられないでしょう。だから、ほかの局長も呼んでいただけませんかと言ったら、いやうちが責任を持ちますからというような話でございました。  例えば、それぞれの局の法案、それぞれあるんです。共管ではない部分がたくさんあります。だから、それを一々やっていたら時間がありませんが、例えば住宅局の市街地建築課でもいろいろいろいろある、町並みデザインだとかいろいろあります。建設経済局では新住宅市街地開発事業だとかいろいろあります。河川はマイタウン・マイリバーとか、それが入った部分がある。道路だってコミュニティーゾーンを形成しよう。これは全部町づくりじゃないですか。だから、それをやはり統合した何かをやっていかないと、今のように何百もあると受け皿として対応できないという部分があります。  せっかく皆さんおいでいただいておりますので、住宅局長から順番に、要するに町づくりというのは何なのか、そこら辺をお尋ねいたします。
  101. 那珂正

    政府委員(那珂正君) 一口に町づくりと申しましても、大変幅の広い包括的な意味合いを持つものだろうと思います。また同時に、その町あるいは地域の独自性といいますか、主体性が非常に重要だろうと思うわけでございます。それぞれの地域で取り組まれている町づくりの実態を見てみましても、いろいろな観点の中から特定のテーマに重点を置いてやっているところもあるし、特定の方法といいますか切り口でまとめているところもありますし、あるいはまた大変総合的にバランスよく、いろんな観点を考慮していろんな事業も規制もバランスよく進めているところもあると思います。  いずれにしても、国の立場としては、それぞれ地域のそういう町づくりというものを支援するというような姿勢が肝要かと存じます。私ども住宅行政、建築行政を所管している住宅局といたしましては、それぞれの地域における都市計画による町づくりの基本方針のもとで、いかに良好な住宅供給、住宅整備促進されるか、あるいはまた民間による良好な建築物市街地整備更新が促進されるかというような観点からそれぞれの地域町づくり支援するという基本姿勢で各種補助事業融資事業に取り組んでいるところでございます。
  102. 弘友和夫

    弘友和夫君 短くやってください。
  103. 青山俊樹

    政府委員(青山俊樹君) 短くお答えさせていただきます。  例えばマイタウン・マイリバーの紫川の件でございますが、北九州の市長さんが、我が町も川を生かした町づくりをしたい、そうすればどういうことが考えられるだろうかというふうな御相談がございまして、それであれば再開発一体的に紫川の整備をいたしましょうというふうなやりとりの中で、あくまで市長さんが主体性を持って、北九州市なら北九州市長が主体性を持って、こちらの方と相談しながらメニューを市としてつくり上げていくというふうなプロセスで町づくりができ上がっていくものだろうと思っておりますし、私どももそれを支援するつもりでございます。
  104. 木下博夫

    政府委員(木下博夫君) おっしゃるとおりでございまして、それぞれの都市が特性を持たせてやるということは言うまでもないことだと思っていますが、それぞれの制度事業が歴史を持っておりますので、確かに今はメニューが大変多うございます。私がお答えするのはいささかあれですが、補助金とかそういうものについても統合化、あるいは制度のスクラップをやっております。  経済局は、先ほど新住法の話が出ましたが、我々はどちらかといえば各局、それぞれ五局ございますが、得意技を持っておりますが、それを束ねるエリアを少し広めに見た仕事をやらせていただいています。省内でもそれぞれの事業をバランスよくということで連携の会議などを持たせていただいておりますので、御懸念をできるだけ払拭するような形での省内協和は当然やっていかなきゃいけないと思っております。
  105. 井上啓一

    政府委員(井上啓一君) 道路につきましては、町の骨格形成あるいは交通とか生活を支える最も基盤的な施設だというふうに思っていますが、そういう中で、各自治体がつくられる都市計画地域の特性を生かした道路計画に対しまして私ども道路整備観点から積極的に支援して、町の顔づくりに役に立てばというふうに思っているところでございます。
  106. 弘友和夫

    弘友和夫君 大体地元で考えられていることを支援しようというそれぞれの局長の答弁でございましたけれども、本来であれば地方分権、権限も財源も地域に行けばそういったものがスムーズにいく。だけれども、早急にはいきません。  いずれにいたしましても、二百もあるような法律がばらばらでそれぞれが所管しているのではなくて、町づくりという観点でどうしていくか。そこに住む住民皆さんがあって町づくりがあるのであって、再開発事業があってビルを建てて、先ほど来話がありましたけれども、その保留地を売ってどうとか、そういうものではないのじゃないかという気がいたしておりまして、日本はとにかくメニュー追加方式だと、いろいろなものをずっと追加していったあげくがこういう状態になっている。  だから、一九九二年の都市計画法の改正のときにここにおられる市川理事が都市局長でありまして、御答弁は何と言ったか。「我が国の都市計画制度につきまして、非常に多種多様なメニューが設けられておりまして複雑なものになっているということにつきましては、私も全く同感でございまして、特に、昭和四十三年に現行制度ができましたころに比べましても、相当枝番がつきましたややっこしい制度になっておりまして、局長職をやっていくのもなかなか大変なくらいの複雑な制度でございます。」と、このように答弁されている。現状は全く変わっていない。今はもっとあれになっていると思うんです。そのときはそういうマニュアルをつくりますよという答弁も、その責任を追及するわけじゃないんだけれども法案全部を一本化できないにしても、そういう観点からぜひやっていただきたい。  この問題について、最後に大臣から一言御答弁をしてください。
  107. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 各局長が全員来ましたので何事かとびっくりしたわけでございますが、そういう御趣旨であったとは存じませんでした。  おっしゃるように、結局、日本が戦争に負けてから今日まで社会資本の整備といいましょうか、いわゆる国づくり町づくりをそれぞれの立場、国は国としてまた地方公共団体公共団体として努力して今日があるわけでございます。その過程においては、やはり一つつくり二つつくりというようなことでずっと関連の法案もふえてきたんだろうと思うわけでございます。ですから、いろいろな省庁におきまして法律を縛り直していく、改正するものはもちろん改正するし、現在実態に即して使われていないというものであればそれを廃案にする、廃止するといいましょうか、そういうようなことを今進めておるわけでございまして、そういう一環として今回の法案でも四つの法律が一本になるということでございますから、先生の御趣旨に沿って世の中が今動いておる、そのように私は思っております。  それから地方分権、これは当然進めていかなければならないのでございますが、先ほども言いましたように地方分権できるものはきちっとやっていきます。私は、地方の公共団体方々にもお願いしておるわけでございますが、そういう権限移譲はいたしますがそれを受けるだけの受け皿、人材、能力、その意思、意気込みといいましょうか考え方というものがまだ、そういうようなことを言いますと失礼になるかもしれませんけれども、私の愛媛県においてもそのものは正直言ってありません、十分なものがありません。福本委員もいらっしゃいまして、愛媛県でございますけれども、このことは私は事実だと思うんです。  ですから、県にも私はしょっちゅう言っておるんです。もっと真剣にそのことに対しては勉強をしてくれ、それがなければできませんよということを言っておるわけでございますが、いずれにしましても、そのこともまた進めていくということでございます。ですから、都市局長に言ったんですが、あなたも愛媛県庁へ行きなさいということを、きょうのことを言ったんですが、こういう優秀な人を地方に派遣するということでやっていきたいと思います。
  108. 弘友和夫

    弘友和夫君 地方分権の問題は今度行革委員会でしっかりやりたいと思いますので、ちょっと私は異論がございますけれども、またそれは後で。  せっかく各局長が来られましたけれども、時間が余りありませんので次に移りたいと思います。  この法案土地区画整理士、これを今まで建設省で昭和五十八年来やっていたのを、別の指定法人に委託するというか、そういうことですけれども、今までやっていた土地区画整理士技術検定の資格制度、これを何で改正するのか、またその必要性、これを端的に。
  109. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 先ほど指摘もございましたけれども区画整理事業というものは減歩でありますとか換地でありますとか、そういう独特の手法を持っております。そういう意味で、権利者の保護でありますとか権利調整という観点から幅広い専門的知識が必要であるということで、昭和五十八年に制定されたものでございます。  ただ、現在建設省で直轄でやっておりますけれども、技術検定の事務について相当量の業務量があるにもかかわらず内容は非常に定型的な事務である、あるいはまた国の簡素合理化の観点からも非常に必要である、さらに検定会場等について非常に限定されておって、試験を受ける人の大変不便にもなっておるという点から指定機関制度をつくりたいということでございます。
  110. 弘友和夫

    弘友和夫君 これをどの法人に指定するか、もう決めておられるんですか。
  111. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) まだ最終的に決まっておりません。この制度をお認めいただいた後、深く考えたいと思っておりますが、できる限り既存の財団に委託したいというふうに考えております。
  112. 弘友和夫

    弘友和夫君 同じ昭和五十八年から、財団法人全国建設研修センターというのが土地区画整理技術者試験というのを同じようにやっておられるわけなんです。建設省でやっているのは土地区画整理士、ここがやっているのは土地区画整理技術者、どこが違うんですか。
  113. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 全国研修センターが行っております区画整理技術者試験というのは、区画整理事業に関する基礎的な知識を与えるという意味で行っておる任意の試験でございます。  したがいまして、現在、建設大臣が行っております区画整理士の試験の一次試験の免除という制度になってございます。
  114. 弘友和夫

    弘友和夫君 この全国建設研修センターに平成九年九月、総務庁は行政監察をして行政監察結果を発表しましたけれども、これはいろいろな指摘がされている。剰余金が大変多過ぎる、七億円か八億円とか、不適切な何か繰り入れをしているとかいう指摘をされておりますけれども、その事実について。
  115. 東田親司

    政府委員(東田親司君) 平成九年九月に、御指摘のとおり指定法人等の指導監督に関する行政監察の結果を勧告してございます。  お尋ねの財団法人の全国建設研修センターにつきましては、私どもが調べさせていただきました結果、実施している指定事業等から多額の剰余金が生じています。また、当該剰余金の一部を指定事業等以外の事業に利用している等の状況が認められました。このため、勧告におきましては、不適切な会計処理や手数料に関しまして速やかに改善措置を講ずる必要がある旨指摘しておりまして、また制度的な改善を図る観点から、会計処理や手数料の設定見直しなど、基本的な事項を定めました基準の策定、公表もあわせて求めているところでございます。
  116. 弘友和夫

    弘友和夫君 実際、改善をされましたでしょうか。
  117. 東田親司

    政府委員(東田親司君) 平成九年の勧告を受けまして、その後の改善状況につきまして昨年末、回答いただきましたが、その時点におきましては検討中という回答でございました。
  118. 弘友和夫

    弘友和夫君 この受験料、同じような、建設省のやっている一次試験を免除する、こう言われましたけれども、センター試験は受験料が一万八千五百円なんです。建設省でやっているのは三千六百円なんです。その剰余金というのは七億か八億、指摘されているわけです。行政監察が八年度に入っているわけです。それまでは一万七千五百円だった、行政監察が入った翌年に今度は一万八千五百円に上げておるわけです。  こんなばかな、まだ勧告されていないといったって、入った段階ではいろいろわかっているはずなんです。そして今回、同じような試験ですからこれに多分統合されると思いますけれども、どうですか、都市局長
  119. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 検定手数料につきましては、他の検定の手数料等を勘案しながら、国、受験者にとって過度の負担にならないようにということで配慮をさせていただいておるところでございまして、建設大臣のときの試験につきましては先生御案内のとおり三千六百円でございます。ただ、全国研修センターがやるものにつきましては、私どもがその検定料について具体的に指導監督というわけにもまいりませんけれども、今、先生おっしゃるような一万八千五百円ということになっておるようでございます。  全体としまして受験者にとって過度の負担にならないように私どもとしても配慮してまいりたいというふうに思っております。
  120. 弘友和夫

    弘友和夫君 その指導はできませんけれどもというのは、多分ここになると思うんです。ここじゃなくてもいいですよ、ほかのそういうところに指定してこの事業を任せるというわけでしょう。それで指導ができないというのはどんなことですか、指導ができないというのは。
  121. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 先ほども申し上げましたように、指定検定機関の指定につきましては、この制度をお認めいただき成立させていただき準備させていただく段階で具体的にどこに指定をするか、お願いするかということが決まるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、新しい財団をつくるんじゃなくて既存の財団に指定したい、場合によっては今、先生がおっしゃいましたように全国研修センターが一つの有力な候補であろうと思います。  そういう際には、今申し上げましたように、全国研修センターが行っております試験が基礎的な試験ということでございますので、それは現在の建設大臣がやっておりますものとあわせて一次、二次という格好で行うということも検討していく必要があるというふうに考えております。  その際には、指定機関として指定いたしますという場合には、その指定機関が取ります検定料についてどの程度が適切かどうかという点についても、私どもとしても十分関心を持って検討していかなきゃいかぬというふうに考えております。
  122. 弘友和夫

    弘友和夫君 時間が参りましたけれども、今まででもその試験を受けた人は建設省のやっている一次試験は免除しますよと、こういうものを与えているわけでしょう。それなのに、民間だから指導はできないとかなんとか言うんですね。しかも、総務庁の行政監察が入って指摘をされているわけです。その指摘すらまだ見直しをされていないということでして、ここにあれを任せていいとか悪いとか言っているのじゃないけれども、そういう現実があるということです。  公的資格制度の見直しについては、行政改革推進本部規制緩和委員会で、例えば類似分野のものについては整理をしなさいとか、受験料の積算根拠を精査しなさい、こういう指摘がされているわけです。受験料積算根拠を精査しなさいという指摘もされているわけですから、そういうものをきちっと見直した上で、まだこれも大分やりたいんですけれども、時間が参りましたので、最後に大臣に御答弁をいただいて終わりたいと思います。
  123. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) そういうような指摘をいただいて、そういうことがまた改正をされるということであります。
  124. 弘友和夫

    弘友和夫君 意味がよくわからないですね。
  125. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 民間開発促進関連の四法案には多岐にわたる重大な問題があると思います。景気対策、土地流動化のために打ち出された、そういう経過からも明らかなわけですけれども防災とか居住環境などのお題目はいろいろ言われるんだけれども住民の利益、視点が欠落している、これがやはり根本問題だろうと私は思います。  先ほど質問でも、大臣はそれに対して、住民の声を直接聞くことはやっていない、反省点はいろいろある、そういう趣旨のことを答弁されました。こうした改正で良好な町づくり都市の再開発促進できるのかどうか、一体何の役に立つのか、だれが助かるのか、審議を通じてその点を明らかにしていきたい、そういうふうに思っております。  改正案では、民都機構の土地取得業務を新たに三年間延長するとあるわけですけれども、この土地取得業務について質問いたします。  民都機構では、事業見込み地を事業者から買い上げ、売却した事業者と共同で都市開発を行うことによって事業立ち上げを支援する、十年以内にほかに転売できなければ売却元の事業者が買い戻す、そういう条件を課しているわけです。また、同機構が土地を保有する間は税制上の優遇措置がとられている。さらに、取得費用の原資は政府保証を受けて民間銀行から借り入れていて、銀行にとっては政府保証つきの確かな融資先をこの事業で確保できる、そういう幾つかの特徴があると思うんです。まさに、民都機構の土地取得事業というのは事業者や民間銀行にとって至れり尽くせりのシステムだなと、私は率直にそう思うわけです。  その点でまず最初にお聞きしたいのですけれども先ほど質問の答弁でも、現在まで百十一件の土地を取得した、そして事業化したのは二十三件だという話でしたけれども、その二十三件のうち竣工したのは何件になりますか。
  126. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 全体で百十一件土地取得をしたわけでございます。そのうちの二十三件について事業化したわけでございます。その二十三件の中で七件について竣工した状況でございます。
  127. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 土地取得の開始から五年を経た今日の時点で竣工はわずかの七件、何とか事業化にこぎつけたというのが二十三件ということで、そうすると合わせて三十件でしょう。取得物件全体の三割にも満たないわけです。  取得しているのは事業見込み地との答弁が先ほどありました。なぜ事業化がこんなに立ちおくれているのか、その理由についてはどのように考えられていますか。
  128. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 数字の点についてでございますが、先ほど御答弁を申し上げましたとおり事業着工しているのが二十三件でございます。それで、竣工したのは七件でございます。その中で土地を最終的に譲渡したというのは二件でございます。そういう意味で、先ほど舌足らずだったかもしれません。恐縮でございます。  それで、現在の土地事業の進捗でございますが、先ほど申し上げましたように、百十一件の土地取得をいたします際に、事業の概要でありますとかそういうようなものについて、きちっと事業の見込みが高いということについて判定をいたしまして、価格審査会、経営審査会等を経て、適正な価格、適正なプロジェクトとして取得をするわけでございます。  その際に、それに基づきまして事業の進捗を進めておるわけでございますが、御案内のとおり土地を取得いたしましたのがここ一、二年、非常にふえてきております。そういう一、二年の取得いたしましたものについて現在準備を進めておる、あるいはその事業の構想について詳細を詰めておる、地元関係者等々との調整を図っている、こういう状況にあるわけでございます。その点について若干おくれている部分もある、こういうことでございます。
  129. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 今、手続について局長は言われたけれども土地取得、この手続も適正に行われていないのではないか、私は実はそういうふうにいろいろ調べてみて感じているわけです。事業見込み地と称して実際は事業化できないような土地を購入しているのではないか。  局長答弁にもあったように、これまで総額四千九百五十億円もの公的資金を土地取得のために投入されたと言われましたね、先ほど答弁で。その執行が適正か否かを判断する契約内容、これがほとんど公表されていない。私は、これが非常に大きな問題だと思うんです。  これを問うと、個別案件の地番や契約相手はプライバシーの保護を理由に一部しか明らかにしない。これが現状なんです。肝心の取得金額について、これについては一切公表しない。これまでいろいろお願いしてもそういう対応でした。これは私は恐るべき秘密主義だと思います。こんなやり方が当たり前と思われているんですか。
  130. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 土地取得業務につきましては、現在、企業にとって資産処分をしたということのみで信用不安を招くというおそれがあるということで、企業の権利利益もきちっと保護し、あるいは民都機構の買い主側のプライバシーもきちっと保護しながら情報公開をやっていく。情報公開方向としては、私ども情報公開をできる限り可能な限りやっていくべきだ、こういう考え方でございますが、そういう権利保護その他プライバシーの問題もきちっと考えた上でやっていく必要がある、こういうふうに考えているところでございます。  特に、取得価格につきましては、売り主にとりまして、売却価格というのは幾ら金銭が入ったかとか企業のプライバシーにかかわる問題でもございます。あるいは取得価格そのものが、民都機構にとりましては今後の業務遂行に、その取得例として今後のいろんなその他の続きます交渉につきまして支障が出てくるということも予想されるということでございまして、買い手の方の保護も図っていかなきゃいかぬということで、取得価格につきましては公表を差し控えさせていただいているところでございます。  ただ、売り主の関係の方につきましては、十月までは公表させていただきませんでしたが、情報公開ということもございまして、売り主の同意を得て売り主名については公表させていただくという改善をさせていただいたところでございます。
  131. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 情報公開と言われながら肝心の内容を伴ってない、そう思います。公的資金を活用して公的事業業務を行うわけです。そうである以上、公正さが求められる。先ほど小川理事からも強く指摘されました。私は、そういうことからいっても、この際、プライバシー、そういうことを言う理屈、これは通用しないと思うんです。  例えば、以前にも例があります。九六年一月、民都機構がすぐそこにありますホテル・ニュージャパン跡地の取得に乗り出したとの一部の報道を契機に、その秘密体質が大きな問題になったことがある。その際、当時の中尾建設大臣や藤井事務次官、彼らは、税の優遇措置国庫補助を適用している以上、国民の理解が必要だ、そう言って契約内容の公表に積極的な表明を行った、こういう経過があるわけです。  情報公開という点で言えば、その当時より今はもっともっと強くそれを求める、そういう流れが既に国民的にも国会の中にも出ている。そういう中で、この程度の、一番肝心の取得金額、これを公表しない、今局長はそう言われたけれども、私は大臣、これは大問題だと思います。契約内容の詳細を直ちに明らかにする、私はこの審議を行う上でこのことがどうしても求められると思いますけれども大臣、その点いかがですか。
  132. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) ただいま申し上げましたように、先生おっしゃるように公共的な事業情報公開、これは情報公開法の御審議を今いただいているところでもございますし、情報公開を進める、一般的には当然であると思っておりますし、可能な限り情報の公開に努めてきたというふうに考えているところでございます。  そういう意味で、先ほど申し上げましたように、土地の売却に関する事実については相手方の金銭的なプライバシーの問題もあるということで、特に価格につきましては慎重に扱われるべき問題である。特に、先ほど先生がおっしゃいましたように契約の具体的な内容、金額等について公開すべきである、こういう御趣旨でございますけれども、これはしかるべき民民の契約でもございますし、また民都機構にとりましても将来の契約、いろんなところについても影響が出てくるということもございます。またその売り主側の希望等によりまして、あるいはまた売り主のプライバシーの問題等もございますので、そういう点については公表を差し控えさせていただきたい、こういうことでございます。
  133. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 大臣、よく聞いてください、この審議を進めていく上でやっぱりこれは非常に大事なんです。これまでどういう売買が行われて、それがどういうところに投入されたか。その点は、今いろんな社会的な影響について局長は言われたけれども、少なくともこの審議をする我々自身がつかめないんですか。  大臣、そういう問題についてきちっと審議できるように大臣のイニシアチブを発揮していただきたいと思いますが、直ちにそういう契約内容等について明らかにする、その点について大臣に求めたいと思います。大臣に。  ちょっとあなたはいいよ、指名じゃないから、いいよ。
  134. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 事務的に手続的な問題もございますので、私の方から答弁させていただきたいと思います。  先生指摘のように、民都機構が土地を取得いたします場合には価格審査会、経営審査会等公的な学識経験者等を中心にいたします者をお願いしているわけでございまして、そういう手続もとらせていただいているところでございます。
  135. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 大臣、なぜ立たないんですか。あなた、立ちなさいよ、大臣
  136. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 今の御趣旨でございますが、いろいろ前進はしておるわけでございまして、ことしの二月より公開を始めた項目、御承知のように売り主の名簿、これは同意があれば公表するということでこれは公表している。それから事業予定者名、これは着工前に同意があれば公開をしておりますが、着工後におきましては同意がなくともこれは公表するということを今検討しておるということもございます。それから事業の内容でございますが、事業目的は御承知のようにこれは同意があろうともなくとも公表を既にしておる。  それから、今後新たな公開に向かって今検討いたしておりますのが事業の概要、これは着工前に同意があればそれを公開の方向に、そして同意がなくとも、着工後におきましては設計の概要であるとか事業期間であるとか概算総事業費というものも公開しようという方向で今検討をいたしておるわけでございますから、概算総事業費というものを見ればそういうような価格もおおよそ推定もできるということであろうと思うわけでございます。そういう点で、現在、私はそこがぎりぎりのところではないかなと思っております。
  137. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 概算総事業費を見れば想像できると。我々に想像して審議してほしいと大臣は言われるんですか。やはり私は非常にこれはおかしいと思いますよ、率直に言って。直ちに公表すべきだということを要求しておきたいんですけれども、そういう点からいっても土地取得の経緯その他不透明さがかなり深刻だと思います。  今回の審議に当たって、私は内部資料も入手して契約内容も調査いたしました。その結果、相当ずさんな事態があるということが浮き彫りになってきたなということを痛感しております。  先ほど指摘したんですけれども、民都機構が土地を保有している十年間は税務上の優遇措置はとられているわけですけれども、竣工済みの七件を除く百四件に対する固定費負担の軽減額、これは総額幾らになりますか。
  138. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 竣工済みの、ちょっと聞き漏らしていて恐縮でございます。竣工済み百四件……
  139. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 七件を除く百四件に対する固定費負担の軽減額。
  140. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 百四件に対する固定費負担の軽減額でございますか。  固定資産税につきましては、全額控除ということになっておると思いますが。  失礼しました。特別土地保有税とかという点についてはあれでございますが、固定資産税については全く減額になっておりません。
  141. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 固定費ですよ、固定費。
  142. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 固定費でございますか。ちょっと承知しておりません、今。恐縮でございます、手持ちにございません。
  143. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 わかりました。  こういう肝心な数字がないというのも困るもので、次回までにきちっと出していただきたい、このことを要求しておきたいと思います。  民都機構の土地取得は、購入した土地事業化した上で売却する、こういう建前をとっているわけですね。公的資金が投入される根拠もそこにあるわけです。ところが、実際にはこの趣旨に反する土地購入が行われている。例えば、関西文化学術研究都市の中核施設、「けいはんなプラザ」を経営する第三セクターの「けいはんな」から昨年三月に購入した二期工事用地二万五千七百平方メートルの土地、これは無謀な開発計画の末に行き詰まって、同社の累積損失は五十三億円に膨張して経営は事実上破綻しているわけです。  関係者から話を聞きましたけれども、同社は土地売却目的について、土地が成熟し活用できるようになるまで民都機構に預けておくだけと語っているわけです、預けておくだけ。最大のメリット、それは金利や税金などの固定経費を年間数千万円削減できることと認めているわけです。初めから事業化など念頭にない、事業化のつもりがない土地を購入して、事業化の立ちおくれが生まれるのは当然です。そういう形で民都機構の土地が扱われている。  私は、これでは事業化が進むわけないし、また土地流動化が進むわけない、そう思うんです。いかがですか。
  144. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 今御指摘の「けいはんな」の件につきまして詳細を承知しておるわけではございませんが、「けいはんな」の第三セクターの所有する土地でございますけれども、これが研究学園都市の構想実現のために取得したということで、優良な民間都市開発事業の見込み地であるという判断をしたわけでございます。  これにつきまして、結果的には今、先生おっしゃるような税金上の優遇措置等が講じられておる、こういうことでございますが、あくまでも優良な見込み地である、事業構想の、研究学園都市の構想実現のために取得したということでございます。これも手続も正当な手続、詳細な手続を踏んで取得したというふうに聞いております。
  145. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 詳細は存じていないということを言われて断定できないと思うので、やはりその点、きちっとただしていただきたいと思います。  破綻した第三セクター救済そのものがこのケースだと私は思うんです。しかも、土地購入の金額にも問題がある。「けいはんな」の説明では、同社がこの第二期工事用地を取得した当初は二十五億円だった。ところが、民都機構はこれを二十七億で購入している。二億円も高く買い上げている。これはどういうことですか。
  146. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 民都機構が購入する際には、先ほど申し上げましたように経営審査会、価格審査会、その中には価格審査会には十名の先生がおられるわけでございますが、当然のことながら不動産鑑定士の方もおられます、あるいは学者の方もおられます、そういう方々の公正な手続を経て価格を決定され購入されたというふうに考えております。
  147. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 仕組みを述べてもだめなんです。ですから、これはやっぱり契約書をきちっと出していただく、それで二十七億かどうかということをはっきりさせていただきたい、これを要求しておきます。いいですね。  それから、問題はこれに限らないわけです。九七年三月に購入した仙台市の青葉区の花京院、千六百平米の更地、国有化された日債銀の大口融資先のダイヤ建設が所有していたものです。一時は倒産したゼネコンの東海興業に売却されたけれども、またダイヤ建設が買い戻す。最終的に民都機構が買い上げている。日債銀はダイヤ建設が買収した当初から、この土地を担保に七億五千万を融資、その後、融資額は十二億に増額された。ところが、民都機構に売却されると同時に融資は返済され、根抵当権も解除された。しかも、同機構がこの土地を購入するために使った政府保証融資の協調融資団に日債銀も名を連ねている。  そうすると、民都機構の土地買い上げで日債銀はダイヤ建設への巨額の融資を圧縮した、同時に民都機構という政府保証付きの融資先を確保する、二重においしいことをやっているわけです。土地取得業務を利用した公的資金による特定企業の救済、そういうことになりませんか。
  148. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 仙台市の花京院の件につきましては、住宅、賃貸マンションということで事業を立ち上げるということで購入したというふうに聞いております。メーンバンク、いろいろあるかと思いますが、そういうところからの融資ということであろうかと思います。  これの件につきましても、私どもとしましては、きちっとした価格審査を行い、事業化構想が大丈夫だと、こういう前提のもとで適正な価格で適正な事業の構想のもとに購入をしておるというふうに聞いております。
  149. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 さっきから仕組みを述べているけれども、仕組みではだめなんです。事実なんですよ、問題は。  私はきょう、私のところに寄せられた内部告発の文書を持ってまいりました。数字等々を見ても非常に正確だなと、私も裏づけられると思っております。この文書には、民都機構の組織、人事構成をめぐる癒着、土地取得業務の運営にかかわる問題点が具体的に書かれているわけです。その一部を紹介します。  土地取得業務についてこう述べている。実際の運営事例を見ると、不動産買い上げ対象企業のかなりの部分が、経営危機に直面した企業の救済だったり、業績不振企業の資金繰り、決算対策に使われている、こう指摘しているわけです。企業名も具体的に列挙されている。そして、告発文書は、民都機構の会長会社である新日鉄は、九六年七月に大阪府堺市の物件を六十億円で売却したことを契機に、九七年九月に兵庫県姫路市の物件を三十億円、ことし一月に福岡県北九州市の物件を十億円で売却した、この三月には神奈川県川崎市の物件を売却する予定でいるとある。ちなみに、私が先ほど指摘した「けいはんな」の取締役にも民都機構の会長が就任しているわけです。  同時に、この文書は、組織、人事構成をめぐる癒着として、民都機構への出向職員の問題が指摘されている。出向メンバーは、建設省、大手ゼネコン、不動産、銀行などで構成されているわけですけれども民間の出向組は、みずからの派遣元企業の意向で所有物件や関連会社の物件の購入決定や価格査定で有利になるように活動し、出向組を通じて民都機構に集まる都市開発関連の情報を派遣元企業に流していると指摘しているわけです。これが事実なら大問題でしょう。  建設省の資料によれば、現在五十八名の出向職員がいるわけですけれども、派遣元企業の名前を挙げてください。
  150. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 現在、民都機構に出向いたしております者が五十八名いるということでございます。ただ、この出向、派遣につきましては、基本的に私どもあらかじめそういう派遣先を公開するといったような条件で相手方からの了解を得て派遣していただいておる、採用しておるというようなものではございません。  したがいまして、これを個別に明らかにすることは機構と企業の信頼関係影響を及ぼすおそれがあるということでございますので、私どもとしても公開は差し控えさせていただいているということでございます。
  151. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 恐るべき秘密体質ですよ、これは。いいですか。なぜそれを言えないんですか。私は本当におかしいと思います。  委員長、この告発文書の中には鹿島建設、熊谷組、三井不動産、興銀、長銀などの企業が出ているわけです。私は、これがどこから何人来ているかということを、五十八名の内訳をはっきりさせていただきたい。このことを抜きに、先ほどからも契約内容をくどくどといろいろな答弁があったけれども、私はこの審議はできないと思います。ですから、委員長、これについてはやっぱりきちっと建設省がこういう五十八名の内訳を出すようにはっきりさせていただきたいと思います。要求いたします。
  152. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 現在出向している職員につきましては、先ほど申し上げましたように、あらかじめ公開する条件で相手方の了解を得て採用しているわけではないということでございますので、信頼関係影響を及ぼすと。(「秘密主義じゃ審議できるわけないじゃないか」と呼ぶ者あり)
  153. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 審議できないよ、これじゃ。委員長、これじゃ審議できません。
  154. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) ただ、私どもといたしましては、今後の採用に当たりましてはそういう情報公開観点も含めて検討していきたいというふうに思っておるところでございます。(「情報公開以前だよ、そんなもの」と呼ぶ者あり)
  155. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 委員長審議できません、これじゃ。
  156. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 人事の採用につきましては、民都には民都としての固有の立場がございます。建設省としても、そういう立場も踏まえながら指導していきたいというふうに考えているところでございます。
  157. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 委員長審議できません。委員長、これでは審議できません。だめです。だめです。協議お願いします。(「恥ずかしいこともやましいこともないんだよ」と呼ぶ者あり)
  158. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 速記をとめてください。    〔午後三時四十九分速記中止〕    〔午後四時二分速記開始〕
  159. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 速記を起こしてください。  再開をいたします。山本都市局長
  160. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 企業からの出向者の受け入れにつきましては、国、地方公共団体あるいは金融機関等から来ておるわけでございますが、これらにつきましては、次回までに資料を整理させていただいて提出させていただくということでお願い申し上げたいと思います。
  161. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私は民都機構をめぐる政財官の癒着、これは大変根深いということを痛感しております。  このことを示す資料があるわけですけれども、これは「民間都市機構の十年を振り返る」、ちょうど十周年のときに民都機構が発行したパンフレット、これを私は読んで唖然としたんですけれども、ここには、この機構が当時の金丸副総理の強い政治力によって誕生したこと、そして業務自体が採算や経営のめどなく走りながらの仕組みづくりであったことなど、関係者の証言は生々しいものが出ているわけです。  その中に、特に注目したことにこういうものがありました。「出向職員の依頼等につきましては建設省でポストの割当がされており、私共としては出向元の人事担当部署といろいろ交渉させて頂きました。」と。建設省がポストを割り当てている、こういうことがあるんですね。これは建設省の現役の役人やOBがいる中で語っている。  それからもう一つ証言。「民間都市開発推進機構ができるので開発銀行も仕組みの中で主要なお手伝いをすることになり、設立の準備におまえ行って来いと言われ、昭和六十二年四月から都市政策課に開発銀行在籍のまま、机を一つ確保して頂いて毎日そちらでお手伝いをしました。」、「国会の審議の段階では、想定問答作りとか、特に金融の関係の分野や都市開発事業の低採算性とかに関する答弁内容の下書きのお手伝いをさせて頂いた」、こういうことも出てくるわけです。一体、そうすると何だと。建設省がポストを割り当てた、それからまた国会答弁もつくった、そういうことになるわけです。  私は、一つこういう事実関係、これは民都機構が責任を持って出したパンフレットに活字になって出てくることです。ですから、こういう事実関係について、今ここで答えろと言わないけれども、やはりきちっと明らかにしていただきたい、このことを要求しておきたいと思います。  そして、最後に、私はやはり民都機構、これは今までちょこちょこと述べましたけれども、政財官の癒着そのものだと思うんですね。とりわけ、土地取得業務、これは大手ゼネコンや銀行が公的資金という甘い汁を吸う利権のシステムにほかならないのではないかと思います。ですから、私はきょうここで繰り返し情報公開を求めました。とりわけ、契約に当たっての金額、それが一体どういう内容なのか、それをやはり出していただく、これが非常に肝心だと思います。  先ほど、五十八名の内容は後日出すということで約束いただきました。三十日の審議に間に合うように当然出てくると思いますので、私は最後に大臣、やっぱりこういう経過を踏まえてこの審議がちゃんと行えるように、出向先のそれぞれの民間の銀行やゼネコンの社員は自分の会社にこういう内容を全部筒抜けにしている、しかしここで審議している国会議員にはそういう内容は明らかにならない、こんなおかしなことはないと思います。大臣、これは民間企業が全部知っていることなんです、幾らで取得しているとかどうこうということは。しかし、この国会の場で明らかにならない。こんなおかしなことはないと思います。  ですから、大臣、三十日にまた審議がありますけれども、そのときまでにそういう審議ができるように、契約の内容すべてとは言いません。やはり一番肝心の金額、それについては件数だって百四件です。限られております。ですから、それを示していただきたい、このことを最後に大臣要望したいと思います。
  162. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 公開できるものは公開いたします。  何もそうすべて悪く悪くとろうとする立場からあなたは意見を述べておりますけれども……
  163. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 いや、そういうことはありませんよ。
  164. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) そんなことはありません。まして、先般の建設省が指導して人名を決めたというのは、それはその当時はそうかもしれませんけれども、現在においてはそんなことはありません。失礼なことは言わないでください。
  165. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 緒方靖夫君、時間です。
  166. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 はい、わかりました。  大臣ね、そういうことを言われるならば、やはり全部きちっと調べてやっていただきたい。今の民都機構がどういうことになっているのか、そしてまた建設省がそのポストを割り振りしているという、そういう証言もあるわけです。大臣としてそうむきにならないで、その事実関係をきちっと調べる、それが大臣としての職務だと思いますよ、また政治家としての。ですから、このことを私は要望しておきます。
  167. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 時間です。時間が来ております。
  168. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 先ほど私が人名をどうするとかどうとかいうときに、局長が答えるときに、私に対してなぜ立たないかとか、そんな失礼な発言はやめてください。
  169. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) もう時間が参りました。
  170. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 はい、わかりました。  やはりきょうの経過があります。ですから、大臣、そういきり立たないで、あなた方も情報公開をきちっとしていく、そしてきちっとした責任を持った審議をする、そういう土壌を大臣の責任でつくっていただきたい、このことを要望しておきます。
  171. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) あなたの態度を紳士らしくしていただかない限りはこたえません。
  172. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 時間が参りました。
  173. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 納得できません。おかしいです。全然おかしい。
  174. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 大変緊張した場面が続いておりますけれども、今回の法改正によって都市開発事業推進とか民間投資を誘発し内需主導景気回復を図りたい旨述べておられるわけですけれども都市開発が遅々として進まない原因について、先ほど弘友議員の質問に対して大臣は、オープンな議論が必要であり、それから融資あり方、税制のあり方等々も考えていかなければならない、さまざまな要因があっておくれているというふうにお答えになっておられますけれども、私自身はその事業計画の中にあった借地借家人権利というものが明快に確立をされていないからではないかというふうに思うわけでございます。そうした観点から、今回質問をしていきたいというふうに思っております。  バブル期に地上げ屋によってつり上げられた地価とそして取り残されて虫食いになっている土地の価格の間には大きな差が発生していると思いますけれども、今ほど来の議論の中もそこが中心なんでしょうけれども、適正な価格というのをどう算定をするのか。この辺は建設省、基準があるのかどうか、そこをお聞かせください。
  175. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 市街地開発事業において借地借家人の保護がきちんと図られているかどうかと、こういうことでございます。  市街地開発事業は非常に住民権利を移動させるということであるだけに、それだけに借地借家人権利をきちんと保護するということが大変重要なことであるということは先生指摘のとおりでございます。残留希望者の借家人、借家権者は、仮に家主が転出しても再開発ビルに借家権を与えられると、あるいはまた過小宅地についてはそこに住めるために増床を与えるといったような権利の保護が法律上基準として定められておるところでございます。いずれにしましても、従来からの権利は借地借家人といえども当然のことながら含めて平等に保障されておる、こういうことでございます。  さらに、平成十一年度から税制上の措置としましても、再開発ビルに入居が困難な借家人の受け皿として、住宅だけじゃなくて従前事業をやっておられた営業者用の賃貸施設についても対象にするといったようなこと、あるいはまた先ほども御答弁申し上げましたが、従前の営業しておられる、商業をやっておられる権利者が取得する権利床について固定資産税が高くなるというようなことで、固定資産税軽減措置拡充等を図っておる等借地借家人の保護が図られる制度支援をする制度拡充しておるところでございます。  さらにもう一点、バブル期につり上げられた地価と取り残された地価について価格差に大きな差を生じているというようなことで、適正な価格での算定の仕方がちゃんとあるのか、こういうことでございます。  こういう関係につきましては、算定価格に当たりましては土地の収益を中心に判定するといういわゆる収益還元法でなかったということで、現在、これまでは取引事例比較法、取引の高ければ高いところを中心に、前提に比較法で価格を算定するといったようなことが見られたわけでございますけれども、収益還元、収益に応じた価格をきっちりと算定するということを中心に価格を算定しておる、こういうことでございます。平成十年に国土庁が策定いたしました「不良債権担保不動産の適正評価手続きにおける不動産の鑑定評価に際して特に留意すべき事項について」といったようなものを判定の基準といたしまして、それに基づいて現在申し上げましたように土地の収益を前提とした適正な価格を算定されるということを期待しておるところでございます。
  176. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 事業計画準備段階地域住民地権者合意形成というのがなかなかうまくいかないということですけれども、それはどのような手順で行われるのかということと、その手順、いわゆる情報の公開の仕方によっては、自分の土地はまだ売れていない、しかしあそこの土地は高く買い上げられているというような、地域が物すごく分断されているわけですけれども、分断されたコミュニティーがさらに分断をされることがあるのではないかというふうに懸念をしますけれども、いかがでしょうか、この件は。
  177. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 再開発事業を円滑に進めるためには、周辺住民関係住民理解を深めながら住民が主体的に事業に参画する、計画づくりに参画するということが非常に重要であります。実際に準備段階におきましても、町づくり協議会でありますとか、いろいろ準備組合といったような権利者の組織化を図りまして、権利者の方々が全員その中でいろいろ自由に御意見を出し合われて合意形成を努めていく、それによりまして計画案をまとめられていくというふうに理解いたしているところでございます。  私ども建設省といたしましても、そういう住民が受け身ではなくて、みずからの町づくりという意識で積極的に参画をしていくためにいろいろ支援をしていくということでございまして、平成十年度からは、町づくりのそうした活動支援や、あるいは計画や立案を行うコーディネート業務に対する補助制度創設いたしまして、こういう準備段階、初期段階における住民の意向を十分反映した計画づくりに対する支援を行っているというところでございます。  今後とも、私どもとしては、住民の意向を適切に反映し、住民の意思を尊重しながら、区画整理事業、再開発事業が行われることが大変期待されるということでございます。
  178. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 具体的にこういう段階を踏んでというようなことを示していただけたらよかったなと思いますけれども、時間がありません。  都市開発法の九十一条、今回改正になっておりますけれども、補償金の定めです。第一種権利交換方式と第二種の管理処分方式とがあるわけですけれども、今回の改正で修正率は政令で定める、こうなっているわけですが、それはどのような方法で算定されるんですか。
  179. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 市街地開発事業の補償金の算定につきましては、多数の権利者がおられるわけでございますので、そういう権利者に対しまして公平に算定をするという点から、今回主として技術的な理由から改正をさせていただいたところでございます。  少し詳しく、ちょっと細かくなって恐縮でございますが、補償金の支払い日以前の評価基準日というのを定めまして、評価基準日に額を決定いたしまして、実際に補償金の支払いを行わなきゃならない日までの一定の利息をつけるということになっておるわけでございますが、それは物価の変動率をも加味した適正な額ということにしておるわけでございます。  これは、現在は、今までの法におきましては年六%というふうに一律に定めておったわけでございますが、近年の物価、金利等が極めて安定しておるというために、現行の六%を適用した場合には転出者とそのまま残っておられる方との間で不公平感が生じる。六%をそのままずっともらい続けてなかなか転出をされないといったようなことが起こり得るということもございますので、そういう不公平感が高まっておるということに従って、現在申し上げましたように、土地収用法等でもこういうような類似制度がございます。そういういわゆる物価の変動率をも加味したいわゆる物価変動修正率という格好で改正することとして今回の改正を行ったと、こういうことでございます。
  180. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 具体的にここの土地法改正によってどのぐらいに上がってきたかというところを示してもらわないと私自身もよくわからないのです。  ここに神奈川県伊勢原市の伊勢原駅北口再開発借地・借家人組合の皆さんが出してきた数字があるんです。九四年から再開発事業に取り組んでいるんですけれども、いわゆる借地借家人が非常に多くて事業が進んでおらないということなんです。そこで出された評価額ですけれども借家人の借家権利なんですけれども、Aさんという方は二百十八万円、Bさんが二百三十五万円、Cさんが二百八十四万円ということで、これで出ていっていただきたいということなんだそうです。これらの人たちはここで営業をし、家計を支えているんです。その人たちがこれだけのお金で出ていけといったって、新たなところに土地を求める、あるいは借家を求めてさらに商売をやっていけるという保証は全くないわけなんです。車一台分にも満たない金で出ていけと言われても、出ていくことができないということになっているんです。  こういう状況の中での今回の改正なので、私は少し期待したんですけれども、どうも参考資料の中で計算式をしてみると、そんなに多額のお金にはならないということでございまして、ここは都市計画法というのがこの再開発法の親法、その都市計画法の七十四条、ここには「生活再建のための措置」ということで条項がきちんと起こしてありますね。都市開発法に都市計画法七十四条の「生活再建のための措置」というものをきちんと入れ込まなければ、私は再開発法が本当に生き生きと回っていかないというふうに思うのですけれども大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。この問題は解決をしないと思います。
  181. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) そのことはお伺いしますと、第二種市街地開発事業には適用されるものの、第一種市街地開発事業では適用が除外になっているというふうに伺っておるわけでございますが、確かに今、法律的にはそういうふうなことになっておるわけでございます。  御指摘の数値を伺いましても、確かに私もそのように思うわけでございまして、それはどうなっておりますか、また対処する方向検討をしてみたいとは思いますが、ちょっと私も今そこまでの知識は持っておりませんので局長に詳しく報告させますが、いずれにしましても、実際にその生活再建のためのものが十分でないのでそこを出ろというわけにはいきませんから、それは私も正直対処する方向で努力しないといけないと思います。
  182. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 大臣がただいま申し上げましたとおりでございます。  少し詳しく御説明申し上げますと、いわゆる市街地開発事業、一種二種ございますけれども、二種事業といいますのは一たん収用、土地を買収しまして、それから必要な人には土地権利を与えるということでございまして、強制的に土地を失う、そういう方に対しまして都市計画法は七十四条で生活基盤を失うことになるということでいろんな生活再建のための措置を講じる、こういうことになっておるわけでございます。  一方、第一種の事業につきましては権利の変換をするということでございますので、基本的にはそこにおられた方がそれぞれ家を建てて、建ったら再開発事業の中に入るということでございますものですから、そういう意味では土地を奪われないといいますか、自分のところで、中で権利を変換するということでございますので、そういう都市計画法の七十四条の規定そのものについては適用がないということでございます。  ただ、先生おっしゃいますように、そういう方でも転出を希望される方は当然おられるわけでございますので、そういう関係方々については法律の規定というよりも生活再建のためのいろんなあっせんの措置でございますとか支援措置というのは、やはり必要な場合に応じてやっていく必要があるということであろうかと思っておるところでございます。
  183. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 今回の法改正の中で、民都開発機構からの都市開発資金の償還方法として十年一括も認めることとし、不動産証券による資金回収を可能にしましたけれども、この不動産の証券化のメリット、それから証券化に際し参加対象者の適正な評価が行われるのかということ、それからさらに資産対応証券の流通市場はどういうふうに確保されるのか、あるいは証券そのものが不良債権になってしまうというようなことはないのか、証券化によって再び土地バブルが発生する懸念はないのか、これらについてお答えをいただきたいと思います。短くお願いします。
  184. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 簡潔にお願いします。
  185. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 今回、民都機構の業務として不動産の証券化を推進することとしておるわけでございますが、基本的にはいわゆる銀行等からの間接金融から変換いたしまして、市場から直接資金を調達するという直接金融という移行を可能とするということで、不動産の証券化を図ってその証券を取得する、社債を取得する、こういう格好であれしたわけでございます。  この場合の不動産の資産担保証券というのは、不動産から生ずる収益を裏づけとして発行されておるわけでございます。その土地建物についてどのぐらいの収益が上がるかということを裏づけとして発行されるものでございまして、実物の不動産の収益によって定まってくるということでございますので、そういう格好で証券が非常に上がってバブルになるとかというようなことは私どもはないというふうに思っております。  なお、その場合にも当然のことながら、不動産証券市場というのはまだ現在緒についたばかりでございますので、情報開示をきちっとやるとかあるいは証券についての具体的な市場を整備するとか、そういったことが前提になって不動産の証券化の一層の推進を図っていかなきゃいかぬ、こういうふうに思っておるところでございます。
  186. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 今回の改正によって総額百十一・五億円、それから民都機構の土地取得業務の取得期限を三年間延長するということと同時に、政府の保証借入枠を一兆百五十四億円に準備されるということでございまして、対費用効果がどうなるのか、これは問われるというふうに思います。  先ほど、同僚委員からの指摘がありましたけれども、いやしくも政官業が癒着をしている構造の代表のように言われるようなことがあってはならないというふうに思います。ここは建設大臣の強力なリーダーシップが必要だというふうに思いますけれども、その御決意をお聞きいたしまして終わりにいたします。
  187. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 先生指摘のように、とにもかくにも例えば不良債権を放棄していただくとかいうような、そういうゼネコンもあるわけでございまして、やはり建設業、不動産業、そしてまたこの法案にいたしましても、公的資金が注入されるわけでございますから銀行の資金投入と全く同等でございますから、それにするならばチェック機関は、銀行の公的資金を投入するのは金融監督庁もございますし、そうした委員会もございます。それだけのといいましょうか、厳しい監視をする組織がそれに比べたら私は弱いと思っております。  ですから、先生指摘のように私は私の立場で、そういう本当に疑いが持たれるようなことすらもないように、その点は強力に指導をしていきたいと思っています。
  188. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 ありがとうございました。
  189. 奥村展三

    ○奥村展三君 通告をいたしておきましたが、もうほとんど同僚議員からもお聞きになっておりますので、簡単に質問をさせていただきたいと思います。  都市問題は大都市だけの問題ではないと思います。当然、地方都市中心市街地等の空洞化も大変深刻な問題であろうと思います。国土の発展、二十一世紀がやってくるわけでありますが、それを考えますと、やはり地方都市の再生をどのようにしていくかということも大きな問題であると思っております。  建設省やあるいは国土庁等皆さんもよく御存じだと思いますが、私のふるさと滋賀の長浜市で黒壁という第三セクターで事業を興しました。この黒壁、元銀行の跡地でございますが、つぶされる寸前に青年会議所の理事長もなされた笹原さんという方が立ち上がって、何とか黒壁銀行をつぶさないでほしいということで仲間を募って、そしてまた市の要請にこたえて銀行やあるいはいろんな皆さんにお話をかけられて、この銀行を残してそれを有効活用していこうということで、現在非常にすばらしい計画のもとに進められまして、年間百五十万人ぐらいがおいでになって、そのうちの九〇%がもうほとんど県外の方、特に女性の方が中心のようでありますが、こういうようにして町づくりがなされてまいりました。  こういう町づくりというのは、やはりそこにはそういう主役といいますか、本当に根底になった考えのもとにやっていかれて成功したわけで、今のところ成功をずっとしてきたわけでありますが、町づくりの主体、これがポイントであろうと思います。特に、都市計画地域商業政策、これが両方相まってこそ担保されてこそいろんな発展があるものだと私は考えておるわけであります。  このことにつきましてどのようにお考えか、お伺いをいたしたいと思います。
  190. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 黒壁のこのことは私もお伺いしたわけでございますが、このように地元の方々地方公共団体関係方々がまた各般にわたります協力をして地域開発というのができますのが、これがまた本当に私は理想の姿ではないかと思うわけでございまして、こういうようなことができますように行政と市民の方々理解し合った地元の開発、ましてや地元はその地元の方が一番御存じであるわけでございますから、そういうことでぜひしていただきたいと思うのです。  そういう時代がもう来ておりますから、地元の市民の方一人一人がそういう自意識、認識を持っていただいたらこれからはすべてが順調に行くのではないかなと思っておりますので、またそういう感覚で私たちも行政的には協力をしていきたいと思っております。
  191. 奥村展三

    ○奥村展三君 大臣が今おっしゃいましたようにやはり町づくり先ほど申し上げましたように商店街等々、先ほどもいろいろ議論されていますように個々の連携が非常に大事だと思います。ぜひ、そういう指導といいますか、地域、地方とのしっかりとした形で推し進めていただければと思うわけであります。  次に、今回のこの法改正によりまして、土地区画整理組合あるいはまた市街地の再開発組合等、従来と違いましてスピードアップできる手続の緩和がなされてきたわけであります。私は、非常に評価をしているわけであります。  私の住まいをいたしておりますところも、昭和三十年代には人口一万だったんですが、もう今は四万二千人ということで相当な人口の伸び率であります。そういうところでどんどんと都市化がなされていくわけでありますが、町づくりあるいは土地開発土地区画整理等をやろうと思いましても、住民方々は不安でどうもしようがない、理解がなかなかしてもらえないというのが現状なんです。ここらを今回こういうように手続的にも緩和をいただいて、やはりスピードアップをしながら理解を求めていくということも一つの手法として大変いいのではないかというような思いをしております。  それで、衆議院でも話題になって議論をなされたようですが、正式に事業計画決定する前に事業が中断してみたり、あるいはとんざしてしまったという一つの例をとって思いますと、そうした場合に非常に何か心配をされるわけでありますが、その間の費用とか、もしも融資を受けたりしたらこれは一体どういうように対応したらいいのか、その点につきましてお伺いをいたしたいと思います。
  192. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 現在、定款と事業計画をきっちりつくると同時に設立認可を受ける、こういう格好になっておるわけでございますが、それを準備組合段階で利用基本方針と定款、主な事業の概要を示すことによってまず設立をしようということでございまして、その後いろんな準備手続といいますか、設計等の手続で平均して二億円なり三億円程度の費用がかかる、こういうふうに考えられておるわけでございます。その間に市街地開発組合がなかなかうまくいかないということで、事業が解散ということが今まではなかったわけでございますが、解散できるという制度をつくったわけでございます。  その間の費用、特に融資を受けた分はどうなるのか、こういう御指摘でございますけれども、基本的には公共団体事業推進の必要性が特に高い地域について組合の事業の遂行能力を十分審査して、知事が認可をし、貸し付けを行うということでございますので、そういうことが起こらないというのが基本でありますが、万が一そういうようなことが起こりました場合にも、公共団体の貸し付けに当たっての貸し付けを受ける者に対する条件として、担保等を設定させるということにしております。  そういう観点から、債権の保全上の支障は生じないというふうに思っておるところでございますが、何はともあれその再開発事業が地元の住民方々合意によって設立されるということであれば、全力を挙げてそれの推進に努めていく、私ども支援していくというのが一つの方向であろうかというふうに考えております。
  193. 奥村展三

    ○奥村展三君 ぜひそういう不安といいますか、トラブルが起こらないようによろしくお願いをいたしたいと思います。  国土庁の関連だと思うんですけれども、昨年の十一月だったでしょうか、地域戦略プランというのを出されて、総理直轄でいろいろとお話があったようであります。当初四兆円ぐらいと言われておったのが、約十五倍ぐらいですか、五十九兆七千億ぐらいになったというような報道もなされておりました。  新聞報道によりますと、小渕総理も一体これは何じゃ、もっとほかにないのか、非常に創意工夫が乏しいというようなことで、従来基本的にお考えになったこととかけ離れて進んでいるのではないか。三月から五月末にこの締め切りを先送りされたようなことにも聞き及んでいるわけであります。  それぞれの地域だけのプランを持っていると思うんですけれども、なかなかそこの意図がうまくかみ合っていない。それと、これから地方分権の時代ですから、市町村も広域的な話がどんどん進んでいくわけでありますが、やっぱり私は都道府県でもできるだけ広域的に物を考えて、そのゾーン、ゾーンといいますかそれぞれの地域のブロック等で考えていかないと、道路なんかでも寸断されてみたり、連携をとっていけばうまくいくようなところが、今まではどうも独自性というのか、その地域だけに、都道府県だけに限られてしまったようなことも往々にしてあったと思うんです。  いい機会でありますから、ぜひこういう地域戦略プランをひとつ基本にされて、大きく広域的に連携をとりながらおやりになるということもいいのではないかなと思います。  創意工夫が非常に乏しいと言われる報道があったわけでございますが、実情はどんなことになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  194. 小林勇造

    政府委員(小林勇造君) お尋ねの生活空間倍増に関する地域戦略プランでございます。  これまでの経緯でございますが、一月二十九日に四十七都道府県を通じて地域戦略プランを策定する素材としての骨子を提出していただいたところですが、その内容等につきましては、先ほど先生の御指摘にございましたように、事業量が私どもが想定していたものよりもはるかに多いとか、あるいは中身について未確定の要素が非常に多くて、必ずしも本来の地域戦略プランの趣旨に沿ったものになっていないというふうに認識しております。  現在、全国四百を超える地域でプランを策定中でございますが、これが趣旨に沿ったよりよいプランとしていただくため、地域要望も踏まえて、まずプランそのものの提出時期を当初の三月から五月末まで延長したということ。それから、現在、国土庁としまして全国の都道府県を回ってプランの内容などについて議論等を深めているところでございまして、今後、趣旨に沿ったよりよいプランが五月までに策定されるように全力を尽くしていきたいというふうに考えております。
  195. 奥村展三

    ○奥村展三君 これから地方分権第五次勧告がなされていろいろと進める中でも、やはりいつも言われますように財源も当然でありますが、その組織とか受け入れの体制、なかなかこのプランを消化できるだけの体制が整っていないということも一つ私は大きな要因ではないかというようなことを指摘しておきたいと思います。  以上をもって、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  196. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 本改正法案提案理由の中で、良好な都市環境整備するためには、「再開発により防災居住環境交通景観等の機能の充実改善を図り、都市の再構築を強力に進めていく必要が」あると説かれております。また、「現下の経済状況の中で、都市の再開発民間投資を誘発する効果も大きく、内需主導景気回復を図る上でも大きな役割を担うことが期待されている」とも述べられております。理由の前段は長期的視点に立った主たる目的、真の目的であり、後段は短期的視点に立った従たる目的、仮の目的であると言うことができると思います。  私は、良好な都市を建設するためには、確固たる長期的なビジョンを持った都市計画が必要であると考えております。ちなみに、沖縄県においては、平成八年十一月に「国際都市形成構想 二十一世紀に向けた沖縄のグランドデザイン」を策定し、その基本理念、基本目標として「自立的発展を図るとともにアジア太平洋地域の平和と持続的発展に寄与する地域の形成を目指す。」としております。  建設大臣は、この沖縄県の国際都市形成構想を建設大臣の立場でどのように評価しておられるのか、また建設省としてはこの構想に対してどのような支援が可能と思われるのか、そしてその意思があるかどうかをお尋ねいたします。
  197. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 平成八年に沖縄県で作成されました二十一世紀に向けてのグランドデザインでございますが、これは国際都市形成構想というようなことで、基本目標としまして平和、共生、自立の理念のもとに、沖縄の歴史、文化、自然環境等の特性を生かした多面的交流を推進することによって沖縄の自立的発展と、そして太平洋地域の平和と維持発展に寄与するという目的でございまして、私はすばらしいプランニングだと思っておるわけでございます。  そういうようなことで、今後とも沖縄県の意向を踏まえまして、沖縄政策協議会がございますが、それを通じまして、一に建設省だけではなくして、関係省庁と連携を図りながら各般の施策推進していきたいと思っておるわけでございます。  今回、稲嶺新知事が誕生されたわけでございますが、過般の新聞報道によりますと、新知事は国際都市形成構想に従いまして、平和、共生、自立という言葉でございますが、それに加えまして、産業振興観点からもう少しウエートを置きたいというような発言をされたというふうに伺っております。私は、またそれも必要なことではないかなと思っておるわけでございまして、それがいずれにしましても自立といいましょうか、それは経済的な自立ということでございましょう。そういうようなことも含まれておるんだろうと思います。  いずれにいたしましても、その基本目標に向かって建設省としてもあらゆる御協力をしていきたい、そのように考えております。
  198. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 平和、自立、共生、それから稲嶺知事の誕生によって産業振興というものが図られるということで大変期待をしております。  せんだって、稲嶺知事は台湾に行かれまして、李登輝総統とお会いしまして、沖縄の経済振興、そして沖縄の観光振興という面で具体的な話し合いをなされたようです。  そういうふうな台湾との非常に近接した問題と、それから中国の福州あるいは香港、シンガポール、フィリピンといったようなところとも相当なネットワークを持っているわけですから、やはり沖縄の地理的条件というものは、そういう東南アジアとの関係を密にしていくということが非常に大事だと思っております。  ですから、そういった意味で、今、建設大臣が述べられたような施策をぜひ、本当は沖縄に行かれて沖縄の地理的な条件ということも含めて視察していただければありがたいなというふうに思いますけれども、その辺のことについてどうお考えですか。
  199. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 先般、これは私用といえば私用、私ごとなんですが、そんなことでちょうど沖縄県にお邪魔いたしましたが、それは会議に出るだけでございましたから視察をする時間がございませんでして、視察はまだいたしておりませんが、近々そういう機会をつくってまた現地も見させていただきたいと思います。
  200. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 お願いいたしたいと思います。  二つ目に、沖縄県に広範かつ濃密に存在する米軍基地が沖縄県内の都市計画及び産業振興にとって非常に大きな障害となっていることは、県外の人々には身近で切実な問題として実感されることは極めて少ないように思われます。それどころか、沖縄県民は基地と共存共生していくことが生きる道、繁栄の道だと言ってはばからない人も時にはおられるわけであります。  しかし、我が国土のわずか〇・六%にすぎない沖縄県に在日米軍基地の七五%が戦後半世紀以上経過した現在でもなお厳然と居座り続けているという異常さは、極めて特異な状況であると言わなければなりません。  為政者の中にも時には良心の痛みを覚える方がおられて、在沖米軍基地を整理、縮小しなくてはならないということで努力をしていただいているわけであります。そこで、日米両政府間でSACOの合意なるものをして、現存の米軍基地の二一%を削減するという計画を立てていただいているわけであります。  しかし、このSACOの合意は、現在の基地を返還する見返りに沖縄県内のほかの場所に新しく基地をつくらせるという条件、いわゆる県内移設条件つきという極めてまやかし的な代物であるために、なかなか基地の縮小が前に進まないという状況が続いているわけであります。また、仮にSACOの合意がすべて実現して二一%の在沖米軍基地が削減されたと仮定しても、沖縄県内にはなお在日米軍専用基地の七〇%が残るという異常さは続くわけであります。  このようなわけで、沖縄県民にとっては、現在及び将来の相当長期にわたって諸悪の根源である米軍基地問題に悩まされるわけであります。それゆえに、既に返還されたもの及びこれから返還される米軍基地の跡利用については、一日も早く有効な利活用が図られることがぜひとも必要であるわけであります。  そこで、返還軍用地の跡利用に対してはたくさんの問題点があります。例えば、埋蔵文化財の調査、環境汚染の有無の調査、不発弾の処理、位置境界不明地の境界の確定、土地区画整理事業等々があるわけでありますが、沖縄の振興開発をつかさどる沖縄開発庁としては、この跡利用に関するどのような問題点を感じておられるのか、そしてそれにどのように対処しておられるのか、お伺いをしておきたいと思います。
  201. 玉城一夫

    政府委員(玉城一夫君) 沖縄にたくさんの米軍の専用施設があることは、今、島袋先生から御指摘のとおりでございます。  これが返還された場合にどういうふうに活用していくか。私ども沖縄開発庁の方は、返還された後に、返還された軍用地を例えば再開発事業区画整理事業、所によっては農地の改良事業などいろんな事業をやっております。そういう意味では、できるだけ多くの関係者の地主で合意をされて、地元で跡地についての計画を立てられて、これに基づきまして出されたものを私どもは全国ベースよりもより手厚い手法区画整理事業など、各般の跡地の利用を促進しているところでございます。
  202. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 環境問題、特に文化財の問題等については、今沖縄県からも、例えば嘉手納基地の環境汚染の問題、これは御承知のようにPCBの問題でありますけれども、そういった環境調査の問題について提起しておりますけれども、残念ながら米軍は言うことを聞いてくれない、実態の調査がわからないというようなことでありますから、なお一層政府としても努力されて、基地の環境問題あるいは埋蔵文化財の問題については積極的に対応していただきたいと思います。  それから、返還された恩納通信所の問題についても、PCBその他の毒物があるということが発覚して、今、恩納分屯地でドラム缶に詰められて、七百本近いドラム缶がそこに蔵置されております。こういうふうな基地問題にかかわる環境問題が非常にこれから重要な課題になってくると思いますので、ぜひ関係省庁と打ち合わせて十分な対応をしていただきたいというふうに思いますけれども開発庁としてはどういうお考えですか。
  203. 玉城一夫

    政府委員(玉城一夫君) 今、環境汚染の問題あるいは文化財の調査、逐次私ども沖縄開発庁としてタッチするという事業ではございませんが、嘉手納のPCBの問題にしましても、政務次官を中心にしまして、環境庁、外務省など関係省庁の担当者と一緒にその調査なども行っております。  恩納通信所の問題は、原状回復する義務は防衛庁というよりも防衛施設庁の責任を持ってやっておられるというふうに聞いております。
  204. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 ぜひその辺を努力していただきたいと要望しておきます。  今申し上げました沖縄の返還米軍用地の跡利用の問題の延長線上にあって、現在、地域振興整備公団のもとで事業が進められております那覇市天久の新都心地区の整備について、その進捗状況及び問題点事業の進め方と事業の終了まであと何年ぐらいかかるのか、その見通しと問題点について、監督庁である建設省の御見解を伺いたいと思います。
  205. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 那覇新都心の開発整備事業につきましては、地域振興整備公団が平成元年から事業主体となりまして区画整理事業手法を活用いたしまして、先生先ほどおっしゃいましたように、米軍の住宅跡地を中心にする地区において基盤施設整備、宅地整備を行っておるところでございます。  当初の計画では、平成元年でございましたので平成十年、おおむね十年間の事業期間を予定させていただいておったわけでございますけれども先ほどもお話がございましたように、この当該地域で遺跡が出てまいりまして、当初の予想よりも多くの遺跡が出てきたというようなことでありますとか、不発弾の関係で全体で砲弾が二千発とかあるいは小銃弾が一万発とか、大変大量の不発弾が調査の結果出てきた、こういうような状況がございまして、予想以上に期間を要しておるということでございます。  それと同時に、仮換地の指定に今鋭意努力されておるわけでございますけれども地権者が二千三百人ということで大変大勢に上るということで、地権者の調整にも時間を要しておる、こういう状況というふうに承知いたしております。  現在、仮換地指定の完了を受けて順調に工事が進みつつあるというふうに考えておりますが、当初計画に比べれば全体としておくれているということになると思います。平成十四年度半ばにはすべての宅地の利用が可能となるように、そういうことを目指して事業の進捗に全力を挙げているという状況でございます。
  206. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 私は、この新都心の問題に非常に関心がありまして、私がちょうど国会に出て間もなく、新都心の整備公団が直接担当するというふうなことに決まったわけであります。そこで、県内業者に果たしてこういった指名が回ってくるのかということで、大変県内業者が不安に思って、何とかこれを国会あるいは整備公団に直接陳情するというふうな意向もございまして、私はそれを真っ先に整備公団に行きまして、県内業者に最優先をしてその請負をさせるようにというふうな意味で要請書をつくりまして、持っていったことがあります。  これから起こる問題点あるいは今の都心部の再開発の地元業者におけるところの割合、そういったものが今の質問事項にはなかったんですけれども、もし皆さんの方で把握できておりましたら、その割合等について御説明願えればと思いますけれども、よろしくお願いします。
  207. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 具体の点につきましては、建設業者の関係については承知をいたしておりません。  ちょっと手持ちの資料もございませんが、基本的には地元業者の関係方々にも事業が可能であるかどうかということについて、ジョイントベンチャーを組むとかあるいはいろんなやり方によって事業推進が図られるということになろうかと思います。そういう点について、地域振興整備公団の一つの基準がございますので、それを中心にしながら、ジョイントベンチャーその他の組み方によって地元の振興にも努めていく必要があるというふうに考えております。
  208. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 県内の建設業者の話では、ちょうど今、復帰後沖縄に投資された金額が大体五兆三千億と思いますけれども、そういうふうな内容の投資をされているにもかかわらず、実際に本土業者の方々の請負金額というのが七二%です。これは、あくまでも建設業者の皆さんの私に対する説明です。ですから、あとの二八%は我々だというふうなことで、県内業者の実際の請負金額というのは非常に少ないんだというふうなことを直接じかに聞いております。  これから建設省とされても、やはりこれだけの投資をされているにもかかわらず沖縄の経済そのものがなかなか格差が縮まらない、それから県民所得も低いというふうな状況というものはこれは数字で明らかですから、そういったふうなことを考えていくならば、これだけの莫大な金を投資したにもかかわらず格差が縮まらないというふうなことになっておりますから、ぜひ建設省とされて、やはり県内業者に相当なことを手厚く盛り込んでいかなければ、恐らくこの格差はなかなか縮まらないだろうというふうに思っておりますので、この辺についてはぜひ特段の御配慮をいただきたいというふうに要望いたしますけれども、どういうお考えなのか、お聞きしたい。
  209. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) その数値の問題は私も把握しておりませんが、そういうような内容のことは私もよく耳にいたしておりますので、それは極力地元の方が仕事ができるような指導、それはこういう日本全体を取り巻く不景気の状態で、大きな仕事でもそれを分割して地元の方が受注することができるような体制づくりを建設省が指導はしておるんですけれども、まだ十分でないと思いますが、そのことはまた改めて努力をいたしたいと思います。
  210. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 そういった意味での配慮はぜひお願いしたいということで、時間ですので終わります。
  211. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。  次回は来る三十日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十九分散会