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1999-03-04 第145回国会 参議院 国土・環境委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年三月四日(木曜日)    午後零時十二分開会     ─────────────    委員氏名     委員長         陣内 孝雄君     理 事         太田 豊秋君     理 事         松谷蒼一郎君     理 事         小川 勝也君     理 事         福本 潤一君     理 事         緒方 靖夫君                 市川 一朗君                 坂野 重信君                 田村 公平君                 長谷川道郎君                 山下 善彦君                 脇  雅史君                 岡崎トミ子君                 北澤 俊美君                 佐藤 雄平君                 弘友 和夫君                 岩佐 恵美君                 大渕 絹子君                 泉  信也君                 奥村 展三君                 島袋 宗康君     ─────────────    委員の異動  二月三日     辞任         補欠選任      脇  雅史君     石川  弘君  二月四日     辞任         補欠選任      石川  弘君     脇  雅史君  三月三日     辞任         補欠選任      泉  信也君     田村 秀昭君  三月四日     辞任         補欠選任      田村 秀昭君     泉  信也君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         陣内 孝雄君     理 事                 太田 豊秋君                 松谷蒼一郎君                 小川 勝也君                 福本 潤一君                 緒方 靖夫君     委 員                 市川 一朗君                 坂野 重信君                 田村 公平君                 長谷川道郎君                 山下 善彦君                 脇  雅史君                 岡崎トミ子君                 北澤 俊美君                 佐藤 雄平君                 弘友 和夫君                 岩佐 恵美君                 大渕 絹子君                 泉  信也君                 奥村 展三君                 島袋 宗康君    国務大臣        建設大臣        国務大臣        (国土庁長官)  関谷 勝嗣君        国務大臣        (北海道開発庁        長官)      川崎 二郎君        国務大臣        (環境庁長官)  真鍋 賢二君    政府委員        阪神淡路復興        対策本部事務局        次長       高橋 健文君        公害等調整委員        会委員長     川嵜 義徳君        北海道開発庁総        務監理官     斎藤 徹郎君        環境庁長官官房        長        太田 義武君        環境庁企画調整        局長       岡田 康彦君        環境庁企画調整        局地球環境部長  浜中 裕徳君        環境庁自然保護        局長       丸山 晴男君        環境庁大気保全        局長       廣瀬  省君        環境庁水質保全        局長       遠藤 保雄君        国土庁長官官房        長        久保田勇夫君        国土庁計画・調        整局長      小林 勇造君        国土庁土地局長  生田 長人君        国土庁大都市圏        整備局長        兼国会等移転審        議会事務局次長  板倉 英則君        国土庁地方振興        局長       中川 浩明君        国土庁防災局長  林  桂一君        建設大臣官房長  小野 邦久君        建設大臣官房総        務審議官     小川 忠男君        建設省建設経済        局長       木下 博夫君        建設省都市局長  山本 正堯君        建設省河川局長  青山 俊樹君        建設省道路局長  井上 啓一君        建設省住宅局長  那珂  正君    事務局側        常任委員会専門        員        八島 秀雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国政調査に関する件 ○国土整備及び環境保全等に関する調査  (建設行政基本施策に関する件)  (国土行政基本施策に関する件)  (北海道開発行政基本施策に関する件)  (環境行政基本施策に関する件)  (公害等調整委員会業務に関する件)     ─────────────
  2. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) ただいまから国土環境委員会を開会いたします。  国政調査に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、国土整備及び環境保全等に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 国土整備及び環境保全等に関する調査を議題といたします。  関谷国務大臣から建設行政基本施策及び国土行政基本施策について所信を聴取いたします。関谷国務大臣
  5. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) このたび国土庁長官を拝命いたしました関谷勝嗣でございますが、どうぞ御指導のほどよろしくお願いいたします。  第百四十五回国会における御審議に当たり、建設行政に取り組む基本的考え方につきまして私の所信を申し述べ、委員各位の御理解と御指導を賜りたいと存じます。  建設行政基本的使命は、住宅社会資本整備を通じて、限られた国土を適正に管理し、真に豊かな国民生活、活力ある経済社会実現することにあります。目前に迫った新たな世紀をさらなる発展時代として迎えるためには、建設行政の果たすべき責務は重く、住宅社会資本の着実な整備を通じて、次世代が夢と誇りを持てる国土づくりを進めてまいりたいと考えております。  小渕内閣総理大臣が本年を経済再生元年と位置づけられたように、景気回復に向けた取り組み政府の喫緊の課題であります。日本経済の一日も早い再生を図る上で公共投資住宅投資に寄せられる国民期待は極めて大きく、日本経済を確実に回復軌道に乗せるためには、社会資本重点的な整備推進するとともに、低水準が続いている住宅投資拡大を図ることが極めて重要であると認識をいたしております。  このような観点から、平成十一年度建設省関係予算案につきましては、平成年度第三次補正予算一体的にとらえると、対前年度比約三割増の額を確保しているところでございます。現在、第三次補正を含めた十年度予算執行全力を尽くしているところでございますが、十一年度予算についてもその成立を受けて着実な執行を図り、景気回復に向けた取り組みを切れ目なく実行してまいりたいと思っております。  住宅投資拡大については、減税期間十五年という大型の住宅ローン控除制度創設等住宅関連税制の大幅な拡充や住宅金融公庫融資貸し付け条件の大幅な改善など、税財政上の思い切った措置を講じ、経済波及効果の高い住宅投資活性化を図ってまいりたいと考えております。  また、御承知のとおり、建設業はかつてない厳しい経営環境に直面しているため、建設省といたしましては、昨年十二月に建設業経営改善に関する緊急対策策定し、省を挙げて、建設業者に対する円滑な資金供給信用補完確保、中小・中堅建設業者受注機会確保等対策に取り組んでおります。今後とも、技術と経営にすぐれた企業が伸びられる透明で競争性の高い市場環境整備を目指して、建設業構造改革推進に取り組んでまいりたいと思います。  現在、我が国は戦後以来の新たなシステムをつくり上げる変革期にあり、行政も新たな二十一世紀型のシステムに転換しなければなりません。中央省庁等改革につきましては、先般、中央省庁等改革に係る大綱が決定されたところでありますが、この改革を単なる省庁再編にとどめることなく、簡素で効率的な行政の確立に積極的に取り組んでまいります。  また、公共事業のあり方、進め方については、国民皆様方からさまざまな御指摘をいただいているところでありますが、一層の効率性透明性向上を図るため、類似事業間の調整コスト縮減事業評価実施、アカウンタビリティーの向上などの取り組みを積極的に行ってまいります。  所管の特殊法人についても、その業務について不断の見直しを進めているところですが、特に住宅都市整備公団については、閣議決定に基づきこれを廃止し、新たに都市基盤整備業務中心とする新公団を設立するため、今国会に所要の法案を提出いたしました。何とぞ、委員各位の御理解と御協力を賜り、法案の速やかな成立をお願いする次第でございます。  以下、当面の諸施策について具体的に申し述べさせていただきます。  まず、国民生活の舞台である都市を快適な空間として再構築するために、都市基盤施設整備等を通じて都市機能向上を図るとともに、中心市街地整備改善に取り組んでまいります。また、民間主導による都市の再開発促進するため、事業資金の円滑な調達、虫食い地等の整形、集約化に対する支援民間能力活用のための事業手法充実等を図る制度を創設し、土地有効利用を図ってまいります。  また、不動産取得税等流通税税負担緩和措置、個人の長期譲渡所得課税見直し等税制上の措置を講ずるとともに、不動産投資市場整備推進し、土地流動化土地取引活性化を図ってまいります。  次に、新しい国土構造実現し活力ある地域づくり推進する観点から、高規格幹線道路地域高規格道路等交流ネットワークの体系的な整備重点的に進めてまいります。  また、高度情報通信社会の構築に向けて公共施設管理用光ファイバー網やその収容空間整備を進めるとともに、スマートウエーの実現に向けて高度道路交通システム研究開発を強力に推進してまいります。  さらに、豊かで潤いある生活環境実現や地球温暖化問題に対処するため、生活空間バリアフリー化沿道地域環境改善電線類地中化河川、湖沼の水質改善に取り組むとともに、住宅建築物省エネルギー化都市緑化等を積極的に推進してまいります。  また、一般消費者が安心して住宅建設取得できるよう、瑕疵保証充実性能表示整備等住宅市場整備を通じた住宅の質の向上を図るための制度を創設いたします。  さて、我が国は、阪神淡路大震災を初めとして、昨年のたび重なる豪雨災害等、毎年のように水害、土砂災害渇水が発生し、極めて脆弱な国土条件を有しております。このため、国民が安心して暮らすことができる安全で災害に強い国土づくりを行うことは、二十一世紀に向けた重要な国家的課題であります。  被災地域の一日も早い災害復旧を進めることはもとより、上流、下流が一体となった治水対策災害に強い幹線道路網整備等を進めるとともに、住民等警戒避難体制整備するなど、ハード、ソフト両面にわたる総合的な防災対策推進してまいります。また、国土保全上重要な海岸については直轄管理とする等、海岸管理制度の抜本的な見直しを行います。  以上、建設行政推進につきまして基本的な考え方を申し述べてまいりましたが、私は物事を常にオープンに進めることが何よりも重要なことと考えております。国民皆様期待と信頼にこたえ、また一層の御理解をいただくことができるよう、建設行政全般にわたり国民皆様とのコミュニケーションを重視し、かつ厳正な綱紀の保持になお一層努めつつ、引き続き建設行政の諸課題全力で取り組んでいく決意であります。  委員長を初め委員各位の一層の御指導と御鞭撻を心からお願い申し上げまして、私の所信とさせていただきます。  恐縮でございますが、引き続きまして、国土行政に関します所信を述べさせていただきたいと思います。  我が国経済再生を図るとともに、新しい世紀に向けて、豊かでゆとりがあり、安心して暮らせる社会実現する上で、幅広い分野を担当する国土行政の役割はますます重要になると考えております。このため、次の施策重点を置いて、二十一世紀を展望する国土政策展開してまいりたいと考えております。  まず第一に、これからの国土政策基本として掲げた多軸型の国土構造の形成に向け、新しい全国総合開発計画である二十一世紀国土グランドデザインを効果的かつ着実に推進していきます。このため、計画に掲げた多自然居住地域創造大都市のリノベーションなど四つの戦略推進するための指針を本年夏前を目途策定し、多様な主体の参加と地域間の連携により、自立した地域づくり、美しい国土づくりを進めてまいります。  その際、公共施設やサービスの充実促進するに当たり、いわゆるPFIなどにより民間資金やノウハウを活用することは有意義であると考えております。  第二に、小渕内閣重要施策であります生活空間倍増戦略プランの一環として、各地域が主体的に策定する地域戦略プランを積極的に推進してまいります。地域戦略プランは、個性的で誇りの持てる地域づくりが進むよう、都市地方の各地域みずからがテーマを選んで、複数の市町村等による広域的な連携もと、活力にあふれ、ゆとり潤いのある生活空間創造するための地域独自の戦略的なプランでございます。  これに対し、政府としては、国土庁総合的窓口として、関係省庁一体となった推進体制もと重点的な予算配分等により最大限支援を行うことといたしております。国土庁においては、プランに盛り込まれた事業の円滑な実施を図るための推進費二千五十億円を新たに計上し、強力に推進してまいりたいと考えております。  第三に、地方振興施策につきましては、多自然居住地域創造に向けた取り組み中心に、地域間交流連携推進新規事業創出支援など地方産業振興地方定住促進などに取り組んでまいります。また、東北、北陸、中国、四国及び九州地方の新しい開発促進計画本年度末を目途策定することとしております。さらに、過疎地域、山村、半島、豪雪地帯離島等特定地域における生活環境産業基盤整備等を引き続き進めてまいります。  特に、本年度末に期限切れとなる奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法につきましては、期限延長等を内容とする改正法案を本国会に提出したところでございます。この法案は、おかげで昨日の委員会で採決されまして、午後一時からの衆議院本会議にかかります。  第四に、大都市圏整備につきましては、圏域再編整備重点的に取り組んでまいります。このため、新しい首都圏基本計画本年度中に策定するとともに、近畿圏及び中部圏の新しい計画についても来年度中の策定目途に鋭意作業を進めてまいります。また、業務核都市の育成や国の行政機関等移転などを引き続き進めるとともに、大深度地下の円滑かつ適正な利用推進するため、昨年五月の調査会の答申を踏まえ、制度化に向けて必要な検討を行ってまいります。  さらに、首都機能移転につきましては、東京一極集中を是正し、国土災害対応力強化し、東京潤いのある空間回復することに寄与するとともに、国政全般改革と深くかかわりのあるものであります。現在、国会等移転審議会において移転先候補地の選定に向けた調査審議が進められているところでありますが、国民的論議の盛り上がりを含め、その具体化に向けて引き続き積極的な検討を行ってまいります。  第五に、総合的な土地政策展開してまいります。  土地政策につきましては、新総合土地政策推進要綱土地有効利用促進のための検討会議提言に基づき、また土地政策審議会等での議論も踏まえ、土地有効利用土地取引活性化に向けた諸施策を着実に推進してまいります。さらに、低未利用地有効利用等適正な利用推進するための土地利用計画策定土地情報の開示・提供、収益を重視した不動産鑑定評価推進等に取り組むとともに、第四次国土調査事業十カ年計画に基づき、地籍調査等国土調査を積極的に推進してまいりたいと考えております。  第六に、安心して暮らせる安全な国土づくりに向けた災害対策推進してまいります。  昨年は全国各地で豪雨や台風による大きな災害が発生いたしました。我が国国土自然災害に対して脆弱であることを改めて認識したところでございます。申すまでもなく、災害から国民の生命、身体、財産を守ることは国政基本であります。このため、防災行政責任者として常に緊張感を持って、災害発生時の初動対応迅速化に努めるとともに、広域的な連携による災害対応力強化災害情報収集伝達体制強化被災者生活再建に対する支援など、総合的な災害対策の一層の充実強化全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。  第七に、健全な水循環を目指した水資源政策展開により、渇水に強い豊かで潤いのある社会実現に努めてまいります。このため、本年度末を目途に新たな全国総合水資源計画策定するとともに、これを踏まえ、水資源開発、水の有効利用水源地域対策などに総合的に取り組んでまいります。  これらとあわせて、阪神淡路地域復興につきましては、阪神淡路復興対策本部本部長として、仮設住宅から恒久住宅への円滑な移行を初めとする被災者生活再建や安全な地域づくりなどの取り組みに引き続き最大限努力を続けてまいりたいと考えております。  最後に、省庁再編につきましては、先般、中央省庁等改革に係る大綱政府において決定したところであり、これに沿って国土庁建設省等省庁を母体に設置される国土交通省においても、国土行政がこれまで以上に的確に進められるよう、積極的に取り組んでまいる所存でございます。  以上、国土行政に関する所信を述べさせていただきました。これら施策推進全力を挙げて取り組んでまいりますので、委員長を初め委員各位の一層の御理解と御協力を賜りますよう心よりお願い申し上げまして、所信とさせていただきます。ありがとうございました。
  6. 陣内孝雄

  7. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 一月の内閣改造に伴い、北海道開発庁長官を拝命いたしました川崎二郎でございます。  陣内委員長初め委員各位には、日ごろより北海道開発行政に関し御理解と御協力を賜り、まことにありがとうございます。引き続きどうぞよろしくお願いを申し上げます。  第百四十五回国会における国土環境委員会の御審議に先立ち、北海道開発行政基本方針及び当面の諸施策について、私の所信の一端を申し上げます。  北海道は、広大な国土と豊富な資源を有しており、その豊かで恵まれた環境我が国にとってかけがえのないものであり、これを次世代に引き継ぐ北海道実現することが重要であります。  しかしながら、北海道は、広域分散型社会であることなどから、本州等に比べ、高速交通基盤生活関連整備などの基幹的基盤がいまだ十分とは言えません。  さらに、昨年の経済対策による公共投資増加等から一部に明るい動きが見られてきているものの、北海道経済は依然として厳しい状況が続いており、地域経済活性化に資する即効性の高い社会資本重点的な整備が求められております。  このため、このような現下の課題に的確に対処するとともに、北海道の持つ開発可能性を発現させ、あすの日本をつくる北海道実現するために、昨年四月に閣議決定した第六期北海道総合開発計画に基づき、諸施策を積極的に推進します。  この新しい計画の二年目に当たる平成十一年度においては、九千四百九十九億円の北海道開発予算を計上しております。  また、緊急経済対策を受けて昨年十二月に成立した補正予算の円滑な執行に努めているところであり、これらの施策展開が、依然として厳しい北海道経済回復と二十一世紀に向けた新たな発展に大いに貢献するものと考えております。  治山治水道路整備、港湾・漁港・空港整備農業農村整備など各事業実施に当たっては、地域のニーズなどを踏まえながら、一層の重点化効率化を進めることにより、事業効果早期発現を図ります。さらに、公共事業等を初めとする各種事業間の連携を一層推進し、事業効果を高めます。  また、北海道開発予算概算要求に当たっては、各種公共事業評価を行ってきており、今後とも北海道総合開発計画をより一層効率的、効果的に推進してまいります。  さらに、これらの基盤整備推進とあわせて、依然として厳しい経済情勢にある北海道における企業への円滑な資金提供設備投資促進等のため、北海道東北開発公庫出融資機能積極的活用に努めます。  なお、北海道東北開発公庫の新銀行への統合に際しては、新銀行が同公庫機能を適切に継承し、引き続き北海道における産業発展に寄与するよう努めます。  苫小牧東部地域は、陸海空の交通条件にすぐれるなど、将来の開発可能性が高く、北海道もとより、我が国にとって貴重な未利用広大地であります。この地域開発を進めるため、昭和四十七年、苫小牧東部開発株式会社が設立され、用地の取得、造成、分譲に努力してきたところでありますが、その後の経済社会情勢変化等に伴い、同社は債務の延滞状況となり、再建が困難となったことから、この地域一団土地として確保し、引き続き開発推進していくためには、同社を清算し、借入金に依存しない新会社を設立する以外にはないとの決断をしたところであります。このため、先般の閣議了解に基づき、新会社に対する北海道東北開発公庫出資金平成十一年度予算に計上しております。  今後とも、中長期的な視点に立ち、一団土地としてのメリットを生かし、時代に合った国家的、地域的な戦略プロジェクトの導入を図るなど、この地域開発の新たな展開に向け、関係者との連携協力もと最大限努力をしてまいります。  このほか、北方領土返還運動拠点であり、近年は交流拠点ともなっている根室市等の北方領土隣接地域において、昨年七月に承認された第四期隣接地域振興計画に沿って地域の安定、振興を図るための施策推進します。  また、アイヌ新法に基づき、アイヌの人々の民族としての誇りが尊重される社会実現を図るとともに、あわせて我が国の多様な文化の一層の発展に寄与するため、アイヌ伝統等に関する知識の普及及び啓発等を図るための施策推進します。  中央省庁再編については、北海道開発庁の任務及び行政機能国土交通省に引き継がれ、関係予算も従前のとおり国土交通省に一括して計上されることとなっております。二〇〇一年一月に一府十二省庁体制への移行を開始することを目指し、必要な準備を進めます。  以上、北海道開発行政に関し所信の一端を申し述べましたが、今後とも北海道総合開発推進全力を傾注して取り組んでまいりますので、陣内委員長を初め委員各位の一層の御理解と御協力をお願い申し上げます。
  8. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 次に、真鍋環境庁長官から環境行政基本施策について所信を聴取いたします。真鍋環境庁長官
  9. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) 第百四十五回国会における参議院国土環境委員会の御審議に先立ちまして、環境行政に対する私の所信を申し述べ、委員各位の御理解と御協力をお願いしたいと存じます。  二十一世紀まで残すところあと二年という時期を迎え、未来への発展の基盤を築く上で、現在、環境行政は極めて重要な責務を負っているものと認識しております。  二十一世紀においても国民が豊かで安心できる暮らしを実現していくためには、その基盤となる環境を守り、子孫に引き継いでいくことが不可欠であります。それは、我が国の美しい恵み豊かな自然環境だけではなく、我々の生活しているこの地球の環境に対するあらゆる負荷を全力で低減していかなければならないということを意味しています。  しかしながら、現在、既に地球温暖化の影響が海面上昇等の形であらわれ始めるといった地球規模の問題が国際的にも大きな課題となっています。そして、ダイオキシン・環境ホルモン問題、廃棄物問題など生活に密着した問題も次々と顕在化しており、国民に大きな不安を与えております。  私は、こうした問題の一つ一つに対し果敢に挑戦していこうと考えておりますが、その際、次のような基本姿勢で対処します。  まず、大量生産、大量消費、大量廃棄という我々のこれまでの経済社会システムや生活慣行を見直し環境への負荷の少ない持続可能な経済社会への転換を進め、これまでとは質の異なる新たな活力ある社会を目指してまいります。  そうした対策とともに、国民の不安を払拭し、安心して生活できるようにしていくために、例えば、ダイオキシンを初めとする化学物質問題などの緊急的な課題についての対応を行ってまいります。  さらに、環境省創設の動きと相まって高まりを見せている国民環境行政に対する期待にこたえ、二十一世紀環境時代とするよう、顔の見える環境行政を進めてまいります。  以上のような基本姿勢のもと、次の施策重点的に取り組んでまいります。  第一の柱は、地球環境問題に対応する経済社会への転換です。  地球温暖化対策については、我が国自身率先して対策を講じ、国際的なリーダーシップを発揮していくことが求められております。京都議定書に定められた温室効果ガス削減目標の達成に向けて、地球温暖化対策推進に関する法律に基づく対策基本方針を速やかに策定し、実行に移すなど、二十一世紀における脱温暖化社会実現を目指した総合的、戦略的な対策充実強化を図ってまいります。  広く地球環境問題の解決のため、二〇〇二年の国連環境会議、リオ・プラス10も視野に入れ、今年一月に開催された日中韓三カ国大臣会合等を通じ、中国を初め各国との政策対話、国際協力を進め、アジア太平洋に位置する先進国として、途上国との橋渡しの役割を積極的に担ってまいります。  また、持続可能な経済社会への転換を進める上で、国民のライフスタイルを環境に負荷の少ない形に変えていくことが不可欠であり、その具体的な取り組みの一つとして、総合環境学習ゾーンにおいて現場の体験を重視した環境学習の推進を図るとともに、その成果を踏まえ、環境学習の中核となる拠点整備について検討を行います。  環境事業団の事業についても、新たな時代の要請に応じた展開を図るため、今国会において環境事業団法の一部を改正する法律案を提出する予定です。  さらに、環境基本計画について、二十一世紀における環境対策基本構想として位置づけるべく、見直しを行ってまいります。  第二の柱は、ダイオキシン・環境ホルモン等による環境汚染の防止です。  ダイオキシン・環境ホルモン問題については、国民の不安を払拭するよう、政府全体として早急な対応が求められており、環境庁が取りまとめ役としての責務を果たしつつ、未解明の点について早急に知見の充実を図るなどの対策推進いたします。  特に、ダイオキシン問題は、環境を保全し国民の健康を守るために重大な課題であり、ダイオキシン対策関係閣僚会議において、対策基本的な指針の策定や耐容一日摂取量の見直し等を速やかに講じてまいります。  また、化学物質による環境の汚染の未然防止に関する国民の関心が急速に高まっているため、有害性がある化学物質の環境への排出量等を把握するとともに、その管理を促進する新たな法律案を提出する予定です。  第三の柱は、都市の大気環境改善です。  自動車交通等による大都市における深刻な大気汚染等への対策推進に力を注いでまいります。  特に、低公害車の普及については、税制上の優遇措置等を講じながら普及促進を図るとともに、制度的な普及方策のあり方を検討し、大量普及の実現を目指します。  また、環境基準の達成が依然としてはかばかしくない浮遊粒子状物質について、さらに微小な粒子状物質への対応も含め、総合的な対策を進めてまいります。  第四の柱は、物質循環の輪の構築と健全な水循環確保です。  廃棄物、リサイクル一体となった物質循環の実現のため、システムの構築に向けた検討を進めるとともに、先進的な技術の評価、リサイクル情報に関するデータベースの整備等を進めます。  また、雨が降ってから海に流れ込むまでの自然界の健全な水循環確保が水環境の保全のために重要であることから、関係省庁連携して基本的考え方取り組みについて検討を進めるとともに、その具体的取り組みの一つとして手賀沼におけるパイロット事業実施いたします。  第五の柱は、自然と人間との共生の確保です。  里地や湿地等を含めた国土全体の生物多様性の保全を図るため、第六回自然環境保全基礎調査、いわゆる緑の国勢調査を開始し、基礎データを整備するとともに、里地自然等の保全を図ってまいります。  また、人と野生鳥獣の共存に向けて、野生鳥獣の保護管理を強化するため、今国会に鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の一部を改正する法律案を提出しております。  さらに、自然との触れ合いの場と機会の充実のため、自然公園における施設整備等を進めるとともに、自然と触れ合う体験学習のプログラムの開発等を行ってまいります。  第六の柱は、健康被害の予防及び公害健康被害者の救済です。  公害健康被害者の救済に万全を期すとともに、健康被害を予防するための施策の着実な推進を図ります。  水俣病対策については、水俣病総合対策医療事業平成七年十二月の閣議了解等に盛り込まれた施策を着実に実施してまいります。  以上六つの柱を軸に環境行政を進めてまいります。  本委員会及び委員各位におかれましても、環境行政の一層の推進のため、今後とも御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げます。  以上でございます。
  10. 陣内孝雄

  11. 川嵜義徳

    政府委員川嵜義徳君) 公害等調整委員会平成十年中に行った公害紛争の処理に関する事務について御説明申し上げます。  第一に、平成十年に当委員会に係属した公害紛争事件は、香川県の住民から産業廃棄物処理業者等を相手方として申請のあった豊島産業廃棄物水質汚濁被害等調停申請事件、東京都の住民から小田急電鉄株式会社を相手方として申請のあった小田急線騒音被害等責任裁定申請事件、東京都等の住民から東京都を相手方として申請のあった杉並区における不燃ごみ中継施設健康被害原因裁定申請事件等合計二十七件であり、これらのうち平成十年中に終結した事件は十七件であります。  なお、以上のほか、水俣病損害賠償調停申請事件について、調停成立後に申請人の症状に変化が生じたときに申請される水俣病慰謝料額等変更申請事件が十件あり、うち八件が終結しております。  現在係属中の事件につきましては、適切な解決が図られるよう鋭意努力してまいる所存であります。  第二に、平成十年に都道府県公害審査会に係属した公害紛争事件は百十二件であり、廃棄物処理場、道路及び工場・事業所に係る事件が多くなっております。これらのうち、平成十年中に終結した事件は四十五件であります。  公害紛争処理法においては、当委員会と都道府県公害審査会とはそれぞれが独立の機関として職務を遂行することになっておりますが、公害紛争の迅速かつ適正な解決を図るという観点から同審査会との間での連絡協議に努めるとともに、参考となる情報、資料の提供を積極的に行っているところであります。  第三に、全国の公害苦情の実態についてであります。  当委員会調査によれば、平成年度において全国の地方公共団体の公害苦情相談窓口に寄せられた公害苦情は約七万一千件となっております。  これを苦情の種類別に見ますと、いわゆる典型七公害に関する苦情は約五万四千件で、前年度に比べ一八・二%増加しました。このうち大気汚染が約二万件と最も多くなっております。また、いわゆる典型七公害以外の苦情は約一万七千件で、全体の約二四%を占めております。  公害苦情につきましては、都道府県または市区町村がそれぞれの処理に当たっておりますが、当委員会としては、これらの地方公共団体に対し、職員に対する研修の実施、苦情処理に必要な情報の提供等を積極的に行っているところであります。  以上が平成十年中に公害等調整委員会が行った公害紛争の処理に関する事務の概要であります。  当委員会といたしましては、今後とも公害紛争の迅速かつ適正な解決を図るため鋭意努力してまいる所存でありますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。
  12. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 以上で所信等の聴取は終わりました。  これらに対する質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十八分散会