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国務大臣(真鍋賢二君) 第百四十五回
国会における参議院
国土・
環境委員会の御
審議に先立ちまして、
環境行政に対する私の
所信を申し述べ、
委員各位の御
理解と御
協力をお願いしたいと存じます。
二十一
世紀まで残すところあと二年という時期を迎え、未来への
発展の基盤を築く上で、現在、
環境行政は極めて重要な責務を負っているものと認識しております。
二十一
世紀においても
国民が豊かで安心できる暮らしを
実現していくためには、その基盤となる
環境を守り、子孫に引き継いでいくことが不可欠であります。それは、
我が国の美しい恵み豊かな自然
環境だけではなく、我々の生活しているこの地球の
環境に対するあらゆる負荷を
全力で低減していかなければならないということを意味しています。
しかしながら、現在、既に地球温暖化の影響が海面上昇等の形であらわれ始めるといった地球規模の問題が国際的にも大きな
課題となっています。そして、ダイオキシン・
環境ホルモン問題、廃棄物問題など生活に密着した問題も次々と顕在化しており、
国民に大きな不安を与えております。
私は、こうした問題の一つ一つに対し果敢に挑戦していこうと考えておりますが、その際、次のような
基本姿勢で対処します。
まず、大量生産、大量消費、大量廃棄という我々のこれまでの
経済社会システムや生活慣行を
見直し、
環境への負荷の少ない持続可能な
経済社会への転換を進め、これまでとは質の異なる新たな活力ある
社会を目指してまいります。
そうした
対策とともに、
国民の不安を払拭し、安心して生活できるようにしていくために、例えば、ダイオキシンを初めとする化学物質問題などの緊急的な
課題についての対応を行ってまいります。
さらに、
環境省創設の動きと相まって高まりを見せている
国民の
環境行政に対する
期待にこたえ、二十一
世紀を
環境の
時代とするよう、顔の見える
環境行政を進めてまいります。
以上のような
基本姿勢の
もと、次の
施策に
重点的に取り組んでまいります。
第一の柱は、地球
環境問題に対応する
経済社会への転換です。
地球温暖化
対策については、
我が国自身率先して
対策を講じ、国際的なリーダーシップを発揮していくことが求められております。京都議定書に定められた温室効果ガス削減目標の達成に向けて、地球温暖化
対策の
推進に関する法律に基づく
対策の
基本方針を速やかに
策定し、実行に移すなど、二十一
世紀における脱温暖化
社会の
実現を目指した総合的、
戦略的な
対策の
充実強化を図ってまいります。
広く地球
環境問題の解決のため、二〇〇二年の国連
環境会議、リオ・プラス10も視野に入れ、今年一月に開催された日中韓三カ国大臣会合等を通じ、中国を初め各国との政策対話、国際
協力を進め、アジア太平洋に位置する先進国として、途上国との橋渡しの役割を積極的に担ってまいります。
また、持続可能な
経済社会への転換を進める上で、
国民のライフスタイルを
環境に負荷の少ない形に変えていくことが不可欠であり、その具体的な
取り組みの一つとして、総合
環境学習ゾーンにおいて現場の体験を重視した
環境学習の
推進を図るとともに、その成果を踏まえ、
環境学習の中核となる
拠点の
整備について
検討を行います。
環境事業団の
事業についても、新たな
時代の要請に応じた
展開を図るため、今
国会において
環境事業団法の一部を改正する法律案を提出する予定です。
さらに、
環境基本計画について、二十一
世紀における
環境対策の
基本構想として位置づけるべく、
見直しを行ってまいります。
第二の柱は、ダイオキシン・
環境ホルモン等による
環境汚染の防止です。
ダイオキシン・
環境ホルモン問題については、
国民の不安を払拭するよう、
政府全体として早急な対応が求められており、
環境庁が取りまとめ役としての責務を果たしつつ、未解明の点について早急に知見の
充実を図るなどの
対策を
推進いたします。
特に、ダイオキシン問題は、
環境を保全し
国民の健康を守るために重大な
課題であり、ダイオキシン
対策関係閣僚
会議において、
対策の
基本的な指針の
策定や耐容一日摂取量の
見直し等を速やかに講じてまいります。
また、化学物質による
環境の汚染の未然防止に関する
国民の関心が急速に高まっているため、有害性がある化学物質の
環境への排出量等を把握するとともに、その管理を
促進する新たな法律案を提出する予定です。
第三の柱は、
都市の大気
環境の
改善です。
自動車交通等による
大都市における深刻な大気汚染等への
対策の
推進に力を注いでまいります。
特に、低公害車の普及については、
税制上の優遇
措置等を講じながら普及
促進を図るとともに、
制度的な普及方策のあり方を
検討し、大量普及の
実現を目指します。
また、
環境基準の達成が依然としてはかばかしくない浮遊粒子状物質について、さらに微小な粒子状物質への対応も含め、総合的な
対策を進めてまいります。
第四の柱は、物質循環の輪の構築と健全な
水循環の
確保です。
廃棄物、リサイクル
一体となった物質循環の
実現のため、
システムの構築に向けた
検討を進めるとともに、先進的な技術の
評価、リサイクル情報に関するデータベースの
整備等を進めます。
また、雨が降ってから海に流れ込むまでの自然界の健全な
水循環の
確保が水
環境の保全のために重要であることから、
関係省庁と
連携して
基本的考え方や
取り組みについて
検討を進めるとともに、その具体的
取り組みの一つとして手賀沼におけるパイロット
事業を
実施いたします。
第五の柱は、自然と人間との共生の
確保です。
里地や湿地等を含めた
国土全体の生物多様性の保全を図るため、第六回自然
環境保全基礎
調査、いわゆる緑の国勢
調査を開始し、基礎データを
整備するとともに、里地自然等の保全を図ってまいります。
また、人と野生鳥獣の共存に向けて、野生鳥獣の保護管理を
強化するため、今
国会に鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の一部を改正する法律案を提出しております。
さらに、自然との触れ合いの場と機会の
充実のため、自然公園における施設
整備等を進めるとともに、自然と触れ合う体験学習のプログラムの
開発等を行ってまいります。
第六の柱は、健康被害の予防及び公害健康被害者の救済です。
公害健康被害者の救済に万全を期すとともに、健康被害を予防するための
施策の着実な
推進を図ります。
水俣病
対策については、水俣病総合
対策医療
事業等
平成七年十二月の
閣議了解等に盛り込まれた
施策を着実に
実施してまいります。
以上六つの柱を軸に
環境行政を進めてまいります。
本
委員会及び
委員各位におかれましても、
環境行政の一層の
推進のため、今後とも御
支援、御
協力を賜りますようお願い申し上げます。
以上でございます。